説明

ファクシミリ装置及び保守決済システム

【課題】 保守に係る発注処理を自動的に行うだけでなく、記憶部に記憶されたアカウント情報の悪用を防止する。
【解決手段】 ファクシミリ装置1は、決済に必要な買手固有のアカウント情報を入力する操作部1bと、アカウント情報を記憶する顧客情報記憶部1cと、装置状態を監視し、必要な保守項目を特定する装置状態監視部1dと、アカウント情報及び保守項目が含まれる通知情報を生成する通知情報生成部1eと、インターネット3を介して、売手側装置2に通知情報を送信する通信部とを備え、顧客情報記憶部1cに記憶されたアカウント情報は、所定のクリア条件にもとづいて自動的にクリアされる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ファクシミリ装置及び保守決済システムに関し、特に、保守に係る発注処理などを行うことができるファクシミリ装置及び保守決済システムに関する。
に関する。
【背景技術】
【0002】
保守に係る発注処理(部品、消耗品、修理、点検、保守契約などの発注処理を含む)を行うファクシミリ装置(又は保守決済システム)が提案されている(例えば、特許文献1、2参照)。
【0003】
特許文献1、2に記載されるファクシミリ装置は、決済に必要な買手固有のアカウント情報を入力する操作部と、装置状態を監視し、必要な保守項目を特定する装置状態監視部と、前記アカウント情報及び前記保守項目が含まれる通知情報を生成する通知情報生成部と、インターネットなどの通信回線を介して、売手側装置に前記通知情報を送信する通信部(インターネット接続機能部)とを備えており、売手側装置では、受信した通知情報に含まれるアカウント情報及び保守項目にもとづいて、受注処理や決済処理が行われる。
【0004】
また、特許文献1、2に記載されるファクシミリ装置は、通知情報を秘匿化する符号化部を備えている。これにより、インターネット上におけるアカウント情報の漏洩を防止し、電子決済に必要なセキュリティが確保される。
【特許文献1】特開2002−142071号公報
【特許文献2】特開2004−120233号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来のファクシミリ装置では、保守に係る発注に際し、使用者がアカウント情報をいちいち入力する必要があるため、発注に手間がかかるだけでなく、発注処理を完全に自動化することができないという問題がある。
【0006】
そこで、入力されたアカウント情報を記憶部に保持するとともに、保守に係る発注に際し、記憶部のアカウント情報を用いることが提案される。このようにすれば、保守に係る発注に際し、いちいちアカウント情報を入力する必要がないので、発注処理を完全に自動化することが可能になるが、その反面、記憶部に保持されたアカウント情報のセキュリティが懸念される。例えば、ファクシミリ装置が盗まれた場合、記憶部に保持されたアカウント情報が第三者に悪用される可能性がある。
【0007】
本発明は、上記の事情にかんがみなされたものであり、買手固有のアカウント情報を記憶部に予め記憶して、保守に係る発注処理を自動的に行うことができるだけでなく、記憶部に記憶されたアカウント情報の悪用を防止できるファクシミリ装置及び保守決済システムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため本発明のファクシミリ装置は、通信回線を介して、保守に係る発注処理を行うファクシミリ装置であって、決済に必要な買手固有のアカウント情報を入力する操作部と、前記アカウント情報を記憶する記憶部と、装置状態を監視し、必要な保守項目を特定する装置状態監視部と、前記アカウント情報及び前記保守項目が含まれる通知情報を生成する通知情報生成部と、前記通信回線を介して、売手側装置に前記通知情報を送信する通信部とを備え、前記記憶部に記憶された前記アカウント情報が、所定のクリア条件にもとづいて自動的にクリアされる構成としてある。
【0009】
このように構成すれば、買手固有のアカウント情報が記憶部に保持されるので、保守に係る発注に際し、アカウント情報の入力操作を省き、発注処理を自動化することができる。
しかも、記憶部に記憶されたアカウント情報を、所定のクリア条件にもとづいて自動的にクリアする機能を備えるので、適切なクリア条件を設定すれば、記憶部に記憶されたアカウント情報の悪用を防止できる。
【0010】
また、本発明のファクシミリ装置は、前記売手側装置との通信履歴を記憶し、通信環境の異変を監視する通信監視部を備え、当該通信監視部が通信環境の異変を検出したとき、前記記憶部に記憶された前記アカウント情報をクリアする構成としてある。
このように構成すれば、ファクシミリ装置を異なる通信環境に接続すると、記憶部に記憶されたアカウント情報が自動的にクリアされるので、仮にファクシミリ装置が盗難されても、記憶部に記憶されたアカウント情報の悪用は防止することができる。
【0011】
また、本発明のファクシミリ装置は、装置カバーの開口を検出するカバー開口検出部を備え、当該カバー開口検出部が前記カバーの開口を検出したとき、前記記憶部に記憶された前記アカウント情報をクリアする構成としてある。
このように構成すれば、装置カバーの開口に応じて記憶部のアカウント情報が自動的にクリアされるので、仮にファクシミリ装置が盗難されても、記憶部に記憶されたアカウント情報の悪用は防止することができる。
【0012】
また、本発明のファクシミリ装置は、前記アカウント情報をクリアした後、アカウント情報の再入力を要求する構成としてある。
このように構成すれば、意に反してアカウント情報が自動的にクリアされても、アカウント情報の再入力により、発注処理を直ちに再開することができる。
【0013】
また、本発明の保守決済システムは、保守に係る発注処理を行うファクシミリ装置と、保守に係る受注処理及び決済処理を行う売手側装置と、これらを通信可能に接続する通信回線とを備える保守決済システムであって、前記ファクシミリ装置が、決済に必要な買手固有のアカウント情報を入力する操作部と、前記アカウント情報を記憶する記憶部と、装置状態を監視し、必要な保守項目を特定する装置状態監視部と、前記アカウント情報及び前記保守項目が含まれる通知情報を生成する通知情報生成部と、前記通信回線を介して、前記売手側装置に前記通知情報を送信する通信部とを備え、前記売手側装置が、前記通信回線を介して、前記ファクシミリ装置から前記通知情報を受信する通信部と、前記通知情報を解析する通信情報解析部とを備え、前記ファクシミリ装置の前記記憶部に記憶された前記アカウント情報が、所定のクリア条件にもとづいて自動的にクリアされる構成としてある。
【0014】
このように構成すれば、ファクシミリ装置で入力された買手固有のアカウント情報がその記憶部に保持されるので、保守に係る発注に際し、アカウント情報の入力操作を省き、発注処理を自動化することができる。
しかも、ファクシミリ装置の記憶部に記憶されたアカウント情報は、所定のクリア条件にもとづいて自動的にクリアされるので、適切なクリア条件を設定することにより、アカウント情報の悪用を防止できる。
【0015】
また、本発明の保守決済システムは、前記ファクシミリ装置が、前記売手側装置との通信履歴を記憶し、通信環境の異変を監視する通信監視部を備え、当該通信監視部が通信環境の異変を検出したとき、前記記憶部に記憶された前記アカウント情報をクリアする構成としてある。
このように構成すれば、ファクシミリ装置を異なる通信環境に接続すると、記憶部に記憶されたアカウント情報が自動的にクリアされるので、仮にファクシミリ装置が盗難されても、記憶部に記憶されたアカウント情報の悪用は防止することができる。
【0016】
また、本発明の保守決済システムは、前記ファクシミリ装置が、装置カバーの開口を検出するカバー開口検出部を備え、当該カバー開口検出部が前記カバーの開口を検出したとき、前記記憶部に記憶された前記アカウント情報をクリアする構成としてある。
このように構成すれば、装置カバーの開口に応じて記憶部のアカウント情報が自動的にクリアされるので、仮にファクシミリ装置が盗難されても、記憶部に記憶されたアカウント情報の悪用は防止することができる。
【0017】
また、本発明の保守決済システムは、前記ファクシミリ装置が、前記アカウント情報をクリアした後、アカウント情報の再入力を要求する構成としてある。
このように構成すれば、意に反してアカウント情報が自動的にクリアされても、アカウント情報の再入力により、発注処理を直ちに再開することができる。
【発明の効果】
【0018】
以上のように、本発明によれば、入力部で入力した買手固有のアカウント情報が記憶部に保持されるので、保守に係る発注に際し、いちいちアカウント情報を入力することなく、自動的に発注処理を行うことができる。
しかも、記憶部に記憶されたアカウント情報は、所定のクリア条件にもとづいて自動的にクリアされるので、記憶したアカウント情報の悪用も防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0020】
[第一実施形態]
図1は、本発明の第一実施形態に係るファクシミリ装置を含む保守決済システムの構成を示すブロック図である。
この図に示すように、本発明の第一実施形態に係る保守決済システムは、保守に係る発注処理を行う買手側のファクシミリ装置1と、保守に係る受注処理及び決済処理を行う売手側装置2と、これらを通信可能に接続するインターネット(通信回線)3とを備える。
なお、本実施形態のファクシミリ装置1、売手側装置2は、それぞれLAN(ローカルエリアネットワーク)4、5及びゲートウェイ6、7を介してインターネット3に接続される。また、LAN4、5には、それぞれサーバ8、9が接続されている。
【0021】
図2は、本発明の第一実施形態に係るファクシミリ装置の構成を示すブロック図である。
この図に示すように、ファクシミリ装置1は、通常のファックス送受信を実現するFAX部1aに加えて、操作部1b、顧客情報記憶部(記憶部)1c、装置状態監視部1d、通知情報生成部1e、SSL(Secure Sockets Layer)符号化部1f、TCP/IP(Transport Control Protocol/Internet Protocol)プロトコル制御部(通信部)1g、ネットワーク制御部(通信部)1h、代理店情報記憶部1i、通信履歴記憶/監視部(通信監視部)1jなどを備えて構成される。
【0022】
FAX部1aは、スキャナ機能及び印字機能を有し、通常電話回線やファクシミリ通信網を介して、ファックス送受信を行う。
操作部1bは、テンキーなどの入力手段や、液晶パネルなどの表示手段を備える。入力手段においては、買手が保守部品(ローラ、パッド、ヒータ、光源、感光ドラム、トナーなど)や保守サービス(修理、点検など)の代金を支払うために必要な買手固有のアカウント情報(クレジット番号、有効期限など)を入力することができ、ここで入力された買手固有のアカウント情報は、顧客情報記憶部1cに記憶される。
なお、入力手段は、代理店情報記憶部1iの情報を元に売手を選択する際や、保守部品の届先を入力する際にも使用される。
【0023】
装置状態監視部1dは、ファクシミリ装置1の装置状態を監視するとともに、必要な保守項目を特定し、これを通知情報生成部1eに出力する。例えば、ファクシミリ装置1の故障や消耗品の残量警告を検出し、これを通知情報生成部1eに出力する。
通知情報生成部1eは、装置状態監視部1dから保守項目を入力すると、売手側装置2に送るための通知情報を生成し、これをSSL符号化部1fに出力する。この通知情報には、装置状態監視部1dから得た保守項目だけでなく、装置名称、号機番号、設置日などの装置情報や、顧客情報記憶部1cから得た買手固有のアカウント情報が付加される。
SSL符号化部1fは、通知情報生成部1eから通知情報を入力すると、これを秘匿化して、TCP/IPプロトコル制御部1gに出力する。これは、ファクシミリ装置1から売手側装置2へ至る通知情報伝送路上で、仮に通知情報が第三者に盗聴されても、通知情報に含まれるアカウント情報を秘匿状態に保つためである。
【0024】
TCP/IPプロトコル制御部1gは、SSL符号化部1fから入力した情報を、TCP/IPプロトコルにしたがって、ネットワーク制御部1hに出力する。
ネットワーク制御部1hは、TCP/IPプロトコル制御部1gから入力された情報が、サーバ8に届くようにデータリンク制御を行う。
サーバ8は、ファクシミリ装置1から受信した情報にしたがって、売手側装置2に届くようにルーティング制御して、ファクシミリ装置1からの通知情報をゲートウェイ6を介してインターネット3に送出する。
代理店情報記憶部1iは、売手側装置2が提供する最新情報を、サーバ9、ゲートウェイ7、インターネット3、ゲートウェイ6、LAN4、ネットワーク制御部1h、TCP/IPプロトコル制御部1gを通じて受信し、常に最新の状態に保つ。
なお、売手側装置2に通知情報を送信するに際し、インターネット3での通信が不達に終わった場合のリカバリー処理として、ファクシミリ通信網による代替通信も有効な手段であることは言うまでもない。
【0025】
通信履歴記憶/監視部1jは、売手側装置2に通知情報を送信した際のインターネット接続環境(通信環境)を通信履歴として記憶しており、新たな通知情報を前回と異なるインターネット接続環境で送信しようとした場合には、顧客情報記憶部1cに記憶された買手固有のアカウント情報を強制的にクリアする。
具体的には、ファクシミリ装置1が売手側装置2に通知情報を送信する際には、サーバ8とのデータリンク制御を行うが、通信履歴記憶/監視部1jは、このときのサーバ情報を通信履歴と共に記憶しておき、新たに通知情報を送信する際に、前回と同じサーバ8が使用されるか否かを監視する。すなわち、ファクシミリ装置1が第三者に盗まれた場合、異なるインターネット接続環境で使用されるために、サーバ8へのデータリンク制御が行えず、異変に気づくことができる。
そして、通信環境の異変に応じて、顧客情報記憶部1cに記憶された買手固有のアカウント情報を強制的にクリアすることで、買手固有のアカウント情報が第三者により悪用されることを防止できる。
また、ファクシミリ装置1は、顧客情報記憶部1cのアカウント情報をクリアした場合、操作部1bによるアカウント情報の再入力を要求し、ここでアカウント情報の入力があると、売手側装置2への発注処理が再開される。
【0026】
図3は、本発明の第一実施形態に係る売手側装置の構成を示すブロック図である。
この図に示すように、売手側装置2は、代理店情報記憶部2a、操作部2b、顧客情報記憶部2c、通知情報解析部2d、SSL復号化部2e、TCP/IPプロトコル制御部2f、ネットワーク制御部2gなどを備えて構成される。
なお、売手側装置2は、必ずしもファクシミリ装置である必要はなく、パーソナルコンピュータ(PC)などで代替可能である。
【0027】
ファクシミリ装置1からインターネット3に送出された通知情報は、ゲートウェイ7、LAN5、ネットワーク制御部2g及びTCP/IPプロトコル制御部2fを介して、SSL復号化部2eに入力される。
SSL復号化部2eは、TCP/IPプロトコル制御部2fから入力した通知情報を復号化し、通知情報解析部2dに出力する。
【0028】
通知情報解析部2dは、SSL復号化部2eから入力した通知情報を解析し、構成要素を装置情報、発注物件、買手アカウント情報、届先などに分解し、顧客情報記憶部2cに出力する。
このなかで、買手アカウント情報の有効性を確かめるために、銀行、信販会社又は他の金融機関に問合せを行い、有効であれば決済対象とする。一方、無効であれば買手に対して通知を行う。
ここで、通知情報解析部2dは、買手アカウント情報が有効で、かつ買手から得た発注物件が在庫にあるか否かを比較した結果、充分な量が在庫にあれば発送部門に情報を出力する。一方、充分な量が在庫になければ、購買部門に補充を促す。
【0029】
操作部2bでは、売手側装置2の宣伝などを含む代理店情報を入力することができ、ここで入力された代理店情報は、代理店情報記憶部2aに記憶される。売手側装置2は、代理店情報記憶部2aに格納された情報を、TCP/IPプロトコル制御部2f、ネットワーク制御部2g、LAN5、サーバ9、ゲートウェイ7、インターネット3などを介して、ファクシミリ装置1に提供する。
【0030】
図4は、本発明の第一実施形態に係るファクシミリ装置が生成した通知情報の説明図である。
この図に示すように、ファクシミリ装置1が生成する通知情報には、装置情報、発注物件、売手情報、買手アカウント情報及び届先情報が含まれる。
装置情報は、ファクシミリ装置1内に予め登録された情報であり、装置名称、号機番号、設置日などが含まれる。
発注物件は、装置状態監視部1dが特定した保守項目であり、売手側装置2に発注する部品名、保守サービス種別などが含まれる。
売手情報は、売手側装置2の宛先を示す情報であり、ファクシミリ装置1内に予め登録された情報にもとづいてユーザが選択したり、ユーザが直接保守店の宛先を指定したり、又は、メーカの情報提供サイトにアクセスすることで売手側装置2の宛先情報を入手し選択することが可能である。
買手アカウント情報は、顧客情報記憶部1cに記憶された買手固有のアカウント情報であり、クレジットカード番号、有効期限、氏名などが含まれる。
また、届先情報は、ユーザが予め入力した情報であり、郵便番号、住所、電話番号などが含まれる。
【0031】
つぎに、本実施形態におけるファクシミリ装置1の自動通知処理手順について、フローチャートを参照して説明する。
図5は、本発明の第一実施形態に係るファクシミリ装置の自動通知処理手順を示すフローチャートである。
この図に示すように、ファクシミリ装置1の自動通知処理では、まず、自動通知機能のON/OFFを判断し(S101)、この判断結果がONの場合は、顧客情報記憶部1cにおけるアカウント情報の有無を判断する(S102)。ここで、顧客情報記憶部1cにアカウント情報が記憶されていないと判断した場合には、操作部1bの表示手段を用いて、ユーザにアカウント情報の入力を要求し(S103)、アカウント情報の入力完了を待つ(S104)。そして、入力完了を判断したら、入力されたアカウント情報を顧客情報記憶部1cに記憶する(S105)。
【0032】
顧客情報記憶部1cにアカウント情報が記憶されている状態では、装置状態を監視するとともに(S106)、自動通知の対象となる保守項目が特定されたか否かを判断する(S107)。この判断結果がYESの場合は、少なくとも保守項目及びアカウント情報が含まれる通知情報を生成するとともに(S108)、通信環境の確認を行う(S109)。ここで、通信環境が前回と同一であると判断した場合は、生成した通知情報を売手側装置2に向けて送出するが(S110)、通信環境の異変を判断した場合には、顧客情報記憶部1cに記憶されたアカウント情報を強制的にクリアする(S111)。そして、アカウント情報をクリアすると、S102における判断結果が反転し、アカウント情報の再入力が要求されることになる(S103)。
【0033】
以上のように構成された本実施形態のファクシミリ装置1によれば、決済に必要な買手固有のアカウント情報を入力する操作部1bと、アカウント情報を記憶する顧客情報記憶部1cと、装置状態を監視し、必要な保守項目を特定する装置状態監視部1dと、アカウント情報及び保守項目が含まれる通知情報を生成する通知情報生成部1eと、インターネット3を介して、売手側装置2に通知情報を送信する通信部とを備えるので、保守に係る発注に際し、アカウント情報の入力操作を省き、発注処理を自動化することができる。
【0034】
しかも、顧客情報記憶部1cに記憶されたアカウント情報を、所定のクリア条件にもとづいて自動的にクリアする機能を備えるので、適切なクリア条件を設定すれば、顧客情報記憶部1cに記憶されたアカウント情報の悪用を防止できる。
例えば、本実施形態のファクシミリ装置1は、売手側装置2との通信履歴を記憶し、通信環境の異変を監視する通信履歴記憶/監視部1jを備え、この通信履歴記憶/監視部1jが通信環境の異変を検出したとき、顧客情報記憶部1cに記憶されたアカウント情報をクリアするので、仮にファクシミリ装置1が盗難されても、顧客情報記憶部1cに記憶されたアカウント情報の悪用は防止することができる。
【0035】
また、本実施形態のファクシミリ装置1は、アカウント情報をクリアした後、アカウント情報の再入力を要求するので、意に反してアカウント情報が自動的にクリアされても、アカウント情報の再入力により、発注処理を直ちに再開することができる。
【0036】
[第二実施形態]
つぎに、本発明の第二実施形態に係るファクシミリ装置について、図6及び図7を参照して説明する。ただし、第一実施形態と共通の構成については、第一実施形態と同じ符号を付け、第一実施形態の説明を援用する。
【0037】
図6は、本発明の第二実施形態に係るファクシミリ装置の構成を示すブロック図である。
この図に示すように、第二実施形態のファクシミリ装置1は、通信履歴記憶/監視部1jに代えて、カバー開口検出部1kを備える点が第一実施形態と相違している。
カバー開口検出部1kは、装置カバー(図示せず)の開閉を監視するとともに、カバーの開口を検出したとき、顧客情報記憶部1cに記憶されているアカウント情報を強制的にクリアする。これにより、ファクシミリ装置1が第三者に盗まれた場合であっても、買手固有のアカウント情報が第三者に悪用されることを防止できる。ファクシミリ装置1は、アカウント情報をクリアした後、操作部1bによるアカウント情報の再入力を要求するので、意に反してアカウント情報がクリアされた場合でも、アカウント情報の入力により、売手側装置2への発注処理を直ちに再開することができる。
なお、カバー開口検出部1kは、ファクシミリ装置1に電源が供給されていない状態でも、カバーの開口動作を検出できることが好ましい。また、カバーの開口検出構造は、周知の技術を用いることができ、また、既存のカバー開口センサを流用してもよい。
【0038】
つぎに、本実施形態におけるファクシミリ装置1の自動通知処理手順について、フローチャートを参照して説明する。
図7は、本発明の第二実施形態に係るファクシミリ装置の自動通知処理手順を示すフローチャートである。
この図に示すように、ファクシミリ装置1の自動通知処理では、まず、自動通知機能のON/OFFを判断し(S201)、この判断結果がONの場合は、顧客情報記憶部1cにおけるアカウント情報の有無を判断する(S202)。ここで、顧客情報記憶部1cにアカウント情報が記憶されていないと判断した場合には、操作部1bの表示手段を用いて、ユーザにアカウント情報の入力を要求し(S203)、アカウント情報の入力完了を待つ(S204)。そして、入力完了を判断したら、入力されたアカウント情報を顧客情報記憶部1cに記憶する(S205)。
【0039】
顧客情報記憶部1cにアカウント情報が記憶されている状態では、カバーの開閉を監視するとともに(S206)、装置状態を監視する(S207)。カバーが閉じている場合は、自動通知の対象となる保守項目が特定されたか否かを判断し(S208)、この判断結果がYESの場合は、少なくとも保守項目及びアカウント情報が含まれる通知情報を生成するとともに(S209)、生成した通知情報を売手側装置2に向けて送出する(S210)。
一方、カバーの開口を検出した場合は、顧客情報記憶部1cに記憶されたアカウント情報を強制的にクリアする(S211)。そして、アカウント情報をクリアすると、S202における判断結果が反転し、アカウント情報の再入力が要求されることになる(S203)。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明は、ファクシミリ装置や、ファクシミリ装置を含む保守決済システムに適用される。特に、保守に係る発注処理を行うファクシミリ装置において有用であり、保守に係る発注処理を自動化しながらも、記憶部に記憶されたアカウント情報の悪用を防止することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の第一実施形態に係るファクシミリ装置を含む保守決済システムの構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の第一実施形態に係るファクシミリ装置の構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の第一実施形態に係る売手側装置の構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の第一実施形態に係るファクシミリ装置が生成した通知情報の説明図である。
【図5】本発明の第一実施形態に係るファクシミリ装置の自動通知処理手順を示すフローチャートである。
【図6】本発明の第二実施形態に係るファクシミリ装置の構成を示すブロック図である。
【図7】本発明の第二実施形態に係るファクシミリ装置の自動通知処理手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0042】
1 ファクシミリ装置
1a FAX部
1b 操作部
1c 顧客情報記憶部
1d 装置状態監視部
1e 通知情報生成部
1f SSL符号化部
1g TCP/IPプロトコル制御部
1h ネットワーク制御部
1i 代理店情報記憶部
1j 通信履歴記憶/監視部
1k カバー開口検出部
2 売手側装置
2a 代理店情報記憶部
2b 操作部
2c 顧客情報記憶部
2d 通知情報解析部
2e SSL復号化部
2f TCP/IPプロトコル制御部
2g ネットワーク制御部
3 インターネット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信回線を介して、保守に係る発注処理を行うファクシミリ装置であって、
決済に必要な買手固有のアカウント情報を入力する操作部と、
前記アカウント情報を記憶する記憶部と、
装置状態を監視し、必要な保守項目を特定する装置状態監視部と、
前記アカウント情報及び前記保守項目が含まれる通知情報を生成する通知情報生成部と、
前記通信回線を介して、売手側装置に前記通知情報を送信する通信部とを備え、
前記記憶部に記憶された前記アカウント情報が、所定のクリア条件にもとづいて自動的にクリアされる
ことを特徴とするファクシミリ装置。
【請求項2】
前記売手側装置との通信履歴を記憶し、通信環境の異変を監視する通信監視部を備え、当該通信監視部が通信環境の異変を検出したとき、前記記憶部に記憶された前記アカウント情報をクリアする請求項1記載のファクシミリ装置。
【請求項3】
装置カバーの開口を検出するカバー開口検出部を備え、当該カバー開口検出部が前記カバーの開口を検出したとき、前記記憶部に記憶された前記アカウント情報をクリアする請求項1又は2記載のファクシミリ装置。
【請求項4】
前記アカウント情報をクリアした後、アカウント情報の再入力を要求する請求項1〜3のいずれかに記載のファクシミリ装置。
【請求項5】
保守に係る発注処理を行うファクシミリ装置と、保守に係る受注処理及び決済処理を行う売手側装置と、これらを通信可能に接続する通信回線とを備える保守決済システムであって、
前記ファクシミリ装置が、
決済に必要な買手固有のアカウント情報を入力する操作部と、
前記アカウント情報を記憶する記憶部と、
装置状態を監視し、必要な保守項目を特定する装置状態監視部と、
前記アカウント情報及び前記保守項目が含まれる通知情報を生成する通知情報生成部と、
前記通信回線を介して、前記売手側装置に前記通知情報を送信する通信部とを備え、
前記売手側装置が、
前記通信回線を介して、前記ファクシミリ装置から前記通知情報を受信する通信部と、
前記通知情報を解析する通信情報解析部とを備え、
前記ファクシミリ装置の前記記憶部に記憶された前記アカウント情報が、所定のクリア条件にもとづいて自動的にクリアされる
ことを特徴とする保守決済システム。
【請求項6】
前記ファクシミリ装置が、前記売手側装置との通信履歴を記憶し、通信環境の異変を監視する通信監視部を備え、当該通信監視部が通信環境の異変を検出したとき、前記記憶部に記憶された前記アカウント情報をクリアする請求項5記載の保守決済システム。
【請求項7】
前記ファクシミリ装置が、装置カバーの開口を検出するカバー開口検出部を備え、当該カバー開口検出部が前記カバーの開口を検出したとき、前記記憶部に記憶された前記アカウント情報をクリアする請求項5又は6記載の保守決済システム。
【請求項8】
前記ファクシミリ装置が、前記アカウント情報をクリアした後、アカウント情報の再入力を要求する請求項5〜7のいずれかに記載の保守決済システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−311213(P2006−311213A)
【公開日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−131414(P2005−131414)
【出願日】平成17年4月28日(2005.4.28)
【出願人】(000197366)NECアクセステクニカ株式会社 (1,236)
【Fターム(参考)】