説明

ファクシミリ装置および印刷装置決定方法

【課題】ファクシミリのイメージデータ毎に適する転送先を決定し、転送先のプリンターにイメージデータを送信するファクシミリ装置を提供する。
【解決手段】ファクシミリ装置10は、画像データを含むファクシミリデータを受信するファクシミリデータ受信部12と、受信したファクシミリデータを解析し、ファクシミリデータの発信元に関する発信元情報を取得する発信元情報取得部14と、ファクシミリデータの発信元に関連付けられた印刷装置A60に関する情報を記憶する転送先決定ルール記憶部16と、記憶された情報を参照し、発信元情報に応じた印刷装置A60を決定する転送先決定部18と、決定した印刷装置A60で印刷可能な画像データを印刷装置A60に送信する印刷データ送信部22と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ファクシミリ装置および印刷装置決定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のファクシミリ装置(FAX装置)は、一般的に、基本機能として紙を介しての画
像データの送受信を行う機能を有している。この機能の動作手順において、画像データの
送信は、紙に送信したいイメージを書き込み、ファクシミリ装置にセットして相手先ファ
クシミリ装置に対して送信を行う。又、受信した画像データは、ファクシミリ装置にセッ
トされた紙に印刷して出力される。
また、近年では、下記特許文献1に示すように、LAN(Local Area Ne
twork)機能を具備し、外部から送信されたファクシミリ信号からイメージデータを
取り出して保存し、LANを介して接続されたコンピューターからの指示に応じてコンピ
ューターに転送できるファクシミリ装置が提案されている。
このファクシミリ装置では、外部から送信されたファクシミリ信号のイメージデータに
対して蓄積指示されている場合には、イメージデータはファクシミリ装置内に記憶され、
LANを介して接続されたコンピューターから読み取られる。また、蓄積指示されていな
い場合には、イメージデータはファクシミリ装置が具備する印刷装置で紙に印刷された後
、削除される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−251342号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、ユーザーが複数の組織体であって、ファクシミリ装置が1台設置されて
いる場合、イメージデータが印刷された印刷用紙を宛先に応じて各組織体に配達するのに
手間を要した。更に、ファクシミリ装置に記憶されたイメージデータの中から、自身の組
織体宛に送信されたイメージデータをコンピューターから操作して読み出し、組織体の印
刷手段に印刷を指示するために手間と時間を要した。
そこで本発明は、前記課題に鑑みてなされたものであり、ファクシミリのイメージデー
タ毎に適切な転送先を決定し、決定した転送先のプリンターにイメージデータを送信する
ことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の
形態又は適用例として実現することが可能である。
【0006】
[適用例1]
本適用例にかかるファクシミリ装置は、画像データを含むファクシミリデータを受信す
る受信部と、受信した前記ファクシミリデータを解析し、前記ファクシミリデータの発信
元に関する発信元情報を取得する取得部と、前記ファクシミリデータの発信元に関連付け
られた印刷装置に関する情報を記憶する記憶部と、前記記憶部が記憶する前記情報を参照
し、前記発信元情報に応じた前記印刷装置を決定する決定部と、前記決定部が決定した前
記印刷装置で印刷可能な前記画像データを前記印刷装置に送信する送信部と、を備えるこ
とを特徴とする。
【0007】
このような構成によれば、受信したファクシミリデータを解析して発信元情報を取得し
、取得した発信元情報に関連付けされた印刷装置に対して画像データを送信する。従って
、ファクシミリデータに含まれる画像データは、発信元情報に関連付けされた印刷装置に
送信されるため、受信したファクシミリデータに含まれる画像を、発信元情報に基づいて
適切な印刷装置に送信できる。
【0008】
[適用例2]
上記適用例にかかるファクシミリ装置において、前記取得部は、前記ファクシミリデー
タに付加されている前記発信元に関する情報を抽出することが好ましい。
【0009】
このような構成によれば、発信元に関する情報を精度良く取得できる。
【0010】
[適用例3]
上記適用例にかかるファクシミリ装置において、前記画像データを前記印刷装置に合わ
せて変換する変換部を備えることが好ましい。
【0011】
このような構成によれば、画像データを決定した印刷装置で印刷できる。
【0012】
[適用例4]
上記適用例にかかるファクシミリ装置において、前記決定部は、前記取得部が前記発信
元情報を取得できないか、または、前記発信元に関連付けられた前記印刷装置に関する前
記情報が前記記憶部に記憶されていない場合、所定の前記印刷装置を決定することが好ま
しい。
【0013】
このような構成によれば、発信元情報を取得できないか、または、発信元に関連付けら
れた印刷装置が記憶されていない場合でも、所定の印刷装置に画像データを送信できる。
【0014】
[適用例5]
本適用例にかかる印刷装置決定方法は、画像データを含むファクシミリデータを受信す
る受信工程と、受信した前記ファクシミリデータを解析し、前記ファクシミリデータの発
信元に関する発信元情報を取得する取得工程と、前記ファクシミリデータの発信元に関連
付けられた印刷装置に関する情報を参照し、前記発信元情報に応じた前記印刷装置を決定
する決定工程と、前記決定工程で決定した前記印刷装置で印刷可能な前記画像データを前
記印刷装置に送信する送信工程と、を備えることを特徴とする。
【0015】
このような方法によれば、受信したファクシミリデータを解析して発信元情報を取得し
、取得した発信元情報に関連付けされた印刷装置に対して画像データを送信する。従って
、ファクシミリデータに含まれる画像データは、発信元情報に関連付けされた印刷装置に
送信されるため、受信したファクシミリデータに含まれる画像を、発信元情報に基づいて
適切な印刷装置に送信できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施形態1に係るファクシミリ装置の接続様態を示す図。
【図2】本発明の実施形態1に係るファクシミリ装置の機能構成を示すブロック図。
【図3】本発明の実施形態1に係るファクシミリ装置における転送処理の流れを示すフローチャート。
【図4】本発明の実施形態2に係るファクシミリ装置の機能構成を示すブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明のファクシミリ装置について図面を参照して説明する。
【0018】
(実施形態1)
図1は、本実施形態1におけるファクシミリ装置10の接続様態を示す図である。この
ファクシミリ装置10は、電話回線である公衆回線網50に接続され、公衆回線網50を
介して他のファクシミリ装置との間で、ファクシミリ信号を授受できる。
また、このファクシミリ装置10は、LANの一形態であるイントラネット80を介し
て、印刷装置A60、印刷装置B65および印刷装置C70と接続され、ファクシミリ画
像の印刷データをそれぞれの印刷装置に送信できる。本実施形態1では、会社内での使用
を想定し、印刷装置A60、印刷装置B65および印刷装置C70は、それぞれ異なる部
署に設置されている。また、印刷装置A60、印刷装置B65および印刷装置C70は、
同一の機種であっても良く、また異なる機種でも良い。また、インクジェット方式とレー
ザー方式のように、印刷方式が異なっても良い。
【0019】
図2は、ファクシミリ装置10の機能構成を示すブロック図である。このファクシミリ
装置10は、ファクシミリデータ受信部12、発信元情報取得部14、転送先決定ルール
記憶部16、転送先決定部18、印刷データ変換部20および印刷データ送信部22を備
える。
尚、ファクシミリ装置10は、何れも図示を略したCPU、ROM、RAMおよびフラ
ッシュメモリー等のハードウェアを備え、ソフトウェアと協働することで、上述の機能を
実現する。
ファクシミリデータ受信部12はNCU(Network Control Unit
)を備え、公衆回線網50に接続された通信装置から自身に宛てて送信されたファクシミ
リ信号を受信し、受信したファクシミリ信号をデジタル信号に復号する。このデジタル信
号には、例えば、スキャナー装置で読み取った画像のイメージを示す画像データが含まれ
ている。
【0020】
復元されたデジタル信号は印刷データ変換部20に送信される。尚、ファクシミリ信号
の規格には限定されないが、本実施形態1では、国際電気通信連合のITU−Tが策定し
たG3規格やスーパーG3規格を想定する。
発信元情報取得部14は、ファクシミリデータ受信部12が受信したファクシミリ信号
やデジタル信号を解析し、ファクシミリ信号を送信した送信相手に関する情報を取得する
。本実施形態1では、ファクシミリの制御信号に含まれる送信端末識別情報(TSID:
Transmitting Subscribrer Identification)
や、呼び出し信号に挿入されている発信者の番号情報(Caller ID)等の発信元
に関する情報を取得し、取得した情報を転送先決定部18に送る。
尚、発信元の情報を取得する方法は、ファクシミリ信号やデジタル信号の解析に限定す
るものではなく、ファクシミリ信号の画像を読み取り、画像に含まれる文字情報から発信
元の情報を取得しても良い。
【0021】
転送先決定ルール記憶部16は、発信元に関する情報に関連付けられた転送先決定ルー
ル情報が読み出し可能に記憶されている。この転送先決定ルール情報は、ユーザーにより
決定され、転送先決定ルール記憶部16に予め記憶されている。
転送先決定部18は、転送先決定ルール記憶部16を参照して、発信元情報取得部14
から送られる発信元に関する情報に関連する転送先決定ルール情報を取得し、取得した転
送先決定ルール情報に基づいて、復元されたデジタル信号の転送先を決定する。例えば、
転送先決定ルール情報として、発信元の名前や電話番号と、転送先の印刷装置の情報とが
紐付けされている場合を想定し、転送先決定部18は、発信元に関する情報から名前や電
話番号を抽出し、抽出した名前や電話番号に対応した転送先の印刷装置を決定する。
印刷装置の情報には、印刷装置の名称や、印刷可能な印刷データの情報および印刷装置
に割り当てられているIPアドレス等を含む。
【0022】
尚、転送先決定部18は、発信元に関する情報に基づく印刷装置を決定できない場合、
予め決定された所定の印刷装置に決定しても良い。転送先決定部18は、決定した印刷装
置の情報を印刷データ変換部20および印刷データ送信部22に送信する。
印刷データ変換部20は、転送先決定部18から送られる印刷装置の情報に基づいて、
ファクシミリデータ受信部12から送られるデジタル信号を、決定した印刷装置で印刷す
るための印刷データに書き換える。このような印刷データは、例えば、印刷ジョブデータ
を想定する。この場合、印刷データ変換部20には、決定される可能性がある印刷装置に
関する情報が予め収集されており、印刷データ変換部20は印刷装置の能力や仕様に合わ
せて、印刷ジョブデータの制御コマンド等を書き換えることができる。このように書き換
えられた印刷データは、印刷データ送信部22に送信される。
【0023】
尚、ファクシミリデータ受信部12から送られるデジタル信号が、決定した印刷装置で
印刷可能な印刷データである場合、書き換えることなく印刷データ送信部22に送信され
る。
印刷データ送信部22は、イントラネット80に対応したネットワーク通信手段であり
、転送先決定部18から送られる印刷装置の情報から印刷装置のIPアドレスを抽出し、
抽出したIPアドレスに対して、印刷データ変換部20から送られる印刷データをイント
ラネット80経由で送信する。この結果、ファクシミリ装置10が受信したファクシミリ
信号の画像は、転送先決定部18が決定した印刷装置に印刷される。
【0024】
図3は、ファクシミリ装置10がファクシミリ信号を受信した場合に実行される転送処
理の流れを示すフローチャートである。
最初に、ファクシミリ装置10は、受信したファクシミリデータから発信元情報を取得
する(ステップS100)。
次に、ファクシミリ装置10は発信元情報を取得できたか、否かを判定する(ステップ
S102)。
【0025】
ここで、発信元情報を取得できなかったと判定した場合(ステップS102でNo)、
ステップS110に進む。他方で、発信元情報を取得できたと判定した場合(ステップS
102でYes)、ファクシミリ装置10は、発信元に応じた転送先ルールを転送先決定
ルール記憶部16に照合する(ステップS104)。
次に、ファクシミリ装置10は、転送先ルールが照合できたか、否かを判定する(ステ
ップS106)。
ここで、転送先ルールを照合できたと判定した場合(ステップS106でYes)、フ
ァクシミリ装置10は、照合した転送ルールに基づいて、転送先の印刷装置を決定し(ス
テップS108)、ステップS112に進む。
【0026】
他方で、転送先ルールを照合できないと判定した場合(ステップS106でNo)、ス
テップS110に進む。
ステップS110では、ファクシミリ装置10は、予め設定した所定の印刷装置を転送
先に決定し、ステップS112に進む。
【0027】
ステップS112では、ファクシミリ装置10は、転送する印刷装置で印刷するために
印刷データの変換が必要か、否かを判定する。ここで、印刷データの変換が必要であると
判定した場合(ステップS112でYes)、ファクシミリ装置10は、印刷データを転
送先の印刷装置で印刷できるように変換し(ステップS114)、ステップS116に進
む。
ステップS116では、ファクシミリ装置10は、印刷データを転送先に転送し、一連
の処理を終了する。
【0028】
以上の処理により、例えば、会社宛に送信されたファクシミリの原稿を、発信元と関係
のある部署のプリンターに印刷させることができる。これにより、複数の部署宛に送信さ
れたファクシミリの原稿を一箇所で印刷し、印刷した原稿を各部署に仕分けして配達する
手間を削減できる。
【0029】
(実施形態2)
次に、本発明の実施形態2について、図4を参照して説明する。図4は、本実施形態2
におけるファクシミリ装置10の接続様態を示す図である。尚、以下の説明では、既に説
明した部分と同じ部分については、同一符号を付してその説明を省略する。
実施形態2では、ファクシミリ装置10は印刷部25を備える。この印刷部25は、例
えば、インクジェットプリンターを想定する。
転送先決定部18は、発信元に関する情報に基づく印刷装置を決定できない場合、印刷
部25に対して印刷を指示する。また、印刷部25は転送先決定ルール記憶部16に所定
の発信元との間で明示的に紐付けされても良く、所定の発信元から送信された場合には、
転送先決定部18は印刷部25に対して印刷を指示する。
【0030】
実施形態2では、会社宛に送信されたファクシミリの原稿を、発信元と関係のある部署
のプリンターに印刷させることができることに加え、何れも部署にも該当しないような場
合には、ファクシミリ装置10に印刷させることができる。
以上のような手法を実施する装置は、単独の装置によって実現される場合もあれば、複
数の装置を組み合わせることによって実現される場合もあり、各種の態様を含むものであ
る。
【符号の説明】
【0031】
10…ファクシミリ装置、12…ファクシミリデータ受信部、14…発信元情報取得部
、16…転送先決定ルール記憶部、18…転送先決定部、20…印刷データ変換部、22
…印刷データ送信部、25…印刷部、50…公衆回線網、60…印刷装置A、65…印刷
装置B、70…印刷装置C、80…イントラネット。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像データを含むファクシミリデータを受信する受信部と、
受信した前記ファクシミリデータを解析し、前記ファクシミリデータの発信元に関する
発信元情報を取得する取得部と、
前記ファクシミリデータの発信元に関連付けられた印刷装置に関する情報を記憶する記
憶部と、
前記記憶部が記憶する前記情報を参照し、前記発信元情報に応じた前記印刷装置を決定
する決定部と、
前記決定部が決定した前記印刷装置で印刷可能な前記画像データを前記印刷装置に送信
する送信部と、を備えることを特徴とするファクシミリ装置。
【請求項2】
請求項1に記載のファクシミリ装置において、
前記取得部は、前記ファクシミリデータに付加されている前記発信元に関する情報を抽
出することを特徴とするファクシミリ装置。
【請求項3】
請求項1乃至2のいずれかに記載のファクシミリ装置において、
前記画像データを前記印刷装置に合わせて変換する変換部を備えることを特徴とするフ
ァクシミリ装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載のファクシミリ装置において、
前記決定部は、前記取得部が前記発信元情報を取得できないか、または、前記発信元に
関連付けられた前記印刷装置に関する前記情報が前記記憶部に記憶されていない場合、所
定の前記印刷装置を決定することを特徴とするファクシミリ装置。
【請求項5】
画像データを含むファクシミリデータを受信する受信工程と、
受信した前記ファクシミリデータを解析し、前記ファクシミリデータの発信元に関する
発信元情報を取得する取得工程と、
前記ファクシミリデータの発信元に関連付けられた印刷装置に関する情報を参照し、前
記発信元情報に応じた前記印刷装置を決定する決定工程と、
前記決定工程で決定した前記印刷装置で印刷可能な前記画像データを前記印刷装置に送
信する送信工程と、を備えることを特徴とする印刷装置決定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−209643(P2012−209643A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−71865(P2011−71865)
【出願日】平成23年3月29日(2011.3.29)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】