説明

ファクシミリ装置及び通信システム

【課題】必ずエラーになる無駄な通信が代行受信先に対し行われることを防ぎ、データ不達のまま終わること防いで、確実なデータ送信を行う。
【解決手段】ファクシミリ装置は、ファクシミリ通信での条件を入力するための入力部と、入力部になされた条件に従ったファクシミリ送信である条件付送信を行ったところ、本来の送信先である受信側装置が受信できないときに代替受信を行う代行受信先のアドレス情報の通知を受信した場合、代行受信先に対し条件付送信を行い、代行受信先への条件付送信の送信が失敗したとき、代行受信先への条件付送信のリダイヤルを行わない通信部と、を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ファクシミリ装置、及び、複数のファクシミリ装置からなる通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
FAX通信では、送信側と受信側のファクシミリ装置間で通信が行われる。しかし、受信側が受信不可状態(メモリフル状態や、メンテナンス中や、用紙の詰まり等のエラーや話し中など)であるため、送信側ファクシミリ装置からのファクシミリ送信が失敗する場合がある。そこで、相手方へのファクシミリ送信の未達を防ぐため、代行受信先の宛先に基づき、送信側ファクシミリ装置に代行受信先に送信を行わせ、代行受信先に受信を代行させることがある。このようなファクシミリ装置の一例が特許文献1に記載されている。
【0003】
具体的に、特許文献1には、送信先のダイヤル番号および送信先に対応する代行先のダイヤル番号を記憶する記憶手段と、送信先もしくは代行先のダイヤル番号に基づいて発呼を行う発呼手段と、相手先の状態を判断する判断手段と、を有する代行先送信機能を有するファクシミリ装置において、発呼手段にて発呼を行ったときに送信先との回線接続が成立しない場合、回線不接続の理由を判断手段が判断し、判断結果に応じて発呼手段にて代行先へ発呼を行い、代行先との回線接続も成立しない場合には、判断手段が判断した判断結果に基づき、元の送信先に再度発呼するか、代行先に再発呼するかを決定するファクシミリ装置が記載されている。この構成により、操作者(ユーザ)の意向を反映し、また、代行送信におけるファクシミリの送信効率を向上させようとする(特許文献1:請求項1、段落[0026]等参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−320081号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
まず、ファクシミリ通信では、多様な通信形態がある。例えば、暗号通信の場合、正常に受信できるように、受信側では、送信に用いる暗号化鍵に対し、暗号化されたデータを復号できる鍵が復号用の鍵として設定される。このように、ファクシミリ通信では正常に送受信を行うため、送信側と受信側で条件をあわせる設定を行う必要がある場合がある。
【0006】
しかし、代行受信するファクシミリ装置が、本来の宛先の受信側ファクシミリ装置と同じ設定がなされているとは限らず、代行受信先では正常に受信できない場合がある。そして、ファクシミリ装置は、通常、データが正常に送信できなかった場合、リダイヤルを行うリダイヤル機能を有する。しかし、代行受信先での設定が、条件に沿わず正常に受信できない設定である以上、何度、代行受信先に対しリダイヤルを行っても、送信エラーとなる。この場合、リダイヤルの繰り返しにより、必ずエラーになる無駄な通信が代行受信先に対し何度も行われるという問題がある。
【0007】
更に、リダイヤル回数は、通常、予め決められており、予め定められた回数のリダイヤルが行われると、送信側ファクシミリ装置は、送信を止める。そして、代行受信先に対するリダイヤルは、送信エラーとなるので、送信しようとしたデータが到達しない蓋然性が高い。従って、単にリダイヤルが予め定められた回数続けられ、結局、そのまま未達に終わる可能性が高いという問題もある。
【0008】
ここで、特許文献1記載のファクシミリ装置をみると、元の送信先に再度発呼するか、代行先に再発呼するかが自動的に決定されるので、確かに、ファクシミリの送信効率を向上させることができる場合がある。しかし、特許文献1の発明では、代行受信先での設定が本来の受信側ファクシミリ装置と同様の設定でないことに起因して、無駄な通信が行われることを防ぐことができない。又、本来の受信側ファクシミリ装置の受信不可状態が長引けば、データが未達に終わる。
【0009】
本発明は、上記の問題点に鑑み、必ずエラーになる無駄な通信が代行受信先に対し行われることを防ぎ、データ不達のまま終わること防いで、確実なデータ送信を行うことを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題解決のため請求項1に係るファクシミリ装置は、ファクシミリ通信での条件を入力するための入力部と、前記入力部になされた前記条件に従ったファクシミリ送信である条件付送信を行ったところ、本来の送信先である受信側装置が受信できないときに代替受信を行う代行受信先のアドレス情報の通知を受信した場合、前記代行受信先に対し前記条件付送信を行い、前記代行受信先への前記条件付送信の送信が失敗したとき、前記代行受信先への前記条件付送信のリダイヤルを行わない通信部と、を含むこととした。
【0011】
又、上記課題解決のため請求項9に係る通信システムは、送信元ファクシミリ装置と、前記送信元ファクシミリ装置の送信先としての受信側装置と、を含む通信システムであって、前記送信元ファクシミリ装置は、ファクシミリ通信での条件を入力するための入力部と、前記入力部になされた前記条件に従ったファクシミリ送信である条件付送信を行ったところ、前記受信側装置が受信できないときに代替受信を行う代行受信先のアドレス情報通知を受信した場合、前記代行受信先に対し前記条件付送信を行い、前記代行受信先への前記条件付送信の送信が失敗したとき、前記代行受信先への前記条件付送信のリダイヤルを行わない通信部と、を有することとした。
【0012】
この構成によれば、送信を行うファクシミリ装置の通信部は、代行受信先への条件付送信の送信が失敗したとき、代行受信先への条件付送信のリダイヤルを行わない。これにより、一度送信に失敗すると、受信条件に起因してエラーになるような無駄な送信が、送信側ファクシミリ装置から、代行受信先に対し行われない。従って、送信側ファクシミリ装置の繰り返しのリダイヤルによる無駄な通信路の利用が無くなり、無駄な通信費用の発生や、話し中による受信不可等の弊害を無くすことができる。
【0013】
尚、条件付送信とは、正常に受信するには、送信側と受信側のファクシミリ装置で、予め条件を合わせる設定が必要な通信の態様である。例えば、ファクシミリにおけるFコード通信や暗号通信などの機能が該当する。
【0014】
又、請求項2に係る発明は、請求項1の発明において、前記通信部は、受信側装置が受信可能状態となっている旨を受信したことをトリガとして、前記条件付送信を前記受信側装置に向けて送信することとした。
【0015】
この構成によれば、通信部は、受信側装置から受信可能状態となっている旨を受信したことをトリガとして、条件付送信を受信側装置に向けて送信する。受信側装置の中には、受信可能な状態であるか否かを通知、応答するものがある。これにより、受信側装置が受信可能状態の旨の受信をトリガとして、条件付送信が本来の送信先(受信側装置)に対して行われる。従って、無駄なリダイヤルを防ぎつつ、データ不達のまま終わることを防ぎ相手方に対し、確実にデータを送信することができる。
【0016】
又、請求項3に係る発明は、請求項1又は2の発明において、前記通信部は、前記受信側装置が受信可否状態か否かを認識するサーバから受信側装置が受信可能状態となっている旨を受信したことをトリガとして、前記前記条件付送信を前記受信側装置に向けて送信することとした。
【0017】
この構成によれば、通信部は、サーバから、受信側装置から受信可能状態となっている旨を受信したことをトリガとして、条件付送信を受信側装置に向けて送信する。通信ネットワークに含まれるサーバには、受信側装置から受信可否を把握するものがある。これにより、通信部がサーバに問い合わせ、受信側装置が受信可能状態であることを確認できたことをトリガとして、条件付送信が本来の送信先(受信側装置)に対して行われる。従って、無駄なリダイヤル(通信)を防ぎつつ、データ不達のまま終わることを防ぎ、相手方に対し、確実にデータを送信することができる。
【0018】
又、請求項4に係る発明は、請求項1乃至3の発明において、前記通信部は、前記代行受信先への前記条件付送信の送信が失敗してから、前記条件がないときの待ち時間以上の予め定められた待ち時間の経過後、前記受信側装置に向け前記条件付送信のリダイヤルを行うこととした。
【0019】
この構成によれば、通信部は、予め定められた待ち時間の経過後、受信側装置に向け条件付送信のリダイヤルを行う。これにより、リダイヤルしても無駄な代行受信先ではなく、受信側装置に向けてリダイヤルが行われ、受信側装置へのデータ到達の確率を高めることができる。又、直前の送信失敗からリダイヤルするまでの間隔が長くなるほど、受信側装置が受信可能な状態に復帰する確率は高くなるところ、通信部は、予め定められた待ち時間待ってからリダイヤルするので、更に、受信側装置へのデータ到達の確率を高めることができる。
【0020】
又、請求項5に係る発明は、請求項1乃至3の発明において、前記通信部は、前記代行受信先への前記条件付送信の送信が失敗したとき、前記条件を外して前記代行受信先に送信を行うこととした。
【0021】
この構成によれば、通信部は、代行受信先への条件付送信の送信が失敗したとき、受信条件を外して代行受信先に送信を行う。これにより、受信条件を外すことで、通常のファクシミリ送信と同様にすることで、代行受信先でデータを受信させることもできる。従って、確実にデータを相手方に到達させることができる。
【0022】
又、請求項6に係る発明は、請求項1乃至5の発明において、少なくともメッセージを報知する報知部、を含み、前記報知部は、前記受信側装置及び/又は前記代行受信先への前記条件付送信のリダイヤルを予め定められた回数行っても前記条件付送信が全て失敗したとき、前記条件付送信が完了していない旨のエラーメッセージを報知することとした。
【0023】
この構成によれば、報知部は、受信側装置及び/又は代行受信先への条件付送信のリダイヤルを予め定められた回数行っても条件付送信が全て失敗したとき、条件付送信が完了していない旨のエラーメッセージを報知する。これにより、最終的に受信側装置へのデータ送信に失敗しても、使用者にその旨を報知することができる。従って、データ未達であることを使用者に対し注意を喚起し、送信のやり直しを促し、データ到達の確率を高めることができる。
【0024】
又、請求項7に係る発明は、請求項1乃至6の発明において、用紙に画像を形成する画像形成部、を含み、前記画像形成部は、前記受信側装置及び/又は前記代行受信先への前記条件付送信のリダイヤルを予め定められた回数行っても前記条件付送信が全て失敗したとき、前記条件付送信が完了していない旨のエラーメッセージを含む画像を形成することとした。
【0025】
この構成によれば、画像形成部は、受信側装置及び/又は代行受信先への条件付送信のリダイヤルを予め定められた回数行っても条件付送信が全て失敗したとき、条件付送信が完了していない旨のエラーメッセージを含む画像を形成する。これにより、最終的に受信側装置へのデータ送信に失敗しても、印刷物(文書)として使用者にその旨を報知することができる。従って、印刷物によりデータ未達であることを使用者に知らせ、送信のやり直しを促し、データ到達の確率を高めることができる。
【0026】
又、請求項8に係る発明は、請求項1乃至7の発明において、前記条件付送信は、Fコード送信、及び/又は、暗号送信であることとした。
【0027】
この構成によれば、条件付送信は、Fコード送信、及び/又は、暗号通信である。これらの機能を用いる場合、送信側のファクシミリ送信でなされた設定にあわせ、受信側装置でも条件に沿った設定がなされなければ、送信側ファクシミリ装置は政治用に送信を行えない。尚、好適例の一つである。
【発明の効果】
【0028】
上述したように、本発明によれば、必ずエラーになる無駄な通信を代行受信先に行わないファクシミリ装置を提供することができる。又、受信側装置が受信不可状態となり、ファクシミリの送信に失敗しても、データ不達のまま終わることが防がれ、確実にデータを送信できるファクシミリ送信を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】第1の実施形態に係る通信システムの概要を示す説明図である。
【図2】第1の実施形態に係る各複合機の一例を示す模型的正面断面図である。
【図3】第1の実施形態に係る各複合機のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【図4】第1の実施形態に係る機能選択画面の一例を示す説明図である。
【図5】第1の実施形態に係るボックス選択画面の一例を示す説明図である。
【図6】第1の実施形態に係る親展ボックス選択画面の一例を示す説明図である。
【図7】第1の実施形態に係る親展ボックス設定画面の一例を示す説明図である。
【図8】第1の実施形態に係るFコード送信設定画面の一例を示す説明図である。
【図9】第1の実施形態に係る暗号鍵登録画面の一例を示す説明図である。
【図10】第1の実施形態に係る複暗号ボックス選択画面の一例を示す説明図である。
【図11】第1の実施形態に係る暗号ボックス設定画面の一例を示す説明図である。
【図12】第1の実施形態に係る暗号送信設定画面の一例を示す説明図である。
【図13】第1の実施形態に係る送信側複合機でのファクシミリ送信の制御の流れの一例を示すフローチャートである。
【図14】第2の実施形態に係る送信側複合機でのファクシミリ送信の制御の流れの一例を示すフローチャートである。
【図15】第3の実施形態に係る送信側複合機でのファクシミリ送信の制御の流れの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の第1の実施形態を図1〜図13を用いて説明する。ここで、本説明では、本発明に係るファクシミリ装置として、送信側、受信側、代行受信を行うファクシミリ送信機能を備えた複合機1を例に挙げて説明する。但し、本実施の形態に記載される構成、配置等の各要素は、発明の範囲を限定するものではなく単なる説明例にすぎない。
【0031】
(通信システム100の概要)
まず、図1を用いて、本発明の第1の実施形態に係る通信システム100の概要を説明する。図1は、本発明の第1の実施形態に係る通信システム100の概要を示す説明図である。
【0032】
本実施形態の通信システム100は、FAX機能を有する複合機1を複数含む。以下の説明では、ファクシミリ送信を行うファクシミリ装置を「送信側複合機1T」と、ファクシミリデータを受信するファクシミリ装置を「受信側複合機1R」と、受信側複合機1R(受信側装置に相当)が受信不可状態のとき代行受信を行うファクシミリ装置を「代行複合機1A」と、便宜上区別して説明する。
【0033】
尚、ファクシミリ装置は、互いに送受信を行うものなので、送信側複合機1Tは、受信側複合機1R、代行複合機1A(代行受信先に相当)になり得る。又、受信側複合機1Rは、送信側複合機1T、代行複合機1Aとなり得る。又、代行複合機1Aは、受信側複合機1R、送信側複合機1Tとなり得る。そのため、例えば、3台の複合機1は、同様の機能を有するものでもよい。そこで、本説明では、通信システム100における各複合機1には、同機種を用いるものとして説明する。尚、送信側複合機1T、受信側複合機1R、代行複合機1Aのいずれか、又は、全てに変えて、FAX専用機が用いられてもよい。又、便宜上、図1では、通信システム100が複合機1を3台含む例を示すが、4台以上の複合機1やファクシミリ装置を含んでもよい。尚、本説明では、送信、受信、代行のファクシミリ装置として、同様の複合機1を例に挙げて説明するので、送信側、受信側、代行の各複合機1に共通する説明については、「送信側」、「受信側」、「代行」の語句を省略し、単に「複合機1」と称することがある。
【0034】
各複合機1は、それぞれ、ファクシミリ送受信機能の他、コピー機能、スキャン機能、プリンタ機能を有する。そして、例えば、送信側複合機1T、受信側複合機1R、代行複合機1Aは、ITU-Tの勧告の1つであるT.38の規格に基づいたファクシミリ通信を行う。尚、みなし音声方式等、他の規格に基づいて、本実施形態の送信側複合機1T、受信側複合機1R、代行複合機1Aはファクシミリ通信が行われてもよい。
【0035】
例えば、各複合機1(1T、1R、1A)は、ネットワークNT(例えば、インターネット)に接続され、ネットワークNTを介して各複合機1間でファクシミリ通信が行われてもよい。又、例えば、送信側複合機1Tが、受信側複合機1Rや代行複合機1Aに直接的に呼びかけ(発呼)を行い、ファクシミリ通信が行われてもよい。
【0036】
又、各複合機(1T、1R、1A)が、直接的にサーバSVにアクセスし、ファクシミリ通信を中継させてもよい。又、ゲートウェイGWを通過させたうえで、送信側複合機1Tから受信側複合機1Rや代行複合機1Aに向けてファクシミリ送信が行われてもよい。又、ゲートウェイGWを通過させてファクシミリ送信を行う場合、1又は複数のサーバSVにファクシミリ通信を中継させてもよい。又、各複合機1が、直接的に各サーバSVにアクセスし、ファクシミリ通信を中継させてもよい
【0037】
(複合機1の概要)
次に、図2に基づき、本発明の第1の実施形態に係る各複合機1を説明する。図2は本発明の第1の実施形態に係る各複合機1の一例を示す模型的正面断面図である。
【0038】
図2に示すように、本実施形態の複合機1(送信側複合機1T、受信側複合機1R、代行複合機1A)は、最上部に原稿カバー1aを有し、操作パネル2、画像読取部3、給紙部4a、搬送路4b、画像形成部5、定着部6a、排出搬送部6b等が設けられる。
【0039】
操作パネル2は、図2に示すように、各複合機1の正面上方に設けられ、各複合機1の設定や動作指示を与えるためのメニューやキーや複合機1の状態メッセージ等の各種画像、画面を表示する液晶表示部21(報知部に相当)を有する。使用者は、液晶表示部21に表示されたキーを押下し、各複合機1の機能の各種設定を入力できる。
【0040】
又、液晶表示部21の上面にタッチパネル部22(入力部に相当)が設けられる。タッチパネル部22は、使用者が液晶表示部21に押下した部分の位置、座標を検出するためのものである。このタッチパネル部22を用いた検出座標と、液晶表示部21に示される各種キーの位置、座標を比較し、使用者が押下して選択したキーが特定される。尚、タッチパネル部22としては、抵抗膜方式、表面弾性波方式、赤外線方式、静電容量方式等、各方式のものを採用でき特に制限はない。
【0041】
又、操作パネル2には、以下のようなハードとしてのキー(ボタン)が設けられる。例えば、数字入力用のテンキー部23(入力部に相当)や、各種設定後、コピーや送信の処理開始指示用のスタートキー24が設けられる。又、その他、ハードキーとして、コピー機能を利用する際に押下されるコピーキー25、スキャナ機能、FAX機能を利用する際に押下される送信キー26、ボックス機能(詳細は後述)を用いた通信を行う場合等に押されるボックスキー27等が設けられる。このように、操作パネル2には各種ハードキーが備えられ、各種ハードキーは各複合機1の設定等を行うための入力部として機能する。
【0042】
まず、原稿カバー1aは、複合機1の上面かつ背面位置に支点を有し、上下に振るように開閉可能である。原稿カバー1aは、原稿の複写時、載置読取用コンタクトガラス31に載置された原稿を押さえる。画像読取部3は、原稿を読み取り、原稿の画像データを形成する。又、画像読取部3内には露光ランプ、ミラー、レンズ、イメージセンサ(例えば、CCD)等の光学系部材(不図示)が設けられる。尚、原稿カバー1aに変えて、原稿を1枚ずつ、自動的、連続的に、画像読取部3の読み取り位置(送り読取用コンタクトガラス32)に向けて送る原稿搬送装置を設けてもよい。
【0043】
そして、これらの光学系部材を用い、載置読取用コンタクトガラス31に載置される原稿に光を照射し、その原稿の反射光を受けたイメージセンサの各画素の出力値をA/D変換し、画像データが生成される。各複合機1は、読み取りにより得られた画像データに基づき印刷を行うことができる(コピー機能)。又、各複合機1は、読み取りにより得られた画像データに基づきファクシミリ送信を行うことができる(ファクシミリ機能、インターネットファクシミリ機能)。
【0044】
給紙部4aは、複数の用紙(例えば、コピー用紙、再生紙、OHPシート等の各種シート)を収容し、1枚ずつ搬送路4bに送り込む。給紙部4aは、収納用紙が載置されるカセット41を含む(図2で上方のものに41A、下方のものに41Bの符号を付す)。又、カセット41から搬送路4bに送り出すため回転駆動する給紙ローラ42が設けられる(図2で上方のものに42A、下方のものに42Bの符号を付す)。例えば、印刷時、給紙ローラ42が回転駆動し、印刷に要する用紙が1枚ずつ搬送路4bに送り出される。
【0045】
搬送路4bは、給紙部4aから排出トレイ43まで用紙を搬送する通路である。尚、搬送経路上には画像形成部5、定着部6a等が配される。そして、搬送路4bには、用紙の案内のためのガイドや、用紙搬送の際に回転駆動する搬送ローラ対44や、搬送されてくる用紙を画像形成部5の手前で待機させ、トナー像形成のタイミングを合わせて用紙を送り出すレジストローラ対45等が設けられる。
【0046】
画像形成部5は、画像データに基づきトナー像を形成し、搬送される用紙にトナー像を転写する。そのため、画像形成部5は、図2中に示す矢印方向に回転駆動可能に支持された感光体ドラム51、及び、感光体ドラム51の周囲に配設された帯電装置52、露光装置53、現像装置54、転写ローラ55、清掃装置56等を備える。
【0047】
トナー像形成及び転写プロセスを説明すると、画像形成部5の略中心に設けられ、所定方向に回転駆動する感光体ドラム51は、図2において、感光体ドラム51の右斜め上方に設けられる帯電装置52により、所定電位に帯電される。図4において、露光装置53は、帯電装置52の右側方に設けられ、画像データに基づき、レーザ光をから出力し、感光体ドラム51表面を走査露光して画像データに応じた静電潜像を形成する。尚、画像データは、画像読取部3で得られた画像データや、ネットワークNT等により接続される送信側複合機1Tや外部のコンピュータ200から送信された画像データ等が用いられる。
【0048】
そして、図2において、感光体ドラム51の右斜め下方に設けられる現像装置54は、感光体ドラム51に形成された静電潜像にトナーを供給して現像する。感光体ドラム51の左方に設けられる転写ローラ55は感光体ドラム51に圧接し、ニップが形成される。そして、トナー像にあわせタイミングを図られつつ、用紙はニップに進入する。用紙進入時、転写ローラ55には所定の電圧が印加され、用紙に感光体ドラム51上のトナー像が転写される。清掃装置56は、転写後に感光体ドラム51に残留するトナーを除去する。
【0049】
定着部6aは、用紙に転写されたトナー像を定着させる。本実施形態における定着部6aは主として発熱体を内蔵する加熱ローラ61と加圧ローラ62で構成される。加熱ローラ61と加圧ローラ62は圧接しニップを形成する。そして、用紙が、このニップを通過することで、用紙表面のトナーが溶融・加熱され、トナー像が用紙に定着する。トナー定着後の用紙は、排出トレイ43に排出される。このようにして、コピー機能、プリンタ機能の使用時、画像形成(印刷)が行われる。
【0050】
排出搬送部6bは、印刷済の用紙を排出トレイ43方向に用紙を搬送する。そして、排出搬送部6bは、正回転方向に回転駆動して排出トレイ43方向に送り出す排出ローラ対63を有する。尚、排出ローラ対63は、両面印刷のため、逆回転してもよい(スイッチバック)。
【0051】
(複合機1のハードウェア構成)
次に、図3を用いて、本発明の第1の実施形態に係る各複合機1のハードウェア構成の一例を説明する。図3は、本発明の第1の実施形態に係る各複合機1のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【0052】
まず、各複合機1の本体内には、制御部7が設けられる。制御部7は、例えば、操作パネル2、画像読取部3、給紙部4a、搬送路4b、画像形成部5、定着部6a、排出搬送部6b等と接続され、これらの制御を行う。
【0053】
制御部7は、例えば、CPU71等の素子を含む。CPU71は記憶部8に格納され、展開される制御プログラムに基づき演算等を行い、複合機1の各部を制御する。尚、制御部7は、全体制御や画像処理を行うメイン制御部や、画像形成や各種回転体を回転させるモータ等のON/OFF等を行い、印刷を制御するエンジン制御部等、機能ごとに分割して複数種設けられてもよい。本説明では、これらの制御部を制御部7としてまとめた形態を示し、説明する。
【0054】
記憶部8は、制御部7と接続される。記憶部8は、ROM、RAM、HDD等の不揮発性と揮発性の記憶用の装置を組み合わせて構成される。記憶部8は、複合機1の制御用プログラム、制御用データ、設定データ、画像データ等の各種データを記憶できる。本発明に関し、記憶部8(のHDD)は、ファクシミリ送信用の画像データ等を記憶する。
【0055】
そして、制御部7は、通信部9と接続される。通信部9は、通信用のインターフェイスであり、コネクタ、ソケット、通信用回路、通信用チップ等を含む。通信部9はネットワークNT、サーバSV、ゲートウェイGWや公衆回線(電話回線)を介して、受信側複合機1Rや代行複合機1A(図7では、いずれも便宜上1つのみ図示)とファクシミリ通信を行う(図1参照)。例えば、画像読取部3で得られた画像データを相手方FAX装置(例えば、受信側複合機1R)に送信することができる(FAX、インターネットFAX機能)。又、相手方FAX装置から送信され、複合機1に入力される画像データに基づき印刷を行うこともできる(FAX機能)。
【0056】
具体的に、通信部9は、公衆回線(電話回線)を通じて、FAX装置と画像データ等の送受信を行うことができる。そのため、通信部9は、例えば、電話回線用のコネクタやFAXモデム等を含む。又、複合機1は、ネットワークNTを介しても、他の複合機1やファクシミリ装置300と通信可能に接続される。複合機1は、他の複合機1やファクシミリ装置300と、ネットワークNTを介して画像データ等の送受信を行える(インターネットFAX機能と呼ばれることもある)。そのため、通信部9は、ネットワークNT接続や通信のためのチップ、ドライバ、メモリ等の素子も有する。
【0057】
又、通信部9は、ネットワークNTやケーブルにより、外部のコンピュータ200(例えば、パーソナルコンピュータ)と通信可能に接続される。例えば、画像読取部3で得られた画像データをコンピュータ200に送信することができる(スキャナ機能)。又、複合機1は、外部のコンピュータ200から受信した印刷用データに基づき、印刷することもできる(プリンタ機能)。
【0058】
又、制御部7は、操作パネル2になされた入力を認識し、使用者の設定にあわせてコピー等が行われるように複合機1を制御する。制御部7は、操作パネル2での表示を制御する。操作パネル2の液晶表示部21に表示するために必要な画像、画面の画像データは、記憶部8や操作パネル2内のメモリに記憶される。
【0059】
又、例えば、制御部7には、画像読取部3で原稿を読み取って得られた画像データや通信部9を介して複合機1に入力された画像データに対し、画像処理を施す画像処理部72が設けられる。例えば、画像処理部72は、回転、拡大/縮小、濃度変換、エッジ強調、平滑化や、ファクシミリ送信のための画像データの形式変換処理等の各種の画像処理を行う。画像処理部72は操作パネル2で設定された機能に応じて動作する。
【0060】
そして、画像処理部72が処理した画像データは、例えば、通信部9に送られ、ファクシミリ送信等に用いられ、あるいは、露光装置53に送信され、感光体ドラム51の走査・露光に用いられる。尚、画像処理部72が行える画像処理は多数に及ぶので、公知の画像処理を行えるものとし、画像処理部72の行う画像処理の詳細は割愛する。
【0061】
(条件付のファクシミリ送信の例)
次に、図4〜図12を用い、本発明の第1の実施形態に係る条件付のファクシミリ送信機能の一例を説明する。具体的には、図4〜図8を用いてFコード親展送信機能を説明し、図9から図12を用いて、暗号送信機能を説明する。
【0062】
[Fコード親展送信機能]
まず、図4〜図8を用いて、本発明の第1の実施形態に係るFコード親展送信機能を説明する。図4は、本発明の第1の実施形態に係る機能選択画面S1の一例を示す説明図である。図5は、本発明の第1の実施形態に係るボックス選択画面S2の一例を示す説明図である。図6は、本発明の第1の実施形態に係る親展ボックス選択画面S3の一例を示す説明図である。図7は、本発明の第1の実施形態に係る親展ボックス設定画面S4の一例を示す説明図である。図8は、本発明の第1の実施形態に係るFコード送信設定画面S5の一例を示す説明図である。
【0063】
親展送信を用いると、機密文書など他人に見られたくない画像データを、誰にも見られず受信することができる。受信側複合機1Rで受信された画像データは、一定の認証的な入力がなされないと印刷されない。
【0064】
そして、本実施形態における各複合機1は、記憶部8を有する。そして、記憶部8の記憶領域内に、仮想のボックスが作られる。言い換えると、Fコード親展送信機能は、ファクシミリ通信で親展性を持たせるため、特殊な条件を定めるものであり、Fコード親展により送信されたファクシミリのデータを受信するには、受信側複合機1Rの記憶部8にFコード親展ボックスを設ける必要がある。
【0065】
そこで、図4〜図7を用いて、Fコード親展送信に要する受信側複合機1Rでの設定の一例を説明する。例えば、使用者がボックスキー27を押すと、制御部7は、操作パネル2の液晶表示部21に図4に示すような機能選択画面S1を表示させる。Fコード親展送信に関して設定を行うには、複数表示されるキーのうち、ボックスキーK1を押す。ボックスキーK1が押されると、液晶表示部21は、図5に示すような、ボックス選択画面S2を表示する。
【0066】
Fコード親展ボックスの登録、設定変更、削除等の設定を行うには、ボックス選択画面S2に表示されたキーのうち、左列のFコード親展ボックスキーK2を押す必要がある。Fコード親展ボックスキーK2が押されると、液晶表示部21は、図6に示すような親展ボックス選択画面S3を表示する。
【0067】
親展ボックス選択画面S3には、記憶部8に仮想的に作られた親展ボックスに対応するキーが表示される。そして、既に設定や登録がなされている親展ボックスに対応するキーには、親展ボックスのサブアドレスが表示される。図6では、番号001の親展ボックスに対応するサブアドレスは、「1234」である。尚、本実施形態の受信側複合機1Rでは、親展ボックスを数十〜数百個作成することができる。
【0068】
使用者は、受信側複合機1Rで作成や、設定し直したい番号の親展ボックスに対応するキーを押して選択する。選択がなされると、液晶表示部21は、例えば、図7に示すような親展ボックス設定画面S4を表示する。例えば、図7は、番号005の親展ボックスに対応するキーが押されると表示される親展ボックス設定画面S4の一例である。
【0069】
親展ボックス設定画面S4には、サブアドレスキーK3とパスワードキーK4が設けられる。サブアドレスは、送信側複合機1Tで、受信側複合機1Rのどの親展ボックスに格納するかを指定するために必要なアドレスである。使用者は、サブアドレスを入力するとき、サブアドレスキーK3を押した後、テンキー部23を用いて最大20桁までの0〜9までの数字と*と#を用いてサブアドレスを入力する。
【0070】
パスワードは、送信側複合機1Tと受信側複合機1RでFコード通信を成立させるために必要である。パスワードを入力するとき、使用者はパスワードキーK4を押した後、テンキー部23を用いて、例えば、4桁の0〜9までの数字をパスワードとして入力する。そして、サブアドレスとパスワードの入力が完了すると、確定キーK5が押される。確定キーK5が押されると、制御部7は、記憶部8(操作パネル2内のメモリでもよい)に入力されたサブアドレスとパスワードを記憶させる。Fコード親展送信を正常に行うには、このサブアドレスとパスワードの設定が受信側複合機1Rでなされることが必要である。
【0071】
次に、図8を用いて、Fコード親展送信機能を用いた送信の一例を説明する。送信側複合機1Tで、Fコード親展送信機能を用いて、受信側複合機1Rにファクシミリ送信を行うには、図8に示すようなFコード送信設定画面S5に対し、サブアドレスとパスワードの入力が必要である。
【0072】
使用者は、操作パネル2に対し、アドレス帳等を用いて、相手方のアドレス情報(FAX番号やネットワークNTアドレスやEメールアドレス)を入力するとともに、Fコード親展送信を行うため、図8に示すFコード送信設定画面S5にサブアドレスとパスワードを入力する必要がある。サブアドレスとパスワードは、親展ボックスの登録の場合と同様に、サブアドレスキーK6とパスワードキーK7をそれぞれ押した後、テンキー部23を用いて入力する。使用者は、サブアドレスとパスワードの入力が完了すると、閉じるキーK8を押す。
【0073】
制御部7は、操作パネル2から入力されたサブアドレスとパスワードを受けとる。そして、制御部7は、Fコード親展送信機能に基づいて、サブアドレスとパスワードが付されたデータ(画像データ)を通信部9から受信側複合機1Rにファクシミリ送信させる。
【0074】
もし、受信側複合機1Rに、受信したサブアドレスとパスワードに一致する親展ボックスがあれば、受信側複合機1Rの制御部7は、一致した親展ボックスに受信した画像データを格納する。一方、受信したサブアドレスとパスワードに一致する親展ボックスがなければ、受信側複合機1R(の制御部7)は、Fコード親展送信は成立せず受信不可の旨を送信側複合機1Tにむけて返信する。
【0075】
尚、親展ボックスに格納された画像データに基づき印刷を行うとき、図5に示したボックス選択画面S2でFコード親展ボックス出力キーK9を押す。そうすると、図6に示した親展ボックス選択画面S3と同様の画面が表示される。そして、使用者は、画像データが格納された親展ボックスに対応するキーを押す。そうすると、パスワードの入力用の画面(不図示)が表示される。そして、正当なパスワードが入力されると、受信側複合機1Rの制御部7は、親展ボックスに格納された画像データに基づき、画像形成部5等を制御して印刷を行わせる。尚、正当なパスワードが入力されないとき、印刷は行えない。
【0076】
[暗号送信機能]
次に、図4、図5、図9〜図12を用いて、本発明の第1の実施形態に係る暗号送信機能を説明する。図9は、本発明の第1の実施形態に係る複合機1での暗号鍵登録画面S6の一例を示す説明図である。図10は、本発明の第1の実施形態に係る暗号ボックス選択画面S7の一例を示す説明図である。図11は、本発明の第1の実施形態に係る暗号ボックス設定画面S8の一例を示す説明図である。図12は、本発明の第1の実施形態に係る暗号送信設定画面S9の一例を示す説明図である。
【0077】
暗号送信は、第三者に知られてはいけない内容(画像データ)を送信する場合に有効である。例えば、悪意の者が、送信側複合機1Tから受信側複合機1Rへの通信経路を流れる画像データを盗み見しても、内容を知ることができない。
【0078】
そして、本実施形態における各複合機1では、暗号送信の場合にも、記憶部8の記憶領域内に、仮想のボックスを作る必要がある。言い換えると、暗号送信機能は、ファクシミリ通信で暗号性を持たせるために特殊な条件を定めるものであり、ファクシミリの暗号化したデータの送受信を行うには、暗号鍵の登録と受信側複合機1Rの記憶部8に暗号ボックスを設ける必要がある。
【0079】
そこで、図9を用いて暗号鍵の登録を説明する。例えば、送信側複合機1Tや受信側複合機1Rでボックスキー27が押されると表示される機能選択画面S1には、暗号鍵キーK10が表示される。そして、暗号鍵キーK10が押されると、液晶表示部21は、図9に示すような暗号鍵登録画面S6を表示する。
【0080】
暗号鍵登録画面S6には、番号ごとに暗号鍵に対応するキーが表示される。そして、既に設定や登録がなされている暗号鍵に対応するキーには、暗号鍵が表示される。図9では、番号01のキーに対応する暗号鍵は、「1234567890123456」である。新たな暗号鍵を登録する場合は空白のキーを、既に登録されている暗号鍵を修正する場合は、暗号鍵が登録済みのキーを押す。
【0081】
そして、テンキー部23を用いて暗号鍵(例えば、16桁)を入力する。尚、暗号鍵入力用のソフトウェアキーボード画面を表示し、数字だけでなくアルファベット等の文字を含めた暗号鍵を入力できるようにしてもよい。本実施形態の受信側複合機1Rでは、暗号鍵を例えば、十数個〜数十個作成、登録することができる。本実施形態の各複合機1で暗号送信を行うには、送信側複合機1Tと受信側複合機1Rの両方で少なくとも1種類の共通の暗号鍵を登録しておく必要がある。
【0082】
次に、暗号ボックスの登録を説明する。暗号ボックスの登録、設定変更、削除等の設定を行うには、受信側複合機1Rのボックスキー27を押すと表示される機能選択画面S1(図4参照)で、ボックスキーK1を押し、ボックス選択画面S2(図5参照)を表示させる。そして、ボックス選択画面S2に表示されたキーのうち、左列の暗号ボックスキーK11を押す。暗号ボックスキーK11が押されると、液晶表示部21は、図10に示すような暗号ボックス選択画面S7を表示する。
【0083】
暗号ボックス選択画面S7には、記憶部8に仮想的に作られた暗号ボックスに対応するキーが表示される。そして、既に設定や登録がなされている暗号ボックスに対応するキーには、暗号ボックスのボックスIDが表示される。図6では、番号001の暗号ボックスに対応するボックスIDは、「9876」である。尚、本実施形態の複合機1では、暗号ボックスを数十〜数百個作成することができる。
【0084】
受信側複合機1Rで作成や、設定し直したい番号の暗号ボックスに対応するキーが押される。押されると、液晶表示部21は、例えば、図11に示すような暗号ボックス設定画面S8を表示する。例えば、図11は、番号005のキーが押されたときに表示される暗号ボックス設定画面S8の一例である。
【0085】
暗号ボックス設定画面S8には、ボックスIDキーK12と暗号鍵番号キーK13が設けられる。ボックスIDは、送信側複合機1Tで、受信側複合機1Rのどの暗号ボックスに格納するかを指定するために必要なID番号である。使用者は、ボックスIDを入力するとき、ボックスIDキーK12を押した後、テンキー部23を用いて最大4桁までの0〜9までの数字と*と#を用いてボックスIDを入力する。
【0086】
暗号鍵番号は、暗号ボックスでどの暗号鍵を用いるかを定めるために必要である。暗号鍵番号を入力するとき、使用者は、暗号鍵番号キーK13を押した後、テンキー部23を用いて、例えば、2桁の数字を暗号鍵番号として入力する。例えば、暗号鍵登録画面S6での「#01」の番号の暗号鍵を用いるとき、暗号鍵番号として「01」が入力(指定)される。そして、ボックスIDと暗号鍵番号の入力が完了すると、確定キーK14が押される。確定キーK14が押されると、制御部7は、記憶部8(操作パネル2内のメモリでもよい)に入力されたボックスIDと暗号鍵番号を記憶させる。暗号送信では、このボックスIDと暗号鍵番号の設定が受信側複合機1Rでなされることが必要である
【0087】
次に、図12を用いて、暗号送信機能を用いた送信の一例を説明する。送信側複合機1Tで、暗号送信機能を用いて、受信側複合機1Rにファクシミリ送信を行うには、図12に示すような暗号送信設定画面S9に対し、ボックスIDと暗号鍵番号の入力が必要である。
【0088】
使用者は、テンキー部23やアドレス帳等を用いて操作パネル2に入力し、相手方のアドレス情報(FAX番号やネットワークNTアドレスやEメールアドレス)を入力するとともに、図8に示す暗号送信設定画面S9にボックスIDと暗号鍵番号を入力する。ボックスIDと暗号鍵番号は、暗号ボックスの登録の場合と同様に、ボックスIDキーK15と暗号鍵番号キーK16をそれぞれ押した後、テンキー部23を用いて入力する。使用者は、ボックスIDと暗号鍵番号の入力が完了すると確定キーK17を押す。
【0089】
制御部7は、操作パネル2から入力されたボックスIDと暗号鍵番号を受けとる。そして、制御部7は、暗号送信機能に基づいて、ボックスIDと暗号鍵番号を付しつつ、指定された暗号鍵に基づいて暗号化処理を行った後のデータ(画像データ)を、通信部9から受信側複合機1Rに向けてファクシミリ送信させる。
【0090】
もし、受信したボックスIDと暗号鍵番号に一致する暗号ボックスがあれば、受信側複合機1Rの制御部7は、一致した暗号ボックスに受信した画像データを復号しつつ格納する。一方、受信側複合機1R側に、受信したボックスID及び暗号鍵番号に一致する暗号ボックスがなければ、暗号送信は成立せず、受信側複合機1Rは、送信側複合機1Tにむけて受信不可の旨を返信する。
【0091】
尚、暗号ボックスに格納された画像データに基づき印刷を行う場合、図5に示したボックス選択画面S2で暗号ボックス出力キーK18を押す。そうすると、図6に示した暗号ボックス選択画面S7と同様の画面が表示される。そして、使用者は、画像データが格納された暗号ボックスに対応するキーを押す。そうすると、暗号鍵番号の入力用の画面(不図示)が表示される。そして、暗号ボックスに対応する正当な暗号鍵番号が入力されると、受信側複合機1Rの制御部7は、暗号ボックスに格納された画像データに基づき、画像形成部5等を制御して印刷を行わせる。尚、正当な暗号鍵番号が入力されないとき、印刷は行われない。
【0092】
(通信シーケンス・受信不可状態)
次に、図1を用い、本発明の第1の実施形態に係る複合機1での通信シーケンスの概要を説明する。
【0093】
ここで、本発明の実施形態の通信システム100での各ファクシミリ装置(各複合機1)は、例えば、SIP(Session Initiation Protocol)の通信プロトコルに基づいてセッションの確立(発呼、着呼処理)を行う。SIPは、IETE(Internet Engineering Task Force)のRFC(Request for Comments)3261などで定義されている。例えば、SIPはIP電話やインターネットFAX機能を有するファクシミリ装置に実装される。
【0094】
SIPでは、受信側複合機1RがサーバSVとして振る舞い、送信側複合機1Tと受信側複合機1Rで直接的に通信を行うことができる。又、SIPでは、ネットワークでのサーバSV(プロキシ)やゲートウェイGWを用いて、送信側複合機1Tが宛先として指定されたアドレスに対応する特定アドレスをサーバSV等に検索させ、受信側複合機1Rとのファクシミリ通信をサーバSV等に中継させることもできる。
【0095】
[受信側複合機1Rが受信可能状態であるときの通信シーケンス]
受信側複合機1Rが受信可能状態である時の通信シーケンスの一例を説明する。この場合、送信側複合機1Tは、受信側複合機1Rのアドレス(アドレス情報)にセッション参加要求(INVITE)を送信する。そして、受信側複合機1Rは、送信側複合機1Tに向けて暫定応答(100 Trying)を送信する。更に、受信側複合機1Rは、呼び出し中であることを伝えるため、暫定応答(180 Ringing)を送信側複合機1Tに送信する。
【0096】
受信側複合機1Rの制御部7は、受信不可状態か否かを確認する。本シーケンスでは、受信側複合機1Rは、受信可能状態と判断する。そして、受信側複合機1Rは、成功(200 OK)を送信側複合機1Tに送信する。これに対し、送信側複合機1Tは、成功(200 OK)を元にACK応答(セッション確立)を受信側複合機1Rに送信する。この後、送信側複合機1Tと受信側複合機1R間での画像データ等のデータの送受信が行われる。データの送受信が終われば、送信側複合機1Tは、セッション切断要求(BYE)を送信する。そして、受信側複合機1Rは、セッション切断要求(BYE)に対し、ACKを応答する。これにより、セッションが終了し、データの送受信が完了する。
【0097】
[受信側複合機1Rが受信不可状態であるときの通信シーケンス]
次に、受信側複合機1Rが受信不可状態である時の通信シーケンスの一例を説明する。まず、送信側複合機1Tは、送信先アドレスにセッション参加要求(INVITE)を送信し、受信側複合機1Rは、暫定応答(180 Ringing)を送信するまでは、受信可能状態と同様である。
【0098】
そして、受信側複合機1Rの制御部7は受信不可状態か否かを確認する。本シーケンスでは、受信側複合機1Rは、受信不可状態と判断する。このとき、受信側複合機1Rは、例えば、一時的に利用不可であることを知らせる応答(480 Temporarily Unavailable、受信不可応答)を送信側複合機1Tに送信する。これにより、送信側複合機1Tは、受信側複合機1Rがデータを受信できない状態にあることを認識する。
【0099】
例えば、受信側複合機1Rは、例えば、受信側複合機1Rの記憶部8内のRAMに空きがない場合(メモリフル)や、エラーが発生している場合や、故障中である場合や、他のファクシミリ装置と通信中(話し中)の場合に受信側複合機1Rが現在受信不可状態である旨の応答を発する。例えば、受信側複合機1Rの制御部7が、現在受信不可状態であるか否かを判断する。
【0100】
このような受信側複合機1Rが受信不可状態のとき、代行して受信するファクシミリ送信(本実施形態では代行複合機1A)が設定されている場合がある。代行複合機1Aに受信させれば、データの不達を避けることができる。そこで、受信不可状態であれば、受信側複合機1Rは、送信側複合機1Tに対し、代行複合機1Aのアドレス情報(FAX番号やネットワークNTアドレスやEメールアドレス等)を送信する。
【0101】
あるいは、送信側複合機1Tと受信側複合機1Rの間のファクシミリ通信でサーバSVが介在する場合もある。サーバSVがリダイレクト機能を有し、受信側複合機1Rへのファクシミリ通信の転送先(代替先)を予め記憶していれば、サーバSVが送信側複合機1Tに対し、代行複合機1Aのアドレス情報を送信してもよい。
【0102】
一般的に、代行複合機1Aに代行受信させると、データの不達を避けることができる。しかし、受信側複合機1Rと代行複合機1Aで、Fコード親展や暗号送信について全く同じ設定とされることは少ない。従って、上述のような、Fコード親展送信や暗号送信のように、送信側と受信側で特殊な設定を行って条件が設定されるような送信(条件付送信)の場合、送信側複合機1Tが代行複合機1Aにファクシミリ送信を行っても、送信側複合機1Tは、ファクシミリ通信に失敗する可能性が高い。そのため、Fコード親展送信や暗号送信の場合、代行複合機1Aへのファクシミリ送信、特に、代行複合機1Aへの送信が一度失敗した後でのリダイヤルは、無駄である。
【0103】
(ファクシミリ送信の制御の流れ)
次に、図13を用いて、本発明の第1の実施形態に係る送信側複合機1Tでのファクシミリ送信の制御の流れの一例を説明する。図13は、本発明の第1の実施形態に係る送信側複合機1Tでのファクシミリ送信の制御の流れの一例を示すフローチャートである。
【0104】
図13のスタートは、送信側複合機1Tが、受信側複合機1Rにファクシミリ送信するために発呼しようとする時点である。このときまでに、送信側複合機1Tでは、操作パネル2になされた入力等により、ファクシミリ送信に関する設定が既になされている。又、例えば、画像読取部3による原稿スキャンで得られた画像データや、コンピュータ200から受信した画像データに基づき、ファクシミリ送信する画像データも用意される。
【0105】
そして、送信側複合機1Tの制御部7は、通信部9に受信側複合機1Rに対して発呼を行わせる(ステップ♯1)。発呼処理により、セッション確立がはかられる。例えば、送信側複合機1Tは、サーバSVに対し、受信側複合機1Rのアドレス情報を問い合わせ、受信側複合機1Rへの発呼をサーバSVに中継させる。
【0106】
そして、送信側複合機1Tの制御部7は、発呼に対する受信側複合機1Rの応答に基づき、受信側複合機1Rが受信不可状態であるか否かを判断する(ステップ♯2)。例えば、呼びかけた受信側複合機1Rから応答がない場合(タイムアウトの発生)、受信側複合機1RやサーバSVから現在受信不可な状態である旨の応答を受けた場合、受信側複合機1Rが他のファクシミリ装置と通信中である場合、などに、送信側複合機1Tの制御部7は、受信側複合機1Rとのセッションを確立できないと判断する。尚、受信側複合機1Rが受信不可状態である旨の応答は、例えば、受信側複合機1Rの記憶部8内のRAMに空きがない場合(メモリフル)や、エラーが発生している場合や、故障中である場合に発せられる。
【0107】
もし、受信不可状態でなければ(ステップ♯2のNo)、送信側複合機1Tの制御部7は、通信部9に本来の送信先である受信側複合機1Rに向けてファクシミリ送信を行わせる(ステップ♯3)。これにより、送信側と受信側でのファクシミリ送信が行われる。この場合、ファクシミリ送信が無事に完了するので、本制御は終了すればよい(エンド)。
【0108】
一方、受信不可状態であれば(ステップ♯2のNo)、送信側複合機1Tの制御部7は、代行複合機1A(代行受信先)の通知を受信したかを確認する(ステップ♯4)。言い換えると、送信側複合機1Tの制御部7は、代行受信先があるかを確認する(ステップ♯4)。例えば、受信側複合機1Rが受信不可状態のときの代行受信先がサーバSV(リダイレクトサーバ)に登録されていれば、送信側複合機1Tの通信部9は、サーバSVから代行受信先の通知を受ける。又、受信側複合機1Rが、送信側複合機1Tに向けて代行受信先を通知してもよい。
【0109】
代行受信先がなければ(ステップ♯4のNo)、送信側複合機1Tは、本来の送信先(本説明では、受信側複合機1R)にリダイヤル処理を行う(ステップ♯5)。リダイヤル処理では、制御部7は、送信失敗からリダイヤル用の待ち時間待った後、受信側複合機1Rへの発呼とファクシミリの再送信を通信部9に行わせる。
【0110】
リダイヤル後、送信側複合機1Tの制御部7は、リダイヤル送信が正常に終了したかを確認する(ステップ♯6)。もし、正常に終了すれば(ステップ♯6のYes)、ファクシミリ送信が無事に完了したので、本制御は終了すればよい(エンド)。一方、正常に終了していなければ、送信側複合機1Tの制御部7は、リダイヤル回数が所定回数に到達したかを確認する(ステップ♯7)。所定回数は、送信できないのにリダイヤルを繰り返しても無駄なので、送信不可と判断するための回数である。通常、所定回数は、数回程度に設定される。
【0111】
所定回数のリダイヤルが行われていれば(ステップ♯7のYes)、送信側複合機1Tの制御部7は、通信部9からのリダイヤルを中止させる(ステップ♯8)。更に、送信側複合機1Tの制御部7は、ファクシミリ送信が完了せず、データが未達である旨を液晶表示部21に表示させるとともに、画像形成部5等に印刷させる(ステップ♯9)。そして、本制御は終了される(エンド)。リダイヤル回数が所定回数に到達していなければ(ステップ♯7のNo)、ステップ♯5に戻る。
【0112】
即ち、ファクシミリ装置(例えば、送信側複合機1T)は、少なくともメッセージを報知する報知部(例えば、液晶表示部21)、を含み、報知部は、受信側装置(例えば、受信側複合機1R)及び/又は代行受信先(例えば、代行複合機1A)への条件付送信のリダイヤルを予め定められた回数行っても条件付送信が全て失敗したとき、条件付送信が完了していない旨のエラーメッセージを報知する。又、ファクシミリ装置(例えば、送信側複合機1T)は、用紙に画像を形成する画像形成部5、を含み、画像形成部5は、受信側装置及び/又は代行受信先への条件付送信のリダイヤルを予め定められた回数行っても条件付送信が全て失敗したとき、条件付送信が完了していない旨のエラーメッセージを含む画像を形成する。
【0113】
一方、代行受信先があれば(ステップ♯4のYes)、送信側複合機1Tの制御部7は、ステップ♯1と同様に、通信部9に代行複合機1A(代行受信先)に対する発呼を行わせる(ステップ♯10)。そして、送信側複合機1Tの制御部7は、代行受信先に対するファクシミリ送信を通信部9に行わせる(ステップ♯11)。
【0114】
そして、送信側複合機1Tの制御部7は、正常に代行受信先へのファクシミリ送信が終了したか否かを確認する(ステップ♯12)。例えば、送信側複合機1Tの制御部7は、通信部9が代行複合機1Aから正常にファクシミリ受信した旨の通知を受ければ、正常に終了したと判断する。又、例えば、送信側複合機1Tの制御部7は、通信部9が代行複合機1Aからファクシミリ受信に異常がある旨や、受信できない旨の通知を受ければ、正常に終了していない(異常終了)と判断する。又、例えば、送信側複合機1Tの制御部7は、代行受信先へのファクシミリ送信が途中で切断したとき異常終了と判断する。
【0115】
もし、正常に終了していれば(ステップ♯12のNo)、ファクシミリ送信が無事に完了したので、本制御は終了すればよい(エンド)。一方、異常終了した場合(ステップ♯12のYes)、送信側複合機1Tの制御部7は、送信側と受信側との間で予め条件の設定が必要な条件付送信かを確認する(ステップ♯13)。条件付送信は、例えば、Fコード送信、及び/又は、暗号送信である。
【0116】
条件付送信でなければ(ステップ♯13のNo)、送信側複合機1Tの制御部7は、通常のリダイヤル処理を行って、再度、ファクシミリ送信を代行受信先に行う(ステップ♯14)。このとき、送信失敗から通常のリダイヤル用の待ち時間待った後、リダイヤルが行われる。そして、ステップ♯6に移行する。尚、ステップ♯14からステップ♯6に移行した場合、代行受信先を送信先として後のリダイヤルが行われる。
【0117】
一方、条件付送信であれば(ステップ♯13のYes)、送信側複合機1Tの制御部7は、代行受信先へのリダイヤルを通信部9に行わせないようにする(ステップ♯15)。即ち、ファクシミリ装置(例えば、送信側複合機1T)は、ファクシミリ通信での条件を入力するための入力部(タッチパネル部22等)と、入力部になされた条件に従ったファクシミリ送信である条件付送信を行ったところ、本来の送信先である受信側装置(例えば、受信側複合機1R)が受信できないときに代替受信を行う代行受信先(例えば、代行複合機1A)のアドレス情報の通知を受信した場合、代行受信先に対し条件付送信を行い、代行受信先への条件付送信の送信が失敗したとき、代行受信先への条件付送信のリダイヤルを行わない通信部9と、を含む。
【0118】
そして、送信側の複合機1は、受信側複合機1Rが受信可能状態に復帰したか否かを確認する(ステップ♯16)。例えば、受信側複合機1Rに対し、受信側複合機1Rが受信不可か、受信可能かを管理、把握するプレゼンス機能を有するサーバSV(プレゼンスサーバSV)が設けられていれば、送信側複合機1Tの通信部9がサーバSVから受信可能状態に復帰した旨の通知を受けると、送信側複合機1Tの制御部7は、受信可能状態に復帰したと判断してもよい。又、受信側複合機1Rが、送信側複合機1Tに向けて代行受信先を受信可能状態に復帰した旨の通知をしてもよい。即ち、通信部9は、受信側装置(例えば、受信側複合機1R)が受信可能状態となっている旨を受信したことをトリガとして、条件付送信を受信側装置に向けて送信する。又、通信部9は、受信側装置が受信可否状態か否かを認識するサーバSVから受信側装置が受信可能状態となっている旨を受信したことをトリガとして、条件付送信を受信側装置に向けて送信する。
【0119】
受信可能状態への復帰を確認できたとき(ステップ♯16のYes)、送信側複合機1Tの制御部7は、もともとの(本来の)宛先(本説明では、受信側複合機1R)に向けて、ファクシミリ送信のリダイヤルを行う(ステップ♯17)。これにより、ファクシミリ送信は無事に完了するので、本制御は終了すればよい(エンド)。一方、受信可能状態への復帰を確認できなかったとき(ステップ♯16のNo)、送信側複合機1Tは、ファクシミリ送信失敗から予め定められた待機時間が経過したか否かを確認する(ステップ♯18)。尚、予め定められた「待機時間」は、受信可能状態への復帰を待つための時間であり、任意の値に設定可能である。例えば、操作パネル2で待機時間は設定可能とされてもよい。
【0120】
予め定められた待機時間が経過すれば(ステップ♯18のYes)、例えば、♯ステップ9に移行する。一方、予め定められた待機時間が経過していなければ(ステップ♯18のNo)、ステップ♯16に戻り、確認を続ける。
【0121】
このようにして、本発明の通信システム100、ファクシミリ装置では、送信を行うファクシミリ装置(例えば、送信側複合機1T)の通信部9は、代行受信先(例えば、代行複合機1A)への条件付送信の送信が失敗したとき、代行受信先(例えば、代行複合機1A)への条件付送信のリダイヤルを行わない。これにより、一度送信に失敗すると、受信条件に起因してエラーになるような無駄な送信が、送信側ファクシミリ装置から、代行受信先に対し行われない。従って、送信側ファクシミリ装置の繰り返しのリダイヤルによる無駄な通信路の利用が無くなり、無駄な通信費用の発生や、話し中による受信不可等の弊害を無くすことができる。尚、条件付送信とは、正常に受信するには、送信側と受信側のファクシミリ装置で、予め条件を合わせる設定が必要な通信の態様である。例えば、ファクシミリにおけるFコード通信や暗号通信などの機能が該当する。
【0122】
又、通信部9は、受信側装置(例えば、受信側複合機1R)から受信可能状態となっている旨を受信したことをトリガとして、条件付送信を受信側装置に向けて送信する。受信側装置の中には、受信可能な状態であるか否かを通知、応答するものがある。これにより、受信側装置が受信可能状態の旨の受信をトリガとして、条件付送信が本来の送信先(受信側装置)に対して行われる。又、通信部9は、サーバSVから、受信側装置から受信可能状態となっている旨を受信したことをトリガとして、条件付送信を受信側装置に向けて送信する。通信ネットワークNTに含まれるサーバSVには、受信側装置の受信可否を把握するものがある。これにより、通信部9がサーバSVに問い合わせ、受信側装置が受信可能状態であることを確認できたことをトリガとして、条件付送信が本来の送信先(受信側装置)に対して行われる。これらにより、無駄なリダイヤル(通信)を防ぎつつ、データ不達のまま終わることを防ぎ、相手方に対し、確実にデータを送信することができ、
【0123】
又、報知部(例えば、液晶表示部21)は、受信側装置(例えば、受信側複合機1R)及び/又は代行受信先(例えば、代行複合機1A)への条件付送信のリダイヤルを予め定められた回数行っても条件付送信が全て失敗したとき、条件付送信が完了していない旨のエラーメッセージを報知する。又、画像形成部5は、受信側装置及び/又は代行受信先への条件付送信のリダイヤルを予め定められた回数行っても条件付送信が全て失敗したとき、条件付送信が完了していない旨のエラーメッセージを含む画像を形成する。これにより、最終的に受信側装置へのデータ送信に失敗しても、使用者にその旨を報知することができる。又、印刷物(文書)として使用者にその旨を報知することができる。従って、データ未達であることを使用者に対し注意を喚起し、印刷物によりデータ未達であることを使用者に知らせ、送信のやり直しを促し、データ到達の確率を高めることができる。
【0124】
(第2の実施形態)
次に、図14を用いて、第2の実施形態を説明する。図14は、本発明の第2の実施形態に係る送信側複合機1Tでのファクシミリ送信の制御の流れの一例を示すフローチャートである。
【0125】
尚、第2の実施形態は、第1の実施形態とは、条件付送信であるため代行受信先に正常に送信できない場合のリダイヤルの手順、制御が異なる。しかし、第2の実施形態の通信システム100や各複合機1は、ハードウェアとしての構成は同様でよい。そこで、第1の実施形態と共通するものについては、同一の符号を付し、説明、図示は省略する。
【0126】
第2の実施形態は、代行受信先に対し条件付送信を行ったところ、正常に受信されないとき、以後、代行受信先に対しリダイヤルを行わず、もともとの送信先(本説明では受信側複合機1R)に対しリダイヤルで送信する点は第1の実施形態と同様である。そして、第1の実施形態では、受信側複合機1Rの受信可能状態への復帰をトリガとしてリダイヤルが行なわれていた。
【0127】
しかし、受信側複合機1RやサーバSVから送信側複合機1Tに受信可能状態に復帰した旨の通知がなされるとは限らず、受信側複合機1RやサーバSVが送信側複合機1Tに受信可能状態に復帰した旨を通知する機能を備えていなくてはならない。そこで、本実施形態では、もともとの送信先(本説明では受信側複合機1R)に対しリダイヤルで送信するとき、通常のリダイヤルの待ち時間(送信失敗から再度発呼やリダイヤルを行うまでの時間)よりも、待ち時間を長くする。これにより、通常のリダイヤルよりも、リダイヤルを行う時間が長くなり、受信側複合機1Rへのデータが到達しやすくなる。
【0128】
そこで、図14を用いて、第2の実施形態を説明する。図14に示すフローチャートは、第1の実施形態と同様の部分を含み、第1の実施形態におけるステップ♯15以下の部分が異なる。尚、その他のステップ(ステップ♯1〜ステップ♯14)は、第1の実施形態と同様でよく、説明を援用するものとして説明を省略する。
【0129】
第2の実施形態では、ステップ♯15で、送信側複合機1Tの制御部7は、通常のリダイヤルでの待ち時間よりも、待ち時間を長くして通信部9にリダイヤル処理を行わせる(ステップ♯19)。即ち、通信部9は、代行受信先(例えば、代行複合機1A)への条件付送信の送信が失敗してから、条件がないときの待ち時間以上の予め定められた待ち時間の経過後、受信側装置(例えば、受信側複合機1R)に向け条件付送信のリダイヤルを行う。
【0130】
そして、送信側複合機1Tの制御部7は、リダイヤル送信が正常に終了したかを確認する(ステップ♯20)。もし、正常に終了すれば(ステップ♯20のYes)、ファクシミリ送信が無事に完了したので、本制御は終了すればよい(エンド)。一方、正常に終了していなければ、送信側複合機1Tの制御部7は、リダイヤル回数が所定回数に到達したかを確認する(ステップ♯21)。所定回数は、通常のリダイヤルの場合よりも増やすようにしてもよい(ステップ♯5やステップ♯14のリダイヤルよりも回数を多くしてもよい)。
【0131】
リダイヤルを所定回数していれば(ステップ♯21のYes)、ステップ♯8に移行する。そして、本制御は終了される(エンド)。一方、リダイヤル回数が所定回数に到達していなければ(ステップ♯21のNo)、ステップ♯19に戻る。
【0132】
このようにして、本発明の通信システム100、ファクシミリ装置では、通信部9は、予め定められた待ち時間の経過後、受信側装置(例えば、受信側複合機1R)に向け条件付送信のリダイヤルを行う。これにより、リダイヤルしても無駄な代行受信先(例えば、代行複合機1A)ではなく、受信側装置に向けてリダイヤルが行われ、受信側装置へのデータ到達の確率を高めることができる。又、直前の送信失敗からリダイヤルするまでの間隔が長くなるほど、受信側装置が受信可能な状態に復帰する確率は高くなるところ、通信部9は、予め定められた待ち時間待ってからリダイヤルするので、更に、受信側装置へのデータ到達の確率を高めることができる。
【0133】
(第3の実施形態)
次に、図15を用いて、第3の実施形態を説明する。図15は、本発明の第3の実施形態に係る送信側複合機1Tでのファクシミリ送信の制御の流れの一例を示すフローチャートである。
【0134】
尚、第3の実施形態は、第1、第2の実施形態とは、条件付送信であるため代行受信先に正常に送信できない場合のリダイヤルの手順、制御が異なる。しかし、第3の実施形態の通信システム100や各複合機1は、ハードウェアとしての構成は同様でよい。そこで、第1、第2の実施形態と共通するものについては、同一の符号を付し、説明、図示は省略する。
【0135】
ファクシミリでの送受信では、機密性を考慮してFコード親展送信機能や暗号送信機能が用いられる。しかし、使用者によっては、機密性よりもデータを(ファクシミリを)相手に到達させることが何よりも大事と考える場合がある。第3の実施形態は、代行受信先に対し条件付送信を行ったところ、正常に受信されないとき、以後、代行受信先に対し、条件を外してリダイヤルを行う点で第1、第2の実施形態と異なる。これにより、のデータが到達しやすくなる。
【0136】
そこで、図15を用いて、第3の実施形態を説明する。図15に示すフローチャートは、第1の実施形態と同様の部分を含み、第1の実施形態におけるステップ♯16以下の部分が異なる。尚、その他のステップ(ステップ♯1〜ステップ♯15)は、第1の実施形態と同様でよく、説明を援用するものとして説明を省略する。
【0137】
第3の実施形態では、代行複合機1A(代行受信先)への条件付送信が失敗すると、送信側複合機1Tの制御部7は、送信しようとするデータを条件付送信における設定(条件)を外す(ステップ♯22)。例えば、送信側複合機1Tの制御部7は、Fコード親展送信ではサブアドレスとパスワード、暗号通信では、暗号鍵番号を示すデータを削除し、Fコード親展送信や暗号送信機能を利用しないようにする。即ち、通信部9は、代行受信先(例えば、代行複合機1A)への条件付送信の送信が失敗したとき、条件を外して代行受信先に送信を行う。
【0138】
送信側複合機1Tの制御部7は、条件付送信ではなく、通常のファクシミリ送信としてリダイヤル処理を行い、再度、ファクシミリ送信を代行受信先に行う(ステップ♯23)。そして、ステップ♯6に移行する。尚、ステップ♯23からステップ♯6に移行した場合、代行受信先を送信先として更なるリダイヤルが行われる。
【0139】
このようにして、本発明の通信システム100、ファクシミリ装置では、通信部9は、代行受信先(例えば、代行複合機1A)への条件付送信の送信が失敗したとき、受信条件を外して代行受信先に送信を行う。これにより、受信条件を外すことで、通常のファクシミリ送信と同様にすることで、代行受信先でデータを受信させることもできる。従って、確実にデータを相手方に到達させることができる。
【0140】
他の実施形態を説明する。上記の説明では、送信側ファクシミリ装置、受信側ファクシミリ装置、代行受信するファクシミリ装置として、いずれも複合機1を用いる例を説明した。しかし、送信側、受信側、代行受信のいずれか、あるいは全てに関し、複合機1に変えて、FAX専用機を用いてもよい。
【0141】
本発明の実施形態を説明したが、本発明の範囲はこれに限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えて実施することができる。
【産業上の利用可能性】
【0142】
本発明はファクシミリ装置や、通信システム100に利用可能である。
【符号の説明】
【0143】
1 複合機 1T 送信側複合機(ファクシミリ装置)
1R 受信側複合機(受信側装置、ファクシミリ装置)
1A 代行複合機(代行受信先、ファクシミリ装置)
2 操作パネル 21 液晶表示部(報知部)
22 タッチパネル部(入力部) 23 テンキー部(入力部)
5 画像形成部 9 通信部
100 通信システム SV サーバ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ファクシミリ通信での条件を入力するための入力部と、
前記入力部になされた前記条件に従ったファクシミリ送信である条件付送信を行ったところ、本来の送信先である受信側装置が受信できないときに代替受信を行う代行受信先のアドレス情報の通知を受信した場合、前記代行受信先に対し前記条件付送信を行い、前記代行受信先への前記条件付送信の送信が失敗したとき、前記代行受信先への前記条件付送信のリダイヤルを行わない通信部と、を含むことを特徴とするファクシミリ装置。
【請求項2】
前記通信部は、受信側装置が受信可能状態となっている旨を受信したことをトリガとして、前記条件付送信を前記受信側装置に向けて送信することを特徴とする請求項1記載のファクシミリ装置。
【請求項3】
前記通信部は、前記受信側装置が受信可否状態か否かを認識するサーバから受信側装置が受信可能状態となっている旨を受信したことをトリガとして、前記前記条件付送信を前記受信側装置に向けて送信することを特徴とする請求項1又は2に記載のファクシミリ装置。
【請求項4】
前記通信部は、前記代行受信先への前記条件付送信の送信が失敗してから、前記条件がないときの待ち時間以上の予め定められた待ち時間の経過後、前記受信側装置に向け前記条件付送信のリダイヤルを行うことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のファクシミリ装置。
【請求項5】
前記通信部は、前記代行受信先への前記条件付送信の送信が失敗したとき、前記条件を外して前記代行受信先に送信を行うことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のファクシミリ装置。
【請求項6】
少なくともメッセージを報知する報知部、を含み、
前記報知部は、前記受信側装置及び/又は前記代行受信先への前記条件付送信のリダイヤルを予め定められた回数行っても前記条件付送信が全て失敗したとき、前記条件付送信が完了していない旨のエラーメッセージを報知することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載のファクシミリ装置。
【請求項7】
用紙に画像を形成する画像形成部、を含み、
前記画像形成部は、前記受信側装置及び/又は前記代行受信先への前記条件付送信のリダイヤルを予め定められた回数行っても前記条件付送信が全て失敗したとき、前記条件付送信が完了していない旨のエラーメッセージを含む画像を形成することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載のファクシミリ装置。
【請求項8】
前記条件付送信は、Fコード送信、及び/又は、暗号送信であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載のファクシミリ装置。
【請求項9】
送信元ファクシミリ装置と、前記送信元ファクシミリ装置の送信先としての受信側装置と、を含む通信システムであって、
前記送信元ファクシミリ装置は、
ファクシミリ通信での条件を入力するための入力部と、
前記入力部になされた前記条件に従ったファクシミリ送信である条件付送信を行ったところ、前記受信側装置が受信できないときに代替受信を行う代行受信先のアドレス情報通知を受信した場合、前記代行受信先に対し前記条件付送信を行い、前記代行受信先への前記条件付送信の送信が失敗したとき、前記代行受信先への前記条件付送信のリダイヤルを行わない通信部と、を有することを特徴とする通信システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2012−99963(P2012−99963A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−244561(P2010−244561)
【出願日】平成22年10月29日(2010.10.29)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】