説明

ファイバプリフォームの樹脂注入を用いて構造体を再加工するための方法と装置

【課題】所望の性能基準を満たす複合構造体の再加工方法及び装置の提案。
【解決手段】ファイバプリフォームの樹脂注入を用いて構造体の一領域が再加工される。構造体の第1の側面から第2の側面まで構造体を貫通する樹脂流通孔が形成される。構造体の第1の側面にファイバプリフォームを配置した後、プリフォームに樹脂を流し込み、樹脂流通孔から構造体の第2の側面へ流出させることにより、ファイバプリフォームを飽和させ、空隙を生じさせる空気をほぼ排除する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、構造体、特に複合構造体を再加工するための技術に関し、具体的には、ファイバプリフォームの樹脂注入を用いて構造体の領域を再加工するための方法と装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複合構造体は、設計許容度を満たすために再加工を要する一又は複数の不整合部分を含む局所領域を含むことがある。
構造体の局所領域を再加工する一つの技術は、その領域の上にパッチを配置し、機械的ファスナを用いて親構造に対してパッチを固定することを含むが、ファスナは、航空機の重量及び/又は航空機上の抗力を増加させ、また幾つかの用途においては審美的に望ましくない。
別の再加工技術は、親構造に再加工パッチを結合することを含むが、この技術では、機械的ファスナを用いることにより、不整合部分の拡大を制限するための停止機構を形成する二次荷重経路を形成することも必要になる。
構造を再加工するためのまた別の技術は湿式レイアップ技術と呼ばれ、織物又は編物などの繊維補強を用いた湿潤層をハンドレイアップすること、及びレイアップ時にそれらの層に湿潤樹脂を適用することを含む。
湿式レイアップ技術では、パッチ内部に空気が閉じ込められることがあり、これは再加工領域に空隙を生じさせる。
湿式レイアップ技術はまた、労働集約的であり、湿潤樹脂に接近するための修理技術を必要とし、過度なクリーンアップ活動を必要とする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
したがって、空気の閉じ込めによる空隙を低減又は排除する所望の性能基準を満たす高品質の再加工を達成する、構造体、特に複合構造体を再加工するための方法と装置に対する需要が存在する。また、労働を減らすことができる修理方法に対する需要が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
開示された実施形態により、再加工プロセスの間の空気の閉じ込めに起因する再加工領域内の空隙を低減又は排除する、構造体、特に複合構造体の局所領域を再加工するための方法と装置が提供される。空気の閉じ込めは、親構造上に配置された後で樹脂を注入した多層ファイバプリフォーム再加工パッチの使用により、ほぼ排除される。注入プロセスの間に、樹脂をファイバプリフォームに流し込み、親構造に設けられた樹脂流通孔を通って再加工領域から流出させることにより、ファイバプリフォームはさらに完全に樹脂で飽和される。ファイバプリフォームに樹脂を流し、余分な樹脂を流通孔から逃すことにより、空隙を生じさせる空気の閉じ込めはほぼ排除される。
【0005】
開示される一実施形態によれば、第1の側面と第2の側面とを有する構造体の一領域を再加工する方法が提供される。この方法は、構造体の再加工領域に、構造体の第1の側面から第2の側面まで貫通する樹脂流通孔を形成することを含んでいる。方法は、構造体の第1の側面にファイバプリフォームを配置すること、プリフォームに樹脂を含浸させること、及びプリフォームを通して樹脂流通孔に樹脂を流すことにより、樹脂の波面を制御することを含む。方法は、さらに、構造体の第1の側面から望ましくない材料を除去することにより、構造体の再加工領域内にファイバプリフォームを収容するためのくぼみを形成することを含む。方法は、さらに、ファイバプリフォームの上に真空バッグを配置して、プリフォームの周囲で構造体の第1の側面にシールすること、プリフォームに樹脂を流し込むこと、並びにバッグを真空引きしてプリフォームに圧密化圧力をかけることにより、プリフォームを通して樹脂流通孔から構造体の第2の側面に樹脂を流すことを含む。
【0006】
開示される別の実施形態によれば、複合構造体の一領域を再加工する方法が提供される。構造体の第1の側面の一領域が削がれて、構造体の削がれた領域内には孔が形成される。削がれた領域内の孔を覆うようにファイバプリフォームが配置され、このファイバプリフォームに樹脂を流し込むことによりプリフォームに樹脂を含浸させる。ファイバプリフォームが圧密化され、ファイバプリフォームに流入した樹脂の一部が孔を通過して削がれた領域から逃げる。方法は、さらに、孔を余剰樹脂リザーバに連結することを含み、このリザーバには孔を通過する余分な樹脂が蓄積される。方法は、余剰樹脂リザーバ内の圧力を気圧未満の値まで低下させることを含む。ファイバプリフォームの圧密化は、真空バッグ式圧密により実行される。
【0007】
開示されるまた別の実施形態によれば、航空機の外板の一領域を再加工する方法が提供される。再加工領域内において、ファイバプリフォームを受けるように外板外側が準備される。外板の再加工領域内に、外側から内側まで貫通する孔が形成される。準備された外板外側にファイバプリフォームが配置され、外板の外側からファイバプリフォームに樹脂を導入し、外板の内側まで孔を通して樹脂を流すことにより、ファイバプリフォームに樹脂を含浸させる。ファイバプリフォームは樹脂注入プロセスの間に圧密化される。外板の外側を準備することは、ファイバプリフォームの断面形状とほぼ一致するように外板の一部を削ぐことを含む。
【0008】
開示される別の実施形態によれば、第1の側面と第2の側面とを有する構造体の一領域を再加工するために、真空を援用した樹脂注入装置が提供される。この装置は、樹脂供給源、構造体の再加工領域内に設けられた開口内部に配置されるファイバプリフォーム、及び樹脂供給源に連結された真空バッグであって、ファイバプリフォームを覆うように構造体の第1の側面にシールされる真空バッグを備えている。バッグを真空引きするために、真空源がバッグに連結される。構造体の第2の側面に対してバッキングプレートが配置され、構造体に設けられた開口を覆う。このバッキングプレートには樹脂流通孔が設けられ、この孔は、ファイバプリフォームに流入する樹脂を、構造体の第2の側面から逃がすことができる。
【0009】
第1の側面と第2の側面とを有する構造体の一領域を再加工する方法は、構造体の再加工領域を第1の側面から第2の側面まで貫通する樹脂流通孔を形成すること、構造体の第1の側面にファイバプリフォームを配置すること、ファイバプリフォームに樹脂を含浸させること、並びに、プリフォームを通して樹脂流通孔へと樹脂を流すことにより樹脂流の波面を制御することを含む。
【0010】
第1の側面と第2の側面とを有する構造体の一領域を再加工する方法は、構造体から望ましくない材料を除去することにより、構造体の再加工領域内部にファイバプリフォームを収容するためのくぼみを形成することを含み、この場合、第1の側面にファイバプリフォームを配置することは、くぼみ内にファイバプリフォームを配置することである。
【0011】
第1の側面と第2の側面とを有する構造体の一領域を再加工する方法は、さらに、ファイバプリフォームの上に真空バッグを配置すること、ファイバプリフォームの周囲で構造体の第1の側面に真空バッグをシールすること、プリフォームに樹脂を流し込むこと、バッグを真空引きしてファイバプリフォームに圧密化圧力をかけること、並びに、この圧密化圧力を用いて、プリフォームから樹脂流通孔を通って構造体の第2の側面に抜ける樹脂の流れを形成することを含む。
【0012】
第1の側面と第2の側面とを有する構造体の一領域を再加工する方法では、樹脂流通孔を形成することを、くぼみを形成する間に、構造体の第2の側面の全体に亘る深さまで構造体から材料を除去することにより行う。
【0013】
第1の側面と第2の側面とを有する構造体の一領域を再加工する方法では、樹脂流通孔を形成することは、構造体の再加工領域内で第1の側面から第2の側面まで構造体を貫通する孔を穿孔することを含む。
【0014】
第1の側面と第2の側面とを有する構造体の一領域を再加工する方法では、構造体の第1の側面の一部を除去することは、ファイバプリフォームの輪郭形状にほぼ一致するスカーフを第1の側面に形成することを含む。
【0015】
第1の側面と第2の側面とを有する構造体の一領域を再加工する方法は、さらに、ファイバプリフォームの上に真空バッグを配置すること、バッグを構造体の第1の側面にシールすること、真空バッグを真空引きすること、真空バッグを樹脂のリザーバに連結すること、樹脂リザーバ内の樹脂にかかる圧力を、気圧未満の値まで低下させること、並びに気圧未満の圧力で真空バッグ内へ樹脂を供給することを含む。
【0016】
複合構造体の一領域を再加工する方法は、構造体の第1の側面の一領域を削ぐこと、構造体の削がれた領域内に孔を形成すること、孔を覆うように、削がれた領域内にファイバプリフォームを配置すること、ファイバプリフォームに樹脂を流し込むことによりファイバプリフォームに樹脂を含浸させること、ファイバプリフォームを圧密化すること、並びに、孔から流出させることにより、ファイバプリフォームに流入した樹脂の一部を、削がれた領域から逃すことを含む。
【0017】
複合構造体の一領域を再加工する方法は、さらに、孔を余剰樹脂リザーバに連結することを含み、このリザーバには孔を通って流れる余分な樹脂が蓄積される。
【0018】
複合構造体の一領域を再加工する方法は、さらに、余剰樹脂リザーバ内の圧力を、気圧未満の値まで低下させることを含む。
【0019】
複合構造体の一領域を再加工する方法は、さらに、ファイバプリフォームの上に樹脂流通媒体を配置すること、樹脂流通媒体及びファイバプリフォームの上に第1の真空バッグを配置すること、第1の真空バッグを構造体の第1の側面にシールすること、バッグを樹脂供給源に連結すること、第1のバッグを真空引きすることによりファイバプリフォームを圧密化すること、樹脂供給源からファイバプリフォームを通して第1のバッグの中に樹脂を流すこと、構造体の第2の側面に、孔を覆うように樹脂流通媒体を配置すること、構造体の第2の側面上の流通媒体の上に第2の真空バッグを配置すること、第2のバッグを構造体の第2の側面にシールすること、並びに第2のバッグを真空引きすることを含む。
【0020】
複合構造体の一領域を再加工する方法は、さらに、構造体の第2の側面上に、流通媒体を配置して孔と流体連通させること、樹脂流出口を、構造体の第2の側面上の樹脂流通媒体と連結すること、並びに樹脂流通媒体を使用して、孔から出る余剰樹脂を回収し、樹脂流出口に導くことを含む。
【0021】
複合構造の一領域を再加工する方法は、さらに、樹脂流出口から樹脂蓄積リザーバに余剰樹脂を送達することを含む。
【0022】
複合構造体の一領域を再加工する方法は、さらに、孔から樹脂流出口へ流れる余剰樹脂の圧力を低下させることを含む。
【0023】
複合構造体の一領域を再加工する方法は、さらに、樹脂を注入したファイバプリフォームを硬化させることを含む。
【0024】
航空機の外板の一領域を再加工する方法は、再加工領域内において、ファイバプリフォームを受けるように外板外側を準備すること、再加工領域内において、外板の外側から内側まで貫通する孔を外板に形成すること、準備した外板の外側にファイバプリフォームを配置すること、外板の外側からファイバプリフォームに樹脂を導入し、孔を通して外板の内側に樹脂を流すことにより、ファイバプリフォームに樹脂を導入すること、並びにファイバプリフォームを圧密化することを含む。
【0025】
航空機の外板の一領域を再加工する方法では、外板の外側を準備することはファイバプリフォームの輪郭形状にほぼ一致するように外板の一部を削ぐことを含み、外板に孔を形成することは、削がれた部分内の外板を穿孔することを含み、準備した外板の外側にファイバプリフォームを配置することは孔の上にファイバプリフォーム位置決めすることを含む。
【0026】
航空機の外板の一領域を再加工する方法は、さらに、ファイバプリフォームの上に樹脂流通媒体を配置すること、ファイバプリフォーム及び樹脂流通媒体の上に真空バッグを配置すること、並びに、このバッグを外板の外側にシールすることによりファイバプリフォームを気密に封入することを含み、プリフォームを圧密化することは、バッグを空にして気圧未満の圧力でバッグに樹脂を注入することを含む。
【0027】
航空機の外板の一領域を再加工する方法は、さらに、外板の内側に、孔を覆うように樹脂流通媒体を配置すること、樹脂流出管を外板内側の流通媒体に連結すること、並びに、流出管からリザーバに樹脂を引き込むことにより、余分な樹脂を蓄積することを含む。
【0028】
第1の側面と第2の側面とを有する構造体の一領域を加工するための、真空を援用した樹脂注入装置は、樹脂供給源と、構造体の再加工領域内に設けられた開口内部に配置されるファイバプリフォームと、樹脂供給源に連結されて、ファイバプリフォームを覆うように構造体の第1の側面にシールされる真空バッグと、バッグに連結されてバッグを真空引きする真空源と、構造体の第2の側面に対して配置されて構造体の開口を覆うバッキングプレートであって、ファイバプリフォームに流れ込む樹脂をプリフォームから逃すことのできる孔を含むバッキングプレートとを含んでいる。
【0029】
構造体の一領域を再加工するための、真空を援用した樹脂注入装置は、さらに、樹脂蓄積リザーバと、バッキングプレートの孔を樹脂蓄積リザーバに連結する樹脂流出管とを含んでいる。
【0030】
航空機の外板の一領域を再加工するための装置は、再加工領域内の外板外側に設けられたスカーフの中に配置されたファイバプリフォームと、外板外側のファイバプリフォーム上に重なる多孔性の分離媒体と、分離媒体の上に重なる第1の樹脂流通媒体と、第1の樹脂流通媒体に樹脂を分配するための樹脂供給管と、外板外側にシールされて、第1の流通媒体、樹脂供給管、及びファイバプリフォームを覆う第1の真空バッグと、バッグに連結されて、第1のバッグを真空引きする第1の真空源と、樹脂供給管に樹脂を供給する樹脂供給リザーバと、樹脂供給管を樹脂供給リザーバに連結するために第1のバッグを通る樹脂流通口と、再加工領域内に設けられて外板外側と外板内側とを連結する樹脂流通孔と、外板内側に配置されて樹脂流通孔に連結された第2の樹脂流通媒体と、第2の流通媒体に連結された外板内側上の樹脂ベント管と、流通孔から樹脂ベント管に流れ込む樹脂を蓄積するための樹脂蓄積リザーバと、外板内側にシールされて第2の流通媒体及びベント管を覆う第2の真空バッグと、第2のバッグを真空引きするための第2の真空源とを含んでいる。
【0031】
航空機の外板の一領域を再加工する別の方法は、再加工領域内の外板外側の部分を削ぐこと、削いだ部分とほぼ同じ形状にファイバプリフォームを成形すること、外板外側のスカーフ内にプリフォームを配置すること、外板外側のファイバプリフォームの上に多孔性の分離媒体を配置すること、分離媒体の上に樹脂流通媒体を配置すること、流通媒体の上に樹脂供給管を配置すること、プリフォーム、流通媒体、及び樹脂供給管の上に真空バッグを配置すること、バッグを外板外側にシールすること、真空源にバッグを連結すること、バッグを真空引きすること、樹脂リザーバからバッグを介して樹脂供給管に樹脂を流し込むこと、流通媒体を用いて樹脂をプリフォームに流すこと、再加工領域内の外板に樹脂流通孔を形成すること、プリフォームから孔に樹脂を流すことにより、プリフォームを飽和させてプリフォーム内における空気の閉じ込めを減らすこと、並びに、プリフォームから流れる余分な樹脂を蓄積するための樹脂蓄積リザーバと孔との間にベント管を連結することを含む。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】再加工を要する不整合部位を有する構造の斜視図である。
【図2】図1の構造体を、本発明の方法による樹脂を注入したファイバパッチを用いて再加工したものである。
【図3】図1の線3−3に沿った断面図である。
【図4】図3の状態から、再加工領域を削いだものである。
【図5】図4の状態から、構造の削がれた領域内に貫通孔を設けたものである。
【図6】図4の構造において、削がれた領域が構造の内側全体に亘っているものである。
【図7】本発明の方法により樹脂を注入したファイバプリフォームの概略断面図である。
【図8】典型的な再加工の用途のための、図7に示したコンポーネントの分解斜視図である。明瞭に示すため、取り付けられている真空バッグは示さない。
【図9】図8に示したコンポーネントをさらに詳細に示す図7と同様の断面図である。
【図10】図2の線10−10に沿った断面図である。
【図11】図5と同じ状態にある、装置の別の実施形態を示している。
【図12】本発明の方法を用いた構造体の再加工方法のフロー図である。
【図13】図12に示した方法をさらに詳細に示すフロー図である。
【図14】航空機の製造及び保守方法を示すフロー図である。
【図15】航空機のブロック図である。
【0033】
まず図1及び3を参照する。図1及び3に示す複合構造体18は、この構造体18が設計又は性能の許容度及び/又は仕様を満たすために再加工を要する一又は複数の不整合部位21を含む局所領域20を有している。図示の実施例では、構造体18は、厚さ「t」の複合航空機外板22を備えており、この外板は、外側に位置する第1の側面22aと、内側に位置する第2の側面22bとを有している。構造体18は、その他の形状をとることができ、限定しないが、セラミック、金属、及び金属複合材を含む材料を含むことができる。不整合部位21には、例えば限定されないが、衝突による損傷、亀裂、破断、又は製造時や構造体18の運用期間中に生じる空隙が含まれる。不整合部位21は、外板の厚さ「t」の一部又は全部に亘る。さらに、図2及び8には、本明細書において「ファイバプリフォーム」とも呼ぶ再加工パッチ24を用いて領域20を設計仕様又は性能仕様に合わせるために再加工するための、本発明の実施形態による方法が示されている。図中のプリフォームは樹脂注入及び硬化を行う前の状態である。
【0034】
次に図3を参照する。開示される方法によれば、局所領域20の再加工は、外板22の、不整合部位21を含む部分27を除去することによって開始される。外板22の部分27を除去する工程は「スカーフィング」とも呼ばれ、図4に示すように、この工程によって外板22にくぼみ又は削がれた領域25が形成される。図示の実施例では、削がれた領域25は、この領域25の外側の縁25aから中央25bまでほぼ連続的にテーパー付けされた断面形状を有している。しかしながら、削がれた領域25は、段階的なスカーフ(図示しない)を含むその他の断面形状を有してもよい。後述の工程では、再加工パッチ24を使用して、削がれた領域25をほぼ充填する。
【0035】
図5では、外板22の外側22aに削がれた領域25が形成された後、削がれた領域25内に、外板を外側22aから内側22bに貫通する樹脂流通孔26が形成される。孔26は、穿孔又はその他の適切な方法により形成することができる。図示の実施例では、貫通孔26は、削がれた領域25の概ね中央25bに位置しているが、用途によっては削がれた領域25内の他の場所に位置させることも可能である。また、図示の実施形態には単一の貫通孔26が示されているが、削がれた領域25の大きさ及び形状によっては、削がれた領域25内の複数の位置に複数の貫通孔26を使用することもできる。
【0036】
図6は、削がれた領域25内で外板を貫通する樹脂流通孔26を形成するための別の技術を示している。この実施例では、外板22の内側22b全体に亘る深さまで材料スカーフィングプロセスを実行することにより、スカーフィングプロセスの一部として孔26が形成される。孔26の大きさとその位置は、スカーフ25の形状及び角度に応じて決まる。この技術は、不整合部位21が比較的深く、除去を要する部分27が外板22の厚さ「t」に近いときに用いられる。
【0037】
ここで図7、8、及び9を参照する。これらの図には、再加工プロセスの間に外板22の削がれた領域25内に配置されたファイバプリフォーム24への注入及び飽和に使用される、真空を援用した樹脂注入システム28が示されている。図7に示すように、樹脂供給リザーバ54は、ファイバプリフォーム24の上に配置された流通媒体34、36からなる一又は複数のレイヤ34、36の上に重なる樹脂供給管38の流入口38aに樹脂を供給する。樹脂供給管38は、図8及び9に示すような、ナイロンをらせん状に巻いたものからなり、ファイバプリフォーム24の周囲に延びている。供給管38は、ファイバプリフォーム24の用途及び形状によっては他の形状を有してもよい。多孔性分離媒体32は、限定しないが、繊維ガラスからなる剥離層を含み、ファイバプリフォーム24と流通媒体34、36の間に挟まれて位置することにより、樹脂の注入及び硬化後に、樹脂を注入したプリフォーム24から流通媒体34、36を分離し易くする。
【0038】
図7に示すように、可撓性の真空バッグ40は、樹脂供給管38、流通媒体34、36、分離媒体32、及びファイバプリフォーム24からなる積層アセンブリを覆っている。バッグ40の外縁40aは、シーラントテープ42又は同様のシールによって、外板22の外側22aにシールされている。樹脂流入口38aがバッグ40に通っている。バッグ40を真空引きするために、適切な真空源41が真空バッグ40に連結されて、樹脂注入の前及び/又は樹脂注入の間にファイバプリフォーム24を圧密化する。上記の樹脂注入システム28は、2008年2月26日発行の米国特許第7334782号に示されているシステムに類似しており、この特許文献全体をここで参照したことにより本明細に包含する。上記特許文献には、樹脂流入口リザーバ54の空気を大気圧未満まで抜いて、真空バッグ40による周期的圧密化と組み合わせて使用することにより、真空を援用した樹脂変換プロセスを制御する大気圧制御樹脂注入システムが開示されている。しかしながら、他の樹脂注入プロセスを利用することもできる。
【0039】
余剰樹脂ベント管48は、樹脂流通孔26の真下に位置し、且つ樹脂流通孔26と概ね位置合わせされた、それぞれ流通媒体50、52からなる二つのレイヤの間に挟まれている。多孔性分離媒体46は、ガラス繊維のレイヤを含み、流通媒体50、52と、外板22の内側22bとの間に配置されている。ベント管48の流出口48aは、ファイバプリフォーム24から流出して孔26からベント管48に流れ込む余剰樹脂を蓄積する樹脂蓄積リザーバ57に連結されている。真空バッグ49は、ベント管48、流通媒体50、52、及び分離媒体を覆っており、シール56によって外板22の内側22bにシールされている。ベント管48は、樹脂流の波面を制御し、削がれた領域25の底に樹脂を引き込むことを助けて、ファイバプリフォーム24全体に亘ってほぼ均一に樹脂を分配する。
【0040】
使用時には、剥離層としても知られる分離媒体32と、流通媒体34、36と、樹脂流入管38とを、削がれた領域25内に配置されたファイバプリフォーム24の上に積み重ねる。次いで、真空バッグ40を外板22の外側22aにシールし、真空源41及び樹脂供給リザーバ54の両方に連結する。ベント管48及び流通媒体50、52は、分離媒体46と共に、流通孔26と位置合わせされて外板22の内側22b上に組立られる。供給リザーバから管38に樹脂を供給しながら、バッグ40の空気を抜いてファイバプリフォーム24を圧密化する。繊維体積比を増加させて繊維量を増やすことにより再加工パッチ24の完成品の強度を上げる、及び/又は重量を減少させるために、樹脂注入を開始する前にファイバプリフォーム24を圧密化してもよい。流通媒体34、36は、多孔性分離媒体を介してファイバプリフォーム24に樹脂を分配し、流通させる。
【0041】
上記のように、ファイバプリフォーム24は、真空源41を用いてバッグ40内の圧力量を変化させることにより、周期的に圧密化される。樹脂供給リザーバ54内の圧力をバッグ40内の圧力に対して変化させることにより、ファイバプリフォーム24に樹脂を注入するときにファイバプリフォーム24に印加される正味圧密化圧力の制御を向上させることができる。流通孔26の大きさは、事前選択した背圧のレベルがファイバプリフォーム24の体積内で生成されるように選ばれる。この背圧は、樹脂が流通孔26を通ってプリフォーム24から蓄積リザーバ57に流れ出る前にファイバプリフォーム24を許容度内で確実に含浸させることを助ける。プリフォーム24がほぼ完全に樹脂を含浸したら、余剰樹脂が孔26を通って流出し始め、流通媒体50、52、及び樹脂ベント管48により外板22の内側22bで回収される。バッグ49内部の真空圧の量は、流通孔26から流通媒体50、52に流入する余剰樹脂の流れを生むように調節される。
【0042】
真空源55によってバッグ49に印加される真空は、ベント管48内へ、且つ流出口48aから蓄積リザーバ57へ余剰樹脂を引き込むことを助ける。バッグ49に印加される真空によって、樹脂の波面、及びファイバプリフォーム24への樹脂の分配も制御することができる。リザーバ57内の圧力を低下させて流出口48aからリザーバ57へ樹脂を引き込むことを助けることが可能である。孔26を通過する余剰樹脂の流れを生成することにより、プリフォーム24にさらに樹脂を注入し、プリフォーム24内の空気の閉じ込めを孔26から逃がすことにより低減又は排除することができる。孔26からの余剰樹脂の流れは、樹脂注入プロセスの間にファイバプリフォーム24から気体を除去することも助ける。
【0043】
図10は、樹脂を注入して圧密化したファイバプリフォーム24を硬化させた後で、樹脂注入アセンブリ28を除去した状態を示している。流通孔26は、注入プロセス後に孔26内に残った樹脂で塞がれている。幾つかの実施態様では、再加工パッチ24を覆ってパッチに重なる一又は複数の層(図示しない)を外板24に適用して表面を平滑化及び研磨した後で、外板22の領域20(図2)内の再加工パッチ24を塗装することができる。
【0044】
ここで図11を参照する。図11に示すように、本発明の方法の幾つかの実装態様では、削がれた領域25が、比較的広い領域「A」に亘って外板22の内側22bまで連続しており、図6に示す実施形態に類似の流通孔26が外板22に形成されている。この場合、一又は複数の二次的な流通孔26aを有するバッキングプレート65が、削がれた領域25の下で、外板22の内側22bに当てて配置される。バッキングプレート65は、印加される力「F」によって外板22に対して保持され、適切なシーラント(図示しない)を用いて外板22にシールされる。力「F」は、バッキングプレート65上に配置されて外板22の内側22bにシールされた何らかの適切な機械的手段(図示しない)又は真空バッグ(図示しない)によって印加される。例えば限定しないが、バッキングプレート65は、図9に示す真空バッグ49によって外板の内表面22bに対して保持される。樹脂流出管48は、プレート65に設けられた二次流通孔26aと樹脂蓄積リザーバ57との間に連結される。
【0045】
ここで図12を参照する。図12は、構造体18の局所領域20を再加工する方法の全ステップを示している。まずステップ60において、再加工の対象となる構造体18の局所領域20内に設けられた孔26を通る樹脂流を生成する。ステップ62では、構造体の第1の側面22aに、孔26を覆うようにファイバプリフォーム24を配置し、ステップ63ではファイバプリフォーム24を真空引きする。ステップ64では、プリフォーム24に樹脂を流し込んで樹脂流通孔26から構造体18の第2の側面22bに流出させることにより、プリフォーム24を含浸させる。
【0046】
図13は、本発明の方法をさらに詳細に示している。まずステップ68において、織物又は編物のような乾燥繊維からなる複数の補強層をレイアップすることにより、ファイバプリフォーム24を準備する。プリフォーム繊維からなるこれらのレイヤは、構造体18の削がれた領域25にほぼ一致する大きさと形状を有する。ステップ70では、再加工領域20内の外板外側22aを必要に応じて準備及び洗浄する。ステップ70は、外板22の、不整合部位を含む部分27(図3)を削ぐことを含む。ステップ72では、外板22の再加工領域20を貫通する樹脂流通孔26を形成する。ステップ74では、外板22の削がれた領域25内の外側22aにファイバプリフォームパッチ24を取り付ける。ステップ75に示すように、ファイバプリフォーム24を覆うように任意の完成層を配置してもよい。ステップ76では、ファイバプリフォーム24を覆うように、外板の外側22aに分離媒体(剥離層)を配置する。
【0047】
ステップ78では、分離媒体32の上に流通媒体34、36からなる一又は複数のレイヤを配置し、ステップ80では、らせん状に巻かれた樹脂供給管38を、流通媒体34、36の上に配置する。ステップ82では、外板22の外側22aに真空バッグ40を取り付けてシールする。ステップ84では、樹脂供給管38を適切な樹脂リザーバ54に連結する。ステップ86では、流通孔26に重ねて、外板の内側22bに分離媒体46(剥離層)を配置する。ステップ88では、流通媒体50、52及び樹脂ベント管48を、流通媒体50と52との間に取り付ける。ステップ90では外板外側22aに真空バッグ40を取り付けてシールし、ステップ91では外板内側22bに真空バッグ49を取り付けてシールする。
【0048】
ステップ92ではバッグ40、49を真空引きし、ステップ93では、樹脂流入口38aと樹脂ベント流出管48aとの間の圧力差により、真空を援用して生成された樹脂リザーバ54からファイバプリフォーム24を介してバッグ40に流入する樹脂の流れにより、ファイバプリフォームに樹脂を注入する。ステップ94では、流通孔26を通して蓄積リザーバ57に樹脂を引き込むことにより、ファイバプリフォーム24の樹脂飽和を高め、空気の閉じ込めをほぼ排除する。ステップ96では樹脂を注入したプリフォーム24を硬化させ、ステップ98において樹脂注入アセンブリ28を外板から取り除いた後、硬化させたパッチ24を必要に応じて洗浄及びバリ取りする。
【0049】
本発明の実施形態は、様々な用途に使用される可能性を有し、例えば航空宇宙、船舶、及び自動車を含む特に輸送産業の分野に用途を見出すことができる。したがって、図14及び15に示すように、本発明の実施形態は、図14に示す航空機の製造及び保守方法102、及び図15に示す航空機104に関して使用することが可能である。本発明の実施形態の航空機としての実装態様は、様々な構造的複合部品及びコンポーネントを含んでおり、それらには、例えば限定されないが、幾つか例を挙げると、操縦翼面の外板、翼及び尾翼の外板、及びアクセスドア及びパネルが含まれる。製造前の段階では、例示的な方法102は、航空機104の仕様及び設計106と、材料調達108とを含みうる。製造段階では、航空機104のコンポーネント及びサブアセンブリの製造110と、システムインテグレーション112とが行われる。その後、航空機104は認可及び納品114を経て運航116される。顧客により運航される間に、航空機104は定期的な整備及び保守118(改造、再構成、改修なども含みうる)を受ける。開示される方法は、部品、コンポーネント、又はアセンブリの領域を再加工するために、段階110、112、116、及び118のうちの一又は複数の任意の段階で採用可能である。
【0050】
方法102の各プロセスは、システムインテグレーター、第三者、及び/又はオペレーター(例えば顧客)によって実施又は実行されうる。本明細書の目的のために、システムインテグレーターは、限定しないが、任意の数の航空機製造者、及び主要システムの下請業者を含むことができ、第三者は、限定しないが、任意の数のベンダー、下請業者、及び供給業者を含むことができ、オペレーターは、航空会社、リース会社、軍事団体、サービス機関などでありうる。
【0051】
図15に示されるように、例示的方法102によって製造された航空機114は、複数のシステム122及び内装124を有する機体120を含むことができる。高レベルのシステム122の例には、推進システム126、電気システム128、油圧システム130、及び環境システム132のうちの一又は複数が含まれる。任意の数の他のシステムが含まれてもよい。開示された方法は、機体120に使用される様々な部品及びコンポーネントの領域を再加工するために使用することができる。航空宇宙産業の例を示したが、本発明の原理は、船舶及び自動車産業などの他の産業にも適用可能である。
【0052】
本明細書に具現化されたシステムと方法は、製造及び保守方法102の一又は複数の任意の段階で採用することができる。例えば、製造プロセス110に対応する部品、構造及びコンポーネントは、航空機104が運航される間の部品、構造、及びコンポーネントの再加工と同様の方法で再加工することができる。また、開示される方法の実施形態は、例えば、航空機104の組立てを実質的に効率化するか、又は航空機104のコストを削減することにより、製造段階110及び112の間に利用することができる。同様に、一又は複数の方法の実施形態を、航空機132の運航中に、例えば限定しないが整備及び保守146の一部として、部品を再加工するために利用することができる。
【0053】
特定の例示的実施形態に関連させて本発明の実施形態を説明したが、これらの特定の実施形態は説明を目的としているのであって、限定を目的としているのではなく、当業者であれば他の変形例が想起可能であろう。
【符号の説明】
【0054】
18 構造体
20 局所領域
21 不整合部位
22 外板
22a 外板外側
22b 外板内側
24 ファイバプリフォーム、再加工パッチ
25 削がれた領域、スカーフ
25a 削がれた領域の外側の縁
25b 削がれた領域の中央
26 樹脂流通孔
26a 二次流通孔
27 不整合部位を含む部分
28 樹脂注入システム
32 分離媒体
34、36 樹脂流通媒体
38 樹脂供給管
38a 樹脂流入口
40 真空バッグ
41 真空源
42 シーラントテープ
46 分離媒体
48 樹脂ベント管
48a 流出口
49 真空バッグ
50、52 流通媒体
54 樹脂供給リザーバ
55 真空源
56 シール
57 蓄積リザーバ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の側面と第2の側面とを有する構造体の一領域の再加工方法であって、
構造体の再加工領域に、構造体の第1の側面から第2の側面まで樹脂流通孔を形成すること、
構造体の第1の側面にファイバプリフォームを配置すること、
ファイバプリフォームに樹脂を含浸させること、及び
プリフォームに樹脂を流して樹脂流通孔に流入させることにより、樹脂流の波面を制御すること
を含む方法。
【請求項2】
構造体から望ましくない材料を除去することにより、構造体の再加工領域内の第1の側面にファイバプリフォームを収容するためのくぼみを形成すること
をさらに含み、
第1の側面にファイバプリフォームを配置することが、くぼみ内にファイバプリフォームを配置することを含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ファイバプリフォームの上に真空バッグを配置すること、
ファイバプリフォームの周囲で構造体の第1の側面上に真空バッグをシールすること、
プリフォームに樹脂を流し込むこと、
バッグを真空引きしてファイバプリフォームに圧密化圧力を印加し、この圧密化圧力を用いて、プリフォームに樹脂を流し、樹脂流通孔から構造体の第2の側面に流出させること
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
樹脂流通孔を形成することが、構造体の第2の側面全体に亘る深さのくぼみを形成する間に構造体から材料を除去することにより行われる、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
樹脂流通孔を形成することが、再加工領域内において構造体の第1の側面から第2の側面まで構造体を貫通する孔を穿孔することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
構造体の第1の側面の一部分を除去することが、ファイバプリフォームの輪郭形状にほぼ一致するスカーフを第1の側面に形成することを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項7】
ファイバプリフォームの上に真空バッグを配置すること、
構造体の第1の側面に真空バッグをシールすること、
真空バッグを真空引きすること、
真空バッグを樹脂リザーバに連結すること、
樹脂リザーバ内の樹脂にかかる圧力を気圧未満の値まで低下させること、及び
気圧未満の圧力で真空バッグに樹脂を供給すること
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
第1の側面と第2の側面とを有する構造体の一領域を再加工するための、真空を援用した樹脂注入装置であって、
樹脂供給源、
構造体の再加工領域内に設けられた開口内部に配置されるファイバプリフォーム、
樹脂供給源に連結されて、ファイバプリフォームを覆うように構造体の第1の側面にシールされる真空バッグ、
バッグを真空引きするために、バッグに連結された真空源、及び
構造体の第2の側面に対して配置され、構造体の開口を覆うバッキングプレートであって、ファイバプリフォームに流入した樹脂をプリフォームから逃すことを可能にする孔を含むバッキングプレート
を備えた装置。
【請求項9】
樹脂蓄積リザーバ、及び
バッキングプレートに設けられた孔を樹脂蓄積リザーバに連結する樹脂流出管
をさらに備えている、請求項8に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2012−245782(P2012−245782A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−114996(P2012−114996)
【出願日】平成24年5月18日(2012.5.18)
【出願人】(500520743)ザ・ボーイング・カンパニー (773)
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
【Fターム(参考)】