説明

ピラートリムの取付構造

【課題】 成形天井の下端部とピラートリムの上端部との間に隙間が生じないピラートリムの取付構造を提供する。
【解決手段】 成形天井2の下端部3から形成した取付座面部5に、ピラートリム8の上端部9を直接取付けるため、成形天井2の下端部3とピラートリム8の上端部9との間に隙間が生じない。また、ピラー1の係合突起11と取付座面部5の係合孔6との係合点から、上端部9の端末までの距離が短く、経時変化によっても隙間が発生しにくい。取付座面部5の下端からはピラー1に当接する延長部7が形成されるため、取付座面部5が高剛性で、係合孔6に対する係合突起11の取付けが確実。上端部9に、延長部7に対して下側から当接する突起部12を形成したため、係合突起11を係合孔6に係合する際に、延長部7が下方へ変形せず、係合突起11の係合孔6に対する係合をより確実に行える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、上端部が成形天井の下端部にて覆われたピラーに対して、ピラートリムを車室内側から取付けるピラートリムの取付構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車の例えばセンターピラーの上部は、成形天井の下端部により覆われている。そして、その成形天井の下端部には、更に車室内側からピラートリムの上端部が隙間なく重合されて、見映えを良くしている。
【0003】
ピラートリムには、成形天井と重合しない位置にクリップ座面部が形成され、そのクリップ座面部に装着したクリップにより、ピラートリムをピラーに対して取付けている。ピラートリムをピラーに取付けているのは、成形天井の下端部の剛性が低く、クリップによる取付けが困難であるからである(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2002−187572号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような従来の技術にあっては、ピラートリムの上端部を成形天井の下端部へ重合させることを目的としたものでありながら、ピラートリム自体はクリップによりピラーに取付けていたため、成形天井とピラートリムとは間接的な取付けとなり、ピラートリムの取付け具合によっては、成形天井の下端部とピラートリムの上端部との間に隙間が生じるおそれがある。特に、ピラートリムの上端部において、クリップによるピラーへの取付点から距離がある箇所において、隙間が生じやすかった。
【0005】
本発明は、このような従来の技術に着目してなされたものであり、成形天井の下端部とピラートリムの上端部との間に隙間が生じないピラートリムの取付構造を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の発明は、ピラーの上部を覆う成形天井の下端部へ、車室内側からピラートリムの上端部を重合させて取付けるピラートリムの取付構造であって、
前記成形天井の下端部から下向きに取付座面部を形成すると共に、取付座面部の下端からピラーに当接する延長部を形成し、取付座面部に形成した係合孔に、ピラートリムの上端部に形成した係合突起を係合させたことを特徴とする。
【0007】
請求項2記載の発明は、ピラートリムの上端部に、延長部に対して下側から当接する突起部を形成したことを特徴とする。
【0008】
請求項3記載の発明は、取付座面部の両側に少なくとも延長部と結合された側面部を形成したことを特徴とする。
【0009】
請求項4記載の発明は、係合突起が係合孔の上縁又は下縁の一方に係合する爪部を有する構造で、該係合突起の反爪部側に係合孔の上縁又は下縁の他方と当接する規制体を形成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
請求項1記載の発明によれば、成形天井の下端部から形成した取付座面部に、ピラートリムの上端部を直接取付けるようにしたため、成形天井の下端部とピラートリムの上端部との間に隙間が生じない。また、係合突起と係合孔との係合点から、ピラートリムの上端部の端末までの距離が短く、経時変化によっても隙間が発生しにくい。取付座面部の下端からはピラーに当接する延長部が形成されているため、取付座面部の剛性が高く、取付座面部の係合孔に対するピラーの係合突起の取付けも確実に行える。
【0011】
請求項2記載の発明によれば、ピラートリムの上端部に、延長部に対して下側から当接する突起部を形成したため、ピラーの係合突起を取付座面部の係合孔に係合する際に、延長部が下方へ変形せず、係合突起の係合孔に対する係合をより確実に行える。
【0012】
請求項3記載の発明によれば、取付座面部の両側に少なくとも延長部と結合された側面部を形成したため、取付座面部が立体的になって剛性が向上し、取付座面部の係合孔に対する係合突起の取付けがより確実に行える。
【0013】
請求項4記載の発明によれば、規制体により係合突起の係合孔内における移動が規制されるため、係合突起による係合力が高まり、成形天井の下端部とピラートリムの上端部との間の隙間発生をより確実に防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
成形天井の下端部とピラートリムの上端部との間に隙間が生じないピラートリムの取付構造を提供するという目的を、成形天井の下端部から下向きに取付座面部を形成すると共に、取付座面部の下端からピラーに当接する延長部を形成し、取付座面部に形成した係合孔に、ピラートリムの上端部に形成した係合突起を係合させたことで、実現した。以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【実施例1】
【0015】
図1〜図4は、本発明の第1実施例を示す図である。図1は、センタピラー1の上端部付近を車室内側から見た側面図である。センタピラー1の上部は、図4に示すように、成形天井2の下端部3により覆われている。成形天井2の下端部3は、若干センタピラー1側へ傾斜しており、その下端部3の前後両側部分の端末からはセンタピラー1側へ向けて曲折部4が形成されている。
【0016】
成形天井2の下端部3におけるセンタピラー1の中心位置には、下方へ向けて取付座面部5が形成されている。取付座面部5の中央には係合孔6が形成されている。取付座面部5の端末からは、先端がセンタピラー1に当接する延長部7が形成されている。延長部7を形成したことにより、取付座面部5の剛性が向上する。
【0017】
一方、センタピラー1の大部分は、車室内側から取付けられたピラートリム8により覆われている。ピラートリム8は、成形天井2に対応する上端部9以外は、既知のクリップ手段によりセンタピラー1に対して取付けられている。ピラートリム8の上端部9は、成形天井2の下端部3に重合され、成形天井2の下端部3の端末処理を行っている。
【0018】
ピラートリム8の上端部9には、下向きの爪部10を有する係合突起11が形成されている。また、係合突起11の若干下側位置には突起部としてのリブ12が形成されている。リブ12は取付座面部5の延長部7に相当する傾斜縁を有している。
【0019】
このようなピラートリム8をセンタピラー1に対して車室内側から取付けると、リブ12が延長部7に当接すると共に、係合突起11が取付座面部5の係合孔6に係合して、係合突起11の爪部10が係合孔6の下縁に係合する。
【0020】
先端がセンタピラー1に当接する延長部7を形成したことにより、取付座面部5自体の剛性が向上しているが、その延長部7の下側への変形がリブ12との当接により規制されるため、取付座面部5の剛性は更に高まり、係合突起11を係合孔6に係合する作業を行う際も、取付座面部5がセンタピラー1側に移動することはなく、係合突起11の係合作業を確実に行える。
【0021】
この実施例によれば、成形天井2の下端部3から形成した取付座面部5に、ピラートリム8の上端部9を直接取付けるようにしたため、成形天井2の下端部3とピラートリム8の上端部9との間に隙間が生じない。係合突起11と係合孔6との係合点から、ピラートリム8の上端部9の端末までの距離が短く、経時変化によっても隙間が発生しにくい。
【実施例2】
【0022】
図5〜図8は、本発明の第2実施例を示す図である。この実施例に係る成形天井13では、取付座面部5の両側に、延長部7及び曲折部4と結合された側面部14をそれぞれ形成した。また、ピラートリム15における係合突起11の両端に、爪部10とは反対側に突出する規制体としてのリブ16を形成した。リブ16は先端の幅が細く形成され且つ係合孔6の上縁に当接する湾曲縁17を有している。
【0023】
この実施例によれば、側面部14を形成したことにより、取付座面部5が立体的になって剛性が向上し、取付座面部5の係合孔6に対する係合突起11の取付けがより確実に行える。また、リブ16により係合突起11の係合孔6内における移動が規制されるため、係合突起11による係合力が高まり、成形天井13の下端部3とピラートリム15の上端部9との間の隙間発生をより確実に防止することができる。
【産業上の利用可能性】
【0024】
以上の実施例では、ピラーとしてセンタピラー1を例にしたが、これに限定されず、本発明はその他のピラーにも適用可能である。また、突起部や規制体としてリブ12、16を例にしたが、その他の形状であっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の第1実施例に係るピラートリムの上端部を示す側面図。
【図2】図1中矢示DA部分を示す拡大側面図。
【図3】図1の取付座面部を示す斜視図。
【図4】図2中矢示SA−SA線に沿う断面図。
【図5】本発明の第2実施例に係るピラートリムの上端部を示す側面図。
【図6】図5中矢示DB部分を示す拡大側面図。
【図7】図5の取付座面部を示す斜視図。
【図8】図6中矢示SB−SB線に沿う断面図。
【符号の説明】
【0026】
1 センタピラー
2、13 成形天井
3 下端部
5 取付座面部
6 係合孔
7 延長部
8、15 ピラートリム
9 上端部
11 係合突起
12 リブ(突起部)
14 側面部
16 リブ(規制体)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ピラーの上部を覆う成形天井の下端部へ、車室内側からピラートリムの上端部を重合させて取付けるピラートリムの取付構造であって、
前記成形天井の下端部から下向きに取付座面部を形成すると共に、取付座面部の下端からピラーに当接する延長部を形成し、
取付座面部に形成した係合孔に、ピラートリムの上端部に形成した係合突起を係合させたことを特徴とするピラートリムの取付構造。
【請求項2】
請求項1記載のピラートリムの取付構造であって、
ピラートリムの上端部に、延長部に対して下側から当接する突起部を形成したことを特徴とするピラートリムの取付構造。
【請求項3】
請求項1又は請求項2記載のピラートリムの取付構造であって、
取付座面部の両側に少なくとも延長部と結合された側面部を形成したことを特徴とするピラートリムの取付構造。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載のピラートリムの取付構造であって、
係合突起が係合孔の上縁又は下縁の一方に係合する爪部を有する構造で、該係合突起の反爪部側に係合孔の上縁又は下縁の他方と当接する規制体を形成したことを特徴とするピラートリムの取付構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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