説明

ファインファイバーおよび生物活性微粒子を含有するウェブならびにその使用

本発明のアセンブリは、多層ウェブまたはマトリックスを形成するファインファイバー層を含むことができ、該ファインファイバー層内には、細胞、酵素または微生物を含む生物活性微粒子物質を分散させる。本発明のアセンブリを通って流れる流体は、該流体中に分散または溶解される物質、ナノ繊維層内の生物活性微粒子と反応する物質、該生物活性微粒子によって吸収される物質、あるいは該生物活性微粒子上に吸着される物質を含むことができる。本発明のアセンブリを使用して、流体流れを処理または精製できる。本発明のアセンブリは、バイオリアクター系、バイオ人工器官、または培養容器と連結して使用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ファインファイバーおよび生物活性微粒子を含有するウェブならびにその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
本出願は、米国を除くすべての指定国については米国企業であるドナルドソン社(Donaldson Company,Inc.)の出願人名義で、米国だけについては米国市民であるMelvin S.SchindlerおよびMark A.Gogins、およびトルコ市民であるVeli Kalayciの出願人名義で、PCT国際特許出願として2007年2月13日に出願されており、2006年2月13日出願の米国特許仮出願第60/773067号に基づく優先権を主張する。
【0003】
ポリマーウェブは、押出し、溶融紡糸、エアレイドおよび湿式レイド加工などによって作製できる。ポリマーウェブは、細胞培養および組織培養の応用分野のための有用な基体であることが示されている。例えば、米国特許出願公開第2005/0095695号および国際公開第2006/094076号を参照されたい。バイオリアクターは、最近、工業用化学薬品を製造するための、廃水を処理および除毒するための、ならびに高価値の医薬、生物製剤および小型分子を製造するための効率的な手段を提供する。バイオリアクターは、一般に、4つの異なるタイプ(撹拌槽、エアリフト、中空繊維および固定床)に分類され、バッチまたは連続方式で運転できる。バイオリアクター内で機能を発揮する作用物質としては、単離された酵素、触媒分子(有機および無機)、微生物、動物細胞、または植物細胞が通常的に採用される。細胞または微生物は、典型的には、懸濁液中で培養されるか、表面または粒子上に固定される。細胞増殖、細胞密度、培養安定性、スケールアップの可能性、および産生物の収量は、細胞または微生物を表面に固定した場合に最も高く、同時に、剪断応力に起因する細胞損傷が最小である。精製された酵素をバイオリアクター中の表面につなぎ留めると、同様に運転上の利点が現われる。溶液中での酵素活性に比較すると、必要とされる酵素量は低下し、同時に、酵素および産生物形成の安定性が増加する。加えて、培養物/酵素の固定化は、産生物分離工程の時間および費用を有意に改善する。
【特許文献1】米国特許出願公開第2005/0095695号
【特許文献2】国際公開第2006/094076号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述の考察を考慮に入れると、最適化されたパラメーターの下でバイオリアクターの出力および反応速度を最大にするのに最も重要な変数は、生産力を有する細胞または微生物の量(培養をベースにしたバイオリアクターの場合)、あるいは機能を発揮する酵素の量(酵素をベースにしたバイオリアクターの場合)である。これらの考察が、3次元構造、大きな体積に対する表面積比、大きな空隙空間、小さな圧力損失(pressure drop)、および高い物質移動効率を有する繊維質マトリックスの開発につながった。最近利用できるフィブリル状および中空繊維型反応器が、標準的な固定床反応器に比較してある程度の効率および性能を獲得しているとはいえ、産業界には、同等の反応器設置面積の範囲内で触媒密度および付着表面を向上させたフィブリル状反応器に対するかなりの必要性が相変わらず存在する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のウェブ、基体、または構造体は、本発明の微粒子を含む多層マトリックスを形成するように層化された実質上連続したファインファイバー(微細繊維)またはナノ繊維を含むことができる。生物活性、反応性、吸収性、または吸着性のある微粒子形態の繊維スペーサーまたは隔離手段を、繊維の固まりと組み合わせること、あるいは繊維の固まり中に分散させることができる。本発明のウェブは、繊維状のウェブまたは層、ならびに繊維に接着されて生物活性、反応性、吸収性、または吸着性のある構造体の形態で使用できる繊維状隔離手段またはスペーサーを含む。
【0006】
若干の実施形態において、本発明のウェブ、基体または構造体は、バイオリアクターのための増殖媒体として使用される。ファインファイバーまたはナノ繊維の層は、非細胞傷害性、非生分解性または生分解性のポリマー;および細胞、微生物、酵素、生物活性分子、またはこれらの組合せを含む生物活性のある微粒子を含む。諸態様において、本発明のバイオリアクターは、廃水流れを含む流体流れを濾過または精製するのに使用できる。他の諸態様において、本発明のバイオリアクターは、セルロースからエタノールへの生物学的変換、廃水処理におけるバイオフィルム形成、セルロース系バイオマスの生物処理、あるいは高価値の医薬、抗体、または小型分子、例えば、治療活性を有する抗体または組換えポリペプチドなどの製造に使用される。
【0007】
他の諸実施形態において、本発明のウェブ、基体、または構造体は、培養容器として使用できる。諸態様において、ファインファイバー層および/または微粒子層は、細胞の増殖および分化のための基体としての役割を果たす。さらに他の諸実施形態において、本発明のウェブ、基体、または構造体は、バイオ人工器官として使用できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明は、微粒子と一緒に使用される、ミクロ繊維、ナノ繊維などのファインファイバー形態、繊維ウェブ形態または繊維マット形態のポリマー組成物に関する。該繊維ウェブまたは繊維マットは、高密度の多層積層体またはマトリックスに形成され得る。若干の実施形態において、本発明のウェブは、実質的に連続した繊維またはナノ繊維相、および繊維の固まり中に分散された繊維隔離手段を含む。本発明の各種態様において、繊維隔離手段は、ウェブ中で微粒子相を構成する。該微粒子は、ウェブの表面で、表面生成物中で、またはウェブ内に形成された空隙空間のいたるところで見出すことができる。ウェブの繊維相を、実質上1つの連続相に作り上げることができ、多様な隔離され限定可能な層中に含めることができ、あるいはウェブのいたるところに微粒子封入相を有し、微粒子および内部ウェブ表面の周囲に封入空間をランダムに形成する無定型の繊維の固まりに作り上げることができる。
【0009】
用語「ファインファイバー(微細繊維)」は、0.001μm〜5μm未満、または約0.001μm〜2μm未満の繊維サイズまたは直径、いくつかの例では0.001μm〜0.5μmの繊維直径を有する繊維を指す。ファインファイバーを製造するには、各種の方法を利用できる。それらのすべてが参照により本明細書に組み込まれる、Chungらの米国特許第6743273号、Kahlbaughらの米国特許5423892号、McLeadの米国特許第3878014号、Barrisの米国特許第4650506号、Prenticeの米国特許第3676242号、Lohkampらの米国特許第3841953号、Butinらの米国特許第3849241号、米国特許出願公開第2005/0095695号、および国際公開第06/094076号には、各種のファインファイバー技術が開示されている。本発明のファインファイバーは、基体上に典型的には静電紡糸される。基体は、透過性または非透過性材料でよい。濾過への応用では、基体として不織フィルター媒体を使用できる。その他の応用では、該繊維を、非透過層上へ紡糸することができ、かつ下流での処理のために取り去ることができる。このような応用では、繊維を金属のドラムまたはフォイル上へ紡糸することができる。基体は、発泡PTFF層またはテフロン(登録商標)層を含むことができる。このような層は、濾過および活性微粒子に由来する活性の双方を提供できる各種の応用で有用である。ある実施形態において、基体はフィルムを含む。フィルムは、水溶性または非水溶性、生分解性または生物溶解性でよい。ある実施形態において、フィルムは、非細胞傷害性である。ある実施形態において、フィルムは、ポリビニルアルコール、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリスチレン、ポリメチルペンテン、またはポリシクロオレフィンを含む。
【0010】
本発明の目的に関して、用語「媒体」は、実質的に連続したファインファイバーの固まり、および該繊維中に分散された本発明の微粒子またはスペーサー手段を含むウェブからなる構造体を包含する。この開示で、用語「媒体」は、ファインファイバー、および基体と組み合わせて分散された本明細書に開示のいくつかの活性または不活性型の微粒子を含む、本発明のウェブを指す。用語「増殖媒体」または「培養媒体」には、増殖表面、すなわち細胞または組織の増殖を支える合成表面としての役割を果たすことのできる実質的に連続した繊維の固まりを含む多層積層体またはマトリックスを含む構造体が含まれる。生物活性微粒子は、多層マトリックス中に分散される。
【0011】
用語「エレメント」は、本発明の「媒体」または「増殖媒体」と別の部品(形状が(例えば)円筒または平面パネル構造のカートリッジ部品を含む)との組合せ物を指す。この開示で、用語「ウェブ」は、実質的に連続したまたは隣接したファインファイバー相を含む。ある実施形態で、用語「ウェブ」は、スペーサー微粒子相を含む。濾過および精製への応用に関して、連続ウェブは、移動相中の微粒子状汚染物質の充填物の通過に対して障壁を課すために必須である。1つ、2つまたは多数のウェブを組み合わせて、本発明の多層積層体またはマトリックスを構成できる。
【0012】
多くの応用、特に、比較的高流速を必要とする応用では、時には「デプス(depth)」媒体と一般には呼ばれる別タイプのフィルター媒体が使用される。典型的なデプス媒体は、繊維質物質の比較的密な絡み合いを含む。デプス媒体は、一般に、その多孔度、密度またはパーセント固体含有量によって規定される。例えば、固体性(固形物比率:solidity)が2〜3%の媒体は、全体積のほぼ2〜3%が繊維質物質(固体)からなり、残りが空気または気体空間であるように配置された、繊維からなるデプス媒体マットである。
【0013】
ウェブは、繊維中に活性微粒子または活性隔離手段を分散させるような仕方で紡糸できる。好ましい活性微粒子またはスペーサー手段は、生物活性、吸収性または吸着性微粒子を含む。このような微粒子を、溶液を含むポリマー内に分散させることができ、あるいは、該微粒子は、繊維ウェブを含む複合体中のゲル相でよい。繊維ウェブまたはナノフィブリルネットワークがバイオリアクター系中の増殖媒体の一部であるなら、該微粒子は、生物活性微粒子を含む。生物活性微粒子を、植付けによって、または繊維ウェブまたはナノフィブリルネットワーク内での分散によって多層マトリックスに添加できる。微粒子は、形成中にウェブに添加してもよいし、あるいは形成後に添加してもよい。このようなウェブは、静電紡糸される場合、繊維ウェブの表面上の繊維ウェブ内に分散された活性のある隔離もしくはスペーサー手段または微粒子を含む相互に連結されたナノ繊維またはファインファイバーの固まりによって特徴付けられる。繊維ウェブ内で、スペーサー微粒子は、相互に連結された繊維状構造体内に、固体性を低下させ、かつ移動流体流れを増加させる空隙空間を創り出す。本発明は、また、繊維層へのスペーサー微粒子の同時添加または紡糸後添加を含めてファインファイバーの固まりを形成することによって形成されるウェブを含む。このような実施形態において、微粒子は、繊維質物質のいたるところに散在させられる。最後に、本発明は、紡糸層を完全に仕上がったウェブまたは厚さの層に形成すること、次いで、ウェブを有用な物品中に組み込むのに先立って、ウェブの表面に活性微粒子を添加することを必要とする。積層、カレンダー掛け、圧縮またはその他の処理を含む後続の処理は、繊維ウェブ中または繊維ウェブを通して微粒子を組み込むことができる。ウェブを形成しながら微粒子をウェブに添加すること、または形成した後のウェブに添加することの1つの利点は、微粒子が溶媒可溶性微粒子である場合に得ることができる。可溶性微粒子を溶液に溶解することは、微粒子をウェブ中の隔離した相として維持することのない、繊維中への物質の組み込みをもたらす。形成後のウェブに微粒子を添加すると、溶媒可溶性物質はその微粒子形態で維持される。
【0014】
この物質のウェブは、傾斜構造を有することもができる。この開示で、用語「傾斜」は、ウェブのいくつかの要素(密度、固体性、繊維サイズなど)がウェブのある表面からウェブの反対側表面に向かって変化することを指す。傾斜は、活性微粒子量の変化、活性および不活性微粒子の比率変化、または微粒子のその他の変化によって特徴付けることができる。傾斜は、重量または繊維数の変化によっても特徴付けることができる。傾斜は、ウェブを形成する際に、ウェブ内に連続的に繊維の多少または微粒子の多少を作り上げることによって形成される。さらに、スペーサー手段または微粒子の濃度は、サイズ、重量、または体積当たりの微粒子物質数が、ウェブのある表面から他の表面に向かって連続的に増加または低下する傾斜態様を有する。ある実施形態において、本発明の媒体は、単一のファインファイバーウェブ、またはフィルター構造体中での一連のファインファイバーウェブの形態で使用できる。
【0015】
本発明の一態様は、実質的に連続したファインファイバーネットワーク層および生物活性粒子を有する繊維構造を含むウェブ、または生物活性基体を含む繊維ネットワークを提供する。ファインファイバーは、ナノ繊維でよい。ナノ繊維ネットワークは、単一ナノ繊維のほぼ直径またはそれを超える厚さを有することができる。ある実施形態において、1種または複数種のナノ繊維のネットワークが、繊維状構造体を規定する。用語「ネットワーク」は、本明細書中で使用する場合、繊維間に細胞または組織の活性化を優先的に増強するように選択された間隔をあけて相互に連結しているネットを形成するように調節されている、空間中でのナノ繊維のランダムなまたは配向された分布を意味する。ネットワークは、繊維間に、ネットワーク中の細孔または流路(チャネル)を形成する小さな空間を有する。ある実施形態において、繊維間間隔は、約20nm〜約2000nm、約100nm〜約1500nm、約100nm〜約1000nm、約100nm〜約800nm、約100nm〜約600nm、または約50nm〜約600nmからなる。細孔の大きさは、細胞が、単層ナノ繊維ネットワークを通って侵入および/または移動することを可能にすることが好ましい。異なる応用には異なる細孔または流路の大きさが有用である。ある実施形態において、細孔または流路は、約20nm〜約1000nm、約20nm〜約2000nm、約0.01μm〜約10μm、約0.01μm〜約25μm、または約2μm〜約10μmの直径を有する。
【0016】
ネットワークは、ナノ繊維の単一層、連続ナノ繊維で形成された単一層、ナノ繊維の複層、連続ナノ繊維で形成された複層、またはマットを含むことができる。ネットワークは、不織またはネットでよい。ネットワークは、単一ナノ繊維のほぼ直径〜250μmの厚さを有することができる。限定はされないが、表面粗度、ピーク高さ、ピーク深度、総合粗度、ピーク間間隔またはピーク数などのテクスチャー、伸び、しわ、粘着性、多孔度、固体性、弾性、幾何学的形状、相互連結度、表面体体積比、繊維直径、繊維の溶解性/不溶性、親水性/疎水性、フィブリル密度、および繊維配向を含むネットワークの物理的特性は、周知の方法を使用して所望のパラメーターに作り変えることができる。
【0017】
ある実施形態において、ナノ繊維ネットワークは、約250μm未満の厚さからなる。ある実施形態において、厚さは、約150μm〜約250μmである。ある実施形態において、厚さは、約50μm〜約100μmである。ある実施形態において、厚さは、約10μm〜約50μmである。ある実施形態において、厚さは、約5μm〜約10μmである。ある実施形態において、厚さは、約30nm〜約5000nmである。ある実施形態において、厚さは、約3000nm〜約5000nmである。ある実施形態において、厚さは、約1000nm〜約2000nmである。ある実施形態において、厚さは、約1000nm〜約1500nmである。ある実施形態において、厚さは、約30nm〜約2000nmである。ある実施形態において、厚さは、約100nm〜約1000nmである。ある実施形態において、厚さは、約500nm〜約1500nmである。
【0018】
接着性、多孔度、固体性、弾性、幾何学的形状、相互連結度、体積に対する表面積比率、溶解性/非溶解性、親水性/疎水性、および密度などの増殖基体の物理的特性は、所望のパラメーターに作り変えることができる。例えば、ナノフィブリル表面のナノ構造形態の物理的および幾何学的特性は、細胞外マトリックス(ECM)または基底膜(BM)のナノ構造形態を模擬するように作り変えることができる。ある実施形態において、ナノ繊維ネットワークは、約100%〜約500%の伸びを有する。ある実施形態において、ナノ繊維ネットワークの引張弾性率は約300MPa未満である。ある実施形態において、引張弾性率は約200MPa未満である。ある実施形態において、引張弾性率は約100MPa未満である。ある実施形態において、引張弾性率は約50MPa未満である。ある実施形態において、引張弾性率は約10MPa未満である。ある実施形態において、引張弾性率は約10MPa〜200MPa、約10MPa〜100MPa、約10MPa〜50MPa、または約2MPa〜10MPaである。さらに、特定の細胞または組織の細胞活性を促進するナノ−およびミクロ−環境は、選択された物理的および/または化学的特性を有する増殖表面を層化することによって構成できる。ある実施形態において、ナノ繊維ネットワークは、約30nm〜約1200nmの繊維直径、約100nm〜約2000nmの平均繊維間間隔、および約70%以下の固体性を有する。
【0019】
繊維質構造体は、複層マトリックスを形成するように層化された1つまたは複数の繊維ネットワークを含むことができる。ある実施形態において、複層マトリックスは、スペーサーを含む。スペーサーは、支持構造体または基体として機能することができる。スペーサーは、細胞がナノ繊維ネットワーク層に侵入し付着することを可能にするのに十分な開口部を準備する。スペーサーは、水溶性または非水溶性、多孔性または非多孔性、生分解性または生物溶解性でよい。好ましくは、スペーサーは、生体適合性である。生物活性分子は、本明細書に記載のようなスペーサーに吸収、吸着、付着、結合、またはつなぎ留められることができる。ファインファイバー(微細繊維)は、本明細書に記載のようなミクロ繊維またはその他のファインファイバー、あるいは活性または不活性微粒子を含むことができる。ミクロ繊維は不織またはネットでよい。
【0020】
生物活性微粒子は、繊維相内に分散させることができる。分散させるとは、生物活性微粒子が、繊維に接着されること、繊維に付着されること、繊維に結合されること、繊維につなぎ留められること、ウェブ内の空隙空間内に、またはウェブ中に部分的に侵入してウェブ表面に空間を創り出すポケット中に保持されることを意味する。ウェブは、生物加工処理および生物変換への応用を含むバイオリアクターへの応用での増殖表面、培養表面、触媒表面、または付着表面として、あるいはアフィニティクロマトグラフィー、廃水処理または精製への応用などのフィルターへの応用に向けた媒体として使用できる。バイオリアクター系で使用するための高密度複層積層体またはマトリックスの場合、各層の厚さ、層間距離、繊維表面の多孔度は、具体的な応用、細胞、微生物、酵素、またはその他の生物活性分子の必要条件に合致するように調節することができる。ある実施形態において、各層の厚さは約0.25μm〜約1.0μmであり、層間距離は約1.0μm〜2.0μmであり、平均細孔径は約0.2μm〜約1.0μmである。
【0021】
生物活性微粒子は、細胞、微生物、酵素、またはその他の生物活性分子でよい。細胞は、動物細胞、植物細胞、昆虫細胞、細菌細胞、酵母細胞、または真菌細胞でよい。本発明の系および方法で有用な動物細胞には、幹細胞、体細胞、前駆細胞、分化細胞、または腫瘍細胞が含まれる。細胞は、マウスまたはヒトでよい、本発明の系および方法で有用な細胞の例には、限定はされないが、骨芽細胞、筋芽細胞、神経細胞、線維芽細胞、膠芽細胞、胚細胞、幹細胞、肝細胞、軟骨細胞、角化細胞、平滑筋細胞、心筋細胞、結合組織細胞、グリア細胞、上皮細胞、内皮細胞、ホルモン分泌細胞、神経細胞、ならびにB細胞、T細胞、マクロファージおよび好中球などのリンパ系細胞が含まれる。ある実施形態において、細胞はCHO細胞である。幹細胞の例には、限定はされないが、胚性幹細胞、間葉系幹細胞、骨髄幹細胞、羊膜および臍帯幹細胞が含まれる。幹細胞は、哺乳動物の幹細胞でよい。ある実施形態において、幹細胞は、ヒトまたはネズミの幹細胞でよい。ある実施形態において、幹細胞は、胚性幹細胞である。
【0022】
昆虫細胞の例には、限定はされないが、Drosophila S2、Spodoptera Sf9およびSf21、Trichoplusia Tn5などの細胞系、Bombyx mori(カイコ)からの細胞、ならびにMalacosoma disstria(イモムシ)からの細胞などが含まれる。
【0023】
植物細胞の例には、限定はされないが、柔組織細胞、厚角組織細胞、厚膜組織細胞、木質細胞(すなわち、水を運ぶ細胞)、篩部細胞、根細胞、根毛細胞、葉細胞、棚状細胞、孔辺細胞、およびカルス細胞などが含まれる。
【0024】
細菌細胞の例には、限定はされないが、アクチノバクテリア、ファーミクテスなどのグラム陽性細菌(Clostridium、Streptococcus、Staphylococcus、Bacillus、Corynebacterium、Listeriaの種)など;Neisseria、Branhamella、Vibrio、Spirochetes、Enterobacter(大腸菌およびProteusを含む)、Pseudomonasの種などのグラム陰性細菌;Deinococcus-Thermus、Salmonella、Shigella、SerratiaおよびCampylobacterなどの種に由来する細胞が含まれる。
【0025】
真菌細胞の例には、限定はされないが、皮膚糸状菌(例えば、Microsporum canisおよびその他のMicrosporum sp.;ならびにT.rubrumおよびT.mentagrophytesなどのTrichophyton sp.)、Torulopsis glabrata、Epidermophyton floccosum、Malassezia furfur(Pityropsporon orbiculare、またはP.ovale)、Cryptococcus neoformans、Aspergillus種(A.fumigatus、A.nidulans、およびその他のAspergillus種)、Zygomycetes(例えば、Rhizopus、Mucor)、Paracoccidioides brasiliensis、Blastomyces dermatitides、Histoplasma capsulatum、Coccidioides immitis、およびSporothrix schenckiiなどが含まれる。生物活性微粒子は、酵母細胞でよい。酵母細胞の例には、Candida albicans、C.Tropicalis、またはその他のCandida種、S.cerevisiae、S.pastorianus、S.bayanumなどのSaccharomyes種が含まれる。
【0026】
細胞は、天然供給源に由来すること、遺伝子工学で作り変えられること、または任意のその他の手段で産生されることができる。真核または原核細胞の任意の天然供給源を使用できる。ある実施形態において、天然供給源は哺乳動物である。ある実施形態において、哺乳動物はヒトである。
【0027】
細胞は、1つまたは複数の遺伝子を発現するように、1つまたは複数、あるいは双方の発現を抑えるように遺伝子工学で作り変えることができる。遺伝子工学で作り変えられた本発明の系および方法で有用な細胞の例が、治療活性を有する抗体および組換えタンパク質を含む1種または複数種の所望の生物活性分子を産生しかつ分泌するように遺伝子工学で作り変えられた細胞である。ある実施形態において、細胞は、モノクロナール抗体を産生するハイブリドーマ細胞である。用語「抗体」は、最も広い意味で使用され、具体的には、単一のモノクロナール抗体(アゴニストおよびアンタゴニスト抗体を含む)、ポリエピトープ特異性をもつ抗体組成物、親和性成熟抗体、ヒト化抗体、キメラ抗体、モノボディなどの一本鎖抗原結合分子、ならびに所望の生物学的活性を提示する抗原結合フラグメントまたはポリペプチド(例えば、Fab、F(ab’)2、scFv、およびFv)を包含する。
【0028】
生物活性分子の例には、増殖因子、分化因子、抗体、およびホルモンが含まれる。抗体はモノクロナール抗体でよい。抗体は、キメラまたはヒト化抗体でよい。ホルモンの例には、インスリン、ヒト増殖因子、エリスロポエチン、甲状腺刺激ホルモン、エストロゲン、またはプロゲステロンが含まれる。細胞は、ワクチンで使用するための抗原を産生するように遺伝子工学で作り変えることができる。細胞は、炎症を抑制または刺激するように、治癒を促進するように、免疫拒絶を阻止するように、ホルモン置換を提供するように、神経伝達物質に取って代わるように、癌細胞を抑制または破壊するように、細胞増殖を促進するように、血管形成を抑制または刺激するように、組織を増加するように、ならびに皮膚、滑液、腱、軟骨、靭帯、骨、筋肉、器官、硬膜、血管、骨髄、および細胞外マトリックスの補充または置換を促進または誘導するように遺伝子工学で作り変えることができる。
【0029】
遺伝子工学は、例えば、細胞に遺伝子物質を添加または細胞から遺伝物質を取り出すこと、標準的組換え法を使用して存在する遺伝子物質を変えること、またはその双方を含むことができる。細胞がある遺伝子を発現するようにトランスフェクトされる、または遺伝子工学で作り変えられる実施形態は、一時的または永続的にトランスフェクトされた遺伝子、またはその双方を使用できる。遺伝子配列は、完全または部分長の、クローン化されたまたは天然のものでよい。
【0030】
用語「生物活性分子」は、本明細書中で使用する場合、細胞または組織に影響を与える分子を意味する。該用語には、ビタミン、塩、電解質、アミノ酸、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質、炭水化物、脂質、多糖、核酸、ヌクレオチド、ポリヌクレオチド、糖タンパク質、リポタンパク質、糖脂質、グリコサミノグリカン、プロテオグリカン、増殖因子、分化因子、ホルモン、神経伝達物質、フェロモン、ケイロン、プロスタグランジン、免疫グロブリン、モノカインおよびその他のサイトカイン、湿潤剤、ミネラル、電気および磁気反応性物質、感光性物質、感熱性物質、抗酸化剤、細胞エネルギーの供給源として代謝されることのできる分子、および細胞性または生理学的応答を引き起こすことのできる任意の分子が含まれる。分子の任意の組合せを、これらの分子のアゴニストまたはアンタゴニストに加えて使用できる。グリコサミノグリカンには、糖タンパク質、プロテオグリカン、およびヒアルロナンが含まれる。多糖には、セルロース、デンプン、アルギン酸、キトサン、またはヒアルロナンが含まれる。サイトカインには、限定はされないが、カルジオトロフィン、ストローマ細胞由来因子、マクロファージ由来ケモカイン(MDC)、メラノーマ増殖刺激活性(MGSA)、マクロファージ炎症性タンパク質1α(MIP−1α)、2、3α、3β、4および5、インターロイキン(IL)1、IL−2、IL−3、IL−4、IL−5、IL−6、IL−7、IL−8、IL−9、IL−10、IL−11、IL−12、IL−13、TNF−α、およびTNF−βが含まれる。本発明で有用な免疫グロブリンには、限定はされないが、IgG、IgA、IgM、IgD、IgE、およびこれらの混合物が含まれる。アミノ酸、ペプチド、ポリペプチド、およびタンパク質としては、任意の大きさおよび複雑性からなるこのような分子の任意のタイプ、およびこのような分子の組合せを挙げることができる。例には、限定はされないが、構造タンパク質、酵素、およびペプチドホルモンが含まれる。
【0031】
用語「生物活性分子」には、繊維質タンパク質、接着タンパク質、接着化合物、ターゲッティング化合物、増殖抑制剤、および分化抑制剤も含まれる。繊維質タンパク質には、コラーゲンおよびエラスチンが含まれる。接着/剥離化合物には、フィブロネクチン、ラミニン、トロンボスポンジン、テネイシンCが含まれる。接着タンパク質には、アクチン、フィブリン、フィブリノーゲン、フィブロネクチン、ビトロネクチン、ラミニン、カドヘリン、セレクチン、細胞内接着分子1、2および3、ならびに、限定はされないが、α5β1、α6β1、α7β1、α1β2、α2β3およびα6βなどのインテグリンを含む細胞マトリックス接着受容体が含まれる。増殖因子には、骨髄ストローマ細胞由来増殖因子、p21(WAF1/Cip1)細胞周期阻害剤、およびタキソールが含まれる。分化抑制剤には、トロンボスポンジンおよびNogo−Aが含まれる。
【0032】
用語「生物活性分子」には、レプチン、白血病阻害因子(LIF)、RGDペプチド、腫瘍壊死因子αおよびβ、エンドスタチン、アンジオスタチン、トロンボスポンジン、骨形成タンパク質−1、骨形態形成タンパク質2および7、オステオネクチン、ソマトメジン様ペプチド、オステオカルシン、インターフェロンα、インターフェロンαA、インターフェロンβ、インターフェロンγ、インターフェロン1α、ならびにインターロイキン2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、15、16、17および18も含まれる。
【0033】
用語「増殖因子」は、本明細書中で使用する場合、細胞または組織の増殖を促進する生物活性分子を意味する。本発明で有用な増殖因子には、限定はされないが、トランスフォーミング増殖因子−α(TGF−α);トランスフォーミング増殖因子−β(TGF−β);AA、ABおよびBBアイソフォームを含む血小板由来増殖因子(PDGF);FGF酸性アイソフォーム1および2、FGF塩基性型2、およびFGF4、8、9および10を含む線維芽細胞増殖因子(FGF);NGF2.5s、NGF7.0s、βNGFおよびニューロトロフィンを含む神経増殖因子(NGF);脳由来神経栄養因子;軟骨由来因子;骨増殖因子(BGF);塩基性線維芽細胞増殖因子;インスリン様増殖因子(IGF);血管内皮増殖因子(VEGF)、EG−VEGF、VEGF関連タンパク質、Bv8、VEGF−E;顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF);インスリン様増殖因子(IGF)IおよびII;肝細胞増殖因子;グリア神経栄養増殖因子(GDNF);幹細胞因子(SCF)、角化細胞増殖因子(KGF);TGF−α、β、β1、β2、およびβ3を含むトランスフォーミング増殖因子(TGF);骨格増殖因子;骨マトリックス由来増殖因子;および骨由来増殖因子;ならびにこれらの混合物が含まれる。いくつかの増殖因子は、細胞または組織の分化を促進することもできる。例えば、TGFは、細胞または組織の増殖および/または分化を促進できる。いくつかの好ましい増殖因子には、VEGF、NGF、PDGF−AA、PDGF−BB、PDGF−AB、FGFb、FGFa、およびBGFが含まれる。
【0034】
用語「分化因子」は、本明細書中で使用する場合、細胞の分化を促進する生物活性分子を意味する。該用語には、限定はされないが、ニューロトロフィン、コロニー刺激因子(CSF)、またはトランスフォーミング増殖因子が含まれる。CSFには、顆粒球−CSF、マクロファージ−CSF、顆粒球−マクロファージ−CSF、エリスロポエチン、およびIL−3が含まれる。いくつかの分化因子は、細胞または組織の増殖を促進することもできる。例えば、TGFおよびIL−3は、細胞の分化および/または増殖を促進できる。
【0035】
ある実施形態において、増殖因子(群)および/または分化因子(群)は、ファインファイバー層によって放出される。増殖因子または分化因子の放出速度は、繊維層の分解または溶解速度によって決定される。
【0036】
用語「接着化合物」は、本明細書中で使用する場合、接着化合物を含む繊維表面への細胞の付着を、焦点接着複合体の形成により促進する生物活性分子を意味する。接着化合物の例には、限定はされないが、フィブロネクチン、ビトロネクチン、ラミニン、またはこれらのフラグメントが含まれる。
【0037】
用語「ターゲッティング化合物」は、本明細書中で使用する場合、ターゲッティング化合物を含む繊維への細胞の補充および/または付着を誘発するシグナル伝達分子として機能する生物活性分子を意味する。ターゲッティング化合物およびそれらの同族受容体の例には、フィブロネクチンに由来するRGDペプチドを含む付着ペプチドおよびインテグリン、EGFを含む増殖因子およびEGF受容体を、ならびにインスリンを含むホルモンおよびインスリン受容体が含まれる。
【0038】
本発明の繊維質構造体または基体は、該繊維層(群)中に分散された活性および/または不活性微粒子を含むこともできる。本発明の微粒子物質は、本発明の媒体および層の活性および濾過特性または精製特性を向上させる能力のある寸法を有する。微粒子物質は、不活性、反応性、吸収性、または吸着性のある各種の有用な微粒子物質から作製できる。細胞または微生物を使用する生物処理および生物変換への応用において、活性または不活性微粒子は、好ましくは、非細胞傷害性である。微粒子物質は、ウェブまたは微粒子物質を通過する移動相および混入した微粒子または溶かされた汚染物質充填物に対して実質的に不活性であるか、あるいは、微粒子物質は、流体、流体の溶かされた部分、または流体中の微粒子充填物と相互作用できる。若干のまたはすべての微粒子は、不活性でよい。好ましい微粒子は、活性、生物活性、反応性、吸収性、または吸着性物質である。本発明の目的に関して、用語「不活性」は、ウェブ中の微粒子物質が、流体または微粒子充填物と化学的に実質上反応しないか、あるいは微粒子上に流体または微粒子充填物の一部を任意のかなりの量で物理的に実質上吸収または吸着しないことを指す。この「不活性」方式で、微粒子は、繊維層および1つまたは複数の繊維層を含む媒体の物理的パラメーターを簡単に改変する。このような微粒子は、隔離手段としてまたは空間を塞ぐために使用できる。通常の方法を使用して、不活性粒子を酵素またはその他の生物活性分子で被覆することができる。ある実施形態において、不活性粒子はポリマービーズである。
【0039】
用語「活性微粒子」は、本開示中で使用する場合、吸収性、吸着性または反応性粒子を指す。本特許出願の目的に関して、用語「吸着性」は、流体流れに混入した微粒子をある粒子の表面に吸着および蓄積する活性のある粒子を指す。用語「吸収性」は、粒子が、流体流れに混入した微粒子をある粒子内の内部または空隙空間もしくは空間中に蓄積する能力を有することを指す。用語「化学的反応性」は、微粒子が流体流れ中に混入した微粒子の化学的特性と当該微粒子の特性の両方を反応して化学的に変化える能力があることを指す。
【0040】
本発明の活性微粒子は、種々の添加技術を使用して、本発明のエレメントの任意の層に添加することができる。本発明の微粒子は、細胞、微生物、酵素または生物活性分子で被覆された、またはそれらに結合した、あるいは活性または生物活性微粒子と組み合わせた不活性微粒子を含むことができる。本発明の微粒子は、本出願の他の場所で考察するように、繊維の紡糸中にファインファイバー層中に組み込むことができる。加えて、本発明の活性微粒子は、水性、非水性液体または混合水性液体中に溶解または分散させることができ、本発明の有用なエレメントの任意の層に適用できる。
【0041】
流体または混入した微粒子充填物と相互作用する活性微粒子を使用する場合、該微粒子は、媒体または層の物理的特性を変えることに加え、ウェブを通過する物質を変える目的で、移動流体または微粒子充填物の一部と反応し、あるいはそれらを吸収または吸着できる。本明細書に開示される技術の主な焦点は、層の処理特性を向上させて、媒体または層からなる物理的構造体の生物活性/反応/吸収/吸着能力または寿命を増加させること、および必要なら精製法におけるフィルター性能を向上させることである。そこで、多くのこのような応用では、不活性粒子、活性粒子、および生物活性粒子の組合せを使用できる。
【0042】
微粒子は、種々の規則的な幾何学的形状または無定型構造を取り得る。このような形状としては、無定型またはランダムな形状、凝集体、球、円盤、卵形、伸びた卵形、十字形状、棒、中空棒または円筒、バー、空間中に伸びた複数の微粒子形態を有する三次元十字形状、中空球、非規則的形状、立方体、種々の面、角および内部容積の固体プリズムを挙げることができる。本発明の非球状微粒子のアスペクト比(粒子の主要または最大寸法に対する最小寸法の比率)は、約1:2〜約1:10、好ましくは約1:2〜約1:8の範囲でよい。
【0043】
本発明の微粒子は、本発明の複層ナノフィブリルマトリックスの部分を形成する非相互作用性不活性微粒子または生物活性微粒子である。移動流体相または混入した微粒子相と非相互作用性である微粒子は、有機および無機材料の双方を含む。有機微粒子は、発泡されたポリスチレンまたはスチレンコポリマー;あるいはナイロンまたはナイロンコポリマー;ポリエチレン、ポリプロピレンを含むポリオレフィンポリマー;エチレンオレフィンコポリマー;プロピレンオレフィンコポリマー;アクリルポリマーおよびポリメチルメタクリレートを含むコポリマー、ならびにポリアクリロニトリルから調製できる。さらに、微粒子は、セルロース系材料およびセルロース誘導体のビーズを含むことができる。このようなビーズは、セルロースから、またはメチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースおよびその他のセルロースなどのセルロース誘導体から製造できる。さらに、微粒子は、珪藻土、ゼオライト、タルク、クレイ、ケイ酸塩、溶融シリカ、ガラスビーズ、セラミックビーズ、金属微粒子、酸化金属などを含むことができる。本発明での使用を意図した微粒子は、約0.01μm〜510μmの範囲の平均サイズによって特徴付けられる。サブμmの活性粒子が使用されるが、本発明は、平均サイズで100μmまでの微細粒子に適用できる。少なくとも、活性微粒子の平均サイズは、ほぼ0.01〜0.0001の桁の平均微粒子サイズである。したがって、比較的より大きな平均サイズの活性粒子は、より大きな平均サイズの微粒子を必要とする。粒子には、活性炭などの炭素粒子、イオン交換樹脂、/ビーズ、ゼオライト粒子、珪藻土、活性アルミナなどのアルミナ粒子、例えば、スチレンモノマーを含むポリマー粒子、および市販の超吸収性粒子などの吸収性粒子が含まれる。
【0044】
特に適切な吸収性/吸着性粒子は、低密度多孔性粒子であり、直径が約1μm〜100μmの範囲でありより小さな細孔で相互に連結された表面空洞を含む細孔および空洞を有する。これらの細孔および空洞は、有益には、約0.01μm〜10μmの範囲の平均サイズを有する微細粒子の沈着、特に単層沈着のための、およびその後に固定される微細粒子に対する接近性のための内部表面を提供する。これらの粒子の1cm3は、全体でほぼ75m2〜1,500m2の利用可能な表面を提供する。炭素微粒子は、ヤスリで削った(filing divided)活性炭の形態で使用できる。このような活性炭は、炭素表面とブレンドできる、または炭素表面上に吸着され得るその他の反応性、吸着性または吸収性種と組み合わせることができる。炭素ナノチューブ、ナノ粒子、ナノワイヤー、ナノ炭素ロープまたはより大きな格子、あるいは個々のエレメントが炭素ナノチューブを含む構築物を含むその他の形態の活性炭を使用できる。バッキーボール、より小さなナノチューブ(またはそのナノチューブ部分)、ナノロープなどのこのようなナノ粒子を、ナノチューブの内部容積内に組み込むこと、あるいはナノ構造体の炭素原子格子中に組み込むことができる。さらなる原子、分子または成分は、ナノ微粒子物質に構造または機能を付加することができる。
【0045】
本発明の微粒子は、光反応性、磁性または伝導性を有することができる。光反応性粒子には、触媒TiO2粒子などの金属酸化物粒子が含まれる。本発明のエレメント中の繊維または層は、光反応性、磁性または伝導性を有することができる。このような触媒層は、UV(紫外)光で照射されると、触媒と移動相中に混入した物質との間で化学反応を引き起こすことができ、該混入した物質を除去すること、あるいはそれらの物質を有毒もしくは有害な物質から害のない物質に変えることができる。外界光は、エレメント中のTiO2に対する触媒効果を得るのに十分な照射エネルギーの供給源である場合が多い。外界条件が、活性にとって不十分であるなら、エレメントを、別個のUV供給源と一緒に使用できる。蛍光UV供給源は、周知であり、別個の照射源として使用することができ、あるいはエレメント中に組み込まれてTiO2上にかなりの量のUV照射を提供できる。本発明の微粒子またはナノ繊維層として使用するための磁性材料には、フェリチンが含まれる。本発明の微粒子は、例えばフェリチンのように磁気を帯びていてもよい。
【0046】
本発明では、小型分子、オリゴマーおよびポリマー物質を使用することができる。小型分子は、典型的には、約500未満の分子量を有し、典型的には、単一の識別可能な分子単位から構成され、該単位は、典型的には分子構造中で反復しない。オリゴマー構造は、典型的には、ややより大きな分子量を有するが、典型的には、構造中に2〜10個の繰返し分子単位を有する。ポリマー単位は、典型的には、実質的により大きな分子量を有し、典型的には、ポリマー構造中に実質的に10個を超える繰返し単位を有する。オリゴマーとポリマー構造との相違は、必ずしも明瞭ではないが、構造中の繰返し単位の数が増加するにつれて、この物質はよりポリマー性になる傾向がある。
【0047】
微粒子は、単分散性または多分散性でよい。単分散性微粒子において、粒子の大部分は、直径または長軸寸法が類似している。例えば、単分散性微粒子の一例では、該微粒子の80%〜90%が約0.8±0.5μmまたは約1±0.25μmの範囲内にある。多分散性物質において、該微粒子は、直径を異にするかなりの部分の粒子を有する。多分散性物質は、2つの単分散性物質の混合物、または広範な範囲(例えば、0.1μm〜10μmまたは0.01μm〜100μm)のいたるところに存在するかなりの量の微粒子物質を含む物質である可能性もある。
【0048】
球またはその他の形状は、固体および中空形態を含む多様な異なる物理的形態でよい。微粒子は、実質的に球状のまたはわずかに卵形をした球状構造体でよい、球は、固体でよく、あるいは内部にかなりの空隙容積を有することができる。球殻の厚さは、約0.05μm〜約500μmの範囲でよく、一方、該球は、約0.5μm〜約5000μmの範囲でよい。使用できるその他の円形構造には、単純トロイダル構造、スパイラルもしくはヘリカル構造、またはインターロッキング連結型鎖構造が含まれる。
【0049】
本発明の微粒子は、予め決められた長さおよび直径を有する生物活性、反応性、吸収性または吸着性のある繊維様構造体を含むこともできる。このような繊維のアスペクト比は、典型的には、約1から約10:1であり、該構造体のファインファイバーよりも典型的にはより大きな繊維直径を有する。微細粒子繊維のファインファイバーに対する直径比は、典型的には、約0.5から約5000:1である。円筒、中空円筒、十字形構造、三次元十字形構造、I−ビーム構造などを含むその他各種の規則的形状を使用できる。微粒子は、該微粒子が比較的明確な長軸および短軸寸法を有するが、本質的に実質上不規則的である外表面を有するような不規則的形状でもよい。多くの無定型の有機および無機微粒子は、不規則的形状を有するが、微粒子物質の間隔保持特性を提供できるサイズを有することができる。球の物理的形状および化学的性質に応じて、球の寸法は、超吸収性、溶媒膨潤、熱膨張、多孔度変化などの二次的過程によって操作され得る。Expancel(登録商標)から入手できる微小球を熱処理して微小球の体積を驚くほど膨張させることができる。本発明により、ファインファイバーと微小球との複合媒体を製造し、その後、(加熱に限定されない)二次処理により、例えば、Expancel(登録商標)の場合なら加える熱および温度の程度に応じて制御された仕方で複合媒体の構造を変えることができ、微小球の膨張度を制御できる。例えば、微小球を膨張させることによって、構造体の厚さおよびロフトを増加させることができ、それによって濾過特性を所望の仕方に変更できる。微小球の物理的性質のこのような変化は、微小球が膨張する場合に伸びるようなファインファイバーの弾性によって提供されるべきであることを理解すべきである。微小球での変化の可逆性に応じて、ロフトの大きい構造体を創り出し、次いで、該構造体を崩壊/収縮させて密で/コンパクトな濾過構造体を創り出すことができる。
【0050】
本発明の微粒子物質およびファインファイバー(微細繊維)層を、微生物および酵素を培養するための基体として使用することもできる。このような材料は、足場および三次元空間を組織するものとして役立つように設計された非毒性でかつ生体適合性のある材料である。基体は、沈着したナノ繊維のネットワークのための構造的支えを提供する任意の表面でよい。基体は、ガラスまたはプラスチックを含むことができる。好ましくは、プラスチックは非細胞傷害性である。基体は、フィルムまたは培養容器でよい。基体は、水溶性または非水溶性でよい。水溶性である基体は、好ましくは、ポリビニルアルコールのフィルムである。基体は、多孔性または非多孔性でよい。基体の多孔度は、細胞浸透によって決定される。細胞は、多孔性基体に浸透できるが非多孔性基体に浸透できない。基体は、生分解性および/または生物溶解性でよい。好ましくは、基体は生体適合性である。
【0051】
基体は、1種または複数種の生物活性分子または微粒子を含むことができる。好ましくは、生物活性分子の1つは、ペプチド、ポリペプチド、脂質、炭水化物、多糖、アミノ酸、またはこれらの混成分子である。基体は、1種または複数種のアルコール、アルデヒド、アミノ、カルボキシ、スルフヒドリル、または光で活性化が可能な官能基を含むことができる。好ましくは、光で活性化が可能な基は、カルベンまたはナイトレンである。基体は、1種または複数種の増殖因子および/または分化因子を含むことができる。基体は、1種または複数種の増殖因子および/または分化因子を放出できる。放出速度は、基体の溶解または分解速度によって決定される。
【0052】
基体は、培養容器を構成する微粒子の1種または複数種の生物活性分子を含むことができる。用語「培養容器」は、本明細書中で使用する場合、細胞または組織を培養するための媒体を保持するための容器を意味する。培養容器は、ガラスまたはプラスチックでよい。好ましくは、プラスチックは非細胞傷害性である。用語「培養容器」には、限定はされないが、単穴および多穴培養プレート、区画に分けられたおよび複数の区画に分けられた培養スライド、カップ、フラスコ、チューブ、ボトル、ローラーボトル、スピナーボトル、散水ボトル、および発酵槽が含まれる。
【0053】
本発明のウェブは、バイオリアクターへの応用、および濾過または流体精製への応用において、媒体中の繊維と組合せで、濾過効率、濾過通気度、デプス負荷、圧力損失の最小の増加で特徴付けられる実用的寿命の延長、またはこれらの組合せを提供する、微粒子形態の反応性、吸収性、吸着性、または生物活性のあるスペーサーまたは隔離手段の存在によって改変されたファインファイバーの連続ウェブを有する表面媒体またはデプス媒体として使用できる。生物活性、反応性、吸収性、または吸着性のあるスペーサーまたは隔離手段は、ウェブ中のポリマー量または繊維数を増加することなしに、繊維の固まりまたはウェブ部分が、構造体内での低減された固体性、隔離された繊維または隔離されたウェブ部分、および繊維層の増加したデプスを有する構造を繊維ウェブに獲得させる。繊維ウェブ中の反応性、吸着性、吸収性または生物活性のある部分は、繊維層を通過する移動流体中の反応性化学種と反応することができ、あるいは、移動流体中のこのような化学成分を、繊維層中の吸収性または吸着性部分によって吸収または吸着できる。微粒子の活性または複数の活性が維持される限り、活性または生物活性のある微粒子を不活性微粒子と一緒に使用できる。濾過への応用において、得られる構造体は、圧力損失の増加に対する耐性、通気性の改善、効率の改善、および繊維層を通過する移動流体流れから微粒子状非反応性充填物および反応性気体状または微粒子状充填物の双方を除去する能力と組み合わせた濾過特性の向上を獲得する。本発明のフィルターへの応用に関して、「流体流れ」は、微粒子を含むことのできる液体流れを指す。微粒子状充填物は、流体流れから濾過されることができ、あるいは、微粒子状充填物を、吸着、吸収すること、または本発明の微粒子物質と反応させることができる。
【0054】
本発明のファインファイバー(微細繊維)/ナノ繊維層は、各種ポリマー種から製造できる。本発明の繊維ポリマー組成物として使用できるポリマー材料には、ポリオレフィン、ポリアセタール、ポリアミド、ポリエステル、セルロースエーテルおよびエステル、ポリアルキレンスルフィド、ポリアリーレンオキシド、ポリスルホン、修飾ポリスルホンポリマー、およびこれらの混合物などの付加ポリマーおよび縮合ポリマー材料が含まれる。これらの一般的部類に包含される好ましい材料には、架橋および非架橋形態の、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ(塩化ビニル)、ポリメチルメタクリレート(およびその他のアクリル樹脂)、ポリスチレン、およびこれらのコポリマー(ABA型ブロックコポリマーを含む)、ポリ(フッ化ビニリデン)、ポリ(塩化ビニリデン)、種々の加水分解度(80%〜99.5%)のポリビニルアルコールが含まれる。好ましい付加ポリマーは、ガラス状(室温を超えるガラス転移温度(T))である傾向がある。このことは、ポリ塩化ビニルおよびポリメチルメタクリレート、ポリスチレンポリマー組成物またはアロイにとって問題であり、あるいはポリフッ化ビニリデンおよびポリビニルアルコール材料に関する結晶性を低下させる。ポリアミド縮合ポリマーの1つの部類は、ナイロン材料である。用語「ナイロン」は、すべての長鎖合成ポリイミドに対する一般名である。典型的には、ナイロンの名称には、出発原料がC6ジアミンとC6二酸であることを指すナイロン−6,6などにおける一連の数字が含まれる(最初の桁がC6ジアミンを指し次の桁がC6ジカルボン酸化合物を指す)。ナイロンは、小量の水の存在下でのε−カプロラクタムの重縮合によって製造できる。この反応は、線状ポリアミドであるナイロン−6(ε−アミノカプロン酸としても知られている環状ラクタムから製造される)を形成する。さらに、ナイロンコポリマーも考えられる。コポリマーは、各種ジアミン化合物、各種二酸化合物および各種環状ラクタム構造体を反応混合物中で組み合わせること、次いで、ポリアミド構造体中にランダムに配置されたモノマー材料を有するナイロンを形成することによって製造することができる。例えば、ナイロン6,6−6,10−材料は、ヘキサメチレンジアミンとC6およびC10二酸のブレンドとから製造されるナイロンである。ナイロン6,6−6,6,10は、ε−アミノカプロン酸、ヘキサメチレンジアミンとC6およびC10二酸材料のブレンドとの共重合によって製造される。
【0055】
ブロックコポリマーも、本発明の方法で有用である。このようなコポリマーでは、膨潤化用溶媒の選択が重要である。選択される溶媒は、該溶媒に双方のブロックが可溶であるような溶媒である。一例が、塩化メチレン溶媒中のABA型(スチレン−EP−スチレン)またはAB型(スチレン−EP)ポリマーである。1つの構成要素が該溶媒に可溶性でないなら、ゲルを形成する。このようなブロックコポリマーの例が、Kraton(登録商標)型のスチレン−b−ブタジエンおよびスチレン−b−水素化ブタジエン(エチレンプロピレン)、Pebax(登録商標)型のε−カプロラクタム−b−エチレンオキシド、Sympatex(登録商標)ポリエステル−b−エチレンオキシド、およびエチレンオキシドとイソシアネートとのポリウレタンである。本発明の方法で有用な生体適合性ポリマーには、例えば、ポリエステル、ポリ(ε−カプロラクトン)、ポリグリコレート、ポリアセテート、ポリアミド、ナイロン、およびこれらの混合物または組合せが含まれる。
【0056】
ポリフッ化ビニリデン、シンジオタクチックポリスチレン、フッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレンとのコポリマー、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリ(アクリロニトリル)およびそのアクリル酸およびメタクリレートとのコポリマー、ポリスチレン、ポリ(塩化ビニル)およびその各種コポリマー、ポリ(メチルメタクリレート)およびその各種コポリマーのような非晶質付加ポリマーは、それらが低い圧力および温度で可溶性であるので、比較的容易に溶液紡糸され得る。しかし、ポリエチレンおよびポリプロピレンのような高度に結晶性のポリマーは、それらを溶液紡糸するなら、高温、高圧の溶媒を必要とする。したがって、ポリエチレンおよびポリプロピレンの溶液紡糸は極めて困難である。静電溶液紡糸は、ナノ繊維およびミクロ繊維の1つの製造方法である。
【0057】
本発明のこの層中で使用されるポリウレタン(PU)ポリエーテルは、使用されるイソシアネートに応じて脂肪族または芳香族でよく、ポリエーテルポリウレタンまたはポリエステルポリウレタンでよい。優れた物理的特性を有するポリエーテルウレタンは、ヒドロキシル末端ポリエーテルまたはポリエステル中間体と脂肪族または芳香族(MDI)ジイソシアネートを含む鎖延長剤との溶融重合によって調製できる。ヒドロキシル末端ポリエーテルは、2〜10個の炭素原子を含むアルキレンオキシドの繰返し単位を有し、少なくとも100の重量平均分子量を有する。鎖延長剤は、2〜20個の炭素原子を有する実質的に非分枝のグリコールである。鎖延長剤の量は、ヒドロキシル末端ポリエーテル1モル当たり0.5モル〜2モル未満である。ポリエーテルポリウレタンは、可塑性であり、約140℃〜250℃またはそれ以上(例えば、150℃〜250℃)の融点を有することが好ましく、180℃またはそれ以上が好ましい。
【0058】
第1の方式で、本発明のポリウレタンポリマーは、二、三またはより高い官能性の芳香族または脂肪族イソシアネート化合物を、ポリエステルポリオールまたはポリエーテルポリオールを含んでもよいポリオール化合物と組み合わせることによって簡単に製造できる。ポリオール中の活性水素原子とイソシアネート基との間の反応は、まっすぐな型での付加型ポリウレタンポリマー材料を形成する。OH:NCO比率は、典型的には、最終ポリマー中に未反応のイソシアネートをほとんどまたはまったく残さない約1:1である。任意の未反応イソシアネート化合物については、イソシアネートに反応性のある化合物を使用して反応性を除去できる。第2の方式で、ポリウレタンポリマーは、段階的方式でイソシアネート末端プレポリマー材料から合成できる。ポリウレタンは、イソシアネート末端ポリエーテルまたはポリエステルから製造できる。イソシアネートでキャップされたポリオールプレポリマーは、芳香族または脂肪族ジヒドロキシ化合物を用いて鎖を伸長できる。用語「イソシアネート末端ポリエーテルまたはポリウレタン」は、一般に、ジイソシアネート化合物(すなわち少なくとも2つのイソシアネート(−NCO)基を含む化合物)と反応したポリオールを含むプレポリマーを指す。好ましい形態において、プレポリマーは、2.0またはそれ以上の官能基、約250〜10,000または600〜5000の平均分子量を有し、未反応イソシアネート化合物を実質的に含まないように調製される。用語「未反応イソシアネート化合物」は、遊離のモノマー性脂肪族または芳香族イソシアネートを含む化合物、すなわち、プレポリマーの調製との関連で出発原料として採用され、かつプレポリマー組成物中で未反応のままであるジイソシアネート化合物を指す。
【0059】
用語「ポリオール」は、本明細書中で使用する場合、一般に、1つを超えるヒドロキシ(−OH)基を有する高分子化合物、好ましくは、各末端がヒドロキシ基で終結している脂肪族高分子(ポリエーテルまたはポリエステル)化合物を指す。鎖延長剤は、62〜500の分子量を有する二官能性および/または三官能性化合物、好ましくは2〜14個の炭素原子を有する脂肪族ジオール、例えば、エタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコールなど、特に1,4−ブタンジオールである。しかし、テレフタル酸と2〜4個の炭素原子を有するグリコールとのジエステル、例えば、テレフタル酸ビス−エチレングリコールまたは1,4−ブタンジオールなど;ヒドロキノンのヒドロキシアルキレンエーテル、例えば、1,4−ジ(β−ヒドロキシエチル)−ヒドロキノンなど;(環状)脂肪族ジアミン、例えば、イソホロンジアミン、エチレンジアミン、1,2−、1,3−プロピレンジアミン、N−メチル−1,3−プロピレンジアミン、N,N’−ジメチルエチレンジアミン;および芳香族ジアミン、例えば、2,4−および2,6−トルイレンジアミン、3,5−ジエチル−2,4−および/または−2,6−トルイレンジアミン、および第1級o−ジ−、トリ−および/またはテトラアルキル置換4,4’−ジアミノジフェニルメタンも適している。上記の鎖延長剤の混合物を使用することも可能である。好ましいポリオールは、ポリエステル、ポリエーテル、ポリカーボネート、またはこれらの混合物である。広範な種類のポリオール化合物が、プレポリマーの調製で使用するために入手できる。好ましい実施形態において、ポリオールは、例えば、ポリエーテルジオールおよびポリエステルジオール、およびこれらの混合物またはコポリマーを含むポリマー性ジオールを含むことができる。好ましいポリマー性ジオールは、ポリエーテルジオールであり、ポリアルキレンエーテルジオールがより好ましい。典型的なポリアルキレンポリエーテルジオールには、例えば、ポリエチレンエーテルグリコール、ポリプロピレンエーテルグリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMEG)、ポリヘキサメチレンエーテルグリコール、およびこれらの混合物またはコポリマーが含まれる。これらのポリアルキレンエーテルジオールの中で好ましいのはPTMEGである。ポリエステルジオールの中で好ましいのは、例えば、アジピン酸ポリブチレングリコールおよびアジピン酸ポリエチレングリコール、およびこれらの混合物またはコポリマーである。その他のポリエーテルポリオールは、そのアルキレン基中に2〜4個の炭素原子を有する1種または複数種のアルキレンオキシドを、その中に結合された2個の活性水素原子を含むスターター分子と反応させることによって調製できる。アルキレンオキシドの例としては、次のもの、すなわち、エチレンオキシド、1,2−プロピレンオキシド、エピクロロヒドリン、ならびに1,2−および2,3−ブチレンオキシドを挙げることができる。エチレンオキシド、プロピレンオキシド、および1,2−プロピレンオキシドとエチレンオキシドとの混合物が好ましい。アルキレンオキシド類は、個別的に、交互に連続して、または混合物の形態で使用できる。スターター分子には、例えば、水、N−アルキルジエタノールアミンなどのアミノアルコール、例えば、N−メチルジエタノールアミン;およびエチレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオールおよび1,6−ヘキサンジオールなどのジオールが含まれる。スターター分子の混合物を使用することも可能である。テトラヒドロフランのヒドロキシル基含有重合生成物も適切なポリエーテルポリオールである。適切なポリエステルポリオールは、例えば、2〜12個の炭素原子、好ましくは4〜6個の炭素原子を有するジカルボン酸と多価アルコールから調製できる。適切なジカルボン酸には、例えば、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸およびセバシン酸などの脂肪族ジカルボン酸;フタル酸、イソフタル酸およびテレフタル酸などの芳香族ジカルボン酸が含まれる。ジカルボン酸は、個別的に、あるいは混合物の形態で、例えばコハク酸、グルタル酸およびアジピン酸の混合物の形態で使用できる。ポリエステルポリオールの調製には、ジカルボン酸に代わって、対応するジカルボン酸誘導体、例えば、そのアルコール基中に1〜4個の炭素原子を有するカルボン酸ジエステル、カルボン酸無水物、またはカルボン酸塩化物を使用するのが有利である可能性もある。多価アルコールの例は、2〜10個、好ましくは2〜6個の炭素原子を有するグリコール、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,10−デカンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、およびジプロピレングリコールなどである。所望される特性に応じて、多価アルコールは、単独で、または任意選択で互いとの混合物の状態で使用できる。カルボン酸と上記ジオール(特に4〜6個の炭素原子を有するジオール、例えば、1,4−ブタンジオールおよび/または1,6−ヘキサンジオールなど)とのエステル、ω−ヒドロキシカルボン酸(例えば、ω−ヒドロキシカプロン酸)の縮合生成物、および好ましくはラクトン(例えば、任意選択で置換されたε−カプロラクトン)の重合生成物も適している。これらは、好ましくは、ポリエステルポリオール、ポリアジピン酸エタンジオール、ポリアジピン酸1,4−ブタンジオール、ポリアジピン酸エタンジオール−1,4−ブタンジオール、ポリアジピン酸1,6−ヘキサンジオールネオペンチルグリコール、ポリアジピン酸1,6−ヘキサンジオール−1,4−ブタンジオール、およびポリカプロラクトンとして使用される。ポリエステルポリオールは、600〜5000の分子量を有する。
【0060】
ポリマーまたはプレポリマーに誘導できるポリオールの平均分子量の数字は、約800〜約3500の範囲、およびこの範囲の組合せまたは下位組合せでよい。より好ましくは、ポリオールの平均分子量の数値は、約1500〜約2500の範囲でよく、約2000の数平均分子量がさらにより好ましい。
【0061】
プレポリマー中のポリオールを、イソシアネート化合物でキャップすることができ、あるいは、完全に反応させて熱可塑性ポリウレタン(TPU)にすることができる。広範な種類のジイソシアネートを、本発明のプレポリマーの調製に使用するために入手できる。一般的に言って、ジイソシアネート化合物は、芳香族または脂肪族でよく、芳香族ジイソシアネート化合物が好ましい。適切な有機ジイソシアネートには、例えば、Justus Liebigs Annalen der Chemie、562巻、75〜136頁に記載されているように、例えば、脂肪族、環状脂肪族、アリール脂肪族(araliphatic)、複素環、および芳香族ジイソシアネートである。適切な芳香族ジイソシアネート化合物の例には、ジフェニルメタンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、トルエンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、およびこれらの混合物が含まれる。適切な脂肪族ジイソシアネート化合物の例には、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、およびこれらの混合物が含まれる。ジイソシアネート化合物の中で、MDIは、少なくとも部分的には、その一般的な商業的入手可能性および高い安全性の度合い、ならびに鎖延長剤(より詳細には後で考察する)との一般には望ましい反応性のため、好ましい。上で例示したものに加えて、他のジイソシアネート化合物も、いったん本発明の開示を受けた当業者にとって、容易に理解できるであろう。具体例としては、次のもの、すなわち、ヘキサメチレンジイソシアネートなどの脂肪族ジイソシアネート;イソホロンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、1−メチル−2,4−および−2,6−シクロヘキサンジイソシアネート、およびその対応する異性体混合物、4,4’−、2,4’−および2,2’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートなどの環状脂肪族ジイソシアネート;ならびに好ましくは2,4−トルイレンジイソシアネート、2,4−と2,6−トルイレンジイソシアネートとの混合物、4,4’−、2,4’−および2,2’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4−と4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートとの混合物、ウレタン修飾液状4,4’−および/または2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジイソシアナトジフェニルエタン−(1,2)および1,5−ナフタレンジイソシアネートなどの芳香族ジイソシアネートを挙げることができる。1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、96重量(wt)%を超える4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート含有量を有するジフェニルメタンジイソシアネート異性体混合物、特に、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、および1,5−ナフタレンジイソシアネートを使用するのが好ましい。
【0062】
TPU(熱可塑性ポリウレタン)を調製する場合には、鎖延長成分を、場合によっては触媒、補助物質および/または添加剤の存在下で、NCO基の、NCOに反応性のあるすべての基、特に低分子量ジオール/トリオールおよびポリオール中のOH基の総計に対する当量比が、0.9:1.0〜1.2:1.0、好ましくは0.95:1.0〜1.10:1.0であるような量で反応させる。ジイソシアネートのNCO基とジオール成分のヒドロキシル基との間の反応を特に加速する適切な触媒は、従来技術で周知の通常的な第3級アミン、例えば、トリエチルアミン、ジメチルシクロヘキシルアミン、N−メチルモルホリン、N,N’−ジメチルピペラジン、2−(ジメチルアミノエトキシ)エタノール、ジアザビシクロ−(2,2,2)−オクタンなど;ならびに特に、チタン酸エステル、鉄化合物、錫化合物などの有機金属化合物、例えば、二酢酸錫、二オクチル酸錫、二ラウリル酸錫、または脂肪族カルボン酸のジアルキル錫塩(二酢酸ジブチル錫、二ラウリル酸ジブチル錫など)である。触媒は、通常、100部のポリヒドロキシ化合物につき0.0005部〜0.1部の量で使用される。触媒に加えて、補助物質および/または添加剤を鎖延長成分中に組み込むこともできる。挙げることのできる例が、滑剤、ブロッキング防止剤、加水分解、光、熱および変色に対する抑制剤、安定剤、防炎加工剤、着色剤、顔料、無機および/または有機フィラー、および強化剤である。強化剤は、特に、繊維質の強化材料、例えば、従来技術により調製され、ある大きさで提供され得る無機繊維である。
【0063】
さらに、PU(ポリウレタン)中に組み込むことのできるさらなる成分は、熱可塑性プラスチック、例えば、ポリカーボネートおよびアクリロニトリル−ブタジエン−スチレンのターポリマー、特にABSである。他のエラストマー、例えば、ゴム、エチレン−酢酸ビニルポリマー、スチレン−ブタジエンコポリマー、およびその他のPU(ポリウレタン)なども同様に使用できる。例えば、リン酸エステル、フタル酸エステル、アジピン酸エステル、セバシン酸エステルなどの市販の可塑剤も組み込むのに適している。本発明によるPU(ポリウレタン)は、連続的に製造される。既知のバンド法または押出し法を使用できる。成分は、同時的にすなわちワンショットで、または連続的にすなわちプレポリマー法で定量的に供給される。その場合、プレポリマーを、バッチ方式でまたは連続的に押出機の最初の部分に導入することができ、あるいは上流に配置された別個のプレポリマー装置中で調製できる。押出し法は、場合によってはプレポリマー反応器と連結して使用するのが好ましい。
【0064】
繊維は、通常の方法で作製することができ、PU(ポリウレタン)または混合ポリエーテルウレタンおよび添加剤を溶融紡糸することによって作製できる。溶融紡糸は、ポリマーを溶融し、紡糸ノズルを通して空中に押し出し、冷却して固化させ、繊維を収集装置上に巻き取って収集する。典型的には、繊維を約150℃〜約300℃のポリマー温度で溶融紡糸する。
【0065】
ポリマー材料を、不織布および織布、繊維およびミクロ繊維に仕上げた。ポリマー材料は、製品の安定性のために要求される物理的特性を提供する。これらの材料は、日光、湿気、高温またはその他の否定的環境効果の存在下で、寸法が有意に変化してなならず、分子量の低下を許容してはならず、柔軟性が少なくなってはならず、あるいは応力割れまたは物理的劣化を受けてはならない。本発明は、周囲光などの入射電磁放射線、熱、湿気およびその他の物理的攻撃にも拘わらず物理的特性を維持できる改善されたポリマー材料に関する。
【0066】
本発明者らは、また、ポリマー混合物、アロイ形態中、または架橋されて化学的に結合された構造体中に2種またはそれ以上のポリマー材料を含むポリマー組成物を形成することに対するかなりの利点を見出した。本発明者らは、このようなポリマー組成物が、ポリマー鎖の柔軟性または鎖の可動性を改善すること、全体の分子量を増加させること、およびポリマー材料のネットワークを形成することにより補強を提供することなどの、ポリマーの属性を変えることによって物理的特性を改善すると考える。
【0067】
この構想の一実施形態では、有益な特性を求めて、関連したまたは関連しない2種のポリマー材料をブレンドすることができる。例えば、高分子量のポリ塩化ビニルを、低分子量のポリ塩化ビニルとブレンドすることができる。同様に、高分子量のナイロン材料を、低分子量のナイロン材料とブレンドすることができる。さらに、異種の一般的なポリマー類をブレンドすることができる、例えば、高分子量のスチレン材料を、低分子量の高衝撃ポリスチレンとブレンドすることができる。ナイロン−6材料を、ナイロン−6,6−6,6,10コポリマーなどのナイロンコポリマーとブレンドすることができる。さらに、80〜87%が加水分解されたポリビニルアルコールなどの低い加水分解度を有するポリビニルアルコールを、98%〜99.9%以上の加水分解度を有する完全または極端に加水分解されたポリビニルアルコールとブレンドすることができる。混合物中のこれら材料のすべてを、適切な架橋機構を利用して架橋することができる。ナイロンには、アミド結合中の窒素原子と反応性のある架橋剤を使用して架橋できる。ポリビニルアルコール材料には、ヒドロキシルに反応性のある材料、例えば、ホルムアルデヒドなどのモノアルデヒド、尿素、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂およびその類似体、ホウ酸およびその他の無機化合物、ジアルデヒド、二酸、ウレタン、エポキシド、およびその他既知の架橋剤を使用して架橋することができる。架橋技術は、周知であり、架橋剤が反応し、ポリマー鎖間で共有結合を形成して分子量、化学的耐性、総合的強度、および機械的分解に対する耐性を実質的に向上する十分理解された現象である。
【0068】
本発明者らは、添加物質が、ファインファイバー形態のポリマー材料の特性を有意に改善できることを見出した。熱、湿気、衝撃、機械的応力の効果およびその他の否定的環境効果に対する耐性は、添加物質の存在によって実質的に改善され得る。本発明者らは、本発明のミクロ繊維材料を加工処理する間に、添加物質が、疎油性、疎水性を改善することができ、材料の化学的安定性を改善するうえで助けになることができると思われることを見出した。本発明者らは、これらの添加物が、剥離表面を被覆する保護層を形成し、あるいは表面にある深さまで浸透してポリマー材料の性質を改善するので、ミクロ繊維形態の本発明のファインファイバー(微細繊維)は、これらの疎油性および疎水性添加剤の存在によって改善されると考える。本発明者らは、これらの材料の重要な特徴は、好ましくは疎油性をも有することができる強疎水性基の存在であると考える。強疎水性基には、フルオロカーボン基、疎水性炭化水素界面活性剤またはブロック、および実質的に炭化水素のオリゴマー組成物が含まれる。これらの材料は、典型的にはポリマーとの物理的結合または会合を提供するポリマー材料と適合性である傾向のある分子の部分を有する組成物の状態で製造され、一方、強疎水性または疎油性基は、添加剤とポリマーとの会合の結果として、表面に存在するか、あるいはポリマー表面層とアロイを形成するかまたは混合されることになる保護表面層を形成する。添加剤濃度が10%である0.2μmの繊維の場合、表面厚さは、添加物が表面に向かって移行したなら、約50Åであると判断される。移行は、バルク材料中の疎油性または疎水性基の不相溶性によって起こると考えられる。50Åの厚さは、保護被覆にとって妥当な厚さであると思われる。直径0.05μmの繊維の場合、50Åの厚さは、固まりの20%に相当する。厚さ2μmの繊維の場合、50Åの厚さは、固まりの2%に相当する。好ましくは、添加物質は、約2重量(wt)%〜25wt%の量で使用される。本発明のポリマー材料と組み合わせて使用できるオリゴマー性添加物には、フッ素化学品を含む約500〜約5000、好ましくは約500〜約3000の分子量を有するオリゴマー、非イオン性界面活性剤、および低分子量樹脂もしくはオリゴマーが含まれる。有用なフェノール系添加物の例には、Enzo−BPA、Enzo−BPA/フェノール、Enzo−TBP、Enzo−COPが含まれ、他の関連フェノール系化合物は、オハイオ州、ColumbusのEnzymol International Inc.から得られた。
【0069】
種々の応用に向けて、極めて広範な種類の繊維質フィルター媒体が存在する。本発明に記載の耐久性のあるナノ繊維およびミクロ繊維は、任意の媒体に添加できる。本発明に記載の繊維は、これらの現存する媒体の繊維成分を代替するのに使用することもでき、より大きな耐久性を示しながら、それらの小さな直径のため、性能の向上(効率の向上および/または圧力損失の低減)というかなりの利点をもたらす。
【0070】
ポリマーナノ繊維およびミクロ繊維は、周知であるが、機械的応力に対するそれらの脆弱性、およびそれらの極めて大きな表面積対体積の比率に起因する化学的分解に対するそれらの感受性のため、それらの使用は極めて制約されていた。本発明に記載の繊維は、これらの制約に対処するものであり、したがって、極めて広範な種類の生物処理、生物変換、生合成、濾過/精製、布地、膜、およびその他の多様な応用で使用できる。
【0071】
生物活性微粒子が細胞または微生物である応用の場合、本発明のナノ繊維、または本発明のウェブもしくはエレメントは、好ましくは、非細胞傷害性ポリマーを含む。ポリマーの細胞傷害性を判定する方法は周知である。非細胞傷害性ポリマーは、通常の方法を使用して識別できる。非細胞傷害性ポリマーの例には、限定はされないが、ポリエステル、ポリ(ε−カプロラクトン)、ポリグリコレート、ポリアセテート、ポリアミド(各種のナイロン6,6およびナイロン6,6−6,6,10を含む)が含まれる。ポリマーは水溶性でも非水溶性でもよい。ポリマーは、生分解性および/または生物溶解性でよい。ポリマーは、高められた温度で順化または処理された第1ポリマーおよび別の第2ポリマー(ポリマーのタイプ、分子量または物理的特性を異にする)を含むことができる。ポリマー種には広大なポリマーのアレイが含まれるので、ポリマーは、単一のポリマー種、ポリマー種のブレンド、または2種またはそれ以上のポリマー種のポリマーアロイでよい。
【0072】
繊維は、ポリマーを必要なら他のポリマーまたは添加物と組み合わせること、次いでポリマーを所望のファインファイバー・ポリマーに成形するための形成技術を使用することを含む既知で任意のファインファイバー製造技術を使用して製造することができる。静電紡糸法を使用して、本発明のファインファイバーを形成できる。繊維を形成するのに適した装置は、Barrisの米国特許第4650506号に例示されている。この装置は、ファインファイバーを形成するポリマー溶液を収容するリザーバー、ポンプ、およびロータリー式吐出デバイスまたはポンプでポリマー溶液を送り込むエミッターを含む。エミッターは、一般に、回転ユニオン(継ぎ手)、複数のオフセットホールを含む回転部分、および前方フェーシング部分と回転ユニオンを連結するシャフトからなる。回転ユニオンは、中空シャフトを通してポリマー溶液を前方フェーシング部分に導入する。別法として、回転部分を、リザーバーおよびポンプによって供給されるポリマーのリザーバー中に浸漬することができる。次いで、回転部分は、リザーバーからポリマー溶液を得て、静電界中で回転すると、収集媒体に向かって整列した静電界が、以下で考察するように、溶液の小滴を加速する。
【0073】
媒体を収集する実質的に平面のグリッド(すなわち、基体または組合せ基体が配置される)は、エミッターに面しているが、それから離れて間隔をあけられる。空気は、グリッドを通過できる。収集媒体は、グリッドの隣接した反対側端に配置されるローラーの周りを通過する。適切な静電電圧供給源、ならびにそれぞれグリッドおよびエミッターに連結する回路によって、エミッターとグリッドの間で高電圧の静電電位が維持される。
【0074】
使用する際には、ポリマー溶液をリザーバーからポンプで回転ユニオンまたはリザーバーに送液する。前方フェーシング部分は、液体を穴から放出しながら回転するか、あるいは液体をリザーバーからすくい上げ、かつ液体をエミッターの外側端からグリッド上に配置された収集媒体に向かって移動させる。具体的には、グリッドとエミッターの間の静電電位が、物質に電荷を付与し、その電荷は、液体をそこから細い繊維として噴出させ、その繊維はグリッドに向かって引き込まれ、繊維はグリッドに到着し、基体または有効層上に集められる。溶液中のポリマーの場合には、繊維がグリッドまで飛行する間に、溶媒が繊維から蒸発し、その結果、繊維は、実質的に溶媒なしで基体または有効層に到着する。ファインファイバーは、グリッドで最初に遭遇した基体繊維に結合する。静電界の強度は、ポリマー材料がエミッターから収集媒体に向かって加速される際に、その加速が、ポリマー材料を極めて細いミクロ繊維またはナノ繊維構造体にするのに十分であることを確実にするように選択される。収集媒体の進行速度を加速または減速すると、形成している媒体上に噴出された繊維をより多くまたはより少なく沈積させることができ、それによって、その上に沈積される各層の厚さを調節することが可能になる。回転部分は、種々の有利な位置を取ることができる。回転部分は、回転平面に、平面が収集媒体の表面に垂直であるように、または任意の自由裁量による角度で配置されるように配置できる。回転媒体は、平行配向に平行にまたはわずかに軸をはずして配置できる。
【0075】
シート様基体は、あるステーションで不織である。シート様基体は、次いで、多様な長さの基体を連続操作のために継ぎ合わせることができる継ぎ合わせステーションに向けられる。連続長のシート様基体は、前に考察した紡糸技術を含むファインファイバー技術ステーションに向けられ、そこでは、紡糸デバイスが、ファインファイバーを形成し、そのファインファイバーをシート様基体上に濾過層の状態で横たえる。形成ゾーンのシート様基体上にファインファイバー層を形成した後、ファインファイバー層および基体を、適切な加工処理のために熱処理ステーションに向ける。次いで、シート様基体およびファインファイバー層を、効率モニター中で試験し、必要なら摘み取りステーションで摘み取る。次いで、シート様基体およびファインファイバー層を、適切な巻き取りステーションに向け、さらなる加工処理のために適切なスピンドルに巻き取る。
【0076】
本発明の活性または不活性微粒子を含むファインファイバー層をいったん調製したら、該層を、有用で、活性、吸着性または吸収性のある構造体に機械的に組み立てなければならない。ナノ繊維層は、典型的には、スクリム、セルロース系基体、セルロース系繊維および非セルロース系安定化繊維を含む混合合成セルロース系基体、または純粋なセルロース系基体でよい基体物質上に紡糸される。活性または不活性微粒子を含むナノ繊維層を、前記基体上に静電紡糸し、次いで、基体を円筒形に丸めて吸収性構造体とする。別法として、層を、同様の部分に切断し、積み重ねて吸収層を形成できる。ナノ繊維層のいかなるアセンブリの内部構造も、流体が該アセンブリを容易に通過できることを確実にするのに十分な流体流れを有することが重要である。この場合、アセンブリは、フィルターとしてではなく、純粋に吸収性アセンブリ構造体として機能を発揮する。代わりの構造体では、ファインファイバー層および生物活性または活性微粒子を組み立てて、濾過または精製、および反応、吸着、または吸収する構造体とすることができる。このような多様な構造体は、各種の末端用途に応用される。前者の構造体は、濾過特性をほとんどまたはまったく有さず、通過する流れ機構を単純に使用して、廃水流れなどの流体流れから反応性汚染物質を除去できる(すなわち、廃水流れを精製する)。後者の構造体は、微粒子状汚染物質を物理的にまたは汚染物質の酸化または還元による化学的不活性化を介して除去できる。構造体は、また、廃水などの流体から化学種(例えば、イオンまたは溶解された有機物など)を濾過または精製操作を同時的に用いて除去できる。
【0077】
本発明の巻かれた、または積み重ねられた層の若干の好ましい配置では、濾過特性のない流れまたはフィルター層を通過することを含む流れの状態の直線に通過する流れによる精製のために、媒体を形成できる。このような流体流れで、流体は、第1流面を通ってある方向に入り、第2流面から同一方向に移動して流れ出る。フィルター構造体の内部で、流体は、フィルターとして機能を発揮する表面と相互に作用できないか、あるいは流れと相互に作用し、濾過特性を獲得する表面に接触することができる。一般に、1つの好ましいフィルター構造は、フィルター媒体を円筒形に丸め、曲げ、コイル状にするように、コイルを形成する中心点付近で繰り返し折り返される媒体の層を含む、曲げられた構造体である。1つの好ましい有用な構造体は、材料が縦溝流路構造を有する波形状構造体である。このような縦溝流路は、対面シートと組み合わせて形成することができる。いったん、波形状媒体を対面シートの形態の非波形状媒体と組み合わせて得られる構造を、コイル状にして有用なアセンブリに形成できる。このタイプの媒体構造を使用する場合、縦溝流路は、波形状構造体中に交互にピークおよび谷を形成する。若干の構造において、上部縦溝流路は、下流で閉じることができる縦溝流路空間(チャンバー)を形成し、該縦溝流路チャンバーは他の縦溝流路列を形成するために閉じられる上流端部を有する。このような構造体において、開放されたおよび閉じられた区域が原因で、流体は少なくとも1つの波形状壁を通過して、波形状層から濾過特性を獲得することになる、使用に際して、コイル状にされたアセンブリ中のこのような波形状媒体は、廃水などの流体流れのための吸い込み区域を提供する。流体流れは、開放上流端部の縦溝流路空間(チャンバー)に入り、未濾過流体流れは、閉じられた下流端部を通過することを許容されず、波形状層の繊維または活性微粒子と接触するように波形状層または縦溝流路シートを通って進行することを強制され、流体流れから微粒子を濾過するか、あるいは流体流れ中に分散または溶解された材料を、活性粒子と反応させ、活性粒子上に吸収、または吸着させることを確実にし、それによって、流体流れ中に存在する化学種を除去することによって流体流れを精製する。
【0078】
本発明は、また、ファインファイバーの形態のポリマー材料に由来する構造を有する膜または膜様層に関する。膜は、ファインファイバーおよび微粒子を、多孔膜を形成するように熱処理することによって形成される。膜は、膜の表面に接着された、膜中に包埋された、または膜ポリマー固まりによって完全に囲まれた微粒子を有する実質的に連続した膜、またはフィルム様層である。本発明の膜で、微粒子は、200μm未満の長軸寸法を有することができ、典型的には、約0.05μm〜100μm、または約0.1μm〜70μmの寸法を有する。膜の厚さは、典型的には、約25nm〜2μm、または0.5μm〜約5μmの範囲であり、約0.1μm〜5μm、多くは約1μm〜2μmの範囲である細孔サイズを有する。好ましい膜は、約2μm未満の厚さ、および約0.1μm〜2μm、または0.5μm〜3μmの細孔径を有する。微粒子は、膜構造体中に約0.1vol%〜50vol%の量で存在する。最後に、膜中で、微粒子は、膜の層中に約10kg/m2まで、典型的には約0.1g/m2〜1000g/m2、約0.5g/m2〜200g/m2、または約1/m2〜100g/m2の量で使用できる。
【0079】
本発明のファインファイバーは、構造体用繊維の形態でよい。ファインファイバーは、反応性(すなわち、化学反応性、光反応性、熱感受性/反応性)のある繊維から紡糸できる。このような反応性繊維は、アミン、スルホン酸、カルボン酸、またはその他の側鎖官能基などの反応性側鎖を有するポリマーから製造できる。このような側鎖は、ポリマー自体に由来することができる。例えば、ポリアミンは、酸およびアミンをそのまま残した高官能性ポリアミンで形成し、ポリマー側鎖上に置換基の官能性があることを意味する。同様に、活性または反応性のある酸基を有するポリスルホンまたはポリアクリル酸材料を形成できる。同様に、樹脂微粒子内に、本発明に吸収または反応性を付加できる酸、強酸、塩基性、または強塩基性官能基を有するイオン交換樹脂材料を作ることができる。このような材料を溶解または懸濁させて、本発明の通常の繊維と一緒に紡糸することができ、あるいは別個に紡糸して粒子を含む本発明のウェブとすることができる。
【0080】
ある実施形態において、微粒子は、約200μm未満の長軸寸法を有し、典型的には、約0.05μm〜100μmからなり、あるいは約0.1μm〜70μmからなる。実質的に連続したファインファイバー層において、該層は、約25nm〜2μm、0.5μm〜500μm、約1μm〜250μm、または約2μm〜200μmの層厚を有する。層では、繊維中に、粒子サイズが約0.25μm〜200μm、約0.5μm〜200μm、約1μm〜200μm、約10μm〜200μm、または約25μm〜200μmの微粒子を含む手段を分散させる。微粒子は、層中の繊維中のいたるところに分散される。微粒子は、約0.1vol%〜50vol%、約0.5vol%〜50vol%、約1vol%〜50vol%、約5vol%〜50vol%、または10vol%〜50vol%の量で存在する。繊維は、約10nm〜1.0μm、または0.001μm〜約2μm、0.001μm〜約1μm、0.001μm〜0.5μmの直径を有し、該層は、約0.1%〜65%、約0.5%〜50%、約1%〜30%、および約1%〜20%の繊維の固体性を有する。微粒子は、層中に約1g/m2〜1000g/m2、約5g/m2〜200g/m2、または約10g/m2〜100g/m2の量で使用できる。
【0081】
本発明の実施形態には、細胞、微生物、酵素、またはその他の生物活性分子を本発明のナノ繊維またはファインファイバー構造体または基体に付着させる方法が含まれる。ナノ繊維の外側表面に官能基を組み込むことができる。これらの官能化された表面に、ナノ繊維の表面にペプチド、ポリペプチド、脂質、炭水化物、多糖、アミノ酸、ヌクレオチド、核酸、ポリヌクレオチド、またはその他の生物活性分子を結合するように反応を起こさせることができる。ある実施形態では、ナノ繊維の官能化された表面に、1種または複数種の生物活性分子を結合するように反応を起こさせる。好ましくは、1種または複数種の生物活性分子は、増殖因子、炭水化物、分化因子、接着タンパク質、または接着タンパク質に由来する生物活性ペプチドである。増殖因子は、VEGF、骨形態形成因子β、EGF(上皮増殖因子)、PDGF、NGF、FGF、IGF、またはTGFでよい。分化因子は、ニューロトロフィン、CSF、またはTGFでよい。
【0082】
本発明の繊維質構造体または基体の高い体積に対する表面積比率の結果として、ナノフィブリル表面に拘束される生物活性分子の量は、平らな細胞培養表面に吸収される生物活性分子の量に比べて有意に多い。ある実施形態において、ナノフィブリル増殖マトリックスに付着する生物活性分子の密度は、平らな細胞培養表面に付着する生物活性分子の密度に比べて1倍以上、2倍以上、3倍以上、4倍以上、または5倍以上である。ナノフィブリル表面上の生物活性分子のより高い密度は、細胞とナノ繊維ネットワークとの間の相互作用の親和力を増強して、生物学的応答を促進する。
【0083】
ある実施形態において、生物活性分子は、細胞外マトリックス(ECM)分子またはそのフラグメントである。ECM分子は、天然のペプチド、または天然のECM分子に由来する合成ペプチドでよい。ECM分子の例には、限定はされないが、フィブロネクチン、フィブリノーゲン、ラミニン、およびテネイシン−Cが含まれる。ECM由来合成ペプチドの例には、限定はされないが、フィブロネクチンに由来するRGD(配列ID NO:43)を含む合成ペプチド(Meinersら、2003年、Mol.Neurobiol.、27巻、177〜96頁;Shinら、2003年、Biomaterials、24巻、4353〜4364頁)、テネイシン−Cに由来するVFDNFVLKIRDTKKQ(配列ID NO:44)(Meinersら、2003年、Mol.Neurobiol.、27巻、177〜96頁)、ラミニン−1に由来するYIGSR(配列ID NO:45)(Meinersら、2003年、Mol.Neurobiol.、27巻、177〜96頁;Shinら、2003年、Biomaterials、24巻、4353〜4364頁)、およびラミニン−1に由来するIKAVAV(配列ID NO:46)(Meinersら、2003年、Mol.Neurobiol.、27巻、177〜96頁;Shinら、2003年、Biomaterials、24巻、4353〜4364頁)が含まれる。
【0084】
生物活性分子を、ナノフィブリル表面に吸収または共有結合で付着させることができる。ペプチドのN−末端にシステインを導入してナノ繊維表面にアミンに付着させるための官能基を提供することができ、スペーサーとしてグリシンを付加できる。ナノフィブリル表面に共有結合で付着できる合成ECMペプチドの例には、限定はされないが、CGGRGDSPG(配列ID NO:47)、CGGIKAVAV(配列ID NO:48)、CGGDPGYIGSR(配列ID NO:49)、およびCADEGVFDNFVLKIRDTKKQ(配列ID NO:50)が含まれる(Meinersら、2003年、Mol.Neurobiol.、27巻、177〜96頁;Shinら、2003年、Biomaterials、24巻、4353〜4364頁)。
【0085】
ある実施形態では、官能基を、プラズマ沈着でナノ繊維の外側表面上に沈着させる。プラズマ沈着は、ナノ繊維の表面で局部的プラズマを作り出す。次いで、処理された表面を、反応チャンバー中でアリルアミンおよび/またはアリルアルコールなどの気体状分子と反応させる。別の実施形態では、官能基を、静電紡糸工程の間にナノ繊維の表面に導入する。ポリマー溶液中に、ドデシルアミン、ドデシルアルデヒド、ドデシルチオール、またはドデシルアルコールを添加できる。次いで、ポリマー溶液を静電紡糸して、添加されたアミン、アルデヒド、スルフヒドリル、またはアルコール部分の一部が、それぞれナノ繊維の外側表面に曝露されているナノ繊維とする。
【0086】
ある実施形態では、細胞、微生物、酵素、またはその他の生物活性分子を、セルロース結合領域(CBD)を発現するように遺伝子工学で操作する。CBDは、セルラーゼまたはセルロソームに由来することができる。200を超えるCBD配列が、同定され、アミノ酸配列の配列比較により少なくとも13のファミリーに分類される。例えば、Tommeら、1995年、Adv.Microb.Physiol.、37巻、1〜81頁;Tommeら、1998年、J.Chromatogr.B、715巻、283〜296頁;およびBorastonら、2004年、Biochem.J.、382巻、769〜781頁を参照されたい。CBDは、細菌または真菌に由来することができる。CBDのアミノ酸配列および核酸配列は、例えば、GenBank(www−ncbi−nlm−nih−gov)またはProtein Data Bank(PDB;www−rscb.org./pdb)などの公共的に利用できるデータベース中に見出すことができる。好ましいCBDには、限定はされないが、Clostridium thermocellum、Clostridium cellulovorans、Clostridium cellulolyticum、Clostridium stercorarium、Cellulomonas fimi、Cellvibrio japonicus、Cellvibrio maritima、Bacillus circulans、Streptomyces olivaceovirdism、Streptpmyces lividans、Rinicus communis、Abrus precatorius、Tachypleus tridentatus、Amaranathus caudatus、Urtica dioica、Aspergillus niger、Bacillus cereus、Bacillus sp.1139、Pyromyces equi、Micromonospora viridfaciens、Cladobotryum dendroides、Thermoactinomyces vulgaris、Geobacillus stearothermophilus、Paenibacillus polymyxa、Trichoderma reesie、Thermobifida fusca、Thermotoga maritima、Rhodothermus marinus、Erwina chrysanthemi、Serratia marcescens、Acetivibrio cellulolyticus、Bacteroides cellulosovens、Aspergillis clavatus、Neosartoya fischeri、Mycobacterium avium、またはPlasmodium yoeliiからのCBDが含まれる。各ファミリーの代表的なCBDのアミノ酸配列を表1に示す。
【0087】
【表1】

【0088】
【表1−2】

【0089】
【表1−3】

【0090】
【表1−4】

【0091】
【表1−5】

【0092】
【表1−6】

【0093】
【表1−7】

【0094】
【表1−8】

【0095】
CBDのアミノ酸配列は、その配列を、表1に示した参照配列の1つまたは複数と整列すること、および該参照アミノ酸配列に対するパーセントアミノ酸配列一致度を判定することによって識別できる。「パーセント(%)アミノ酸配列一致度」は、配列を整列し、かつ必要なら最大の配列一致度を達成するためのギャップを導入した後の、配列一致度の一部としてのなんらかの保守的置換を考慮しない、参照ポリペプチド中のアミノ酸と一致するポリペプチド中のアミノ酸残基のパーセントを意味する。ここでの目的の場合、所与のアミノ酸配列Aの所与のアミノ酸配列Bに対する、Bとの、またはBに対抗する%アミノ酸配列一致度(代わりに、所与のアミノ酸配列Bに対する、Bとの、またはBに対抗するある%アミノ酸配列一致度を有する所与のアミノ酸配列として表すことができる)は、次のように、すなわち、
100×X/Y(分数)
で計算され、ここで、Xは、配列アラインメントによって一致物として算定されるアミノ酸残基の数であり、YはB中のアミノ酸残基の総数である。アミノ酸配列Aの長さが、アミノ酸配列Bの長さと等しくない場合、AのBに対する%アミノ酸配列一致度は、BのAに対する%アミノ酸配列一致度と等しくないことを認識されたい。
【0096】
%アミノ酸配列一致度は、また、ALIGN2またはNCBI−BLAST2(Altschulら、1997年、Nucleic Acids Res.、25巻、3389〜3402頁)などの配列比較プログラムを使用して決定することができる。NCBI−BLAST2配列比較プログラムは、http://www.ncbi−nlm−nih−govからダウンロードすることができ、さもなければメリーランド州、Bethesdaの米国国立衛生研究所から得ることができる。NCBI−BLAST2は、いくつかの検索パラメーターを使用し、それらの検索パラメーターのすべては、例えば、アンマスク=yes、ストランド=all、予測発生値=10、最低複雑長さ=15/5、マルチパスe値=0.01、マルチパス定数=25、最終間隔アラインメントのドロップオフ=25およびスコアリングマトリックス=BLOSUM62を含めてデフォルト値に設定される。
【0097】
CBDは、アミノ酸の削除および付加、ならびにアミノ酸の置換を含むことができる。本明細書に記載の天然のCBDの変異体は、例えば、米国特許第5364934号中に示されている保存的または非保存的突然変異のためのいずれかの技術および指針を使用して作ることができる。
【0098】
CBDの配列を、他の既知CBD配列と対比し、整列することができ、置換のためのアミノ酸位置の場所を、アミノ酸における高度の変動性を示すそれらの位置、すなわち、異なる配列を整列および対比した場合に、少なくとも3つの異なるアミノ酸がその位置に見出されるか、またはより低いパーセンテージの配列一致度、すなわち90%未満の配列一致度を有するそれらの位置として識別することができる。配列を整列すると、変動性を示す位置は、保守的アミノ酸置換または非保守的アミノ酸置換を有することができる。該位置が保守的アミノ酸置換を有するなら、そのことは、その位置で置換されるアミノ酸が、天然のタンパク質中でその位置に存在することが観察されているものと同じ種類であるべきであることを示している。このような置換の例に関しては、表2を参照されたい。特定の実施形態において、注目の保守的置換を、表2に好ましい置換の見出しで示す。
【0099】
【表2】

【0100】
アミノ酸の置換は、あるアミノ酸を類似の構造的および/または化学的特性を有する別のアミノ酸で置換すること、例えばロイシンをセリンで置換すること、すなわち保守的アミノ酸置換の結果であり得る。挿入または削除は、任意選択で約1〜5個の範囲のアミノ酸でよい。許される変化は、配列中で体系的にアミノ酸を挿入、削除または置換すること、および生じる変異体を、完全長または天然の成熟配列によって示される活性に関して試験することによって判定できる。好ましくは、変異体は、供給源分子の生物学的活性、例えば、セルロース結合活性などを有する。
【0101】
変異は、オリゴヌクレオチド介在(部位特異的)突然変異誘発、アラニンスキャンニング、およびPCR突然変異誘発などの当技術分野で周知の方法を使用して生じさせることができる。部位特異的突然変異誘発(Carterら、1986年、Nucl.Acids Res.、13巻、4331頁;Zollerら、1987年、Nucl.Acids Res.、10巻、6487頁)、カセット式突然変異誘発(Wellsら、1985年、Gene、34巻、315頁)、制限選択突然変異誘発(Wellsら、1986年、Philos.Trans.R.Soc.London SerA、317巻、415頁)またはその他の既知技術をクローン化DNAで実施してキモパパイン変異体DNAを産生できる。
【0102】
走査アミノ酸分析を採用して、隣接した配列に沿った1つまたは複数のアミノ酸を識別することもできる。好ましい走査アミノ酸には、比較的小さな中性アミノ酸がある。このようなアミノ酸には、アラニン、グリシン、セリン、およびシステインが含まれる。アラニンは、それが、β−炭素を越える側鎖をもたず、かつ変異体の主鎖立体配座を変えることが多分より少ないので、典型的には、この群の中で好ましい走査アミノ酸である(CunninghamおよびWells、1989年、Science、244巻、1081〜1085頁)。アラニンは、また、それが最も一般的なアミノ酸であるので、好ましい。さらに、それは、埋没および露出部分の双方中に見出されることが多い(Creighton、The Proteins、(W.H.Freeman & Co.、N.Y.);Chothia、1976年、J.Mol.Biol.、150巻、1頁)。アラニン置換が、十分な量の変異体を産生しないなら、特殊なアミノ酸を使用できる。
【0103】
変異体CBDは、CBDに関する参照配列と比較してCBDのアミノ酸配列の変化をもたらす1つまたは複数のコドンを置換、削除、または挿入するための任意の既知方法によって生じさせることができる。ある実施形態において、該CBD配列は、表1に示したアミノ酸配列のいずれか1つに対して少なくとも80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%のアミノ酸配列一致度を有し、セルロースまたはセルロース誘導体に結合する。
【0104】
CBDをコードするポリヌクレオチド配列は、当業者に周知の技術により合成、および/またはクローン化、および発現させることができる。例えば、Sambrookら、Molecular Cloning、A Laboratory Manual、1〜3巻、Cold Spring Harbor Press、Cold Spring Harbor、ニューヨーク(1989年)を参照されたい。 CBDをコードするポリヌクレオチドは、ポリメラーゼ連鎖反応などの当技術分野で周知の標準的な組換え方法によって産生させることができる(Sambrookら、Molecular Cloning、A Laboratory Manual、1〜3巻、Cold Spring Harbor Press、Cold Spring Harbor、ニューヨーク(1989年))。ペプチド構築物は、宿主中での増殖のための選択可能なマーカーを含むベクター中で逐次的にクローン化されたポリメラーゼ連鎖反応カセットから組み立てることができる。このようなマーカーには、真核細胞培養のためのジヒドロ葉酸レダクターゼまたはネオマイシン耐性遺伝子、ならびに大腸菌およびその他の細菌中で培養するためのテトラサイクリンまたはアンピシリン耐性遺伝子が含まれる。
【0105】
細菌発現ベクターを使用してCBDを発現させることができる。プラスミドpET28a(Novagen、Madison、ウィスコンシン州)は、適切な発現ベクターの一例である。pET28aベクターのヌクレオチド配列およびマップは、周知であり、インターネット上、www−emdbioscience−comで容易に入手できる。バキュロウイルス発現ベクターを使用してCBDを発現させることができる。多くのバキュロウイルス発現系は、Baculogold(Pharmingen)、Bac−n−Blue(Invitrogen)、Bac Pak(Clontech)、およびBac Vector(Novagen、Madison,ウィスコンシン州)のように商業的に入手できる。
【0106】
適切な宿主の代表例には、限定はされないが、大腸菌、ストレプトミセス属(Streptomyces)、および表1に示した微生物などの細菌細胞、真菌細胞、酵母;Drosophilia S2およびSpodoptera Sf9もしくはSf21などの昆虫細胞;CHO、COS、およびBowesメラノーマ細胞などの動物細胞;ならびに植物細胞が含まれる。上記宿主細胞に適切な培養培地および条件は、当技術分野で周知である。
【0107】
本発明のポリヌクレオチドは、プラスミドpET28a中のイソプロピルβ−D−チオガラクトピラノシド(IPTG)誘発性T7プロモーターなどの適切なプロモーターに操作的に連結することができる(Studierら、1990年、Methods Enzymol.、185巻、60〜89頁)。その他の適切なプロモーターも当技術分野で周知である。発現構築物は、さらに、転写開始、転写終止のための部位、および翻訳のためのリボソーム結合部位を含むことができる。構築物によって発現される成熟ポリペプチドのコード部分は、はじめの翻訳開始コドンおよび翻訳予定のポリペプチドの末端に適切に配置された終止コドン(UAA、UGA、またはUAG)を含むことができる。
【0108】
宿主細胞中への組換えベクターの導入は、リン酸カルシウムトランスフェクション、DEAE−デキストラン介在トランスフェクション、カチオン性脂質介在トランスフェクション、電気穿孔、形質導入、感染、またはその他の方法によって実施することができる。このような方法は、Sambrookら、1989年、Molecular Cloning、A Laboratory Manual、1〜3巻、Cold Spring Harbor Press、Cold Spring Harbor、ニューヨーク;またはDavisら、1986年、Basic Methods in Molecular Biologyなどの標準的な実験室マニュアル中に記載されている。Lipofectamine(Invitrogen、Carlsbad、カリフォルニア州)およびFuGENE6(商標)(Roche Diagnostics、Indianapolis、インディアナ州)などの市販のトランスフェクション試薬も利用可能である。
【0109】
CBDを発現している細胞または微生物は、セルロース系材料またはセルロース系誘導体を含むナノ繊維に結合する。ある実施形態において、本発明の構造体または基体を構成するセルロース系ナノ繊維は、安定化処理ナノ繊維と組み合わせることができる。安定化処理ナノ繊維は、本説明の他の場所で提供されるようなポリマー材料からなるナノ繊維を含む。ある実施形態において、ナノ繊維セルロース系基体は、酢酸セルロースおよび三酢酸セルロースなどのセルロースエステル、キシラン、ペクチン、キチン、およびその他類似の多糖を含む。本発明の繊維または層内に分散される微粒子は、セルロース系材料およびセルロース誘導体のビーズを含むことができる。このようなビーズは、セルロースから、あるいはメチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースなどから製造することができる。
【0110】
別の実施形態では、ファージディスプレイライブラリーを、CBD配列あるいはセルロース溶解性細菌または真菌の各種系統を用いて探査して、細菌または真菌の外表面に結合する、あるいはCBDによって拘束される特定のペプチドを同定する。同定されたペプチドを、クローン化し、配列し、本発明のナノ繊維またはファインファイバー構造体に付着させる。同定されたペプチドは、セルロース溶解性のある細菌、真菌、または細胞の特定の系統、あるいはCBDを発現している微生物のために、ナノ繊維上につなぎ留める部位を準備する。
【0111】
ファージディスプレイベクター、ならびにファージディスプレイライブラリーを構築するための、およびファージディスプレイライブラリーを探査するための方法は周知である。例えば、SmithおよびPetrenko、1997年、Chem.Rev.、97巻、391〜410頁;www−biosci−missouri−edu/smithgp/PhageDisplayWebsite;米国特許第5270170号;米国特許第5565325号;国際公開第00/35940号および国際公開第03/56691号を参照されたい。ペプチドライブラリー合成キットおよびスクリーニングキットは、例えば、Novagen(NOVATOPE(登録商標);Madison、ウィスコンシン州)およびSigma−Genosys(The Woodlands、テキサス州)から購入できる。ペプチドライブラリーは、例えば、Dyax(Cambridge、マサチューセッツ州)およびPrinceton BioMolecules Corp.(Langhorne、ペンシルヴェニア州)からも購入できる。
【0112】
ある実施形態において、ペプチドは、ウイルスのコートタンパク質の1つとの融合物としてファージの表面に提示される。該ペプチドをコードするDNAは、ビリオン内に収容される。多量のDNA配列をファージ中でクローン化することによって、ディスプレイライブラリーを作り出す。バイパニングを使用して、CBD、またはセルロース溶解性細菌もしくは真菌に特異的に結合するペプチドを提示しているファージを差し押さえることができる。ある実施形態において、バイオパニングは、固体の基体を標的で被覆すること、および標的に相補的なタンパク質を提示しているファージが結合するのを可能にするために基体上のライブラリーをインキュベートすることを含む。基体は、プレートまたはチップでよい。次いで、非結合ファージを洗い流し、拘束されたファージを溶離する。細菌を結合ファージで感染させると、ファージの増幅が生じる。バイオパニングの逐次的繰返しは、標的に特異的に結合するクローンをもつファージの集積を高める。ファージゲノムのDNA配列は、標的に結合するペプチドのアミノ酸配列を決める。
【0113】
ある実施形態では、細胞、微生物、酵素、または生物活性微粒子を含むその他の生物活性分子と反応またはそれらに結合できる、ファインファイバー上の官能基または分子などのつなぎ留め分子または部分を通して、生物活性微粒子を複層マトリックスのファインファイバー層に付着させるか、あるいはつなぎ留める。このような官能基には、アルコール、アルデヒド、アミン、カルボキシ、スルフヒドリルなどの基が含まれる。いくつかの態様で、繊維層上の官能基は、カルベンまたはナイトレンなどの光で活性化できる基である。いくつかの態様で、ファインファイバー層は、生物活性微粒子の該ファインファイバーへの付着を促進する接着分子を含む。このような接着分子には、例えば、フィブロネクチン、ラミニン、トロンボスポンジン、テネイシンC、アクチン、フィブリン、フィブリノーゲン、ビトロネクチン、カドヘリン、セレクチン、細胞内接着分子1、2、または3、細胞マトリックス接着受容体、およびこれらの組合せまたは混合物が含まれる。本発明の細胞マトリックス接着受容体は、例えばα5β1、α6β1、α7β1、α1β2、α2β3またはα6βなどのインテグリンを含む。ある態様において、生物活性微粒子は、ファインファイバー層を構成するセルロールまたはセルロース誘導体に結合するセルロース結合領域を含む。ある態様において、繊維表面の官能基または部分は、生物活性微粒子を繊維表面に保持し、さらに生物活性微粒子と繊維の間に適切な空間または隔離を提供するつなぎ綱として機能を発揮することができる。つなぎ綱部分は、多層マトリックスの繊維層間のスペーサー微粒子からなることもできる。スペーサーは、厚さならびに第1および第2表面を有する。スペーサーの第1表面は、第1繊維層の表面に接触し、スペーサーの第2表面は、第2繊維層の表面に接触し、第1および第2繊維層は、スペーサーの厚さで隔離される。
【0114】
本発明のナノ繊維ウェブおよびファインファイバー構造体は、治療活性を有する組換えポリペプチドまたは抗体などの高価値の医薬または生物工学製品を製造するためのバイオリアクターまたは発酵装置中の培養および/または増殖表面として使用することができる。抗体は、モノクロナール抗体でよい、モノクロナール抗体は、キメラまたはヒト化抗体でよい。抗体を製造するために遺伝子工学で作り変えられた細胞または微生物は、本明細書に記載されるような本発明のナノ繊維ウェブまたはファインファイバー構造体中で増殖させることができる。細胞または微生物は、本明細書に記載されるようなナノ繊維ウェブまたは構造体につなぎ留めることができる。
【0115】
大腸菌、酵母、植物細胞、昆虫細胞、および哺乳動物細胞を含む各種の宿主細胞系を使用してタンパク質を組換えで製造するための、多くのバイオリアクターおよび発酵装置ならびに技術が知られている。例えば、米国特許出願公開第2004/0229310号;米国特許出願公開第2004/0229310号;Yangら、2004年、Adv.Biochem.Eng.Biotechnol.、87巻、61〜96頁;Farid、2006年、Adv.Biochem.Eng.Biotechnol.、101巻、1〜42頁;Doran、Bioprocess Engineering Principles、第2版、Acad.Press(San Diego、カリフォルニア州)、1995年を参照されたい。これまで種々の固体状態の発酵装置がに記載されている。概観のためには、例えば、Larrocheら、1997年、Adv.Biochem.Eng.Biotechnol.、55巻、179頁;Roussosら、1993年、Appl.Biochem.Biotechnol.、42巻、37〜52頁;Smitsら、1998年、Agro−Food−Industry Hi−Tech、3月/4月号、29〜36頁を参照されたい。真核および原核細胞系は、抗体の大規模製造で使用できる。抗体を製造するための宿主細胞およびベクターは周知である。ある実施形態において、宿主細胞には、CHO細胞または大腸菌が含まれる。
【0116】
本発明の一態様において、抗体の製造または組換えポリペプチドの製造は、発酵法によって大きな量で実施される。組換えタンパク質を製造するために、各種の大規模供給−バッチ発酵法を利用できる。大規模発酵は、少なくとも10リットルの容積、好ましくは約100リットル〜100,000リットルの容量を有する。これらの発酵槽は、酸素および栄養素、特にグルコース(好ましい炭素/エネルギー供給源)を分配するための撹拌羽根を使用する。小規模発酵は、一般に、容積が約9リットルを超えず、約1リットル〜9リットルでよい発酵槽中での発酵を指す。
【0117】
発酵工程で、タンパク質発現の誘導は、典型的には、細胞を適切な条件下で所望の密度、例えば、細胞が初期定常期にある段階である約1.80〜2.20のOD550まで増殖させた後に開始される。当技術分野で周知のように、採用されるベクター構築物に応じて、種々の誘導物質を使用できる。細胞を、誘導に先立ってより短期間増殖させてもよい。細胞は、通常、約12〜50時間誘導されるが、より長いまたはより短い誘導時間を採用することもできる。
【0118】
抗体または組換えポリペプチドの製造収率および品質を改善するために、各種発酵条件を修正できる。例えば、分泌される抗体ポリペプチドの適切な組み立ておよびフォールディングを改善するために、Dsbタンパク質(DsbA、DsbB、DsbC、DsbDおよび/またはOsbG)またはFkpA(シャペロン活性を有するペプチジルプロリルcis,trans−イソメラーゼ)などのシャペロンタンパク質を過剰発現するさらなるベクターを使用して宿主原核細胞を同時形質転換することができる。シャペロンタンパク質は、細菌宿主細胞中での適切なフォールディングおよび産生される異種タンパク質の溶解性を促進することが立証されている。Chenら、1999年、J.Biol.Chem.274巻、19601〜19605頁;米国特許第6083715号;米国特許第6027888号;BotbmanoおよびPluckthun、2000年、J.Biol.Chem.275巻、17100〜17105頁;RammおよびPluckthun、2000年、J.Biol.Chem.275巻、17106〜17113頁;Arieら、2001年、Mol.Microbiol.39巻、199〜210頁。
【0119】
発現した異種タンパク質(特に、タンパク質分解に敏感であるもの)のタンパク質分解を最小にするため、タンパク分解酵素を欠く特定の原核性宿主株を本発明のために使用できる。例えば、プロテアーゼIII、OmpT、DegP、Tsp、プロテアーゼI、プロテアーゼMi、プロテアーゼV、プロテアーゼVIおよびこれらの組合せなどの既知の細菌プロテアーゼをコードする遺伝子中での遺伝子突然変異(複数)をもたらすために、宿主細胞株を改変することができる。いくつかのプロテアーゼ欠損大腸菌株が、利用可能であり、例えば、Jolyら、1998年、前掲;米国特許第5264365号;米国特許第5508192号;Haraら、1996年、Microbiol.Drug Resistance、2巻、63〜72頁に記載されている。
【0120】
本発明の別の態様には、バイオマスの処理法が含まれる。バイオマスをアルコールに変換する方法が提供される。ある実施形態において、セルロース系バイオマスは、バイオリアクター系中での発酵によってエタノールまたはブタノールに変換される。簡潔には、本発明の増殖媒体または培養媒体を、セルロース、ペクチン、デンプン、キシランまたはこれらの混合物を酵素的に消化する能力のある微生物と一緒に培養する。次いで、微生物発酵を促進する条件下で、増殖媒体をセルロース系バイオマスと接触させる。発酵中、微生物はピルビン酸をNADまで嫌気的に還元し、代謝副生物としてエタノールまたはブタノールなどのアルコールを産生する。別の態様で、本発明のナノ繊維ウェブおよびファインファイバー構造体または基体は、生物処理または生物変換の際にバイオフィルムを形成するための培養および/または増殖表面として使用することができる。バイオフィルムの形成は、そこで、微生物が、支持体または吸着体に付着して厚い細胞層(すなわち、バイオフィルム)を形成することができる自然な過程であり、Qureshiら、Microbial Cell Factories、2005年、4巻、24〜45頁にさらに記載されている。バイオフィルムの形成は、バイオリアクター中の細胞の密度および濃度を増加させ、それによって、反応速度および結果としてのエタノールまたはブタノールの収率を増加させる。バイオフィルムの形成は、生物学的廃水処理でも有用である。バイオフィルムは、廃水流れ中のアンモニアを同時的硝化および脱窒処理を介して窒素ガスに変換するのを援助する。廃水流れ中の生物学的汚染物は、バイオリアクターの増殖または培養媒体を用いてバイオフィルムを形成する能力のある微生物をまず培養することによって除去することができる。次いで、バイオマス(固体および廃水を含む)を、培養した増殖媒体と接触させる。バイオフィルムは、酸素がバイオリアクター中に浸透することを可能にし、酸素の勾配を作り出し、廃水の好気性脱窒を提供する。
【0121】
バイオフィルムを形成するまたはセルロース系バイオマスを発酵させる能力のある微生物には、各種タイプの酵母および嫌気性細菌、例えば、サッカロミセス属(Saccharomyces)、クロストリジウム属(Clostridium)、Thermoanaerobacteriumの種、Eubacterium、Zymomonasなどの特定の種などが含まれる。Monilia,Neurospora、Aspergillus、Zygosaccharomyces、Trichoderma、およびPaecilomycesの種を含む特定タイプの繊維状真菌もこの処理のために使用できる。若干の実施形態において、本発明のバイオリアクター増殖媒体を用いる発酵処理は、S.cerevisae、S.pastorianus、S.uvarum、S.bayanus、またはこれらの種のハイブリッドを含むサッカロミセス属(Saccharomyces)の種を使用する。本発明の方法に有用なクロストリジウム属(Clostridium)の種には、C.phytofermentans、C.thermocellum、C.cellulolyticum、C.acetobutylicum、C.populeti、C.polysaccharolyticum、C.herbivorans、C.lentocellum、C.celerecrescens、C.aminovalericum、C.butyricum、C.beijerinckii、C.cellulovorans、C.xylanovorans、C.xylanolyticum、およびこれらのハイブリッドが含まれる。本発明の発酵法で使用されるその他の微生物には、T.thermosaccharolyticum、E.xylanophilum、E.cellulosolvens、Z.mobilisなどが含まれる。
【0122】
さらに別の態様において、本発明は、セルロース系バイオマスの合併生物処理(CBP)法を提供する。バイオマスのエタノールへの変換には、一般に、4つの変換、すなわち、糖分解酵素(すなわち、セルラーゼおよびヘミセルラーゼ)の産生、炭水化物成分の糖への変換、ヘキソース糖(グルコース、マンノース、ガラクトース)の発酵、およびペントース糖(キシロース、アラビノース)の発酵が必要である。合併生物処理において、バイオマスからアルコールへの酵素または微生物変換に必要な各種の変換は、1つの工程中で実施される。CBP法は、多工程法に比較してより低い費用およびより高い効率のための潜在能力を有する。
【0123】
本発明のCBP法では、増殖媒体の第1表面をセルロース系バイオマスと接触させる。ある実施形態において、この第1表面は、生物活性微粒子を分散させたファインファイバー層を含む。生物活性微粒子は、例えば、セルラーセ、ヘミセルラーゼ、セルロソームなどの酵素を含む。このような酵素は、セルロース、セルロース誘導体、およびペクチン、デンプン、キシランなどのその他の多糖を、六単糖および五単糖に変換する能力を有する。次いで、増殖媒体の第2表面を五単糖および六単糖と接触させる。この第2表面は、微生物発酵を促進し、それによって糖をエタノールに変換する生物活性微粒子を含む。微生物発酵の能力のある微生物には、各種の酵母および嫌気性細菌、例えば、サッカロミセス属(Saccharomyces)、クロストリジウム属(Clostridium)、Thermoanaerobacteriumの種、Eurobacterium、Zymomonasなどの特定の種などが含まれる。
【0124】
一態様において、本発明のナノ繊維ウェブおよびファインファイバー構造体または基体は、器官の機能を模擬しているデバイス、すなわち、例えばバイオ人工腎臓などのバイオ人工器官の一部として使用できる。本発明のウェブは、細胞の接着および増殖のための培養または増殖表面を含む。例えば、正常な腎臓線維芽細胞を、10(w/w)%ポリカプロラクトンのクロロホルム溶液を含む溶液から静電紡糸されたナノ繊維を使用した本発明の増殖媒体またはウェブ上、0.25%スフィンゴミエリンで補足されたダルベッコ改変イーグル培地(DME)中、5%CO2中、37℃で培養できる。繊維ウェブまたは基体に拘束された腎臓細胞は、イオンポンプとして機能を発揮し、適切な腎臓機能および正常な体液維持にとって必須であるその他の重要な分子を産生することに加え、血液濾過の際に血液から濾過された必須電解質、水およびグルコースを再吸収する。ある実施形態において、正常な腎臓線維芽細胞は、ヒトおよびブタである。
【0125】
別の態様で、ウェブは、連続繊維相を含む連続繊維質構造体、および化学物質および/または混入した物質を除去することによって流体流れを処理できる生物活性、反応性、吸収性、または吸着性のある微粒子を含む。流体流れは、混入した物質または溶解された化学物質を伴う液体でよい。混入した物質は、移動流体に可溶または不溶でよく、液状不純物、固体不純物の微粒子、および細胞毒性を引き起こし、ペプチド合成などを阻害する場合のある有害な生物学的産生物を含む生物学的汚染物でよい。このような不純物は混入した微粒子でよい。液体は、水性液、非水性液、水、油、およびこれらの混合物で例示できる。通過する流れおよび層等の表面に沿った流れ(迂回流れ)構造体は、良好な活性のためにPTFE、延伸発泡テフロン(登録商標)またはその他の関連する多孔性フルオロポリマー成分を必要としない構造体中で使用できる。
【0126】
分散するとは、生物活性微粒子が、繊維に付着され、ウェブ内の空隙内に、またはウェブ中に部分的に侵入してウェブ表面に空間を創り出すポケット中に保持されることを意味する。いったん形成されると、本発明の活性微粒子を含むファインファイバーを含む媒体を媒体層と組み合わせることができる。その形態は、層等の表面に沿った流れ(迂回流れ)処理ユニット中で、または吸着性/吸収性または生物活性を有する通過する流れ処理ユニット中で使用できる。層等の表面に沿った流れ(迂回流れ)または通過ユニットにおいて、媒体は、移動流体が、いかなる濾過層によっても妨害されないで通過することができ、流体媒体の流通路に隣接したファインファイバー相中に形成された吸収性/吸着性または反応性種に簡単に接触できる形態で単純に構成される。別法として、活性微粒子および媒体を含むファインファイバー層を、侵入モード中に移動流体から微粒子を除去できる通過する流れ濾過構造体中に形成することができ、本発明の媒体は、濾過モード中に、移動流体から混入した微粒子を除去し、かつ同時に、流体相中の微粒子形態またはそうではない望ましくない物質を同時に吸収、吸着すること、またはそれらと化学的に反応することができる。
【0127】
用語「フィルター」は、移動流体を処理するのに実際に使用される構造体を指す。「フィルター」は、通常、入口および出口を備えたハウジングを含む。用語「エレメント」は、典型的には、媒体層、および有用で構造的に安定なユニットをもたらすその他の部品を含み、フィルター構造体に出し入れできるフィルターアセンブリ中で使用される構造体を指す。本発明のエレメントまたはウェブは、ファインファイバーウェブのいたるところに分散された微粒子を含む媒体層を含む。組み合わせたファインファイバーおよび微粒子を基体層上に形成して、フィルター媒体を形成できる。
【0128】
微粒子は、ある量の単一種の微粒子または異なる微粒子のブレンドを含むことができる。例えば、活性微粒子を、このような層中で使用するための不活性微粒子とブレンドすることができる。不活性微粒子は、単一の微粒子からなることができ、あるいは組成、粒子径、粒子組織形態またはいくつかのその他の態様を異にする不活性微粒子のブレンドでもよい。同様に、活性微粒子は、異なる活性微粒子を含む微粒子混合物からなることができる。例えば、炭素微粒子を、ゼオライト微粒子とブレンドすることができる。別法として、カルボキシメチルセルロースの微粒子を、活性層中でイオン交換樹脂の微粒子とブレンドすることができる。さらに、このような活性微粒子は、異なる大きさ、形状または組織形態の微粒子を本発明の活性層中で組み合わせることができるという意味でブレンドされた微粒子を有することができる。用語「混入した微粒子」は、移動流体中の不純物を指し、一方、用語「分散微粒子」は、本発明の繊維層内に意図的に含められた微粒子を指す。
【0129】
本発明のエレメントは、1つまたは2つの分離方式で使用できる。これらの方式は、「通過する流れ(flow-through)」または「層等の表面に沿った流れ(迂回流れ:flow-by)」と呼ばれる。通過する流れ方式において、移動する流体、液体または気体は、ファインファイバー層および濾過方式の状態の基体を、繊維層の平面に実質的に垂直の流れで通過する。混入した微粒子は、エレメントと遭遇して除去され、流体が、微粒子と接触して層を通過するにつれて、流体中に懸濁または溶解された吸収または吸着された化学物質と反応することができる。
【0130】
層等の表面に沿った流れ(迂回流れ)方式において、流体の通路は、一般に、ファインファイバー層またはエレメント表面に対して平行である。層等の表面に沿った流れ(迂回流れ)方式において、流体は、層の表面に接触し、エレメントを通って流れることは実質的にない。粘度、流速、温度、エレメントの配置に応じて、流体は、層にある程度侵入し、層から層へ流れることができるが、流体輸送の主な方式は、層の表面に実質的に平行な方向で層を迂回している。このような方式において、液体は、層の表面に接触することができ、流体中に溶解または懸濁された化学物質は、微粒子と反応すること、微粒子によって吸収または吸着されることができる。
【0131】
通過する流れおよび層等の表面に沿った流れ(迂回流れ)エレメントは、各種のフォーマットで使用できる。通過する流れエレメントは、いくつかの他のフィルター構造体中にカートリッジパネルを含む通常のフィルター構造体中で、プリーツ付きまたはプリーツなしの方式のエレメントと共に使用できる。同様に、層等の表面に沿った流れ(迂回流れ)媒体を、パネルおよびカートリッジ構造体中に含めることができる。
【0132】
層等の表面に沿った流れ(迂回流れ)材料の1つの好ましい使用方式は、ロール状に巻かれた媒体においてである。ロール状に巻かれた媒体は、必要なら繊維層を熱処理することによってファインファイバーおよび微粒子層を最初に形成すること、次いでエレメントをロール状に巻いて、どこでも2〜50層を有する多層化されたロールにすることによって調製される。ロールの厚さ、または層間の隔離距離が、構造体を通過する流体の流速を決める。ロール状に巻かれた媒体中に流路を導入することによって流速を向上できる。このような流路は、その上にファインファイバーが紡糸される基体中で機能できるか、あるいは流路は、ファインファイバーを基体上に形成し、次いで必要ならそれを熱処理した後に、エレメント中に形成することができる。機械的形状またはスペーサーを加工段階で含めることができる。機械的形状またはスペーサーは、構造体中に流路を導入できる。ロール状に巻かれた材料を用いて少なくとも1つのスペーサー部分を含め、ロール状に巻かれた構造体の一部に流路を本質的に形成することができる。さらに、さらなるスペーサーを、ロール状に巻かれた構造体の各層が少なくとも1つの流路部分を有するように配置することができる。任意数のスペーサーを使用できる。1つの層につき少なくとも1つのスペーサーから1つの層につき5、10または20のスペーサーを使用できる。スペーサー層がエレメント中に流路を形成した後、スペーサーを除去できる。ある方式で、スペーサーを、エレメントを広げることおよびスペーサーをエレメントから物理的に取り出すことによって除去できる。しかし、別の方式では、スペーサーが可溶である(しかし、基体のファインファイバーまたは微粒子は可溶でない)溶媒を使用して、ロール状に巻かれたアセンブリから単にスペーサーを洗い流し、かくしてスペーサーを除去し、かつ通過する流れ流路構造体を残すことができる。スペーサーは、該スペーサーが、流体のための通過する流れ経路を提供するロールの第1末端部からロールの第2末端部までの流路を提供できる限り、実質上任意の形状または構造体に配置できる。好ましくは、流路の寸法は、長軸寸法が約1mmを超え、長軸寸法が約1mm〜500mmの範囲でよい。流路の形状は、丸形、卵形、環形、矩形、正方形、またはその他の断面形状でよい。形状は、規則的でよく、あるいは不規則的および無定形でよい。さらに、流路に沿って、流路の断面形状は、一端部から他端部にかけて変化できる。例えば、ロール状に巻かれた構造体の入口端部で、流路は、比較的大きな断面積を有することができ、一方、反対側端部で、断面積は、入口端部に比べてより小さくてもよい。さらに、入口端部は、出口端部に比べて断面積がより小さくてもよい。スペーサーの大きさにおける任意のその他の変化は、流体と微粒子の間の改善された接触をもたらす、流れの乱れを増大させることができる。
【0133】
本発明の活性のあるウェブまたはエレメントは、移動流体相中に混入した物質を吸収/吸着するまたはそれらの物質と反応するような、繊維層内に分散された微粒子を伴うファインファイバー層を含むことができる。このようなエレメントまたはウェブを、各種形態のその他の活性または反応性のある種と組み合わせることができる。本発明の微粒子は、繊維から離れた離散微粒子でもよいし、あるいは微粒子は、繊維の表面にまたはその上に接着されてもよい。微粒子が、生物活性種であるなら、以下で説明するように、それを、繊維ウェブ中に植え付けること、または繊維ウェブ中に生物活性微粒子を分散させることによってエレメントまたは繊維と組み合わせることができる。微粒子は、繊維中に包埋することができ、かつ繊維の固まりで部分的または完全に囲むことができる。これらの構造体を形成するために、微粒子を、紡糸後に繊維と組み合わせることができ、紡糸中の繊維が乾燥し固まる時間に繊維に添加することができ、あるいは紡糸前に、微粒子が繊維中に部分的または完全に包埋されるように紡糸溶液に添加できる。
【0134】
活性層を形成する1つの方法は、シート層中に活性または生物活性微粒子を形成する、または活性微粒子を本発明のウェブまたはエレメントの1種または複数種の構成要素に接着する成分を含有する水性または非水性相中に活性微粒子を分散させることによって行うことができる。本発明のいずれかの活性微粒子を、これらの目的のための水性または非水性液相中に組み込むことができる。非水性物質の形成において、非水性溶媒、好ましくは低級アルコール、エーテル、低沸点炭化水素成分、クロロホルム、塩化メチレン、ジメチルスルホキシド(DMSO)などの物質を含む揮発性溶媒を、活性微粒子を可溶性または分散性結合物質と一緒に組み込むことによって調製できる。このような溶液を、繊維微粒子のシート様基体またはその他の物質に塗布して、その形態で移動流体相中に混入した物質を吸収/吸着する、またはそれらの物質と反応するように機能を発揮できる活性微粒子を含む層を形成できる。別法として、活性微粒子の活性層を形成するために、本発明の活性微粒子を、繊維微粒子またはウェブのシート様基体と同様に組み合わせることのできる、またはそのような基体上に被覆することのできる、結合物質の水性溶液または懸濁液の状態で分散させることができる。別法として、本発明の微粒子を、水性相を有機相と組み合わせた混合水性有機相中に分散または懸濁させることができる。有機層は、さらなる溶媒またはその他の有機液体を含むことができ、あるいは、アクリルポリマー、PTFEポリマーなどの水性ポリマー相を含むことができる。このような混合層は、活性微粒子を含む層を形成することができ、さらに、隣接ポリマー間に結合を形成し、さらにフィルムからなる被覆物を硬化することができる架橋形成成分を含むことができる。
【0135】
熱処理または熱による結合形成処理を利用して、十分に明瞭な繊維が存在しない明確な層を形成できる。熱処理は、個々の繊維を、個々の繊維の溶融点または融点以上の温度まで加熱し、次いで該繊維を、溶融ネットワーク、膜または膜様構造体に接着、合着、または形成させることができる。熱処理の温度、圧力および時間に応じて、熱処理は、繊維を、表面でのみ接触している中間長繊維がランダムに分布した層から、繊維がより親密に会合している層に変換できる。少なくとも、繊維は、繊維の交差点で溶融して溶融ネットワークを形成するように加熱される。さらなる熱圧力または熱処理時間で、繊維はさらに溶けることができ、さらに合着してより親密に会合したウェブになる。さらなる温度、時間および圧力で、繊維は、より完全に溶けて拡がり、多孔性膜様構造体になることができる。熱処理は、また、微粒子の位置を変えることができる。繊維がいたるところに単に分布される事例において、微粒子はファインファイバーのいたるところに分布される。熱処理は、熱処理される繊維状ウェブまたは膜様構造体に表面で結合される構造体中に微粒子を固定できるが、やはり温度、加熱時間および圧力に応じて、微粒子を、多孔性膜様構造体中のいたるところに組み込むことができる。このような熱処理されたまたはカレンダーをかけられた構造体は、元のファインファイバー層の厚さに近い、または元のファインファイバー層に比べてより薄い厚さの層を有することができる。したがって、元のファインファイバー層が、約0.5μm〜200μmの範囲である厚さを有するなら、生じる層は、紡糸された繊維の量、微粒子含有量、および加熱、圧力、および時間を含む熱処理の程度に応じて、約0.5μm〜約150μm、またはしばしば100μmまでのより小さい、時には50μmまでの範囲の厚さを有することができる。このような熱処理工程の1つの形態は、熱的に使用できるカレンダー掛け操作である。カレンダー掛け工程は、熱処理された層を形成するために、ローラー、ローラーとエンボス加工機、またはエンボス加工機を使用する。エンボス加工機は、規則的、中間的、またはランダムなパターンをもたらすことのできるボンディングパターンと共に使用できる。パターンを使用する場合、該パターンは、表面積の50%までまたはそれ以上を占めることができる。典型的には、結合されたアレイは、表面積の約1%〜75%、しばしば表面積の約10%〜50%を占める。
【0136】
種々の層中で使用されるファインファイバーの性質、および複合材の製造速度に応じて、時間、温度および圧力などのカレンダー掛け処理パラメーターを変えて許容される結果を達成することができる。カレンダーローラーの温度は約25℃〜200℃の範囲でよい。カレンダーローラーまたはローラーの組合せを使用して層上に印加される圧力は、500psiまでの範囲でよく、熱処理ステーションを通過する複合材の速度は約1フィート/分〜約500フィート/分の範囲でよい。熱処理ステーションの運転パラメーターは、適正な最終構造体を得るのに適切な熱量を送達するように調節されるべきである。熱は、繊維のいくつかの部分を軟化または溶融しないほど微量であってはならず、かつ繊維を単に溶融し基体中に分散させるようであってはならない。送達されるすべての熱を、繊維を結合し、繊維を全体的に軟化し、または繊維を多孔性膜に完全に形成するように容易に調節できる。運転パラメーターのこのような小さな調整は、当業者の技術範囲に十分包含される。
【0137】
本発明のウェブまたはエレメントは、多様な異なる層から構成できる。このような層としては、活性および不活性層の双方を挙げることができる。活性層は、典型的には、ファインファイバー内に分散された微粒子をもつファインファイバーのウェブまたはその他の含浸層、あるいは吸着性/吸収性または反応性微粒子を含む層あるいはその他のこのような構造体からなる。このような層を、保護層、空間層、活性層、不活性層、支持層と組み合わせた本発明の有用なエレメントに形成することができ、すべての層を、通常のカートリッジパネルまたはその他のこのような保護構造体中に組み込むことまたは封入することができる。活性微粒子の好ましい形態は、吸着性炭素微粒子を含む。
【0138】
特にフィルターへの応用の場合、本発明のフィルター中の基体上に形成されるファインファイバー層は、微粒子の分布、濾過性能および繊維の分布に関して実質的に均一でなければならない。実質的に均一とは、繊維が、基体を十分に覆い隠し、覆われた基体のいたるところで少なくとも測定可能ないくらかの濾過能力を有することを意味する。本発明の媒体は、フィルター構造体中で複数のウェブを含む積層体の状態で使用できる。本発明の媒体は、繊維構造体の少なくとも1つのウェブを含む。その上でファインファイバーおよび活性微粒子を形成できる基体は、活性または不活性基体でよい。このような基体を、全部の構造体に吸着/吸収または反応性を付加できる被覆、微粒子または繊維の形態の基体層活性物質中に組み込むことができる。
【0139】
ある実施形態において、繊維ウェブの全体厚さは、繊維直径の約1〜100倍、あるいは約1μm〜300μmまたは約5μm〜200μmである。ウェブは、約5重量(wt)%〜95wt%の繊維および約95wt%〜5wt%の活性微粒子、または約30wt%〜75wt%の繊維および約70wt%〜25wt%の活性微粒子を含み、層の約0.1vol%〜50vol%、または層の約1vol%〜50vol%もしくは2vol%〜50vol%を占めることができる。媒体の総固体性(活性または不活性微粒子の寄与を含む)は、約70%以下、または0.1%〜約50%、好ましくは約1%〜約30%である。構造体中の微粒子の寄与を含むことのないウェブの固体性は、約10%〜約80%である。本発明のフィルター媒体は、ASTM−1215−89により測定すると、本明細書中に記載するように0.78μmの単分散ポリスチレン球状粒子を用い、13.21fpm(4m/分)で約40%〜約99.99%の濾過性能を達成できる。本発明の濾過ウェブは、典型的には、少なくとも約1m/分、好ましくは約5m/分〜約50m/分の通気度を示すフラジール型通気度試験を示す。不活性微粒子または隔離手段として使用する場合、本発明のウェブの微粒子相を特徴付ける微粒子は、移動相および混入した汚染物質充填物に対して不活性であるか、あるいは移動流体または充填物に関していくらか制限された活性を有する微粒子である。
【0140】
本発明の微粒子物質は、媒体の濾過特性および本発明の構造体の活性、反応性、吸収性または吸着性の双方を改善する能力のある寸法を有する。微粒子物質は、各種の有用な物質から作ることができる。微粒子物質は、ウェブを通過する移動相および混入した微粒子充填物に対して実質的に不活性でよいし、あるいは、微粒子物質は、流体または混入した微粒子充填物と相互作用することができる。「不活性」方式で、スペーサー微粒子は、繊維層および1つまたは複数の繊維層を含む媒体の物理的パラメーターを簡単に変える。流体または混入した微粒子充填物と相互に作用する微粒子を使用すると、微粒子は、媒体または層の物理的特性を変えることに加えて、ウェブを通過する物質を変える目的のため、移動流体または微粒子充填物の一部と反応するか、あるいは一部を吸収または吸着する。本明細書で開示する技術の主な焦点は、媒体または層の物理的構造および吸収、反応または吸着性を改善すること、およびフィルター性能を改善することである。その目的のために、活性または不活性粒子を使用できる。若干の応用では、実質的に不活性な粒子を、移動相または混入した微粒子充填物と相互に作用する微粒子と組み合わせて使用できる。このような応用では、不活性粒子と相互作用性粒子の組合せを使用する。活性微粒子と不活性微粒子のこのような組合せは、改善されたフィルター特性および吸収または吸着特性の双方を提供できる。
【0141】
好ましい生物活性、吸着性または吸収性のある手段は、微粒子を含む。本発明の繊維質構造体中で使用されるこのような微粒子は、多層積層体またはマトリックス内の空間を占有し、繊維の有効密度を低下させ、フィルターを通過する流体の曲がりくねった通路を増加させ、流体または該流体中に溶解または分散した物質を吸収、吸着し、またはそれらと反応する。別法として、微粒子は、付加的に、移動流体と化学的に反応するか、あるいは移動流体中の生物学的不純物または汚染物質である気体、液体または固体状成分を吸着または吸収しながら、機械的空間保持効果を提供できる。本発明の活性層は、ナノ繊維層、および該ナノ繊維層内に分散された本発明の生物活性、吸収性または吸着性微粒子を含むことができる。ある実施形態で、本発明のナノ繊維層は、厚さが約25nm〜2.0μm、0.5μm〜約300μm、1μm〜約250μm、または2μm〜約200μmの範囲であり、層内に約0.1vol%〜約50vol%。または10vol%〜約50vol%の本発明の不活性(あるなら)および活性微粒子の両形態の層を含む。この場合、本発明の生物活性微粒子を、若干量の不活性スペーサー微粒子と組み合わせることができる。流体流れ内で汚染物質を吸収、吸着する、または汚染物質と反応するように機能を発揮する本発明の生物活性微粒子は、不活性微粒子が固体性を低下させるための層内に排除体積を単に提供しながら、効率およびその他の濾過特性を改善する。
【0142】
空気流から気相汚染物を除去するための圧力損失の少ない活性微粒子、化学反応性、吸収性、または吸着性のある基体の創出は、開放流路および吸収性/吸着性/生物活性のある壁を備えた吸着性/反応性のある基体を形成するために、スペーサー媒体と一緒に層化されたまたはロール状に巻かれた吸収性/吸着性/反応性のある媒体の平らなシートロールに由来する。さらに、スペーサー媒体は、最終化学ユニットの総合的寿命/性能に寄与するように吸収性/吸着性/生物活性であるように作ることができる。開放流路を創り出すスペーサー媒体は、メッシュ、単一ラインのポリマービーズ、グルードット(glue dot)、金属リブ、波形のワイヤ/ポリマー/紙メッシュ、波形の金属/紙/ポリマーシート、ポリマーのストリップ、接着剤のストリップ、金属のストリップ、セラミックのストリップから、さらには媒体表面に配置されたディンプルから作ることができる。これらのスペーサー媒体は、それらを吸収性/吸着性/生物活性のある物質で被覆すること、またはそれらを吸収性/吸着性/生物活性物質から押し出す/成形することによって、吸収性/吸着性/生物活性にすることができる。流路の大きさおよび形状は、空間媒体の形状および大きさによって調節される。例には、ポリマー/接着剤のドットパターンによって創り出すことのできる球、矩形、三角形、および不明瞭な形状が含まれる。壁およびスペーサー媒体の化学物質は、酸性、塩基性、ならびに有機および水の蒸気、加えて、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒドおよびアセトンをはじめとする反応性カルボニル化合物を含むいくつかの特定部類の化合物、ならびに有害な生物学的産生物または汚染物質を特異的に吸収するように作ることができる。
【0143】
粒子と繊維(ナノ繊維も)の組合せは、いくつかの利点、すなわち、拡散の増加;より小さな粒子を使用し、それによって外表面積、それゆえ反応速度を増大させることを可能にすること;反応層中への浸透増加;粒子の組合せおよび単一層中への化学的濾過;および基体または担体(すなわち、含浸吸着剤)を必要としない濾過への応用に対する反応物の直接応用を提供する物質をもたらす。
【0144】
反応性または生物活性種に植え付けられたまたは接着された粒子を使用することのほかにも、微粒子に対するこれらの修正を、繊維質のウェブおよび構造体を形成した後に実施できることは当業者にとって当然明らかである。繊維質のウェブおよび構造体を形成した後に、粒子に対して反応活性を付与することは、多くの異なる被覆方法を使用して完遂できる。例えば、噴霧コーティング、浸漬コーティング、エアゾール沈着、化学蒸着、キス(Kiss)コーティング、および真空コーティング。最終工程は、熱処理、ガスパージング、または真空法を含んでも含まなくてもよい乾燥処理を含むことができる。
【0145】
ある実施形態で、活性および/または生物活性微粒子は、任意の薄く可撓性のある多孔性基体でよい基体(例えば、スクリム、紙、メッシュなど)上に沈着される。ナノ繊維は、活性な生物活性微粒子を薄層中に結合し、かくして粒子の流出を最小にする。基体層とナノ繊維/生物活性層のこの全体的組合せは、次いで、流体流れまたは輸送のための非制限的流路を提供するスペーサー層と共にロール状に巻かれる。層は、それぞれ異なる化学種と反応する微粒子の混合物を含む。例えば、活性または生物活性微粒子は、酸性、塩基性、または反応性有機汚染物に対して特異的であってよい。活性微粒子の例には、アミンおよびアンモニアを除去するためのクエン酸;二酸化硫黄およびその他の酸性ガスを除去するための水酸化カリウム;およびカルボニル含有化合物を除去するための2,4−ジニトロフェニルヒドラジンが含まれる。本発明の別の態様は、ナノ繊維および任意の薄い可撓性のある多孔性基体でよい基体(例えば、スクリム、紙、メッシュなど)上に植え付けられた、または沈着されたクエン酸の粉または顆粒の使用である。
【0146】
ナノ繊維は、生物活性微粒子を薄い層中に結合し、かくして、粒子の流出を最小にする。基体層とナノ繊維/生物活性層の組合せは、次いで、流体流れまたは輸送のための非制限的流路を提供するスペーサー層と共にロール状に巻かれる。
【0147】
本発明による媒体構築物は、第1表面を有する繊維質媒体または基体の第1層を含む。好ましくは、透過性のある粗い繊維質物質からなる第1層は、少なくとも10μm、典型的かつ好ましくは約12(または14)μm〜30μmの平均直径を有する繊維を含む。また、好ましくは、繊維質物質からなる第1層は、約200g/m2を超えない、好ましくは約0.50g/m2〜150g/m2、最も好ましくは少なくとも8g/m2の坪量を有する媒体を含む。好ましくは、繊維質媒体からなる第1層は、少なくとも0.0005インチ(12μm)の厚さであり、典型的かつ好ましくは約0.001インチ〜0.030インチ(25μm〜800μm)の厚さである。ファインファイバーおよび分散された微粒子層を含む本発明のエレメントは、本明細書中の別の箇所で考察されるような各種の他の層と組み合わせることができる。層は、本発明の層の平らなまたは同一平面上のシートバージョンとして作ることができ、あるいはヒダをつけられ、波形をつけられ、または本発明のエレメントを通る低い圧力損失の流れを形成するのに必要とされる実質的に任意のその他の断面形状に成形されることができる。基体は、また、発泡されたポリPTFE層またはテフロン(登録商標)層を含むことができる。基体は、また、テフロン(登録商標)、発泡ポリPTFE層、または延伸PTFEの繊維または層を実質的に含まなくてもよい。このような層は、濾過および活性微粒子に由来する活性の双方を提供できる各種の使用中の応用において有用である。このような層は、また、微粒子をエレメント中に閉じ込めるのを助けることができる。
【0148】
好ましい配列において、繊維質物質からなる第1層は、フラジール型通風度試験で構築物の残りから別個に評価すると、少なくとも1m/分の、典型的かつ好ましくは約2m/分〜900m/分の通気度を示す材料を含む。ここで、能力に対して言及する場合、特記しない限り、本明細書に記載のように20fpm(6.1m/分)で0.78μmの単分散性ポリスチレン球状粒子を用いるASTM−1215−89試験に従って測定した場合の能力を指す。
【0149】
好ましくは、透過性で粗な繊維質媒体層の第1表面に固定されたファインファイバー物質層は、ナノ−およびミクロ繊維媒体の層であり、ここで該繊維は、約2μmを超えない、一般的かつ好ましくは約1μmを超えない平均繊維直径を有し、典型的かつ好ましくは、0.5μmより小さい、約0.05μm〜0.5μmの範囲内の繊維直径を有する。また、好ましくは、透過性で粗な繊維質物質層の第1表面に固定されたファインファイバー物質の第1層は、約30μmを超えない、より好ましくは20μmを超えない、最も好ましくは約10μmを超えない全体厚さを有し、典型的かつ好ましくは、層のファインファイバー平均直径の約1〜8倍(より好ましくは5倍を超えない)の厚さ以内である。
【0150】
本発明のエレメントを濾過方式で使用する場合には、フィルターとして許容し得る機能のために、および活性粒子(群)の活性を得るために、圧力損失は最小であるべきである。このような圧力損失の情報は、本発明の濾過デバイスの型について周知である。このような圧力損失のパラメーターは、本発明の濾過エレメントの有効寿命を規定する。本発明のエレメントは、フィルター層を介在させることのない通過する流れ方式で使用される場合、エレメントを通過する移動流体の流れに対して抵抗をほとんどまたはまったく与えるべきでない(例えば、水で0.1インチ未満、または1未満〜5インチ)。流れは、妨害されるべきでないが、流体のエレメント内滞留時間は、十分な接触を得るのに十分でなければならず、所望の活性を得るためにエレメント中で必要とされる吸収/吸着/反応は、エレメント内で活性微粒子を形成する。有用な滞留時間は、活性微粒子に応じて、約0.01から混入した物質のある程度の除去を達成するのに必要な長さでよい。滞留時間は、0.02秒から5分程度、典型的には約0.01秒〜60秒、0.01秒〜1秒、または0.02秒〜0.5秒のようなわずかな程度でよい。このようなユニットの寿命は、活性微粒子の負荷量、およびユニット中での活性の残存量によって規定される。ある程度の小量の圧力損失は、エレメント中で流れを実質的に妨げることなしに流れを減速し、かつ滞留時間を延長するように設計されることができる。
【0151】
本発明の媒体、ウェブ、層またはエレメントは、再生可能である。本発明の反応性微粒子の場合、微粒子を化学的に処理することによって、該微粒子を再生できる。吸収性または吸着性微粒子の場合、エレメントを、吸収したまたは吸着した物質を微粒子表面または内部構造体から押し出すのに十分な温度まで加熱することによって、該微粒子を再生できる。エレメントを、減圧の効果が、吸着性粒子の表面から、または吸収性粒子の内部から揮発性物質を除去できるように脱気することができる。
【0152】
反応種は、流体相中にに入り込んだ物質と反応種との反応からの反応副産物を最初に除去することによって再生することができる。そのような反応の1つにおいて、副産物を除去し、エレメント内に残っている微粒子は、エレメントを通過する活性物質の溶液または懸濁液を通過させ、ファインファイバー層を含む内部構造に反応性物質の追加量を蓄積させることによって高めた。
【0153】
上記の明細書、例およびデータは、本発明の組成物の製造および使用に関する完全な説明を提供する。本発明の多くの実施形態は、本発明の精神および範囲から逸脱することなしになし得るので、本発明は、後に添付する特許請求の範囲に帰着する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バイオリアクターのための増殖媒体であって、
基板と、複数の多層マトリックスを形成するために積層にされた2つまたはそれ以上の実質的に連続なファインファイバのネットワークとを有し、
各ファインファイバの層は、約25nm〜約2000nmの厚さと70%以下の固体性とを有し、前記ファインファイバの層中に分散された生物活性な微粒子を含み、
前記ファインファイバは、約10nm〜約1000nmの直径を有することを特徴とする増殖媒体。
【請求項2】
前記ファイバは、非細胞傷害性のポリマーを含むことを特徴とする請求項1に記載の増殖媒体。
【請求項3】
前記ポリマーは生分解性であることを特徴とする請求項2に記載の増殖媒体。
【請求項4】
前記ポリマーは水に不溶性であることを特徴とする請求項2に記載の増殖媒体。
【請求項5】
前記ポリマーはポリエステルであることを特徴とする請求項2に記載の増殖媒体。
【請求項6】
前記ポリエステルは、ポリε−カプロラクトン、ポリグリコレート、またはポリラクテートであることを特徴とする請求項5に記載の増殖媒体。
【請求項7】
前記ポリマーは、ポリアミドであることを特徴とする請求項5に記載の増殖媒体。
【請求項8】
前記ポリアミドは、ナイロンであるであることを特徴とする請求項7に記載の増殖媒体。
【請求項9】
前記生物活性な微粒子は、細胞、微生物、酵素、生物活性分子またはそれらの混合物であることを特徴とする請求項1に記載の増殖媒体。
【請求項10】
前記細胞は、原核細胞または真核細胞であることを特徴とする請求項9に記載の増殖媒体。
【請求項11】
前記真核細胞は、哺乳動物細胞、昆虫細胞、植物細胞、真核細胞の微生物であることを特徴とする請求項10に記載の増殖媒体。
【請求項12】
前記細胞は、酵母を含むことを特徴とする請求項11に記載の増殖媒体。
【請求項13】
前記微生物は細菌、真菌であることを特徴とする請求項10に記載の増殖媒体。
【請求項14】
前記微生物はセルロース溶解性細菌であることを特徴とする請求項13に記載の増殖媒体。
【請求項15】
前記原核細胞は、嫌気性細菌であることを特徴とする請求項10に記載の増殖媒体。
【請求項16】
前記微生物は、クロストリジウム属種またはサッカロミセス属種であることを特徴とする請求項14に記載の増殖媒体。
【請求項17】
前記生物活性な微粒子は、前記ファインファイバーの層につながれていることを特徴とする請求項1に記載の増殖媒体。
【請求項18】
前記生物活性な微粒子は、セルロース結合領域(CBD)を含み、前記ファインファイバーの層はセルロースまたはセルロース誘導体を含むことを特徴とする請求項17に記載の増殖媒体。
【請求項19】
前記ファインファイバーの層は、前記ファインファイバーの層への前記生物活性な微粒子の接着を促進する接着分子を含むことを特徴とする請求項17に記載の増殖媒体。
【請求項20】
前記接着分子は、フィブロネクチン、ラミニン、トロンボスポンジン、テネイシンC、アクチン、フィブリン、フィブリノーゲン、ビトロネクチン、カドヘリン、セレクチン、細胞内接着分子1、2、または3、細胞マトリックス接着受容体、またはこれらの混合物を含むことを特徴とする請求項19に記載の増殖媒体。
【請求項21】
前記細胞マトリックス接着受容体はインテグリンを含むことを特徴とする請求項20に記載の増殖媒体。
【請求項22】
前記インテグリンはα5β1、α6β1、α7β1、α1β2、α2β3またはα6βを含むことを特徴とする請求項21に記載の増殖媒体。
【請求項23】
前記ファインファイバーの層は、1つまたはそれ以上のアルコール、アルデヒド、アミン、カルボキシ、スルフヒドリル、または光活性な官能基を含むことを特徴とする請求項17に記載の増殖媒体。
【請求項24】
前記光活性な官能基はカルベンまたはナイトレンであることを特徴とする請求項23に記載の増殖媒体。
【請求項25】
1つまたはそれ以上の増殖因子を含むことを特徴とする請求項1に記載の増殖媒体。
【請求項26】
前記増殖因子の少なくとも1つは、血管内皮増殖因子、骨形態形成増殖因子、上皮増殖因子、内皮増殖因子、血小板由来増殖因子、神経増殖因子、線維芽細胞増殖因子、インスリン増殖因子、または、トランスフォーミング増殖因子を含むことを特徴とする請求項25に記載の増殖媒体。
【請求項27】
前記ファインファイバーは、前記1つまたはそれ以上の増殖因子を放出することを特徴とする請求項25に記載の増殖媒体。
【請求項28】
前記増殖因子の放出速度は、前記ファインファイバーの層の分解または溶解の速度によって決定されることを特徴とする請求項27に記載の増殖媒体。
【請求項29】
厚みと第1表面と第2表面とを有するスペーサーを更に有し、第1のファイバーの層と第2のファイバーの層が前記スペーサーの厚さによって分離されるように、前記スペーサーの前記第1表面が前記第1のファイバーの層の表面と接触し、前記スペーサーの前記第2表面が前記第2のファイバーの層の表面と接触することを特徴とする請求項1に記載の増殖媒体。
【請求項30】
前記スペーサーは、約50nm〜約2000nmの厚さを有することを特徴とする請求項29に記載の増殖媒体。
【請求項31】
前記ファインファイバーの層の1つまたはそれ以上の層は、活性微粒子、不活性微粒子またはそれらの混合物を含むことを特徴とする請求項1に記載の増殖媒体。
【請求項32】
前記層は約5%〜95%のファイバーと、活性微粒子、不活性微粒子またはそれらの混合物を含む約95%〜5%の微粒子とを含み、前記層は1〜100g/m2の活性微粒子を含むことを特徴とする請求項31に記載の増殖媒体。
【請求項33】
前記層は約30%〜75%のファイバーと、約70%〜25%の活性微粒子手段とを含み、前記層は1〜100g/m2の活性微粒子を含むことを特徴とする請求項31に記載の増殖媒体。
【請求項34】
前記活性微粒子は、吸収性微粒子、吸着性微粒子、反応性微粒子またはそれらの混合物であることを特徴とする請求項31に記載の増殖媒体。
【請求項35】
少なくとも1つの層は微粒子が無く、少なくとも1つの層は前記ファインファイバーの層全体にわたって分散された微粒子を有することを特徴とする請求項31に記載の増殖媒体。
【請求項36】
前記微粒子は実質的に球状であることを特徴とする請求項31に記載の増殖媒体。
【請求項37】
前記微粒子は無定形であることを特徴とする請求項31に記載の増殖媒体。
【請求項38】
前記微粒子は単分散されていることを特徴とする請求項31に記載の増殖媒体。
【請求項39】
前記微粒子は多分散されていることを特徴とする請求項31に記載の増殖媒体。
【請求項40】
前記活性微粒子または前記不活性微粒子は約200μm未満の主要寸法を有することを特徴とする請求項31に記載の増殖媒体。
【請求項41】
増殖媒体を有するエレメントであって、
前記増殖媒体は、対向する第1流れ面および第2流れ面を有するウェブと、複数の縦溝流路とを有し、
(i)前記縦溝流路のそれぞれは、前記第1流れ面に隣接する開いている第1端部部分と、前記第2流れ面に隣接する開いている第2端部部分とを有し、
(ii)前記増殖媒体はファインファイバーの層で少なくとも部分的に被覆された基板を含み、前記ファインファイバーの層はファインファイバーの層を有し、生物活性な微粒子が前記ファインファイバーの層中に分散されており、前記ファインファイバは約10nm〜約1000nmの直径を有し、前記ファインファイバの層は0.5〜500μmの厚さと、約0.1〜65%の固体性とを有し、
前記エレメントは、流体が前記基板に対して平行な流路中を流れることができるような前記基板表面に沿った流路を有することを特徴とするエレメント。
【請求項42】
前記ファインファイバーの層は、前記ファインファイバーの層中に分散された活性微粒子手段を含み、前記活性微粒子を前記層の0.1〜50体積%含むことを特徴とする請求項41に記載のエレメント。
【請求項43】
前記ファインファイバーの層は、熱処理されて多孔性膜を形成することを特徴とする請求項41に記載のエレメント。
【請求項44】
前記第1端部で開いていて前記第2端部で閉じている複数の縦溝流路から選択された縦溝流路と、前記第1端部で閉じていて前記第2端部で開いている複数の縦溝流路から選択された縦溝流路とが、前記縦溝流路の層を通過する流体流路を提供することを特徴とする請求項41に記載のエレメント。
【請求項45】
前記ファインファイバのウェブの厚さは、前記ファインファイバの直径の約1〜100倍であることを特徴とする請求項42に記載のエレメント。
【請求項46】
前記ウェブは、約5%〜95重量%のファイバーと、活性微粒子および不活性微粒子の両方を含む約95〜5重量%の活性微粒子手段とを含むことを特徴とする請求項42に記載のエレメント。
【請求項47】
前記ウェブは、約30%〜75重量%のファイバーと、約70〜25重量%の活性微粒子手段とを含むことを特徴とする請求項42に記載のエレメント。
【請求項48】
前記活性微粒子手段は、約5000μm未満の主要寸法を有することを特徴とする請求項42に記載のエレメント。
【請求項49】
前記微粒子は、約200μm未満の主要寸法を有することを特徴とする請求項42に記載のエレメント。
【請求項50】
前記微粒子は、約5〜200μmの主要寸法を有することを特徴とする請求項42に記載のエレメント。
【請求項51】
前記微粒子は、約0.05〜100μmの主要寸法を有することを特徴とする請求項42に記載のエレメント。
【請求項52】
前記微粒子は、約0.1〜70μmの主要寸法を有することを特徴とする請求項42に記載のエレメント。
【請求項53】
前記増殖媒体は、少なくとも約0.5μmの厚さを有する2つまたはそれ以上のファインファイバーの層を有し、少なくとも1つの層は前記微粒子がなく、少なくとも1つの層は各ファインファイバーの層全体にわたって分散されている微粒子を有することを特徴とする請求項41に記載のエレメント。
【請求項54】
前記微粒子は吸収剤であることを特徴とする請求項42に記載のエレメント。
【請求項55】
前記微粒子は吸着剤であることを特徴とする請求項42に記載のエレメント。
【請求項56】
前記微粒子は、不活性微粒子および活性微粒子スペーサー手段の組み合わせであることを特徴とする請求項42に記載のエレメント。
【請求項57】
前記微粒子は実質的に球状であることを特徴とする請求項42に記載のエレメント。
【請求項58】
前記微粒子は無定形であることを特徴とする請求項42に記載のエレメント。
【請求項59】
前記微粒子は単分散されていることを特徴とする請求項42に記載のエレメント。
【請求項60】
前記微粒子は多分散されていることを特徴とする請求項42に記載のエレメント。
【請求項61】
前記ウェブは前記活性微粒子のスペーサー手段の分布が傾斜していることを特徴とする請求項42に記載のエレメント。
【請求項62】
前記ウェブは前記不活性微粒子のスペーサー手段の分布が傾斜していることを特徴とする請求項42に記載のエレメント。
【請求項63】
前記ウェブは前記ファイバーの分布が傾斜していることを特徴とする請求項42に記載のエレメント。
【請求項64】
前記媒体の梱包体とフレーム構成物は管状の断面を有することを特徴とする請求項41に記載のエレメント。
【請求項65】
更にパネル構造を有し、前記増殖媒体は、支持体と共に前記パネル構造内に配置されていることを特徴とする請求項41に記載のエレメント。
【請求項66】
前記生物活性な微粒子は、細胞、微生物、酵素、生物活性分子またはそれらの混合物を含むことを特徴とする請求項41に記載のエレメント。
【請求項67】
流体をろ過する方法であって、
(a)対向する第1流れ面および第2流れ面と、複数の縦溝流路とを有するフィルタ媒体を通過するように流体を向ける工程を有し、
前記フィルタ媒体は、
(i)前記縦溝流路のそれぞれは、前記第1流れ面に隣接する第1端部部分と、前記第2流れ面に隣接する第2端部部分とを有し、
(ii)前記第1端部部分で開いていて前記第2端部部分で閉じている複数の縦溝流路から選択された縦溝流路と、前記第1端部部分で閉じていて前記第2端部部分で開いている複数の縦溝流路から選択された縦溝流路とを有し、
(iii)前記増殖媒体はファインファイバーの層で少なくとも部分的に被覆された基板を含み、前記ファインファイバーの層はファインファイバーの層と、前記ファインファイバーの層中に分散された生物活性な微粒子とを含み、前記ファインファイバは約10nm〜約1000nmの直径を有し、前記ファインファイバの層は0.5〜500μmの厚さと、約0.1〜65%の固体性とを有することを特徴とする方法。
【請求項68】
前記ファインファイバーの層は、更に前記ファインファイバーの層中に分散された微粒子の手段を有し、前記微粒子は前記層の0.1〜50体積%であることを特徴とする請求項67に記載の方法。
【請求項69】
前記生物活性な微粒子は、細胞、微生物、酵素、生物活性分子またはそれらの混合物を含むことを特徴とする請求項67に記載の方法。
【請求項70】
前記流体は排水であることを特徴とする請求項67に記載の方法。
【請求項71】
フィルタエレメントであって、
実質的に連続するファインファイバーの層を熱処理して形成された溶融したファイバーウェブを有し、
前記エレメントが、
約0.1〜20μmの厚さと、約0.01〜2μmの細孔径と、前記ファイバーウェブ中に分散された生物活性な微粒子とを有することを特徴とするフィルタエレメント。
【請求項72】
前記生物活性な微粒子は、細胞、微生物、酵素、生物活性分子またはそれらの混合物を含むことを特徴とする請求項71に記載のフィルタエレメント。
【請求項73】
更に、前記ファイバーウェブ中に前記ウェブの約0.1%〜50体積%で分散された活性な微粒子を有し、前記微粒子が膜の0.001g〜10kg/m2であることを特徴とする請求項71に記載のフィルタエレメント。
【請求項74】
前記エレメントは、前記ウェブを通過する実質的なろ過流路を持たずに、前記ウェブに平行な流路で流体が流れることができるような前記ウェブ表面に沿った方向流れを有することを特徴とする請求項71に記載のフィルタエレメント。
【請求項75】
前記ウェブは前記膜を通過する流体通過流路を有することを特徴とする請求項71に記載のフィルタエレメント。
【請求項76】
前記ウェブの厚さは、前記熱処理されたファイバーの元の直径の約1〜100倍であることを特徴とする請求項71に記載のフィルタエレメント。
【請求項77】
2つまたはそれ以上の溶融したファイバーのウェブが、多層のフィルタエレメントを形成するための層であることを特徴とする請求項71に記載のフィルタエレメント。
【請求項78】
前記エレメントは約5〜95重量%のファインファイバーの固まりと、生物活性な微粒子、活性微粒子、不活性微粒子、またはそれらの混合物を含む約95〜5重量%の微粒子とを含み、前記層は1〜100g/m2の微粒子を含むことを特徴とする請求項73に記載のフィルタエレメント。
【請求項79】
前記エレメントは約30〜75重量%のファインファイバーの固まりと、約70〜25重量%の活性微粒子とを含み、前記層は1〜1000g/m2の活性微粒子を含むことを特徴とする請求項73に記載のフィルタエレメント。
【請求項80】
前記生物活性な微粒子、前記活性微粒子、または前記不活性微粒子は、500μm未満の主要寸法を有することを特徴とする請求項73に記載のフィルタエレメント。
【請求項81】
前記生物活性な微粒子、前記活性微粒子、または前記不活性微粒子は、吸収性微粒子、吸着性微粒子、反応性微粒子、またはそれらの混合物を含むことを特徴とする請求項73に記載のフィルタエレメント。
【請求項82】
前記生物活性な微粒子、前記活性微粒子、または前記不活性微粒子は、約200μm未満の主要寸法を有することを特徴とする請求項73に記載のフィルタエレメント。
【請求項83】
前記生物活性な微粒子、前記活性微粒子、または前記不活性微粒子は、約5〜200μmの主要寸法を有することを特徴とする請求項73に記載のフィルタエレメント。
【請求項84】
前記生物活性な微粒子、前記活性微粒子、または前記活性微粒子は、無定形または球状でない微粒子であることを特徴とする請求項73に記載のフィルタエレメント。
【請求項85】
前記エレメントは、2つまたはそれ以上の層を有し、1つの層は前記ウェブと第2の層を含み、前記第2の層は実質的に微粒子を含まないことを特徴とする請求項73に記載のフィルタエレメント。
【請求項86】
前記第2の層はフィルタ基板を含むことを特徴とする請求項85に記載のフィルタエレメント。
【請求項87】
前記微粒子は単分散であることを特徴とする請求項73に記載のフィルタエレメント。
【請求項88】
前記微粒子は多分散であることを特徴とする請求項73に記載のフィルタエレメント。
【請求項89】
請求項1に記載の増殖媒体を含むことを特徴とするバイオリアクター。
【請求項90】
セルロースバイオマスをエタノールまたはブタノールに変換する方法であって、
(a)請求項1に記載の増殖媒体上でセルロース、ペクチン、デンプン、キシランまたはそれらの混合物を発酵することができる微生物を培養する工程であって、前記エタノールまたはブタノールが前記発酵の代謝生成物である、前記工程と、
(b)微生物による発酵を促進する条件下で、前記培養した増殖媒体をセルロースバイオマスとを接触させる工程と、
を有することを特徴とする方法。
【請求項91】
前記微生物は、クロストリジウム属種またはサッカロミセス属種を含むことを特徴とする請求項90に記載の方法。
【請求項92】
前記微生物は、前記増殖媒体の表面でバイオフィルムを形成することを特徴とする請求項90に記載の方法。
【請求項93】
セルロースバイオマスをエタノールに変換する方法であって、
(a)請求項1に記載の第1の増殖表面をセルロースバイオマスと接触させる工程であって、前記第1の増殖表面の生物活性な微粒子が、セルロース、ペクチン、デンプン、キシランまたはそれらの混合物をペントース糖またはヘキソース糖に変換することができる、セルラーゼ、または、セルローサムを含む、前記工程と、
(b)微生物による発酵を促進する条件下で、請求項1に記載の第2の増殖表面を前記ペントース糖またはヘキソース糖と接触させる工程であって、前記第2の増殖表面の生物活性な微粒子が微生物を含み、エタノールが発酵の代謝生成物である、前記工程と、
を有することを特徴とする方法。
【請求項94】
前記第1の増殖表面は、セルロース溶解性微生物を含むことを特徴とする請求項93に記載の方法。
【請求項95】
細胞または組織培養のための培養容器であって、
基板と、2つまたはそれ以上の実質的に連続なファインファイバのネットワークとを有し、
前記ファインファイバの層は、約25nm〜約2000nmの厚さと70%以下の固体性とを有し、生物活性な微粒子が前記ファインファイバの層中に分散されており、前記ファイバは、約10nm〜約1000nmの直径を有することを特徴とする培養容器。
【請求項96】
前記ファイバは、非細胞傷害性のポリマーを含むことを特徴とする請求項95に記載の培養容器。
【請求項97】
前記ポリマーは生分解性であることを特徴とする請求項96に記載の培養容器。
【請求項98】
前記ポリマーは水に不溶性であることを特徴とする請求項96に記載の培養容器。
【請求項99】
前記ポリマーはポリエステルであることを特徴とする請求項96に記載の培養容器。
【請求項100】
前記ポリエステルは、ポリε−カプロラクトン、ポリグリコレート、またはポリラクテートであることを特徴とする請求項99に記載の培養容器。
【請求項101】
前記ポリマーはポリアミドであることを特徴とする請求項99に記載の培養容器。
【請求項102】
前記ポリマーはナイロンであることを特徴とする請求項99に記載の培養容器。
【請求項103】
2つまたはそれ以上のファイバーネットワークが多層マトリックスを形成するために積層されていることを特徴とする請求項95に記載の培養容器。
【請求項104】
単穴培養プレート、多穴培養プレート、区画に分けられた培養スライド、複数の区画に分けられた培養スライド、カバーガラス、カップ、フラスコ、チューブ、ボトル、環流チャンバー、バイオリアクター、または、発酵槽を含むことを特徴とする請求項95に記載の培養容器。
【請求項105】
前記ポリマーは生物分解性でないことを特徴とする請求項2に記載の増殖媒体。
【請求項106】
前記微生物は好気性であることを特徴とする請求項9に記載の増殖媒体。
【請求項107】
前記ポリマーは生物分解性でないことを特徴とする請求項96に記載の培養容器。

【公表番号】特表2009−526527(P2009−526527A)
【公表日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−554445(P2008−554445)
【出願日】平成19年2月13日(2007.2.13)
【国際出願番号】PCT/US2007/004043
【国際公開番号】WO2007/095335
【国際公開日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【出願人】(591163214)ドナルドソン カンパニー,インコーポレイティド (96)
【Fターム(参考)】