説明

ピックル液インジェクタ

【課題】ピックル液を原料肉4に注入するピックル液インジェクタにおいて、ピックル液が原料肉4に注入されるとき、注入量を原料肉4の重量に対応させる。
【解決手段】ピックル液供給源が注入ヘッド3に接続され、ピックル液が各ニードル2に供給され、駆動機構によって注入ヘッド3が下降し、各ニードル2が原料肉4に突き刺さり、ピックル液が原料肉4に注入される。さらに、ピックル液が原料肉4に注入される前、ロードセル9によって原料肉4の重量が検出され、測定される。さらに、制御装置16がロードセル9に接続され、ピックル液が原料肉4に注入されるとき、ロードセル9の測定値にもとづき、制御装置16によって供給源または駆動機構が制御され、注入量が調節される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ピックル液を原料肉に注入するピックル液インジェクタに関する。
【背景技術】
【0002】
ハムなどの食肉加工製品の加工工程において、ピックル液を原料肉に注入するとき、ピックル液インジェクタと呼ばれているものが一般に使用されている。特許文献1に記載されているように、ピックル液インジェクタでは、送りコンベヤの上方において、多数のニードルが注入ヘッドに取り付けられ、送りコンベヤによって原料肉が送られる。さらに、ピックル液供給源が注入ヘッドに接続され、ピックル液が各ニードルに供給され、駆動機構によって注入ヘッドが下降し、各ニードルが原料肉に突き刺さり、ピックル液が原料肉に注入される。
【0003】
この場合、問題はピックル液の注入量である。注入量を原料肉の重量に対応させ、比例させ、その重量比を一定に保つことが好ましい。さらに、製品の種類によって重量比を変えることが要求される。たとえば、ある製品では、その重量の20%がピックル液であるようにすることが要求され、他の製品では、その重量の30%がピックル液であるようにすることが要求されるが、これまで、注入量を原料肉の重量に対応させることは容易ではなかった。
【0004】
したがって、この発明は、ピックル液を原料肉に注入するピックル液インジェクタにおいて、ピックル液が原料肉に注入されるとき、注入量を原料肉の重量に対応させることを目的としてなされたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平6−209693号公報
【発明の概要】
【0006】
この発明によれば、送りコンベヤの上方において、多数のニードルが注入ヘッドに取り付けられ、送りコンベヤによって原料肉が送られる。さらに、ピックル液供給源が注入ヘッドに接続され、ピックル液が各ニードルに供給され、駆動機構によって注入ヘッドが下降し、各ニードルが原料肉に突き刺さり、ピックル液が原料肉に注入される。さらに、ピックル液が原料肉に注入される前、ロードセルによって原料肉の重量が検出され、測定される。さらに、制御装置がロードセルに接続され、ピックル液が原料肉に注入されるとき、ロードセルの測定値にもとづき、制御装置によって供給源または駆動機構が制御され、注入量が調節される。
【0007】
好ましい実施例では、送りコンベヤが上流、中間および下流コンベヤに分割され、上流、中間および下流コンベヤによって原料肉が搬入され、送られ、搬出され、中間コンベヤの上方において、各ニードルが注入ヘッドに取り付けられる。さらに、中間コンベヤがロードセルに支持され、原料肉が中間コンベヤに載せられたとき、ロードセルによって中間コンベヤおよび原料肉の重量が検出され、測定される。
【0008】
さらに、制御装置がセンサに接続され、送りコンベヤによって原料肉が送られたとき、センサによって原料肉の位置が検出され、その検出信号にもとづき、制御装置によって送りコンベヤが停止する。その後、ロードセルによって原料肉の重量が測定され、駆動機構によって注入ヘッドが下降し、ピックル液が原料肉に注入される。
【0009】
ピックル液が原料肉に注入されているとき、ロードセルによって原料肉の重量を測定し、ピックル液の注入量を判定する。その後、判定結果を踏まえ、制御装置によって供給源または駆動機構を制御し、注入量を調整するようにしてもよい。
【0010】
ピックル液の注入後、ロードセルによって原料肉の重量を測定し、ピックル液の注入量を判定する。そして、注入量が不足しているとき、再度注入ヘッドを下降させ、ピックル液を注入するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】この発明の実施例を示す側面図である。
【図2】図1のインジェクタの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、この発明の実施例を説明する。
【0013】
図1はこの発明にかかるピックル液インジェクタを示す。このインジェクタでは、送りコンベヤ1の上方において、多数のニードル2が注入ヘッド3に取り付けられ、送りコンベヤ1によって原料肉4が送られる。送りコンベヤ1はベルトコンベヤまたはローラコンベヤからなる。
【0014】
さらに、ピックル液供給源が注入ヘッド3に接続され、ピックル液が各ニードル2に供給され、駆動機構によって注入ヘッド3が下降し、各ニードル2が原料肉4に突き刺さり、ピックル液が原料肉4に注入される。供給源はプランジャポンプ5およびタンク6からなり、プランジャポンプ5はタンク6および注入ヘッド3に接続されている。そして、ピックル液がタンク6に貯留され、プランジャポンプ5によってピックル液が送られ、ピックル液が注入ヘッド3に導かれ、各ニードル2に供給される。一方、駆動機構はモータまたはシリンダからなり、ハウジング7に収容され、ロッド8および注入ヘッド3に連結されている。したがって、モータまたはシリンダによってロッド8および注入ヘッド3が下降し、各ニードル2が原料肉4に突き刺さり、ピックル液が原料肉4に注入される。
【0015】
さらに、このインジェクタでは、ピックル液が原料肉4に注入される前、ロードセル9によって原料肉4の重量が検出され、測定される。
【0016】
この実施例では、送りコンベヤ1が上流、中間および下流コンベヤ10,11,12に分割され、上流、中間および下流コンベヤ10,11,12によって原料肉4が搬入され、送られ、搬出され、中間コンベヤ11の上方において、各ニードル2が注入ヘッド3に取り付けられている。さらに、ロードセル9がハウジング7に支持され、中間コンベヤ11がロードセル9に支持されており、原料肉4が中間コンベヤ11に載せられたとき、ロードセル9によって中間コンベヤ11および原料肉4の重量が検出され、測定される。さらに、この実施例では、上流、中間および下流コンベヤ10,11,12において、それぞれモータ13,14,15が設けられ、モータ13,14,15およびベルトまたはローラがフレームに支持されており、モータ13,14,15によってベルトまたはローラが駆動され、原料肉4が搬入され、送られ、搬出される。そして、中間コンベヤ11において、そのフレーム、モータ14およびベルトまたはローラがロードセル9に支持されている。したがって、原料肉4が中間コンベヤ11に載せられたとき、ロードセル9が中間コンベヤ11および原料肉4の重量を受け、ロードセル9によって中間コンベヤ11および原料肉4の重量が検出され、測定される。
【0017】
したがって、容易に、正確に原料肉4の重量を測定することができる。
【0018】
さらに、制御装置16がロードセル9、供給源および駆動機構に接続され、ピックル液が原料肉4に注入されるとき、ロードセル9の測定値にもとづき、制御装置16によって供給源または駆動機構が制御され、注入量が調節される。たとえば、制御装置16がロードセル9およびプランジャポンプ5に接続されており、原料肉4の重量が大きいとき、ロードセル9の測定値にもとづき、制御装置16によってプランジャポンプ5が制御され、その送り量が増大し、注入量が増大する。反対に、原料肉4の重量が小さいとき、ロードセル9の測定値にもとづき、制御装置16によってプランジャポンプ5が制御され、その送り量が減少し、注入量が減少する。さらに、モータまたはシリンダによって注入ヘッド3が下降し、各ニードル2が原料肉4に突き刺さり、ピックル液が原料肉4に注入されるが、注入されるとき、注入量は注入ヘッド3の速度に関係する。注入ヘッド3の速度が低いほど注入量は大きく、高いほど注入量は小さい。したがって、制御装置16をロードセル9およびモータまたはシリンダに接続し、原料肉4の重量が大きいとき、ロードセル9の測定値にもとづき、制御装置16によってモータまたはシリンダを制御し、注入ヘッド3の下降速度を低下させ、注入量を増大させることもできる。原料肉4の重量が小さいとき、ロードセル9の測定値にもとづき、制御装置16によってモータまたはシリンダを制御し、注入ヘッド3の下降速度を上昇させ、注入量を減少させることもできる。
【0019】
したがって、このインジェクタの場合、ピックル液を原料肉4に注入するとき、注入量を原料肉の重量に対応させ、比例させ、その重量比を一定に保つことができる。制御装置16を操作パネルに接続し、操作パネルおよび制御装置16によって製品の種類を選定し、製品の種類によって重量比を変えることもできる。たとえば、ある製品では、その重量の20%がピックル液であり、他の製品では、その重量の30%がピックル液であるようにすることができる。
【0020】
さらに、このインジェクタでは、送りコンベヤ1の上方において、センサ17がビーム18に取り付けられている。センサ17は光学センサからなる。さらに、制御装置16がセンサ17およびモータ13,14,15に接続され、送りコンベヤ1によって原料肉4が送られたとき、センサ17によって原料肉4の位置が検出され、その検出信号にもとづき、制御装置16によってモータ13,14,15が停止し、送りコンベヤ1が停止する。その後、ロードセル9によって原料肉4の重量が測定され、駆動機構によって注入ヘッド3が下降し、ピックル液が原料肉4に注入される。
【0021】
したがって、送りコンベヤ1が停止しているとき、ロードセル9によって原料肉4の重量が測定され、ピックル液が原料肉4に注入されるものである。この結果、正確に原料肉4の重量を測定することができ、確実にピックル液を注入することもできる。センサ17によって原料肉4の位置が検出されるまで、原料肉4を連続的に送ることもできる。原料肉4が送られていないとき、送りコンベヤ4が停止することはなく、注入ヘッド3が下降し、ピックル液が放出されることもない。
【0022】
なお、原料肉4の物性によってピックル液が注入されにくいこともあり、注入されやすいこともあるが、ピックル液が原料肉4に注入されると、ピックル液によって原料肉4の重量が増大することは当然である。したがって、ピックル液が原料肉4に注入される前、ロードセル9によって原料肉4の重量を測定するだけではなく、ピックル液が原料肉4に注入されているとき、ロードセル9によって原料肉4の重量を測定すると、それによってピックル液の注入量を判定することができる。その後、判定結果を踏まえ、制御装置16によって供給源または駆動機構を制御し、注入量を調節するようにしてもよい。たとえば、ピックル液が注入されにくく、注入量が不足しているとき、その後、判定結果を踏まえ、制御装置16によって供給源または駆動機構を制御し、注入量を増大させる。反対に、ピックル液が注入されやすく、注入量が過剰であるとき、その後、判定結果を踏まえ、制御装置16によって供給源または駆動機構を制御し、注入量を減少させると、注入量を原料肉の重量に対応させることができる。
【0023】
ピックル液の注入後、ロードセル9によって原料肉4の重量を測定し、ピックル液の注入量を判定する。その後、注入量が不足しているとき、再度注入ヘッド3を下降させ、ピックル液を注入するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0024】
1 送りコンベヤ
2 ニードル
3 注入ヘッド
4 原料肉
5 プランジャポンプ
9 ロードセル
10 上流コンベヤ
11 中間コンベヤ
12 下流コンベヤ
16 制御装置
17 センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原料肉を送る送りコンベヤと、
前記送りコンベヤの上方において、注入ヘッドに取り付けられた多数のニードルと、
前記注入ヘッドに接続され、ピックル液を前記各ニードルに供給する供給源と、
前記注入ヘッドを下降させ、前記各ニードルを前記原料肉に突き刺し、前記ピックル液を前記原料肉に注入する駆動機構と、
前記ピックル液が前記原料肉に注入される前、前記原料肉の重量を検出し、測定するロードセルと、
前記ロードセルに接続され、前記ピックル液が前記原料肉に注入されるとき、前記ロードセルの測定値にもとづき、前記供給源または前記駆動機構を制御し、注入量を調節する制御装置とからなるピックル液インジェクタ。
【請求項2】
前記送りコンベヤが上流、中間および下流コンベヤに分割され、前記上流、中間および下流コンベヤによって前記原料肉が搬入され、送られ、搬出され、前記中間コンベヤの上方において、前記各ニードルが前記注入ヘッドに取り付けられ、さらに、前記中間コンベヤが前記ロードセルに支持され、前記原料肉が前記中間コンベヤに載せられたとき、前記ロードセルによって前記中間コンベヤおよび原料肉の重量が検出され、測定されるようにした請求項1に記載のピックル液インジェクタ。
【請求項3】
前記制御装置がセンサに接続され、前記送りコンベヤによって前記原料肉が送られたとき、前記センサによって前記原料肉の位置が検出され、その検出信号にもとづき、前記制御装置によって前記送りコンベヤが停止し、その後、前記ロードセルによって前記原料肉の重量が測定され、前記駆動機構によって前記注入ヘッドが下降し、前記ピックル液が前記原料肉に注入されるようにした請求項1に記載のピックル液インジェクタ。
【請求項4】
前記ピックル液が前記原料肉に注入されているとき、前記ロードセルによって前記原料肉の重量が測定され、前記ピックル液の注入量が判定され、その後、判定結果を踏まえ、前記制御装置によって前記供給源または前記駆動機構が制御され、注入量が調節されるようにした請求項1に記載のピックル液インジェクタ。
【請求項5】
前記ピックル液の注入後、前記ロードセルによって前記原料肉の重量が測定され、前記ピックル液の注入量が判定され、注入量が不足しているとき、再度前記注入ヘッドが下降し、ピックル液が注入されるようにした請求項1に記載のピックル液インジェクタ。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−187062(P2012−187062A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−54285(P2011−54285)
【出願日】平成23年3月11日(2011.3.11)
【出願人】(391014011)株式会社ヒガシモトキカイ (18)
【Fターム(参考)】