説明

ビルダー粒子及びその製造方法

【課題】粒状洗剤に配合した場合に粒状洗剤の低温溶解性を向上させることのできるビルダー粒子を提供すること
【解決手段】(a)硫酸ナトリウムと、(b)塩化ナトリウムと、(c)水とを含み、
(a)/(b)がモル比で1/3〜3/1であり、
(a)と(b)との合計量が、ビルダー粒子の全量を基準として80〜99.5質量%であり、及び
(c)の量が、ビルダー粒子の全量を基準として0.5〜10質量%
であるビルダー粒子を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗剤の添加剤として利用可能なビルダー粒子及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ビルダーは、界面活性剤の洗浄能力を向上させることができるため、粒状洗剤に一般的に配合されている。粒状洗剤に配合されるビルダーとしては、A型、P型、X型ゼオライト、非晶質アルミノ珪酸塩等の水不溶性無機ビルダーや、アミノカルボン酸塩、ヒドロキシカルボン酸塩、有機カルボン酸(塩)ポリマー等の有機キレートビルダーが慣用的に用いられている。
一方、水溶性無機ビルダーとしては、洗浄力向上能に優れる上、安価であることから炭酸ナトリウムが多く使用されてきた。しかし、近年の価格上昇を受け、炭酸ナトリウムの代替物を使用することが望まれている。
比較的安価であり利便性の高い無機ビルダーとして無水硫酸ナトリウムが挙げられる。塩化ナトリウム、粘土鉱物、炭水化物と共に無水硫酸ナトリウムを造粒し、水を含まず得られるビルダー粒子は(特許文献1)、水和結晶を持たないため、水中に浸漬した際に凝集体を形成し、水への溶解性は低い。炭酸ナトリウム/炭酸カリウム、水と共に無水硫酸ナトリウムを造粒した場合(特許文献2)、水中に浸漬した際に凝集体は形成せず、得られるビルダー粒子の溶解性は優れるが、ビルダー粒子そのものが製造後に水和固結により固化してしまう。更に、得られるビルダー粒子を洗剤粒子と単に粉体混合しただけでは(特許文献2)、得られる粒状洗剤の低温における水への溶解性が低下するという問題がある。
【0003】
【特許文献1】特開2008−94965号公報
【特許文献2】特開2004−238529号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従って、本発明は、それ自身の水への溶解性が優れるだけでなく、粒状洗剤に配合した場合に粒状洗剤の水への溶解性、特に低温溶解性を向上させることのでき、かつそれ自身を保管した際に固化しないビルダー粒子及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らが鋭意検討した結果、無機硫酸塩と塩化ナトリウムとを特定比において特定量用い、更に特定量の水を併用することにより、上記目的を達成できることを見出した。
すなわち、本発明は、(a)無機硫酸塩と、(b)塩化ナトリウムと、(c)水とを含み、
(a)/(b)がモル比で1/3〜3/1であり、
(a)と(b)との合計量が、ビルダー粒子の全量を基準として80〜99.5質量%であり、及び
(c)の量が、ビルダー粒子の全量を基準として0.5〜10質量%
であることを特徴とするビルダー粒子を提供する。
本発明はまた、上記ビルダー粒子を含有する粒状洗剤を提供する。
本発明はまた、(a)無機硫酸塩と(b)塩化ナトリウムとを、(c)水の存在下で造粒することを特徴とする、上記ビルダー粒子の製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0006】
本発明のビルダー粒子は溶解性及び流動性に優れ、固化しにくい。本発明のビルダー粒子はまた、粒状洗剤の水への溶解性、特に低温での水への溶解性を向上させることができる。本発明のビルダー粒子を含む粒状洗剤は低温溶解性に優れる。本発明の製造方法によれば、噴霧乾燥しなくても、粒状洗剤の低温での水への溶解性を向上させることができるビルダー粒子を製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
〔(a)無機硫酸塩〕
本発明で用いることのできる無機硫酸塩としては、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の硫酸塩等があげられる。無機硫酸塩は、無水物でも水和物でもよい。硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸マグネシウムが好ましい。硫酸ナトリウム、硫酸カリウムがより好ましい。硫酸ナトリウムが特に好ましい。無水硫酸ナトリウムが最も好ましい。
本発明で用いる無機硫酸塩の平均粒子径は10〜800μmであるのが好ましい。30〜600μmがより好ましい。50〜400μmが特に好ましい。無機硫酸塩の平均粒子径が10μm未満の場合、造粒のし易さが低下する場合がある。平均粒子径が800μmを超える場合、本発明のビルダー粒子を洗剤に添加する際、分級等の問題が生じることがあるため好ましくない。なお、本明細書において、無機硫酸塩の平均粒子径は、篩を用いて測定することができる。
【0008】
〔(b)塩化ナトリウム〕
本発明者らは、塩化ナトリウムを、無機硫酸塩と一緒にビルダー粒子中に特定モル比及び特定量含ませることによりビルダー粒子及び該ビルダー粒子を含有する粒状洗剤の水への溶解性、特に低温での水への溶解性を向上させることができるようになることを見出した。
本発明で用いる塩化ナトリウムの平均粒子径は10〜800μmであるのが好ましい。30〜600μmがより好ましい。50〜400μmが特に好ましい。塩化ナトリウムの平均粒子径が無機硫酸塩の平均粒子径と同程度、例えば100〜300μmであるのが最も好ましい。塩化ナトリウムの平均粒子径が10μm未満の場合、造粒のし易さが低下する場合がある。平均粒子径が800μmを超える場合、本発明のビルダー粒子を洗剤に添加する際、分級等の問題が生じることがあるため好ましくない。なお、本明細書において、塩化ナトリウムの平均粒子径は、篩を用いて測定することができる。
本発明のビルダー粒子中における(a)成分及び(b)成分の量は、(a)/(b)がモル比にして1/3〜3/1、好ましくは1/3〜2.5/1、より好ましくは1/3〜2/1であり、(a)と(b)との合計量が80〜99.5質量%、好ましくは85〜97質量%、より好ましくは90〜97質量%である。(a)と(b)とのモル比及び合計量を上記範囲に設定することにより、ビルダー粒子の水への溶解性、特に低温での水への溶解性が向上するとともに、固化しにくくなる。粒状洗剤の水への溶解性、特に低温での水への溶解性もまた向上する。
【0009】
〔(c)水〕
本発明で用いる(c)成分は、(a)成分と(b)成分とを一緒にするためのバインダーとしての役割を果たす。本発明のビルダー粒子中における(c)成分の量は0.5〜10質量%、好ましくは1〜8質量%、より好ましくは2〜7質量%である。水の量がこのような範囲にあると、ビルダー粒子を混合した粒状洗剤の溶解性が優れ、且つ、ビルダー粒子の流動性が著しく低下しないため好ましい。
【0010】
〔(d)水溶性高分子及び/又はノニオン界面活性剤〕
本発明で用いる(d)成分は、(c)成分と同様、バインダーとしての役割を果たす。加えて、造粒のし易さを向上させる役割も果たす。
本発明で用いることのできる水溶性高分子は、40℃の水100gに対して0.1g以上、好ましくは0.2g以上、より好ましくは2g以上の濃度で水と均一に混和する高分子である。本発明で用いる水溶性高分子の重量平均分子量は好ましくは500以上、より好ましくは1,000〜1,000,000、さらに好ましくは1,000〜200,000である。本発明における水溶性高分子の重量平均分子量は、ポリエチレングリコールを標準物質とするゲルパーミエーションクロマトグラフィーによる測定値である。なお、標準物質であるポリエチレングリコールの平均分子量は、化粧品原料基準(第2版注解)記載の平均分子量である。水への溶解度及び重量平均分子量がこのような範囲の水溶性高分子であれば特に限定されず、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
【0011】
本発明で用いることのできる水溶性高分子としては、天然高分子、半合成高分子及び合成高分子等が挙げられる。具体的にはビニル系高分子、多糖類、ポリエーテル系高分子、ポリエステル系高分子、ペプチド系高分子、ポリウレタン、及びそれらの誘導体等を用いることができる。この中でも、ビニル系高分子、多糖類、その誘導体及びポリエステル系高分子から選ばれる1種を単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることが好ましい。
ビニル系高分子としては、例えば、ビニル系ポリカルボン酸塩類(アクリル酸系高分子)、ビニル系ポリスルホン酸塩、ポリビニルピリジン塩、ポリビニルイミダゾリウム塩等が挙げられる。
多糖類としては、各種天然又は合成多糖類を用いることができる。
ポリエーテル系高分子としては、例えば、ポリエチレングリコールやポリプロピレングリコールを用いることができる。
ポリエステル系高分子としては、例えば、テレフタル酸とエチレングリコール及び/又はプロピレングリコール単位とのコポリマー又はターポリマー等が挙げられる。これらの例としては、市販品のTexcare 4291(クラリアント社製)、Texcare SRN−100、Texcare SRN−300(クラリアント社製)等が挙げられる。
ペプチド系高分子又はその誘導体の具体例としては、ゼラチン、カゼイン、アルブミン、コラーゲン、ポリグルタミン酸塩、ポリアスパラギン酸塩、ポリリジン、ポリアルギニン及びこれらの誘導体等が挙げられる。
ポリウレタンとしては、例えば、水溶性ポリウレタン等が挙げられる。
【0012】
特に、(a)無機硫酸塩が水和しやすくなるという点から、水と接する初期段階において浸水作用を発揮するものが好適である。このような特性を有する水溶性高分子としては、アニオン性、両性、ノニオン性等の親水性官能基を有するものが挙げられる。
アニオン性基を有する水溶性有機高分子としては、例えば、カルボキシル基、スルホ基を有する高分子、アニオン性基を有する水溶性多糖類が挙げられる。
カルボキシル基を有する水溶性有機高分子としては、例えば、アクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、アコニット酸、メタクリル酸、フマル酸、2−ヒドロキシアクリル酸、シトラコン酸等のモノマーを重合させてなるポリマー及びその塩、並びにこれらのモノマーとその他のビニル系モノマーとの共重合体及びその塩等のビニル系ポリカルボン酸(塩)が挙げられる。
スルホ基を有する水溶性高分子としては、例えば、アクリルアミドプロパンスルホン酸、メタクリルアミドプロパンスルホン酸、スチレンスルホン酸等のモノマーを重合してなるモノマー及びその塩、並びにこれらのポリマーとその他のビニル系ポリマーとの共重合体及びその塩等のビニル系ポリスルホン酸(塩)等が挙げられる。
アニオン性基を有する水溶性多糖類としては、例えば、ポリウロン酸塩、アルギン酸塩、ポリアスパラギン酸塩、カラゲーナン、ヒアルロン酸塩、コンドロイチン硫酸塩、カルボキシメチルセルロース等が挙げられる。
【0013】
両性水溶性高分子としては、例えば、アニオン性基を有するビニル系単量体とカチオン性基を有するビニル系単量体との共重合体、カルボキシベタイン基又はスルホベタイン基を有するビニル系の両性高分子が挙げられ、具体的には、アクリル酸/ジメチルアミノエチルメタクリル酸共重合体、アクリル酸/ジエチルアミノエチルメタクリル酸共重合体等が挙げられる。
ノニオン性水溶性高分子としては、例えば、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルエチルエーテル、ポリエチレングリコール等の合成高分子、ヒドロキシエチルセルロース、グアーガム、デキストラン、プルラン等の多糖類が挙げられる。
これらの中でも、水と接する初期段階における浸水作用に優れ、水に溶解又は分散する際に発熱する化合物が好ましい。カルボキシル基又はスルホ基を有するビニル系ポリマーを用いることが好ましく、特に、単位質量当たりのアニオン性基含量の高いビニル系ポリカルボン酸類が好適である。具体的には、ポリアクリル酸、ポリマレイン酸、アクリル酸/マレイン酸共重合体、アクリル酸/イタコン酸共重合体、アクリル酸アルキル共重合体、及びこれらの塩又は誘導体が好ましい。ポリアクリル酸、ポリマレイン酸、アクリル酸/マレイン酸共重合体又はこれらの塩が最も好ましい。
【0014】
本発明で用いるノニオン界面活性剤としては、例えば、以下のものを挙げることができる。
(1)炭素数6〜22、好ましくは8〜18、より好ましくは10〜16の脂肪族アルコールに炭素数2〜4のアルキレンオキサイドを平均3〜30モル、好ましくは5〜20モル付加したポリオキシアルキレンアルキル(又はアルケニル)エーテル
この中でも、ポリオキシエチレンアルキル(又はアルケニル)エーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキル(又はアルケニル)エーテルが好適である。ポリオキシエチレンアルキル(又はアルケニル)エーテルがより好ましい。ここで使用される脂肪族アルコールとしては、第1級アルコール、第2級アルコールが挙げられる。また、そのアルキル基は、分岐鎖を有していてもよい。脂肪族アルコールとしては、第1級アルコールが好ましい。
(2)ポリオキシエチレンアルキル(又はアルケニル)フェニルエーテル
(3)長鎖脂肪酸アルキルエステルのエステル結合間にアルキレンオキサイドが付加した、例えば下記一般式(I)で表される脂肪酸アルキルエステルアルコキシレート
1CO(OA)nOR2 (I)
(式中、R1COは、炭素数6〜22、好ましくは8〜18の脂肪酸残基を示し、OAは、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド等の炭素数2〜4、好ましくは2〜3のアルキレンオキサイドの付加単位を示し、nはアルキレンオキサイドの平均付加モル数を示し、一般に3〜30、好ましくは5〜20の数である。R2は炭素数1〜3の置換基を有してもよい低級(炭素数1〜4)アルキル基を示す。)
(4)ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル
(5)ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル
(6)ポリオキシエチレン脂肪酸エステル
(7)ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油
(8)グリセリン脂肪酸エステル
【0015】
上記のノニオン界面活性剤の中でも、融点が50℃以下でHLBが9〜16のポリオキシエチレンアルキル(又はアルケニル)エーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキル(又はアルケニル)エーテル、脂肪酸メチルエステルにエチレンオキサイドが付加した脂肪酸メチルエステルエトキシレート、脂肪酸メチルエステルにエチレンオキサイドとプロピレンオキサイドが付加した脂肪酸メチルエステルエトキシプロポキシレート等が好適に用いられる。また、これらのノニオン界面活性剤は1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
なお、本発明におけるノニオン界面活性剤のHLBとは、Griffinの方法により求められた値である(吉田、進藤、大垣、山中共編、「新版界面活性剤ハンドブック」、工業図書株式会社、1991年、第234頁参照)。また、本発明における融点とは、JIS K0064−1992「化学製品の融点及び溶融範囲測定方法」に記載されている融点測定法によって測定された値である。
本発明において用いる(d)成分のノニオン界面活性剤としては、上記(1)が好ましい。
(d)成分は、本発明のビルダー粒子の全量を基準にして、好ましくは0.5〜8%、より好ましくは1〜5%の量で含まれるのが好ましい。(d)成分が水溶性高分子とノニオン界面活性剤との混合物である場合、その合計量が上記範囲内になるようにするのが好ましい。(d)成分の含有量が0.5%未満の場合、造粒のし易さが低くなる場合がある。含有量が5%を超える場合、本発明のビルダー粒子の流動性が低下する場合がある。
【0016】
〔(e)水不溶性無機粉体〕
本発明で用いることのできる水不溶性無機粉体とは、25℃の水100gに対する溶解度が1g未満のものをいう。本発明において、水不溶性無機粉体は、本発明のビルダー粒子の流動性を改善する役割を果たす。本発明において用いることのできる水不溶性無機粉体としては、結晶性ケイ酸塩、アルミノシリケート、シリカ、アルミナがあげられる。ゼオライト、シリカが好ましい。シリカの市販品として、アエロジル(日本アエロジル社製);トクシール、ファインシール、レオロシール〔(株)トクヤマ製〕;サイロピュア(富士シリシア社製)等があげられる。
本発明において用いる水不溶性無機粉体の平均粒子径は30μm以下であるのが好ましい。10μm以下であるのがより好ましい。平均粒子径が30μmを超えると、本発明のビルダー粒子の流動性改善効果が得られ難い。なお、本明細書において、水不溶性無機粉体の平均粒子径は、レーザ回折/散乱式粒度分布測定装置を用いて測定することができる。
(e)成分は、本発明のビルダー粒子の全量を基準にして、好ましくは1〜15%、より好ましくは2〜10%の量で含まれるのが好ましい。1%未満であるか又は10%を超える場合、本発明のビルダー粒子の流動性が低くなる場合がある。
【0017】
本発明のビルダー粒子は、上記成分に加えて、一般に粒状洗剤に含まれる成分を含むことができる。
本発明のビルダー粒子は、(a)無機硫酸塩と(b)塩化ナトリウムとを、(c)水の存在下で造粒することにより製造することができる。造粒は、攪拌造粒、転動造粒、流動層造粒のいずれの方法で行なってもよい。
【0018】
(1).撹拌造粒法
撹拌造粒法では任意の型式の撹拌造粒装置を使用することができる。その中でも、撹拌羽根を備えた撹拌軸を内部の中心に有し、撹拌羽根が回転する際に撹拌羽根と器壁との間にクリアランスを形成する構造の装置であることが好ましい。クリアランスは1〜30mmであるのが好ましく、3〜10mmがより好ましい。クリアランスが1mm未満では付着層により混合機が過動力となりやすい場合がある。30mmを超えると圧密化の効率が低下するため粒度分布がブロードに、また、造粒時間が長くなり生産性が低下する場合がある。この様な構造を有する撹拌造粒機としては、例えばヘンシェルミキサー(三井三池化工機(株)製)、ハイスピードミキサー(深江工業(株)製)、バーチカルグラニュレーター((株)パウレック製)等の装置が挙げられる。特に好ましくは横型の混合槽で円筒の中心に撹拌軸を有し、この軸に撹拌羽根を取付けて粉末の混合を行う形式のミキサーである。このようなミキサーとしては、例えばレーディゲミキサー((株)マツボー製)、プローシェアーミキサー(大平洋機工(株)製)である。
撹拌造粒法における好適な造粒条件を以下に示す。
(i)フルード数(Fr数)
撹拌造粒法においては、下記式で定義されるフルード数は1〜16であるのが好ましく、2〜9がより好ましい。フルード数が1未満であると、流動化が不充分であるため表面処理が不充分となる場合がある。一方、16を超えると粒子に対するせん断力が強くなり過ぎ表面処理部に壊れが発生する場合がある。
Fr=V2/(R×g)
V:撹拌羽根の先端の周速(m/s)
R:撹拌羽根の回転半径(m)
g:重力加速度(m/s2
(ii)チョッパー回転数
撹拌造粒法において、使用される撹拌造粒機には、造粒物の圧密化促進及び粗粉解砕促進のために、高速で回転するチョッパーが装備されている。チョッパーの回転速度としては表面処理部の壊れが発生しない程度の回転数が好ましい。チョッパー先端速度(周速)で30m/s以下が好ましく、0〜20m/s以下がより好ましい。
(iii)造粒時間
撹拌造粒法において、回分式の造粒における造粒時間及び連続式の造粒における平均滞留時間は、0.5〜20分が好ましく、3〜10分がより好ましい。造粒時間(平均滞留時間)が0.5分未満であると、時間が短過ぎて好適な平均粒子径及び嵩密度を得るための造粒制御が困難となり、粒度分布がブロードになる場合がある。20分を超えると時間が長過ぎて生産性が低下する場合がある。
(iv)充填率
(a)及び(b)成分の造粒装置への充填率(仕込み量)としては、混合槽の全内容積の70容積%以下が好ましく、15〜40容積%がより好ましい。充填率(仕込み量)が、70容積%を超えると混合槽内での混合効率が低下し、好適に造粒を行うことができない場合がある。
【0019】
(2).転動造粒法
転動造粒法では任意の型式の転動造粒装置を使用することができる。その中でもドラム状の円筒が回転して処理するものが好ましく、特に任意の形状の邪魔板を具備しているものが好ましい。ドラム型造粒機としては、水平円筒型造粒機、日本粉体工業技術協会編、造粒ハンドブック第一版第1刷記載の円錐ドラム型造粒機、多段円錐ドラム型造粒機、撹拌羽根付ドラム型造粒機等が挙げられる。
転動造粒法における好適な造粒条件を以下に示す。
(i)処理時間
回分式における処理時間、連続式における以下の式で定義される平均滞留時間は、5〜120分が好ましく、より好ましくは10〜90分、さらに好ましくは10〜40分である。前記時間が5分未満であると、高嵩密度にならない場合がある一方、120分を超えると生産性の低下又は粒子が崩壊する場合がある。
Tm=(m/Q)×60
Tm:平均滞留時間(min)
m :容器回転型混合機内の粒子滞留量(kg)
Q :連続運転における能力(kg/hr)
(ii)フルード数(Fr)
下記式で定義されるフルード数は、0.01〜0.8となる条件を選択するのが好ましい。フルード数は、0.05〜0.7がより好ましく、0.1〜0.65がさらに好ましい。フルード数が0.01未満であると、均一でかつ高嵩密度の粒子が得られない場合がある一方、0.8を超えると、ドラム型混合機の場合には、粒子が飛散し、正常な剪断混合が起こらない場合がある。
Fr=V2/(R×g)
V:容器回転型混合機最外周の周速(m/s)
R:容器回転型混合機最外周の回転中心からの半径(m)
g:重力加速度(m/s2
(iii)容積充填率(X)
下記式で定義される容積充填率が、15〜50容積%となる条件を選択するのが好ましい。容積充填率は、より好ましくは20〜45容積%、さらに好ましくは25〜40容積%である。容積充填率が15容積%未満であると、生産性が悪い場合がある一方、50容積%を超えると良好な剪断混合が生じない場合がある。
容積充填率(X)=(M/ρ)/V×100
M:容器回転型混合機への水溶性無機化合物核粒子の仕込量(g)
ρ:水溶性無機化合物核粒子の嵩密度(g/L)
V:容器回転型混合機の容積(L)
【0020】
本発明のビルダー粒子が(d)水溶性高分子及び/又はノニオン界面活性剤を含む場合、撹拌・流動状態の(a)〜(c)成分に、(d)成分を滴下もしくは噴霧することにより添加することができる。
【0021】
本発明の粒状洗剤は、本発明のビルダー粒子と、粒状洗剤に通常用いられている成分、例えば、界面活性剤、アルカリ剤、漂白剤、漂白活性化剤、酵素、香料、色素等とを攪拌混合することにより製造することができる。界面活性剤は、公知の方法、例えば噴霧乾燥によりアルカリ剤等と一緒にして粒子化することができる。
【実施例】
【0022】
1.ビルダー粒子の製造
(1)造粒工程
(i)撹拌造粒法
25℃の(a)無機硫酸塩および(b)塩化ナトリウムを、鋤刃状ショベルを装備し、ショベル−壁面間クリアランスが5mmのプローシェアーミキサー(大平洋機工(株)製、WB75型)に投入し(充填率30容量%)、主軸169rpmで撹拌を開始した(チョッパーは停止)。撹拌開始後10秒後に、(d)水溶性高分子又はノニオン界面活性剤と(c)水との混合物(60℃)を流下添加し(4分間)、造粒操作を行った。添加終了後、25℃の(e)水不溶性無機粉体を投入し、30秒間撹拌を続けビルダー粒子を得た。尚、(a)〜(e)としては、表1〜3に記載したものを使用した。
【0023】
(ii)転動造粒法
25℃の(a)無機硫酸塩および(b)塩化ナトリウムを水平円筒型転動混合機(円筒直径585mm、円筒長さ490mm、容器131.7Lのドラム内部壁面に内部壁面とのクリアランス20mm、高さ45mmの邪魔板を2枚有するもの)に投入し(充填率20容量%)、22rpmで転動操作を開始した。転動開始後30秒後に60℃の(d)水溶性高分子と(c)水との混合物を、扇形ノズル((株)いけうち製V11510)を用いて0.6MPaの圧力で噴霧添加し(約60秒間)、造粒操作を行った。添加終了後、25℃の(e)水不溶性無機粉体を投入し、60秒間転動を続けビルダー粒子を得た。尚、(a)〜(e)としては、表1〜3に記載したものを使用した。
【0024】
(2)分級工程
上記(i)又は(ii)において得られたビルダー粒子を目開き2000μmの篩を用いて分級し、目開き2000μmの篩を通過した粒子を採取し、実験に供した。
【0025】
2.粒状洗剤の製造
(1)洗剤粒子の製造
下記表4記載の洗剤粒子の組成のうち、α−スルホ脂肪酸アルキルエステルナトリウム(α−SF−Na)、ノニオン界面活性剤、5%相当量(対洗剤粒子量、以下同じ)の粉砕助剤用及び0.5%相当量の表面被覆用の微粉状A型ゼオライト、酵素、色素及び香料を除く成分を水に溶解もしくは分散させた水分38%のスラリーを調製した後、向流式噴霧乾燥塔を用いて熱風温度300℃の条件で噴霧乾燥し、水分3%の噴霧乾燥粒子を得た。この乾燥粒子と共に、α−SF−Naとノニオン界面活性剤の混合物及び水を連続ニーダー((株)栗本鐵工所製、KRC−S4型)に投入し、捏和能力120kg/h、温度60℃の条件で捏和し、不定形固形洗剤を得た。この不定形固形洗剤を穴径10mmのダイスを装備したペレッターダブル(不二パウダル(株)製、EXDFJS−100型)を用いて押し出しつつ、カッターで切断し(カッター周速は5m/s)長さ5〜30mm程度のペレット状固形洗剤を得た。
【0026】
次いで、得られた固形洗剤に粉砕助剤としての微粉状A型ゼオライトを5%相当量添加し、冷風(10℃、15m/s)下で直列3段に配置したフィッツミル(ホソカワミクロン(株)製、DKA−3)を用いて粉砕した(スクリーン穴径:1段目/2段目/3段目=12mm/6mm/2mm、回転数:全段4700rpm)。次いで水平円筒型転動混合機(円筒直径585mm、円筒長さ490mm、容器131.7Lのドラム内部壁面に内部壁面とのクリアランス20mm、高さ45mmの邪魔板を2枚有するもの)で、充填率30容量%、回転数22rpm、25℃の条件で0.5%相当量の微粉状A型ゼオライト加え、1分間転動し表面改質して洗剤粒子を得た。
【0027】
水平円筒型転動混合機(円筒直径585mm、円筒長さ490mm、容器131.7Lのドラム内部壁面に内部壁面とのクリアランス20mm、高さ45mmの邪魔板を2枚有するもの)で、充填率30容量%、回転数22rpm、25℃の条件で得られた洗剤粒子を混合しつつ、0.1%相当量の香料を噴霧して洗剤粒子に賦香した。
得られた洗剤粒子をベルトコンベアで0.5m/sの速度で移送しつつ(ベルトコンベア上の洗剤粒子層高30mm、層幅300mm)、その表面に青色色素溶液を噴霧し、下記組成の洗剤粒子(平均粒子径550μm、嵩密度0.85g/mL)を得た。
(2)ビルダー粒子との混合
水平円筒型転動造粒機(円筒直径585mm、円筒長さ490mm、容器131.7Lのドラム内部壁面に内部壁面とのクリアランス20mm、高さ45mmの邪魔板を4枚有するもの)で、充填率30容量%、回転数22rpm、25℃の条件で、ビルダー粒子を粒状洗剤の全量に対して20質量%と上記(1)記載の洗剤粒子80質量%とを5分間混合した。
【0028】
<使用原料>
実施例及び比較例で使用した原料を以下に示す。
(a)硫酸Na:中性無水芒硝(日本化学工業株式会社製、平均粒子径300μm、嵩密度1.53g/cm3
(a)硫酸K:硫酸カリウム(品種:無水、等級:精製、粒状)(高杉製薬(株)製、
平均粒子径250μm、嵩密度1.4g/cm3
(b)塩化Na:日塩(株)製、深層結晶塩を粉砕して平均粒子径200μmに調整したもの。
(d)ポリアクリル酸Na:アクアリックDL−453(日本触媒(株)製)(純分35質量%水溶液)
(d)アクリル酸/マレイン酸共重合体塩(AA/MA):アクアリックTL−400(日本触媒(株)製)(純分40質量%水溶液)
(d)ノニオン界面活性剤:ポリオキシエチレン(平均付加モル数=15)アルキル(C12−16)エーテル、ECOROL26(ECOGREEN社製炭素数12〜16のアルキル基をもつアルコール)の酸化エチレン平均15モル付加体(純分90質量%、HLB15.4、融点43℃)
(e)ゼオライト:微粉状A型ゼオライト(水澤化学工業(株)製、シルトンB、平均粒子径3μm)
(e)シリカ:(株)トクヤマ製、トクシールNP、平均粒子径11μm
【0029】
α−SF−Naとノニオン界面活性剤の混合物:α―スルホ脂肪酸メチルエステルナトリウム塩(脂肪酸アルキル鎖長C16/C18=8/2、純分90%質量%)とポリオキシエチレン(平均付加モル数=15)アルキル(C12−14)エーテル(純分90質量%)を純分基準で8:2の割合で混合したもの。
LAS−K:直鎖アルキルベンゼンスルホン酸(ライオン(株)製、ライポンLH−200)をスラリー配合中に水酸化カリウム(苛性カリ、(旭硝子(株)製))を用いて中和したもの
LAS−Na:直鎖アルキルベンゼンスルホン酸(ライオン(株)製、ライポンLH−200)をスラリー配合中に水酸化ナトリウム(フレーク状か性ソーダ(鶴見曹達(株)製))を用いて中和したもの
石鹸:炭素数12〜18の脂肪酸ナトリウム(純分67質量%、タイター40〜45℃、分子量289)
ノニオン界面活性剤:ポリオキシエチレン(平均付加モル数=15)アルキル(C12−16)エーテル、ECOROL26(ECOGREEN社製炭素数12〜16のアルキル基をもつアルコール)の酸化エチレン平均15モル付加体(純分90質量%、HLB15.4、融点43℃)
ゼオライト:微粉状A型ゼオライト(水澤化学工業(株)製、シルトンB)
硫酸Na:中性無水芒硝(日本化学工業株式会社製、平均粒子径300μm、嵩密度1.53g/cm3
炭酸Na:粒灰(ソーダアッシュジャパン(株)製、平均粒子径320μm、嵩密度1.07g/cm3
炭酸K:炭酸カリウム(粉末)(旭硝子(株)製、平均粒子径490μm、嵩密度1.30g/cm3
アクリル酸/マレイン酸共重合体塩(AA/MA):アクアリックTL−400(日本触媒(株)製)(純分40質量%水溶液)
亜硫酸Na:無水亜硫酸曹達(神州化学(株)製)
酵素:サビナーゼ12TW(ノボザイムズジャパン(株)製)/LIPEX100T(ノボザイムズジャパン(株)製)/ステインザイム12T(ノボザイムズジャパン(株)製)/セルクリーン4500T(ノボザイムズジャパン(株)製)=4/2/2/2(質量比)の混合物、平均粒子径700μm、嵩密度0.85g/cm3
蛍光剤:チノパールCBS−X(チバスペシャリティケミカルズ製)
香料:デカナール0.5%、オクタナール0.3%、ヘキシルシンナミックアルデヒド10.0%、ジメチルベンジルカルビニルアセテート8.0%、レモン油3.0%、リリアール6.0%、リラール2.0%、リナロール5.0%、フェニルエチルアルコール7.5%、トナリド2.0%、o−tert−ブチルシクロヘキシルアセテート3.0%、ガラクソリド ベンジルベンゾエート2.0%、リナスコール2.5%、ゲラニオール1.0%、シトロネロール2.0%、ジャスモランジ2.0%、メチルジヒドロジャスモネート5.0%、ターピネオール1.0%、メチルヨノン3.0%、アセチルセドレン5.0%、レモニトリル1.0%、フルイテート1.0%、オリボン1.5%、ベンゾイン1.0%、シス−3−ヘキセノール0.5%、クマリン2.0%、ダマセノン0.2%、ダマスコン0.3%、ヘリオナール1.5%、ヘリオトロピン1.5%、アニスアルデヒド2.5%、ガンマーウンデカラクトン0.8%、バグダノール1.2%、トリプラール0.5%、スチラリルアセテート1.5%、キャロン0.1%、ペンタリド3.0%、オキサヘキサデセン−2−オン2.9%、エチレンブラシレート6.2%から成る香料組成物。尚、香料成分の%は香料組成物中の%を示す。
色素:青色色素溶液(群青)35%溶液(大日精化(株)製)
【0030】
[評価方法]
<平均粒子径の測定>
前記2(1)で得られた洗剤粒子の平均粒子径を以下のようにして測定した。即ち、目開き1680μm、1410μm、1190μm、1000μm、710μm、500μm、350μm、250μm、149μmの9段の篩と受け皿を用いて分級操作を行なった。分級操作は、受け皿に目開きの小さな篩から目開きの大きな篩の順に積み重ね、最上部の1680μmの篩の上から100g/回のベースサンプルを入れ、蓋をしてロータップ型ふるい振盪機((株)飯田製作所製、タッピング:156回/分、ローリング:290回/分)に取り付け、10分間振動させた後、それぞれの篩及び受け皿上に残留したサンプルを篩目ごとに回収する操作を行った。

この操作を繰り返すことによって1410〜1680μm(1410μm.on)、1190〜1410μm(1190μm.on)、1000〜1190μm(1000μm.on)、710〜1000μm(710μm.on)、500〜710μm(500μm.on)、350〜500μm(350μm.on)、250〜350μm(250μm.on)、149〜250μm(149μm.on)、皿〜149μm(149μm.pass)の各粒子径の分級サンプルを得、重量頻度(%)を算出した。

次に、算出した重量頻度が50%以上となる最初の篩の目開きをaμmとし、またaμmよりも一段大きい篩の目開きをbμmとし、受け皿からaμmの篩までの重量頻度の積算をc%、またaμmの篩上の重量頻度をd%として、次式によって平均粒子径(重量50%)を求めた。
【0031】
【数1】

【0032】
<嵩密度の測定>
前記2(1)で得られた洗剤粒子の嵩密度はJIS K3362に準じて測定した。
<耐固化性の評価>
ビルダー粒子の耐固化性をブロッキング性試験により評価した。
恒温槽内で、直径5cm、高さ5cmの円筒形の筒に均一に入れたビルダー粒子に対して1.0kgf/cm2の荷重を24時間加え、円柱状成形体を得た。得られた成形体を電子天秤の上に静置し、3cm/分の条件で加圧アームを降下させ、円柱上底部全面に荷重を徐々に加え、成形体が崩壊するまでにかかった最大荷重(kg)を測定した。
ブロッキング性試験は、成形体が崩壊するまでにかかった最大荷重(kg)により、下記評価基準に基づいて評価した。
◎:成形体が崩壊するまでにかかった最大荷重:0.01kg以上、5kg未満
○:成形体が崩壊するまでにかかった最大荷重:5kg以上、7kg未満
△:成形体が崩壊するまでにかかった最大荷重:7kg以上、10kg未満
×:成形体が崩壊するまでにかかった最大荷重:10kg以上
【0033】
<溶解性の評価>
粒状洗剤(洗剤粒子とビルダー粒子の混合物)の溶解性試験を、布付着性により評価した。
二槽式洗濯機(三菱電機(株)製、CW−C30A1−H)に、5℃の水道水30Lを張り、綿肌シャツ7枚、ポリエステルシャツ2枚、アクリルシャツ2枚で浴比20倍に調整し、それらを折り畳んで水面に浮かべた。その中心に各洗剤組成物30gを乗せ、布ごと3分間浸漬後、弱水流で5分間撹拌した。排水後、布を1分間脱水し、布上と洗濯機中にある溶け残りを拾い出し、目視にて溶け残り量を下記評価基準に基づいて評価した。
◎:溶け残りがほとんどない
○:溶け残りがやや見られるが問題ないレベル
△:溶け残りが目立つ
×:溶け残りが著しく見られる
【0034】
<流動性の評価>
ビルダー粒子の流動性を安息角を測定することにより評価した。
測定容器21は、図1(a)に示されているように、厚さ3mmの透明なアクリル板で形成され上端が開口した直方体形状を備え、内部に、幅30mm、奥行き100mm、深さ100mmの内部空間Sが形成されている。
測定容器21の前壁22を構成するアクリル板の下方部分22aは、上端から20mmの位置に取付けられた蝶番24を中心に矢印A方向に回動して、測定容器21の内部空間Sを前方に向かって開放させることができるように構成されている。また、測定容器21の一方の側壁26を形成する透明アクリル板には、前方下端の角(隅)28を中心とした分度器様の角度目盛り30が放射状に印刷されている。
(測定法)
容器上部50mmの高さから0.06L/sの流速で温度25℃、相対湿度40%の雰囲気条件の条件下で、測定容器21の上端から粉体サンプルPを測定容器21の内部空間Sに導入して、内部空間Sの上端まで粉体サンプルPを充填した。
充填後、上面が水平な高さ100mmの台の上に、開閉可能な側面部が突き出るようにアクリル容器を静かに設置し、前壁22を構成するアクリル板の下方部分22aを、0.5πrad/sで矢印A方向に90度(図2(b)中、α度)回動させ、測定容器21の内部空間Sを前方に向かって徐々に開放し、この開放部22bを通して内部空間Sに充填されている粉体サンプルPの一部を流出させた。流出が停止したとき、内部空間Sに残存した粉体サンプルPは、図2(b)に示されているように、表面P1が、測定容器21の側壁26の前方下側の角(隅)28から斜め上方に向かって斜面した状態となる。この状態で、測定容器21の内部空間Sに残存する粉体サンプルPの表面P1の傾斜角βを、角度目盛り30を用いて読み取った。上述の操作を3回繰り返し該角度の平均値を安息角とした。
【0035】
【表1】

【0036】
【表2】

【0037】
【表3】

【0038】
【表4】

【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】安息角測定容器
【符号の説明】
【0040】
11 配合槽
12 駆動装置
13 撹拌軸
14、15 撹拌翼
16 邪魔板
17 ジャケット
21 測定容器
30 角度目盛り
P 噴霧乾燥粒子
β 傾斜角

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)無機硫酸塩と、(b)塩化ナトリウムと、(c)水とを含み、
(a)/(b)がモル比で1/3〜3/1であり、
(a)と(b)との合計量が、ビルダー粒子の全量を基準として80〜99.5質量%であり、及び
(c)の量が、ビルダー粒子の全量を基準として0.5〜10質量%
であることを特徴とするビルダー粒子。
【請求項2】
(a)無機硫酸塩が、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム及び硫酸マグネシウムからなる群から選ばれる請求項1記載のビルダー粒子。
【請求項3】
さらに、(d)水溶性高分子及び/又はノニオン界面活性剤と、(e)水不溶性無機粉体とを含有することを特徴とする請求項1又は2記載のビルダー粒子。
【請求項4】
(d)水溶性高分子が、ポリアクリル酸、ポリマレイン酸、アクリル酸/マレイン酸共重合体、アクリル酸/イタコン酸共重合体、アクリル酸アルキル共重合体、及びこれらの塩又は誘導体からなる群から選ばれる請求項3項記載のビルダー粒子。
【請求項5】
(d)ノニオン界面活性剤が、炭素数6〜22の脂肪族アルコールに炭素数2〜4のアルキレンオキサイドを平均3〜30モル付加したポリオキシアルキレンアルキル(又はアルケニル)エーテルである請求項3記載のビルダー粒子。
【請求項6】
(e)水不溶性無機粉体が、結晶性ケイ酸塩、アルミノシリケート、シリカ及びアルミナからなる群から選ばれる請求項3〜5のいずれか1項記載のビルダー粒子。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項記載のビルダー粒子を含有する粒状洗剤。
【請求項8】
(a)無機硫酸塩と(b)塩化ナトリウムとを、(c)水の存在下で造粒することを特徴とする、請求項1記載のビルダー粒子の製造方法。
【請求項9】
(a)無機硫酸塩と(b)塩化ナトリウムとを、(c)水と、(d)水溶性高分子及び/又はノニオン界面活性剤との存在下で造粒し、
得られた造粒物を(e)水不溶性無機粉体で被覆することを特徴とする、請求項3記載のビルダー粒子の製造方法。

【図1】
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【公開番号】特開2010−150414(P2010−150414A)
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−331041(P2008−331041)
【出願日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【出願人】(000006769)ライオン株式会社 (1,816)
【Fターム(参考)】