説明

ピロロベンゾジアゼピン

本発明は、


さまざまなエナンチオマー比で生じるZC−423(I)の調製方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ピロロベンゾジアゼピン(PBD)に関し、特には、C2アリール置換を有しているピロロベンゾジアゼピン二量体に関する。
【背景技術】
【0002】
ある種のピロロベンゾジアゼピン(PBD)は、DNAの特定の配列を認識してそれに結合するという能力を有している。その好ましい配列とはPuGPuである。最初のPBD抗腫瘍抗生物質である、アントラマイシン(anthramycin)は、1965年に発見された(非特許文献1;非特許文献2)。それ以来、多くの天然に存在するPBDが報告されていて、10を超える合成経路がさまざまな類似体に対して開発されている(非特許文献3)。ファミリー物質としては、アッベイマイシン(abbeymycin)(非特許文献4)、キカマイシン(chicamycin)(非特許文献5)、DC−81(特許文献1;非特許文献6;非特許文献7)、マゼトラマイシン(mazethramycin)(非特許文献8)、ネオトラマイシン(neothramycins)A及びB(非特許文献9)、ポロトラマイシン(porothramycin)(非特許文献10)、プロトラカルシン(prothracarcin)(非特許文献11;非特許文献12)、シバノミシン(sibanomicin)(DC−102)(非特許文献13;非特許文献14)、シビロマイシン(sibiromycin)(非特許文献15)及びトママイシン(tomamycin)(非特許文献16)が挙げられる。PBDは、一般構造:
【化1】

【0003】
で表されるものである。これらのものは、その芳香族A環及びピロロC環の双方において、置換基の数、種類及び位置が異なっており、またC環の飽和の度合も異なっている。B環には、DNAのアルキル化をもたらす求電子中心であるN10−C11位のところにイミン(N=C)か、カルビノールアミン(NH−CH(OH))か、又はカルビノールアミンメチルエーテル(NH−CH(OMe))がある。知られている天然の生成物はすべて、キラルC11a位のところで、C環からA環の方を見たときに右回り旋回である(S)配置をとる。これにより、B型DNAの副溝と等螺旋性を得るのに適切な三次元形状がもたらされ、結合部位のところに安定に適合する(非特許文献17;非特許文献18)。副溝中で付加物を形成するこの能力は、DNAプロセシングと干渉することを可能ならしめるものであり、したがって抗腫瘍剤としてのその使用を可能ならしめるものである。
【0004】
本発明者は、これまでに、(特許文献2)で、C2位のところにアリール基を有している細胞傷害性化合物、例えば、
【化2】

【0005】
を開示したことがある。
【0006】
本発明者は、また、これまでに、同時係属のPCT出願(PCT/GB2005/000768)(特許文献3として公開済み)で、C2アリール置換を有している二量体PBD化合物、例えば、
【化3】

【0007】
も開示したことがある。
【0008】
本発明者は、化合物(例えばZC−207)の溶解度に関してのいくつかの課題に遭遇したが、この課題は、この化合物の別の形態を用いることで解決した。その形態は、係属中のPCT出願(PCT/GB2006/001456)(特許文献4として公開済み)に開示されている。そこには、式I:
【化4】

【0009】
[式中、
は、置換されていてもよいC5〜20アリール基であり;
及びRは、H、R、OH、OR、SH、SR、NH、NHR、NRR’、ニトロ、MeSn及びハロから独立に選択され;
このR及びR’は、置換されていてもよいC1〜12アルキル基、C3〜20ヘテロシクリル基及びC5〜20アリール基から独立に選択され;
は、H、R、OH、OR、SH、SR、NH、NHR、NHRR’、ニトロ、MeSn及びハロから選択され;
R’’はC3〜12アルキレン基であり、この鎖は、1個又はそれ以上のヘテロ原子(例えばO、S、NH)及び/又は芳香族環(例えばベンゼン又はピリジン)で中断されていてもよく;
Xは、O、S、又はNHから選択され;
zは、2又は3であり;
Mは、薬学的に許容される一価カチオンであり;
2’、R6’、R7’、R9’、X’及びM’は、それぞれ、R、R、R、R、X及びMの群と同じ群から選択され、またMとM’は、一緒になって、薬学的に許容される二価カチオンを表し得る]
を有する化合物(又はその溶媒和物)が開示されている。
【0010】
イミン結合を有しているピロロベンゾジアゼピンは、水中でジ−カルビノールアミン形態に変換されることが知られていて、単離されたピロロベンゾジアゼピンは、多くの場合、そのイミン形態、モノ−カルビノールアミン形態及びジ−カルビノールアミン形態の混合物として存在している。さらには、この化合物が、これら3形態の混合物を含む固形物として単離される場合は、それら相互間の比率は時間とともに変わることがある。これは、この化合物を投与することについては問題を引き起こさないが、与えられた量の粉末中にある活性物質の量を査定する上では難題をもたらし得る。(特許文献4)に開示されているタイプの化合物は、少なくともある程度は、活性であり続けながら、この難題を克服しているものであり、したがって医薬としての処方に向いているものである。
【0011】
二量体ピロロベンゾジアゼピンは、副溝中でDNAを交差結合するという能力(これは細胞傷害性の増大をもたらし得る)を有している点で、単量体ピロロベンゾジアゼピンを凌駕する利点を発揮する。
【0012】
この群での特に有利な化合物が、(特許文献4)にZC−423として開示されており、以下に示されている。
【化5】

【0013】
この化合物は、(特許文献4)では、実施例1として合成されている。
【0014】
しかしながら、本発明者は、この合成に関しての難題を見出したのである。(特許文献4)では、この合成は非常に多くの工程を含んでいたが、これは潜在収率を低下させるとともに、この生成物を合成するに当たっての実験的な困難を伴うものであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】特開昭58−180487号公報
【特許文献2】国際公開第2004/043963号パンフレット
【特許文献3】国際公開第2005/085251号パンフレット
【特許文献4】国際公開第2006/111759号パンフレット
【非特許文献】
【0016】
【非特許文献1】Leimgruber, et al., J. Am. Chem. Soc., 87, 5793-5795 (1965)
【非特許文献2】Leimgruber, et al., J. Am. Chem. Soc., 87, 5791 5793 (1965)
【非特許文献3】Thurston, et al., Chem. Rev. 1994, 433-465 (1994)
【非特許文献4】Hochlowski, et al., J. Antibiotics, 40, 145-148 (1987)
【非特許文献5】Konishi, et al., J. Antibiotics, 37, 200-206 (1984)
【非特許文献6】Thurston, et al., Chem. Brit., 26, 767-772 (1990)
【非特許文献7】Bose, et al., Tetrahedron, 48, 751-758 (1992)
【非特許文献8】Kuminoto, et al., J. Antibiotics, 33, 665-667 (1980)
【非特許文献9】Takeuchi, et al., J. Antibiotics, 29, 93 96 (1976)
【非特許文献10】Tsunakawa, et al., J. Antibiotics, 41, 1366-1373 (1988)
【非特許文献11】Shimizu, et al, J. Antibiotics, 29, 2492-2503 (1982)
【非特許文献12】Langley and Thurston, J. Org. Chem., 52, 91-97 (1987)
【非特許文献13】Hara, et al., J. Antibiotics, 41, 702-704 (1988)
【非特許文献14】Itoh, et al., J. Antibiotics, 41, 1281-1284 (1988)
【非特許文献15】Leber, et al., J. Am. Chem. Soc., 110, 2992-2993 (1988)
【非特許文献16】Arima, et al., J. Antibiotics, 25, 437-444 (1972)
【非特許文献17】Kohn, in Antibiotics III. Springer-Verlag, New York, pp. 3-11 (1975)
【非特許文献18】Hurley and Needham-VanDevanter, Acc. Chem. Res., 19, 230-237 (1986)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
したがって、より少ない工程を有し、最終生成物の収率増大をもたらす、改善されたZC−423の調製方法に対してニーズがある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
1つの一般態様で、本発明は、ZC−423及びその前駆体の調製で用いるための新規な中間体を提供する。本発明は、ZC−423及びその前駆体の調製方法も提供する。
【化6】

【0019】
本発明の第1の態様ではZC−423の調製方法が提供され、その方法は、化合物(14)を重亜硫酸ナトリウムを含んでいる二相溶媒混合物で処理する工程を含み、その二相溶媒混合物が、その重亜硫酸塩の水溶液と、この水溶液とは不混和性である有機溶媒とを含んでいて、化合物(14)がその重亜硫酸塩で12時間以上処理される工程を含む。
【0020】
本発明の代替の態様としては、重亜硫酸ナトリウム塩を含んでいる溶媒混合物で化合物(14)を処理する工程を含む、ZC−423の調製方法が提供される。この溶媒混合物は、その重亜硫酸塩の水溶液と、この水溶液とは混和性である有機溶媒とを含んでいる。この有機溶媒はプロトン性溶媒であり得るものであって、好ましくはアルキルアルコール(例えばイソプロピルアルコール(IPA))である。
【化7】

【0021】
本発明の第2の態様では化合物(14)の調製方法が提供され、その方法は、化合物(13)を反応させる工程を含む。好ましくは化合物(13)は還元剤と反応させる。
【化8】

【0022】
本発明の第3の態様では化合物(13)の調製方法が提供され、その方法は、化合物(12)をメトキシフェニルボロン酸と反応させる工程を含む。好ましくはこの反応はパラジウム錯体及び塩基の存在下に行われる。
【化9】

【0023】
本発明の第4の態様では化合物(12)の調製方法が提供され、その方法は、化合物(11)を反応させる工程を含む。好ましくは化合物(11)は2,6−ルチジンの存在下にトリフル酸無水物(トリフルオロメタンスルホン酸無水物)と反応させる。
【化10】

【0024】
本発明の第5の態様では化合物(11)の調製方法が提供され、その方法は、化合物(10)を酸化させる工程を含む。好ましくは化合物(10)はTEMPOで酸化される。
【化11】

【0025】
本発明の第6の態様では化合物(10)の調製方法が提供され、その方法は、化合物(9)のヒドロキシ保護基を除去する工程を含む。好ましくは化合物(9)はTBAFで脱保護される。
【化12】

【0026】
本発明の第7の態様では化合物(9)の調製方法が提供され、その方法は、化合物(8)のアミド窒素原子をSEMで保護する工程を含む。好ましくは化合物(8)は塩基の存在下にSEM−Clで処理される。この塩基はn−BuLiであり得る。
【化13】

【0027】
本発明の第8の態様では化合物(8)の調製方法が提供され、その方法は、化合物(7)のヒドロキシ基をTBSで保護する工程を含む。
【化14】

【0028】
本発明の第9の態様では化合物(7)の調製方法が提供され、その方法は、化合物(6)を環化させる工程を含む。
【化15】

【0029】
本発明の第10の態様では化合物(6)の調製方法が提供され、その方法は、化合物(5)をメチル−4−ヒドロキシピロリジン−2−カルボキシラートとカップリングさせる工程を含む。
【化16】

【0030】
本発明のもう1つの態様では本発明の第1〜第10の各方法のうちの1つ又はそれ以上を含んでいるZC−423の調製方法が提供される。
【0031】
本発明はまた式(13)で表される化合物も提供するものである。
【0032】
本発明はまた化合物(14)又はZC−423を調製するための中間体としての各化合物(6)、(7)、(8)、(9)、(10)、(11)、(12)及び(13)のうちの1つ又はそれ以上の使用も提供するものである。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本明細書に記載されている各方法のうちの1つによりグラムスケールで調製されたZC−423(SG−2285)のLCMSである。主ピーク(R=13.82分)は、重亜硫酸塩の水溶液と、この水溶液とは混和性である有機溶媒とを含んでいる溶媒混合物を用いた重亜硫酸塩付加反応で生成されたZC−423のS,S体に対応している。微小ピーク(R=14.38分)は、ZC−423のS,R体に対応している。
【図2】本明細書に記載されている各方法のうちのもう1つによりグラムスケールで調製されたZC−423(SG−2285)のLCMSである。微小ピーク(R=13.82分)はZC−423のS,S体に対応しており、そして主ピーク(R=14.38分)はZC−423のS,R体に対応しており、これらは、重亜硫酸塩の水溶液と、この水溶液とは不混和性である有機溶媒とを含んでいる二相混合物を用いた重亜硫酸塩付加反応で生成されたものである。
【発明を実施するための形態】
【0034】
本発明は、ZC−423の改善された合成方法を提供するものである。本発明はまた、そのような方法で用いるための新規な中間体も提供するものである。この方法は、この化合物の調製でこれまでに記載されたことがある方法に比較してより高い収率でまたより少ない時間でZC−423を調製することを可能にするものである。
【0035】
ZC−423
本発明の1つの態様ではZC−423の調製方法が提供されるが、この方法は、重亜硫酸ナトリウム塩を含んでいる溶媒混合物で化合物(14)を処理する工程を含む。この溶媒混合物は、その重亜硫酸塩の水溶液と、この水溶液とは混和性である有機溶媒とを含み得る。この有機溶媒はプロトン性溶媒であり得る。好ましくはこのプロトン性溶媒はアルキルアルコールである。この溶媒は、好ましくはプロピルアルコールであり、最も好ましくはイソプロピルアルコール(IPA)である。化合物(14)は、この溶媒混合物中に懸濁され得る。
【0036】
メタノールはこの有機溶媒として用いられ得るが、これは、毒性の問題からさほどは好ましくない。
【0037】
この反応の生成物である、ZC−423は、この溶媒混合物中に溶解し得る。出発物質(化合物(14))は典型的にはこの溶媒混合物中に懸濁された固形物として残り、反応後処理の期間中に濾過により捕集され得る。単離される未反応出発物質(14)は、最終生成物の収率を増大させるために重亜硫酸塩で2回処理され得る。
【0038】
この重亜硫酸塩付加反応は、有機溶媒と、その重亜硫酸塩を含んでいる水溶液とを含んでいる二相混合物を用いても行われ得る。この有機溶媒は、その水溶液とは不混和性である。この有機溶媒は、化合物(14)を溶解する溶媒であり得る。有機溶媒は、DCMであり得る。この反応は、前に、(特許文献4)で報告されたものである。
【0039】
この重亜硫酸塩付加反応の収率は、化合物(14)が、重亜硫酸塩を含んでいる溶媒混合物で処理され、その溶媒混合物が、その重亜硫酸塩の水溶液と、この水溶液とは混和性である有機溶媒とを含んでいる場合は、相当に増大される。この改善された反応の収率は、(特許文献4)に報告されている55%の収率との比較では、82%である。
【0040】
もう一方では、本発明者は、この二相混合物に対して(特許文献4)に記録されている収率についても改善することができたのである。より長い反応時間がその収率を増大させることを見出したのである。好ましい反応時間は以下に考察されている。また、水性溶媒相の急速凍結工程を含めた周到な後処理操作によってもこの方法に対して62%の増大された収率がもたらされる。
【0041】
この二相溶媒系及び混和溶媒系のいずれにおいても、このZC−423生成物は、S,S−ジアステレオマー体とS,R−ジアステレオマー体の混合物として得られる。このS及びRの表記は、それぞれのベンゾジアゼピン環のC−11中心のところの立体化学のことをいう。本発明者は、この付加反応では有意な量のR,R−ジアステレオマーは生成されないことを確認している。
【0042】
他に特段の記載がない限り、用語「S,R−ジアステレオマー」が使われているときは、左手ベンゾジアゼピン環のC−11中心がS−配置を有し且つ右手ベンゾジアゼピン環のC−11中心がR−配置を有している本明細書に記載のZC−423と、左手ベンゾジアゼピン環のC−11中心がR−配置を有し且つ右手ベンゾジアゼピン環のC−11中心がS−配置を有している本明細書に記載のZC−423とを意味する。ZC−423が対称特性を持つものであることから、S,R−ジアステレオマーとR,S−ジアステレオマーとは同じものである。
【0043】
C−11中心がS−配置にあるZC−423内の右手ベンゾジアゼピン環を以下に参考のために示す。
【化17】

【0044】
ZC−423生成物中、S,S−ジアステレオマーが優勢であるか又はS,R−ジアステレオマーが優勢であるかは、その重亜硫酸塩付加反応における溶媒の選択によって決定される。
【0045】
本発明者は、この重亜硫酸塩付加が、その重亜硫酸塩の水溶液と、この水溶液とは混和性である有機溶媒とを含んでいる溶媒混合物中で行われる場合はS,S−ジアステレオマーの方が選ばれることを明確にした。
【0046】
その有機溶媒としてIPAが用いられる場合は、その生成物中のS,S−ジアステレオマーの量は96%以上で、S,R−ジアステレオマーは4%未満であることが見出された。
【0047】
本発明者は、この重亜硫酸塩付加が、その重亜硫酸塩の水溶液と、この水溶液とは不混和性である有機溶媒とを含んでいる二相混合物中で行われる場合はS,R−ジアステレオマーの方が選ばれることを明確にした。
【0048】
有機溶媒としてDCMが用いられる場合は、その生成物中のS,R−ジアステレオマーの量はおよそ90%であり、S,S−ジアステレオマーはおよそ10%であることが見出された。そのような高いS,R−ジアステレオマーの割合は、本明細書に記載されている好ましい反応条件が用いられた場合にのみ可能なことである。特には、12時間又はそれ以上(より好ましくは24時間又はそれ以上)の反応時間が必要とされ得る。さらには、その反応生成物を含んでいる水溶液は、その付加反応の完了後直ちに凍結されることを必要とし得る。
【0049】
理論に縛られることを望むものではないが、本発明者は、この二相反応条件は、熱力学生成物(S,R−ジアステレオマーのこと)の方を選び、他方その水溶液とは混和性である有機溶媒を利用する付加反応条件は、速度論生成物(S,S−ジアステレオマーのこと)の方を選ぶと考えている。
【0050】
本発明者は、DCMベースの二相反応混合物を用いている、前に(特許文献4)に記載されている重亜硫酸塩付加は、およそ66%のそのS,R−ジアステレオマー及びおよそ33%のそのS,S−ジアステレオマーを有しているZC−423生成物を生じることを見出した。本発明者は、ZC−423生成物中のS,R−ジアステレオマーの量は、重亜硫酸塩付加反応の時間を長くすることによって増大され得ることを明確にした。これは、熱力学生成物の方が選ばれたものと考えられる。
【0051】
一実施形態においては、この方法には、そのS,S−ジアステレオマーとそのS,R−ジアステレオマーとを分離させる工程が含まれる。この方法には、液体クロマトグラフィーが含まれ得る。
【0052】
本発明は、また、もっぱらそのS,S−ジアステレオマー又はそのS,R−ジアステレオマーを含んでいる化合物ZC−423も提供するものである。
【0053】
一実施形態では、化合物ZC−423は、70%もしくはそれ以上、80%もしくはそれ以上、又は90%もしくはそれ以上のS,S−ジアステレオマーを含んでいる。
【0054】
もう1つの実施形態では、化合物ZC−423は、70%もしくはそれ以上、80%もしくはそれ以上、又は90%もしくはそれ以上のS,R−ジアステレオマーを含んでいる。
【0055】
二相溶媒系中で重亜硫酸塩と化合物(14)を反応させることは、(特許文献4)に記載されている。そのC−11中心のところの立体化学については記載されていない。そこに記載されているとおりにその反応を繰り返したところ、本発明者は、その後、その反応生成物には、66%のS,R−ジアステレオマー及びおよそ33%のS,S−ジアステレオマーが含まれていることを明確にした。
【0056】
(特許文献4)には、2つのピロロベンゾジアゼピン部分構造間に5−炭素リンカーを有している、ZC−423の類似体(化合物47)の合成についても記載されている。この生成物のC−11中心の立体化学は、S,Sと記載されている。どのようにしてこの生成物の立体化学が割り当てられたかについての示唆はないし、その反応混合物中の各生成物の比についても示唆はない。
【0057】
分離されたそれぞれのジアステレオマーの立体化学を測定するためには、分離されたZC−423生成物のH NMR分析が用いられ得る。S,S−ジアステレオマーとS,R−ジアステレオマーの分離に用いるのには液体クロマトグラフィー法が適していることが見出されている。本発明で述べた方法は1つのジアステレオマーをもう1つのジアステレオマーよりも大過剰で生成させることを可能にするものである。その優勢ジアステレオマーの特定名を測定するためには、この方法の生成物はNMRによって直接分析され得る。以前は、この生成物混合物が比肩量のそれぞれのジアステレオマーを含んでいる場合、その主生成物の特定には、この混合生成物のNMR分析は、容易には用いられ得なかった。
【0058】
本発明は、また、70%もしくはそれ以上、80%もしくはそれ以上、又は90%もしくはそれ以上のS,S−ジアステレオマー又はS,R−ジアステレオマーを有している化合物の調製方法も提供するものである。
【0059】
S,S−ジアステレオマーの調製方法は、先に記載したように、重亜硫酸塩の水溶液と、この水溶液とは混和性である有機溶媒とを含んでいる溶媒混合物中のその重亜硫酸塩で化合物(14)を処理する工程を含み得る。
【0060】
つまり、本発明のもう1つの態様では、S,R−ジアステレオマーの調製方法は、12時間又はそれ以上、又は、最も好ましくは、24時間又はそれ以上、重亜硫酸塩で化合物(14)を処理する工程を含み得る。本明細書に記載されている二相溶媒系が用いられ得る。
【0061】
S,R−ジアステレオマーの調製方法は、化合物(14)を重亜硫酸塩で4時間又はそれ未満、2時間又はそれ未満、又は、最も好ましくは1時間又はそれ未満処理する工程を含み得る。本明細書に記載されている混和性有機溶媒を含んでいる溶媒系が用いられ得る。
【0062】
二相溶媒混合物系付加反応及び混和溶媒混合物系付加反応のいずれにおいても、ZC−423生成物中のS,S−ジアステレオマー対S,R−ジアステレオマーの比は反応の後処理の期間中に変化することが観察されている。しかしながら、このジアステレオマーの比は、本明細書に記載されている方法によって化合物ZC−423が精製される場合は、維持され得る(又は変化が最少とされ得る)。特には、ジアステレオマー比の変化は、この付加反応の完了の直後に(又はその後間もなく)その生成物を溶媒中で凍結させることによって限定又は維持され得ることが見出された。この溶媒は、典型的には、その付加反応で用いられる溶媒であって、その付加反応で用いられた実際の溶媒であってもよい。
【0063】
混和性有機溶媒を用いる付加反応では、その反応溶媒混合物は、例えばLCMS又はTLCによってその反応が完了したものとみなされた後すぐに凍結され得る。別法としては、その反応溶媒混合物は、不溶不純物(例えば未反応出発物質)を除去するためにその混合物が濾過された後すぐに凍結され得る。
【0064】
不混和性有機溶媒を用いる付加反応では、その二相溶媒混合物の有機相と水相とが分離された後すぐに、ZC−423を含有している反応溶媒が凍結され得る。ZC−423は、典型的には、その水相中に含有されていて、この溶媒が、その有機相から分離された後すぐに(又は任意の適切な抽出・洗浄工程の後間もなく)凍結され得る。
【0065】
つまり本発明は、ZC−423の調製方法を提供するものであり、その方法には、ZC−423の生成反応が完了したものとみなされた後すぐにZC−423を含んでいる溶媒を凍結させる工程が含まれる。
【0066】
用語「後すぐに」は、記載されている事象の5分後又はそれ未満、15分後又はそれ未満、30分後又はそれ未満、又は60分又後はそれ未満を意味すると解釈され得る。
【0067】
溶媒の温度を0℃又はそれ以下に、−10℃又はそれ以下に、−70℃又はそれ以下に、−100℃又はそれ以下に、又は−190℃又はそれ以下に低下させることによってその溶媒は凍結され得る。適切な冷却バスを用いた適する冷却法は当技術分野の熟練化学者にはよく知られている。その溶媒の温度を−190℃又はそれ以下に低下させることによって溶媒を凍結させることが好ましい。これは液体窒素バスを用いて達成され得る。
【0068】
その溶媒は、その物質を凍結乾燥させるのに適した温度とされる。
【0069】
その反応混合物を濾過して未反応出発物質を除去した後(又はその各溶媒相を分離させた後)、必要な場合は、反応溶媒は、好ましくは液体窒素バスを用いて、凍結されて凍結乾燥される。その溶媒は、好ましくは、1〜5日の期間(好ましくはおよそ3日の期間)かけて乾燥される。
【0070】
この凍結された溶媒は、最初は、およそ−190℃又はそれ以下に、その有機溶媒(存在している場合)の大半が除去されるまで、維持されることが好ましい。
【0071】
その溶液が凍結された後、凍結乾燥される。この凍結された溶液は乾燥の期間中はその凍結温度に維持されてよく、その後昇温される(まだ乾燥しながら)。好ましくはこの凍結された溶液はおよそ−190℃又はそれ以下に少なくとも3時間維持され、その後昇温される。
【0072】
この凍結乾燥処理により実質的に溶媒を含まないZC−423が得られる。
【0073】
この凍結乾燥工程から得られる物質は有機溶媒(好ましくは酢酸エチル)に取り込まれ得る。得られる懸濁液は、このあと濾過され、さらなる溶媒で洗浄され、そして乾燥されて、このZC−423生成物が実質的に不純物を含まない形態で得られる。
【0074】
化合物(14)
本発明は、ZC−423の調製における式(14)で表される化合物の使用を提供する。
【0075】
化合物(14)は、化合物(13)を還元剤と反応させることを含め、化合物(13)から調製され得る。
【0076】
この還元剤は、LiBH及びNaBHから選択され得る。好ましくはこの還元剤はLiBHである。
【0077】
還元剤で化合物(13)を処理した後は、SEM脱保護試薬が、適切な場合に加えられ得る。このSEM脱保護試薬は好ましくは酸であって、最も好ましくは有機酸である。本発明者は、ギ酸を用いると58%の収率をもたらし、優れた効果が得られることを見出した。クエン酸はさらにより高い収率(75%)をもたらす。シリカと比較してクエン酸やギ酸のような有機酸を用いるのは大型規模においてより実用的である。
【0078】
代替の実施形態では、シリカゲルがこのSEM脱保護試薬として用いられ得る。シリカゲルは、ギ酸やクエン酸介在反応の収率と比較してより高い収率(98%)でこの生成物を発生させるために用いられ得る。
【0079】
化合物(13)からの化合物(14)の調製は、中間体(13b)を経て進行し得る。
【化18】

【0080】
中間体(13b)は化合物(14)の還元によって調製される。この還元工程の後中間体(13b)は単離せずに、SEM脱保護試薬で処理して、化合物(14)を得ることが好ましい。好ましくは化合物(13b)は、その調製又は単離の24時間以内に用いられる。最も好ましくは、中間体(13b)は、その調製又は単離の4時間以内、2時間以内、又は1時間以内に用いられる。
【0081】
LiBHはNaBHよりも強力な還元剤であるので、その還元反応をより速い速度で進行させる。結果として、生成物13bは、きわめて過還元しやすいイミンに変換される前にすぐに単離され得る。
【0082】
化合物(13)
本発明は、化合物(14)又は化合物ZC−423の調製で用いるための式(13)で表される化合物を提供する。
【0083】
化合物(13)は、化合物(12)をメトキシフェニルボロン酸と反応させることによって調製され得る。好ましくはこの反応は、パラジウム錯体及び塩基の存在下に行われる。
【0084】
このパラジウム錯体は、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(Pd[PPh)であり得る。
【0085】
その塩基は、金属炭酸塩であり得る。この金属炭酸塩は、アルカリ金属炭酸塩、好ましくは炭酸ナトリウムであり得る。
【0086】
この反応は、好ましくは、酸素を含まない雰囲気下で行われる。酸素の排除は、生成物質の収率を最大化させる。窒素雰囲気が用いられ得る。
【0087】
この反応は30℃又はそれ以下で行われ得る。関連の基質で、より高い温度は、そのC11a位のところで塩基介在ラセミ化を引き起こすことが見出された。そのようなラセミ化は関連の基質で観察されたことがある(Antonow et al 2007を参照されたい)。
【0088】
その塩基は有機塩基であり得る。一実施形態ではこの塩基はTEAであり得る。
【0089】
この反応生成物は、部分的に反応した物質を除去するために、精製され得る。
【0090】
メトキシフェニルボロン酸と化合物(13)のカップリング反応の収率は、メトキシフェニルボロン酸と、前に当技術分野で記載されたことがあるトリフラート化合物(以下に示す化合物(20)で、特許文献4に記載されている)との対応する反応の収率と同じ(87%)である。前に記載されたトリフラート化合物は、本合成で報告されているSEM保護基ではなくTroc保護基を利用している。さらには、前に記載されたトリフラート化合物はシリルエーテル基を有しているが化合物(13)はカルボニル官能を含有している。
【化19】

【0091】
このカップリングパートナー構成の変更はこのカップリング反応の収率を低下させるものではない。
【0092】
化合物(12)
本発明は、化合物(14)又は化合物ZC−423の調製における式(12)で表される化合物の使用を提供する。化合物(12)には化合物(13)の調製における使用も見出され得る。
【0093】
化合物(12)は、式(11)で表わされる化合物から調製され得る。好ましくは化合物(11)は塩基の存在下に無水トリフル酸と反応させる。この塩基は有機塩基であり得る。一実施形態ではこの有機塩基はピリジン及び2,6−ルチジンから選択される。好ましくはこの塩基は2,6−ルチジンである。
【0094】
このトリフル化反応では2,6−ルチジンの使用によりピリジンに比較してより優れた収率が得られる。2,6−ルチジンの使用により典型的には59%の収率が得られる。同じ反応でピリジンを用いるとたったの39%の生成物収率しか得られない。
【0095】
加えて、2,6−ルチジンの使用は、そのトリフル化反応時間を著しく短縮させる。このピリジン反応での最適収率は6時間後に得られるが、この2,6−ルチジン反応での最適収率は1時間後に得られる。
【0096】
本発明者は、また、この反応が低下された温度で行われる場合は収率のさらなる増大が得られ得ることを明確にしたのである。0℃では、この2,6−ルチジン反応での収率は59%であるがこの反応を−45℃で繰り返すとその収率を70%よりも高く増大させる。
【0097】
この有機塩基は、好ましくは、0℃又はそれ以下(又は−45℃又はそれ以下)で化合物(11)の溶液に加えられる。この有機塩基が添加されている期間中はこの溶液の温度はその意図されている反応温度の5℃以内に維持されるべきである。
【0098】
化合物(11)
本発明は、化合物(14)又は化合物ZC−423の調製における式(11)で表される化合物の使用を提供する。化合物(11)には式(12)及び(13)で表される各化合物の調製における使用も見出され得る。
【0099】
化合物(11)は、化合物(10)を酸化させることによって調製され得る。好ましくは化合物(10)はTEMPOで酸化される。
【0100】
このTEMPO介在酸化反応は、漂白剤の存在下に行われ得る。一実施形態ではこの漂白剤はTCCAである。
【0101】
代替の実施形態ではこの漂白剤は次亜塩素酸塩であり、最も好ましくは次亜塩素酸ナトリウムである。その反応混合物に次亜塩素酸塩が加えられる時は、その反応混合物の温度は0〜5℃に保持される。
【0102】
化合物(10)は、スワーン型(Swern-type)酸化条件下で酸化され得る。つまり化合物(10)は、塩化オキサリルとDMSOの混合物で処理され得る。この塩化オキサリルとDMSOは、化合物(10)が加えられる前に組み合わせられ得る。この反応混合物にはこの後塩基が加えられ得る。この塩基は有機塩基であり得、そして最も好ましくはTEAである。
【0103】
化合物(10)
本発明は、化合物(14)又は化合物ZC−423の調製における式(10)で表される化合物の使用を提供する。化合物(10)には化合物(11)、(12)及び(13)の調製における使用も見出され得る。
【0104】
化合物(10)は、化合物(9)のヒドロキシ保護基を除去することによって調製され得る。好ましくは化合物(9)はTBAFで脱保護される。
【0105】
化合物(9)
本発明は、化合物(14)又は化合物ZC−423の調製における式(9)で表される化合物の使用を提供する。化合物(9)には化合物(10)、(11)、(12)及び(13)の調製における使用も見出され得る。
【0106】
化合物(9)は、化合物(8)のアミド窒素原子をSEMで保護することによって調製され得る。化合物(8)は、塩基の存在下にSEM−Clで処理され得る。この塩基はn−BuLiであり得る。化合物(8)は、最初に、塩基で処理され得る。SEM−Clは、そのあと、続いて加えられ得る。別法としては、この塩基及びSEM−Clは、ほぼ同時期に化合物(8)に加えられ得る。この反応は、エーテル溶媒(好ましくはTHF)中で行われ得る。
【0107】
化合物(8)
本発明は、化合物(14)又は化合物ZC−423の調製における式(8)で表される化合物の使用を提供する。化合物(8)には化合物(9)、(10)、(11)、(12)及び(13)の調製における使用も見出され得る。
【0108】
化合物(8)は、化合物(7)から調製され得る。化合物(8)の調製方法には、化合物(7)のヒドロキシ基をTBSで保護する工程が含まれる。好ましくは化合物(7)は、塩基の存在下にTBS−Clで処理される。好ましくはこの塩基は有機塩基である。この塩基はイミダゾールであり得る。
【0109】
化合物(7)
本発明は、化合物(14)又は化合物ZC−423の調製における式(7)で表される化合物の使用を提供する。化合物(7)には化合物(8)、(9)、(10)、(11)、(12)及び(13)の調製における使用も見出され得る。
【0110】
化合物(7)は、化合物(6)から調製され得る。化合物(7)の調製方法には、化合物(6)を環化させる工程が含まれる。
【0111】
本発明の好ましい実施形態では、化合物(6)は、触媒の存在下に水素で処理され得る。この触媒は、Pd/C触媒であり得る。この反応は、大気圧よりも高い圧力で行われ得る。好ましくはこの反応は50psi(およそ345kPa)で行われる。Parr水素化装置が用いられ得る。
【0112】
化合物(6)は、最初に、触媒の存在下に水素で処理され得る。続いて、ヒドラジンが加えられ得る。一実施形態においては、その反応混合物は、その触媒を除去するために精製され、その後その反応原料にヒドラジンが加えられる。典型的には、この反応混合物は、固体触媒を除去するために濾過される。この触媒部材の大半を除去するためには二重濾過が必要とされ得る。
【0113】
この反応にはヒドラジン水和物が用いられ得る。この反応は、還流にて行われ得る。この反応にはエタノールが溶媒として用いられ得る。この反応混合物の最初の濾過は加熱下で行われることが好ましい。
【0114】
別法としては、化合物(6)は、ラネーニッケル触媒の存在下にヒドラジンで処理され得る。好ましくはこの反応温度は、30〜85℃、より好ましくは45〜75℃、そして最も好ましくは50〜65℃である。
【0115】
この反応にはメタノールが溶媒として用いられ得、その場合その反応は還流下(およそ65℃)で行われ得る。
【0116】
本発明者は、ラネーニッケルとヒドラジンの組み合わせはPd/C触媒単独での水素に比較してより優れた結果をもたらすことを明確にした。類似のニトロ化合物(化合物(16)で、これは以下にある「好ましい方法」の項に示されている)に関して(特許文献4)に記載されている亜ジチオン酸ナトリウム介在反応に比較するといずれの方法によっても改善された収率がもたらされる。本発明には亜ジチオン酸ナトリウム介在還元が用いられ得るが、先に記載した各方法が最も好ましい。
【0117】
前に、(特許文献2)に、水素でのPd/Cとその後のHCl処理工程を用いる還元的環化について記載された。この方法は、化合物(6)の化合物(7)への変換に適応され得る。しかしながら、この反応はその生成物のラセミ化をもたらし得るので、先に記載した方法が、その結果として、好ましい。
【0118】
化合物(6)
本発明は、化合物(14)又は化合物ZC−423の調製における式(6)で表される化合物の使用を提供する。化合物(6)には式(7)、(8)、(9)、(10)、(11)、(12)及び(13)で表される各化合物の調製における使用も見出され得る。
【0119】
化合物(6)は、化合物(5)から調製され得る。化合物(6)は、化合物(5)をメチル−4−ヒドロキシピロリジン−2−カルボキシラートとカップリングさせることによって調製され得る。好ましくはこのカルボキシラートは(2S,4R)−メチル−4−ヒドロキシピロリジン−2−カルボキシラートである。好ましくはこのカルボキシラートの塩酸塩が用いられる。そのパラトルエンスルホン酸(p−TSOH)塩も用いられ得るが、これはさほどは好ましくない。
【0120】
化合物(6)は、対応する酸塩化物化合物を得るために最初に活性化剤で処理され得る。この化合物は、単離されて、後の使用のために保存され得る。この酸塩化物はこのあとメチル−4−ヒドロキシピロリジン−2−カルボキシラートに加えられ得る。
【0121】
その活性化剤は、化合物(5)の活性エステル体を生成させるために加えられる。好ましくはこの活性化剤は、塩化オキサリルである。
【0122】
好ましくはこのカップリング反応は、塩基の存在下に行われる。この塩基は、有機塩基であり得る。TEAが用いられ得る。
【0123】
本発明者は、化合物(6)は、化合物(5)からベンゾジアゼピン含有化合物を調製するのに有利に用いられ得ることを明確にした。化合物(5)は、化合物(7)及びその類似体を合成するための中間体として用いられ得る。(特許文献4)に開示されている経路とは対照的に、式(8)で表されるベンゾジアゼピン含有化合物は、化合物(5)から化合物(7)を経て2工程で到達され得る。対照的に、(特許文献4)には、5工程で化合物(5)からベンゾジアゼピン含有化合物を調製することが記載されている。
【0124】
化合物(5)
式(5)で表される化合物の合成は、本出願人の前の出願(特許文献4)に記載されている。そこに記載されている化合物(5)の調製は、特定的に、本明細書に参照により組み込まれる。前のこの出願にある実施例1は特に関連している。国際公開第00/012508号パンフレットにも化合物(5)の調製が記載されていて、本明細書に参照により組み込まれる。
【0125】
簡潔には、化合物(5)は、化合物(2)から誘導される。
【化20】

【0126】
化合物(2)は二量体化されて、化合物(3)が得られる。
【化21】

【0127】
この二量体上のヒドロキシル基はこのあとニトロ基に変換されて、化合物(4)が得られる。
【化22】

【0128】
化合物(4)のメチルエステルを加水分解することによって(4)から化合物(5)が得られる。
【0129】
本発明の一実施形態では、化合物(6)〜化合物(14)及び化合物ZC−423のうちのいずれか1つの調製には、先に記載した、及び(特許文献4)及び国際公開第00/012508号パンフレットに開示されている各工程のうちのいずれか1つが含まれる。
【0130】
ZC−423の好ましい合成
本発明の1つの態様では先に記載した各工程のうちの1つ又はそれ以上を含んでいるZC−423の調製方法が提供される。好ましい実施形態では、このZC−423の調製には先に記載した各工程のうちの2つ又はそれ以上が含まれる。
【0131】
ZC−423は、複数の工程の合成で調製され得る。この合成における中間体は、先に考察した各化合物のうちの1つ又はそれ以上であり得る。
【0132】
ZC−423の好ましい調製方法においては、その方法には、以下の各方法:
(i)本明細書に記載されているように化合物(10)を酸化させることによる化合物(11)の合成;
(ii)本明細書に記載されているように化合物(11)を反応させることによる化合物(12)の合成;
(iii)本明細書に記載されているように化合物(12)をメトキシフェニルボロン酸と反応させることによる化合物(13)の合成;及び
(iv)本明細書に記載されているように化合物(14)を重亜硫酸塩と反応させることによるZC−423の合成;
のうちの1つ又はそれ以上が含まれる。
【0133】
工程(iv)では、ZC−423は、重亜硫酸塩の水溶液とこの水部分とは混和性である有機溶媒とを含んでいる混合物で化合物(14)を処理することによって調製され得る。別法としては、ZC−423は、重亜硫酸塩の水溶液とこの水部分とは不混和性である有機溶媒とを含んでいる二相混合物で化合物(14)を処理することによって調製され得る。
【0134】
ZC−423の調製で工程(i)〜工程(iv)が組み合わせで用いられる場合は、化合物(10)から生成物ZC−423への全体収率は、前に文献に記載されている調製に比較すると、著しく増大されている。
【0135】
一実施形態では、ZC−423の調製方法には、先に考察した工程(i)〜工程(iv)のうちの1つ又はそれ以上、及びさらに以下の各工程:
(v)本明細書に記載されているように化合物(2)から化合物(5)の合成;
(vi)本明細書に記載されているようにメチル−4−ヒドロキシピロリジン−2−カルボキシラートと化合物(5)をカップリングさせることによる化合物(6)の合成;
(vii)本明細書に記載されているように化合物(6)を環化させることによる化合物(7)の合成;
(vii)本明細書に記載されているように化合物(7)のヒドロキシル基をTBSで保護することによる化合物(8)の合成;
(viii)本発明に記載されているように化合物(8)のアミド窒素原子をSEMで保護することによる化合物(9)の合成;及び
(ix)本明細書に記載されているように化合物(9)のヒドロキシ保護基を除去することによる化合物(10)の合成;
のうちの1つ又はそれ以上が含まれ得る。
【0136】
一実施形態では、ZC−423は、化合物(5)から、式(6)〜(14)(両端は含まれる)で表される各化合物のそれぞれを経て、調製され得る。好ましくはこの合成には先に記載した工程(i)〜工程(ix)のそれぞれが含まれる。前に(特許文献4)に開示されている化合物(5)からの合成に比較すると、この経路にはより少ない化学変換が含まれる。さらには、この経路では、化合物(5)からZC−423までの合わせた全体反応時間が短縮される。
【0137】
ZC−423の化合物が化合物(5)から調製される場合、その合成の1つ又はそれ以上の工程は、本明細書に記載されている最も好ましい条件を利用し得る。最も好ましい反応条件の使用は、(特許文献4)に開示されている経路の全体収率に比較して、より高い収率でZC−423を調製することを可能にする。
【0138】
ベンゾジアゼピン環を調製するための方法
(特許文献4)には二量体構造にあるベンゾジアゼピン環の調製が記載されている。この環の最初の調製は化合物(5)から始まり、これが化合物(15)とカップリングされて、化合物(16)が得られる。
【化23】

【0139】
化合物(16)のニトロ基がこのあと還元されて、化合物(17)が得られる。
【化24】

【0140】
そのシリル保護基を除去するために化合物(17)はこのあと処理されて、化合物(18)が得られる。
【化25】

【0141】
TEMPO及びBAIB(ビスアセトキシヨードベンゼン)で処理することにより化合物(18)はこのあと式(19)で表されるベンゾジアゼピン二量体化合物に変換される。
【化26】

【0142】
化合物(19)は、先の化合物(13)との関連で記載した化合物(20)の調製に用いられる。
【0143】
本発明者は、一対のベンゾジアゼピン環を含んでいる二量体が、(特許文献4)に記載されている方法に比較して、より高い収率で、また、より少ない工程で、化合物(5)から調製され得ることを明確にしたのである。
【0144】
つまり、本明細書に記載した好ましい方法は、式(7)で表されるベンゾジアゼピン含有化合物を2つの工程及び79%の全体収率で化合物(5)から調製することを可能にするものである。対照的に、(特許文献4)に記載されている最初のベンゾジアゼピン含有化合物は、5つの工程及び15%の全体収率で化合物(5)から得られる化合物(19)である。
【実施例】
【0145】
略記号
本明細書では以下の略記号が使われている。
【0146】
DCM ジクロロメタン
DMF N,N−ジメチルホルムアミド
DMSO ジメチルスルホキシド
IPA イソ−プロピルアルコール
SEM 2−(トリメチルシリル)エトキシメチル
TBAF テトラブチルアンモニウムフルオリド
TBS tert−ブチルジメチルシリル
TCCA トリクロロイソシアヌル酸
TEMPO 2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル
TEA トリエチルアミン
Tf トリフラート;トリフルオロメタンスルホニル
TLC 薄層クロマトグラフィー
TROC 2,2,2−トリクロロエトキシカルボニル
【0147】
実験の詳細
【0148】
一般情報
反応の進行は、アルミニウムプレートに蛍光指示薬が付いた、Merck Kieselgel 60 F254シリカゲルを用いる薄層クロマトグラフィー(TLC)により追跡した。そうでないと記載されていない限り、TLCの可視化は、UV光又はヨウ素蒸気で達成された。フラッシュクロマトグラフィーは、Merck Kieselgel 60 F254シリカゲルを用いて行われた。抽出溶媒及びクロマトグラフィー溶媒はFisher Scientific(U.K.)から購入し、さらに精製することなく用いた。化学薬品は、すべて、Aldrich、Lancaster又はBDHから購入した。
【0149】
H及び13C NMRスペクトルは、Bruker Avance 400分光計で得た。カップリング定数はヘルツ(Hz)で見積もられている。化学シフトは、テトラメチルシランの低磁場側への100万分の1単位(ppm)で記録されている。スピン多重性は、s(一重線)、bs(ブロード一重線)、d(二重線)、t(三重線)、q(四重線)、p(五重線)及びm(多重線)として記載されている。IRスペクトルは、ATR「ゴールデンゲート」装置を用いてサンプルをクロロホルムの溶液に適用することによってPerkin−Elmer FT/IRパラゴン1000分光光度計で記録した。旋光度は、Bellingham and Stanley ADP 220偏光計を用いて周囲温度で測定された。質量分光分析はThermo Electron製ThermoQuest Navigatorで行い、エレクトロスプレー(ES)は20〜30Vで取得された。精確な質量測定は、Micromass Q−TOFグローバルタンデムを用いて行った。サンプルは、すべて、溶媒として50%アセトニトリル/水+0.1%ギ酸を用いてエレクトロスプレーイオン化モード下で流した。サンプルは、FWHHで典型的な19000の分解能を与えるWモードで流した。この機器は、測定直前に[Glu]−Fibrinopeptide Bで検定した。
【0150】
このLC/MS条件は以下のとおりであった。HPLC(Waters Alliance 2695)は、水(A)(ギ酸0.1%)+アセトニトリル(B)(ギ酸0.1%)の移動相を用いて流した。勾配:初期組成5%Bを1.0分かけてそのあと5%B→95%Bを3分以内で行った。その組成は0.5分間95%Bで保持され、そしてそのあと5%Bに0.3分で戻された。勾配運転合計時間は5分である。流量は3.0mL/分で、400μLを、質量分光計に通じているゼロ死容積T字型ピースを介して分けた。波長検出範囲:220〜400nm。関数型:ダイオードアレイ(535スキャン)。カラム:Phenomenex(登録商標)OnyxMonolithic C18 50×4.60mm。
【0151】
化合物(5)の調製
式(3)及び(4)で表される各化合物を経て化合物(2)からニトロ−安息香酸5を合成するための方法は国際公開第00/012508号パンフレット及び国際公開第2006/111759号パンフレット(特許文献6)に開示されている。以下のスキーム1にその調製を図示する。
【0152】
スキーム1
【化27】

【0153】
化合物(6)〜化合物(14)及び化合物ZC−423の調製
スキーム2−化合物6〜化合物10の調製
【化28】

【0154】
化合物(6)
1,1’−[[(プロパン−1,3−ジイル)ジオキシ]ビス[(5−メトキシ−2−ニトロ−1,4−フェニレン)カルボニル]]ビス[(2S,4R)−メチル−4−ヒドロキシピロリジン−2−カルボキシラート]
方法A:撹拌溶液ニトロ−安息香酸5(1.0g、2.15mmol)+塩化オキサリル(0.95mL、1.36g、10.7mmol)/乾燥THF(20mL)に触媒量のDMF(2滴)を加えた(泡立つ!)。この反応混合物を室温にて16時間撹拌し、その溶媒を真空で蒸発させることにより除去した。得られた残留物を乾燥THF(20mL)に再溶解させ、この酸塩化物溶液を窒素雰囲気下の−30℃(ドライアイス/エチレングリコール)にある撹拌混合物(2S,4R)−メチル−4−ヒドロキシピロリジン−2−カルボキシラートヒドロクロリド(859mg、4.73mmol)+TEA(6.6mL、4.79g、47.3mmol)/THF(10mL)に滴下で加えた。この反応混合物を室温まで昇温させ、さらに3時間撹拌した。このあとTLC(95:5v/vCHCl/MeOH)及びLC/MS(2.45分(ES+)m/z(相対強度)721([M+H],20))により生成物の生成が明らかにされた。ロータリーエバポレーターにより過剰THFを除去し、得られた残留物をDCM(50mL)に溶解させた。その有機層を、1N HCl(2×15mL)、飽和NaHCO(2×15mL)、HO(20mL)、ブライン(30mL)で洗浄し、乾燥(MgSO)させた。濾過し、その溶媒を蒸発させることにより粗製の生成物を暗色の油状物として得た。フラッシュクロマトグラフィー(勾配溶離:100%CHCl→96:4v/vCHCl/MeOH)による精製により不純物を含まないアミド6がオレンジ色をしたガラス状物(840mg、54%)として単離された。
【0155】
方法B:撹拌懸濁液ニトロ−安息香酸5(17.3g、37.1mmol)+DMF(2mL)/無水DCM(200mL)に塩化オキサリル(9.75mL、14.2g、111mmol)を加えた。最初泡立った後この反応懸濁液は溶液になり、この混合物を16時間室温にて撹拌した。この反応混合物のサンプルをMeOHで処理することにより酸塩化物への変換が確認され、LC/MSにより得られたビス−メチルエステルが観測された。大半の溶媒を真空で蒸発させることにより除去して、得られた濃縮溶液を最少量の乾燥DCMに再溶解させ、ジエチルエーテルで粉砕した。得られた黄色の沈殿物を濾過により捕集して、冷ジエチルエーテルで洗浄し、40℃にある真空オーブン中で1時間乾燥させた。この固体酸塩化物を−40℃(ドライアイス/CHCN)にある撹拌懸濁液(2S,4R)−メチル−4−ヒドロキシピロリジン−2−カルボキシラートヒドロクロリド(15.2g、84.0mmol)+TEA(25.7mL、18.7g、185mmol)/DCM(150mL)に25分の時間をかけて少しずつ加えた。LC/MS(2.47分(ES+)m/z(相対強度)721([M+H]、100))から判断して、すぐに、この反応は完了していた。この混合物をDCM(150mL)で希釈し、1N HCl(300mL)、飽和NaHCO(300mL)、ブライン(300mL)で洗浄し、濾過し(相分離器に通して)、その溶媒を真空で蒸発させて、不純物を含まない生成物6をオレンジ色の固形物(21.8g、82%)として得た。
【0156】
分析データ:[α]22D = -46.1° (c = 0.47, CHCl3); 1H NMR (400 MHz, CDCl3) (回転異性体) δ 7.63 (s, 2H), 6.82 (s, 2H), 4.79-4.72 (m, 2H), 4.49-4.28 (m, 6H), 3.96 (s, 6H), 3.79 (s, 6H), 3.46-3.38 (m, 2H), 3.02 (d, 2H, J = 11.1 Hz), 2.48-2.30 (m, 4H), 2.29-2.04 (m, 4H); 13C NMR (100 MHz, CDCl3) (回転異性体) δ 172.4, 166.7, 154.6, 148.4, 137.2, 127.0, 109.7, 108.2, 69.7, 65.1, 57.4, 57.0, 56.7, 52.4, 37.8, 29.0; IR (ATR, CHCl3) 3410 (br), 3010, 2953, 1741, 1622, 1577, 1519, 1455, 1429, 1334, 1274, 1211, 1177, 1072, 1050, 1008, 871 cm-1; MS (ES+) m/z (相対強度) 721 ([M + H]+, 47), 388 (80); HRMS [M + H]+ 理論 C31H36N4O16 m/z 721.2199, 実測 (ES+) m/z 721.2227。
【0157】
化合物(7)
1,1’−[[(プロパン−1,3−ジイル)ジオキシ]ビス(11aS,2R)−2−(ヒドロキシ)−7−メトキシ−1,2,3,10,11,11a−ヘキサヒドロ−5H−ピロロ[2,1−c][1,4]−ベンゾジアゼピン−5,11−ジオン]
方法A:懸濁液10%Pd/C(7.5g、10%w/w)/DMF(40mL)を溶液ニトロ−ベンゾアートエステル6(75g、104mmol)/DMF(360mL)に加えた。この懸濁液をParr水素化装置中で8時間かけて水素化した。その水素取り込みが停止した後LC/MS(2.12分(ES+)m/z(相対強度)597([M+H],100),(ES−)m/z(相対強度)595([M+H],100))によりこの反応の進行を追跡した。濾過により固体Pd/Cを除去し、その濾液を40℃の真空下(10mbar以下)にあるロータリーエバポレーターにより濃縮して、微量のDMF及び残留の炭を含有している暗色の油状物を得た。ウォーターバス(ロータリーエバポレーターバス)上でこの残留物を40℃にあるEtOH(500mL)に温浸し、得られた懸濁液をセライトに通して濾過し、エタノール(500mL)で洗浄して、透明な濾液を得た。この溶液にヒドラジン水和物(10mL、321mmol)を加え、この反応混合物を還流で加熱した。20分後に白色の沈殿物の生成が観察されたのでさらに30分間還流を続けた。この混合物を室温まで冷却させ、その沈殿物を濾過により回収し、ジエチルエーテル(沈殿物の21体積)で洗浄し、真空デシケーターで乾燥させて7(50g、81%)を得た。
【0158】
方法B:溶液ニトロ−ベンゾアートエステル6(6.80g、9.44mmol)/MeOH(300mL)を3頸丸底フラスコ中のRaney(商標)ニッケル(4大スパチュラ末端部量のおよそ50%スラリー/HO)+突沸防止粒子に加えた。この混合物を還流で加熱し、その後ヒドラジン水和物(5.88mL、6.05g、188mmol)のMeOH(50mL)溶液で滴下で処理した。この時点で激しい泡立ちが観察された。この添加が完了した時(およそ30分)さらなるRaney(商標)ニッケルを泡立ちが止むまで注意して加えたところ最初にあったこの反応混合物の黄色の色は解消された。この混合物をさらに30分間還流で加熱した。この時点でこの反応はTLC(90:10v/vCHCl/MeOH)及びLC/MS(2.12分(ES+)m/z(相対強度)597([M+H],100))により完了とみなされた。この反応混合物をおよそ40℃まで冷却させ、そのあと真空吸引なしの焼結漏斗を通す濾過により過剰ニッケルを除去した。この濾液の量を真空で蒸発させることにより低減させた。この時点で無色の沈殿物が生成したので、これを濾過により捕集し、真空デシケーター中で乾燥させて7(5.40g、96%)を得た。
【0159】
分析データ:[α]27D = +404° (c = 0.10, DMF); 1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 10.2 (s, 2H, NH), 7.26 (s, 2H), 6.73 (s, 2H), 5.11 (d, 2H, J = 3.98 Hz, OH), 4.32 4.27 (m, 2H), 4.19-4.07 (m, 6H), 3.78 (s, 6H), 3.62 (dd, 2H, J = 12.1, 3.60 Hz), 3.43 (dd, 2H, J = 12.0, 4.72 Hz), 2.67-2.57 (m, 2H), 2.26 (p, 2H, J = 5.90 Hz), 1.99 1.89 (m, 2H); 13C NMR (100 MHz, DMSO-d6) δ 169.1, 164.0, 149.9, 144.5, 129.8, 117.1, 111.3, 104.5, 54.8, 54.4, 53.1, 33.5, 27.5; IR (ATR, ニート) 3438, 1680, 1654, 1610, 1605, 1516, 1490, 1434, 1379, 1263, 1234, 1216, 1177, 1156, 1115, 1089, 1038, 1018, 952, 870 cm-1; MS (ES+) m/z (相対強度) 619 ([M + Na]+, 10), 597 ([M + H]+, 52), 445 (12), 326 (11); HRMS [M + H]+ 理論 C29H32N4O10 m/z 597.2191, 実測 (ES+) m/z 597.2205。
【0160】
化合物(8)
1,1’−[[(プロパン−1,3−ジイル)ジオキシ]ビス(11aS,2R)−2−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)−7−メトキシ−1,2,3,10,11,11a−ヘキサヒドロ−5H−ピロロ[2,1−c][1,4]−ベンゾジアゼピン−5,11−ジオン]
TBSCl(317mg、2.1mmol)及びイミダゾール(342mg、5.03mmol)を混濁溶液テトララクタム7(250mg、0.42mmol)/無水DMF(6mL)に加えた。この混合物を3時間窒素雰囲気下で撹拌した。LC/MS(3.90分(ES+)m/z(相対強度)825([M+H]、100))により判断したところこの時点でその反応は完了していたとみなされた。この反応混合物を氷(およそ25mL)上に注ぎ入れ、撹拌しながら室温まで昇温させた。得られた白色の沈殿物を真空濾過により捕集し、HO、ジエチルエーテルで洗浄し、真空デシケーター中で乾燥させて不純物を含まない8(252mg、73%)を得た。
【0161】
分析データ:[α]23D = +234° (c = 0.41, CHCl3); 1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 8.65 (s, 2H, NH), 7.44 (s, 2H), 6.54 (s, 2H), 4.50 (p, 2H, J = 5.38 Hz), 4.21-4.10 (m, 6H), 3.87 (s, 6H), 3.73-3.63 (m, 4H), 2.85-2.79 (m, 2H), 2.36-2.29 (m, 2H), 2.07-1.99 (m, 2H), 0.86 (s, 18H), 0.08 (s, 12H); 13C NMR (100 MHz, CDCl3) δ 170.4, 165.7, 151.4, 146.6, 129.7, 118.9, 112.8, 105.3, 69.2, 65.4, 56.3, 55.7, 54.2, 35.2, 28.7, 25.7, 18.0, -4.82 and -4.86; IR (ATR, CHCl3) 3235, 2955, 2926, 2855, 1698, 1695, 1603, 1518, 1491, 1446, 1380, 1356, 1251, 1220, 1120, 1099, 1033 cm-1; MS (ES+) m/z (相対強度) 825 ([M + H]+, 62), 721 (14)、440 (38); HRMS [M + H]+ 理論 C41H60N4O10Si2 m/z 825.3921, 実測 (ES+) m/z 825.3948。
【0162】
化合物(9)
1,1’−[[(プロパン−1,3−ジイル)ジオキシ]ビス(11aS,2R)−2−(tert−ブチルジメチルシリルオキシ)−7−メトキシ−10−((2−(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)−1,2,3,10,11,11a−ヘキサヒドロ−5H−ピロロ[2,1−c][1,4]−ベンゾジアゼピン−5,11−ジオン]
溶液n−BuLi(4.17mLの1.6M溶液/ヘキサン、6.67mmol)/無水THF(10mL)を窒素雰囲気下の−30℃(ドライアイス/エチレングリコール)にある撹拌懸濁液テトララクタム8(2.20g、2.67mmol)/無水THF(30mL)に滴下で加えた。この反応混合物をこの温度で1時間撹拌した(今度は赤みを帯びたオレンジ色)。この時点で溶液SEMCl(1.18mL、1.11g、6.67mmol)/無水THF(10mL)を滴下で加えた。この反応混合物を室温までゆっくり昇温させ、窒素雰囲気下で16時間撹拌した。TLC(EtOAc)及びLC/MS(4.77分(ES+)m/z(相対強度)1085([M+H],100))により判断したところこの反応は完了しているとみなされた。そのTHFを真空で蒸発させることにより除去し、得られた残留物をEtOAc(60mL)に溶解させ、HO(20mL)、ブライン(20mL)で洗浄し、乾燥させ(MgSO)、濾過し、真空で蒸発させて、粗製の生成物を得た。フラッシュクロマトグラフィー(80:20v/vヘキサン/EtOAc)による精製により不純物を含まないN10−SEM−保護テトララクタム9を油状物(2.37g、82%)として得た。
【0163】
分析データ:[α]23D = +163° (c = 0.41, CHCl3); 1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.33 (s, 2H), 7.22 (s, 2H), 5.47 (d, 2H, J = 9.98 Hz), 4.68 (d, 2H, J = 9.99 Hz), 4.57 (p, 2H, J = 5.77 Hz), 4.29-4.19 (m, 6H), 3.89 (s, 6H), 3.79-3.51 (m, 8H), 2.87-2.81 (m, 2H), 2.41 (p, 2H, J = 5.81 Hz), 2.03-1.90 (m, 2H), 1.02-0.81 (m, 22H), 0.09 (s, 12H), 0.01 (s, 18H); 13C NMR (100 MHz, CDCl3) δ 170.0, 165.7, 151.2, 147.5, 133.8, 121.8, 111.6, 106.9, 78.1, 69.6, 67.1, 65.5, 56.6, 56.3, 53.7, 35.6, 30.0, 25.8, 18.4, 18.1, 1.24, -4.73; IR (ATR, CHCl3) 2951, 1685, 1640, 1606, 1517, 1462, 1433, 1360, 1247, 1127, 1065 cm-1; MS (ES+) m/z (相対強度) 1113 ([M + Na]+, 48), 1085 ([M + H]+, 100), 1009 (5), 813 (6); HRMS [M + H]+ 理論 C53H88N4O12Si4 m/z 1085.5548, 実測 (ES+) m/z 1085.5542。
【0164】
化合物(10)
1,1’−[[(プロパン−1,3−ジイル)ジオキシ]ビス(11aS,2R)−2−ヒドロキシ−7−メトキシ−10−((2−(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)−1,2,3,10,11,11a−ヘキサヒドロ−5H−ピロロ[2,1−c][1,4]−ベンゾジアゼピン−5,11−ジオン]
溶液TBAF(5.24mLの1.0M溶液/THF、5.24mmol)を室温にある撹拌溶液ビス−シリルエーテル9(2.58g、2.38mmol)/THF(40mL)に加えた。3.5時間撹拌した後、この反応混合物をTLC(95:5v/vCHCl/MeOH)により分析したところ、反応は完了していることが明らかとなった。この反応混合物をNHClの飽和溶液(100mL)に注ぎ入れ、EtOAc(3×30mL)で抽出した。合わせた有機層をブライン(60mL)で洗浄し、乾燥させ(MgSO)、濾過し、真空で蒸発させて、粗製の生成物を得た。フラッシュクロマトグラフィー(勾配溶離:100%CHCl→96:4v/vCHCl/MeOH)による精製により不純物を含まないテトララクタム10を白色の泡状物(1.78g、87%)として得た。
【0165】
分析データ:LC/MS 3.33min (ES+) m/z (相対強度) 879 ([M + Na]+, 100), 857 ([M + H]+, 40); [α]23D = +202° (c = 0.34, CHCl3); 1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.28 (s, 2H), 7.20 (s, 2H), 5.44 (d, 2H, J = 10.0 Hz), 4.72 (d, 2H, J = 10.0 Hz), 4.61 4.58 (m, 2H), 4.25 (t, 4H, J = 5.83 Hz), 4.20-4.16 (m, 2H), 3.91-3.85 (m, 8H), 3.77-3.54 (m, 6H), 3.01 (br s, 2H, OH), 2.96-2.90 (m, 2H), 2.38 (p, 2H, J = 5.77 Hz), 2.11-2.05 (m, 2H), 1.00-0.91 (m, 4H), 0.00 (s, 18H); 13C NMR (100 MHz, CDCl3) δ 169.5, 165.9, 151.3, 147.4, 133.7, 121.5, 111.6, 106.9, 79.4, 69.3, 67.2, 65.2, 56.5, 56.2, 54.1, 35.2, 29.1, 18.4, -1.23; IR (ATR, CHCl3) 2956, 1684, 1625, 1604, 1518, 1464, 1434, 1361, 1238, 1058, 1021 cm-1; MS (ES+) m/z (相対強度) 885 ([M + 29]+, 70), 857 ([M + H]+, 100), 711 (8), 448 (17); HRMS [M + H]+ 理論 C41H60N4O12Si2 m/z 857.3819, 実測 (ES+) m/z 857.3826。
【0166】
スキーム3−化合物11〜化合物13の調製
【化29】

【0167】
化合物(11)
1,1’−[[(プロパン−1,3−ジイル)ジオキシ]ビス[(11aS)−11−スルホ−7−メトキシ−2−オキソ−10−((2−(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)1,2,3,10,11,11a−ヘキサヒドロ−5H−ピロロ[2,1−c][1,4]ベンゾジアゼピン−5,11−ジオン]]
方法A:0.37M次亜塩素酸ナトリウム溶液(142.5mL、52.71mmol、2.4eq)を激しく撹拌されている混合物ジオール10(18.8g、21.96mmol、1eq)+TEMPO(0.069g、0.44mmol、0.02eq)+0.5M臭化カリウム溶液(8.9mL、4.4mmol、0.2eq)/0℃DCM(115mL)に滴下で加えた。その温度は、添加の速度を調節することによって0℃〜5℃の間に維持した。この得られた黄色のエマルジョンを1時間0℃〜5℃にて撹拌した。TLC(EtOAc)及びLC/MS[3.53分(ES+)m/z(相対強度)875([M+Na],50),(ES−)m/z(相対強度)852([M−H],100)]によりこの反応は完了していることが示された。
【0168】
この反応混合物を濾過し、その有機層を分離させ、その水層をDCM(x2)で逆洗浄した。合わせた有機部分をブライン(x1)で洗浄し、乾燥させ(MgSO)、蒸発させて、黄色の泡状物を得た。フラッシュカラムクロマトグラフィー(勾配溶離35/65v/vn−ヘキサン/EtOAC、30/70→25/75v/vn−ヘキサン/EtOAC)による精製によりビス−ケトン11を白色の泡状物(14.1g、75%)として得た。
【0169】
試薬等級の、塩素が10〜13%で利用可能な、次亜塩素酸ナトリウム溶液を用いた。これは10%(10g NaClO/100g)であると仮定して、NaClOは1.34Mであると計算された。これからそれを水で0.37Mに希釈することによってストック溶液を調製した。これにより、およそpH14の溶液が得られた。固体NaHCOを加えることによりそのpHを9.3〜9.4に調整した。その反応に対しては2.4mol当量が与えられるようにこのストックのアリコートをこのあと用いた。
【0170】
漂白剤溶液を添加すると最初に温度が上昇するのが観察された。添加の速度は、その温度が0℃〜5℃の間に維持されるように調節した。この反応混合物は、濃厚な、レモンイエロー色をした、エマルジョンを生成した。
【0171】
この酸化は、Thomas Fey et al, J. Org. Chem., 2001, 66, 8154-8159に記載されている手順を適応したものである。
【0172】
方法B:固体TCCA(10.6g、45.6mmol)を撹拌溶液アルコール10(18.05g、21.1mmol)+TEMPO(123mg、0.78mmol)/0℃(アイス/アセトン)無水DCM(700mL)に少しずつ加えた。この反応混合物を窒素雰囲気下の0℃にて15分間撹拌した。この時点でTLC(EtOAc)及びLC/MS[3.57分(ES+)m/z(相対強度)875([M+Na],50)]により反応は完了していることが明らかにされた。この反応混合物をセライトに通して濾過し、その濾液を、NaHCO飽和水溶液(400mL)、ブライン(400mL)で洗浄し、乾燥させ(MgSO)、濾過し、真空で蒸発させて、粗製の生成物を得た。フラッシュカラムクロマトグラフィー(80:20v/vEtOAc/ヘキサン)による精製によりビス−ケトン11を泡状物(11.7g、65%)として得た。
【0173】
方法C:溶液無水DMSO(0.72mL、0.84g、10.5mmol)/乾燥DCM(18mL)を25分の時間をかけて−60℃(liq N/CHCl)の窒素雰囲気下にある塩化オキサリル撹拌溶液(2.63mLの2.0M溶液/DCM、5.26mmol)に滴下で加えた。−55℃で20分間撹拌した後、基質10(1.5g、1.75mmol)/乾燥DCM(36mL)のスラリーを30分の時間をかけてこの反応混合物に滴下で加えた。さらに50分間−55℃にて撹拌した後、TEA(3.42mL、2.49g;24.6mmol)/乾燥DCM(18mL)の溶液を20分の時間をかけてこの反応混合物に滴下で加えた。この撹拌反応混合物を室温まで昇温させ(およそ1.5時間)、そのあとDCM(50mL)で希釈した。この有機溶液を、1N HCl(2×25mL)、HO(30mL)、ブライン(30mL)で洗浄し、乾燥させた(MgSO)。濾過してその溶媒を真空で蒸発させて粗製の生成物を得、これをフラッシュカラムクロマトグラフィー(80:20v/vEtOAc/ヘキサン)により精製して、ビス−ケトン11を泡状物(835mg、56%)として得た。
【0174】
分析データ:LC/MS 3.55min (ES+) m/z (相対強度) 875 ([M + Na]+, 50); [α]20D = +291° (c = 0.26, CHCl3); 1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.32 (s, 2H), 7.25 (s, 2H), 5.50 (d, 2H, J = 10.1 Hz), 4.75 (d, 2H, J = 10.1 Hz), 4.60 (dd, 2H, J = 9.85, 3.07 Hz), 4.31-4.18 (m, 6H), 3.89-3.84 (m, 8H), 3.78-3.62 (m, 4H), 3.55 (dd, 2H, J = 19.2, 2.85 Hz), 2.76 (dd, 2H, J = 19.2, 9.90 Hz), 2.42 (p, 2H, J = 5.77 Hz), 0.98-0.91 (m, 4H), 0.00 (s, 18H); 13C NMR (100 MHz, CDCl3) δ 206.8, 168.8, 165.9, 151.8, 148.0, 133.9, 120.9, 111.6, 107.2, 78.2, 67.3, 65.6, 56.3, 54.9, 52.4, 37.4, 29.0, 18.4, -1.24; IR (ATR, CHCl3) 2957, 1763, 1685, 1644, 1606, 1516, 1457, 1434, 1360, 1247, 1209, 1098, 1066, 1023 cm-1; MS (ES+) m/z (相対強度) 881 ([M + 29]+, 38), 853 ([M + H]+, 100), 707 (8), 542 (12); HRMS [M + H]+ 理論 C41H56N4O12Si2 m/z 853.3506, 実測 (ES+) m/z 853.3502。
【0175】
化合物(12)
1,1’−[[(プロパン−1,3−ジイル)ジオキシ]ビス(11aS)−7−メトキシ−2−[[(トリフルオロメチル)スルホニル]オキシ]−10−((2−(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)−1,10,11,11a−テトラヒドロ−5H−ピロロ[2,1−c][1,4]−ベンゾジアゼピン−5,11−ジオン]
無水2,6−ルチジン(5.15mL、4.74g、44.2mmol)を窒素雰囲気下の−45℃(ドライアイス/アセトニトリル冷却バス)にある激しく撹拌されているビス−ケトン11(6.08g、7.1mmol)/乾燥DCM(180mL)の溶液に一回で注入した。新しく開けたアンプルから取った、無水トリフル酸無水物(7.2mL、12.08g、42.8mmol)を、素早く滴下で注入したが、この間はその温度を−40℃又はそれ以下に維持した。この反応混合物を−45℃で1時間撹拌した。この時点で、出発物質は完全に消費されていることがTLC(50/50v/vn−ヘキサン/EtOAc)により明らかにされた。この冷反応混合物を直ちにDCM(200mL)で希釈し、激しく震盪しながら、水(1×100mL)、5%クエン酸溶液(1×200mL)、飽和NaHCO(200mL)、ブライン(100mL)で洗浄し、乾燥させた(MgSO)。濾過してその溶媒を真空で蒸発させて粗製の生成物を得、これをフラッシュカラムクロマトグラフィー(勾配溶離:90:10v/vn−ヘキサン/EtOAc→70:30v/vn−ヘキサン/EtOAc)により精製して、ビス−エノールトリフラート12を黄色の泡状物(5.5g、70%)として得た。
【0176】
分析データ:LC/MS 4.32min (ES+) m/z (相対強度) 1139 ([M + Na]+, 20); [α]24D = +271° (c = 0.18, CHCl3); 1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.33 (s, 2H), 7.26 (s, 2H), 7.14 (t, 2H, J = 1.97 Hz), 5.51 (d, 2H, J = 10.1 Hz), 4.76 (d, 2H, J = 10.1 Hz), 4.62 (dd, 2H, J = 11.0, 3.69 Hz), 4.32-4.23 (m, 4H), 3.94-3.90 (m, 8H), 3.81-3.64 (m, 4H), 3.16 (ddd, 2H, J = 16.3, 11.0, 2.36 Hz), 2.43 (p, 2H, J = 5.85 Hz), 1.23-0.92 (m, 4H), 0.02 (s, 18H); 13C NMR (100 MHz, CDCl3) δ 167.1, 162.7, 151.9, 148.0, 138.4, 133.6, 120.2, 118.8, 111.9, 107.4, 78.6, 67.5, 65.6, 56.7, 56.3, 30.8, 29.0, 18.4, 1.25; IR (ATR, CHCl3) 2958, 1690, 1646, 1605, 1517, 1456, 1428, 1360, 1327, 1207, 1136, 1096, 1060, 1022, 938, 913 cm-1; MS (ES+) m/z (相対強度) 1144 ([M + 28]+, 100), 1117 ([M + H]+, 48), 1041 (40), 578 (8); HRMS [M + H]+ 理論 C43H54N4O16Si2S2F6 m/z 1117.2491, 実測 (ES+) m/z 1117.2465。
【0177】
化合物(13)
1,1’−[[(プロパン−1,3−ジイル)ジオキシ]ビス(11aS)−7−メトキシ−2−(p−メトキシフェニル)−10−((2−(トリメチルシリル)エトキシ)メチル)−1,10,11,11a−テトラヒドロ−5H−ピロロ[2,1−c][1,4]−ベンゾジアゼピン−5,11−ジオン]
Pd[PPh(510mg、440μmol)を撹拌混合物ビス−エノールトリフラート12(12.35g、11.1mmol)+4−メトキシフェニルボロン酸(4.35g、28.6mmol)+NaCO(3.76g、35.5mmol)+EtOH(61mL)+トルエン(122mL)+水(61mL)に加えた。この反応混合物を窒素雰囲気下で3時間撹拌した。この時点で出発物質は完全に消費されていることがTLC(EtOAc)及びLC/MS(4.20分(ES+)m/z(相対強度)1034([M+2H],100))により観測された。この反応混合物をEtOAc(400mL)で希釈し、HO(2×300mL)、ブライン(200mL)で洗浄し、乾燥させ(MgSO)、濾過し、減圧下で蒸発させて粗製の生成物を得た。フラッシュクロマトグラフィー(勾配溶離:80:20v/vヘキサン/EtOAc→60:40v/vヘキサン/EtOAc)により精製して、ビス−C2−アリール化合物13を黄色っぽい泡状物(10.0g、87%)として得た。
【0178】
分析データ:[α]24D = +328° (c = 0.16, CHCl3); 1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.39 (s, 2H), 7.37 (d, 4H, J = 8.76 Hz), 7.33-7.32 (m, 2H), 7.28 (s, 2H), 6.88 (d, 4H, J = 8.83 Hz), 5.52 (d, 2H, J = 10.0 Hz), 4.77 (d, 2H, J = 10.0 Hz), 4.61 (dd, 2H, J = 10.6, 3.36 Hz), 4.31-4.26 (m, 4H), 3.96-3.91 (m, 8H), 3.81-3.64 (m, 10H), 3.13 (ddd, 2H, J = 16.1, 10.6, 2.13 Hz), 2.45 (p, 2H, J = 5.83 Hz), 1.04-0.93 (m, 4H), 0.02 (s, 18H); 13C NMR (100 MHz, CDCl3) δ 168.5, 161.6, 159.3, 151.4, 147.7, 133.6, 126.6, 125.6, 121.7, 120.3, 114.2, 111.8, 107.2, 78.4, 67.2, 65.5, 57.6, 56.3, 55.4, 31.6, 29.0, 18.4, -1.22; IR (ATR, CHCl3) 2943, 1685, 1637, 1604, 1564, 1556, 1532, 1514, 1456, 1431, 1358, 1246, 1202, 1179, 1134, 1100, 1066 cm-1; MS (ES+) m/z (相対強度) 1061 ([M + 29]+, 100), 1033 ([M + H]+, 55), 957 (50), 768 (10), 445 (18); HRMS [M + H]+ 理論 C55H68N4O12Si2 m/z 1033.4445, 実測 (ES+) m/z 1033.4443。
【0179】
スキーム4−化合物14及び化合物ZC−423の調製
【化30】

【0180】
化合物(14)
1,1’−[[(プロパン−1,3−ジイル)ジオキシ]ビス[(11aS)−7−メトキシ−2−(p−メトキシフェニル)−1,11a−ジヒドロ−5H−ピロロ[2,1−c][1,4]ベンゾジアゼピン−5−オン]](SG−2202)
方法A:LiBH(857mg、39.34mmol)を撹拌溶液SEMテトララクタム13(2.71g、2.62mmol)/THF(100mL)+EtOH(100mL)に加えた。この反応混合物を窒素雰囲気下で2時間撹拌した。この時点で出発物質は直接N10/C11−イミンに完全に変換されていることがLC/MS(3.02分(ES+)m/z(相対強度)742([M+H],100))により観測された。その溶媒を真空で蒸発させることにより除去し、得られた白色の固形物をHO(650mL)で処理し、DCM(3×350mL)で抽出した。合わせた有機層を、HO(450mL)、ブライン(450mL)で洗浄し、真空で蒸発させて、粗製SEM−カルビノールアミン13b(1.95g、72%)を得た。13bのサンプル(502mg、0.484mmol)を直ちにアセトニトリル(20mL、ギ酸0.1%)+HO(20mL、ギ酸0.1%)に溶解させた。この反応混合物を室温にて2時間撹拌した。この時点で相当量の所望生成物が生成されていることがTLC(95:5v/vCHCl/MeOH)により観測された。この反応混合物をDCM(100mL)で希釈し、その有機層を、飽和NaHCO(50mL)、HO(50mL)、ブライン(50mL)で洗浄し、乾燥させ(MgSO)、濾過し、真空で蒸発させて、粗製の生成物を得た。フラッシュクロマトグラフィー(勾配溶離:100%CHCl→98:2v/vCHCl/MeOH)による精製により、CHClを蒸発させるサイクルを繰り返した後、不純物を含まないN10/C11−イミン14(SG−2202)をオレンジ色の泡状物(208mg、58%)として得た。
【0181】
方法B:LiBH(5g、229mmol)を撹拌溶液SEM−テトララクタム13(12.4g、12mmol)/THF(120mL)+EtOH(120mL)に少しずつ加えた。激しい発泡を伴った発熱が観察されたのでその温度を冷却バス(アイス/水)の助けを借りて15℃〜25℃の間の温度に維持した。この反応混合物を1時間撹拌した。この時点で出発物質は直接完全に変換されていることがLC/MS{3.02分(ES+)m/z(相対強度)741([M+H],100)}により観測された。この反応混合物を注意してHO(500mL)で希釈し、DCM(1×500mL、1×200mL、1×100mL)で抽出した。合わせた有機層を、水(1×500mL)、ブライン(1×200mL)で洗浄し、MgSOで乾燥させ、濾過し、35℃の減圧下で蒸発させて、中間体SEM−カルビノールアミンを得た。この白色の固形物(12.4g)を直ちにEtOH(400mL)+DCM(150mL)+HO(50mL)に溶解させ、新鮮シリカゲル(300g)で処理した。この濃厚懸濁液を室温にて72時間撹拌した。この時点で相当量の所望生成物が生成されていることがTLC(95:5v/vCHCl/MeOH)により観測された。この反応混合物を広空隙率3焼結漏斗に通して濾過し、そのパッドをゆっくり且つ十分に90:10v/vCHCl/MeOHでさらなる生成物が溶離されなくなるまで(TLCによりチェック)濯ぎ洗いした。この濾液をブライン(300mL)で洗浄し、乾燥させ(MgSO)、濾過し、真空で蒸発させ、そのあと高真空乾燥させて、粗製の生成物を得た。フラッシュクロマトグラフィー(勾配溶離:100%HPLC等級CHCl→98:2v/vCHCl/MeOH)による精製により14(SG−2202)をカルビノールアミンエーテルとイミンの混合物(8.4g、94%)として得た。NMRサンプルを得るために、材料(100mg)をHPLC等級CHCl(50mL)で処理し、一晩静置させて、そのイミン体の生成を促進させた。その溶媒を減圧下で蒸発させることにより除去して、その残留物をもう一度HPLC等級CHCl(50mL)で処理し、4時間静置しておいた。この方法を数回繰り返し、その最終サンプルをNMR及び旋光によって分析した。
【0182】
方法C:LiBH(3.52g、161.8mmol)を撹拌溶液SEM−テトララクタム13(8.35g、8.1mmol)/−5〜−10℃(アイス/アセトン)THF(160mL)+EtOH(160mL)に一回で加えた。そのコールドバスを取り外し、その反応混合物を室温まで到達させた。この反応混合物を1時間撹拌した。この時点で出発物質は完全に変換されていることがLC/MS(2.98分(ES+)m/z(相対強度)741([M+H],100))により観測された。この反応混合物をクラッシュアイス(250mL)と0.5Mクエン酸溶液(250mL)の混合物に注意して注いだ(激しい泡立ち)。この混合物を5分間撹拌し、DCM(250mL)を加えた。この有機部分を分離させ、その水部分をDCM(2×250mL)で洗浄した。合わせた有機層を、0.5Mクエン酸溶液(3×250mL)、飽和炭酸水素ナトリウム溶液(300mL)、水(300mL)、ブライン(300mL)で洗浄し、MgSOで乾燥させ、そして30℃の真空で蒸発させて、粗生成物14(SG−2202)を得た。フラッシュカラムクロマトグラフィー(CHClそのあとCHCl/MeOH:99.5%/0.5%、99%/1%、98.5%/1.5%及び98%/2%)による精製により生成物14(SG−2202)を黄色の泡状物(4.52g、75%)として得た。この生成物のサンプル(250mg)/HPLC等級CHCl(25mL)を室温にて18時間撹拌し、その溶媒を真空で蒸発させた。この生成物をもう一度HPLC等級CHCl(25mL)に溶解させ、室温にて2時間撹拌した後真空で蒸発させた。この工程をさらに2回繰り返して、NMR用のイミン体にある生成物14(SG−2202)を得た。分析用サンプルはEtOAcから再結晶させた。
【0183】
方法D:NaBH(77mg、2.03mmol)を撹拌溶液SEM−テトララクタム13(105mg、0.10mmol)/THF(5mL)+EtOH(2.5mL)に加えた。この反応混合物を窒素雰囲気下で20時間撹拌した。この時点で出発物質は直接N10/C11−イミンに完全に変換されていることがLC/MS(3.02分(ES+)m/z(相対強度)741([M+H]、100))により観測された。その溶媒を真空で蒸発させることにより除去し、得られた残留物をHO(30mL)で処理し、DCM(3×15mL)で抽出した。合わせた有機層を、HO(10mL)、ブライン(20mL)で洗浄し、真空で蒸発させて、中間体SEM−カルビノールアミンを得た。この中間体は、先に方法Bで記載したように、シリカゲルで処理され得る。
【0184】
分析データ(方法Bの生成物について):[a]19D = +1061° (c = 1, CHCl3) [lit [a]20D = +880° (c = 0.22, CHCl3)]; 1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.87 (d, 2H, J = 3.95 Hz), 7.52 (s, 2H), 7.38 (s, 2H), 7.32 (d, 4H, J = 8.66 Hz), 6.89 (d, 4H, J = 8.74 Hz), 6.87 (s, 2H), 4.40-4.20 (m, 6H), 3.94 (s, 6H), 3.82 (s, 6H), 3.56 (ddd, 2H, J = 16.2, 11.6, 1.86 Hz), 3.40-3.35 (m, 2H), 2.46-2.37 (m, 2H) [lit 1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.79 (d, 2H, J = 3.9 Hz), 7.44 (s, 2H), 7.30 (s, 2H), 7.24 (d, 4H, J = 8.7 Hz), 6.81 (d, 4H, J = 8.7 Hz), 6.79 (s, 2H), 4.30-4.18 (m, 6H), 3.86 (s, 6H), 3.74 (s, 6H), 3.48 (dd, 2H, J = 11.8, 16.2 Hz), 2.85 (d, 2H, J = 16.2 Hz), 2.38-2.32 (m, 2H)]。
【0185】
化合物ZC−423
1,1’−[[(プロパン−1,3−ジイル)ジオキシ]ビス[(11aS)−11−スルホ−7−メトキシ−2−メトキシベンゼン−1,10,11,11a−テトラヒドロ−5H−ピロロ[2,1−c][1,4]ベンゾジアゼピン−5−オン]]ナトリウム塩(SG−2285)
方法A:重亜硫酸ナトリウム(538mg、5.17mmol)を撹拌懸濁液14(1.82g、2.46mmol)/IPA(364mL)+水(182mL)に加えた。この反応混合物を激しく撹拌しているとそのうち透明になった(およそ40分)。室温で合計45分撹拌した後その沈殿物を真空濾過により捕集し、水(182mL)で濯ぎ洗いし、乾燥させて、オレンジ色の固形物(208mg)を得た。この沈殿物の素性は後にLC/MS及びH NMRにより不純物を含まない未反応化合物(14)と確認された。遅らせることなく、この濾液(728mL)を直ちに凍結させ(−196℃の液体窒素バス)、3日間かけて凍結乾燥させて淡黄色の泡状物を得、これをEtOAc(600mL)に懸濁させ、1時間撹拌した。その固形物を真空濾過により焼結漏斗中に捕集し、EtOAc(3×150mL)で洗浄して、その重亜硫酸塩付加物ZC−423を白から外れた色の固形物(1.91g、82%)として得た。
【0186】
LC/MS(図1を参照されたい)により測定したところこの生成物は各ジアステレオマーの混合物として得られていた(27.5 S,S:1 S,R;96.5% S,S:3.5% S,R)。この微小ジアステレオマーはNMRによっては区別することができなかった。
【0187】
分析データ:1H NMR (400 MHz, d6-DMSO) δ 7.43 (s, 2H), 7.39 (d, 4H, J = 8.68 Hz), 7.07 (s, 2H), 6.93 (d, 4H, J = 8.8 Hz), 6.54 (s, 2H), 5.29 (s, 2H), 4.36-4.28 (m, 2H), 4.20-4.12(m, 4H), 3.96 (d, 2H, J = 10.4 Hz), 3.78 (s, 6H), 3.74 (s, 6H), 3.55-3.47 (m, 2H), 3.30-3.18 (m, 2H), 2.27-2.18 (m, 2H)。
【0188】
方法B:溶液重亜硫酸ナトリウム(142mg、1.36mmol、2.0当量)/HO(30mL)を化合物(14)(504mg、0.68mmol)/DCM(30mL)溶液に加えた。この反応混合物を室温にて25時間激しく撹拌した。その水層のHPLC分析によりZC−423の生成と出発物質が完全にないことが明らかにされた。この反応混合物をDCM(100mL)及びHO(100mL)で希釈した。その水層を分離させ(その分離漏斗を震盪することなしに)、DCMで洗浄した。得られた溶液を直ちに凍結させ(液体窒素バス)、凍結乾燥させて白色の泡状物を得、これをEtOAc(100mL)に懸濁させ、15分間撹拌した。その固形物を濾過により捕集して、その重亜硫酸塩付加物ZC−423を白から外れた色の固形物(400mg、62%)として得た。
【0189】
凍結乾燥の後、その生成物を各ジアステレオマーの混合物(S,R:S,S=9:1)として得た。図2は凍結乾燥前のLC/MSトレースを示すものである(95.8%S,R:4.2%S,S)。
【0190】
分析データ:1H NMR (400 MHz, d6-DMSO) δ 7.44-7.30 (m, 7H), 7.08 (s, 1H), 7.00 (d, 1H, J = 5.96 Hz), 6.95-6.90 (m, 4H), 6.54 (s, 2H), 5.28 (s, 1H), 4.46-4.41 (m, 1H), 4.35-4.29 (m, 1H), 4.15-4.08 (m, 5H), 3.96 (d, 1H, J = 10.3 Hz), 3.78-3.69 (m, 13H), 3.52-3.49 (m, 1H), 3.29-3.17 (m, 2H), 2.24-2.23 (m, 2H); 13C NMR (100 MHz, d6-DMSO) δ 163.85, 158.22, 151.29, 143.10, 140.09, 126.77, 126.00, 122.53, 122.15, 115.43, 114.05, 112.73, 106.53, 78.36, 65.07, 56.72, 55.98, 55.10, 35.45, 28.61。
【0191】
参考文献:
以下の参考文献は参照によりその全体が組み込まれる。
国際公開第00/012508号パンフレット
国際公開第2004/043963号パンフレット
国際公開第2005/085251号パンフレット
国際公開第2006/111759号パンフレット
特開昭58−180487号公報
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Tsunakawa, et al., J. Antibiotics, 41, 1366-1373 (1988)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ZC−423:
【化1】

の調製方法であって、化合物(14):
【化2】

を重亜硫酸ナトリウムを含んでいる二相溶媒混合物で処理する工程を含み、その二相溶媒混合物が、その重亜硫酸塩の水溶液と、この水溶液とは不混和性である有機溶媒とを含み、化合物(14)が、その重亜硫酸塩で12時間以上処理される、前記方法。
【請求項2】
有機溶媒が、化合物(14)を溶解させる溶媒である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
有機溶媒が、DCMである、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
化合物(14)が、重亜硫酸塩で24時間以上処理される、請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
反応が完了したものとみなされた後すぐに、反応の生成物が凍結される、請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
反応の生成物が、−100℃又はそれ以下の温度に凍結される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
反応の生成物が、−190℃又はそれ以下の温度に凍結される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
生成物を凍結させた後、その生成物を凍結乾燥させる工程をさらに含む、請求項5、6又は7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
70%又はそれ以上のS,R−ジアステレオマーを含む化合物ZC−423。
【請求項10】
ZC−423:
【化3】

の調製方法であって、化合物(14)
【化4】

を重亜硫酸ナトリウムを含んでいる溶媒混合物で処理する工程を含み、その溶媒混合物が、その重亜硫酸塩の水溶液と、この水溶液とは混和性である有機溶媒とを含んでいる、前記方法。
【請求項11】
有機溶媒が、アルキルアルコールである、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
アルキルアルコールが、プロピルアルコールである、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
プロピルアルコールが、イソプロピルアルコール(IPA)である、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
反応が完了したものとみなされた後すぐに、反応の生成物が凍結される、請求項10〜13のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
反応の生成物が、−100℃又はそれ以下の温度に凍結される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
反応の生成物が、−190℃又はそれ以下の温度に凍結される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
生成物を凍結させた後、その生成物を凍結乾燥させる工程をさらに含む、請求項14、15又は16のいずれかに記載の方法。
【請求項18】
70%又はそれ以上のS,S−ジアステレオマーを含む化合物ZC−423。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2011−529035(P2011−529035A)
【公表日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−519234(P2011−519234)
【出願日】平成21年7月22日(2009.7.22)
【国際出願番号】PCT/GB2009/001819
【国際公開番号】WO2010/010347
【国際公開日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【出願人】(505171975)スピロゲン リミティッド (8)
【Fターム(参考)】