説明

ピザクラストの製造方法

【課題】冷蔵又は冷凍後にオーブン等で再焼成しても、ピザクラストの周縁部が硬くなることがなく、歯切れのよい、クリスピーな食感を有するピザクラストの製造方法を提供する。
【解決手段】外枠とその内側に張られた網状部分とを有する焼成用網にピザ生地を載せてジェット噴射式加熱オーブンで焼成する際に、前記ピザ生地の前記焼成網の前記外枠部分に載った部分の幅を15〜40mmとし、かつ、前記網状部分に載った部分の面積が前記ピザ生地全体の面積の30%以上になるようにする。前記焼成は、180〜270℃で1〜5分間行うことが好ましい。また、前記ピザ生地の厚さを1〜10mmとすることが好ましい。更に、前記ピザ生地を焼成後、冷蔵又は冷凍することが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、冷蔵又は冷凍後にオーブン等で再加熱しても、ピザクラストの周縁部が硬くならないピザクラストの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、ピザは、小麦粉、食塩、イースト、必要に応じて油脂等を含む原料に水を加えて生地を調製し、この生地を発酵させた後、ガス抜きを行い、所定の形状に成形したピザクラストの上にピザソースや具材を載せて焼成することにより作られる。
【0003】
しかし、このようなピザを一般家庭や販売店の店頭で最初から作ることは手間がかかるため、電子レンジやオーブン等で加熱するだけで簡単にピザを作ることができるように、焼成あるいは半焼成したピザクラストにピザソースや具材をトッピングして冷蔵又は冷凍した製品が市販されている。また、好みのピザソースや具材をトッピングしてオーブン等で焼成してピザを作ることができるように、焼成あるいは半焼成したピザクラストだけを冷蔵又は冷凍した製品も市販されている。
【0004】
ところで、ピザの美味しさは、ピザクラストにトッピングされるピザソースや具材等の風味や食感だけでなく、ピザクラスト自体の風味や食感にも大きく左右される。一般的には、ピザクラストは、歯切れがよく、クリスピーな食感が好ましいとされている。
【0005】
これまで、ピザクラストの食感を改善するために様々な技術が提案されているが、中でもピザクラストを焼成する際に用いられる焼成用網に関する技術として、例えば、下記特許文献1には、ピザ生地に網目模様の焼き目をつける円形の網目板の周縁部を縁部材で覆ったピザ用焼き網において、前記縁部材を無端円環状として前記網目板の周縁部に対して断面コ字形に絞り、該周縁部の全周を連続して挟んだことを特徴とするピザ用焼き網が開示されている。
【0006】
また、下記特許文献2には、耐焼網の下側に耐熱パイプを設け、そのパイプの中を耐熱スライド腕を通し、通過した腕の部分を下側に折り曲げ、スライド機能により巾を自由に調整できるようにしたピザ用焼網が開示されている。このピザ用焼網によれば、ピザ生地の下側が網を通して露出しているので、焼くことで生地から水分が十分蒸発し、熱も通るのでカリッとした焼き上がりの食感が得られることが記載されている(段落番号0006)。
【0007】
【特許文献1】
特開平9−108121号公報
【特許文献2】
特開平11−216068号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
通常、ピザは、ピザソースや具材がこぼれないようにするために、ピザクラストの周縁部には何もトッピングされずに焼成される。そのため、従来の焼網を用いて冷蔵又は冷凍用のピザクラストを製造した場合、以下のような問題があった。
【0009】
すなわち、冷蔵又は冷凍用のピザクラストは、生のピザ生地を焼成あるいは半焼成してから冷蔵又は冷凍され、喫食時にオーブン等で再焼成されるため、ピザソースや具材等がトッピングされたピザクラストの中央部に比べて、何もトッピングされていないピザクラストの周縁部、すなわち、ふちの部分には過度の熱がかかることになる。その結果、周縁部は中央部に比べてガリガリとした硬く歯切れの悪い食感になってしまっていた。
【0010】
したがって、本発明の目的は、冷蔵又は冷凍後にオーブン等で再焼成しても、ピザクラストの周縁部が硬くなることがなく、歯切れのよい、クリスピーな食感を有するピザクラストの製造方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明のピザクラストの製造方法は、外枠とその内側に張られた網状部分とを有する焼成用網に、ピザ生地を載せて、ジェット噴射式加熱オーブンで焼成するピザクラストの製造方法において、前記ピザ生地の前記焼成網の前記外枠部分に載った部分の幅を15〜40mmとし、かつ、前記網状部分に載った部分の面積が前記ピザ生地全体の面積の30%以上になるようにすることを特徴とする。
【0012】
本発明の製造方法によれば、外枠とその内側に張られた網状部分とを有する焼成用網にピザ生地を載せてジェット噴射式加熱オーブンで焼成する際に、前記ピザ生地の前記焼成網の前記外枠部分に載った部分の幅を15〜40mmとし、かつ、前記網状部分に載った部分の面積が前記ピザ生地全体の面積の30%以上になるようにすることにより、ピザ生地の中央部は上下からの熱風により加熱され、周縁部は上記焼成用網の外枠によって下から熱風を遮ることができるので、ピザ生地の中央部に比べて周縁部にかかる熱を低減しながら焼成することができる。その結果、得られたピザクラストにピザソースや具材をトッピングして、オーブン等で再焼成した際に、ピザソースや具材がトッピングされていない周縁部に過度の熱がかかるのを防止することができるので、周縁部がガリガリとした硬い歯切れの悪い食感となることなく、歯切れのよい、クリスピーな食感とすることができる。
【0013】
本発明の製造方法においては、180〜270℃で1〜5分間焼成することが好ましい。これによれば、ピザ生地の中央部分はある程度火が通っており、周縁部分は軽く火が通った状態の半焼成のピザクラストを得ることができる。
【0014】
また、前記ピザ生地の厚さを1〜10mmとすることが好ましい。これによれば、焼成時の火通りがよく、より歯切れがよく、クリスピーな食感のピザクラストを得ることができる。
【0015】
更に、前記ピザ生地を焼成後、冷蔵又は冷凍することが好ましい。これによれば、保存、流通性に優れたピザクラストを提供できる。
【0016】
更にまた、前記ピザ生地として、少なくとも小麦粉、食塩及びイーストを含む原料に、前記小麦粉100質量部に対して水30〜60質量部を添加し、麺ミキサーで混合して、そぼろ状の生地を調製し、該生地を発酵した後、シート状に圧延して所定の形状に成形したものを用いることが好ましい。これによれば、麺ミキサーを用いて原料を混合することにより、グルテンの形成を抑えつつ、短時間で均一な水和を行うことができ、内部に空気を多く含むそぼろ状の生地を簡単に調製することができる。そして、この生地を発酵後、圧延、成形して焼成することにより、更に歯切れのよい、クリスピーな食感を有するピザクラストを得ることができる。
【0017】
なお、本発明における麺ミキサーとは、回転軸の周りに放射状に伸びる撹拌棒が軸方向に所定間隔で取付けられた撹拌手段を有し、この撹拌手段を回転させることによって混合を行う形式のミキサーを意味する。因みに、従来のピザクラストの生地の調製においては、生地を撹拌手段によりミキサー内壁にたたきつけながらグルテンを形成するミキサー、いわゆるパン用ミキサーが用いられている。しかしながら、パン用ミキサーを用いた場合は、短時間で均一な水和を行うことができず、水和を均一にするためには、時間を長くかける必要があるため、グルテンの形成が促進されてしまう。
【0018】
また、本発明において、そぼろ状の生地とは、ミキシング後の状態において、生地が一塊でなく、大小の不均一な多数の塊で存在する生地を意味する。
【0019】
【発明の実施の形態】
まず、本発明で用いられる焼成用網について、図面に基いて説明する。図1には、本発明で用いられる焼成用網の一例が示されている。この焼成用網1は、円形のピザ生地を焼成する際に用いられる網であり、円形の外枠2と、その内側に張られた網状部分3とを有している。
【0020】
前記外枠2の大きさ、すなわち直径Lは、上に載せるピザ生地の直径に合わせて適宜設定され、通常、上に載せるピザ生地の直径とほぼ同じか、ピザ生地の直径よりもやや大きく(0〜5mm)なるように設定される。そして、前記外枠2の幅(W1)、前記網状部分3の面積及びピザ生地の大きさは、焼成用網にピザ生地を載せた際に、前記外枠2の部分に載った前記ピザ生地の幅が15〜40mmとなり、かつ、前記網状部分3に載った部分の面積が前記ピザ生地全体の面積の30%以上になるように設定される。本発明においては、前記外枠2の部分に載った前記ピザ生地の幅が20〜35mmとなるように設定することが好ましく、また、前記網状部分3に載った部分の面積が前記ピザ生地全体の面積の50%以上になるように設定することが好ましい。前記外枠2の部分に載った前記ピザ生地の幅が15mm未満であると、最初の焼成(一次焼成)時に周縁部も十分に焼成されてしまい、再焼成(二次焼成)した際に、周縁部に過度の熱がかかるので、硬く歯切れの悪い食感となる。一方、前記外枠2の部分に載った前記ピザ生地の幅が40mm超であったり、前記網状部分3に載った部分の面積が前記ピザ生地全体の面積の30%未満であると、ピザ生地の中央部の焼成が不十分となり、クリスピーさに欠けたものになる。
【0021】
また、図2には、本発明で用いられる焼成用網の別の例が示されている。この焼成用網4は、四角形(長方形)のピザ生地を焼成する際に用いられる網であり、四角形の外枠5と、その内側に張られた網状部分6とを有している。
【0022】
そして、前記外枠5の大きさ(短辺及び長辺)は、上記の場合と同様に、上に載せるピザ生地の大きさとほぼ同じか、やや大きくなるように設定される。また、前記外枠5の幅(W2)、前記網状部分6の面積及びピザ生地の大きさも上記の場合と同様に、焼成用網にピザ生地を載せた際に、前記外枠5の部分に載った前記ピザ生地の幅が15〜40mm(好ましくは20〜35mm)となり、かつ、前記網状部分6に載った部分の面積が前記ピザ生地全体の面積の30%以上(好ましくは50%以上)になるように設定される。
【0023】
本発明で用いられる焼成用網の形状は、上に載せるピザ生地の形状に応じて適宜設定することができ、上記以外にも、例えば、楕円形、正方形、三角形、六角形等であってもよい。また、前記網状部分3、6の網目の大きさも特に限定されないが、通常、1つの開口部の最小内径が好ましくは2〜20mm、より好ましくは2〜10mmであって、網目の部分(外枠2、5以外の部分)の開口率が30〜80%くらいであることが好ましい。
【0024】
なお、前記焼成用網を構成する外枠及び網状部分の素材は、例えば、ステンレス、アルミニウム等の耐熱性を有する素材であればよい。
【0025】
以下、本発明を更に詳細に説明する。
本発明で用いられる生地の原料は、通常のピザ生地に用いられている原料であれば特に制限なく用いることができ、例えば、小麦粉、食塩、イースト、ショートニング、脱脂粉乳、砂糖、イーストフード、乳化剤等を用いることができる。本発明においては、少なくとも小麦粉、食塩及びイーストを含む原料が用いられ、好ましくは更に、ショートニング、脱脂粉乳を含むものが用いられる。例えば、ショートニングを用いることにより、生地の伸展性がよくなり、また、食感においても歯切れをよくすることができる。また、脱脂粉乳を用いることにより、ピザクラストの焼き色や風味を向上することができる。原料中における上記各成分の配合割合は、小麦粉100質量部に対して、食塩0.3〜2.5質量部、イースト0.3〜6質量部が好ましい。また、ショートニングや脱脂粉乳を使用する場合は、小麦粉100質量部に対して、ショートニング1〜15質量部、脱脂粉乳0.5〜5質量部が好ましい。
【0026】
そして、常法に従って、上記原料に適量の水を加えて、パン用ミキサーあるいは麺ミキサーを用いて生地を調製する。本発明においては、小麦粉100質量部に対して水30〜60質量部(より好ましくは35〜45質量部)を添加し、麺ミキサーで混合して、そぼろ状の生地を調製することが好ましい。小麦粉に対する水の添加量が少なすぎると均一な水和を行うことが困難となり、多すぎるとグルテンが形成されやすくなり、歯切れのよいクリスピーな食感が得られにくくなる。
【0027】
また、本発明において、原料を混合する際に用いられる麺ミキサーとは、前述したように、回転軸の周りに放射状に伸びる撹拌棒が軸方向に所定間隔で取付けられた撹拌手段を有し、この撹拌手段を回転させることによって、混合を行う形式のミキサーを意味し、このようなミキサーは、特に麺生地を調製する際に好適に用いられている。
【0028】
図6に麺ミキサーの概略構成図を示す。この麺ミキサー30は、制御盤31、操作パネル32、33、及びミキサドラム34とから構成されている。ミキサドラム34の中には、回転軸36の周りに放射状に伸びる撹拌棒35が軸方向に所定間隔で取付けられてなる撹拌手段37を有しており、上記回転軸36が図示しないモーターにより回転することで、前記撹拌棒35が原料を切るように撹拌して混合するようになっている。このような麺ミキサーを用いることにより、パン用ミキサーに比べてグルテンの形成を抑えることができ、また、内部に空気を多く含んだそぼろ状の生地を得ることができる。
【0029】
本発明においては、前記麺ミキサーによる混合は、生地がそぼろ状となるまで行えばよいが、通常、前記麺ミキサーの回転数を30〜120rpmとし、水を添加してから30秒〜8分間混合して生地を調製することが好ましい。より好ましくは、前記麺ミキサーの回転数を60〜90rpmとし、1〜5分間混合して生地を調製する。ミキサーの回転数及び混合時間が上記範囲外であると、水和が不均一であったり、必要以上にグルテンが形成されてしまい、ピザクラストの食感がパンのようになってしまう場合がある。
【0030】
上記のようにして調製した生地は、通常、20〜30℃で30分〜48時間発酵を行った後、シート状に圧延して所定の形状に成形する。この工程においては、発酵した生地をそのまま、好ましくは複数層に折り重ねてから、圧延、成形する。複数層に折り重ねることにより、焼成した際に内層がクラッカー状の層構造となり、より歯切れのよい、クリスピーな食感とすることができる。また、生地を複数層に折り重ねる際には、ロールイン油脂等を使用することもできるが、麺ミキサーを用いて調製した生地の場合は、生地中に空気を多く含んでいるので、ロールイン油脂を用いなくても、焼成した際に内層がクラッカー状の層構造となり、歯切れのよい、クリスピーな食感とすることができる。また、再焼成後、時間が経過しても、良好な食感を維持できる。なお、生地を折り重ねる際には、通常、2〜36層とすることが好ましく、4〜24層とすることがより好ましい。
【0031】
また、発酵した生地を圧延し、必要に応じて折り重ねて形成した最終的なシート状の生地の厚さは、1〜10mmにすることが好ましく、1.5〜6mmにすることがより好ましい。生地の厚さが薄すぎると生地が破れたり、切れやすくなって作業性が悪くなり、厚すぎると焼成時の火通りが悪くなり、歯切れのよいクリスピーな食感が得られにくくなる。こうしてシート状に形成した生地は、例えば、円形、四角形等の所望の形状にカットして成形すればよい。
【0032】
前記成形した生地は、上述したような焼成用網に載せて、ジェット噴射式加熱オーブンで焼成する。焼成条件は、適宜設定できるが、180〜270℃で1〜5分間焼成することが好ましく、200〜250℃で1〜3分間焼成することがより好ましい。このような条件で焼成することにより、ピザ生地の中央部分はある程度火が通っており、周縁部分は軽く火が通った状態に焼成された、半焼成のピザクラストを得ることができる。なお、本発明において、半焼成とは、いわゆるパーベイクを意味し、生地の表面に軽く焼き色が付くか付かない程度の状態を意味する。したがって、半焼成した生地は、再度焼成してから喫食される。
【0033】
また、本発明においてジェット噴射式加熱オーブンとは、熱風を強制ファンによって食品の上下に直接吹き付けて、加熱するオーブンを意味し、一般的にはジェットオーブンと呼ばれているものである。
【0034】
図3にジェット噴射式オーブンの概略構成図を示す。このジェット噴射式加熱オーブン10は、オーブン本体11と制御盤13とから構成されており、該オーブン本体11の中には、ピザ生地等を移送するためのコンベア12が設置されている。また、オーブン本体11内部の上下には、加熱された圧縮空気の噴出し口を複数有する熱風吹き出し部14、15が前記コンベア12を挟むように、それぞれ形成されている。そして、図4に示すように、前記熱風吹き出し部14、15からは、それぞれ前記コンベア12の上面又は下面に向けて熱風が噴射され、前記コンベア12上のピザ生地21を上下から加熱できるようになっている。
【0035】
本発明においては、図5に示すように、上述したような特定の焼成用網1にピザ生地を載せてジェット噴射式加熱オーブンで焼成することにより、該ピザ生地の中央部は上下からの熱風に曝されるが、周縁部は焼成用網の外枠2によって下側から噴射される熱風を遮ることができる。その結果、中央部に比べて、周縁部における加熱を低減しながらピザ生地を効率よく焼成することができる。
【0036】
本発明においては、前記焼成した生地を冷蔵又は冷凍することが好ましい。これにより、保存、流通性を高めることができる。例えば、冷凍する場合は、通常、−20℃以下で急速冷凍することが好ましく、喫食する際は、その上にピザソースや具材をトッピングしてオーブン等で再焼成すればよい。また、冷蔵した場合も、そのまま上にピザソースや具材をトッピングしてオーブン等で再焼成すればよい。
【0037】
本発明の製造方法によって得られるピザクラストは、最初の焼成(一次焼成)時において、ピザクラスト周縁部における加熱が低減されているので、このピザクラストにピザソースや具材をトッピングして再焼成(二次焼成)した場合に、ピザクラストの周縁部、すなわち、ピザソースや具材がトッピングされていない部分に過度の熱がかかることがない。その結果、周縁部分がガリガリとした硬い歯切れの悪い食感になるのを防ぐことができ、歯切れのよい、クリスピーな食感とすることができる。
【0038】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。
【0039】
実施例1、2、比較例1、2
表1に示す配合により、ストレート法でピザ生地を調製した。すなわち、原料を、麺ミキサー(商品名「VM−50」、株式会社トム製)を用いて混合(回転数80rpm、水を添加してから2分)して、そぼろ状の生地を調製した。この生地を発酵(28℃、60分)させた後、4層に折り重ね、厚さ3.5mmに圧延し、直径250mmの円形にカットした。次いで、カットしたピザ生地を、下記▲1▼〜▲4▼に示すように、円形の外枠とその内側に張られた網状部分とを有する焼成用網に載せて、ジェットオーブン(商品名「FGJO50NL」、株式会社フジマック製)で、210℃、1分30秒間焼成(半焼成)した後、−25℃で急速冷凍してから−18℃で10日間冷凍保管した。
【0040】
▲1▼焼成用網の外枠部分に載ったピザ生地の幅:20mm、ピザ生地全体の面積に対する網状部分に載った部分の面積:71%(実施例1)。
【0041】
▲2▼焼成網の外枠部分に載ったピザ生地の幅:35mm、ピザ生地全体の面積に対する網状部分に載った部分の面積:52%(実施例2)。
【0042】
▲3▼焼成網の外枠部分に載ったピザ生地の幅:0mm、ピザ生地全体の面積に対する網状部分に載った部分の面積:100%(比較例1)。
【0043】
▲4▼焼成網の外枠部分に載ったピザ生地の幅:10mm、ピザ生地全体の面積に対する網状部分に載った部分の面積:85%(比較例2)
【0044】
【表1】



【0045】
これらのピザクラストに、ピザソースとチーズをトッピングして、オーブンで230℃、6分30秒焼成してピザを作った。そして、再焼成直後のもの、再焼成後室温にて2時間放置したものを用いて、20名のパネラーにより、ピザクラストの周縁部(ピザソースや具材等がトッピングされていない部分)の食感について官能評価を行った。なお、官能評価は、4点:歯切れがよく、クリスピーな食感、3点:やや歯切れがよく、ややクリスピーな食感、2点:やや固く、やや「ひき」がある食感、1点:固く、「ひき」がある食感、という基準で行い、その平均点を求めた。その結果を表2に示す。
【0046】
【表2】



【0047】
表2から、実施例のピザクラストは、比較例のピザクラストに比べて、再焼成後のピザクラスト周縁部の食感は、歯切れがよく、クリスピーであることが分かる。また、再焼成後室温に放置した場合でも、その良好な食感が維持されていることが分かる。
【0048】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の製造方法によれば、外枠とその内側に張られた網状部分とを有する焼成用網にピザ生地を載せてジェット噴射式加熱オーブンで焼成する際に、前記ピザ生地の前記焼成網の前記外枠部分に載った部分の幅を15〜40mmとし、かつ、前記網状部分に載った部分の面積が前記ピザ生地全体の面積の30%以上になるようにすることにより、ピザ生地の中央部に比べて周縁部にかかる熱を低減しながら焼成することができる。その結果、得られたピザクラストにピザソースや具材をトッピングして再焼成した際に、ピザソースや具材がトッピングされていない周縁部に過度の熱がかかるのを防止することができ、周縁部がガリガリとした硬い歯切れの悪い食感となることなく、歯切れのよい、クリスピーな食感とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明で用いられる焼成用網の一例を示す図である。
【図2】本発明で用いられる焼成用網の別の一例を示す図である。
【図3】ジェット噴射式オーブンの概略構成を示す説明図である。
【図4】ジェット噴射式オーブンによる焼成の原理を示す模式図である。
【図5】本発明で用いられる焼成用網の上にピザ生地を載せて、ジェット噴射式オーブンで焼成した際の状態を示す模式図である。
【図6】麺ミキサーの概略構成を示す説明図である。
【符号の説明】
1、4.焼成用網
2、5.外枠
3、6.網状部分
10.ジェット噴射式オーブン
11.オーブン本体
12.コンベア
13.制御盤
14、15.熱風吹き出し部
30.麺ミキサー
31.制御盤
32、33.操作パネル
34.ミキサドラム
35.撹拌棒
36.回転軸
37.撹拌手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外枠とその内側に張られた網状部分とを有する焼成用網に、ピザ生地を載せて、ジェット噴射式加熱オーブンで焼成するピザクラストの製造方法において、前記ピザ生地の前記焼成網の前記外枠部分に載った部分の幅を15〜40mmとし、かつ、前記網状部分に載った部分の面積が前記ピザ生地全体の面積の30%以上になるようにすることを特徴とするピザクラストの製造方法。
【請求項2】
180〜270℃で1〜5分間焼成する、請求項1に記載のピザクラストの製造方法。
【請求項3】
前記ピザ生地の厚さを1〜10mmとする、請求項1又は2に記載のピザクラストの製造方法。
【請求項4】
前記ピザ生地を焼成後、冷蔵又は冷凍する、請求項1〜3のいずれか一つに記載のピザクラストの製造方法。
【請求項5】
前記ピザ生地として、少なくとも小麦粉、食塩及びイーストを含む原料に、前記小麦粉100質量部に対して水30〜60質量部を添加し、麺ミキサーで混合して、そぼろ状の生地を調製し、該生地を発酵した後、シート状に圧延して所定の形状に成形したものを用いる、請求項1〜4のいずれか一つに記載のピザクラストの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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