説明

ピペラジン誘導体の医薬組成物

本発明は、置換ベンズヒドリルピペラジン系に属する活性物質を、減じた量の保存剤と共に含む液体の組成物に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セチリジン、レボセチリジン及びエフレチリジンなどの活性物質を含む液体医薬組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
置換ベンズヒドリルピペラジン系に属する物質の多くは、有用な薬理学的特性を有する物質であることが知られている。
【0003】
UCB,S.A.の名称で出願された欧州特許EP58146には、一般式
【化1】


(式中、Lは、−OH又はNH基を表し、X及びX’は、独立して見なされ、水素原子、ハロゲン原子、直鎖若しくは分枝のC若しくはCのアルコキシ基、又はトリフルオロメチル基を表し、mは1又は2に等しく、nは1又は2に等しい。)を有する置換ベンズヒドリルピペラジン、並びにこれらの医薬として許容できる塩について記載されている。
【0004】
これらの化合物のうち、セチリジンという名でも知られている2−[2−[4−[(4−クロロフェニル)フェニルメチル]−1−ピペラジニル]エトキシ]酢酸、及びこのジクロロハイドレートは、抗ヒスタミン性でよく知られている。
【0005】
置換ベンズヒドリルピペラジン系に属する活性物質は、特に、2−[2−[4−[(4−クロロフェニル)フェニルメチル]−1−ピペラジニル]エトキシ]−酢酸(セチリジン)、2−[2−[4−[ビス(4−フルオロフェニル)メチル]−1−ピペラジニル]エトキシ]酢酸(エフレチリジン)、適用可能な場合にはこれらの光学活性異性体、及びこれらの医薬として許容できる塩を含む。
【0006】
出願された医薬において、液剤及び点滴剤は一般に、これらの製造工程中、無菌組成物として製造される。しかし、容器の封を開け、該医薬組成物をある期間にわたって完全に使用すると、これらの医薬組成物は、該容器を使用し、該容器のカバーを開閉するたびに、周囲又は人体に存在する微生物によって汚染される危険性に絶えずさらされる。
【0007】
今や驚いたことに、置換ベンズヒドリルピペラジン系に属する活性物質が水溶液中で保存効果を有することが見出されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、セチリジン、レボセチリジン及びエフレチリジンから選択される、置換ベンズヒドリルピペラジン系に属する活性物質、並びに減じた量の保存剤を含む液体医薬組成物に関する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、置換ベンズヒドリルピペラジン系に属する活性物質、及び減じた量の保存剤を含む医薬組成物が、長期間安定であるという予期せぬ認識に基づく。安定性とは、微生物汚染に耐える能力を意味する。
【0010】
本発明は、置換ベンズヒドリルピペラジン系に属する活性物質、及び保存剤として使用されるパラヒドロキシ安息香酸エステルを、水溶液を保存するための規定濃度である、組成物に対し3mg/ml未満という量で含む医薬組成物を包含する。
【0011】
本発明は、セチリジン、レボセチリジン及びエフレチリジンから選択される活性物質、並びに少なくとも1種の保存剤を含む医薬組成物を包含する。ここで、保存剤の量は、パラヒドロキシ安息香酸エステルの場合には該組成物に対し0mg/mlを超えて1.5mg/ml未満であり、他の保存剤の場合には0mg/mlを超えて1.5mg/ml未満というパラヒドロキシ安息香酸エステルの濃度に対する殺菌効果に相当する量である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
一般に、本発明の医薬組成物は液体であり、好ましくは水性である。
【0013】
本発明の医薬組成物において、該活性物質は一般に、セチリジン、レボセチリジン、エフレチリジン及びこれらの医薬として許容できる塩からなる群から選択される。好ましくは、該活性物質は、セチリジン、レボセチリジン及びこれらの医薬として許容できる塩からなる群から選択される。
【0014】
「セチリジン」という語は、[2−[4−[(4−クロロフェニル)フェニルメチル]−1−ピペラジニル]エトキシ]−酢酸、及びセチリジン二塩酸塩としてよく知られているこの二塩酸塩のラセミ化合物を指す;この左旋性及び右旋性のエナンチオマーは、レボセチリジン及びデキストロセチリジンとして知られている。セチリジン、この個々の光学異性体、又はこれらの医薬として許容できる塩を調製する方法は、欧州特許第0058146号、英国特許第2225320号、英国特許第2225321号、米国特許第5478941号、欧州特許出願0601028、欧州特許出願0801064及び国際特許出願WO97/37982に記載されている。
【0015】
本明細書において使用される「レボセチリジン」という語は、セチリジンの左旋性エナンチオマーを意味する。より正確には、これは、該活性物質が、セチリジンの一方の個々の光学異性体を少なくとも90重量%、好ましくは少なくとも95重量%含み、セチリジンの他方の個々の光学異性体を多くとも10重量%、好ましくは多くとも5重量%含むことを意味する。個々の光学異性体はそれぞれ、従来の方法、すなわち相当するラセミ混合物からの分割によって、又は不斉合成によって得ることができる。個々の光学異性体はそれぞれ、英国特許出願2225321に開示されているような従来の方法を使用することによって、このラセミ混合物から得ることができる。さらに、個々の光学異性体はそれぞれ、米国特許第4800162号及び第5057427号に開示されているような生体触媒による酵素分割によって、ラセミ混合物から調製することができる。
【0016】
本明細書において使用される「エフレチリジン」という語は、2−[2−[4−[ビス(4−フルオロフェニル)メチル]−1−ピペラジニル]エトキシ]酢酸を指す。エフレチリジンは、置換ベンズヒドリルピペラジン誘導体に関する欧州特許第58146号の一般式Iの範囲内に包含される。エフレチリジンは、優れた抗ヒスタミン性を有することが見出されている。エフレチリジンは、薬理学的にはヒスタミンH−受容体拮抗薬の部類に属し、H−受容体に対しin vitroで高い親和性及び選択性を示す。エフレチリジンは、抗アレルギー薬及び抗ヒスタミン薬として有用である。エフレチリジン二塩酸塩の2種の疑似結晶多形、すなわちエフレチリジン二塩酸塩無水和物及びエフレチリジン二塩酸塩一水和物は、欧州特許第1034171号に記載されており、エフレチリジン二塩酸塩の別の疑似多形は、国際特許出願WO03/009849に記載されている。エフレチリジン又はこの医薬として許容できる塩を調製する方法は、欧州特許第1034171号、並びに国際特許出願WO97/37982及びWO03/009849に記載されている。
【0017】
本明細書において使用される「医薬として許容できる塩」という語は、酢酸、クエン酸、マレイン酸、コハク酸、アスコルビン酸、塩酸、臭化水素酸、硫酸及びリン酸などの、医薬として許容できる非毒性の有機酸及び無機酸を有する付加塩のみならず、これらの金属塩(例えばナトリウム塩若しくはカリウム塩)又はアンモニウム塩、アミン塩及びアミノ酸塩を指す。最良の結果は二塩酸塩で得られている。
【0018】
保存剤については、微生物の繁殖を抑制するか、又は理想的な場合には微生物を死滅させる化学物質のことであり、すなわち、溶液中で細菌、酵母及び菌類などの微生物の増殖を制限又は回避することができる抗菌剤であると理解されている。保存剤はヨーロッパ薬局方及び米国薬局方の要件に従うものとする。すなわち、多数の細菌及び菌類を用いて培養した産生物に対し、保存剤は所定の期間内に所要量の細菌及び菌類を死滅させ、また減じる必要がある。
【0019】
保存剤の例は、p−ヒドロキシ安息香酸エステル(パラヒドロキシ安息香酸メチル、パラヒドロキシ安息香酸エチル、パラヒドロキシ安息香酸プロピル、パラヒドロキシ安息香酸ブチル、パラヒドロキシ安息香酸C1〜C20アルキル、及びこれらのナトリウム塩)、アクリノール、塩化メチルローザニリン、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、塩化セチルピリジニウム、臭化セチルピロジウム、クロロヘキシジン、酢酸クロロヘキシジン、ベンジルアルコール、アルコール、クロロブタノール、イソプロパノール、エタノール、チメロサール、フェノール、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム及びソルビン酸カルシウム、安息香酸、安息香酸カリウム及び安息香酸カルシウム、安息香酸ナトリウム、酢酸カルシウム、エチレンジアミン四酢酸カルシウム二ナトリウム、プロピオン酸カルシウム、ソルビン酸カルシウム、ピロ炭酸ジエチル、二酸化硫黄、亜硫酸ナトリウム、重亜硫酸ナトリウム、ホウ酸、四ホウ酸ナトリウム、プロピオン酸、プロピオン酸ナトリウム及びプロピオン酸カルシウム、チオ硫酸ナトリウム、又はこれらの混合物である。一般に、保存剤はチメロサール、酢酸クロロヘキシジン、ベンジルアルコール、塩化ベンザルコニウム、p−ヒドロキシ安息香酸エステル(パラヒドロキシ安息香酸メチル、パラヒドロキシ安息香酸エチル、パラヒドロキシ安息香酸プロピル、パラヒドロキシ安息香酸ブチル、パラヒドロキシ安息香酸C1〜C20アルキル、又はこれらの混合物からなる群から選択される。好ましくは、保存剤はパラヒドロキシ安息香酸メチル、パラヒドロキシ安息香酸エチル、パラヒドロキシ安息香酸プロピル、パラヒドロキシ安息香酸メチルとパラヒドロキシ安息香酸エチル又はパラヒドロキシ安息香酸プロピルとの混合物、及びパラヒドロキシ安息香酸メチルとパラヒドロキシ安息香酸プロピルとの混合物からなる群から選択される。最良の結果は、パラヒドロキシ安息香酸メチルとパラヒドロキシ安息香酸プロピルとの重量比9/1での混合物で得られている。
【0020】
本発明の特定の実施形態では、該医薬組成物は、該組成物に対し0.0001mg/ml及び1.5mg/mlの範囲で選択される量のp−ヒドロキシ安息香酸エステル(p−ヒドロキシ安息香酸メチル/p−ヒドロキシ安息香酸プロピルの重量比9/1)を含む。好ましくは、該医薬組成物は0.01mg/ml及び1.125mg/mlの範囲で選択される量を含む。より好ましくは、該医薬組成物は0.1mg/ml及び1mg/mlの範囲で選択される量の保存剤を含む。
【0021】
本発明の特定の実施形態では、該医薬組成物は、該組成物に対し0.0001mg/ml及び0.05mg/mlの範囲で選択される量のチメロサールを含む。好ましくは、該医薬組成物は0.005mg/ml及び0.035mg/mlの範囲で選択される量を含む。より好ましくは、該医薬組成物は0.007mg/ml及び0.025mg/mlの範囲で選択される量の保存剤を含む。
【0022】
本発明の特定の実施形態では、該医薬組成物は、該組成物に対し0.0001mg/ml及び0.05mg/mlの範囲で選択される量の酢酸クロルヘキシジンを含む。好ましくは、該医薬組成物は0.005mg/ml及び0.035mg/mlの範囲で選択される量を含む。より好ましくは、該医薬組成物は0.007mg/ml及び0.025mg/mlの範囲で選択される量の保存剤を含む。
【0023】
本発明の特定の実施形態では、該医薬組成物は、該組成物に対し0.0001mg/ml及び10mg/mlの範囲で選択される量のベンジルアルコールを含む。好ましくは、該医薬組成物は0.05mg/ml及び7.5mg/mlの範囲で選択される量を含む。より好ましくは、該医薬組成物は1mg/ml及び5mg/mlの範囲で選択される量の保存剤を含む。
【0024】
本発明の特定の実施形態では、該医薬組成物は、該組成物に対し0.0001mg/ml及び0.05mg/mlの範囲で選択される量の塩化ベンザルコニウムを含む。好ましくは、該医薬組成物は0.005mg/ml及び0.035mg/mlの範囲で選択される量を含む。より好ましくは、該医薬組成物は0.01mg/ml及び0.025mg/mlの範囲で選択される量の保存剤を含む。
【0025】
選択される保存剤の量は、同じ保存効果をもたらすパラヒドロキシ安息香酸エステルの量と比較することによって定義される。本発明において使用される保存剤の最適量は、その性質によって決まる。保存剤の好ましい量は、保存剤が該医薬組成物に対し0.2mg/ml及び1.125mg/mlの範囲にあるパラヒドロキシ安息香酸エステルの量と同じ保存効果を所与するような量である。
【0026】
患者について、我々が理解しているのは、子供、青年及び成人であり、好ましくは2歳児であるということである。標的患者は、通常2歳以上である。
【0027】
好ましい1日投与量は、レボセチリジン又はこの医薬として許容できる塩を、患者1人につき約0,0005mg/kg体重から約2mg/kg体重までを供与する。特に好ましい1日投与量は、患者1人につき約0,001mg/kg体重から約2mg/kg体重までである。最良の結果は、患者1人につき約0,005mg/kg体重から1mg/kg体重までの1日投与量で得られている。該投与量を治療1日につき1回投与してもよく、又はより少量の投与量、例えば、1日1から4回、及び好ましくは1日1から3回などに分けてもよく、また総投与量に達するために約24時間かけて投与してもよい。最良の結果は、本発明の組成物を、幼児に対して1日2回の投与、並びに子供及び成人に対して1日1回5mgの投与で得られている。組成物が投与される正確な用量は、使用形式、使用方法、患者の必要量に従って変更することができるが、これは技術のある医師によって決定される。患者に対する正確な投与量については、当業者が、容態の重症度、使用される特定の剤形、及び影響する可能性のある他の薬剤を考慮して、具体的に適応させてもよい。
【0028】
本発明による剤形は、薬剤師によって使用される従来方法に準じて調製することができる。該剤形は、他の成分又は生物活性物質、医薬として許容できる界面活性剤、賦形剤、担体、希釈剤及び賦形剤と共に投与することができる。
【0029】
本発明の医薬組成物は、治療上の効果のない、従来の任意の担体を含む。該医薬組成物は、不活性な添加剤の他に、薬力学的に活性な添加剤を含むことができる。液体組成物は、例えば水と混和性である滅菌溶液の形を取ることができる。その上、保存剤、安定剤、水分保持剤及び乳化剤として通常使用される物質の他に、浸透圧を変化させるための塩などの物質、pHを変化させるための緩衝剤などの物質、及び他の添加剤も存在することができる。必要に応じて、該医薬組成物中に酸化防止剤を含むことができる。医薬として許容できる、組成物のための賦形剤又は担体には、生理食塩水、緩衝生理食塩水、デキストロース又は水が含まれる。組成物はまた、マンノース及びマンニトールを含む、糖類などの特定の安定剤を含んでもよい。担体物質及び希釈剤は、例えば、水、ゼラチン、乳糖、デンプン、アラビアゴム、ポリアルキレングリコール、セルロース化合物などの有機物質又は無機物質であってもよい。必要条件は、該医薬組成物の製造に使用されるすべての補助剤及び物質が非毒性であることである。
【0030】
医薬組成物は、噴霧吸入によって投与することができる。従来の任意の、噴霧吸入投与のための医薬組成物を使用することができる。別の好ましい投与方法は、エアゾールによるものである。
【0031】
本発明による医薬組成物は、経口投与することもできる。これらの医薬組成物は、経鼻注入法、エアゾール剤によって投与することもできる。経口投与用に使用可能な医薬組成物は、例えば液剤、シロップ剤、点滴剤などの形の液体である。
【0032】
点滴剤、点鼻剤、点眼剤及び点耳剤などの剤形は、従来の製剤方法によって調製される。本発明による化合物は、固体又は液体の、非毒性であり医薬として許容できる担体と混合され、場合によって分散剤、安定剤などとも混合される。適切であれば、甘味料、着色剤などを加えることも可能である。
【0033】
好ましくは、本発明による医薬組成物は、シロップなどの経口液体製剤のような、従来の経口投与用の剤形で投与される。
【0034】
最良の結果は、経口剤形、特に子供用シロップなどの液体製剤で得られている。
【0035】
本発明の利点は、保存剤の濃度を減じることにより、感受性患者におけるアレルギー反応の危険性を低減することである。
【0036】
本発明の別の利点は、水に溶けにくい保存剤の重要量の可溶化を回避する製造方法を、より容易にすることができる点である。
【実施例】
【0037】
本発明は、以下の実施例を参照することにより、さらに明示される。
【0038】
(実施例1)セチリジンの保存効果
セチリジンを含む経口液剤及び点滴剤を調製する。これらの組成物を表1に示す。
【表1】

【0039】
抗菌保存剤の有効性試験をヨーロッパ薬局方(第5.1.3.章)に準じて実現する。経口液剤及び点滴剤の試料に、細菌及び酵母の懸濁液、すなわち緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)ATCC9027、大腸菌(Escherichia Coli)ATCC8739、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)ATCC6538、カンジダアルビカンス(Candida albicans)ATCC10231及び黒色こうじ菌(Aspergillus niger)ATCC16404の懸濁液を接種する。被験用製剤1mlにつき生菌数を測定する。これらの結果を表2及び表3に示す。
【表2】


【表3】

【0040】
いずれの場合でも、接種試料において、緑膿菌、大腸菌、黄色ブドウ球菌及びカンジダアルビカンスの急速な消失が認められる。
【0041】
黒色こうじ菌に関しては、生胞子数が、経口液剤でかなり減少する一方、点滴剤では急速な消失が認められる。
【0042】
(実施例2)レボセチリジンの保存効果
レボセチリジンを含む経口液剤及び点滴剤を調製する。これらの組成物を表4に示す。
【表4】

【0043】
抗菌保存剤の有効性試験をヨーロッパ薬局方(第5.1.3.章)に準じて実現する。経口液剤及び点滴剤の試料に、細菌及び酵母の懸濁液、すなわち緑膿菌ATCC9027、大腸菌ATCC8739、黄色ブドウ球菌ATCC6538、カンジダアルビカンスATCC10231及び黒色こうじ菌ATCC16404の懸濁液を接種する。被験用製剤1mlにつき生菌数を測定する。これらの結果を表5及び表6に示す。
【表5】


【表6】

【0044】
いずれの場合でも、接種試料において、緑膿菌、大腸菌、黄色ブドウ球菌の急速な消失が認められる。点滴剤ではカンジダアルビカンス及び黒色こうじ菌の消失も認められる。
【0045】
(実施例3)セチリジン水溶液についてのp−ヒドロキシ安息香酸エステルを用いた抗菌保存剤の有効性
実施例1による、セチリジンを含む経口液剤及び点滴剤に、さらにp−ヒドロキシ安息香酸エステル(p−ヒドロキシ安息香酸メチル/p−ヒドロキシ安息香酸プロピルの重量比9/1)の混合物をも含む経口液剤及び点滴剤を調製する。p−ヒドロキシ安息香酸エステルの総量は、0.15mg/ml、0.45mg/ml、0.75mg/ml及び1.05mg/mlである。これらの経口液剤及び点滴剤についての抗菌保存剤の有効性を、ヨーロッパ薬局方(第5.1.3.章)に準じて測定する。これらの試験結果を表7から表14に示す。
【表7】


【表8】


【表9】


【表10】


【表11】


【表12】


【表13】


【表14】


どの場合でも、接種試料において、緑膿菌、大腸菌、黄色ブドウ球菌及びカンジダアルビカンスの消失が認められる。黒色こうじ菌に関しては、生胞子数が、経口液剤でかなり減少する一方、点滴剤では急速な消失が認められる。どの場合でも、推奨されている有効性基準が達成される。
【0046】
(実施例4)レボセチリジン水溶液についてのp−ヒドロキシ安息香酸エステルを用いた抗菌保存剤の有効性
実施例2による、レボセチリジンを含む経口液剤及び点滴剤に、さらにp−ヒドロキシ安息香酸エステル(p−ヒドロキシ安息香酸メチル/p−ヒドロキシ安息香酸プロピルの重量比9/1)の混合物をも含む経口液剤及び点滴剤を調製する。p−ヒドロキシ安息香酸エステルの総量は、0.375mg/ml、0.75mg/ml及び1.125mg/mlである。これらの経口液剤及び点滴剤についての抗菌保存剤の有効性を、ヨーロッパ薬局方(第5.1.3.章)に準じて測定する。これらの試験結果を表15から表20に示す。
【表15】


【表16】


【表17】


【表18】


【表19】


【表20】

【0047】
どの場合でも、接種試料において、緑膿菌、大腸菌、黄色ブドウ球菌及びカンジダアルビカンスの消失が認められる。
【0048】
黒色こうじ菌に関しては、生胞子数が、経口液剤でかなり減少する一方、点滴剤では急速な消失が認められる。どの場合でも、推奨されている有効性基準が達成される。
【0049】
(実施例5)セチリジン及び塩化ベンザルコニウムを含む点鼻液
セチリジンを含む液剤を調製する。この組成物を表21に示す。
【表21】

【0050】
この液剤についての抗菌保存剤の有効性を、ヨーロッパ薬局方(第5.1.3.章)に準じて測定する。推奨されている有効性基準が達成される。
【0051】
(実施例6)エフレチリジン及びp−ヒドロキシ安息香酸エステルを含む点鼻液
エフレチリジンを含む液剤を調製する。この組成物を表22に示す。
【表22】

【0052】
この液剤についての抗菌保存剤の有効性を、ヨーロッパ薬局方(第5.1.3.章)に準じて測定する。推奨されている有効性基準が達成される。
【0053】
(実施例7)レボセチリジン及びベンジルアルコールを含む経口液剤及び点滴剤
レボセチリジンを含む経口液剤及び点滴剤を調製する。これらの組成物を表23に示す。
【表23】

【0054】
抗菌保存剤の有効性試験をヨーロッパ薬局方(第5.1.3.章)に準じて実現する。どの場合でも、推奨されている有効性基準が達成される。
【0055】
(実施例8)エフレチリジンを含む経口液剤及び点滴剤
エフレチリジンを含む経口液剤及び点滴剤を調製する。これらの組成物を表24に示す。
【表24】

【0056】
抗菌保存剤の有効性試験をヨーロッパ薬局方(第5.1.3.章)に準じて実現する。どの場合でも、推奨されている有効性基準が達成される。
【0057】
(実施例9)エフレチリジン並びにチメロサール、酢酸クロルヘキシジン及びp−ヒドロキシ安息香酸エステルを含む点眼剤
エフレチリジンを含む点眼液の3種の製剤を調製する。これらの組成物を表25に示す。
【表25】

【0058】
抗菌保存剤の有効性試験をヨーロッパ薬局方(第5.1.3.章)に準じて実現する。どの場合でも、推奨されている有効性基準が達成される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
セチリジン、レボセチリジン及びエフレチリジンから選択される活性物質、並びに少なくとも1種の保存剤を含む液体医薬組成物であって、保存剤の量が、パラヒドロキシ安息香酸エステルの場合には組成物に対し0mg/mlを超えて1.5mg/ml未満であり、他の保存剤の場合には0mg/mlを超えて1.5mg/ml未満というパラヒドロキシ安息香酸エステルの濃度と同じ保存効果をもたらすような量である、液体医薬組成物。
【請求項2】
水性の組成物であることを特徴とする、請求項1に記載の液体医薬組成物。
【請求項3】
保存剤が、パラヒドロキシ安息香酸メチル、パラヒドロキシ安息香酸エチル、パラヒドロキシ安息香酸プロピル、パラヒドロキシ安息香酸メチルとパラヒドロキシ安息香酸エチル又はパラヒドロキシ安息香酸プロピルとの混合物、及びパラヒドロキシ安息香酸メチルとパラヒドロキシ安息香酸プロピルとの混合物からなる群から選択されることを特徴とする、請求項1又は2に記載の液体医薬組成物。
【請求項4】
保存剤が、パラヒドロキシ安息香酸メチルとパラヒドロキシ安息香酸プロピルとの重量比9/1での混合物であることを特徴とする、請求項3に記載の液体医薬組成物。
【請求項5】
組成物に対し0.0001mg/ml及び1.4mg/mlの範囲で選択される量のp−ヒドロキシ安息香酸エステル(p−ヒドロキシ安息香酸メチル/p−ヒドロキシ安息香酸プロピルの重量比9/1)を含むことを特徴とする、請求項1に記載の液体医薬組成物。
【請求項6】
組成物に対し0.0001mg/ml及び0.05mg/mlの範囲で選択される量のチメロサールを含むことを特徴とする、請求項1に記載の液体医薬組成物。
【請求項7】
組成物に対し0.0001mg/ml及び0.05mg/mlの範囲で選択される量の酢酸クロルヘキシジンを含むことを特徴とする、請求項1に記載の液体医薬組成物。
【請求項8】
組成物に対し0.0001mg/ml及び10mg/mlの範囲で選択される量のベンジルアルコールを含むことを特徴とする、請求項1に記載の液体医薬組成物。
【請求項9】
組成物に対し0.0001mg/ml及び0.05mg/mlの範囲で選択される量の塩化ベンザルコニウムを含むことを特徴とする、請求項1に記載の液体医薬組成物。
【請求項10】
活性物質がセチリジンであることを特徴とする、請求項1〜9のいずれかに記載の液体医薬組成物。
【請求項11】
活性物質がレボセチリジンであることを特徴とする、請求項1から12までのいずれかに記載の液体医薬組成物。
【請求項12】
経口液剤、点鼻剤、点眼剤又は点耳剤の剤形であることを特徴とする、請求項1〜11のいずれかに記載の液体医薬組成物。

【公表番号】特表2008−505949(P2008−505949A)
【公表日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−520716(P2007−520716)
【出願日】平成17年7月7日(2005.7.7)
【国際出願番号】PCT/EP2005/007340
【国際公開番号】WO2006/005507
【国際公開日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【出願人】(504000041)ユセベ ファルシム ソシエテ アノニム (9)
【Fターム(参考)】