説明

ピックアップ装置の制御方法およびディスク装置

【課題】メディアの反りに対応して光学素子を傾斜させるチルト制御を実行させているときに、傾けられた光学素子が不用意に移動する不具合の発生を回避させる。
【解決手段】光をメディアに集光させる光学素子11,12を少なくとも備えるピックアップ装置2Aを用いて、光学素子11,12の制御を行わせるピックアップ装置2Aの制御方法に関する。メディアの反りに対応して光学素子11,12を傾斜させるチルト制御を必要に応じて調整/変更させる。光学素子をメディアの半径方向Drに略沿って駆動させるコイル33を備えるピックアップ装置2Aを用い、メディアの反りに対応して光学素子を傾斜させるときに、光学素子の傾斜角度に応じてコイル33に所定の補正逆電圧を印加させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば各種光ディスク等の各種メディアに記録されたデータ、情報、信号等を再生させたり、書込み可能もしくは書換え可能な各種光ディスク等の各種メディアにデータ、情報、信号等を記録させたりすることが可能なピックアップ装置の制御方法およびディスク装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
光ピックアップ装置から出射されるレーザ光(LASER:light amplification by stimulatedemission of radiation)によって、光ディスク等のメディアに記録された信号等が再生される。また、光ピックアップ装置から出射されるレーザ光によって、光ディスク等のメディアに信号等が記録される。光ピックアップ装置は、光ディスク等のメディアを収容可能な光ディスク装置に内装されている。
【0003】
光ピックアップ装置に関するものとして、例えば、マグネットの着磁パターンが工夫されると共に、フォーカスコイル、トラッキングコイル、チルトコイルの配置が工夫されることにより、部品数が少なく、小型化が可能で、応答性に優れた光ピックアップ装置を構成可能とさせたものが紹介されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
ここで、光ピックアップ装置におけるチルト(tilt)について簡単に説明する。例えば、ディスク等のメディアの反りに応じてアクチュエータ主体部を傾けて、アクチュエータ主体部を構成するものとして一体化されているレンズを傾けることで、ディスク等のメディアに対するデータ、情報、信号等の読取り/書込み性能を向上させる制御方法/手段等をチルト制御という。アクチュエータ(actuator)とは、例えばエネルギーを並進運動、回転運動等に変換させる駆動装置を意味する。
【0005】
近年、例えばフォーカスコイルの機能とチルトコイルの機能とを併せもったフォーカス/チルトコイルを備える光ピックアップ装置が検討されている。例えば、一方のフォーカス/チルトコイルと他方のフォーカス/チルトコイルとの間に位置するトラッキングコイル(不図示)がレンズホルダに並設されて構成されたアクチュエータを有する光ピックアップ装置が検討されている。この場合、一方のフォーカス/チルトコイルと他方のフォーカス/チルトコイルの間に位置する不図示のトラッキングコイルとに対応して、例えば多極着磁マグネットが並設されてアクチュエータが構成される。このように、駆動用磁石として多極着磁マグネットを備えて構成されたアクチュエータを有する光ピックアップ装置が検討された結果、そのような光ピックアップ装置が一部実用化されている。なお、ここでは一方のフォーカス/チルトコイル並びに他方のフォーカス/チルトコイルの説明を分かり易くさせるために、便宜上、トラッキングコイルは省略されている。
【0006】
例えば光ピックアップ装置のアクチュエータ主体部にチルト制御を行わせつつ作動させるときに、一方のフォーカスコイルに印加される電圧と他方のフォーカスコイルに印加される電圧との間に一定の電位差を発生させることによって、その電位差に応じた傾斜角いわゆるチルト角度の分だけアクチュエータ主体部を傾斜させることが可能となる。
【0007】
又は、例えば光ピックアップ装置のアクチュエータにチルト制御を行わせつつ作動させるときに、一方のフォーカス/チルトコイルに流される電流方向に対し、他方のフォーカス/チルトコイルに流される電流方向を逆とさせ、各フォーカス/チルトコイルの電流量に応じて各フォーカス/チルトコイルに力を発生させて光ピックアップ装置のアクチュエ
ータ主体部を傾斜させることも可能とされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2006−24277号公報(第1,5頁、第1−7図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
光ピックアップ装置用アクチュエータにおいては、フォーカス、トラッキング、チルトの最大三軸に区別された駆動能力が求められている。
【0010】
しかしながら、上記多極着磁マグネットを備えて構成されたアクチュエータを有する光ピックアップ装置においては、アクチュエータにチルト制御を実行させてレンズを備えたアクチュエータ主体部を傾斜させると、アクチュエータ主体部全体に例えば光ピックアップ装置のトラッキング方向に略沿った力がかかり、その結果、レンズを備えるアクチュエータ主体部がトラッキング方向に略沿って移動するということが懸念されていた。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本発明の請求項1に係るピックアップ装置の制御方法は、光をメディアに集光させる光学素子を少なくとも備えるピックアップ装置を用いて、前記光学素子の制御を行わせるピックアップ装置の制御方法であって、前記メディアの反りに対応して前記光学素子を傾斜させるチルト制御を必要に応じて調整/変更させることを特徴とする。
【0012】
請求項2に係るピックアップ装置の制御方法は、請求項1に記載のピックアップ装置の制御方法において、前記メディアの信号面部に前記光を集光させるときに、前記光を前記信号面部に追従させるために、前記信号面部に前記光のフォーカスを合わせるためのフォーカスサーボおよび前記信号面部のトラックをトレースするためのトラッキングサーボを働かせて前記光学素子を制御させることを特徴とする。
【0013】
請求項3に係るピックアップ装置の制御方法は、請求項1又は2に記載のピックアップ装置の制御方法において、前記光学素子を前記メディアの半径方向に略沿って駆動させるコイルをさらに備える前記ピックアップ装置を用い、前記メディアの前記反りに対応して前記光学素子を傾斜させるときに、前記光学素子の傾斜角度に応じて前記コイルに所定の補正逆電圧を印加させることを特徴とする。
【0014】
請求項4に係るピックアップ装置の制御方法は、請求項1〜3の何れか1項に記載のピックアップ装置の制御方法において、前記光学素子のチルト角度をAと定め、前記メディアの半径方向に略沿った前記光学素子の移動量をMと定めたときに、前記移動量Mは、下式(I)に基づいて定められ、前記メディアの前記反りに対応して前記光学素子を傾斜させるときに、前記メディアの前記半径方向に略沿って前記移動量Mの補正をかけることを特徴とする。
M=(C×A)+B …(I)
(但し、式(I)中の係数B,Cは、任意の数値とされる。)
【0015】
請求項5に係るピックアップ装置の制御方法は、請求項1〜4の何れか1項に記載のピックアップ装置の制御方法において、少なくともフォーカスエラー信号もしくはトラッキングエラー信号の何れか一方または両方に基づき、アルゴリズムを用いて、前記ピックアップ装置のコイルに送られる信号を算出させることを特徴とする。
【0016】
請求項6に係るピックアップ装置の制御方法は、請求項5に記載のピックアップ装置の制御方法において、下式(A)に基づいて、前記コイルに送られる前記信号を算出させることを特徴とする。
【数1】

【0017】
請求項7に係るピックアップ装置の制御方法は、請求項1〜4の何れか1項に記載のピックアップ装置の制御方法において、前記光学素子を少なくとも前記光学素子の光軸方向に略沿って駆動させる第一フォーカス/チルトコイルおよび第二フォーカス/チルトコイルと、前記光学素子を前記メディアの半径方向に略沿って駆動させるトラッキングコイルと、を備える前記ピックアップ装置を用い、前記第一フォーカス/チルトコイルに入力される駆動信号をFO1と定め、前記第二フォーカス/チルトコイルに入力される駆動信号をFO2と定め、前記トラッキングコイルに入力される駆動信号をTRと定め、前記メディアに対して前記光学素子の前記光軸方向に略沿った前記光の焦点ずれが生じたときに検出されるフォーカスエラー信号をFEと定め、前記メディアに対して前記メディアの前記半径方向に略沿った前記光の焦点ずれが生じたときに検出されるトラッキングエラー信号をTEと定め、前記メディアに対して前記光の焦点角度ずれが生じたときに前記光学素子の角度ずれを補正させる補正チルト量信号をTILTと定めたときに、前記第一フォーカス/チルトコイルに入力される駆動信号は、下式(1)に基づいて定められ、前記第二フォーカス/チルトコイルに入力される駆動信号は、下式(2)に基づいて定められ、前記トラッキングコイルに入力される駆動信号は、下式(3)に基づいて定められることを特徴とする。
【数2】

【数3】

【数4】

(但し、式中の係数A11,A12,A13,A14,A21,A22,A23,A24,A31,A32,A33,A34は、任意の値とされる。)
【0018】
請求項8に係るピックアップ装置の制御方法は、請求項7に記載のピックアップ装置の制御方法において、必要に応じて、前記係数A13,A23に零を除く任意の値を入力させ、そのときの前記係数A13に対する前記係数A23は、正負逆の値とさせることを特徴とする。
【0019】
請求項9に係るピックアップ装置の制御方法は、請求項7又は8に記載のピックアップ装置の制御方法において、必要に応じて、前記係数A14,A24に零を除く任意の値を入力させることを特徴とする。
【0020】
請求項10に係るピックアップ装置の制御方法は、請求項7〜9の何れか1項に記載のピックアップ装置の制御方法において、必要に応じて、前記係数A11,A21に零を除く任意の値を入力させ、そのときの前記係数A11に対して前記係数A21に差をもたせることを特徴とする。
【0021】
請求項11に係るピックアップ装置の制御方法は、請求項7〜10の何れか1項に記載のピックアップ装置の制御方法において、前記光学素子にローリングが生じようとされたときに、前記係数A13,A23に零を除く任意の値が入力され、前記光学素子のローリング周波数により、前記係数A13,A23に入力される前記値を変化させることを特徴とする。
【0022】
請求項12に係るディスク装置は、請求項1〜11の何れか1項に記載のピックアップ装置の制御方法が実行可能とされたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
以上の如く、本発明によれば、ピックアップ装置の光学素子が用いられて反りの生じたメディアに光を集光させている際に、メディアの反りに対応して光学素子を傾斜させるチルト制御を実行させているときに、傾けられた光学素子が不用意に移動するという不具合の発生を回避させることができる。
【0024】
また、本発明によれば、メディアの信号面部に光を精度よく集光させることができる。フォーカスサーボおよびトラッキングサーボが働かされることにより、光をメディアに集光させる光学素子の制御が行われ、光学素子の位置が算出される。
【0025】
また、本発明によれば、メディアの反りに対応して光学素子を傾斜させるチルト制御を実行させているときに、傾けられた光学素子が不用意に移動するという不具合の発生を回避させることができる。メディアの反りに対応して光学素子を傾斜させるときに、光学素子の傾斜角度に応じてコイルに所定の補正逆電圧を印加させることにより、光学素子が不用意に移動するというシフト動作がキャンセルされ、光学素子を傾斜させるチルト制御は正常に作動する。
【0026】
また、本発明によれば、傾けられた光学素子がメディアの半径方向に略沿って不用意に移動するというシフト動作の発生を回避させることができる。メディアの反りに対応して光学素子を傾斜させるチルト制御を実行させているときに、傾けられた光学素子がメディアの半径方向に略沿って不用意に移動するシフト動作はキャンセルされ、光学素子を傾斜させるチルト制御は正常に作動する。
【0027】
また、本発明によれば、例えば追加の特別な回路が装備されていなくても、ピックアップ装置の光学素子がチルト制御させられて傾けられるときに、光学素子が不用意に移動するというシフト動作をキャンセルさせることができる。また、追加の特別な回路が必要と
されないことから、コストアップされることなく、チルト制御中のピックアップ装置の光学素子が不用意に移動するというシフト動作の発生を回避させ易くすることができる。ピックアップ装置の光学素子の動作に対してチルト制御が行われているときに、光学素子に生じるシフト動作に対し改善を行うために、例えばシステムとして対策可能な手段が採用されることにより、ピックアップ装置の設計自由度が改善され、また、コストダウンの対応も可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明に係るピックアップ装置の制御方法が実行されるピックアップ装置の第一実施形態を示す光学配置図である。
【図2】メディア上のスポット配置とエラー信号検出系とを示す説明図である。
【図3】本発明に係るピックアップ装置の制御方法が実行されるピックアップ装置の第一実施形態を示す側面図である。
【図4】同じくピックアップ装置を示す側面図である。
【図5】同じくピックアップ装置を示す側面図である。
【図6】同じくピックアップ装置を示す側面図である。
【図7】同じくピックアップ装置を示す側面図である。
【図8】同じくピックアップ装置を示す側面図である。
【図9】同じくピックアップ装置を示す側面図である。
【図10】ピックアップ装置のレンズに生じるローリング周波数を示す波形図である。
【図11】同じくピックアップ装置のレンズに生じるローリング周波数を示す波形図である。
【図12】ピックアップ装置の信号経路の一部を示す概略図である。
【図13】ピックアップ装置のホルダのチルト角とホルダ移動量との関係を示す説明図である。
【図14】ピックアップ装置を示す概略平面図である。
【図15】本発明に係るディスク装置の第一実施形態を示す説明図である。
【図16】ディスク装置のサーボ信号経路の一部を示すブロック図である。
【図17】駆動信号を算出させるときの演算処理経路を示す説明図である。
【図18】本発明に係るピックアップ装置の制御方法が実行されるピックアップ装置の第二実施形態を示す概略平面図である。
【図19】本発明に係るピックアップ装置の制御方法およびディスク装置の第三実施形態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下に本発明に係るピックアップ装置の制御方法およびディスク装置の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【実施例1】
【0030】
図1〜図14は、本発明に係るピックアップ装置の制御方法が実行されるピックアップ装置の第一実施形態に関するものを示す図、図15〜図17は、本発明に係るディスク装置の第一実施形態に関するものを示す図である。
【0031】
図1〜図14は、ピックアップ装置の第一実施形態を分かり易く説明するために、便宜上、描かれた図とされている。また、図15〜図17は、ディスク装置の第一実施形態を分かり易く説明するために、便宜上、描かれた図とされている。各図について詳しく説明すると、図1は、ピックアップ装置2A/光ディスク装置1Aの制御方法が実行されるピックアップ装置2Aを示す光学配置図、図2は、例えばインライン方式による光ディスク200等のメディア200上における各集光スポット301,302,303,304の
配置とトラッキングエラー信号TE1,TE2の検出系とを示す説明図、図3〜図9は、ピックアップ装置2Aのアクチュエータ50を構成するアクチュエータ主体部70の回動中心軸貫通部75側からアクチュエータ主体部70を側面視したときのピックアップ装置2Aのアクチュエータ主体部70を示す説明図である。図3〜図9は、線状支持部材61,62,63,64,65,66の延設方向に略沿った側からアクチュエータ主体部70を眺めた状態を示す側面図である。
【0032】
なお、メディアとは、情報を記録して媒介するものや情報を記録して伝達するものを意味する。例えば、ここでのメディアとは、データ、情報、信号などが保存されるディスク等を意味する。略円板状をした光ディスク200の内周側から外周側にかけて例えば一本のトラックが略螺旋状に形成されている。
【0033】
先ず、光ピックアップ装置2Aおよび光ディスク装置1Aならびにそれらの制御方法について説明する。
【0034】
この光ピックアップ装置2A(図1,図3,図15)は、ディスク200(図1,図15)等の各種メディア200に対しレーザ光300を絞り込ませて照射させる合成樹脂製もしくはガラス製の第一の光学素子とされる第一の対物レンズ11(図1,図3)および合成樹脂製もしくはガラス製の第二の光学素子とされる第二の対物レンズ12を備える。この光ピックアップ装置2Aは、一対の光学素子いわゆる対物レンズ11,12を備えている。
【0035】
光ピックアップ装置2Aは、各種光ディスク200(図15)等の各種メディア200に記録されたデータ、情報、信号等を再生させる。また、光ピックアップ装置2Aは、書込み可能もしくは書換え可能な各種光ディスク200等の各種メディア200にデータ、情報、信号、画像等を記録させる。また、データ、情報、信号等の消去が可能な各種光ディスク200等の各種メディア200に対応して、光ピックアップ装置2Aは、各種光ディスク200等の各種メディア200に記録されたデータ、情報、信号等を消去させる。
【0036】
また、光ピックアップ装置2Aは、例えば「CD」(Compact Disc)(商標)系列のメディア、「DVD」(登録商標)(Digital Versatile Disc)系列のメディア、「HD DVD」(High Definition DVD)(登録商標)系列のメディア、中国において定められた規格に基づくメディアとされる「CBHD(China Blue High−Definition)」(例:旧名「CH−DVD」)系列のメディア、「Blu−ray Disc」(登録商標)系列のメディアに対応する。光ピックアップ装置2Aは、例えば、上記各種メディアからなる群から選ばれる少なくとも一種のメディアに対応したものとされている。具体的に説明すると、光ピックアップ装置2Aは、上記複数の何れかのメディアに対応したものとされている。
【0037】
例えば、この光ピックアップ装置2Aは、CD規格及びDVD規格の何れの光ディスク200にも対応したものである。なお、CD−ROM、CD−R、CD−RW等のCD規格の光ディスク200のトラックピッチ214(図2)と、DVD−ROM、DVD−R、DVD+R、DVD−RW、DVD+RWの光ディスク200のトラックピッチ214と、DVD−RAM(Version1)の光ディスク200のトラックピッチ214と、DVD−RAM(Version2.0,2.1)の光ディスク200のトラックピッチ214と、は異なるが、各図面においては、各種の光ディスク200は、便宜上、一纏めに描かれている。また、光ディスク200の信号面部210上に照射/形成される各光のスポット301,302,303,304の形状/配置/形態等は、便宜上、描かれた形状/配置/形態等とされている。
【0038】
メディア200として例えば上記各種光ディスク200等が挙げられるが、次の形態をしたメディア200も挙げられる。例えば、ディスク200として、ディスク両面に信号面部210,220が設けられ、データ書込み/消去やデータ書換え等が可能とされた光ディスク200等も挙げられる。また、ディスク200として、例えば二層の信号面部210,220が設けられ、データ書込み/消去やデータ書換え等が可能とされた光ディスク200等も挙げられる。また、例えば三層の信号面部が設けられ、データ書込み/消去やデータ書換え等が可能とされた「HD DVD」用光ディスク等も挙げられる(不図示)。また、例えば四層の信号面部が設けられ、データ書込み/消去やデータ書換え等が可能とされた「Blu−ray Disc」用光ディスク等も挙げられる(不図示)。また、例えば光ディスク200のレーベル面部(220)の側にレーザ光300を照射させてレーベル等の各種書込み等を行うことが可能とされた光ディスク200等も挙げられる。なお、この明細書における符号に付けられた括弧( )は、図示等されたものと若干異なるものを説明するために、便宜上、用いられている。光ディスク200の信号面部210/220、レーベル面部(220)は、例えば金属薄膜などの薄層等を備えて構成されている。金属薄膜などを備えて構成される信号面部210/220にデータ、情報、信号などが記録され、レーベル面部(220)に画像などが記録される。
【0039】
また、例えば光ピックアップ(optical pickup)又は光ピックアップ装置(optical pickup unit)は、「OPU」と略称される。また、メディア(media)とは、例えば、データ、情報、信号などが保存されるディスク等を意味する。
【0040】
また、このOPU2Aは、発光素子3に電気を流すことで発光素子3からレーザ光300を出射させるレーザ駆動回路部(不図示)を備える。レーザ駆動回路部いわゆるレーザドライバは、「LDD」等と呼ばれている。「LDD」は、「LD driver」の略称である。LDDは、発光素子3を駆動させて発光素子3から所定の波長のレーザ光300を出射させるレーザ駆動回路を備える。LDDは、他のOPUに共通して使用可能な例えば規格化されたLDDとして構成される。
【0041】
また、このOPU2Aは、光ディスク200(図1,図15)にレーザ光300を照射させる少なくとも一つの発光素子3いわゆるレーザダイオード(LD:laser diode)を備える。例えば、波長が約340〜450nm(ナノメートル)、好ましくは約380〜450nm、より好ましくは約400nmを超え450nm以下、基準とされる波長が略405nmの青紫色レーザ光300を出射可能な「HD DVD」用もしくは「CBHD」用および/または「Blu−ray Disc」用の0.2〜500mW(ミリワット)のレーザ光300がLD3から出射される。また、例えば、波長が約630〜685nm、基準とされる波長が略635nmまたは650nmの赤色レーザ光300を出射可能な「DVD」用の0.2〜500mWのレーザ光300がLD3から出射される。また、例えば、波長が約765〜840nm、基準とされる波長が略780nmの赤外レーザ光300を出射可能な「CD」用の0.2〜500mWのレーザ光300がLD3から出射される。このLD3は、例えば複数種類の波長のレーザ光300を出射可能な特殊なLD3として構成される。
【0042】
具体的に説明すると、LD3(図1)は、CD規格に適した赤外波長帯略765nm〜840nmで0.2〜500mWの第一の波長(例えば780nm)の第一のレーザ光300を発する第一の光源3Iと、DVD規格に適した赤色波長帯略630nm〜685nmで0.2〜500mWの第二の波長(例えば650nm)の第二のレーザ光300を発する第二の光源3IIと、を同一の発光面上に有した例えばマルチレーザユニットである。LD3は、第一のレーザ光300と、第一のレーザ光300と異なる波長とされ且つ第一
のレーザ光300よりも短い波長のレーザ光300とされる第二のレーザ光300との二種類の波長のレーザ光300を出射可能な例えば二波長LD3として構成されている。このように、LD3は、複数種類の波長のレーザ光300を出射可能なLD3とされている。なお、第一の光源3I、第二の光源3IIは、半導体レーザ素子を構成するものである。
【0043】
LD3から例えば0.2以上500mW以下、具体的には0.5以上400mW以下の出力値のレーザ光300が出射される。例えば0.2mW未満の出力値のレーザ光300とされた場合、光ディスク200に照射されたのちに反射され受光素子に届くレーザ光300の光量が不足する。光ディスク200の各データ等を再生させるときには、例えば0.2mW以上好ましくは0.5mW以上より好ましくは2mW以上20mW以下程度という数〜数十mWの出力値のレーザ光300で十分とされる。光ディスク200に各データ等を書き込むときには、数十〜数百mWの出力値のレーザ光300が必要とされる。例えば光ディスク200に高速で各データ等を書き込むときには、400mWや500mW等という高い出力値のパルスレーザ光300が必要とされることがある。
【0044】
LD3は、例えば放熱性に優れる略円筒状または略円柱状のCANパッケージタイプのレーザダイオードとして構成されている。OPU2Aの設計/仕様などにより、CANパッケージタイプのLD3に代えて、例えば、薄型化、小型化等に対応可能な略板状のリードフレームパッケージタイプのレーザダイオード(不図示)が用いられてもよい。
【0045】
LD3を構成する第一の光源3I及び第二の光源3IIからそれぞれ出射される第一のレーザ光300及び第二のレーザ光300は、四分割などの複数分割された回折格子4によりメインビーム(0次光)と二つのサブビーム(±1次回折光束)とによる少なくとも3ビームを発生させるべく回折されたのちに、例えばカップリングレンズ5Iにより広がり角が調整されてプレート型の偏光部材6の偏光フィルタ面により反射される。
【0046】
回折格子は、例えばグレーティング(grating)などと呼ばれて取り扱われる。またグレーティングは、GRTとも呼ばれる。回折格子4は、光の回折を利用してLD3から出射されたレーザ光300を幾つかに分けるものとされている。詳しく説明すると、回折格子4は、光の回折を利用して、LD3から出射されたレーザ光300を、少なくとも一つのメインビームと二つのサブビームとに分ける役割を果たすものとされている。
【0047】
このOPU2Aは、第一レーザ波長光と、第一レーザ波長光に対し異なる波長のレーザ光300とされ且つ第一レーザ波長光よりも短い波長のレーザ光300とされる第二レーザ波長光と、に少なくとも対応し、第一レーザ波長光を少なくとも一本の第一メインビームと二本の第一サブビームとに分け、第二レーザ波長光を少なくとも一本の第二メインビームと二本の第二サブビームとに分け、第二レーザ波長光に対応し第二レーザ波長光を基準とした回折面部を有する回折格子4を備える。
【0048】
例えば、従来のCD用回折格子部およびDVD用回折格子部を両方具備する2波長対応回折格子(何れも不図示)においては、CD規格に準拠した第一のレーザ光300又はDVD規格に準拠した第二のレーザ光300がCD用回折格子部およびDVD用回折格子部の両方を通過した結果、不要な回折光が発生されることが問題とされていた。このような不要な回折光の発生を解消させるために、回折格子4は、DVD規格に準拠した一波長光用回折格子部のみの構成とされている。
【0049】
また、カップリングレンズ5Iは、例えばLD3から出射されたレーザ光300を調整するものとされている。カップリングレンズは、ダイバージェントレンズ、中間レンズなどと呼ばれて取り扱われることもある。
【0050】
また、偏光部材6として例えば偏光ビームスプリッタが用いられる。偏光ビームスプリッタは、例えば「PBS」と略称して用いられる。「PBS」は、「Polarized
Beam Splitter」もしくは「Polarizing Beam Splitter」の略称である。また、偏光部材6として例えばハーフミラーが用いられる。ハーフミラーは、一部のレーザ光を透過させ、一部のレーザ光を反射させるものとされている。ハーフミラー(Half Mirror)は、例えば「HM」と略称される。また、偏光部材6として例えばダイクロイックミラー(Dichroic Mirror)が用いられる。ダイクロイック(dichroic)とは、二つの色相をもつことを意味する。ダイクロイックミラーは、ダイクロミラー等と略称される。
【0051】
偏光部材6により反射されたレーザ光300は、光学レンズとされるコリメータレンズ7により略平行光に形成されたのちに、1/4波長板8を通過して円偏光に変換され、さらに反射ミラー9により光軸が折曲されて光学レンズとされる対物レンズ11/12に入射され、対物レンズ11/12により収束されて光ディスク200に照射される。
【0052】
コリメータレンズ7は、LD3側からレンズに入射された光を平行光もしくは略平行光にして出射させる。平行光とは、光線が広がらずにどこまでも平行に進む光を意味する。これに対し、例えば拡散光とは、さまざまな方向に光を拡散させて照射させる光源の光を意味する。コリメータレンズは、例えばコリメートレンズなどとも呼ばれる。また、コリメータレンズ(Collimator Lens)は、「CL」もしくは「COL」と略称される。
【0053】
1/4波長板8は、直線偏光を円偏光に変えたり、円偏光を直線偏光に変えたりする。直線偏光が円偏光にされ、1/4波長板8と、光ディスク200との間のレーザ光300が円偏光とされることで、例えば光ディクスが粗悪なものとされていても、光ディスク200に対するデータの記録/再生動作は正常に行われる。また、直線偏光が円偏光にされ、1/4波長板8と、光ディスク200との間のレーザ光300が円偏光とされることで、光ディスク200に対し、データの書込み/再生が行われるときの特性が向上する。1/4波長板は、1/4λ板とも呼ばれる。なお、OPU2Aの機種などにより、光路に1/4波長板8が介在されていないOPU(不図示)もある。1/4波長板(Quarter−Wave Plate)は、「QWP」と略称される。
【0054】
反射ミラー9に、レーザ光300を略全反射させる皮膜が設けられている。従って、反射ミラー9に当てられたレーザ光300は、略全反射される。
【0055】
対物レンズ11/12は、LD3から出射されたレーザ光300を光ディスク200上に集光させる役割を果たす。対物レンズ11/12によって集光されたレーザ光300は、光ディスク200の信号層210/220(図15)に照射される。対物レンズ(objective lens)は、「OBL」と略称される。
【0056】
例えばOPU2Aを第一信号層210と第二信号層220との複数の信号層210,220を有する光ディスク200に対応可能とさせるために、OBL11/12(図1,図3〜図9)は、OBL11/12の光軸方向Dfに略沿って移動可能な状態でOPU2Aに備えられている。OBL11/12の光軸方向Dfに略沿って、OBL11/12が移動可能な状態でOPU2Aに備えられることにより、複数の信号層210,220を有する光ディスク200に対応可能なOPU2Aが構成される。また、OBL11/12は、光ディスク200(図2)の信号層210等のトラック212等に正確に追従するために、ディスク半径方向Drに略沿って移動可能な状態でOPU2Aに備えられている。また、OBL11/12(図1,図3〜図9)は、光ディスク200(図2)の信号層210等のトラック212等に正確に追従するために、揺動方向Dt(図3〜図9)に略沿って
移動可能な状態でOPU2Aに備えられている。
【0057】
また、例えばOPU2A(図15)の設計/仕様などにより、光ディスク200の第一信号層210と第二信号層220との複数の信号層210,220を有する光ディスク200に対応可能とさせるために、CL7(図1)がCL7の光軸方向に略沿って移動可能な状態でOPU2Aに備えられる。CL7の光軸方向に略沿って、CL7が移動可能な状態でOPU2Aに備えられることにより、複数の信号層210,220(図15)を有する光ディスク200に、より確実に対応可能なOPU2Aが構成される。
【0058】
以上のように、回折格子4(図1)、カップリングレンズ5I、偏光部材6、CL7、QWP8、反射ミラー9、OBL11/12等は、OPU2Aの集光光学系の一例とされている。OBL11/12および回折格子4は、回折格子4によって分岐されたメインビームと二つのサブビームとを集光して、光ディスク200のトラック212上において、細長のトラック212に対し略平行もしくは斜めに傾けられて略一列にメインビームに対応したメインスポット302と二つのサブビームに対応した二つのサブスポット303,304とを照射させる。
【0059】
なお、OPU2Aの設計/仕様などにより、例えばカップリングレンズ(5I)が装備されることなく省略されてもよい。また、図1においては、CL7と反射ミラー9との間にQWP8が位置するOPU2Aの光学配置例を示したが、OPU2Aの設計/仕様などにより、例えば、CL(7)と反射ミラー(9)との間にQWP(8)が装備されることなく、偏光部材(6)とCL(7)との間にQWP(8)が位置するOPU(2A)も使用可能とされている。
【0060】
また、光ディスク200に信号が記録可能なOPU2Aにおいては、LD3から出射されるレーザ光300をモニタし、LD3の制御のためにフィードバックをかける受光素子いわゆるフロントモニタダイオード5IIが、例えば偏光部材6の周辺近傍に装備される。
【0061】
偏光部材6の周辺近傍に装備される受光素子は、レーザ光300の一部が照射されるフロントモニタダイオード5IIとして構成されている。フロントモニタダイオード(Front Monitor Diode)は、「FMD」と略称される。FMD5IIは、LD3から出力されるレーザ光300をモニタして、LD3の制御のためにフィードバックをかけるものとされている。
【0062】
光軸方向Df、ディスク半径方向Dr、揺動方向Dtに略沿ってOBL11/12を駆動させることにより、光ディスク200の信号層210にレーザ光300を合焦させるとともに、光ディスク200の所定のトラック212(図2)にレーザ光300を追従させるように、OBL11/12(図1)から光ディスク200に向けてレーザ光300が照射される。
【0063】
光ディスク200の信号層210により変調されて反射されたレーザ光300はOBL11/12に戻り、往路と途中まで略同じ光路である復路を経由して偏光部材6に至る。光ディスク200の信号層210に例えば右旋回のレーザ光300が照射されたときに、反射されたレーザ光300は、例えば左旋回のレーザ光300に反転された状態の円偏光となる。また、光ディスク200への往路で例えばS偏光であったレーザ光300は、復路では例えばP偏光のレーザ光300となってQWP8から出射され、P偏光のレーザ光300は、偏光部材6に入射される。
【0064】
例えばP偏光の「P」は、ドイツ語の「parallel」の略称とされ、「平行」を意味する。また、例えばP偏光に対するS偏光の「S」は、ドイツ語の「senkrec
ht」の略称とされ、「垂直」を意味する。OPUの設計/仕様などにより、P偏光およびS偏光は、使い分けられる。
【0065】
復路のP偏光のレーザ光300は、偏光部材6を略透過する。偏光部材6に戻されたレーザ光300は、例えば偏光部材6を透過する際の非点収差を補正すべく傾けられて配置された第一の平行平板10Iを透過する。また、第一の平行平板10Iを透過したレーザ光300が傾けられて配置された第二の平行平板10IIを透過することにより、例えば光ディスク200に照射されるレーザ光300のフォーカスエラー成分となる非点収差が付与されるとともに、偏光部材6及び第一の平行平板10Iにより発生されるコマ収差が補正された上で、光検出器80にレーザ光300が導かれる。この結果、光検出器80は、第二の平行平板10IIより導かれたレーザ光300に基づきトラッキングエラー信号やフォーカスエラー信号などを生成する。
【0066】
OPU2Aの設計/仕様などにより、第一の平行平板10Iおよび第二の平行平板10IIは、例えば非点収差素子10I,10IIとされる。例えば第一の非点収差素子10Iおよび第二の非点収差素子10IIもOPU2Aの集光光学系の一例とされる。また、第一の平行平板10Iおよび第二の平行平板10IIに代えて、例えばレーザ光300の非点収差を発生させて光ディスク200の信号層210に照射される集光スポット301のフォーカシング検出を非点収差法/差動非点収差法などに基づいて検出可能とさせる一つのアナモフィックレンズ(不図示)等のセンサレンズ(不図示)等が非点収差素子として用いられてもよい。
【0067】
また、このOPU2Aは、光ディスク200の信号層210から反射されたレーザ光300を受光する少なくとも一つの受光素子いわゆる光検出器80またはPD(photo
detector)80もしくはPDIC(photo diode IC)を備える。光検出器80は、例えば四分割タイプ等の複数分割された回折格子4を透過したメインビーム(0次光)に対応する平面視略矩形のメイン受光部82/87(図2)と、回折格子4(図1)を透過することで回折分岐された一対のサブビーム(±1次回折光束)に対応する一対の平面視略矩形のサブ受光部83,84/88,89(図2)との三つの受光部を少なくとも備えて構成される。平面視略矩形のメイン受光部82/87は、略均等に四分割されて平面視略矩形の四つのセグメントを備える。また、平面視略矩形のサブ受光部83,84/88,89は、略均等に四分割されて平面視略矩形の四つのセグメントを備える。このように、複数の平面視略矩形のセグメントを備えた複数分割タイプの各受光部を有する光検出器80が、OPU2Aに装備される。セグメント(segment)とは、例えば、部分、断片など、全体が幾つかに分割されたもののうちの一つを意味する。
【0068】
光検出器80は、光ディスク200の信号層210(図15)から反射されたレーザ光300を受けて、その信号を電気信号に変え、光ディスク200の信号層210に記録されたデータ、情報、信号等を検出するためのものとされている。また、光検出器80は、光ディスク200の信号層210から反射されたレーザ光300を受けて、その信号をトラッキングエラー信号やフォーカスエラー信号などの電気信号に変え、OPU2A(図3〜図9)を構成するOBL11,12付レンズホルダ20のサーボ機構を動作させるためのものとされている。サーボ(servo)とは、例えば制御の対象の状態を測定し、予め定められた基準値と比較して、自動的に修正制御する機構のもの等を意味する。OPU2Aにより、光ディスク200(図1,図15)に記録されたデータ/情報/信号等が読み出されたり、光ディスク200にデータ/情報/信号等が書き込まれたりするときに、光検出器80の各受光部に各レーザ光300が照射されることにより、光ディスク200のメイン情報信号や、光ディスク200に対するフォーカスエラー信号およびトラッキングエラー信号が検出される。
【0069】
このOPU2Aは、一本の第一メインビームが照射される一つの第一メイン受光部82(図2)と、二本の第一サブビームが照射される二つの第一サブ受光部83,84と、を備えた第一受光領域81と、一本の第二メインビームが照射される一つの第二メイン受光部87と、二本の第二サブビームが照射される二つの第二サブ受光部88,89と、を備えた第二受光領域86と、を有する光検出器80を備えている。
【0070】
光検出器80の同一受光面部85において、CD規格の光ディスク200の記録/再生に用いられる第一の受光領域81たとえばCD受光領域81と、DVD規格の光ディスク200の記録/再生に用いられる第二の受光領域86たとえばDVD受光領域86と、が並べられて形成されている。
【0071】
互いに直交する二つの分割線により略十字状に四分割されてそれぞれ四つの光検出面部により構成されるCD用のメイン受光部82、サブ受光部83及び84が例えば縦に三つ並べられて配置されて、光検出器80にCD受光領域81が構成される。CD用のメイン受光部82、サブ受光部83及び84に、CD規格に基づく光ディスク200により反射された0次回折レーザ光、+1次回折レーザ光、−1次回折レーザ光のそれぞれの反射レーザ光が受光される。光検出器80のCD受光領域81に、例えば非点収差発生光学系により非点収差が付与されたCD規格に基づくレーザ光が受光される。光検出器80のCD用メイン受光部82の分割線82x、82y、サブ受光部83及び84のそれぞれの分割線83x、83y及び84x、84yは、受光されるレーザ光の非点収差の発生方向に対してそれぞれ略45°の角度となるように設定されている。
【0072】
また、互いに直交する二つの分割線により略十字状に四分割されてそれぞれ四つの光検出面部により構成されるDVD用のメイン受光部87、サブ受光部88及び89が例えば縦に三つ並べられて配置されて、光検出器80にDVD受光領域86が構成される。DVD用のメイン受光部87、サブ受光部88及び89に、DVD規格に基づく光ディスク200により反射された0次回折レーザ光、+1次回折レーザ光、−1次回折レーザ光のそれぞれの反射レーザ光が受光される。光検出器80のDVD受光領域86に、例えば非点収差発生光学系により非点収差が付与されたDVD規格に基づくレーザ光が受光される。光検出器80のDVD用メイン受光部87の分割線87x、87y、サブ受光部88及び89のそれぞれの分割線88x、88y及び89x、89yは、受光されるレーザ光の非点収差の発生方向に対してそれぞれ略45°の角度となるように設定されている。
【0073】
OPU2Aを構成する光検出器80のCD受光領域81には、CD規格に準拠した第一のレーザ光300を回折格子4により回折分岐した3ビーム、具体的には、メインビーム(0次光)と、そのメインビームの前後に配置される二つのサブビーム(±1次回折光束)とのそれぞれに対応して、第一のメイン受光部82と、二つの第一のサブ受光部83,84とが形成される。本願における「前」、「後」の定義は、便宜上の定義とされている。第一のメイン受光部82、第一のサブ受光部83,84は、それぞれ四分割されて四つの光検出面部により構成される。
【0074】
詳しく説明すると、CD受光領域81の略矩形状をした中央の第一のメイン受光部82は、略直交する二本の分割線82x、82yにより四分割されて、四つの略矩形状をした光検出面部82a、82b、82c、82dいわゆるセグメント82a、82b、82c、82dを備えて構成される。CD受光領域81の略矩形状をした中央の第一のメイン受光部82は、略矩形状をした第一のメインセグメント82aと、第一のメインセグメント82aに隣接する略矩形状をした第二のメインセグメント82bと、第二のメインセグメント82bに隣接する略矩形状をした第三のメインセグメント82cと、第三のメインセグメント82cに隣接する略矩形状をした第四のメインセグメント82dと、を備えて構成され、第四のメインセグメント82dに第一のメインセグメント82aが隣接されてい
る。CD受光領域81の中央の第一メイン受光部82は、略正方形状に構成されている。
【0075】
また、CD受光領域81の略矩形状をした前側の第一のサブ受光部83は、略直交する二本の分割線83x、83yにより四分割されて、四つの略矩形状をした光検出面部83a、83b、83c、83dいわゆるセグメント83a、83b、83c、83dを備えて構成される。CD受光領域81の略矩形状をした前側の第一のサブ受光部83は、略矩形状をした第一のサブセグメント83aと、第一のサブセグメント83aに隣接する略矩形状をした第二のサブセグメント83bと、第二のサブセグメント83bに隣接する略矩形状をした第三のサブセグメント83cと、第三のサブセグメント83cに隣接する略矩形状をした第四のサブセグメント83dと、を備えて構成され、第四のサブセグメント83dに第一のサブセグメント83aが隣接されている。CD受光領域81の前側の第一サブ受光部83は、略正方形状に構成されている。
【0076】
また、CD受光領域81の略矩形状をした後側の第一のサブ受光部84は、略直交する二本の分割線84x、84yにより四分割されて、四つの略矩形状をした光検出面部84a、84b、84c、84dいわゆるセグメント84a、84b、84c、84dを備えて構成される。CD受光領域81の略矩形状をした後側の第一のサブ受光部84は、略矩形状をした第一のサブセグメント84aと、第一のサブセグメント84aに隣接する略矩形状をした第二のサブセグメント84bと、第二のサブセグメント84bに隣接する略矩形状をした第三のサブセグメント84cと、第三のサブセグメント84cに隣接する略矩形状をした第四のサブセグメント84dと、を備えて構成され、第四のサブセグメント84dに第一のサブセグメント84aが隣接されている。CD受光領域81の後側の第一サブ受光部84は、略正方形状に構成されている。
【0077】
第一のメイン受光部82、第一のサブ受光部83,84を構成する各セグメントから得られる各受光出力に所定の演算を施すことにより、CD規格の光ディスク200の記録/再生時等に、メイン情報信号、フォーカスエラー信号FE1及びトラッキングエラー信号TE1が得られる。なお、第一のメイン受光部82、第一のサブ受光部83,84は、四分割に限定されず、例えば二分割であってもよい。また、第一のサブ受光部83,84は、例えば分割されていなくてもよい。
【0078】
例えば、CD規格に準拠した第一のレーザ光300が光ディスク200に照射される場合、つぎのとおりトラッキングエラー信号TE1の検出が行われる。
【0079】
CD規格に対応したメイン検出光スポット302を形成するCD用のメインビームが光ディスク200の信号層210から反射されて、光検出器80のCD受光領域81におけるメイン受光部82にメイン検出光スポット312として照射されたときに、メイン受光部82に接続された不図示の減算器は、メイン受光部82からの出力信号の差分を演算し例えばメインプッシュプル信号TEa1として生成する。
【0080】
また、CD規格に対応した第一のサブ検出光スポット303を形成するCD用の第一のサブビームが光ディスク200の信号層210から反射されて、光検出器80のCD受光領域81における一方の第一のサブ受光部83に第一のサブ検出光スポット313として照射されたときに、一方の第一のサブ受光部83に接続された不図示の減算器は、一方の第一のサブ受光部83からの出力信号の差分を演算し例えば先行サブプッシュプル信号TEb1として生成する。
【0081】
また、CD規格に対応した第二のサブ検出光スポット304を形成するCD用の第二のサブビームが光ディスク200の信号層210から反射されて、光検出器80のCD受光領域81における他方の第一のサブ受光部84に第二のサブ検出光スポット314として
照射されたときに、他方の第一のサブ受光部84に接続された不図示の減算器は、他方の第一のサブ受光部84からの出力信号の差分を演算し例えば遅行サブプッシュプル信号TEc1として生成する。
【0082】
中央のメインスポット302に対応した中央のメイン検出光スポット312から検出されるメインプッシュプル信号TEa1と、前後のサブスポット303,304のそれぞれに対応する前後のサブ検出光スポット313,314から検出される各サブプッシュプル信号TEb1,TEc1とは、互いに逆位相で出力される。そののちに、加算器106によって各サブプッシュプル信号TEb1、TEc1が加算され、この加算生成された加算サブプッシュプル信号TEd1が増幅器107によって例えば増幅率Gで増幅されたのちに減算器108によってメインプッシュプル信号TEa1に対し減算処理されることにより、プッシュプル信号TEa1,TEb1,TEc1,TEd1の各オフセット成分が相殺された精度の高いトラッキングエラー信号TE1を生成させることが可能となる。増幅器107によって増幅される増幅率Gは、例えば回折格子4の回折効率による0次光と±1次回折光の光強度の相違を調整するべく定まる値である。
【0083】
OPU2Aを構成する光検出器80のDVD受光領域86には、DVD規格に準拠した第二のレーザ光300を回折格子4により回折分岐した3ビーム、具体的には、メインビーム(0次光)と、そのメインビームの前後に配置される二つのサブビーム(±1次回折光束)とのそれぞれに対応して、第二のメイン受光部87と、第二のサブ受光部88,89とが形成される。第二のメイン受光部87、第二のサブ受光部88,89は、四分割されてそれぞれ四つのセグメントにより構成される。
【0084】
詳しく説明すると、DVD受光領域86の略矩形状をした中央の第二のメイン受光部87は、略直交する二本の分割線87x、87yにより四分割されて、四つの略矩形状をしたセグメント87a、87b、87c、87dを備えて構成される。DVD受光領域86の略矩形状をした中央の第二のメイン受光部87は、略矩形状をした第一のメインセグメント87aと、第一のメインセグメント87aに隣接する略矩形状をした第二のメインセグメント87bと、第二のメインセグメント87bに隣接する略矩形状をした第三のメインセグメント87cと、第三のメインセグメント87cに隣接する略矩形状をした第四のメインセグメント87dと、を備えて構成され、第四のメインセグメント87dに第一のメインセグメント87aが隣接されている。DVD受光領域86の中央の第二メイン受光部87は、略正方形状に構成されている。
【0085】
また、DVD受光領域86の略矩形状をした前側の第二のサブ受光部88は、略直交する二本の分割線88x、88yにより四分割されて、四つの略矩形状をしたセグメント88a、88b、88c、88dを備えて構成される。DVD受光領域86の略矩形状をした前側の第二のサブ受光部88は、略矩形状をした第一のサブセグメント88aと、第一のサブセグメント88aに隣接する略矩形状をした第二のサブセグメント88bと、第二のサブセグメント88bに隣接する略矩形状をした第三のサブセグメント88cと、第三のサブセグメント88cに隣接する略矩形状をした第四のサブセグメント88dと、を備えて構成され、第四のサブセグメント88dに第一のサブセグメント88aが隣接されている。DVD受光領域86の前側の第二サブ受光部88は、略正方形状に構成されている。
【0086】
また、DVD受光領域86の略矩形状をした後側の第二のサブ受光部89は、略直交する二本の分割線89x、89yにより四分割されて、四つの略矩形状をしたセグメント89a、89b、89c、86DVDを備えて構成される。DVD受光領域86の略矩形状をした後側の第二のサブ受光部89は、略矩形状をした第一のサブセグメント89aと、第一のサブセグメント89aに隣接する略矩形状をした第二のサブセグメント89bと、
第二のサブセグメント89bに隣接する略矩形状をした第三のサブセグメント89cと、第三のサブセグメント89cに隣接する略矩形状をした第四のサブセグメント89dと、を備えて構成され、第四のサブセグメント89dに第一のサブセグメント89aが隣接されている。DVD受光領域86の後側の第二サブ受光部89は、略正方形状に構成されている。
【0087】
第二のメイン受光部87、第二のサブ受光部88及び第二のサブ受光部89を構成する各セグメントから得られる各受光出力に所定の演算を施すことにより、DVD規格の光ディスク200の記録/再生時等に、メイン情報信号、フォーカスエラー信号FE2及びトラッキングエラー信号TE2が得られる。なお、第二のメイン受光部87、第二のサブ受光部88,89は、四分割に限定されず、例えば二分割であってもよい。また、第二のサブ受光部88,89は、例えば分割されていなくてもよい。
【0088】
例えば、DVD規格に準拠した第二のレーザ光300が光ディスク200に照射される場合、つぎのとおりトラッキングエラー信号TE2の検出が行われる。
【0089】
DVD規格に対応したメイン検出光スポット302を形成するDVD用のメインビームが光ディスク200の信号層210から反射されて、光検出器80のDVD受光領域86におけるメイン受光部87にメイン検出光スポット317として照射されたときに、メイン受光部87に接続された不図示の減算器は、メイン受光部87からの出力信号の差分を演算し例えばメインプッシュプル信号TEa2として生成する。
【0090】
また、DVD規格に対応した第一のサブ検出光スポット303を形成するDVD用の第一のサブビームが光ディスク200の信号層210から反射されて、光検出器80のDVD受光領域86における一方の第二のサブ受光部88に第一のサブ検出光スポット318として照射されたときに、一方の第二のサブ受光部88に接続された不図示の減算器は、一方の第二のサブ受光部88からの出力信号の差分を演算し例えば先行サブプッシュプル信号TEb2として生成する。
【0091】
また、DVD規格に対応した第二のサブ検出光スポット304を形成するDVD用の第二のサブビームが光ディスク200の信号層210から反射されて、光検出器80のDVD受光領域86における他方の第二のサブ受光部89に第二のサブ検出光スポット319として照射されたときに、他方の第二のサブ受光部89に接続された不図示の減算器は、他方の第二のサブ受光部89からの出力信号の差分を演算し例えば遅行サブプッシュプル信号TEc2として生成する。
【0092】
中央のメインスポット302に対応した中央のメイン検出光スポット317から検出されるメインプッシュプル信号TEa2と、前後のサブスポット303,304のそれぞれに対応する前後のサブ検出光スポット318,319から検出される各サブプッシュプル信号TEb2,TEc2とは、互いに逆位相で出力される。そののちに、加算器106によって各サブプッシュプル信号TEb2,TEc2が加算され、この加算生成された加算サブプッシュプル信号TEd2が増幅器107によって例えば増幅率Gで増幅されたのちに減算器108によってメインプッシュプル信号TEa2に対し減算処理されることにより、プッシュプル信号TEa2,TEb2,TEc2,TEd2の各オフセット成分が相殺された精度の高いトラッキングエラー信号TE2を生成させることが可能となる。
【0093】
光検出器80で生成された信号は、中央演算部110(図15)に送られて計算が行われ、中央演算部110にて生成された信号がコイル駆動回路部150に送られる。コイル駆動回路部150に電気信号が流されることにより、OBL11/12が動かされる。中央演算部110で生成されたトラッキングエラー信号TEがコイル駆動回路部150に送
られて、光ディスク200のトラック212(図2)に対するOBL11/12(図1,図3〜図9)のトラッキング調整が自動的に行われる。
【0094】
また、このOPU2A(図3)は、略矩形平板状の一枚の天壁21と、天壁21に略直交する略矩形平板状の四枚の側壁22,23,24,25と、を有し、二つのOBL11,12が略矩形平板状の天壁21に装着される略矩形箱状をした2ピース構造の合成樹脂製のレンズホルダ20を備える。例えば、略矩形平板状の前後一対の両側壁22,25が略平行に向かい合わせられると共に、略矩形平板状の左右一対の両側壁23,24が略平行に向かい合わせられ、且つ、前後一対の両側壁22,25に対して左右一対の両側壁23,24が略直交して位置し、さらに、各側壁22,23,24,25に略直交する略矩形平板状の一枚の天壁21が各側壁22,23,24,25の上側に位置することで、略矩形箱状をしたレンズホルダ20が構成される。
【0095】
また、このOPU2Aは、複数のOBL11,12を有するレンズホルダ20を駆動させるための差動アクチュエータ50を構成し、略矩形箱状をしたレンズホルダ20の互いに向かい合う略矩形横長平板状の両側壁22,25の略両端部26,27に前後左右一対ずつ装着され、複数のOBL11,12を有するレンズホルダ20をOBL11,12の光軸方向Dfに略沿って駆動させたり揺動方向Dtに略沿って駆動させたりする略矩形環状の第一フォーカス/チルトコイル31および略矩形環状の第一フォーカス/チルトコイル31に略並設された略矩形環状の第二フォーカス/チルトコイル32を備える。例えば従来のフォーカスコイルと従来のチルトコイルとが一体化されて例えば従来のフォーカスコイルの機能と従来のチルトコイルの機能とを併せもつ第一フォーカス/チルトコイル31が構成されている。また、例えば従来のフォーカスコイルと従来のチルトコイルとが一体化されて例えば従来のフォーカスコイルの機能と従来のチルトコイルの機能とを併せもつ第二フォーカス/チルトコイル32が構成されている。
【0096】
また、このOPU2Aは、複数のOBL11,12を有するレンズホルダ20を駆動させるための差動アクチュエータ50を構成し、略矩形箱状をしたレンズホルダ20の互いに向かい合う両側壁22,25の略中央部28に前後一対装着されて、略矩形環状の第一フォーカス/チルトコイル31と、略矩形環状の第二フォーカス/チルトコイル32との間に略並設され、複数のOBL11,12を有するレンズホルダ20を光ディスク200の半径方向Drに略沿って駆動させる略矩形環状のトラッキングコイル33を備える。
【0097】
ここで各方向について説明すると、OBL11,12の光軸方向Dfに略沿った方向とされるフォーカス方向Dfが例えば第一方向とされる。また、光ディスク200の半径方向Drに略沿った方向とされるトラッキング方向Drが例えば第二方向とされる。また、OBL11,12等を有するレンズホルダ20等の揺動方向Dtに略沿った方向とされるチルト方向Dtが例えば第三方向とされる。また、フォーカス方向Dfとトラッキング方向Drとに直交する方向とされる接線方向Dcいわゆるタンジェンシャル方向Dcが例えば第四方向とされる。なお、この明細書における各方向等の定義は、各種光ディスク200に対応するOPU2Aや、各種光ディスク200が内装されるOPU2Aを備えた光ディスク装置1A等を説明するための便宜上の定義とされている。
【0098】
アルミニウム材料もしくはアルミニウム合金材料などの軽金属を含む材料が用いられて、コイル31,32,33を構成する素線が形成される。また、軽量化が図られ易い銅クラッドアルミ線が用いられ、これにエナメル材などの絶縁材が被覆された融着性エナメル付銅クラッドアルミ線(CCAW:Copper−Clad Aluminum Wire)が用いられて、各駆動用コイル31,32,33が構成される。融着性エナメルCCAWは、導線主体部を構成するアルミニウム、アルミニウム合金材と、導線主体部の外層部を構成する銅材と、銅材の外周部を構成するエナメル材などの絶縁材および/または融
着材と、を備えて構成される(何れも不図示)。絶縁材により形成される皮膜は、例えば、ポリウレタン樹脂、B種はんだ付けエナメル樹脂、はんだ付けポリエステルイミド樹脂などが用いられて形成される。また、融着材による皮膜は、例えば、アルコール接着型樹脂、熱風接着型樹脂などが用いられて形成される。アルミニウム材料もしくはアルミニウム合金材料などの軽金属を含むコイル用素線として、例えば東京特殊電線社製:エナメル銅クラッドアルミ線などが挙げられる。
【0099】
OPU2Aの設計/仕様などにより、例えば、コイル31,32,33に代えて、他の形態のコイル(不図示)が用いられてもよい。例えば、コイル(31,32,33)として、ガラス層部や、エポキシ樹脂層部などの樹脂層部などを備える基板に、回路導体が鍍金処理されて構成されたコイルが用いられてもよい。例えば、このようなコイルとされるプリントコイルが用いられてもよい。プリントコイル(31,32,33)が用いられることにより、コイル(31,32,33)は、レンズホルダ(20)に装着され易くなる。基板に回路導体が鍍金処理されて構成されたコイル(31,32,33)が用いられることにより、レンズホルダ(20)に対するコイル(31,32,33)の装着作業は行われ易くなる。レンズホルダ(20)に対するコイル(31,32,33)の装着作業が行われ易くなることにより、OPU(2)の組立作業は、容易に行われる。OPU(2)の組立作業が容易に行われることにより、OPU(2)の価格低減化が図られる。プリントコイルとして、例えば旭化成エレクトロニクス社製:FPコイル(登録商標)などが挙げられる。
【0100】
また、このOPU2Aは、略矩形箱状をしたレンズホルダ20の互いに向かい合う略矩形平板状の左右両側壁23,24に装備され、レンズホルダ20を弾性支持する六本の略線状をした金属製の支持部材61,62,63,64,65,66いわゆる略線状をした金属製のサスペンションワイヤ61,62,63,64,65,66を備える。例えば、OPU2Aを構成するレンズホルダ20等のチルト回動中心軸貫通部75側からレンズホルダ20等を側面視した際に、略線状の各サスペンションワイヤ61,62,63,64,65,66は、OBL11,12の光軸方向Dfに略沿った方向とされるフォーカス方向Dfと、光ディスク200の半径方向Drに略沿った方向とされるトラッキング方向Drと、に直交する方向とされるタンジェンシャル方向Dcたとえばチルト回動中心軸延伸方向Dcに略沿って延設される。また、略線状の各サスペンションワイヤ61,62,63,64,65,66は、例えば、燐青銅、ベリリウム銅製の導線が用いられて形成される。
【0101】
OPU2Aのレンズホルダ20に装備された左右六本のサスペンションワイヤ61,62,63,64,65,66に、駆動信号、制御信号等とされる電気が流されることにより、OPU2Aのレンズホルダ20に装備されて各サスペンションワイヤ61,62,63,64,65,66に通電可能に接続された前後六個のコイル31,31,32,32,33,33に、駆動信号、制御信号等とされる電気が流される。各サスペンションワイヤ61,62,63,64,65,66を介して各コイル31,31,32,32,33,33に送られる駆動信号、制御信号として、例えば直流電圧による信号が用いられる。
【0102】
このOPU2Aは、複数の上記OBL11,12と、複数ピース構造の上記レンズホルダ20と、複数の上記第一フォーカス/チルトコイル31と、複数の上記第二フォーカス/チルトコイル32と、複数の上記トラッキングコイル33と、複数の上記サスペンションワイヤ61,62,63,64,65,66と、を有するアクチュエータ可動主体部70を備える。
【0103】
OPU2Aのアクチュエータ50を構成するアクチュエータ可動主体部70のチルト回動中心軸貫通部75側からアクチュエータ可動主体部70が側面視されたときに、アクチ
ュエータ可動主体部70は、左右略対称に構成されると共に、アクチュエータ可動主体部70は、前後略対称に構成されている。
【0104】
アクチュエータ可動主体部70を構成するレンズホルダ20の略矩形横長平板状第一側壁22の略中央に、略矩形環状をした前側のトラッキングコイル33が装備されると共に、前側のトラッキングコイル33を挟んで前側のトラッキングコイル33の左右両側に、略矩形環状をした前側の第一フォーカス/チルトコイル31および略矩形環状をした前側の第二フォーカス/チルトコイル32が装備されている。
【0105】
また、アクチュエータ可動主体部70を構成するレンズホルダ20の略矩形横長平板状第二側壁25の略中央に、略矩形環状をした後側のトラッキングコイル33が装備されると共に、後側のトラッキングコイル33を挟んで後側のトラッキングコイル33の左右両側に、略矩形環状をした後側の第一フォーカス/チルトコイル31および略矩形環状をした後側の第二フォーカス/チルトコイル32が装備されている。
【0106】
前側の第一フォーカス/チルトコイル31と、前側の第二フォーカス/チルトコイル32と、後側の第一フォーカス/チルトコイル31と、後側の第二フォーカス/チルトコイル32と、は、略同形状をした略正方形状の略矩形環状に構成されている。また、前側のトラッキングコイル33と、後側のトラッキングコイル33と、は、略同形状をしたやや縦長の略矩形環状に構成されている。
【0107】
OPU2Aのアクチュエータ50を構成するアクチュエータ可動主体部70のチルト回動中心軸貫通部75側からアクチュエータ可動主体部70が例えば透視されたと仮定されたときに、前側の第一フォーカス/チルトコイル31と、後側の第一フォーカス/チルトコイル31と、が略重なり合う。また、そのときに、前側の第二フォーカス/チルトコイル32と、後側の第二フォーカス/チルトコイル32と、が略重なり合う。また、そのときに、前側のトラッキングコイル33と、後側のトラッキングコイル33と、が略重なり合う。
【0108】
また、アクチュエータ可動主体部70を構成するレンズホルダ20の左側の一側壁23近傍に、三本の一側のサスペンションワイヤ61,62,63が配備されると共に、アクチュエータ可動主体部70を構成するレンズホルダ20の右側の他側壁24近傍に、三本の他側のサスペンションワイヤ64,65,66が配備されている。三本の一側のサスペンションワイヤ61,62,63と、三本の他側のサスペンションワイヤ64,65,66と、は、左右略均等にレンズホルダ20に配設されている。
【0109】
また、アクチュエータ可動主体部70を構成するレンズホルダ20の天壁21に、左右略均等となるように一対のOBL11,12が配設されている。一対のOBL11,12は、前側の第一側壁22と、後側の第二側壁25と、の略中間に位置する。
【0110】
このようにOPU2Aのアクチュエータ50を構成するアクチュエータ可動主体部70が構成されることにより、安定性に優れバランスのとれたOPU2Aのアクチュエータ50のアクチュエータ可動主体部70が構成される。これにより、例えば制振性に優れるOPU2Aのアクチュエータ50のアクチュエータ可動主体部70が構成される。
【0111】
また、このOPU2Aは、アクチュエータ50を構成する六枚の磁石製の磁性部材たとえばマグネット(不図示)を備える。マグネットの取付構造や、OPU2Aの設計/仕様等により、例えば永久磁石材料が用いられて各マグネットが形成される。例えば安価で保磁力が大きく減磁され難いフェライト磁石が用いられてマグネットが形成される。また、マグネットの取付構造や、OPU2Aの設計/仕様等により、OPU2Aに用いられる磁
石は、例えば、クロム、アルミニウム、ニッケル、コバルトなどの合金元素が鉄などに添加された例えば合金とされ、焼入硬化、析出硬化などによって、保持力と、残留磁束密度の高い永久磁石特性とをもったものとされ、また、圧延加工などの成形加工が可能なものとされる。また、例えば一面側の一方側に正極部が形成されると共に一面側の他方側に負極部が形成された二極一個の駆動用マグネットが用いられる。また、マグネットの取付構造や、OPU2Aの設計/仕様等により、例えば磁性部材として、一極/二極マグネットや、二極以上着磁された多極着磁マグネットが用いられる。
【0112】
また、このOPU2Aは、アクチュエータ50を構成する少なくとも一つの金属製の磁性連結部材いわゆる金属製のヨーク(不図示)を備える。「ヨーク」(yoke)とは、例えば磁気的な連結を構造的に支持したものを意味する。また、「ヨーク」は、磁石などの磁性部材から生じる磁力の漏れを少なくさせるものとされている。このヨークは、ヨークとしての機能を備えたフレームいわゆるフレーム・ヨークとして形成されている。「フレーム」(frame)とは、例えば、枠や、枠組みや、骨組みを意味する。フレーム・ヨークは、ヨークとしての機能を備えたフレームとして形成されている。
【0113】
このOPU2Aは、複数の上記マグネットと、上記ヨークと、を有するアクチュエータ固定主体部(不図示)を備える。
【0114】
左右略対称に並設された第一フォーカス/チルトコイル31と、第二フォーカス/チルトコイル32と、トラッキングコイル33と、に対応して、例えば少なくとも二つ以上の磁性部材このましくは三つの磁性部材が左右略対称に並設される。また、左右略対称に並設された例えば少なくとも二つ以上の磁性部材このましくは三つの磁性部材に対応して、ヨークが左右略対称に形成される。
【0115】
このようにOPU2Aのアクチュエータ50を構成するアクチュエータ固定主体部が構成されることにより、OPU2Aのアクチュエータ50のアクチュエータ可動主体部70は、バランスよく安定して駆動させられる。これにより、例えばOPU2Aのアクチュエータ50を構成するアクチュエータ可動主体部70の制振性が向上する。
【0116】
上記LDD、上記LD3(図1,図15)、上記各サスペンションワイヤ61,62,63,64,65,66(図3〜図9)、上記光検出器80(図15)等は、例えばフレキシブルプリント回路体(FPC:flexible printed circuit/flexible printed cable)、フレキシブルフラット回路体(FFC:flexible flat circuit/flexible flat cable)などのフレキシブル回路体93(図14)の各導体部95などに通電可能に接続されている。FPC93は、例えば複数の回路導体部95が全芳香族系ポリイミド樹脂などの芳香族系耐熱性樹脂製の絶縁シート94に印刷等されて、例えば銅箔などの金属箔が絶縁シート94に並設され、その上に例えば全芳香族系ポリイミド樹脂などの芳香族系耐熱性樹脂製の透明もしくは半透明の保護層96が設けられて構成される。FPC93は、例えば可撓性の薄い略帯状をしたシート物として形成される。全芳香族系ポリイミド樹脂などの芳香族系耐熱性樹脂製の絶縁シート94および/または保護層96を備えるFPC93が用いられることにより、FPC93に対し、LDD、LD3(図1,図15)、各サスペンションワイヤ61,62,63,64,65,66(図3〜図9)、光検出器80(図15)等の半田付けが良好に行われる。FPC93は、例えば他のOPUに共通して使用可能な例えば規格化されたFPC93として構成されている。なお、ポリイミド(polyimide)は、例えば「PI」と略称される。
【0117】
OPU2Aにおける光ディスク200の集光スポット301のフォーカシング検出法として、例えば非点収差法に基づいた検出法等が挙げられる。非点収差法とは、例えば、非
点収差をもった光学系で結像した点像ひずみを検出することにより、集光スポットの変位を検出する方法とされる。また、フォーカシング検出法として、例えば差動非点収差法に基づいた検出法等が挙げられる。差動非点収差法とは、例えばメインスポットで生成されたフォーカスエラー信号から所定の係数を乗じたサブスポットで生成されたフォーカスエラー信号を減算することによりフォーカスエラー信号を生成する方法とされ、プッシュプル漏れ込みが小さく抑えられる。このOPU2Aにおける集光スポット301のフォーカシング検出法は、例えば、非点収差法、差動非点収差法などに基づいた検出法とされる。なお、フォーカシング検出法として、例えば、フーコー法、ナイフエッジ法などの他の検出法が用いられたり併用されたりしてもよい。各光ディスク200の種類などにより、例えば差動非点収差法などの各フォーカシング検出法が、適宜、自動的に選択される。
【0118】
また、OPU2Aにおける光ディスク200の集光スポット301のトラッキング検出法として、例えば差動プッシュプル(DPP:differential push−pull)法に基づいた検出法等が挙げられる。差動プッシュプル法とは、例えば、データ読書き用のメインビームと、位置ずれの補正信号を検出する二つのサブビームとにより、集光スポットの変位を検出する方法とされる。また、トラッキング検出法として、例えば位相差法などを含むDPD(Differential Phase Detection)法に基づいた検出法等が挙げられる。具体的に説明すると、トラッキング検出法として、例えば、四分割型光検出器80によって検出される位相差信号に基づいた位相差法が挙げられる。このOPU2Aにおける集光スポット301のトラッキング検出法は、例えば、DPP法、DPD法、位相差法、ヘテロダイン検波法などに基づいた検出法が用いられたり併用されたりする。また、各光ディスク200の種類などにより、例えば位相差法などの各トラッキング検出法が、適宜、自動的に選択される。なお、トラッキング検出法として、例えば3ビーム法などの他の検出法が用いられてもよい。
【0119】
このOPU2A(図1)は、上記アクチュエータ可動主体部70と、上記アクチュエータ固定主体部と、上記LD3と、上記回折格子4と、上記偏光部材6と、上記CL7と、上記QWP8と、上記反射ミラー9と、上記第一の平行平板10Iと、上記第二の平行平板10IIと、上記第一のOBL11と、上記第二のOBL12と、上記光検出器80(図1,図15)と、を備え、光ディスク200の信号の読出し及び/又は光ディスク200に信号の書込みが可能とされた差動フォーカス・チルト方式のOPU2Aとして構成されている。また、このOPU2A(図1)は、必要に応じて、上記カップリングレンズ5Iと、上記FMD5IIと、をさらに備える。
【0120】
また、このOPU2A(図14)は、各種光学系部品、電気系部品、駆動系部品などが装備されるハウジング91を備える。ハウジング(housing)とは、例えば、装置、部品などの物が収容される箱、箱形のものや、箱に類似したものを意味する。ハウジング91は、例えば放熱特性に優れる金属材料または摺動特性に優れる樹脂材料が用いられて形成される。
【0121】
ハウジング91に装備される光学系部品として、例えば、レーザダイオード(LD)、1/2波長板(1/2λ板)、開口制限付広帯域1/4波長板(1/4λ板)、液晶補正素子(LCD:liquid crystal device/liquid crystal display)、回折光学素子(DOE:diffractive optical element)、回折格子(インライン・グレーティング)、ダイバージェントレンズ、プリズム、偏光ビームスプリッタ、ダイクロイックフィルタ、コリメータレンズ、ビームエキスパンダレンズ、ハーフミラー、レフレクトミラー、全反射ミラー、対物レンズ、フロントモニタダイオード、センサレンズ、アナモフィックレンズ、中間レンズ、フォトディテクタなどが挙げられる。このOPU2Aは、前記光学系部品を備える。
【0122】
また、ハウジング91に装備される電気系部品として、例えば、プリント基板、サスペンションワイヤ、コイル、アクチュエータ、フレキシブルプリント回路体、コネクタ、レーザドライバ、レーザダイオード、液晶補正素子、コリメータレンズ等を備えるビームエキスパンダユニット、フロントモニタダイオード、フォトディテクタなどが挙げられる。このOPU2Aは、前記電気系部品を備える。
【0123】
また、ハウジング91に装備される駆動系部品として、例えば、サスペンションワイヤ、コイル、磁石、ヨーク、アクチュエータ、対物レンズ、レンズホルダ、コリメータレンズ等を備えるビームエキスパンダユニットなどが挙げられる。このOPU2Aは、前記駆動系部品を備える。
【0124】
OPU2Aを構成する各種光学系部品、電気系部品、駆動系部品などの各種部品は、金属製または合成樹脂製のハウジング91に装備される。
【0125】
また、この光ディスク装置1Aは、例えば、図1,図3〜図9,図14等に示す何れかの上記OPU2Aを装備可能なものとされている。
【0126】
また、この光ディスク装置1A(図15)は、演算を正確で迅速に行う制御部100を備える。例えば光ディスク装置1Aのシステム制御部100は、演算を正確で迅速に実行可能なデジタル・シグナル・プロセッサ(DSP:digital signal processor)100を構成するものとされている。デジタル(digital)とは、例えば物質やシステムなどの状態を離散的な数字や文字などの信号により表現することを意味する。DSPとは、例えば主にデジタル信号処理に特化されたマイクロプロセッサを意味する。
【0127】
光ディスク装置1Aのシステム制御部100は、例えばシステム制御用マイクロコンピュータを構成するものとされている。システム制御用マイクロコンピュータは、例えば中央演算装置を意味するシステムコントローラ、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータなどとされ、光ディスク装置1Aにおける全般のシステム制御を司る制御部とされる。システム制御部100が備える各機能は、ソフトウェア、ファームウェア等のいわゆるプログラムにより実現される。
【0128】
光ディスク装置1Aのシステム制御部100には、例えばDSPを構成するデジタル信号処理回路部を含んだチップが装備される。デジタル信号処理回路部を有するDSPが用いられることにより、例えば演算部110等における高速演算処理が実行可能となる。DSPが用いられることにより、信号処理が行われるときに、例えばSN(signal/noise)比が略90dB(デシベル)以上とされ、ノイズの影響が回避され易くなり、また、周辺の雰囲気温度などによる影響も抑制され易くなる。このようなことから、光ディスク装置1Aのシステム制御部100にDSPが用いられることにより、精度の高い演算処理等が高速で行われる。
【0129】
また、この光ディスク装置1Aは、演算を正確で迅速に行う中央演算部110いわゆるCPU(central processing unit)110を備える。中央演算部110は、例えばMPU(micro processing unit)として構成されていてもよい。
【0130】
また、この光ディスク装置1Aは、光ディスク装置1AのDSP100のCPU110に各種制御を行わせるプログラムや、OPU2Aに必要とされる係数、最適補償パラメータ等が記憶された第一記憶回路部111を備える。ソフトウェア等により実施される各機能は、光ディスク装置1AのDSP100のCPU110がアクセス可能な第一記憶回路
部111に格納されている。光ディスク装置1AのDSP100のCPU110は、フラッシュROMなどの第一記憶回路部111に記憶されたプログラムに基づいて、各種の制御/動作を行わせるものとして構成されている。「ROM」は、「read−only memory」の略称である。第一記憶回路部111として、例えばフラッシュメモリ(flash memory)が用いられる。また、この第一記憶回路部111は、例えば記憶回路部として構成される。
【0131】
第一記憶回路部111について詳しく説明すると、第一記憶回路部111として、例えばEEROM(Electrically Erasable ROM)などのROMが挙げられる。ROMとは、読出し専用メモリを意味する。EEROMは、記憶された情報を電気的に消去可能なものとされている。EEROMは、例えばバッテリバックアップ電源が不要とされたいわゆる不揮発性メモリである。
【0132】
また、第一記憶回路部111について具体的に説明すると、第一記憶回路部111として、例えばEEPROM(Electronically Erasable and Programmable Read Only Memory)などのROMが挙げられる。EEPROMとは、電気的に内容を書き換えることが可能なROMを意味する。EEPROMは、いわゆる不揮発性メモリである。EEPROMの変更が行われるときには、通常の電圧よりも高い電圧により行われる。また、EEPROMは、記憶された情報を電気的に消去可能なものとされている。
【0133】
また、第一記憶回路部111として、例えばEPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)などのROMが挙げられる。EPROMとは、記憶の消去・書込みを何度でも行うことが可能とされるROMを意味する。EPROMは、記憶が消去されるときに、読出し時と異なる特殊な方法で行われるものとされている。
【0134】
また、この光ディスク装置1Aは、例えばDSP100のCPU110に入力される係数、最適補償パラメータ等の各種値を記憶・消去可能な第二記憶回路部112を備える。第二記憶回路部112として、例えばRAM(random access memory)が用いられた。RAMとは、記憶場所や順序に関係することなく略同一時間でデータにアクセスできる記憶装置を意味する。DSP100のCPU110により、RAMなどの第二記憶回路部112の動作が制御される。第二記憶回路部112は、例えばDSP100のCPU110にて信号データ等の複雑な計算が行われる場合に、各種信号データ等を一時的に保存するとき等に用いられる。
【0135】
このDSP100は、例えば、上記CPU110と、複数の上記記憶回路部111,112いわゆるROM111およびRAM112と、を備えて構成される。
【0136】
また、この光ディスク装置1Aは、DSP100のCPU110から出力された駆動/制御信号が入力され、OPU2Aに装備された各コイル31,32,33(図3〜図9)に駆動/制御信号を供給するコイル駆動回路部150(図15)いわゆるドライバ150を備える。
【0137】
また、この光ディスク装置1Aは、フロントエンド処理部(不図示)にて生成されたフォーカスエラー信号に基づいて、OBL11,12を備えるレンズホルダ20のフォーカスサーボ動作を実行可能とさせる第一フォーカスサーボ回路部121(図16)を備える。詳しく説明すると、この光ディスク装置1Aは、光検出器80において検出された信号に基づいてフロントエンド処理部で生成されたフォーカスエラー信号が入力されると共に、光ディスク200の信号層210に対して直交する方向とされるOBL11,12の光
軸方向Dfに略沿って、OPU2Aに装備されたOBL11,12を変位させる制御信号を生成する第一フォーカスサーボ回路部121を備える。フロントエンド処理部にて生成されたのちに、フロントエンド処理部から出力されたフォーカスエラー信号は、第一フォーカスサーボ回路部121に入力される。第一フォーカスサーボ回路部121は、イコライザが用いられて構成されている。第一フォーカスサーボ回路部121は、デジタル信号に対応可能なデジタルイコライザとして構成されている。イコライザ(equalizer)とは、音声信号などの信号の全体的な周波数特性を加工したり調整したりするための電気回路とされる。また、イコライザは、「EQ」と略称される。
【0138】
また、この光ディスク装置1Aは、フロントエンド処理部(不図示)にて生成されたフォーカスエラー信号に基づいて、OBL11,12を備えるレンズホルダ20のフォーカスサーボ動作を実行可能とさせる第二フォーカスサーボ回路部122(図16)を備える。詳しく説明すると、この光ディスク装置1Aは、光検出器80において検出された信号に基づいてフロントエンド処理部で生成されたフォーカスエラー信号が入力されると共に、光ディスク200の信号層210に対して直交する方向とされるOBL11,12の光軸方向Dfに略沿って、OPU2Aに装備されたOBL11,12を変位させる制御信号を生成する第二フォーカスサーボ回路部122を備える。フロントエンド処理部にて生成されたのちに、フロントエンド処理部から出力されたフォーカスエラー信号は、第二フォーカスサーボ回路部122に入力される。第二フォーカスサーボ回路部122は、イコライザが用いられて構成されている。第二フォーカスサーボ回路部122は、デジタル信号に対応可能なデジタルイコライザとして構成されている。
【0139】
また、この光ディスク装置1Aは、フロントエンド処理部にて生成されたトラッキングエラー信号に基づいて、OBL11,12を備えるレンズホルダ20のトラッキングサーボ動作を実行可能とさせるトラッキングサーボ回路部123(図16)を備える。詳しく説明すると、この光ディスク装置1Aは、光検出器80において検出された信号に基づいてフロントエンド処理部で生成されたトラッキングエラー信号が入力されると共に、光ディスク200の半径方向Drに略沿って、OPU2Aに装備されたOBL11,12を変位させる制御信号を生成するトラッキングサーボ回路部123を備える。フロントエンド処理部にて生成されたのちに、フロントエンド処理部から出力されたトラッキングエラー信号は、トラッキングサーボ回路部123に入力される。トラッキングサーボ回路部123は、イコライザが用いられて構成されている。トラッキングサーボ回路部123は、デジタル信号に対応可能なデジタルイコライザとして構成されている。
【0140】
また、この光ディスク装置1Aは、光ディスク200の信号層210に対し、OPU2AのOBL11,12に例えば角度ずれ等が生じようとされたときに、OBL11,12の角度ずれをチルト調整させる第一フォーカス/チルト信号調整回路部141(図16)を備える。光ディスク200の信号層210に対し、OPU2AのOBL11,12に例えば角度ずれ等が生じようとされたときに、第一フォーカスサーボ回路部121から出力された第一フォーカスエラー信号と、トラッキングサーボ回路部123から出力されたトラッキングサーボ信号と、が、第一フォーカス/チルト信号調整回路部141にて合わせられる。第一フォーカス/チルト信号調整回路部141として、例えばアンプが用いられた。アンプは、アンプリファイア(amplifier)の略称とされ、増幅器を意味する。
【0141】
また、この光ディスク装置1Aは、光ディスク200の信号層210に対し、OPU2AのOBL11,12に例えば角度ずれ等が生じようとされたときに、OBL11,12の角度ずれをチルト調整させる第二フォーカス/チルト信号調整回路部142(図16)を備える。光ディスク200の信号層210に対し、OPU2AのOBL11,12に例えば角度ずれ等が生じようとされたときに、第二フォーカスサーボ回路部122から出力
された第二フォーカスエラー信号と、トラッキングサーボ回路部123から出力されたトラッキングサーボ信号と、が、第二フォーカス/チルト信号調整回路部142にて合わせられる。第二フォーカス/チルト信号調整回路部142として、例えばアンプが用いられた。
【0142】
また、例えば、トラッキングサーボ回路部123から出力されたトラッキングエラー信号を適度に調整させて第一フォーカス/チルト信号調整回路部141に入力させる他の信号調整回路部131が装備されている。なお、OPU2Aや、OPU2Aを備える光ディスク装置1A等の設計/仕様等により、例えば他の信号調整回路部131が装備されることなく省略されていてもよい。
【0143】
また、この光ディスク装置1Aは、第一フォーカスサーボ回路部121から出力されたフォーカス制御信号が入力され、OPU2Aに装備された第一フォーカス/チルトコイル31に駆動信号を供給する第一フォーカス/チルトコイル駆動回路部151(図16)を備える。第一フォーカスサーボ回路部121は、入力されたフォーカスエラー信号に基づいて、フォーカスエラー信号のレベルを小さくするためのフォーカス制御信号を第一フォーカス/チルトコイル駆動回路部151に出力する。第一フォーカスサーボ回路部121から出力されたフォーカス制御信号は、第一フォーカス/チルトコイル駆動回路部151に入力される。
【0144】
光ディスク200の信号層210に対し、OPU2AのOBL11,12に例えば角度ずれ等が生じようとされたときに、第一フォーカスサーボ回路部121から出力された第一フォーカスエラー信号と、トラッキングサーボ回路部123から出力されたトラッキングサーボ信号と、が、第一フォーカス/チルト信号調整回路部141にて合わせられて、第一フォーカス/チルトコイル駆動回路部151に入力される。
【0145】
第一フォーカス/チルトコイル駆動回路部151は、第一フォーカス/チルトコイル31にフォーカス/チルトコイル駆動信号を供給する。光ディスク200の信号層210を構成するピットに対し、OBL11,12によって絞られたレーザ光300のスポット301が、OBL11,12のフォーカス方向Df等に略沿ってずらされようとされたときに、OPU2AのOBL11,12をフォーカス調整等するために、第一フォーカス/チルトコイル駆動回路部151からOPU2Aの第一フォーカス/チルトコイル31にフォーカス駆動信号が送られる。駆動回路は、ドライバ等と呼ばれている。
【0146】
また、この光ディスク装置1Aは、第二フォーカスサーボ回路部122から出力されたフォーカス制御信号が入力され、OPU2Aに装備された第二フォーカス/チルトコイル32に駆動信号を供給する第二フォーカス/チルトコイル駆動回路部152(図16)を備える。第二フォーカスサーボ回路部122は、入力されたフォーカスエラー信号に基づいて、フォーカスエラー信号のレベルを小さくするためのフォーカス制御信号を第二フォーカス/チルトコイル駆動回路部152に出力する。第二フォーカスサーボ回路部122から出力されたフォーカス制御信号は、第二フォーカス/チルトコイル駆動回路部152に入力される。
【0147】
光ディスク200の信号層210に対し、OPU2AのOBL11,12に例えば角度ずれ等が生じようとされたときに、第二フォーカスサーボ回路部122から出力された第二フォーカスエラー信号と、トラッキングサーボ回路部123から出力されたトラッキングサーボ信号と、が、第二フォーカス/チルト信号調整回路部142にて合わせられて、第二フォーカス/チルトコイル駆動回路部152に入力される。
【0148】
第二フォーカス/チルトコイル駆動回路部152は、第二フォーカス/チルトコイル3
2にフォーカス/チルトコイル駆動信号を供給する。光ディスク200の信号層210を構成するピットに対し、OBL11,12によって絞られたレーザ光300のスポット301が、OBL11,12のフォーカス方向Df等に略沿ってずらされようとされたときに、OPU2AのOBL11,12をフォーカス調整等するために、第二フォーカス/チルトコイル駆動回路部152からOPU2Aの第二フォーカス/チルトコイル32にフォーカス駆動信号が送られる。
【0149】
例えばOPU2Aを構成する差動アクチュエータ50のアクチュエータ可動主体部70にチルト制御を行わせつつ作動させるときに、トラッキングサーボ回路部123から出力されたトラッキングエラー信号は、他の信号調整回路部131により適度に調整されて例えば第一フォーカス/チルト信号調整回路部141に入力され、第一フォーカス/チルト信号調整回路部141における電圧と第二フォーカス/チルト信号調整回路部142における電圧とに差がもたされる。その結果、第一フォーカス/チルト信号調整回路部141に続く第一フォーカス/チルトコイル駆動回路部151ならびに第一フォーカス/チルトコイル31の電圧と、第二フォーカス/チルト信号調整回路部142に続く第二フォーカス/チルトコイル駆動回路部152ならびに第二フォーカス/チルトコイル32の電圧と、に差がもたされる。このようにして、アクチュエータ可動主体部70の第一フォーカス/チルトコイル31に印加される電圧とアクチュエータ可動主体部70の第二フォーカス/チルトコイル32に印加される電圧との間に一定の電位差が発生される。これにより、電位差に応じたチルト角度の分だけ差動アクチュエータ50のアクチュエータ可動主体部70が傾斜される。
【0150】
この光ディスク装置1Aは、例えば、図1,図3〜図9,図14等に示す何れかの上記OPU2Aと、上記CPU110(図15)、上記ROM111、上記RAM112を有し、演算を正確で迅速に行う上記DSP100と、上記第一フォーカスサーボ回路部121(図16)と、上記第二フォーカスサーボ回路部122と、上記トラッキングサーボ回路部123と、上記他の信号調整回路部131と、上記第一フォーカス/チルト信号調整回路部141と、上記第二フォーカス/チルト信号調整回路部142と、上記第一フォーカス/チルトコイル駆動回路部151および上記第二フォーカス/チルトコイル駆動回路部152を有する上記ドライバ150(図15)と、を備えて構成される。
【0151】
次に、アルゴリズムが用いられて、差動アクチュエータ50のアクチュエータ可動主体部70の姿勢制御等が実行可能なOPU2Aおよび光ディスク装置1Aならびにそれらの制御方法について説明する。アルゴリズム(algorithm)とは、例えば演算手順または処理手順等を意味する。
【0152】
上述した如く、この差動フォーカス・チルト方式のOPU2Aは、差動アクチュエータ50のアクチュエータ可動主体部70を構成する複数のコイル31,32,33を少なくとも備えている。
【0153】
このように構成された差動フォーカス・チルト方式のOPU2Aを用いて、OPU2Aを構成する差動アクチュエータ50のアクチュエータ可動主体部70の姿勢制御等を実行させるOPU2A/光ディスク装置1Aの制御方法は、次の通り行われる。
【0154】
例えば、アルゴリズムが用いられて、各駆動信号が算出されたのちに、各駆動信号が差動フォーカス・チルト方式のOPU2Aに入力される。これにより、上記各問題の発生が回避される。
【0155】
アルゴリズムが用いられて、OPU2Aの差動アクチュエータ50に送られる駆動信号が算出される。アルゴリズムに基づき、OPU2Aを構成する差動アクチュエータ50の
アクチュエータ可動主体部70の第一フォーカス/チルトコイル31に送られる駆動信号が算出される。また、アルゴリズムに基づき、OPU2Aを構成する差動アクチュエータ50のアクチュエータ可動主体部70の第二フォーカス/チルトコイル32に送られる駆動信号が算出される。また、アルゴリズムに基づき、OPU2Aを構成する差動アクチュエータ50のアクチュエータ可動主体部70のトラッキングコイル33に送られる駆動信号が算出される。
【0156】
アルゴリズムが用いられて算出される各駆動信号が差動フォーカス・チルト方式のOPU2Aに入力されることにより、例えば差動フォーカス・チルト方式のOPU2Aを構成する個々の差動アクチュエータ50において、その製造工程における誤差によって生じるOPU2Aのアクチュエータ可動主体部70の例えばIO不良の発生が回避される。又は、OPU2Aの差動アクチュエータ50の動作時において、複数のコイル31,32,33を備えたアクチュエータ可動主体部70のローリングの発生等が回避される。OPU2Aを駆動させる駆動用プログラムXにアルゴリズムが付加され、アルゴリズムが用いられて各駆動信号の計算が行われることにより、前記各問題の発生が回避される。
【0157】
この明細書におけるIO(incremental object)とは、例えば物に力をゆっくりかけっ放しにさせたときに物に生じる静的な傾きを意味する。また、この明細書におけるローリング(rolling)とは、例えばローリング固有振動数とされたときの共振状態を意味する。
【0158】
各コイル31,32,33等を備えるアクチュエータ50を作動させるときのアルゴリズムについて以下に詳しく説明する。差動フォーカス・チルト方式のOPU2Aのアクチュエータ50を駆動させるときに用いられる一般的な駆動信号FO1,FO2,TRの配分の伝達マトリックスいわゆる基本マトリックスは、下式(A)に基づいて定められる。下式(A)は、例えば、行列の等式、行列式とされている。
【数5】

【0159】
上記式(A)に基づいて、差動アクチュエータ50のアクチュエータ可動主体部70の第一フォーカス/チルトコイル31に送られる駆動信号FO1が算出される。また、上記式(A)に基づいて、差動アクチュエータ50のアクチュエータ可動主体部70の第二フォーカス/チルトコイル32に送られる駆動信号FO2が算出される。また、上記式に基
(A)づいて、差動アクチュエータ50のアクチュエータ可動主体部70のトラッキングコイル33に送られる駆動信号TRが算出される。
【0160】
上記式(A)に基づく演算が行われることにより、OPU2Aのアクチュエータ可動主体部70のIO不良や、OPU2Aにおけるアクチュエータ可動主体部70のローリングの発生等は、回避される。フォーカス方向Df、トラッキング方向Dr、チルト方向Dtの三方向の駆動力を最適に配分させるために、OPU2Aを駆動させる駆動用プログラムXにて上記式(A)に基づく補償アルゴリズムが用いられることにより、OPU2Aの差動アクチュエータ50に送られる各駆動信号FO1,FO2,TRが算出される。上記式(A)に基づいて、差動アクチュエータ50のアクチュエータ可動主体部70の第一フォーカス/チルトコイル31に送られる駆動信号FO1と、第二フォーカス/チルトコイル32に送られる駆動信号FO2と、トラッキングコイル33に送られる駆動信号TRとが算出されるので、前記各問題の発生は回避される。
【0161】
この光ディスク装置1Aは、例えば、図1,図3〜図9,図14等に示す何れかの上記OPU2Aと、上記CPU110(図15)、上記ROM111、上記RAM112を有し、上記式(A)に基づく演算を正確で迅速に行う上記DSP100と、上記ドライバ150と、を備えて構成される。
【0162】
このように構成された光ディスク装置1Aを用いて、OPU2Aを構成する差動アクチュエータ50(図3〜図9)のアクチュエータ可動主体部70の姿勢制御等を実行させる光ディスク装置1Aの制御方法は、上記式(A)に基づいて行われる。
【0163】
例えば、ソフトウェアX(図17)にフォーカスエラー信号FE、トラッキングエラー信号TE、補正チルト量信号TILTが入力され、ソフトウェアXによって、上記式(A)に基づく演算が行われることにより、各駆動信号FO1,FO2,TRが出力される。
【0164】
上記式(A)に基づく演算を正確で迅速に行うDSP100を備えた光ディスク装置1Aが構成され、ソフトウェアXによって式(A)の演算処理を行う光ディスク装置1Aの制御方法が実行されることにより、例えば差動フォーカス・チルト方式のOPU2Aを構成する個々の差動アクチュエータ50において、その製造工程における誤差によって生じるOPU2Aのアクチュエータ可動主体部70の例えばIO不良の発生が回避される。
【0165】
又は、OPU2Aの差動アクチュエータ50の動作時において、OBL11,12や、第一フォーカス/チルトコイル31、第二フォーカス/チルトコイル32、トラッキングコイル33等の各コイル31,32,33を有するアクチュエータ可動主体部70のローリングの発生等が回避される。OPU2Aを駆動させる駆動用プログラムXに、上記式(A)に基づく補償アルゴリズムが付加され、補償アルゴリズムが用いられて各駆動信号FO1,FO2,TRの計算が行われることにより、前記各問題の発生が回避される光ディスク装置1Aおよびその制御方法の提供が可能となる。
【0166】
上記式(A)に基づく演算が光ディスク装置1AのDSP100によって正確で迅速に行われる。これにより、OPU2Aのアクチュエータ可動主体部70のIO特性や、OPU2Aのアクチュエータ可動主体部70のローリング抑制特性が補償された光ディスク装置1Aおよびその制御方法の提供が可能となる。
【0167】
次に、OPU2Aおよび光ディスク装置1Aならびにそれらの制御方法についてより具体的に説明する。
【0168】
図3は、OPU2Aを構成するアクチュエータ可動主体部70のチルト回動中心軸貫通
部75側からアクチュエータ可動主体部70を側面視したときに、第一フォーカス/チルトコイル31と第二フォーカス/チルトコイル32とトラッキングコイル33との複数の並設されたコイル31,32,33に対応して複数の磁性部材(不図示)が並設されることにより構成されたOPU2Aのアクチュエータ50のアクチュエータ可動主体部70を示す説明図である。
【0169】
例えばこのOPU2A(図1)は、各種光ディスク200(図15)に対しレーザ光300を絞り込ませて照射させる第一OBL11(図3)および第二OBL12と、複数のOBL11,12を有するレンズホルダ20をOBL11,12の光軸方向Dfに略沿って駆動させたり揺動方向Dtに略沿って駆動させたりする第一フォーカス/チルトコイル31および第二フォーカス/チルトコイル32と、複数のOBL11,12を有するレンズホルダ20を光ディスク200(図15)の半径方向Drに略沿って駆動させるトラッキングコイル33(図3)と、を備え、光ディスク200(図15)の信号の読出し及び/又は光ディスク200に信号の書込みが可能とされた差動フォーカス・チルト方式のOPU2Aとして構成されている。
【0170】
このように構成された差動フォーカス・チルト方式のOPU2Aを用いて、OPU2Aを構成する差動アクチュエータ50(図3)のアクチュエータ可動主体部70の姿勢制御等を実行させるOPU2A(図3,図15)/光ディスク装置1Aの制御方法は、次の通り行われる。
【0171】
先ず、第一フォーカス/チルトコイル31に入力される駆動信号をFO1と定める。また、第二フォーカス/チルトコイル32に入力される駆動信号をFO2と定める。また、トラッキングコイル33に入力される駆動信号をTRと定める。また、光ディスク200の信号層210に対してOBL11,12の光軸方向Dfに略沿ったレーザ光300の焦点ずれが生じたときに、光検出器80等の受光素子により検出されるフォーカスエラー信号をFEと定める。また、光ディスク200の信号層210に対して光ディスク200の半径方向Drに略沿ったレーザ光300の焦点ずれが生じたときに、光検出器80等の受光素子により検出されるトラッキングエラー信号をTEと定める。また、光ディスク200の信号層210に対してレーザ光300の焦点角度ずれが生じたときに、OBL11,12の角度ずれを補正させる補正チルト量信号をTILTと定める。
【0172】
このように各信号が定義されたときに、差動アクチュエータ50を作動させる各駆動信号FO1,FO2,TRについて説明すると、第一フォーカス/チルトコイル31に入力される駆動信号FO1は、下式(1)に基づいて定められる。また、第二フォーカス/チルトコイル32に入力される駆動信号FO2は、下式(2)に基づいて定められる。また、トラッキングコイル33に入力される駆動信号TRは、下式(3)に基づいて定められる。
【数6】

【数7】

【数8】

(但し、各式中の係数A11,A12,A13,A14,A21,A22,A23,A24,A31,A32,A33,A34は、任意の数値とされる。)
【0173】
上記各式(1)、式(2)、式(3)に基づいて定められる各駆動信号FO1,FO2,TRが、差動フォーカス・チルト方式のOPU2Aに入力されることにより、例えば差動フォーカス・チルト方式のOPU2Aを構成する個々の差動アクチュエータ50において、その製造工程における誤差によって生じるOPU2Aのアクチュエータ可動主体部70の例えばIO不良の発生が回避される。又は、OPU2Aの差動アクチュエータ50の動作時において、OBL11,12を有するアクチュエータ可動主体部70のローリングの発生等が回避される。OPU2Aが大量生産されるときに、個々の差動アクチュエータ50の性能等に「ばらつき」が生じることがあっても、例えば上記OPU2Aのアクチュエータ制御方法が行われることにより、OPU2Aに生じる各不具合が解消される。
【0174】
例えば通常の駆動信号FO1,FO2,TRの配分式について説明すると、通常のOPU2Aの上記式(A)または上記式(1)における各係数A13,A14は、零(0(ゼロ))とされる。また、そのときの上記式(1)における駆動信号FO1は、例えば下式(4)に基づいて定められる。
【数9】

【0175】
また、通常のOPU2Aの上記式(A)または上記式(2)における各係数A23,A24は、零(0)とされる。また、そのときの上記式(2)における駆動信号FO2は、例えば下式(5)に基づいて定められる。
【数10】

【0176】
また、通常のOPU2Aの上記式(A)または上記式(3)における各係数A31,A32,A34は、零(0)とされる。また、そのときの上記式(3)における駆動信号TRは、例えば下式(6)に基づいて定められる。
【数11】

【0177】
例えば、OPU2Aのアクチュエータ可動主体部70のチルト回動中心軸貫通部75側からアクチュエータ可動主体部70を側面視した際に、第一フォーカス/チルトコイル31および第二フォーカス/チルトコイル32に働く電磁力の合力点部71とされるフォーカス/チルト着力点部71と、トラッキングコイル33に働く電磁力の中心部72とされるトラッキング着力点部72と、アクチュエータ可動主体部70の重心部73と、アクチュエータ可動主体部70がチルト回動するときの中心部74とされる回動中心部74とが全て略一致されていることが好ましい。
【0178】
しかしながら、OPU2Aの設計/仕様や、OPU2Aを構成する各部品の精度や、OPU2Aの組立精度などにより、OPU2Aのアクチュエータ可動主体部70のチルト回動中心軸貫通部75側からアクチュエータ可動主体部70を側面視した際に、OPU2Aのアクチュエータ可動主体部70におけるフォーカス/チルト着力点部71、トラッキング着力点部72、重心部73、回動中心部74を全て精度よく一致させることは困難なこととされていた。
【0179】
そのような場合のOPU2Aにおいても、光ディスク装置1AのOPU2Aのアクチュエータ可動主体部70にIO不良やローリングが発生されないようにするために、OBL11,12の光軸方向Dfに略沿った方向とされるフォーカス方向Dfと、光ディスク2
00の半径方向Drに略沿った方向とされるトラッキング方向Drと、OBL11,12の揺動方向Dtに略沿った方向とされるチルト方向Dtとの三軸方向に対応する通常の駆動信号FO1,FO2,TRの配分式に一部変更を加える。例えば必要に応じて上記配分式の一部を一時的に変更させる。
【0180】
このようにすることで、OPU2Aの製造工程において各種誤差等によって生じるOPU2Aのアクチュエータ可動主体部70に例えばIO不良が発生しても、OPU2Aが不良品として取り扱われることなく、OPU2Aは使用可能なものとして取り扱われる。これにより、OPU2Aの歩留り低下が回避される。OPU2Aの歩留り低下が回避されるので、例えばOPU2Aの価格低減化が図られる。また、OPU2Aの歩留り低下が回避されることに伴い、光ディスク装置1Aの価格低減化が図られる。
【0181】
また、OPU2Aの差動アクチュエータ50の動作時において、OBL11,12、コイル31,32,33等を有するアクチュエータ可動主体部70のローリングの発生等が回避される。従って、動作特性が向上されたOPU2Aおよびその制御方法の提供が可能となる。また、OPU2Aの動作特性が向上されることに伴い、動作特性が向上された光ディスク装置1Aおよびその制御方法の提供が可能となる。
【0182】
なお、便宜上、二点破線の丸印を用いて、側面視されたOPU2Aのアクチュエータ可動主体部70のフォーカス/チルト着力点部71、トラッキング着力点部72、重心部73、回動中心部74、及びチルト回動中心軸貫通部75を示した。また、便宜上、二点破線の矢印を用いて、OPU2Aのアクチュエータ可動主体部70を駆動させたりアクチュエータ可動主体部70の姿勢を安定させたりするための各コイル31,32,33に働かせる力を示した。
【0183】
図4は、OPU2Aを構成するアクチュエータ可動主体部70のチルト回動中心軸貫通部75側からアクチュエータ可動主体部70を側面視したときに、アクチュエータ可動主体部70のトラッキングコイル33に働く電磁力の中心部72とされるトラッキング着力点部72が、アクチュエータ可動主体部70の重心部73よりも上側に位置する状態を示す説明図、図5は、同じくOPU2Aを構成するアクチュエータ可動主体部70のチルト回動中心軸貫通部75側からアクチュエータ可動主体部70を側面視したときに、トラッキングコイル33に働く電磁力の中心部72とされるトラッキング着力点部72が、アクチュエータ可動主体部70の重心部73よりも下側に位置する状態を示す説明図である。便宜上、アクチュエータ可動主体部70の重心部73と、トラッキング着力点部72とが離されて図示されているが、実際には、アクチュエータ可動主体部70の重心部73と、トラッキング着力点部72との距離は少ない。
【0184】
第一OBL11と、第二OBL12と、第一フォーカス/チルトコイル31と、第二フォーカス/チルトコイル32と、トラッキングコイル33と、六本の各サスペンションワイヤ61,62,63,64,65,66とがレンズホルダ20に装着されて、例えばアクチュエータ可動主体部70が構成される。
【0185】
例えば、光ディスク200の半径方向Drに略沿った方向とされるトラッキング方向Drに略沿って、OBL11,12を有するアクチュエータ可動主体部70を駆動させるときに、アクチュエータ可動主体部70のチルト回動中心軸貫通部75側からアクチュエータ可動主体部70を側面視した際に、アクチュエータ可動主体部70がチルト回動するときの中心部74とされる回動中心部74と、第一フォーカス/チルトコイル31および第二フォーカス/チルトコイル32に働く電磁力の合力点部71とされるフォーカス/チルト着力点部71と、アクチュエータ可動主体部70の重心部73とが略一致され、且つ、アクチュエータ可動主体部70の重心部73と、トラッキングコイル33に働く電磁力の
中心部72とされるトラッキング着力点部72とが一致しない場合に、上記各式(A)、式(1)、式(2)、式(3)の係数A14,A24,A31,A32,A34に零(0)が入力され、係数A11,A12,A21,A22,A33に零を除く任意の数値が入力されると共に、係数A13,A23に零を除く任意の数値が入力される。そのときの係数A13に対する係数A23は、正負逆の数値とされ、且つ、そのときの正数と負数との絶対値は、略一致している。
【0186】
これにより、例えば、光ディスク200の半径方向Drに略沿った方向とされるトラッキング方向Drに略沿ってOPU2AのOBL11,12を有するアクチュエータ可動主体部70を駆動させるときに、OPU2AのOBL11,12を有するアクチュエータ可動主体部70にローリングが生じるということは、回避される。
【0187】
詳しく説明すると、アクチュエータ可動主体部70のチルト回動中心軸貫通部75側からアクチュエータ可動主体部70を側面視した際に、アクチュエータ可動主体部70がチルト回動するときの中心部74とされる回動中心部74と、第一フォーカス/チルトコイル31および第二フォーカス/チルトコイル32に働く電磁力の合力点部71とされるフォーカス/チルト着力点部71と、アクチュエータ可動主体部70の重心部73とが略一致され、且つ、アクチュエータ可動主体部70の重心部73と、トラッキングコイル33に働く電磁力の中心部72とされるトラッキング着力点部72とが一致しない場合に、トラッキング方向Drに略沿ってOPU2AのOBL11,12を有するアクチュエータ可動主体部70を駆動させるときに、アクチュエータ可動主体部70の重心部73に対し、トラッキング着力点部72が上下方向すなわちOBL11,12の光軸方向Dfに沿ってずらされていることが原因で、OPU2AのOBL11,12を有するアクチュエータ可動主体部70にローリングが生じようとされた場合に、上記式(A)または上記式(1)の係数A13に零を除く任意の数値を入力させると共に、上記式(A)または上記式(2)の係数A23に零を除く任意の数値を入力させ、そのときの係数A13に対する係数A23を正負逆の数値とさせ、且つ、そのときの正数と負数との絶対値を略一致させることにより、第一フォーカス/チルトコイル31に補正された駆動信号FO1が入力されると共に、第二フォーカス/チルトコイル32に補正された駆動信号FO2が入力されて、OBL11,12を有するアクチュエータ可動主体部70にローリングが生じるということが回避される。
【0188】
具体例を用いて説明すると、そのときの駆動信号FO1は、例えば下式(7)に基づいて定められる。
【数12】

【0189】
また、そのときの駆動信号FO2は、例えば下式(8)に基づいて定められる。
【数13】

【0190】
また、そのときの駆動信号TRは、例えば下式(9)に基づいて定められる。
【数14】

【0191】
上記式(A)または上記式(7)において、駆動信号FO1を求めるためにトラッキングエラー信号TEに掛け合わせられる係数A13は、例えば−0.1とされるが、この係
数A13の数値は参考値とされている。また、上記式(A)または上記式(8)において、駆動信号FO2を求めるためにトラッキングエラー信号TEに掛け合わせられる係数A23は、例えば+0.1とされるが、この係数A23の数値は参考値とされている。OPU2A等の設計/仕様等により、係数A13,A23等の各係数に入力される数値や、係数A13,A23等の各係数の正数、負数の関係は、適宜変更される。
【0192】
図6は、OPU2Aを構成するアクチュエータ可動主体部70のチルト回動中心軸貫通部75側からアクチュエータ可動主体部70を側面視したときに、アクチュエータ可動主体部70がチルト回動するときの中心部74とされる回動中心部74が、トラッキングコイル33に働く電磁力の中心部72とされるトラッキング着力点部72よりも上側に位置する状態を示す説明図である。便宜上、アクチュエータ可動主体部70の回動中心部74と、トラッキング着力点部72とが離されて図示されているが、実際には、アクチュエータ可動主体部70の回動中心部74と、トラッキング着力点部72との距離は少ない。
【0193】
例えば、光ディスク200の半径方向Drに略沿った方向とされるトラッキング方向Drに略沿って、OBL11,12を有するアクチュエータ可動主体部70を駆動させるときに、アクチュエータ可動主体部70のチルト回動中心軸貫通部75側からアクチュエータ可動主体部70を側面視した際に、アクチュエータ可動主体部70の重心部73と、第一フォーカス/チルトコイル31および第二フォーカス/チルトコイル32に働く電磁力の合力点部71とされるフォーカス/チルト着力点部71と、トラッキングコイル33に働く電磁力の中心部72とされるトラッキング着力点部72とが略一致され、且つ、トラッキング着力点部72と、アクチュエータ可動主体部70がチルト回動するときの中心部74とされる回動中心部74とが一致しない場合に、上記各式(A)、式(1)、式(2)、式(3)の係数A14,A24,A31,A32,A34に零(0)が入力され、係数A11,A12,A21,A22,A33に零を除く任意の数値が入力されると共に、係数A13,A23に零を除く任意の数値が入力される。そのときの係数A13に対する係数A23は、正負逆の数値とされ、且つ、そのときの正数と負数との絶対値は、略一致している。
【0194】
これにより、OPU2Aのアクチュエータ可動主体部70のIO特性が改善される。
【0195】
詳しく説明すると、アクチュエータ可動主体部70のチルト回動中心軸貫通部75側からアクチュエータ可動主体部70を側面視した際に、アクチュエータ可動主体部70の重心部73と、第一フォーカス/チルトコイル31および第二フォーカス/チルトコイル32に働く電磁力の合力点部71とされるフォーカス/チルト着力点部71と、トラッキングコイル33に働く電磁力の中心部72とされるトラッキング着力点部72とが略一致され、且つ、トラッキング着力点部72と、アクチュエータ可動主体部70がチルト回動するときの中心部74とされる回動中心部74とが一致しない場合に、トラッキング方向Drに略沿ってOPU2AのOBL11,12を有するアクチュエータ可動主体部70を駆動させるときに、トラッキング着力点部72に対し、アクチュエータ可動主体部70の回動中心部74が上下方向すなわちOBL11,12の光軸方向Dfに沿ってずらされていることが原因で、OPU2Aのアクチュエータ可動主体部70のIO特性が悪い場合に、上記式(A)または上記式(1)の係数A13に零を除く任意の数値を入力させると共に、上記式(A)または上記式(2)の係数A23に零を除く任意の数値を入力させ、そのときの係数A13に対する係数A23を正負逆の数値とさせ、且つ、そのときの正数と負数との絶対値を略一致させることにより、第一フォーカス/チルトコイル31に補正された駆動信号FO1が入力されると共に、第二フォーカス/チルトコイル32に補正された駆動信号FO2が入力され、その結果、第一フォーカス/チルトコイル31に入力される駆動信号FO1と、第二フォーカス/チルトコイル32に入力される駆動信号FO2とに差がもたされる。従って、OPU2Aのアクチュエータ可動主体部70のIO特性が改善
される。
【0196】
具体例を用いて説明すると、そのときの駆動信号FO1は、例えば下式(10)に基づいて定められる。
【数15】

【0197】
また、そのときの駆動信号FO2は、例えば下式(11)に基づいて定められる。
【数16】

【0198】
また、そのときの駆動信号TRは、例えば下式(12)に基づいて定められる。
【数17】

【0199】
図7は、OPU2Aを構成するアクチュエータ可動主体部70のチルト回動中心軸貫通部75側からアクチュエータ可動主体部70を側面視したときに、第一フォーカス/チルトコイル31と第二フォーカス/チルトコイル32とトラッキングコイル33との三つの並設されたコイル31,32,33に対応して三極磁性部材が並設されることにより構成されたOPU2Aのアクチュエータ50のアクチュエータ可動主体部70を示す説明図である。
【0200】
例えば、略矩形箱状をしたレンズホルダ20の互いに向かい合う両側壁22,25の両端部26,27に、第一フォーカス/チルトコイル31と、第二フォーカス/チルトコイル32とが位置すると共に、第一フォーカス/チルトコイル31と、第二フォーカス/チルトコイル32との間に、トラッキングコイル33が位置し、並設された第一フォーカス/チルトコイル31と、第二フォーカス/チルトコイル32と、トラッキングコイル33との三つのコイル31,32,33に対応して、三極マグネット(不図示)が並設されて構成されたOPU2Aのアクチュエータ50において、アクチュエータ可動主体部70のチルト回動中心軸貫通部75側からアクチュエータ可動主体部70を側面視した際に、第一フォーカス/チルトコイル31および第二フォーカス/チルトコイル32に働く電磁力の合力点部71とされるフォーカス/チルト着力点部71と、トラッキングコイル33に働く電磁力の中心部72とされるトラッキング着力点部72と、アクチュエータ可動主体部70がチルト回動するときの中心部74とされる回動中心部74と、アクチュエータ可動主体部70の重心部73とが略一致されている場合について説明する。
【0201】
このような場合において、光ディスク200の半径方向Drに略沿った方向とされるトラッキング方向Drに略沿って、OBL11,12を有するアクチュエータ可動主体部70を駆動させるときに、上記各式(A)、式(1)、式(2)、式(3)の係数A31,A32,A34に零が入力され、係数A11,A12,A21,A22,A33に零を除く任意の数値が入力されると共に、係数A13,A23に零を除く任意の数値が入力され、そのときの係数A13に対する係数A23は、正負逆の数値とされ、且つ、そのときの正数と負数との絶対値は、略一致され、さらに、係数A14,A24に零を除く任意の略一致した数値が入力される。
【0202】
これにより、例えば、光ディスク200の半径方向Drに略沿った方向とされるトラッキング方向Drに略沿ってOPU2AのOBL11,12を有するアクチュエータ可動主
体部70を駆動させるときに、OPU2AのOBL11,12を有するアクチュエータ可動主体部70にローリングが生じるということは、回避される。
【0203】
例えば、略矩形箱状をしたレンズホルダ20の互いに向かい合う両側壁22,25の両端部26,27に、第一フォーカス/チルトコイル31と、第二フォーカス/チルトコイル32とが位置すると共に、第一フォーカス/チルトコイル31と、第二フォーカス/チルトコイル32との間に、トラッキングコイル33が位置し、並設された第一フォーカス/チルトコイル31と、第二フォーカス/チルトコイル32と、トラッキングコイル33との三つのコイル31,32,33に対応して、三極マグネット(不図示)が並設されて構成されたOPU2Aのアクチュエータ50においては、光ディスク200の半径方向Drに略沿った方向とされるトラッキング方向Drに略沿って、OPU2Aのトラッキングコイル33を有するアクチュエータ可動主体部70を駆動させるときに、OBL11,12の光軸方向Dfに略沿った方向とされるフォーカス方向Dfに略沿って、第一フォーカス/チルトコイル31と、第二フォーカス/チルトコイル32とに不要な駆動力が生じることが懸念されていた。
【0204】
しかしながら、トラッキング方向Drに略沿ってOPU2AのOBL11,12を有するアクチュエータ可動主体部70を駆動させるときに、OPU2AのOBL11,12を有するアクチュエータ可動主体部70にローリングが生じようとされた場合に、上記各式(A)、式(1)、式(2)、式(3)の係数A31,A32,A34に零を入力させ、係数A11,A12,A21,A22,A33に零を除く任意の数値を入力させると共に、係数A13,A23に零を除く任意の数値を入力させ、そのときの係数A13に対する係数A23を正負逆の数値とさせ、且つ、そのときの正数と負数との絶対値を略一致させ、さらに、上記式(A)または上記式(1)の係数A14に零を除く任意の数値を入力させると共に、上記式(A)または上記式(2)の係数A24に零を除く任意の数値を入力させ、且つ、係数A14,A24を略一致した数値とさせて、上記式(A)または上記式(1)に示す駆動信号FO1を第一フォーカス/チルトコイル31に入力させると共に、上記式(A)または上記式(2)に示す駆動信号FO2を第二フォーカス/チルトコイル32に入力させることにより、第一フォーカス/チルトコイル31に生じる不要な駆動力と、第二フォーカス/チルトコイル32に生じる不要な駆動力とが互いに取り消されるようにキャンセルされる。従って、OPU2AのOBL11,12を有するアクチュエータ可動主体部70にローリングが生じるということは、回避される。
【0205】
具体例を用いて説明すると、そのときの駆動信号FO1は、例えば下式(13)に基づいて定められる。
【数18】

【0206】
また、そのときの駆動信号FO2は、例えば下式(14)に基づいて定められる。
【数19】

【0207】
また、そのときの駆動信号TRは、例えば下式(15)に基づいて定められる。
【数20】

【0208】
上記式(A)において、係数A13,A23に入力させる数値として正負逆の数値を設
定させたり、上記式(10)および上記式(11)または上記式(13)および上記式(14)の如く、係数A13,A23に入力させる数値として正負逆の数値を設定させたりすると、アクチュエータ50を構成するコイル31,32,33、OBL11,12、レンズホルダ20等を備えたアクチュエータ可動主体部70のIO特性が向上する。また、係数A13,A23に入力させる数値として正負逆の数値を設定させると、アクチュエータ50を構成するコイル31,32,33およびOBL11,12付のレンズホルダ20のトラッキング駆動が行われるときに、適正なローリングモーメントがアクチュエータ50を構成するコイル31,32,33およびOBL11,12付のレンズホルダ20に付与される。従って、アクチュエータ50を構成するコイル31,32,33およびOBL11,12付のレンズホルダ20におけるIO不良やローリングは、抑制される。
【0209】
図8は、OPU2Aを構成するアクチュエータ可動主体部70のチルト回動中心軸貫通部75側からアクチュエータ可動主体部70を側面視したときに、アクチュエータ可動主体部70がチルト回動するときの中心部74とされる回動中心部74が、アクチュエータ可動主体部70の重心部73よりも左側に位置する状態を示す説明図である。便宜上、アクチュエータ可動主体部70の回動中心部74と、重心部73とが離されて図示されているが、実際には、アクチュエータ可動主体部70の回動中心部74と、重心部73との距離は少ない。
【0210】
例えば、アクチュエータ可動主体部70の重心部73と、トラッキングコイル33に働く電磁力の中心部72とされるトラッキング着力点部72と、第一フォーカス/チルトコイル31および第二フォーカス/チルトコイル32に働く電磁力の合力点部71とされるフォーカス/チルト着力点部71とが略一致され、且つ、フォーカス/チルト着力点部71と、アクチュエータ可動主体部70がチルト回動するときの中心部74とされる回動中心部74とが一致しない場合について説明する。
【0211】
OBL11,12の光軸方向Dfに略沿った方向とされるフォーカス方向Dfに略沿って、OBL11,12を有するアクチュエータ可動主体部70を駆動させるときに、上記各式(A)、式(1)、式(2)、式(3)の係数A13,A14,A23,A24,A31,A32,A34に零が入力され、係数A12,A22,A33に零を除く任意の数値が入力されると共に、係数A11,A21に零を除く任意の数値が入力され、そのときの係数A11に対して係数A21に差をもたせて係数A11と係数A21とを不一致とさせつつ略近似した数値とさせる。
【0212】
これにより、OPU2Aのアクチュエータ可動主体部70のIO特性が改善される。
【0213】
アクチュエータ可動主体部70のチルト回動中心軸貫通部75側からアクチュエータ可動主体部70を側面視した際に、アクチュエータ可動主体部70の重心部73と、トラッキングコイル33に働く電磁力の中心部72とされるトラッキング着力点部72と、第一フォーカス/チルトコイル31および第二フォーカス/チルトコイル32に働く電磁力の合力点部71とされるフォーカス/チルト着力点部71とが略一致され、且つ、フォーカス/チルト着力点部71と、アクチュエータ可動主体部70がチルト回動するときの中心部74とされる回動中心部74とが一致しない場合に、フォーカス方向Dfに略沿ってOPU2AのOBL11,12を有するアクチュエータ可動主体部70を駆動させるときに、フォーカス/チルト着力点部71に対し、アクチュエータ可動主体部70の回動中心部74が左右方向すなわち光ディスク200の半径方向Drに沿ってずらされていることが原因で、OPU2Aのアクチュエータ可動主体部70のIO特性が悪い場合に、上記式(A)または上記式(1)の係数A11に零を除く任意の数値を入力させると共に、上記式(A)または上記式(2)の係数A21に零を除く任意の数値を入力させ、そのときの係数A11に対して係数A21に差をもたせて係数A11と係数A21とを不一致とさせつ
つ略近似した数値とさせることにより、第一フォーカス/チルトコイル31に補正された駆動信号FO1が入力されると共に、第二フォーカス/チルトコイル32に補正された駆動信号FO2が入力され、その結果、第一フォーカス/チルトコイル31に入力される駆動信号FO1と、第二フォーカス/チルトコイル32に入力される駆動信号FO2とに差がもたされる。従って、OPU2Aのアクチュエータ可動主体部70のIO特性が改善される。
【0214】
具体例を用いて説明すると、そのときの駆動信号FO1は、例えば下式(16)に基づいて定められる。
【数21】

【0215】
また、そのときの駆動信号FO2は、例えば下式(17)に基づいて定められる。
【数22】

【0216】
また、そのときの駆動信号TRは、例えば下式(18)に基づいて定められる。
【数23】

【0217】
図9は、OPU2Aを構成するアクチュエータ可動主体部70のチルト回動中心軸貫通部75側からアクチュエータ可動主体部70を側面視したときに、トラッキングコイル33に働く電磁力の中心部72とされるトラッキング着力点部72が、アクチュエータ可動主体部70の重心部73よりも下側に位置すると共に、アクチュエータ可動主体部70がチルト回動するときの中心部74とされる回動中心部74が、アクチュエータ可動主体部70の重心部73およびトラッキング着力点部72よりも下側に位置する状態を示す説明図である。
【0218】
便宜上、アクチュエータ可動主体部70のトラッキング着力点部72と、重心部73とが離されて図示されているが、実際には、アクチュエータ可動主体部70のトラッキング着力点部72と、重心部73との距離は少ない。また、便宜上、アクチュエータ可動主体部70の回動中心部74と、重心部73および/またはトラッキング着力点部72とが離されて図示されているが、実際には、アクチュエータ可動主体部70の回動中心部74と、重心部73および/またはトラッキング着力点部72との距離は少ない。
【0219】
また、図10は、OPU2AのOBL11,12等を有するアクチュエータ可動主体部70に生じるローリング周波数とゲイン(gain:利得)との関係を示し、コイル31,32,33等を有するアクチュエータ可動主体部70のローリング周波数が低周波数であるときの状態を示す波形図、図11は、同じくOPU2AのOBL11,12等を有するアクチュエータ可動主体部70に生じるローリング周波数とゲインとの関係を示し、コイル31,32,33等を有するアクチュエータ可動主体部70のローリング周波数が高周波数であるときの状態を示す波形図である。
【0220】
例えば、OBL11,12を有するアクチュエータ可動主体部70を駆動させるときに、アクチュエータ可動主体部70のチルト回動中心軸貫通部75側からアクチュエータ可動主体部70を側面視した際に、アクチュエータ可動主体部70がチルト回動するときの中心部74とされる回動中心部74と、アクチュエータ可動主体部70の重心部73と、
トラッキングコイル33に働く電磁力の中心部72とされるトラッキング着力点部72とが一致しない場合であって、OBL11,12を有するアクチュエータ可動主体部70にローリングが生じようとされたときに、上記各式(A)、式(1)、式(2)、式(3)の係数A31,A32,A34に零が入力され、係数A11,A12,A21,A22,A33に零を除く任意の数値が入力され、係数A13,A23に零を除く任意の数値が入力されると共に、係数A14,A24に零を除く任意の数値が入力され、OBL11,12を有するアクチュエータ可動主体部70のローリング周波数により、係数A13,A23に入力される数値を変化させる。
【0221】
OBL11,12を有するアクチュエータ可動主体部70のローリング周波数によって、係数A13,A23に入力される数値を変化させることにより、OBL11,12を有するアクチュエータ可動主体部70のローリング周波数によって、OPU2Aのアクチュエータ可動主体部70のIO特性が補償されたり、OPU2AのOBL11,12を有するアクチュエータ可動主体部70のローリング抑制特性が補償されたりする。
【0222】
例えば略200Hz(ヘルツ)付近の周波数がローリング周波数の低周波数とローリング周波数の高周波数との略境の周波数とされる所定の周波数と仮定した場合について説明する。このように例えば略200Hz付近の周波数のときをローリング周波数の低周波数とローリング周波数の高周波数との略境とした場合に、OBL11,12を有するアクチュエータ可動主体部70のローリング周波数が略200Hz付近の周波数以下の低周波数とされるときには、例えばOPU2Aのアクチュエータ可動主体部70のIO特性が補償される。また、OBL11,12を有するアクチュエータ可動主体部70のローリング周波数が略200Hz付近の周波数を超える高周波数とされるときには、例えばOPU2AのOBL11,12を有するアクチュエータ可動主体部70のローリング抑制特性が補償される。
【0223】
OBL11,12を有するアクチュエータ可動主体部70のローリング周波数に対応して、係数A13,A23を次のとおり変化させる。例えばOBL11,12を有するアクチュエータ可動主体部70に生じるローリング周波数が略200Hz付近の周波数とされたときに、この周波数を略境として、係数A13,A23に入力される数値を例えば±0.1や±0.2等に変化させる。
【0224】
例えばOPU2AのOBL11,12を有するアクチュエータ可動主体部70のローリング抑制特性を補償させるときには、例えば、A13に+0.1を入力させると共に、A23に−0.1を入力させる。このときの+0.1および−0.1の値を例えば補償値Q1とする。この場合、例えば、次の式(19)、式(20)、及び式(21)が、OPU2Aのアクチュエータ制御装置にて設定される。
【0225】
【数24】

【数25】

【数26】

【0226】
また、例えばOPU2Aのアクチュエータ可動主体部70のIO特性を補償させるときには、例えば、A13に−0.2を入力させると共に、A23に+0.2を入力させる。
このときの−0.2および+0.2の値を例えば補償値Q2とする。この場合、例えば、次の式(22)、式(23)、及び式(24)が、光ディスク装置1AのOPU2Aのアクチュエータ制御装置にて設定される。
【0227】
【数27】

【数28】

【数29】

【0228】
例えば、アクチュエータ50を構成するコイル31,32,33、OBL11,12、レンズホルダ20等を備えたアクチュエータ可動主体部70のトラッキング着力点部72と重心部73と回動中心部74とを一致させられないときに、例えば上記式(A)もしくは上記式(1)の係数A13および上記式(A)もしくは上記式(2)の係数A23が所定数値の定数のままでは、従来のアクチュエータ(50)を構成するコイル(31,32,33)、OBL(11,12)、レンズホルダ(20)等を備えたアクチュエータ可動主体部(70)においては、アクチュエータ可動主体部(70)のIO不良およびローリング発生の両方を共に解決させることは、困難なこととされていた。従来のOPU(2A)のアクチュエータ可動主体部(70)においては、IO不良またはローリング発生の何れか一方だけを解決することはできても、IO不良およびローリング発生の両方を共に解決させることは、難しかった。
【0229】
しかしながら、上記式(A)もしくは上記式(1)の係数A13および上記式(A)もしくは上記式(2)の係数A23に例えば変動周波数特性を付与させることで、アクチュエータ50を構成するコイル31,32,33、OBL11,12、レンズホルダ20等を備えたアクチュエータ可動主体部70のIO不良およびローリング発生の両方を共に解決させることが可能となる。
【0230】
なお、OPU2Aのアクチュエータ可動主体部70のローリング周波数により、上記式(A)もしくは上記式(1)の係数A13および上記式(A)もしくは上記式(2)の係数A23に入力される数値を変化させて、上記式(A)もしくは上記式(1)の係数A13および上記式(A)もしくは上記式(2)の係数A23に例えば変動周波数特性を付与させるOPU2A/光ディスク装置1Aの制御方法は、例えば図3〜図8に示すOPU2A/光ディスク装置1Aの制御方法が実行されるときにも適用させてもよい。
【0231】
個々のアクチュエータ50毎に最適な補償パラメータを設定させる場合について説明する。
【0232】
現状では、チルト補償のために、チルト指令値(TILT指令値)は、例えば差動プッシュプル(DPP)の最大化(DPPmax)などの評価で決定されている(図2)。これは、例えば「反り」等が生じている光ディスク(200)に対応するためであり、例えば各信号調整回路部131,141,151(図16)等を用いて補正チルト量信号TILTに準定常電圧を与えて、コイル31,32,33(図9)、OBL11,12、レンズホルダ20等を備えたアクチュエータ可動主体部70を傾けさせている。
【0233】
「反り」等が生じていない正規の光ディスク200(図1,図2,図15)に対しては
、例えば、略150Hz、略200Hz等の周波数を略境として、低周波数域と高周波数域との二通りでOPU2Aなどのチューニング試験が行われ、例えば補償値Q1(図10),補償値Q2(図11)等をOPU2A(図3〜図9)ごとに設定しておくことが可能とされる。
【0234】
このようにすることで、OPU2Aのアクチュエータ50が作製されるときの製造ばらつきを補償させたサーボ特性が確保され、OPU2Aの製品特性の安定化と、OPU2Aの設計自由度の大幅な拡大が図られる。従って、OPU2Aの一層の性能向上が図られる。
【0235】
また、上記OPU2A/光ディスク装置1Aの制御方法を実行させることにより、例えば従来のものの如く、実際にトラッキングコイルをチルト部に配線しなくともよくなる。
【0236】
図12は、OPU2Aの信号経路の一部を示す概略図、図13は、OPU2AのOBL11,12等を有するレンズホルダ20のチルト角度と光ディスク200の半径方向Drに略沿ったOBL11,12等を有するレンズホルダ20のホルダ移動量との関係を示す説明図、図14は、OPU2A/光ディスク装置1Aの制御方法が実行されるOPU2Aを示す概略平面図である。
【0237】
例えば「反り」等が生じている光ディスク(200)(図1,図2,図15)のデータ、情報、信号等の読書きがOPU2Aによって行われる場合に、「反り」等が生じている光ディスク(200)に対応して、上記補正チルト量信号TILTとして例えば準定常電圧が第一フォーカス/チルトコイル31(図3〜図9,図12)や第二フォーカス/チルトコイル32に印加されて複数のOBL11,12を備えるレンズホルダ20が傾けられているときに、チルト制御により傾けられた複数のOBL11,12を備えるレンズホルダ20が不用意に光ディスク200のトラッキング方向Drに略沿って移動するレンズシフトが生じることがある。
【0238】
そこで、傾けられた複数のOBL11,12を備えるレンズホルダ20が不用意に光ディスク200のトラッキング方向Drに略沿って移動するレンズシフト発生状況について解析したところ、例えば図13に示す通りの関係が判明された。例えば、複数のOBL11,12を備えるレンズホルダ20のチルト角度(deg/degree:度)と、複数のOBL11,12を備えるレンズホルダ20が光ディスク200のトラッキング方向Drに略沿って不用意に移動するホルダ移動量(mm:ミリメートル)との関係は、一次関数により表される。例えば、複数のOBL11,12を備えるレンズホルダ20の前記チルト角度をAと定め、光ディスク200の半径方向Drに略沿った複数のOBL11,12を備えるレンズホルダ20の移動量たとえば前記ホルダ移動量をMと定めたときに、前記ホルダ移動量Mは、下式(I)に基づいて定められる。
M=(C×A)+B …(I)
(但し、式(I)中の係数B,Cは、任意の数値とされる。)
(例えば、式(I)中の係数Bは、正の数、負の数、零などの任意の数値とされる。)
【0239】
このように、複数のOBL11,12を備えるレンズホルダ20のチルト角度A(deg)と、複数のOBL11,12を備えるレンズホルダ20が光ディスク200のトラッキング方向Drに略沿って不用意に移動するホルダ移動量M(mm)とは、正比例たとえばリニアの関係とされている。上記式(I)等の各関係情報は、例えばOPU2Aの情報いわゆるピックアップ装置情報とされる。
【0240】
詳しく説明すると、レンズシフトが生じたときの複数のOBL11,12を備えるレンズホルダ20のチルト角度A(deg)と、複数のOBL11,12を備えるレンズホル
ダ20が光ディスク200のトラッキング方向Drに略沿って不用意に移動するホルダ移動量M(mm)との関係は、正比例たとえばリニアの関係とされ、図13並びに上記式(I)の如く、例えば係数Cとされる所定の傾き値を含む一次関数により求められる。図13並びに上記式(I)に示す一次関数情報は、OPU2Aの情報たとえばピックアップ装置情報とされ、具体的にはOPU2Aの差動アクチュエータ50を構成するアクチュエータ可動主体部70のレンズシフト発生レベルとされる。
【0241】
このようなことに基づき、光ディスク(200)(図1,図2,図15)の反りに対応して複数のOBL11,12(図3〜図9,図12)が装備されたレンズホルダ20を傾斜させるときに、複数のOBL11,12が装備されたレンズホルダ20の傾斜角度に応じてトラッキングコイル33に所定の補正用逆電圧を印加させ(図12,図13)、光ディスク200の半径方向Drに略沿って、複数のOBL11,12を備えるレンズホルダ20の移動量Mの分だけ補正をかける。
【0242】
このときに、OPU2Aの差動アクチュエータ50のアクチュエータ可動主体部70を光ディスク200のトラッキング方向Drに略沿ってトラック制御させつつ駆動させる例えば所定のトラッキング制御用電圧がトラッキングコイル33に同時に併せて印加されていてもよく、また、例えばトラック制御させつつ駆動させる所定のトラッキング制御用電圧がトラッキングコイル33に印加されていなくてもよい。
【0243】
図14の如く、OPU2Aに必要とされる係数、最適補償パラメータ等のピックアップ装置情報は、例えばOPU2Aのハウジング91の裏面部91aに添付された粘着剤付の略シート状情報部98に一次元または多次元コード状の記録部98aとして印刷されて格納されている。なお、OPU2A、光ディスク装置1A等の設計/仕様等により、例えば図13に示す一次関数情報が、直接、光ディスク装置1A(図15)のROM111もしくはRAM112の何れか一方または両方に設定されてもよい。
【0244】
次に、ディスク装置1Aおよびその制御方法についてより具体的に説明する。
【0245】
図15は、ディスク装置1Aを示すブロック図、図16は、ディスク装置1Aのサーボ信号経路の一部を示すブロック図、図17は、ディスク装置1Aの制御部100にて駆動信号FO1,FO2,TRを算出させるときの演算処理経路を示す計算ブロック図である。
【0246】
この光ディスク装置1Aは、例えば、図1,図3〜図9,図14等に示す何れかの上記OPU2Aを装備可能なものとされている。
【0247】
また、この光ディスク装置1A(図15)は、上記式(A)、上記式(1)、上記式(2)、上記式(3)、又は上記式(I)のうち、少なくとも一つの式に基づく演算を正確で迅速に行うDSP100を備える。例えば光ディスク装置1AのDSP100は、上記式(A)、又は上記式(1)、又は上記式(2)、又は上記式(3)、又は上記式(I)に基づく演算を正確で迅速に実行可能なものとされている。また、例えば光ディスク装置1Aのシステム制御部100は、上記式(1)、上記式(2)、上記式(3)、又は上記式(I)のうち、任意の複数の式に基づく演算を正確で迅速に実行可能なDSP100を構成するものとされている。具体的に説明すると、光ディスク装置1Aのシステム制御部100は、上記式(A)、上記式(1)、上記式(2)、上記式(3)、及び上記式(I)の全ての式に基づく演算を迅速に同時に実行可能なDSP100を構成するものとされている。
【0248】
また、この光ディスク装置1Aは、上記式(A)、上記式(1)、上記式(2)、上記
式(3)、又は上記式(I)のうち、少なくとも一つの式に基づく演算を正確で迅速に行うCPU110を備える。
【0249】
また、この光ディスク装置1Aは、DSP100のCPU110から出力された駆動/制御信号が入力され、OPU2Aに装備された各コイル31,32,33(図3〜図9)に駆動/制御信号を供給するドライバ150(図15)を備える。
【0250】
この光ディスク装置1Aは、例えば、図1,図3〜図9等に示す何れかの上記OPU2Aと、上記式(A)、上記式(1)、上記式(2)、上記式(3)、又は上記式(I)のうち少なくとも一つの式に基づく演算を正確で迅速に行う上記DSP100(図15)と、上記ドライバ150と、を備えて構成される。
【0251】
このように構成された光ディスク装置1Aを用いて、OPU2Aを構成する差動アクチュエータ50(図3〜図9)のアクチュエータ可動主体部70の姿勢制御等を実行させる光ディスク装置1Aの制御方法は、上記式(A)、上記式(1)、上記式(2)、上記式(3)、又は上記式(I)のうち、少なくとも一つの式に基づいて行われる。
【0252】
例えば、ソフトウェアX(図17)にフォーカスエラー信号FE、トラッキングエラー信号TE、補正チルト量信号TILTが入力され、ソフトウェアXによって、上記式(A)、上記式(1)、上記式(2)、上記式(3)、上記式(I)に基づく演算が行われることにより、各駆動信号FO1,FO2,TRが出力される。
【0253】
このように、各式(A)、式(1)、式(2)、式(3)、式(I)に基づく演算を正確で迅速に行うDSP100を備えた光ディスク装置1Aが構成され、ソフトウェアXによって各式(A)、式(1)、式(2)、式(3)、式(I)の演算処理を行う光ディスク装置1Aの制御方法が実行されることにより、例えば差動フォーカス・チルト方式のOPU2Aを構成する個々の差動アクチュエータ50において、その製造工程における誤差によって生じるOPU2Aのアクチュエータ可動主体部70の例えばIO不良の発生が回避される。
【0254】
又は、OPU2Aの差動アクチュエータ50の動作時において、OBL11,12を有するアクチュエータ可動主体部70のローリングの発生等が回避される。上記式(A)、上記式(1)、上記式(2)、上記式(3)、又は上記式(I)のうち、少なくとも一つの式に基づく演算として、例えば、上記式(A)、又は上記式(1)、又は上記式(2)、又は上記式(3)、又は上記式(I)に基づく演算や、上記式(1)、又は上記式(2)、又は上記式(3)、又は上記式(I)のうち、任意の複数の式に基づく演算や、上記式(A)、上記式(1)、上記式(2)、上記式(3)、及び上記式(I)の全ての式に基づく演算が、光ディスク装置1AのDSP100によって正確で迅速に行われる。
【0255】
これにより、OPU2Aのアクチュエータ可動主体部70のIO特性や、OPU2AのOBL11,12を有するアクチュエータ可動主体部70のローリング抑制特性が補償された光ディスク装置1Aおよびその制御方法の提供が可能となる。
【0256】
例えば、OPU2Aの製造現場/環境などの違い等により、OPU2Aごとに製造ばらつきが生じると、これに伴ってOPU2Aごとに必要とされる最適補償パラメータが異なることが生じる。そのような事態が生じても、OPU2Aを備える光ディスク装置1AのDSP100のEEROM111等の記憶回路部111に、OPU2Aごとに必要とされる最適補償パラメータを例えばOPU2Aの部品情報として予め記憶させ、ドライブ装置などの光ディスク装置1Aにおいて、EEROM111等の記憶回路部111から予め記憶された最適補償パラメータをDSP100のCPU110内に読み込ませることにより
、例えばOPU2Aごとに必要とされる最適補償パラメータ等のチューニング作業等が不要となる。従って、OPU2Aごとに必要とされる最適補償パラメータの設定作業は、容易で迅速に行われる。DSP100が備えるソフトウェア、ファームウェア等のいわゆるプログラムにより、上記光ディスク装置1Aの制御方法が容易で迅速に実行される。
【0257】
次に、アルゴリズムが用いられて、差動アクチュエータ50のアクチュエータ可動主体部70の姿勢制御等が実行可能なOPU2Aおよび光ディスク装置1Aならびにそれらの制御方法についてより詳しく説明する。
【0258】
上述した如く、この差動フォーカス・チルト方式のOPU2Aは、差動アクチュエータ50のアクチュエータ可動主体部70を構成する複数のコイル31,32,33を少なくとも備えている。
【0259】
このように構成された差動フォーカス・チルト方式のOPU2Aを用いて、OPU2Aを構成する差動アクチュエータ50のアクチュエータ可動主体部70の姿勢制御等を実行させるOPU2A/光ディスク装置1Aの制御方法は、次の通り行われる。
【0260】
例えば、少なくとも上記式(1)および上記式(2)に基づくアルゴリズムが用いられて、少なくとも上記式(1)および上記式(2)に基づいて定められる各駆動信号FO1,FO2が算出されたのちに、各駆動信号FO1,FO2が差動フォーカス・チルト方式のOPU2Aに入力される。これにより、上記各問題の発生が回避される。
【0261】
詳しく説明すると、OPU2Aの差動アクチュエータ50のアクチュエータ可動主体部70が駆動させられるときに、フォーカスエラー信号FEもしくはトラッキングエラー信号TEの何れか一方または両方および/または補正チルト量信号TILTに基づき、差動フォーカス・チルト方式のOPU2Aを駆動させる駆動用プログラムXに補償アルゴリズムが用いられて、OPU2Aの差動アクチュエータ50に送られる駆動信号FO1,FO2,TRが算出される。
【0262】
補償アルゴリズムに基づき、差動アクチュエータ50のアクチュエータ可動主体部70の第一フォーカス/チルトコイル31に送られる駆動信号FO1が算出される。また、補償アルゴリズムに基づき、差動アクチュエータ50のアクチュエータ可動主体部70の第二フォーカス/チルトコイル32に送られる駆動信号FO2が算出される。また、補償アルゴリズムに基づき、差動アクチュエータ50のアクチュエータ可動主体部70のトラッキングコイル33に送られる駆動信号TRが算出される。
【0263】
補償アルゴリズムが用いられて算出される各駆動信号FO1,FO2,TRが差動フォーカス・チルト方式のOPU2Aに入力されることにより、例えば差動フォーカス・チルト方式のOPU2Aを構成する個々の差動アクチュエータ50において、その製造工程における誤差によって生じるOPU2Aのアクチュエータ可動主体部70の例えばIO不良の発生が回避される。又は、OPU2Aの差動アクチュエータ50の動作時において、複数のコイル31,32,33を備えたアクチュエータ可動主体部70のローリングの発生等が回避される。OPU2Aを駆動させる駆動用プログラムXに補償アルゴリズムが付加され、補償アルゴリズムが用いられて各駆動信号FO1,FO2,TRの計算が行われることにより、前記各問題の発生が回避される。
【0264】
各コイル31,32,33等を備えるアクチュエータ50を作動させるときのアルゴリズムについて以下に詳しく説明する。差動フォーカス・チルト方式のOPU2Aのアクチュエータ50を駆動させるときに用いられる一般的な駆動信号FO1,FO2,TRの配分の伝達マトリックスいわゆる基本マトリックスは、下式(B)に基づいて定められる。
上記式(A)と同じく、下式(B)は、例えば、行列の等式、行列式とされている。下式(B)は、上記式(A)を分かり易く示した行列の等式、行列式とされている。
【数30】

【0265】
上記式(B)に基づいて、差動アクチュエータ50のアクチュエータ可動主体部70の第一フォーカス/チルトコイル31に送られる駆動信号FO1が算出される。また、上記式(B)に基づいて、差動アクチュエータ50のアクチュエータ可動主体部70の第二フォーカス/チルトコイル32に送られる駆動信号FO2が算出される。また、上記式(B)に基づいて、差動アクチュエータ50のアクチュエータ可動主体部70のトラッキングコイル33に送られる駆動信号TRが算出される。
【0266】
上記式(B)に基づく演算が行われることにより、OPU2Aのアクチュエータ可動主体部70のIO不良や、OPU2Aにおけるアクチュエータ可動主体部70のローリングの発生等は、回避される。フォーカス方向Df、トラッキング方向Dr、チルト方向Dtの三方向の駆動力を最適に配分させるために、OPU2Aを駆動させる駆動用プログラムXにて上記式(B)に基づく補償アルゴリズムが用いられることにより、OPU2Aの差動アクチュエータ50に送られる各駆動信号FO1,FO2,TRが算出される。上記式(B)に基づいて、差動アクチュエータ50のアクチュエータ可動主体部70の第一フォーカス/チルトコイル31に送られる駆動信号FO1と、第二フォーカス/チルトコイル32に送られる駆動信号FO2と、トラッキングコイル33に送られる駆動信号TRとが算出されるので、前記各問題の発生は回避される。
【0267】
この光ディスク装置1Aは、例えばOPU2C(図19)から記憶部90が省略された図3〜図9等に示す何れかのOPU2A(図15)を装備可能なものとされている。そのため、この光ディスク装置1Aは、価格を低く抑えることが可能とされた光ディスク装置1Aとされている。
【0268】
また、この光ディスク装置1Aは、上記式(A)、上記式(B)、上記式(1)、上記式(2)、上記式(3)、又は上記式(I)のうち、少なくとも一つの式に基づく演算を正確で迅速に行う制御部100を備える。例えば光ディスク装置1Aのシステム制御部1
00は、上記式(A)、上記式(B)、又は上記式(1)、又は上記式(2)、又は上記式(3)、又は上記式(I)に基づく演算を正確で迅速に実行可能なDSP100を構成するものとされている。また、例えば光ディスク装置1Aのシステム制御部100は、上記式(A)もしくは上記式(B)、上記式(1)、上記式(2)、上記式(3)、又は上記式(I)のうち、任意の複数の式に基づく演算を正確で迅速に実行可能なDSP100を構成するものとされている。具体的に説明すると、光ディスク装置1Aのシステム制御部100は、上記式(A)、上記式(B)、上記式(1)、上記式(2)、上記式(3)、及び上記式(I)の全ての式に基づく演算を迅速に同時に実行可能なDSP100を構成するものとされている。
【0269】
また、この光ディスク装置1Aは、上記式(A)、式(B)、式(1)、式(2)、式(3)、又は式(I)に入力される上記係数A11,A12,A13,A14,A21,A22,A23,A24,A31,A32,A33,A34,Cを記憶可能な記憶回路部111および/または112をDSP100内に備える。
【0270】
上記係数A11,A12,A13,A14,A21,A22,A23,A24,A31,A32,A33,A34,Cを記憶可能な記憶回路部111および/または112をDSP100内に備える光ディスク装置1Aが構成されることにより、例えばOPU2Aの製造工程における誤差によって生じるOPU2Aの例えばIO不良の発生は、回避される。又は、上記係数A11,A12,A13,A14,A21,A22,A23,A24,A31,A32,A33,A34,Cを記憶可能な記憶回路部111および/または112をDSP100内に備える光ディスク装置1Aが構成されることにより、例えばOPU2Aの動作時におけるOBL11,12のローリングの発生等は、回避される。
【0271】
光ディスク装置1AのDSP100内の記憶回路部111および/または112に記憶された係数A11,A12,A13,A14,A21,A22,A23,A24,A31,A32,A33,A34,Cのうち、必要とされる係数A11,A12,A13,A14,A21,A22,A23,A24,A31,A32,A33,A34,Cが用いられて、光ディスク装置1AのDSP100内のCPU110により、上記式(A)、上記式(B)、上記式(1)、上記式(2)、上記式(3)、又は上記式(I)の演算処理が行われることにより、例えば差動フォーカス・チルト方式のOPU2Aを構成する個々の差動アクチュエータ50において、その製造工程における誤差によって生じるOPU2Aのアクチュエータ可動主体部70の例えばIO不良の発生が回避される。又は、OPU2Aの差動アクチュエータ50の動作時において、OBL11,12を有するアクチュエータ可動主体部70のローリングの発生等が回避される。
【0272】
上記式(A)、上記式(B)、上記式(1)、上記式(2)、上記式(3)、又は上記式(I)のうち、少なくとも一つの式に基づく演算として、例えば、上記式(A)、又は上記式(B)、又は上記式(1)、又は上記式(2)、又は上記式(3)、又は上記式(I)に基づく演算や、上記式(1)、上記式(2)、上記式(3)、又は上記式(I)のうち、任意の複数の式に基づく演算や、上記式(A)、上記式(B)、上記式(1)、上記式(2)、上記式(3)、及び上記式(I)の全ての式に基づく演算が、光ディスク装置1AのDSP100によって正確で迅速に行われる。これにより、OPU2Aのアクチュエータ可動主体部70のIO特性や、OPU2AのOBL11,12を有するアクチュエータ可動主体部70のローリング抑制特性が補償され、しかも価格を低く抑えることが可能とされた光ディスク装置1Aおよびその制御方法の提供が可能となる。
【0273】
また、このOPU2A/光ディスク装置1Aの制御方法は、レーザ光300を出射可能なLD3と、レーザ光300の進む方向を変更可能なハーフミラー、PBS等の偏光部材6と、偏光部材6を経由したレーザ光300を光ディスク200に集光させる移動/稼動
可能なOBL11,12と、光ディスク200に照射されると共に反射されたレーザ光300が偏光部材6によって振り向けられて照射される複数に分割されたセンサ部82,83,84/87,88,89を有する光検出器80と、を備えるOPU2Aを用いて、OBL11,12の制御を行わせるOPU2A/光ディスク装置1Aの制御方法とされている。
【0274】
光検出器80を構成する複数のセンサ部82,83,84/87,88,89に照射されたレーザ光300のスポット312,313,314/317,318,319に基づいて演算を行わせることにより、稼動するOBL11,12の位置を算出させる。
【0275】
詳しく説明すると、光検出器80を構成する複数のセンサ部82,83,84/87,88,89に照射されたレーザ光300のスポット312,313,314/317,318,319に基づき、例えば、上記式(A)、上記式(B)、上記式(1)〜(24)、上記式(I)に基づいた計算/演算を光ディスク装置1Aに行わせることにより、移動可能なOBL11,12の位置が算出される。
【0276】
これにより、稼動するOBL11,12の位置を精度よく算出可能なOPU2A/光ディスク装置1Aの制御方法の提供が可能となる。光検出器80を構成する複数のセンサ部82,83,84/87,88,89に照射されたレーザ光300のスポット312,313,314/317,318,319に基づき、例えば、上記式(A)、上記式(B)、上記式(1)〜(24)、上記式(I)に基づいた計算/演算を光ディスク装置1Aに実行可能とさせることにより、移動可能なOBL11,12の位置を精度よく算出可能なOPU2A/光ディスク装置1Aの制御方法を提供することができる。
【0277】
光ディスク200の信号層210いわゆるピット面部にレーザ光300を集光させるときに、レーザ光300の集光スポット301を光ディスク200の信号層210に正確に追従させるために、光ディスク200の信号層210にレーザ光300のフォーカスを正確に合わせるためのフォーカスサーボおよび光ディスク200の信号層210のトラック212を正確にトレースするためのトラッキングサーボを働かせてOBL11,12を制御させる。
【0278】
このように、フォーカスサーボおよびトラッキングサーボが働かされてOBL11,12の制御が行われることにより、光ディスク200の信号層210にレーザ光300が精度よく集光される。光ディスク200の信号層210にレーザ光300のフォーカスを合わせるためのフォーカスサーボおよび光ディスク200の信号層210のトラック212をトレースするためのトラッキングサーボが働かされることにより、レーザ光300を光ディスク200に集光させる稼動中のOBL11,12の制御が精度よく行われ、OBL11,12の位置が精度よく算出される。
【0279】
また、光ディスク200の反りに応じてOBL11,12を傾けるチルト制御をフォーカスの差動駆動にて制御させる。例えばOPU2Aを構成する差動アクチュエータ50のアクチュエータ可動主体部70にチルト制御を行わせつつ作動させるときに、アクチュエータ可動主体部70の第一フォーカス/チルトコイル31に印加される電圧とアクチュエータ可動主体部70の第二フォーカス/チルトコイル32に印加される電圧との間に一定の電位差を発生させることによって、その電位差に応じた傾斜角いわゆるチルト角度の分だけ差動アクチュエータ50のアクチュエータ可動主体部70を傾斜させることが可能となる。
【0280】
又はOPU2Aの設計/仕様等により、例えばOPU2Aの差動アクチュエータ50にチルト制御を行わせつつ作動させるときに、第一フォーカス/チルトコイル31に流され
る電流方向に対し、第二フォーカス/チルトコイル32に流される電流方向を逆とさせ、各フォーカス/チルトコイル31,32の電流量に応じて各フォーカス/チルトコイル31,32に力を発生させてOPU2Aのアクチュエータ可動主体部70を傾斜させることも可能とされる。
【0281】
稼動するOBL11,12の位置を算出させるときに、光ディスク200の反りに対応してOBL11,12を傾斜させるチルト制御を必要に応じて調整/変更させる。
【0282】
チルト制御が必要に応じて調整/変更させられることにより、OPU2AのOBL11又は12が用いられて反りの生じた光ディスク200にレーザ光300を集光させている際に、光ディスク200の反りに対応して複数のOBL11,12が装備されたレンズホルダ20を傾斜させるチルト制御を実行させているときに、傾けられた複数のOBL11,12を備えるレンズホルダ20が不用意に光ディスク200のトラッキング方向Drに略沿って移動するという不具合いわゆるレンズシフトの発生は回避される。
【0283】
例えば、光ディスク200の反りに対応して複数のOBL11,12が装備されたレンズホルダ20を傾斜させるときに、複数のOBL11,12を有するレンズホルダ20が光ディスク200の半径方向Drいわゆるトラッキング方向Drに略沿って移動してずらされることを上記式(I)等に基づく特殊な演算を用いたチルト制御により調整させつつ回避させる(図12,図13)。
【0284】
複数のOBL11,12を有するレンズホルダ20が光ディスク200のトラッキング方向Drに略沿って移動してずらされようとされたときに、複数のOBL11,12を有するレンズホルダ20の傾きを上記式(I)等に基づく特殊な演算を用いたチルト制御によって調整させることにより、傾けられた複数のOBL11,12を有するレンズホルダ20が光ディスク200のトラッキング方向Drに略沿って不用意に移動するというレンズシフト動作の発生は回避される。光ディスク200の反りに対応して複数のOBL11,12が装備されたレンズホルダ20を傾斜させるチルト制御を実行させているときに、傾けられた複数のOBL11,12を有するレンズホルダ20が光ディスク200のトラッキング方向Drに略沿って不用意に移動するレンズシフト動作はキャンセルされ、複数のOBL11,12が装備されたレンズホルダ20を傾斜させるチルト制御は正常に作動する。
【0285】
光ディスク200の反りに対応して複数のOBL11,12が装備されたレンズホルダ20を傾斜させるときに、複数のOBL11,12が装備されたレンズホルダ20の傾斜角度に応じてトラッキングコイル33に所定の補正用逆電圧を印加させる(図12,図13)。
【0286】
これにより、光ディスク200の反りに対応して複数のOBL11,12が装備されたレンズホルダ20を傾斜させるチルト制御を実行させているときに、傾けられた複数のOBL11,12を有するレンズホルダ20が不用意に光ディスク200のトラッキング方向Drに略沿って移動するという不具合の発生は回避される。光ディスク200の反りに対応して複数のOBL11,12が装備されたレンズホルダ20を傾斜させるときに、複数のOBL11,12が装備されたレンズホルダ20の傾斜角度に応じてトラッキングコイル33に所定の補正用逆電圧を印加させることにより、OBL11,12を有するレンズホルダ20が光ディスク200のトラッキング方向Drに略沿って不用意に移動するというレンズシフト動作がキャンセルされ、複数のOBL11,12が装備されたレンズホルダ20を傾斜させるチルト制御は正常に作動する。
【0287】
また、この光ディスク装置1A(図15)は、上記OPU2A/光ディスク装置1Aの
制御方法が実行可能とされている。稼動するOBL11,12の位置を精度よく算出可能なOPU2A/光ディスク装置1Aの制御方法が実行可能とされた光ディスク装置1Aを構成させることが可能となる。移動可能なOBL11,12の位置を精度よく算出可能なOPU2A/光ディスク装置1Aの制御方法が実行可能とされた光ディスク装置1Aを構成させることができる。
【0288】
また、上記OPU2A/光ディスク装置1Aの制御方法が実行されることにより、例えば追加の特別な回路が装備されていなくても、OPU2Aの複数のOBL11,12を有するレンズホルダ20がチルト制御させられて傾けられるときに、複数のOBL11,12を有するレンズホルダ20が光ディスク200のトラッキング方向Drに略沿って不用意に移動するというレンズシフト動作はキャンセルされる。また、追加の特別な回路が必要とされないことから、コストアップされることなく、チルト制御中のOPU2Aの複数のOBL11,12を有するレンズホルダ20が光ディスク200のトラッキング方向Drに略沿って不用意に移動するというレンズシフト動作の発生が回避され易くなる。OPU2Aの複数のOBL11,12を有するレンズホルダ20の動作に対してチルト制御が行われているときに、複数のOBL11,12を有するレンズホルダ20に生じるレンズシフト動作に対し改善を行うために、例えばシステムとして対策可能な手段が採用されることにより、OPU2Aを構成する差動アクチュエータ50等の設計自由度が改善され、また、コストダウンの対応も可能となる。
【0289】
OPU2A(図1,図3〜図9)のアクチュエータ50(図3〜図9)のトラッキングエラー信号TE等からアクチュエータ50のローリング周波数成分(例:図10,図11)、レンズシフト・チルト角成分(例:図13)等のピックアップ装置情報を抜き出させ、次に、加算/調整/変更させるレベルを予め演算させ、次に、アクチュエータ50に生じるローリング発生レベル、レンズシフト発生レベル等の要改善補正レベルを調査させ、次に、ローリング発生レベル、レンズシフト発生レベル等とされる要改善補正レベルの調査結果をOPU2Aの情報として情報部98たとえば情報読取り部材98の情報記録部98aに記憶させ、次に、例えばOPU2A(図14)のハウジング91の裏面部91aに情報読取り部材98を添付させ、次に、光ディスク装置1A(図15)にOPU2A等を装備させて光ディスク装置1Aを組み立てるときに、情報読取り部材98(図14)の情報記録部98aに記憶されたOPU2Aの情報を光ディスク装置1A(図15)内のEEROM、EEPROM、EPROM等の記憶回路部111および/またはRAM等の記憶回路部112に記憶させ、その後、OPU2Aを光ディスク装置1Aに装備させて、光ディスク装置1Aを組み立てているとき又は光ディスク装置1Aを組み立てたのちに、光ディスク装置1Aの電源を入れて、ローリング発生レベル、レンズシフト発生レベル等とされる要改善補正レベルの調査結果を光ディスク装置1A内のDSP100に読み取らせて、光ディスク装置1Aの動作確認テスト等を行う。
【0290】
このように光ディスク装置1Aの設定方法が行われることにより、光ディスク装置1A内のOPU2Aのアクチュエータ50が適切に制御される。OPU2Aのアクチュエータ50単体の特性に合わせて、光ディスク装置1A内のDSP100にて、OPU2Aを構成するアクチュエータ50のトラッキングエラー信号TE等に適切な補正量が加えられて、光ディスク装置1A内のDSP100により、光ディスク装置1A内のOPU2Aのアクチュエータ50が適切に制御される。
【0291】
また、光ディスク装置1AにOPU2A等を装備させて光ディスク装置1Aを組み立てるときに、例えばOPU2Aのハウジング91の裏面部91aに添付の情報読取り部材98の情報記録部98aに記憶されたOPU2Aの情報をEEROM、EEPROM、EPROM等の記憶回路部111および/またはRAM等の記憶回路部112に記憶させ、記憶回路部111および/または112に記憶させられたOPU2Aの情報とされるローリ
ング発生レベル、レンズシフト発生レベル等の要改善補正レベルの調査結果を光ディスク装置1A内のDSP100に読み込ませることにより、例えば追加の特別な回路が必要とされることなく、ローリング発生レベル、レンズシフト発生レベル等とされる要改善補正レベルの調査結果が光ディスク装置1AのDSP100に取り込まれることとなる。追加の特別な回路が必要とされないことから、コストアップされることなく、アクチュエータ50のローリング、レンズシフト等に対するマージンいわゆる例えば許容量/差/範囲が改善される。ローリング、レンズシフト等に対するマージンを改善させるために、このように例えばシステムとして対策可能な手段が採用されることにより、アクチュエータ50の設計自由度が改善され、また、コストダウンの対応も可能となる。ローリング、レンズシフトに対するマージンを改善させるための要改善補正レベルは、例えばローリング発生レベル及び/又はレンズシフト発生レベルとされる。
【0292】
情報読取り部材(98)の情報記録部(98a)として、例えば一次元コードが挙げられる。具体的に説明すると、一次元コード系の情報読取り部材(98)の情報記録部(98a)として、例えばバーコード用紙のバーコード情報記録部(98a)などが挙げられる。バーコード(barcode)とは、例えば縞模様状の線の太さに基づいて数値や文字を表す識別子を意味する。また、情報読取り部材98の情報記録部98aとして、例えば二次元コードが挙げられる。具体的に説明すると、二次元コード系の情報読取り部材98の情報記録部98aとして、例えばQRコード(登録商標)用紙のQRコード情報記録部98aなどが挙げられる。QRコード(Quick Response code)とは、例えば小さな正方形の点を縦横同じ数だけ並べたマトリックス型コードを意味する。また、情報読取り部材(98)の情報記録部(98a)として、例えば複数の二次元コードを備える三次元コードが挙げられる。三次元コード系の情報読取り部材(98)の情報記録部(98a)として、例えば三次元ソリッドコード用紙の三次元ソリッドコード情報記録部(98a)などが挙げられる。このように、OPU2Aおよび/またはOPU2Aを備える光ディスク装置1Aにおいては、情報読取り部材98の情報記録部98aとして、一次元コード系の情報読取り部材(98)の情報記録部(98a)や、二次元コード系、三次元コード系などの多次元コード系の情報読取り部材98の情報記録部98aなどが使用可能とされている。一次元コード系の情報読取り部材(98)の情報記録部(98a)よりも二次元コード系、三次元コード系などの多次元コード系の情報読取り部材98の情報記録部98aのほうが多くのデータ、情報等を記憶させることができることから、多次元コード系の情報読取り部材98が用いられるとよい。
【0293】
光ディスク装置1Aが完成された状態の検査工程にて、アクチュエータ50のトラッキング信号に加振信号を加え、トラッキングエラー信号TEから差動フォーカスエラー信号への注入信号レベルをトラッキングエラー信号TE最大時の指標を用いて判断させる。
【0294】
このように光ディスク装置1Aの設定方法が行われることにより、アクチュエータ50を構成するレンズホルダ20のOBL11,12のローリングによる姿勢変化が改善される。トラッキングの駆動信号からOPU2Aのアクチュエータ50を構成するレンズホルダ20のOBL11,12のローリング周波数成分を抜き出させ、ローリング周波数成分に基づく信号を差動フォーカス駆動信号にローリングを抑圧させるように加算させることで、アクチュエータ50を構成するレンズホルダ20のOBL11,12のローリングによる姿勢変化が改善される。
【0295】
上記光ディスク装置1Aの設定方法を行うときに、ガラス製光ディスク(200)等を用いて光ディスク(200)におけるチルト量が最小に抑えられている基本光ディスク(200)を使用する。先ず、OPU2Aから基本光ディスク(200)に向けてレーザ光300を出射させ、次に、基本光ディスク(200)に対するOPU2Aのフォーカスがオンの状態とされたときに、アクチュエータ50を構成するレンズホルダ20のOBL1
1,12をトラッキング方向Drに加振させ、そのときの基本光ディスク(200)からの反射レベル光300の変化量と、アクチュエータ50を構成するレンズホルダ20のOBL11,12のローリングレベルと、を測定させ、その後、その測定結果に基づいて補正レベルの最適値を求める。
【0296】
この光ディスク装置1Aは、例えば、図1,図3〜図9,図14等に示す何れかの上記OPU2Aと、上記CPU110(図15)、上記ROM111、上記RAM112を有し、上記式(B)に基づく演算を正確で迅速に行う上記DSP100と、上記ドライバ150と、を備えて構成される。
【0297】
このように構成された光ディスク装置1Aを用いて、OPU2Aを構成する差動アクチュエータ50(図3〜図9)のアクチュエータ可動主体部70の姿勢制御等を実行させる光ディスク装置1Aの制御方法は、上記式(B)に基づいて行われる。
【0298】
例えば、ソフトウェアX(図17)にフォーカスエラー信号FE、トラッキングエラー信号TE、補正チルト量信号TILTが入力され、ソフトウェアXによって、上記式(B)に基づく演算が行われることにより、各駆動信号FO1,FO2,TRが出力される。
【0299】
上記式(B)に基づく演算を正確で迅速に行うDSP100を備えた光ディスク装置1Aが構成され、ソフトウェアXによって式(B)の演算処理を行う光ディスク装置1Aの制御方法が実行されることにより、例えば差動フォーカス・チルト方式のOPU2Aを構成する個々の差動アクチュエータ50において、その製造工程における誤差によって生じるOPU2Aのアクチュエータ可動主体部70の例えばIO不良の発生が回避される。
【0300】
又は、OPU2Aの差動アクチュエータ50の動作時において、OBL11,12や、第一フォーカス/チルトコイル31、第二フォーカス/チルトコイル32、トラッキングコイル33等の各コイル31,32,33を有するアクチュエータ可動主体部70のローリングの発生等が回避される。OPU2Aを駆動させる駆動用プログラムXに、上記式(B)に基づく補償アルゴリズムが付加され、補償アルゴリズムが用いられて各駆動信号FO1,FO2,TRの計算が行われることにより、前記各問題の発生が回避される光ディスク装置1Aおよびその制御方法の提供が可能となる。
【0301】
上記式(B)に基づく演算が光ディスク装置1AのDSP100によって正確で迅速に行われる。これにより、OPU2Aのアクチュエータ可動主体部70のIO特性や、OPU2Aのアクチュエータ可動主体部70のローリング抑制特性が補償された光ディスク装置1Aおよびその制御方法の提供が可能となる。
【0302】
このように、この光ディスク装置1Aは、上記光ディスク装置1Aの設定方法が実行可能とされている。
【0303】
これにより、アクチュエータ50の設計自由度が改善され、また、コストダウンの対応も可能とされた光ディスク装置1Aの提供が可能となる。
【0304】
上記OPU2Aおよび上記OPU2Aを備える光ディスク装置1Aは、上記各種光ディスク200にデータ/情報/信号/画像等を記録させたり、上記各種光ディスク200のデータ/情報/信号等を再生させたりする記録・再生装置に使用可能とされる。具体的に説明すると、上記OPU2Aおよび上記OPU2Aを備える光ディスク装置1Aは、上記各種光ディスク200にデータ/情報/信号/画像等を記録させたり、上記各種光ディスク200のデータ/情報/信号等を再生させたり、上記各種光ディスク200のデータ/情報/信号等を消去させたりする記録・再生・消去可能装置に使用可能とされる。また、
上記OPU2Aおよび上記OPU2Aを備える光ディスク装置1Aは、上記各種光ディスク200のデータ/情報/信号等を再生させる再生専用装置にも使用可能とされる。
【0305】
又(また)、上記OPU2Aは、例えば、コンピュータ、音響/映像機器、ゲーム機、車載機(何れも不図示)などに組み付けられる光ディスク装置1Aに装備される。また、上記OPU2Aを備える光ディスク装置1Aは、例えば、ノート型パーソナルコンピュータ(PC:personal computer)や、ラップトップ型PCや、デスクトップ型PCや、車載用コンピュータなどのコンピュータや、コンピュータゲーム機などのゲーム機や、CDプレーヤ/CDレコーダ、DVDプレーヤ/DVDレコーダなどの音響および/または映像機器などに装備可能とされる(何れも不図示)。また、上記OPU2Aを備える光ディスク装置1Aは、例えば、「CD」系光ディスク、「DVD」系光ディスク、「HD DVD」系光ディスク、「CBHD」系光ディスク、「Blu−ray Disc」系光ディスク等の複数のメディア200に対応可能なものとされる。OPU2Aを備える光ディスク装置1Aは、「CD」、「DVD」、「HD−DVD」、「CBHD」、「Blu ray Disc」などの各種光ディスク200に対応したコンピュータ、音響および/または映像機器、ゲーム機、車載機などに装備可能とされている(何れも不図示)。
【0306】
以上、本発明の実施形態について説明したが、前述した発明の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得るとともに、本発明にはその等価物も含まれる。
【0307】
例えば上記二つのOBL11,12が装備されたOPU2Aに代えて、一つのOBLが装備されたOPU(不図示)が用いられてもよい。また、例えば2ピース構造のレンズホルダ20に代えて、1ピース構造のレンズホルダ(不図示)が用いられてもよい。また、波長略780nmの「CD」規格の赤外レーザ光300と、波長略650nmの「DVD」規格の赤色レーザ光300との二種類の波長のレーザ光300を出射可能なLD3に代えて、例えば、波長略780nmの「CD」規格の赤外レーザ光300と、波長略650nmの「DVD」規格の赤色レーザ光300と、波長略405nmの「HD DVD」規格、「CBHD」規格、又は「Blu−ray Disc」規格等の青紫色レーザ光300とを出射可能な三波長対応のLD(3)が用いられてもよい。また、例えば複数種類の波長のレーザ光300を出射可能なLD3に代えて、単一の波長のレーザ光300を出射可能なLD(不図示)が用いられてもよい。また、例えば略均等に四分割されて平面視略矩形の四つのセグメントを備えた平面視略矩形の受光部に代えて、略均等に二分割されて平面視略矩形の二つのセグメントを備えた平面視略矩形の受光部(不図示)が光検出器に構成されてもよい。また、例えば四分割された回折格子4に代えて、二分割された回折格子(不図示)や三分割された回折格子(不図示)が用いられてもよい。また、例えばトラッキングコイル33をチルト部に配線させたものに、上記OPU2A/光ディスク装置1Aの制御方法を実行させてもよい。また、例えば光ディスク装置1AのDSP100にRAM112等の第二記憶回路部112が装備されることなく省略されてもよい。
【実施例2】
【0308】
図18は、本発明に係るピックアップ装置の制御方法が実行されるピックアップ装置の第二実施形態に関するものを示す図である。
【0309】
詳しく説明すると、図18は、OPU2B/光ディスク装置1Bの制御方法が実行されるOPU2Bを示す概略平面図である。
【0310】
図14に示す第一実施形態のOPU2Aにおいては、OPU2Aのハウジング91に情
報読取り部材98が貼り付けられているが、図18に示す第二実施形態のOPU2Bにおいては、OPU2BのFPC93に情報読取り部材99が貼り付けられている。ハウジング91に代えてFPC93に情報読取り部材99が装備されたこと以外に、OPU2Bは、図1〜図14に示すOPU2Aの説明内容と略同じとされている。図18に示す第二実施例のOPU2Bにおいて、図1〜図14に示す第一実施例のOPU2Aの説明内容と略同一のものについては、同一の符号を付しその詳細な説明を省略した。また、図18に示す第二実施例のOPU2Bを備えた光ディスク装置1B(図15)において、図15〜図17に示す第一実施例のOPU2Aを備えた光ディスク装置1Aの説明内容と略同一のものについては、同一の符号を付しその詳細な説明を省略した。
【0311】
OPU2B(図1,図3〜図9)のアクチュエータ50(図3〜図9)のトラッキングエラー信号TE等からアクチュエータ50のローリング周波数成分(例:図10,図11)、レンズシフト・チルト角成分(例:図13)等のピックアップ装置情報を抜き出させ、次に、加算/調整/変更させるレベルを予め演算させ、次に、アクチュエータ50に生じるローリング発生レベル、レンズシフト発生レベル等の要改善補正レベルを調査させ、次に、ローリング発生レベル、レンズシフト発生レベル等とされる要改善補正レベルの調査結果をOPU2Bの情報として情報部99たとえば情報読取り部材99の情報記録部99aに記憶させ、次に、例えばOPU2B(図18)のFPC93の一面部93aに情報読取り部材99を添付させ、次に、光ディスク装置1B(図15)にOPU2B等を装備させて光ディスク装置1Bを組み立てるときに、情報読取り部材99(図18)の情報記録部99aに記憶されたOPU2Bの情報を光ディスク装置1B(図15)内のEEROM、EEPROM、EPROM等の記憶回路部111および/またはRAM等の記憶回路部112に記憶させ、その後、OPU2Bを光ディスク装置1Bに装備させて、光ディスク装置1Bを組み立てているとき又は光ディスク装置1Bを組み立てたのちに、光ディスク装置1Bの電源を入れて、ローリング発生レベル、レンズシフト発生レベル等とされる要改善補正レベルの調査結果を光ディスク装置1B内のDSP100に読み取らせて、光ディスク装置1Bの動作確認テスト等を行う。
【0312】
このように光ディスク装置1Bの設定方法が行われることにより、光ディスク装置1B内のOPU2Bのアクチュエータ50が適切に制御される。OPU2Bのアクチュエータ50単体の特性に合わせて、光ディスク装置1B内のDSP100にて、OPU2Bを構成するアクチュエータ50のトラッキングエラー信号TE等に適切な補正量が加えられて、光ディスク装置1B内のDSP100により、光ディスク装置1B内のOPU2Bのアクチュエータ50が適切に制御される。
【0313】
また、光ディスク装置1BにOPU2B等を装備させて光ディスク装置1Bを組み立てるときに、例えばOPU2BのFPC93の一面部93aに添付の情報読取り部材99の情報記録部99aに記憶されたOPU2Bの情報をEEROM、EEPROM、EPROM等の記憶回路部111および/またはRAM等の記憶回路部112に記憶させ、記憶回路部111および/または112に記憶させられたOPU2Bの情報とされるローリング発生レベル、レンズシフト発生レベル等の要改善補正レベルの調査結果を光ディスク装置1B内のDSP100に読み込ませることにより、例えば追加の特別な回路が必要とされることなく、ローリング発生レベル、レンズシフト発生レベル等とされる要改善補正レベルの調査結果が光ディスク装置1BのDSP100に取り込まれることとなる。追加の特別な回路が必要とされないことから、コストアップされることなく、アクチュエータ50のローリング、レンズシフト等に対するマージンいわゆる例えば許容量/差/範囲が改善される。ローリング、レンズシフト等に対するマージンを改善させるために、このように例えばシステムとして対策可能な手段が採用されることにより、アクチュエータ50の設計自由度が改善され、また、コストダウンの対応も可能となる。
【実施例3】
【0314】
図19は、本発明に係るピックアップ装置の制御方法およびディスク装置の第三実施形態に関するものを示す図である。
【0315】
図19は、ディスク装置の第三実施形態を分かり易く説明するために、便宜上、描かれた図とされている。詳しく説明すると、図19は、ディスク装置1Cを示すブロック図である。
【0316】
図15に示す第一実施形態の光ディスク装置1Aにおいては、光ディスク装置1Aを構成するOPU2AにEEROM等の記憶部が装備されることなく省略されているが、図19に示す第三実施形態の光ディスク装置1Cにおいては、光ディスク装置1Cを構成するOPU2CにEEROM90等の記憶部90が装備され、OPU2CのEEROM90と、光ディスク装置1CのDSP100のCPU110と、が通電可能に接続されている。第一実施形態のOPU2A(図15)においては、EEROM等の記憶部が装備されることなく省略されているに対し、第三実施形態のOPU2C(図19)においては、EEROM90を備えたOPU2Cが構成されている。EEROM等の記憶部が装備されたこと以外に、OPU2Cは、図1〜図14に示すOPU2Aの説明内容と略同じとされている。図19に示す第三実施例のOPU2Cを備えた光ディスク装置1Cにおいて、図15〜図17に示す第一実施例のOPU2Aを備えた光ディスク装置1Aの説明内容と略同一のものについては、同一の符号を付しその詳細な説明を省略した。
【0317】
このOPU2Cは、光ディスク装置1Cの制御部100の演算部110に各種制御を行わせるプログラムや、OPU2Cに必要とされる係数、最適補償パラメータ等が記憶された記憶部90を備える。ソフトウェア等により実施される各機能は、光ディスク装置1Cの制御部100の演算部110がアクセス可能な記憶部90に格納されている。光ディスク装置1Cの制御部100の演算部110は、フラッシュROMなどの記憶部90に記憶されたプログラムに基づいて、各種の制御/動作を行わせるものとして構成されている。記憶部90として、例えばフラッシュメモリが用いられる。また、この記憶部90は、例えば記憶回路部として構成される。記憶部90について詳しく説明すると、記憶部90として、例えばEEROMなどのROMが挙げられる。記憶部90について具体的に説明すると、記憶部90として、例えばEEPROMなどのROMが挙げられる。また、記憶部90として、例えばEPROMなどのROMが挙げられる。
【0318】
このOPU2C(図1)は、上記アクチュエータ可動主体部70と、上記アクチュエータ固定主体部と、上記LD3と、上記回折格子4と、上記偏光部材6と、上記CL7と、上記QWP8と、上記反射ミラー9と、上記第一の平行平板10Iと、上記第二の平行平板10IIと、上記第一のOBL11と、上記第二のOBL12と、上記光検出器80(図1,図19)と、上記EEROM90と、を備え、光ディスク200の信号の読出し及び/又は光ディスク200に信号の書込みが可能とされた差動フォーカス・チルト方式のOPU2Cとして構成されている。また、このOPU2A(図1)は、必要に応じて、上記カップリングレンズ5Iと、上記FMD5IIと、をさらに備える。
【0319】
また、このOPU2C/光ディスク装置1Cの制御方法は、レーザ光300を出射可能なLD3と、レーザ光300の進む方向を変更可能なハーフミラー、PBS等の偏光部材6と、偏光部材6を経由したレーザ光300を光ディスク200に集光させる移動/稼動可能なOBL11,12と、光ディスク200に照射されると共に反射されたレーザ光300が偏光部材6によって振り向けられて照射される複数に分割されたセンサ部82,83,84/87,88,89を有する光検出器80と、を備えるOPU2Cを用いて、OBL11,12の制御を行わせるOPU2C/光ディスク装置1Cの制御方法とされている。光検出器80を構成する複数のセンサ部82,83,84/87,88,89に照射
されたレーザ光300のスポット312,313,314/317,318,319に基づいて演算を行わせることにより、稼動するOBL11,12の位置を算出させる。詳しく説明すると、光検出器80を構成する複数のセンサ部82,83,84/87,88,89に照射されたレーザ光300のスポット312,313,314/317,318,319に基づき、例えば、上記式(A)、上記式(B)、上記式(1)〜(24)、上記式(I)に基づいた計算/演算を光ディスク装置1Cに行わせることにより、移動可能なOBL11,12の位置が算出される。
【0320】
これにより、稼動するOBL11,12の位置を精度よく算出可能なOPU2C/光ディスク装置1Cの制御方法の提供が可能となる。光検出器80を構成する複数のセンサ部82,83,84/87,88,89に照射されたレーザ光300のスポット312,313,314/317,318,319に基づき、例えば、上記式(A)、上記式(B)、上記式(1)〜(24)、上記式(I)に基づいた計算/演算を光ディスク装置1Cに実行可能とさせることにより、移動可能なOBL11,12の位置を精度よく算出可能なOPU2C/光ディスク装置1Cの制御方法を提供することができる。
【0321】
光ディスク200の信号層210いわゆるピット面部にレーザ光300を集光させるときに、レーザ光300の集光スポット301を光ディスク200の信号層210に正確に追従させるために、光ディスク200の信号層210にレーザ光300のフォーカスを正確に合わせるためのフォーカスサーボおよび光ディスク200の信号層210のトラック212を正確にトレースするためのトラッキングサーボを働かせてOBL11,12を制御させる。
【0322】
このように、フォーカスサーボおよびトラッキングサーボが働かされてOBL11,12の制御が行われることにより、光ディスク200の信号層210にレーザ光300が精度よく集光される。光ディスク200の信号層210にレーザ光300のフォーカスを合わせるためのフォーカスサーボおよび光ディスク200の信号層210のトラック212をトレースするためのトラッキングサーボが働かされることにより、レーザ光300を光ディスク200に集光させる稼動中のOBL11,12の制御が精度よく行われ、OBL11,12の位置が精度よく算出される。
【0323】
また、光ディスク200の反りに応じてOBL11,12を傾けるチルト制御をフォーカスの差動駆動にて制御させる。例えばOPU2Cを構成する差動アクチュエータ50のアクチュエータ可動主体部70にチルト制御を行わせつつ作動させるときに、アクチュエータ可動主体部70の第一フォーカス/チルトコイル31に印加される電圧とアクチュエータ可動主体部70の第二フォーカス/チルトコイル32に印加される電圧との間に一定の電位差を発生させることによって、その電位差に応じた傾斜角いわゆるチルト角度の分だけ差動アクチュエータ50のアクチュエータ可動主体部70を傾斜させることが可能となる。
【0324】
又はOPU2Cの設計/仕様等により、例えばOPU2Cの差動アクチュエータ50にチルト制御を行わせつつ作動させるときに、第一フォーカス/チルトコイル31に流される電流方向に対し、第二フォーカス/チルトコイル32に流される電流方向を逆とさせ、各フォーカス/チルトコイル31,32の電流量に応じて各フォーカス/チルトコイル31,32に力を発生させてOPU2Cのアクチュエータ可動主体部70を傾斜させることも可能とされる。
【0325】
稼動するOBL11,12の位置を算出させるときに、光ディスク200の反りに対応してOBL11,12を傾斜させるチルト制御を必要に応じて調整/変更させる。
【0326】
チルト制御が必要に応じて調整/変更させられることにより、OPU2CのOBL11又は12が用いられて反りの生じた光ディスク200にレーザ光300を集光させている際に、光ディスク200の反りに対応して複数のOBL11,12が装備されたレンズホルダ20を傾斜させるチルト制御を実行させているときに、傾けられた複数のOBL11,12を備えるレンズホルダ20が不用意に光ディスク200のトラッキング方向Drに略沿って移動するという不具合いわゆるレンズシフトの発生は回避される。
【0327】
例えば図13の如く、複数のOBL11,12を備えるレンズホルダ20のチルト角度(deg)と、複数のOBL11,12を備えるレンズホルダ20が光ディスク200のトラッキング方向Drに略沿って不用意に移動するホルダ移動量(mm)との関係は、一次関数により表される。例えば、前記チルト角度をAと定め、前記ホルダ移動量をMと定めたときに、前記ホルダ移動量Mは、上記式(I)に基づいて定められる。
【0328】
上記式(I)の如く、複数のOBL11,12を備えるレンズホルダ20のチルト角度A(deg)と、複数のOBL11,12を備えるレンズホルダ20が光ディスク200のトラッキング方向Drに略沿って不用意に移動するホルダ移動量M(mm)とは、正比例たとえばリニアの関係とされている。上記式(I)等の各関係情報は、例えばOPU2Cの情報いわゆるピックアップ装置情報とされ、具体的にはOPU2Cの差動アクチュエータ50を構成するアクチュエータ可動主体部70のレンズシフト発生レベルとされる。
【0329】
光ディスク200の反りに対応して複数のOBL11,12が装備されたレンズホルダ20を傾斜させるときに、複数のOBL11,12を有するレンズホルダ20が光ディスク200の半径方向Drいわゆるトラッキング方向Drに略沿って移動してずらされることを上記式(I)等に基づく特殊な演算を用いたチルト制御により調整させつつ回避させる(図12,図13)。
【0330】
複数のOBL11,12を有するレンズホルダ20が光ディスク200のトラッキング方向Drに略沿って移動してずらされようとされたときに、複数のOBL11,12を有するレンズホルダ20の傾きを上記式(I)等に基づく特殊な演算を用いたチルト制御によって調整させることにより、傾けられた複数のOBL11,12を有するレンズホルダ20が光ディスク200のトラッキング方向Drに略沿って不用意に移動するというレンズシフト動作の発生は回避される。光ディスク200の反りに対応して複数のOBL11,12が装備されたレンズホルダ20を傾斜させるチルト制御を実行させているときに、傾けられた複数のOBL11,12を有するレンズホルダ20が光ディスク200のトラッキング方向Drに略沿って不用意に移動するレンズシフト動作はキャンセルされ、複数のOBL11,12が装備されたレンズホルダ20を傾斜させるチルト制御は正常に作動する。
【0331】
光ディスク200の反りに対応して複数のOBL11,12が装備されたレンズホルダ20を傾斜させるときに、複数のOBL11,12が装備されたレンズホルダ20の傾斜角度に応じてトラッキングコイル33に所定の補正用逆電圧を印加させる。
【0332】
これにより、光ディスク200の反りに対応して複数のOBL11,12が装備されたレンズホルダ20を傾斜させるチルト制御を実行させているときに、傾けられた複数のOBL11,12を有するレンズホルダ20が不用意に光ディスク200のトラッキング方向Drに略沿って移動するという不具合の発生は回避される。光ディスク200の反りに対応して複数のOBL11,12が装備されたレンズホルダ20を傾斜させるときに、複数のOBL11,12が装備されたレンズホルダ20の傾斜角度に応じてトラッキングコイル33に所定の補正用逆電圧を印加させることにより、OBL11,12を有するレンズホルダ20が光ディスク200のトラッキング方向Drに略沿って不用意に移動すると
いうレンズシフト動作がキャンセルされ、複数のOBL11,12が装備されたレンズホルダ20を傾斜させるチルト制御は正常に作動する。
【0333】
また、この光ディスク装置1Cは、例えば、図1,図3〜図9,図15等に示す何れかの上記OPU2AにEEROM90(図19)が備えられたOPU2Cを装備可能なものとされている。
【0334】
また、この光ディスク装置1Cは、上記OPU2C/光ディスク装置1Cの制御方法が実行可能とされている。稼動するOBL11,12の位置を精度よく算出可能なOPU2C/光ディスク装置1Cの制御方法が実行可能とされた光ディスク装置1Cを構成させることが可能となる。移動可能なOBL11,12の位置を精度よく算出可能なOPU2C/光ディスク装置1Cの制御方法が実行可能とされた光ディスク装置1Cを構成させることができる。
【0335】
OPU2C(図1,図3〜図9)のアクチュエータ50(図3〜図9)のトラッキングエラー信号TE等からアクチュエータ50のローリング周波数成分(例:図10,図11)等のピックアップ装置情報を抜き出させ、次に、加算/調整/変更させるレベルを予め演算させ、次に、アクチュエータ50に生じるローリング発生レベル、レンズシフト発生レベル等の要改善補正レベルを調査させ、次に、ローリング発生レベル、レンズシフト発生レベル等とされる要改善補正レベルの調査結果をOPU2Cの情報として、EEROM、EEPROM、EPROM等の記憶部90に記憶させ、その後、OPU2Cを光ディスク装置1Cに装備させて、光ディスク装置1Cを組み立てているとき又は光ディスク装置1Cを組み立てたのちに、光ディスク装置1Cの電源を入れて、ローリング発生レベル、レンズシフト発生レベル等とされる要改善補正レベルの調査結果を光ディスク装置1C内のDSP100に読み取らせて、光ディスク装置1Cの動作確認テスト等を行う。
【0336】
このように光ディスク装置1Cの設定方法が行われることにより、光ディスク装置1C内のOPU2Cのアクチュエータ50が適切に制御される。OPU2Cのアクチュエータ50単体の特性に合わせて、光ディスク装置1C内のDSP100にて、OPU2Cを構成するアクチュエータ50のトラッキングエラー信号TE等に適切な補正量が加えられて、光ディスク装置1C内のDSP100により、光ディスク装置1C内のOPU2Cのアクチュエータ50が適切に制御される。
【0337】
また、EEROM、EEPROM、EPROM等の記憶部90に記憶させられたOPU2Cの情報とされるローリング発生レベル、レンズシフト発生レベル等の要改善補正レベルの調査結果を光ディスク装置1C内のDSP100に読み込ませることにより、アクチュエータ50のローリング、レンズシフト等に対するマージンいわゆる例えば許容量/差/範囲が改善される。ローリング、レンズシフト等に対するマージンを改善させるために、このように例えばシステムとして対策可能な手段が採用されることにより、アクチュエータ50の設計自由度が改善され、また、コストダウンの対応も可能となる。
【0338】
光ディスク装置1Cが完成された状態の検査工程にて、アクチュエータ50のトラッキング信号に加振信号を加え、トラッキングエラー信号TEから差動フォーカスエラー信号への注入信号レベルをトラッキングエラー信号TE最大時の指標を用いて判断させる。
【0339】
このように光ディスク装置1Cの設定方法が行われることにより、アクチュエータ50を構成するレンズホルダ20のOBL11,12のローリングによる姿勢変化が改善される。トラッキングの駆動信号からOPU2Cのアクチュエータ50を構成するレンズホルダ20のOBL11,12のローリング周波数成分を抜き出させ、ローリング周波数成分に基づく信号を差動フォーカス駆動信号にローリングを抑圧させるように加算させること
で、アクチュエータ50を構成するレンズホルダ20のOBL11,12のローリングによる姿勢変化が改善される。
【0340】
上記光ディスク装置1Cの設定方法を行うときに、ガラス製光ディスク(200)等を用いて光ディスク(200)におけるチルト量が最小に抑えられている基本光ディスク(200)を使用する。先ず、OPU2Cから基本光ディスク(200)に向けてレーザ光300を出射させ、次に、基本光ディスク(200)に対するOPU2Cのフォーカスがオンの状態とされたときに、アクチュエータ50を構成するレンズホルダ20のOBL11,12をトラッキング方向Drに加振させ、そのときの基本光ディスク(200)からの反射レベル光300の変化量と、アクチュエータ50を構成するレンズホルダ20のOBL11,12のローリングレベルと、を測定させ、その後、その測定結果に基づいて補正レベルの最適値を求める。
【0341】
このOPU2Cは、上記式(A)、式(1)、式(2)、式(3)、又は式(I)に入力される上記係数A11,A12,A13,A14,A21,A22,A23,A24,A31,A32,A33,A34,Cを記憶可能な記憶部90(図19)を備える。
【0342】
上記係数A11,A12,A13,A14,A21,A22,A23,A24,A31,A32,A33,A34,Cを記憶可能な記憶部90を備えるOPU2Cが構成されることにより、例えばOPU2Cの製造工程における誤差によって生じるOPU2Cの例えばIO不良の発生が回避可能とされたOPU2Cを提供することが可能となる。又は、上記係数A11,A12,A13,A14,A21,A22,A23,A24,A31,A32,A33,A34,Cを記憶可能な記憶部90を備えるOPU2Cが構成されることにより、例えばOPU2Cの動作時におけるOBL11,12のローリングの発生等が回避可能とされたOPU2Cを提供することが可能となる。例えば上記記憶部90を備えるOPU2Cが光ディスク装置1Cに組み込まれることにより、上記各問題が容易に解決可能な光ディスク装置1Cが構成される。
【0343】
例えば、OPU2Cの製造現場/環境などの違い等により、OPU2Cごとに製造ばらつきが生じると、これに伴ってOPU2Cごとに必要とされる最適補償パラメータが異なることが生じる。そのような事態が生じても、OPU2CのEEROM90等の記憶部90に、OPU2Cごとに必要とされる最適補償パラメータを例えばOPU2Cの部品情報として予め記憶させ、ドライブ装置などの光ディスク装置1Cにおいて、EEROM90等の記憶部90から予め記憶された最適補償パラメータをDSP100のCPU110内に読み込ませることにより、例えばOPU2Cごとに必要とされる最適補償パラメータ等のチューニング作業等が不要となる。従って、OPU2Cごとに必要とされる最適補償パラメータの設定作業は、容易で迅速に行われる。DSP100が備えるソフトウェア、ファームウェア等のいわゆるプログラムにより、上記光ディスク装置1Cの制御方法が容易で迅速に実行される。
【0344】
このように、この光ディスク装置1Cは、上記光ディスク装置1Cの設定制御方法や、上記光ディスク装置1Cの設定方法が実行可能とされている。
【0345】
これにより、アクチュエータ50の設計自由度が改善され、また、コストダウンの対応も可能とされた光ディスク装置1Cの提供が可能となる。
【0346】
以上、本発明の実施形態について説明したが、前述した発明の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得るとともに、本発明にはその等価物も含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0347】
例えば、「CD」、「DVD」、「HD DVD」、「CBHD」、「Blu−ray
Disc」等として挙げられる各種光ディスク等の各種メディアに記録されたデータ、情報、信号等を再生させたり、書込み可能もしくは書換え可能な各種光ディスク等の各種メディアにデータ、情報、信号等を記録させたりすることが可能なピックアップ装置の制御方法およびディスク装置に適用可能とされるものである。
【符号の説明】
【0348】
1A,1B,1C 光ディスク装置(ディスク装置)
2A,2B,2C OPU(ピックアップ装置)
3 LD(発光素子)
3I 第一の光源(光源)
3II 第二の光源(光源)
4 グレーティング(回折格子)
5I カップリングレンズ(レンズ)
5II FMD(フロントモニタダイオード)
6 偏光部材
7 CL(コリメータレンズ)
8 QWP(1/4波長板)
9 反射ミラー(ミラー)
10I,10II 平行平板(非点収差素子)
11,12 OBL(レンズ)
20 レンズホルダ(ホルダ)
21 天壁
22 第一側壁(側壁)
23 一側壁(側壁)
24 他側壁(側壁)
25 第二側壁(側壁)
26,27 端部
28 中央部
31 第一フォーカス/チルトコイル(コイル)
32 第二フォーカス/チルトコイル(コイル)
33 トラッキングコイル(コイル)
50 差動アクチュエータ(アクチュエータ)
61,62,63,64,65,66 サスペンションワイヤ(支持部材)
70 アクチュエータ可動主体部(アクチュエータ主体部)
71 フォーカス/チルト着力点部(合力点部)
72 トラッキング着力点部(中心部)
73 重心部
74 回動中心部(中心部)
75 チルト回動中心軸貫通部(回動中心軸貫通部)
80 PD(光検出器)
81,86 受光領域(領域)
82,87 メイン受光部(センサ部)
82a,82b,82c,82d,83a,83b,83c,83d,84a,84b,84c,84d,87a,87b,87c,87d,88a,88b,88c,88d,89a,89b,89c,89d セグメント(光検出面部)
82x、82y、83x、83y、84x、84y、87x、87y、88x、88y、89x、89y 分割線
83,84,88,89 サブ受光部(センサ部)
85 同一受光面部(受光面部)
90 ROM(記憶部)
91 ハウジング
91a 裏面部(一面部)
93 FPC(回路体)
93a 一面部
94 絶縁シート(シート)
95 回路導体部(導体部)
96 保護層(保護膜)
98,99 情報読取り部材(情報部)
98a,99a 情報記録部(記録部)
100 DSP(制御部)
106 加算器
107 増幅器
108 減算器
110 CPU(演算部)
111 ROM(記憶回路部)
112 RAM(記憶回路部)
121 第一フォーカスサーボ回路部(サーボ回路部)
122 第二フォーカスサーボ回路部(サーボ回路部)
123 トラッキングサーボ回路部(サーボ回路部)
131 他の信号調整回路部(信号調整回路部)
141 第一フォーカス/チルト信号調整回路部(調整回路部)
142 第二フォーカス/チルト信号調整回路部(調整回路部)
150 ドライバ(駆動回路部)
151 第一フォーカス/チルトコイル駆動回路部(駆動回路部)
152 第二フォーカス/チルトコイル駆動回路部(駆動回路部)
200 ディスク(メディア)
210,220 信号層(面部)
212 トラック
214 トラックピッチ(周期)
300 レーザ光(光)
301 集光スポット(スポット)
302 メインスポット(スポット)
303,304 サブスポット(スポット)
312,317 メイン検出光スポット(スポット)
313,314,318,319 サブ検出光スポット(スポット)
Dc タンジェンシャル方向(方向)
Df フォーカス方向(光軸方向)
Dr トラッキング方向(半径方向)
Dt チルト方向(揺動方向)
FO1,FO2,TR 駆動信号(信号)
FE フォーカスエラー信号
TE,TE1,TE2 トラッキングエラー信号
TEa1,TEa2 メインプッシュプル信号(プッシュプル信号)
TEb1,TEb2,TEc1,TEc2 サブプッシュプル信号(プッシュプル信号)
TEd1,TEd2 加算サブプッシュプル信号(プッシュプル信号)
TILT 補正チルト量信号
Q1,Q2 補償値
X ソフトウェア(プログラム)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光をメディアに集光させる光学素子を少なくとも備えるピックアップ装置を用いて、前記光学素子の制御を行わせるピックアップ装置の制御方法であって、
前記メディアの反りに対応して前記光学素子を傾斜させるチルト制御を必要に応じて調整/変更させる
ことを特徴とするピックアップ装置の制御方法。
【請求項2】
前記メディアの信号面部に前記光を集光させるときに、前記光を前記信号面部に追従させるために、前記信号面部に前記光のフォーカスを合わせるためのフォーカスサーボおよび前記信号面部のトラックをトレースするためのトラッキングサーボを働かせて前記光学素子を制御させる
ことを特徴とする請求項1に記載のピックアップ装置の制御方法。
【請求項3】
前記光学素子を前記メディアの半径方向に略沿って駆動させるコイルをさらに備える前記ピックアップ装置を用い、
前記メディアの前記反りに対応して前記光学素子を傾斜させるときに、前記光学素子の傾斜角度に応じて前記コイルに所定の補正逆電圧を印加させる
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のピックアップ装置の制御方法。
【請求項4】
前記光学素子のチルト角度をAと定め、
前記メディアの半径方向に略沿った前記光学素子の移動量をMと定めたときに、
前記移動量Mは、下式(I)に基づいて定められ、
前記メディアの前記反りに対応して前記光学素子を傾斜させるときに、前記メディアの前記半径方向に略沿って前記移動量Mの補正をかける
ことを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載のピックアップ装置の制御方法。
M=(C×A)+B …(I)
(但し、式(I)中の係数B,Cは、任意の数値とされる。)
【請求項5】
少なくともフォーカスエラー信号もしくはトラッキングエラー信号の何れか一方または両方に基づき、アルゴリズムを用いて、前記ピックアップ装置のコイルに送られる信号を算出させる
ことを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載のピックアップ装置の制御方法。
【請求項6】
下式(A)に基づいて、前記コイルに送られる前記信号を算出させる
ことを特徴とする請求項5に記載のピックアップ装置の制御方法。
【数31】

【請求項7】
前記光学素子を少なくとも前記光学素子の光軸方向に略沿って駆動させる第一フォーカス/チルトコイルおよび第二フォーカス/チルトコイルと、
前記光学素子を前記メディアの半径方向に略沿って駆動させるトラッキングコイルと、
を備える前記ピックアップ装置を用い、
前記第一フォーカス/チルトコイルに入力される駆動信号をFO1と定め、
前記第二フォーカス/チルトコイルに入力される駆動信号をFO2と定め、
前記トラッキングコイルに入力される駆動信号をTRと定め、
前記メディアに対して前記光学素子の前記光軸方向に略沿った前記光の焦点ずれが生じたときに検出されるフォーカスエラー信号をFEと定め、
前記メディアに対して前記メディアの前記半径方向に略沿った前記光の焦点ずれが生じたときに検出されるトラッキングエラー信号をTEと定め、
前記メディアに対して前記光の焦点角度ずれが生じたときに前記光学素子の角度ずれを補正させる補正チルト量信号をTILTと定めたときに、
前記第一フォーカス/チルトコイルに入力される駆動信号は、下式(1)に基づいて定められ、
前記第二フォーカス/チルトコイルに入力される駆動信号は、下式(2)に基づいて定められ、
前記トラッキングコイルに入力される駆動信号は、下式(3)に基づいて定められる
ことを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載のピックアップ装置の制御方法。
【数32】

【数33】

【数34】

(但し、式中の係数A11,A12,A13,A14,A21,A22,A23,A24,A31,A32,A33,A34は、任意の値とされる。)
【請求項8】
必要に応じて、前記係数A13,A23に零を除く任意の値を入力させ、
そのときの前記係数A13に対する前記係数A23は、正負逆の値とさせる
ことを特徴とする請求項7に記載のピックアップ装置の制御方法。
【請求項9】
必要に応じて、前記係数A14,A24に零を除く任意の値を入力させる
ことを特徴とする請求項7又は8に記載のピックアップ装置の制御方法。
【請求項10】
必要に応じて、前記係数A11,A21に零を除く任意の値を入力させ、
そのときの前記係数A11に対して前記係数A21に差をもたせる
ことを特徴とする請求項7〜9の何れか1項に記載のピックアップ装置の制御方法。
【請求項11】
前記光学素子にローリングが生じようとされたときに、前記係数A13,A23に零を除く任意の値が入力され、
前記光学素子のローリング周波数により、前記係数A13,A23に入力される前記値を変化させる
ことを特徴とする請求項7〜10の何れか1項に記載のピックアップ装置の制御方法。
【請求項12】
請求項1〜11の何れか1項に記載のピックアップ装置の制御方法が実行可能とされたことを特徴とするディスク装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2010−277682(P2010−277682A)
【公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−103095(P2010−103095)
【出願日】平成22年4月28日(2010.4.28)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】