説明

ピロロピリダジン化合物酸付加塩を含有する医薬

【課題】 ピロロピリダジン化合物酸付加塩を含有する医薬を提供する。
【解決手段】 7−(4−フルオロベンジルオキシ)−2,3−ジメチル−1−[(1S,2S)−2−メチルシクロプロピルメチル]ピロロ[2,3−d]ピリダジンの塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、2,4−ジメチルベンゼンスルホン酸塩、2,4,6−トリメチルベンゼンスルホン酸塩、4−エチルベンゼンスルホン酸塩、2−ナフタレンスルホン酸塩、1/2フマル酸塩またはフタル酸塩を有効成分として含有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、優れた胃酸分泌抑制作用および胃粘膜保護作用ならびにヘリコバクター ピロリー(Helicobacter pylori)に対する優れた抗菌作用を有する7−(4−フルオロベンジルオキシ)−2,3−ジメチル−1−[(1S,2S)−2−メチルシクロプロピルメチル]ピロロ[2,3−d]ピリダジンの酸付加塩を有効成分として含有する医薬[特に、潰瘍性疾患の治療剤または予防剤(好適には、治療剤)]に関する。
【背景技術】
【0002】
消化性潰瘍は、胃粘膜に対する攻撃因子と防御因子とのバランスが崩れることにより発生すると言われており、攻撃因子である胃酸の分泌を抑制することは、潰瘍の治療および予防に有用である。これまで、胃酸の分泌を抑制するために有効な薬剤として、抗コリン剤、シメチジン等のヒスタミンH2受容体拮抗剤、オメプラゾール等のプロトンポンプ阻害剤が広く臨床に用いられている。しかしながら、上記薬剤は、優れた潰瘍治療効果を有するものの、使用中断後の潰瘍再発が大きな問題となっている。最近、潰瘍再発とヘリコバクター ピロリー(Helicobacter pylori)との関連が指摘されており、実際に、胃酸分泌抑制剤と抗菌剤の併用による治療が試みられている。
【0003】
従って、攻撃因子である胃酸分泌を強力に抑制するとともに胃粘膜保護作用を有し、且つ、ヘリコバクター ピロリー(Helicobacter pylori)に対する抗菌作用を有する化合物は優れた潰瘍性疾患の治療剤または予防剤として期待される。また、潰瘍性疾患患者の胃内pHは多様であり、患者の病態に応じて胃内pHは変化するため、広いpH域で優れた溶解性を示し、良好な吸収性(好適には、経口吸収性)を有する薬剤が望まれている。
【0004】
胃酸分泌抑制作用および胃粘膜保護作用を有する化合物としていくつかのピロロピリダジン誘導体が知られ(例えば、特許文献1乃至3参照)、また、ヘリコバクター ピロリー(Helicobacter pylori)に対する抗菌作用を併有するピロロピリダジン誘導体も知られている(例えば、特許文献4乃至6参照)。
【0005】
下記特許文献5の欧州特許出願公開第1186607号明細書の実施例1(第11−12頁)には、本発明の医薬の有効成分であるピロロピリダジン化合物酸付加塩のピロロピリダジン化合物部分である下記式(I)を有する7−(4−フルオロベンジルオキシ)−2,3−ジメチル−1−[(1S,2S)−2−メチルシクロプロピルメチル]ピロロ[2,3−d]ピリダジンが記載されている。
【0006】
【化1】



【特許文献1】国際公開第91/17164号パンフレット(第1−2頁)
【特許文献2】国際公開第92/06979号パンフレット(第1−2頁)
【特許文献3】国際公開第93/08190号パンフレット(第1−2頁)
【特許文献4】欧州特許出願公開第0742218号明細書(第4頁)
【特許文献5】欧州特許出願公開第1186607号明細書(第4頁)
【特許文献6】国際公開第01/58901号パンフレット(第2−3頁)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明者等は、攻撃因子である胃酸分泌を強力に抑制し、胃粘膜を保護し、さらにヘリコバクター ピロリー(Helicobacter pylori)に対する優れた抗菌作用を有する抗潰瘍剤の開発を目指して、ピロロピリダジン誘導体の合成とその薬理活性について鋭意研究を行った結果、7−(4−フルオロベンジルオキシ)−2,3−ジメチル−1−[(1S,2S)−2−メチルシクロプロピルメチル]ピロロ[2,3−d]ピリダジンの酸付加塩(特に、p−トルエンスルホン酸塩または1/2フマル酸塩)が、強力な胃酸分泌抑制作用および胃粘膜保護作用ならびにヘリコバクター ピロリー(Helicobacter pylori)に対する優れた抗菌作用を有し、また、広いpH域での優れた溶解性、良好な経口吸収性、高い保存および取り扱い安定性(特に、保存安定性)を有し、体内動態に優れ、毒性が弱いことから、医薬[特に、潰瘍性疾患の治療剤または予防剤、(好適には、治療剤)]として有用であることを見出し、本発明を完成した。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、
(1)7−(4−フルオロベンジルオキシ)−2,3−ジメチル−1−[(1S,2S)−2−メチルシクロプロピルメチル]ピロロ[2,3−d]ピリダジンの塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、2,4−ジメチルベンゼンスルホン酸塩、2,4,6−トリメチルベンゼンスルホン酸塩、4−エチルベンゼンスルホン酸塩、2−ナフタレンスルホン酸塩、1/2フマル酸塩またはフタル酸塩を有効成分として含有する医薬、
(2)7−(4−フルオロベンジルオキシ)−2,3−ジメチル−1−[(1S,2S)−2−メチルシクロプロピルメチル]ピロロ[2,3−d]ピリダジンのp−トルエンスルホン酸塩を有効成分として含有する医薬、
(3)銅のKα2線の照射で得られる粉末X線回折図において、面間隔が18、8.9、5.4、4.6、4.4および3.6オングストロームに主ピークを示す(2)に記載された7−(4−フルオロベンジルオキシ)−2,3−ジメチル−1−[(1S,2S)−2−メチルシクロプロピルメチル]ピロロ[2,3−d]ピリダジンのp−トルエンスルホン酸塩結晶を有効成分として含有する医薬、
(4)7−(4−フルオロベンジルオキシ)−2,3−ジメチル−1−[(1S,2S)−2−メチルシクロプロピルメチル]ピロロ[2,3−d]ピリダジンのp−トルエンスルホン酸塩の水和物を有効成分として含有する医薬、
(5)銅のKα2線の照射で得られる粉末X線回折図において、面間隔が11、4.7、3.7および3.4オングストロームに主ピークを示す(4)に記載された7−(4−フルオロベンジルオキシ)−2,3−ジメチル−1−[(1S,2S)−2−メチルシクロプロピルメチル]ピロロ[2,3−d]ピリダジンのp−トルエンスルホン酸塩の水和物結晶を有効成分として含有する医薬、
(6)7−(4−フルオロベンジルオキシ)−2,3−ジメチル−1−[(1S,2S)−2−メチルシクロプロピルメチル]ピロロ[2,3−d]ピリダジンの1/2フマル酸塩を有効成分として含有する医薬、
(7)銅のKα2線の照射で得られる粉末X線回折図において、面間隔が9.6、8.5、4.4、4.2および4.1オングストロームに主ピークを示す(6)に記載された7−(4−フルオロベンジルオキシ)−2,3−ジメチル−1−[(1S,2S)−2−メチルシクロプロピルメチル]ピロロ[2,3−d]ピリダジンの1/2フマル酸塩結晶を有効成分として含有する医薬、または、
(8)医薬が潰瘍性疾患の治療剤または予防剤である(1)乃至(7)のいずれかに記載された医薬を提供する。
【0009】
本発明の医薬の有効成分である7−(4−フルオロベンジルオキシ)−2,3−ジメチル−1−[(1S,2S)−2−メチルシクロプロピルメチル]ピロロ[2,3−d]ピリダジンの酸付加塩の酸部分は、7−(4−フルオロベンジルオキシ)−2,3−ジメチル−1−[(1S,2S)−2−メチルシクロプロピルメチル]ピロロ[2,3−d]ピリダジンと酸付加塩を形成し得る酸であれば特に限定はなく、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、2,4−ジメチルベンゼンスルホン酸、2,4,6−トリメチルベンゼンスルホン酸、4−エチルベンゼンスルホン酸、2−ナフタレンスルホン酸、フマル酸またはフタル酸であり得、好適には、p−トルエンスルホン酸またはフマル酸であり、より好適には、フマル酸である。
【0010】
本発明の医薬の有効成分である7−(4−フルオロベンジルオキシ)−2,3−ジメチル−1−[(1S,2S)−2−メチルシクロプロピルメチル]ピロロ[2,3−d]ピリダジンの酸付加塩の7−(4−フルオロベンジルオキシ)−2,3−ジメチル−1−[(1S,2S)−2−メチルシクロプロピルメチル]ピロロ[2,3−d]ピリダジン部分は、酸が2または3価である場合、それぞれ1/2または1/3モル(mol)の酸と塩を形成し得、その各々あるいはそれらの混合物のいずれも本発明に包含される。本発明の医薬の有効成分である7−(4−フルオロベンジルオキシ)−2,3−ジメチル−1−[(1S,2S)−2−メチルシクロプロピルメチル]ピロロ[2,3−d]ピリダジンのフマル酸塩は、1フマル酸塩または1/2フマル酸塩であり得、好適には、1/2フマル酸塩である。
【0011】
本発明の医薬の有効成分である7−(4−フルオロベンジルオキシ)−2,3−ジメチル−1−[(1S,2S)−2−メチルシクロプロピルメチル]ピロロ[2,3−d]ピリダジンの酸付加塩は、水和物または溶媒和物として存在することができ、その各々あるいはそれらの混合物のいずれも本発明に包含される。
【0012】
本発明の医薬の有効成分である7−(4−フルオロベンジルオキシ)−2,3−ジメチル−1−[(1S,2S)−2−メチルシクロプロピルメチル]ピロロ[2,3−d]ピリダジンの酸付加塩およびその水和物または溶媒和物は、反応条件および結晶化条件により、複数の異なる内部構造および物理化学的性質を有する結晶(結晶多形)を生成することがあるが、その各々の結晶あるいはそれらの混合物のいずれも本発明に包含される。
【0013】
本発明における結晶は、その内部構造が三次元的に構成原子(またはその集団)の規則正しい繰返しでできている固体をいい、そのような規則正しい内部構造を持たない無定形の固体とは区別される。
【0014】
本発明の医薬の有効成分である7−(4−フルオロベンジルオキシ)−2,3−ジメチル−1−[(1S,2S)−2−メチルシクロプロピルメチル]ピロロ[2,3−d]ピリダジンのp−トルエンスルホン酸塩結晶は、例えば、図1に示されるような、銅のKα2線(波長λ=1.54オングストローム)の照射で得られる粉末X線回折図において、面間隔d=18、8.9、5.4、4.6、4.4および3.6オングストロームに主ピークを示す結晶であり得る。ここで主ピークは、面間隔d=18オングストロームを示すピークの強度を100としたときの相対強度が3以上のピークである。以下、図1、図2および図3の粉末X線回折図において、縦軸は回折強度をカウント/秒(cps)単位で示し、横軸は回折角度2θ(度)を示す。また、面間隔d(単位:オングストローム)は、式2dsinθ=nλにおいてn=1として算出することができる。
【0015】
本発明の医薬の有効成分である7−(4−フルオロベンジルオキシ)−2,3−ジメチル−1−[(1S,2S)−2−メチルシクロプロピルメチル]ピロロ[2,3−d]ピリダジンのp−トルエンスルホン酸塩の水和物結晶は、例えば、図2に示されるような、銅のKα2線(波長λ=1.54オングストローム)の照射で得られる粉末X線回折図において、面間隔d=11、4.7、3.7および3.4オングストロームに主ピークを示す結晶であり得る。ここで主ピークは、面間隔d=11オングストロームを示すピークの強度を100としたときの相対強度が20以上のピークである。
【0016】
本発明の医薬の有効成分である7−(4−フルオロベンジルオキシ)−2,3−ジメチル−1−[(1S,2S)−2−メチルシクロプロピルメチル]ピロロ[2,3−d]ピリダジンの1/2フマル酸塩結晶は、例えば、図3に示されるような、銅のKα2線(波長λ=1.54オングストローム)の照射で得られる粉末X線回折図において、面間隔d=9.6、8.5、4.4、4.2および4.1オングストロームに主ピークを示す結晶であり得る。ここで主ピークは、面間隔d=9.6オングストロームを示すピークの強度を100としたときの相対強度が50以上のピークである。
【0017】
本発明の医薬の有効成分である7−(4−フルオロベンジルオキシ)−2,3−ジメチル−1−[(1S,2S)−2−メチルシクロプロピルメチル]ピロロ[2,3−d]ピリダジンのp−トルエンスルホン酸塩は、下記式(II)を有する。式(II)において、p-TsOHは、p−トルエンスルホン酸を示す。
【0018】
【化2】


【0019】
本発明の医薬の有効成分である7−(4−フルオロベンジルオキシ)−2,3−ジメチル−1−[(1S,2S)−2−メチルシクロプロピルメチル]ピロロ[2,3−d]ピリダジンの1/2フマル酸塩は、下記式(III)を有する。
【0020】
【化3】


【0021】
本発明の医薬の有効成分である7−(4−フルオロベンジルオキシ)−2,3−ジメチル−1−[(1S,2S)−2−メチルシクロプロピルメチル]ピロロ[2,3−d]ピリダジンの酸付加塩は、欧州特許出願公開第1186607号明細書(特開2001−58993号公報)の実施例1に記載された方法にしたがって製造される上記式(I)を有する7−(4−フルオロベンジルオキシ)−2,3−ジメチル−1−[(1S,2S)−2−メチルシクロプロピルメチル]ピロロ[2,3−d]ピリダジン[以下、化合物(I)ともいう]を、不活性溶媒中または溶媒不存在下(好適には、不活性溶媒中)、酸と反応させ、必要に応じて種結晶を加え、または、必要に応じて溶媒を留去して、析出した結晶を濾取することにより製造される。
【0022】
反応に使用される酸は、1価の酸の場合は、例えば、化合物(I)1モル(mol)に対して0.1乃至10モルであり得、好適には、0.3乃至3モルであり、より好適には、0.5乃至1.5モルである。
【0023】
反応に使用される酸は、2価の酸の場合は、例えば、化合物(I)1モルに対して0.1乃至5モルであり得、好適には、0.2乃至3モルであり、より好適には、0.3乃至1.5モルである。
【0024】
反応に使用される酸は、3価の酸の場合は、例えば、化合物(I)1モルに対して0.05乃至3モルであり得、好適には、0.1乃至2モルであり、より好適には、0.2乃至1.5モルである。
【0025】
反応に使用される不活性溶媒は、反応を阻害せず、出発物質をある程度溶解するものであれば特に限定はなく、例えば、ヘキサン、ペンタン、石油エーテル、シクロヘキサンのような脂肪族炭化水素類;ベンゼン、トルエン、キシレンのような芳香族炭化水素類;メチレンクロリド、クロロホルム、四塩化炭素、ジクロロエタン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼンのようなハロゲン化炭化水素類;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、ブチルメチルエーテル、s−ブチルメチルエーテル、t−ブチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテルのようなエーテル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンのようなケトン類;酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチルのようなエステル類;アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリル、イソブチロニトリルのようなニトリル類;メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、2−メチル−1−プロパノール、2−メチル−2−プロパノールのようなアルコール類;ホルムアミド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ヘキサメチルホスホロトリアミドのようなアミド類;水;またはこれらの混合溶媒であり得、好適には、芳香族炭化水素類、エーテル類、ケトン類、エステル類またはこれらの混合溶媒であり、より好適には、トルエン、t−ブチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン、アセトン、酢酸エチルまたはこれらの混合溶媒である。
【0026】
反応温度は、通常、−50℃乃至150℃であり、好適には、−20℃乃至100℃であり、より好適には、0℃乃至60℃である。
【0027】
反応時間は、試薬、溶媒または反応温度等によって異なるが、通常、1分間乃至48時間であり、好適には、1分間乃至24時間であり、より好適には、3分間乃至12時間である。
【0028】
本発明の医薬の有効成分である化合物(I)の酸付加塩は、反応条件または結晶化条件により水和物または溶媒和物として、結晶または非結晶の形で得られることがあり、得られた結晶または非結晶の形の、水和物または溶媒和物から、減圧下にて水または溶媒を除去することにより化合物(I)の酸付加塩を得ることができる。
【0029】
水または溶媒を除去する工程における温度は、通常、20℃乃至100℃であり、好適には、40℃乃至80℃である。
【0030】
反応終了後、本発明の医薬の有効成分である化合物(I)の酸付加塩は、常法にしたがって、反応混合物から単離される。例えば、反応終了後、析出した結晶を濾取するか、または、溶媒を留去することにより、目的化合物が得られる。得られた目的化合物は、必要に応じて、常法にしたがって、例えば、再結晶、再沈殿またはカラムクロマトグラフィー等により精製することができる。
【0031】
本発明の医薬の有効成分である化合物(I)は、使用される酸により、酸付加塩の形成しやすさに差異があり、特定の条件下で得られる酸付加塩、および、種々反応条件を変えることによっても、得られない酸付加塩が存在する。また、得られた酸付加塩について、原体または錠剤中での安定性についても差異がある。
【0032】
本発明の医薬の有効成分である化合物(I)の酸付加塩は、強力な胃酸分泌抑制作用および胃粘膜保護作用ならびにヘリコバクター ピロリー(Helicobacter pylori)に対する優れた抗菌作用を有し、また、広いpH域での優れた溶解性、良好な経口吸収性、高い保存および取り扱い安定性(特に、保存安定性)を有し、体内動態に優れ、毒性が弱いことから、温血動物用(特に、ヒト用)の医薬[特に、潰瘍性疾患の治療剤または予防剤(好適には、治療剤)]として有用である。
【0033】
本発明において、潰瘍性疾患は、胃、食道、十二指腸等の消化管の粘膜が障害を受けた病態を示し、内因性または外因性の疾患であり得る。内因性の潰瘍性疾患は、例えば、消化性潰瘍、急性もしくは慢性胃潰瘍、胃炎、逆流性食道炎、胃食道反射疾患、消化不良、胃酸過多症またはゾーリンガー・エリソン症候群であり得る。また、外因性の潰瘍性疾患は、外的原因による攻撃因子(胃酸分泌等)の増強あるいは防御因子(粘膜防御能等)の低下によって引き起こされる疾患であり、外的原因は、例えば、非ステロイド性抗炎症剤(NSAIDs)、シクロオキシゲネース2(COX-2)阻害剤あるいは一酸化窒素放出非ステロイド性抗炎症剤(nitric oxide releasing NSAIDs, NO-NSAIDs)等の抗炎症剤、ビスホスホネート、エタノール等の化学物質、ヘリコバクター ピロリー(Helicobacter pylori)等の微生物、細菌毒素またはストレスなどであり得る。
【0034】
本発明の医薬の有効成分である化合物(I)の酸付加塩を医薬として使用する場合には、それ自体(原末のまま)で投与することができ、あるいは、適宜の薬理学的に許容される、賦形剤、希釈剤等と混合して、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤もしくはシロップ剤等の製剤として、経口的に、または、注射剤もしくは坐剤等の製剤として、非経口的に(好適には、経口的に)投与することができる。
【0035】
これらの製剤は、賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、乳化剤、安定剤、矯味矯臭剤、希釈剤、注射剤用溶剤等の添加剤を用いて、周知の方法で製造される。
【0036】
賦形剤は、例えば、有機系賦形剤または無機系賦形剤であり得、有機系賦形剤は、例えば、乳糖、白糖、ブドウ糖、マンニトール、ソルビトールのような糖誘導体;トウモロコシデンプン、馬鈴薯デンプン、α−デンプン、デキストリン、カルボキシメチルデンプンのようなデンプン誘導体;結晶セルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、内部架橋カルボキシメチルセルロースナトリウムのようなセルロース誘導体;アラビアゴム;デキストラン;またはプルラン等であり得、無機系賦形剤は、例えば、軽質無水珪酸、合成珪酸アルミニウム、珪酸カルシウム、メタ珪酸アルミン酸マグネシウムのような珪酸塩誘導体;リン酸カルシウムのようなリン酸塩;炭酸カルシウムのような炭酸塩;または硫酸カルシウムのような硫酸塩等であり得る。
【0037】
結合剤は、例えば、上記の賦形剤;ゼラチン;ポリビニルピロリドン;またはポリエチレングリコール等であり得る。
【0038】
崩壊剤は、例えば、上記の賦形剤;クロスカルメロースナトリウム、カルボキシメチルスターチナトリウムのような化学修飾された、デンプンまたはセルロース誘導体;または架橋ポリビニルピロリドン等であり得る。
【0039】
滑沢剤は、例えば、タルク;ステアリン酸;ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウムのようなステアリン酸金属塩;コロイドシリカ;ビーズワックス、ゲイロウのようなワックス類;硼酸;グリコール;D,L−ロイシン;フマル酸、アジピン酸のようなカルボン酸類;安息香酸ナトリウムのようなカルボン酸ナトリウム塩;硫酸ナトリウムのような硫酸塩;ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸マグネシウムのようなラウリル硫酸塩;無水珪酸、珪酸水和物のような珪酸類;または上記の賦形剤におけるデンプン誘導体等であり得る。
【0040】
乳化剤は、例えば、ベントナイト、ビーガムのようなコロイド性粘土;水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウムのような金属水酸化物;ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリン酸カルシウムのような陰イオン界面活性剤;塩化ベンザルコニウムのような陽イオン界面活性剤;またはポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステルのような非イオン界面活性剤等であり得る。
【0041】
安定剤は、例えば、メチルパラベン、プロピルパラベンのようなパラヒドロキシ安息香酸エステル類;クロロブタノール、ベンジルアルコール、フェニルエチルアルコールのようなアルコール類;塩化ベンザルコニウム;フェノール、クレゾールのようなフェノール類;チメロサール;デヒドロ酢酸;またはソルビン酸等であり得る。
【0042】
矯味矯臭剤は、例えば、通常使用される、甘味料、酸味料、香料等であり得る。
【0043】
希釈剤は、例えば、水、エタノール、プロピレングリコール、エトキシ化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類等であり得る。
【0044】
注射剤用溶剤は、例えば、水、エタノール、グリセリン等であり得る。
【0045】
本発明の医薬の有効成分である化合物(I)の酸付加塩の投与量は、患者の症状、年齢等により異なるが、経口投与の場合には、1回当たり下限0.1mg(好適には、0.5mg)、上限1000mg(好適には、500mg)を、非経口的投与の場合には、1回当たり下限0.01mg(好適には、0.05mg)、上限500mg(好適には、300mg)を、成人に対して、1日当たり1乃至6回、症状に応じて、投与することができる。
【発明の効果】
【0046】
本発明の医薬の有効成分である7−(4−フルオロベンジルオキシ)−2,3−ジメチル−1−[(1S,2S)−2−メチルシクロプロピルメチル]ピロロ[2,3−d]ピリダジンの酸付加塩は、強力な胃酸分泌抑制作用および胃粘膜保護作用ならびにヘリコバクター ピロリー(Helicobacter pylori)に対する優れた抗菌作用を有し、また、広いpH域での優れた溶解性、良好な経口吸収性、高い保存および取り扱い安定性(特に、保存安定性)を有し、体内動態に優れ、毒性が弱いことから、温血動物用(特に、ヒト用)の医薬、特に、消化性潰瘍、急性もしくは慢性胃潰瘍、胃炎、逆流性食道炎、胃食道反射疾患、消化不良、胃酸過多症またはゾーリンガー・エリソン症候群等の内因性潰瘍性疾患、または、非ステロイド性抗炎症剤(NSAIDs)、シクロオキシゲネース2(COX-2)阻害剤あるいは一酸化窒素放出非ステロイド性抗炎症剤(nitric oxide releasing NSAIDs, NO-NSAIDs)等の抗炎症剤、ビスホスホネート、エタノール等の化学物質、ヘリコバクター ピロリー(Helicobacter pylori)等の微生物、細菌毒素またはストレスなどにより引き起こされる外因性潰瘍性疾患の、治療剤または予防剤(好適には、治療剤)として有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0047】
以下、実施例および試験例を示し、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明の範囲はこれらに限定されるものではない。以下の実施例において、DSCは、示差走査熱量計を示す。
【実施例】
【0048】
(実施例1)7−(4−フルオロベンジルオキシ)−2,3−ジメチル−1−[(1S,2S)−2−メチルシクロプロピルメチル]ピロロ[2,3−d]ピリダジン 塩酸塩
化合物(I)509mg(1.50mmol)の酢酸エチル30ml溶液に、室温で、塩酸(36wt%)120μl(1.43mmol)を1分間で添加し、5分間撹拌した。生成した結晶を濾取して、酢酸エチル5mlで洗浄し、減圧下乾燥して、標記の化合物394mg(収率74%)を白色粉末として得た。
【0049】
1H-NMR (DMSO-d6, δppm): 0.11-0.17 (m, 1H), 0.38-0.43 (m, 1H), 0.62-0.72 (m, 1H), 0.85 (d, J=6Hz, 3H), 0.89-0.95 (m,1H), 2.36 (s, 3H), 2.50 (s, 3H), 4.24 (dd, J=15Hz, 8Hz, 1H), 4.43 (dd, J=15Hz, 7Hz, 1H), 5.60 (d, J=12Hz, 1H), 5.64 (d, J=12Hz, 1H), 7.27-7.35 (m, 2H), 7.62-7.69 (m,2H), 9.76 (s, 1H), 16.19 (brs, 1H).
DSC: 125.0℃ (m.p.).
Anal. calcd for C20H22FN3O・HCl: C, 63.91; H, 6.17; N, 11.18. Found: C, 63.68; H, 6.32; N, 11.22.

(実施例2)7−(4−フルオロベンジルオキシ)−2,3−ジメチル−1−[(1S,2S)−2−メチルシクロプロピルメチル]ピロロ[2,3−d]ピリダジン 臭化水素酸塩
化合物(I)509mg(1.50mmol)のt−ブチルメチルエーテル30ml溶液に、室温で、臭化水素酸(47wt%)166μl(1.43mmol)を1分間で添加し、10分間撹拌した。生成した結晶を濾取して、t−ブチルメチルエーテル10mlで洗浄し、減圧下乾燥して、標記の化合物598mg(収率99%)を白色粉末として得た。
【0050】
1H-NMRスペクトル (DMSO-d6, δppm): 0.11-0.17 (m, 1H), 0.38-0.44 (m, 1H), 0.62-0.72 (m, 1H), 0.85 (d, J=6Hz, 3H), 0.90-0.96 (m, 1H), 2.37 (s, 3H), 2.51 (s, 3H), 4.25 (dd, J=15Hz, 7Hz, 1H), 4.45 (dd, J=15Hz, 7Hz, 1H), 5.60 (d, J=12Hz, 1H), 5.64 (d, J=12Hz, 1H), 7.27-7.35 (m, 2H), 7.63-7.69 (m, 2H), 9.79 (s, 1H), 15.80 (brs, 1H).
DSC: 123.6℃ (m.p.).
Anal. calcd for C20H22FN3O・HBr: C, 57.15; H, 5.52; N, 10.00. Found: C, 56.72; H, 5.59; N, 10.06.

(実施例3)7−(4−フルオロベンジルオキシ)−2,3−ジメチル−1−[(1S,2S)−2−メチルシクロプロピルメチル]ピロロ[2,3−d]ピリダジン 硫酸塩
化合物(I)509mg(1.50mmol)のt−ブチルメチルエーテル30ml溶液に、室温で、硫酸(96wt%)83.3μl(1.50mmol)を1分間で添加し、12時間撹拌した。生成した結晶を濾取して、t−ブチルメチルエーテル10mlで洗浄し、減圧下乾燥して、標記の化合物610mg(収率93%)を白色粉末として得た。
【0051】
1H-NMRスペクトル(DMSO-d6, δppm): 0.11-0.17 (m, 1H), 0.38-0.43 (m, 1H), 0.62-0.70 (m, 1H), 0.85 (d, J=6Hz, 3H), 0.89-0.95 (m, 1H), 2.36 (s, 3H), 2.50 (s, 3H), 4.24 (dd, J=15Hz, 7Hz, 1H), 4.44 (dd, J=15Hz, 6Hz, 1H), 5.60 (d, J=12Hz, 1H), 5.64 (d, J=12Hz, 1H), 7.27-7.35 (m, 2H), 7.62-7.69 (m, 2H), 9.75 (s, 1H), 15.80 (brs, 1H).
DSC: 140.5℃ (m.p.).
Anal. calcd for C20H22FN3O・H2SO4: C, 54.91; H, 5.53; N, 9.60. Found: C, 54.55; H, 5.48; N, 9.57.

(実施例4)7−(4−フルオロベンジルオキシ)−2,3−ジメチル−1−[(1S,2S)−2−メチルシクロプロピルメチル]ピロロ[2,3−d]ピリダジン 硝酸塩
化合物(I)33.9mg(100μmol)のt−ブチルメチルエーテル2ml溶液に、室温で、硝酸(60wt%)6.9μl(90.0μmol)を1分間で添加し、30分間撹拌した。生成した結晶を濾取して、t−ブチルメチルエーテル1mlで洗浄し、減圧下乾燥して、標記の化合物33.7mg(収率93%)を白色粉末として得た。
【0052】
1H-NMRスペクトル(DMSO-d6, δppm): 0.11-0.17 (m, 1H), 0.38-0.44 (m, 1H), 0.62-0.70 (m, 1H), 0.85 (d, J=6Hz, 3H), 0.90-0.96 (m, 1H), 2.37 (s, 3H), 2.51 (s, 3H), 4.24 (dd, J=15Hz, 7Hz, 1H), 4.44 (dd, J=15Hz, 7Hz, 1H), 5.59 (d, J=12Hz, 1H), 5.64 (d, J=12Hz, 1H), 7.27-7.35 (m, 2H), 7.62-7.67 (m, 2H), 9.76 (s, 1H), 15.79 (brs, 1H).
DSC: 129.4℃ (m.p.).
Anal. calcd for C20H22FN3O・HNO3: C, 59.69; H, 5.76; N, 13.92. Found: C, 59.65; H, 5.83; N, 13.55.

(実施例5)7−(4−フルオロベンジルオキシ)−2,3−ジメチル−1−[(1S,2S)−2−メチルシクロプロピルメチル]ピロロ[2,3−d]ピリダジン リン酸塩
化合物(I)33.9mg(100μmol)のアセトン0.5ml溶液に、室温で、リン酸6.2μl(90.0μmol)を1分間で添加し、30分間撹拌した。生成した結晶を濾取して、アセトン0.5mlで洗浄し、減圧下乾燥して、標記の化合物31.9mg(収率81%)を白色粉末として得た。
【0053】
1H-NMRスペクトル(DMSO-d6, δppm): 0.07-0.13 (m, 1H), 0.34-0.40 (m, 1H), 0.59-0.67 (m, 1H), 0.83-0.88 (m, 4H), 2.24 (s, 3H), 2.37 (s, 3H), 4.11 (dd, J=15Hz, 7Hz, 1H), 4.31 (dd, J=15Hz, 6Hz, 1H), 5.57 (d, J=12Hz, 1H), 5.63 (d, J=12Hz, 1H), 7.22-7.30 (m, 2H), 7.58-7.64 (m, 2H), 9.01 (s, 1H).
DSC: 111.0℃, 133.6℃ (m.p.).
Anal. calcd for C20H22FN3O・H3PO4: C, 54.92; H, 5.76; N, 9.61. Found: C, 54.73; H, 5.85; N, 9.59.

(実施例6)7−(4−フルオロベンジルオキシ)−2,3−ジメチル−1−[(1S,2S)−2−メチルシクロプロピルメチル]ピロロ[2,3−d]ピリダジン ベンゼンスルホン酸塩
化合物(I)509mg(1.50mmol)のt−ブチルメチルエーテル30ml溶液に、室温で、ベンゼンスルホン酸・1水和物251mg(1.43mmol)のt−ブチルメチルエーテル7.5ml溶液を5分間で添加し、10分間撹拌した。生成した結晶を濾取して、t−ブチルメチルエーテル5mlで洗浄し、減圧下乾燥して、標記の化合物654mg(収率92%)を白色粉末として得た。
【0054】
1H-NMRスペクトル(DMSO-d6, δppm): 0.11-0.17 (m, 1H), 0.38-0.44 (m, 1H), 0.62-0.70 (m, 1H), 0.85 (d, J=6Hz, 3H), 0.89-0.95 (m, 1H), 2.36 (s, 3H), 2.50 (s, 3H), 4.24 (dd, J=15Hz, 8Hz, 1H), 4.45 (dd, J=15Hz, 6Hz, 1H), 5.59 (d, J=12Hz, 1H), 5.64 (d, J=12Hz, 1H), 7.27-7.35 (m, 5H), 7.57-7.68 (m, 4H), 9.76 (s, 1H), 15.77 (brs, 1H).
DSC: 132.3℃ (m.p.).
Anal. calcd for C20H22FN3O・C6H6O3S: C, 62.76; H, 5.67; N, 8.44. Found: C, 62.69; H, 5.68; N, 8.13.

(実施例7)7−(4−フルオロベンジルオキシ)−2,3−ジメチル−1−[(1S,2S)−2−メチルシクロプロピルメチル]ピロロ[2,3−d]ピリダジン p−トルエンスルホン酸塩
(実施例7a)
化合物(I)5.09g(15.0mmol)のt−ブチルメチルエーテル−トルエン[1:1(V/V)]混合溶液120mlに、45℃で、p−トルエンスルホン酸・1水和物2.71g(14.3mmol)のt−ブチルメチルエーテル−トルエン[9:1(V/V)]混合溶液50mlを5分間で添加し、1時間撹拌した。生成した結晶を濾取して、t−ブチルメチルエーテル−トルエン[1:1(V/V)]混合溶液200mlで洗浄し、室温で、減圧下乾燥して、標記の化合物6.93g(収率95%)を白色粉末として得た。この白色粉末を(実施例7b)の種結晶として用いた。
(実施例7b)
化合物(I)84.9g(250mmol)のt−ブチルメチルエーテル−トルエン[1:1(V/V)]混合溶液2000mlに、45℃で、実施例7aで得られた7−(4−フルオロベンジルオキシ)−2,3−ジメチル−1−[(1S,2S)−2−メチルシクロプロピルメチル]ピロロ[2,3−d]ピリダジン p−トルエンスルホン酸塩500mg(0.98mmol)を種結晶として加えた後、p−トルエンスルホン酸・1水和物45.2g(238mmol)のt−ブチルメチルエーテル−トルエン[9:1(V/V)]混合溶液834mlを1時間で添加し、15分間撹拌した。生成した結晶を濾取して、t−ブチルメチルエーテル420mlで洗浄し、60℃で6時間、減圧下乾燥して、標記の化合物111g(収率91%)を白色粉末として得た。
【0055】
1H-NMRスペクトル(DMSO-d6, δppm): 0.11-0.17 (m, 1H), 0.37-0.43 (m, 1H), 0.60-0.71 (m, 1H), 0.85 (d, J=6Hz, 3H), 0.89-0.99 (m, 1H), 2.28 (s, 3H), 2.36 (s, 3H), 2.50 (s, 3H), 4.24 (dd, J=15Hz, 7Hz, 1H), 4.44 (dd, J=15Hz, 6Hz, 1H), 5.59 (d, J=12Hz, 1H), 5.64 (d, J=12Hz, 1H), 7.08-7.12 (m, 2H), 7.27-7.35 (m, 2H), 7.45-7.49 (m, 2H), 7.62-7.69 (m, 2H), 9.77 (s, 1H), 15.81 (brs, 1H).
DSC: 140.9℃ (m.p.).
Anal. calcd for C20H22FN3O・C7H8O3S: C, 63.39; H, 5.91; N, 8.21. Found: C, 63.07; H, 5.98; N, 8.19.
本化合物の粉末X線回折図を図1に示す。

(実施例8)7−(4−フルオロベンジルオキシ)−2,3−ジメチル−1−[(1S,2S)−2−メチルシクロプロピルメチル]ピロロ[2,3−d]ピリダジン p−トルエンスルホン酸塩 水和物
化合物(I)509mg(1.50mmol)のt−ブチルメチルエーテル−トルエン[1:1(V/V)]混合溶液12mlに、氷冷下、攪拌しながら、p−トルエンスルホン酸・1水和物271mg(1.43mmol)のt−ブチルメチルエーテル−トルエン[9:1(V/V)]混合溶液5mlを3分間で添加し、30分間撹拌した。生成した結晶を濾取して、t−ブチルメチルエーテル−トルエン混合溶媒[1:1(V/V)]20mlで洗浄し、減圧下乾燥して、標記の化合物698mg(収率96%)を白色粉末として得た。
【0056】
1H-NMRスペクトル(DMSO-d6, δppm): 0.11-0.17 (m, 1H), 0.37-0.43 (m, 1H), 0.62-0.70 (m, 1H), 0.84 (d, J=6Hz, 3H), 0.89-0.97 (m, 1H), 2.28 (s, 3H), 2.36 (s, 3H), 2.50 (s, 3H), 4.24 (dd, J=15Hz, 8Hz, 1H), 4.44 (dd, J=15Hz, 6Hz, 1H), 5.59 (d, J=12Hz, 1H), 5.64 (d, J=12Hz, 1H), 7.08-7.12 (m, 2H), 7.27-7.35 (m, 2H), 7.45-7.49 (m, 2H), 7.62-7.68 (m, 2H), 9.76 (s, 1H), 15.79 (brs, 1H).
DSC: 95.4℃, 136.0℃ (m.p.).
本化合物の粉末X線回折図を図2に示す。

(実施例9)7−(4−フルオロベンジルオキシ)−2,3−ジメチル−1−[(1S,2S)−2−メチルシクロプロピルメチル]ピロロ[2,3−d]ピリダジン 2,4−ジメチルベンゼンスルホン酸塩
化合物(I)102mg(300μmol)のt−ブチルメチルエーテル6ml溶液に、室温で、2,4−ジメチルベンゼンスルホン酸53.1mg(285μmol)のt−ブチルメチルエーテル1.5ml溶液を1分間で添加し、1時間撹拌した。生成した結晶を濾取して、t−ブチルメチルエーテル5mlで洗浄し、減圧下乾燥して、標記の化合物124mg(収率83%)を白色粉末として得た。
【0057】
1H-NMRスペクトル(DMSO-d6, δppm): 0.11-0.17 (m, 1H), 0.37-0.43 (m, 1H), 0.62-0.70 (m, 1H), 0.85 (d, J=6Hz, 3H), 0.89-0.95 (m, 1H), 2.23 (s, 3H), 2.36 (s, 3H), 2.47 (s, 3H), 2.50 (s, 3H), 4.24 (dd, J=15Hz, 8Hz, 1H), 4.43 (dd, J=15Hz, 6Hz, 1H), 5.59 (d, J=12Hz, 1H), 5.63 (d, J=12Hz, 1H), 6.87-6.92 (m, 2H), 7.28-7.35 (m, 2H), 7.57-7.68 (m, 3H), 9.76 (s, 1H), 15.80 (brs, 1H).
DSC: 116.0℃ (m.p.).

(実施例10)7−(4−フルオロベンジルオキシ)−2,3−ジメチル−1−[(1S,2S)−2−メチルシクロプロピルメチル]ピロロ[2,3−d]ピリダジン 2,4,6−トリメチルベンゼンスルホン酸塩
化合物(I)102mg(300μmol)のt−ブチルメチルエーテル6ml溶液に、室温で、2,4,6−トリメチルベンゼンスルホン酸57.1mg(285μmol)のt−ブチルメチルエーテル1.5ml溶液を1分間で添加し、30分間撹拌した。生成した結晶を濾取して、t−ブチルメチルエーテル5mlで洗浄し、減圧下乾燥して、標記の化合物129mg(収率84%)を白色粉末として得た。
【0058】
1H-NMRスペクトル(DMSO-d6, δppm): 0.11-0.17 (m, 1H), 0.37-0.43 (m, 1H), 0.62-0.71 (m, 1H), 0.85 (d, J=6Hz, 3H), 0.89-0.95 (m, 1H), 2.16 (s, 3H), 2.36 (s, 3H), 2.49 (s, 6H), 2.50 (s, 3H), 4.24 (dd, J=15Hz, 8Hz, 1H), 4.44 (dd, J=15Hz, 7Hz, 1H), 5.59 (d, J=12Hz, 1H), 5.63 (d, J=12Hz, 1H), 6.73 (s, 2H), 7.27-7.35 (m, 2H), 7.62-7.68 (m, 2H), 9.76 (s, 1H), 15.75 (brs, 1H).
DSC: 141.3℃ (m.p.).

(実施例11)7−(4−フルオロベンジルオキシ)−2,3−ジメチル−1−[(1S,2S)−2−メチルシクロプロピルメチル]ピロロ[2,3−d]ピリダジン 4−エチルベンゼンスルホン酸塩
化合物(I)102mg(300μmol)のt−ブチルメチルエーテル6ml溶液に、室温で、4−エチルベンゼンスルホン酸53.1mg(285μmol)のt−ブチルメチルエーテル1.5ml溶液を1分間で添加し、30分間撹拌した。生成した結晶を濾取して、t−ブチルメチルエーテル5mlで洗浄し、減圧下乾燥して、標記の化合物126mg(収率84%)を白色粉末として得た。
【0059】
1H-NMRスペクトル(DMSO-d6, δppm): 0.11-0.17 (m, 1H), 0.38-0.43 (m, 1H), 0.63-0.71 (m, 1H), 0.85 (d, J=6Hz, 3H), 0.89-0.95 (m, 1H), 1.16 (t, J=8Hz, 3H), 2.36 (s, 3H), 2.50 (s, 3H), 2.58 (q, J=8Hz, 2H), 4.24 (dd, J=14Hz, 8Hz, 1H), 4.44 (dd, J=14Hz, 7Hz, 1H), 5.59 (d, J=12Hz, 1H), 5.63 (d, J=12Hz, 1H), 7.11-7.15 (m, 2H), 7.28-7.34 (m, 2H), 7.48-7.52 (m, 2H), 7.63-7.68 (m, 2H), 9.76 (s, 1H), 15.75 (brs, 1H).
DSC: 65.2℃, 131.5℃ (m.p.).

(実施例12)7−(4−フルオロベンジルオキシ)−2,3−ジメチル−1−[(1S,2S)−2−メチルシクロプロピルメチル]ピロロ[2,3−d]ピリダジン 2−ナフタレンスルホン酸塩
化合物(I)102mg(300μmol)のt−ブチルメチルエーテル6ml溶液に、室温で、2−ナフタレンスルホン酸・1水和物64.4mg(285μmol)のt−ブチルメチルエーテル3ml溶液を2分間で添加し、4時間撹拌した。生成した結晶を濾取して、t−ブチルメチルエーテル10mlで洗浄し、減圧下乾燥して、標記の化合物146mg(収率93%)を白色粉末として得た。
【0060】
1H-NMRスペクトル(DMSO-d6, δppm): 0.11-0.17 (m, 1H), 0.37-0.43 (m, 1H), 0.61-0.70 (m, 1H), 0.85 (d, J=6Hz, 3H), 0.88-0.95 (m, 1H), 2.35 (s, 3H), 2.50 (s, 3H), 4.23 (dd, J=15Hz, 7Hz, 1H), 4.43 (dd, J=15Hz, 6Hz, 1H), 5.59 (d, J=12Hz, 1H), 5.63 (d, J=12Hz, 1H), 7.28-7.33 (m, 2H), 7.49-7.54 (m, 2H), 7.63-7.72 (m, 3H), 7.83-7.97 (m, 3H), 8.13 (s, 1H), 9.74 (s, 1H), 15.78 (brs, 1H).
DSC: 82.1℃ (m.p.).

(実施例13)7−(4−フルオロベンジルオキシ)−2,3−ジメチル−1−[(1S,2S)−2−メチルシクロプロピルメチル]ピロロ[2,3−d]ピリダジン 1/2フマル酸塩
化合物(I)102g(300mmol)の酢酸エチル1000ml溶液に、室温で、フマル酸17.2g(148mmol)のテトラヒドロフラン400ml溶液を1時間で添加し、1.5時間撹拌した。生成した結晶を濾取して、酢酸エチル1000mlで洗浄し、減圧下乾燥して、標記の化合物107g(収率91%)を白色粉末として得た。
【0061】
1H-NMRスペクトル(DMSO-d6, δppm): 0.06-0.12 (m, 1H), 0.34-0.40 (m, 1H), 0.58-0.68 (m, 1H), 0.81-0.91 (m, 4H), 2.23 (s, 3H), 2.36 (s, 3H), 4.11 (dd, J=15Hz, 7Hz, 1H), 4.30 (dd, J=15Hz, 6Hz, 1H), 5.57 (d, J=12Hz, 1H), 5.62 (d, J=12Hz, 1H), 6.61 (s, 1H), 7.21-7.29 (m, 2H), 7.57-7.62 (m, 2H), 8.98 (s, 1H).
DSC: 151.3℃ (m.p.).
Anal. calcd for C20H22FN3O・1/2C4H4O4: C, 66.48; H, 6.09; N, 10.57. Found: C, 66.45; H, 6.12; N, 10.55.
本化合物の粉末X線回折図を図3に示す。

(実施例14)7−(4−フルオロベンジルオキシ)−2,3−ジメチル−1−[(1S,2S)−2−メチルシクロプロピルメチル]ピロロ[2,3−d]ピリダジン フタル酸塩
化合物(I)102mg(300μmol)のt−ブチルメチルエーテル6ml溶液に、室温で、フタル酸47.4mg(285μmol)のt−ブチルメチルエーテル8ml溶液を1分間で添加し、30分間撹拌した。生成した結晶を濾取して、t−ブチルメチルエーテル6mlで洗浄し、減圧下乾燥して、標記の化合物118mg(収率82%)を白色粉末として得た。
【0062】
1H-NMRスペクトル(DMSO-d6, δppm): 0.08-0.14 (m, 1H), 0.35-0.41 (m, 1H), 0.60-0.68 (m, 1H), 0.85 (d, J=6Hz, 3H), 0.87-0.92 (m, 1H), 2.27 (s, 3H), 2.40 (s, 3H), 4.14 (dd, J=15Hz, 7Hz, 1H), 4.34 (dd, J=15Hz, 6Hz, 1H), 5.58 (d, J=12Hz, 1H), 5.63 (d, J=12Hz, 1H), 7.23-7.31 (m, 2H), 7.53-7.65 (m, 4H), 7.77-7.82 (m, 2H), 9.19 (s, 1H), 14.20 (brs,1H).
DSC: 116.7℃ (m.p.).
Anal. calcd for C20H22FN3O・C8H6O4: C, 66.52; H, 5.58; N, 8.31. Found: C, 66.36; H, 5.53; N, 8.28.

(試験例1)溶解度測定
試験化合物200mgを水10mlに入れ、37℃で30分間、5分ごとに30秒間強く振り混ぜながら、化合物を溶解させた。溶解していない化合物をフィルター濾過により除き、溶解した試験化合物の量を高速液体クロマトグラフィーにより測定した。高速液体クロマトグラフィーの測定条件は、次の通りである。
【0063】
カラム:L-column ODS [4.6mm ID×25cm,化学物質評価研究機構製]
移動相:アセトニトリル/0.02(モル/リットル)リン酸塩緩衝液 (pH5.5) = 3/2(V/V)
流量 :1ml/min
カラム温度:40℃
検出波長:254nm
その結果、実施例7および13の化合物の溶解度は、化合物(I)の量に換算して、それぞれ830μg/mlおよび329μg/mlであり、本発明の医薬の有効成分である化合物(I)の酸付加塩は、非常に優れた溶解性を示すことが明らかとなった。

(試験例2)原体の安定性試験
試験化合物をガラス瓶に入れ、密閉状態で、60℃で静置し、一定時間経過後に試験化合物中の有効成分[化合物(I)]の含量を高速液体クロマトグラフィーにより測定した。高速液体クロマトグラフィーの測定条件は、次の通りである。
【0064】
カラム:L-column ODS [4.6mm ID×25cm,化学物質評価研究機構製]
移動相:アセトニトリル/0.01(モル/リットル)リン酸塩緩衝液 (pH5.3)/メタノール = 8/11/1(V/V/V)
流量 :1ml/min
カラム温度:40℃
検出波長:220nm
一定時間経過後の有効成分含量(%)を表1に示す。

[表1]
_________________________
試験化合物の 経過時間(週)
実施例番号 0 2 4
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
3 99.3 97.7 95.2
6 99.5 97.8 92.9
7 99.9 99.8 99.5
13 99.9 99.8 99.8
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

表1に示されるように、本発明の医薬の有効成分である化合物(I)の酸付加塩は、良好な保存安定性を示した。

(試験例3)錠剤中での安定性試験
(1)錠剤の製造
表2に示す成分を用いて試験化合物を含有する錠剤を以下の方法で製造した。
【0065】
高速撹拌造粒機を用いて試験化合物、乳糖および低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを混合し、さらに、ヒドロキシプロピルセルロース水溶液を加えて練合した。得られた練合物を流動層乾燥機を用いて乾燥した後、整粒機を用いてスクリーンを強制的に通過させ、顆粒を得た。得られた顆粒とステアリン酸マグネシウムをV型混合機を用いて混合し、直径9mmの杵を用いて成形し、288mgの素錠を得た。得られた素錠にヒドロキシプロピルメチルセルロース、タルク、酸化チタン、黄色三二酸化鉄および水からなるコーティング液をパンコーティング機中で噴霧することによりフィルムコーティングを施し、試験錠剤を得た。

[表2]
_________________________________
成分 1錠当たり量 (mg)
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
実施例13の化合物 29.27
乳糖 186.7
低置換度ヒドロキシプロピルセルロース 60
ヒドロキシプロピルセルロース 9
ステアリン酸マグネシウム 3
ヒドロキシプロピルメチルセルロース 8.32
タルク 1.62
酸化チタン 1.62
黄色三二酸化鉄 0.056
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
合計 300
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

(2)安定性試験
(1)で製造した試験錠剤をガラス瓶に入れ、密閉状態で、60℃で静置し、一定時間経過後に試験錠剤中の有効成分[化合物(I)]の含量を高速液体クロマトグラフィーにより測定した。高速液体クロマトグラフィーの測定条件は、試験例1と同様である。
【0066】
一定時間経過後の有効成分含量(%)を表3に示す。

[表3]
_________________________
試験錠剤中の 経過時間(週)
試験化合物 0 1 2
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
実施例13の
化合物 96 94 92
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

表3に示されるように、本発明の医薬の有効成分である化合物(I)の酸付加塩は、錠剤中において、優れた保存安定性を示した。

(試験例4)胃酸分泌抑制試験
試験例3に記載の方法(ただし、コーティングを除く)にしたがって、試験例3と同量および1/5量の試験化合物を含有する試験錠剤を製造した。
【0067】
6頭のサルを一晩絶食させ、モンキーチェアに拘束して経鼻的にpH測定用プローブを胃内に挿入した。上記試験例3と同量および1/5量の試験化合物を含有する試験錠剤を1錠ずつ、1日1回、経口投与した。試験錠剤を投与後、5時間の胃内pHを連続的に測定した。試験錠剤を投与後、胃内pHが4.0を越えるまでの時間、および投与直後から投与後5時間までの胃内pH推移曲線下面積(AUCpH)を計算した。
【0068】
本発明の医薬の有効成分である化合物(I)の酸付加塩は、優れた胃酸分泌抑制作用を示した。
【産業上の利用可能性】
【0069】
本発明の医薬の有効成分である7−(4−フルオロベンジルオキシ)−2,3−ジメチル−1−[(1S,2S)−2−メチルシクロプロピルメチル]ピロロ[2,3−d]ピリダジンの酸付加塩は、強力な胃酸分泌抑制作用および胃粘膜保護作用ならびにヘリコバクター ピロリー(Helicobacter pylori)に対する優れた抗菌作用を有し、また、広いpH域での優れた溶解性、良好な経口吸収性、高い保存および取り扱い安定性(特に、保存安定性)を有し、体内動態に優れ、毒性が弱いことから、温血動物用(特に、ヒト用)の医薬、特に、消化性潰瘍、急性もしくは慢性胃潰瘍、胃炎、逆流性食道炎、胃食道反射疾患、消化不良、胃酸過多症またはゾーリンガー・エリソン症候群等の内因性潰瘍性疾患、または、非ステロイド性抗炎症剤(NSAIDs)、シクロオキシゲネース2(COX-2)阻害剤あるいは一酸化窒素放出非ステロイド性抗炎症剤(nitric oxide releasing NSAIDs, NO-NSAIDs)等の抗炎症剤、ビスホスホネート、エタノール等の化学物質、ヘリコバクター ピロリー(Helicobacter pylori)等の微生物、細菌毒素またはストレスなどにより引き起こされる外因性潰瘍性疾患の、治療剤または予防剤(好適には、治療剤)として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】図1は、7−(4−フルオロベンジルオキシ)−2,3−ジメチル−1−[(1S,2S)−2−メチルシクロプロピルメチル]ピロロ[2,3−d]ピリダジンのp−トルエンスルホン酸塩結晶の粉末X線回折図を示す。
【図2】図2は、7−(4−フルオロベンジルオキシ)−2,3−ジメチル−1−[(1S,2S)−2−メチルシクロプロピルメチル]ピロロ[2,3−d]ピリダジンのp−トルエンスルホン酸塩の水和物結晶の粉末X線回折図を示す。
【図3】図3は、7−(4−フルオロベンジルオキシ)−2,3−ジメチル−1−[(1S,2S)−2−メチルシクロプロピルメチル]ピロロ[2,3−d]ピリダジンの1/2フマル酸塩結晶の粉末X線回折図を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
7−(4−フルオロベンジルオキシ)−2,3−ジメチル−1−[(1S,2S)−2−メチルシクロプロピルメチル]ピロロ[2,3−d]ピリダジンの塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、2,4−ジメチルベンゼンスルホン酸塩、2,4,6−トリメチルベンゼンスルホン酸塩、4−エチルベンゼンスルホン酸塩、2−ナフタレンスルホン酸塩、1/2フマル酸塩またはフタル酸塩を有効成分として含有する医薬。
【請求項2】
7−(4−フルオロベンジルオキシ)−2,3−ジメチル−1−[(1S,2S)−2−メチルシクロプロピルメチル]ピロロ[2,3−d]ピリダジンのp−トルエンスルホン酸塩を有効成分として含有する医薬。
【請求項3】
銅のKα2線の照射で得られる粉末X線回折図において、面間隔が18、8.9、5.4、4.6、4.4および3.6オングストロームに主ピークを示す請求項2に記載された7−(4−フルオロベンジルオキシ)−2,3−ジメチル−1−[(1S,2S)−2−メチルシクロプロピルメチル]ピロロ[2,3−d]ピリダジンのp−トルエンスルホン酸塩結晶を有効成分として含有する医薬。
【請求項4】
7−(4−フルオロベンジルオキシ)−2,3−ジメチル−1−[(1S,2S)−2−メチルシクロプロピルメチル]ピロロ[2,3−d]ピリダジンのp−トルエンスルホン酸塩の水和物を有効成分として含有する医薬。
【請求項5】
銅のKα2線の照射で得られる粉末X線回折図において、面間隔が11、4.7、3.7および3.4オングストロームに主ピークを示す請求項4に記載された7−(4−フルオロベンジルオキシ)−2,3−ジメチル−1−[(1S,2S)−2−メチルシクロプロピルメチル]ピロロ[2,3−d]ピリダジンのp−トルエンスルホン酸塩の水和物結晶を有効成分として含有する医薬。
【請求項6】
7−(4−フルオロベンジルオキシ)−2,3−ジメチル−1−[(1S,2S)−2−メチルシクロプロピルメチル]ピロロ[2,3−d]ピリダジンの1/2フマル酸塩を有効成分として含有する医薬。
【請求項7】
銅のKα2線の照射で得られる粉末X線回折図において、面間隔が9.6、8.5、4.4、4.2および4.1オングストロームに主ピークを示す請求項6に記載された7−(4−フルオロベンジルオキシ)−2,3−ジメチル−1−[(1S,2S)−2−メチルシクロプロピルメチル]ピロロ[2,3−d]ピリダジンの1/2フマル酸塩結晶を有効成分として含有する医薬。
【請求項8】
医薬が潰瘍性疾患の治療剤または予防剤である請求項1乃至7のいずれかに記載された医薬。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−8553(P2006−8553A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−185745(P2004−185745)
【出願日】平成16年6月24日(2004.6.24)
【出願人】(000001856)三共株式会社 (98)
【出願人】(000000206)宇部興産株式会社 (2,022)
【Fターム(参考)】