説明

ピザ及び同様の食品を焼くための産業用トンネル型木材燃焼オーブン

ピザ又は同様の食品を支持する焼き表面5がこれに沿ってスライドする貫通トンネル4によって連結された入口40及び出口41を備えた耐火性材料のベアリング構造体10で作られた、ピザ又は同様の食品を焼くためのトンネルを備えた産業用オーブンが提供される。前記オーブンは薪で加熱され、薪の燃焼用一次空気、及び余分な煙の酸化用空気を通過させるためのスリット22、24であって、一次及び二次空気がセンサ26によってオーブンの内側で検出可能な空気の組成に関するデータを処理する制御ユニットによって制御されるファン50によって移動される、スリット22、24と、燃焼性薪を支持する上部格子18で作られた上部炉17を格納する上部燃焼チャンバ15と、燃焼性薪を支持する底部格子31で作られた底部炉30を格納する底部燃焼チャンバ16とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ピザ及び同様の食品を焼くための産業用トンネル型木材燃焼オーブンに関する。
【背景技術】
【0002】
ピザは、世界で最も広まっている食べ物の1つである。しかし、世界中全てで、ピザはイタリアの料理法に特有である伝統的なやり方にしたがってイタリアで製造されるものに近い味がするわけではない。
【0003】
昔ながらのイタリアのピザ・レストランは、寸法により高い生産性が可能ではない木材燃焼オーブン内でピザを製造している。より大きなピザ・レストランは2つのオーブンを備えているが、それぞれ4〜5枚より多いピザ・パイを焼くことが可能ではない。
【0004】
産業的にピザを製造するために、貫通トンネルを備えた耐熱材料のベアリング構造体で作られた、ガス加熱トンネル型オーブンが使用されている。
【0005】
コンベヤ手段は、ピザ又は同様の食品(例えば、「フォカッチャ」)を入口から出口まで移動させることを可能にする。
【0006】
薪の燃焼は極めて長いトンネル内で制御することがかなり難しいので、前記オーブンはガスによって加熱される。余分な煙は、ピザの黒焦げ、及び不燃材料の存在を引き起こす可能性がある。
【0007】
一方、ガス加熱は優れた品質のピザを得ることを可能にしない。ピザを焼くのに最も適したオーブンは薪を使用したものであることが知られている。
【0008】
ピザ用の単一の出入口を備えた回転プレートで作られた木材燃焼オーブンが知られている。前記プレートは、同時に数枚のピザ・パイを収容することができ、単一の方向に間欠的に回転する。ピザを焼くのに、したがってピザを出入口に戻すのに必要な時間は、焼く温度に応じて計算される。
【0009】
この最後のタイプのオーブンは、多くの空間をとるという欠点がある。プレート上に挿入したい各追加のピザのために、プレートの直径をかなり大きくする必要がある。
【0010】
加えて寸法を大きくすることによって、やはり、トンネル型オーブンで説明した煙に関連する不都合がある。
【0011】
結論として、産業用ガス加熱トンネル型オーブンはピザの品質を犠牲にして高い生産性を可能にし、回転プレート(薪によって加熱された)を備えたものは、優れた品質であるが限られた生産性でピザ・パイを製造することを可能にする。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の目的は、伝統的なピザ・レストランの普通の木材燃焼オーブンで作られたものに少なくとも匹敵する味である優れた品質のピザと最適の生産性を組み合わせた、ピザ又は食品用の産業用オーブンを提供することである。
【0013】
本発明の別の目的は、焼き表面上の空気の温度及び質の制御を可能にする産業用オーブン内でピザ又は同様の製品を焼くための方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明によれば、このような目的は、薪によって加熱されることを特徴とする、ピザ又は同様の食品を支持する焼き表面がそれに沿ってスライドする貫通トンネルによって連結された入口及び出口を備えた耐熱材料のベアリング構造体で作られた、ピザ又は同様の食品を焼くためのトンネルを備えた産業用オーブンで得られる。
【0015】
本発明によるオーブンは、薪の燃焼用一次空気、及び余分な煙の酸化用空気を通過させるためのスリットであって、前記一次及び二次空気がセンサによってオーブンの内側で検出可能な空気の組成に関するデータを処理する制御ユニットによって制御されるファンによって移動されるスリットと、燃焼性薪を支持する上部格子で作られた上部炉を格納する上部燃焼チャンバと、燃焼性薪を支持する底部格子で作られた底部炉を格納する底部燃焼チャンバとを備えている。
【0016】
焼き表面、及び燃焼チャンバの連続監視は、ピザを規則正しく焼き続けることを可能にする。制御ユニットは、特に薪の装填の回数及び様式に対する、ユーザの実際の決定センタとして働く。二次空気の吸気は、煙センサによって検出されるデータの関数として自動的に起こる。
【0017】
本発明によれば、このような追加の目的は、トンネル型木材燃焼オーブンを通してピザ又は同様の食品を通過させることを特徴とする、ピザ又は同様の食品を焼くための方法で得られる。
【0018】
本発明のこれら及び他の特徴は、添付の図面で非限定的な例として示した、その一実施例の以下の詳細な説明からより明らかになるだろう。
【実施例】
【0019】
本発明による産業用トンネル型木材燃焼オーブンは例えば、入口40を有する入口モジュール1と、中間モジュール2と、出口41を有する出口モジュール3とから成る貫通トンネル10を備えたモジュール式ベアリング構造体4でできており、出口モジュール3は入口モジュール1と同じである(図1)。
【0020】
貫通トンネル4は、モータ・ユニット9によって制御される輸送チェーン8に、その端部が固定されたスチール・ブラケット7上に取り付けられた、耐火プレート6で作られた移動焼き表面5を格納する(図3〜図5、図9〜図10)。
【0021】
トンネル4の入口に配置された前記モータ・ユニット9は駆動シャフト11を有し(図1)、該駆動シャフト11を介して変速機(図示せず)が従動シャフト12を制御し、該従動シャフト12上にクラウン・ギヤ13が固定され、該クラウン・ギヤ13が、トンネル4の出口に配置された変速機ユニット14によって張力が保持された輸送チェーン8に係合されている。
【0022】
ベアリング構造体10は、上部燃焼チャンバ15及び底部燃焼チャンバ16を備えている。上部燃焼チャンバ15(図3〜図10)は、上部ドア20によって閉じられた上部開口19を通して導入可能な燃焼性薪(図示せず)を上に置くための上部格子18を有する上部炉17を備えている。追加の小さな開口21は、上部炉17の部分的洗浄を可能にする(図2)。
【0023】
底部燃焼チャンバ16(図6〜図8)は、ドラフト煙突34、及び底部ドア33によって閉じられた底部開口32を通して導入可能な燃焼性薪(図示せず)を上に置くための底部格子31を有する底部炉30を備えている。
【0024】
スリット22は、丸穴23を通して導入され、その後引き出されるガス・バーナ(図示せず)によって点火される炉17及び30の薪の燃焼のために酸素を供給する一次空気の吸気を可能にする(図3及び図6)。
【0025】
追加のスリット24は、温度及び煙のセンサ26から来るデータを処理する制御ユニット(図示せず)によって制御されたファン50(図1)によって押し出された二次空気の通過を可能にする。
【0026】
チャネル27(図4)は、上部炉17と底部炉30の間の連通を可能にし、開口28は上部炉17と焼き表面5の間の連通を可能にする。
【0027】
動作に関連するものに関しては、まず、オーブンは一次空気をスリット22を通して入れ、ガス・バーナを通して炉17及び30を点火することによって、ピザを焼くための温度にされる。
【0028】
チェーン8がモータ・ユニット9によりスタートされると、ピザ・パイは入口40で焼き表面5上に次から次に置かれる。炉17は、ピザ・パイの焼きを判断する。
【0029】
オーブン内の空気の組成及び温度は絶え間なく監視される。センサ26は、基準値と比較する制御ユニットに送られた値を検出する。
【0030】
オーブン内部の温度が所定の限界の下まで落ちると、制御ユニットは手動でなされる追加の薪の装填を制御する。加えて、制御ユニットは薪を加えなければならないところを確立することが可能である。薪の装填を行なわなければならないドア20、33が、実際、作業者に知らされる。
【0031】
センサが余分な量の煙を検出すると、制御ユニットはファン50にスリット24を通した二次空気の吸気を命令し、その約25%がピザ・パイを黒焦げにし、不燃性物質を生成させる可能性がある余分な煙を酸化する。
【0032】
この監視システムはしたがって、オーブンの焼き状態を一定に保つことを可能にし、それによってオーブンの出口41で取り上げられるピザ・パイの優れた品質を保証することができる。
【0033】
トンネル4の長さは変更可能である。モジュール式構造は簡単に、2度目の時でさえも、必要に応じてオーブンを長く又は短くすることを可能にする。
【0034】
図示しない特定の実施例では、前記産業用木材燃焼オーブンは、二重加熱モード、薪及びガス加熱を有することができる。上記のオーブンと比べると、底部燃焼チャンバは薪の代わりにガスで加熱することができる。底部燃焼チャンバは実際、オーブンのベアリング構造体を加熱し、オーブンの出口から入口までの距離に沿って耐熱プレート6を定温に維持するのに使用され、上部燃焼チャンバは焼き表面を直接加熱する。
【0035】
したがって、ピザを焼くための木材燃焼オーブンの肯定的な効果は保持され、一方、ガス加熱された底部燃焼チャンバを利用して、より低いサービス費用及びより少ない煙の量となる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明によるオーブンの側面図である。
【図2】図1のオーブンの一部の拡大側面図である。
【図3】図2の線III−IIIに沿った断面図である。
【図4】図2の線IV−IVに沿った断面図である。
【図5】図2の線V−Vに沿った断面図である。
【図6】図4の線VI−VIに沿った断面図である。
【図7】図4の線VII−VIIに沿った断面図である。
【図8】図4の線VIII−VIIIに沿った断面図である。
【図9】図6の線IX−IXに沿った断面図である。
【図10】図6の線X−Xに沿った断面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ピザ又は同様の食品を支持する焼き表面(5)がこれに沿ってスライドする貫通トンネル(4)によって連結された入口(40)及び出口(41)を備えた耐火性材料のベアリング構造体(10)で作られた、ピザ又は同様の食品を焼くためのトンネルを備えた産業用オーブンであって、薪で加熱されることを特徴とするオーブン。
【請求項2】
前記薪の燃焼用一次空気、及び余分な煙の酸化用空気を通過させるためのスリット(22、24)であって、前記一次及び二次空気が、センサ(26)によって前記オーブンの内側で検出可能な前記空気の組成に関するデータを処理する制御ユニットによって制御されるファン(50)によって移動される、スリット(22、24)と、燃焼性薪を支持する上部格子(18)で作られた上部炉(17)を格納する上部燃焼チャンバ(15)と、燃焼性薪を支持する底部格子(31)で作られた底部炉(30)を格納する底部燃焼チャンバ(16)とを備えていることを特徴とする、請求項1に記載のオーブン。
【請求項3】
前記余分な空気を酸化する二次空気の割合は、前記オーブンに吸気される二次空気の約25%に等しいことを特徴とする、請求項2に記載のオーブン。
【請求項4】
前記上部炉(17)は上部ドア(20)によって閉じられた上部開口(19)を通して到達可能であり、前記底部炉(30)は底部ドア(33)によって閉じられた底部開口(32)を通して到達可能であることを特徴とする、請求項2に記載のオーブン。
【請求項5】
前記炉(17)の上部を洗浄するための追加の上部開口(21)を備えていることを特徴とする、請求項4に記載のオーブン。
【請求項6】
前記底部燃焼チャンバ(16)はドラフト煙突(34)を備えていることを特徴とする、請求項2に記載のオーブン。
【請求項7】
前記移動性焼き表面(5)は、その端部がモータ・ユニット(9)によって制御される輸送チェーン(8)に固定されるスチール・ブラケット(7)上に取り付けられた一連の隣接する耐火性プレート(6)からなることを特徴とする、請求項1に記載のオーブン。
【請求項8】
前記モータ・ユニット(9)は駆動シャフト(11)を有し、該駆動シャフトを介して、変速機が従動シャフト(12)を制御し、該従動シャフト(12)上に輸送チェーン(8)に係合されたクラウン・ギヤ(13)が固定されていることを特徴とする、請求項7に記載のオーブン。
【請求項9】
前記焼き表面(5)はコンベヤ・ベルトからなることを特徴とする、請求項1に記載のオーブン。
【請求項10】
点火手段を通過させるための穴(23)を備えていることを特徴とする、請求項1に記載のオーブン。
【請求項11】
前記点火手段はガス・バーナからなることを特徴とする、請求項10に記載のオーブン。
【請求項12】
燃焼性薪を支持する上部格子(18)で作られた上部炉(17)を格納する上部燃焼チャンバ(15)と、底部ガス燃焼チャンバ(16)とを備えていることを特徴とする、請求項1に記載のオーブン。
【請求項13】
前記ベアリング構造体(10)は、少なくとも1つのモジュール(1〜3)で作られていることを特徴とする、請求項1に記載のオーブン。
【請求項14】
前記ベアリング構造体(10)は、入口モジュール(1)、出口モジュール(3)、及び少なくとも1つの中間モジュール(2)で作られていることを特徴とする、請求項13に記載のオーブン。
【請求項15】
ピザ又は同様の食品を焼くための方法であって、トンネル型木材燃焼オーブンを通してピザ・パイ又は同様の食品を通過させることを特徴とする方法。
【請求項16】
前記トンネル型木材燃焼オーブンを通した前記通過は、前記オーブン内側の空気の組成に応じて制御された二次空気の吸気による煙制御の存在下で起こることを特徴とする、請求項15に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2008−541710(P2008−541710A)
【公表日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−512698(P2008−512698)
【出願日】平成17年6月16日(2005.6.16)
【国際出願番号】PCT/EP2005/052806
【国際公開番号】WO2006/125475
【国際公開日】平成18年11月30日(2006.11.30)
【出願人】(507387527)テクノファルニ エス.アール.エル. (1)
【Fターム(参考)】