説明

ファサード断熱材

本発明は、建物の外壁(19)に対して離間して設けた少なくとも1つの支持レール(23)と、この支持レール(23)によって支持される複数の断熱パネル(13)とを備えたファサード断熱材(11)を提供する。
支持レール(23)は、少なくとも2つのスペーサ(29)により外壁(19)から離間して配置される。断熱パネル(13)の重量を外壁(19)に伝達するために、それぞれが第1の端部で支持レール(23)に固定し且つ第2の端部で外壁(19)に固定することができる少なくとも2つの引張ブラケット(35)が設けられる。本発明はまた、建物の外壁(19)上に断熱パネル(13)を保持するための取付キットに関する。取付キットは、少なくとも1つの支持レール(23)と、少なくとも2つのスペーサ(29)と、少なくとも2つの引張ブラケット(35)と、少なくとも1つの固定要素(33)とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1によるファサード断熱材、請求項14の前提部分(プレアンブル)による断熱パネルを保持する取付キット、及び請求項15によるファサード断熱システムに関する。
【背景技術】
【0002】
エネルギー節減の理由から、建築産業では、建築断熱用の断熱パネルをより厚くすることが余儀なくされている。また、断熱パネルは、メッシュ強化プラスターで直接しっくい塗りできることが求められており、これらの外側を高密度にする必要がある。しかしながら、このような断熱パネルは重量が増大するので、これを展開するには限界がある。その結果として、これにより断熱パネルのコスト及び固定するための複雑さが影響を受ける。従って、第1の要件は、断熱パネルをできるだけ軽量にする必要性がある。断熱パネルは、通常は建物外壁に接合及びペグで固定される。より大きな重量の断熱パネルを固定するためには、断熱パネルを確実に取り付ける必要があり、結果としてより多くのペグが必要とされる。従って、このタイプの固定は、コスト集約的である。
【0003】
DE9413214は、建物外壁に断熱パネルを固定するための装置を開示している。この装置は、アングルプロファイルの形態の保持レールに関する。このアングルプロファイルの第1の脚部は、支持レールを建物外壁に締結する役割を果たす。第1の脚部に対して直角をなす第2の脚部は、第1の脚部にほぼ平行に延びた保持用のウェブと適合させる。取付時には、予め溝が設けられた断熱パネルは、保持用のウェブに押し込められる。これらの保持レールの利点は、ペグの使用を排除できることである。しかしながら、レールは、高密度の比較的薄い断熱パネルしか保持することができない。溝の形成及び溝領域で荷重を支持するためには高密度であることが必須である。
【0004】
DE2849727は、高さ調整可能なクリンカーホルダを開示している。このホルダは、一方の端部でヒンジを介して移動させるよう支持ブラケットと調整可能に接続されるアンカーウェブを有する。他方の端部では、アンカーウェブは、剪断コネクタと高さ調整可能に接続され、剪断コネクタにより支持壁に保持される。支持ブラケットは、調整可能な支持ボルトを用いて支持壁上に支持される。クリンカートラップによって支持壁の正面に保持されて且つここから離間された吊り下げクリンカー又はタイル壁が高重量を有することは明らかである。従って、クリンカーホルダは、吊り壁を支持できるようにするために、これに対応して堅固であるように設計しなければならない。これに加えて、クリンカー又はタイル張り壁は、ワイヤー又はペグアンカーによって支持壁と接続される。支持ブラケットとアンカーウェブとの間のヒンジ接続は製造が比較的複雑である。吊り壁と比べて比較的軽量な断熱パネルをクリンカーホルダによってどのように保持できるかについては開示されていない。
【0005】
DE3213899は、建物シェルから特定距離においてプレキャストコンクリート要素を懸架するための装置を開示している。固定具は、建物シェル内及び建造中のプレキャストコンクリート部品内に予め堅固に設置されている。建物シェルに一体化された懸架シューの一方側に懸架引張アンカーが懸架される。他方側では、懸架引張アンカーは、アンカーレール内で垂直方向に移動可能に保持される。アンカーレールは、プレキャストコンクリート部品に設けられる。アンカーレールに溶接されたねじ付きスリーブにねじ留めされるスタッドボルトは、アンカーレールに沿った懸架引張アンカーを変位させるのに役立つ。この懸架方法は、プレキャストコンクリート部品のようなきわめて重量のある部品を保持するのに好適である。しかしながら、断熱パネルでは、アンカーレールが断熱パネル内で十分に保持されず、破断するおそれがあるので、この懸架方法は好適ではない。
【0006】
EP0026495は、後方換気型ファサードパネル用の基礎構造に固定するための壁保持プロファイルセットを開示している。垂直方向に向いたファサードホルダは、壁の正面に配列され、ファサードパネルの長手方向の範囲に対して横方向に延びる。垂直方向に向いたファサードホルダは、スペーサにより壁から離間して配置される。スペーサを壁と接続する第1の壁保持プロファイルは、固定点として機能する。同様にスペーサと接続されて第1の壁保持プロファイルの上方に配置された、スロット付きの第2の壁保持プロファイルは、滑動点として機能する。左右への横向きのシフトを阻止するために、ファサードホルダはまた、保持ブロックによって壁から離れて保持される。この壁プロファイルセットには水平方向のファサード保持は提供されていないので、ファサードパネルは、リベット又はスクリューなどの追加の固定手段によりファサードホルダ上に保持しなければならない。しかしながら、断熱パネルを迅速に取り付けるために、水平支持ホルダが常に必要とされる。従って、この保持プロファイルセットは、断熱パネルを壁に固定するためには使用できない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】DE9413214明細書
【特許文献2】DE2849727明細書
【特許文献3】DE3213899明細書
【特許文献4】EP0026495明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従って、本発明の目的は、外部断熱に対する多くの要件を考慮し、且つ断熱パネルを安価で迅速に固定できるファサード断熱材を提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によれば、この目的は、請求項1のプレアンブルによるファサード断熱材により達成され、ここで複数の第2の断熱パネルが支持レールによって支持され且つ建物の外壁から離間して配置され、第2の断熱パネルの内側と外壁との間に複数の第1の断熱パネルを受けるキャビティが形成される。
【0010】
本発明によるファサード断熱材は、異なる壁厚及び密度の第1及び第2の断熱パネルを外壁上にきわめて容易且つ迅速に配置できる利点を有する。また、ファサード断熱材は、対応する第1及び第2の断熱パネルを選択することによりそれぞれの断熱要件にフレキシブルに適合させることができる。また、大きな厚み及び重い重量の断熱パネルを建物外壁上に確実に保持することができる。また、異なるスペーサ長さにより、断熱パネルの異なる厚みに対処することができる。引張ブラケットは、断熱パネルの重量下でスペーサの湾曲を阻止する。また、引張ブラケットの代わりに、支持レールの下方に配置される圧縮ブラケットを用いることも考えられる。
【0011】
キャビティは、断熱作用を付加する役割を果たす。第1の内側断熱パネルは、キャビティ内に都合良く保持される。また、キャビティをバルク断熱材料で充填することも考えられる。この場合、キャビティは、バルク製品がキャビティから出ないように最下点で閉鎖される。異なる密度及び厚みの断熱パネルを組み合わせることにより、比較的低重量で低伝熱性を有する最適な断熱材が得られる。
【0012】
本発明は、断熱パネルの密度が、上限値が190kg/m3、好ましくは170kg/m3、特に好ましくは150kg/m3であり、下限値が100kg/m3、好ましくは110kg/m3、特に好ましくは120kg/m3であり、外壁から離れて対向しており、また、第1の断熱パネルの密度が、上限値が90kg/m3、好ましくは70kg/m3、特に好ましくは65kg/m3であり、下限値が20kg/m3、好ましくは30kg/m3、特に好ましくは55kg/m3である場合に利点を提供する。2つの層の密度が異なることにより、断熱パネルの重量及び厚みが比較的小さい状態できわめて良好な断熱値がもたらされる。
【0013】
好ましい例示的な実施形態において、第1の内側断熱パネルは、第2の断熱パネルよりも大きな厚みを有し、第1の断熱パネルの厚みは、第2の断熱パネルの厚みの少なくとも1.5倍であることが好ましい。第1及び第2の断熱パネルの密度及び厚みのパラメータを選択することによって、本発明によるファサード断熱材を必要な断熱要件に最適に適合させることができる。
【0014】
本発明は、第1の断熱パネルが少なくとも1つのスペーサによって支持される場合に利点を提供する。従って、スペーサがどのような場合にも存在し、第2の断熱パネルを外壁から離間して配置しているので、第1の断熱パネルを保持するために追加の固定具を必要としない。ファサード断熱材を取り付ける際には、固定手段を追加する必要もなく、第1の断熱パネルが単にスペーサ上に配置するだけである。
【0015】
好都合には、支持レールは、外壁に対向し且つスペーサの第1の端部に取り付けられるウェブを有する。スペーサは、開放構造にすることによりウェブに容易に取り付けることができる。
【0016】
本発明は、ウェブの上下に保持延長部が設けられ、この上に断熱パネルが嵌め込まれることにより保持される場合に利点を提供する。保持延長部は、押出し成形により安価に製作され、断熱パネルの確実な保持を保証することができる。保持延長部をウェブの一方側のみに形成することも考えられる。これは、外壁の最上部又は最下部にある支持レールにおいて特に妥当である。第1の層の断熱パネルの重量が支持レールに伝達されるので、第2の層内には剪断力は作用しない。従って、第2の層は、上述のようにきわめて軽量に設計することができる。
【0017】
特定の好ましい実施形態においては、各断熱パネルの周面に沿って、支持レールの保持延長部を受ける役割を果たす溝が設けられる。断熱パネルには、取り付けられた状態で垂直方向に溝を有するので、隣接する断熱パネルは、全体的に互いに整列させられる。これによりファサード断熱材の全領域にわたり平坦な面がもたらされ、しっくいを容易に塗ることができる。
【0018】
更に好ましい実施形態においては、複数の通路開口がウェブ上に規則的な間隔をおいて設けられている。従って、隣接する断熱パネルの垂直な面をもつ接合部において、引張ブラケットをきわめて容易に位置付けることができる。
【0019】
引張ブラケットを支持レールに迅速に固定するために、これらは支持レールの端部で懸架される。
【0020】
有利には、引張ブラケットは、2つの隣接する断熱パネル間の垂直な面をもつ接合部に配置される。従って、引張ブラケットが、どのような場合にも存在する接合部に配置されるので、断熱パネルは、迅速に設置することができ、引張ブラケットに適合させる必要がない。
【0021】
異なる長さのスペーサを使用できるようにするために、スペーサは、少なくとも1つの固定要素を用いて外壁に第2の端部で固定される。固定要素は、例えば、単一のスペーサが固定されるアングルブラケットにすることができ、又は複数のスペーサが固定されるアングルレールを用いてもよい。
【0022】
更に特定の好ましい実施形態においては、外壁の面に対して垂直方向に延びるスロットが、支持レールのウェブにおいて第2の端部から短い距離で又は固定要素においてスペーサに設けられる。前記スロットにより、スペーサに固定される支持レールを外壁に向けて又は外壁から離れる方向へ変位させることが可能になる。従って、保持延長部を溝に対して正確に調整することができる。
【0023】
本発明の別の態様は、請求項14による取付キットに関する。有利には、この取付キットは、支持レールの他に、少なくとも2つのスペーサ、少なくとも2つの引張ブラケット、及び少なくとも2つの壁固定要素(33)を備える。この取付キットを用いると、市場で入手可能な全ての断熱パネルは、側面に溝が設けられていれば、重量又は厚みに関係なく建物の外壁に取り付けることができる。
【0024】
本発明の別の態様によれば、ファサード断熱システムは、有利には、少なくとも2つの対向する側面に、好ましくは4つの側面全てに溝が形成された高密度の断熱パネルと、建物の外壁と断熱パネルとの間に配置される内側断熱パネルと、溝内に配置されることになる少なくとも2つの支持レールと支持レール当たりに少なくとも1つのスペーサと外壁に支持レールを懸架するための少なくとも2つの引張ブラケットとを用いて外壁に断熱パネルを保持する取付キットと、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明によるファサード断熱材の側面図である。
【図2】図1のファサード断熱材の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下で概略図を参照しながら本発明をより詳細に説明する。
【0027】
図1及び2は、全体として参照符号11で示された本発明によるファサード断熱材を示している。個々の断熱パネル13は、600×1000mmの標準サイズを有するのが好ましいが、他のどのような断熱パネルの寸法も実施可能である。断熱パネル13と建物の外壁との間に設けられたキャビティには、内側断熱パネル17が配置される。内側断熱パネル17は、好ましくは、断熱パネル13と同じ標準寸法を有し、この断熱パネル13と同一平面で終端する。内側断熱パネル17の密度は好ましくは60kg/m3であり、他方、断熱パネル13の密度は好ましくは120kg/m3である。断熱パネルは、鉱物繊維から作られるのが好ましいが、他の断熱材料を用いることもできる。異なる密度の断熱パネルを組み合わせることにより、低重量の改善された断熱パネルの実現が可能となる。より軽量の断熱パネル17は建物の外壁19に面し、より高密度の断熱パネル13は、外壁19から離間して配置される。これにより、全体として、メッシュ強化された外部プラスターでコーティングすることができる圧縮抵抗面を同時に備えると共に、相応の断熱性能を有した低重量が可能となる。断熱パネル13の周面には、支持レール23が保持される溝21が設けられている。これにより、荷重下で破断しない安定した溝21がもたらされる。断熱パネル13は、支持レール23に接して位置する後方切開部24を備えている。このようにして、断熱パネル13により支持レール23を完全に覆うことができる。従って、補強部及び/又は最終被覆の適用が実質的に簡素化される。
【0028】
支持レール23は、好ましくは、T字形の断面形状を有し、ポリプロピレン、硬質PVC、アルミニウム、又は他の好適な材料から作られる。T字形の断面は、外壁に向けられたウェブ25と、ウェブ25の両側の断熱層の表面に平行に延びる2つの保持延長部27a、27bとを有する。保持延長部27a、27bは、溝21内への嵌め込みにより保持される。支持レール23は、外壁19に対して平行に締結される。保持延長部27a、27bと溝21とを整列するために、支持レール23は、少なくとも2つのスペーサ29を用いて外壁19から離間して設けられる。スペーサ29は、好ましくは、平坦なロッド29の形状を有する。支持レールに対向する側部では、スペーサ29は、例えば、スクリュー接続により接続される。外壁19の面上では、平坦ロッド29にこの平坦ロッド29の長手方向に延びたスロットが設けられている。例えば、同様にスクリュー接続などの別の接続手段により平坦ロッド29がアングルブラケット33に固定される。アングルブラケット33は、平坦ロッド29よりも僅かに大きい幅を備えて単一の平坦ロッド29を固定するよう設計することができる。また、アングルブラケット33を複数の平坦ロッドが固定されるアングルレールとして設計することも可能である。次いで、アングルブラケット33は、スクリューペグ又はネイルペグにより外壁に固定される。
【0029】
保持延長部27a、27bと外壁19面との間隔は、外壁面と溝21との間隔と一致していなくてはならず、さもなければ断熱パネル13を支持レール23に押し込むことができない。溝21の予め定められた間隔を正確に維持するために、異なる長さの前記スペーサとして機能する平坦ロッド29を用いることができる。平坦ロッド29をアングルブラケット33に対してスロット31に沿って滑動できるので微調整が行える。また、スロット31をアングルブラケット33上に設け、単に円形通路開口のみを平坦ロッド29上に設けることも考えられる。
また、断熱パネル13の重量が加わることによる平坦ロッド29の変形を阻止するために、少なくとも2つの引張ブラケット35を用いて支持レール23を外壁19に保持させる。引張ブラケット35は、2つの隣接する断熱パネルの接合部において保持される。引張ブラケット35のフレキシブルな取付けを行うために、長手方向通路開口37がウェブ25に規則的な間隔をおいて設けられている。引張ブラケット35の第1の端部は、フック39として形成されている。フックは、通路開口37の1つを通して単に誘導することが必要であるので、引張ブラケット35は、簡単且つ迅速に支持レール23に装着することができる。引張ブラケットの第2の端部は取付リング41として形成されてる。これは、例えば、スクリューペグを用いて外壁19に引張ブラケット35を固定する役割を果たす。断熱パネル13のこの固定形態では、実際に断熱パネル内には剪断力が作用しない。従って、内側断熱パネル17は、上述のように、外壁への固定により荷重が作用しないので、きわめて簡単な形状に設計することができる。
【0030】
断熱パネル13及び内側断熱パネル17は、以下のようにして外壁19に装着される。
【0031】
外壁19の下側縁部では、アングルブラケット又はアングルレール33がスクリューペグにより固定される。平坦ロッド29は、その長さが使用される断熱パネルの厚みと関係付けられ、アングルブラケット33にねじ留めされる。アングルブラケット33又は平坦ロッド29の数は、断熱パネル13、17の重量を確実に支持するような数である。支持レール23には、複数の平坦ロッド29が連続して取り付けられ、これらは、断熱される外壁19の全長を超えて延びるようになる。また、保持延長部27a、27bだけが断熱パネル13を保持する役割を果たすので、支持レール23の下側列は、断面形状がT字形ではなくL字形にすることができる。外壁19の一方側から始まり、内側断熱パネル17がその下方の平坦ロッド29上に配置され、断熱パネル13は、その溝21を保持延長部27aに嵌め込むと共に押し込まれる。次いで、第1の引張ブラケット35が、支持レール23に平行なフック39と共に長手方向通路開口37内に挿入される。前記通路開口37は、断熱パネルの側壁43に最も近く位置するものが選ばれる。次いで、引張ブラケット35は長手方向軸線の周りで90度捩られ、取付リング41が外壁上に誘導される。この位置において、引張ブラケット35はその一端が支持レール23に固定され、他端が断熱パネルの対向する側壁43に接して位置し、引張ブラケット35の他端はスクリューペグを用いて外壁19に取り付けられる。ここで、選択的に、板ばね28を垂直な溝21内に挿入してもよい。板ばね28は、断熱パネル13の高さとほぼ長さを一致させる。追加の板ばね28を使用することにより、断熱パネル13は、垂直な面をもつ接合部において互いに同一平面で整列する。断熱される外壁19の幅が上述の方式で断熱パネル13の第1の列で覆われた後、第2の列が外壁に取り付けられる。次いで、第2の支持レール列の保持延長部27bは、下にある第1の断熱パネル列の上側の溝21に係合する。従って、外壁19の表面全体を断熱するために、必要に応じて多くの断熱パネルの列が取り付けられる。断熱パネルの2つの隣接する列の垂直な面をもつ接合部30は、互いにオフセットするように配置される。このような列構造により、1つの列の保持構造が断熱パネルの1つの列の重量のみを確実に支持するようになる。
【0032】
要約すると、以下のことが言える。
【0033】
本発明によるファサード断熱材11は、断熱パネル13及び内側断熱パネル17が建物の外壁19に取り付けられる。2つの断熱パネル13、17は、異なる密度及び厚みを有する。外壁19から離れている高密度の断熱パネル13上には、その周側面に溝21が設けられる。断熱パネル13を取り付けるために、少なくとも水平方向に延在する溝21において、断熱パネル13の下方に配置される支持レール23の上側保持延長部27aと、断熱パネル13の上方に配置される別の支持レール23の保持延長部27bが受けられる。支持レール23は、平坦ロッドのようなスペーサにより外壁19から離間して設けられる。次いで、スペーサ29は、アングルブラケットを用いて外壁19に取り付けられる。保持延長部27a、27bを水平方向に延在する溝21の平面内に正確に位置付けるために、対応する長さのスペーサが使用される。スペーサ29をスロット31に沿って外壁に向けて、又は外壁から離れるように変位させることにより微調整が行われる。スロット31は、アングルブラケット33上か又はスペーサ29上の何れかに設けることができる。スペーサ29の変形を避けるために、支持レール23はまた、2つの隣接する断熱パネル間の垂直な面をもつ接合部に配置された引張ブラケットにより保持される。
【符号の説明】
【0034】
11 ファサード断熱材
13 高密度断熱パネル
17 低密度内側断熱パネル
19 建物の外壁
21 溝
23 支持レール
24 後方切開部
25 支持レール23のウェブ
27a,27b 支持レール23の保持延長部
28 板ばね
29 平坦ロッドからなるスペーサ
30 接合部
31 スロット
33 固定要素、アングルブラケット
35 引張ブラケット
37 支持レールに固定する引張ブラケットの通路開口
39 支持レールに固定するための引張ブラケット上のフック
41 引張ブラケットの取付リング
43 断熱パネルの側壁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の外壁(19)に対して配置される少なくとも1つの支持レール(23)と、
少なくとも1つの長い引張ブラケット(35)と、
前記外壁(19)に前記支持レール(23)を保持する少なくとも1つの短いスペーサ(29)と、
前記外壁(19)の面に配置される複数の第1の断熱パネル(17)と、
を備えたファサード断熱材(11)であって、
前記支持レール(23)によって複数の第2の断熱パネル(13)が支持され且つ建物の前記外壁(19)から離間して配置され、前記複数の第2の断熱パネル(13)の内側と前記外壁(19)との間に前記複数の第1の断熱パネル(17)を受ける空間を形成したことを特徴とするファサード断熱材(11)。
【請求項2】
前記第2の断熱パネル(13)の密度は、上限値が190kg/m3、好ましくは170kg/m3、特に好ましくは150kg/m3であり、下限値が100kg/m3、好ましくは110kg/m3、特に好ましくは120kg/m3である、ことを特徴とする請求項1に記載のファサード断熱材(11)。
【請求項3】
前記第1の断熱パネル(17)の密度は、上限値が90kg/m3、好ましくは70kg/m3、特に好ましくは65kg/m3であり、下限値が20kg/m3、好ましくは30kg/m3、特に好ましくは55kg/m3である、ことを特徴とする請求項1に記載のファサード断熱材(11)。
【請求項4】
前記第1の断熱パネル(17)が、前記第2の断熱パネル(13)よりも大きな厚みを有し、前記第1の断熱パネル(17)の厚みは、前記第2の断熱パネル(13)の厚みの少なくとも1.5倍であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のファサード断熱材(11)。
【請求項5】
前記第1の断熱パネル(17)が、少なくとも1つのスペーサ(29)によって支持される、ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のファサード断熱材(11)。
【請求項6】
前記支持レール(23)が、前記外壁(19)に面するウェブ(25)を有し、このウェブと共に前記スペーサ(29)の第1の端部に固定される、ことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載のファサード断熱材(11)。
【請求項7】
前記ウェブ(25)の両側に保持延長部(27a、27b)が設けられ、この保持延長部上に前記断熱パネル(13)が嵌め込まれて保持される、ことを特徴とする請求項6に記載のファサード断熱材(11)。
【請求項8】
前記各断熱パネル(13)の周辺に沿って、前記支持レール(23)の保持延長部(27a、27b)を受ける役割を果たす溝(21)が設けられている、ことを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載のファサード断熱材(11)。
【請求項9】
前記ウェブ(25)に規則的な間隔をおいて複数の通路開口(37)が設けられている、ことを特徴とする請求項6〜8のいずれか一項に記載のファサード断熱材(11)。
【請求項10】
前記引張ブラケット(35)は、その一端で前記支持レール(23)を懸架している、ことを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載のファサード断熱材(11)。
【請求項11】
前記引張ブラケット(35)が、2つの隣接する前記断熱パネル(13、17)間で垂直な接合部(30)に配置されている、ことを特徴とする請求項1〜10のいずれか一項に記載のファサード断熱材(11)。
【請求項12】
前記スペーサ(29)が、その一方の端部において少なくとも1つの固定要素(33)を用いて前記外壁(19)に固定されている、ことを特徴とする請求項1〜11のいずれか一項に記載のファサード断熱材(11)。
【請求項13】
前記外壁(19)の面に対して垂直に延びるスロット(31)が前記一方の端部から短い距離で又は前記固定要素(33)において前記スペーサ(29)上に設けられている、ことを特徴とする請求項1〜11のいずれか一項に記載のファサード断熱材(11)。
【請求項14】
少なくとも2つの支持レール(23)を用いて建物の外壁(19)に断熱パネル(13)を保持させる取付キットであって、この取付キットがまた、少なくとも2つのスペーサ(29)、少なくとも2つの引張ブラケット(35)、及び少なくとも2つの壁固定要素(33)を備える、ことを特徴とする取付キット。
【請求項15】
少なくとも2つの対向する側面に溝(21)が形成された高密度の断熱パネル(13)を備えるファサード断熱システムであって、建物の外壁(19)と前記断熱パネル(13)との間に配置された内側断熱パネル(17)を備え、前記溝内に配置されることになる少なくとも2つの支持レール(23)と、この支持レール当たりに少なくとも1つのスペーサ(29)と、前記外壁(19)上に下側支持レールを懸架するための少なくとも2つの引張ブラケット(35)とを用いて前記外壁(19)上に前記断熱パネル(13)を保持する取付キットを更に備える、ファサード断熱システム。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2013−517397(P2013−517397A)
【公表日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−549222(P2012−549222)
【出願日】平成23年1月18日(2011.1.18)
【国際出願番号】PCT/CH2011/000004
【国際公開番号】WO2011/085507
【国際公開日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【出願人】(512188007)ロックウール・インターナショナル・アクチーセルスカブ (1)
【Fターム(参考)】