説明

ピリドモルヒナン(pyridomorphinan)類及びピリダジノモルヒナン(pyridazinomorphinan)類、並びに、それらの使用

【課題】本発明は、疼痛患者の治療に有用な化合物の提供を目的とする。
【解決手段】本発明は、式(I)の化合物:
【化1】


(式中、Rは、C1−6シクロアルキルアルキル基又はC3−6アルケニル基である;R’はH又はC1−6アルキル基である;XはH又はOHである;Yはアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基又はアロイル基である;ZはCH又はNである;ZがCHかつRがCシクロアルキルアルキル基又はCアルケニル基である場合、XはHである):、そのプロドラッグ及びその医薬品に許容される塩を提供する。上記式の化合物は、疼痛治療用鎮痛剤として、又は、薬物濫用による行動を調節するための、並びに、μアゴニスト耐性及び依存症の発達を調節するための免疫修飾物質として有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
連邦委託研究又は振興
本発明は、許可第DA08883号の下に国立薬害研究所の資金提供を受けて実施されたものであり、米国政府は本発明に対して権利を有する。
【0002】
本発明は、特定のピリドモルヒナン(pyridomorphianan)及びピリダジノモルヒナン化合物に関し、より具体的にはオキシモルホン、ヒドロモルホン、オキシコドン、ヒドロコドン、ナロキソン及びナルトレクソンのピリドモルヒナン及びピリダジノモルヒナン誘導体に関する。本発明の化合物は、オピオイドδ受容体に対してアンタゴニスト活性又は部分アゴニスト活性を示す。また、本発明の多様な化合物は、μアゴニスト特性を有する。
【0003】
本発明の化合物は、疼痛患者の治療に特に有用である。また、本発明の化合物は、コカイン、アンフェタミン、ヘロイン及び他のオピオイド剤等の薬物濫用者の治療にも好適である。更に、本発明の化合物は、アルコール中毒患者の治療、並びに、自閉症患者及びトゥーレット症候群患者の治療にも有用である。また、本発明の化合物は、咳止めとして、免疫修飾物質として、かつ、臓器移植患者の臓器拒絶予防に使用してもよい。
【背景技術】
【0004】
慢性疼痛は世界中において大きな健康上及び経済上の問題となっている。疼痛についての生理学及び病理学理論の理解が大きく進歩したにもかかわらず、理想的な鎮痛剤は未だ発見されていない。鎮痛剤の中でもオピオイド型化合物は重度慢性疼痛治療薬として依然効果が高い。例えば、非特許文献1及び2を参照。
【0005】
オピオイド剤は、7回膜貫通型Gタンパク質結合受容体ファミリーに属するオピオイド受容体との相互作用により生物学的効果を生じる。μ、δ及びκの三種のオピオイド受容体の存在が明らかになっており、この存在はマウス、ラット及びヒトのcDNAからこれら三種の受容体をクローニングすることによって確認される。これについては、非特許文献3及び4を参照。
【0006】
三種のオピオイド受容体は全てヒト中枢神経系に存在し、いずれも疼痛を伝達する役割を有する。強い疼痛治療用鎮痛剤として現在処方されるモルヒネ及び関連のオピオイド類は、主としてオピオイドμ受容体に対するアゴニスト作用により鎮痛活性を呈する。こうした薬物治療は、呼吸抑制、筋硬直、嘔吐、便秘、耐性及び身体依存等の著しい副作用を有するため、全身投与が制限される。例えば、非特許文献5及び6を参照。
【0007】
多数の証拠から、μ受容体とδ受容体とが物理的又は機能的に相互作用することが示される。例えば、δ受容体に対するアゴニスト作用又はアンタゴニスト作用を有するリガンドは、μアゴニストの鎮痛作用及び副作用を緩和することが示されている。例えば、非特許文献7〜12を参照。
【0008】
一方、δ受容体に対するアゴニスト作用によりμ媒介性鎮痛効果が増強され、かつ、δ受容体に対するアンタゴニスト作用により、μアゴニストの鎮痛活性に影響を及ぼさずにμアゴニストの耐性、身体依存及び関連する副作用が抑制される。非ペプチドリガンドであるナルトリンドール(naltrindole)を使用した研究により、Abdelhamidらは、δ受容体アンタゴニストによって、モルヒネの鎮痛作用に影響を及ぼさずに、急性及び慢性モデルマウスのモルヒネに対する耐性発達及び依存症が顕著に減少することを実証した。非特許文献13を参照。
【0009】
Fundytusらにより、ラットにモルヒネ皮下連続投与と同時にδ選択的アンタゴニストTIPP[ψ]を脳室内(icv)経路で連続的に点滴すると、モルヒネ耐性及び依存症の発達が顕著に遅くなるという報告がある。非特許文献14を参照。
【0010】
Schillerらは、ペプチドリガンドDIPP−NH[ψ]はin vitroにおいてμアゴニスト特性/δアンタゴニスト特性両方を呈し、この化合物のicv投与により、身体依存を伴わずに鎮痛効果が生じ、かつ、ラットにおいて発達した耐性はモルヒネの場合よりも少ないということを見出した。非特許文献15及び16を参照。
【0011】
δ受容体のアンチセンスオリゴヌクレオチドを使用した研究から、δ受容体発現の減少によって、μアゴニストによる痛覚抑制を損じることなく、モルヒネ依存の発達及び/又は発現が減少することが実証された。非特許文献17及び18を参照。また、δ受容体ノックアウトマウスを使用した遺伝子欠失研究から、この突然変異マウスは棘上無痛覚を有していてモルヒネに対する鎮痛耐性が発達していないことが示された。非特許文献19参照。
【0012】
これらの観察から、オピオイドリガンド、特にμアゴニスト活性/δアンタゴニスト活性両方を呈する非ペプチドリガンドの開発によって、耐性、身体依存及び他の副作用を生じる傾向の低い鎮痛剤の新規開発アプローチが提供されるであろうと示唆される。
【0013】
ナルトレクソン由来複素環式モルヒナン(morphinan)リガンドに関する研究において、ピリドモルヒナン2a(チャート1)はオピオイド受容体結合親和性が高く、δ受容体に対するピリドモルヒナンの結合親和性及びアンタゴニスト活性はピリジン部分の5’位の置換基によって調節されることが見出された。例えば、フェニル基(2b)(チャート1)又は1−ピロリル基等の芳香族基をこの位に導入することによって、結合親和性が高くδアンタゴニスト力価(マウス精管平滑筋標本を使用したバイオアッセイで測定)が改善されたリガンドを得る。非特許文献20及び21参照。
【0014】
興味深いことに、2b(チャート1)のフェニル環置換類似体のうち、p−クロロフェニル化合物(2c)(チャート1)の活性は、in vitro平滑筋アッセイにおいてμアゴニスト特性/δアンタゴニスト特性両方を呈した。上記非特許文献20参照。鎮痛活性評価において、この化合物は、テールフリック(tail−flick)法において部分アゴニスト活性を呈し、マウスにおけるicv又はip投与後の酢酸writhing法において完全アゴニスト活性を呈し、また、複数回のip注射時に痛覚抑制効果耐性を発現しなかった。選択的アンタゴニストを使用したマウスにおける研究により、この化合物は部分的なμアゴニスト/δアンタゴニストであることが示された。非特許文献22参照。
【0015】
しかし、逆説的に、[35S]GTP−γ−S結合を用いたin vitro生化学アッセイにおいて、化合物2c(チャート1)は、モルモット尾状膜(caudate membrane)及びヒトμ受容体発現クローニング細胞においてμアゴニスト活性を示さなかった。非特許文献23参照。
【非特許文献1】Using Opioid Analgesic to Manage Chronic Noncancer Pain in Primary Care,J.Am.Board Fam.Pract.1999,12,293−306
【非特許文献2】Cherny,New Strategies in Opioid Therapy for Cancer Pain,J.Oncol.Manage 2000,9,8−15
【非特許文献3】Dhawanら.International Union of Pharmacology.XII.Classification of Opioid Receptors,Pharmacol.Rev.1996,48,567−592
【非特許文献4】Aldrich,Analgesics,In Burger’s Medicinal Chemisty and Drug Discovery,5th ed.;Wolff,M.E.,Ed.;John Wiley&Sons:New York,1996;Vol.3.Therapeutic Agents;pp321−441
【非特許文献5】Duthie,Adverse Effects of Opioid Analgesic Drugs,Br.J.Anaesth.1987,59,61−77
【非特許文献6】van Reeら,Opioids,Reward and Addiction:An Encounter of Biology,Psychology,and Medicine.Pharmacol.Rev.1999,51,341−396
【非特許文献7】Traynorら,δ−Opioid Receptor Subtypes and Cross−talk with μ−receptors.Trends Pharmacol.Sci.1993,14,84−86
【非特許文献8】Rothmanら,Allosteric Coupling Among Opioid Receptors:Evidence for an Opioid Receptor Complex,In Handbook of Experimental Pharmacology,Volume 104,Opioid I
【非特許文献9】Hertzら,Eds;Springer−Verlag:Berlin,1993;pp 217−237
【非特許文献10】Jordanら,G−Protein−Coupled Receptor Heterodimerization Modulates Receptor Function.Nature 1999,399,697−700
【非特許文献11】Georgeら,Oligomerization of μ− and δ−Opioid Receptors,J.Biol.Chem.2000,275,26128−26135
【非特許文献12】Levacら,Oligomerization of Opioid Receptors:Generation of Novel Signaling Units,Curr.Opin.Pharmacol.,2002,2,76−81
【非特許文献13】Abdelhamidら,Selective Blockage of Delta Opioid Receptors Prevents the Development of Morphine Tolerance and Dependence in Mice.J.Pharmacol.Exp.Ther.1991,258,299−303
【非特許文献14】Fundytusら,Attenuation of Morphine Tolerance and Dependence with the Highly Selective δ−Opioid Receptor Antagonist TIPP[ψ],Eur.J.Pharmacol.1995,286,105−108
【非特許文献15】Schillerら,Four different types of Opioid Peptides with mixed μ Agonist/δ Antagonist Properties Analgesia 1995,1,703−706
【非特許文献16】Schillerら,The Opioid μ Agonist/δ Antagonist DIPP−NH2[ψ] Produces a Potent Analgesic Effect,No Physical Dependence,and Less Tolerance than Morphine in Rats,J.Med.Chem.1999,42,3520−3526
【非特許文献17】Suzukiら,Antisense Oligodeoxynucleotide to δ Opioid Receptors Attenuates Morphine Dependence in Mice,Life Sci.1997,61,PL 165−170
【非特許文献18】Sanchez−Blazquezら, Antisense Oligodeoxynucleotides to Opioid Mu and Delta Receptors Reduced Morphine Dependence in Mice:Role of Delta−2 Opioid Receptors,J.Pharmacol.Exp.Ther.1997,280,1423−1431
【非特許文献19】Zhuら,Retention of Supraspinal Delta−like Analgesia and Loss of Morphine Tolerance in δ Opioid Receptor Knockout Mice,Neuron,1999,24,243−252
【非特許文献20】Ananthanら(I),Synthesis,Opioid Receptor Binding,and Biological Activities of Naltrexone−Derived Pyrido− and Pyrimidomorphinans,J.Med.Chem.1999,42,3527−3538
【非特許文献21】Ananthanら(II),Synthesis,Opioid Receptor Binding,and Functional Activity of 5’−Substituted 17−Cyclopropylmethylpyrido[2’,3’:6,7]morphinans.Bioorg.Med.Chem.Lett.2003,13,529−532
【非特許文献22】Wellsら,In Vivo Pharmacological Characterization of SoRI 9409,a Nonpeptidic Opioid μ−Agonist/δ−Antagonist That Produces Limited Antinociceptive Tolerance and Attenuates Morphine Physical Dependence.J.Pharmacol.Exp.Ther.2001,297,597−605
【非特許文献23】Xuら,SoRI−9409,a Non−peptide Opioid μ Receptor Agonist/δ Receptor Antagonist,Fails to Stimulate [35S]−GTP−γ−S Binding at Cloned Opioid Receptors.Brain Res.Bull.2001,55,507−511
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明は、疼痛患者の治療に有用な化合物の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明は次式の化合物:
【0018】
【化1】

【0019】
(式中、Rは、C1−6アルキル基、C4−6シクロアルキルアルキル基及びC3−6アルケニル基からなる群より選択される;R’はH又はC1−6アルキル基である;XはH又はOHである;Yはアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、アリールアルキル基及びアロイル基からなる群より選択される;ZはCH又はNであり、ZがCHかつRがCシクロアルキルアルキル基又はCアルケニル基である場合、XはHである):、そのプロドラッグ及びその医薬品に許容される塩に関する。
【0020】
また、本発明は、少なくとも一種の上記化合物の疼痛治療有効量の患者への投与を含むことを特徴とする疼痛患者の治療にも関する。
【0021】
本発明の更なる態様は、少なくとも一種の上記化合物の免疫修飾有効量の患者への投与を含むことを特徴とする免疫修飾物質を要する患者の治療に関する。
【0022】
本発明のまた別の態様は、少なくとも一種の上記化合物の薬物濫用治療有効量の投与を含むことを特徴とする薬物濫用患者の治療に関する。
【0023】
本発明の別の態様は、モルヒネ等の少なくとも一種の上記化合物の、μアゴニスト耐性又は依存症に対する緩和有効量の患者への投与を含むことを特徴とするμアゴニスト依存症又は耐性を有する患者の治療に関する。
【0024】
本発明の他の目的及び利点は下記の詳細な記載により当業者には容易に明白になるであろう。下記の詳細な記載は、本発明の実施にあたり最良の態様の例として本発明の好ましい実施形態を単に記載したものである。本発明には、本発明の範囲を超えない限り様々な明白な点において改変可能であることが理解されるであろう。従って、本記載は本質的に例と見なされるべきであり、何ら限定を加えるものではない。
【0025】
図面の簡単な説明
図1は、SNC−80刺激性[35S]GTP−γ−S結合の7j(チャート1)による阻害を示す濃度反応曲線である。
【0026】
図2は、55℃テールフリック試験における7h(チャート1)(icv)の痛覚抑制用量−及び時間−反応曲線である。
【0027】
図3は、前処理(β−FNA、19nmol、icv、−24h)をした場合及びしない場合の、7h(チャート1)(icv)についての痛覚抑制用量−及び時間−反応曲線である。
【0028】
図4は、未投薬コントロールマウス、及び、モルヒネ又は7h(チャート1)のA90投与量を一日二回三日間複数回icv注射したマウスについての痛覚抑制用量反応曲線である。
【0029】
本発明の化合物、そのプロドラッグ及びその医薬品に許容される塩は、次式で示される:
【0030】
【化2】

【0031】
(式中、Rは、C1−6アルキル基、C4−6シクロアルキルアルキル基及びC3−6アルケニル基からなる群より選択される;R’はH又はC1−6アルキル基である;XはH又はOHである;Yはアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、アリールアルキル基及びアロイル基からなる群より選択される;ZはCH又はNであり、ZがCHかつRがCシクロアルキルアルキル基又はCアルケニル基である場合、XはHである)。本発明のある好ましい態様によれば、ZがCH、かつ、RがC4−6シクロアルキルアルキル基又はC3−6アルケニル基である場合、XはHである。更に、代表的なZはCHである。
【0032】
本発明の記載に使用する種々の用語の定義を下記に列挙する。特定の場合において個別に又は語群の一部として限定されない限り、本明細書全体において下記定義を適用する。
【0033】
「アリール(基)」という用語は、フェニル(基)、ナフチル(基)、ビフェニル(基)及びジフェニル(基)等の、環内に6〜12個の炭素原子を有する単環式又は二環式の芳香族炭化水素基を指す。いずれの基も置換基を有してよい。アリール基に対する代表的な置換基としては、アミノ基、ニトロ基、ハロ基及びアルキル基が含まれる。
【0034】
「アルキル(基)」という用語は、1〜20個、代表的には1〜6個の炭素原子を有する、直鎖又は分枝鎖の無置換炭化水素基を指す。「低級アルキル(基)」という表現は、1〜4個の炭素原子を有する無置換アルキル基を指す。
【0035】
好適なアルキル基の例としては、メチル基、エチル基及びプロピル基が含まれる。分枝鎖を有するアルキル基の例としては、イソプロピル基及びt−ブチル基が含まれる。
【0036】
「アルケニル(基)」という用語は、代表的には3〜6個の炭素原子を有する、直鎖又は分岐鎖の無置換炭化水素基を指す。
【0037】
「アラルキル(基)」又は「アルキルアリール(基)」という用語は、ベンジル基又はフェネチル基等のアルキル基で直接結合したアリール基を指す。
【0038】
「シクロアルキル(基)」という用語は、一般的に3〜9個の炭素原子を有する、環式炭化水素環を指し、その代表例としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基及びシクロヘプチル基が挙げられる。
【0039】
「シクロアルキルアルキル(基)」という用語は、一般的に3〜6個の炭素原子を有する、アルキル置換炭化水素環を指し、その代表例としてはシクロプロピルアルキル基が挙げられる。
【0040】
「アロイル(基)」という用語はC(O)−アリール部を指し、アリール部分とは、環内に6〜12個の炭素原子を有する単環式又は二環式の芳香族炭化水素基を指す。
【0041】
「ヘテロアリール(基)」という用語は、任意に置換又は無置換の不飽和芳香族環基、例えば、環内に少なくとも1個のヘテロ原子及び少なくとも1個の炭素原子を有する、5又は7員環の単環式、7〜11員環の二環式、又は、10〜15員環の三環式の環を指す。ヘテロ原子を含む複素環基の個々の環は、窒素原子、酸素原子及び硫黄原子から選択される1、2又は3個のヘテロ原子を有していてよく、窒素ヘテロ原子及び硫黄ヘテロ原子は任意に酸化されていてよく、窒素ヘテロ原子は任意に4級化されていてよい。
【0042】
本発明の化合物の医薬品に許容される塩には、その医薬品に許容される無機酸及び有機酸及び塩基に由来するものが含まれる。好適な酸の例としては、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、過塩素酸、フマル酸、マレイン酸、リン酸、グリコール酸、乳酸、サリチル酸、コハク酸、トルエンp−スルホン酸、酒石酸、酢酸、クエン酸、メタンスルホン酸、ギ酸、安息香酸、マロン酸、ナフタレン−2−スルホン酸、トリフルオロ酢酸及びベンゼンスルホン酸が含まれる。塩基に由来する塩として好適なものには、ナトリウム塩及びアンモニウム塩等のアルカリ塩が含まれる。
【0043】
種々の窒素系官能基(アミノ基、ヒドロキシアミノ基、アミド基等)を有する化合物のプロドラッグ形態としては、下記の種の誘導体が含まれていてよい(式中、R基は、それぞれ独立して、上述したように、水素、置換又は無置換のアルキル基、アリール基、アルケニル基、アルキニル基、複素環基、アルキルアリール基、アラルキル基、アラルケニル基、アラルキニル基、シクロアルキル基又はシクロアルケニル基であってよい)。
(a)カルボキサミド類、−NHC(O)R
(b)カルバミン酸エステル類、−NHC(O)OR
(c)カルバミン酸(アシルオキシ)アルキルエステル類、NHC(O)OROC(O)R
(d)エナミン類、−NHCR(=CHCOR)又は−NHCR(=CHCONR
(e)シッフ(Schiff)塩基、−N=CR
【0044】
本発明の好ましい化合物は、RがCHかつXがHであるものである。
【0045】
本発明の特定の化合物のいくつかは次式で示される。
17−アリル−6,7−ジデヒドロ−3,14−ジヒドロキシ−4,5α−エポキシ−5’−(4−クロロフェニル)ピリド[2’,3’:6,7]モルヒナン;
6,7−ジデヒドロ−3,14−ジヒドロキシ−4,5α−エポキシ−17−メチルピリド[2’,3’:6,7]モルヒナン;
6,7−ジデヒドロ−4,5α−エポキシ−14−ヒドロキシ−3−メトキシ−17−メチルピリド[2’,3’:6,7]モルヒナン;
6,7−ジデヒドロ−3,14−ジヒドロキシ−4,5α−エポキシ−17−メチル−5’−フェニルピリド[2’,3’:6,7]モルヒナン;
6,7−ジデヒドロ−14−ヒドロキシ−4,5α−エポキシ−3−メトキシル−17−メチル−5’−フェニルピリド[2’,3’:6,7]モルヒナン;
5’−(4−クロロフェニル)−6,7−ジデヒドロ−3,14−ジヒドロキシ−4,5α−エポキシ−17−メチルピリド[2’,3’:6,7]モルヒナン;
5’−(4−クロロフェニル)−6,7−ジデヒドロ−14−ヒドロキシ−4,5α−エポキシ−3−メトキシル−17−メチルピリド[2’,3’:6,7]モルヒナン;
5’−(4−ブロモフェニル)−6,7−ジデヒドロ−3,14−ジヒドロキシ−4,5α−エポキシ−17−メチルピリド[2’,3’:6,7]モルヒナン;
5’−(4−ブロモフェニル)−6,7−ジデヒドロ−3,14−ジヒドロキシ−4,5α−エポキシ−3−メトキシ−17−メチルピリド[2’,3’:6,7]モルヒナン;
6,7−ジデヒドロ−4,5α−エポキシ−3−ヒドロキシ−17−メチルピリド[2’,3’:6,7]モルヒナン;
6,7−ジデヒドロ−4,5α−エポキシ−3−ヒドロキシ−17−メチル−5’−フェニルピリド[2’,3’:6,7]モルヒナン;
5’−(4−クロロフェニル)−6,7−ジデヒドロ−4,5α−エポキシ−3−ヒドロキシ−17−メチルピリド[2’,3’:6,7]モルヒナン;
5’−(4−ブロモフェニル)−6,7−ジデヒドロ−4,5α−エポキシ−3−ヒドロキシ−17−メチルピリド[2’,3’:6,7]モルヒナン;
5’−(3,4−ジクロロフェニル)−6,7−ジデヒドロ−4,5α−エポキシ−3−ヒドロキシ−17−メチルピリド[2’,3’:6,7]モルヒナン;
5’−(2,4−ジクロロフェニル)−6,7−ジデヒドロ−4,5α−エポキシ−3−ヒドロキシ−17−メチルピリド[2’,3’:6,7]モルヒナン;
5’−(4−クロロフェニル)−17−シクロプロピルメチル−6,7−ジデヒドロ−4,5α−エポキシ−3−ヒドロキシピリド[2’,3’:6,7]モルヒナン;
5’−(4−クロロフェニル)−17−シクロプロピルメチル−6,7−ジデヒドロ−4,5α−エポキシ−3−メトキシピリド[2’,3’:6,7]モルヒナン;
5’−(4−クロロフェニル)−17−[(2−シクロヘキシル)エチル]−6,7−ジデヒドロ−4,5α−エポキシ−3−メトキシピリド[2’,3’:6,7]モルヒナン;
5’−(4−クロロフェニル)−17−[(2−シクロヘキシル)エチル]−6,7−ジデヒドロ−4,5α−エポキシ−3−ヒドロキシピリド[2’,3’:6,7]モルヒナン;
5’−シクロヘキシル−17−シクロプロピルメチル−6,7−ジデヒドロ−3,14−ジヒドロキシ−4,5α−エポキシピリド[2’,3’:6,7]モルヒナン;
5’−シクロヘキシル−6,7−ジデヒドロ−4,5α−エポキシ−3−ヒドロキシ−17−メチルピリド[2’,3’:6,7]モルヒナン;
17−アリル−5’−ベンジル−6,7−ジデヒドロ−3,14−ジヒドロキシ−4,5α−エポキシピリド[2’,3’:6,7]モルヒナン;
5’−ベンジル−17−シクロプロピルメチル−6,7−ジデヒドロ−3,14−ジヒドロキシ−4,5α−エポキシピリド[2’,3’:6,7]モルヒナン;
5’−ベンジル−6,7−ジデヒドロ−3,14−ジヒドロキシ−4,5α−エポキシ−17−メチルピリド[2’,3’:6,7]モルヒナン;
17−シクロプロピルメチル−6,7−ジデヒドロ−3,14−ジヒドロキシ−4,5α−エポキシ−5’−(2−ヒドロキシベンゾイル)ピリド[2’,3’:6,7]モルヒナン;
6,7−ジデヒドロ−4,5α−エポキシ−3−ヒドロキシ−5’−(2−ヒドロキシベンゾイル)−17−メチルピリド[2’,3’:6,7]モルヒナン;
17−シクロプロピルメチル−6,7−ジデヒドロ−3,14−ジヒドロキシ−4,5α−エポキシ−6’−フェニルピリダジノ[3’,4’:6,7]モルヒナン;
17−シクロプロピルメチル−6,7−ジデヒドロ−3,14−ジヒドロキシ−4,5α−エポキシ−6’−(4−クロロフェニル)ピリダジノ[3’,4’:6,7]モルヒナン;
6,7−ジデヒドロ−4,5α−エポキシ−3−ヒドロキシ−17−メチル−6’−フェニルピリダジノ[3’,4’:6,7]モルヒナン;
6,7−ジデヒドロ−4,5α−エポキシ−3−ヒドロキシ−17−メチル−6’−(4−クロロフェニル)ピリダジノ[3’,4’:6,7]モルヒナン;
6,7−ジデヒドロ−4,5α−エポキシ−5’−(2−フルオロフェニル)−3−ヒドロキシ−17−メチルピリド[2’,3’:6,7]モルヒナン;
5’−(2−クロロフェニル)−6,7−ジデヒドロ−4,5α−エポキシ−3−ヒドロキシ−17−メチルピリド[2’,3’:6,7]モルヒナン;
5’−(2−ブロモフェニル)−6,7−ジデヒドロ−4,5α−エポキシ−3−ヒドロキシ−17−メチルピリド[2’,3’:6,7]モルヒナン;
6,7−ジデヒドロ−4,5α−エポキシ−3−ヒドロキシ−5’−(2−メチルフェニル)−17−メチルピリド[2’,3’:6,7]モルヒナン;
6,7−ジデヒドロ−4,5α−エポキシ−3−ヒドロキシ−17−メチル−5’−(2−ニトロフェニル)ピリド[2’,3’:6,7]モルヒナン;
5’−(2−アミノフェニル)−6,7−ジデヒドロ−4,5α−エポキシ−3−ヒドロキシ−17−メチルピリド[2’,3’:6,7]モルヒナン;
6,7−ジデヒドロ−4,5α−エポキシ−3−ヒドロキシ−17−メチル−5’−(2−ピリジル)ピリド[2’,3’:6,7]モルヒナン;及び、
6,7−ジデヒドロ−4,5α−エポキシ−3−ヒドロキシ−17−メチル−5’−(4−キノリニル)ピリド[2’,3’:6,7]モルヒナン
【0046】
本発明の化合物は、従来のモルヒナンについて既に示されたAnanthanらの上記文献(I)及び(II)中に開示されるピリジン環形成反応法によって、市販のモルヒナンケトンから調製可能である。下記スキーム1中に図示するように、ナロキソン(4)又はヒドロモルホン(6)と4−クロロフェニルマロンジアルデヒド(9)との酢酸アンモニウム存在下における酢酸中での縮合によって、対応するピリジン化合物7a及び7hをそれぞれ得る。オキシモルホン(5)が市販されておらず入手不可能であるため、目標化合物がオキシモルホン構造を有する場合には、オキシコドン(8)を出発原料として使用し調製する。この場合、標準反応条件下での8とアルデヒド9との縮合によってメチルエーテル7oを得、これをその後、BBrを使用するフェノールO−脱メチル反応によって7dに変換する。ヒドロモルホン(6)をエンアミノアルデヒド(enaminoaldehyde)10〜14及び酢酸アンモニウムと反応させることにより、目標化合物7f、7g及び7i〜kを得る(スキーム2)。オキシコドン(8)とアルデヒド10〜12を反応させることによって対応するメチルエーテル7m、7n及び7pを得、その後これらをBBrを使用した脱メチル反応に供し、目標化合物7b、7c及び7eをそれぞれ得る。2cの14−デオキシ類似体は、スキーム3中に示す一連の反応によって合成する。ヒドロコドン(15)とマロンジアルデヒド9とのピリジン環形成反応によってピリドモルヒナン16を得、これを次にクロロギ酸ビニルと反応させ、生じたカーバメート中間体を加水分解することにより、N−nor構造を有する化合物17へと転換させる。シクロプロピルメチル臭化物で17をアルキル化した後にエーテル基からメチル基を除去することによって、所望の目標化合物7lを得る。
【0047】
【化3】

【0048】
試薬及び反応条件:(a)AcONH、AcOH、還流、18時間;(b)BBr、CHCl、−20℃、4時間
【0049】
【化4】

【0050】
試薬及び反応条件:(a)AcONH、AcOH、還流、18時間;(b)10、11又は12、AcONH、AcOH、還流、18時間;(c)BBr、CHCl、−20℃、4時間
【0051】
【化5】

【0052】
試薬及び反応条件:(a)9、AcONH、AcOH、還流、18時間;(b)クロロギ酸ビニル、KCO、1,2−ジクロロエタン、還流、36時間;(c)2NHCl、EtOH、還流、2時間;(d)臭化シクロプロピルメチル、NaHCO、EtOH、還流、14時間;(e)BBr、CHCl、−20℃、4時間
【発明を実施するための最良の形態】
【0053】
下記例は本発明を例証したものであり、本発明は下記例に限定されない。下記例において、融点は開口毛管中で融点測定装置Mel−Tempにより測定し、補正は実施していない。H NMRスペクトルは、Nicolet 300NB分光計により300.635MHzにおいて記録する。化学シフトは、テトラメチルシランから低磁場側での100万分の1として示す。スペクトルは、プロトンデカップリングの補助により指定する。質量スペクトルは、Varian社製MAT 311A二重収束質量分析計で、高速原子衝撃(FAB)法により、又は、Bruker BIOTOF IIを使用してエレクトロスプレーイオン化(ESI)法により記録する。分析結果は元素記号で示し、理論値±0.4%の範囲内である。薄層クロマトグラフィー(TLC)は、Analtech社製シリカゲルGF0.25mmプレート上で実施する。フラッシュカラムクロマトグラフィは、E.Merck社製シリカゲル60(230〜400メッシュ)により実施する。収率は精製化合物の収率であり、最適化はしていない。
【実施例1】
【0054】
<17−アリル−6,7−ジデヒドロ−3,14−ジヒドロキシ−4,5α−エポキシ−5’−(4−クロロフェニル)ピリド[2’,3’:6,7]モルヒナン(7a)>
塩酸ナロキソン(1.0g、2.74mmol)、2−(4−クロロフェニル)マロンジアルデヒド(0.552g、3.02mmol)及び酢酸アンモニウム(0.421g、5.48mmol)のAcOH(20mL)溶液を加熱し、油浴中で130〜135℃においてアルゴン雰囲気下で18時間還流する。反応混合物を室温まで冷却し、溶媒を減圧下で除去する。残渣を水で処理し、NaHCO飽和水溶液により混合物のpHを8にする。分離した固体をろ過により回収し、CHCl中に溶解してブラインで洗浄する。有機層を乾燥させて(NaSO)ろ過し、溶媒を減圧下で除去する。溶離液としてCHCl−MeOH−NHOH(98.5:0.1:0.5)を使用することにより粗生成物をシリカカラムクロマトグラフィで分離し、所望の生成物7a(0.385g、30%)を得る。
【0055】
融点168〜172℃;TLC、R0.2(CHCl−MeOH−NHOH、97:2.5:0.5);H NMR(CDCl)δ 1.82−1.85(m,1H,C−16 H),2.31−2.43(m,2H,C−15 H,C−16 H),2.62(m,4H,C−8 H,C−10 H,C−15 H),3.11−3.25(m,4H,C−9 H,C−10 H,CH CH=CH),4.80−5.50(broad hump,2H,C−3 OH,C−14,OH),5.18−5.28(m,2H, CH=CH),5.59(s,1H,C−5 H),5.78−5.91(m,1H,CH=CH),6.59(d,1H,J=8.1Hz,C−1 H),6.68(d,1H,J=8.1Hz,C−2 H),7.37−7.45(m,4H,C−2’’ H,C−3’’ H,C−5’’ H,C−6’’ H),7.47(d,1H,J=2.1Hz,C−4’ H),8.69(d,1H,J=1.8Hz,C−6’ H);MS m/z 473(MH).Anal.(C2825ClN・0.1HO)C,H,N.
【実施例2】
【0056】
<6,7−ジデヒドロ−3,14−ジヒドロキシ−4,5α−エポキシ−17−メチルピリド[2’,3’:6,7]モルヒナン(7b)>
塩酸オキシコドン(2.0g、5.69mmol)、3−(ジメチルアミノ)アクロレイン(0.845g、8.52mmol)及び酢酸アンモニウム(1.31g、17.04mmol)のAcOH(30mL)溶液を、油浴中で130〜135℃においてアルゴン雰囲気下で18時間還流する。上記7aの調製方法と同様に反応混合物の処理及び粗生成物の精製を実施し、6,7−ジデヒドロ−4、5α−エポキシ−14−ヒドロキシ−3−メトキシ−17−メチルピリド[2’,3’:6,7]モルヒナン(7m)(0.792g、40%)を得る。
【0057】
融点210〜212℃;TLC、R0.4(CHCl−MeOH−NHOH、94.5:5:0.5);H NMR(CDCl)δ 1.80−1.83(m,1H,C−15 H),2.35−2.40(m,2H,C−15 H,C−16 H),2.43(s,3H,NCH),2.50−2.78(m,4H,C−8 H,C−10 H,C−16 H),2.95(d,1H,J=6.5Hz,C−9 H),3.26(d,1H,J=18.7Hz,C−10 H),3.79(s,3H,OCH),4.5−5.8(broad hump,1H,C−14 OH),5.53(s,1H,C−5 H),6.61(d,1H,J=8.1Hz,C−2 H),6.66(d,1H,J=8.1Hz,C−1 H),7.10(dd,1H,J=7.7及び4.6Hz,C−5’ H),7.34(d,1H,J=7.7Hz,C−4’ H),8.56−8.58(m,1H,C−6’ H);ESI MS m/z 351(MH).Anal.(C2122・0.2HO)C,H,N.
【0058】
7m(0.67g、1.91mmol)のジクロロメタン(25ml)溶液を−78℃まで冷却し、BBr(CHClの1M溶液19.0mL、19.0mmol)を滴下して処理する。30分後、反応物を−15〜−20℃まで加温し、4時間撹拌する。その後混合物をEtO(2mL)で処理し、室温まで加温する。更に30分間撹拌した後、混合物を水で希釈し、CHClで2回抽出する。有機層をブラインで洗浄し、NSOで乾燥させる。溶媒を減圧下で除去し、溶離液としてCHCl−MeOH−NHOH(97.5:2:0.5)を使用することにより粗生成物をシリカカラムクロマトグラフィで分離し、7b(0.179g,28%)を得る。
【0059】
融点>230℃;TLC,R0.3(CHCl−MeOH−NHOH,94.5:5:0.5);H NMR(MeSO−d)δ 1.52−1.56(m,1H,C−15 H),2.14−2.32(m,2H,C−15 H,C−16 H),2.35(s,3H,NCH),2.44−2.62(m,4H,C−8 H,C−10 H,C−16 H),2.91(d,1H,J=6.1Hz,C−9 H),3.16(d,1H,J=18.6Hz,C−10 H),4.75(s,1H,C−14 OH),5.28(s,1H,C−5 H),6.49−6.54(m,2H,C−1 H,C−2 H),7.23(dd,1H,J=7.7及び4.7Hz,C−5’ H),7.46(dd,1H,J=7.7及び1.4Hz,C−4’ H),8.48(dd,1H,J=4.7及び1.5Hz,C−6’ H),9.01(s,1H,C−3 OH);ESI MS m/z 337(MH).Anal.(C2020・0.3HO)C,H,N.
【実施例3】
【0060】
<6,7−ジデヒドロ−3,14−ジヒドロキシ−4,5α−エポキシ−17−メチル−5’−フェニルピリド[2’,3’:6,7]モルヒナン(7c)>
塩酸オキシコドン(2.0g、5.68mmol)を3−ジメチルアミノ−2−フェニルアクロレイン(1.40g、8.52mmol)(Coppolaら.Synthesis and Reaction of 2−Aryl−3−(dimethylamino)acroleins.J.Heterocycl.Chem.1974,11,51−56参照)及び酢酸アンモニウム(1.31g、17.04mmol)の酢酸(20ml)溶液と上記7aの調製方法と同様に反応させ、6,7−ジデヒドロ−4,5α−エポキシ−14−ヒドロキシ−3−メトキシ−17−メチル−5’−フェニルピリド[2’,3’:6,7]モルヒナン(7n))(1.325g、55%)を得る。
【0061】
融点>250℃;TLC,R0.5(CHCl−MeOH−NHOH,96.5:3:0.5);H NMR(CDCl)δ 1.82−1.86(m,1H,C−15 H),2.37−2.42(m,2H,C−15 H,C−16 H),2.44(s,3H,NCH),2.52−2.84(m,4H,C−8 H,C−10 H,C−16 H),2.99(d,1H,J=6.4Hz,C−9 H),3.28(d,1H,J=18.7Hz,C−10 H),3.82(s,3H,OCH),5.58(s,1H,C−5 H),6.63(d,1H,J=8.1Hz,C−2 H),6.68(d,1H,J=8.1Hz,C−1 H),7.37−7.53(m,6H,C−4’ H,C−5’ phenyl−H),8.79−8.78(m,1H,C−6’ H);ESI MS m/z 427(MH).Anal.(C2726・0.2HO)C,H,N.
【0062】
メチルエーテル7n(0.189g、0.44mmol)のCHCl(10mL)溶液をBBr(CHClの1M溶液4.4mL、4.4mmol)と、7mから7bを調製する上記方法と同様に反応させ、7cを0.112g(61%)得る。
【0063】
融点190〜192℃;TLC,R0.3(CHCl−MeOH−NHOH,96.5:3:0.5);H NMR(CDCl)δ 1.82−1.85(m,1H,C−15 H),2.38−2.42(m,2H,C−15 H,C−16 H),2.44(s,3H,NCH),2.53−2.82(m,4H,C−8 H,C−10 H,C−16 H),2.98(d,1H,J=6.4Hz,C−9 H),3.27(d,1H,J=18.7Hz,C−10 H),4.2−5.68(broad hump,2H,C−3 OH,C−14 OH),5.59(s,1H,C−5 H),6.60(d,1H,J=8.1Hz,C−2 H),6.69(d,1H,J=8.1Hz,C−1 H),7.37−7.51(m,6H,C−4’ H,C−5’ phenyl−H),8.72−8.73(m,1H,C−6’ H);ESI MS m/z 413(MH).Anal.(C2624・0.3HO)C,H,N.
【実施例4】
【0064】
<5’−(4−クロロフェニル)−6,7−ジデヒドロ−3,14−ジヒドロキシ−4,5α−エポキシ−17−メチルピリド[2’,3’:6,7]モルヒナン(7d)>
塩酸オキシコドン(1.0g,2.84mmol)を2−(4−クロロフェニル)マロンジアルデヒド(0.584g、3.13mmol)及び酢酸アンモニウム(0.438g、5.68mmol)の酢酸(20ml)溶液と上記7aの調製方法と同様に反応させ、5’−(4−クロロフェニル)−6,7−ジデヒドロ−4,5α−エポキシ−14−ヒドロキシ−3−メトキシ−17−メチルピリド[2’,3’:6,7]モルヒナン(7o)(0.527g,40%)を得る。
【0065】
融点112〜114℃;TLC,R0.3(CHCl−MeOH−NHOH,96.5:3:0.5);H NMR(CDCl)δ 1.82−1.86(m,1H,C−15 H),2.37−2.41(m,2H,C−15 H,C−16 H),2.44(s,3H,NCH),2.52−2.83(m,4H,C−8 H,C−10 H,C−16 H),2.98(d,1H,J=6.4Hz,C−9 H),3.29(d,1H,J=18.7Hz,C−10 H),3.81(s,3H,OCH),4.7−4.8(broad s,1H,C−14 OH),5.57(s,1H,C−5 H),6.63(d,1H,J=8.1Hz,C−2 H),6.68(d,1H,J=8.1Hz,C−1 H),7.34−7.47(m,5H,C−4’ H,C−2’’ H,C−3’’ H,C−5’’ H,C−6’’ H),8.74(d,1H,J=2.1Hz,C−6’ H);ESI MS m/z 461(MH).Anal.(C2725ClN・0.1HO)C,H,N.
【0066】
メチルエーテル7o(0.352g,0.76mmol)のCHCl(15mL)溶液をBBr(CHClの1M溶液7.6mL、7.6mmol)と、7mから7bを調製する上記方法と同様に反応させ、7dを0.132g(39%)得る。
【0067】
融点196〜198℃;TLC,R0.3(CHCl−MeOH−NHOH,94.5:5:0.5);H NMR(CDCl)δ 1.80−1.88(m,1H,C−15 H),2.34−2.40(m,2H,C−15 H,C−16 H),2.44(s,3H,NCH),2.49−2.81(m,4H,C−8 H,C−10 H,C−16 H),2.98(d,1H,J=6.4Hz,C−9 H),3.27(d,1H,J=18.7Hz,C−10 H),4.8−5.7(broad hump,2H,C−3 OH,C−14 OH),5.58(s,1H,C−5 H),6.61(d,1H,J=8.1Hz,C−2 H),6.69(d,1H,J=8.1Hz,C−1 H),7.34−7.44(m,4H,C−2’’ H,C−3’’ H,C−5’’ H,C−6’’ H),7.47(d,1H,J=2.0Hz,C−4’ H),8.69(d,1H,J=2.0Hz,C−6’ H);ESI MS m/z 447(MH).Anal.(C2623ClN・0.5HO)C,H,N.
【実施例5】
【0068】
<5’−(4−ブロモフェニル)−6,7−ジデヒドロ−3,14−ジヒドロキシ−4,5α−エポキシ−17−メチルピリド[2’,3’:6,7]モルヒナン(7e)>
塩酸オキシコドン(2.0g、5.68mmol)を2−(4−ブロモフェニル)−3−(ジメチルアミノ)アクロレイン(2.16g、8.52mmol)(Staceyら.Pyridine Derivatives Inducing Tillering and Agricultural Compositions Containing Them.Eur.Pat.Appl.67511,1982;Chem.Abstr.1983,98,198028参照)及び酢酸アンモニウム(1.31g、17.04mmol)の酢酸(30ml)溶液と上記7aの調製方法と同様に反応させ、5’−(4−ブロモフェニル)−6,7−ジデヒドロ−4,5α−エポキシ−14−ヒドロキシ−3−メトキシ−17−メチルピリド[2’,3’:6,7]モルヒナン(7p)(0.79g,28%)を得る。
【0069】
融点>230℃;TLC,R0.4(CHCl−MeOH−NHOH,94.5:5:0.5);H NMR(CDCl)δ 1.82−1.85 (m,1H,C−15 H),2.37−2.41(m,2H,C−15 H,C−16 H),2.44(s,3H,NCH),2.51−2.83(m,4H,C−8 H,C−10 H,C−16 H),2.98(d,1H,J=6.4Hz,C−9 H),3.28(d,1H,J=18.7Hz,C−10 H),3.81(s,3H,OCH),4.5−5.2(broad hump,1H,C−14 OH),5.56(s,1H,C−5 H),6.63(d,1H,J=8.1Hz,C−2 H),6.68(d,1H,J=8.1Hz,C−1 H),7.36−7.40(m,2H,C−2’’ H,C−6’’ H),7.46(d,1H,J=2.1Hz,C−4’ H),7.54−7.59(m,2H,C−3’’ H,C−5’’ H),8.74(d,1H,J=2.1Hz,C−6’ H);ESI MS m/z 505(MH).Anal.(C2725BrN)C,H,N.
【0070】
メチルエーテル7p(0.508g,1.0mmol)のCHCl(20mL)溶液をBBr(CHClの1M溶液10.0mL、10.0mmol)と、7mから7bを調製する上記方法と同様に反応させ、7eを0.198g(40%)得る。
【0071】
融点196〜198℃;TLC,R0.3(CHCl−MeOH−NHOH,94.5:5:0.5);H NMR(CDCl)δ 1.82−1.85(m,1H,C−15 H),2.38−2.41(m,2H,C−15 H,C−16 H),2.44(s,3H,NCH),2.53−2.81(m,4H,C−8 H,C−10 H, C−16 H),2.97(d,1H,J=6.4Hz,C−9 H),3.27(d,1H,J=18.7Hz,C−10 H),4.4−5.8(broad hump,2H,C−3 OH,C−14 OH),5.57(s,1H,C−5 H),6.61(d,1H,J=8.1Hz,C−2 H),6.69(d,1H,J=8.1Hz,C−1 H),7.34−7.38(m,2H,C−2’’ H,C−6’’ H),7.48(d,1H,J=2.0Hz,C−4’ H),7.54−7.58(m,2H,C−3’’ H,C−5’’ H),8.68(d,1H,J=2.0Hz,C−6’ H);ESI MS m/z 491(MH).Anal.(C2623BrN・0.25HO)C,H,N.
【実施例6】
【0072】
<6,7−ジデヒドロ−4,5α−エポキシ−3−ヒドロキシ−17−メチルピリド[2’,3’:6,7]モルヒナン(7f)>
塩酸ヒドロモルホン(1.0g,3.10mmol)、3−(ジメチルアミノ)アクロレイン(0.369g,3.72mmol)及び酢酸アンモニウム(0.477g,6.20mmol)のAcOH(20mL)溶液を、油浴中で130〜135℃において18時間還流する。上記7aの調製方法と同様に反応混合物の処理及び粗生成物の精製を実施し、所望の生成物7f(0.215g、22%)を得る。
【0073】
融点164〜166℃;TLC,R0.3(CHCl−MeOH−NHOH,95:4.5:0.5);H NMR(CDCl)δ 2.01−2.34(m,2H,C−15 H),2.54−2.77(m,6H,C−8 H,C−10 H,C−14 H,C−16 H),2.69(s,3H,NCH),3.16(d,1H,J=18.7Hz,C−10 H),3.39−3.41(m,1H,C−9 H),5.51(s,1H,C−5 H),6.58(d,1H,J=8.1Hz,C−2 H),6.66(d,1H,J=8.1Hz,C−1 H),7.15(dd,1H,J=7.8及び4.7Hz,C−5’ H),7.34(m,1H,C−4’ H),8.52(dd,1H,J=4.7及び1.1Hz,C−6’ H),8.52−8.58(br s,1H,C−3 OH);ESI MS m/z 321(MH)Anal.(C2020・0.6HO)C,H,N.
【実施例7】
【0074】
<6,7−ジデヒドロ−4,5α−エポキシ−3−ヒドロキシ−17−メチル−5’−フェニルピリド[2’,3’:6,7]モルヒナン(7g)>
塩酸ヒドロモルホン(1.0g,3.10mmol)を3−ジメチルアミノ−2−フェニルアクロレイン(0.651g、3.72mmol)(Coppolaらの上記文献参照)及び酢酸アンモニウム(0.477g,6.20mmol)の酢酸(20ml)溶液と上記7aの調製方法と同様に反応させ、7g(0.54g,44%)を得る。
【0075】
融点182〜184℃;TLC,R0.3(CHCl−MeOH−NHOH,95:4.5:0.5);H NMR(CDCl)δ 1.95−2.14(m,2H,C−15 H),2.31−2.67(m,6H,C−8 H,C−10 H,C−14 H,C−16 H),2.46(s,3H,NCH),3.11(d,1H,J=18.7Hz,C−10 H),3.29−3.31(m,1H,C−9 H),4.8−5.6(broad hump,1H,C−3 OH),5.58(s,1H,C−5 H),6.61(d,1H,J=8.1Hz,C−2 H),6.68(d,1H,J=8.1Hz,C−1 H),7.35−7.52(m,6H,C−4’ H,C−5’−phenyl−H),8.74(d,1H,J=1.6Hz,C−6’ H);ESI MS m/z 397(MH).Anal.(C2624・0.6HO)C,H,N.
【実施例8】
【0076】
<5’−(4−クロロフェニル)−6,7−ジデヒドロ−4,5α−エポキシ−3−ヒドロキシ−17−メチルピリド[2’,3’:6,7]モルヒナン(7h)>
塩酸ヒドロモルホン(10.0g,31.1mmol)を2−(4−クロロフェニル)マロンジアルデヒド(6.81g,37.3mmol)及び酢酸アンモニウム(4.79g,62.2mmol)の酢酸(140ml)溶液と上記7aの調製方法と同様に反応させ、7h(3.033g,23%)を得る。
【0077】
融点188〜190℃;TLC,R0.35(CHCl−MeOH−NHOH,96.5:3:0.5);H NMR(CDCl)δ 1.97−2.14(m,2H, C−15 H),2.30−2.48(m,3H,C−8 H,C−10 H,C−16 H),2.46(s,3H,NCH),2.55−2.64(m,3H,C−8 H, C−14 H,C−16 H),3.11(d,1H,J=18.6Hz,C−10 H),3.28−3.30(m,1H,C−9 H),5.57(s,1H,C−5 H),6.60(d,1H,J=8.1Hz,C−2 H),6.68(d,1H,J=8.1Hz,C−1 H),7.40−7.46(m,5H,C−4’ H,C−2’’ H,C−3’’ H,C−5’’ H,C−6’’ H),8.72(d,1H,J=2.1Hz,C−6’ H);ESI MS m/z 431(MH).Anal.(C2623ClN)C,H,N.
【0078】
上記化合物のEtOH溶液を、塩化水素2MのEtO溶液で処理する。溶媒を減圧下で除去し、EtOとともに粉砕することによって、7h・2HCl塩を得る。融点276〜278℃;ESI MS m/z 431(MH).Anal.(C2623ClN・2HCl・2HO)C,H,N.
【実施例9】
【0079】
<5’−(4−ブロモフェニル)−6,7−ジデヒドロ−4,5α−エポキシ−3−ヒドロキシ−17−メチルピリド[2’,3’:6,7]モルヒナン(7i)>
塩酸ヒドロモルホン(3.0g,9.32mmol)を2−(4−ブロモフェニル)−3−(ジメチルアミノ)アクロレイン(2.60g、10.25mmol)(Staceyらの上記文献参照)及び酢酸アンモニウム(1.45g,18.64mmol)の酢酸(60ml)溶液と上記7aの調製方法と同様に反応させ、7i(0.93g,21%)を得る。
【0080】
融点186〜188℃;TLC,R0.3(CHCl−MeOH−NHOH,94.5:5:0.5);H NMR(CDCl)δ 1.99−2.13(m,2H,C−15 H),2.27−2.44(m,1H,C−16H),2.46(s,3H,NCH),2.33−3.08(broad hump,2H,C−3 OH,C−14 H),2.49−2.65(m,4H,C−8 H,C−10 H,C−16 H),3.11(d,1H,J=18.7Hz,C−10 H),3.31(dd,1H,J=5.8及び2.4Hz,C−9 H),5.55(s,1H,C−5 H),6.61(d,1H,J=8.1Hz,C−2 H),6.68(d,1H,J=8.1Hz,C−1 H),7.31−7.35(m,2H,C−3’’ H,C−5’’ H),7.41(d,1H,J=2.0Hz,C−4’ H),7.53−7.57(m,2H,C−2 H’’,C−6 H’’),8.65(d,1H,J=2.0Hz,C−6 H’);ESI MS m/z 475(MH).Anal.(C2623BrN・0.5HO)C,H,N.
【実施例10】
【0081】
<5’−(3,4−ジクロロフェニル)−6,7−ジデヒドロ−4,5α−エポキシ−3−ヒドロキシ−17−メチルピリド[2’,3’:6,7]モルヒナン(7j)>
塩酸ヒドロモルホン(1.00g,3.1mmol)を2−(3,4−ジクロロフェニル)−3−(ジメチルアミノ)アクロレイン(Coppolaらの上記文献参照)(1.135g,4.65mmol)及び酢酸アンモニウム(0.478g,6.2mmol)の酢酸(20ml)溶液と上記7aの調製方法と同様に反応させ、7j(0.25g,17%)を得る。
【0082】
融点184〜186℃;TLC,R0.3(CHCl−MeOH−NHOH,94.5:5:0.5);H NMR(CDCl)δ 1.97−2.14(m,2H,C−15 H),2.30−2.48(m,3H,C−8 H,C−10 H,C−16 H),2.46(s,3H,NCH),2.55−2.64(m,3H,C−8 H,C−14 H,C−16 H),3.12(d,1H,J=18.7Hz,C−10 H),3.27−3.30(m,1H,C−9 H),4.8−5.6(broad hump,1H,C−3 OH),5.57(s,1H,C−5 H),6.61(d,1H,J=8.1Hz,C−2 H),6.68(d,1H,J=8.1Hz,C−1 H),7.34(dd,1H,J=8.3及び2.1Hz,C− 5 H),7.44(d,1H,J=1.9Hz,C− 4 H’),7.52(d,1H,J=8.3Hz,C−6’’ H),7.59(d,1H,J=2.2,C−2’’ H),8.70(d,1H,J=1.8Hz,C−6’ H);ESI MS m/z 465(MH).Anal.(C2622Cl・0.5HO)C,H,N.
【実施例11】
【0083】
<5’−(2,4−ジクロロフェニル)−6,7−ジデヒドロ−4,5α−エポキシ−3−ヒドロキシ−17−メチルピリド[2’,3’:6,7]モルヒナン(7k)>
塩酸ヒドロモルホン(1.00g,3.1mmol)を2−(2,4−ジクロロフェニル)−3−(ジメチルアミノ)アクロレイン(1.135g、4.65mmol)(Biziereら.Heterocyclic Nitrogen Compounds.Eur.Pat.Appl.169139,1986;Chem.Abstr.1986,105,97319参照)及び酢酸アンモニウム(0.716g,9.3mmol)の酢酸(20ml)溶液と上記7aの調製方法と同様に反応させ、7k(0.464g,32%)を得る。
【0084】
融点198〜200℃;TLC,R0.3(CHCl−MeOH−NHOH,94.5:5:0.5);H NMR(CDCl)δ 1.96−2.15(m,2H,C−15 H),2.30−2.71(m,6H,C−8 H,C−10 H,C−14 H,C−16 H),2.46(s,3H,NCH),3.11(d,1H,J=18.7Hz,C−10 H),3.33−3.30(m,1H,C−9 H),5.56(s,1H,C−5 H),6.61(d,1H,J=8.1Hz,C−2 H),6.69(d,1H,J=8.1Hz,C−1 H),7.20(d,1H,J=8.4Hz,C−6’’ H),7.31(dd,1H,J=8.2及び2.1Hz,C− 5’’ H),7.38(d,1H,J=2.0Hz,C− 4’ H),7.49(d,1H,J=2.1Hz,C−3’’ H),8.58(d,1H,J=1.8Hz,C−6’ H);ESI MS m/z 465(MH).Anal.(C2622Cl・0.5HO)C,H,N.
【実施例12】
【0085】
<5’−(4−クロロフェニル)−17−シクロプロピルメチル−6,7−ジデヒドロ−4,5α−エポキシ−3−ヒドロキシピリド[2’,3’:6,7]モルヒナン(7l)>
従来の方法で酸性酒石酸塩から得られたヒドロコドン(5.838g、19.52mmol)を2−(4−クロロフェニル)マロンジアルデヒド(5.46g,29.28mmol)及び酢酸アンモニウム(4.51g,58.56mmol)の酢酸(100ml)溶液と上記7aの調製方法と同様に反応させ、5’−(4−クロロフェニル)−6,7−ジデヒドロ−4,5α−エポキシ−3−メトキシ−17−メチルピリド[2’,3’:6,7]モルヒナン(16)(4.70g,55%)を得る。
【0086】
融点234〜237℃;TLC,R0.57(CHCl−MeOH,9:1);H NMR(CDCl)1.99−2.13(m,2H,C−15 H,C−16 H),2.32−2.54(m 3H,C−8 H,C−10 H,C−16 H),2.46(s,3H,NCH),2.55−2.64(m,3H,C−8H,C−10 H,C−16 H),3.18(d,1H,J=18.5Hz,C−10 H),3.25−3.28(m,1H,C−9 H),3.8(s,3H,OCH),5.5(s,1H,C−5 H),6.64(d,1H,J=8.2Hz,C−1 H),6.69(d,1H,J=8.20Hz,C−2 H),7.5−7.6(m,2H,C−3’’ H,C−5’’ H),7.70−7.73(m,3H,C−3’ H,C−2’’ H,C−6’’ H),8.74(d,1H,J=2.3Hz,C−6’ H);ESI MS m/z 445(MH).Anal.(C2725ClN・0.2HO)C,H,N.
【0087】
化合物16(2.85g、6.61mmol)を1,2−ジクロロエタン(50ml)に溶解した溶液中に、炭酸カリウム(3.11g、22.5mmol)を添加する。この混合物を不活性雰囲気下で撹拌し、クロロギ酸ビニル(4.1g、38.52mmol)を滴下する。反応混合物を36時間還流してろ過する。ろ液を蒸発乾固させ、残渣をエタノール(15ml)中に溶解する。この溶液に2NのHCl(5.0mL)を添加し、この混合物を2時間還流する。溶媒を減圧下で除去する。残渣を水で処理し、NaHCO飽和水溶液の添加により混合物のpHを7〜8にする。その後、混合物をCHCl(4×100mL)で抽出する。この抽出物を合わせてブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させる。溶媒をろ過により除去することによって粗生成物を得、溶離液としてCHCl−MeOH−NHOH(98.5:1:0.5)を使用することによりこの粗生成物をシリカカラムクロマトグラフィで分離して、5’−(4−クロロフェニル)−6,7−ジデヒドロ−4,5α−エポキシ−3−メトキシピリド[2’,3’:6,7]モルヒナン(17)(1.47g、53%)を得る。
【0088】
融点246〜248℃;TLC,R0.44(CHCl−MeOH,9:1);H NMR(DMSO−d)δ 1.69−1.73(m,1H,C−15 H),1.82−1.92(m,1H,C− 15 H),1.99−2.08(m,1H,C−16 H),2.36−2.44(m,1H,C−14 H),2.59−2.78(m,4H,C−8 H,C−10 H,C−16 H),2.87−2.96(m,1H,C−10 H),3.37−3.39(m,1H,C−9 H),3.67(s,3H,OCH),5.4(s,1H,C−5 H),6.64(d,1H,J=8.2Hz,C−1 H),6.62(d,1H,J=8.13Hz,C−2 H),7.5−7.6(m,2H,C−3’’ H,C−5’’ H),7.70−7.73(m,3H,C−3’ H,C−2’’ H,C−6’’ H),8.8(d,1H,J=2.09Hz,C−6’ H);ESI MS m/z 431(MH).Anal.(C2623ClN・0.4HO)C,H,N.
【0089】
化合物17(1.37g、3.19mmol)をエタノール(70mL)中に溶解し、NaHCO(5.33g、6.37mmol)を添加する。この混合物にシクロプロピルメチル臭化物(2.16g、16.0mmol)を添加し、反応混合物を窒素下で16時間還流する。その後、この混合物を濃縮し、水(180mL)を残渣に添加する。この混合物をCHCl(4×100mL)で抽出し、NaCOで乾燥させる。溶媒を減圧下で除去することによって粗生成物を得、溶離液としてCHCl−MeOH−NHOH(98.5:1:0.5)を使用することによりこの粗生成物をシリカカラムクロマトグラフィで分離して、5’−(4−クロロフェニル)−17−シクロプロピルメチル−6,7−ジデヒドロ−4,5α−エポキシ−3−メトキシピリド[2’,3’:6,7]モルヒナン(7q)(0.93g、76%)を得る。
【0090】
融点196〜198℃;TLC,R0.5(CHCl−MeOH−NHOH,96.5:3:0.5);H NMR(CDCl)δ 0.14−0.19及び0.53−0.59(2m,4H,Cyclopropyl CHCH),0.85−0.89(m,1H,Cyclopropyl CH),1.97−2.15(m,2H,C−15 H),2.28−2.66(m,7H,C−8 H,C−10 H,C−14 H,C−16 H,及びNCH−cyclopropyl),2.81−2.86(m,1H,C−16 H),3.02(d,1H,J=18.7Hz,C−10 H),3.57−3.60(m,1H,C−9 H),3.81(s,3H,OCH),5.56(s 1H,C−5 H),6.61(d,1H,J=8.1Hz,C−2 H),6.67(d,1H,J=8.1Hz,C−1 H),7.39−7.46(m,5H,C−4’ H,C−2’’ H,C−3’’ H,C−5’’ H,C−6’’ H),8.75(d,1H,J=1.6Hz,C−6’ H);ESI MS m/z 485(MH).Anal.(C3029ClN)C,H,N.
【0091】
メチルエーテル7q(0.83g,1.71mmol)のCHCl(20mL)溶液をBBr(CHClの1M溶液17.0mL、17.0mmol)と、7mから7bを調製する上記方法と同様に反応させ、7lを0.227g(28%)得る。
【0092】
融点178〜180℃;TLC,R0.3(CHCl−MeOH−NHOH,96.5:3:0.5);H NMR(CDCl)δ 0.13−0.19及び0.51−0.57(2m,4H,cyclopropyl CHCH),0.85−0.93(m,1H,cyclopropyl CH),1.96−2.16(m,2H,C−15 H),2.28−2.66(m,7H,C−8 H,C−10 H,C−14 H,C−16 H,及びNCH−cyclopropyl),2.82−2.87(m,1H,C−16 H),3.00(d,1H,J=18.7Hz,C−10 H),3.60−3.62(m,1H,C−9 H),5.2−5.8(broad hump,1H,C−3 OH),5.57(s,1H,C−5 H),6.58(d,1H,J=8.1Hz,C−2 H),6.67(d,1H,J=8.1Hz,C−1 H),7.39−7.45(m,5H,C−4’ H,C−2’’ H,C−3’’ H,C−5’’ H,C−6’’ H),8.70(d,1H,J=2.0Hz,C−6’ H);ESI MS m/z 471(MH).Anal.(C2927ClN)C,H,N.
【実施例13】
【0093】
<17−シクロプロピルメチル−6,7−ジデヒドロ−3,14−ジヒドロキシ−4,5α−エポキシ−6’−フェニルピリダジノ[3’,4’:6,7]モルヒナン(18)>
塩酸ナルトレクソン(0.378g、1.0mmol)のメタノール(14mL)溶液に、水酸化ナトリウム水溶液(1N、7.0mL、7.0mmol)及びフェニルグリオキサール(0.938g、7.0mmol)を添加する。この混合物を冷蔵庫の中で16時間静置する。その後、この混合物を1NのHClで中和し、CHCl(3×100mL)で抽出する。有機層を合わせてブラインで灰化させ、濃縮無水NaSOで乾燥させて濃縮し、粗生成物を得る。粗生成物をアセトニトリル(5mL)中にとり、ヒドラジン水和物(0.119g、2.37mmol)を添加して、この混合物を室温で一晩撹拌する。溶媒を減圧下で除去し、溶離液としてCHCl−MeOH(98:2)を使用することにより粗生成物をシリカカラムクロマトグラフィで精製し、18を得る。収率0.08g(18%)。
【0094】
融点162〜164℃;TLC,R0.74(CHCl−MeOH,9:1);H NMR(CDCl)δ 0.14−0.21及び0.54−0.63(2m,4H,cyclopropyl CHCH),0.84−0.99(m,1H,cyclopropyl CH),1.86−1.93(m,1H,C−15 H),2.36−2.51(m,4H,C−15 H,C−16 H,及びNCH−cyclopropyl),2.63−2.81(m,4H,C−8 H,C−16 H,C−10H),3.22(d,1H,J=18.7Hz,C−10 H),3.33(d,1H,J=6.48Hz,C−9 H),3.6−5.8(broad hump,2H,C−3 OH,C−14 OH),5.85(s,1H,C−5 H),6.61(d,1H,J=8.2Hz,C−2 H),6.71(d,1H,J=8.1Hz,C−1 H),7.52−7.46(m,4H,C−4’ H,C−2’ H,C−3’ H,C−5’H),7.97−8.02(m,2H,C−1’ H,C−6’ H);ESI MS m/z 454(MH).Anal.(C2827・0.5HO)C,H,N.
【実施例14】
【0095】
<17−シクロプロピルメチル−6,7−ジデヒドロ−3,14−ジヒドロキシ−4,5α−エポキシ−6’−(4−クロロフェニル)ピリダジノ[3’,4’:6,7]モルヒナン(19)>
塩酸ナルトレクソン(0.378g、1.0mmol)を4−(クロロフェニル)グリオキサール(0.746g、4mmol)と反応させ、その後上記18の調製方法と同様にヒドラジン水和物(0.124g、2.47mmol)と反応させて、19を得る。収率0.07g(14%)。
【0096】
融点172〜174℃;TLC,R0.47(CHCl−MeOH,95:5);H NMR(CDCl)δ 0.13−0.22及び0.55−0.63(2m,4H,cyclopropyl CHCH),0.83−0.95(m,1H,cyclopropyl CH),1.86−1.93(m,1H,C−15 H),2.36−2.52(m,4H,C−15 H,C−16 H,及びNCH−cyclopropyl),2.64−2.81(m,4H,C−8 H,C−16 H,C−10H),3.15(d,1H,J=18.6Hz,C−10 H),3.3(d,1H,J=6.6Hz,C−9 H),3.6−5.8(broad hump,2H,C−3 OH,C−14 OH),5.84(s,1H,C−5 H),6.59(d,1H,J=8.13Hz,C−2 H),6.68(d,1H,J=8.1Hz,C−1 H),7.44−7.47(m,3H,C−3’’ H,C−5’’ H,C−4’H),7.93−7.96(m,2H,C−2’’ H,C−6’’ H);ESI MS m/z 488(MH).Anal.(C2826ClN・0.5CHCl)C,H,N.
【実施例15】
【0097】
<6,7−ジデヒドロ−4,5α−エポキシ−3−ヒドロキシ−17−メチル−6’−フェニルピリダジノ[3’,4’:6,7]モルヒナン(20)>
塩酸ヒドロモルホン(0.50g,1.56mmol)をフェニルグリオキサール(0.988g,7.37mmol)と反応させ、その後上記18の調製方法と同様にヒドラジン水和物(0.195g,3.4mmol)と反応させて、20を得る。収率0.16g(26%)。
【0098】
融点204〜206℃;TLC,R0.47(CHCl−MeOH 85:15);H NMR(DMSO−d)δ 1.72−1.79(m,1H,C−15 H),2.00−2.52(m,6H,C−8 H,C−15 H,C−16 H,C−14 H),2.33(s,3H,N−CH),2.67(dd,1H,J=16.6及び16.7Hz,C−10 H),2.96(d,1H,J=18.5Hz,C−10H),3.12−3.18(m,1H,C−9 H),5.75(s,1H,C−5 H),6.52−6.58(m,2H,C−1 H,C−2 H),7.40−7.45(m,3H,C−3’’H,C−5’’ H,C−4’’ H),7.75(s,1H,C−4’ H),7.91−7.95(m,2H,C−2’’ H,C−6’’ H),9.07(s,1H,C−3 OH);ESI MS m/z 398(MH).Anal.(C2523・0.75 HO)C,H,N.
【実施例16】
【0099】
<6,7−ジデヒドロ−4,5α−エポキシ−3−ヒドロキシ−17−メチル−6’−(4−クロロフェニル)ピリダジノ[3’,4’:6,7]モルヒナン(21)>
塩酸ヒドロモルホン(1.0g,3.1mmol)を4−(クロロフェニル)グリオキサール(2.32g,12.43mmol)と反応させ、その後上記18の調製方法と同様にヒドラジン水和物(0.232g,4.65mmol)と反応させて、30を得る。収率0.195g(15%)。
【0100】
融点178〜180℃;TLC,R0.39(CHCl−MeOH 9:1);H NMR(CDCl)δ 1.73−1.82(m,1H,C−15 H),2.00−2.61(m,6H,C−8 H,C−14 H,C−15 H,C−16 H),2.33(s,3H,N−CH),2.61−2.76(dd,1H,J=15.8及び16.7Hz,C−10 H),2.94−3.04(d,1H,J=18.7Hz,C−10 H)3.12−3.2(m,1H,C−9 H),5.74(s,1H,C−5 H),6.51−6.58(m,2H,C−1 H,C−2 H),7.58−7.65(m,2H,C−3’’H,C−5 ’’H),7.92(s,1H,C−4’ H),8.08−8.16(m,2H,C−2’’ H,C−6’’H),9.06(s,1H,C−3 OH);ESI MS m/z 432(MH).Anal.(C2522ClN・HO)C,H,N.
【0101】
<<生物学>>
<オピオイド受容体の結合>
目標化合物のオピオイドδ及びμ受容体結合親和性を、[H]DADLE(Rothmanら,LY 164929:A Highly Selective Ligand for the Lower Afinity [H]D−Ala−D−Leu−Enkephalin Binding Sites.Neuropeptides 1988,11,13−16を参照)及び[H]DAMGO(Rothmanら,RTI−4614−4:An Analog of(+)−cis−3−Methylfentanyl with a 27,000−fold Binding Selectivity for Mu Versus Delta Opioid Binding Sites.Life Sci.1991,48,PL111−PL116を参照)のラット脳膜結合の阻害によって測定する。100nMのDAMGOにより[H]DADLEのμ受容体への結合を封鎖した。上記化合物のκ受容体親和性を、以前に報告された方法(Ananthanらの上記文献(I)及び(II);Ananthanら.Synthesis,Opioid Receptor Binding,and Bioassay of Naltrindole Analogues Substituted in the Indolic Benezene Moiety.J.Med.Chem.1998,41,2872−2881を参照)を使用して、[H]U69,593(Rothmanら.Interaction of Endogenous Opioid Peptides and Other Drugs with Four Kappa Opioid Binding Sites in Guinea Pig Brain.Peptides 1990,11,311−331を参照)のモルモット脳膜結合の阻害によって測定する。目標化合物7a〜lについてのδ、μ及びκオピオイド受容体の結合親和性及び結合選択率を表1中に示す。対応する目標のフェノール酸の中間体としてフェノールメチルエーテル化合物7m〜qを調製する。これらメチルエーテルについても結合親和性を評価した。これらエーテルについての親和性データ、及び、先の化合物2a〜cについて上述したデータを表1中に示す。
【0102】
H]DAMGO(1〜3nM)及びラット脳膜(Rothmanらの上記文献(II)を参照)を使用し、上述の方法にいくつかの改変を加えてMu結合部位を標識する。凍結ラット脳を部分解凍し、氷冷10mM Tris−HCl(pH7.0)(10mL/脳)中でポリトロン(polytron)によりホモジナイズしたものを使用して、ラット膜を毎日調製する。その後、膜を30000gで10分間二回遠心分離する。遠心分離後は毎回、氷冷バッファー中に再度懸濁する。二回目の遠心分離の後、25℃の50mM Tris−HCl(pH7.4)(50mL/脳))中に膜を再度懸濁する。50mM Tris−HCl(pH7.4)中でプロテアーゼ阻害剤カクテル(PIC)と共に25℃で2時間インキュベートした。レバロルファン20μMを使用して非特異的結合を測定した。[H]DADLE(2nM)及びラット脳膜(Rothmanらの上記文献(III)を参照)を使用し、上述の方法にいくつかの改変を加えてδ結合部位を標識する。凍結ラット脳を部分解凍し、氷冷10mM Tris−HCl(pH7.0)(10mL/脳)中でポリトロンによりホモジナイズしたものを使用して、ラット膜を毎日調製する。その後、膜を30000gで10分間二回遠心分離する。遠心分離後は毎回、氷冷バッファー中に再度懸濁する。二回目の遠心分離の後、25℃の50mM Tris−HCl(pH7.4)(50mL/脳))中に膜を再度懸濁する。100mM塩化コリン、3mM MnCl、μ位への結合を封鎖する100nM DAMGO、及び、PICを含む50mM Tris−HCl(pH7.4)中で25℃で2時間インキュベートした。レバロルファン20μMを使用して非特異的結合を測定する。[H]U69,593(2nM)を使用し、上述の方法にいくつかの改変を加えてκ結合部位を標識した。部分解凍したモルモット脳を氷冷10mMTris−HCl(pH7.0)(10mL/脳)中でポリトロンによりホモジナイズしたものを使用して、モルモット脳膜を毎日調製した。その後、膜を30000gで10分間二回遠心分離した。遠心分離後は毎回、氷冷バッファー中に再度懸濁した。二回目の遠心分離の後、25℃の50mM Tris−HCl(pH7.4)(75mL/脳))中に膜を再度懸濁する。1μg/mLカプトプリル及びPICを含む50mM Tris−HCl(pH7.4)中で25℃で2時間インキュベートした。U69,593を1μM使用して非特異的結合を測定する。8〜10とおりの濃度の試験薬でHリガンドをそれぞれ二回ずつ置き換える。10%DMSO含有10mM Trisバッファー(pH7.4)中に上記試験薬を溶解して1mM溶液とし、その後に希釈する。薬の希釈は全て、ウシ血清アルブミン1mg/mL含有10mM Tris−HCl(pH7.4)中で実施する。洗浄は全て、氷冷10mM Tris−HCl(pH7.4)中で実施する。
【0103】
<[35S]GTP−γ−S結合アッセイ>
全ての化合物(濃度10μM)について、in vitroにおけるμ、δ及びκ受容体に対するアゴニスト活性及びアンタゴニスト活性のスクリーニングを、モルモット尾状膜[35S]GTP−γ−S結合アッセイにより先に報告された方法で実施する(Thomasら(I),Optically Pure (−)−4−[(N−Allyl−3−methyl−4−piperidinyl)phenyl−amino]−N,N−diethylbenzamide Displays Selective Binding and Full Agonist Activity for the Delta Opioid Receptor.Bioorg.Med.Chem.Lett.1999,9,3347−3350;Thomasら(II),Identification of an Opioid κ Receptor Subtype−Selective N−Substituent for (+)−(3R,4R)−Dimethyl−4−(3−hydroxyphenyl)piperidine.J.Med.Chem.1998,41,5188−5197;Partillaら,Opioid Peptide Receptor Studies.13.Characterization of Opioid Antagonists With the [35S]GTP−γ−S Binding Assay.Analgesia,1999,4,27−32を参照)。
【0104】
研究対象受容体以外の受容体を封鎖するための選択的アンタゴニスト(固定濃度)が存在しない場合及び存在する場合において、各化合物による[35S]GTP−γ−S結合の刺激を測定し、アゴニスト活性を試験する。次の選択的アンタゴニストリガンドを使用する:μ受容体を封鎖するためにCTAP(2μM)、δ受容体を封鎖するためにTIPP(1μM)及びκ受容体を封鎖するためにnor−BNI(6nM)(Thomasらの上記文献(I)を参照)。選択的アゴニスト(10μM)による[35S]GTP−γ−S結合の刺激を試験化合物が阻害する能力の測定によって、各化合物のアンタゴニスト特性を決定した。δ受容体を阻害するためにSNC−80、μ受容体を阻害するためにDAMGO及びκ受容体を阻害するためにU69,593(Thomasらの上記文献(II)及びPartillaらの上記文献を参照)。濃度−反応曲線を使用し、結合K値(表1)並びに初期[35S]GTP−γ−S結合アッセイにおけるアゴニスト活性及びアンタゴニスト活性の特性に基づいて化合物を選択し、より詳細な研究に供する。各化合物のアゴニスト効力を、標準アゴニストによる刺激と比較した刺激率として表す。結果を表2中に示す。
【0105】
35S]GTP−γ−S結合アッセイは先に報告された方法(Thomasら(II))によって実施した。モルモット尾状膜(1.67mM DTT及び0.15%BSAを含む50mM Tris−HCl(pH7.4)300μL中にタンパク質10〜20μg)を、50mM Tris−HCl(pH7.4)、100mM NaCl、10mM MgCl、1mM EDTA、100μM GDP、0.1%BSA、0.05〜0.01nM[35S]GTP−γ−S及び様々な濃度の薬剤を含む反応バッファー200μLを満たした96ウェルポリスチレンプレートに添加する。反応混合物を22℃で3時間インキュベートした(平衡)。氷冷Tris−HCl(pH7.4、4℃)0.5mLの添加により反応を停止させ、その後、あらかじめ氷冷Tris−HCl(pH7.4、4℃)に浸漬したワットマンGF/Bフィルタにより急速吸引ろ過を実施する。氷冷HO(4℃)0.5mLでフィルタを二回洗浄する。液体シンチレーション分光器により効率98%で結合放射能を計数した。10μM GTP−γ−Sの存在下で非特異的結合を測定する。
【0106】
一回目のスクリーニング実験において、選択的アンタゴニスト(6000nM CTAP、6nM nor−BNI又は20nM NTI又は500nM TIPP)及び選択的アゴニスト(10μM SNC80、10μM DAMGO又は10μM U69,593)が存在しない場合及び存在する場合において各試験薬(濃度10μM)を試験し、そのアゴニスト活性及びアンタゴニスト活性を測定する。顕著なアゴニスト活性を示す化合物について更にその特徴を調べる。この場合、次の「封鎖」濃度(Thomasらの上記文献(I))の選択的アンタゴニストの存在下でアゴニスト用量反応曲線(データ点:10点)を作成する;μ受容体(1000nM TIPP、6nM nor−BNI)、δ受容体(2000nM CTAP、6nM nor−BNI)及びκ受容体(1000nM TIPP、2000nM CTAP)。各曲線について、標準アゴニスト(DAMGO、U69,593又はSNC80)の濃度は10μMである。データは、標準アゴニストによる刺激と比較した刺激率として表す。別記されるように(Thomasらの上記文献(II)及びPartillaらの上記文献)、顕著なアンタゴニスト活性を示す化合物について完全な用量反応曲線により更に評価し、10μM DAMGO、10μM SNC80又は10μM U69,593を使用したアゴニスト刺激性[35S]−GTP−γ−S結合の阻害のK相関値を決定する。
【0107】
<データ分析>
オピオイド結合アッセイについては別個の実験二回分、[35S]−GTP−γ−Sアッセイについては実験三回分のデータをプールし、非線形最小二乗法曲線適合プログラムMLAB−PC(Civilized Software社、メリーランド州ベセズダ)を2パラメータロジスティック方程式(Rodbardら,Statistical Characterization of the Random Errors in the Radioimmunoassay Dose−Response Variable.Clin.Chem.1976,22,350−358)に対して使用し、IC50及び傾斜因子の最適評価により適合化を実施する。その後、下記式によりK値を計算した:K=IC50/(1+[L]/K)。
【0108】
<平滑筋標本におけるバイオアッセイ>
マウス精管(MVD)及びモルモット回腸(GPI)平滑筋標本について、選択したリガンドの機能活性特性を先に報告された方法で測定する(Kramerら,In vitro Potency,Affinity and Agonist Efficacy of Highly Selective Delta Opioid Receptor Ligands.J.Pharmacol.Exp.Ther.1993,266,577−584;及び、Porrecaら,Opioid Agonist Affinity in the Guinea−pig Ileum and Mouse Vas Deferens.Eur.J.Pharmacol.1990,179,129−139を参照)。
【0109】
各化合物のGPI及びMVD電気刺激性収縮阻害能によりアゴニスト活性を測定する。GPIは主にμ受容体標本であるが、回腸はκ受容体も含む。MVDにおいては、オピオイドの効果は主にδ受容体により媒介されるが、この組織内にはμ及びκ受容体も存在する。筋肉標本を試験化合物と共にあらかじめ30分間インキュベートした後バッファーで洗浄して、MVD中においては標準δアゴニストDPDPEと共に、またGPI中においてはμアゴニストPL−017と共に試験することにより、アンタゴニスト活性試験を実施した。試験化合物のアンタゴニスト力価及びアゴニスト力価を表3中に示す。
【0110】
マウス精管平滑筋及びモルモット回腸縦走筋筋層間神経叢の一片の電気誘導性収縮により実施する。組織は体重25〜40gの雄ICRマウス及び体重250〜500gの雄Hartleyモルモットから採取する。組織を縫合絹糸で金鎖に縛りつけ、37℃の酸素化(95%O、5%CO)したクレブス重炭酸塩溶液(MVDについてはマグネシウム非含有)を含む浴(20mL)中に懸濁し、15分間平衡化させる。その後、張力が1g(MVDについては0.5g)となるようにあらかじめ測定した好適な長さに組織を伸ばし、15分間平衡化させる。白金ワイヤー電極間において0.1Hzでパルスを0.4ミリ秒(MVDについては2ミリ秒)かけて超最大電圧で組織の貫壁刺激を実施する。組織における結果を確認して各組織をコントロールとしてそれぞれ使用可能とするため、DPDPE又はPL−017の初期用量反応曲線を各アッセイ開始時に作成する。特有の効果を有さない組織は使用しない。実験化合物を容量14〜60μLで浴中に添加した。アゴニストを3分間隔で浴中に次々と累積的に添加して、濃度−反応曲線を作成する。その後、収縮の高さが最初の値と等しくなるまで、新しいバッファーで組織を徹底的に洗浄する。各化合物の1μMにおけるアゴニスト効果を、浴中に入れて10分後の収縮の高さの阻害率として測定する。各化合物1μMと共に浴中で組織を30分間インキュベートした後に、DPDPE及びPL−017についてのアンタゴニスト効果をアッセイする。その後、組織を新しいバッファーで30分間洗浄し、アゴニスト用量反応曲線を再度作成した。用量反応曲線における拮抗IC50値を非拮抗IC50値で割ることによって、用量反応曲線における正確な変化を計算する。IC50値は、組織2〜4つの平均値を表す。IC50推定値及びその標準誤差をコンピューター化非線形最小二乗法により測定する(MINSQ Least Squares Parameter Estimation,version 3.05;MicroMath Inc.,1999)。
【0111】
<鎮痛性試験及び耐性発達評価>
上述の55℃におけるマウスのテールフリック法(Wellsらの上記文献を参照)によって、選択したリガンドの鎮痛活性を試験する。試験化合物を脳室内(icv)経路で投与する。各化合物の鎮痛効果を評価して表4中に示す。十分な痛覚抑制効果を生じ、かつ、毒性が最小限又は無毒性の化合物について、A50値を計算する。A50値を計算できない可能性のある化合物については、投与量に対する痛覚抑制率を表中に示す。ナロキソン前処置による痛覚抑制活性の封鎖によって、試験化合物の鎮痛活性がオピオイド受容体媒介性であるか否かを決定する。痛覚抑制反応の減少が80%を超えた場合に、鎮痛活性はナロキソン感受性であると考えられた。また、μ選択的アンタゴニストβ−FNA(19nmol、icv、−24時間)で前処置したマウスにおいて、選択した化合物の痛覚抑制を試験する。
【0112】
<痛覚抑制研究>
全ての評価において雄ICRマウス(Harlan社)を使用する。温度及び湿度を制御した明暗サイクル12時間の飼育器内にマウスを収容し、正式な実験の実施まで餌及び水を自由に摂取させる。モルヒネ又は試験化合物を、投与量を段階的に変えて、軽いエーテル麻酔下で脳室内(icv)に注射する(Wellsらの上記文献)。硫酸モルヒネは、蒸留水に溶解したものを5μL注射する。7hは、その二塩酸塩の水溶液を5μL注射する。他の化合物はいずれも、100%DMSOに溶解したものを5μL注射する。注射後、痛覚抑制アッセイを回数を変えて実施する。
【0113】
<テールフリックアッセイ>
上記55℃テールフリック法において、未投薬マウスをベースラインとする(Wellsらの上記文献、及び、Bilskyら,Competitive and Noncompetitive NMDA Antagonists Block the Development of Antinociceptive Tolerance to Morphine,but Not to Selective μ or δ Opioid Agonists in Mice.Pain 1996,68,229−237)。
【0114】
モルヒネ又は試験化合物の各投与量をicv注射し、注射して10、20、30、45、60、80、120及び180分後に痛覚抑制を評価する。下記式により痛覚抑制率を計算する:%MPE(最大可能効力)=100×(試験値−コントロール値)/(休止値−コントロール値)(式中、「コントロール」は投薬前に観察した値であり、「試験」は投薬後に観察した値であり、「休止」は最長刺激可能時間(55℃テールフリック法については10秒間)である)。痛覚抑制A50値及び95%信頼区間を線形回帰ソフトウェア(Flash Calc社)により決定する。ナロキソン(10mg/kg(ip)、−10分間)前処置後に約A90量の試験化合物を動物にicv注射することによって、試験化合物のオピオイド活性を評価する。化合物が十分なアゴニスト効果を示さない場合、最大痛覚抑制効果を示す投与量を投与する。55℃テールフリック法で10、20及び30分後に痛覚抑制を評価する。アゴニストの痛覚抑制効果が80%より多く減少した場合に、ナロキソン固定投与量に対する陽性反応とする。
【0115】
<耐性投薬計画>
約A90量のモルヒネ又はA90量の7hをマウスに毎日二回(午前8時及び午後8時)三日間注射する。テールフリックアッセイにおける痛覚抑制用量反応曲線を、四日目の朝に上記に概説した方法で作成する。
【0116】
【化6】

【0117】
表1:げっ歯類脳膜中のオピオイドδ、μ及びκ受容体に対するピリドモルヒナン類の結合親和性
【0118】
【表1】

【0119】
:ラット脳膜中における、□位への結合を封鎖するためのDAMGO(100nM)による[H]DADLE(1.3〜2.0nM)の置換、
:ラット脳膜中における[H]DAMGO(1.4〜3.0nM)の置換、
:モルモット脳膜中における[H]U69,593(1.2〜2.2nM)の置換、
:Ananthanら(I)のデータ。
【0120】
表2:モルモット尾状膜の[35S]GTP−γ−S結合アッセイにおける選択した化合物のアンタゴニスト機能活性及びアゴニスト機能活性
【0121】
【表2】

【0122】
:δ受容体の選択的アゴニストとしてSNC−80(10μM)を使用した、
:μ受容体の選択的アゴニストとしてDAMGO(10μM)を使用した、
:κ受容体の選択的アゴニストとしてU69,593(10μM)を使用した、
:μ及びκ位をアンタゴニストCTAP(2μM)及びnor−BNI(6nM)で封鎖した、
:δ及びκ位をアンタゴニスTIPP(1μM)及びnor−BNI(6nM)で封鎖した、
:δ及びμ位をTIPP(1μM)及びCTAP(2μM)で封鎖した、
:アゴニスト活性がない、
:IC50値;アゴニスト刺激性[35S]GTP−γ−S結合の部分的阻害によりK値計算不可能、
:アゴニスト活性によりK値計算不可能、
:na=該当なし。
【0123】
表3:マウス精管(MVD)及びモルモット回腸(GPI)平滑筋アッセイにおける、選択した化合物のアンタゴニスト機能活性及びアゴニスト機能活性
【0124】
【表3】

【0125】
:δ受容体に対するアゴニストリガンドとしてDPDPEを使用し測定、
:μ受容体に対するアゴニストリガンドとしてPL−017を使用し測定、
:部分アゴニスト活性を濃度1μMでの収縮阻害率として表す、
:アゴニスト効果にはアンタゴニスト効果の測定が除外されている、
:Ananthanら(I)のデータ。
【0126】
表4:マウステールフリックアッセイにおける選択したリガンドの鎮痛活性
【0127】
【表4】

【0128】
:薬効ピーク時におけるA50計算値の化合物をicv投与、
:ナロキソン固定投与量に対して痛覚抑制効果の減少が80%を超える化合物をナロキソン感受性「有」とする、
:95%信頼水準を計算不可能、
:ND=非測定、
:投与量100〜600nmolによるMPEが40%未満、
:投与量300nmol及び600nmolによるMPEが10%未満。
【0129】
<試験結果>
目標化合物7a〜lの親和性試験から、7b以外のリガンドはいずれもδ位結合親和性がK<10nMと高くδ選択的であり、かつ、δ位結合能がμ及びκ位親和性よりも高いことが分かる。化合物7b及び7fはいずれもオキシモルホン及びヒドロモルホン中に存在するモルヒナン基本単位を有し、縮合ピリジン環上に置換基を一つも持たない。これら二種の化合物のμ及びδ受容体に対する結合特性は、比較的非選択的である(7bについてKμ/Kδ=0.4、7fについてKμ/Kδ=2.0)。これらのκ位親和性はδ及びμ位親和性よりも著しく低い。これらの鋳型二種の5’位にフェニル基を導入することにより化合物7c及び7gが得られ、これらのδ位親和性は親化合物と比較して4〜6倍である。フェニル置換類似体のδ位結合親和性の改善に伴ってμ及びκ位親和性が減少し、このためにこれら化合物のδ選択特性が増大する。これより、ピリドモルヒナン鋳型の5’位のアリール基がδ受容体結合部位において好適に作用し、μ及びκ受容体に対する不利な相互作用が妨げられることが明らかである。7c又は7g中の自由に回転するフェニル環のp位に塩素又は臭素置換基を導入すると、δ位結合親和性が多少減少する。ジクロロフェニル化合物の異性体二種7j及び7kのうち、2,4−ジクロロフェニル化合物7kは3,4−ジクロロフェニル化合物より高い親和性でδ位に結合する。フェノール化合物7a〜lのうち、2,4−ジクロロフェニル化合物7kはδ受容体結合親和性が最も高く(K=1.1nM)、δ受容体結合選択性が最も高い(選択率μ/δ及びκ/δがそれぞれ88及び366)。
【0130】
N−CPM基を有する化合物(2a〜c)とN−メチル基を有する化合物(7b〜d)との親和性の比較により、CPM基をメチル基で置換すると一般的に三種の受容体全てに対する親和性が減少することが示される。κ位親和性の減少幅は、δ又はμ位結合親和性の減少幅より比較的大きい。N−CPM化合物2cと比較してN−アリル類似体7aのδ、μ及びκ受容体親和性も減少し、その親和性の減少幅はδ位(4倍)及びκ位(4倍)に対するものよりμ位(9倍)に対するものの方が大きい。7b〜eと7f〜hの親和性の比較及び2cと7lの親和性の比較から、14位水酸基を水素原子で置換するとδ又はμ位親和性が多少変化する(親和性の変化は3倍未満)ことが分かる。しかし、κ位において、デオキシ化合物は14位水酸基相当物より3〜6倍高い親和性を示す。オピオイド受容体に高い親和性で結合するためには遊離のフェノール性水酸基の存在が不可欠であると通常考えられる。フェノールメチルエーテルの親和性は、三つの結合部位のいずれにおいても、対応するフェノール化合物より一般的に低い。δ位親和性の減少幅は、μ位(8〜41倍)及びκ位(17〜>300倍)に対する親和性の減少幅よりも顕著に小さい(5〜16倍)。
【0131】
35S]GTP−γ−Sアッセイ中において機能活性データにより示すように(表2)、本発明において試験した大部分の被験化合物は一般的に所望のμアゴニスト/δアンタゴニスト活性特性を示した。δ受容体に対するアンタゴニストアッセイにおいて、化合物7c、7i及び7jはδ受容体に対してアゴニスト効果を全く有さないが、これらのリガンド濃度を増加させてもSNC−80刺激性[35S]GTP−γ−S結合を100%は阻害しない。7c、7i及び7jの示す最大阻害率はそれぞれ61±3%、69±3%及び58±3%である。κアゴニスト活性のない7jについてもκ受容体に対して同様の部分阻害特性(最大阻害66±6%)が観察される。これらリガンドが示す部分阻害特性を、7jについての濃度反応曲線によって図1中に例証する。これら化合物については、K値の代わりにIC50計算値を表2中に示す。
【0132】
試験した化合物のうち、二種の化合物7d及び7lのみがμ受容体に対してアゴニスト活性を示さなかった。化合物7lは2cの14位デオキシ類似体であり、17位にN−CPM基を有する。N−メチル基を有する他の全てのリガンドは様々な力価のアゴニスト活性を示すが、このことはμ受容体結合親和性が低い7dには当てはまらない。μアゴニスト活性を示すリガンドのうち、モルヒネ(288nM)及びDAMGO(414nM)のEC50値に匹敵するEC50値(225nM)を有する化合物7kが最も強力である。アゴニストリガンドの力価は7k>7f>7c>7h>7g>7j>7b>7iの順であり、また、これらリガンドのμ受容体に対するアゴニスト力価と結合力価との間には厳密な相関性はないようである。これらリガンドのアゴニスト効力は最大刺激率(Emax)の値で示し、27%(7c)〜60%(7g)の範囲である。これらリガンドのうち7c以外はいずれもモルヒネ(Emax=32%)より効果が高くDAMGO(Emax=100%)より効果が低い。アンタゴニスト活性については、N−CPM化合物7lは三種の受容体全てに対して顕著なアンタゴニスト力価を示す。調べたN−メチル化合物はいずれもμ及びκ受容体に対するアンタゴニスト活性を有さない、又は、弱い活性を有する。しかし興味深いことには、これらの化合物の大部分はδ受容体に対してある程度のアンタゴニスト力価を示す。4−クロロフェニル置換基を有するピリドモルヒナン類7d及び7hは、N−CPM化合物2cのN−メチル類似体である。2cのδアンタゴニストK値は0.184nMであるが、これら二種の化合物7d及び7hのK値はそれぞれ17nM及び10.95nMである。従って、N−CPM基をメチル基で置き換えるとδアンタゴニスト力価が顕著に減少するが、これらのリガンドのδ受容体に対する固有のアンタゴニスト特性は変化しない。興味深いことには、7hのクロロフェニル環のm位に第二の塩素原子を導入(化合物7j)してもδ受容体に対する結合親和性又はアンタゴニスト力価は顕著に変化しないが、o位に塩素原子を導入(化合物7k)すると、δ受容体に対して結合親和性が4倍、アンタゴニスト力価が10倍増大する。試験したリガンドのうち、2,4−ジクロロフェニル化合物7kは最も強力なδアンタゴニストであるだけでなく最も強力なμアゴニストでもあるため、in vitroにおいて最も良好なμアゴニスト/δアンタゴニスト複合リガンドである。7hの特性は7kと類似するが、in vitroにおいてδ及びμ受容体のいずれに対してもアンタゴニスト力価及びアゴニスト力価が多少弱い。δアンタゴニストのうちいくつか(7b、7c、7f、7g)は、結合K値(表1)と対応するK相関値(表2)との間に顕著な相違がある。
【0133】
平滑筋アッセイにおいて選択した化合物の機能的活性についての結果(表3)は、[35S]GTP−γ−Sアッセイで得られた同結果に多少類似する。μ位に対する[35S]GTP−γ−Sアッセイでアゴニスト活性を示すリガンドはいずれも、GPIでもアゴニスト活性を示す。顕著な例外の一つは7lの活性であり、7lは、GPIにおいて強力なアゴニストである(IC50=108nM)が、μ位に対する[35S]GTP−γ−Sアッセイにおいてアンタゴニストであることが分かった。[35S]GTP−γ−Sアッセイにおいてはいずれの化合物もδ位に対して顕著なアゴニスト活性を示さないが、化合物7c、7f、7g、7h及び7jはMVD平滑筋標本においてアゴニスト活性を示す。MVDにおいてこれら化合物が示すアゴニスト活性は、μ受容体に対するそのアゴニスト効果による可能性がある。一試験例において、MVDにおける7fのアゴニスト活性は非選択的アンタゴニストであるナロキソンによって封鎖されるがδ選択的アンタゴニストであるICI−174,864によっては封鎖されないことが分かった。試験した化合物のうち、7d、7h、7i、7k及び7lのδアンタゴニストK値をMVDにおいて測定できた。これら化合物のアンタゴニストK値は5nM(7k)〜38nM(7d)の範囲である。[35S]GTP−γ−S及び平滑筋アッセイ系の両方においてin vitroでのμアゴニスト/δアンタゴニスト活性特性を示した化合物は、7h及び7kの二種であった。
【0134】
構造と活性との関連が観察されたことから、4,5−エポキシモルヒナンの6,7位でピリジン環が融合することによって、δ受容体結合親和性が増大してμ受容体結合親和性が減少し、このために鋳型のδ及びμ受容体結合がほぼ等しくなるという効果があることが示唆される。モルヒナン窒素上のアルキル置換基の性質(CPM及びメチル基のいずれであるか)に関わらず、これらピリドモルヒナン類はアンタゴニストとしてδ受容体と相互作用する傾向を基本的に有するようである。しかし、これらのμ受容体に対する機能活性はN−アルキル置換基の性質に支配されるようである、すなわち、CPM基を有するものはアンタゴニストとして相互作用し、N−メチル基を有するものはアゴニストとして相互作用するようである。特にピリジン環の5’位に適切な置換基を導入すると、ピリドモルヒナン類の結合活性及び機能活性が更に変化する可能性がある。
【0135】
in vitro機能アッセイにおいて評価した化合物全てについて、テールフリック法によりマウスにおける痛覚抑制活性を評価する(表4)。試験した化合物のうち、三種の化合物7b、7h及び7iのみについて痛覚抑制A50値を測定可能であった。他の化合物についてA50値を測定しない要因には次が含まれる:効力の不足(7c、7j、7k及び7l)、力価の不足(7d)、ナロキソンに対する感受性の不足(7f)及び毒性(7g)。本発明において調べた化合物はいずれも、テールフリック法において上記化合物2cより効果が高いことが分かった。in vitro機能評価から、化合物7k及び7hは、対象のリガンドであるμアゴニスト/δアンタゴニスト複合体であることが確認される。これらのリガンド二種について、in vitroにおける7kのδアンタゴニスト/μアゴニスト特性は7hのものより良好である。しかし、痛覚抑制評価においては、化合物7kは7hよりも効果が低いことが分かる。化合物7hは、マウスのテールフリックアッセイにおいてA50力価が21.9nMであり、完全アゴニスト効力を示す(図2)。この化合物の痛覚抑制活性はμ選択的アンタゴニストβ−FNAによって完全に封鎖され(図3)、このことによって、この化合物の鎮痛活性はオピオイドμ受容体によって実際に媒介されることが確認される。これらの試験から、ピリドモルヒナン7hは、in vitro及びin vivoにおいてμアゴニスト活性/δアンタゴニスト活性の両方を有するリガンドであることが明らかである。この化合物は、三日間の複数回注射を含む耐性発達アッセイ試験において痛覚抑制力価がほとんど変化せず(A50値の増大幅は1.1倍未満)、このことから耐性はほとんど発達しないことが示される。この結果はモルヒネとは対照的である、というのは、モルヒネは同実例においてA50値が6.4倍と顕著に変化し、このことから鎮痛効果に対する耐性の発達が示唆されたからである(図4)。この非ペプチドμアゴニスト/δアンタゴニストリガンド7hの耐性欠如が示されたことから、μアゴニスト特性/δアンタゴニスト特性の両方を有するリガンドは、モルヒネ等のμアゴニスト単一活性を有する鎮痛剤が一般的に示す耐性及び依存症の発達を伴わない治療上有用な鎮痛剤となる可能性があるという仮説が裏付けられる。
【0136】
オキシモルホン及びヒドロモルホン骨格上へのピリジン環の融合によって、μ及びδ受容体に対してほぼ等しい親和性で結合し、かつ、κ受容体親和性が非常に低いピリドモルヒナンを得る。これらのピリドモルヒナン骨格の5’位へのアリール置換基の導入により、μ受容体に対するアゴニスト活性が保持されたままδ受容体に対する親和性及びアンタゴニスト力価が一般的に改善され、これによってμアゴニスト/δアンタゴニスト複合リガンドが導かれる。マウスのテールフリック法による7hの痛覚抑制評価から、この化合物は複数回投与により痛覚抑制効果を生じるが鎮痛耐性は誘導されないことが実証される。
【0137】
投与される本発明の活性化合物の医薬品に許容される有効投与量は、温血動物(哺乳類)の種、体重、年齢及び固体の状態、並びに、投与形態に応じて変わる。
【0138】
上記医薬組成物は、経口経路、非経口経路、坐薬、又は、本発明において使用される他の化合物運搬形態によって、処置する哺乳類の血中へ投与してよい。
【0139】
本発明の化合物は、単一の治療薬として、あるいは、治療薬の組み合わせとして、医薬品に対して使用可能な任意の従来の手段によって投与可能である。上記化合物は単独で投与可能であるが、一般に、選択した投与経路及び標準的な薬学経験に基づいて選択した医薬担体と共に投与可能である。
【0140】
言うまでもなく、投与量は、具体的な薬剤の薬力学的特性、その投与方法及び投与経路;被投与者の年齢、健康状態及び体重;症状の性質及び程度、同時治療の種類;処置頻度;並びに、所望される効果等の既知の要因に応じて変わるであろう。一日の体重1キログラム(kg)当たりの活性成分投与量は約0.001〜1000ミリグラム(mg)、より一般的には0.1〜約30mg/kgであると予測可能である。
【0141】
剤形(投与に好適な組成物)には一般的に、1単位当たり活性成分が約1mg〜約100mg含まれる。これらの医薬組成物中には、活性成分は通常、組成物総重量の約0.5〜95重量%含有されるであろう。
【0142】
上記活性成分は、カプセル、錠剤及び粉末等の固体状、又は、エリキシル剤、シロップ剤及び懸濁液等の液状で経口投与可能である。また上記活性成分は、滅菌液状で非経口的にも投与可能である。上記活性成分は更に、鼻腔内に(点鼻剤)、又は、吸入によっても投与可能である。他の剤形としては、パッチ構造又は軟膏としての経皮的投与等も可能であろう。
【0143】
ゼラチンカプセル中には、活性成分と、ラクトース、デンプン及びセルロース等の粉末状の担体とが含まれる。
【0144】
<カプセル>
粉末状活性成分100mg、ラクトース150mg、セルロース50mg及びステアリン酸マグネシウム6mgを標準的なツーピース式ハードゼラチンカプセル中に充填することにより、カプセル単位を多数調製する。
【0145】
<ソフトゼラチンカプセル>
大豆油、綿実油又はオリーブ油等の消化の容易な油中に活性成分を混合した混合物を調製し、容積移送式ポンプでゼラチン中にこの混合物を注入することにより、活性成分を100mg含むソフトゼラチンカプセルを形成する。カプセルを洗浄して乾燥させる。
【0146】
<錠剤>
一錠あたりの処方量が、活性成分100mg、謬質二酸化ケイ素0.2mg、ステアリン酸マグネシウム5mg、結晶セルロース275mg、デンプン11mg及びラクトース98.9mgとなるように、従来の方法によって多数の錠剤を製造する。嗜好性の改良又は吸収の遅延を目的として、好適なコーティングを施してもよい。
【0147】
先の開示は、請求した発明を当業者が実施するのに不可欠であると考えられる情報を全て含む。
【0148】
本発明の上記説明は、本発明を例証し、本発明の好ましい実施形態を説明するだけのものである。しかし、上述の通り、本発明は種々の他の組み合わせ、変更及び環境において実施及び使用可能であり、本明細書中に記載する発明概念の範囲内で変更又は修正可能であることは、上述の教示及び/又は関連技術分野の当業者のスキル若しくは知識に従えば理解されるはずである。更に上述の実施形態は、本発明を実施する上で知られている最良の形態の説明を意図し、また当業者が本発明を上記の通りに、又は、本発明の具体的な応用又は使用によって要求される種々の修正を伴う他の実施形態において利用できるよう意図したものである。従って、本記載は、本発明を本明細書中に開示された態様に限定することを意図しない。更に添付の請求の範囲は、代替可能な別の実施形態をも含むものとして解釈されるよう意図する。
【0149】
本明細書中に記載する全ての出版物及び特許出願を本明細書中に参照するが、いずれの出版物及び特許出願もそれぞれ個々に示して参照により組み込む。
【0150】
本出願は、2003年8月27日Ananthanら出願の表題「ピリドモルヒナン類及びピリダジノモルヒナン類、並びに、それらの使用」の米国仮出願SN60/497,901の優先権を主張する。その全開示内容を本明細書中に参照する。
【図面の簡単な説明】
【0151】
【図1】SNC−80刺激性[35S]GTP−γ−S結合の7j(チャート1)による阻害を示す濃度反応曲線である。
【図2】55℃テールフリック試験における7h(チャート1)(icv)の痛覚抑制用量−及び時間−反応曲線である。
【図3】前処理(β−FNA、19nmol、icv、−24h)をした場合及びしない場合の、7h(チャート1)(icv)についての痛覚抑制用量−及び時間−反応曲線である。
【図4】未投薬コントロールマウス、及び、モルヒネ又は7h(チャート1)のA90投与量を一日二回三日間複数回icv注射したマウスについての痛覚抑制用量反応曲線である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次式の化合物:
【化1】

(式中、Rは、C1−6アルキル基、C4−6シクロアルキルアルキル基及びC3−6アルケニル基からなる群より選択される;R’はH又はC1−6アルキル基である;XはH又はOHである;Yはアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、アリールアルキル基及びアロイル基からなる群より選択される;ZはCH又はNである;ZがCHかつRがCシクロアルキルアルキル基又はCアルケニル基である場合、XはHである):、そのプロドラッグ及びその医薬品に許容される塩。
【請求項2】
RがC1−6アルキル基である請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
Rがメチル基である請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
XがHである請求項3に記載の化合物。
【請求項5】
XがHである請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
Yがアリール基である請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
17−アリル−6,7−ジデヒドロ−3,14−ジヒドロキシ−4,5α−エポキシ−5’−(4−クロロフェニル)ピリド[2’,3’:6,7]モルヒナン;
6,7−ジデヒドロ−3,14−ジヒドロキシ−4,5α−エポキシ−17−メチルピリド[2’,3’:6,7]モルヒナン;
6,7−ジデヒドロ−4,5α−エポキシ−14−ヒドロキシ−3−メトキシ−17−メチルピリド[2’,3’:6,7]モルヒナン;
6,7−ジデヒドロ−3,14−ジヒドロキシ−4,5α−エポキシ−17−メチル−5’−フェニルピリド[2’,3’:6,7]モルヒナン;
6,7−ジデヒドロ−14−ヒドロキシ−4,5α−エポキシ−3−メトキシル−17−メチル−5’−フェニルピリド[2’,3’:6,7]モルヒナン;
5’−(4−クロロフェニル)−6,7−ジデヒドロ−3,14−ジヒドロキシ−4,5α−エポキシ−17−メチルピリド[2’,3’:6,7]モルヒナン;
5’−(4−クロロフェニル)−6,7−ジデヒドロ−14−ヒドロキシ−4,5α−エポキシ−3−メトキシル−17−メチルピリド[2’,3’:6,7]モルヒナン;
5’−(4−ブロモフェニル)−6,7−ジデヒドロ−3,14−ジヒドロキシ−4,5α−エポキシ−17−メチルピリド[2’,3’:6,7]モルヒナン;
5’−(4−ブロモフェニル)−6,7−ジデヒドロ−3,14−ジヒドロキシ−4,5α−エポキシ−3−メトキシ−17−メチルピリド[2’,3’:6,7]モルヒナン;
6,7−ジデヒドロ−4,5α−エポキシ−3−ヒドロキシ−17−メチルピリド[2’,3’:6,7]モルヒナン;
6,7−ジデヒドロ−4,5α−エポキシ−3−ヒドロキシ−17−メチル−5’−フェニルピリド[2’,3’:6,7]モルヒナン;
5’−(4−クロロフェニル)−6,7−ジデヒドロ−4,5α−エポキシ−3−ヒドロキシ−17−メチルピリド[2’,3’:6,7]モルヒナン;
5’−(4−ブロモフェニル)−6,7−ジデヒドロ−4,5α−エポキシ−3−ヒドロキシ−17−メチルピリド[2’,3’:6,7]モルヒナン;
5’−(3,4−ジクロロフェニル)−6,7−ジデヒドロ−4,5α−エポキシ−3−ヒドロキシ−17−メチルピリド[2’,3’:6,7]モルヒナン;
5’−(2,4−ジクロロフェニル)−6,7−ジデヒドロ−4,5α−エポキシ−3−ヒドロキシ−17−メチルピリド[2’,3’:6,7]モルヒナン;
5’−(4−クロロフェニル)−17−シクロプロピルメチル−6,7−ジデヒドロ−4,5α−エポキシ−3−ヒドロキシピリド[2’,3’:6,7]モルヒナン;
5’−(4−クロロフェニル)−17−シクロプロピルメチル−6,7−ジデヒドロ−4,5α−エポキシ−3−メトキシピリド[2’,3’:6,7]モルヒナン;
5’−(4−クロロフェニル)−17−[(2−シクロヘキシル)エチル]−6,7−ジデヒドロ−4,5α−エポキシ−3−メトキシピリド[2’,3’:6,7]モルヒナン;
5’−(4−クロロフェニル)−17−[(2−シクロヘキシル)エチル]−6,7−ジデヒドロ−4,5α−エポキシ−3−ヒドロキシピリド[2’,3’:6,7]モルヒナン;
5’−シクロヘキシル−17−シクロプロピルメチル−6,7−ジデヒドロ−3,14−ジヒドロキシ−4,5α−エポキシピリド[2’,3’:6,7]モルヒナン;
5’−シクロヘキシル−6,7−ジデヒドロ−4,5α−エポキシ−3−ヒドロキシ−17−メチルピリド[2’,3’:6,7]モルヒナン;
17−アリル−5’−ベンジル−6,7−ジデヒドロ−3,14−ジヒドロキシ−4,5α−エポキシピリド[2’,3’:6,7]モルヒナン;
5’−ベンジル−17−シクロプロピルメチル−6,7−ジデヒドロ−3,14−ジヒドロキシ−4,5α−エポキシピリド[2’,3’:6,7]モルヒナン;
5’−ベンジル−6,7−ジデヒドロ−3,14−ジヒドロキシ−4,5α−エポキシ−17−メチルピリド[2’,3’:6,7]モルヒナン;
17−シクロプロピルメチル−6,7−ジデヒドロ−3,14−ジヒドロキシ−4,5α−エポキシ−5’−(2−ヒドロキシベンゾイル)ピリド[2’,3’:6,7]モルヒナン;
6,7−ジデヒドロ−4,5α−エポキシ−3−ヒドロキシ−5’−(2−ヒドロキシベンゾイル)−17−メチルピリド[2’,3’:6,7]モルヒナン;
17−シクロプロピルメチル−6,7−ジデヒドロ−3,14−ジヒドロキシ−4,5α−エポキシ−6’−フェニルピリダジノ[3’,4’:6,7]モルヒナン;
17−シクロプロピルメチル−6,7−ジデヒドロ−3,14−ジヒドロキシ−4,5α−エポキシ−6’−(4−クロロフェニル)ピリダジノ[3’,4’:6,7]モルヒナン;
6,7−ジデヒドロ−4,5α−エポキシ−3−ヒドロキシ−17−メチル−6’−フェニルピリダジノ[3’,4’:6,7]モルヒナン;
6,7−ジデヒドロ−4,5α−エポキシ−3−ヒドロキシ−17−メチル−6’−(4−クロロフェニル)ピリダジノ[3’,4’:6,7]モルヒナン;
6,7−ジデヒドロ−4,5α−エポキシ−5’−(2−フルオロフェニル)−3−ヒドロキシ−17−メチルピリド[2’,3’:6,7]モルヒナン;
5’−(2−クロロフェニル)−6,7−ジデヒドロ−4,5α−エポキシ−3−ヒドロキシ−17−メチルピリド[2’,3’:6,7]モルヒナン;
5’−(2−ブロモフェニル)−6,7−ジデヒドロ−4,5α−エポキシ−3−ヒドロキシ−17−メチルピリド[2’,3’:6,7]モルヒナン;
6,7−ジデヒドロ−4,5α−エポキシ−3−ヒドロキシ−5’−(2−メチルフェニル)−17−メチルピリド[2’,3’:6,7]モルヒナン;
6,7−ジデヒドロ−4,5α−エポキシ−3−ヒドロキシ−17−メチル−5’−(2−ニトロフェニル)ピリド[2’,3’:6,7]モルヒナン;
5’−(2−アミノフェニル)−6,7−ジデヒドロ−4,5α−エポキシ−3−ヒドロキシ−17−メチルピリド[2’,3’:6,7]モルヒナン;
6,7−ジデヒドロ−4,5α−エポキシ−3−ヒドロキシ−17−メチル−5’−(2−ピリジル)ピリド[2’,3’:6,7]モルヒナン;及び、
6,7−ジデヒドロ−4,5α−エポキシ−3−ヒドロキシ−17−メチル−5’−(4−キノリニル)ピリド[2’,3’:6,7]モルヒナンからなる群より選択される
ことを特徴とする請求項1に記載の化合物。
【請求項8】
5’−(4−クロロフェニル)−6,7−ジデヒドロ−3,14−ジヒドロキシ−4,5α−エポキシ−17−メチルピリド[2’,3’:6,7]モルヒナンである請求項1に記載の化合物。
【請求項9】
少なくとも一種の請求項1に記載の化合物の疼痛治療有効量の患者への投与を含む
ことを特徴とする疼痛患者の治療方法。
【請求項10】
少なくとも一種の請求項1に記載の化合物の免疫修飾有効量の患者への投与を含む
ことを特徴とする免疫修飾剤を要する患者の治療方法。
【請求項11】
少なくとも一種の請求項1に記載の化合物の薬物濫用治療有効量の患者への投与を含む
ことを特徴とする薬物濫用患者の治療方法。
【請求項12】
薬物濫用はコカイン又はメタンフェタミン濫用を含む
ことを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項13】
少なくとも一種の請求項1に記載の化合物の、μアゴニスト耐性又は依存症に対する緩和有効量の患者への投与を含む
ことを特徴とするμ剤依存症又は耐性を有する患者の治療方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2007−504150(P2007−504150A)
【公表日】平成19年3月1日(2007.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−524861(P2006−524861)
【出願日】平成16年8月27日(2004.8.27)
【国際出願番号】PCT/US2004/027802
【国際公開番号】WO2005/020914
【国際公開日】平成17年3月10日(2005.3.10)
【出願人】(501029489)サザン・リサーチ・インスティテュート (5)
【出願人】(506064957)ナショナル インスティテュート オン ドラッグ アビューズ ナショナル インスティテュート オブ ヘルス (1)
【出願人】(506064968)ユニバーシティ オブ ニュー イングランド カレッジ オブ オステオパシック メディスン (1)
【出願人】(506064979)カレッジ オブ メディスン−ザ ユニバーシティ オブ アリゾナ ヘルス サイエンスィズ センター (1)
【Fターム(参考)】