説明

ファルネソイドX受容体発現のアンチセンス調節

ファルネソイドX受容体(FXR)の発現を調節する、アンチセンス化合物、組成物、および方法を提供する。該組成物は、FXRをコードする核酸を標的とするアンチセンス化合物、特にアンチセンスオリゴヌクレオチドを含んでなる。FXR発現を調節するため、そしてFXR発現に関連する疾患を治療するため、これらの化合物を用いる方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
[001]本発明は、FXR、RIP14、NR1H4および胆汁酸受容体(BAR)とも称される、ファルネソイドX受容体(FXR)の発現を調節する組成物および方法を提供する。特に、本発明は、FXRをコードする核酸に特異的にハイブリダイズ可能なアンチセンス化合物、特にオリゴヌクレオチドに関する。こうしたオリゴヌクレオチドは、FXRの発現を調節することが示されている。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
[002]コレステロールは、膜の生物発生ならびにステロイドホルモンおよび胆汁酸生合成を含む、いくらかの細胞プロセスについて必須である。ヒトの体の細胞にみられるリポタンパク質の主要なクラスそれぞれのビルディングブロックである。よって、コレステロール生合成および異化反応は、高度に調節され調和したプロセスである。アテローム性動脈硬化症、胆石形成、および虚血性心疾患を含む、いくらかの疾患および/または障害は、コレステロール代謝または異化反応の変化と関連してきた。コレステロールのホメオスタシスに関係する経路についての理解は、これらの疾患および障害の治療のための有用な治療の開発に必須である。
【0003】
[003]胆汁酸へのコレステロールの代謝は、体からのコレステロール排除の主要な経路を表し、1日の排出量のおよそ半分である。これらのコレステロール代謝物は肝臓で形成され、そして、食物脂質およびビタミンの可溶化および吸収に重要な役割を有する腸の十二指腸へと分泌される。ほとんどの胆汁酸(およそ95%)はその後、回腸で再吸収され、そして腸肝循環系を介して肝臓に戻る。
【0004】
[004]チトクロムP450 7A(CYP7A)は、胆汁酸生合成の二つの経路のうちの一つにおける、最初のそして律速の段階を触媒する肝臓特異的な酵素である(Chiang, J. Y. L. 1998 Front. Biosci. 3: 176-193; Russell, D. W. and K. D. Setchell. 1992 Biochemistry 31: 4737-4749)。CYP7Aをコードする遺伝子は、ステロイドおよびチロイドホルモン、コレステロール、ならびに胆汁酸を含む、種々の内因性の、小さな、親油性の分子によって調節される。特に、CYP7A発現はコレステロール食餌によって刺激され、そして胆汁酸により抑制される。よって、CYP7A発現は、正(刺激または誘導される)および負(阻害または抑制される)の両方に調節される。
【0005】
[005]CYP7A発現は、リガンドで活性化される転写因子の核受容体ファミリーのいくつかのメンバーによって調節される(Chiang, J. Y. L. 1998 Front. Biosci. 3: 176-193; Gustafsson, J. A. 1999 Science 284: 1285-1286; Russell, D. W. 1999 Cell 97: 539-542)。最近、肝臓X受容体(LXR;NR1H3;Apfel R. ら、1994 Mol. Cell. Biol. 14: 7025-7035; Willy, P. J. ら、1995 Genes Devel. 9: 1033-1045)およびファルネソイドX受容体(FXR;NR1H4;Forman, B. M. ら、1995 Cell 81: 687-693; Seol, W. ら、1995 Mol. Endocrinol. 9: 72-85)の二つの核受容体が、CYP7Aの正および負の調節に関わっているとされた(Peet, D. J. ら、1998 Curr. Opin. Genet. Develop. 8: 571-575; Russell, D. W. 1999 Cell 97: 539-542)。LXRおよびFXRの両方は肝臓において豊富に発現され、そして9−シス レチノイン酸受容体 RXRと共にヘテロダイマーとして、それらと同族のホルモン応答エレメントと結合する(Mangelsdorf, D. J. およびR. M. Evans. 1995 Cell 83: 841-850)。
【0006】
[006]LXRは、コレステロール誘導体である24,25(S)エポキシコレステロールによって活性化され、そしてCYP7Aプロモーター中の応答エレメントに結合する(Lehmann, J. M. ら、1997 J. Biol. Chem. 272: 3137-3140)。CYP7Aは、LXRを欠いたマウスにおけるコレステロール食餌に対する応答としては誘導されなかった(Peet, D. J. ら、1998 Cell 93: 693-704)。さらに、これらの動物は、高コレステロール食を与えた場合に、それらの肝臓に大量のコレステロールを蓄積する。これらの研究は、LXRを、CYP7A発現の正の調節に関与するコレステロールセンサーとして確立した。
【0007】
[007]胆汁酸は、胆汁酸輸送に関わる遺伝子、例えば腸胆汁酸結合タンパク質(I−BABP)の発現を刺激し、そしてCYP7Aならびに胆汁酸生合成に関わる他の遺伝子、例えばCYP8B(ケノデオキキシコール酸(chenodeoxychollic acid)をコール酸に転換する)およびCYP27(胆汁酸生合成のもう一方の経路の最初の段階を触媒する;Javitt, N. B. 1994 FASEB J. 8: 1308-1311; Russell, D. W. およびK. D. Setchell 1992 Biochemistry 31: 4737-4749)を抑制する。最近、FXRは胆汁酸受容体であることが示された(Makishima, M. ら、1999 Science 284: 1362-1365; Parks, D. J. ら、1999 Science 284: 1365-1368; Wang H. 1999 Mol. Cell 3: 543-553)。ケノデオキシコール酸ならびにそのグリシンおよびタウリンコンジュゲートを含む、いくつかの異なる胆汁酸は、生理学的濃度においてFXRに結合し活性化することが示された。加えて、FXR/RXRヘテロダイマーについてのDNA応答エレメントが、ヒトおよびマウスI−BABPプロモーターの両方で同定され、これはFXRがI−BABP発現における胆汁酸の正の効果を仲介していることを示している(Grober, J. ら、1999 J. Biol. Chem. 274: 29749-29754; Makishima, M. ら、1999 Science 284: 1362-1365)。さらに、FXRを活性化する胆汁酸のランク順(rank order)は、肝細胞由来細胞株中のCYP7Aの抑制についてのそれと相関する(Makishima, M. ら、1999 Science 284: 1362-1365)。よって、これらの研究はFXRは、遺伝子発現における胆汁酸の負の効果についての役割も有することを示している。
【0008】
[008]しかしながら、胆汁酸に仲介されるCYP7Aの抑制の分子機構、そして特にこのプロセスにおけるFXRの役割は不明である。CYP7Aプロモーターは強力なFXR/RXR結合部位を欠いている(Chiang, J. Y. およびD. Stroup. 1994 J. Biol. Chem. 269: 17502-17507; Chiang, J. Y. ら、2000 J. Biol. Chem. 275: 10918-10924)ため、その効果はFXRの直接相互作用に由来するとは考えにくい。
【0009】
[009]CYP7Aの発現に関わる追加の核受容体は、肝臓受容体ホモログ−1(LRH;CPF、hB1FおよびNR5A2とも称される)、組織特異的転写因子として機能するモノマー性オーファン核受容体(Becker-Andre ら、1993 Biochem. Biophys. Res. Commun. 194: 1371-1379; Galarneanら、1996 Mol. Cell. Biol. 16: 3853-3865; Liら、1998 J. Biol. Chem. 273: 29022-29031; Nitta ら、1999 Proc. Natl. Acad. Sci. USA 96: 6660-6665)である。LRH1の高レベルの発現は、肝臓、膵臓、および卵巣で示され、大腸、腸、および副腎においてより少ない発現であった(Nitta ら、1999 Proc. Natl. Acad. Sci. USA 96: 6660-6665; Li ら、1998 J. Biol. Chem. 273: 29022-29031; RepaおよびMangelsdorf 2000 Ann. Rev. Cell. Dev., Wang ら、2001 J. Mol. Endo. 27: 255-258)。LRH−1の生物学的役割はまだ現れてくる一方で、LRH−1がCYP7Aの肝臓での発現に必要であること、そしてLXRと共同してこの発現を最大化することは明らかである(Nitta ら、1999 Proc. Natl. Acad. Sci. USA 96: 6660-6665; Lu ら、2000 Mol. Cell 6: 507-517)。
【0010】
[0010]LRH1はまた、他の核受容体の転写を抑制しそして機能を阻害するオーファン核受容体である、短いヘテロダイマーパートナー(SHP、NR0B2)の発現を誘導することができる(Seolら、1996 Science 272: 1336-1339、Johanssonら、1999 J. Biol. Chem. 274: 345-353、Leeら、1999 J. Biol. Chem. 274: 20869-20873)。SHPはまた、FXRの直接的な遺伝子標的であり、そして、SHP発現は胆汁酸CDCAおよび合成FXRアゴニストGW4064を含むFXRアゴニスト化合物を介してアップレギュレートされる(Luら、2000 Mol. Cell 6: 507-517、Goodwinら、2000 Mol. Cell 6: 517-526)。したがって、FXRアゴニストは、レプレッサーSHP(これは続いてCYP7Aプロモーターに結合し、そしてCYP7Aプロモーター上でのLRH1の転写活性を抑制する)の誘導を介して、間接的にCYP7aを抑制する(Luら、2000 Mol. Cell 6: 507-517; Goodwinら、2000 Mol. Cell 6: 517-526)。これらの発見は、FXR、RXR、LXR、LRH、およびSHPを含む5つの異なる核受容体を伴い、胆汁酸合成ならびにコレステロール及び脂質のホメオスタシスを調和的に管理する、複雑な調節カスケードの存在を示している。
【0011】
[0011]CYP7a座におけるヒトの機能喪失変異に関する最近の発見ならびに、天然に存在するFXRアンタゴニストの発見を記載する薬理学的研究は、FXRアンタゴニストの潜在的に有益な療法適応症を示す。Pullingerら(2002 J. Clin. Invest. 110: 109-117)が行った研究は、CYP7aにおける機能喪失変異を有するヒト患者は、HMG−CoAレダクターゼ阻害剤(一般的に「スタチン」としても知られる)に対する根深い耐性と結びついている高コレステロール血症表現型示す。加えて、二つの別個のグループは、ググルステロン(Guggulsterone)という天然産物はFXRアンタゴニストとして機能することを報告した。ググルステロンはSHP発現およびCYP7aのSHP依存性抑制を抑制し、結果としてマウスモデルにおける低下したLDLおよびトリグリセリドとなる(Urizarら、2002 Science: 1703-1706; Wu, J. ら、2002 Mol. Endocrinol. 16: 1590-7)。これらの結果が与えられたので、ヒトにおけるCYP7a発現または活性を向上するどんな遺伝学的または薬理学的手段も、コレステロール代謝およびホメオスタシスにおいて有益な療法的効果を有するであろう。例えば、FXR発現を阻害する能力および、それ故のSHPのFXR依存性アップレギュレーションは、胆汁酸が仲介するCYP7aのフィードバック抑制を妨げるであろう。
【0012】
[0012]種々のファルネソイドX受容体阻害剤が当該技術分野において開示されているにもかかわらず、ファルネソイドX受容体(FXR)の機能を効果的かつ特異的に阻害できる療法剤についての需要はまだ残っている。
【0013】
[0013]アンチセンス技術は、特定の遺伝子産物の発現を減少させる効果的な手段として現れており、そしてしたがって、FXR発現の調節のための療法的、診断的、または研究的な適用において他に類を見ないほど有用であることが証明されるだろう。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0014】
発明の概要
[0014]本発明は、ファルネソイドX受容体をコードする核酸を標的とし、そしてFXRの発現を調節する、アンチセンス化合物、特にオリゴヌクレオチドに関する。本発明のアンチセンス化合物を含んでなる医薬組成物および他の組成物もまた、提供する。細胞または組織において、FXRの発現を調節する方法であって、前記細胞または組織と、1以上の本発明のアンチセンス化合物または組成物を接触させることを含んでなる、前記方法をさらに提供する。FXRの発現と関連する疾患または状態を有すると推測されるか、あるいはこうした疾患または状態に罹患しやすいと推測される動物、特にヒトを治療する方法であって、療法的または予防的に有効な量の1以上の本発明のアンチセンス化合物または組成物を投与することによる、前記方法をさらに提供する。
【0015】
発明の詳細な説明
[0015]本発明は、FXRをコードする核酸分子の機能を調節し、最終的に、産生されるFXRの量を調節する際に使用するため、オリゴマー・アンチセンス化合物、特にオリゴヌクレオチドを使用する。これは、FXRをコードする1以上の核酸と特異的にハイブリダイズするアンチセンス化合物を提供することによって達成される。本明細書において、用語「標的核酸」および「FXRをコードする核酸」は、FXRをコードするDNA、こうしたDNAから転写されるRNA(プレ−mRNAおよびmRNAを含む)、およびまたこうしたRNAに由来するcDNAを含む。オリゴマー化合物のその標的核酸との特異的ハイブリダイゼーションは、核酸の正常機能に干渉する。標的核酸に特異的にハイブリダイズする化合物による、該標的核酸の機能のこの調節は、一般的に「アンチセンス」と称される。干渉されるべきDNAの機能には、複製および転写が含まれる。干渉されるべきRNAの機能には、生命の維持に必要なすべての機能、例えば、タンパク質翻訳部位へのRNAの転位置、RNAからのタンパク質の翻訳、1以上のmRNA種を生じるRNAのスプライシング、およびRNAが関与しうるまたは促進しうる触媒活性が含まれる。標的核酸機能のこうした干渉の総合的な影響は、FXR発現の調節である。本発明の文脈において、「調節」は、遺伝子の発現の増加(刺激)または減少(阻害)いずれかを意味する。本発明の文脈において、阻害が遺伝子発現調節の好ましい型であり、そしてmRNAが好ましい標的である。
【0016】
[0016]アンチセンスに関し、特異的な核酸を標的とするのが好ましい。本発明の文脈において、特定の核酸へのアンチセンス化合物の「標的化」は、多段階プロセスである。該プロセスは、通常、その機能を調節すべき核酸配列の同定で始まる。これは、例えば、その発現が特定の障害または疾患状態と関連する細胞遺伝子(または該遺伝子から転写されるmRNA)、あるいは感染性病原体由来の核酸分子であることも可能である。本発明において、標的は、FXRをコードする核酸分子である。標的化プロセスはまた、望ましい効果、例えばタンパク質発現の検出または調節が生じるであろうようにアンチセンス相互作用が起こるための、本遺伝子内の単数または複数の部位の決定も含む。本発明の文脈内で、好ましい遺伝子内部位は、遺伝子のオープンリーディングフレーム(ORF)の翻訳開始コドンまたは終結コドンを含む領域である。当該技術分野に知られるように、翻訳開始コドンは、典型的には、5’−AUG(転写されたmRNA分子において;対応するDNA分子では5’−ATG)であるため、翻訳開始コドンはまた、「AUGコドン」、「開始コドン」または「AUG開始コドン」とも称される。少数の遺伝子は、RNA配列5’−GUG、5’−UUGまたは5’−CUGを有する翻訳開始コドンを有し、そして5’−AUA、5’−ACGおよび5’−CUGはin vivoで機能することが示されてきている。したがって、用語「翻訳開始コドン」および「開始コドン」は、各例のイニシエーターアミノ酸が、典型的にはメチオニン(真核生物)またはホルミルメチオニン(原核生物)であっても、多くのコドン配列を含みうる。真核遺伝子および原核遺伝子が、2以上の代替開始コドンを有することも可能であり、そのいずれか1つが、特定の細胞種または組織において、あるいは一組の特定の条件下で、翻訳開始に優先的に利用されうることもまた当該技術分野に知られる。本発明の文脈において、「開始コドン」および「翻訳開始コドン」は、こうしたコドンの配列(単数または複数)に関わらず、FXRをコードする遺伝子から転写されるmRNA分子の翻訳を開始するのに、in vivoで用いられる、単数または複数のコドンを指す。
【0017】
[0017]遺伝子の翻訳終結コドン(または「終止コドン」)は、3つの配列、すなわち5’−UAA、5’−UAGおよび5’−UGA(対応するDNA配列は、それぞれ、5’−TAA、5’−TAGおよび5’−TGAである)の1つを有しうることもまた、当該技術分野に知られる。用語「開始コドン領域」および「翻訳開始コドン領域」は、翻訳開始コドンからどちらかの方向(すなわち5’または3’)の約25〜約50の隣接するヌクレオチドを含むmRNAまたは遺伝子の部分を指す。同様に、用語「終止コドン領域」および「翻訳終結コドン領域」は、翻訳終結コドンからどちらかの方向(すなわち5’または3’)の約25〜約50の隣接するヌクレオチドを含むmRNAまたは遺伝子の部分を指す。
【0018】
[0018]翻訳開始コドンおよび翻訳終結コドンの間の領域を指すことが当該技術分野に知られる、オープンリーディングフレーム(ORF)または「コード領域」もまた、効果的に標的化することも可能である領域である。他の標的領域には、翻訳開始コドンから5’方向のmRNAの部分を指すことが当該技術分野に知られ、そしてしたがってmRNAの5’キャップ部位および翻訳開始コドンの間のヌクレオチドまたは遺伝子上の対応するヌクレオチドを含む、5’非翻訳領域(5’UTR)、並びに翻訳終結コドンから3’方向のmRNAの部分を指すことが当該技術分野に知られ、そしてしたがってmRNAの翻訳終結コドンおよび3’端の間のヌクレオチドまたは遺伝子上の対応するヌクレオチドを含む、3’非翻訳領域(3’UTR)が含まれる。mRNAの5’キャップは、5’−5’三リン酸連結を介して、mRNAの最も5’の残基に連結している、N7−メチル化グアノシン残基を含んでなる。mRNAの5’キャップ領域は、5’キャップ構造自体とともに、キャップに隣接する最初の50ヌクレオチドを含むと見なされる。5’キャップ領域もまた、好ましい標的領域である可能性もある。
【0019】
[0019]直接翻訳される真核mRNA転写物もあるが、多くは、翻訳される前に転写物から切除される、「イントロン」として知られる、1以上の領域を含有する。残った(そしてしたがって翻訳される)領域は、「エクソン」として知られ、そしてともにスプライシングされて、連続するmRNA配列を形成する。mRNAスプライシング部位、すなわちイントロン−エクソン接合部もまた、好ましい標的領域であることも可能であり、そして異常なスプライシングが疾患に関連付けられている状況、または特定のmRNAスプライシング産物の過剰発現が疾患に関連付けられている状況で特に有用である。再編成または欠失による異常な融合接合部もまた好ましい標的である。イントロンもまた、例えばDNAまたはプレmRNAを標的とするアンチセンス化合物の、有効な、そしてしたがって好ましい標的領域でありうることもまた見出されてきている。
【0020】
[0020]ひとたび1以上の標的部位が同定されてきたら、標的に十分に相補的な、すなわち十分によく、そして十分な特異性でハイブリダイズして、望ましい影響を与える、オリゴヌクレオチドを選択する。
【0021】
[0021]本発明の文脈において、「ハイブリダイゼーション」は、相補的ヌクレオシドまたはヌクレオチド塩基間の、ワトソン−クリック、フーグスティーンまたは逆フーグスティーン水素結合であることも可能な水素結合を意味する。例えば、アデニンおよびチミンは、水素結合の形成を通じて対形成する、相補的核酸塩基である。「相補的」は、本明細書において、2つのヌクレオチド間での正確な対形成の能力を指す。例えば、オリゴヌクレオチドの特定の位のヌクレオチドが、DNA分子またはRNA分子の同じ位のヌクレオチドと水素結合することが可能である場合、該オリゴヌクレオチドおよび該DNAまたはRNAは、その位で互いに相補的であると見なされる。各分子において、十分な数の対応する位が、互いに水素結合することが可能なヌクレオチドで占められている場合、オリゴヌクレオチドおよびDNAまたはRNAは互いに相補的である。したがって、「特異的にハイブリダイズ可能」および「相補的」は、安定で、そして特異的な結合が、オリゴヌクレオチドおよびDNA標的またはRNA標的間で起こるような、十分な度合いの相補性または正確な対形成を示すのに用いられる用語である。アンチセンス化合物の配列は、特異的にハイブリダイズ可能であるために、その標的核酸の配列と100%相補的である必要はないことが、当該技術分野に理解されている。アンチセンス化合物は、該化合物の標的DNA分子または標的RNA分子への結合が、標的DNAまたは標的RNAの正常機能に干渉して有用性の損失を引き起こし、そして特異的結合が望ましい条件下、すなわちin vivoアッセイまたは療法処置の場合、生理学的条件下で、そしてin vitroアッセイの場合、アッセイが行われる条件下で、非標的配列へのアンチセンス化合物の非特異的結合を回避するのに十分な度合いの相補性がある場合、特異的にハイブリダイズ可能である。
【0022】
[0022]アンチセンス化合物は、一般的に、研究試薬および診断剤として用いられる。例えば、完全な特異性で遺伝子発現を阻害することが可能なアンチセンスオリゴヌクレオチドが、特定の遺伝子の機能を解明するために、一般の当業者にしばしば用いられる。アンチセンス化合物はまた、例えば、生物学的経路の多様なメンバーの機能を区別するのにも用いられる。アンチセンス調節は、したがって、研究使用に利用されてきている。
【0023】
[0023]アンチセンスの特異性および感受性はまた、療法的使用のため、当業者に利用されている。アンチセンスオリゴヌクレオチドは、動物およびヒトにおける疾患状態の治療において、療法部分として使用されてきている。アンチセンスオリゴヌクレオチドは、ヒトに安全にそして効果的に投与されてきており、そして多くの臨床試験が現在、進行中である。したがって、オリゴヌクレオチドが、細胞、組織および動物、特にヒトの治療のための治療措置において、有用に設計されることも可能な、有用な療法様式(modality)でありうることが立証されている。本発明の文脈において、用語「オリゴヌクレオチド」は、リボ核酸(RNA)またはデオキシリボ核酸(DNA)またはその模倣体(mimetics)のオリゴマーまたはポリマーを指す。この用語には、天然に存在する核酸塩基、糖および共有ヌクレオシド間(主鎖(backbone))連結で構成されるオリゴヌクレオチドとともに、同様に機能する非天然存在部分を有するオリゴヌクレオチドが含まれる。こうした修飾オリゴヌクレオチドまたは置換オリゴヌクレオチドは、例えば、増進した細胞取り込み、核酸標的に対する増進した親和性、およびヌクレアーゼの存在下での増加した安定性などの望ましい特性のため、しばしば、天然型より好ましい。
【0024】
[0024]アンチセンスオリゴヌクレオチドがアンチセンス化合物の好ましい型であるが、本発明は、限定されるわけではないが、以下に記載するものなどのオリゴヌクレオチド模倣体を含む、他のオリゴマー・アンチセンス化合物を含む。本発明にしたがったアンチセンス化合物は、好ましくは、約8〜約30核酸塩基(すなわち約8〜約30の連結されたヌクレオシド)を含んでなる。特に好ましいアンチセンス化合物は、アンチセンスオリゴヌクレオチドであり、さらにより好ましいのは、約12〜約25核酸塩基を含んでなるものである。当該技術分野に知られるように、ヌクレオシドは塩基−糖の組み合わせである。ヌクレオシドの塩基部分は、通常、複素環塩基である。こうした複素環塩基の2つの最も一般的な種類は、プリン類およびピリミジン類である。ヌクレオチドは、ヌクレオシドの糖部分に共有結合するリン酸基をさらに含むヌクレオシドである。ペントフラノシル糖を含むヌクレオシドに関しては、リン酸基は、該糖の2’、3’または5’ヒドロキシル部分のいずれに連結することも可能である。オリゴヌクレオチドを形成する際、リン酸基は、互いに、隣接するヌクレオシドと共有結合して、直鎖ポリマー化合物を形成する。次に、この直鎖ポリマー構造のそれぞれの端を、さらに環状構造を形成するように連結することも可能であるが、開いた直鎖構造が、一般的に好ましい。オリゴヌクレオチド構造内で、リン酸基は、一般的に、オリゴヌクレオチドのヌクレオシド間主鎖を形成すると称される。RNAおよびDNAの通常のI連結または主鎖は、3’−5’ホスホジエステル連結である。
【0025】
[0025]本発明に有用な好ましいアンチセンス化合物の特定の例には、修飾主鎖または非天然ヌクレオシド間連結を含有するオリゴヌクレオチドが含まれる。本明細書に定義するように、修飾主鎖を有するオリゴヌクレオチドには、主鎖内にリン原子を保持するもの、および主鎖内にリン原子を持たないものが含まれる。本明細書の目的のための、そして当該技術分野に時に引用されるような、ヌクレオシド間主鎖にリン原子を持たない修飾オリゴヌクレオチドもまた、オリゴヌクレオシドと見なすことも可能である。
【0026】
[0026]好ましい修飾オリゴヌクレオチド主鎖には、例えば、ホスホロチオエート類、キラルホスホロチオエート類、ホスホロジチオエート類、ホスホトリエステル類、アミノアルキルホスホトリエステル類、3’アルキレンホスホネート類およびキラルホスホネート類を含む、メチルおよび他のアルキルホスホネート類、ホスフィネート類、3’−アミノホスホロアミデートおよびアミノアルキルホスホロアミデート類を含む、ホスホロアミデート類、チオノホスホロアミデート類、チオノアルキルホスホネート類、チオノアルキルホスホトリエステル類、並びにボラノホスフェート類であって、通常の3’−5’連結を有するもの、これらの2’−5’連結類似体(analog)、およびヌクレオシド単位の隣接する対が3’−5’から5’−3’へ、または2’−5’から5’−2’へ連結される逆の極性を有するものが含まれる。多様な塩、混合塩および遊離酸型もまた、含まれる。
【0027】
[0027]上記のリン含有連結の調製を解説する代表的な米国特許には、限定されるわけではないが、U.S. 3,687,808;4,469,863;4,476,301;5,023,243;5,177,196;5,188,897;5,264,423;5,276,019;5,278,302;5,286,717;5,321,131;5,399,676;5,405,939;5,453,496;5,455,233;5,466,677;5,476,925;5,519,126;5,536,821;5,541,306;5,550,111;5,563,253;5,571,799;5,587,361;および5,625,050が含まれ、前記特許の各々は、本明細書に援用される。
【0028】
[0028]リン原子を含まない、好ましい修飾オリゴヌクレオチド主鎖は、短鎖アルキルまたはシクロアルキルヌクレオシド間連結、混合されたヘテロ原子およびアルキルまたはシクロアルキルヌクレオシド間連結、あるいは1以上の短鎖ヘテロ原子または複素環ヌクレオシド間連結によって形成される主鎖を有する。これらには、モルホリノ連結(部分的にヌクレオシドの糖部分から形成される);シロキサン主鎖;スルフィド主鎖、スルホキシド主鎖およびスルホン主鎖;ホルムアセチル主鎖およびチオホルムアセチル主鎖;メチレンホルムアセチル主鎖およびチオホルムアセチル主鎖;アルケン含有主鎖;スルファメート主鎖;メチレンイミノ主鎖およびメチレンヒドラジノ主鎖;スルホネート主鎖およびスルホンアミド主鎖;アミド主鎖を有するもの;並びに混合N、O、SおよびCH構成要素部分を有する他のものが含まれる。
【0029】
[0029]上記のオリゴヌクレオシドの調製を解説する代表的な米国特許には、限定されるわけではないが、U.S. 5,034,506;5,166,315;5,185,444;5,214,134;5,216,141;5,235,033;5,264,562;5,264,564;5,405,938;5,434,257;5,466,677;5,470,967;5,489,677;5,541,307;5,561,225;5,596,086;5,602,240;5,610,289;5,602,240;5,608,046;5,610,289;5,618,704;5,623,070;5,663,312;5,633,360;5,677,437;および5,677,439が含まれ、前記特許の各々は、本明細書に援用される。
【0030】
[0030]他の好ましいオリゴヌクレオチド模倣体において、ヌクレオチド単位の糖およびヌクレオシド間連結、すなわち主鎖が、両方とも新規の基と交換される。塩基単位は、適切な核酸標的化合物とのハイブリダイゼーションのため、維持される。こうしたオリゴマー化合物の1つは、優れたハイブリダイゼーション特性を有することが示されてきているオリゴヌクレオチド模倣体であって、ペプチド核酸(PNA)と称される。PNA化合物において、オリゴヌクレオチドの糖−主鎖は、アミド含有主鎖、特にアミノエチルグリシン主鎖と交換される。核酸塩基は保持され、そして主鎖のアミド部分のアザ窒素原子と、直接または間接的に結合される。PNA化合物の調製を解説する代表的な米国特許には、限定されるわけではないが、U.S. 5,539,082;5,714,331;および5,719,262が含まれ、前記特許の各々は、本明細書に援用される。PNA化合物のさらなる解説は、Nielsenら(Science, 1991, 254, 1497−1500)に見出すことも可能である。
【0031】
[0031]本発明の最も好ましい態様は、ホスホロチオエート主鎖を持つオリゴヌクレオチド、並びにヘテロ原子主鎖、および特に、上に引用される米国特許5,489,677の−CH−NH−O−CH−、−CH−N(CH)−O−CH−[メチレン(メチルイミノ)またはMMI主鎖として知られる]、−CH−O−N(CH)−CH−、−CH−N(CH)−N(CH)−CH−および−O−N(CH)−CH−CH−[天然ホスホジエステル主鎖は−O−P−O−CH−として示される]、および上に引用される米国特許5,602,240のアミド主鎖を持つオリゴヌクレオシドである。やはり好ましいのは、上に引用される米国特許5,034,506のモルホリノ主鎖構造を有するオリゴヌクレオチドである。
【0032】
[0032]修飾オリゴヌクレオチドはまた、1以上の置換糖部分も含有可能である。好ましいオリゴヌクレオチドは、2’位に以下の1つを含んでなる:OH;F;O−、S−、またはN−アルキル;O−、S−、またはN−アルケニル;O−、S−、またはN−アルキニル;あるいはO−アルキル−O−アルキル、ここで、該アルキル、アルケニルおよびアルキニルは、置換または非置換C〜C10アルキルまたはC〜C10アルケニルおよびアルキニルであってもよい。特に好ましいのは、O[(CHO]CH、O(CHOCH、O(CHNH、O(CHCH、O(CHONH、およびO(CHON[(CHCH)]であって、nおよびmが1〜約10であるものである。他の好ましいオリゴヌクレオチドは、2’位に以下の1つを含んでなる:C〜C10(低級アルキル、置換低級アルキル、アルカリル、アラルキル、O−アルカリルまたはO−アラルキル、SH、SCH、OCN、Cl、Br、CN、CF、OCF、SOCH、SOCH、ONO、NO、N、NH、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルカリル、アミノアルキルアミノ、ポリアルキルアミノ、置換シリル、RNA切断基、レポーター基、挿入剤(intercalator)、オリゴヌクレオチドの薬物動態特性を改善するための基、またはオリゴヌクレオチドの薬力学特性を改善するための基、および同様の特性を有する他の置換基。好ましい修飾には、2’−メトキシエトキシ(2’−O−CHCHOCH、2’−O−(2−メトキシエチル)または2’−MOEとしても知られる)(Martinら, Helv. Chim. Acta, 1995, 78, 486−504)、すなわちアルコキシアルコキシ基が含まれる。さらなる好ましい修飾には、本明細書において以下の実施例に記載するような、2’−DMAOEとしても知られる2’−ジメチルアミノオキシエトキシ、すなわちO(CHON(CH基、およびやはり本明細書において以下の実施例に記載するような、2’−ジメチルアミノエトキシエトキシ(当該技術分野において、2’−O−ジメチルアミノエトキシエチルまたは2’−DMAEOEとしても知られる)、すなわち2’−O−CH−O−CH−N(CHが含まれる。
【0033】
[0033]他の好ましい修飾には、2’−メトキシ(2’−O−CH)、2’−アミノプロポキシ(2’−OCHCHCHNH)、および2’−フルオロ(2’−F)が含まれる。オリゴヌクレオチド上の他の位、特に3’末端ヌクレオチド上のまたは2’−5’連結オリゴヌクレオチド中の糖の3’位、および5’末端ヌクレオチドの5’位でもまた、同様の修飾を行うことも可能である。オリゴヌクレオチドはまた、ペントフラノシル糖の代わりにシクロブチル部分などの糖模倣体を有することも可能である。こうした修飾糖構造の調製を解説する代表的な米国特許には、限定されるわけではないが、U.S. 4,981,957;5,118,800;5,319,080;5,359,044;5,393,878;5,446,137;5,466,786;5,514,785;5,519,134;5,567,811;5,576,427;5,591,722;5,597,909;5,610,300;5,627,053;5,639,873;5,646,265;5,658,873;5,670,633;および5,700,920が含まれ、前記特許の各々は、本明細書に援用される。
【0034】
[0034]オリゴヌクレオチドにはまた、核酸塩基(当該技術分野において、しばしば単に「塩基」と称される)修飾または置換が含まれることも可能である。本明細書において、「未修飾」または「天然」核酸塩基には、プリン塩基、アデニン(A)およびグアニン(G)、並びにピリミジン塩基、チミン(T)、シトシン(C)およびウラシル(U)が含まれる。修飾核酸塩基には、他の合成核酸塩基および天然核酸塩基が含まれ、例えば5−メチルシトシン(5−me−C)、5−ヒドロキシメチルシトシン、キサンチン、ヒポキサンチン、2−アミノアデニン、アデニンおよびグアニンの6−メチルおよび他のアルキル誘導体、アデニンおよびグアニンの2−プロピルおよび他のアルキル誘導体、2−チオウラシル、2−チオチミンおよび2−チオシトシン、5−ハロウラシルおよびシトシン、5−プロピニルウラシルおよびシトシン、6−アゾウラシル、シトシンおよびチミン、5−ウラシル(プソイドウラシル)、4−チオウラシル、8−ハロ、8−アミノ、8−チオール、8−チオアルキル、8−ヒドロキシルおよび他の8−置換アデニン類およびグアニン類、5−ハロ、特に5−ブロモ、5−トリフルオロメチルおよび他の5−置換ウラシル類およびシトシン類、7−メチルグアニンおよび7−メチルアデニン、8−アザグアニンおよび8−アザアデニン、7−デアザグアニンおよび7−デアザアデニン、並びに3−デアザグアニンおよび3−デアザアデニンがある。さらなる核酸塩基には、米国特許第3,687,808号に開示されるもの、The Concise Encyclopedia Of Polymer Science And Engineering, 858−859ページ, Kroschwitz, J.I.監修, John Wiley & Sons, 1990に開示されるもの、Englischら, Angewandte Chemie, International Edition, 1991, 30, 613に開示されるもの、およびSanghvi, Y.S., 第15章, Antisense Research and Applications, 289−302ページ, Crooke, S.T.およびLebleu, B.監修, CRC Press, 1993に開示されるものが含まれる。これらの核酸塩基の特定のものは、本発明のオリゴマー化合物の結合親和性を増加させるのに特に有用である。これらには、5−置換ピリミジン類、6−アザピリミジン類、並びにN−2、N−6およびO−6置換プリン類が含まれ、2−アミノプロピルアデニン、5−プロピニルウラシルおよび5−プロピニルシトシンが含まれる。5−メチルシトシン置換は、核酸二重鎖安定性を0.6〜1.2℃増加させることが示されてきており(Sanghvi, Y.S., Crooke, S.T.およびLebleu, B.監修, Antisense Research and Applications, CRC Press, ボカラトン, 1993, pp.276−278)、そして現在好ましい塩基置換であり、2’−O−メトキシエチル糖修飾と組み合わされた場合、さらにより好ましい。
【0035】
[0035]上述の修飾核酸塩基の特定のものとともに他の修飾核酸塩基の調製を解説する代表的な米国特許には、限定されるわけではないが、上述のU.S. 3,687,808とともに、U.S. 4,845,205;5,130,302;5,134,066;5,175,273;5,367,066;5,432,272;5,457,187;5,459,255;5,484,908;5,502,177;5,525,711;5,552,540;5,587,469;5,594,121;5,596,091;5,614,617;5,750,692;および5,681,941が含まれ、前記特許の各々は、本明細書に援用される。
【0036】
[0036]本発明のオリゴヌクレオチドの別の修飾は、オリゴヌクレオチドに、該オリゴヌクレオチドの活性、細胞分布または細胞取り込みを増進させる、1以上の部分またはコンジュゲートを化学的に連結することを伴う。こうした部分には、限定されるわけではないが、脂質部分、例えばコレステロール部分(Letsingerら, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 1989, 86, 6553−6556)、コール酸(Manoharanら, Bioorg. Med. Chem. Let., 1994, 4, 1053−1060)、チオエーテル、例えば、ヘキシル−S−トリチルチオール(Manoharanら, Ann. N.Y. Acad. Sci., 1992, 660, 306−309;Manoharanら, Bioorg. Med. Chem. Let., 1993, 3, 2765−2770)、チオコレステロール(Oberhauserら, Nucl. Acids Res., 1992, 20, 533−538)、脂肪族鎖、例えばドデカンジオールまたはウンデシル残基(Saison−Behmoarasら, EMBO J., 1991, 10, 1111−1118;Kabanovら, FEBS Lett., 1990, 259, 327−330;Svinarchukら, Biochimie, 1993, 75, 49−54)、リン脂質、例えばジ−ヘキサデシル−rac−グリセリロールまたはトリエチルアンモニウム1,2−ジ−O−ヘキサデシル−rac−グリセロ−3−H−ホスホネート(Manoharanら, Tetrahedron Lett., 1995, 36, 3651−3654;Sheaら, Nucl. Acids Res., 1990, 18, 3777−3783)、ポリアミンまたはポリエチレングリコール鎖(Mancharanら, Nucleosides & Nucleotides, 1995, 14, 969−973)、あるいはアダマンタン酢酸(Manoharanら, Tetrahedron Lett., 1995, 36, 3651−3654)、パルミチル部分(Mishraら, Biochim. Biophys. Acta, 1995, 1264, 229−237)、あるいはオクタデシルアミンまたはヘキシルアミノ−カルボニル−オキシコレステロール部分(Crookeら, J. Pharmacol. Exp. Ther., 1996, 277, 923−937)が含まれる。
【0037】
[0037]こうしたオリゴヌクレオチドコンジュゲートの調製を解説する代表的な米国特許には、限定されるわけではないが、U.S. 4,828,979;4,948,882;5,218,105;5,525,465;5,541,313;5,545,730;5,552,538;5,578,717;5,580,731;5,580,731;5,591,584;5,109,124;5,118,802;5,138,045;5,414,077;5,486,603;5,512,439;5,578,718;5,608,046;4,587,044;4,605,735;4,667,025;4,762,779;4,789,737;4,824,941;4,835,263;4,876,335;4,904,582;4,958,013;5,082,830;5,112,963;5,214,136;5,082,830;5,112,963;5,214,136;5,245,022;5,254,469;5,258,506;5,262,536;5,272,250;5,292,873;5,317,098;5,371,241;5,391,723;5,416,203;5,451,463;5,510,475;5,512,667;5,514,785;5,565,552;5,567,810;5,574,142;5,585,481;5,587,371;5,595,726;5,597,696;5,599,923;5,599,928および5,688,941が含まれ、前記特許の各々は、本明細書に援用される。
【0038】
[0038]既定の化合物のすべての位が均質に修飾されていることは必要ではなく、そして実際、上述の修飾の1以上が、単一の化合物に、またはオリゴヌクレオチド内の単一のヌクレオシドにさえ取り込まれていることも可能である。本発明にはまた、キメラ化合物であるアンチセンス化合物も含まれる。本発明の文脈において、「キメラ」アンチセンス化合物または「キメラ」は、各々少なくとも1つの単量体単位、すなわちオリゴヌクレオチド化合物の場合、ヌクレオチドで構成される、2以上の化学的に異なる領域を含有する、アンチセンス化合物、特にオリゴヌクレオチドである。これらのオリゴヌクレオチドは、典型的には、該オリゴヌクレオチドに、ヌクレアーゼ分解に対する増加した耐性、増加した細胞取り込み、および/または標的核酸に対する増加した結合親和性を与えるように修飾されている、少なくとも1つの領域を含有する。オリゴヌクレオチドのさらなる領域は、RNA:DNAハイブリッドまたはRNA:RNAハイブリッドを切断することが可能な酵素に対する基質として働くことも可能である。例として、RNアーゼHは、RNA:DNA二重鎖のRNA鎖を切断する細胞性エンドヌクレアーゼである。RNアーゼHの活性化は、したがって、RNA標的の切断を生じ、それによって、遺伝子発現のオリゴヌクレオチド阻害の効率を非常に増進させる。その結果、キメラオリゴヌクレオチドを使用した際は、同じ標的領域にハイブリダイズするホスホロチオエート・デオキシオリゴヌクレオチドに比較して、より短いオリゴヌクレオチドを用いても、しばしば匹敵する結果が得られうる。RNA標的の切断は、ゲル電気泳動、および必要な場合、当該技術分野に知られる関連する核酸ハイブリダイゼーション技術によって、日常的に検出することも可能である。
【0039】
[0039]本発明のキメラアンチセンス化合物は、2以上の上述のようなオリゴヌクレオチド、修飾オリゴヌクレオチド、オリゴヌクレオシド、および/またはオリゴヌクレオチド模倣体の混成構造として形成されることも可能である。こうした化合物はまた、当該技術分野に、ハイブリッドまたはギャップマーとも称されてきている。こうしたハイブリッド構造の調製を解説する、代表的な米国特許には、限定されるわけではないが、U.S. 5,013,830;5,149,797;5,220,007;5,256,775;5,366,878;5,403,711;5,491,133;5,565,350;5,623,065;5,652,355;5,652,356;および5,700,922が含まれ、前記特許の各々は、本明細書に完全に援用される。
【0040】
[0040]固相合成の周知の技術を通じて、好適にそして日常的に、本発明にしたがって用いられるアンチセンス化合物を作成することも可能である。こうした合成のための装置は、例えばApplied Biosystems(カリフォルニア州フォスターシティー)を含む、いくつかの業者によって、販売されている。こうした合成のための、当該技術分野に知られるいかなる他の手段を、さらに、または別に、使用することも可能である。ホスホロチオエートおよびアルキル化誘導体などのオリゴヌクレオチドを調製する同様の技術を用いることが周知である。
【0041】
[0041]本発明のアンチセンス化合物には、in vitroで合成され、そして生物学的起源のアンチセンス組成物、またはアンチセンス分子のin vivo合成を指示するよう設計された遺伝子ベクター構築物は含まれない。また、取り込み、分布および/または吸収を補助するため、例えばリポソーム、受容体を標的とする分子、経口処方(formulation)、直腸処方、局所処方または他の処方などの、他の分子、分子構造または化合物の混合物と、本発明の化合物を混合し、これらに被包し、これらとコンジュゲート化し、または別の方法で関連させることも可能である。こうした取り込み、分布および/または吸収補助処方の調製を解説する代表的な米国特許には、限定されるわけではないが、U.S. 5,108,921;5,354,844;5,416,016;5,459,127;5,521,291;5,543,158;5,547,932;5,583,020;5,591,721;4,426,330;4,534,899;5,013,556;5,108,921;5,213,804;5,227,170;5,264,221;5,356,633;5,395,619;5,416,016;5,417,978;5,462,854;5,469,854;5,512,295;5,527,528;5,534,259;5,543,152;5,556,948;5,580,575;および5,595,756が含まれ、前記特許の各々は本明細書に援用される。
【0042】
[0042]本発明のアンチセンス化合物は、いかなる薬学的に許容しうる塩、エステル、またはこうしたエステルの塩も、あるいはヒトを含む動物に投与した際、生物学的に活性があるその代謝産物または残基を(直接または間接的に)提供することが可能な、いかなる他の化合物も含む。したがって、例えば、本開示はまた、本発明の化合物のプロドラッグおよび薬学的に許容しうる塩、こうしたプロドラッグの薬学的に許容しうる塩、並びに他の生物学的等価物にも関する。
【0043】
[0043]用語「プロドラッグ」は、内因性酵素または他の化学薬品および/または状態の作用によって、体内または体の細胞内で活性型(すなわち薬剤)に変換される、不活性型で調製されている療法剤を示す。特に、本発明のオリゴヌクレオチドのプロドラッグ型は、1993年12月9日公開のGosselinらに対するWO 93/24510、またはImbachらに対するWO 94/26764に開示される方法にしたがったSATE[(S−アセチル−2−チオエチル)ホスフェート]誘導体として調製される。
【0044】
[0044]用語「薬学的に許容しうる塩」は、本発明の化合物の生理学的および薬学的に許容しうる塩:すなわち親化合物の望ましい生物学的活性を保持し、そしてその望ましくない毒性効果を与えない塩を指す。
【0045】
[0045]薬学的に許容しうる塩基付加塩は、金属またはアミン、例えばアルカリおよびアルカリ土類金属または有機アミンで形成される。陽イオンとして用いられる金属の例は、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム等である。適切なアミンの例は、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン、クロロプロカイン、コリン、ジエタノールアミン、ジシクロへキシルアミン、エチレンジアミン、N−メチルグルカミン、およびプロカインである(例えば、Bergeら, “Pharmaceutical Salts,” J. of Pharma Sci., 1977, 66, 119を参照されたい)。前記酸性化合物の塩基付加塩は、慣用的な方式で、十分な量の望ましい塩基と、遊離酸型を接触させて、塩を生じさせることによって、調製される。遊離酸型は、慣用的な方式で、酸と塩型を接触させ、そして遊離酸を単離することによって、再生されることも可能である。遊離酸型は、それぞれの塩型と、極性溶媒における可溶性などの特定の物理的特性において幾分異なるが、それ以外は、本発明の目的には、該塩はそれぞれの遊離酸と同等である。本明細書において、「薬学的付加塩」には、本発明の組成物の構成要素の1つの酸型の薬学的に許容しうる塩が含まれる。これらには、アミンの有機酸塩または無機酸塩が含まれる。好ましい酸性塩は、塩酸塩、酢酸塩、サリチル酸塩、硝酸塩およびリン酸塩である。他の適切な薬学的に許容しうる塩は、当業者に周知であり、そして多様な無機酸および有機酸の塩基性塩であって、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸またはリン酸などの無機酸を用いて;有機カルボン酸、スルホン酸、スルホ酸またはホスホ酸またはN−置換スルファミン酸、例えば酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、コハク酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、メチルマレイン酸、フマル酸、リンゴ酸、酒石酸、乳酸、シュウ酸、グルコン酸、グルカル酸、グルクロン酸、クエン酸、安息香酸、ケイ皮酸、マンデル酸、サリチル酸、4−アミノサリチル酸、2−フェノキシ安息香酸、2−アセトキシ安息香酸、エンボン酸(embonic acid)、ニコチン酸またはイソニコチン酸を用いて;そして天然のタンパク質合成に関与する20のアルファ−アミノ酸、例えばグルタミン酸またはアスパラギン酸などのアミノ酸を用いて、そしてまたフェニル酢酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、2−ヒドロキシエタンスルホン酸、エタン−1,2−ジスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、4−メチルベンゼンスルホン酸、ナフタレン−2−スルホン酸、ナフタレン−1,5−ジスルホン酸、2−または3−ホスホグリセリン酸、グルコース−6−リン酸、N−シクロヘキシルスルファミン酸(シクラメートの形成とともに)を用いるか、あるいはアスコルビン酸などの他の酸性有機化合物を用いる、前記塩基性塩が含まれる。化合物の薬学的に許容しうる塩はまた、薬学的に許容しうる陽イオンを用いて調製することも可能である。適切な薬学的に許容しうる陽イオンは、当業者に周知であり、そしてアルカリ、アルカリ土類、アンモニウムおよび四級アンモニウム陽イオンを含む。炭酸塩または炭酸水素塩もまた、使用することも可能である。
【0046】
[0046]オリゴヌクレオチドに関しては、薬学的に許容しうる塩の好ましい例には、限定されるわけではないが、(a)ナトリウム、カリウム、アンモニウム、マグネシウム、カルシウム、スペルミンおよびスペルミジンなどのポリアミンなどの陽イオンを用いて形成される塩;(b)無機酸、例えば塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、硝酸等を用いて形成される酸付加塩;(c)例えば酢酸、シュウ酸、酒石酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、グルコン酸、クエン酸、リンゴ酸、アスコルビン酸、安息香酸、タンニン酸、パルミチン酸、アルギン酸、ポリグルタミン酸、ナフタレンスルホン酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、ナフタレンジスルホン酸、ポリガラクツロン酸等の有機酸を用いて形成される塩;並びに(d)塩素、臭素、およびヨウ素など元素陰イオンから形成される塩が含まれる。
【0047】
[0047]本発明のアンチセンス化合物を、診断剤、療法剤、予防剤のため、そして研究試薬およびキットとして、利用することも可能である。療法剤では、FXRの発現を調節することによって治療可能な疾患または障害を有すると推測される動物、好ましくはヒトを、本発明にしたがったアンチセンス化合物を投与することによって治療する。有効量のアンチセンス化合物を、適切な薬学的に許容しうる希釈剤またはキャリアーに添加することによって、本発明の化合物を医薬組成物に利用することも可能である。本発明のアンチセンス化合物および方法の使用はまた、例えば、感染、炎症または腫瘍形成を防止するかまたは遅延させるために、予防的に有用である可能性もある。
【0048】
[0048]本発明のアンチセンス化合物は、これらの化合物がFXRをコードする核酸にハイブリダイズし、サンドイッチおよび他のアッセイが、この事実を利用して容易に構築されることを可能にするため、研究剤および診断剤に有用である。本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドと、FXRをコードする核酸のハイブリダイゼーションを、当該技術分野に知られる手段によって検出することも可能である。こうした手段は、オリゴヌクレオチドに対する酵素のコンジュゲート化、オリゴヌクレオチドの放射標識または他のいかなる適切な検出手段を含むことも可能である。試料中のFXRのレベルを検出するための、こうした検出手段を用いたキットを、調製することもまた可能である。
【0049】
[0049]本発明はまた、本発明のアンチセンス化合物を含む医薬組成物および処方も含む。本発明の医薬組成物は、局所または全身治療が望ましいかどうかに応じて、そして治療しようとする領域に応じて、いくつかの方式で投与することも可能である。投与は、局所投与(眼、並びに膣および直腸送達を含む粘膜に対するものを含む)、例えば、噴霧器によるものを含む、粉末またはエアロゾル吸入(inhalation)またはガス注入(insufflation)による、肺投与、気管内投与、鼻内投与、上皮投与および経皮投与、経口投与または非経口投与であることも可能である。非経口投与には、静脈内、動脈内、皮下、腹腔内または筋内注射または注入;あるいは頭蓋内投与、例えば鞘内投与または脳室内投与が含まれる。少なくとも1つの2’−O−メトキシエチル修飾を持つオリゴヌクレオチドは、経口投与に特に有用であると考えられる。
【0050】
[0050]局所投与のための医薬組成物および処方には、経皮パッチ、軟膏、ローション、クリーム、ゲル、ドロップ、座薬、スプレー、液体および粉末が含まれうる。慣用的な薬学的キャリアー、水性、粉末または油性基剤、粘稠化剤等が必要であるか、または望ましい可能性がある。コーティングしたコンドーム、手袋等もまた、有用である可能性がある。
【0051】
[0051]経口投与のための組成物および処方には、粉末または顆粒、水または非水性媒体中の懸濁物または溶液、カプセル、サシェー剤(sachet)または錠剤が含まれる。粘稠化剤、フレーバー剤(flavoring agents)、希釈剤、乳化剤、分散補助または結合剤が望ましい可能性もある。
【0052】
[0052]非経口投与、鞘内投与または脳室内投与のための組成物および処方物には、緩衝剤、希釈剤および他の適切な添加剤、例えば限定されるわけではないが、浸透増進剤、キャリアー化合物および他の薬学的に許容しうるキャリアーまたは賦形剤(excipients)もまた含有可能な、無菌水性溶液が含まれうる。
【0053】
[0053]本発明の医薬組成物には、限定されるわけではないが、溶液、エマルジョン、およびリポソーム含有処方が含まれる。限定されるわけではないが、あらかじめ形成された液体、自己乳化固体および自己乳化半固体を含む、多様な構成要素から、これらの組成物を生成することも可能である。
【0054】
[0054]好適に単位投薬型で存在することも可能な、本発明の医薬処方物は、薬学業界に周知の慣用技術にしたがって、調製することも可能である。こうした技術には、活性成分を薬学的キャリアー(単数または複数)または賦形剤(単数または複数)と会合させる工程が含まれる。一般的に、活性成分を液体キャリアーまたは細分割固体キャリアーあるいは両方と、均質にそして根本的に会合させ、そしてその後、必要であれば、産物を成形することによって、処方物を調製する。
【0055】
[0055]本発明の組成物を、多くの可能な投薬型のいずれで処方することも可能であり、こうした投薬型には、限定されるわけではないが、錠剤、カプセル、液体シロップ、ソフトゲル、座薬、および浣腸剤などが含まれる。本発明の組成物を、水性、非水性または混合媒体中の懸濁物として処方することも可能である。水性懸濁物は、例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ソルビトールおよび/またはデキストランを含む、懸濁物の粘性を増加させる物質をさらに含有することも可能である。懸濁物はまた、安定化剤も含有することも可能である。
【0056】
[0056]本発明の1つの態様において、医薬組成物を泡(foam)として処方し、そして用いることも可能である。薬学的泡には、限定されるわけではないが、エマルジョン、マイクロエマルジョン、クリーム、ゼリーおよびリポソームなどの処方物が含まれる。性質は基本的に同様であるが、これらの処方は構成要素および最終産物のコンシステンシー(consistency)が多様である。こうした組成物および処方物の調製は、薬学業および処方業の当業者に一般的に知られ、そしてこうした調製を本発明の組成物の処方に適用することも可能である。
【0057】
エマルジョン
[0057]本発明の組成物を、エマルジョンとして調製しそして処方することも可能である。エマルジョンは、典型的には、通常、直径0.1μmを越える小滴の形で、1つの液体が別の液体の中に分散している混成系である(Idson, Pharmaceutical Dosage Forms, Lieberman, RiegerおよびBanker(監修), 1988, Marcel Dekker, Inc., ニューヨーク州ニューヨーク,中, 第1巻, p.199;Rosoff, Pharmaceutical Dosage Forms, Lieberman, RiegerおよびBanker(監修), 1988, Marcel Dekker, Inc., ニューヨーク州ニューヨーク,中, 第1巻, p.245;Block, Pharmaceutical Dosage Forms, Lieberman, RiegerおよびBanker(監修), 1988, Marcel Dekker, Inc., ニューヨーク州ニューヨーク,中, 第2巻, p.335;Higuchiら, Remington’s Pharmaceutical Sciences, Mack Publishing Co., ペンシルバニア州イーストン, 1985,中, p.301)。エマルジョンは、しばしば、互いによく混合され、そして分散している、2つの混和しない液相で構成される二相系である。一般的に、エマルジョンは、油中水(w/o)種または水中油(o/w)種のいずれであることも可能である。水性相がバルクの油性相中に細分割され、そして微小小滴として分散している場合、生じた組成物は、油中水(w/o)エマルジョンと呼ばれる。あるいは、油性相がバルクの水性相中に細分割され、そして微小小滴として分散している場合、生じた組成物は、水中油(o/w)エマルジョンと呼ばれる。エマルジョンは、分散相、および水性相、油性相中の溶液として、またはそれ自体別個の相として存在することも可能な活性薬剤に加えて、さらなる構成要素を含有することも可能である。薬剤賦形剤、例えば乳化剤、安定化剤、色素、および酸化防止剤もまた、必要に応じて、エマルジョン中に存在することも可能である。薬剤エマルジョンはまた、例えば油中水中油(o/w/o)エマルジョンおよび水中油中水(w/o/w)エマルジョンの場合のように、二相より多い相で構成される多重エマルジョンであることも可能である。こうした複雑な処方は、しばしば、単純な二元エマルジョンが提供しない、特定の利点を提供する。o/wエマルジョンの個々の油小滴が小さい水小滴を被包する多重エマルジョンは、w/o/wエマルジョンを構成する。同様に、油性連続相中に安定化されている水小球に被包される油小滴の系は、o/w/oエマルジョンを提供する。
【0058】
[0058]エマルジョンは、熱力学的安定性がほとんどまたはまったくないことが特徴である。しばしば、エマルジョンの分散相または断続相は、外部相または連続相中によく分散し、そして乳化剤によって、または処方物の粘性によって、この型で維持される。エマルジョン型軟膏基剤およびクリームの場合のように、エマルジョンのどちらかの相が半固体または固体であることも可能である。エマルジョンを安定化する他の手段は、エマルジョンのどちらの相に取り込まれていることも可能な乳化剤の使用を伴う。乳化剤は、広く、4つのカテゴリーに分類することも可能である:合成界面活性剤、天然存在乳化剤、吸収基剤、および細分散固体(Idson, Pharmaceutical Dosage Forms, Lieberman, RiegerおよびBanker(監修), 1988, Marcel Dekker, Inc., ニューヨーク州ニューヨーク,中, 第1巻, p.199)。
【0059】
[0059]合成界面活性剤は、表面活性剤としても知られ、エマルジョンの処方に広い適用可能性を見出されてきており、そして文献に概説されてきている(Rieger, Pharmaceutical Dosage Forms, Lieberman, RiegerおよびBanker(監修), 1988, Marcel Dekker, Inc., ニューヨーク州ニューヨーク,中, 第1巻, p.285;Idson, Pharmaceutical Dosage Forms, Lieberman, RiegerおよびBanker(監修), Marcel Dekker, Inc., ニューヨーク州ニューヨーク, 1988,中, 第1巻, p.199)。界面活性剤は、典型的には両親媒性であり、そして親水性部分および疎水性部分を含んでなる。界面活性剤の親水性性質対疎水性性質の比は、親水/親油バランス(HLB)と名づけられてきており、そして処方物の調製において、界面活性剤を分類し、そして選択する際の、価値あるツールである。界面活性剤は、親水性基の性質:非イオン性、陰イオン性、陽イオン性および両性に基づいて、異なる種類に分類することも可能である(Rieger, Pharmaceutical Dosage Forms, Lieberman, RiegerおよびBanker(監修), 1988, Marcel Dekker, Inc., ニューヨーク州ニューヨーク,中, 第1巻, p.285)。
【0060】
[0060]エマルジョン処方に用いられる天然存在乳化剤には、ラノリン、蜜蝋、ホスファチド類、レシチンおよびアラビアゴム(acacia)が含まれる。吸収基剤は、無水ラノリンおよび親水性ワセリンなど、水を吸い込み、w/oエマルジョンを形成するが、その半固体のコンシステンシーを維持することが可能であるような、親水性特性を有する。細分割固体もまた、特に、界面活性剤と組み合わせた場合、そして粘性調製物において、優れた乳化剤として用いられてきている。これらには、極性無機固体、例えば重金属水酸化物、非膨張性粘土、例えばベントナイト、アタパルジャイト、ヘクトライト(hectorite)、カオリン、モンモリロナイト、コロイド性ケイ酸アルミニウムおよびコロイド性ケイ酸マグネシウムアルミニウム、色素および非極性固体、例えば炭素またはグリセリルトリステアレートが含まれる。
【0061】
[0061]非常に多様な非乳化物質もまた、エマルジョン処方物に含まれ、そしてエマルジョンの特性に寄与する。これらには、脂肪、油、ワックス、脂肪酸、脂肪アルコール、脂肪エステル、保湿剤(humectant)、親水性コロイド、保存剤および酸化防止剤が含まれる(Block, Pharmaceutical Dosage Forms, Lieberman, RiegerおよびBanker(監修), 1988, Marcel Dekker, Inc., ニューヨーク州ニューヨーク,中, 第1巻, p.335;Idson, Pharmaceutical Dosage Forms, Lieberman, RiegerおよびBanker(監修), 1988, Marcel Dekker, Inc., ニューヨーク州ニューヨーク,中, 第1巻, p.199)。
【0062】
[0062]親水性コロイドまたは親水コロイドには、天然存在ゴムおよび合成ポリマー、例えば多糖類(例えば、アラビアゴム、寒天、アルギン酸、カラゲナン、グアールガム、カラヤゴム、およびトラガカントゴム)、セルロース誘導体(例えば、カルボキシメチルセルロースおよびカルボキシプロピルセルロース)、および合成ポリマー(例えば、カルボマー、セルロースエーテル、およびカルボキシビニルポリマー)が含まれる。これらは水中で分散するか、または膨張して、コロイド性溶液を形成し、該溶液は、分散相小滴の周りに強い界面フィルムを形成することによって、そして外部相の粘性を増加させることによって、エマルジョンを安定化する。
【0063】
[0063]エマルジョンは、しばしば、微生物の増殖を容易に支持することも可能な、いくつかの成分、例えば炭水化物、タンパク質、ステロールおよびホスファチドを含有するため、これらの処方物はしばしば、保存剤を取り込む。エマルジョン処方物に含まれる、通常用いられる保存剤には、メチルパラベン、プロピルパラベン、四級アンモニウム塩、塩化ベンザルコニウム、p−ヒドロキシ安息香酸のエステル、およびホウ酸が含まれる。酸化防止剤もまた、通常、処方の劣化を防止するため、エマルジョン処方物に添加される。用いられる酸化防止剤は、遊離基スカベンジャー、例えば、トコフェロール類、没食子酸アルキル、ブチル化ヒドロキシアニソール、ブチル化ヒドロキシトルエン、または還元剤、例えばアスコルビン酸およびメタ二亜硫酸ナトリウム、および酸化防止剤共力剤、例えばクエン酸、酒石酸、およびレシチンであることも可能である。
【0064】
[0064]皮膚経路、経口経路および非経口経路を介したエマルジョン処方物の適用およびその製造法は、文献に概説されている(Idson, Pharmaceutical Dosage Forms, Lieberman, RiegerおよびBanker(監修), 1988, Marcel Dekker, Inc., ニューヨーク州ニューヨーク,中, 第1巻, p.199)。経口送達のためのエマルジョン処方物は、処方が簡単であり、吸収および生物学的利用能の観点から有効であるため、非常に広く用いられてきている(Rosoff, Pharmaceutical Dosage Forms, Lieberman, RiegerおよびBanker(監修), 1988, Marcel Dekker, Inc., ニューヨーク州ニューヨーク,中, 第1巻, p.245;Idson, Pharmaceutical Dosage Forms, Lieberman, RiegerおよびBanker(監修), 1988, Marcel Dekker, Inc., ニューヨーク州ニューヨーク,中, 第1巻, p.199)。o/wエマルジョンとして一般に経口投与されている物質の中には、ミネラルオイルに基づく下剤、油溶性ビタミンおよび高脂肪栄養調製物がある。
【0065】
[0065]本発明の1つの態様において、オリゴヌクレオチドおよび核酸の組成物は、マイクロエマルジョンとして処方される。マイクロエマルジョンは、単一の、光学的に等方性で、そして熱力学的に安定な液体溶液である、水、油および両親媒性物質の系と定義されることも可能である(Rosoff, Pharmaceutical Dosage Forms, Lieberman, RiegerおよびBanker(監修), 1988, Marcel Dekker, Inc., ニューヨーク州ニューヨーク,中, 第1巻, p.245)。典型的には、マイクロエマルジョンは、まず水性界面活性剤溶液中に油を分散させ、そしてその後、十分な量の第四の構成要素、一般的には、中鎖アルコールを添加し、透明な系を形成することによって、調製される系である。したがって、マイクロエマルジョンはまた、表面活性分子の界面フィルムによって安定化されている、2つの混和しない液体の、熱力学的に安定な、等方性の透明な分散体とも記載されてきている(LeungおよびShah:Controlled Release of Drugs:Polymers and Aggregate Systems, Rosoff, M.監修, 1989, VCH Publishers, ニューヨーク,中, 1852−5ページ)。マイクロエマルジョンは、通常、油、水、界面活性剤、補助界面活性剤(cosurfactant)および電解質を含む、3〜5の構成要素の組み合わせを介して調製される。マイクロエマルジョンが、油中水(w/o)型または水中油(o/w)型、いずれであるかは、用いられる油および界面活性剤の特性、並びに界面活性剤分子の極性頭部および炭化水素テールの構造および幾何学的パッキングに応じる(Schott, Remington’s Pharmaceutical Sciences, Mack Publishing Co., ペンシルバニア州イーストン, 1985,中, p.271)。
【0066】
[0066]状態図を利用した現象学的アプローチは、詳しく研究されてきており、そしてどのようにマイクロエマルジョンを処方するかに関して、当業者に包括的な知識をもたらしてきている(Rosoff, Pharmaceutical Dosage Forms, Lieberman, RiegerおよびBanker(監修), 1988, Marcel Dekker, Inc., ニューヨーク州ニューヨーク,中, 第1巻, p.245;Block, Pharmaceutical Dosage Forms, Lieberman, RiegerおよびBanker(監修), 1988, Marcel Dekker, Inc., ニューヨーク州ニューヨーク,中, 第1巻, p.335)。慣用的なエマルジョンに比較して、マイクロエマルジョンは、自発的に形成される、熱力学的に安定な小滴の処方中で、水不溶性薬剤を可溶化させる利点を提供する。
【0067】
[0067]マイクロエマルジョンの調製に用いられる界面活性剤には、限定されるわけではないが、単独のまたは補助界面活性剤と組み合わせた、イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、Brij 96、ポリオキシエチレンオレイルエーテル類、ポリグリセロール脂肪酸エステル類、テトラグリセロールモノラウレート(ML310)、テトラグリセロールモノオレエート(MO310)、ヘキサグリセロールモノオレエート(PO310)、ヘキサグリセロールペンタオレエート(PO500)、デカグリセロールモノカプレート(MCA750)、デカグリセロールモノオレエート(MO750)、デカグリセロールセキオレエート(SO750)、デカグリセロールデカオレエート(DAO750)が含まれる。補助界面活性剤は、通常、エタノール、1−プロパノール、および1−ブタノールなどの短鎖アルコールであり、界面活性剤フィルム中に浸透し、そしてその結果、界面活性剤分子の間に生成される空の空間のために秩序が乱れたフィルムを生成することによって、界面流動度を増加させるように作用する。しかし、マイクロエマルジョンは、補助界面活性剤を使用せずに調製することも可能であり、そしてアルコール不含自己乳化マイクロエマルジョン系が当該技術分野に知られる。水性相は、限定されるわけではないが、典型的には、水、薬剤の水性溶液、グリセロール、PEG300、PEG400、ポリグリセロール類、プロピレングリコール類、およびエチレングリコールの誘導体であることも可能である。油相には、限定されるわけではないが、Captex 300、Captex 355、Capmul MCM、脂肪酸エステル類、中鎖(C8〜C12)モノ、ジ、およびトリ−グリセリド類、ポリオキシエチル化グリセリル脂肪酸エステル類、脂肪アルコール類、ポリグリコール化グリセリド類、飽和ポリグリコール化C8〜C10グリセリド類、植物油類およびシリコン油が含まれることも可能である。
【0068】
[0068]マイクロエマルジョンは、薬剤可溶化および薬剤の吸収増進の観点から特に興味深い。脂質に基づくマイクロエマルジョン(o/wおよびw/o両方)は、ペプチドを含む、薬剤の経口生物学的利用能を増進すると提唱されてきている(Constantinidesら, Pharmaceutical Research, 1994, 11, 1385−1390;Ritschel, Meth. Find. Exp. Clin. Pharmacol., 1993, 13, 205)。マイクロエマルジョンは、改善された薬剤可溶化、酵素的加水分解からの薬剤保護、界面活性剤が膜流動性および浸透性の改変を誘導することによる、薬剤吸収増進の可能性、調製が容易であること、固体投薬型に比べ経口投与が容易であること、改善された臨床的効能、および減少した毒性といった利点をもたらす(Constantinidesら, Pharmaceutical Research, 1994, 11, 1385;Hoら, J. Pharm. Sci., 1996, 85, 138−143)。しばしば、マイクロエマルジョンは、周囲温度で構成要素をともにした際に、自発的に形成されることも可能である。これは、熱不安定性薬剤、ペプチドまたはオリゴヌクレオチドを処方する際、特に有利である可能性がある。マイクロエマルジョンはまた、美容適用および薬剤適用両方において、活性構成要素の経皮送達にも有効である。本発明のマイクロエマルジョン組成物および処方は、胃腸管からのオリゴヌクレオチドおよび核酸の全身吸収増加を促進するとともに、胃腸管、膣、口腔および他の投与領域内でのオリゴヌクレオチドおよび核酸の局所細胞取り込みも改善するであろうと期待される。
【0069】
[0069]本発明のマイクロエマルジョンはまた、処方物の特性を改善するため、そして本発明のオリゴヌクレオチドおよび核酸の吸収を増進するため、さらなる構成要素および添加剤、例えばソルビタンモノステアレート(Grill 3)、ラブラソール(Labrasol)、および浸透増進剤も含有することも可能である。本発明のマイクロエマルジョンに用いられる浸透増進剤は、5つの広いカテゴリー、界面活性剤、脂肪酸、胆汁酸塩、キレート剤、および非キレート非界面活性剤の1つに属すると分類することも可能である(Leeら, Critical Reviews in Therapeutic Drug Carrier Systems, 1991, p.92)。これらの種類の各々は、上に論じられてきている。
【0070】
リポソーム
[0070]マイクロエマルジョンに加えて、薬剤処方のために研究され、そして用いられてきている、多くの編成界面活性剤構造がある。これらには、単層、ミセル、二層および小胞が含まれる。リポソームなどの小胞は、薬剤送達の観点から、これらが提供するその特異性および作用期間のため、非常な興味をひきつけてきている。本発明において、用語「リポソーム」は、球状の二層(単数)または二層(複数)に配置された両親媒性脂質で構成される小胞を意味する。
【0071】
[0071]リポソームは、親油性成分および水性内部から形成される膜を有する、単層小胞または多層小胞である。水性部分は、送達しようとする組成物を含有する。陽イオン性リポソームは、細胞壁に融合可能であるという利点を持つ。非陽イオン性リポソームは、細胞壁と効率的に融合はできないが、in vivoでマクロファージによって取り込まれる。
【0072】
[0072]損なわれていない(intact)哺乳動物の皮膚を横断するため、脂質小胞は、適切な経皮勾配の影響下で、各々直径50nm未満の一連の細かい孔を通過しなければならない。したがって、非常に変形性で、そしてこうした細かい孔を通過可能なリポソームを使用することが望ましい。
【0073】
[0073]リポソームのさらなる利点には;天然リン脂質から得られるリポソームは、生体適合性であり、そして生物分解性であり;リポソームは広い範囲の水および脂溶性薬剤を取り込むことも可能であり;リポソームは、その内部区画中で、代謝および分解から、被包薬剤を保護することも可能であることが含まれる(Rosoff, Pharmaceutical Dosage Forms, Lieberman, RiegerおよびBanker(監修), 1988, Marcel Dekker, Inc., ニューヨーク州ニューヨーク,中, 第1巻, p.245)。リポソーム処方物の調製において考慮するのが重要なのは、リポソームの脂質表面電荷、小胞サイズおよび水性体積である。
【0074】
[0074]リポソームは、作用部位に活性成分を輸送しそして送達するのに有用である。リポソーム膜は、生物学的膜に構造的に似ているため、リポソームが組織に適用された際、リポソームは細胞膜と合体し始める。リポソームおよび細胞の合体が進行するに連れて、活性剤が作用しうる細胞内に、リポソームの内容物が移される。
【0075】
[0075]リポソーム処方物は、多くの薬剤の送達様式として、広範な研究の焦点となってきている。局所投与に関して、リポソームが他の処方物に勝る、いくつかの利点を提供する証拠が増えてきている。こうした利点には、投与薬剤の全身性吸収が高いことに関連する減少した副作用、望ましい標的での増加した投与薬剤集積、並びに親水性および疎水性両方の非常に多様な薬剤の皮膚への投与可能性が含まれる。
【0076】
[0076]いくつかの報告によって、リポソームが高分子量DNAを含む剤を皮膚に送達する能力が詳述されてきている。鎮痛剤、抗体、ホルモンおよび高分子量DNAを含む化合物が皮膚に投与されてきている。適用の大部分は、上部表皮の標的化を生じた。
【0077】
[0077]リポソームは、2つの広い種類に属する。陽イオン性リポソームは陽性に荷電しているリポソームであり、陰性に荷電しているDNA分子と相互作用して、安定な複合体を形成する。陽性荷電DNA/リポソーム複合体は、陰性荷電細胞表面に結合し、そしてエンドソーム中に入る。エンドソーム内はpHが酸性であるため、リポソームは破裂し、内容物を細胞質に放出する(Wangら, Biochem. Biophys. Res. Commun., 1987, 147, 980−985)。
【0078】
[0078]pH感受性リポソームまたは陰性荷電リポソームは、DNAと複合体化するよりむしろDNAを捕捉する。DNAおよび脂質はどちらも、同様に荷電しているため、複合体形成よりむしろ反発が起こる。にもかかわらず、あるDNAはこれらのリポソームの水性内部に捕捉される。チミジンキナーゼ遺伝子をコードするDNAを、培養中の細胞単層に送達するのに、pH感受性リポソームが使用された。外因性遺伝子の発現が、標的細胞において検出された(Zhouら, Journal of Controlled Release, 1992, 19, 269−274)。
【0079】
[0079]リポソーム組成物の1つの主要な種類には、天然由来ホスファチジルコリン以外のリン脂質が含まれる。中性リポソーム組成物を、例えば、ジミリストイルホスファチジルコリン(DMPC)またはジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)で形成することも可能である。陰イオン性リポソーム組成物は、一般的に、ジミリストイルホスファチジルグリセロールで形成されるが、陰イオン性融合体形成性(fusogenic)リポソームは、主に、ジオレオイルホスファチジルエタノールアミン(DOPE)で形成される。リポソーム組成物の別の種類は、例えばダイズ(soybean)PC、および卵PCなどのホスファチジルコリン(PC)で形成される。別の種類は、リン脂質および/またはホスファチジルコリンおよび/またはコレステロールの混合物で形成される。
【0080】
[0080]いくつかの研究によって、皮膚へのリポソーム薬剤処方物の局所送達が評価されてきている。インターフェロンを含有するリポソームをモルモット皮膚に適用することによって、皮膚疱疹傷の減少が生じたが、他の手段を介した(例えば溶液としてまたはエマルジョンとしての)インターフェロンの送達は無効であった(Weinerら, Journal of Drug Targeting, 1992, 2, 405−410)。さらに、さらなる研究によって、水性系を用いたインターフェロン投与に対して、リポソーム処方物の一部として投与されたインターフェロンの効能が試験され、そしてリポソーム処方物が水性投与より優れていると結論付けられた(du Plessisら, Antiviral Research, 1992, 18, 259−265)。
【0081】
[0081]非イオン性リポソーム系、非イオン性界面活性剤およびコレステロールを含んでなる特定の系もまた、皮膚への薬剤送達における有用性を決定するため、調べられてきている。NovasomeTM I(グリセリルジラウレート/コレステロール/ポリオキシエチレン−10−ステアリルエーテル)およびNovasomeTM II(グリセリルジステアレート/コレステロール/ポリオキシエチレン−10−ステアリルエーテル)を含んでなる非イオン性リポソーム処方を用いて、マウス皮膚の真皮にシクロスポリン−Aが送達された。結果によって、こうした非イオン性リポソーム系が、皮膚の異なる層へのシクロスポリン−A沈着を促進するのに有効であることが示された(Huら, S.T.P. Pharma. Sci., 1994, 4, 6, 466)。
【0082】
[0082]リポソームはまた、「立体的に安定な」リポソームも含み、本明細書において、本用語は、1以上の特殊化脂質であって、リポソームに取り込まれた際に、こうした特殊化脂質を欠くリポソームに比べて、循環期間の増進を生じる前記特殊化脂質を含んでなるリポソームを指す。立体的に安定なリポソームの例は、リポソームの小胞形成脂質部分の一部が(A)1以上の糖脂質、例えばモノシアロガングリオシドGM1を含んでなるか、または(B)1以上の親水性ポリマー、例えばポリエチレングリコール(PEG)部分で誘導体化されているものである。いかなる特定の学説に縛られることも望ましくないが、少なくとも、ガングリオシド、スフィンゴミエリン、またはPEG誘導体化脂質を含有する、立体的に安定なリポソームに関しては、これらの立体的に安定なリポソームの増進された循環半減期は、細網内皮細胞系(RES)の細胞への取り込みが減少することによるものと当該技術分野に考えられている(Allenら, FEBS Letters, 1987, 223, 42;Wuら, Cancer Research, 1993, 53, 3765)。
【0083】
[0083]1以上の糖脂質を含んでなる、多様なリポソームが当該技術分野に知られる。Papahadjopoulosら(Ann. N.Y. Acad. Sci., 1987, 507, 64)は、モノシアロガングリオシドGM1、ガラクトセレブロシド硫酸、およびホスファチジルイノシトールがリポソームの血液半減期を改善する能力を報告した。これらの知見は、Gabizonら(Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A., 1988, 85, 6949)によって詳しく解説された。どちらもAllenらに対する、米国特許第4,837,028号およびWO 88/04924は、(1)スフィンゴミエリンおよび(2)ガングリオシドGまたはガラクトセレブロシド硫酸エステルを含んでなるリポソームを開示する。米国特許第5,543,152号(Webbら)は、スフィンゴミエリンを含んでなるリポソームを開示する。1,2−sn−ジミリストイルホスファチジルコリンを含んでなるリポソームは、WO 97/13499(Limら)に開示される。
【0084】
[0084]1以上の親水性ポリマーで誘導体化された脂質を含んでなる多くのリポソームおよびその調製法が、当該技術分野に知られる。Sunamotoら(Bull. Chem. Soc. Jpn., 1980, 53, 2778)は、PEG部分を含有する、非イオン性界面活性剤2C1215Gを含んでなるリポソームを記載した。Illumら(FEBS Lett., 1984, 167, 79)は、ポリマー性グリコールを用いたポリスチレン粒子の親水性コーティングが、有意に増進された血液半減期を生じることを記した。ポリアルキレングリコール(例えばPEG)のカルボキシル基の付着によって修飾されている合成リン脂質がSears(米国特許第4,426,330号および第4,534,899号)に記載される。Klibanovら(FEBS Lett., 1990, 268, 235)は、PEGまたはPEGステアレートで誘導体化したホスファチジルエタノールアミン(PE)を含んでなるリポソームの血液循環半減期が有意に増加していることを立証する実験を記載した。Blumeら(Biochimica et Biophysica Acta, 1990, 1029, 91)は、こうした観察を、他のPEG誘導体化リン脂質、例えばジステアロイルホスファチジルエタノールアミン(DSPE)およびPEGの組み合わせから形成される、DSPE−PEGにまで広げた。外表面上に共有結合しているPEG部分を有するリポソームは、Fisherに対する欧州特許第EP 0 445 131 B1号およびWO 90/04384に記載される。1〜20モルパーセントのPEG誘導体化PEを含有するリポソーム組成物、およびその使用法は、Woodleら(米国特許第5,013,556号および第5,356,633号)およびMartinら(米国特許第5,213,804号および欧州特許第EP 0 496 813 B1号)に記載される。いくつかの他の脂質−ポリマーコンジュゲートを含んでなるリポソームは、WO 91/05545および米国特許第5,225,212号(どちらもMartinらに対する)およびWO 94/20073(Zalipskyら)に開示される。PEG修飾セラミド脂質を含んでなるリポソームは、WO 96/10391(Choiら)に記載される。米国特許第5,540,935号(Miyazakiら)および第5,556,948号(Tagawaら)は、表面上の官能部分でさらに誘導体化することも可能な、PEG含有リポソームを記載する。
【0085】
[0085]限定された数の、核酸を含んでなるリポソームが当該技術分野に知られる。Thierryらに対するWO 96/40062は、リポソーム中に高分子量核酸を被包する方法を開示する。Tagawaらに対する米国特許第5,264,221号は、タンパク質結合リポソームを開示し、そしてこうしたリポソームの内容物にアンチセンスRNAを含むことも可能であることを主張する。Rahmanらに対する米国特許第5,665,710号は、リポソームにオリゴデオキシヌクレオチドを被包する、特定の方法を記載する。Loveらに対するWO 97/04787は、raf遺伝子を標的とするアンチセンスオリゴヌクレオチドを含んでなるリポソームを開示する。
【0086】
[0086]トランスファーソーム(transfersome)は、リポソームのさらに別の種類であり、そして薬剤送達ビヒクルとして魅力的な、非常に変形性の脂質凝集体である。トランスファーソームは、非常に変形性であるために、該小滴より小さい孔を通じて、容易に浸透することが可能な脂質小滴と記載することも可能である。トランスファーソームは、用いられる環境に適応可能であり、例えば、自己最適化し(皮膚の孔の形状に適応する)、自己修復し、しばしば断片化なしに標的に到達し、そしてしばしば自動装填する。トランスファーソームの作成のため、標準的リポソーム組成物に、表面縁活性化剤、通常、界面活性剤を添加することが可能である。トランスファーソームは、血清アルブミンを皮膚に送達するのに用いられてきている。血清アルブミンのトランスファーソーム仲介送達は、血清アルブミン含有溶液の皮下注射と同程度に有効であることが示されてきている。
【0087】
[0087]界面活性剤は、エマルジョン(マイクロエマルジョンを含む)およびリポソームなどの処方において、広い適用を見出す。天然および合成両方の、多くの異なる種類の界面活性剤の特質を分類しそして位置付ける、最も一般的な方法は、親水/親油バランス(HLB)の使用による。親水性基(「頭部」としても知られる)の性質は、処方物に用いられる、異なる界面活性剤を分類するのに最も有用な手段を提供する(Rieger, Pharmaceutical Dosage Forms, Marcel Dekker, Inc., ニューヨーク州ニューヨーク, 1988,中, p.285)。
【0088】
[0088]界面活性剤分子がイオン化されていない場合、非イオン性界面活性剤と分類される。非イオン性界面活性剤は、医薬品および美容製品に広い適用を見出し、そして広い範囲のpH値に渡って、使用可能である。一般的に、そのHLB値は、構造に応じて、2〜約18の範囲である。非イオン性界面活性剤には、非イオン性エステル類、例えばエチレングリコールエステル類、プロピレングリコールエステル類、グリセリルエステル類、ポリグリセリルエステル類、ソルビタンエステル類、スクロースエステル類、およびエトキシル化エステル類が含まれる。非イオン性アルカノールアミド類およびエーテル類、例えば脂肪アルコールエトキシレート類、プロポキシル化アルコール類、およびエトキシル化/プロポキシル化ブロックポリマー類もまた、この種類に含まれる。ポリオキシエチレン界面活性剤は、非イオン性界面活性剤種の最も一般的なメンバーである。
【0089】
[0089]界面活性剤分子を水に溶解するかまたは分散させた際、該分子が陰性電荷を持つ場合、該界面活性剤は、陰イオン性と分類される。陰イオン性界面活性剤には、石鹸などのカルボキシレート類、アシルラクチレート類、アミノ酸のアシルアミド類、アルキルサルフェート類およびエトキシル化アルキルサルフェート類などの硫酸のエステル類、アルキルベンゼンスルホネート類などのスルホネート類、アシルイセチオネート類、アシルタウレート類およびスルホスクシネート類、ならびにホスフェート類が含まれる。陰イオン性界面活性剤種の最も重要なメンバーは、アルキルサルフェート類および石鹸である。
【0090】
[0090]界面活性剤分子を水に溶解するかまたは分散させた際、該分子が陽性電荷を持つ場合、該界面活性剤は、陽イオン性と分類される。陽イオン性界面活性剤には、四級アンモニウム塩類およびエトキシル化アミン類が含まれる。四級アンモニウム塩は、この種類の最も用いられるメンバーである。
【0091】
[0091]界面活性剤分子が陽性電荷または陰性電荷どちらも持つ能力を有する場合、該界面活性剤は、両性と分類される。両性界面活性剤には、アクリル酸誘導体、置換アルキルアミド類、N−アルキルベタイン類およびホスファチド類が含まれる。
【0092】
[0092]薬剤製品、処方物およびエマルジョン中の界面活性剤の使用が概説されてきている(Rieger, Pharmaceutical Dosage Forms, Marcel Dekker, Inc., ニューヨーク州ニューヨーク, 1988,中, p.285)。
浸透増進剤
[0093]1つの態様において、本発明は多様な浸透増進剤を使用して、核酸、特にオリゴヌクレオチドの動物皮膚への効率的な送達を達成する。大部分の薬剤は、溶液に、イオン化型および非イオン化型両方で存在する。しかし、通常、脂溶性または親油性薬剤のみが、容易に細胞膜を通過する。非親油性薬剤であっても、横断しようとする膜が浸透増進剤で処理されている場合、細胞膜を横断することも可能であることが発見されてきている。細胞膜を越える非親油性薬剤の拡散を補助するのに加えて、浸透増進剤はまた、親油性薬剤の浸透性も増進する。
【0093】
[0094]浸透増進剤は、5つの広いカテゴリー、すなわち界面活性剤、脂肪酸、胆汁酸塩、キレート剤、および非キレート非界面活性剤の1つに属するとして、分類することも可能である(Leeら, Critical Reviews in Therapeutic Drug Carrier Systems, 1991, p.92)。上述の浸透増進剤の種類の各々を、以下により詳細に記載する。
【0094】
[0095]界面活性剤:本発明と関連して、界面活性剤(または「表面活性剤」)は、水性溶液に溶解された際、溶液の表面張力または水性溶液および別の液体の間の界面張力を減少させ、その結果、粘膜を通じたオリゴヌクレオチドの吸収を増進する化学実体である。胆汁酸塩および脂肪酸に加えて、これらの浸透増進剤には、例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレン−9−ラウリルエーテルおよびポリオキシエチレン−20−セチル−エーテル(Leeら, Critical Reviews in Therapeutic Drug Carrier Systems, 1991, p.92);およびペルフルオロ化学エマルジョン、例えばFC−43(Takahashiら, J. Pharm. Pharmacol., 1988, 40, 252)が含まれる。
【0095】
[0096]脂肪酸:浸透増進剤として作用する、多様な脂肪酸およびその誘導体には、例えば、オレイン酸、ラウリン酸、カプリン酸(n−デカン酸)、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、リノール酸、リノレン酸、ジカプレート、トリカプレート、モノオレイン(1−モノオレオイル−rac−グリセロール)、ジラウリン、カプリル酸、アラキドン酸、グリセロール1−モノカプレート、1−ドデシルアザシクロへプタン−2−オン、アシルカルニチン類、アシルコリン類、それらのC1−10アルキルエステル類(例えばメチル、イソプロピルおよびt−ブチル)、並びにそれらのモノ−およびジ−グリセリド類(すなわちオレエート、ラウレート、カプレート、ミリステート、パルミテート、ステアレート、リノレエートなど)が含まれる(Leeら, Critical Reviews in Therapeutic Drug Carrier Systems, 1991, p.92;Muranishi, Critical Reviews in Therapeutic Drug Carrier Systems, 1990, 7, 1−33;El Haririら, J. Pharm. Pharmacol., 1992, 44, 651−654)。
【0096】
[0097]胆汁酸塩:胆汁の生理学的役割には、脂質および脂溶性ビタミンの分散および吸収の促進が含まれる(Brunton, 第38章:Goodman & Gilman’s The Pharmacological Basis of Therapeutics, 第9版, Hardmanら監修, McGraw−Hill, ニューヨーク, 1996,中, pp.934−935)。多様な天然胆汁酸塩、およびそれらの合成誘導体は、浸透増進剤として作用する。したがって、用語「胆汁酸塩」には、胆汁のいかなる天然存在構成要素も含まれ、それとともにそのいかなる合成誘導体も含まれる。本発明の胆汁酸塩には、例えば、コール酸(またはその薬学的に許容しうるナトリウム塩、コール酸ナトリウム)、デヒドロコール酸(デヒドロコール酸ナトリウム)、デオキシコール酸(デオキシコール酸ナトリウム)、グルコール酸(グルコール酸ナトリウム)、グリコール酸(グリコール酸ナトリウム)、グリコデオキシコール酸(グリコデオキシコール酸ナトリウム)、タウロコール酸(タウロコール酸ナトリウム)、タウロデオキシコール酸(タウロデオキシコール酸ナトリウム)、ケノデオキシコール酸(ケノデオキシコール酸ナトリウム)、ウルソデオキシコール酸(UDCA)、タウロ−24,25−ジヒドロ−フシジン酸ナトリウム(STDHF)、グリコジヒドロフシジン酸ナトリウムおよびポリオキシエチレン−9−ラウリルエーテル(POE)が含まれる(Leeら, Critical Reviews in Therapeutic Drug Carrier Systems, 1991, 92ページ;Swinyard, 第39章:Remington’s Pharmaceutical Sciences, 第18版, Gennaro監修, Mack Publishing Co., ペンシルバニア州イーストン, 1990,中, 782−783ページ;Muranishi, Critical Reviews in Therapeutic Drug Carrier Systems, 1990, 7, 1−33;Yamamotoら, J. Pharm. Exp. Ther., 1992, 263, 25;Yamashitaら, J. Pharm. Sci., 1990, 79, 579−583)。
【0097】
[0098]キレート剤:本発明と関連して用いられるようなキレート剤は、金属性イオンと複合体を形成することによって、溶液から該イオンを除去し、その結果、粘膜を通じたオリゴヌクレオチドの吸収を増進する化合物と定義することも可能である。本発明の浸透増進剤としてのその使用に関して、大部分の性質決定されているDNAヌクレアーゼは、触媒のための二価金属イオンを必要とし、そしてしたがってキレート剤によって阻害されるため、キレート剤は、DNアーゼ阻害剤としても作用する、さらなる利点を有する(Jarrett, J. Chromatogr., 1993, 618, 315−339)。本発明のキレート剤には、限定されるわけではないが、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム(EDTA)、クエン酸、サリチレート類(例えばサリチル酸ナトリウム、5−メトキシサリチレートおよびホモバニレート(homovanilate))、コラーゲンのN−アシル誘導体、ラウレス(laureth)−9およびベータ−ジケトン類のN−アミノアシル誘導体(エナミン類)が含まれる(Leeら, Critical Reviews in Therapeutic Drug Carrier Systems, 1991, 92ページ;Muranishi, Critical Reviews in Therapeutic Drug Carrier Systems, 1990, 7, 1−33;Buurら, J. Control Rel., 1990, 14, 43−51)。
【0098】
[0099]非キレート非界面活性剤:本明細書において、非キレート非界面活性剤浸透増進化合物は、キレート剤または界面活性剤として有意な活性を示さないが、にもかかわらず、消化管粘膜を通じたオリゴヌクレオチドの吸収を増進する化合物として定義されることも可能である(Muranishi, Critical Reviews in Therapeutic Drug Carrier Systems, 1990, 7, 1−33)。この種類の浸透増進剤には、例えば、不飽和環状尿素、1−アルキル−および1−アルケニルアザシクロ−アルカノン誘導体(Leeら, Critical Reviews in Therapeutic Drug Carrier Systems, 1991, 92ページ);および非ステロイド性抗炎症剤、例えばジクロフェナクナトリウム、インドメタシンおよびフェニルブタゾン(Yamashitaら, J. Pharm. Pharmacol., 1987, 39, 621−626)が含まれる。
【0099】
[00100]細胞レベルでオリゴヌクレオチドの取り込みを増進する剤を、本発明の薬剤および他の組成物に添加することもまた可能である。例えば、陽イオン性脂質、例えばリポフェクチン(Junichiら、米国特許第5,705,188号)、陽イオン性グリセロール誘導体、およびポリカチオン性分子、例えばポリリジン(Lolloら、PCT出願WO 97/30731)もまた、オリゴヌクレオチドの細胞取り込みを増進することが知られる。
【0100】
[00101]投与された核酸の浸透を増進するのに他の剤を利用することも可能であり、こうした剤には、エチレングリコールおよびプロピレングリコールなどのグリコール類、2−ピロールなどのピロール類、アゾン類、並びにリモネンおよびメントンなどのテルペン類が含まれる。
【0101】
キャリアー:
[00102]本発明の特定の組成物はまた、処方物中にキャリアー化合物も取り込む。本明細書において、「キャリアー化合物」または「キャリアー」は、不活性である(すなわち、それ自体、生物学的活性を持たない)が、例えば、生物学的に活性がある核酸を分解するか、または循環からのその除去を促進することによって、生物学的活性を有する核酸の生物学的利用能を減少させるin vivo過程に、核酸と認識される、核酸、またはその類似体を指すことも可能である。核酸およびキャリアー化合物の同時投与は、典型的には、後者の物質が過剰であり、おそらく共通の受容体に対するキャリアー化合物および核酸の間の競合のため、肝臓、腎臓または他の循環外貯蔵器官に回収される核酸の量を実質的に減少させることも可能である。例えば、部分的にホスホロチオエートであるオリゴヌクレオチドの肝組織における回収は、ポリイノシン酸、デキストラン硫酸、ポリシチジン酸または4−アセトアミド−4’イソチオシアノ−スチルベン−2,2’−ジスルホン酸と同時投与された際、減少することも可能である(Miyaoら, Antisense Res. Dev., 1995, 5:115−121;Takakuraら, Antisense & Nucl. Acid Drug Dev., 1996, 6:177−183)。
【0102】
賦形剤:
[00103]キャリアー化合物と対照的に、「薬学的キャリアー」または「賦形剤」は、動物に1以上の核酸を送達するための、薬学的に許容しうる溶媒、懸濁剤または他の薬理学的に不活性なビヒクルいずれかである。賦形剤は、液体または固体であることも可能であり、そして既定の医薬組成物の核酸および他の構成要素と組み合わせた際、望ましい体積(bulk)、コンシステンシーなどを提供するように、計画した方式の投与とともに選択する。典型的な薬学的キャリアーには、限定されるわけではないが、結合剤(例えば、あらかじめゼラチン化したトウモロコシデンプン、ポリビニルピロリドンまたはヒドロキシプロピルメチルセルロースなど);充填剤(例えばラクトースおよび他の糖、微結晶性セルロース、ペクチン、ゼラチン、硫酸カルシウム、エチルセルロース、ポリアクリレート類またはリン酸水素カルシウムなど);滑沢剤(例えばステアリン酸マグネシウム、タルク、シリカ、コロイド性二酸化ケイ素、ステアリン酸、金属性ステアレート類、水素添加植物油類、コーンスターチ、ポリエチレングリコール類、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウムなど);崩壊剤(例えばデンプン、デンプングリコール酸ナトリウムなど);および湿潤剤(例えばラウリル硫酸ナトリウムなど)が含まれる。
【0103】
[00104]核酸と有害に反応しない、非−非経口投与に適した、薬学的に許容しうる有機賦形剤または無機賦形剤を用いて、本発明の組成物を処方することもまた可能である。薬学的に許容しうる適切なキャリアーには、限定されるわけではないが、水、塩溶液、アルコール類、ポリエチレングリコール類、ゼラチン、ラクトース、アミロース、ステアリン酸マグネシウム、タルク、ケイ酸、粘性パラフィン、ヒドロキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドン等が含まれる。
【0104】
[00105]核酸の局所投与のための処方には、無菌および非無菌水性溶液、アルコールなどの一般的な溶媒中の非水性溶液、あるいは液体または固体油基剤中の核酸溶液が含まれることも可能である。溶液はまた、緩衝剤、希釈剤および他の適切な添加剤を含有することも可能である。核酸と有害に反応しない、非−非経口投与に適した、薬学的に許容しうる有機賦形剤または無機賦形剤を用いることも可能である。
【0105】
[00106]適切な薬学的に許容しうる賦形剤には、限定されるわけではないが、水、塩溶液、アルコール、ポリエチレングリコール類、ゼラチン、ラクトース、アミロース、ステアリン酸マグネシウム、タルク、ケイ酸、粘性パラフィン、ヒドロキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドン等が含まれる。
【0106】
他の構成要素
[00107]本発明の組成物は、さらに、医薬組成物に慣用的に見られる他の付属構成要素を、その当該技術分野に確立された使用レベルで、含有することも可能である。したがって、例えば、組成物は、例えば鎮痒剤、収斂剤、局所麻酔剤または抗炎症剤などの、適合し、薬学的に活性があるさらなる成分を含有可能であるし、あるいは、本発明の組成物の多様な投薬型を物理的に処方するのに有用である、さらなる成分、例えば、色素、フレーバー剤、保存剤、酸化防止剤、乳白剤(opacifier)、粘稠化剤および安定化剤などを含有することも可能である。しかし、こうした成分は、添加される際、本発明の組成物の構成要素の生物学的活性を、過度に妨げてはならない。処方物を滅菌し、そして望ましい場合、処方物の核酸(単数または複数)と有害に相互作用しない、補助(auxiliary)剤、例えば滑沢剤、保存剤、安定化剤、湿潤剤、乳化剤、浸透圧に影響を与える塩、緩衝剤、着色料、フレーバー剤および/または芳香物質等と混合することも可能である。
【0107】
[00108]水性懸濁物は、例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ソルビトールおよび/またはデキストランを含む、懸濁物の粘性を増加させる物質を含有することも可能である。懸濁物はまた、安定化剤も含有することも可能である。
【0108】
[00109]本発明の特定の態様は、(a)1以上のアンチセンス化合物および(b)非アンチセンス機構によって機能する、1以上の他の化学療法剤、を含有する医薬組成物を提供する。こうした化学療法剤の例には、限定されるわけではないが、抗癌薬剤、例えばダウノルビシン、ダクチノマイシン、ドキソルビシン、ブレオマイシン、マイトマイシン、ナイトロジェンマスタード、クロラムブシル、メルファラン、シクロホスファミド、6−メルカプトプリン、6−チオグアニン、シタラビン(CA)、5−フルオロウラシル(5−FU)、フロクスウリジン(5−FUdR)、メトトレキセート(MTX)、コルヒチン、ビンクリスチン、ビンブラスチン、エトポシド、テニポシド、シスプラチンおよびジエチルスチルベストロール(DES)が含まれる。一般的には、The Merck Manual of Diagnosis and Therapy, 第15版, Berkowら監修, 1987, ニュージャージー州ラーウェイ, 1206−1228ページを参照されたい。限定されるわけではないが非ステロイド抗炎症薬剤およびコルチコステロイドを含む抗炎症薬剤、並びに限定されるわけではないが、リビビリン、ビダラビン、アシクロビルおよびガンシクロビルを含む抗ウイルス薬剤もまた、本発明の組成物と組み合わせることも可能である。一般的には、それぞれ、The Merck Manual of Diagnosis and Therapy, 第15版, Berkowら監修, 1987, ニュージャージー州ラーウェイ, 2499−2506ページおよび46−49ページを参照されたい。他の非アンチセンス化学療法剤もまた、本発明の範囲内である。2以上の併用化合物を、ともにまたは連続的に用いることも可能である。
【0109】
[00110]別の関連する態様において、本発明の組成物は、第一の核酸を標的とする1以上のアンチセンス化合物、特にオリゴヌクレオチド、および第二の核酸標的を標的とする1以上のさらなるアンチセンス化合物を含有することも可能である。多くのアンチセンス化合物の例が当該技術分野に知られる。2以上の併用化合物を、ともにまたは連続的に用いることも可能である。
【0110】
[00111]療法組成物の処方およびそれに続く投与は、当業者の技術の範囲内であると考えられる。投薬は、治療しようとする疾患状態の重症度および反応性に応じ、治療過程は数日から数ヶ月、あるいは治癒が達成されるまで、または疾患状態の軽減が達成されるまで持続する。最適投薬スケジュールは、患者の体内の薬剤集積の測定値から計算することも可能である。一般の当業者は、容易に最適投薬、投薬方法論および反復率を決定することも可能である。最適投薬は、個々のオリゴヌクレオチドの相対強度に応じて異なる可能性もあり、そして一般的にin vitroおよびin vivo動物モデルで有効であることが見出されたEC50に基づいて、概算することも可能である。一般的に、投薬は体重1kgあたり0.01μg〜100gであり、そして毎日、毎週、毎月または毎年1回以上、あるいは2〜20年ごとに1回、投与することも可能である。一般的な当業者は、体液または組織における、薬剤の測定された滞留時間および濃度に基づく投薬反復率を、容易に概算することも可能である。治療の成功後、患者に疾患状態の再発を防ぐ維持療法を受けさせることが望ましい可能性もあり、ここで、オリゴヌクレオチドは、毎日1回以上から20年ごとに1回、体重1kgあたり0.01μg〜100gの範囲の維持用量で投与される。
【0111】
[00112]本発明は特定のその好ましい態様と一致し、特異性を持って記載されているが、以下の実施例は、本発明を例示するためのみに提供され、そして本発明を限定することを意図しない。
【実施例】
【0112】
実施例
(実施例1)
オリゴヌクレオチド合成のためのヌクレオシドホスホロアミダイト、デオキシおよび2’−アルコキシアミダイト
[00113]2’−デオキシおよび2’−メトキシ・ベータ−シアノエチルジイソプロピルホスホロアミダイトは、商業的供給源(例えばChemgenes、マサチューセッツ州ニーダムまたはGlen Research, Inc.、バージニア州スターリング)から入手可能である。本明細書に援用される米国特許5,506,351に記載されるように、他の2’−O−アルコキシ置換ヌクレオシドアミダイトを調製する。2’−アルコキシアミダイトを用いて合成されるオリゴヌクレオチドに関しては、テトラゾールおよび塩基のパルス送達後の待機工程を360秒に増加した以外は、非修飾オリゴヌクレオチドの標準的周期を利用する。
【0113】
[00114]商業的に入手可能なホスホロアミダイト(Glen Research、バージニア州スターリングまたはChemGenes、マサチューセッツ州ニーダム)を用いて、公表されている方法[Sanghviら, Nucleic Acids Research, 1993, 21, 3197−3203]にしたがって、5−メチル−2’−デオキシシチジン(5−Me−C)ヌクレオチドを含有するオリゴヌクレオチドを合成する。
【0114】
2’−フルオロアミダイト
2’−フルオロデオキシアデノシンアミダイト
[00115]以前記載されたように(本明細書に援用されるKawasakiら, J. Med. Chem., 1993, 36, 831−841および米国特許5,670,633)、2’−フルオロオリゴヌクレオチドを合成する。簡潔には、商業的に入手可能な9−ベータ−D−アラビノフラノシルアデニンを出発成分として利用し、そして文献法を修飾することによって、2’−ベータ−トリチル基のS2置換により2’−アルファ−フルオロ原子を導入して、保護ヌクレオシドN6−ベンゾイル−2’−デオキシ−2’−フルオロアデノシンを合成する。したがって、N6−ベンゾイル−9−ベータ−D−アラビノフラノシルアデニンは、3’,5’−ジテトラヒドロピラニル(THP)中間体として、中程度の収量で、選択的に保護される。THPおよびN6−ベンゾイル基の脱保護は、標準的方法論を用いて達成され、そして標準法を用いて、5’−ジメトキシトリチル−(DMT)および5’−DMT−3’−ホスホロアミダイト中間体を得る。
【0115】
2’−フルオロデオキシグアノシン
[00116]テトライソプロピルジシロキサニル(TPDS)保護された9−ベータ−D−アラビノフラノシルグアニンを出発成分として、そして中間体ジイソブチリルアラビノフラノシルグアノシンへの変換を用いて、2’−デオキシ−2’−フルオログアノシンの合成を達成する。TPDS基の脱保護に続き、ヒドロキシル基をTHPで保護し、ジイソブチリル・ジTHP保護アラビノフラノシルグアニンを得る。選択的O−脱アシル化およびトリフレート化に、フッ化物での未精製産物の処理が続き、その後、THP基の脱保護が続く。標準的方法論を用いて、5’−DMT−および5’−DMT−3’−ホスホロアミダイトを得る。
【0116】
2’−フルオロウリジン
[00117]文献の方法の修飾によって、2’−デオキシ−2’−フルオロウリジンの合成を達成し、ここで2,2’−アンヒドロ−1−ベータ−D−アラビノフラノシルウラシルを70%フッ化水素−ピリジンで処理する。標準法を用いて、5’−DMTおよび5’−DMT−3’ホスホロアミダイトを得る。
【0117】
2’−フルオロデオキシシチジン
[00118]2’−デオキシ−2’−フルオロウリジンのアミン化を介して2’−デオキシ−2’−フルオロシチジンを合成し、それに続いて、選択的保護によってN4−ベンゾイル−2’−デオキシ−2’−フルオロシチジンを得る。標準法を用いて、5’−DMTおよび5’−DMT−3’ホスホロアミダイトを得る。
【0118】
2’−O−(2−メトキシエチル)修飾アミダイト
[00119]以下のように、あるいはMartin, P., Helvetica Chimica Acta, 1995, 78, 486−504の方法にしたがって、2’−O−メトキシエチル置換ヌクレオシドアミダイトを調製する。
【0119】
2,2’−アンヒドロ[1−(ベータ−D−アラビノフラノシル)−5−メチルウリジン]
[00120]5−メチルウリジン(リボシルチミン、ヤマサ、日本・銚子を通じて商業的に入手可能)(72.0g、0.279M)、炭酸ジフェニル(90.0g、0.420M)および重炭酸ナトリウム(2.0g、0.024M)をDMF(300ml)に添加する。混合物を攪拌しながら加熱して還流し、発生する二酸化炭素ガスを、調節された方式で放出させる。1時間後、わずかに黒ずんだ溶液を減圧下で濃縮する。生じたシロップを、攪拌しながらジエチルエーテル(2.5l)に注ぐ。産物は粘性物質(gum)を形成した。エーテルをデカントし、そして残渣を最少量のメタノール(およそ400ml)に溶解する。溶液を新鮮なエーテル(2.5l)に注いで、硬い粘性物質を得る。エーテルをデカントし、そして粘性物質を真空オーブン(60℃、1mmHgで24時間)で乾燥させ、固体を得て、該固体を粉砕して、薄い褐色の粉末にする。該成分をそのまま、さらなる反応に用いる(または酢酸エチル中のメタノールの勾配(10〜25%)を用いたカラムクロマトグラフィーによって、さらに精製して、白色固体を得ることも可能である)。
【0120】
2’−O−メトキシエチル−5−メチルウリジン
[00121]2,2’−アンヒドロ−5−メチルウリジン(195g、0.81M)、トリス(2−メトキシエチル)ボレート(231g、0.98M)および2−メトキシエタノール(1.2l)を、2lのステンレス鋼圧力容器に添加し、そして160℃にあらかじめ加熱した油槽中に入れる。155〜160℃で48時間加熱した後、容器を開き、そして溶液を蒸発乾固し、そしてMeOH(200ml)を加えてすりつぶす(triturate)。残渣を熱いアセトン(1l)に懸濁する。不溶性塩をろ過し、アセトン(150ml)で洗浄し、そしてろ液を蒸発させる。残渣(280g)をCHCN(600ml)に溶解し、そして蒸発させる。シリカゲルカラム(3kg)を、0.5%EtNHを含有するCHCl/アセトン/MeOH(20:5:3)中で充填する。残渣をCHCl(250ml)に溶解し、そしてカラム上に装填する前に、シリカ(150g)上に吸着させる。産物を充填溶媒で溶出して、表題化合物を得る。不純分画を再処理することによって、さらなる成分を得ることも可能である。
【0121】
2’−O−メトキシエチル−5’−O−ジメトキシトリチル−5−メチルウリジン
[00122]2’−O−メトキシエチル−5−メチルウリジン(160g、0.506M)をピリジン(250ml)と共蒸発させ、そして乾燥残渣をピリジン(1.3l)に溶解する。塩化ジメトキシトリチルの第一のアリコット(94.3g、0.278M)を添加し、そして混合物を室温で1時間攪拌する。塩化ジメトキシトリチルの第二のアリコット(94.3g、0.278M)を添加し、そして反応をさらに1時間攪拌する。その後、メタノール(170ml)を添加して、反応を停止する。溶媒を蒸発させて、そしてCHCN(200ml)を加えてすりつぶす。残渣をCHCl(1.5l)に溶解し、そして2x500mlの飽和NaHCOおよび2x500mlの飽和NaClで抽出する。有機相をNaSO上で乾燥させ、ろ過し、そして蒸発させる。0〜5%EtNHを含有するEtOAc/ヘキサン/アセトン(5:5:1)で充填され、そして溶出される、3.5kgのシリカゲルカラム上で、残渣を精製する。純粋分画を蒸発させて、表題産物を得る。
【0122】
3’−O−アセチル−2’−O−メトキシエチル−5’−O−ジメトキシトリチル−5−メチルウリジン
[00123]2’−O−メトキシエチル−5’−O−ジメトキシトリチル−5−メチルウリジン(106g、0.167M)、DMF/ピリジン(562mlのDMFおよび188mlのピリジンから調製した3:1混合物、750ml)および無水酢酸(24.38ml、0.258M)を合わせ、そして室温で24時間攪拌する。最初にTLC試料にMeOHを添加して反応停止することにより、TLCによって反応を監視する。TLCによって判断されるような反応の完了に際して、MeOH(50ml)を添加し、そして混合物を35℃で蒸発させる。残渣をCHCl(800ml)に溶解して、そして2x200mlの飽和重炭酸ナトリウムおよび2x200mlの飽和NaClで抽出する。水層を200mlのCHClで逆抽出する。合わせた有機物を硫酸ナトリウムで乾燥させ、そして蒸発させて、残渣を得る。残渣を3.5kgのシリカゲルカラム上で精製し、そしてEtOAc/ヘキサン(4:1)を用いて溶出する。純粋産物分画を蒸発させて、表題化合物を得る。
【0123】
3’−O−アセチル−2’−O−メトキシエチル−5’−O−ジメトキシトリチル−5−メチル−4−トリアゾールウリジン
[00124]CHCN(700ml)に3’−O−アセチル−2’−O−メトキシエチル−5’−O−ジメトキシトリチル−5−メチルウリジン(96g、0.144M)を溶解することによって、第一の溶液を調製し、そして取り置く。トリエチルアミン(189ml、1.44M)を、CHCN(1l)中のトリアゾール(90g、1.3M)の溶液に添加し、−5℃に冷却し、そしてオーバーヘッド攪拌装置を用いて、0.5時間攪拌する。POClを、30分間に渡り、0〜10℃に維持した攪拌溶液に一滴ずつ添加し、そして生じた混合物をさらに2時間攪拌する。第一の溶液を、45分間に渡って、後者の溶液に一滴ずつ添加する。生じた反応混合物を低温室に一晩保存する。反応混合物から塩をろ過し、そして溶液を蒸発させる。残渣をEtOAc(1l)に溶解し、そして不溶固体をろ過によって除去する。ろ液を、1x300mlのNaHCOおよび2x300mlの飽和NaClで洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、そして蒸発させる。EtOAcを加えて残渣をすりつぶして、表題化合物を得る。
【0124】
2’−O−メトキシエチル−5’−O−ジメトキシトリチル−5−メチルシチジン
[00125]ジオキサン(500ml)およびNHOH(30ml)中の3’−O−アセチル−2’−O−メトキシエチル−5’−O−ジメトキシトリチル−5−メチル−4−トリアゾールウリジン(103g、0.141M)の溶液を室温で2時間攪拌する。ジオキサン溶液を蒸発させ、そして残渣をMeOH(2x200ml)との共沸混合物にする。残渣をMeOH(300ml)に溶解し、そして2リットルのステンレス鋼圧力容器に移す。NHガスで飽和させたMeOH(400ml)を添加し、そして容器を100℃に2時間加熱する(TLCは完全変換を示した)。容器内容物を蒸発乾固させ、そして残渣をEtOAc(500ml)に溶解し、そして飽和NaCl(200ml)で1回洗浄する。有機物を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、そして溶媒を蒸発させて、表題化合物を得る。
【0125】
N4−ベンゾイル−2’−O−メトキシエチル−5’−O−ジメトキシトリチル−5−メチルシチジン
[00126]2’−O−メトキシエチル−5’−O−ジメトキシトリチル−5−メチルシチジン(85g、0.134M)をDMF(800ml)に溶解し、そして攪拌しながら安息香酸無水物(37.2g、0.165M)を添加する。3時間攪拌した後、TLCは反応がおよそ95%完了したことを示した。溶媒を蒸発させ、そして残渣をMeOH(200ml)との共沸混合物にする。残渣をCHCl(700ml)に溶解し、そして飽和NaHCO(2x300ml)および飽和NaCl(2x300ml)で抽出し、MgSO上で乾燥させ、そして蒸発させて、残渣を得る。0〜5%EtNHを含有するEtOAc/ヘキサン(1:1)を溶出溶媒として用いて、1.5kgのシリカカラム上で残渣をクロマトグラフする。純粋産物分画を蒸発させて、表題化合物を得る。
【0126】
N4−ベンゾイル−2’−O−メトキシエチル−5’−O−ジメトキシトリチル−5−メチルシチジン−3’−アミダイト
[00127]N4−ベンゾイル−2’−O−メトキシエチル−5’−O−ジメトキシトリチル−5−メチルシチジン(74g、0.10M)をCHCl(1l)に溶解する。テトラゾールジイソプロピルアミン(7.1g)および2−シアノエトキシ−テトラ(イソプロピル)ホスファイト(40.5ml、0.123M)を、窒素雰囲気下で、攪拌しながら添加する。生じた混合物を室温で20時間攪拌する(TLCは反応が95%完了したことを示した)。反応混合物を飽和NaHCO(1x300ml)および飽和NaCl(3x300ml)で抽出する。水性洗浄液をCHCl(300ml)で逆抽出し、そして抽出物を合わせ、MgSO上で乾燥させ、そして濃縮する。EtOAc/ヘキサン(3:1)を溶出溶媒として用いて、1.5kgのシリカカラム上で、得た残渣をクロマトグラフする。純粋分画を合わせて、表題化合物を得る。
【0127】
2’−O−(アミノオキシエチル)ヌクレオシドアミダイトおよび2’−O−(ジメチルアミノオキシエチル)ヌクレオシドアミダイト
2’−(ジメチルアミノオキシエトキシ)ヌクレオシドアミダイト
[00128]以下の段落に記載するように、2’−(ジメチルアミノオキシエトキシ)ヌクレオシドアミダイト[当該技術分野において、2’−O−(ジメチルアミノオキシエチル)ヌクレオシドアミダイトとしても知られる]を調製する。アデノシンおよびシチジンの場合、環外アミンをベンゾイル部分で保護し、そしてグアノシンの場合、イソブチリルで保護する以外は、アデノシン、シチジンおよびグアノシンヌクレオシドアミダイトをチミジン(5−メチルウリジン)と同様に調製する。
【0128】
5’−O−tert−ブチルジフェニルシリル−O−2’−アンヒドロ−5−メチルウリジン
[00129]O−2’−アンヒドロ−5−メチルウリジン(Pro. Bio. Sint.、イタリア・バレーゼ、100.0g、0.4’6mmol)、ジメチルアミノピリジン(0.66g、0.013当量、0.0054mmol)を、アルゴン雰囲気下で、そして機械的に攪拌しつつ、乾燥ピリジン(500ml)に周囲温度で溶解する。tert−ブチルジフェニルクロロシラン(125.8g、119.0ml、1.1当量、0.458mmol)を一度に加えた。反応を周囲温度で16時間攪拌する。TLC(Rf0.22、酢酸エチル)は完全反応を示した。減圧下で溶液を濃縮して、濃厚な油にする。これをジクロロメタン(1l)および飽和重炭酸ナトリウム(2x1l)および食塩水(1l)の間で分配する。有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、そして減圧下で濃縮して、濃厚な油にする。該油を、酢酸エチルおよびエチルエーテルの1:1混合物(600ml)に溶解し、そして該溶液を−10℃に冷却する。生じた結晶産物をろ過によって収集し、エチルエーテル(3x200ml)で洗浄し、そして乾燥させて(40℃、1mmHg、24時間)、白色固体を得る。
【0129】
5’−O−tert−ブチルジフェニルシリル−2’−O−(2−ヒドロキシエチル)−5−メチルウリジン
[00130]2lのステンレス鋼の非攪拌圧力反応装置に、テトラヒドロフラン中のボラン(1.0M、2.0当量、622ml)を添加する。換気フード中でそして手動で攪拌しながら、エチレングリコール(350ml、過剰量)を、始めは注意深く、水素ガスの発生が収まるまで添加する。5’−O−tert−ブチルジフェニルシリル−O−2’−アンヒドロ−5−メチルウリジン(149g、0.3’1mol)および重炭酸ナトリウム(0.074g、0.003当量)を、手動で攪拌しながら添加する。反応装置を密封し、そして油槽中で、内部温度が160℃に到達するまで加熱し、そしてその後、16時間維持する(圧力<100psig)。反応容器を周囲温度に冷却し、そして開封する。TLC(望ましい産物のRf0.67、およびara−T副産物のRf0.82、酢酸エチル)は、産物の約70%の変換を示した。さらなる副産物形成を回避するため、反応を停止し、エチレングリコールを除去するため、より厳しい条件を用いて、減圧(10〜1mmHg)下、温水槽(40〜100℃)中で濃縮する。[あるいは低沸点溶媒がなくなったら、残った溶液を酢酸エチルおよび水の間で分配することも可能である。産物は有機相にあるであろう。]カラムクロマトグラフィー(2kgシリカゲル、酢酸エチル−ヘキサン勾配1:1〜4:1)によって残渣を精製する。適切な分画を合わせ、ストリッピングしそして乾燥させて、白色の堅い泡として産物を得るが、これには出発成分、および純粋な再利用可能な出発成分が混入している。
【0130】
2’−O−[(2−フタルイミドオキシ)エチル]−5’−t−ブチルジフェニルシリル−5−メチルウリジン
[00131]5’−O−tert−ブチルジフェニルシリル−2’−O−(2−ヒドロキシエチル)−5−メチルウリジン(20g、36.98mmol)をトリフェニルホスフィン(11.63g、44.36mmol)およびN−ヒドロキシフタルイミド(7.24g、44.36mmol)と混合する。その後、高真空下、P上で、40℃で2日間乾燥させる。反応混合物にアルゴンを勢いよく流し(flush)、そして乾燥THF(369.8ml、Aldrich、sure seal bottle)を添加し、透明な溶液を得る。ジエチル−アゾジカルボキシレート(6.98ml、44.36mmol)を反応混合物に一滴ずつ添加する。添加速度は、生じる真紅色が、次の滴を添加する直前に消失するように維持する。添加完了後、反応を4時間攪拌する。その時点までに、TLCは反応完了を示した(酢酸エチル:ヘキサン、60:40)。溶媒を真空中で蒸発させる。得た残渣をフラッシュカラムに入れ、そして酢酸エチル:ヘキサン(60:40)で溶出して、白色泡として2’−O−[(2−フタルイミドオキシ)エチル]−5’−t−ブチルジフェニルシリル−5−メチルウリジンを得る。
【0131】
5’−O−tert−ブチルジフェニルシリル−2’−O−[(2−ホルマドクスイミノオキシ)エチル]−5−メチルウリジン
[00132]2’−O−[(2−フタルイミドオキシ)エチル]−5’−t−ブチルジフェニルシリル−5−メチルウリジン(3.1g、4.5mmol)を乾燥CHCl(4.5ml)に溶解し、そしてメチルヒドラジン(300ml、4.64mmol)を−10℃〜0℃で、一滴ずつ添加する。1時間後、混合物をろ過し、ろ液を氷冷CHClで洗浄し、そして合わせた有機相を水、食塩水で洗浄し、そして無水NaSO上で乾燥させる。溶液を濃縮し、2’−O(アミノオキシエチル)チミジンを得て、その後これをMeOH(67.5ml)に溶解する。これにホルムアルデヒド(20%水性溶液、w/w、1.1当量)を添加し、そして生じた混合物を1時間攪拌する。溶媒を真空下で除去し;残渣をクロマトグラフして、白色泡として5’−O−tert−ブチルジフェニルシリル−2’−O−[(2−ホルマドクスイミノオキシ)エチル]−5−メチルウリジンを得る。
【0132】
5’−O−tert−ブチルジフェニルシリル−2’−O−[N,N−ジメチルアミノオキシエチル]−5−メチルウリジン
[00133]5’−O−tert−ブチルジフェニルシリル−2’−O−[(2−ホルマドクスイミノオキシ)エチル]−5−メチルウリジン(1.77g、3.12mmol)を、乾燥MeOH(30.6ml)中の1Mピリジニウムp−トルエンスルホネート(PPTS)の溶液に溶解する。この溶液に、不活性雰囲気下、10℃で、シアノホウ水素化ナトリウム(0.39g、6.13mmol)を添加する。反応混合物を10℃で10分間攪拌する。その後、反応容器を氷槽から除き、そして室温で2時間攪拌し、反応をTLC(CHCl中の5%MeOH)で監視する。水性NaHCO溶液(5%、10ml)を添加し、そして酢酸エチル(2x20ml)で抽出する。酢酸エチル相を、無水NaSO上で乾燥させ、蒸発乾固する。残渣を、MeOH中の1M PPTSの溶液(30.6ml)に溶解する。ホルムアルデヒド(20%w/w、30ml、3.37mmol)を添加し、そして反応混合物を室温で10分間攪拌する。反応混合物を氷槽で10℃に冷却し、シアノボロ水素化ナトリウム(0.39g、6.13mmol)を添加し、そして反応混合物を10℃で10分間攪拌する。10分後、反応混合物を氷槽から除き、そして室温で2時間攪拌する。反応混合物に5%NaHCO(25ml)溶液を添加し、そして酢酸エチル(2x25ml)で抽出する。酢酸エチル層を無水NaSO上で乾燥させ、そして蒸発乾固する。得た残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィーによって精製し、そしてCHCl中の5%MeOHで溶出して、白色泡として5’−O−tert−ブチルジフェニルシリル−2’−O−[N,N−ジメチルアミノオキシエチル]−5−メチルウリジンを得る。
【0133】
2’−O−(ジメチルアミノオキシエチル)−5−メチルウリジン
[00134]トリエチルアミントリヒドロフルオリド(3.91ml、24.0mmol)を乾燥THFおよびトリエチルアミン(1.67ml、12mmol、乾燥、KOH上で維持)に溶解する。その後、トリエチルアミン−2HFのこの混合物を、5’−O−tert−ブチルジフェニルシリル−2’−O−[N,N−ジメチルアミノオキシエチル]−5−メチルウリジン(1.40g、2.4mmol)に添加し、そして室温で24時間攪拌する。反応をTLC(CHCl中の5%MeOH)で監視する。溶媒を真空下で除去し、そして残渣をフラッシュカラムに入れ、そしてCHCl中の10%MeOHで溶出して、2’−O−(ジメチルアミノオキシエチル)−5−メチルウリジンを得る。
【0134】
5’−O−DMT−2’−O−(ジメチルアミノオキシエチル)−5−メチルウリジン
[00135]2’−O−(ジメチルアミノオキシエチル)−5−メチルウリジン(750mg、2.17mmol)を高真空下、P上で、40℃で一晩乾燥させる。その後、無水ピリジン(20ml)と共蒸発させる。得た残渣を、アルゴン雰囲気下で、ピリジン(11ml)に溶解する。4−ジメチルアミノピリジン(26.5mg、2.60mmol)、4,4’−ジメトキシトリチルクロリド(880mg、2.60mmol)を混合物に添加し、そして出発成分がすべて消失するまで、反応混合物を室温で攪拌する。真空下でピリジンを除去し、そして残渣をクロマトグラフし、そしてCHCl中の10%MeOH(数滴のピリジンを含有する)で溶出して、5’−O−DMT−2’−O(ジメチルアミノ−オキシエチル)−5−メチルウリジンを得る。
【0135】
5’−O−DMT−2’−O−(2−N,N−ジメチルアミノオキシエチル)−5−メチルウリジン−3’−[(2−シアノエチル)−N,N−ジイソプロピルホスホロアミダイト]
[00136]5’−O−DMT−2’−O−(ジメチルアミノオキシエチル)−5−メチルウリジン(1.08g、1.67mmol)をトルエン(20ml)と共蒸発させる。残渣にN,N−ジイソプロピルアミンテトラゾニド(0.29g、1.67mmol)を添加し、そして高真空下で、40℃で一晩、PO上で乾燥させる。その後、反応混合物を無水アセトニトリル(8.4ml)に溶解し、そして2−シアノエチル−N,N,N,N−テトライソプロピルホスホロアミダイト(2.12ml、6.08mmol)を添加する。反応混合物を、不活性雰囲気下で、周囲温度で4時間攪拌する。反応進行をTLC(ヘキサン:酢酸エチル1:1)によって監視する。溶媒を蒸発させ、その後、残渣を酢酸エチル(70ml)に溶解し、そして5%水性NaHCO(40ml)で洗浄する。酢酸エチル層を無水NaSO上で乾燥させ、そして濃縮する。得た残渣をクロマトグラフして(溶出剤は酢酸エチル)、泡として5’−O−DMT−2’−O−(2−N,N−ジメチルアミノオキシエチル)−5−メチルウリジン−3’−[(2−シアノエチル)−N,N−ジイソプロピルホスホロアミダイト]を得る。
【0136】
2’−(アミノオキシエトキシ)ヌクレオシドアミダイト
[00137]以下の段落に記載するように、2’−(アミノオキシエトキシ)ヌクレオシドアミダイト[当該技術分野において、2’−O−(アミノオキシエチル)ヌクレオシドアミダイトとしても知られる]を調製する。アデノシン、シチジンおよびチミジンヌクレオシドアミダイトを同様に調製する。
【0137】
N2−イソブチリル−6−O−ジフェニルカルバモイル−2’−O−(2−エチルアセチル)−5’−O−(4,4’−ジメトキシトリチル)グアノシン−3’−[(2−シアノエチル)−N,N−ジイソプロピルホスホロアミダイト]
[00138]ジアミノプリンリボシドの選択的2’−O−アルキル化によって、2’−O−アミノオキシエチルグアノシン類似体を得ることも可能である。Schering AG(ベルリン)から、ジアミノプリンリボシドをマルチグラム量で購入して、少量の3’−O−異性体を含む2’−O−(2−エチルアセチル)ジアミノプリンリボシドを提供することも可能である。2’−O−(2−エチルアセチル)ジアミノプリンリボシドを溶解し、そしてアデノシンデアミナーゼでの処理によって、2’−O−(2−エチルアセチル)グアノシンに変換することも可能である(McGee, D.P.C., Cook, P.D., Guinosso, C.J., WO 94/02501 A1 940203)。標準的保護法は、2’−O−(2−エチルアセチル)−5’−O−(4,4’−ジメトキシトリチル)グアノシンおよび2−N−イソブチリル−6−O−ジフェニルカルバモイル−2’−O−(2−エチルアセチル)−5’−O−(4,4’−ジメトキシトリチル)グアノシンを生じるはずであり、これを還元して、2−N−イソブチリル−6−O−ジフェニルカルバモイル−2’−O−(2−エチルアセチル)−5’−O−(4,4’−ジメトキシトリチル)グアノシンを提供することも可能である。先のように、Mitsunobu反応を介して、ヒドロキシル基をN−ヒドロキシフタルイミドで置き換えることも可能であり、そして保護ヌクレオシドを、通常のようにホスフィチル化して、2−N−イソブチリル−6−O−ジフェニルカルバモイル−2’−O−(2−エチルアセチル)−5’−O−(4,4’−ジメトキシトリチル)グアノシン−3’−[(2−シアノエチル)−N,N−ジイソプロピルホスホロアミダイト]を得ることも可能である。
【0138】
2’−ジメチルアミノエトキシエトキシ(2’−DMAEOE)ヌクレオシドアミダイト
[00139]2’−ジメチルアミノエトキシエトキシヌクレオシドアミダイト(当該技術分野において、2’−O−ジメチルアミノエトキシエチル、すなわち2’−O−CH−O−CH−N(CH、または2’−DMAEOEヌクレオシドアミダイトとしても知られる)を以下のように調製する。他のヌクレオシドアミダイトを同様に調製する。
【0139】
2’−O−[2−(2−N,N−ジメチルアミノエトキシ)エチル]−5−メチルウリジン
[00140]100mlボンベ(bomb)中、攪拌しながら、2[2−(ジメチルアミノ)エトキシ]エタノール(Aldrich、6.66g、50mmol)をテトラヒドロフラン中のボラン溶液(1M、10ml、10mmol)にゆっくりと添加する。固体が溶解するに連れて、水素ガスが発生する。O−、2’−アンヒドロ−5−メチルウリジン(1.2g、5mmol)、および重炭酸ナトリウム(2.5mg)を添加し、そしてボンベを密封し、油槽に入れ、そして155℃に26時間加熱する。ボンベを室温に冷却し、そして開封する。未精製溶液を濃縮し、そして残渣を水(200ml)およびヘキサン(200ml)の間で分配する。過剰なフェノールをヘキサン層に抽出する。水性層を酢酸エチル(3x200ml)で抽出し、そして合わせた有機層を水で1回洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、そして濃縮する。溶出剤としてメタノール/塩化メチレン1:20(2%トリエチルアミンを有する)を用いて、残渣をシリカゲル上でカラム処理する。カラム分画が濃縮されるに連れて、無色の固体が形成され、これを収集して、白色固体として表題化合物を得る。
【0140】
5’−O−ジメトキシトリチル−2’−O−[2(2−N,N−ジメチルアミノエトキシ)エチル]−5−メチルウリジン
[00141]無水ピリジン(8ml)中の2’−O−[2(2−N,N−ジメチルアミノエトキシ)エチル]−5−メチルウリジン0.5g(1.3mmol)に、トリエチルアミン(0.36ml)および塩化ジメトキシトリチル(DMT−Cl、0.87g、2当量)を添加し、そして1時間攪拌する。反応混合物を水(200ml)に注ぎ入れ、そしてCHCl(2x200ml)で抽出する。合わせたCHCl層を飽和NaHCO溶液で洗浄し、その後、飽和NaCl溶液で洗浄し、そして無水硫酸ナトリウム上で乾燥させる。溶媒を蒸発させた後、MeOH:CHCl:EtN(20:1、v/v、1%トリエチルアミンを含む)を用いてシリカゲルクロマトグラフィーを行って、表題化合物を得る。
【0141】
5’−O−ジメトキシトリチル−2’−O−[2(2−N,N−ジメチルアミノエトキシ)エチル]−5−メチルウリジン−3’−O−(シアノエチル−N,N−ジイソプロピル)ホスホロアミダイト
[00142]アルゴン雰囲気下で、CHCl(20ml)中に溶解した5’−O−ジメトキシトリチル−2’−O−[2(2−N,N−ジメチルアミノエトキシ)エチル]−5−メチルウリジン(2.17g、3mmol)の溶液に、ジイソプロピルアミノテトラゾリド(0.6g)および2−シアノエトキシN,N−ジイソプロピルホスホロアミダイト(1.1ml、2当量)を添加する。反応混合物を一晩攪拌し、そして溶媒を蒸発させる。溶出剤として酢酸エチルを用いたシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィーによって、生じた残渣を精製して、表題化合物を得る。
【0142】
(実施例2)
オリゴヌクレオチド合成
[00143]ヨウ素による酸化を伴う標準的ホスホロアミダイト化学反応を用いて、自動化DNA合成装置(Applied Biosystems モデル380B)上で、非置換および置換ホスホジエステル(P=O)オリゴヌクレオチドを合成する。
【0143】
[00144]ホスファイト連結の段階的チオ化(thiation)のため、標準的酸化ビンを、アセトニトリル中の3H−1,2−ベンゾジチオール−3−オン1,1−ジオキシドの0.2M溶液と交換した以外、ホスホジエステルオリゴヌクレオチドと同様に、ホスホロチオエート(P=S)を合成する。チオ化待機工程を68秒に増やし、そして続いてキャッピング工程を行う。CPGカラムからの切断および55℃での濃水酸化アンモニウム中の脱ブロッキング(18時間)後、0.5M NaCl溶液から2.5体積のエタノールで2回沈殿させることによって、オリゴヌクレオチドを精製する。本明細書に援用される米国特許5,508,270に記載されるように,ホスフィネートオリゴヌクレオチドを調製する。
【0144】
[00145]本明細書に援用される米国特許4,469,863に記載されるように、アルキルホスホネートオリゴヌクレオチドを調製する。
[00146]本明細書に援用される米国特許5,610,289または5,625,050に記載されるように、3’−デオキシ−3’−メチレンホスホネートオリゴヌクレオチドを調製する。
【0145】
[00147]本明細書に援用される米国特許5,256,775または米国特許5,366,878に記載されるように,ホスホロアミダイトオリゴヌクレオチドを調製する。
【0146】
[00148]本明細書に援用されるWO 94/17093およびWO 94/02499に記載されるように、アルキルホスホノチオエートオリゴヌクレオチドを調製する。
【0147】
[00149]本明細書に援用される米国特許5,476,925に記載されるように、3’−デオキシ−3’−アミノホスホロアミデートオリゴヌクレオチドを調製する。
[00150]本明細書に援用される米国特許5,023,243に記載されるように、ホスホトリエステルオリゴヌクレオチドを調製する。
【0148】
[00151]どちらも本明細書に援用される米国特許5,130,302および5,177,198に記載されるように,ボラノホスフェートオリゴヌクレオチドを調製する。
【0149】
(実施例3)
オリゴヌクレオシド合成
[00152]メチレンメチルイミノ連結オリゴヌクレオシドは、MMI連結オリゴヌクレオシド、メチレンジメチルヒドラゾ連結オリゴヌクレオシドとも同定され、またMDH連結オリゴヌクレオシド、およびメチレンカルボニルアミノ連結オリゴヌクレオシドとも同定され、またアミド−3連結オリゴヌクレオシド、およびメチレンアミノカルボニル連結オリゴヌクレオシドとも同定され、またアミド−4連結オリゴヌクレオシドとも同定されるが、該オリゴヌクレオシドとともに、例えば交互にMMI連結およびP=O連結またはP=S連結を有する混合主鎖化合物を、すべて本明細書に援用される、米国特許5,378,825;5,386,023;5,489,677;5,602,240;および5,610,289に記載されるように調製する。
【0150】
[00153]本明細書に援用される米国特許5,264,562および5,264,564に記載されるように,ホルムアセタールおよびチオホルムアセタール連結オリゴヌクレオシドを調製する。
【0151】
[00154]本明細書に援用される米国特許5,223,618に記載されるように、エチレンオキシド連結オリゴヌクレオシドを調製する。
(実施例4)
PNA合成
[00155]Peptide Nucleic Acids(PNA):Synthesis, Properties and Potential Applications, Bioorganic & Medicinal Chemistry, 1996, 4, 523に引用される多様な方法のいずれかにしたがって、ペプチド核酸(PNA)を調製する。また、本明細書に援用される、米国特許5,539,082;5,700,922;および5,719,262にしたがって、これらを調製することも可能である。
【0152】
(実施例5)
キメラオリゴヌクレオチドの合成
[00156]本発明のキメラオリゴヌクレオチド、オリゴヌクレオシドまたは混合オリゴヌクレオチド/オリゴヌクレオシドは、いくつかの異なるタイプのものであることも可能である。これらには、連結しているヌクレオシドの「ギャップ」セグメントが、連結しているヌクレオシドの5’および3’「ウィング」セグメントの間に配置される第一のタイプ、並びに「ギャップ」セグメントがオリゴマー化合物の3’末端または5’末端のいずれかに位置する第二の「オープン端」タイプが含まれる。第一のタイプのオリゴヌクレオチドはまた、当該技術分野に「ギャップマー」またはギャップ化オリゴヌクレオチドとしても知られる。第二のタイプのオリゴヌクレオチドはまた、当該技術分野に「ヘミマー(hemimer)」または「ウィングマー」としても知られる。
【0153】
[2’−O−Me]−−[2’−デオキシ]−−[2’−O−Me]キメラホスホロチオエートオリゴヌクレオチド
[00157]上述のように、Applied Biosystems自動化DNA合成装置、モデル380Bを用いて,2’−O−アルキルホスホロチオエートおよび2’−デオキシホスホロチオエートオリゴヌクレオチド・セグメントを有するキメラオリゴヌクレオチドを合成する。自動化合成装置、並びにDNA部分のための2’−デオキシ−5’−ジメトキシトリチル−3’−O−ホスホロアミダイト、並びに5’および3’ウィングのための5’−ジメトキシトリチル−2’−O−メチル−3’−O−ホスホロアミダイトを用いて、オリゴヌクレオチドを合成する。テトラゾールおよび塩基の送達後の待機工程を、RNAでは600秒を反復4回、そして2’−O−メチルでは2回に増やすことによって、標準的合成周期を修飾する。完全に保護されたオリゴヌクレオチドを支持体から切断し、そしてリン酸基を、3:1のアンモニア/エタノール中、室温で一晩、脱保護し、その後、凍結乾燥する。その後、すべての塩基を脱保護するため、メタノール性アンモニア中、室温で24時間処理し、そして試料を再び凍結乾燥する。THF中の1M TBAFに、室温で24時間、ペレットを再懸濁し、2’位を脱保護する。その後、1M TEAAで反応を停止し、そしてその後、G25サイズ排除カラム上で脱塩する前に、rotovacによって、試料を1/2体積に減らす。その後、回収したオリゴを、収量および純度に関して分光測定的に、キャピラリー電気泳動によって、そして質量分析によって、解析する。
【0154】
[2’−O−(2−メトキシエチル)]−−[2’−デオキシ]−−[2’−O−(メトキシエチル)]キメラホスホロチオエートオリゴヌクレオチド
[00158]2’−O−メチルアミダイトの代わりに2’−O−(メトキシエチル)アミダイトを用いて調製するホスホロチオエートオリゴヌクレオチドの置換を伴って、2’−O−メチルキメラオリゴヌクレオチドに関する上記の方法にしたがって、[2’−O−(2−メトキシエチル)]−−[2’−デオキシ]−−[−2’−O−(メトキシエチル)]キメラホスホロチオエートオリゴヌクレオチドを調製する。
【0155】
[2’−O−(2−メトキシエチル)ホスホジエステル]−−[2’−デオキシホスホロチオエート]−−[2’−O−(2−メトキシエチル)ホスホジエステル]キメラオリゴヌクレオチド
[00159]2’−O−メチルアミダイトの代わりに2’−O−(メトキシエチル)アミダイトを用い、ヨウ素で酸化して、キメラ構造のウィング部分内にホスホジエステルヌクレオチド間連結を生成し、そして3,H−1,2−ベンゾジチオール−3−オン1,1−ジオキシド(Beaucage Reagent)を利用して硫化して、中央ギャップにホスホロチオエートヌクレオチド間連結を生成することを伴い、2’−O−メチルキメラオリゴヌクレオチドに関する上述の方法にしたがって、[2’−O−(2−メトキシエチル・ホスホジエステル]−−[2’−デオキシホスホロチオエート]−−[2’−O−(メトキシエチル)ホスホジエステル]キメラオリゴヌクレオチドを調製する。
【0156】
[00160]本明細書に援用される米国特許5,623,065にしたがって、他のキメラオリゴヌクレオチド、キメラオリゴヌクレオシドおよび混合キメラオリゴヌクレオチド/オリゴヌクレオシドを合成する。
【0157】
(実施例6)
オリゴヌクレオチド単離
[00161]調節孔ガラスカラム(Applied Biosystems)から切断し、そして濃水酸化アンモニウム中、55℃、18時間、脱ブロッキングした後、2.5体積のエタノールを用い、0.5M NaClからの2回の沈殿によって、オリゴヌクレオチドまたはオリゴヌクレオシドを精製する。合成したオリゴヌクレオチドを、変性ゲル上のポリアクリルアミドゲル電気泳動によって解析し、そして全長成分が少なくとも85%であると判断する。合成で得られるホスホロチオエート連結およびホスホジエステル連結の相対量を、”P核磁気共鳴分光によって定期的に確認し、そしていくつかの研究では、Chiangら, J. Biol. Chem. 1991, 266, 18162−18171に記載されるように、オリゴヌクレオチドをHPLCによって精製する。
【0158】
(実施例7)
オリゴヌクレオチド合成−96ウェルプレート形式
[00162]標準的96ウェル形式で、同時に96の配列を組み立てることが可能な自動化合成装置上で、固相P(III)ホスホロアミダイト化学反応を介して、オリゴヌクレオチドを合成する。水性ヨウ素での酸化によって、ホスホジエステルヌクレオチド間連結を得る。無水アセトニトリル中の3,H−1,2ベンゾジチオール−3−オン1,1−ジオキシド(Beaucage Reagent)を利用した硫化によって、ホスホロチオエートヌクレオチド間連結を生成する。標準的塩基保護ベータ−シアノエチルジイソプロピルホスホロアミダイトを、商業的業者(例えばPE−Applied Biosystems、カリフォルニア州フォスターシティー、またはPharmacia、ニュージャージー州ピスカタウェイ)から購入することも可能である。既知の文献または特許の方法にしたがって、非標準的ヌクレオシドを合成する。これらを、塩基保護ベータ・シアノエチルジイソプロピル・ホスホロアミダイトとして利用する。
【0159】
[00163]オリゴヌクレオチドを支持体から切断し、そして濃NHOHを用いて上昇させた温度(55〜60℃)で12〜16時間、脱保護し、そしてその後、遊離した産物を真空で乾燥させる。その後、乾燥産物を無菌水に再懸濁し、マスタープレートを得て、ここからその後、ロボットピペッターを利用し、すべての解析および試験プレート試料を希釈する。
【0160】
(実施例8)
オリゴヌクレオチド解析−96ウェルプレート形式
[00164]各ウェル中のオリゴヌクレオチド濃度を、試料の希釈およびUV吸収分光によって評価する。96ウェル形式(Beckman P/ACETM MDQ)で、または個々に調製された試料に関しては商業的CE装置(例えばBeckman P/ACETM 5000、ABI270)上で、キャピラリー電気泳動(CE)によって、個々の産物の全長完全性(integrity)を評価する。エレクトロスプレー質量分析を利用した化合物の質量解析によって、塩基および主鎖組成を確認する。単一および多チャンネルロボットピペッターを用いて、すべてのアッセイ試験プレートをマスタープレートから希釈する。プレート上の少なくとも85%の化合物が少なくとも85%全長である場合、プレートは許容しうると判断する。
【0161】
(実施例9)
細胞培養およびオリゴヌクレオチド処理
[00165]標的核酸が測定可能なレベルで存在する限り、アンチセンス化合物の標的核酸発現に対する効果を、いかなる多様な細胞種において試験することも可能である。例えばPCRまたはノーザンブロット解析を用いて、これを日常的に測定することも可能である。以下の6つの細胞種は、例示目的のため提供されるが、選択した細胞種において標的が発現される限り、他の細胞種を日常的に用いることも可能である。当該技術分野において日常的な方法、例えばノーザンブロット解析、リボヌクレアーゼ保護アッセイ、またはRT−PCRによってこれを日常的に測定することも可能である。
【0162】
T−24細胞:
[00166]アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(ATCC)(バージニア州マナサス)から、ヒト移行上皮膀胱癌細胞株T−24を得る。10%ウシ胎児血清(Gibco/Life Technologies、メリーランド州ガイザーズバーグ)、ペニシリン100単位/ml、およびストレプトマイシン100マイクログラム/ml(Gibco/Life Technologies、メリーランド州ガイザーズバーグ)を補った、完全McCoyの5A基本培地(Gibco/Life Technologies、メリーランド州ガイザーズバーグ)中で、T−24細胞を日常的に培養する。細胞が90%集密に達したとき、トリプシン処理および希釈によって、細胞を日常的に継代する。RT−PCR解析に使用するには、細胞を、96ウェルプレート(Falcon−Primaria #3872)に7000細胞/ウェルの密度で蒔く。
【0163】
[00167]ノーザンブロッティングまたは他の解析には、細胞を100mmまたは他の標準的な組織培養プレートに蒔き、そして適切な体積の培地およびオリゴヌクレオチドを用いて、同様に処理することも可能である。
【0164】
A549細胞:
[00168]アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(ATCC)(バージニア州マナサス)から、ヒト肺癌細胞株A549を得ることも可能である。10%ウシ胎児血清(Gibco/Life Technologies、メリーランド州ガイザーズバーグ)、ペニシリン100単位/ml、およびストレプトマイシン100マイクログラム/ml(Gibco/Life Technologies、メリーランド州ガイザーズバーグ)を補った、DMEM基本培地(Gibco/Life Technologies、メリーランド州ガイザーズバーグ)中で、A549細胞を日常的に培養する。細胞が90%集密に達したとき、トリプシン処理および希釈によって、細胞を日常的に継代する。
【0165】
NHDF細胞:
[00169]Clonetics Corporation(メリーランド州ウォーカーズビル)から、ヒト新生皮膚線維芽細胞(NHDF)を得ることも可能である。供給者によって推奨されるように補った、線維芽細胞増殖培地(Clonetics Corporation、メリーランド州ウォーカーズビル)中で、NHDFを日常的に維持する。供給者により推奨されるように、細胞を10継代まで維持する。
【0166】
HEK細胞:
[00170]Clonetics Corporation(メリーランド州ウォーカーズビル)から、ヒト胚性角化細胞(HEK)を得ることも可能である。供給者によって推奨されるように配合された、角化細胞増殖培地(Clonetics Corporation、メリーランド州ウォーカーズビル)中で、HEKを日常的に維持する。供給者によって推奨されるように、細胞を10継代まで日常的に維持する。
【0167】
MCF−7細胞:
[00171]アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(バージニア州マナサス)から、ヒト乳癌細胞株MCF−7を得る。10%ウシ胎児血清(Gibco/Life Technologies、メリーランド州ガイザーズバーグ)を補った、DMEM低グルコース(Gibco/Life Technologies、メリーランド州ガイザーズバーグ)中で、MCF−7細胞を日常的に培養する。細胞が90%集密に達したとき、トリプシン処理および希釈によって、細胞を日常的に継代する。RT−PCR解析に使用するには、細胞を、96ウェルプレート(Falcon−Primaria #3872)に7000細胞/ウェルの密度で蒔く。
【0168】
[00172]ノーザンブロッティングまたは他の解析には、細胞を100mmまたは他の標準的な組織培養プレートに蒔き、そして適切な体積の培地およびオリゴヌクレオチドを用いて、同様に処理することも可能である。
【0169】
LA4細胞:
[00173]アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(バージニア州マナサス)から、マウス肺上皮細胞株LA4を得る。15%ウシ胎児血清(Gibco/Life Technologies、メリーランド州ガイザーズバーグ)を補った、F12K培地(Gibco/Life Technologies、メリーランド州ガイザーズバーグ)中で、LA4細胞を日常的に培養する。細胞が90%集密に達したとき、トリプシン処理および希釈によって、細胞を日常的に継代する。RT−PCR解析に使用するには、細胞を、96ウェルプレート(Falcon−Primaria #3872)に3000〜6000細胞/ウェルの密度で蒔く。
【0170】
[00174]ノーザンブロッティングまたは他の解析には、細胞を100mmまたは他の標準的な組織培養プレートに蒔き、そして適切な体積の培地およびオリゴヌクレオチドを用いて、同様に処理することも可能である。
【0171】
アンチセンス化合物での処理:
[00175]細胞が80%集密に達したとき、細胞をオリゴヌクレオチドで処理する。96ウェルプレートで増殖させた細胞に関しては、ウェルを200μlのOPTI−MEMtm−1血清減少培地(Gibco BRL)で1回洗浄し、そしてその後、3.75μg/mlのLIPOFECTINTM(Gibco BRL)および望ましい濃度のオリゴヌクレオチドを含有する、130μlのOPTI−MEMTM−1で処理する。処理4〜7時間後、培地を新鮮な培地と交換する。オリゴヌクレオチド処理16〜24時間後に細胞を採取する。
【0172】
[00176]用いるオリゴヌクレオチドの濃度は、細胞株間で多様である。特定の細胞株に関して最適のオリゴヌクレオチド濃度を決定するため、細胞をある範囲の陽性対照オリゴヌクレオチドで処理する。
【0173】
(実施例10)
FXR発現のオリゴヌクレオチド阻害の解析
[00177]FXR発現のアンチセンス調節を、当該技術分野に知られる多様な方法でアッセイすることも可能である。例えばFXR mRNAレベルを、ノーザンブロット解析、競合的ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、またはリアルタイムPCR(RT−PCR)によって、定量化することも可能である。リアルタイム定量的PCRが現在好ましい。総細胞RNAまたはポリ(A)+ mRNAに対して、RNA解析を行うことも可能である。RNA単離の方法は、例えばAusubel, F.M.ら, Current Protocols in Molecular Biology, 第1巻, pp.4.1.1−4.2.9および4.5.1−4.5.3, John Wiley & Sons, Inc., 1993に解説される。ノーザンブロット解析は、当該技術分野で日常的であり、そして例えばAusubel, F.M.ら, Current Protocols in Molecular Biology, 第1巻, pp.4.2.1−4.2.9, John Wiley & Sons, Inc., 1996に解説される。PE−Applied Biosystems、カリフォルニア州フォスターシティーから入手可能であり、そして製造者の指示にしたがって用いられる、商業的に入手可能なABI PRISMTM 7700配列検出システムを用いて、リアルタイム定量的PCRを好適に達成することも可能である。定量的PCR解析の前に、測定しようとする標的遺伝子に特異的なプライマー−プローブセットを、GAPDH増幅反応と「多重化する」能力に関して評価する。多重化すると、単一試料中で、標的遺伝子および内部標準遺伝子GAPDHの両方が同時に増幅される。この解析では、未処理細胞から単離されたmRNAを段階希釈する。GAPDHのみ、標的遺伝子のみ(「単一化(single−plexing)」)、または両方(多重化)に特異的なプライマー−プローブセットの存在下で、各希釈を増幅する。PCR増幅後、希釈の関数としてのGAPDHシグナルおよび標的mRNAシグナルの標準曲線を、単一化試料および多重化試料両方から生成する。多重化試料から生成したGAPDHシグナルおよび標的シグナルの傾斜および相関係数両方が、単一化試料から生成した対応する値の10%以内に属するならば、その標的に特異的なプライマー−プローブセットは、多重化可能と見なされる。PCRの他の方法もまた、当該技術分野に知られる。
【0174】
[00178]当該技術分野に周知の多様な方法、例えば免疫沈降、ウェスタンブロット解析(イムノブロッティング)、ELISAまたは蛍光活性化細胞分取(FACS)で、FXRタンパク質レベルを定量化することも可能である。FXRに対して向けられる抗体を、多様な供給源、例えばMSRS抗体カタログ(Aerie Corporation、ミシガン州バーミンガム)から同定し、そして得ることも可能であるし、または慣用的な抗体生成法を介して調製することも可能である。ポリクローナル抗血清を調製するための方法は、例えばAusubel, F.M.ら, Current Protocols in Molecular Biology, 第2巻, pp.11.12.1−11.12.9, John Wiley & Sons, Inc., 1997に解説される。モノクローナル抗体の調製は、例えばAusubel, F.M.ら, Current Protocols in Molecular Biology, 第2巻, pp.11.4.1−11.11.5, John Wiley & Sons, Inc., 1997に解説される。
【0175】
[00179]免疫沈降法は、当該技術分野で標準的であり、そして例えばAusubel, F.M.ら, Current Protocols in Molecular Biology, 第2巻, pp.10.16.110.16.11, John Wiley & Sons, Inc., 1998に見出されうる。ウェスタンブロット(イムノブロット)解析は、当該技術分野で標準的であり、そして例えばAusubel, F.M.ら, Current Protocols in Molecular Biology, 第2巻, pp.10.8.1−10.8.21, John Wiley & Sons, Inc., 1997に見出されうる。酵素連結免疫吸着アッセイ(ELISA)は、当該技術分野で標準的であり、そして例えばAusubel, F.M.ら, Current Protocols in Molecular Biology, 第2巻, pp.11.2.1−11.2.22, John Wiley & Sons, Inc., 1991に見出されうる。
【0176】
(実施例11)
ポリ(A)+ mRNA単離
[00180]Miuraら, Clin. Chem., 1996, 42, 1758−1764にしたがって、ポリ(A)+ mRNAを単離する。ポリ(A)+ mRNA単離のための他の方法は、例えばAusubel, F.M.ら, Current Protocols in Molecular Biology, 第1巻, pp.4.5.1−4.5.3, John Wiley & Sons, Inc., 1993に解説される。簡潔には、96ウェルプレート上で増殖させた細胞に関しては、増殖培地を細胞から除去し、そして各ウェルを200μlの冷PBSで洗浄する。60μlの溶解緩衝液(10mM Tris−HCl、pH7.6、1mM EDTA、0.5M NaCl、0.5%NP−40、20mMバナジル−リボヌクレオシド複合体)を各ウェルに添加し、プレートを穏やかに攪拌し、そしてその後、室温で5分間インキュベーションする。55μlの溶解物をオリゴd(T)でコーティングした96ウェルプレート(AGCT Inc.、カリフォルニア州アーバイン)に移す。プレートを室温で60分間インキュベーションし、200μlの洗浄緩衝液(10mM Tris−HCl pH7.6、1mM EDTA、0.3M NaCl)で3回洗浄する。最後の洗浄の後、プレートの水分を紙タオル上で吸い取って過剰な洗浄緩衝液を除去し、そしてその後、5分間空気乾燥する。あらかじめ70℃に加熱した60plの溶出緩衝液(5mM Tris−HCl、pH7.6)を、各ウェルに添加し、プレートを90℃のホットプレート上で5分間インキュベーションし、そして溶出物をその後、新鮮な96ウェルプレートに移す。
【0177】
[00181]すべての溶液を適切な体積で用いて、100mmまたは他の標準的プレート上で増殖させた細胞を同様に処理することも可能である。
【0178】
(実施例12)
総RNA単離
[00182]Qiagen Inc.(カリフォルニア州バレンシア)から購入したRNEASY 96TMキットおよび緩衝液を用い、製造者の推奨する方法にしたがって、総mRNAを単離する。簡潔には、96ウェルプレート上で増殖させた細胞に関しては、増殖培地を細胞から除去し、そして各ウェルを200μlの冷PBSで洗浄する。100μlの緩衝液RLTを各ウェルに添加し、そしてプレートを20秒間、激しく攪拌する。その後、100μlの70%エタノールを各ウェルに添加し、そして上下に3回ピペッティングすることによって、内容物を混合する。その後、廃水収集トレーを取り付けたQIAVACTMマニホールドにつないだRNEASY 96TMウェルプレートに試料を移し、そして真空供給源を取り付けた。真空を15秒間適用する。1mlの緩衝液RW1をRNEASY 96TMプレートの各ウェルに添加し、そして再び真空を15秒間適用する。その後、1mlの緩衝液RPEをRNEASY 96TMプレートの各ウェルに添加し、そして真空を15秒間適用する。その後、緩衝液RPE洗浄を反復し、そして真空をさらに10分間適用する。その後、プレートをQIAVACTMマニホールドから除去し、そして紙タオルで水分を吸い取る。その後、プレートを再び、1.2mlの収集試験管を含有する収集試験管ラックを取り付けたQIAVACTMマニホールドにつなぐ。その後、60μlの水を各ウェルにピペッティングし、1分間インキュベーションし、そしてその後、真空を30秒間適用することによって、RNAを溶出する。さらに60μlの水で、溶出工程を反復する。
【0179】
[00183]QIAGEN Bio−Robot9604(Qiagen, Inc.、カリフォルニア州バレンシア)を用いて、反復ピペッティング工程および溶出工程を自動化することも可能である。本質的には、培養プレート上の細胞を溶解した後、プレートをロボット・デッキに移し、ここでピペッティング工程、DNアーゼ処理工程および溶出工程を行う。
【0180】
(実施例13)
FXR mRNAレベルのリアルタイム定量的PCR解析
[00184]製造者の指示にしたがって、ABI PRISMTM 7700配列検出システム(PE−Applied Biosystems、カリフォルニア州フォスターシティー)を用い、リアルタイム定量的PCRによって、FXR mRNAレベルの量を測定する。これは、閉鎖試験管のゲルに基づかない蛍光検出系であり、リアルタイムでポリメラーゼ連鎖反応(PCR)産物の高処理定量化を可能にする。増幅産物がPCRの完了後に定量化される、標準的PCRと対照的に、リアルタイム定量的PCRの産物は、集積するに連れて、定量化される。これは、PCR反応中に、順方向および逆方向PCRプライマーの間で特異的にアニーリングし、そして2つの蛍光色素を含有するオリゴヌクレオチドプローブを含むことによって、達成される。レポーター色素(例えば、Operon Technologies Inc.、カリフォルニア州アラメダ、またはPE−Applied Biosystems、カリフォルニア州フォスターシティーのいずれかから得られる、JOE、FAMTM、またはVIC)をプローブの5’端に付着させ、そして消光色素(例えば、Operon Technologies Inc.、カリフォルニア州アラメダ、またはPE−Applied Biosystems、カリフォルニア州フォスターシティーのいずれかから得られる、TAMRA)をプローブの3’端に付着させる。プローブおよび色素が損なわれていない場合、レポーター色素発光は、3’消光色素が近接することによって、消光される。増幅中、プローブが標的配列にアニーリングすることによって、Taqポリメラーゼの5’−エキソヌクレアーゼ活性によって切断されうる基質が生成される。PCR増幅周期の伸長期中、Taqポリメラーゼによるプローブの切断は、残りのプローブから(そしてしたがって消光剤部分から)レポーター色素を遊離させ、そして配列特異的蛍光シグナルが生成される。各周期で、さらなるレポーター色素分子がそれぞれのプローブから切断され、そしてABI PRISMTM 7700配列検出系に取り付けられたレーザーオプティクスによって、規則正しい間隔で蛍光強度が監視される。各アッセイにおいて、未処理対照試料由来のmRNAの段階希釈を含有する一連の平行反応は、試験試料のアンチセンスオリゴヌクレオチド処理後、阻害パーセントを定量化するのに用いられる標準曲線を生成する。
【0181】
[00185]PE−Applied Biosystems、カリフォルニア州フォスターシティーからPCR試薬を得ることも可能である。25μlのPCRカクテル(1xTAQMANTM緩衝液A、5.5mM MgCl、各300μMのdATP、dCTPおよびdGTP、600μMのdUTP、各100nMの順方向プライマー、逆方向プライマー、およびプローブ、20単位のRNアーゼ阻害剤、1.25単位のAMPLITAQ GOLDTM、および12.5単位のMuLV逆転写酵素)を、25μlのポリ(A)mRNA溶液を含有する96ウェルプレートに添加することによって、RT−PCR反応を行う。48℃で30分間インキュベーションすることによって、RT反応を行う。95℃で10分間インキュベーションして、AMPLITAQ GOLDTMを活性化した後、40周期の2工程PCRプロトコルを行う:95℃で15秒間(変性)の後、60℃で1.5分間(アニーリング/伸長)。
【0182】
[00186]公表されている配列情報(NM_005123、本明細書において図1として援用される)を用いて、ヒトFXR配列にハイブリダイズするように、ヒトFXRに対するプローブおよびプライマーを設計した。ヒトFXRに関しては、PCRプライマーは:順方向プライマー:CTGGGTCGCCTGACTGAATT(配列番号2139)、逆方向プライマー:GGTCGTTTACTCTCCATGACATCA(配列番号2140)であり、そしてPCRプローブは:FAMTM−CGGACATTCAATCATCACCACGCTGAG(配列番号2141)−TAMRAであり、ここでFAMTM(PE−Applied Biosystems,カリフォルニア州フォスターシティー)は蛍光レポーター色素であり、そしてTAMRA(PE−Applied Biosystems、カリフォルニア州フォスターシティー)は消光色素である。ヒト・サイクロフィリンに関しては、PCRプライマーは:順方向プライマー:CCCACCGTGTTCTTCGACAT(配列番号2142)、逆方向プライマー:TTTCTGCTGTCTTTGGGACCTT(配列番号2143)であり、そしてPCRプローブは:5’JOE−CGCGTCTCCTTTGAGCTGTTTGCA(配列番号2144)−TAMRA3’であり、ここでJOE(PE−Applied Biosystems、カリフォルニア州フォスターシティー)は蛍光レポーター色素であり、そしてTAMRA(PE−Applied Biosystems、カリフォルニア州フォスターシティー)は消光色素である。
【0183】
(実施例14)
2’−MOEウィングおよびデオキシギャップを有するキメラホスホロチオエートオリゴヌクレオチドによる、ヒトFXR発現のアンチセンス阻害
[00187]本発明にしたがって、図1として本明細書に援用される公表配列(NM_005123)を用いて、ヒトFXR RNAの異なる領域を標的とする、一連のオリゴヌクレオチドを設計する。オリゴヌクレオチドを表1に示す。「位置(position)」は、オリゴヌクレオチドが結合する特定の標的配列上の最初(最も5’)のヌクレオチド番号を示す。各オリゴに関して示したパラメーターは、David H. Mathews、Michael Zuker、およびDouglas H. TurnerによるRNAstructure 3.7を用いて予測された。自由エネルギー(反応が起こる際に放出されるエネルギー。数字がより負であれば、反応が起こる可能性がより高いであろう。自由エネルギー単位はすべてkcal/molである)または融点(ポリ核酸の2つのアニール鎖が分離する温度。この温度がより高ければ、2鎖間の親和性がより高い)いずれかとしてパラメーターを記載する。高親和性で結合するであろうアンチセンスオリゴヌクレオチド(オリゴマー)を設計する際には、標的RNA鎖およびアンチセンスオリゴマーの構造を考慮することが望ましい。具体的には、オリゴマーが緊密に結合するには(表に「二重鎖形成(duplex formation)」と記載する)、自己構造をほとんど持たない標的RNAストレッチ(表において、この自由エネルギーを「標的構造(target structure)」と記載する)に相補的でなければならない。また、オリゴマーは、分子内自己構造(表において、この自由エネルギーを「分子内オリゴ(intramolecular oligo)」と記載する)または二分子自己構造(表において、この自由エネルギーを「分子間オリゴ(intermolecular oligo)」と記載する)いずれの自己構造もほとんどあってはならない。自己構造のいかなる破壊も、結合ペナルティになる。表1の化合物はすべて、10の2’デオキシヌクレオチドからなる中央「ギャップ」領域で構成され、この両側(5’方向および3’方向)に4ヌクレオチドの「ウィング」が隣接する、長さ20ヌクレオチドのキメラオリゴヌクレオチド(「ギャップマー」)である。ウィングは、2’−メトキシエチル(2’−MOE)ヌクレオチドで構成される。ヌクレオシド間(主鎖)連結は、オリゴヌクレオチド全体でホスホロチオエート(P=S)である。2’−MOEウィング中のシチジン残基は、5−メチルシチジンである。すべてのシチジン残基は5−メチルシチジンである。
【0184】
【表1−1】

【0185】
【表1−2】

【0186】
【表1−3】

【0187】
【表1−4】

【0188】
【表1−5】

【0189】
【表1−6】

【0190】
【表1−7】

【0191】
【表1−8】

【0192】
【表1−9】

【0193】
【表1−10】

【0194】
【表1−11】

【0195】
【表1−12】

【0196】
【表1−13】

【0197】
【表1−14】

【0198】
【表1−15】

【0199】
【表1−16】

【0200】
【表1−17】

【0201】
【表1−18】

【0202】
【表1−19】

【0203】
【表1−20】

【0204】
【表1−21】

【0205】
【表1−22】

【0206】
【表1−23】

【0207】
【表1−24】

【0208】
【表1−25】

【0209】
【表1−26】

【0210】
【表1−27】

【0211】
【表1−28】

【0212】
【表1−29】

【0213】
【表1−30】

【0214】
【表1−31】

【0215】
【表1−32】

【0216】
【表1−33】

【0217】
【表1−34】

【0218】
【表1−35】

【0219】
【表1−36】

【0220】
【表1−37】

【0221】
【表1−38】

【0222】
【表1−39】

【0223】
【表1−40】

【0224】
【表1−41】

【0225】
【表1−42】

【0226】
【表1−43】

【0227】
【表1−44】

【0228】
【表1−45】

【0229】
【表1−46】

【0230】
【表1−47】

【0231】
【表1−48】

【0232】
【表1−49】

【0233】
【表1−50】

【0234】
【表1−51】

【0235】
【表1−52】

【0236】
【表1−53】

【0237】
【表1−54】

【0238】
【表1−55】

【0239】
【表1−56】

【0240】
【表1−57】

【0241】
【表1−58】

【0242】
【表1−59】

【0243】
【表1−60】

【0244】
【表1−61】

【0245】
【表1−62】

【0246】
【表1−63】

【0247】
【表1−64】

【0248】
【表1−65】

【0249】
【表1−66】

【0250】
【表1−67】

【0251】
【表1−68】

【0252】
【表1−69】

【0253】
【表1−70】

【0254】
【表1−71】

【0255】
【表1−72】

【0256】
【表1−73】

【0257】
【表1−74】

【0258】
【表1−75】

【0259】
【表1−76】

【0260】
【表1−77】

【0261】
【表1−78】

【0262】
(実施例15)
FXRタンパク質レベルのウェスタンブロット解析
[00188]標準法を用いて、ウェスタンブロット解析(イムノブロット解析)を行う。オリゴヌクレオチドで16〜20時間処理した後、細胞を採取し、PBSで1回洗浄し、Laemmli緩衝液(100μl/ウェル)に懸濁し、5分間煮沸し、そして16%SDS−PAGEゲルに装填する。ゲルを150Vで1.5時間泳動し、そしてウェスタンブロッティング用の膜にトランスファーする。FXRに対して向けられる適切な一次抗体と、一次抗体種に対して向けられる放射標識または蛍光標識二次抗体をともに用いる。PHOSPHORIMAGERTM(Molecular Dynamics、カリフォルニア州サニーベール)を用いて、バンドを視覚化する。
【図面の簡単な説明】
【0263】
【図1−1】
【図1−2】

【特許請求の範囲】
【請求項1】
FXRをコードする核酸分子を標的とする、長さ8〜30核酸塩基のアンチセンス化合物であって、FXRに特異的にハイブリダイズし、そしてFXRの発現を阻害する、前記アンチセンス化合物。
【請求項2】
アンチセンスオリゴヌクレオチドである、請求項1に記載のアンチセンス化合物。
【請求項3】
アンチセンスオリゴヌクレオチドが、配列番号1〜配列番号2138の核酸配列の少なくとも8つの隣接核酸を含んでなる、請求項2に記載のアンチセンス化合物。
【請求項4】
アンチセンスオリゴヌクレオチドが、配列番号1〜配列番号2138の核酸配列を含んでなる、請求項2に記載のアンチセンス化合物。
【請求項5】
アンチセンスオリゴヌクレオチドが、配列番号1〜配列番号2138の核酸配列の少なくとも8つの隣接核酸からなる、請求項2に記載のアンチセンス化合物。
【請求項6】
アンチセンスオリゴヌクレオチドが、配列番号1〜配列番号2138の核酸配列からなる、請求項2に記載のアンチセンス化合物。
【請求項7】
アンチセンスオリゴヌクレオチドが少なくとも1つの修飾ヌクレオシド間連結を含んでなる、請求項1、2、3、4、5または6に記載のアンチセンス化合物。
【請求項8】
アンチセンスオリゴヌクレオチドが少なくとも1つの修飾糖部分を含んでなる、請求項1、2、3、4、5、6または7に記載のアンチセンス化合物。
【請求項9】
アンチセンスオリゴヌクレオチドが少なくとも1つの修飾核酸塩基を含んでなる、請求項1、2、3、4、5、6、7または8に記載のアンチセンス化合物。
【請求項10】
請求項1、2、3、4、5、6、7、8または9のアンチセンス化合物および薬学的に許容しうるキャリアーまたは希釈剤を含んでなる組成物。
【請求項11】
細胞または組織においてFXRの発現を阻害する方法であって、FXRの発現が阻害されるように、前記細胞または組織と、請求項1、2、3、4、5、6、7、8または9のアンチセンス化合物を接触させることを含んでなる、前記方法。
【請求項12】
FXRと関連する疾患または状態を有するヒトを治療する方法であって、FXRの発現が阻害されるように、前記ヒトに、療法的または予防的に有効な量の請求項1、2、3、4、5、6、7、8または9のアンチセンス化合物を投与することを含んでなる、前記方法。
【請求項13】
疾患または状態が、糖尿病、免疫学的障害、異脂肪血症およびその兆候のような心血管障害、アテローム性動脈硬化症、低HDL、高LDL、高コレステロール血症、胆石症、高トリグリセリド血症、および肥満、神経性障害、または虚血/再灌流損傷である、請求項12に記載の方法。

【図1−1】
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【図1−2】
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【公表番号】特表2006−500070(P2006−500070A)
【公表日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−541748(P2004−541748)
【出願日】平成15年9月25日(2003.9.25)
【国際出願番号】PCT/US2003/030353
【国際公開番号】WO2004/030750
【国際公開日】平成16年4月15日(2004.4.15)
【出願人】(502427323)ファルマシア・コーポレーション (67)
【Fターム(参考)】