説明

フィスカルプリンタ、情報処理装置およびフィスカルデータの記憶方法

【課題】フィスカルデータの改ざんを防止しつつ、かつフィスカルプリンタのランニングコストを抑え、ローカルメモリへのフィスカルデータの封じ込めに替わるフィスカルプリンタを提供する。
【解決手段】印刷データに基づきフィスカルレシートを印刷するフィスカルプリンタ2a,2b,2cであって、フィスカルレシートを印刷するとともに、フィスカルプリンタ2a,2b,2cと通信可能に接続され特定の者のみにアクセス許可されたフィスカル管理サーバ1に、印刷対象となっている印刷データあるいは印刷データに基づき生成した加工データを送信する印刷制御部33を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷データに基づきフィスカルレシートを印刷するフィスカルプリンタ、フィスカルプリンタと通信可能に接続された情報処理装置及びフィスカルデータの記憶方法に関する。
【背景技術】
【0002】
小売業などで用いられる会計用のプリンタには、フィスカルメモリ基板にフィスカルメモリが実装されているものがある。このようなプリンタは、いわゆるフィスカルプリンタといい、フィスカルメモリに記憶されているフィスカルデータが容易に改ざんできないような構成とすることが法律(フィスカル法)で要求されている。このため、フィスカルメモリを実装しているフィスカルメモリ基板がフィスカルユニットのカバー部材から簡単に取り外しできないよう、フィスカルメモリを樹脂で覆って固定しているものがある。
【0003】
特許文献1には、ホスト側で印刷データとフィスカルデータとをそれぞれ作成し、フィスカルプリンタは印刷データを受信すると印刷処理を行い、フィスカルデータを受信するとフィスカルメモリに記憶するよう構成されたフィスカルプリンタが記載されている。フィスカルプリンタはローカルに接続されており、内蔵されたフィスカルメモリをワンタイムROMとしている。さらにフィスカルメモリを樹脂封入等によって固定することで、フィスカルデータの改ざんを防止している。
【0004】
このようにフィスカルデータは、樹脂封入等によって固定されたフィスカルメモリに記憶されるほか、紙媒体に印刷されてフィスカルレシートとして必ず顧客に手渡すことが義務付けられている。紙媒体に印刷して顧客に手渡すことによって、レジの空打ちを防止することによって不正な脱税行為を抑止するためである。
【0005】
【特許文献1】特開2008−44262号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献1に記載されたフィスカルプリンタのようにフィスカルメモリをローカルなプリンタに内蔵させる場合、フィスカルデータを収集するにはプリンタ機種の認証や、フィスカルプリンタとしての要件を満たすための定期的なメンテナンス等が必要となる。これはフィスカルプリンタが設置されている現地での手続きとなるため、フィスカルプリンタのランニングコストの増加に繋がる。
また、近年のインターネットの普及により、ローカルプリンタ内蔵のフィスカルメモリに対するフィスカルデータの封じ込めに替わるフィスカルプリンタが求められる。
【0007】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、フィスカルデータの改ざんを防止しつつ、かつフィスカルプリンタのランニングコストを抑え、ローカルメモリへのフィスカルデータの封じ込めに替わるフィスカルプリンタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決することのできる本発明は、印刷データに基づきフィスカルレシートを印刷するフィスカルプリンタであって、
前記フィスカルレシートを印刷するとともに、前記フィスカルプリンタと通信可能に接続され特定の者のみにアクセス許可された情報処理装置に、印刷対象となっている印刷データあるいは前記印刷データに基づき生成した加工データを送信する印刷制御部を有することを特徴とする。
【0009】
上記構成によれば、フィスカルプリンタは印刷対象となっている印刷データあるいは加工データを、通信可能に接続された情報処理装置に送信するので、従来のようにローカルなフィスカルプリンタ内に設置されたフィスカルメモリにフィスカルデータを保持しておく必要がない。また、情報処理装置は、特定の者のみにアクセス許可されているため、アクセス許可のない者は、情報処理装置に送信された印刷データ及び加工データにアクセスすることができず、印刷データあるいは加工データが改ざんされることを防止することができる。このため、フィスカルデータの改ざんを防止しつつ、かつフィスカルプリンタのランニングコストを抑え、ローカルメモリへのフィスカルデータの封じ込めに替わるフィスカルプリンタを提供することができる。
また、情報処理装置に送信される印刷データあるいは加工データと印刷されたフィスカルとは、実質上同一である。このため、フィスカルレシートをチェックすることでレジの空打ちのような脱税行為を抑止することができる。
【0010】
また、本発明のフィスカルプリンタにおいて、前記加工データは、印刷データから印刷動作コマンドを除外したテキストデータを含むことを特徴とする。
【0011】
上記構成によれば、印刷データから印刷動作コマンドを除外したテキストデータのみを情報処理装置に送信することができるので、送信データ量を削減し、通信負荷を抑えることができる。
【0012】
また、本発明のフィスカルプリンタにおいて、前記加工データは、前記フィスカルプリンタの固体識別情報に基づく識別情報を含むことを特徴とする。
【0013】
上記構成によれば、フィスカルプリンタは、各フィスカルプリンタに固有の識別情報を含めた加工データを情報処理装置に送信する。したがって、例えば、複数のフィスカルプリンタが情報処理装置に接続されている場合でも、情報処理装置側で、受信した印刷データ及び加工データが何れのフィスカルプリンタから送信されたものなのかを特定することができる。
【0014】
また、本発明のフィスカルプリンタは、テキストデータを電子ジャーナルとして記憶するジャーナルメモリを有することを特徴とする。
【0015】
上記構成によれば、テキストデータを情報処理装置に送信する一方で、各フィスカルプリンタが備えるジャーナルメモリに記憶する。すなわち、各フィスカルプリンタに、顧客に手渡したフィスカルレシートと対応するテキストデータを、電子ジャーナルとしてジャーナルメモリに保存しておくことができる。
【0016】
また、上記課題を解決することのできる本発明は、フィスカルプリンタから前記印刷データあるいは前記加工データを受信する情報処理装置であって、
前記印刷データあるいは前記加工データに基づきフィスカルデータを生成するフィスカルデータ生成部と、
前記フィスカルデータを記憶するフィスカルメモリと、を有することを特徴とする。
【0017】
上記構成によれば、受信した印刷データあるいは加工データに基づきフィスカルデータを生成し、情報処理装置に内蔵されたフィスカルメモリに記憶され蓄積されていく。フィスカルメモリには、情報処理装置に接続された各フィスカルプリンタから収集され、法的要件を満たすフィスカルデータをフィスカルプリンタ毎に確実に保持することができる。したがって、ローカルなフィスカルプリンタに内蔵されたフィスカルメモリへのフィスカルデータの封じ込めに替わるシステムを構築することができる。
【0018】
また、上記課題を解決することのできる本発明は、フィスカルデータの記憶方法であって、
フィスカルプリンタが印刷データに基づきフィスカルレシートを印刷するとともに、前記フィスカルプリンタと通信可能に接続された特定の者のみにアクセス許可された情報処理装置に、前記印刷データあるいは前記印刷データに基づき生成された加工データを送信するステップと、
前記情報処理装置が、受信した前記印刷データあるいは前記加工データに基づきフィスカルデータを生成し、前記フィスカルデータを記憶するステップと、を有することを特徴とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明に係るフィスカルプリンタ及び情報処理装置の一実施形態について詳細に説明する。本実施形態では情報処理装置の一例として、フィスカル管理サーバを挙げて説明する。図1は、本実施形態のフィスカルプリンタとフィスカル管理サーバ間の通信ネットワークを示したネットワーク概略図である。
【0020】
本実施形態のフィスカルプリンタ3a,3b,3cは、例えばスーパーやコンビニエンスストア等が導入するPOSシステムに適用されるプリンタである。各フィスカルプリンタ3a,3b,3cは、通信可能に接続された各ホストコンピュータ2a,2b,2cから送られる印刷データに応じて、フィスカルレシートを印刷する。ホストコンピュータ2a,2b,2cは、店舗内LAN10を介して店舗内サーバ4と接続されており、例えばバーコード読み取り装置のような入力装置(不図示)から入力された販売商品情報は店舗内サーバに収集されるよう構成されている。店舗内サーバ4は、店舗内サーバ4に収集された販売商品情報に基づき在庫管理を行う。収集された販売商品情報をマーケティング材料として用いることもできる。
【0021】
店舗内LAN10は、ルータ5を介してインターネットや専用回線などの外部ネットワーク6と接続されている。本実施形態では、外部ネットワーク6を介して少なくともフィスカル管理サーバ1と接続されている。フィスカル管理サーバ1は、例えば、各店舗を総括する本社内に設定された本社LAN上に設置されたサーバであり、各店舗のフィスカルデータを管理する。
【0022】
フィスカルプリンタ3a,3b,3cは、会計上のフィスカル法の要件を満たす必要があり、その詳細はフィスカル法を施行する各国において異なる。一般的な要件としては例えば、フィスカルレシートは印刷して顧客に渡すこと、各フィスカルレシートに関する日付と時刻情報を保存するためのクロックを備えていること、電源障害が発生した場合障害発生前の状態を保持すること等がある。本実施形態のフィスカル管理サーバ1は、各国のフィスカル法に適合したフィスカルデータが保存されるよう構成されている。
【0023】
次に、フィスカルプリンタ3a,3b,3cとフィスカル管理サーバ1との間で行われるフィスカルデータ処理について詳細に説明する。図2は、フィスカルプリンタとフィスカル管理サーバとの間のフィスカルデータ処理を説明するための制御ブロック図である。なお、各フィスカルプリンタ3a,3b,3cとフィスカル管理サーバ1とのフィスカルデータ処理はそれぞれ異なるものではなく説明が重複するため、ここではフィスカルプリンタ3aとデータ管理サーバ1との間のフィスカルデータ処理のみを説明する。
【0024】
(フィスカルプリンタについて)
フィスカルプリンタ3aは、主として入力インターフェース31、データ解析処理部32、印刷制御部33、印刷動作部34、ジャーナル記憶部(ジャーナルメモリ)35及び出力インターフェース36を備えている。
【0025】
ホストコンピュータ2aから送信された印刷データは、入力インターフェース31を介して受信され、データ解析処理部32によって解析、処理される。データ解析処理部32は、受信した印刷データを解析し、印刷動作部34を動作させる動作コマンドであると判定した場合は、印刷制御部33へ動作コマンドを入力する。また、データ解析の結果、画像データや、販売商品名や販売金額等のテキストデータであると判定した場合は、印刷動作部34へ入力し、図示せぬプリントバッファに画像データ及びテキストデータを展開する。一方、販売商品名や販売金額等のテキストデータは、電子ジャーナルとして記憶しておくため、ジャーナル記憶部35に対しても入力される。
【0026】
印刷動作部34は、不図示の印刷ヘッド駆動機構や用紙搬送機構を備えており、動作コマンドを受けた印刷制御部33からの指示に応じて各機構を動作させる。印刷制御部33は、印刷データに基づく印刷処理が終了すると、ジャーナル記憶部35に記憶したテキストデータに識別情報を付加した加工データを生成し、出力インターフェース36を介してフィスカル管理サーバ1へ加工データを送信する。
識別情報としては、例えば工場出荷時にフィスカルプリンタ3aの不揮発性メモリ(不図示)に記憶されたフィスカルプリンタ3a固有の固体識別情報がある。識別情報を付加することによって、フィスカル管理サーバ1側では、何れのフィスカルプリンタから送信された加工データなのかを認定することができる。
【0027】
なお、外部ネットワーク6を介して、識別情報を付加したデータをフィスカル管理サーバ1へ送信する際には、第三者に送信データの内容を覗かれないよう暗号化処理を行っておくことが好ましい。
【0028】
(フィスカル管理サーバについて)
フィスカル管理サーバ1は、主としてインターフェース11、フィスカルデータ生成部12、データ記憶部(フィスカルメモリ)13及びデータモニタ14を備えている。
【0029】
フィスカル管理サーバ1は、外部ネットワーク6を介してフィスカルプリンタ3aから送信された加工データを、インターフェース11を介して受信する。
フィスカルデータ生成部12は、受信した加工データからフィスカルデータを生成する。フィスカルデータは、フィスカルレシートに出力される商品項目毎の売上金額を加算した合計値である。フィスカルデータ生成部12は、例えば、各商品項目の合計金額を1日毎に計算し、さらに、フィスカルプリンタ3aから送信された加工データに付加されている識別情報に基づき、識別情報毎に各項目の合計金額を記憶することもできる。
【0030】
データ記憶部13には、各識別情報に対応した1日毎の合計金額が記憶される。また、フィスカルプリンタ3aから送信された販売商品名や販売金額等のテキストデータそのものがCSV形式などで記憶される。また、割引情報やキャンセル品目に関する情報も記憶される。
【0031】
データモニタ14は、データ記憶部13へのアクセス履歴を管理する。例えば、フィスカル管理サーバ1へアクセスしたアクセス元のIPアドレス、アクセス元のドメイン名、アクセスした日付と時刻、アクセスしたファイル名、リンク元のページのURL、Webブラウザ名やOS名、処理にかかった時間、受信バイト数、送信バイト数などを、採取しデータ記憶部13にアクセスログとして記憶する。アクセスログを作成記憶しておくことによって、データ記憶部13に対する不正アクセスがあった場合でも、そのアクセス元を特定することができる。
【0032】
なお、本実施形態におけるフィスカル管理サーバ1は、特定の者のみにアクセス制限されており、内部関係者であってもアクセスできないよう高度のセキュリティが設定されておいる。政府の税務調査官が上記アクセスログをモニタリングすることによって、アクセス制限された者による不正アクセス行為を抑止することができる。定期あるいは不定期に、政府の税務調査官がアクセスログを調査することで、フィスカルデータの改ざんを未然に防止するができる。
【0033】
(フィスカルデータの収集方法について)
次に、本実施形態におけるフィスカルデータの記憶方法について説明する。図3は、フィスカルプリンタにおけるデータ処理を説明するためのフローチャートである。
【0034】
フィスカルプリンタ3aは、ホストコンピュータ2aから印刷データを受信すると(ステップS11:Yes)、動作コマンドである場合は、印刷制御部33を介して印刷動作部34を駆動する。用紙搬送機構を動作させるコマンドであれば搬送ローラを所定量だけ駆動してレシート用紙を搬送する。各種コマンド以外の画像データや、販売商品名や販売金額等のテキストデータである場合は、プリントバッファに展開する。また、データ展開処理とともにテキストデータを、ジャーナル記憶部35に記憶する(ステップS12)。
【0035】
印刷制御部33は、ヘッド駆動機構を動作させる動作コマンドやプリントバッファがフル状態になったことを契機として印刷ヘッドを駆動させてフィスカルレシート印刷処理を実行する(ステップS13)。印刷データが終了し、印刷処理が終了すると、印刷制御部35はジャーナル記憶部35に記憶したテキストデータを読み出し、テキストデータにフィスカルプリンタ3aの識別情報を付加した加工データを生成する(ステップS14)。出力インターフェース36を介して加工データをフィスカル管理サーバ1へ送信する(ステップS15)。
【0036】
このように、フィスカルプリンタ3aは、従来のフィスカルプリンタとは異なりホストコンピュータ2aから印刷データを受信すると、フィスカルレシートの印刷を実行するとともに、フィスカルレシートの内容と実質的同一であるテキストデータをフィスカル管理サーバへ送信する。
【0037】
図4は、フィスカル管理サーバにおけるフィスカルデータ生成処理を説明するためのフローチャートである。
フィスカル管理サーバ1は、フィスカルプリンタ3aから加工データを受信すると(ステップS21:Yes)、データ記憶部13に保存する(ステップS22)。以降、フィスカルプリンタ3aから加工データ送られてくると、識別情報毎に販売商品名や販売金額等のテキストデータそのものをCSV形式などで記憶し、蓄積する。
【0038】
フィスカルデータ生成部12は、フィスカルデータ生成指示を受けると(ステップS21:No,ステップS23:Yes)、データ記憶部13に記憶され蓄積されている販売商品名や販売金額等の1日分のテキストデータに基づき、フィスカルデータを生成する(ステップS24)。すなわち、フィスカルデータ生成部12は、販売商品項目毎の1日分の売上合計金額を計算し、データ記憶部13に店舗単位の1日分のフィスカルデータとして保存する(ステップS25)。なお、識別情報単位の1日分のフィスカルデータとして保存しておいてもよい。ここで、フィスカルデータ生成指示は、例えば、1日の業務終了後、設定により予め定めた時刻に発生させるよう構成しておけばよい。
【0039】
次に、フィスカルデータの読み出し処理について説明する。図5は、フィスカル管理サーバにおけるフィスカルデータの読み出し処理を説明するためのフローチャートである。
例えば、政府の税務調査官等の特定の者のみが、外部ネットワーク6を介してフィスカル管理サーバ1にアクセスし、所定のプログラムを実行することによって、フィスカルデータ読み出し指示を送信する。フィスカル管理サーバ1は、フィスカルデータ読み出し指示を受信すると(ステップS31:Yes)、データ記憶部13に保存されているフィスカルデータを読み出し、インターフェース11を介して政府の税務調査官等の使用するコンピュータへ出力する(ステップS32)。
【0040】
このように本実施形態によれば、フィスカルプリンタ3aは印刷対象となっている印刷データから動作コマンドを除いたテキストデータに識別情報を付加した加工データを、通信可能に接続されたフィスカル管理サーバ1に送信するので、従来のようにローカルなフィスカルプリンタ内に設置されたフィスカルメモリにフィスカルデータを保持しておく必要がない。また、フィスカル管理サーバ1は、特定の者のみにアクセス許可されているため、アクセス許可のない者は、フィスカル管理サーバ1に送信された加工データにアクセスすることができないため、加工データが改ざんされることを防止することができる。すなわち、フィスカルデータ生成部12が加工データから生成したフィスカルデータの改ざんを防止しつつ、かつフィスカルプリンタ3aのランニングコストを抑え、従来のようにローカルメモリへのフィスカルデータの封じ込めに替わるフィスカルプリンタを提供することができる。
【0041】
また、フィスカル管理サーバ1に送信されるテキストデータと印刷されたフィスカルプリンタとは、実質上同一である。このため、フィスカルレシートをチェックすることでレジの空打ちのような脱税行為を抑止することができる。
【0042】
また、印刷データから動作コマンドを除外したテキストデータをフィスカル管理サーバ1に送信することができるので、送信データ量を削減し、複数のフィスカルプリンタが一度にアクセスした場合の通信負荷を抑えることができる。
【0043】
また、フィスカルプリンタ3aに固有の識別情報を含めた加工データをフィスカル管理サーバ1に送信するので、複数のフィスカルプリンタがフィスカル管理サーバ1に接続されている場合でも、フィスカル管理サーバ1側は受信した加工データが何れのフィスカルプリンタから送信されたものなのかを特定することができる。
【0044】
また、テキストデータをフィスカル管理サーバ1に送信する一方で、各フィスカルプリンタが備えるジャーナル記憶部35にテキストデータを記憶する。すなわち、各フィスカルプリンタに、顧客に手渡したフィスカルレシートと対応するテキストデータを、電子ジャーナルとしてジャーナル記憶部35に保存しておくことができる。
【0045】
また、フィスカルデータ生成部12は受信した加工データに基づきフィスカルデータを生成し、フィスカルメモリ13に記憶し蓄積していく。したがって、フィスカルメモリ13には、フィスカル管理サーバ1に接続された各フィスカルプリンタから収集され、法的要件を満たすフィスカルデータをフィスカルプリンタ毎に確実に保持することができる。すなわち、従来のローカルなフィスカルプリンタに内蔵されたフィスカルメモリへのフィスカルデータの封じ込めに替わるシステムを構築することができる。
【0046】
また、本実施形態では、ホストコンピュータ2aから受信した印刷データから各動作コマンドを除いたテキストデータをフィスカル管理サーバ1へ送信するよう記載したが、ホストコンピュータ2aから受信した印刷データに識別情報を付加したデータをフィスカル管理サーバ1へ送信するよう構成することもできる。この場合には、フィスカル管理サーバ1のフィスカルデータ生成部12は、印刷データからフィスカルデータを生成する構成とすればよい。
【0047】
なお、本実施形態ではフィスカル管理サーバ1は、各店舗を管理する本社内に設置されているよう説明したが、このような実施形態に限られることはない。例えば、政府の税務管理局が管理する特定の管理サーバに直接、印刷データあるいは加工データを送信するよう構成することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本実施形態のフィスカルプリンタとフィスカル管理サーバ間の通信ネットワークを示したネットワーク概略図である。
【図2】フィスカルプリンタとフィスカル管理サーバとの間のフィスカルデータ処理を説明するための制御ブロック図である。
【図3】フィスカルプリンタにおけるデータ処理を説明するためのフローチャートである。
【図4】フィスカル管理サーバにおけるフィスカルデータ生成処理を説明するためのフローチャートである。
【図5】フィスカル管理サーバにおけるフィスカルデータの読み出し処理を説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
【0049】
1:フィスカル管理サーバ、2a2b,2c:ホストコンピュータ、3a,3b,3c:フィスカルプリンタ、4:店舗内サーバ、5:ルータ、6:外部ネットワーク、11:インターフェース、12:フィスカル生成部、13:データ記憶部(フィスカルメモリ)、14:データモニタ、31:入力インターフェース、32:データ解析処理部、33:印刷制御部、34:印刷動作部、35:ジャーナル記憶部、36:出力インターフェース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷データに基づきフィスカルレシートを印刷するフィスカルプリンタであって、
前記フィスカルレシートを印刷するとともに、前記フィスカルプリンタと通信可能に接続され特定の者のみにアクセス許可された情報処理装置に、印刷対象となっている印刷データあるいは前記印刷データに基づき生成した加工データを送信する印刷制御部を有することを特徴とするフィスカルプリンタ。
【請求項2】
前記加工データは、印刷データから印刷動作コマンドを除外したテキストデータを含むことを特徴とする請求項1に記載のフィスカルプリンタ。
【請求項3】
前記加工データは、前記フィスカルプリンタに固有の識別情報を含むことを特徴とする請求項1または2に記載のフィスカルプリンタ。
【請求項4】
前記テキストデータを電子ジャーナルとして記憶するジャーナルメモリを有することを特徴とする請求項2または3に記載のフィスカルプリンタ。
【請求項5】
請求項1から4の何れかに記載のフィスカルプリンタから前記印刷データあるいは前記加工データを受信する情報処理装置であって、
前記印刷データあるいは前記加工データに基づきフィスカルデータを生成するフィスカルデータ生成部と、
前記フィスカルデータを記憶するフィスカルメモリと、を有することを特徴とする情報処理装置。
【請求項6】
フィスカルデータの記憶方法であって、
フィスカルプリンタが印刷データに基づきフィスカルレシートを印刷するとともに、前記フィスカルプリンタと通信可能に接続された特定の者のみにアクセス許可された情報処理装置に、前記印刷データあるいは前記印刷データに基づき生成された加工データを送信するステップと、
前記情報処理装置が、受信した前記印刷データあるいは前記加工データに基づきフィスカルデータを生成し、前記フィスカルデータを記憶するステップと、を有することを特徴とするフィスカルデータの記憶方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−269266(P2009−269266A)
【公開日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−120951(P2008−120951)
【出願日】平成20年5月7日(2008.5.7)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】