説明

ピントル型電磁式燃料噴射弁

【課題】噴射燃料の流量の計量を常に安定的に行うことを可能にし,また噴射燃料流量の変更の要求に対しても簡単に対応し得るピントル型電磁式燃料噴射弁を提供する。
【解決手段】ニードル弁16に,弁孔8を貫通してノズル孔10内に突入配置されるピントル17を連設したピントル型電磁式燃料噴射弁において,ピントル17を,その外周面と弁孔8及びノズル孔10の内周面との間の対向間隙g2,g3がノズル孔10の出口に向かって拡大するように形成し,ニードル弁16の開弁時,その弁部16a及び弁座7間の開弁間隙g1を,ピントル17の外周面と弁孔8及びノズル孔10の内周面との間の対向間隙g2,g3より小さく設定して,該開弁間隙g1を,噴射燃料流量を決定する計量部とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,内燃機関の燃料供給系に使用される燃料噴射弁に関し,特に,高圧燃料通路,並びにこの高圧燃料通路の下流端に順次連なる円錐状の弁座,円筒状の弁孔及び出口に向かって拡径する円錐状のノズル孔を有する弁ハウジングと,前記高圧燃料通路の内周面に摺動自在に支承されると共に,前記弁座と協働して前記弁孔を開閉するニードル弁と,このニードル弁を開閉作動する電磁作動装置とを備え,前記ニードル弁に,前記弁孔を貫通して前記ノズル孔内に突入配置されるピントルを連設したピントル型電磁式燃料噴射弁の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
ピントル型電磁式燃料噴射弁は,下記特許文献1に開示されるように既に知られている。
【0003】
従来のピントル型電磁式燃料噴射弁では,図5に示すように,ピントル017の主要部を円柱状に形成し,この円柱状主要部の外周面と,それを囲繞する円筒状の弁孔08の内周面との間に画成される円筒状間隙gを,ニードル弁016の開弁時に噴射燃料流量を決定する計量部としていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第2860463号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで,上記のように,ピントル017の円柱状主要部の外周面と,円筒状の弁孔08の内周との間の円筒状間隙gを,噴射燃料流量を決定する計量部とするものでは,その計量部が弁座の下流側に位置することになるため,ニードル弁016の開弁時,弁座07を通過した高圧燃料は上記計量部に到達する間に,減圧沸騰により多量の気泡を発生し,その気泡が計量部での噴射燃料流量の計量を不安定にさせる。
【0006】
また,エンジンからの吹き返しガス中の煤が,上記計量部に対応するピントル017の外周面や弁孔08内周面に付着,堆積して,前記間隙gを狭めることもあるので,その堆積物も,噴射燃料流量の計量を狂わせる一因となる。
【0007】
さらに,仕様の変更要請により,噴射燃料の流量を変更するために,上記円筒状間隙gを変更する場合には,ピントル017の円柱状主要部の外径や弁孔08の円筒状内周面の内径を変更しなければならず,新規に作製する部品が必要となり,コストの低減が困難となる。
【0008】
本発明は,かゝる事情に鑑みてなされたもので,噴射燃料の流量の計量を常に安定的に行うことを可能にし,また噴射燃料流量の変更の要求に対しても簡単に対応し得るピントル型電磁式燃料噴射弁を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために,本発明は,高圧燃料通路,並びにこの高圧燃料通路の下流端に順次連なる円錐状の弁座,円筒状の弁孔及び出口に向かって拡径する円錐状のノズル孔を有する弁ハウジングと,前記高圧燃料通路の内周面に摺動自在に支承されると共に,前記弁座と協働して前記弁孔を開閉するニードル弁と,このニードル弁を開閉作動する電磁作動装置とを備え,前記ニードル弁に,前記弁孔を貫通して前記ノズル孔内に突入配置されるピントルを連設したピントル型電磁式燃料噴射弁において,前記ピントルを,その外周面と弁孔及びノズル孔の内周面との間の対向間隙が前記ノズル孔の出口に向かって拡大するように形成し,前記ニードル弁の開弁時,前記弁部及び弁座間の開弁間隙を,前記ピントルと前記弁孔及びノズル孔の内周面との間の対向間隙より小さく設定して,該開弁間隙を,噴射燃料流量を決定する計量部としたことを第1の特徴とする。尚,前記電磁作動装置は,後述する本発明の実施例中の弁ばね22及びコイル組立体28に対応する。
【0010】
また,本発明は,第1の特徴に加えて,前記ピントルの外周面を,前記弁部側から順テーパ面,反転面及び逆テーパ面を順次連ねて構成し,その順テーパ面は,前記弁部から離れるにつれて前記弁孔を過ぎるまで縮径する形状をなし,反転面は,順テーパ面を逆テーパ面に連続的に連結するように湾曲し,逆テーパ面は,前記ノズル孔内でピントル先端に向かって拡径する形状をなすことを第2の特徴とする。
【0011】
さらに,本発明は,第2の特徴に加えて,前記弁孔の軸方向長さを,その直径より小さく設定したことを第3の特徴とする。
【0012】
さらにまた,本発明は,第1〜第3の特徴の何れかに加えて,前記ピントルの先端面を,前記ノズル孔の出口より軸方向内方に配置したことを第4の特徴とする。
【0013】
さらにまた,本発明は,第1〜第4の特徴の何れかに加えて,前記ニードル弁の,前記弁座に着座する弁部の外周面を,前記ニードル弁の軸線上に中心を置いた球面の一部で形成したことを第5の特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明の第1の特徴によれば,ニードル弁の開弁時,弁部及び弁座間の開弁間隙を,ピントルの外周面と弁孔及びノズル孔の内周面との間の対向間隙より小さく設定して,該開弁間隙を,噴射燃料流量を決定する計量部としたので,噴射燃料流量の計量は,ニードル弁の開弁時,高圧燃料通路内の高圧燃料が弁孔に出て減圧沸騰する前に行われることになり,高圧燃料の減圧沸騰により発生する気泡の影響を受けることがなく,計量部での噴射燃料流量の計量を安定させることができる。
【0015】
しかも,エンジンからの吹き返しガス中の煤がピントルの外周面や弁孔及びノズル孔の内周面に付着,堆積しても,その堆積物により,弁座及び弁部間の計量部,即ち開弁間隙が影響されることもなく,計量部での噴射燃料流量の計量を安定させることができ,エンジン性能の安定化に寄与し得る。
【0016】
さらに,弁座及び弁部間の計量部となる開弁間隙は,ニードル弁の開弁ストロークを調節することで簡単に調節可能にあり,その調節によって,噴射燃料流量の変更要求に対し簡単に対応することができる。
【0017】
本発明の第2の特徴によれば,前記計量部で計量された高圧燃料は,弁孔に出ると,減圧沸騰を開始し,弁孔からノズル孔に移ると,一気に減圧沸騰して多量の気泡を発生し,霧化が効果的に促進される。その霧化燃料は,ピントルの外周面,即ち順テーパ面,反転面及び逆テーパ面によって流れをスムーズに誘導されることで,中空円錐状に拡散する一条の噴霧フォームを形成する。しかも,この中空円錐状の噴霧フォームの広がり角度は,逆テーパ面の中心角度の選定により所望通り容易に設定することができる。その際,円錐状のノズル孔の内周面は,その出口に向かってピントルの逆テーパ面から遠ざかるので,上記中空円錐状の噴霧フォームの形成に干渉しない。このように所望通りの広がり角度を持つ中空円錐状の噴霧フォームは,小排気量エンジンにおいても,小径の吸気ポート内面への燃料付着を防ぎ,低燃費性と出力性能の向上に寄与し得る。
【0018】
本発明の第3の特徴によれば,弁孔の軸方向長さを,その直径より小さく設定したことで,ニードル弁の開弁時,高圧燃料が短時間で弁孔を通過することができ,これによりノズル孔での高圧燃料の減圧沸騰を早め,その霧化を,より効果的に促進することができる。
【0019】
本発明の第4の特徴によれば,ピントルがノズル孔の外方に突出することはなく,したがってピントル型電磁式燃料噴射弁の取り扱い中,弁ハウジングの先端が他物と接することがあっても,弁ハウジングによりピントルを保護することができる。
【0020】
本発明の第5の特徴によれば,ニードル弁がその閉弁時に傾動しても,弁部の弁座への着座状態を常に正常に保つことができ,高圧燃料の弁座からの無用なリークを簡単に防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の実施例に係るピントル型電磁式燃料噴射弁の縦断面図。
【図2】図1の2部拡大図。
【図3】図2の3部拡大図(ニードル弁の閉弁状態)。
【図4】ニードル弁の開弁状態を示す,図3との対応図。
【図5】従来のピントル型電磁式燃料噴射弁のピントル周辺部拡大断面図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の実施の形態を,添付図面に示す本発明の好適な実施例に基づいて以下に説明する。
【0023】
先ず,図1及び図2において,ピントル型燃料噴射弁Iの弁ハウジング1は,円筒状の弁座部材3と,この弁座部材3の後端に同軸状に液密に溶接される磁性円筒体4と,この磁性円筒体4の後端に同軸状に液密に溶接される非磁性円筒体6と,この非磁性円筒体6の後端部内周面に同軸状に液密に嵌合,固定される円筒状の固定コア5と,この固定コア5の後端部に同軸状に液密に連結される燃料入口筒13とで構成される。燃料入口筒13には,燃料フィルタ14が装着されると共に,図示しない燃料ポンプからの高圧燃料を供給する燃料導管(図示せず)が接続されるようになっている。而して,燃料入口筒13から弁座部材3に至る中空部は高圧燃料通路2となる。
【0024】
図2及び図3に示すように,弁座部材3には,高圧燃料通路2の下流端となる円錐状の弁座7と,この弁座7の後端に連なる漏斗状の燃料集合誘導孔9と,その燃料集合誘導孔9の大径端に連なる第1ガイド孔12とが設けられ,燃料集合誘導孔9の中心角度は,弁座7の中心角度より大きく設定される。
【0025】
弁座部材3には,また,弁座7の小径端に順次連なる円筒状の弁孔8及び円錐状のノズル孔10が設けられ,その円筒状の弁孔8は,その軸方向長さhが直径dより小さくなるように形成される(図3参照)。
【0026】
図2に示すように,磁性円筒体4の中空部は,第1ガイド孔12より大径の第2ガイド孔12′とされる。非磁性円筒体6の前端部には,固定コア5と嵌合しない部分が残され,その部分から弁座部材3に至る弁ハウジング1内に弁コア結合体Vが収容される。この弁コア結合体Vは,前記第1ガイド孔12に摺動自在に嵌合され弁座7と協働して弁孔8を開閉するニードル弁16と,このニードル弁16の後端に一体に連結されて前記第2ガイド孔12′に摺動自在に嵌合され,固定コア5の前端面と対向する可動コア15とで構成される。
【0027】
ニードル弁16の,第1ガイド孔12に摺動自在に嵌合される鍔状のジャーナル部25には,高圧燃料通路2での燃料の流れを許容する複数の切欠き26が設けられる。また,ニードル弁16の,弁座7に着座し得る弁部16aの外周面は,ニードル弁16の軸線Y上に中心Cを持つ球面Sの一部で形成される。
【0028】
上記弁部16aには,弁孔8を貫通してノズル孔10内に突入配置されるピントル17が一体に連設される。このピントル17の外周面は,弁部16a側から順テーパ面17a,反転面17b及び逆テーパ面17cを順次一体に連ねて構成され,順テーパ面17aは,弁部16aから離れるにつれて弁孔8を過ぎるまで縮径する形状をなし,反転面17bは,順テーパ面17aを逆テーパ面17cに連続的に連結するように湾曲しており,逆テーパ面17cは,ノズル孔10内でピントル17先端に向かって拡径する形状をなしており,その逆テーパ面17cの先端面,即ちピントル17の先端面は,ノズル孔10の出口より軸方向内方に配置される。また逆テーパ面17cの中心角度αは,円錐上のノズル孔10の中心角βより小さく設定される。こうして,図4に示すように,ピントル17の外周面と,弁孔8及びノズル孔10の内周面との間の対向間隙g2は,ノズル孔10の出口に向かって拡大することになる。しかも,ピントル17の外周面とノズル孔10の内周面との対向間隙g3の拡大率は,ピントル17の外周面と弁孔8の内周面との対向間隙g2の拡大率より大きくなっている。
【0029】
また,図4に示すように,ニードル弁16の開弁時,弁部16a及び弁座7間の開弁間隙g1は,ピントル17の外周面と弁孔8及びノズル孔10の内周面との間の対向間隙g2,g3より小さく設定され,この開弁間隙g1が,噴射燃料流量を決定する計量部とされる。
【0030】
再び,図1及び図2において,弁コア結合体Vには,可動コア15の後端面から弁部16aの手前で終わる縦孔19と,この縦孔19を,ニードル弁16の外周面に連通する複数の横孔20とが設けられる。縦孔19の途中には,可動コア15内周面の段部よりなるばね座24が設けられる。縦孔19は,固定コア5の中空部と連通する。
【0031】
また固定コア5の中空部には,パイプ状のリテーナ23が嵌合して固定され,このリテーナ23と,前記ばね座24との間に,弁コア結合体Vを弁座7側に付勢する弁ばね22が縮設される。
【0032】
可動コア15の内周面には,高硬度で非磁性の円筒状ストッパ部材18が弁ばね22を囲繞するようにして固着される。このストッパ部材18は,その外端を可動コア15の後端吸引面から僅かに突出させていて,通常,弁コア結合体Vの開弁ストロークに相当する間隙を存して固定コア5の前端吸引面と対置される。
【0033】
弁ハウジング1の外周にはコイル組立体28が嵌装される。このコイル組立体28は,磁性円筒体4から非磁性円筒体6及び固定コア5にかけてそれらの外周面に嵌合するボビン29と,これに巻装されるコイル30とからなっており,このコイル組立体28を収容する円筒状のコイルハウジング31が磁性円筒体4に一体に連設される。このコイルハウジング31の開放された後端部と固定コア5との間にヨーク35が圧入固定される。
【0034】
コイルハウジング31の後半部から燃料入口筒13にかけて,それらの外周面に射出成形による硬質合成樹脂製の被覆体32が形成される。その際,上記合成樹脂はコイルハウジング31内にも充填されてコイル組立体28を埋封する。またこの被覆体32の中間部には,一側方に突出するカプラ34が一体成形され,このカプラ34は,コイル30に連なる給電用端子33を保持する。
【0035】
次に,この実施例の作用について説明する。
【0036】
コイル30を消磁した状態では,弁ばね22の付勢力で弁コア結合体Vは前方に押圧され,ニードル弁16を弁座7に着座させている(図3参照)。この閉弁状態では,図示しない燃料ポンプから燃料入口筒13に圧送された燃料は,弁ハウジング1内の高圧燃料通路2に待機する。
【0037】
いま,コイル30を通電により励磁すると,それにより生ずる磁束が固定コア5からヨーク35,コイルハウジング31及び磁性円筒体4を経て,非磁性円筒体6を迂回しながら可動コア15へ,そして固定コア5へと順次走り,これに伴い発生する磁力により可動コア15が弁ばね22のセット荷重に抗して固定コア5に吸引され,ニードル弁16が弁座7から離座する(図4参照)ので,弁ハウジング1の高圧燃料通路2に待機していた高圧燃料は,燃料集合誘導孔9に沿って弁座7に進み,ニードル弁16の弁部16a及び弁座7の開弁間隙g1,即ち計量部で流量を計量された後,弁孔8に出て減圧沸騰を開始する。したがって,噴射燃料流量の計量は,高圧燃料の減圧沸騰する前に行われることになり,高圧燃料の減圧沸騰により発生する気泡の影響を受けることがなく,計量部での噴射燃料流量の計量を安定させることができる。
【0038】
しかも,エンジンからの吹き返しガス中の煤Dがピントル17の外周面や弁孔8及びノズル孔10の内周面に付着,堆積しても,その堆積物により,弁座7及び弁部16a間の計量部,即ち開弁間隙g1が影響されることもなく,計量部での噴射燃料流量の計量を安定させることができ,エンジン性能の安定化に寄与し得る。
【0039】
また,弁座7及び弁部16a間の計量部となる開弁間隙g1は,ニードル弁16の開弁ストロークを調節することで簡単に調節可能にあり,その調節によって,噴射燃料流量の変更要求に対し簡単に対応することができる。具体的には,例えば,可動コア15の内周面に嵌合,固定される非磁性の円筒状ストッパ部材18の突出量を予め多目に設定しておき,噴射燃料流量の変更要求に応じて,切削によりストッパ部材18の突出量を適宜減少させることにより,弁座7及び弁部16a間の開弁間隙g1を簡単に調整することができる。したがって,新たな部品の作製は不要であり,コストの低減に寄与す得る。
【0040】
また,弁孔8の軸方向長さhは,その直径dより小さく設定されることで,ニードル弁16の開弁時,高圧燃料が短時間で弁孔8を通過することができ,これによりノズル孔10での高圧燃料の減圧沸騰を早め,その霧化を,より効果的に促進することができる。
【0041】
弁孔8からノズル孔10に移った霧化燃料は,ピントル17の外周面の順テーパ面17a,反転面17b及び逆テーパ面17cによって流れをスムーズに誘導されることで,中空円錐状に拡散する一条の噴霧フォームFを形成する。しかも,この中空円錐状の噴霧フォームFの広がり角度は,逆テーパ面17cの中心角度αの選定により所望通り容易に設定することができる。その際,円錐状のノズル孔10の内周面は,その出口に向かってピントル17の逆テーパ面17cから遠ざかるので,上記中空円錐状の噴霧フォームFの形成に干渉しない。
【0042】
このように所望通りの広がり角度を持つ中空円錐状の噴霧フォームFを得ることができから,このピントル型電磁式燃料噴射弁Iを小排気量エンジンに採用する場合,噴射燃料の小径の吸気ポート内面への付着を防ぐことができ,低燃費性と出力性能の向上に寄与し得る。
【0043】
また,ピントル17の先端面は,ノズル孔10の出口端より軸方向内方に配置されるので,ピントル17がノズル孔10の外方に突出することはなく,したがってピントル型電磁式燃料噴射弁Iの取り扱い中,弁ハウジング1の先端が他物と接することがあっても,弁ハウジング1によりピントル17を保護することができる。
【0044】
また,ニードル弁16の,前記弁座7に着座する弁部16aの外周面は,前記ニードル弁16の軸線Y上に中心Cを置いた球面Sの一部で形成されるので,ニードル弁16がその閉弁時に傾動しても,弁部16aの弁座7への着座状態を常に正常に保つことができ,高圧燃料の弁座7からの無用なリークを簡単に防ぐことができる。
【0045】
本発明は上記実施例に限定されるものではなく,その要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更が可能である。
【符号の説明】
【0046】
I・・・・・電磁式燃料噴射弁
2・・・・・高圧燃料通路
7・・・・・弁座
8・・・・・弁孔
10・・・・ノズル孔
16・・・・ニードル弁
17・・・・ピントル
17a・・・順テーパ面
17b・・・反転面
17c・・・逆テーパ面
22,28・・・・電磁作動装置(弁ばね,コイル組立体)
g1・・・・開弁間隙
g2・・・・対向間隙
g3・・・・対向間隙
d・・・・・弁孔の直径
h・・・・・弁孔の軸方向長さ
S・・・・・球面
C・・・・・球面の中心
Y・・・・・ニードル弁の軸線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
高圧燃料通路(2),並びにこの高圧燃料通路(2)の下流端に順次連なる円錐状の弁座(7),円筒状の弁孔(8)及び出口に向かって拡径する円錐状のノズル孔(10)を有する弁ハウジング(1)と,前記高圧燃料通路(2)の内周面に摺動自在に支承されると共に,前記弁座(7)と協働して前記弁孔(8)を開閉する弁部(16a)を持つニードル弁(16)と,このニードル弁(16)を開閉作動する電磁作動装置(22,28)とを備え,前記ニードル弁(16)に,前記弁孔(8)を貫通して前記ノズル孔(10)内に突入配置されるピントル(17)を連設したピントル型電磁式燃料噴射弁において, 前記ピントル(17)を,その外周面と前記弁孔(8)及び前記ノズル孔(10)の内周面との間の対向間隙(g2,g3)が前記ノズル孔(10)の出口に向かって拡大するように形成し,
前記ニードル弁(16)の開弁時,その弁部(16a)及び弁座(7)間の開弁間隙(g1)を,前記ピントル(17)の外周面と前記弁孔(8)及びノズル孔(10)の内周面との間の対向間隙(g2,g3)より小さく設定して,該開弁間隙(g1)を,噴射燃料流量を決定する計量部としたことを特徴とするピントル型電磁式燃料噴射弁。
【請求項2】
請求項1記載のピントル型電磁式燃料噴射弁において,
前記ピントル(17)の外周面を,前記弁部(16a)側から順テーパ面(17a),反転面(17b)及び逆テーパ面(17c)を順次連ねて構成し,その順テーパ面(17a)は,前記弁部(16a)から離れるにつれて前記弁孔(8)を過ぎるまで縮径する形状をなし,反転面(17b)は,順テーパ面(17a)を逆テーパ面(17c)に連続的に連結するように湾曲し,逆テーパ面(17c)は,前記ノズル孔(10)内でピントル(17)先端に向かって拡径する形状をなすことを特徴とするピントル型電磁式燃料噴射弁。
【請求項3】
請求項2記載のピントル型電磁式燃料噴射弁において,
前記弁孔(8)の軸方向長さ(h)を,その直径(d)より小さく設定したことを特徴とするピントル型電磁式燃料噴射弁。
【請求項4】
請求項1〜3の何れかに記載のピントル型電磁式燃料噴射弁において,
前記ピントル(17)の先端面を,前記ノズル孔(10)の出口より軸方向内方に配置したことを特徴とするピントル型電磁式燃料噴射弁。
【請求項5】
請求項1〜4の何れかに記載のピントル型電磁式燃料噴射弁において,
前記ニードル弁(16)の,前記弁座(7)に着座する弁部(16a)の外周面を,前記ニードル弁(16)の軸線(Y)上に中心(C)を置いた球面(S)の一部で形成したことを特徴とするピントル型電磁式燃料噴射弁。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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