説明

ピッキング設備

【課題】ピッキング作業者に対して集品容器の搬送手段とピッキング棚(フローラック)が同じ側に配置されているピッキング設備であって、ピッキング作業の効率を改善でき、さらにピッキング棚の段数を増加でき、作業者が担当する物品の種類を増加できるピッキング設備を提供することを目的とする。
【解決手段】複数の間口14を有する複数の棚13が上下段に配置されたフローラック12を備え、フローラック12に沿って、複数の集品容器10を搬送する直進搬送ライン21を備え、ピッキング作業を行うピッキング作業者Hに対して、フローラック12と直進搬送ライン21とを同じ側に配設し、平面的に、直進搬送ライン21の一部(フローラック12に沿ったフローラック12側の一部)と、フローラック12の各棚13とを重ねて配置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ピッキング設備、特にピッキング棚と搬送ラインがピッキング作業者に対して同じ側に配設されているピッキング設備に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の“ピッキング棚と搬送ラインがピッキング作業者に対して同じ側に配設されているピッキング設備”の一例が、特許文献1に開示されている。この特許文献1に開示されているピッキング設備は、出荷箱の搬送部(コンベア)を設け、この搬送部に沿って複数段の棚から成る複数個の商品ラックを配設し、1〜数個の商品ラックに少なくとも1人のピッカーを割り当て、ピッカーに対して、搬送部と商品ラックを同じ側に配置している。また搬送部は、出荷箱を商品ラック前で一旦停止させるように構成され、また商品ラックの物品が抜き取られる先頭の端部と搬送部との間に間隔(隙間)が設けられている。
【0003】
以上のように、搬送部と商品ラックとがピッカーに対して同じ側に配置されていることにより、ピッカーは、商品ラックからの物品取り出し動作と、出荷箱への物品投入動作とを体の向きを変えることなく連続して行うことができ、ピッカーを挟んで搬送部と商品ラックが反対の側に配置されている場合と比較して振り向き作業が不要となることにより、作業の動きを素早くでき、作業効率が格段に改善できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−8650号公報(図4)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に開示されているピッキング設備では、物品が抜き取られる商品ラックの先頭の端部と搬送部との間に間隔(隙間)が設けられていることにより、ピッカーと商品ラックとの距離が広がるために、商品ラックからの物品取り出し動作の際、上段の棚から物品が取り出しにくくなり、ピッカーの作業性が悪いという問題があった。そこで、物品を取り出しやすくするために、棚の位置を低くすると、下段の棚では、搬送部(ローラコンベヤ)により搬送されている出荷箱がピッカーと棚との間に位置することから、物品を取り出しにくくなるという問題が発生し、そのため、商品ラックの棚の段数を少なくせざるを得なくなり、その結果、一人のピッカーが効率よく作業して取り出すことができる物品の種類の数(アイテム数)が少なくなり、出荷箱が到着してもピッキング作業対象の物品が無い状況が発生しやすくなり、すなわちピッカーは何の作業もしない待ち時間が発生しやすくなり、作業性が低下する恐れがあった。また商品ラックの棚の段数を少なくして、且つ必要な物品の種類の数(アイテム数)を確保しようとすると、商品ラックを搬送部に沿って広げる必要があり、設置スペースが広がってしまうという問題が発生する。
【0006】
そこで、本発明は、ピッキング作業者(ピッカー)に対して集品容器の搬送手段(搬送部)とピッキング棚(商品ラック)が同じ側に配置されているピッキング設備であって、ピッキング作業の効率を改善でき、結果的に、ピッキング棚の段数を増加でき、作業者が担当する物品の種類を増加でき、ピッキング棚の設置スペースが広がることを回避できるピッキング設備を提供することを目的としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前述した目的を達成するために、本発明のうち請求項1に記載の発明は、物品をそれぞれ収納する複数の物品収納部を有する複数の棚が上下段に配置されたピッキング棚を備え、前記ピッキング棚に沿って、複数の集品容器が搬送される搬送手段(搬送コンベヤ)を備え、前記ピッキング棚の物品収納部から取り出した物品を、前記集品容器へ投入するピッキング作業を行うピッキング作業者に対して、前記ピッキング棚と前記搬送手段が同じ側に配設されたピッキング設備であって、平面的に、前記ピッキング棚の棚と、前記搬送手段の前記ピッキング棚側の一部とを重ねて配置したことを特徴とするものである。
【0008】
上記構成によれば、ピッキング棚の棚と、搬送手段のピッキング棚側の一部とが重なって配置されていることにより、ピッキング棚の棚に対して、搬送手段を挟んだピッキング作業者との距離が接近する。よって、ピッキング作業者は、棚の物品収納部より物品を取り出しやすくなり、ピッキング作業の効率が改善される。また棚の物品収納部より物品を取り出しやすくなることにより、ピッキング棚の棚の位置を必ずしも下方にさげて段数を削減する必要がなくなり、よって必要な物品の種類の数(アイテム数)を確保するために、ピッキング棚の幅(搬送手段に沿った幅)を広げる必要がなくなり、設置スペースが広がってしまうことが回避される。
【0009】
また請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明であって、前記ピッキング棚の棚を、さらに平面的に、前記搬送手段上の集品容器と重ねて配置したことを特徴とするものである。
【0010】
上記構成によれば、ピッキング棚の棚と、搬送手段上の集品容器とがさらに重なって配置されていることにより、ピッキング棚の棚に対して、搬送手段を挟んだピッキング作業者との距離がさらに接近する。よって、ピッキング作業者は、棚の物品収納部より物品を取り出しやすくなり、ピッキング作業の効率が改善される。
【0011】
また請求項3に記載の発明は、物品をそれぞれ収納する複数の物品収納部を有する複数の棚が上下段に配置されたピッキング棚を備え、前記ピッキング棚に沿って、複数の集品容器が搬送される搬送手段を備え、前記ピッキング棚の物品収納部から取り出した物品を、前記集品容器へ投入するピッキング作業を行うピッキング作業者に対して、前記ピッキング棚と前記搬送手段が同じ側に配設されたピッキング設備であって、平面的に、少なくとも最下段の棚を除いて前記ピッキング棚の他の段の棚と、前記搬送手段の前記ピッキング棚側の一部とを重ねて配置し、前記ピッキング棚の最下段の棚の前記搬送手段に面する端部の高さを、前記搬送手段上の集品容器の上端の高さより低く設定し、前記最下段の棚より1つ上方の段の棚の前記搬送手段に面する端部の高さを、前記ピッキング作業者により最下段の棚より物品を取り出せる高さに設定したことを特徴とするものである。
【0012】
上記構成によれば、ピッキング棚の少なくとも最下段の棚を除いた各棚と、搬送手段とのピッキング棚側の一部が重なって配置されていることにより、ピッキング棚の少なくとも最下段の棚を除いた各棚に対して、搬送手段を挟んだピッキング作業者との距離が接近する。よって、ピッキング作業者は、棚の物品収納部より物品を取り出しやすくなり、ピッキング作業の効率が改善される。
また搬送手段に面するピッキング棚の最下段の棚の先端(搬送手段に面する端部)の高さが、搬送手段上の集品容器の上端の高さより低く設定されることにより、ピッキング棚における最下段の棚の位置を低くでき、よって全体の棚の高さを低くすることが可能となり、ピッキング作業者は、さらに棚の物品収納部より物品を取り出しやすくなり、さらにピッキング作業の効率が改善される。このとき、最下段の棚より1つ上方の段の棚の先端の高さが、ピッキング作業者により最下段の棚より物品を取り出せる高さに設定されることにより、最下段の棚よりの物品の取り出しが補償される。
【0013】
また請求項4に記載の発明は、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の発明であって、前記各集品容器に、前記物品収納部より取り出した物品を投入する投入対象の集品容器であることを表示する投入表示器を設けたことを特徴とするものである。
【0014】
上記構成によれば、搬送手段により搬送される各集品容器は、ともに移動する投入表示器の表示により、物品収納部より取り出した物品を投入する投入対象の集品容器であることが特定され、ピッキング作業者は、この表示された集品容器に、物品収納部から取り出した物品を投入する。このように、投入表示器の表示によって、ピッキング作業を行う集品容器を特定できることにより、搬送手段によって連続して搬送されていても、ピッキング作業を行うことが可能となる。
【0015】
また請求項5に記載の発明は、請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の発明であって、前記ピッキング棚および前記搬送手段に、搬送手段により搬送されてくる各集品容器に対してピッキング棚に保管された物品を取り出して投入するピッキング作業を実行する複数のゾーンを形成し、前記搬送手段を、前記集品容器1個毎に蓄積・移動可能で、集品容器が互いにぶつからないで集積するように設計されたコンベヤにより構成し、各ゾーン毎に、下流側に詰めて複数の集品容器を蓄積・移動可能としたことを特徴とするものである。
【0016】
上記構成によれば、各ゾーン毎に、集品容器は下流側に移動して詰められ、ゾーンにおいてピッキング作業が終了した集品容器は下流のゾーンへ移動される。よって、集品容器は、他のゾーンの影響を受けずに、ゾーン間を移動しやすくなり、集品容器の移動が効率的に行われ、作業者の能力が最大に生かせる。
【0017】
また請求項6に記載の発明は、請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の発明であって、前記物品収納部に収納する物品を、元の収納箱から取り出されて個別とされた物品、あるいは前記元の収納箱より物品が移し変えられた、前記元の収納箱より小さい収納箱としたことを特徴とするものである。
【0018】
上記構成によれば、物品収納部に収納する物品は、元の収納箱から取り出されて個別とされた物品、あるいは前記元の収納箱より小さい収納箱であることにより、小型化され、よって上下の棚の間隔を狭くすることが可能となり、棚の段数を増加することが可能となり、その結果、ピッキング作業者が担当する物品の種類の数(アイテム数)を増加することが可能となる。また物品の種類の数(アイテム数)を増加することが可能となることにより、ピッキング棚の幅(搬送手段に沿った幅)を短くすることが可能となり、設置スペースを縮小することが可能となる。
【0019】
また請求項7に記載の発明は、請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の発明であって、前記物品収納部にそれぞれ、取り出す物品があることを表示する表示手段を設け、前記ピッキング棚の最下段の棚の物品収納部に設けた表示手段の表示の向きと、他の段の物品収納部に設けた表示手段の表示の向きとを、異なる向きとしたことを特徴とするものである。
【0020】
ピッキング棚の最下段の棚の物品収納部に設けた表示手段の表示は、最下段の棚の位置が低くなると、見にくくなる。
上記構成によれば、最下段の棚の物品収納部に設けた表示手段の表示の向きを、例えば上向きとして、他の段の物品収納部に設けた表示手段の表示の向きとは異なる向きとすることにより、見やすさを改善できる。
【0021】
また請求項8に記載の発明は、請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の発明であって、物品をそれぞれ収納する複数の物品収納部を有し、所定数の物品収納部毎に、ピッキング作業を実行するゾーンが設定された第2のピッキング棚を備え、前記第2のピッキング棚を、前記ピッキング作業者を挟んで、前記搬送手段と反対側に配置したことを特徴とするものである。
【0022】
上記構成によれば、ピッキング作業者に対して、ピッキング棚と搬送手段が同じ側に配設されたエリア(同面ピッキングエリアと称す)と、ピッキング作業者を挟んで、(第2の)ピッキング棚と搬送手段が反対側に配置されているピッキングエリア(対面ピッキングエリアと称す)とが配置され、集品容器は、これら2つのエリアに渡って搬送され、各エリアにおいて、ピッキング作業が実行される。
よって、ユーザーから注文される割合が高い物品(高頻度の物品)を、作業効率が高い同面ピッキングエリアに集中して配置し、ユーザーから注文される割合が低い物品(低頻度の物品)を対面ピッキングエリアに配置することにより、ピッキング設備全体として、ピッキング作業の効率の改善を期待できる。
【発明の効果】
【0023】
本発明のピッキング設備は、ピッキング棚の棚と搬送手段のピッキング棚側の一部とが重なって配置されていることにより、ピッキング棚の棚に対して、搬送手段を挟んだピッキング作業者との距離を接近でき、よって、ピッキング作業者は、棚の物品収納部より物品を取り出しやすくなり、ピッキング作業の効率を改善できる、という優れた効果を有している。
【0024】
また本発明のピッキング設備は、搬送手段に面するピッキング棚の最下段の棚の先端(搬送手段に面する端部)の高さが、搬送手段上の集品容器の上端の高さより低く設定されることにより、ピッキング棚における最下段の棚の位置を低くでき、よって全体の棚の高さを低くすることが可能となり、ピッキング作業者は、さらに棚の物品収納部より物品を取り出しやすくなり、さらにピッキング作業の効率を改善できる、という優れた効果を有している。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の実施の形態1におけるピッキング設備の構成図である。
【図2】同ピッキング設備の概略斜視図である。
【図3】同ピッキング設備の要部平面図である。
【図4】同ピッキング設備の側面図である。
【図5】同ピッキング設備の投入表示器を取り付けた集品容器の斜視図である。
【図6】同ピッキング設備の投入表示器の図であり、(a)は斜視図、(b)は制御構成図である。
【図7】同ピッキング設備の全体制御構成図である。
【図8】同ピッキング設備の投入表示器に対する通信制御構成図である。
【図9】同ピッキング設備の全体ピッキングデータを示す図である。
【図10】同ピッキング設備の各ゾーンにおける制御構成図である。
【図11】同ピッキング設備のゾーンコントローラにおける制御ブロック図である。
【図12】本発明の実施の形態2におけるピッキング設備の側面図である。
【図13】本発明の実施の形態3におけるピッキング設備の概略斜視図である。
【図14】同ピッキング設備の要部平面図である。
【図15】同ピッキング設備の側面図である。
【図16】同ピッキング設備のピッキング棚に保管される収納箱の形状を示す図である。
【図17】他の実施の形態におけるピッキング設備の構成図である。
【図18】他の実施の形態におけるピッキング設備の集品容器を搭載したトレイの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。このピッキング設備は、個別の予め登録されたユーザー(仕分け先の一例)から注文を受けた物品11を、ユーザーに割り付けられた、コンテナからなる集品容器10に集めて、配送するピッキング設備である。
【0027】
[実施の形態1]
図1に本発明の実施の形態1におけるピッキング設備の概略構成図、図2に概略斜視図を示す。
ピッキング設備は、基本的に、集品される物品11が収納される収納箱11Aが保管されるストレージラインAと、ユーザーからの注文(以下、オーダーという)毎に、ピッキングされた物品11を収納する集品容器10を搬送する集品ラインBとから構成されている。また前記収納箱11Aは、上面が開放され、物品11を上方から取り出すことができる箱(ボックス)にて構成されている。
【0028】
ストレージラインAおよび集品ラインBには、複数のゾーンZが設定されており、各ゾーンZにおいて、集品ラインBにより搬送されてくる各集品容器10に対して、ストレージラインAに保管された物品11を取り出して投入する作業(ピッキング作業)を実行するように構成され、ピッキング作業を行う作業者(ピッキング作業者)Hが1人ずつ配置され、これら作業者Hに対して(作業者Hから見て)、ストレージラインAと集品ラインBが同じ側に、片寄らせて配置されている。
【0029】
『ストレージラインA』
ストレージラインAは、フローラック(ピッキング棚の一例)12から構成され、フローラック12は、1種類(1品目)の物品11が収納された収納箱11Aが載置される(収納される)間口14(物品収納部の一例)を複数列有する棚13を、上下に複数段(本実施の形態1では3段;3段以上が好ましい)配置して構成され、複数の間口14(本実施の形態では、棚が3段で、間口が5列の計15個)毎に前記ゾーンZが形成されている。
【0030】
またフローラック12の各棚13の先端(直進搬送ライン21に面する作業者Hの端部)で、各間口14の前面にはそれぞれ、図3に示すように、取り出す物品11の数量を表示する数量表示器15Aと、ランプ部を有する完了押釦スイッチ15Bから構成された間口表示器(表示手段の一例)15が設けられ、図4に示すように、最下段の棚13より上の棚13の間口14に設けられた間口表示器15の表示の向きは、正面(作業者H側の面)の向きとされ、最下段の棚13の間口14に設けられた間口表示器15の表示の向きは、斜め前方(集品ラインB側)の向きとされ、異なる表示の向きとされている。
作業者Hは、各間口表示器15の表示に従って、間口14(収納箱11A)から物品11をピッキングして集品容器10に投入する。
【0031】
『集品ラインB』
集品ラインBは、フローラック12に沿って配置されたアキュムレーションコンベヤ(集品容器1個毎に蓄積・移動可能で、集品容器が互いにぶつからないで集積するように設計されたコンベヤ)からなる直進搬送ライン(搬送手段の一例)21から構成され、1個の集品容器10毎に、集品容器10を蓄積・順送り可能なアキュムレーション部22を備えており、各アキュムレーション部22はそれぞれ、公知のように、前に空き(集品容器10が存在しない)のアキュムレーション部22があるとき、集品容器10を前送りする機能を有し、ゾーンZ毎に複数個(実施の形態では最大6個)の集品容器10が、蓄積・順送り可能とされている。
この直進搬送ライン21の一部(フローラック12に沿ったフローラック12側の一部)は、図4に示すように、平面的に(平面視で)、前記フローラック12の各棚13と重なって配置され、さらに平面的に(平面視で)、直進搬送ライン21上の集品容器10と、前記フローラック12の各棚13とが、重なって配置されている。また側面的には、フローラック12の各棚13の先端(直進搬送ライン21に面する作業者Hの端部)は、直進搬送ライン21上の集品容器10の上方に位置している。
【0032】
また集品ラインBには、ゾーンZ毎にそれぞれ、テープスイッチ23と、ゾーンコントローラ24(詳細は後述する)が備えられている。前記テープスイッチ23は、長尺状のスイッチであり、直進搬送ライン21に沿って、作業者H側で、集品容器10の上端の高さ位置に設けられている。
【0033】
「集品容器10」;前記集品容器10は、図5に示すように、箱形状のコンテナ25から構成され、コンテナ25の短軸方向の側面で且つフローラック12側(作業者側とは反対の側)となる側面に、斜めの姿勢の治具40によって作業者H側を向くように、ゾーンZにおいて取り出した物品11を投入する投入対象の集品容器10であることを表示する投入表示器(無線表示器)26が取り付けられており、袋27が掛けられた状態で直進搬送ライン21によりストレージラインAへ搬送されてくる。このとき、図4に示すように、集品容器10に取り付けられた投入表示器26が、フローラックの最下段の棚13の下を通過するように、直進搬送ライン21の高さが設定され、これにより、直進搬送ライン21を挟んだ作業者Hと棚13との距離が短くなるようにしている。
なお、図4に示すように、各集品容器10は、直進搬送ライン21により、コンテナ25の長軸方向が搬送方向正面となり、上述したように、ゾーンZ毎に複数個(実施の形態では最大6個)の集品容器10が、蓄積・順送り可能とされている。
【0034】
「投入表示器26」;投入表示器26は、図5および図6に示すように、縦長の箱状の表示器本体30と、長軸方向の表示器本体30の表面に順に配置された、第1ランプ部(上流ゾーン表示手段の一例)31、電子ペーパーからなるディジタル表示器(表示画面の一例)32、および第2ランプ部(自ゾーン表示手段の一例)33と、表示器本体30に内蔵されたRFID(Radio Frequency Identification;データを書き込み・消去可能なRFタグ)34、表示器コントローラ35、アンテナ内蔵の無線機(データ受信器の一例)36、およびバッテリ37から構成されており、直進搬送ライン21による集品容器10の搬送方向(以下、容器搬送方向と略す)に、ディジタル表示部32が第1ランプ部31と第2ランプ部33の中央に位置されるように、すなわち容器搬送方向に、先頭から(下流側から)順に第1ランプ部31、ディジタル表示部32、および第2ランプ部33が並ぶように、集品容器10(コンテナ25)に取り付けられる。前記RFID34に、オーダー・ナンバー(独自の符号の一例)が書き込まれ、記憶される(詳細は後述する)。また投入表示器26にディジタル表示器32を設けることにより、集品容器10を特定できる前記オーダー・ナンバー等を表示でき、集品容器10を特定することを可能としている。
【0035】
第1ランプ部31と第2ランプ部33は、表示器本体30の表面から突出した、2色で点灯・点滅が可能なランプ38と、各ランプ38をカバーするカバー39A,39Bから構成されている。カバー39Aは、容器搬送方向の下流側からランプ38の点灯状態を認識でき、且つ正面から認識できないように、容器搬送方向のみが開放されているカバーであり、またカバー39Bは逆に、正面からランプ38の点灯・点滅状態を認識でき、且つ容器搬送方向の下流側から認識できないように、正面が開放されているカバーである。
【0036】
またこれらランプ部31,33のランプ38と、ディジタル表示器32と、RFID34と、アンテナ内蔵の無線機36は、表示器コントローラ35に接続され、表示器コントローラ35は、RFID34に書き込まれたオーダー・ナンバー(後述する)と、無線機36により受信した指令・データ(詳細は後述する)に基づいて、ランプ部31,33のランプ38の点灯・点滅・消灯(点灯なし)、およびディジタル表示器32の表示を制御している。ディジタル表示器32には、直進搬送ライン21によりストレージラインAを投入表示器26、すなわち集品容器10が移動中には、RFID34に書き込まれた「オーダー・ナンバー」、または無線機36により受信したデータにより、白黒を反転した「オーダー・ナンバー」が表示される。またバッテリ37により、ランプ部31,33のランプ38と、ディジタル表示器32と、無線機36と、表示器コントローラ35に給電されている。
【0037】
また図5に示すように、投入表示器26は治具40により、コンテナ25に袋27を掛けることができるように、コンテナ25の側面との間に隙間41を設けて、コンテナ25に取り付けられている。前記治具40は、一部がコンテナ25の側面に引っ掛けられており、投入表示器26は、コンテナ25の上端より斜め上方に延びる係止部40Aに、第1ランプ部31、電子ペーパーからなるディジタル表示器32、および第2ランプ部33が斜め上向きとなる姿勢となるように取り付けられている。
【0038】
「RFIDリーダ/ライタ」;図1に示すように、表示器コントローラ35に内蔵されたRFID34に書き込まれたIDを読み取るRFIDリーダ(符号読み出し手段の一例)42Aが、直進搬送ライン21に沿って、前記ゾーンZの上流端(ゾーンZの境目)毎に移動可能に設けられている。またRFID34に、以前に集品容器10に割り付けられたオーダー・ナンバー(後述する)を消去し、新たに割り付けられたオーダー・ナンバーを再書き込みするRFIDライタ42Bが、直進搬送ライン21の最も上流のゾーンZよりさらに上流に、直進搬送ライン21に沿って設けられている。なお、これらRFIDリーダ42A,42Bとしては、RFIDの書き込み(IN)と読み出し(OUT)を同時に可能なRFIDリーダ/ライタを使用している。
【0039】
投入表示器26に内蔵されたRFID34には、RFIDライタ42Bにより、ピッキング開始時点で(ストレージラインAへ入る前に)、以前のオーダー・ナンバーが消去され、オーダー・ナンバーが再書き込まれ、この時点で、表示器コントローラ35によりRFID34に書き込まれたオーダー・ナンバーがディジタル表示器32に表示される。また、RFID34に書き込まれたオーダー・ナンバーは、各RFIDリーダ42Aにより読み取られることにより、RFID34の位置、すなわちRFID34が組み込まれた投入表示器26の位置、すなわち投入表示器26を取り付けた集品容器10の位置が特定される。
【0040】
「アンテナ」;直進搬送ライン21の上方には、投入表示器26の無線機36との間で、データの送受信を行うためのアンテナ43(図8)が敷設されている。
【0041】
「制御構成」;図7にピッキング設備の制御構成を示す。
ピッキング設備の制御手段として、上記ゾーンZ毎のゾーンコントローラ24と、統括コントローラ51と、通信コントローラ52が備えられている。
【0042】
「通信コントローラ52」;通信コントローラ52には、図8に示すように、アンテナ43が接続された送受信装置53が接続され、通信コントローラ52は、前記アンテナ43、送受信装置53を介して、各投入表示器26の無線機36とデータの送受信を実行する。
【0043】
「統括コントローラ51」;統括コントローラ51には、ゾーンZ毎のゾーンコントローラ24と、通信コントローラ52が接続され、さらに直進搬送ライン21と、RFIDライタ42Bが接続されている。
そして、統括コントローラ51には、予め次のデータが設定されている。
・登録されたユーザー。
・注文対象の物品11がそれぞれ格納されているゾーンZの間口14の配列データ(各物品11に対応するゾーンZの間口14のデータ)。
【0044】
統括コントローラ51は次の機能を有している。
(イ).ゾーンZ毎のゾーンコントローラ24と、通信コントローラ52へ作業の開始指令と終了指令を出力する。
(ロ).直進搬送ライン21を起動し、停止する。
(ハ).予め登録された各個別のユーザーからオーダー{注文:各仕分け先からの物品要求情報の一例;物品を特定する情報(例えば、物品の品種、物品名、物品コード等)と数量(個数)からなる単数または複数のデータ}を受け付けると、図9に示すように、オーダーを受けた予め登録されたユーザーの順に、ユーザーのオーダーに(あるいはユーザー、すなわち仕分け先、または仕分け先の物品要求情報に)、連続したオーダー・ナンバー(独自の符号の一例)を割り付け、各ゾーンZの各間口14にオーダーの数量(ピッキング数量)を書き込み、ストレージラインAのピッキングデータを形成する。またこのとき、ピッキングが終了するゾーン・ナンバーを求めて記憶する。
(ニ).各ユーザーに割り付けたオーダー・ナンバーと、形成したストレージラインAのピッキングデータ(ピッキングが終了するゾーン・ナンバーを含む)を、各ゾーンZのゾーンコントローラ24へ出力する。
(ホ).RFIDライタ42Bにより、RFID34が検出されると、予め登録されたユーザーの順に、ユーザーのオーダーに割り当てられたオーダー・ナンバーをRFIDライタ42Bへ出力してRFID34にオーダー・ナンバーを書き込ませる。これにより、投入表示器26を取り付けた集品容器10に、オーダー・ナンバーが割り付けられる。
【0045】
このように、統括コントローラ51において、直進搬送ライン21の起動・停止が実行され、さらに各ユーザーからの注文(オーダー)が入力されると、ストレージラインAのピッキングデータ(ゾーンZ毎のピッキングデータ)が形成され、オーダー・ナンバー等のデータが各ゾーンZのゾーンコントローラ24へ出力される。
【0046】
「ゾーンコントローラ24」;各ゾーンコントローラ24には、図10に示すように、担当するゾーン(以下、自ゾーンと称す)Zの間口表示器15、自ゾーンZに正対して配置されたテープスイッチ23、自ゾーンZの最下流のアキュムレーション部22、自ゾーンZの上流に隣接する上流ゾーンZの上流端に設けられたRFIDリーダ(上流ゾーンRFIDリーダと略す)42A、自ゾーンZの上流端に設けられたRFIDリーダ(自ゾーンRFIDリーダと略す)42A、自ゾーンZに下流に隣接する下流ゾーンZの上流端に設けられたRFIDリーダ(下流ゾーンRFIDリーダと略す)42A、通信コントローラ52、および統括コントローラ51が接続されている。
【0047】
また各ゾーンコントローラ24には、予め、自ゾーンZを特定するナンバーが設定され、さらに自ゾーンZの間口14の配列、および各間口14に収納されている物品11のデータ(配列データ)が設定され、また統括コントローラ51より、ユーザーに割り付けられたオーダー・ナンバー、および各オーダー・ナンバーにより特定される自ゾーンZの各間口14から取り出す物品11のデータ(ピッキングデータ)が入力される。
【0048】
「ゾーンコントローラ24の制御構成」;ゾーンコントローラ24は、直進搬送ライン21により搬送されている集品容器10に対して、自ゾーンZの間口14から物品11を取り出して投入するピッキング作業を制御する。ゾーンコントローラ24の制御構成図を図11に示す。
ゾーンコントローラ24は、上記配列データ、各ユーザーに割り当てられたオーダー・ナンバー、ピッキングデータ(ピッキングが終了するゾーン・ナンバーを含む)、およびピッキングデータによるピッキング作業が終了しているか否かが記憶されるピッキングメモリ71と、上流ゾーンZに上流から下流に向けて位置する(移動してきている)最大6個の各集品容器10に取り付けられた投入表示器26のRFID34に書き込まれたオーダー・ナンバーが記憶される上流ゾーンメモリ72と、自ゾーンZに上流から下流に向けて位置する最大6個の各集品容器10の同様のオーダー・ナンバーが記憶される自ゾーンメモリ73と、前記ピッキングメモリ71へ、統括コントローラ51から入力された上記各ユーザーに割り当てられたオーダー・ナンバー、およびピッキングデータを記憶するデータ処理部74と、上流ゾーン容器検出部75と、自ゾーン容器検出部76と、上流ゾーン先行表示制御部77と、自ゾーン先行表示制御部78と、ピッキング制御部79と、前送り許可制御部80から構成されている。
【0049】
「上流ゾーン容器検出部75」;上流ゾーン容器検出部75は、上流ゾーンRFIDリーダ42Aよりオーダー・ナンバーを入力すると、このオーダー・ナンバーを最も上流の集品容器10のオーダー・ナンバーとして上流ゾーンメモリ72に記憶し、以前に記憶しているオーダー・ナンバーを順に下流側へ移動する。また自ゾーンRFIDリーダ42Aよりオーダー・ナンバーを入力すると、このオーダー・ナンバーを上流ゾーンメモリ72より消去して、以前に記憶しているオーダー・ナンバーを順に下流側へ移動する。
【0050】
「自ゾーン容器検出部76」;自ゾーン容器検出部76は、自ゾーンRFIDリーダ42Aよりオーダー・ナンバーを入力すると、このオーダー・ナンバーを最も上流の集品容器10のオーダー・ナンバーとして自ゾーンメモリ73に記憶し、以前に記憶しているオーダー・ナンバーを順に下流側へ移動する。また下流ゾーンRFIDリーダ42Aよりオーダー・ナンバーを入力すると、このオーダー・ナンバーを自ゾーンメモリ73より消去して、以前に記憶しているオーダー・ナンバーを順に下流側へ移動する。
【0051】
このように、上流ゾーンメモリ72と自ゾーンメモリ73には、上流より下流に向けて、上流ゾーンZと自ゾーンZに位置する集電容器10のオーダー・ナンバーが記憶され、更新される。またRFIDリーダ42Aよりのオーダー・ナンバーの入力により、各ゾーンZに位置する集品容器10のオーダー・ナンバーを記憶していることから、RFIDリーダ42Aの取付位置を上流側、あるいは下流側に移動することにより、ゾーンZの範囲を可変することができる。例えば、上流ゾーンZが下流側にずれ、自ゾーンZが下流側にずれることによって、作業者Hは、自ゾーンZを中心として、ピッキング作業を実行するために移動する距離が短くなり、作業効率を改善することが可能となる。
【0052】
「自ゾーン先行表示制御部78」;自ゾーン先行表示制御部78は、自ゾーンメモリ73に記憶されているオーダー・ナンバーを確認し、各オーダー・ナンバーにより、ピッキングメモリ71を検索して、ピッキングデータの有無(自ゾーンZの間口14よりピッキングして自ゾーンZに位置する集品容器10へ投入する物品11が有るか否か;ピッキング作業が終了している場合はピッキングデータ無し、と見なされる)を求める。
オーダー・ナンバーにピッキングデータが有れば(ピッキング作業が有れば)、そのオーダー・ナンバーを記憶し、さらに最も下流のオーダー・ナンバー(集品容器10)をピッキング作業対象のオーダー・ナンバー(集品容器)として決定し、そのオーダー・ナンバーに、自ゾーンZのナンバーを加えてピッキング制御部79へ出力する。またこのピッキング作業対象の集品容器10のオーダー・ナンバーを除いた他のオーダー・ナンバーに、自ゾーンZのナンバー、および点灯信号であることを加えた自ゾーン点灯データを通信コントローラ63へ出力する。この自ゾーン点灯データに基づいて、第2ランプ部33のランプ38が点灯される(後述する)。
また検索してオーダー・ナンバーにピッキングデータが無ければ(ピッキング作業が無ければ)、オーダー・ナンバーに、自ゾーンZのナンバー、および消灯信号であることを加えた自ゾーン消灯データを通信コントローラ63へ出力する。またピッキングデータが全く無いとき、ピッキングデータ無し信号を上流ゾーン先行表示制御部77へ出力する。前記自ゾーン消灯データに基づいて、第2ランプ部33のランプ38が消灯される(後述する)。
【0053】
「上流ゾーン先行表示制御部77」;上流ゾーン先行表示制御部77は、上流ゾーンメモリ72に記憶されているオーダー・ナンバーを確認し、各オーダー・ナンバーにより、ピッキングメモリ71を検索して、ピッキングデータの有無(自ゾーンZの間口14よりピッキングして上流ゾーンZに位置する集品容器10へ投入する物品11が有るか否か;ピッキング作業が終了している場合は“ピッキングデータ無し”と見なされる)を求める。
オーダー・ナンバーにピッキングデータが有れば(ピッキング作業が有れば)、オーダー・ナンバーを記憶し、続いて自ゾーン先行表示制御部78より前記ピッキングデータ無し信号を入力しているかどうかを確認する。ピッキングデータ無し信号を確認すると、最も下流のオーダー・ナンバー(集品容器10)をピッキング作業対象のオーダー・ナンバー(集品容器)として決定し、そのオーダー・ナンバーに、上流ゾーンZのナンバー(自ゾーンZのナンバーより1を減算)を加えてピッキング制御部79へ出力する。
またこのピッキング作業対象の集品容器10のオーダー・ナンバーを除いた他のオーダー・ナンバーに、上流ゾーンZのナンバー、および点灯信号であることを加えた上流ゾーン点灯データを通信コントローラ63へ出力する。また検索してオーダー・ナンバーにピッキングデータが無ければ(ピッキング作業が無ければ)、オーダー・ナンバーに、上流ゾーンZのナンバー、および消灯信号であることを加えた上流ゾーン消灯データを通信コントローラ63へ出力する。前記上流ゾーン点灯データに基づいて、第1ランプ部31のランプ38が点灯され、また前記上流ゾーン消灯データに基づいて、第1ランプ部31のランプ38が消灯される(後述する)。
【0054】
「ピッキング制御部79」;ピッキング制御部79は、自ゾーン先行表示制御部78または上流ゾーン先行表示制御部77より、ピッキング作業対象の集品容器10のオーダー・ナンバーを入力すると、このオーダー・ナンバーによりピッキングメモリ71のピッキングデータを検索する。また入力したオーダー・ナンバーに、自ゾーンZのナンバーまたは上流ゾーンZのナンバー、および点滅信号であることを加えた自ゾーン点滅データ、または上流ゾーン点滅データを通信コントローラ63へ出力する。前記自ゾーン点滅データに基づいて、第2ランプ部33のランプ38が点滅され、また前記上流ゾーン点滅データに基づいて、第1ランプ部31のランプ38が点滅される(後述する)。
続いて検索したピッキング作業対象の集品容器10のピッキングデータにしたがって、間口表示器15により、物品11を取り出す間口14と取り出す物品11の数量を表示する。そして、間口表示器15の完了押釦スイッチ15Bの操作により、間口14からの物品11の取り出しを確認し、テープスイッチ23(自ゾーンZ)の操作により、集品容器10へのピッキング作業終了を確認する。確認すると、実行したピッキングメモリ71のピッキングデータをピッキング作業終了とし、ピッキング作業が終了したオーダー・ナンバーを、前送り許可制御部80へ出力し、続いてピッキングデータにおいて、自ゾーンZがピッキング終了ゾーンに設定されているかどうかを確認する。
また自ゾーンZがピッキング終了ゾーンに設定されている場合、オーダー・ナンバーに、「オーダー・ナンバーの反転指令」(“物品の投入終了”の表示の一例)、および消灯信号であることを加えたゾーン終了消灯データを通信コントローラ63へ出力する。
【0055】
「前送り許可制御部80」;前送り許可制御部80は、自ゾーンメモリ73の最下流のオーダー・ナンバーにより、ピッキングメモリ71のピッキングデータを検索して、ピッキング作業の有無を確認しており、ピッキング作業無しのとき、最下流のアキュムレーション部22へ上記前送り許可信号を出力する。またピッキング作業有りのとき、ピッキング制御部79より、ピッキング作業が終了したオーダー・ナンバーを入力するまで待ち、自ゾーンZから、ピッキング作業が終了していない集品容器10が下流ゾーンZへ移動することを阻止し、オーダー・ナンバーを入力すると、このオーダー・ナンバーが自ゾーンメモリ73の最下流のオーダー・ナンバーと一致するかどうかを確認し、一致すると、最下流のアキュムレーション部22へ上記前送り許可信号を出力する。
【0056】
前記通信コントローラ52は、上記「オーダー・ナンバーに、自ゾーンZのナンバー、および点灯信号であることを加えた自ゾーン点灯データ」、または「オーダー・ナンバーに、自ゾーンZのナンバー、および消灯信号であることを加えた自ゾーン消灯データ」、または「オーダー・ナンバーに、オーダー・ナンバーの反転指令、および消灯信号であることを加えたゾーン終了消灯データ」、または「オーダー・ナンバーに、上流ゾーンZのナンバー、および点灯信号であることを加えた上流ゾーン点灯データ」、または「オーダー・ナンバーに、上流ゾーンZのナンバー、および消灯信号であることを加えた上流ゾーン消灯データ」、または「オーダー・ナンバーに、自ゾーンZのナンバー、および点滅信号であることを加えた自ゾーン点滅データ」、または「オーダー・ナンバーに、上流ゾーンZのナンバー、および点滅信号であることを加えた上流ゾーン点滅データ」を入力すると、送受信装置53およびアンテナ43を介して、発信する。
【0057】
このデータが、投入表示器26の無線機36により受信されると、表示器コントローラ35は、受信したデータのオーダー・ナンバーにより、受信データが自分宛かどうかを確認し、確認すると、受信データにしたがって、“オーダー・ナンバー”をディジタル表示器32へ表示させ、あるいはゾーン終了消灯データのときには、白黒を反転させた“オーダー・ナンバー”をディジタル表示器32へ表示させ、下記のように第2ランプ部33および第1ランプ部31のランプ38を点灯/点滅/消灯する。なお、ゾーンZのナンバーが奇数のとき赤色、偶数のとき緑色を点灯・点滅しているものとする。
・自ゾーン点灯データ…第2ランプ部33のランプ38を点灯。
・自ゾーン消灯データまたはゾーン終了消灯データ…第2ランプ部33のランプ38を消灯。
・自ゾーン点滅データ…第2ランプ部33のランプ38を点滅。
・上流ゾーン点灯データ…第1ランプ部31のランプ38を点灯。
・上流ゾーン消灯データ…第1ランプ部31のランプ38を消灯。
・上流ゾーン点滅データ…第1ランプ部31のランプ38を点滅。
【0058】
このように、自ゾーンZに位置する集品容器10に取り付けられた投入表示器26の第2ランプ部33のランプ38は、点灯/点滅/消灯され、点灯で、ピッキング作業予定の集品容器10であることが表示され、点滅で、今、ピッキング作業実行対象の集品容器10であることが表示され、消灯で、ピッキング作業の対象でない集品容器10であることが表示され、第2ランプ部33により、投入表示器26を取り付けた、自ゾーンZに位置する集品容器10が、自ゾーンZにおいて取り出された物品11の投入対象の集品容器であるか否かが示される。
【0059】
また上流ゾーンZに位置する集品容器10に取り付けられた投入表示器26の第1ランプ部31のランプ38は、点灯/点滅/消灯され、点灯で、ピッキング作業予定の集品容器10であることが表示され、点滅で、今、ピッキング作業実行対象の集品容器10であることが表示され、消灯で、ピッキング作業の対象でない集品容器10であることが表示され、第1ランプ部31により、投入表示器26を取り付けた、上流ゾーンZに位置する集品容器10が、自ゾーンZにおいて取り出された物品11の投入対象の集品容器であるか否かが示される。
なお、投入表示器26の第2ランプ部33のランプ38の状態(点灯/点滅/消灯の状態)は、自ゾーン先行表示制御部78により制御され、また第1ランプ部31のランプ38の前記状態は、上流ゾーン先行表示制御部77により制御されていることにより、集品容器10が上流のゾーンZから下流のゾーンZへ移動されたとき、この投入表示器26の第1ランプ部31および第2ランプ部33のランプ38の前記状態は、同時に見直され、第1ランプ部31および第2ランプ部33のランプ38の両方の前記状態が同時に更新されることになる。
【0060】
「作用」
上記直進搬送ライン21の構成と、ゾーンコントローラ24の構成によるゾーンZ毎の集品容器10の移動動作は、次のようになる。
a.ゾーンZ内では、空きのアキュムレーション部22があると、前詰めされる。
b.ゾーンZに渡る移動は、ピッキング作業対象ではない集品容器10のとき、無条件で、自ゾーンZに対向する対応する自ゾーンZのゾーンコントローラ24より前送り許可信号が出力され、下流ゾーンZの上流に空きのアキュムレーション部22が発生すると移動する。
c.ゾーンZに渡る移動は、ピッキング作業対象の集品容器10のとき、ゾーンZのゾーンコントローラ24より前送り許可信号が出力されるまで、すなわちピッキング作業が終了するまで、下流のゾーンZの上流に空きのアキュムレーション部22が発生したとしても移動することはなく停止し、ピッキング作業が終了していない最下流の集品容器10が下流のゾーンZへ移動してしまうことが阻止され、前送り許可信号の出力により、はじめて下流のゾーンZへ移動する(下流のゾーンZの上流に空きのアキュムレーション部22が発生していることが条件)。
このように、ゾーンZを渡ることが可能な(許可されている)集品容器10は、ゾーンZに渡って移動するとき、下流のゾーンZが詰まっている場合(空きのアキュムレーション部22が無い場合)には待機し、下流のゾーンZの上流に空きのアキュムレーション部22が発生した状態になれば移動する。
【0061】
またゾーンコントローラ24の構成による作用を、ゾーンZに配置された作業者Hのピッキング作業動作とともに説明する。
図3に示すように、自ゾーンZに位置する集品容器10に取り付けられた投入表示器26の第2ランプ部33のランプ38は、点灯または点滅または消灯し、点灯によりピッキング作業あり、点滅によりピッキング作業実行、消灯によりピッキング作業無しが表示され、このとき、各間口表示器15が表示される。
自ゾーンZに配置された作業者Hは、各間口表示器15の表示に基づいて、集品容器10へ投入する物品11を収納箱11Aより取り出して、取り出す毎に、間口表示器15の完了押釦スイッチ15Bを押し、間口表示器15の表示の消灯を確認して、物品11を取り出し、自ゾーンZに搬送されてきており、且つ第2ランプ部33のランプ38が点滅している投入表示器26が取り付けられた集品容器10へ投入する(ピッキング作業を実行する)。そして、全ての物品11の投入が終了すると、自ゾーンZのテープスイッチ23を押し、対象の集品容器10に対するピッキング作業を終了する。このように、第2ランプ部33のランプ38は、投入表示器26が取り付けられた集品容器10が自ゾーンZに位置するとき、自ゾーンZからのみ見ることが可能で、ピッキング作業を可能とする自ゾーンランプを形成している。
また上流ゾーンZに位置する集品容器10に取り付けられた投入表示器26の第1ランプ部31のランプ38(自ゾーンZからのみ見ることが可能)は、点灯または点滅または消灯し、点灯によりピッキング作業あり、点滅によりピッキング作業実行、消灯によりピッキング作業無しが表示される。
【0062】
第1ランプ部31のランプ38の点滅しているとき、自ゾーンZに配置された作業者Hは、自ゾーンZの各間口表示器15の表示に基づいて、隣接する上流ゾーンZに位置し、第1ランプ部31のランプ38が点滅している投入表示器26が取り付けられた集品容器10に対して、自ゾーンZの間口14から取り出した物品11を投入する(上流ゾーンにおける先行ピッキング作業を実行する)。そして、全ての物品11の投入が終了すると、テープスイッチ23を押し、対象の集品容器10に対するピッキング作業を終了する。このように、第1ランプ部31のランプ38は、投入表示器26が取り付けられた集品容器10が上流ゾーンZに位置するとき、自ゾーンZからのみ見ることが可能で、先行ピッキング作業を可能とする先行ゾーンランプを形成している。
【0063】
上記のように、作業者Hは、自ゾーンZから取り出した物品11を、自ゾーンZおよび上流ゾーンZにおいて搬送されている集品容器10に投入することができ、図3に示すように、作業者H毎に、連続した2つのゾーンZに渡って投入作業を行うことができる範囲が形成される。またこれにより、最下流のゾーンZを除いて、最上流のゾーンZから、2人で集品容器10への投入作業を行うゾーンZが続き、最下流のゾーンZのみ作業者が1人で集品容器10への投入作業を行うゾーンZとなる。すなわち、作業者Hによって自ゾーンZおよび上流ゾーンZにおいてピッキング作業を実行可能としたことにより、各作業者Hがピッキング作業を実行可能なゾーンZは、最下流のゾーンZを除いて、隣り合うゾーンZが連続してずれて重なり合うように配置され、各ゾーンZにおいて、2人の作業者により、ピッキング作業が実行される。
またピッキング作業の実行終了により、この集品容器10へのピッキング作業が終了した場合、ディジタル表示器32に、白黒が反転されてオーダー・ナンバーが表示される。
また投入表示器26のディジタル器(表示画面)32は、第2ランプ部33のランプ(自ゾーンランプ)38と第1のランプ部31のランプ(先行ゾーンランプ)38の中央に取り付けられることにより、投入表示器26が取り付けられた集品容器10に物品11を投入する作業者より最も、見やすくされている。
【0064】
以上のように、本実施の形態1によれば、平面的に、直進搬送ライン21の一部(フローラック12に沿ったフローラック12側の一部)と、フローラック12の各棚13とが重なって配置されていることにより、フローラック12の各棚13に対して、直進搬送ライン21を挟んだ作業者Hを接近でき、よって、作業者Hは、棚13の間口14(収納箱11A)より物品11を取り出しやすくなり、ピッキング作業の効率を改善できる。また棚13の間口14(収納箱11A)より物品11を取り出しやすくなることにより、フローラック12の各棚13の位置を必ずしも下方にさげ、段数を削減する必要がなくなり、よって必要な物品11の種類の数(アイテム数)を確保するために、フローラック12の幅(直進搬送ライン21に沿った幅)を広げる必要がなくなり、設置スペースが広がってしまうことを回避できる。
【0065】
また本実施の形態1によれば、平面的に、直進搬送ライン21上の集品容器10と、フローラック12の各棚13とが、重なって配置されていることにより、フローラック12の各棚13に対して、直進搬送ライン21を挟んだ作業者Hをさらに接近でき、よって、作業者Hは、棚13の間口14(収納箱11A)より物品11をさらに取り出しやすくなり、ピッキング作業の効率を改善できる。
【0066】
また本実施の形態1によれば、直進搬送ライン21により搬送される各集品容器10は、ともに移動する投入表示器26の表示により、間口14より取り出した物品11を投入する投入対象の集品容器であることが特定され、作業者Hは、この表示された集品容器10に、間口14から取り出した物品11を投入することにより、直進搬送ライン21によって連続して搬送されていても、ピッキング作業を行うことが可能となる。
【0067】
また本実施の形態1によれば、各ゾーンZ毎に、集品容器10は下流側に移動して詰められ、ゾーンZにおいてピッキング作業が終了した集品容器10は下流のゾーンZへ移動されることにより、集品容器10は、他のゾーンZの影響を受けずに、ゾーンZ間を移動しやすくなり、集品容器10の移動が効率的に行われ、作業者Hの能力を最大に生かすことができる。
【0068】
また本実施の形態1によれば、最下段の棚13より上の棚13の間口14に設けられた間口表示器15の表示の向きは、正面の向きとされ、最下段の棚13の間口14に設けられた間口表示器15の表示の向きは、斜め前方(集品ラインB側)の向きとされ、異なる表示の向きとされていることにより、作業者Hに対する間口表示器15の見やすさを改善することができる。
【0069】
また本実施の形態1によれば、集品容器10に割り付けられたピッキング作業が完了すると入力(操作)されるテープスイッチ23は、作業者H側に近い側に設けられ、テープスイッチ23が作業者Hにとって入力しやすい位置に配置されていることにより、テープスイッチ23の入力の際の作業者Hの負担を最小限とすることができ、ピッキング作業の効率を向上させることができる。
【0070】
[実施の形態2]
実施の形態2では、実施の形態1のストレージラインAにおけるフローラック12の棚13の位置を変更している。以下、フローラック12の棚13の位置の変更について図12を参照しながら説明する。なお、実施の形態1と同一の構成には同一の符号を付し、説明を省略する。
【0071】
図12に示すように、平面的に(平面視で)、最下段の棚13を除いてフローラック12の他の段(図12では下から2段目と3段目)の棚13は、直進搬送ライン21の一部(フローラック12に沿ったフローラック12側の一部)と、重なって配置され、さらに平面的に(平面視で)、他の段(下から3段目)の棚13は直進搬送ライン21上の集品容器10と重なって配置され、側面的には、最下段の棚13を除いてフローラック12の他の段(下から2段目と3段目)の棚13の先端(直進搬送ライン21に面する作業者Hの端部)は、直進搬送ライン21上の集品容器10の上方に位置されている。
【0072】
また図12に示すように、直進搬送ライン21に面する最下段の棚13の先端の高さは、直進搬送ライン21上の集品容器10の上端の高さより低く設定され、また平面的に(平面視で)、最下段の棚13は、直進搬送ライン21と重ならないように配置されている。また最下段の棚13より1つ上方の段(下から2段目)の棚13の先端の高さは、作業者Hにより最下段の棚13より物品11を取り出せる高さに設定されている。
【0073】
なお、最下段の棚13より1つ上の段(下から2段目の段)も同様に、直進搬送ライン21の一部(フローラック12に沿ったフローラック12側の一部)と重ならないように配置してもよい。また最下段の棚13を、直進搬送ライン21の一部(フローラック12に沿ったフローラック12側の一部)と重ねて配置してもよい。
【0074】
また最下段の棚13の間口14に設けられた間口表示器15の表示の向きは、上向き、あるいは直進搬送ライン21の方向に斜め上向きとされ、最下段の棚13より上の棚13の間口14に設けられた間口表示器15の表示の向きとは、異なる表示の向きとされている。
【0075】
以上のように、本実施の形態2によれば、フローラック12の少なくとも最下段の棚13を除いた各棚13と、直進搬送ライン21の一部(フローラック12に沿ったフローラック12側の一部)、あるいは直進搬送ライン21の前記一部および直進搬送ライン21上の集品容器10とが重なって配置されていることにより、フローラック12の少なくとも最下段の棚13を除いた各棚13に対して、直進搬送ライン21を挟んだ作業者Hを接近させることができ、よって、作業者Hは、棚13の間口14より物品11を取り出しやすくなり、ピッキング作業の効率を改善できる。
【0076】
また本実施の形態2によれば、フローラック12の最下段の棚13の先端(直進搬送ライン21に面する端部)の高さが、直進搬送ライン21上の集品容器10の上端の高さより低く設定されることにより、フローラック12の最下段の棚13の位置を低くでき、よって実施の形態1の棚13の位置(図4参照)と比較して判るように、全体の棚13の高さを低くすることでき、作業者Hは、さらに棚13の間口14より物品11を取り出しやすくなり、さらにピッキング作業の効率を改善できる。このとき、最下段の棚13より1つ上方の段の棚13の先端の高さが、作業者Hにより最下段の棚13より物品11を取り出せる高さに設定されることにより、最下段の棚13よりの物品11の取り出しが補償されている。また最下段の棚13の間口14に設けられた間口表示器15の表示の向きは、上向きとすることにより、作業者Hに見やすくされている。
【0077】
[実施の形態3]
実施の形態3では、ストレージラインA’の構成を、実施の形態1のストレージラインAの構成とは変更している。以下、変更したストレージラインA’について図13〜図15を参照しながら説明する。なお、実施の形態1と同一の構成には同一の符号を付し、説明を省略する。
【0078】
ストレージラインA’は、実施の形態1と同様にフローラックから構成されているが、図13〜図15に示すように、実施の形態3のフローラック12’には各段13に、物品11がピースで収納されている。ピースとは、(元の)収納箱11Aから取り出して個別にバラバラとされた物品、あるいは元の収納箱11Aより物品11が移し変えられた、元の収納箱11Aより小さい収納箱のことである。このように、物品11がピースで収納され、収納箱11Aと比較して小型化されていることにより、棚13の上下の間隔を縮めることができ、段数を4段に増加している(図15参照)。また間口14の横幅(直進搬送ライン21に沿った方向の幅)を縮めることができることにより、ゾーンZを形成する列数を8列に増加している(図13,図14参照)。これにより、ゾーンZは、32個の間口14(ピース)から構成され、アイテム数(物品の種類の数)を増加させている。
【0079】
また平面的に(平面視で)、最下段の棚13を除いてフローラック12’の他の段(図15では下から2段目〜4段目)の棚13は、直進搬送ライン21の一部(フローラック12に沿ったフローラック12側の一部)と、重なって配置され、さらに平面的に(平面視で)、他の段(下から3段目と4段目)の棚13は、直進搬送ライン21上の集品容器10と重なって配置されている。また側面的には、最下段の棚13を除いてフローラック12’の他の段(下から2段目〜4段目)の棚13の先端(直進搬送ライン21に面する作業者Hの端部)は、直進搬送ライン21上の集品容器10の上方に位置している。
【0080】
また図15に示すように、直進搬送ライン21に面する最下段の棚13の先端の高さは、直進搬送ライン21上の集品容器10の上端の高さより低く設定され、平面的に(平面視で)、最下段の棚13は、直進搬送ライン21と重ならないように配置されている。
また最下段の棚13より1つ上の段(図15では下から2段目)の棚13の先端の高さは、作業者Hにより最下段の棚13より物品(ピース)11を取り出せる高さに設定されている。
【0081】
なお、最下段の棚13以外に、1つ上の段(図15では下から2段目の段)も同様に、直進搬送ライン21の一部(フローラック12に沿ったフローラック12側の一部)と重ならないように配置してもよい。また最下段の棚13を、直進搬送ライン21の一部(フローラック12に沿ったフローラック12側の一部)と重ねて配置してもよい。
【0082】
また最下段の棚13の間口14に設けられた間口表示器15の表示の向きは、上向き、あるいは直進搬送ライン21の方向に斜め上向きとされ、最下段の棚13より上の棚13の間口14に設けられた間口表示器15の表示の向きとは、異なる表示の向きとされている。
【0083】
以上のように、本実施の形態3によれば、フローラック12’に収納される物品11をピースとすることにより、保管する物品11は小型化され、よって作業者Hが物品11を取り出し可能な棚13の段数および1段の間口14の列数を増加することが可能となり、すなわちゾーンZを形成する間口14の数を増加することができ、作業者Hが担当する物品11の種類の数(アイテム数)を増加することができ、ピッキング作業の効率の改善を期待できる。また物品11の種類の数(アイテム数)を増加することが可能となることにより、フローラック12’の幅(直進搬送ライン21に沿った幅)を短くすることが可能となり、設置スペースを縮小することが可能となる。
【0084】
また本実施の形態3によれば、フローラック12’の少なくとも最下段の棚13を除いた各棚13と、直進搬送ライン21の一部(フローラック12に沿ったフローラック12側の一部)、あるいは直進搬送ライン21の前記一部および直進搬送ライン21上の集品容器10とが重なって配置されていることにより、フローラック12’の少なくとも最下段の棚13を除いた各棚13に対して、直進搬送ライン21を挟んだ作業者Hを接近させることができ、よって、作業者Hは、棚13の間口14より物品11を取り出しやすくなり、ピッキング作業の効率を改善できる。
【0085】
また本実施の形態3によれば、フローラック12’の最下段の棚13の先端(直進搬送ライン21に面する端部)の高さが、直進搬送ライン21上の集品容器10の上端の高さより低く設定されることにより、フローラック12’の最下段の棚13の位置を低くでき、よって全体の棚13の高さを低くすることが可能となり、作業者Hは、さらに棚13の間口14より物品11を取り出しやすくなり、さらにピッキング作業の効率を改善できる。このとき、最下段の棚13より1つ上方の段の棚13の先端の高さが、作業者Hにより最下段の棚13より物品11を取り出せる高さに設定されることにより、最下段の棚13よりの物品11の取り出しが補償されている。また最下段の棚13の間口14に設けられた間口表示器15の表示の向きは、上向きとすることにより、作業者Hに見やすくされている。
【0086】
なお、実施の形態1,2におけるフローラック12の各棚13に載置されている物品11は収納箱11Aに収納されているが、実施の形態3と同様に、ピースとすることもでき、棚13の段数を増加させることが可能である。また前記収納箱11Aを、上面が開放され、物品11を上方から取り出すことできる箱(ボックス)にて構成しているが、図16に示すように、前面(作業者Hに面する面)が開放され、物品11を前方から取り出すことできるようにした箱(箱を寝かして前面を開放した形状、前面の立ち上がり部分を切り取った形状の箱を含む)11B、またはパレット(物品11を積み上げることが可能な平板;底が薄い形状の箱・トレイを含む)11C、または籠(前面のみにスロットがあり物品11を前面から確認できる構成とした箱を含む)11D等にて構成してもよい。
【0087】
また本実施の形態1〜3では、フローラック12,12’の各棚13は固定されているが、任意に前後(直進搬送ライン21の方向)に移動・調整できる構成とすることもできる。
また本実施の形態1〜3では、直進搬送ライン21をアキュムレーションコンベヤにより構成しているが、直進搬送ライン21をフリーローラのコンベヤ(以下、フリーコンベヤと称す)により構成した場合においても、平面的に(平面視で)、フリーコンベヤの一部(フリーコンベヤに沿ったフリーコンベヤ側の一部)とフローラック12の棚13とを重ねて配置したとき、ならびに平面的に(平面視で)、フリーコンベヤ上の集品容器10とフローラック12各棚13とを重ねて配置したとき、直進搬送ライン21と同様に、フローラック12の棚13に対して作業者Hを接近でき、よって、作業者Hは、棚13の間口14(収納箱11A)より物品11をさらに取り出しやすくなり、ピッキング作業の効率を改善できる、という効果が得られる。
【0088】
また本実施の形態1〜3では、作業者Hに対して、フローラック12,12’と直進搬送ライン21が同じ側に配設されたピッキングエリア(以下、同面ピッキングエリアと称す)Cが形成されているが、図17に示すように、フローラック12,12’と同様の構成とされた、すなわち物品11をそれぞれ収納する複数の間口14を有し、複数の間口14毎に、ピッキング作業を実行するゾーンZが設定された)第2のフローラック(第2のピッキング棚の一例)12”を備え、この第2のフローラック12”を、作業者Hを挟んで直進搬送ライン21と反対側に(作業者Hを挟んで直進搬送ライン21と対向する側に)配置したピッキングエリア(以下、対面ピッキングエリアと称す)C’を新たに設けるようにしてもよい。
上記構成によれば、集品容器10は、これら2つのピッキングエリアC,C’に渡って搬送され、各ピッキングエリアC,C’において、ピッキング作業が実行されることによって、ユーザーから注文される割合が高い物品(高頻度の物品)を、作業効率が高い同面ピッキングエリアCに集中して配置し、ユーザーから注文される割合が低い物品(低頻度の物品)を対面ピッキングエリアC’に配置することにより、ピッキング設備全体として、ピッキング作業の効率の改善を期待できる。
またフローラック12,12’は、図4、図12、および図15に示すように、直進搬送ライン21があるために、作業者Hは、直進搬送ライン21の裏側(作業者Hとは反対側)に棚を設けたとしても物品11を取り出すことが困難であることから、直進搬送ライン21の裏側には基本的に棚13を設けることができない。よって、フローラック12,12’には、棚13の段数に制限があるが、対面ピッキングエリアC’の第2のフローラック12”には、このような制限がなく、棚13を床面に近いところから設置でき、段数を増加できる。したがって、第2のフローラック12”は、ゾーンZ毎の間口14の数を増加でき、大量の物品11の保管・ピッキング作業に適しており、物品11の種類(アイテム数)が多いピッキング設備において、対面ピッキングエリアC’を設けることは極めて有効となる。
【0089】
また本実施の形態1〜3では、投入表示器26を集品容器10に取り付けるようにしているが、図18に示すように、投入表示器26を、集品容器10を載せるトレイ61に設けて、トレイ61を介して集品容器10に投入表示器26を設けるように(対応するように)してもよい。またこのような投入表示器26付きトレイ61を複数を循環させ、循環しているトレイ61に対して集品容器10を自動で投入し、自動で払い出す構成とすることもできる。
また本実施の形態1〜3では、集品容器10としてコンテナ25を用いているが、この集品容器10は、物品11を一時収納することができ、投入表示器26を取り付けることができればどのようなものでもよく、例えば、段ボール、パレット、トレイのような側面の立ち上がりが小さい容器等であることも可能である。
【0090】
また本実施の形態1〜3では、ピッキング棚としてフローラック12,12’、また図17において第2のピッキング棚としてフローラック12”を使用しているが、物品11または収納箱が移動しない一般棚を使用することもできる。
また本実施の形態1〜3では、ピッキング作業完了を入力する手段として、テープスイッチ23を使用しているが、単にピッキング作業を完了入力するスイッチであればよく、単なる押釦スイッチでもよい。
また本実施の形態1〜3では、各ゾーンZは、1人の作業者Hを配置する構成としているが、各ゾーンZに複数(例えば、2人)の作業者Hを配置する構成とすることもできる。これにより、ゾーンZ内にピッキング対象の集品容器10が間を置くことなく搬入される状況にあっても、ゾーンZ内の作業速度が向上するため、各集品ラインBを緊急停止する状況が発生する可能性を低減でき、ピッキング作業の効率を向上できる。
また本実施の形態1〜3では、仕分け先をユーザー別としているが、ユーザーに限ることはなく、店舗別、商品などのカテゴリー別あるいは区分別、地域別、搬送トラック別などとすることもできる。
【符号の説明】
【0091】
A,A’ ストレージライン
B 集品ライン
C,C’ ピッキングエリア
Z ゾーン
10 集品容器
11 物品
12,12’,12” フローラック
13 棚
14 間口
15 間口表示器
21 直進搬送ライン
23 テープスイッチ
24 ゾーンコントローラ
25 コンテナ
26 投入表示器
42A RFIDリーダ
42B RFIDライタ
43 アンテナ
51 統括コントローラ
52 通信コントローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品をそれぞれ収納する複数の物品収納部を有する複数の棚が上下段に配置されたピッキング棚を備え、
前記ピッキング棚に沿って、複数の集品容器が搬送される搬送手段を備え、
前記ピッキング棚の物品収納部から取り出した物品を、前記集品容器へ投入するピッキング作業を行うピッキング作業者に対して、前記ピッキング棚と前記搬送手段が同じ側に配設されたピッキング設備であって、
平面的に、前記ピッキング棚の棚と、前記搬送手段の前記ピッキング棚側の一部とを重ねて配置したこと
を特徴とするピッキング設備。
【請求項2】
前記ピッキング棚の棚を、さらに平面的に、前記搬送手段上の集品容器と重ねて配置したこと
を特徴とする請求項1に記載のピッキング設備。
【請求項3】
物品をそれぞれ収納する複数の物品収納部を有する複数の棚が上下段に配置されたピッキング棚を備え、
前記ピッキング棚に沿って、複数の集品容器が搬送される搬送手段(搬送コンベヤ)を備え、
前記ピッキング棚の物品収納部から取り出した物品を、前記集品容器へ投入するピッキング作業を行うピッキング作業者に対して、前記ピッキング棚と前記搬送手段が同じ側に配設されたピッキング設備であって、
平面的に、少なくとも最下段の棚を除いて前記ピッキング棚の他の段の棚と、前記搬送手段の前記ピッキング棚側の一部とを重ねて配置し、
前記ピッキング棚の最下段の棚の前記搬送手段に面する端部の高さを、前記搬送手段上の集品容器の上端の高さより低く設定し、
前記最下段の棚より1つ上方の段の棚の前記搬送手段に面する端部の高さを、前記ピッキング作業者により最下段の棚より物品を取り出せる高さに設定したこと
を特徴とするピッキング設備。
【請求項4】
前記各集品容器に、前記物品収納部より取り出した物品を投入する投入対象の集品容器であることを表示する投入表示器を設けたことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のピッキング設備。
【請求項5】
前記ピッキング棚および前記搬送手段に、搬送手段により搬送されてくる各集品容器に対してピッキング棚に保管された物品を取り出して投入するピッキング作業を実行する複数のゾーンを形成し、 前記搬送手段を、前記集品容器1個毎に蓄積・移動可能で、集品容器が互いにぶつからないで集積するように設計されたコンベヤにより構成し、各ゾーン毎に、下流側に詰めて複数の集品容器を蓄積・移動可能としたこと
を特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のピッキング設備。
【請求項6】
前記物品収納部に収納する物品を、元の収納箱から取り出されて個別とされた物品、あるいは前記元の収納箱より物品が移し変えられた、前記元の収納箱より小さい収納箱としたこと
を特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載のピッキング設備。
【請求項7】
前記物品収納部にそれぞれ、取り出す物品があることを表示する表示手段を設け、
前記ピッキング棚の最下段の棚の物品収納部に設けた表示手段の表示の向きと、他の段の物品収納部に設けた表示手段の表示の向きとを、異なる向きとしたこと
を特徴とする請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載のピッキング設備。
【請求項8】
物品をそれぞれ収納する複数の物品収納部を有し、所定数の物品収納部毎に、ピッキング作業を実行するゾーンが設定された第2のピッキング棚を備え、
前記第2のピッキング棚を、前記ピッキング作業者を挟んで、前記搬送手段と反対側に配置したこと
を特徴とする請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載のピッキング設備。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate