説明

ファクターXIIaのフォーム

【課題】ファクターXIIa(“接触活性化系”の成分)及び新規なファクターXIIaの分子量フォームを提供する。
【解決手段】本発明は、ファクターXIIaの53Kd新規フォーム及び核酸分子、モノクローナル及びポリクローナル抗体並びにハイブリドーマ細胞株を含む関連生成物に関するものである。また、本発明は、ファクターXIIaの53Kdフォームのための分析及び診断における前記分析の使用及び、例えば、心筋梗塞後の生存の予測における予測方法に関するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ファクターXIIa(“接触活性化系”の成分)及びファクターXIIaの新規な分子量フォームに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ファクターXIIは通常の血液中に存在する不活性酵素原である。それは生体内で、カリクレイン、高分子量キニノゲン及び負に帯電した表面の存在下で、酵素として活性であるフォーム、ファクターXIIaに容易に転換する。生体内における、ファクターXIIaの二つのフォームが、従来、報告されている。セリン・プロテイナーゼの80Kdフォーム(しばしばファクターαファクターXIIaと呼ばれる。)は、28Kdの軽鎖に対してジスルフィド結合により結合した52Kdの重鎖を有している。このファクターのタンパク質分解は、前記重鎖からペプチドを放出して、生成物であるファクターβXIIaを生じさせ、該ファクターβXIIaはセリン・プロテアーゼ活性を維持するが、しかし、前記ファクターにおいては、ファクターαファクターXIIaの28Kd鎖は、先の52Kd重鎖から誘導された小さいペプチドフラグメントにジスルフィド結合している。多くの場合において、前記小さいペプチドフラグメントは約1000dの分子量を有するが、しかし、異なる寸法のフラグメントが生体内で観察された。
【0003】
国際特許出願公開第90/08835号パンフレット(特許文献1)はファクターXIIaに対するイムノアッセイを開示しており、国際特許出願公開第90/08835号パンフレットはまた、モノクローナル抗体2/215及び201/9(これらは、ファクターXIIaの全ての既知分子量フォームに結合している。)及びそれらの産生方法を開示している。モノクローナル抗体(mAb)2/215は、1990年1月16日に、英国、サリスバリー エスピー40ジェイジー(Salisbury SP40JG)、ポートン ダウン(Porton Down)、ピーエイチエルエス センター フォー アプライド ミクロバイオロジー アンド リサーチ(PHLS Centre for Applied Microbiology and Reserch)、ディビジョナル オブ バイオロジクス(Divisinal of Biologics)のヨーロピアン コレクション オブ アニマル セル カルチャーズ(European Collection of Animal Cell Cultures)(ECACCとして知られている。)に、寄託番号第90011606号の下に寄託され、そして、2004年6月14日にECACCに、寄託番号第04061403号の下に再寄託されたハイブリドーマ2/215により産生される。モノクローナル抗体201/9を産生するハイブリドーマ201/9は、1990年1月18日にECACCに、寄託番号第90011893号の下に寄託され、そして2004年6月14日にECACCに、寄託番号第04061402号の下に再寄託された。
【0004】
ファクターXIIaは、生体内の血液凝集の接触系に関わることが従来知られていた。より最近の研究は、ファクターXIIaはまた、線維素溶解、キニン生成及び更に補体活性化及び血管形成を含む他の系に関わることを指摘している。多くの臨床及び実験データが蓄積され、前記接触系が血液凝固以外にも拡張していること及び、それは血管完全性及び血圧を維持する役割を有すること、それは内皮細胞の種々の機能に影響を及ぼすこと及び、それは線維素溶解の制御及び血管内腔の持続的抗凝固性の維持に関与することを示唆している。別の臨床的及び実験的研究は、前記接触系が急性又は慢性炎症、異なる原因によるショック、糖尿病、アレルギー、播種性血管内血液凝固を含む血栓−出血性障害、並びに腫瘍疾患に関与することを示している。このような症状は、敗血症、自然流産及び血栓塞栓症を含む。加えてファクターXIIaは、組織防御及び修復に関与し得る。ヤロヴ
ァヤ等[ヤロヴァヤ,ジー.エイ.(Yarovaya G.A.)、ブロクヒナティー.ビー.(Blokhina T.B,)及びネシュコヴァ イー,エイ.(Neshkova E.A.)、「接触系。活性化機構及び生物学的調整機構についての新概念。(Contact system,New concepts on acivion mechanisms and bioregulatary functions,)]、バイオケミストリー(Biochemisutry)(モスクワ)、2002年1月、第67巻(第1号):第13〜24頁(非特許文献1)は前記接触系及び活性化機構及び生物学的調整機構についての新概念の最近の概説である。
【0005】
国際特許出願公開第04/057343号パンフレット(特許文献2)は、ファクターXIIaが体内に種々のフォームで存在し、そしてこれらの異なるフォームの濃度の測定が種々の臨床病態に対する有意義な情報を提供することを開示している。
【特許文献1】国際特許出願公開第90/08835号パンフレット
【非特許文献1】ヤロヴァヤ等[ヤロヴァヤ,ジー.エイ.(Yarovaya G.A.)、ブロクヒナティー.ビー.(Blokhina T.B,)及びネシュコヴァ イー,エイ.(Neshkova E.A.)、「接触系。活性化機構及び生物学的調整機構についての新概念。(Contact system,New concepts on acivion mechanisms and bioregulatary functions,)]、バイオケミストリー(Biochemisutry)(モスクワ)、2002年1月、第67巻(第1号):第13〜24頁
【特許文献2】国際特許出願公開第04/057343号パンフレット
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、高性能液体クロマトグラフィー及び質量分析法により測定された53Kdの分子量を有するファクターXIIaの新規フォームを提供する。好ましくは、前記ファクターXIIaの新規フォームはヒトのものであり、そして図1及び図2にそれぞれ示された実質的なアミノ酸配列を有するものである。ファクターXIIaの53Kdフォームは、ジスルフィドブリッジにより一緒に保持された二つのペプチド鎖を有している。図1は、“重鎖”と表記される、第一ペプチドのアミノ酸配列を示す。図1は、“軽鎖”と表記される、第二ペプチドのアミノ酸配列を示す。好ましくは、前記配列の少なくとも一方、より好ましくは双方は、図1及び図2の配列と、10%を越えないで、またより好ましくは8%を越えないで、より好ましくは6%を越えないで、またより好ましくは4%を越えないで、またより好ましくは2%を越えないで、異なっている。好ましくは、重鎖及び軽鎖は、図1及び図2に示されるものと実質的に同一の長さのものである。本発明はまた、ファクターXIIaの53Kdフォームのペプチドの一方又は双方をエンコードしている単離された核酸分子を提供する。
【0007】
本発明は、ファクターXIIaの53Kdフォームのエピトープの一つ又はそれより多くに結合している抗体を提供し、そしてまた前記抗体のエピトープ結合フラグメント又は誘導体、例えばFabフラグメント、F(ab’)2 フラグメント、又はFab発現ライブラリー、或いは、ファクターαXIIa及びファクターβXIIaの一つ又はそれより多くとの10%又はそれ未満、好ましくは5%又はそれ未満、更により好ましくは2%又はそれ未満、更により好ましくは1%又はそれ未満、更により好ましくは0.5%又はそれ未満、更により好ましくは0.1%又はそれ未満の補正された交差反応性を有する抗イディオタイプ(抗Id)抗体により製造されたフラグメント生成物を提供する。本発明の抗体は、固体支持体上に固定され得るか、又は検出可能な標識が付けられ得る。本発明の抗体は、モノクローナル抗体又はポリクローナル抗体であってよい。
【0008】
本発明はまた、本発明のモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ細胞株及び、本
発明のハイブリドーマ細胞株を成長培地中で培養し、そして該成長培地から抗体を得ることを含む、このようなモノクローナル抗体を産生する方法を提供する。
【0009】
本発明はまた、ファクターXIIaの53Kdフォーム又はその抗原性フラグメント中に存在する抗原を哺乳類に接種し、そして前記哺乳類の血漿からの抗体血清を精製することを含む、ポリクローナル抗体血清を産生する方法を提供する。
【0010】
本発明はまた、ファクターXIIaの53Kdフォーム中に存在する抗原を哺乳類に投与し、前記哺乳類から抗体産生性細胞を得、得られた抗体産生性細胞を骨髄腫と融合させるか、或いは、前記細胞を不死化し、そして得られたハイブリドーマをモノクローナル抗体の産生のために選別することを含む、本発明のハイブリドーマ細胞株を産生する方法を提供する。
【0011】
抗原とそれに結合する抗体との間の相互作用、及び所定量の抗原を使用して得られた結果を参照した流体試料中に存在する抗原の量の決定を含む、該流体試料中の抗原に対するイムノアッセイを行う方法であって、抗体が本発明の抗体であり、そして抗原がファクターXIIaの53Kdフォームであることを特徴とする方法を提供する。
【0012】
抗原と抗体との間の相互作用並びにあらゆる得られた抗体−抗原コンプレックスの検出及び/又は決定を含む定性又は定量イムノアッセイに試料を付すことを含む、該試料中のファクターXIIaの53Kdフォームを検出及び/又は決定する方法であって、抗体が本発明の抗体であり、そして抗原がファクターXIIaの53Kdフォームであることを特徴とする方法を提供する。
【0013】
試料中のファクターXIIaの53Kdフォームを検出又は決定する方法であって、ファクターXIIaの53KdフォームをファクターXIIaの他のフォーム(前記ファクターXIIaの他のフォームは、好ましくは、ファクターXIIaの非53Kdフォームである。)に対して優先的に検出又は決定することが可能な方法を行うことを含む方法を提供する。
【0014】
一実施態様において、本発明の方法は、調査中のファクターXIIaの53KdフォームをファクターXIIaの他のフォームに対して優先的に決定することが可能な分析により、前記調査中のファクターXIIaの53Kdフォームを検出又は決定することを含む。
【0015】
他の実施態様において、本発明の方法は、調査中のファクターXIIaの53KdフォームをファクターXIIaの他のフォーム(前記ファクターXIIaの他のフォームは、好ましくは、ファクターXIIaの非53Kdフォームである。)から分離し、そして分離されたファクターXIIaの53Kdフォームを検出又は決定することを含む。
【0016】
分離されたファクターXIIaの53Kdフォームを検出又は決定は、調査中のファクターXIIaの53KdフォームをファクターXIIaの他のフォーム(前記ファクターXIIaの他のフォームは、好ましくは、ファクターXIIaの非53Kdフォームである。)に対して優先的に決定することが可能な分析手段によってでよい。
【0017】
別の実施態様において、本発明の方法は、試料を、調査中のファクターXIIaの53Kdフォームに結合可能であり且つ所望により更にファクターXIIaの他の分子量フォームに結合可能な標識化された抗体と接触させ、前記調査中のファクターXIIaの53Kdフォームを他のフォーム(前記ファクターXIIaの他のフォームは、好ましくは、ファクターXIIaの非53Kdフォームである。)から分離し、そしてファクターXI
Iaの53Kdフォームを検出又は決定することを含む。
【0018】
本発明はまた、病気又は疾患を有するか又は疑われる被検者における前記病気又は疾患に対する感受性、前記病気又は疾患の進行、或いは前記病気又は疾患の転帰、或いは、前記病気又は疾患の治療の転帰を診断、モニター又は予測する方法であって、
前記被検者から得られた試料におけるファクターXIIaの53KdフォームをファクターXIIaの他の、好ましくは53Kdではないフォームに対して優先的に検出又は決定し、そして該被検者から得られた結果を、
(i)前記病気又は疾患を有する被検者、
(ii)前記病気又は疾患の進行及び/又は転帰についてモニターされていた、前記病気又は疾患を有する被検者、
(iii)前記病気又は疾患を有し、そして治療中の被検者、
(iv)前記病気又は疾患の進行及び/又は転帰に対する治療についてモニターされていた、前記病気又は疾患を有し、そして治療中の被検者、
(v)前記病気又は疾患を有しない被検者、
(vi)前記病気又は疾患の発症前、或いは前記病気又は疾患の治療の開始前の同一被検者、並びに
(vii)前記病気又は疾患の或いは前記病気又は疾患の治療の初期又は後期段階にあるか、或いは前記病気又は疾患の発症前の同一被検者
の少なくとも何れか一つ又はそれより多くから得られた試料に対する同様の分析を使用して得られた結果と比較することを含む方法を提供する。
【0019】
本発明は更に、病気又は疾患を有するか又は病気又は疾患を治療中の被検者から得られた試料に対して、53KdファクターXIIaについての一連の分析を行い、そして前記病気又は疾患或いは前記治療に関連する53KdファクターXIIa濃度に対する情報を提供する分析を選択することを含む方法を提供する。
【0020】
病気又は疾患を有するか又は疑われる被検者における前記病気又は疾患に対する感受性、前記病気又は疾患の進行、或いは前記病気又は疾患の転帰、或いは、病気又は疾患の治療の転帰を診断、モニター又は予測するための情報を提供するのに適する、ファクターXIIaの53Kdについての分析を提供する方法であって、
前記病気又は疾患を有するか又は前記病気又は疾患を治療中の被検者から得られた試料に対して、53KdファクターXIIaについての一連の分析を行い、そしてどの分析が前記病気又は疾患に対する感受性、前記病気又は疾患の進行、或いは前記病気又は疾患の転帰、或いは、前記病気又は疾患の治療の転帰を診断、モニター又は予測することに関連する53KdファクターXIIa濃度に対する情報を提供するかを決定することを含む方法を提供する。
【0021】
前記方法は好ましくは、前記病気又は疾患を有するか或いはその治療中である被検者から得られた試料における53KdファクターXIIaについて得られた結果を、
(i)前記病気又は疾患を有する被検者、
(ii)前記病気又は疾患の進行及び/又は転帰についてモニターされていた、前記病気又は疾患を有する被検者、
(iii)前記病気又は疾患を有し、そして治療中の被検者、
(iv)前記病気又は疾患の進行及び/又は転帰に対する治療についてモニターされていた、前記病気又は疾患を有し、そして治療中の被検者、
(v)前記病気又は疾患を有しない被検者、
(vi)前記病気又は疾患の発症前、或いは前記病気又は疾患の治療の開始前の同一被検者、並びに
(vii)前記病気又は疾患或いは前記病気又は疾患の治療の初期又は後期段階にあるか
、或いは前記病気又は疾患の発症前の同一被検者
の少なくとも何れか一つ又はそれより多くから得られた試料に対する同様の分析を使用して得られた結果と比較することを含む。
【0022】
図1及び図2は、53KdファクターXIIaを構成する二つのペプチド鎖のアミノ酸配列を示す。図1は“重鎖”の配列を示し、そして図1は“軽鎖”の配列を示す。
【0023】
図3は、図形フォームにおけるファクターXII酵素原を示す。太い暗線はペプチド鎖を示し、ジスルフィドブリッジは細く且つ短い線により示されている。アミノ末端は“N”で標識されており、そしてカルボキシル末端は“C”で標識されている。
【0024】
図4は、図3と同じ図形表現を使用した、図形フォームにおけるファクターαXIIaを示す。ファクターXIIと比較して、ペプチド鎖の短い領域が欠けているのが見出され得る。この欠けている領域は、残りのペプチドを、ジスルフィドブリッジにより一緒に保持されたままの二つの鎖に切断する。
【0025】
図5は、図3及び図4と同じ図形表現を使用した、図形フォームにおけるファクターβXIIaを示す。ファクターXIIと比較して、ファクターαXIIaにおいて欠けているペプチド鎖の短い領域がファクターβXIIaにおいても欠けているのが見出され得る。更に、ファクターαXIIaの重鎖のアミノ末端の大きい部分が欠けている。
【0026】
図6は、図3ないし図5と同じ図形表現を使用した、図形フォームにおける53KdファクターXIIaを示す。ファクターβXIIaの場合よりもファクターαXIIaのより多くの重鎖が残っているが、しかし、ファクターαXIIaの重鎖のアミノ末端の短いプロテインが欠けているのが見出され得る。
【0027】
図7は、放射性標識化されたモノクローナル抗体2/215Fabに結合したファクターXIIaの異なるフォームのHPLC分離から得られたトレースを示す。図7aは、分子量標準(670、158、44、17、1.35kD)に対するトレースを示す。図7bは、放射性標識化されたモノクローナル抗体2/215Fabに対するトレースを示す。図7cは、βXIIa及び放射性標識化されたモノクローナル抗体2/215Fabに対するトレースを示す。図7dは、αXIIa及び放射性標識化されたモノクローナル抗体2/215Fabに対するトレースを示す。図7eは、典型的な血漿及び放射性標識化されたモノクローナル抗体2/215Fabに対するトレースを示す。
【0028】
図8は、実施例2に記載された質量分析実験の結果を示す。低分子質量における多くのピーク(201/9プロットにおいて星印が付されている。)は、主53kDピークの多数のイオン化種である。
【0029】
図9は、実施例3に記載された53Kdのトリプシン消化の後の、MALDI−TOF分析の結果を示す。このプロットにおけるピークは、得られたペプチド配列の分子質量を示す。
【0030】
図10ないし図12は、実施例4に記載された実験から得られたデータを示す。
【0031】
図10は、胸痛で入院した患者に対するカプラン・マイヤー生存プロットを示す。前記患者は、53kDXIIa濃度に基づいて四つに分けられている。
【0032】
図11は、胸痛及び0.05ng/mLを越えるトロポニンT(TnT)で入院した患者に対するカプラン・マイヤー生存プロットを示す。前記患者は、53kDXIIa濃度
に基づいて四つに分けられている。
【0033】
図12は、胸痛及び0.05ng/mL未満又はそれに等しいトロポニンT(TnT)で入院した患者に対するカプラン・マイヤー生存プロットを示す。前記患者は、53kDXIIa濃度に基づいて四つに分けられている。
【0034】
図13及び図14は、実施例5に記載された実験から得られたデータを示す。
【0035】
図13は、心筋梗塞で病院に入院した後四日間にわたる、患者におけるXIIaの53kDフォーム(pMと表わされている。)の濃度変化を示す。
【0036】
図14は、心筋梗塞で病院に入院した後四日間にわたる、患者におけるXIIaの53kDフォームの濃度変化(入院時の値からの%変化で表わされている。)を示す。
【0037】
<定義>
抗体は、抗原に結合することが可能などのような抗体フラグメント、例えば、Fab及びF(ab)2 フラグメントも含み、並びにまた、組み換え抗体、キメラ抗体及びヒト化抗体抗体をも含む。
【0038】
抗体複合体、また検出抗体は、直接又は間接的に分析可能な標識を用いて標識化された抗体を示す。
【0039】
捕捉抗体は、イムノアッセイにおいて使用するために固体相上に固定されている抗体を示す。
【0040】
捕捉分析は、固体相上に固定された捕捉抗体を試料と接触させるイムノアッセイを示す。前記試料が固定された抗体に結合可能な抗原を含み、そして反応条件が適切である場合は、前記抗原は、固定された抗体との抗原−抗体コンプレックスを形成し得、そしてこの場合、前記固体相上に“捕捉”され、そしてその後検出又は決定され得る。
【0041】
細胞は、特記しない限り、無傷細胞、細胞断片及び細胞物質を示す。
【0042】
細胞ファクターXIIa及び細胞ファクターXIIは、細胞の表面に存在する、或いは、細胞、細胞断片又は細胞物質に結合したファクターXIIa及びファクターXIIをそれぞれ示す。
【0043】
検出は、定性検査を示す。
【0044】
検出及び/又は決定は、定量又は半定量検査を示す。
【0045】
ファクターXIIa、またいわゆる活性化されたファクターXIIは、酵素原(ファクターXII)のどのような酵素活性化フォーム又はフラグメントをも示す。
【0046】
高親和性の結合性パートナーは、ファクターXIIaとコンプレックス(このコンプレックスは、単純な方法により、例えば、洗剤の添加により又は他の種との競合により、分解され得ない。)を形成する分子を示す。
【0047】
脂質が結合したファクターXIIaは、脂質物質が結合した、例えば、脂質、とりわけリポプロテイン及びその断片が結合したファクターXIIaを示す。
【0048】
低親和性の結合性パートナーは、ファクターXIIaとコンプレックス(このコンプレックスは、単純な方法により、例えば、界面活性剤の添加により又は他の種との競合により、容易に分解され得る。)を形成する分子を示す。
【0049】
モノクローナル抗体(mAb)2/215、またいわゆる抗体2/215は、1990年1月16日に、英国、サリスバリー エスピー40ジェイジー、ポートン ダウン、ピーエイチエルエス センター フォー アプライド ミクロバイオロジー アンド リサーチ、ディビジョナル オブ バイオロジクスのヨーロピアン コレクション オブ アニマル セル カルチャーズ(ECACCとして知られている。)に、寄託番号第90011606号の下に寄託され、そして、2004年6月14日にECACCに、寄託番号第04061403号の下に再寄託されたハイブリドーマ2/215により産生された抗体である。
【0050】
モノクローナル抗体(mAb)2/215類似体は、mAb2/215抗体のものと実質的に同一のファクターXIIa結合性を有する抗体を示す。
【0051】
モノクローナル抗体(mAb)201/9、またいわゆる抗体201/9は、1990年1月18日にECACCに、寄託番号第90012512号の下に寄託され、そして2004年6月14日にECACCに、寄託番号第04031402号の下に再寄託されたハイブリドーマ201/9により産生された抗体である。
【0052】
モノクローナル抗体(mAb)201/9類似体は、mAb201/9抗体のものと実質的に同一のファクターXIIa結合性を有する抗体を示す。
【0053】
細胞を含む試料は、細胞を含む体液の試料及び単離された細胞の試料の双方を示す。
【0054】
種及びフォームは、ファクターXIIaに関して互換可能に使用される用語である。それらは、本明細書において“分子量変異体”又は“分子量フォーム”の如く表現される、異なるペプチド長さのものであるファクターXIIaのフォームを相互に区別するために使用され、そしてまた、異なる結合性フォームで存在するファクターXIIaのフォームを相互に区別するために使用される。ファクターXIIaの既知の分子量フォームはファクターαXIIa、ファクターβXIIa、ファクターγXIIa及び53KdファクターXIIaである。53KdファクターXIIaは、本明細書において最初に開示されている。ファクターXIIaの結合性フォームの例は、細胞ファクターXIIa、脂質が結合したファクターXIIa及び尿ファクターXIIaを含む。“ファクターXIIaのフォーム”の例は、前記表現が更なる限定条件なく使用される場合は、下記の具体的フォーム:細胞ファクターαXIIa及び尿53KdファクターXIIaを含む。ファクターXIIaの既知の非53Kd分子量フォームは、ファクターαXIIa、ファクターβXIIa及びファクターγXIIaである。
【0055】
ug及びuLは、マイクログラム及びマイクロリットルをそれぞれ示す。
【0056】
尿ファクターXIIaは、尿中に存在するファクターXIIaを示す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0057】
ファクターXIIaの分子量変異体
本発明は、生体内において、ファクターXIIa(活性化されたファクターXII)が約53Kdの分子量を持つ種として主に存在し、それ故、この53Kd種の測定が種々の臨床病態に関連する情報を提供する可能性があるという、我々の驚くべき観察に基づいている。このような情報は、ファクターXIIaの53KdフォームとファクターXIIa
の他の分子量フォームとを相互に区別することができない、ファクターXIIaを測定する方法から得られた情報よりもより正確であろう。本発明が基づくファクターXIIaの新規53Kdフォームは、都合上“ファクターXIIaの53Kdフォーム”又は短く“53KdXIIa”と表現されるが、この表現はその範囲内に、53KdXIIaと実質的に同じ長さのペプチド鎖を有するが、しかし、選択的リン酸化反応、グリコシル化又は他の誘導体化のせいで53Kdと異なる分子量を有するファクターXIIaの変異体を含み、そしてまた、他の化合物とコンプレックス化しているか又は他の化合物に結合しているために、測定された場合に非53Kd分子量を有することが認められる53KdXIIaのフォームを含む。それ故、表現“ファクターXIIaの53Kdフォーム”は、ファクターXIIaのこのようなフォームに対する言及は、例えば、細胞成分にまだコンプレックス化している間に測定した場合に、実質的に53Kdを越える分子量を有し得る細胞53KdXIIaに対する言及を含むという事実に係わらず、ファクターXIIaの典型的な53Kdフォームと同様のペプチド鎖を有するファクターXIIaペプチドを含むファクターXIIaのフォームを示すために使用される。“ファクターXIIaの53Kdフォーム”又は“53KdXIIa”は、ファクターXIIaの新規53Kd分子量変異体、例えば尿53KdXIIa及び細胞53KdXIIaを含むファクターXIIaのどのようなフォームをも示す。好ましくは、53KdXIIaのアミノ酸配列は、図1及び図2に開示されたものと同様である。しかしながら、前記表現は、母集団の健康個体中に存在するが、しかし、自然に生じる対立遺伝子多様性が原因で配列が変化している変異体及びまたペプチドの酵素活性又は抗原性に物質的に影響を及ぼさないアミノ酸置換、とりわけ保存アミノ酸置換を行うことにより造られた人工的に生じた配列変異体をも包含する。
【0058】
ファクターXIIaのフォーム
ファクターXIIaペプチドの分子量変異体の図形表現を図3ないし図6に示す。不活性な酵素原ファクターXIIの進行性分解の結果のファクターXIIaの分子量及びペプチド鎖配列を反映しているファクターXIIaのフォームにおける変異が図3に示される。ファクターXIIは切断されて、ファクターαXIIaと呼ばれそして図4に“アルファXIIa”として記載されている80Kd活性セリン・プロテイナーゼを生じ、これはジスルフィド結合により28Kd軽鎖に結合した52Kd重鎖を含む。前記ファクターのタンパク質分解は前記重鎖からペプチドを放出し、そしてファクターβXIIaと呼ばれそして図5に“ベータXIIa”として記載されている生成物を生じさせ、該生成物はセリン・プロテアーゼ活性を保持するが、しかし該生成物においては、αXIIaの28Kd鎖は、前者の52Kd重鎖から誘導される小さいペプチドフラグメントにジスルフィド結合している。ファクターβXIIaは更なるタンパク質分解的切断を起こし得、約15Kdの分子量を持つフラグメントを生じさせ、これはファクターγXIIa(図3ないし図6に示されていない。)と呼ばれている。図6は、“53KDXIIa”と名付けられた、ファクターXIIaの53Kdフォームを示す。図から分かるように、53KdXIIaは、ファクターαXIIaの軽鎖を共有する。前記鎖は、ファクターαXIIa中に見出されるものよりも長さが短いが、しかし、ファクターβXIIa中に見出されるものよりも長さが長い第二鎖に結合している。53KdXIIaのペプチドのアミノ酸配列を図1及び図2に示す。混乱を避けるために、ファクターαXIIa(図4)中に見出されるペプチド鎖の相当寸法から誘導される用語“重鎖”及び“軽鎖”は、ファクターXIIaの他の分子量フォーム中におけるペプチド鎖を記載するために使用する場合に、本明細書を通じて維持されることを特記すべきである。それ故、ファクターαXIIaの軽鎖に相当する鎖は、ファクターβXIIa及び53KdファクターXIIa中に存在する場合に、“重鎖”と記載される他の鎖が実際には前記プロテインにおいてより短い鎖であるという事実にも係わらず、“軽鎖”と継続して記載される。
【0059】
53KdファクターXIIaプロテイン
53KdファクターXIIaプロテイン及びそれらの構成要素ペプチド鎖は、本発明の範囲に含まれる。このようなプロテイン及びペプチドは、種々の用途のために製造され得る。これらの用途は、抗体の産生、診断分析における試薬としての使用並びに、医学的疾患又は病気の治療のために医薬として使用し得る化合物を分別するための分析における試薬としての使用を含むが、しかし、それらに限定されるものではない。本発明の53Kdファクタープロテイン配列は、図1及び図2中に存在する配列並びにそれらの類似物及び誘導物を含む。更に、他の種からの対応する相同物は、本発明に含まれる。本発明はまた、53KdファクターXIIaに機能的に等しいプロテインを含み、このようなプロテインは、一つ又は二つのペプチドのアミノ酸配列内のアミノ酸残部の置換を含むものを含むが、しかし、それらに限定されるものではない。アミノ酸置換は、極性、電荷、溶解度、疎水性、親水性、及び/又は含まれる残部の両親媒性における類似性に基づいて行われ得る。例えば、非極性(疎水性)アミノ酸は、アラニン、ロイシン、イソロイシン、バリン、プロリン、フェニルアラニン、トリプトファン及びメチオニンを含み;極性の中性アミノ酸はグリシン、セリン、スレオニン、システイン、チロシン、アスパラギン及びグルタミンを含み;正に帯電した(塩基性)アミノ酸はアルギニン、リジン及びヒスチジンを含み;並びに負に帯電した(酸性)アミノ酸はアスパラギン酸及びグルタミン酸を含む。
【0060】
種々の宿主発現ベクター系が、本発明のプロテイン及びペプチドを発現するために使用され得る。適する発現系及び、前記発現系からのプロテイン及びペプチドの精製又は富化方法は、例えば国際特許出願公開第02/00720号パンプレット(これは、参照として、本明細書中に取り込まれている。)中に見出され得る。
【0061】
53KdXIIaをエンコードしている核酸
本発明は、本発明のプロテイン又はペプチドをエンコードし得るどのような核酸をも含む。前記アミノ酸の相補体もまた、本発明に含まれる。本発明の核酸は、適する核酸ライブラリーから単離され得、遺伝子バンク記録NP_000496におけるファクターXIIの開示された配列を利用して設計された適するプライマーを使用するPCRにより単離され得るか、或いは、公知でありそして、例えば、国際特許出願公開第02/00720号パンプレット及びそれに含まれる文献に記載された標準法により合成され得る。好ましくは、本発明の核酸は、53KdファクターXIIaのペプチドを単独でエンコードする。好ましくは、本発明の核酸は、53KdファクターXIIaのペプチドに存在しないアミノ酸配列をエンコードする配列を含まない。好ましくは、本発明の核酸は、53KdファクターXIIaのペプチドに存在しないが、しかし、ファクターXIIaの一つ、それより多く又は全ての非53Kdフォームのペプチド内に存在する配列を含まない。
【0062】
本発明の核酸を含む生成物
本発明はまた、DNAベクター、とりわけ本発明の一つ又はそれより多くの核酸を含むDNA発現ベクター;本発明の一つ又はそれより多くの核酸或いはDNAベクターを含む遺伝子操作された宿主細胞;並びに非ヒト遺伝子組み換え動物、例えば本発明のプロテイン又はペプチドを遺伝子組み換え的に発現するマウス、ラット、豚、山羊、雌牛又は鶏を包含する。
【0063】
ファクターXIIaの別の結合フォーム
例えば、ファクターαXIIa、βXIIa、γXIIa又は53KdXIIaのような、その異なる分子量フォームの何れか一つにおけるファクターXIIaは、高親和性の結合性パートナー、例えば、阻害剤、例えばClエステラーゼ阻害剤、及び他の結合性プロテイン、例えば、低親和性の結合性パートナーを含む他の分子種と結合し得る。ファクターXIIaと、このような他の結合性プロテイン、例えば、低親和性の結合性パートナーとの結合は、可逆的であり得、そして阻害プロテインに結合することを阻止し得、そしてそれ故、ファクターXIIa活性の阻害を低下又は妨げると主張されている。
【0064】
例えば、ファクターαXIIa、βXIIa、γXIIa又は53KdXIIaのような、その異なる分子量フォームの何れか一つにおけるファクターXIIaは、脂質、例えば、粒子及び/又は粒子の断片の形態であってよいリポプロテインと結合しそしてこれらから解離し得る。例えば、ファクターαXIIa、βXIIa、γXIIa又は53KdXIIaのような、その異なる分子量フォームの何れか一つにおけるファクターXIIaは、どのような細胞及び細胞フラグメントとも結合しそしてこれらから解離し得る。特に、細胞、細胞フラグメント、リポプロテイン及びリポプロテイン断片と結合したファクターXIIaの場合には、ファクターXIIaの一つの分子量フォームの幾つかの分子が、個々の粒子上に存在し得る。更に、ファクターXIIaの幾つかの分子が、同一の分子量フォームであっても又は異なる分子量フォームであっても、ファクターXIIa分子のコンプレックスとして存在し得る。
【0065】
国際特許出願公開第04/057343号パンプレットにおいて主張され、そして前記特許出願の図1に説明されたように、ファクターXIIaの異なる結合性フォームの間の相互変換の動力学的系が生体内に存在すると考えられる。ファクターXIIaの異なる結合性フォーム及びファクターXIIaの異なる分子量フォームは生理学及び病理学において異なる役割を有し、そして、ファクターXIIaの特定のフォームの優先的測定は、ファクターXIIaの定義されないフォームを測定することと比較して、病気及び疾患及びそれらの治療の診断、予測及びモニターにおいて改善された臨床的用途を与えることもまた主張された。
【0066】
細胞ファクターXIIa
ファクターXIIaへのファクターXIIの活性化が細胞表面で起こり得、そして前記仮説を支持するデータを提供することを多数の著者が示唆した。特に、著者において、ファクターXIIの活性化は、高分子量キニノゲン、プレカリクレイン及びファクターXIを含む複合分子集合体の構成を通して、細胞、特に内皮細胞上で起こることを示唆した。これらのモデルは、ファクターXIIaは活性化された後、前記集合体から解離し、そして長期間、細胞表面上に残らないことを示している[例えば、ヤロヴァヤ(Yavaya)等の文献を参照]。
【0067】
国際特許出願公開第04/057343号パンプレットは、ファクターXIIaは種々の結合性フォームで存在し、その一つは、血液中を循環している細胞及びその断片及びそれらから誘導される細胞物質の表面上に存在するファクターXIIaであるという観察を開示している。ファクターXIIaの前記フォームは、“細胞ファクターXIIa”と呼ばれた。
【0068】
別の観察は、ファクターXIIaが細胞性である場合、ファクターXIIaエピトープの全てが、ファクターXIIaが細胞性でない場合ほどにはアクセスし易い訳ではないことであった。例えば、モノクローナル抗体2/215は細胞ファクターXIIa及び非細胞ファクターXIIaに効果的に結合することが可能である。しかしながら、モノクローナル抗体201/9及びファクターβXIIaに対して生じた羊ポリクローナル抗体は、非細胞ファクターXIIaに対する場合と同様には、細胞ファクターXIIaに効果的に結合することが可能であるとは認められない。
【0069】
血液中で、ファクターXIIaは特に、顆粒球、とりわけフローサイトメトリーにおいて、他の顆粒球よりも僅かに高い分散を示し、それが、他の亜母集団とは異なる形態を示している、顆粒球の亜母集団に存在し得るようである。これらの観察は、臨床的な意義を有し得る。
【0070】
脂質が結合したファクターXIIa
幾つかのファクターXIIaが脂質、例えば、血液中のリポプロテイン及びその断片と結合しており、そして前記脂質が結合したファクターXIIaの測定は、種々の臨床病態に関係する情報を提供することもまた国際特許出願公開第04/057343号パンプレットから知られている。
【0071】
尿ファクターXIIa
国際特許出願公開第04/057343号パンプレットはまた、ファクターXIIaは尿中に存在すること、及び尿ファクターXIIaの測定は種々の臨床病態に対する情報を提供することを開示した。
【0072】
ファクターXIIaと他の分子種との分子コンプレックス及び結合
二つ又はそれより多くのファクターXIIa分子は、コンプレックスの形態で互いに結合し得、またファクターXIIaは、一つ又はそれより多くの他の分子種、例えば、高親和性の結合性プロテイン、例えば阻害分子、又は低親和性の結合性プロテインと結合し得る。ファクターXIIaの分子コンプレックス及びファクターXIIaと低親和性の結合性パートナーとの結合体を分解するが高親和性の結合性パートナーとの結合体を分解しないと予期させる界面活性剤の存在下及び非存在下でイムノアッセイを行った場合に得られた結果も、また、分子コンプレックス及び結合性パートナーとの結合体の存在を示す。
【0073】
ファクターXIIaの異なるフォームに対する抗体
mAb2/215及びmAb201/9により例示される先行技術の抗体は、ファクターXIIと結合しないが、しかし、本発明の新規53Kdフォームを含むファクターXIIaの全ての公知フォームと結合する。従ってそれらは、抗体の結合の前又は後に、それらがファクターXIIaの分子量フォームを区別する技術と組み合わせて使用されない限りは、ファクターXIIaの異なる分子量フォームを相互に区別するために使用することができない。ファクターXIIaの分子量フォームを区別するための適する技術は、クロマトグラフィー技術、例えばゲル電気泳動を含む。先行技術の抗体を使用し得る、53KdXIIaに対する特別な分析の例は、試料からファクターXIIa一般を免疫沈降させるために先行技術の抗体が使用され、そしてその結果得られたファクターXIIaを、その後、ファクターXIIaの異なる分子量フォームを分離するためにゲル上に流すものであった分析である。プロテインは、その後、一般的なプロテイン染色を用いるか又は、先行技術の抗体の一つを用いる染色により、ゲル上で視認化され得、そして、ゲル上の53Kdバンドの染色強度を観察することにより、53KdファクターXIIaの濃度が測定され得る。
【0074】
上記の分析は行うことが比較的容易であるけれども、分子量分別に対する必要性を除くことにより、それをまた更に簡略にすることが望ましい。このような改良は一工程分析をもたらし、それ故、利点が有る。53KdファクターXIIaと、一つ又はそれより多くのファクターXIIaの非53Kdフォームとを区別することが可能な本発明の抗体の産生を以下に記載する。
【0075】
53KdファクターXIIa−特異的抗体の産生
抗体の産生のために、適する抗原を注射することにより、種々の宿主動物が免疫化され得る(以下の、抗原選択の詳細を参照)。このような宿主動物は、豚、兎、マウス、山羊、馬及びラットを含み得るが、しかし、それらに限定されるものではない。宿主に依存する免疫応答を増加させるために、フロインドアジュバント(完全及び不完全)、鉱物塩例えば水酸化アルミニウム又は燐酸アルミニウム、界面活性物質例えばリゾレシチン、プルロニックポリオール、多価アニオン、ペプチド、油性乳剤、及び潜在的に有用なヒトアジュバント例えばBCG[バシル カルメット−ゲリン(bacille Calmett
e−Guerin)]及びコリネバクテリウム パルバム(Corynebacterium parvum)を含むが、しかし、それらに限定されない種々の助剤が使用され得る。
【0076】
或いはまた、免疫応答は、応答強化剤、例えばキーホールリンペットヘモシアニン、破傷風トキソイド、ジフテリアトキソイド、オボアルブミン、コレラ毒素又はそれらのフラグメントと組み合わせる及び/又は結合させることにより、増加され得る。
【0077】
ポリクローナル抗体は、免疫化動物の血清から誘導される抗体分子の不均質な集団である。
【0078】
特定の抗原に対する抗体の均質な集団であるモノクローナル抗体は、培養液中での連続継代細胞系による抗体分子の産生を提供する如何なる技術によっても得ることができる。
【0079】
これらは、コーラー(Kohler)及びミルシュタイン(Milstein)[1975年、ネイチャー(Nature)、256、495〜497、及び米国特許第4,376,110号明細書]のハイブリドーマ技術、ヒトB−細胞ハイブリドーマ技術[コスボー(Kosbor)他、1983年、今日の免疫学(Immunology Today)4、72;コール(Cole)他、1983年、Proc.Natl.Acad.Sci.米国、80、2026〜2030]並びに、EBV−ハイブリドーマ技術[コール(Cole)他、1985年、モノクローナル抗体及び癌治療(Monoclonal Antibodies And Cancer Therapy)、アラン アール. リス インコーポレーテッド(Alan R. Liss Inc.)、第7796頁、を含むが、しかし、それらに限定されるものではない。
【0080】
mAbを産生する本発明のハイブリドーマは生体内又は生体外で培養され得、そして、得られたmAbは慣用技術により精製される。生体内における高力価のmAbの産生は、これを好ましい産生方法になし得る。しかしながら、動物の使用に関する法的、商業的又は倫理的制約が生体内での産生を望ましくないものにする場合には、生体外の産生が好ましいことであり得る。
【0081】
加えて、適切な抗原特異性のマウス抗体分子からの遺伝子を、適切な生物学的活性のヒト抗体分子からの遺伝子と一体に接続することにより、“キメラ抗体”[モリソン(Morrison)他、1984年、Proc.Natl.Acad.Sci.、81、6851〜6855;ノイベルガー(Neuberger)他、1984年、ネイチャー、312、604〜608;タケダ(Takeda)他、1985年、ネイチャー、314、452〜454]の産生のために開発された技術を使用することができる。キメラ抗体は、ネズミmAb及びヒトイムノグロブリン定常領域から誘導される可変領域を有するもののような、異なる部分が異なる動物種から誘導される分子である。このような技術は、米国特許第6,075,181号明細書及び同第5,877,397号明細書並びにそれらの個別の開示(これらは、その全体にわたり、参照として本明細書中に取り込まれている。)に記載されている。本発明により更に包含されるのは、米国特許第6,150,584号明細書(これは、その全体にわたり、参照として本明細書中に取り込まれている。)に記載されたような、完全ヒト化モノクローナル抗体の使用である。ヒト又はヒト化動物mAbは、ヒトにおける治療用途のために好ましいものであり得る。
【0082】
或いはまた、一本鎖抗体の産生のための記載された技術[米国特許第4,946,778号明細書;バード(Bird)、1988年、サイエンス(Science)、242、423〜426;ヒューストン(Huston)他、1988年、Proc.Natl.Acad.Sci.、米国、85、5879〜5883;及びウォード(Ward)他
、1989年、ネイチャー、341、544〜546]が、一本鎖抗体の産生のために採用され得る。一本鎖抗体は、Fv領域の重鎖フラグメントと軽鎖フラグメントとをアミノ酸ブリッジを介して結合させ、一本鎖ポリペプチドを得ることにより形成される。
【0083】
特定のエピトープを認識する抗体フラグメントは、公知技術により製造され得る。例えば、このようなフラグメントは、抗体分子のペプシン分解により産生され得るF(ab’)2 フラグメント及び、F(ab’)2 フラグメントのジスルフィドブリッジを還元することにより製造され得るFabフラグメントを含むが、しかし、それらに限定されるものではない。或いはまた、望ましい特異性を持つモノクローナルFabフラグメントを迅速且つ容易な同定を可能にするために、Fab発現ライブラリーが構築され得る[ヒュース(Huse)他、1989年、サイエンス、246、1275〜1281]。
【0084】
本発明の53KdファクターXIIaに対する抗体は、当業者に知られている技術[例えば、グリーンスパン(Greenspan)及びボナ(Bona)、1993年、FASEB J.7(5)、437〜444;及びニシノフ(Nissinoff)、1991年、J.Immunol.147(8)、2429〜2438を参照]を使用して、53KdファクターXIIaを“模倣する”抗イディオタイプ抗体を製造するために使用され得る。
【0085】
本発明の抗体は、IgG、IgM、IgE、IgA、IgD及びこれらのどのような亜類をも含むどのような免疫グロブリン類のものであってもよい。
【0086】
抗体の産生のために適する抗原の選択及び製造
抗原の選択
本発明の抗原は、ファクターαXIIa及びファクターβXIIaの少なくとも一つに優先して53KdファクターXIIaに結合することが要求される。それ故それらは、53KdXIIaに存在し且つアクセス可能であるが、しかし、ファクターαXIIa及びファクターβXIIaの少なくとも一つに存在しないか又はアクセス不可能であるエピトープを認識する。抗原の選択に対する一つの研究手法は、それ故、53KdファクターXIIaに存在するが、しかし、ファクターβXIIaに存在しないアミノ酸配列を有するペプチド抗原を選択することである。このような配列は、ファクターβXIIaに存在しない53KdファクターXIIaの重鎖の一部に見出され得る。抗原の選択に対するまた別の研究手法は、53KdファクターXIIaの重鎖N−末端(この末端は、53Kdファクターにおいてのみ露出している。)を取り込むエピトープに対する抗体応答を引き上げる目的で、実質的に53KdファクターXIIa全体又はそのペプチド鎖又はその何れかのフラグメントを使用することである。抗原の選択に対するまた別の研究手法は、抗原として、ファクターαXIIa及び/又はファクターβXIIaに存在するが、しかし、53KdファクターXIIaにおいてのみ露出している配列を有するペプチドを選択することである。
【0087】
抗原の製造
プロテイン抗原の寸法、凝集の程度及び相対的天然性、即ち、相対的欠損又は変性は全て、産生された抗体の品質及び量に劇的な影響を及ぼし得る。小さいポリペプチド(<10Kda)及び非プロテイン抗原は、一般的に、免疫性を増加させ且つT細胞エピトープを産生するために、より大きい、免疫学的、キャリアプロテインと結合又は交差結合することが必要である。可溶性の、凝集していないプロテインの注射は、十分な抗体応答よりもむしろ耐性を生じさせ得る。それ故、前記抗原をより大きいプロテイン、例えばキーホールリンペットヘモシアニン(KLH)又はウシ血清アルブミン(BSA)と結合させることが望ましいことであり得る。ポリ−L−リジンもまた、小さい抗原ペプチドのための骨核として成功裏に使用されている。
【0088】
抗原の天然性の程度もまた、考慮する必要があり得る。天然プロテインから生じた抗体は、天然プロテインと最も良く反応し、そして、変性プロテインに対する抗体は、変性プロテインと最も良く反応する。変性プロテインを検出するために抗体を使用することを意図する場合には、抗体は好ましくは変性抗原に対して生じさせるべきである。他方、診断用途の場合に一般的であるように、天然プロテインを検出するために抗体を使用する場合には、抗体は好ましくは、天然又は実質的に天然の抗原に対して生じさせるべきである。適切なアジュバントの選択は、抗原の天然性を変更するために使用され得る。一般的に、予め形成された水中油乳化アジュバント中に吸収されたプロテイン抗原は、油中水乳剤中のものよりもより多くの天然プロテイン構造を維持している。
【0089】
抗原は常に、それらが微生物汚染を有しないことを保証する技術を使用して製造されるべきである。抗原組成物は、0.22μmフィルターを通すことにより滅菌され得る。
【0090】
ポリクローナル抗体の精製
ポリクローナル抗体及びモノクローナル抗体は、公知技術、例えば、プロテイン−A又はプロテイン−G親和性クロマトグラフィーカラムを使用して、非免疫グロブリン汚染物から精製され得る。本発明のポリクローナル抗体は、交差反応性を除去又は低減するために、更なる精製を必要とし得る。ファクターXIIaの非53Kdフォームとの交差反応性を除去するために、親和性精製法により、ポリクローナル血清から前記抗体種を除去することが必要であり得る。フィッシャー(Fisher)他、1988年、セル(Cell)、54、813〜822(この開示は、参照として本明細書中に取り込まれている。)は、ポリクローナル抗体の親和性精製のために適するプロトコルの詳細を与える。要するに、このような精製技術は、前記抗原或いは交差反応性の問題を引き起こしている抗原を、固体基材、例えば実験室のプラスチックウェア物品の壁又はクロマトグラフィーカラム内に充填された固体ビーズに固定すること、及び、ポリクローナル血清を前記固体基材の中又は上を通過させることを含み、その結果、交差反応性を示す抗体種が保持されそして交差反応性を示さない抗体種が液相中に保持される。本発明のポリクローナル抗体の産生のための親和性精製技術の使用例として、ポリクローナル抗体応答は、動物に53KdファクターXIIaを接種することにより該動物中に生じさせ得、ここで得られたポリクローナル血清は、その後、固定されたファクターαXIIaを含むクロマトグラフィーカラムを通過させることにより、親和性精製され得る。ファクターαXIIaとの交差反応性を示す抗体種はカラム中に保持され、そして、53KdファクターXIIaに結合し得るがしかしファクターαXIIaに結合し得ない抗体種は液相中に残り、そしてカラム溶出液に含まれる。
【0091】
ファクターXIIaの異なるフォームの検出及び/又は決定
本発明は、ファクターXIIaの53Kdフォーム、例えば試料中の細胞53KdXIIa、循環53KdXIIa又は尿53KdXIIaを検出及び/又は決定する方法であって、調査中のファクターXIIaの53KdフォームをファクターXIIaの他の分子量フォームに対して優先的に検出又は決定することが可能な手順を行うことを含む方法を提供する。
【0092】
一実施態様において、本発明の方法は、調査中のファクターXIIaの53KdフォームをファクターXIIaの他のフォーム(前記ファクターXIIaの他のフォームは、好ましくは、ファクターXIIaの非53Kdフォームである。)に対して優先的に決定することが可能な分析により、調査中のファクターXIIaの53Kdフォームを検出又は決定することを含む。
【0093】
他の実施態様において、本発明の方法は、ファクターXIIaの53Kdフォームをフ
ァクターXIIaの他のフォーム(前記ファクターXIIaの他のフォームは、好ましくは、ファクターXIIaの非53Kdフォームである。)から分離し、そして分離されたファクターXIIaの53Kdフォームを検出又は決定することを含む。
【0094】
分離されたファクターXIIaの53Kdフォームを検出又は決定は、ファクターXIIaの53KdフォームをファクターXIIaの他のフォーム(前記ファクターXIIaの他のフォームは、好ましくは、ファクターXIIaの非53Kdフォームである。)に対して優先的に決定することが可能な分析によってよい。
【0095】
別の実施態様において、本発明の方法は、試料を、ファクターXIIaの53Kdフォームに結合可能であり且つ所望により更にファクターXIIaの他のフォームに結合可能な標識化された抗体と接触させ、ファクターXIIaの53KdフォームをファクターXIIaの他のフォーム(前記ファクターXIIaの他のフォームは、好ましくは、ファクターXIIaの非53Kdフォームである。)から分離し、そしてファクターXIIaの53Kdフォームを検出又は決定することを含む。
【0096】
それ故、本発明により、ファクターXIIaの53Kdフォームは、最初に、ファクターXIIaの他のフォーム、好ましくはファクターXIIaの他の分子量フォームから分離され得、次いでファクターXIIaの53Kdフォームが決定され得る。ファクターXIIaのための一般的な分析、即ち、ファクターXIIaのどのような特定フォームに対しても特異的ではない分析を使用し得るが、しかし、ファクターXIIaの53KdフォームをファクターXIIaの他のフォーム(前記ファクターXIIaの他のフォームは、好ましくは、ファクターXIIaの非53Kdフォームである。)に対して優先的に決定可能な分析を使用することが利点があり得る。このような分析の例を以下に与える。このような手順は、例えば、細胞53KdXIIa、53KdXIIaと他の分子種との分子コンプレックス及び結合体を検出又は決定するために使用され得る。
【0097】
或いはまた、調査中のファクターXIIaの53KdフォームをファクターXIIaの他のフォーム、好ましくはファクターXIIaの他の非53Kdフォームに対して優先的に決定可能である分析は、ファクターXIIaの異なるフォームを予め分離することなく、試料に対して直接行い得る。このような分析の例を以下に与える。このような分析は試料に対して直接行い得る。このような手順は、例えば、ファクターXIIaと他の分子種との分子コンプレックス及び結合体を検出又は決定するために使用され得る。
【0098】
別の方法として、ファクターXIIaの53Kdフォームを含む試料が標識化された抗体と接触され、次いで調査中のファクターXIIaの分子量フォームの分離が、分離されたフォームの検出又は決定と共に行われ得る。このような手順は、例えば、脂質が結合した53KdファクターXIIaを検出又は決定するために使用され得る。
【0099】
ファクターXIIaのフォームの分離
ファクターXIIaのフォームは、それらの物理的、化学的又は免疫学的性質に基づいて分離され得る。このような分離の何れも、調査中のファクターXIIaのフォームが変化せずに維持されるような条件下で一般的に行われるべきであり、例えば、前記条件は一般的に、どのようなコンプレックス又は分子結合体も分解されず、そして他の物質、例えば細胞又は脂質物質に結合したどのようなファクターXIIaのフォームも前記物質から放出されないようにすべきである。しかしながら、幾つかの環境においては、ファクターXIIaをそれが結合している結合体から又は材料から放出することが望ましいことであり得る。
【0100】
物理的性質に基づく分離
ファクターXIIaの異なる分子量フォームは、例えば、高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)のようなクロマトグラフィー技術、フローサイトメトリー技術又は超遠心分離技術を使用して、分子量に基づいて分離し、その後、分離した物質を評価し得る。
【0101】
評価は、複数の方法、例えば分離されたフォームに対してイムノアッセイを使用することにより又は酵素分析を使用することにより、例えばS2302[英国、アクスブリッジのカビ ダイアグノスティクス(Kabi Diagnostics)社製]のような発色性基質を使用することにより行うことができる。ファクターXIIaに対する抗体は、HPLCと組み合わせて使用され得る。例えば、標識化された抗体を試料と反応させ、そして得られた混合物をHPLC分離に付し得る。抗体とファクターXIIaの特定の分子量フォームとのコンプレックスを、その後、抗体を標識化するために使用された材料に対する適する検出システムを使用して測定することができる。
【0102】
物理的性質に基づく、ファクターXIIaと結合性パートナーとの分子コンプレックス及び結合体の分離
このような方法は、とりわけ、ファクターXIIaの二つ又はそれより多くの分子を含む分子コンプレックスをファクターXIIaの他のフォームからを分離するために、また高親和性又は低親和性の結合性パートナーと結合したファクターXIIaのフォームを分離するために有用である。
【0103】
ファクターXIIaコンプレックスが分解されず、そしてファクターXIIaが結合性パートナーから解離されないような条件下でこのような分離を行うことが一般的に好ましい。例えば、コンプレックス及び幾つかの分子結合体を分解する傾向がある界面活性剤が存在しないようにすることが一般的に好ましい。しかしながら、幾つかの環境において、分解が起こるのが望ましいことであり得る。例えば、低親和性の結合性パートナーからファクターXIIaを開放することが、又は、低親和性の結合性パートナーと結合したファクターXIIaを高親和性の結合性パートナーと結合したファクターXIIaから分離することが望ましい場合には、適切な条件、例えば界面活性剤が使用され得、低親和性の結合性パートナーからのファクターXIIaの解離を生じさせるが、しかし、高親和性の結合性パートナーからの解離は生じさせない。
【0104】
物理的又は化学的性質に基づく、細胞ファクターXIIaと脂質が結合したファクターXIIaとの分離
細胞及び脂質が結合したファクターXIIaは、物理的又は化学的方法により、又はその組み合わせにより、ファクターXIIaの他のフォームから分離され得る。例えば、細胞ファクターXIIaは、遠心分離又はフローサイトメトリーにより分離され得る。脂質が結合したファクターXIIaは、例えば、リポプロテイン沈降剤及び、一般的に遠心分離により、或いは密度層超遠心分離により、分離され得る。
【0105】
ファクターXIIaが細胞又は脂質物質から解離しないような条件下で分離を行うことが一般的に好ましい。例えば、界面活性剤が存在しないようにすることが一般的に好ましい。しかしながら、幾つかの環境において、分解が起こるのが望ましいことであり得る。ファクターXIIaをそれに結合している物質から分離することが望ましい場合には、適切な条件が使用され得る。
【0106】
免疫学的分離
調査中のファクターXIIaのフォームは、該調査中のファクターXIIaのフォームに対して優先的結合性を示す抗体を使用する免疫学的方法により、他のフォームから分離され得る。例えば、抗体が適切な固体支持体上に固定されているイムノアフィニティークロマトグラフィーを行い得る。結合した又は結合していないフラクションにおける酵素活
性の測定は、クロマトグラフィーの後に行い得る。好ましい抗体は、ファクターXIIaの53Kdフォームの一つ又はそれより多くのエピトープを認識し、そして0.1%又はそれ未満の、ファクターαXIIa及びファクターβXIIaの一方又は双方との補正された交差反応性を有するものである。そのような抗体の産生は、本明細書の別の場所に記載されている。
【0107】
物理的又は化学的性質に基づく分離について上に記載されたように、イムノアフィニティークロマトグラフィーによる分離は、ファクターXIIaのフォームが変化せずに維持される、例えば、コンプレックス及び結合体が分解されず、そして結合した分子が放出されないような条件下で一般的に行うべきである。しかしながら、分解が望ましい環境が存在し得る。そのような場合には、適切な条件が使用され得る。イムノアフィニティークロマトグラフィーは好ましくは、ファクターXIIaの53Kdフォームの一つ又はそれより多くのエピトープを認識するが、しかし、10%又はそれ未満、より好ましくは5%又はそれ未満、更により好ましくは2%又はそれ未満、更により好ましくは1%又はそれ未満、更により好ましくは0.5%又はそれ未満の、ファクターαXIIa及びファクターβXIIaの一方又は双方との補正された交差反応性を有する抗体を使用して行われる。このような抗体の産生は、本明細書の他の場所に記載されている。
【0108】
分析の適合性の測定
分子量フォームに関して識別することなくファクターXIIaを検出又は決定する方法は知られており、そして発色性分析、例えば、アミド分解分析及び種々のタイプのイムノアッセイ、例えば、先行技術の抗体を使用するイムノアッセイを含む。
【0109】
調査中のファクターXIIaの53Kdフォームが、 分析が行われる前に、ファクターXIIaの他の分子量フォームから分離されている場合には、ファクターXIIaの異なる分子量フォームを相互に識別しない分析、即ち、“一般的な”ファクターXIIa分析が使用され得る。しかしながら、先の分離手順の後でさえも、調査中のファクターXIIaの53Kdフォームを他の分子量フォームに対して優先的に検出又は決定することが可能な分析を使用することは利点があり得る。
【0110】
分離手順が行われない場合には、使用される分析は、調査中のファクターXIIaの53KdフォームをファクターXIIaの他の非53Kdフォームから検出又は決定することが可能でなければならない。ファクターXIIaを検出又は決定するために適することが知られている分析は、試料中の53KdファクターXIIaの望ましいフォームを検出又は決定するための能力を試験され得る。
【0111】
例えば、細胞53KdファクターXIIaを含むことが知られている試料を使用して、調査中の分析により得られる結果は、細胞53KdファクターXIIaを検出するために適することが知られている分析を使用して得られる結果と比較される。モノクローナル抗体2/215は、細胞53KdファクターXIIaに効果的に結合することが可能である。mAb2/215又はその類似体を含むイムノアッセイは、比較分析として使用され得る。同様の考え方を53KdファクターXIIaの他のフォームにも当てはまる。
【0112】
もう一つの方法は、53KdファクターXIIaの望ましいフォーム、例えば、細胞53KdファクターXIIaを含むことが知られている試料の一部について、調査中の分析を行うことである。この場合には、前記試料は非細胞53KdファクターXIIaを含むべきではない。細胞から53KdファクターXIIaを放出させるために前記試料の他の部分を処理し、処理された細胞を単離し、前記分析を繰り返し、そして二つの分析の結果を比較する。細胞53KdファクターXIIaを含む試料に対する分析において得られた結果が、細胞53KdファクターXIIaを除くために処理された試料から得られた結果
よりも高い場合には、これは、前記分析は細胞53KdファクターXIIaを検出又は決定するために適していることを示す。同様の考え方を53KdファクターXIIaの他のフォームにも当てはまる。
【0113】
ファクターXIIaの一つ又はそれより多くのフォームに対する分析の特異性
分析の、ファクターXIIaの一つ又はそれより多くのフォームへのの他のフォームに対するよりの特異性は、分析の設計により達成又は改良され得る。分析のパラメーターは、調査中のファクターXIIaの前記フォームがファクターXIIaの他のフォームに対して優先的に検出又は決定されるように調節され得る。
【0114】
分析のこのような最適化は従来技術における常識であり、そして適する技術は周知である[例えば、「イムノアッセイの原理及び実施(Principles and Practice of Immunoassays)」、著者:プライス シーピー(Price CP)及びニューマン ディージェイ(Newman DJ)、ストックトン出版(Stockton Press)、1991年を参照]。
【0115】
イムノアッセイの場合において、望ましい特異性を達成するために調節することができるパラメーターは、使用する抗体又は抗体の組み合わせの一つ又はそれより多くの選択;界面活性剤の存在、不在及び選択;及び、固体相上にコートされた抗体を含む、抗原捕捉分析の場合におけるプレートコーティングのために使用される条件を含み得る。
【0116】
例えば、マイクロ滴定プレートイムノアッセイの場合には、ファクターXIIaの特定のフォームを他のフォームに対して優先的に測定するために変更され得る多数のパラメーターが存在する。
【0117】
捕捉抗体を用いて固体相をコートするために使用される溶液の組成もまた、ファクターXIIaの異なるフォームの優先的な測定に影響を及ぼし、例えば、組成物に含まれる抗体の濃度並びに緩衝液のpH及び条件は重要である。
【0118】
どのフォームが優先的に測定されるかに影響を及ぼす別のパラメーターは、抗体を用いる培養の間の試料中の界面活性剤、例えばトリトン(Triton)の存在、不在及び選択である。界面活性剤の存在は、コンプレックス、例えば、ファクターXIIa分子のコンプレックスを分解し得、及び/又は、細胞及び/又は脂質に予め結合しているファクターXIIaを放出し得ると仮定される。界面活性剤の性質及び/又は量もまた、分析に影響を及ぼす。
【0119】
ファクターXIIaの特定のフォームの優先的な測定に影響を及ぼすために操作することができるパラメーターの別の例は、抗原−抗体コンプレックスを検出するために使用される複合体を形成するために標識化される抗体の選択である。
【0120】
分析パラメーターの間の複雑な相互作用が存在することを特記すべきであり、例えば、分析中に界面活性剤を配合することの影響は、捕捉抗体の組み合わせ、コーティング抗体濃度、コーティング緩衝液及び、使用される複合抗体に依存する。ファクターXIIaの望ましいフォームを検出又は決定するための最適条件は、従来技術で慣用の方法に基づいて、種々のパラメーターの適切な操作により決定され得る。
【0121】
ファクターXIIaの53Kdフォームに特異的に存在するエピトープを認識する抗体を使用することにより、分析が、ファクターXIIaの53KdフォームとファクターXIIaの非53Kdフォームとを識別することを意図する場合には、興味のあるエピトープの整合性が抗体を結合させるために利用可能であることを保証するために分析条件の設
定に注意が払われるべきである。特定のエピトープは、53KdファクターXIIaが非変性である場合にのみ、利用可能であり得る。他のエピトープは、解明のために、ファクターXIIaの一つ又はそれより多くのフォームの変性を必要とし得る。分析条件の選択は、プロテイン変性の程度に影響を及ぼし得る。例えば、界面活性剤又は高いイオン濃度の使用は、一般的に、増加した度合の変性を生じさせ得る。還元性条件下(例えば、メルカプトエタノールのような還元剤の存在下)での実施及び分析及び/又は試料沈澱段階は、ファクターXIIaの重鎖及び軽鎖の分離を生じさせ得る。分析に使用されるエピトープに応じて、これは、エピトープの分解、或いはまた、これまで隠されていたエピトープの暴露を導き得る。
【0122】
試料及び試料調製
試料
53KdファクターXIIaの異なるフォームの測定は、体液、例えば全血液、血漿、血清、尿、脳脊髄液、唾液又は涙の試料、或いは、体液から単離された細胞、即ち、生体内においてそれらが存在する液体相を実質的に含まない細胞、或いは、組織又は組織試料から得られた細胞を含む試料について行われ得る。
【0123】
試料調製
試料は、慣用の方法に従って得られ且つ調製され得る[ヤング ディー.エス.(Young D.S.)及びバーメス イー.ダブリュ.(Bermes E.W.)、“ 被検体の捕集及び加工(Specimen collection and processing)”、臨床化学のティーズテキストブック(Tietz Textbook of Clinical Chemistry)第2版、著者:バーティス シー.エイ.(Burtis C.A.)及びアシュウッド イー.アール.(Ashwood E.R.)、サウンダーズ(Saunders)(1994年)、更に、酵素学における方法(Methods in Enzymology)、エイチ.ヴァン ヴナキス(H.Van Vunakis)及びジェイ.ジェイ.ランゴン(J.J.Langone)(著者)、1981年、72(B);酵素イムノアッセイの実施及び理論(Practice and Theory of Enzyme Immunoassays)、ピー.チゼン(P.Tijssen)、生化学及び分子生物学における実験室技術(Laboratory Techniques in Biochemistry and Molecular Biology)、アール.ジェイ.バーデン(R.J.Burden)及びピー.エイチ.ヴァン クニッペンゲルグ(P.H.Van Knippenberg)(著者)、エルズヴィアー(Elsevier)、1985年;ラジオイムノアッセイ及び関連技術の紹介(Introduction to Radioimmunoassay and Related Techniques)、ティー.チャード(T.Chard)、同前、第3版、1987年;並びに酵素学における方法、エイチ.ヴァン ヴナキス及びジェイ.ジェイ.ランゴン(著者)、1981年、74(C)を参照]。
【0124】
体液
本発明により、体液の試料中のファクターXIIaの一つ又はそれより多くの53Kdフォームが検出又は決定され得る。体液の例は、全血液、血漿、血清、尿、脳脊髄液、唾液及び涙である。体液の試料は、例えば上記参考文献に記載された慣用の方法により得られ且つ調製され得る。
【0125】
ファクターXIIaの特定フォームの他のフォームに対する選択的測定は、以下の分析に関する章に記載の如く達成され得る。
【0126】
細胞ファクターXIIa
一実施態様において、本発明は、哺乳類の検体、一般的にはヒトから得られた細胞、特
に血液又は他の体液中を循環している細胞を含む試料中の53KdファクターXIIaを検出又は決定することからなる方法を提供する。
【0127】
細胞ファクターXIIaの測定は、体液の試料、或いは、細胞ファクターXIIaの測定のための分析の前に単離され得る細胞、即ち、生体内においてそれらが存在する液体相を実質的に含まないようにして、体液、例えば全血液又は血漿の試料から単離され得る細胞について行われ得る。或いはまた、細胞は組織試料から得られ得る。
【0128】
使用される分析が細胞及び非細胞ファクターXIIaの双方を検出又は決定することが可能である場合には、細胞を含む試料について分析を行うことで、細胞結合検体及び非細胞検体の双方が検出又は決定される。しかしながら、分析が単離された細胞の試料について行われる場合には、結果は細胞検体のみに対してである。用語“細胞を含む試料”は、細胞を含む体液の試料と単離された細胞の試料の双方を示して、本明細書において使用される。
【0129】
細胞残渣及び細胞物質を含む細胞は、例えば、上記“ファクターXIIaのフォームに分離”に記載された通りに単離され得る。例えば、細胞は、遠心分離及び洗浄により単離され得る。好ましくは、細胞は遠心分離され、そして少なくとも1回、好ましくは2回又は複数回洗浄される。遠心分離は一般的に、細胞に、浮遊物から分離され得る分離ペレットを形成させるのに十分な高g下で行われるべきである。前記ペレットは、細胞ファクターXIIaに影響を及ぼさない、例えば、細胞ファクターXIIaを細胞から分離しない適する媒体中で洗浄され得る。例えば、燐酸塩で緩衝化された生理食塩水pH7.4は、洗浄のため、そして細胞ファクターXIIaの検出又は検出及び/又は決定のための懸濁に使用され得る。フローサイトメトリーは、細胞を単離するために使用され得る。
【0130】
分析が行われる前に、細胞ファクターXIIaがファクターXIIaの他の結合フォームから分離されている場合には、細胞ファクターXIIaとファクターXIIaの他の結合フォームとを識別しない分析、即ち、“一般的な”ファクターXIIa分析が使用され得る。しかしながら、先の分離手順の後でさえも、細胞ファクターXIIaを、他のフォームに対して優先的に検出又は決定することが可能な分析を使用することは利点があり得る。
【0131】
分離手順が行われない場合には、使用される分析は、調査中の細胞ファクターXIIaを検出又は決定することが可能であるべきである。
【0132】
組織試料中の細胞ファクターXIIaの存在は、免疫組織学的技術を使用して検出され得る。例えば、適切な標識、例えば蛍光標識を用いて標識化されている以下に記載されたモノクローナル抗体が使用され得る。
【0133】
脂質が結合したファクターXIIa
本発明は、組織又は、とりわけ、哺乳類の検体、一般的にはヒトから得られた体液を含む試料中の脂質が結合した53KdファクターXIIaを検出又は決定することからなる方法を提供する。
【0134】
脂質が結合した53KdファクターXIIaの測定は、体液、例えば全血液又は血漿の試料について行い得る。或いはまた、体液又は組織から脂質フラクションを単離し、そして前記脂質フラクションのファクターXIIa含有量を決定することができる。脂質フラクションは、上記“ファクターXIIaのフォームの分離”に記載された通りに単離され得る。例えば、リポプロテインは、組織又は体液から、例えば血漿から、例えば沈澱により単離され得る。リポプロテインを沈澱させるために適する試薬は公知であり、そして例
えば、塩化ナトリウム、塩化マンガン及びヘパリンを含む試薬並びにホスホタングステート試薬を含む。種々の試薬及び方法が、デマッカー ピー.エヌ.エム.(Demacker P.N.M.)他、臨床化学(Clinical Chemistry)、第43巻、No.4、1997年、第663〜668頁、及びシャーマ エイ.(Sharma
A.)、臨床化学、第36巻、No.3、1990年、第529〜532頁に記載されている。
【0135】
試料、例えば血漿は、例えば、中速又は高速で、例えば、12000gないし16000gで、細胞成分を除去するために遠心分離され得る。リポプロテインは、公知リポプロテイン沈澱剤、例えば、塩化ナトリウム、塩化マンガン及びヘパリン、例えば、約500mN塩化ナトリウム、約215mM二塩化マンガン及び約500U/mLヘパリンを含む試薬を使用して、或いは、ホスホタングステート沈澱剤、例えば、約50mMホスホタングステート及び一般的に塩化マンガンを含む試薬を使用して沈澱され得る。
【0136】
得られた沈澱剤は、例えば、遠心分離により単離され得る。所望により、沈澱物は沈澱剤中に再懸濁され、そして再度、単離される。この手順は、所望により、例えば2回又は3回、繰り返される。
【0137】
分析が行われる前に、脂質が結合したファクターXIIaがファクターXIIaの他の結合フォームから分離されている場合には、ファクターXIIaの異なるフォームを相互に識別しない分析、即ち、“一般的な”ファクターXIIa分析が使用され得る。しかしながら、先の分離手順の後でさえも、脂質が結合したファクターXIIaを、他のフォームに対して優先的に検出又は決定することが可能な分析を使用することは利点があり得る。
【0138】
分離手順が行われない場合には、使用される分析は、脂質が結合したファクターXIIaを検出又は決定することが可能であるべきである。
【0139】
イムノアッセイの場合には、試料が抗体と接触する前後に、リポプロテインフラクションが単離され得る。抗体との接触後に、リポプロテインフラクションを単離するのが利点があり得る。
【0140】
ファクターXIIaと他の分子種との分子コンプレックス及び結合体
ファクターXIIaと他の分子種との分子コンプレックス及び結合体を含む試料、一般的には体液の試料は、慣用の方法に基づく分析のために調製され得る(上記を参照)。
【0141】
所望により、ファクターXIIaの二つ又はそれより多くの分子、或いは、低又は高親和性の結合性パートナーと結合したファクターXIIaのフォームを含む分子コンプレックスは、ファクターXIIaに対する分析を行う前に、上記“ファクターXIIaのフォームの分離”に記載した通りに単離され得る。例えば、低親和性の結合性パートナーと結合したファクターαXIIa、低親和性の結合性パートナーと結合したファクターβXIIa、低親和性の結合性パートナーと結合した53KdファクターXIIa、高親和性の結合性パートナーと結合したファクターαXIIa、高親和性の結合性パートナーと結合したファクターβXIIa及び高親和性の結合性パートナーと結合した53KdファクターXIIaが分離され得る。
【0142】
分析が行われる前に、ファクターXIIaの二つ又はそれより多くの分子或いは、低又は高親和性の結合性パートナーと結合したファクターXIIaのフォームを含む分子コンプレックスがファクターXIIaの他のフォームから分離されている場合には、ファクターXIIaのこのようなフォームとファクターXIIaの他のフォームとを相互に識別し
ない分析、即ち、“一般的な”ファクターXIIa分析が使用され得る。しかしながら、先の分離手順の後でさえも、ファクターXIIaのこのようなフォームを、他のフォームに対して優先的に検出又は決定することが可能な分析を使用することは利点があり得る。
【0143】
調査中のファクターXIIaのフォームを他のフォームに対して優先的に検出又は決定することが可能な分析は、該調査中のファクターXIIaのフォームを予め分離することなく使用され得る。
【0144】
適する分析、特にイムノアッセイを以下に記載する。
【0145】
イムノアッセイ
イムノアッセイは、53KdファクターXIIaの一つ又はそれより多くのフォームを他のフォーム(前記ファクターXIIaの他のフォームは、好ましくはファクターXIIaの非53Kdフォームである。)に対して優先的に検出又は決定するために、本発明に基づいて使用され得る。イムノアッセイは、本発明に従うどのような試料に対しても、使用され得る。
【0146】
一般的なイムノアッセイ技術
イムノアッセイを行う方法は周知である[臨床化学のティーズテキストブック第2版、著者:バーティス シー.エイ.及びアシュウッド イー.アール.、サウンダーズ(1994年);酵素学における方法、エイチ.ヴァン ヴナキス及びジェイ.ジェイ.ランゴン(著者)、1981年、72(B);酵素イムノアッセイの実施及び理論、ピー.チゼン、生化学及び分子生物学における実験室技術、アール.ジェイ.バーデン及びピー.エイチ.ヴァン クニッペンゲルグ(著者)、エルズヴィアー、1985年;ラジオイムノアッセイ及び関連技術の紹介、ティー.チャード、同前、第3版、1987年;並びに酵素学における方法、エイチ.ヴァン ヴナキス及びジェイ.ジェイ.ランゴン(著者)、1981年、74(C)を参照]。
【0147】
定性的及び定量的の双方のイムノアッセイ技術は、ELISA(酵素免疫測定吸着法)、ウエスタンブロット法、液相沈澱分析、被覆粒子分析、競合分析、サンドイッチ分析(前方、後方及び同時サンドイッチ分析を含む。)及び固体相ラジオイムノアッセイ(SPRIA)を含む。
【0148】
抗原−抗体コンプレックスは、例えば、以下に記載された技術により、又は標識化された抗体を用いて、直接検出され得る。
【0149】
二重抗体サンドイッチ分析
本発明に基づいて使用され得るELISA形式の例は、いわゆる“二重抗体サンドイッチ”分析であり、ここで、抗体は、とりわけモノクローナル抗体であり、これは、53KdファクターXIIaの一つ又はそれより多くのフォームに結合可能であり、固体相支持体、例えばプラスチック又は他のポリマー状物質上、例えばプラスチックマイクロ滴定プレートのウェル上に、或いはビーズ又は粒子上に、例えば専売特許のシステム、例えば米国、イリノイ、アボットパークのアボット ラボラトリーズ(Abbott Laboratories)のIMx システムにおいて使用されているものに固定される。この抗体は、“捕捉抗体”と呼ばれる。試料は、固定された捕捉抗体と接触してインキュベートされる。固定された抗体に結合可能な53KdファクターXIIaのどのようなフォームも、固定された抗体により“捕捉”され、それ故、それ自体、固体相上に固定される。固体相上に捕捉された53KdファクターXIIaは、53KdファクターXIIaの一つ又はそれより多くのフォームに結合可能な標識化された抗体を使用して検出される。この標識化された抗体は、しばしば、“結合体”と呼ばれる。抗体及び/又は他の分析条件の注
意深い選択により、分析が53KdファクターXIIaの一つ又はそれより多くの特定フォームをファクターXIIaの他のフォーム(前記ファクターXIIaの他のフォームは、好ましくは、ファクターXIIaの非53Kdフォームである。)に対して優先的に測定、検出及び/又は決定するように分析を最適化することが可能である。
【0150】
標識化された抗体
標的抗原の検出或いは検出及び/又は決定のために使用される標識化された抗体は、ポリクローナル又はモノクローナルであってよい。抗ヒト抗体、例えば抗ヒトポリクローナル抗体はしばしば、臨床用途のための標識化された抗体としての使用のために都合が良い。或いはまた、調査中のファクターXIIaのフォームに結合する抗体が使用され得る。このような抗体は、例えば、53KdファクターXIIaの重鎖に結合し得る。
【0151】
前記標識は、直接又は間接的に検出可能であり得る。適切なラジオアイソトープ、例えばβ−放出体又はγ−放出体、例えば 125I、 131I、 3H及び14Cは、直接検出可能な標識として使用され得る。商業的用途のためには、非放射性の標識、一般的には酵素標識が好ましい。酵素標識は間接的に検出可能である。酵素標識は、例えば、アルカリ性ホスファターゼ又はペルオキシダーゼ、例えばワサビペルオキシダーゼである。選択された酵素のための適切な基質は、例えば、検出可能な光学又は蛍光変化を引き起こす基質、例えば、フェノールフタレインモノホスフェート又は蛍光基質、例えば、4−メチルムベリフェリルが使用される。或いはまた、電気化学的方法をその後使用することができる酵素反応が使用され得る。
【0152】
標識化された抗体は、例えばELISAにおいて抗原−抗体コンプレックスを検出するために使用され得るか、又は、抗原とコンプレックスを形成し得、このコンプレックスはその後検出され得る。フローサイトメトリーは、検出のために使用され得る。
【0153】
競合分析
標識化、例えば、放射性標識化又は酵素標識化されたファクターXIIaの一つ又はそれより多くの53Kdフォームが、53KdファクターXIIaの一つ又はそれより多くのフォームを測定するための競合分析において使用され得る。
【0154】
別のイムノアッセイ技術
抗原を検出又は決定するための別のイムノアッセイ技術は、得られる抗体−抗原コンプレックスの直接検出を用いる。このような技術の例は、表面プラズモン共鳴、表面音響波及び水晶マイクロバランス法である[スズキ エム.(Suzuki M,)、オザワ エフ.(Ozawa F.)、スギモト ダブリュ.(Sugimoto W.)、アソー エス.(Aso S.)、Anal Bioanal Chem、372、301〜4、2002;ピアソン ジェイイー(Pearson JE)、カン ジェイダブリュ(Kane JW)、ペトラキ−カリオチ アイ(Petraki−Kallioti I、ギル エイ(Gill A)、ヴァガマ ピー.(Vadgama P,)、J Immunol Methods;221、87〜94、1998 ;ワイシュ ダブリュ(Weisch W)、クライン シー(Klein C)、ヴォン シックフス エム(von Schickfus M)、フンクリンガー エス(Hunklinger S)、Anal Chem、1996 68、2000〜4、1996;チョウ エスエフ(Chou SF)、スー ダブリュエル(Hsu WL)、ワン ジェイエム(Hwang JM)、チェン シーワイ(Chen CY)、Clin Chem、48、913〜8、2002]。
【0155】
標識化された抗体が抗原とコンプレックスを形成する場合には、前記コンプレックスはフローサイトメトリーにより検出又は決定され得る。
【0156】
標準及び対照
イムノアッセイは一般的に、基準点として“標準”を使用する。
【0157】
53KdファクターXIIaの一つ又はそれより多くのフォームを検出或いは検出及び/又は決定するための分析のために適する標準は、典型的には、53KdファクターXIIaの一つ又はそれより多くの適切なフォームの既知量を含む溶液を含み得る。或いはまた、標準は、固体相のような支持物質に結合した53KdファクターXIIaの一つ又はそれより多くの適切なフォームを含み得る。或いはまた、53kdファクターXIIaとの交差反応性を示すファクターXIIaの非53dkフォームが標準として使用され得る。ファクターαXIIaのための多くの公知分析は、標準としてファクターβXIIaを使用し、それ故、53kdファクターXIIa分析のための標準としてファクターβXIIaを使用することは、標準としてのファクターβXIIaの使用が熟知されていることに起因する利点をもたらす。
【0158】
標準及び対照として使用する物質は、使用する分析に応じて種々の形態を取り得る。幾つかの分析形式においては、適する物質は水溶液であってよい。
【0159】
脂質が結合した53KdファクターXIIaの検出或いは検出及び/又は決定のための分析のために適する標準は、典型的には、脂質が結合した53KdファクターXIIaの既知量を含む溶液を含む。或いはまた、標準は、非脂質支持物質、例えば固体相に結合した53KdファクターXIIaを含み得るか、又は、53KdファクターXIIaの水溶液が標準として使用され得る。
【0160】
尿53KdファクターXIIaの検出或いは検出及び/又は決定のための分析のために適する標準は、典型的には、53KdファクターXIIaの既知量を含む溶液を含む。
【0161】
免疫組織学
組織試料中における53KdファクターXIIaのフォーム(群)の存在は、免疫組織学的技術を使用して検出され得る。例えば、適切な標識、例えば蛍光標識を用いて標識化された上記のようなモノクローナル抗体が使用され得る。典型的には、標識化された抗体は組織試料と接触されそしてインキュベートされ、試薬は続いて、形成したどのような抗体−抗原コンプレックスをも分解しない条件下で洗浄され、そしてそのようなコンプレックスの何れも検出される。
【0162】
発色分析
ファクターXIIaの一つ又はそれより多くの53Kdフォームの検出又は決定は、発色性基質、例えば、ヴィナッザー エイチ.(Vinazzaer)、Thromb Res.、14、155〜66、1979に記載されたものを使用してその酵素活性を測定することにより行われ得る。
【0163】
この分析は、53KdファクターXIIaの一つ又はそれより多くのフォームが他のフォームから単離される手順を含み得る(上を参照)。
【0164】
細胞53KdファクターXIIaのためのイムノアッセイ
細胞は体液から、例えば、血液又は血漿から、例えば、遠心分離及び好ましくは少なくとも一回、そしてとりわけ二回又はそれより多くの洗浄により、例えば、細胞53KdファクターXIIaに影響を及ぼさない、例えば、53KdファクターXIIaを細胞から分離しない適する媒体中で単離され得る。適する液体は、一般的に緩衝液、例えば、pH7.4の、燐酸塩で緩衝化された生理食塩水(PBS)である。
【0165】
細胞を含む体液の試料は、洗浄され、高速で遠心分離され得、次いで、適する液体に懸濁されて“洗浄された細胞”を与える。高速遠心分離の例は、16000gで10分間である。適する洗浄及び懸濁液の例は、PBS(pH7.4)である。一回又はそれより多く、例えば、二回又は三回、或いはそれより多くの遠心分離が行われ得る。
【0166】
細胞富化血漿は、例えば、血液の低速遠心分離により、例えば、クエン酸血液を1000gで10分間遠心分離することにより得られ得る。別の遠心分離、例えば、細胞富化血漿の高速遠心分離、例えば、16000gで10分間の遠心分離は、細胞除去血漿と呼ばれる浮遊物を与える。
【0167】
脂質が結合した53KdファクターXIIaのためのイムノアッセイ
イムノアッセイは、mAb2/215又はその類似体又はフラグメント、例えばFabフラグメントを使用して行われ得る。捕捉分析の場合には、捕捉抗体としてmAb2/215又はその類似体を使用するのが好ましい。或いはまた、本発明の53KdファクターXIIa−特異性抗体が使用され得る。異なる抗体、例えば異なるポリクローナル抗体又は異なるモノクローナル抗体、或いは同一の抗体が検出のために使用され得る。
【0168】
直接的イムノアッセイ、例えばラジオイムノアッセイが使用され得る。このような場合には、本発明のモノクローナル抗体又はその類似体或いはそのフラグメント、例えばFabフラグメントを使用するのが好ましい。適する標識の例は、上に与えられている。
【0169】
リポプロテインフラクションは、試料が抗体と接触される前後に単離され得る。抗体との接触後にリポプロテインフラクションを単離することは利点があり得る。リポプロテインフラクションは、“試料の沈澱”の章において上記した如く単離され得る。
【0170】
イムノアッセイの代替として、脂質が結合した53KdファクターXIIaの検出及び/又は決定は、発色性基質、例えば、ヴィナッザー エイチ.、Thromb Res.、14、155〜66、1979に記載されたものを使用して酵素活性を測定することにより行われ得る。これは、一つ又はそれより多くの種が他の種から単離される手順を含み得る(上を参照)。
【0171】
53KdファクターXIIaと他の分子種との分子コンプレックス及び結合体のためのイムノアッセイ
イムノアッセイは、53KdファクターXIIaと、ファクターXIIaの他のフォームからの他の分子種との分子コンプレックス及び結合体の分離の後に、或いはこのような分離を行わない試料に対して行われ得る。例えば、所望により、53KdファクターXIIaの二つ又はそれより多くの分子或いは低又は高親和性の結合性パートナーと結合したファクターXIIaのフォームを含む分子コンプレックスは、53KdファクターXIIaに対する分析を行う前に、“ファクターXIIaのフォームの分離”で上記したように分離され得る。例えば、低親和性の結合性パートナーと結合したファクターαXIIa、低親和性の結合性パートナーと結合したファクターβXIIa、低親和性の結合性パートナーと結合した53KdファクターXIIa、高親和性の結合性パートナーと結合したファクターαXIIa、高親和性の結合性パートナーと結合したファクターβXIIa及び高親和性の結合性パートナーと結合した53KdファクターXIIaが分離され得る。
【0172】
ファクターXIIaと他の分子種との分子コンプレックス及び結合体を決定するために、上記のどのようなイムノアッセイも使用され得る。上記の如く、抗体としてmAb2/215又はその類似体を、或いは、特に捕捉イムノアッセイにおける捕捉抗体として、本発明の53KdファクターXIIa−特異性抗体を使用するのが好ましいことであり得る
。検出のために使用される標識化された抗体は、ファクターXIIaの捕捉されたフォームに結合可能であるべきである。例えば、標識化された抗体は、ファクターαXIIaの重鎖に、ファクターβXIIaに、又は53KdファクターXIIaに結合し得る。
【0173】
尿53KdファクターXIIaに対するイムノアッセイ及び他の分析
上記のどのようなイムノアッセイも、尿中の53KdファクターXIIaの一つ又はそれより多くのフォームを他の分子量フォームに対して優先的に決定するために使用され得る。上記の如く、mAb2/215を、抗体又は本発明の53KdファクターXIIa−特異性抗体又はその類似物として、特に捕捉イムノアッセイにおける捕捉抗体として、使用するのが好ましいことであり得る。
【0174】
キット
本発明は更に、
(i)53KdファクターXIIaの一つ又はそれより多くのフォームに結合可能なモノクローナル抗体、及び
(ii)53KdファクターXIIaの一つ又はそれより多くのフォームが(i)において定義されたモノクローナル抗体に結合している場合に、53KdファクターXIIaの一つ又はそれより多くのフォームに結合可能な標識化された抗体
を、各々別の容器に、或いは区画された形で含む、本発明のイムノアッセイを行うためのキットであって、
前記双方の抗体は、それらが、10%又はそれ未満、より好ましくは5%又はそれ未満、更により好ましくは2%又はそれ未満、更により好ましくは1%又はそれ未満、更により好ましくは0.5%又はそれ未満、更により好ましくは0.1%又はそれ未満の、ファクターαXIIa及びファクターβXIIaの一方又は双方との補正された交差反応性を有することを特徴とするキットを提供する。
【0175】
前記キットは、例えば、上記のような、イムノアッセイを行うための別の成分を含み得る。モノクローナル抗体は、固体支持体上に固定され得る。
【0176】
本発明のキットは、例えば、
(a)53KdファクターXIIaの一つ又はそれより多くのフォームに結合可能なモノクローナル抗体、
(b)ファクターXIIaの一つ又はそれより多くのフォームの既知量を含む溶液から典型的になる標準、
(c)53KdファクターXIIaの一つ又はそれより多くのフォームが(i)において定義されたモノクローナル抗体に結合している場合に、53KdファクターXIIaの一つ又はそれより多くのフォームと反応可能な標識化された抗体
を含み得る。
【0177】
標準及び対照として機能する使用する物質は、使用する分析に応じて種々の形態を取り得る。幾つかの分析形式においては、適する物質は水溶液であってよい。他の分析形式、例えば、ELISAにおいて同一の抗体が捕捉及び検出(結合体)抗体として使用される場合においては、例えば、53KdファクターXIIaをビーズ、例えばポリカーボネートビーズ(例えば直径3μM)の表面に結合させることにより、ファクターXIIaの種々のフォームを含む複合ファクターXII分子又はそのフラグメントを含む構成物を作り出すことが望ましいことであり得る。
【0178】
標準の別の例は上に与えられている。
或いはまた、キットは、競合分析における使用のために、ファクターXIIaの標識化されたフォーム、とりわけ、53KdファクターXIIaの標識化されたフォームを含み
得る。
【0179】
キットは、別々の容器内にそれぞれ、別の成分、例えば希釈剤、界面活性剤溶液及び基質溶液をも含み得る。
【0180】
分析機器
本発明はまた、本発明の分析を行うために適する分析機器を提供する。用語“分析機器”は、イムノアッセイを行うための手段を表わすために本明細書中で使用され、固体相、一般的に層状固体相、例えば、メンブレイン、シート、ストリップ、コーティング、フィルム又は他の層状手段を含み、その上に、適切な捕捉抗体が固定される。固定された抗体は好ましくは、本明細書中で“抗原捕捉領域”と呼ばれる、定義された領域中に存在する。
【0181】
分析機器は、硬い支持体又はハウジング内に固体相を含み得、また、分析を行うために必要とされる幾つかの又は全ての試薬を含み得る。試料は一般的に、予め決定された試料適用領域において、例えば、前記領域に試料を注入又は滴下することにより、或いは、前記機器の関連部分を前記試料中に浸漬することにより、分析機器に適用される。試料適用領域が抗体捕捉領域とは異なる部位である場合には、機器の配置は一般的に、試料中の抗原が抗体捕捉領域に移行するようなものである。必要とされる試薬が次いで、指定された適用領域(これは、試料適用領域と同一又は同一でなくてもよい。)において、適切な順序で適用される。再び、前記の又は何れであれ試薬適用領域が抗体捕捉領域とは異なる部位である場合には、機器の配置は一般的に、試薬が抗体捕捉領域(ここで、形成されたどのような抗原−抗体コンプレックスも検出される。)に移行するようなものである。イムノアッセイのために必要とされる全ての又は幾つかの試薬は、液体で又は乾燥形態で、機器内に含まれ得る。そうである場合には、機器は一般的に、機器の異なる部分の間の相互作用(この相互作用は、機器の操作中に自動的に起こり得るか、又は、機器の使用者によりもたらされ得る。)が、種々の試薬に、行われるイムノアッセイのための正しい順序での互いの接触をもたらすように配列される。
【0182】
広範な分析機器がイムノアッセイの文献に記載されている。メンブレイン機器の例は、米国特許第4623461号明細書及び同第4693984号明細書に記載されている。それらの設計及びそれらの作動速度に応じて、幾つかの分析機器は“ディップスティック”と呼ばれ、そして幾つかの分析機器は“迅速分析”機器と呼ばれる。“迅速分析”機器は一般的に、試料適用の10分以内の結果を提供する。[典型的なマイクロ滴定プレート又はビーズ分析はインキュベーション手順を必要とし、そして一般的に、結果を提供するために少なくとも1時間を要する。]従って、分析機器は一般的にマイクロ滴定又はビーズ形式分析よりもより高価であるけれども、それらは、臨床検査において、例えば、結果が迅速に要求される場合に、例えば、救急治療の場合に、特別な用途を有する。
【0183】
分析機器は、それらが高度な実験設備を必要とすることなく又はどのような実験設備に対する要求をも必要とすることなく使用され得るという、特別な利点を有する。それらは、それ故、例えば、救急室における、医者の手術室における、薬局における、家庭試験のための特定の場合における“ポイント オブ ケア(Point of Care)”試験のために使用され得る。それらは、実験設備が僅かであり且つ互いに離れている場合に特に有用である。
【0184】
抗体交差反応性
本発明の抗体は、10%又はそれ未満、より好ましくは5%又はそれ未満、更により好ましくは2%又はそれ未満、更により好ましくは1%又はそれ未満、更により好ましくは0.5%又はそれ未満、更により好ましくは0.1%又はそれ未満の、ファクターαXIIa及びファクターβXIIaの一方又は双方との補正された交差反応性を有する。好ま
しくは、前記抗体は、例えば0.5%又はそれ未満、より好ましくは0.1%又はそれ未満の、ファクターXIIとの低い交差反応性を有する。本発明の抗体と、ファクターαXIIa、ファクターβXIIa及びファクターXIIとの交差反応性を評価する際に考慮すべきファクターは、このようなプロテインの“純粋”製剤でさえも、少量の53KdファクターXIIで殆ど不可避的に汚染されているということである。シルバーベルグ(Silverberg)及びカプラン(Kaplan)、血液(Blood)、60、1982、64〜70に説明されているように、ファクターXII製剤はファクターXIIaで不可避的に汚染されている。国際特許出願公開第90/08835号パンフレットは、ファクターXIIとの交差反応性を評価する方法の詳細を与え、このような方法は、ファクターαXIIa及びファクターβXIIaとの交差反応性を評価するために適用可能である。特記しない限り、用語“交差反応性”は、補正された交差反応性を意味するために本明細書中で使用される。
【0185】
モノクローナル抗体を産生するために使用される方法は周知である[例えば、酵素学における方法、エイチ.ヴァン ヴナキス及びジェイ.ジェイ.ランゴン(著者)、1981、72(B)及び同1983、92(E)を参照]。モノクローナル抗体は、例えば、コーラー及びミルシュタインの方法の変法により産生され得る[ジー.コーラー及びシー.ミルシュタイン、ネイチャー、1975、256、495]。
【0186】
国際特許出願公開第90/08835号パンフレット(これは、参考文献として本明細書中に取り込まれている。)は、ファクターαXIIa及びファクターβXIIaに結合し、そして0.1%又はそれ未満の、ファクターXIIとの補正された交差反応性を示す抗体をどのようにして産生するかを一般的な表現で記載しており、そしてmAb2/215及びmAb201/9の産生の具体的な詳細を与える。その中に記載された一般的及び特定の方法は、本発明の使用のために適するモノクローナル抗体、例えば、53KdファクターXIIaと結合するが、しかし、ファクターXIIaの一つ又はそれより多くの非53Kdフォームと結合しないモノクローナル抗体を産生するために使用され得る。
国際特許出願公開第90/08835号パンフレットの開示に基づく、本発明の使用のために適するモノクローナル抗体を産生するための一般的な手順は、国際特許出願公開第04/057343号パンフレット(これは、参考文献として本明細書中に取り込まれている。)の実施例22に与えられている。
【0187】
モノクローナル抗体を産生するために使用される方法は周知である[例えば、酵素学における方法、エイチ.ヴァン ヴナキス及びジェイ.ジェイ.ランゴン(著者)、1981、72(B)及び同1983、92(E)を参照]。モノクローナル抗体は、例えば、コーラー及びミルシュタインの方法の変法により産生され得る[ジー.コーラー及びシー.ミルシュタイン、ネイチャー、1975、256、495]。モノクローナル抗体の産生の際に使用される抗原は、ファクターαXIIa又は53KdファクターXIIaであってよい。得られたモノクローナル抗体は、ファクターXIIaの一つ又はそれより多くの非53Kdフォームとの有意な結合性を示さないもの、例えば、0.1%又はそれ未満の、ファクターαXIIa又はβXIIaとの補正された交差反応性を有するものについて選別され得る。
【0188】
得られたモノクローナル抗体は、結合体が望ましい53KdファクターXIIaのフォーム、例えば、細胞53KdファクターXIIa、脂質が結合した53KdファクターXIIa、或いは、53KdファクターXIIaと他のファクターXIIa分子との、或いは、高又は低結合性の親和性パートナーとのコンプレックスに対する結合性について選別され得る。
【0189】
53KdファクターXIIaの特定の結合性フォームに結合する抗体を選別する際の対
照抗体として、モノクローナル抗体2/215又は201/9をそれぞれ使用することは利点があり得る。選択された抗体は、mAb2/215又は201/9の抗体とそれぞれ同一又は類似又は異なっている53KdファクターXIIaの選択されたフォームに対する結合特性を有し得る。
【0190】
本発明はネズミ又は一部ネズミ起源のハイブリドーマに限定されない。双方の融合パートナー(脾臓細胞及び骨髄腫)は、どのような適する動物からも得られ得る。組み換え抗体が産生され得る。抗体は、所望により、キメラ又はヒト化フォームにされ得る。ハイブリドーマは好ましくは、生体内で培養される。
【0191】
ポリクローナル抗体
本発明はまた、53KdファクターXIIaの一つ又はそれより多くのフォームに選択的に反応可能である、ポリクローナル抗血漿とも呼ばれるポリクローナル抗体を提供する。このような抗体は標識化され、そしてELISAにおいて、53KdファクターXIIaの一つ又はそれより多くの捕捉されたフォームの検出のために使用され得る。
【0192】
本発明はまた、このようなポリクローナル抗血漿の産生のための方法であって、ファクターXIIaの53Kdフォーム中に存在する抗原を動物に投与し、該動物から血清を得、53KdファクターXIIaの一つ又はそれより多くのフォームに結合するための血清を選別することからなる方法を提供する。幾つかの場合において、ファクターXIIa又はファクターXIIaの非53Kdフォームを抗原として使用することができる。
【0193】
尿検査
本発明はまた、検体から得られた尿を含む試料中の53KdファクターXIIaを検出又は決定するからなる方法を含む。本発明の前記実施態様において、53KdファクターXIIaの何れか一つ又はそれより多くの結合性フォームをファクターXIIaの他の結合性フォームに対して優先的に検出又は決定することは不必要であり得る。結合性フォームを相互に識別しない分析が使用され得る。このような分析は、例えば、クロモメリック(chromomeric)アッセイ又はイムノアッセイであり得る。
【0194】
ファクターXIIaの異なる分子量フォームを相互に識別することができる分析手段による尿中の53KdファクターXIIaの分析は、特に、激しいタンパク尿が存在しない条件において、尿中のファクターXIIa濃度が腎機能、腎臓病及び腎障害の敏感なマーカーであるので、腎機能、腎臓病及び腎障害に対する有用な情報を提供する。例えば健常検体に対する、検体の尿中のファクターXIIaの高められた濃度は、腎機能不全、腎臓病及び腎障害の何れか一つを示す。尿ファクターXIIaの濃度変化は、例えば、治療に対する応答における臨床病態の変化、例えば、症状の再燃又は改善を示し得る。
【0195】
臨床的及び他の用途
本発明、とりわけ上記イムノアッセイは、大規模用途のための自動化装置において容易に使用することができる53KdファクターXIIaの異なるフォームの検出及び/又は決定方法を提供する。
【0196】
ファクターXIIa及びその主な活性化フォーム53KdファクターXIIaは、血液凝集系及び、また接触相系、例えば、線維素溶解、補体カスケード、炎症及び血管拡張としても知られた他の接触系に関与すると考えられている[ジャコブセン エス.(Lacobsen S.)及びクリズ エム.(Kriz M.)、Br J Pharmacol.、29、25〜36、1967;クラチ ケイ(Kurachi K)他、生物化学(Biochemistry)、19、1330〜8、1980;ラドクリフ アール(Radcliffe R)他、血液、50、611〜7、1977;ゲブレヒウェト
ビー(Ghebrehiwet B)他、J Clin Invest、71、1450〜6、1983;ゼット トゥーシ(Z Toossi)他、Proc Natl Acad Sci USA、89、11969〜72、1992;ワヒトフォーゲル ワイティー(Wachtfogel YT)他、血液、67、1731〜7、1986;ワヒトフォーゲル ワイティー他、Thromb Haemost、80、686〜91、1988;並びにシュライバー(Schreiber)他AD、J Clin Invest、52、1402〜9、1973を参照]。
【0197】
ファクターXII及びその主な活性化フォーム53KdファクターXIIaは凝血に関与し、そして血管完全性及び血圧を維持する役割を有し、内皮細胞の種々の機能に影響を及ぼすことに、線維素溶解の制御に及び血管内腔の構造的抗凝固特性の維持に関与しているので、53KdファクターXIIaの特異性フォームの測定は、例えば、線維素溶解、補体カスケード及び血管拡張を含む前記系の検査の際に、また血栓症及び狭窄に対する検査の際に有用である。
【0198】
臨床的及び実験的研究は、53KdファクターXIIaを含む接触系は急性及び慢性炎症、敗血症性ショックを含む異なる原因によるショック、糖尿病、アレルギー、播種性血管内血液凝固を含む血栓−出血性障害、腫瘍疾患、心臓血管調整、例えば、心筋梗塞症、狭心症及び急性冠症候群、血管形成、敗血症、自然流産及び血栓塞栓症に関与することを示す。
【0199】
血液凝固への、血管完全性及び血圧の維持への、線維素溶解の制御への、そして血管内腔の構造的抗凝固特性の維持への、53KdファクターXIIaの関与は、播種性血管内血液凝固を含む血栓−出血性障害、腫瘍疾患、心臓血管調整、例えば、心筋梗塞症、狭心症及び急性冠症候群、血管形成及び血栓塞栓症において53KdファクターXIIaが関与するという臨床的及び実験的観察を支持する。
【0200】
ファクターXIIa(その主な53KdフォームにあるファクターXIIaを含む。)は、炎症過程において活性化され/関与する顆粒球上に存在する。この観察は、炎症、例えば、急性及び慢性炎症、敗血症性ショックを含む異なる原因によるショック、アレルギー、腫瘍疾患及び敗血症を含む種々の症状におけるファクターXIIaに関連する臨床的及び実験的研究を支持する。
【0201】
53KdファクターXIIaの特定のフォームの検出及び/又は決定は、それ故、病気又は疾患を有するか又は有することが疑われる被験者についての、接触系が関与し得る病気及び疾患の臨床的及び科学的検査であって、このような病気又は疾患に対する感受性、該病気又は疾患の進行、或いはこのような病気又は疾患の転帰、或いは病気又は疾患の治療の転帰を含む検査において有用である可能性がある。このような病気及び疾患は、急性及び慢性炎症、異なる原因によるショック、糖尿病、アレルギー、播種性血管内血液凝固及び血栓塞栓症を含む血栓−出血性障害、血栓症及び狭窄、腫瘍疾患、心臓血管症状、例えば、心筋梗塞症、狭心症、急性冠症候群、血管形成、敗血症及び自然流産を含む。
【0202】
53KdファクターXIIaの一つ又はそれより多くのフォームの検出又は決定は、それ故、病気又は疾患を有するか又は疑われる被検者における前記病気又は疾患に対する感受性、前記病気又は疾患の進行、或いは前記病気又は疾患の転帰、或いは、前記病気又は疾患の治療の転帰を診断、モニター又は予測するための補助として有用であり、前記病気又は疾患において、53KdファクターXIIaの一つ又はそれより多くのフォームの量は、健常者におけるものと異なる。53KdファクターXIIaの一つ又はそれより多くのフォームの濃度変化は、上記病気又は疾患の何れかであることを示し得る。患者における経時的な濃度変化は、治療に対する応答における症状の変化、例えば、症状の再燃又は
改善を示し得る。“診断、予測及びモニター”と呼ぶ、病気又は疾患に対する感受性、前記病気又は疾患の進行、或いは前記病気又は疾患の転帰、或いは、前記病気又は疾患の治療の転帰の診断、予測及びモニターのこのような方法は、本発明の一部である。
【0203】
加えて、尿中のファクターXIIaは腎機能、腎臓病及び腎障害の敏感なマーカーであることが知られており、それ故、尿中の53KdファクターXIIaの検出又は決定は、腎機能、腎臓病及び腎障害についての有用な情報を提供し得る可能性がある。
【0204】
診断、予測及びモニター
本発明は、病気又は疾患を有するか又は疑われる被検者における、前記病気又は疾患に対する感受性、前記病気又は疾患の進行、或いは前記病気又は疾患の転帰、或いは、前記病気又は疾患の治療の転帰を診断、モニター又は予測する方法であって、
前記被検者から得られた試料における53KdファクターXIIaの一つ又はそれより多くのフォームをファクターXIIaの他のフォーム(前記ファクターXIIaの他のフォームは、好ましくは、ファクターXIIaの非53Kdフォームである。)に対して優先的に検出又は決定し、そして該被検者から得られた結果を、
(i)前記病気又は疾患を有する被検者、
(ii)前記病気又は疾患の進行及び/又は転帰についてモニターされていた、前記病気又は疾患を有する被検者、
(iii)前記病気又は疾患を有し、そして治療中の被検者、
(iv)前記病気又は疾患の進行及び/又は転帰に対する治療についてモニターされていた、前記病気又は疾患を有し、そして治療中の被検者、
(v)前記病気又は疾患を有しない被検者、
(vi)前記病気又は疾患の発症前、或いは前記病気又は疾患の治療の開始前の同一被検者、並びに
(vii)前記病気又は疾患或いは病気又は疾患の治療の初期又は後期段階にあるか、或いは前記病気又は疾患の発症前の同一被検者
の少なくとも何れか一つ又はそれより多くから得られた試料に対する同様の分析を使用して得られた結果と比較することを含む方法を提供する。
【0205】
試料は、上記のどのようなものであってもよい。例えば、試料は、体液、例えば、血液、血漿、血清、尿、脳脊髄液、唾液又は涙の試料であってよい。
【0206】
前記分析は、ファクターXIIaの一つ又はそれより多くの53Kdフォーム、例えば、何れか一つ又はそれより多くの選択されたフォーム、例えば、何れか一つ又はそれより多くの細胞53KdファクターXIIa、脂質が結合した53KdファクターXIIa及び尿ファクター53KdXIIaを検出及び/又は検出及び/又は決定のためのものであり得る。
【0207】
分析の、53KdファクターXIIの一つ又はそれより多くのフォームへの他の、好ましくはファクターXIIaの非53Kdフォームに対するよりの特異性は、上記のように、分析の設計により達成又は改良され得る。イムノアッセイの場合には、このような設計は、使用する抗体又は抗体の組み合わせの多くの選択;界面活性剤の存在、不在及び選択;及び、固体相上にコートされた抗体を含む、抗原捕捉分析の場合におけるプレートコーティングのために使用される条件の一つ以上を含み得る。
【0208】
53KdファクターXIIaのための分析は、調査中の53KdファクターXIIaのフォームに結合可能な抗体の使用を含むイムノアッセイであり得る。このような分析において、調査中の53KdファクターXIIaのフォームに結合可能な抗体は、捕捉抗体として、固体相上に固定される。
【0209】
或いは、又は加えて、調査中の53KdファクターXIIaのフォームに結合可能な抗体は、直接又は間接的に検出可能な標識を用いて標識化されている。
【0210】
イムノアッセイにおいて、調査中の53KdファクターXIIaのフォームに結合可能な抗体はmAb2/215又はその類似体、mAb201/9又はその類似体、或いは、53KdファクターXIIaに結合可能なポリクローナル抗体であり得る。しかしながら、53KdファクターXIIaとファクターXIIaの非53Kdフォームとを相互に識別することが不可能なmAb2/215のような抗体が使用される場合には、ファクターXIIaの異なる分子量フォームを分離又は識別する方法と組み合わせて前記分析を使用することが必要になる。
【0211】
mAb2/215又はその類似体、mAb201/9又はその類似体、或いは、53KdファクターXIIaに結合可能なポリクローナル抗体が使用されるイムノアッセイにおいて、前記抗体は、直接又は間接的に検出可能な標識を用いて標識化されていてよいか、及び/又は、捕捉抗体として、固体相上に固定されていてよい。
【0212】
定義された抗体により捕捉された53KdファクターXIIaは、例えば、上記において定義された、標識化された抗体を使用して検出又は決定され得る。
【0213】
調査中の病気又は疾患は、“臨床的用途”の章における上記のどのようなものであってもよく、例えば、凝集系の病気又は疾患;血液凝固、繊維素溶解、キニン生成、補体活性化又は血管形成、血管完全性及び血圧を維持すること、血管内腔の構造的抗凝固特性を維持すること、或いは、組織防御及び修復、を含む症状の;急性及び慢性炎症、何れかの原因によるショック、糖尿病、アレルギー、血栓−出血性障害、敗血症、自然流産又は腫瘍疾患を含む症状の、並びに、血管内腔血液凝固又は血栓塞栓症、血栓症又は狭窄、心筋梗塞症、急性冠症候群又は狭心症を含む症状であり得る。
【0214】
臨床的又は病理学的症状の治療は、治療剤の投与を含み得るか、及び/又は、外科的手順を含み得る。例えば、血栓症又は狭窄の治療は、冠状動脈血管造影及び/又は血栓溶解を含み得る。
【0215】
被検者から得られた一連の試料、例えば、病気又は疾患の進行中に得られた試料及び/又は病気又は疾患の治療中及び/又は治療の開始前に得られた試料を検査することは利点があり得る。
【0216】
病気又は疾患は血栓症又は狭窄であり得るか又はそれらを含み得、及び/又は、治療は冠状動脈血管造影又は血栓溶解を含み得る。
【0217】
上記の如く、尿中のファクターXIIaは腎機能、腎臓病及び腎障害の敏感なマーカーである。
本発明は、53KdファクターXIIa、特に病気又は疾患を有する被検者の尿中の53KdファクターXIIaの濃度が、健常な被検者における場合と異なる、病気又は疾患を診断又はモニターする方法に関するものである。
【0218】
本発明は、53KdファクターXIIa、特に病気又は疾患を有するか又は該病気又は疾患を有することが疑われる被検者の尿中の53KdファクターXIIaの濃度を検出又は決定することからなる、該病気又は疾患を診断又はモニターする、或いは、該病気又は疾患の治療をモニターする方法を提供する。
【0219】
例えば、本発明は、腎不全、腎臓病又は腎障害を有するか又は有することが疑われる被検者から得られた試料中の53KdファクターXIIaを検出又は決定することからなる、該被検者における腎機能、腎臓病又は腎障害を診断又はモニターする、或いは、腎機能不全、腎臓病又は腎障害の治療をモニターする方法を提供する。
【0220】
一般的に、前記被検者について得られた結果を、
(i)前記病気又は疾患、例えば、腎機能不全、腎臓病又は腎障害を有する被検者、
(ii)前記病気又は疾患、例えば、腎機能不全、腎臓病又は腎障害の進行及び/又は転帰についてモニターされていた、前記病気又は疾患、例えば、腎機能不全、腎臓病又は腎障害を有する被検者、
(iii)前記病気又は疾患、例えば、腎機能不全、腎臓病又は腎障害を有し、そしてそれに対して治療中の被検者、
(iv)前記病気又は疾患、例えば、腎機能不全、腎臓病又は腎障害の治療について、進行について及び/又は転帰についてモニターされていた、前記病気又は疾患、例えば、腎機能不全、腎臓病又は腎障害を有し、そして治療中である被検者、
(v)前記病気又は疾患、例えば、腎機能不全、腎臓病又は腎障害を有しない被検者、
(vi)前記病気又は疾患、例えば、腎機能不全、腎臓病又は腎障害の発症前、或いは前記病気又は疾患、例えば、腎機能不全、腎臓病又は腎障害の治療の開始前の同一被検者、並びに
(vii)前記病気又は疾患、例えば、腎機能不全、腎臓病又は腎障害の或いは前記病気又は疾患の治療の初期又は後期段階にあるか、或いは前記病気又は疾患、例えば、腎機能不全、腎臓病又は腎障害の発症前の同一被検者
の少なくとも何れか一つ又はそれより多くから得られた試料に対する同様の分析を使用して得られた結果と比較する。
【0221】
53KdファクターXIIaは、53KdファクターXIIaの一つ又はそれより多くのフォームをファクターXIIaの他のフォーム(前記ファクターXIIaの他のフォームは、好ましくは、ファクターXIIaの非53Kdフォームである。)に対して優先的に検出又は決定することが可能である分析により、検出又は決定され得る。
【0222】
下記の非限定的実施例により、本発明を説明する。
【実施例】
【0223】
実施例
実施例1
本実施例において、放射性トレーサー(沃素125)を用いて標識化された抗体フラグメントに結合させ、そして、得られたコンプレックスを、高性能液体クロマトグラフィー(HPLC)を使用して分子量に基づいて分離することにより、血漿中の活性化されたファクターXIIの53Kd種の存在が示された。
【0224】
抗体2/215のFab抗体フラグメントは、“イムノピュアFab調製キット(Immunopure Fab Preparation Kit)”[ピース(Pierce)、3747エヌ メリジアン ロード(Meridian Road)、私書箱117、ロックフォード(Rockford)、イリノイ、米国]を製造者の使用説明書に従って使用して調製された。Fabフラグメントは次いで、アマシャム ファルマシア バイオテク(Amersham Pharmacia Biotech)[ポラーズ ウッド(Pollards Wood)、ナイチンゲールズ レイン(Nightingales Lane)、チャルフォント セント ゲイルズ(Chalfont St Giles)、エイチピー8 4エスピー、英国]による沃素125を用いて放射性標識化された。
【0225】
放射性標識化された抗体1μLを、多数の健常ヒトボランティアの各々からの血漿1mLに添加した。4時間インキュベートした後、高性能液体クロマトグラフィー(HPLC)により、血漿の成分を分離した。使用したHPLCシステムは、米国、カリホルニア、サンタ クララ(Santa Clara)のアジレント テクノロジーズ(Agilent Technologies)社から得られたアジレント1100システムであった。
【0226】
HPLCのために使用した移動相は、0.1M NaCl、0.05M Tris HCl、0.4%(重量/容量)クエン酸3ナトリウム、pH7,5であった。固定相は、直列の2×30cmバイオセプ(BioSep)−SEC−S3000カラム[フェノメネックス(Phenomenex)、クインーズ アべニュー(Queens Avenue)、ハーズフィールド インダストリアル エステート(Hurdsfield Industrial Estate)、チェシャー(Cheshire)、エスケイ10
2ビーエヌ、英国]を含んでいた。流速は0.7mL/分であり、そして、注入容量は100μLであった。
【0227】
280nmにおける吸光度を測定することにより、そして、フロー−カウント ラジオクロマトグラフィー検出器(Flow−Count Radiochromatography)[ラブロジック(LabLogic)、シェフィールド(Sheffield)、英国]を使用して放射能をモニターすることにより、HPLC溶出液をモニターした。
【0228】
時間に対する放射能のプロットの例は図7に示されており、ここで、抗体フラグメントと血漿中の種との結合に起因する最大ピークは約83Kdの分子量を有し、30Kd放射標識化Fabと約53Kdの血漿種との結合を示すことが判る。
【0229】
実施例2
サイパージェン サーフェス エンハンスト レーザー デソープション アンド アイオニゼーション−タイム オブ フライト(Ciphergen Surface Enhanced Laser Desorption and Ionisation−Time of Flight)(SELDI−TOF)システム[サイパージェン バイオシステムズ インコーポレーテッド(Ciphergen Biosystems,Inc.)、フレモント(Fremont)、カリホルニア、米国]を使用して質量分析を行った。
【0230】
アレイの各スポットに対して、抗体溶液(PBS中、0.2mg/mL)2μL及び50mM NaHCO3 (pH8.2)3μLを添加することにより、活性化されたファクターXIIに対して生じたモノクローナル抗体2/215及び201/9、並びに、対照として機能する非特異性ネズミモノクローナル抗体を、予め活性化したRS−100SELDI−TOFチップ(サイパージェン)に結合させ、そして、湿潤チャンバー内で、室温で1時間インキュベートした。インキュベートした後、この抗体溶液を取り出し、そして、ブロッキング溶液(PBS中、ウシ血清アルブミン2mg/mL)4μLを各スポットに対して添加し、そして、湿潤チャンバー内で、室温で20分間インキュベートした。ブロッキング溶液を除去した後、各アレイを、5分間に15mLPBSで2回洗浄した。
【0231】
血漿100μL及びPBS200μLを、96ウェル バイオプロセッサー(サイパージェン)を使用してプロテイン チップ アレイ(Protein Chip Array)上の各スポットに適用した。この試料を次いで、プラットフォーム振震器上で50分間、室温でインキュベートした。前記アレイを次いで、0.05%トリトンX−100を含むPBS(スポット当たり200μL)をそれぞれ用いて、5分間の洗浄3回を行った
。各スポットを次いで、スポット当たりPBS200μLを用いて更に2回、5分間洗浄した。各アレイを次いで5秒間、蒸溜水15mL中で濯いだ。空気乾燥後、500mL/Lアセトニトリル中の飽和EAMI(サイパージェン)0.5mL、トリフルオロ酢酸5mL/Lを、各スポットに2回適用した。RS100プロテイン チップ アレイに固定された抗体に結合したプロテインを、プロテイン チップ リーダー(Protein Chip Reader)を使用して検出した。図8は、活性化されたファクターXIIに対して生じた抗体(2/215及び201/9、“Ab215”及び“Ab2019”とそれぞれ、標識化されている。)は約53Kdの血漿成分と反応するが、しかし、この種は、対照抗体との相互作用が観察されない(図8)ことを示している。
【0232】
実施例3
80ulインターアクション ディスカバリー ビーズ(Interaction Discovery Beads)(サイパージェン)を、酢酸ナトリウム緩衝液(pH5.0)500μLを用いて3回洗浄した。このビーズを次いで、4本のエッペンドルフ管に均等に分配し、そして、50mM酢酸ナトリウム緩衝液(pH5.0)1.5mL中の抗体40μgを各管に添加し、そして振震器上で、4℃で一晩インキュベートした。浮遊物(抗体溶液)を除去した後、このビーズを、50mM酢酸ナトリウム緩衝液(pH5.0)1000μLを用いて一回洗浄した。このビーズを次いで、ブロッキング溶液(PBS中、BSA2mg/mL)1000μLを用いて、ボルテックスミキサーで、室温で20分間インキュベートし、そして、PBS(0.02%トリトンX−100を含む。)1000μLを用いて2回、そして1XPBS500μLを用いて1回洗浄した。
【0233】
血漿300μLに加えてPBS(0.02%トリトンX−100を含む。)600μLを前記ビーズに添加し、そして、ボルテックスミキサーで、室温で1時間インキュベートした。このビーズを次いで、PBS(0.02%トリトンX−100を含む。)1000μLを用いて15分間で2回、そしてPBS1000μLを用いて15分間で2回、そして水1000μLを用いて15秒間で1回洗浄した。プロテインを溶出するために、試料緩衝液40μLを添加した。
【0234】
溶出液をゲル電気泳動に付し、そして、約53Kdにおいて活動しているバンドを切除し、そしてトリプシン消化に付した[フェンセラー シー.(Fenselau C.)、1997、MALDI−MS及びプロテイン分析のための方法(MALDI−MS and strategies for protein analysis)、Anal.Chem.661A〜665A;ジャングブルート ピー.(Jungblut P.)、及びチード ビー.(Thiede B.)、1997、MALDI質量分析法による2−DEゲルからのプロテイン同定(Protein identification
from 2−DE gel by MALDI mass spectrometry)、Mass Spectrom.Rev.16、145〜163;パターソン エス.ディー.(Patterson S.D.)及びエバーソルド アール.(Aebersold R.)、1995、ゲル−分離されたプロテインの同定のための質量分析法による研究(Mass spectrometric approaches for the identification of gel−separated proteins)、電気泳動(Electrophoresis)、16、1791〜1814)]。消化物を次いで、サイパージェン プロテイン チップ リーダーを使用するMALDI−TOF[マトリックス アシステッド レーザー デソープション アイオニゼーション−タイム オブ フライト マス スペクトロメトリー(Matrix Assisted Laser Desorption Ionisation−Time Of
Flight mass spectrometry)]分析に付した。得られたペプチドパターンの一部を図9に示す。得られたペプチドパターンと公知プロテインのデーターベースにおけるペプチドパターンとの比較は、53KdプロテインがファクターXII
から誘導されるが、しかし、約115のアミノ末端残基を失っていることを示した。
【0235】
実施例4
本実施例は、ファクターXIIaの53Kdフォームの測定が、心筋梗塞及び/又は急性冠症候群が疑われて入院した患者の死亡を引き起こす全ての危険性の予測を提供することを示す。
【0236】
入院した871人の患者についてデータが得られた。各患者は、ファクターXIIaの53kdフォームを優先的に測定する分析を使用して測定されたファクターXIIaを有していた。これらの分析からのデータは、それが、あらゆる原因による死亡の第一次の臨床的エンドポイントの予測を提供するかどうかを解明するために研究された。
【0237】
前記分析の予測的有用性は、53kdファクターXIIa値を段階付け(最低から最高まで)し、次いで、被検者数を四分割する、即ち、最低の53kdファクターXIIa濃度を持つ25%の個人は四分割の一番目であり、そして最高の53kdファクターXIIa濃度を持つ25%の個人は四分割の四番目であるとすることにより決定された。
【0238】
試料を沃素−125で標識化された抗体と反応させた後に、XIIaの53Kdフォームは高性能液体クロマトグラフィーを使用して測定された。
【0239】
抗体2/215のFab抗体フラグメントは、“イムノピュアFab調製キット”[ピアース、3747エヌ メリジアン ロード、私書箱117、ロックフォード、イリノイ、米国]を製造者の使用説明書に従って使用して調製された。Fabフラグメントは次いで、アマシャム ファルマシア バイオテク[ポラーズ ウッド、ナイチンゲールズ レイン、チャルフォント セント ゲイルズ、エイチピー8 4エスピー、英国]による沃素125を用いて放射性標識化された。
【0240】
放射性標識化された抗体1μLを、多数の健常ヒトボランティアの各々からの血漿1mLに添加した。4時間インキュベートした後、高性能液体クロマトグラフィー(HPLC)により、血漿の成分を分離した。HPLCシステムはアジレント1100システムであった。
【0241】
HPLCのために使用した移動相は、0.1M NaCl、0.05M Tris HCl、0.4%(重量/容量)クエン酸3ナトリウム、pH7,5であった。固定相は、直列の2×30cmバイオセプ−SEC−S3000カラム[フェノメネックス、クインーズ アべニュー、ハーズフィールド インダストリアル エステート、チェシャー、エスケイ10 2ビーエヌ、英国]を含んでいた。流速は0.7mL/分であり、そして、注入容量は100μLであった。
【0242】
280nmにおける吸光度を測定することにより、そして、フロー−カウント ラジオクロマトグラフィー検出器[ラブロジック、シェフィールド、英国]を使用して放射能をモニターすることにより、HPLC溶出液をモニターした。
【0243】
分子量標準を流し、そしてこれらと比較することから、53kDXIIaピークを同定することができた。このピーク(放射能活性シグナル)の下の面積の積算は、XIIaの53kDフォームの定量的測定を提供した。定量化のキャリブレーションは、XIIaの30kDフォーム(βXIIa)の既知量を持つ標準を流すことにより得られた。
【0244】
表Iは、異なる追跡調査時点におけるXIIaの53kDフォームと関連付けられる、あらゆる原因による死亡の相対的危険性を示す。全ての場合において、最高の53kDX
IIa濃度を持つ前記患者は、統計的に有意に増加した死の危険性があった。これは全ての患者[心筋梗塞(0.05ng/mLより大きい入院時トロポニンT(TnT)として定義された。)で入院した患者、しかし特別には、トロポニン陰性(0.05ng/mLより小さいか又は等しいTnT)の胸痛で入院した患者]に当てはまった。図10ないし図12は、全ての患者[それぞれ、0.05ng/mLより大きい入院時TnTを有する患者、及び、0.05ng/mLより小さいか又は等しい入院時TnTを有する患者]に対するカプラン・マイヤー生存プロットを示す。
【0245】
表I.53kDXIIa濃度に関するあらゆる原因による死亡のオッズ比(53kDXIIa四分割)
【表1】

*p<0.05、**p<0.01
【0246】
実施例5
本実施例は、ファクターXIIaの53Kdフォームの濃度変化の測定が、心筋梗塞で入院した患者における第二次の心筋梗塞の危険性の予測を提供することを示す。
【0247】
入院した315人の患者についてデータが得られた。血液試料は入院時及び入院4日後に得られた。各患者は、ファクターXIIaの53kDフォームを優先的に測定する分析を使用して測定されたファクターXIIaを有していた。これらの分析からのデータは、ファクターXIIaの53kDフォームの濃度変化が、入院30日以内の第二次の心筋梗塞の第一次の臨床的エンドポイントの予測を提供するかどうかを解明するために研究された。追跡調査30日の時点で、24人の患者が第二次の心筋梗塞を発症した。
【0248】
試料を沃素−125で標識化された抗体と反応させた後に、XIIaの53Kdフォームは高性能液体クロマトグラフィーを使用して測定された。
【0249】
抗体2/215のFab抗体フラグメントは、“イムノピュアFab調製キット”[ピース、3747エヌ メリジアン ロード、私書箱117、ロックフォード、イリノイ、米国]を製造者の使用説明書に従って使用して調製された。これらのFabフラグメントは次いで、アマシャム ファルマシア バイオテク[ポラーズ ウッド、ナイチンゲールズ レイン、チャルフォント セント ゲイルズ、エイチピー8 4エスピー、英国]による沃素125を用いて放射性標識化された。
【0250】
放射性標識化された抗体1μLを、多数の健常ヒトボランティアの各々からの血漿1mLに添加した。4時間インキュベートした後、高性能液体クロマトグラフィー(HPLC)により、血漿の成分を分離した。HPLCシステムはアジレント1100システムであった。
【0251】
HPLCのために使用した移動相は、0.1M NaCl、0.05M Tris HCl、0.4%(重量/容量)クエン酸3ナトリウム、pH7,5であった。固定相は、直列の2×30cmバイオセプ−SEC−S3000カラム[フェノメネックス、クインーズ アべニュー、ハーズフィールド インダストリアル エステート、チェシャー、エスケイ10 2ビーエヌ、英国]を含んでいた。流速は0.7mL/分であり、そして、注入容量は100μLであった。
【0252】
280nmにおける吸光度を測定することにより、そして、フロー−カウント ラジオクロマトグラフィー検出器[ラブロジック、シェフィールド、英国]を使用して放射能をモニターすることにより、HPLC溶出液をモニターした。
【0253】
分子量標準を流し、そしてこれらと比較することから、53kDXIIaピークを同定することができた。このピーク(放射能活性シグナル)の下の面積の積算は、XIIaの53kDフォームの定量的測定を提供した。定量化のキャリブレーションは、XIIaの30kDフォーム(βXIIa)の既知量を持つ標準を流すことにより得られた。
【0254】
前記分析の予測的有用性は、53kDファクターXIIa値の変化を段階付け(最低から最高まで)し、次いで、被検者数を四分割する、即ち、入院時と4日後との間に53kDファクターXIIa濃度における減少が最も大きかった25%の個人は四分割の一番目であり、そして濃度における増加が最も大きかった25%の個人は四分割の四番目であるとすることにより決定された。
【0255】
XIIaの53kDフォームの濃度変化の分布(pMと表現する。)を図13に示し、そして、XIIaの53kDフォームの相対的な濃度変化(入院時の値に対する%変化として表現する。)を図14に示す。
【0256】
53kDXIIa濃度における変化に基づく発症率を表IIに与える。53kDXIIa濃度における絶対及び相対変化(入院からの%変化)共に、危険性に強く関連していた。XIIa濃度における変化をQ1と比較した場合、Q4における再発TnT陽性発症についてのオッズ比は、入院時の値に対して、絶対変化で15.36(p=0.0046)であり、そして%変化で13.97(p=0.0062)であった。それ故、心筋梗塞での入院時から4日後までXIIaの53kDフォーム濃度における変化は、30日間の追跡調査の間の心筋梗塞を強く予測すると結論される。
【0257】
表II.心筋梗塞による入院4日後の53kDXIIaにおける変化に関する、心筋梗塞に対する入院後30日以内のTnT陽性心臓発作の発症
【表2】

【図面の簡単な説明】
【0258】
【図1】図1は、53KdファクターXIIaを構成するペプチド鎖における“重鎖”のアミノ酸配列を示す図である。
【図2】図2は、53KdファクターXIIaを構成するペプチド鎖における“軽鎖”のアミノ酸配列を示す図である。
【図3】図3は、図形フォームにおけるファクターXII酵素原を示す図である。
【図4】図4は、図形フォームにおけるファクターαXIIaを示す図である。
【図5】図5は、図形フォームにおけるファクターβXIIaを示す図である。
【図6】図6は、図形フォームにおける53KdファクターXIIaを示す図である。
【図7】図7は、放射性標識化されたモノクローナル抗体2/215Fabに結合したファクターXIIaの異なるフォームのHPLC分離から得られたトレースを示す図である。
【図8】図8は、実施例2に記載された質量分析実験の結果を示す図である。
【図9】図9は、実施例3に記載された53Kdのトリプシン消化の後の、MALDI−TOF分析の結果を示す図である。
【図10】図10は、実施例4に記載された実験から得られたデータを示す図である。
【図11】図11は、実施例4に記載された実験から得られたデータを示す別の図である。
【図12】図12は、実施例4に記載された実験から得られたデータを示す更に別の図である。
【図13】図13は、実施例5に記載された実験から得られたデータを示す図である。
【図14】図14は、実施例5に記載された実験から得られたデータを示す別の図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ファクターXIIaの53Kdフォーム。
【請求項2】
ヒトファクターXIIaの53Kdフォームである、請求項1記載のファクターXIIaの53Kdフォーム。
【請求項3】
図1及び図2にそれぞれ示された実質的なアミノ酸配列を持つペプチドを有する、請求項2記載のファクターXIIaの53Kdフォーム。
【請求項4】
請求項1ないし3の何れか一項に記載されたファクターXIIaの53Kdフォームのペプチドの一方又は双方をエンコードしている単離された核酸分子。
【請求項5】
単離されたDNA分子である、請求項4記載の単離された核酸分子。
【請求項6】
請求項1ないし3の何れか一項に記載されたファクターXIIaの53Kdフォームのエピトープの一つ又はそれより多くに結合しているモノクローナル又はポリクローナル抗体或いは前記抗体のエピトープ結合フラグメント又は誘導体であって、前記抗体が、10%又はそれ未満の、ファクターαXIIa及びファクターβXIIaの一つ又は双方との補正された交差反応性を有することを特徴とする抗体、フラグメント又は誘導体。
【請求項7】
固体支持体上に固定された請求項6記載の抗体、フラグメント又は誘導体。
【請求項8】
検出可能な標識が付けられている請求項6記載の抗体、フラグメント又は誘導体。
【請求項9】
請求項6において定義されたモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ細胞株。
【請求項10】
請求項6において定義されたモノクローナル抗体を産生する方法であって、該抗体を産生することが可能なハイブリドーマ細胞株を成長培地中で培養し、そして該成長培地から該抗体を得ることを含む方法。
【請求項11】
請求項6において定義されたポリクローナル抗体を産生する方法であって、ファクターXIIaの53Kdフォームの抗原を哺乳類に接種し、そして前記哺乳類の血清からの抗体を精製することを含む方法。
【請求項12】
請求項9記載のハイブリドーマ細胞株を産生する方法であって、抗原を哺乳類に投与し、前記哺乳類から抗体産生性細胞を得、得られた抗体産生性細胞を骨髄腫と融合させるか、或いは、前記細胞を不死化し、そして得られたハイブリドーマをモノクローナル抗体の産生のために選別することを含む方法。
【請求項13】
抗原とそれに結合する抗体との間の相互作用、及び所定量の抗原を使用して得られた結果を参照して流体試料中に存在する抗原の量を決定することを含む、該試料中の抗原に対するイムノアッセイを行う方法であって、前記抗体が請求項6ないし8の何れか一項に記載された抗体であり、そして前記抗原がファクターXIIaの53Kdフォームであることを特徴とする方法。
【請求項14】
抗原と抗体との間の相互作用並びにあらゆる得られた抗体−抗原コンプレックスの検出及び/又は決定を含む定性又は定量イムノアッセイに試料を付すことを含む、該試料中のファクターXIIaの53Kdフォームを検出及び/又は決定する方法であって、前記抗体が請求項6ないし8の何れか一項に記載された抗体であることを特徴とする方法。
【請求項15】
試料中のファクターXIIaの53Kdフォームを検出又は決定する方法であって、ファクターXIIaの選択された53KdフォームをファクターXIIaの他のフォームに対して優先的に検出又は決定することが可能な手順を行うことを含む方法。
【請求項16】
ファクターXIIaの前記53KdフォームをファクターXIIaの他のフォームに対して優先的に決定することが可能な分析によりファクターXIIaの前記53Kdフォームを検出又は決定ことを含む、請求項15記載の方法。
【請求項17】
ファクターXIIaの前記53KdフォームをファクターXIIaの他のフォームから分離し、そしてファクターXIIaの前記53Kdフォームを検出又は決定することを含む、請求項15又は請求項16記載の方法。
【請求項18】
ファクターXIIaの前記53Kdフォームの検出又は決定が請求項16において定義された分析によるものである、請求項16又は請求項17記載の方法。
【請求項19】
前記試料を、ファクターXIIaの前記53Kdフォームに結合可能であり且つ所望により更にファクターXIIaの他の分子量フォームに結合可能な標識化された抗体と接触させ、調査中のファクターXIIaの前記53KdフォームをファクターXIIaの他のフォームから分離し、そしてファクターXIIaの前記53Kdフォームを検出又は決定することを含む、請求項17記載の方法。
【請求項20】
調査中のファクターXIIaのフォームがファクターXIIaの他のフォームから、その物理的、化学的又は免疫学的な性質に基づいて分離される、請求項17ないし請求項19の何れか一項記載の方法。
【請求項21】
ファクターXIIaの前記53Kdフォームが、クロマトグラフ的、フローサイトメトリー的又は超遠心分離手順を使用してファクターXIIaの他のフォームから分離され、所望によりその後、分離された物質の酵素活性又は免疫学的性質を評価する、請求項20記載の方法。
【請求項22】
ファクターXIIaの前記53Kdフォームが、ファクターXIIaの前記53Kdフォームに結合可能な抗体を使用してイムノアフィニティ・クロマトグラフィーにより分離され、所望によりその後、分離された物質の酵素活性又は免疫学的性質を評価する、請求項20記載び方法。
【請求項23】
分離工程が、ファクターXIIaの前記53Kdフォームが分解されないような条件下で行われる、請求項21又は請求項22記載の方法。
【請求項24】
ファクターXIIaの前記他のフォームがファクターXIIaの非53Kdフォームである、請求項15ないし23の何れか一項記載の方法。
【請求項25】
前記試料が体液又は体組織である、請求項13ないし24の何れか一項記載の方法。
【請求項26】
前記体液が血液、血漿又は血清である、請求項25記載の方法。
【請求項27】
前記体液が尿、脳脊髄液、唾液又は涙である、請求項25記載の方法。
【請求項28】
調査中のファクターXIIaの53Kdフォームが細胞53KdファクターXIIaである、請求項13ないし27の何れか一項記載の方法。
【請求項29】
ファクターXIIaの前記53Kdフォームが細胞53KdファクターXIIaであ
り、該細胞53KdファクターXIIaは、体液の液相から又は組織から細胞、細胞断片及び/又は細胞物質を分離することにより、ファクターXIIaの他の結合フォームから分離される、請求項17ないし27の何れか一項記載の方法。
【請求項30】
前記細胞、細胞断片及び/又は細胞物質が遠心分離により分離される、請求項29記載の方法。
【請求項31】
53KdファクターXIIaの検出又は決定前に、細胞53KdファクターXIIaが53KdファクターXIIaの他のフォームから分離される、請求項28ないし30の何れか一項記載の方法。
【請求項32】
調査中のファクターXIIaの53Kdフォームが、脂質が結合した53KdファクターXIIaである、請求項15ないし27の何れか一項記載の方法。
【請求項33】
ファクターXIIaの53Kdフォームが、脂質が結合した53KdファクターXIIaであり、該脂質が結合した53KdファクターXIIaは、前記体液又は体組織から脂質フラクションを単離することにより、脂質が結合していない53KdファクターXIIaから分離される、請求項32記載の方法。
【請求項34】
前記脂質フラクションがリポプロテイン及び/又はその断片を含む、請求項33記載の方法。
【請求項35】
前記脂質フラクションがリポプロテイン沈澱剤を使用して沈澱される、請求項34記載の方法。
【請求項36】
前記脂質が結合した53KdファクターXIIaがファクターXIIaの他のフォームから分離される前に、該脂質が結合した53KdファクターXIIaが標識化された抗体と接触させられる、請求項32ないし35の何れか一項記載の方法。
【請求項37】
ファクターXIIaの前記他のフォームが、ファクターXIIの非53Kdフォームである、請求項36記載の方法。
【請求項38】
ファクターXIIaの前記53Kdフォームが、53KdファクターXIIa、低親和性の結合性パートナーと接続している53KdファクターXIIa及び高親和性の結合性パートナーと接続している53KdファクターXIIaの二個又はそれより多くの分子を含む一種又はそれより多くのコンプレックスである、請求項15ないし27の何れか一項記載の方法。
【請求項39】
前記検出又は決定が、ファクターXIIaの前記53Kdフォームが分解しない条件下で行われる、請求項15ないし38の何れか一項記載の方法。
【請求項40】
分離段階が、ファクターXIIaの前記53Kdフォームが分解しない条件下で行われる、請求項15ないし39の何れか一項記載の方法。
【請求項41】
ファクターXIIaの前記53Kdフォームがイムノアッセイを使用して検出又は決定される、請求項15ないし40の何れか一項記載の方法。
【請求項42】
前記イムノアッセイが、ファクターXIIaの前記53KdフォームをファクターXI
Iaの他のフォームに対して優先的に検出又は決定可能なイムノアッセイである、請求項41記載の方法。
【請求項43】
前記イムノアッセイが、ファクターXIIaの前記53Kdフォームに結合可能な抗体の使用を含む、請求項42記載の方法。
【請求項44】
前記抗体が直接又は間接的に検出可能な標識を用いて標識化されている、請求項43記載の方法。
【請求項45】
前記抗体が放射性標識化されている、請求項44記載の方法。
【請求項46】
得られた抗原−抗体コンプレックスが直接検出又は決定される、請求項41ないし45の何れか一項記載の方法。
【請求項47】
得られた抗原−抗体コンプレックスが間接的に検出又は決定される、請求項41ないし45の何れか一項記載の方法。
【請求項48】
得られた抗原−抗体コンプレックスがフローサイトメトリー、表面プラズモン共鳴、表面弾性波法又は水晶振動子マイクロバランス法により検出される、請求項41ないし45の何れか一項記載の方法。
【請求項49】
前記試料が組織試料であり、そしてファクターXIIaの前記53Kdフォームが免疫組織学により検出又は決定される、請求項41ないし48の何れか一項記載の方法。
【請求項50】
ファクターXIIaの前記他のフォームがファクターXIIaの非53Kdフォームである、請求項40ないし49の何れか一項記載の方法。
【請求項51】
前記抗体がmAb2/215又はその類似体、mAb201/9又はその類似体である、請求項40ないし49の何れか一項記載の方法。
【請求項52】
前記抗体が請求項6に記載された抗体である、請求項40ないし50の何れか一項記載の方法。
【請求項53】
前記検出又は決定のための手順が界面活性剤の不存在下で行われる、請求項15ないし52の何れか一項記載の方法。
【請求項54】
前記検出又は決定のための手順が界面活性剤の存在下で行われる、請求項15ないし52の何れか一項記載の方法。
【請求項55】
前記手順が、低親和性の結合パートナーに結合した53KdファクターXIIaの優先的な検出又は決定を可能にする、請求項15ないし54の何れか一項記載の方法。
【請求項56】
前記手順が、高親和性の結合パートナーに結合した53KdファクターXIIaの優先的な検出又は決定を可能にする、請求項15ないし54の何れか一項記載の方法。
【請求項57】
前記手順が、二個又はそれより多くのファクターXIIa分子であって、その少なくとも一個が53KdフォームであるファクターXIIa分子を取り込んでいる分子状コンプレックスの優先的な検出又は決定を可能にする、請求項15ないし54の何れか一項記載の方法。
【請求項58】
前記手順が、細胞又は細胞から誘導された物質に結合した53KdファクターXIIaの優先的な検出又は決定を可能にする、請求項15ないし54の何れか一項記載の方法。
【請求項59】
前記手順が、脂質、リポプロテイン又はそれらの断片に結合した53KdファクターXIIaの優先的な検出又は決定を可能にする、請求項15ないし54の何れか一項記載の方法。
【請求項60】
ファクターXIIaの前記53Kdフォームがクロマトグラフィー分析を使用して検出又は決定される、請求項15ないし54の何れか一項記載の方法。
【請求項61】
前記試料が、病気又は疾患を有する、病気又は疾患が進行している、或いは病気又は疾患を有していた又は病気又は疾患が治療された被検者から得られている、請求項15ないし60の何れか一項記載の方法。
【請求項62】
前記病気又は疾患が凝固系を伴う、請求項61記載の方法。
【請求項63】
前記病気又は疾患が、血液凝固系、線維素溶解、キニン生成(kininogensis)、補体活性化又は血管形成、血管完全性及び血圧を維持すること、血管内腔の構造的抗凝血性を維持すること、或いは組織防御及び修復を伴う、請求項61記載の方法。
【請求項64】
前記病気又は疾患が、急性又は慢性炎症、敗血症性ショックを含む何れかの原因によるショック、糖尿病、アレルギー、血栓−出血性障害、敗血症、自然流産又は腫瘍疾患であるか又はこれらを伴う、請求項61記載の方法。
【請求項65】
前記病気又は疾患が、血管内血液凝固又は血栓塞栓症、心筋梗塞、急性冠症候群又は狭心症であるか又はこれらを伴う、請求項61記載の方法。
【請求項66】
前記病気又は疾患が、血栓症又は狭窄であるか又はこれらを伴う、請求項61記載の方法。
【請求項67】
前記病気又は疾患が、疑似心筋梗塞又は急性冠不全症候群であるか又はこれらを伴う、請求項61記載の方法。
【請求項68】
前記病気又は疾患が、敗血症であるか又はこれを伴う、請求項61記載の方法。
【請求項69】
前記治療が治療剤の投与を伴う及び/又は外科手術を伴う、請求項61記載の方法。
【請求項70】
前記治療が冠状動脈血管造影又は血栓溶解である、請求項69記載の方法。
【請求項71】
被検者から得られた一連の試料が検査される、請求項15ないし70の何れか一項記載の方法。
【請求項72】
試料が病気又は疾患の進行の間に得られる、請求項69記載の方法。
【請求項73】
前記試料が病気又は疾患の治療の間に、治療が開始される前に及び/又は治療が終了した後に得られる、請求項71又は請求項72記載の方法。
【請求項74】
病気又は疾患を有するか又は疑われる被検者における、前記病気又は疾患に対する感受性、前記病気又は疾患の進行、或いは前記病気又は疾患の転帰、或いは、前記病気又は疾患の治療の転帰を診断、モニター又は予測する方法であって、
前記被検者から得られた試料におけるファクターXIIaの53KdフォームをファクターXIIaの他のフォームに対して優先的に検出又は決定し、そして該被検者から得られた結果を、
(i)前記病気又は疾患を有する被検者、
(ii)前記病気又は疾患の進行及び/又は転帰についてモニターされていた、前記病気又は疾患を有する被検者、
(iii)前記病気又は疾患を有し、そして治療中の被検者、
(iv)前記病気又は疾患の進行及び/又は転帰に対する治療についてモニターされていた、前記病気又は疾患を有し、そして治療中の被検者、
(v)前記病気又は疾患を有しない被検者、
(vi)前記病気又は疾患の発症前、或いは前記病気又は疾患の治療の開始前の同一被検者、並びに
(vii)前記病気又は疾患の或いは前記病気又は疾患の治療の初期又は後期段階にあるか、或いは前記病気又は疾患の発症前の同一被検者
の少なくとも何れか一つ又はそれより多くから得られた試料に対する同様の分析を使用して得られた結果と比較することを含む方法。
【請求項75】
請求項15ないし60の何れか一項に記載された方法を使用して、ファクターXIIaの53Kdフォームが検出又は決定される、請求項74記載の方法。
【請求項76】
前記病気又は疾患が請求項62ないし68の何れか一項において定義されたものである、請求項74又は請求項75記載の方法。
【請求項77】
前記治療が請求項69又は請求項70において定義されたものである、請求項66又は請求項67記載の方法。
【請求項78】
前記試料が請求項71ないし73の何れか一項において定義されたものである、請求項74ないし77の何れか一項記載の方法。
【請求項79】
前記試料が、心筋梗塞の疑いでの被検者の病院への入院直後又は入院の後に得られ、53KdファクターXIIaの特定フォームの低濃度が二次的トロポニン陽性発症のリスクの増加に結び付く、請求項75又は請求項76記載の方法。
【請求項80】
前記試料が、心筋梗塞の疑いでの被検者の病院への入院直後又は入院の後に得られ、53KdファクターXIIaの特定フォームの高濃度が二次的トロポニン陽性発症のリスクの増加に結び付く、請求項75又は請求項76記載の方法。
【請求項81】
前記試料が、心筋梗塞の疑いでの被検者の病院への入院直後又は入院の後に得られ、53KdファクターXIIaの特定フォームの低濃度が死亡のリスクの増加に結び付く、請求項75又は請求項76記載の方法。
【請求項82】
前記試料が、心筋梗塞の疑いでの被検者の病院への入院直後又は入院の後に得られ、53KdファクターXIIaの特定フォームの高濃度が死亡のリスクの増加に結び付く、請求項75又は請求項76記載の方法。
【請求項83】
前記試料が、急性冠症候群の疑いでの被検者の病院への入院直後又は入院の後に得られ、53KdファクターXIIaの特定フォームの高濃度が死亡のリスクの増加に結び付く、請求項75又は請求項76記載の方法。
【請求項84】
前記試料が、0.05ng/mLを越えるトロポニンT(TnT)濃度を有する被検者
の病院への入院直後又は入院の後に得られ、53KdファクターXIIaの特定フォームの高濃度が死亡のリスクの増加に結び付く、請求項75又は請求項76記載の方法。
【請求項85】
前記試料が、心筋梗塞の疑いでの被検者の病院への入院直後又は入院の後に得られ、53KdファクターXIIaの特定フォームの高濃度が二次的心筋梗塞のリスクの増加に結び付く、請求項75又は請求項76記載の方法。
【請求項86】
53KdファクターXIIaの特定フォームの高濃度が敗血症に結び付く、請求項75又は請求項76記載の方法。
【請求項87】
病気又は疾患を有するか又は病気又は疾患を治療中の被検者から得られた試料に対して、53KdファクターXIIaについての一連の分析を行い、そして前記病気又は疾患或いは前記治療に関連する53KdファクターXIIa濃度に対する情報を提供する分析を選択することを含む方法。
【請求項88】
病気又は疾患を有するか又は疑われる被検者における前記病気又は疾患に対する感受性、前記病気又は疾患の進行、或いは前記病気又は疾患の転帰、或いは、前記病気又は疾患の治療の転帰を診断、モニター又は予測するための情報を提供するのに適する、53KdファクターXIIaについての分析を提供する方法であって、
前記病気又は疾患を有するか又は前記病気又は疾患を治療中の被検者から得られた試料に対して、53KdファクターXIIaについての一連の分析を行い、そしてどの分析が前記病気又は疾患に対する感受性、前記病気又は疾患の進行、或いは前記病気又は疾患の転帰、或いは、前記病気又は疾患の治療の転帰を診断、モニター又は予測することに関連する53KdファクターXIIa濃度に対する情報を提供するかを決定することを含む方法。
【請求項89】
請求項88記載の方法であって、前記病気又は疾患を有するか或いはその治療中である被検者から得られた試料における53KdファクターXIIaについて得られた結果を、(i)前記病気又は疾患を有する被検者、
(ii)前記病気又は疾患の進行及び/又は転帰についてモニターされていた、前記病気又は疾患を有する被検者、
(iii)前記病気又は疾患を有し、そして治療中の被検者、
(iv)前記病気又は疾患の進行及び/又は転帰に対する治療についてモニターされていた、前記病気又は疾患を有し、そして治療中の被検者、
(v)前記病気又は疾患を有しない被検者、
(vi)前記病気又は疾患の発症前、或いは前記病気又は疾患の治療の開始前の同一被検者、並びに
(vii)前記病気又は疾患或いは病気又は疾患の治療の初期又は後期段階にあるか、或いは前記病気又は疾患の発症前の同一被検者
の少なくとも何れか一つ又はそれより多くから得られた試料に対する同様の分析を使用して得られた結果と比較することを含む方法。
【請求項90】
前記分析が請求項15ないし67の何れか一項において定義された方法である、請求項87ないし89の何れか一項記載の方法。
【請求項91】
前記病気又は疾患が請求項62ないし68の何れか一項において定義されたものである、請求項87ないし90の何れか一項記載の方法。
【請求項92】
前記治療が請求項69又は請求項70において定義されたものである、請求項87ないし91の何れか一項記載の方法。
【請求項93】
前記試料が請求項71ないし73の何れか一項において定義されたものである、請求項87ないし92の何れか一項記載の方法。
【請求項94】
前記得られた結果がデータベースに集められる、請求項87ないし93の何れか一項記載の方法。
【請求項95】
請求項87ないし94の何れか一項記載の方法に従って得られた結果を含むデータベース。
【請求項96】
被検者からの試料中の53KdファクターXIIaをファクターXIIaの他の分子量のフォームに対して優先的に検出又は決定することを含む方法であって、前記試料が尿試料であることを特徴とする方法。
【請求項97】
病気又は疾患を診断又はモニターする、或いは該病気又は疾患の治療を診断又はモニターする方法であって、該病気又は疾患を有するか又は該病気又は疾患を有する疑いがある被検者の尿中のファクター53KdXIIaをファクターXIIaの他の分子量フォームに対して優先的に検出又は決定することを含む方法。
【請求項98】
前記病気が腎機能不全、腎臓病又は腎障害であるか又はこれらを伴う、請求項97記載の方法。
【請求項99】
請求項96ないし98の何れか一項記載の方法であって、前記被検者について得られた結果を、
(i)前記病気又は疾患、例えば、腎機能不全、腎臓病又は腎障害を有する被検者、
(ii)前記病気又は疾患、例えば、腎機能不全、腎臓病又は腎障害の進行及び/又は転帰についてモニターされていた、前記病気又は疾患、例えば、腎機能不全、腎臓病又は腎障害を有する被検者、
(iii)前記病気又は疾患、例えば、腎機能不全、腎臓病又は腎障害を有し、そしてそれに対して治療中の被検者、
(iv)前記病気又は疾患、例えば、腎機能不全、腎臓病又は腎障害の治療について、進行について及び/又は転帰についてモニターされていた、前記病気又は疾患、例えば、腎機能不全、腎臓病又は腎障害を有し、そして治療中である被検者、
(v)前記病気又は疾患、例えば、腎機能不全、腎臓病又は腎障害を有しない被検者、
(vi)前記病気又は疾患、例えば、腎機能不全、腎臓病又は腎障害の発症前、或いは前記病気又は疾患、例えば、腎機能不全、腎臓病又は腎障害の治療の開始前の同一被検者、並びに
(vii)前記病気又は疾患、例えば、腎機能不全、腎臓病又は腎障害の或いは前記病気又は疾患の治療の初期又は後期段階にあるか、或いは前記病気又は疾患、例えば、腎機能不全、腎臓病又は腎障害の発症前の同一被検者
の少なくとも何れか一つ又はそれより多くから得られた試料に対する同様の分析を使用して得られた結果と比較することを含む方法。
【請求項100】
前記分析が請求項15ないし67の何れか一項において定義されたものであり、前記試料が尿である請求項97ないし99の何れか一項記載の方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate


【公表番号】特表2008−526937(P2008−526937A)
【公表日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−550834(P2007−550834)
【出願日】平成18年1月10日(2006.1.10)
【国際出願番号】PCT/GB2006/000072
【国際公開番号】WO2006/075142
【国際公開日】平成18年7月20日(2006.7.20)
【出願人】(505233192)アクシス−シールド ダイアグノスティックス リミテッド (3)
【出願人】(308006575)
【Fターム(参考)】