説明

フィラメントベースのプロテーゼ

本発明は、互いに係合され、血管の内側表面に対して自己拡張する複数のフィラメントで構成されるプロテーゼ器具を含む。このとき、ポケットがプロテーゼと血管壁との間に生成され、プラークや他の細片が下流に逃れ合併症を起こす可能性を防止する。本発明は、互いに係合して血管の内表面に対して拡張する複数のフィラメントで構成されるプロテーゼ器具を提供する。これにより、プロテーゼと血管壁との間にポケットが生成され、これによって、合併症を引き起こすおそれのあるプラークやその他の細片が下流に逃れてしまうのを防止する。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
(関連出願の参照)
本願は、2003年5月29日に出願された発明の名称をMesh BAsed IntegrAl EmBoliC Stent And PTCA ProteCtionとする米国仮出願第60/474,682号および2003年7月21日に出願された発明の名称をMesh BAsed IntegrAl EmBoliC Stent And PTCA ProteCtion−Version IIとする米国仮出願第60/489,126号の利益を主張し、両出願は参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
(発明の背景)
近年、狭窄症や動脈硬化症、アテローム性動脈硬化症等、人体の心臓血管系に関するさまざまな症状を処置すべく低侵襲手術が行われている。例えば、普及している低侵襲処置としては、バルーン血管形成術や血栓崩壊、ステント留置がある。
【0003】
低侵襲手術はしばしば侵襲性の病気処置法よりも安全であるが、そのような低侵襲手術はプラーク、即ち、患者の血管の内壁に沿って生成される塞栓とも呼ばれるものを遊離する危険がある。プラークは、一旦遊離すると、処置部位の下流に深刻な合併症を引き起こす結果を招きかねない。例えば、頚動脈内の狭窄症の処置が、虚血症の合併症や塞栓症による脳卒中につながる恐れがある。
【0004】
合併症につながる処置のリスクを軽減するために、多数の先行技術によって血液フィルタが開発されている。先行技術におけるカテーテルベースの血液フィルタのほとんどは、カテーテルの処置部の下流で拡張フィルタを展開する(例えば、血管形成術用バルーンまたはステント)。ゆえに、プラークまたはその他の細片が処置中に遊離しても、血液フィルタがプラークを止めて体の他の領域に移動させないようにする。そのような設計が米国特許第5,827,324号、第6,027,520号、第6,142,987号に開示され、それらの各内容は参照により本明細書に組み込まれている。
【0005】
先行技術による下流フィルタ設計は、遊離したプラークのほとんどを遮断することが可能であるが、中には血管の直径全体にわたって完全に拡張しそびれるものもあり、小さなプラーク片を見逃す可能性をもたらしている。さらに、これらの先行技術によるフィルタ設計では、しばしばカテーテル内に後退することがあり、その間に捕獲されたプラークがフィルタを通過して逃れる恐れがある。
【0006】
塞栓に起因する合併症についての他の解決策が米国特許第6,312,463号に開示されており、その内容は本明細書に参照により組み込まれている。この特許の先行技術設計は、固定要素を有する構造物を開示している。この固定要素は、ステントの展開前に、構造物を処置部位の血管壁に対して拡張させる。しかしながら、この構造物は拡張するために固定要素を必要とするため、血管の直径範囲内の貴重な場所をとる。さらに、このような組み合わせは、血管内の構造上の凹凸に合致するのは容易でない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
(本発明の目的および詳細な説明)
本発明の目的は、先行技術について上述した限界を克服することにある。
【0008】
本発明の更なる目的は、自己拡張型プロテーゼを提供することにある。
【0009】
本発明の更なる目的は、患者を塞栓に起因する合併症からより好適に守るプロテーゼを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述の目的は、互いに係合して血管の内表面に対して拡張する複数のフィラメントで構成されるプロテーゼ器具を含む本発明によって達成される。このようにすれば、プロテーゼと血管壁との間にポケットが生成され、これによって、合併症を引き起こすおそれのあるプラークやその他の細片が下流に逃れてしまうのを防止する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
(本発明の詳細な説明)
(自己拡張型プロテーゼ)
図1は、本発明による自己拡張型プロテーゼ100の好ましい実施形態の一つである。先行技術によるプロテーゼの保護体とは異なり、自己拡張型プロテーゼ100は、補助用拡張構成要素を必要とせず自力で容易に拡張する。この自己拡張特性により、自己拡張型プロテーゼ100は、血管102の内側の輪郭により好適に合致する。
【0012】
自己拡張型プロテーゼ100の自己拡張力は、例えば、直径内に放射状に拡張するように、編んだり、織ったり、編み込んだりすることによって複数のフィラメントが互いに密着係合してチューブ形状をなしていることに一部起因する。フィラメントは、ニチノール、ステンレス鋼、プラチナ、エルジロイのような弾性の金属、ポリマーまたはそれらの複合体で構成されてもよく、典型的には約12から25ミクロンの厚みにすることができる。金属とポリマーの複合体で作られる場合、ポリマーは自身の構造において薬理的な物質を含んでいてもよい。そのようなフィラメントは、生安定性でも生分解性でもよい。さらに、生分解性特性は、枝郡位などのある一定の領域においてより急速に溶解するように選択的に変化させることもできる。このような枝郡位では、フィラメントを通る血流およびその周りの増加する血流によって、フィラメントが溶解し、結果的に各枝に対して開口が生じるようにすればよい。この概念は図17に例示されており、血管102の枝に入り込んだ血流によって生成された溶解開口260Aを有する自己拡張型プロテーゼ260を示している。金属ポリマー複合体の走査型電子顕微鏡写真が図18に示されている。この実施形態では、プロテーゼ100は、フィラメントが他の箇所と比較して密度に差があるように形成されていることがわかる。そのような密度の小さい箇所の下側に枝部位がくるようにしておけば、密度が小さいため、より多量の血流が枝部位に流れるようになる。時間の経過とともに、これらの密度の小さいフィラメント域は侵食され消滅するが、前述の側枝の外側の箇所では、器具の望ましい特性は失われない。
【0013】
自己拡張型プロテーゼの自己拡張特性を達成するために、さまざまなフィラメント直径、フィラメント構成要素および係合様式の種々の組み合わせを用いることができる。典型的には、自己拡張型プロテーゼはステンレス製の心軸固定具上でアニールされ、これによって、少なくとも部分的に自己拡張型プロテーゼの拡張直径を決定する。例えば、ニチノールが望ましい直径の心軸とともに約10分から15分間、約500℃で処理されてもよい。他の例としては、ステンレス鋼、エルジロイ、または非磁性超硬度金属材料(MP35n)が2時間から4時間ぐらいの比較的長い期間、1,000℃の温度で処理されてもよい。その結果得られたアニール後の器具は、(前記のように、心軸サイズによって事前に決定されたような)望ましい直径まで拡張する望ましい拡張力を示す。
【0014】
本発明による自己拡張型プロテーゼの構造が以下に例示される。その際、これらの器具は目的によっていかなる望ましい長さにも作ることができるので、これらの例では主な構造上の特性は反映しているが、長さ寸法は特定していない。
【0015】
例1
例えば、0.0009インチのニチノールワイヤで作られた72のフィラメントを平織り構成に編み上げ、90度の編み角が90度になるようにし、最終的には、孔寸法が約250ミクロンで直径が4mmのチューブを形成する。
【0016】
例2
他の例においては、0.001インチのステンレス鋼ワイヤで作られた56のフィラメントが平編み構成に編み上げ、90度の編み角が90度になるようにし、最終的には、孔寸法が約340ミクロンで直径が4mm、前出の例よりも大きい外向きの半径方向力を有するチューブを形成する。
【0017】
例3
さらに別の例においては、0.001インチのステンレス鋼ワイヤで作られた52のフィラメントと0.0015インチの(放射線不透過の)プラチナワイヤで作られた4つのフィラメントを平編み構成に編み上げ、90度の編み角が90度になるようにし、最終的には、孔寸法が約340ミクロンで直径が4mm、第一の例よりも大きい外向きの半径方向力を有するチューブを形成する。
【0018】
例4
他の例においては、0.001のニチノールワイヤが4mmの中ぐりヘッド(Bore heAd)(4mmのチューブ直径)付きの16ニードル機によって編まれ、最終的には、500ミクロンの寸法の孔を有するチューブを作る。
【0019】
例5
他の例においては、0.001のステンレス鋼ワイヤが4mmの中ぐりヘッド(4mmのチューブ直径)付きの16ニードル機によって編まれ、最終的には500ミクロンの寸法の孔を有するチューブを作る。
【0020】
例6
他の例においては、0.001インチのニチノールワイヤで作られた50のフィラメントが織られ、1インチあたり60ピックで直径4mmのチューブを形成し、最終的には、500ミクロンの寸法の孔を有するチューブを作る。
【0021】
例7
他の例においては、10から15ミクロンの厚みのニチノールのスパッタフィルムのチューブが用いられてもよく、最終的には、20から40ミクロンの寸法の孔を有するチューブを作る。
【0022】
例8
さらに別の例においては、マイクロプリーツを備え10から15ミクロンの厚みのニチノールスパッタリングフィルムのチューブが用いられてもよく、最終的には20から50ミクロンの寸法の孔を有するチューブを作る。図14を見れば、これらのマイクロプリーツ242(プロテーゼの本体内で引き延ばされる縮れ(Crimps))が、プロテーゼ240の直径の拡張のためにプロテーゼ240の軸に沿って設けられ、自己拡張型プロテーゼ240の一部になっていることがわかる。さらに、マイクロプリーツ246は、図15に示されるように、縦方向への拡張のためにプロテーゼ244の外周を取り囲むように設けられてもよい。
【0023】
例9
他の例においては、ステント・レーザー・ホール・ミクロン・パターン・システム(stent lAser hole miCron pAttern system)とともに、10から15ミクロンの厚みのスパッタリングされたニチノールフィルムのチューブが用いられてもよく、最終的には20から50ミクロンの寸法の孔を有するチューブを作る。
【0024】
例10
他の例においては、織目加工された心軸とともに、10から15ミクロンの厚みのスパッタリングされたニチノールフィルムのチューブを用いて、さらに折り畳みフィルムを作ってもよい。一般的にはスパッタリングされたフィルムで形成されたプロテーゼでは、スパッタリングされたフィルムは、織られた表面を有する心軸上に直接スパッタリングされる。心軸の織られた表面は、例えば、網状線パターン、または「ワッフル」タイプのパターンであり得る。いずれにしても、このパターンは器具内に、上述のマイクロプリーツと同様に機能する小さな「弾性域(spring zone)」を作り出し、器具がより急速にたわみ、拡張できるようにする。
【0025】
一般的には、拡張直径や自己拡張型プロテーゼ100によって加えられる拡張力を増減するために、フィラメントの数を自己拡張型プロテーゼ100の長さによって変える。特に、自己拡張型プロテーゼ100の区画内でフィラメントの数が増えると、拡張直径および放射状に拡張する力はともに増加する。これは、自己拡張型プロテーゼ100の端部100Aおよび100Bが中央区画よりも大きい直径になるまで外側に向けて拡張し、これによって、端部100Aおよび100Bが患者の血管102内によりしっかりとはまることができることからもわかる。さらに、自己拡張型プロテーゼ100の放射方向への力は、比較的小さい寸法のフィラメントと少数の大きい直径のフィラメントとを合わせることにより増加させることができる。このようにすれば、自己拡張型プロテーゼ100の全体的な孔の寸法は小さく保つことができ、その一方で、放射状に外側に向かう力は比較的大きく保つことができる。
【0026】
自己拡張型プロテーゼ100は、典型的には、自己拡張型プロテーゼ100のメッシュと血管102の壁との間のプラーク104、微粒子物、塞栓およびその他の物質を封じ込めるためのトラップとして用いられる。図2は、血管102内にフランジのように広がった端部100Aおよび100Bを備える典型的な自己拡張型プロテーゼ100を図示する。自己拡張型プロテーゼ100は、プラーク104を覆うようにして設けられ、プラーク104が遊離したり、血液の流れを通って移動したりするのを防ぐポケットを生成する。
【0027】
図4A〜4Cに見られるように、自己拡張型プロテーゼ100は、自己拡張型プロテーゼ100内およびその表面上で組織116(例えば、内膜)が成長するのを促すように設計されている。組織116を成長させると、自己拡張型プロテーゼ100が永久的に細片を捕捉することができ、その一方で血管102に新たな内層の生成が可能になる。そのような組織116の成長に用いられる方法の詳細は、1999年8月25日に出願され、発明の名称をDeviCe For Promoting RepAir Of A Body Lumenとする、同時係属中の米国特許出願第09/382,275号に開示されており、その内容は本明細書に参照により組み込まれている。
【0028】
例えば、図4Aは潰瘍化したプラーク112を伴う血管102を図示している。図4Bでは、自己拡張型プロテーゼ100は、潰瘍化したプラーク112一面にわたって展開されており、血管102の壁に対して徐々に拡張している。図4Cに見られるように、時間の経過により、組織細胞は自己拡張型プロテーゼ100の内部および周囲に成長し始め、自己拡張型プロテーゼ100をおおって組織116の層を形成する。
【0029】
さらに、自己拡張型プロテーゼ100は、腎動脈拡大(図示せず)を防止するのに用いられてもよい。自己拡張型プロテーゼ100の基端部は、腎動脈の大動脈口にぴったりはまるようにフレア型にされ、その一方で、器具の残りの部分は腎動脈にぴったりとはまる。自己拡張型プロテーゼ100を所定の位置において拡大、即ちステントの留置を標準の方法で行い、これによって、塞栓の防止、小孔の防護および小孔および腎動脈の解体の防護ができるようになる。
【0030】
自己拡張型プロテーゼ100のフィラメントが生安定性の場合、自己拡張型プロテーゼ100は、血管102内に取り込まれて永久的に残ることになる。しかしながら、自己拡張型プロテーゼ100のフィラメントが生分解性の材料からなる場合、自己拡張型プロテーゼ100は、徐々に分解され、新たな組織116の層だけを残して消滅する。どちらの場合も、自己拡張型プロテーゼ100は、存在し得る危険なプラークや塞栓を捕捉すべく作用するとともに、新しい健康な組織の層を形成するべく作用する。
【0031】
さらに、自己拡張型プロテーゼ100に用いられるフィラメントベースの材料は、自己拡張型プロテーゼ100の一部はもちろん全部にわたって薬物によって被覆されていてもよい。例えば、自己拡張型プロテーゼ100は、血栓症を制限し、新しい内膜の厚みを制限し、薄い新たな内膜と内皮の被覆とを助長し、コラーゲンの形成やネガティブリモデリングを制限し、細胞外の基質の形成を制限し、さらに、新たな内膜を取り囲むためのコラーゲンの成長を促進することを目的とする薬物類を含んでいてもよい。自己拡張型プロテーゼ100と薬物被覆とを組み合わせて用いることにより薬物被覆されたステントを用いる必要がなくなる。
【0032】
フィラメントベースの材料は、ワイヤホック、ピンまたは摩擦バンプのような材料構造内に一体なった固定要素(図示せず)を含んでいてもよい。一旦展開されると、これらの要素が補助となって自己拡張型プロテーゼ100が対象の箇所から移動しなくなる。
【0033】
フィラメントベースの材料は、自己拡張型プロテーゼ100の形状に織られた放射線不透過性のまたはプラチナ製のフィラメントのようにマーカー111も含んでよい。マーカー111は、自己拡張型プロテーゼ100の各端部に位置するスエージ加工された帯であるのが好ましい。これらのマーカー111は、利用者が自己拡張型展開器具100を所望の処置箇所に位置合わせする際に助けとなる。
【0034】
操作中、自己拡張型プロテーゼ100は、当業界で公知の自己拡張型ステントと同様の方法で位置合わせおよび展開されるのが好ましい。特に、図3Aおよび3Bに見られるように、ガイドワイヤ105は患者の血管102に挿入され、例えばプラーク104を含むような血管102の罹患領域に向かって前進される。一旦ガイドワイヤ105が所望の対象箇所に来ると、カテーテル122の遠位端が血管102内の望ましい対象箇所に位置するまで、カテーテル122はガイドワイヤ105に沿って前進する。カテーテル122の遠位端は、シース156の中にパックされた自己拡張型プロテーゼ100を含む。自己拡張型プロテーゼ100が血管102の罹患箇所に位置するのを助けるために、カテーテル122は、放射線不透過性のマーカー107を含む。パック入りの自己拡張型プロテーゼ100が所望の箇所に到達すると、利用者はシース156を末端方向に(利用者の方へ)引っ込め、自己拡張型プロテーゼ100を露出させる。図3Bに最もよく示されるように、自己拡張型プロテーゼ100は、シース156から出てきて、血管102に対して拡張し、プラーク104を捕捉する。一旦自己拡張型プロテーゼ100が完全に展開すると、利用者はシース156とともにカテーテル122を慎重に引っ込め、それらを患者から除去する。こうして、自己拡張型プロテーゼ100は、プラーク104の捕捉器の役割を果たす。
【0035】
(ステントを伴う自己拡張型プロテーゼ)
図5A〜5Cの好ましい実施形態に示されるように、自己拡張型プロテーゼ100は、他の心臓血管処置器具とともに用いられ得る。例えば、自己拡張型ステント126は、一般的には、血管102の罹患領域(例えば、プラーク104が堆積し、アテローム性動脈硬化症を引き起こす)の血管102の直径を広げるために展開される。しかしながら、プラーク104を含む血管102の領域までステント126を展開することにより、プラーク102が壊れて、血液の流れを通って順行(下流に)移動した結果、合併症を引き起こすことが明らかにされている。塞栓としても知られるプラーク102は、壊れた後、脳など体の傷つきやすい領域への血液の流れの通過を阻み、脳卒中や同様の器官の損傷を招くことになるかもしれない。よって、本発明によれば、自己拡張型プロテーゼ100は、プラーク104を捕捉するために用いられ得、プラークが壊れ、血液の流れを通って移動するのを防止する。
【0036】
図5Aおよび5Bに示されるように、自己拡張型プロテーゼ100は、内壁の周囲にプラーク104が成長している血管102の罹患対象部分に送達される。前述の通り、ガイドワイヤ105は、血管102内の望ましい処置箇所に位置される。シース156内に包み込まれた自己拡張型プロテーゼ100を含むカテーテル122は、ガイドワイヤ105を覆って、血管102の望ましい処置領域まで前進する。シース156は、利用者に向かって基端方向に向けて移動され、自己拡張型プロテーゼ100を露出する。カテーテル122は、その後、患者から除去され、ステント展開カテーテル(図示せず)は、血管102内を同じ処置箇所に向かってガイドワイヤ105を覆って前進する。ステント展開カテーテルは、次に、自己拡張型プロテーゼ100を覆ってステント126を展開し、血管102の直径を広げる。自己拡張型プロテーゼ100は、ステント126と比べて血管102の長さ領域に沿って位置するので、ステント126の近くで壊れたいかなるプラーク104も所定の位置に保持され、血管102の壁と自己拡張型プロテーゼとの間に捕捉される。
【0037】
または、本発明は、好ましくは、一つのカテーテル(図示せず)を自己拡張型プロテーゼ100とステント126で包み込んでもよい。例えば、この二重展開は、ステント126をカテーテルの末端を覆って圧縮し、次にステント126を覆って自己拡張型プレテーゼ100を圧縮することによって達成され得る。カテーテルの末端は、最終的にはシース(図示されず)で覆われることにより、位置決めの最中に両器具が拡張するのを防止する。一旦カテーテルが望まし箇所に向けて前進すると、シースは、(基端方向に)引き戻され、自己拡張型プロテーゼ100とステント126の両方が罹患血管102に対して拡張できるようにする。
【0038】
他の例においては、ステント126と自己拡張型プロテーゼ100を展開するために、バルーンカテーテル(図示せず)が用いられてもよい。ステント126は、カテーテルバルーン(図示せず)を覆って圧縮され、その後、ステント126の頂部で自己拡張型プロテーゼ100が圧縮される。両器具の圧縮状態を保持するために、複数のワイヤ、ファイバー、即ちその他の糸状フィラメントが、自己拡張型プロテーゼ100を覆って、カテーテルの末端を取り囲む。ゆえに、一旦カテーテルの末端が血管102内の望ましい処置部分に送られると、カテーテルバルーンは膨張して、両器具を取り囲むフィラメントを崩壊させる。圧縮された状態に両器具を保持する拘束が無くなり、自己拡張型プロテーゼ100と、それに引き続きステント126が血管102の内壁に対して放射状に拡張する。同時に両器具を展開することの利点に加えて、利用者は追加処置の目的のために選択的にカテーテルバルーンを利用することができる。
【0039】
図7A〜7Cを参照するに、本発明による他の好ましい実施例が図示されている。特に、自己拡張型プロテーゼ142および螺旋ステント146が図示され、これらは、自己拡張型プロテーゼ142の両端142Bがステント146の拡張前に拡張することができるようにする。この異なる拡張は、図7Bにもっともよく示されるように、自己拡張型プロテーゼ142とステント146の拡張を制御する異なる2つの方法を用いることによって達成し得る。
【0040】
例えば、自己拡張型プロテーゼ142は、カテーテル144上で圧縮される。ステント146は、さらに位置決めされ、自己拡張型プロテーゼ142の頂部で圧縮され、中心に位置され、自己拡張型プロテーゼ器具142(例えば、両端部142A)の分だけ各端部上のステント146を通り過ぎて延びる。ステント146は、ステント146の周りを包み、さらにカテーテル144中の管腔を通って下るトリガーワイヤ(図示せず)によって所定の位置に保持され、利用者がトリガーワイヤを引いてステント146を拡張形状に開放できるようにする。しかしながら、両端部142Aはシース(図示せず)によって圧縮位置に留められる。
【0041】
操作の際、利用者はガイドワイヤ105を血管102内の望ましい対象箇所に位置決めする。カテーテル144は、ガイドワイヤ105を覆って対象箇所まで前進される。次に、利用者は、シースを(利用者に向かって)基端方向に引き戻し、自己拡張型プロテーゼ142とステント146の両方を露出させる。ステント146はトリップワイヤによって未だ締め付けられているので、図7Bに示されるように、自己拡張型プロテーゼ142の両端部142Aだけが放射状に外側に向かって拡張する。最終的に、利用者はトリップワイヤを引っ張り、血管102に対して拡張するようにステント146を開放する。こうして、両端部142Aは最初の障害となり、処置の最中に壊れるかもしれないあらゆるプラーク102または他の細片を捕捉する。
【0042】
(ステントポケットを備える自己拡張型プロテーゼ)
図6Aおよび6Bを参照するに、本名発明の他の実施形態が示されている。自己拡張型プロテーゼ130は、本願で上述された実施形態と同様であるが、さらにステント126を捕獲および保維持するためのステントポケット130Aを含む。ステントポケット130Aは自己拡張型プロテーゼ130の本体と同じフィラメント材料で構成されており、ポケット130Aがステント126を収容すべく縦方向に延びるようにする。
【0043】
自己拡張型プロテーゼ130の両端部130Bは、図1および2を参照しつつ本明細書中のどこかに前述されたように、放射状外側に向けてフレア型をしているのが好ましい。ステントポケット130Aは自己拡張型プロテーゼ100の直径の外側を取り巻くステント126を維持する。フレア型の両端部130Bは、遊離したプラーク(図示せず)または塞栓が自己拡張型プロテーゼ130の下側から逃れないことを確実にする。こうして、ポケットが自己拡張型プロテーゼ130と血管壁(図6Aおよび6Bには図示せず)との間に形成され、ステント126と存在する全てのプラーク(図6Aおよび6Bには図示せず)とを囲い込む。
【0044】
自己拡張型プロテーゼ130およびステント126は、一つの器具(即ち、ステントポケット130Aと係合されたステントとともに)として対象箇所に送達される。送達はさまざまな手法で行われ得る。例えば、圧縮された状態の自己拡張型プロテーゼ130とステント126を維持するためのシースを用いる前述の方法がある。
【0045】
他の好ましい実施形態(図示せず)においては、自己拡張型プロテーゼは一つの長いステントポケットを含んでいてもよい。一つのステントポケットであれば、二つのステントポケットよりも材料が少なくてすみ、自己拡張型プロテーゼが血管壁により近く拡張するのを可能にする。
【0046】
(自己拡張型端部フィルタを備えるステント)
図8A〜8Cは、本発明によるさらに別の好ましい実施形態である。フィルタ・ステント153は、2箇所の自己拡張型端部区画152Aおよび152Bに連結される中央ステント部154を有する。自己拡張型端部区画152Aおよび152Bは、自己拡張型プロテーゼ(例えば、図1および2に示されるプロテーゼ100)のさまざまな実施形態について本願のどこかに記載された材料と同じもので構成されてもよい。
【0047】
ステント部154は、編んで作られたニチノールファイバーからなる自己拡張型ステントと似ているが、当該技術で既知のいくつもの同様のステント状設計が用いられてもよい。自己拡張型端部区画152Aおよび152Bは、溶接、編み込み、組み込み、または一体形成によりステント部154と連結されてもよい。自己拡張型端部区画152Aおよび152Bは、拡張したとき少なくとも端部区画152Aおよび152Bのおよそ内径の長さであるのが好ましい。好ましい実施形態においては、拡張したとき、端部区画は、ほぼ四角形または横向きの長方形に似ている。
【0048】
図8Aに示されるように、フィルタ・ステント153は、血流を表す矢印によって示されるように、望ましい処置部位の上流の血管102内に挿入されるのが好ましい。フィルタ・ステント153は、送達カテーテル158の末端の周囲に圧縮され、シース156によってこの圧縮された状態に維持される。フィルタ・ステント153が血管102内の望ましい対象位置に到達すると、シース156は、図8Bに示されるように、利用者に向かって基端方向に引っ込められる。シース156が引っ込められるにつれて、最初は、自己拡張型端部区画152Aが露出され、血管102の壁に対して直径内で放射状に拡張する。シース156は、カテーテル158の末端からさらに引き戻され、フィルタ・ステント153を完全に露出し、ステント部154と自己拡張型端部区画152Bとを含むフィルタ・ステント153が血管102の壁に対して直径内で拡張できるようにする。
【0049】
自己拡張型端部区画152Aは、ステント部154の下流で一体フィルタとして機能する。そのため、ステント部154は拡張し、血管内の細片を遊離させ、自己拡張型端部区画152Aはこの細片を捕獲し、最終的にはその細片を血管102の壁に対して保持する。こうして、細片が下流に流れ、さらなる深刻な合併症を引き起こすのを防止する。自己拡張型端部区画152Bは最後に展開し、例えば、プラークがフィルタ・ステント153の展開によって生じる流れのために逆方向に移動するのを防止するかもしれない。
【0050】
他の好ましい実施形態において、この自己拡張型端部区画152Bは最後に展開され、ステント部154に向かって逆行し、そのため、ステント部154に向かって順行ろ過しないので、自己拡張型端部区画152Bはフィルタ・ステント153には存在しない。
【0051】
図16に示されるさらに別の実施形態において、先細りの自己拡張型端部区画152Cは、ステント部154の末端に含まれる。先細りの自己拡張区画152Cは、図8A〜8Cの自己拡張型端部区画152Aと似ているが、端部区画152Cは、先細り形状になるよう圧縮され、血管102内の位置決めを容易にする。典型的には、ステント部154は約3フレンチ(FrenCh)の直径まで圧縮し、その一方で、自己拡張型端部区域152A、152B、152Cは、(本願中に記載された他の自己拡張の実施形態と同様に)約2フレンチまたはそれ以下の直径まで圧縮してもよい。このため、先細り形状の端部区画152Cは、例えばトリップワイヤ(図示せず)によって、端部区画152を包み込むのを達成してもよい。
【0052】
図8Aおよび8Bに示されるように、フィルタ・ステント153は、カテーテル158の本体上でフィルタ・ステント153の基端方向に位置されるコントラスト・ポート(ContrAst port)159を含む。コントラスト・ポート159は、造影剤の供給源と連結し得るカテーテル158内の管腔と流体連通する。一旦、自己拡張型端部区画152Aおよび/または152Bが展開して角度をもった漏斗形を形成すると、造影剤はカテーテルポート159を通って体腔内へ導かれ、その後、端部区画152A,152Bの一方の小さな穿孔を通って移動し、それによって、フィルタ・ステント153の位置を目視する能力が向上させる。なお、この好ましい実施形態のコントラスト・ポート159は、本願の他の実施形態とともに用いられてもよい。
【0053】
図9は、直径の周囲に縦方向に位置された支柱164を有するフィルタ・ステント160の本発明による好ましい実施形態を図示する。フィルタ・ステント160は、前述のフィルタ・ステント153とほぼ類似しており、2つの自己拡張型端部162Aと162Bと連結する中央ステント部を有する。しかしながら、フィルタ・ステント160は、該フィルタ・ステント160の拡張と全体的に均整の取れた配置に役立つ支柱164も含む。例えば、支柱164は、フィルタ・ステント160から外側に向けて放射状に角度をもって、自己拡張型端部区画162Aおよび162Bにおいてフレア型を形成してもよい。支柱は、事前に形状付けられた弾性金属または可撓性ポリマーからなり、展開カテーテル内に包み込まれるとき、フィルタ・ステント160とともに平たく圧縮され得る。
【0054】
(自己拡張型リボンプロテーゼ)
図10A〜10Cは、本発明による自己拡張型リボンプロテーゼ171を図示する。自己拡張型リボンプロテーゼ171は、全体的な拡張形状および材料が本願のどこかに記載された自己拡張型プロテーゼの実施形態(例えば、図1および2の自己拡張型プロテーゼ100)と類似しているが、自己拡張型リボンプロテーゼ171は、図10Aに示されるように、取り囲むように曲がってチューブを形成するよう事前に形状付けられたリボン170の長さによって形成される。自己拡張型リボンプロテーゼ171は、本願に記載された前述の実施形態同様に、ニチノールで、織られ、編まれまたは編み上げられた織物で作られるのが好ましい。例えば、0.0005から0.0009インチの直径のニチノールワイヤが用いられてもよく(エルジロイ、MP35nまたは同様のワイヤが用いられてもよく)、約3〜6mmの幅に拡張されたときに、全体がチューブ形状を作り出す。
【0055】
自己拡張型リボンプロテーゼ171は、図10Cにもっともよく示されるように、拡張位置にあるとき、リボン170の重なり合う円形のループを形成することによって、まとまりのあるチューブ形状を維持する。よって、自己拡張型リボンプロテーゼ171が拡張すると、リボン170のカール部の間には隙間が残らないため、自己拡張型プロテーゼ171がプラークや他の細片を血管壁(図10A〜10Cには図示せず)に対して保持することができるようにする。
【0056】
操作の際、自己拡張型リボンプロテーゼ171は、図10Bに示されるように、圧縮され、送達カテーテル172の周囲に巻かれる。リボン170は、送達カテーテル172よりも大きな直径になるまで拡張されるよう形状付けられているので、リボン170はカテーテル172に沿って重なり合わない配置まで広がる。リボン170は、リボン170を覆って位置されるシース(図示せず)によってカテーテル172上に圧縮された状態で維持されるが、リボン170の周囲に巻かれ、利用者によって開放可能なトリガーワイヤ(図示せず)のような他の圧縮技術が用いられてもよい。
【0057】
本願中に記載された前述の実施形態とともに、送達カテーテルの末端が患者体内の望ましい処置箇所(例えば、血管内)に位置される。一旦適所に位置されると、リボン170はカテーテル172から開放され、高さ方向に拡張し、一方で、リボン170の螺旋形状が相互に重なり合うまで長さを圧縮し、血管壁に対して押さえつける。かくして、自己拡張型リボンプロテーゼ171は、図1および2のプロテーゼと同様に機能し、プラーク、細片、塞栓、血塊およびその他の物質が遊離し、下流で合併症を引き起こすのを防止する。本願中の前述の実施形態とともに、自己拡張型リボンプロテーゼ171は、ステントまたはカテーテルバルーンのようなその他の処置とともに用いられてもよい。
【0058】
(外部自己収縮型プロテーゼ)
図11は本発明によるさらに別の好ましい実施形態を図示する。外部自己収縮型プロテーゼ200は、ほぼリボン状構造を有し、図10A〜10Cに示される自己拡張型リボンプロテーゼ171の全体構造および材料と類似している。しかしながら、外部自己収縮型プロテーゼ200は、拡張する代わりに、収縮するように構成され、外部自己収縮型プロテーゼ200が、図11に示される血管102のような処置目的となる外器官と合致できるようにする。
【0059】
例えば、外部自己収縮型プロテーゼ200は、血管切開後、血管102の周囲に位置され得る。外部自己収縮型プロテーゼ200の材料は、本願に前述したように、細胞の成長を促進すべく構成されていてもよい。ゆえに、適合性の穿孔とともに、外部自己収縮型プロテーゼ200は新たな外膜を成長させる。さらに、さまざまな異なる処置を目的として、外部自己収縮型プロテーゼ200から溶出するために、薬剤が含まれていてもよい。目的としては、例えば、過形成を制限したり、抗血栓効果を与えたり、外膜に組織された有益な細胞の成長を促したり、外膜の新生血管形成を促したり、新生外膜を促進したり、外膜の瘢痕を制限したり、または、外膜の新生血管形成を抑制したりすることが挙げられる。
【0060】
外部自己収縮型プロテーゼ200の材料は、プログラム可能な溶解率の生吸収性であってもよく、細胞の成長が十分にプロテーゼ200を浸潤し、自ずと無傷の状態を維持するまでになった後に、溶解するようプログラムされているのが好ましい。さらにプロテーゼ200は、針、鉤、短期電気エネルギー突発波凝結蛋白(Brief eleCtriCAl Burst CoAgulAting proteins)、またはその他の生物学的分子を用いて器官に固定されてもよいし、また粘着性の物質またはその他の固定方法でプロテーゼ200の表面に固定されてもよい。
【0061】
チューブの形状に加えて、自己収縮型プロテーゼは、図12および13に示される心臓用プロテーゼ210のような多様な形状に形成され得る。心臓用プロテーゼ210は、特殊な成長寸法(growth size)または薬剤送達を防止するために心臓212の寸法を抑制するような心臓212の処置に用いられ得る。例えば、薬物には、スタチン、抗炎症剤、抗血小板物質(Gp IIB/IIIA抗体のような抗体を含む)カルシウムや脂質を溶解するための物質、またはマトリックスメタロプロテアーゼが含まれてもよい。本願の上述の実施形態とともに、支柱211は構成上および構造上の支えとして含まれてもよい。
【0062】
心臓用プロテーゼ210は、送達カテーテル(図示せず)内の逆位置に事前に充填され、経皮的に送達されるのが好ましい。送達カテーテルの末端は、心臓周囲のスペース内に心臓212の尖の近くに配され、同時に、利用者が心臓用プロテーゼ210を展開して、心臓用プロテーゼ210を心臓212の外周に広げる。
【0063】
心臓用プロテーゼ210は、ペーシング・リード(pACing leAds)に接続可能な一つ以上の導電領域のような補助機能を含み、心外膜系を生成してもよい。最適なリードとして選択され得る左または右の心室電極セットを用意して、複数のペーシング・リード対象が存在してもよいが使用されなくてもよい。心臓用プロテーゼ210は、有効QRS群幅を最小限度に抑えるために、心臓と同調可能な複数の心外膜ペーシング部位を含んでいてもよい。
【0064】
本発明は、特定の実施形態および応用例に関して記載されてきたが、当業者は、この開示にしたがって、クレームされた発明の趣旨を逸脱することなく、またその範囲を超えることなく、さらなる実施形態および変更例を作り出すことができる。そのため、本願における図面および記載は、本発明の理解を容易にすべく例示によって提示されているのであって、本願の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】図1は、本発明によるプロテーゼ器具の側面図である。
【図2】図2は、図1のプロテーゼ器具の側面図である。
【図3】図3Aおよび3Bは、図1のプロテーゼ器具の側面図である。
【図4】図4Aは、血管の側面図である。図4Bおよび4Cは、本発明によるプロテーゼ器具の側面図である。
【図5】図5A〜5Cは、本発明によるプロテーゼ器具の側面図である。
【図6】図6A〜6Bは、本発明によるプロテーゼ器具の側面図である。
【図7】図7Aは、血管の側面図である。図7Bおよび7Cは、本発明によるプロテーゼ器具の側面図である。
【図8】図8A〜8Cは、本発明によるプロテーゼ器具の側面図である。
【図9】図9は、本発明によるプロテーゼ器具の側面図である。
【図10】図10A〜10Cは、本発明によるプロテーゼ器具の側面図である。
【図11】図11は、本発明によるプロテーゼ器具の側面図である。
【図12】図12および図13は、本発明によるプロテーゼ器具の側面図である。
【図13】図12および図13は、本発明によるプロテーゼ器具の側面図である。
【図14】図14は、本発明によるマイクロプリーツを有するプロテーゼ器具の斜視図である。
【図15】図15は、本発明によるマイクロプリーツを有するプロテーゼ器具の斜視図である。
【図16】図16は、本発明によるプロテーゼ器具の側面図である。
【図17】図17は、本発明によるプロテーゼ器具の側面図である。
【図18】図18は、図17のプロテーゼの顕微鏡写真である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
体腔内の望ましくない粒子を捕捉するプロテーゼであって、前記プロテーゼは、
収縮状態と伸張状態とを有するほぼチューブ状の本体を有し、
前記ほぼチューブ状の本体は、前記ほぼチューブ状の本体の実質長さ方向に沿って、互いに結びつき約500ミクロン以下の孔寸法を作り出す複数のマイクロフィラメントで構成され、
前記ほぼチューブ状の本体は、前記収縮状態から前記伸張状態に自己拡張可能で、
前記ほぼチューブ状の本体は、前記体腔の内側表面の輪郭と合致するように十分に可撓性を有する、プロテーゼ。
【請求項2】
前記複数のマイクロフィラメントは複数の織物マイクロフィラメントを含むことを特徴とする、請求項1に記載のプロテーゼ。
【請求項3】
前記複数のマイクロフィラメントは複数の編組マイクロフィラメントを含むことを特徴とする、請求項1に記載のプロテーゼ。
【請求項4】
前記複数のマイクロフィラメントは複数の編み物マイクロフィラメントを含むことを特徴とする、請求項1に記載のプロテーゼ。
【請求項5】
前記複数のマイクロフィラメントは複数のスパッタマイクロフィラメントを含むことを特徴とする、請求項1に記載のプロテーゼ。
【請求項6】
前記ほぼチューブ状の本体は、2つの端部を有し、少なくともその一方が前記ほぼチューブ状の本体の中央領域よりも大きな直径まで拡張可能であることを特徴とする、請求項1に記載のプロテーゼ。
【請求項7】
前記少なくとも一方の端部は、前記チューブ状の本体が前記伸張された状態においてフレア型を有することを特徴とする、請求項6に記載のプロテーゼ。
【請求項8】
前記マイクロフィラメントは、生体吸収性であることを特徴とする、請求項1に記載のプロテーゼ。
【請求項9】
前記マイクロフィラメントは、生体吸収性であり、このため管腔の分岐の箇所で前記マイクロフィラメントを通る増量された血流が、前記箇所で前記マイクロフィラメントの生体吸収の速度を加速することを特徴とする、請求項8に記載のプロテーゼ。
【請求項10】
ほぼチューブ状の本体は、少なくとも部分的に薬剤を充填されることを特徴とする請求項1に記載のプロテーゼ。
【請求項11】
前記ほぼチューブ状の本体の遠位端は、前記ほぼチューブ状の本体が前記収縮状態にあるとき円錐形状であることを特徴とする、請求項1に記載のプロテーゼ。
【請求項12】
前記ほぼチューブ状の本体は複数のマイクロプリーツを含むことを特徴とする請求項1に記載のプロテーゼ。
【請求項13】
前記マイクロプリーツは、前記ほぼチューブ状の本体の軸に沿って長手方向に延びることを特徴とする、請求項12に記載のプロテーゼ。
【請求項14】
前記マイクロプリーツは、前記ほぼチューブ状の本体の軸に沿って外周に延びることを特徴とする、請求項12に記載のプロテーゼ。
【請求項15】
前記収縮状態にある前記ほぼチューブ状の本体は、リボンのカール部分の間に隙間があるリボン形状を有し、前記拡張状態にある前記ほぼチューブ状の本体は、リボンの前記カール部分の間には隙間がないリボン形状を有することを特徴とする、請求項1に記載のプロテーゼ。
【請求項16】
前記ほぼチューブ状の本体の内部に配されたステントをさらに備えることを特徴とする、請求項1に記載のプロテーゼ。
【請求項17】
前記ステントは、前記ほぼチューブ状の本体と一体であることを特徴とする、請求項16に記載のプロテーゼ。
【請求項18】
前記ほぼチューブ状の本体の前記長さは、前記ステントよりも長いことを特徴とする、請求項16に記載のプロテーゼ。
【請求項19】
前記ほぼチューブ状の本体および前記ステントは、壊れやすいフィラメントで前記収縮状態に拘束されていることを特徴とする、請求項16に記載のプロテーゼ。
【請求項20】
前記プロテーゼでは、前記ほぼチューブ状の本体の周囲に配される少なくとも一つのポケットをさらに備え、前記ポケットはステントを受け入れるべく寸法付けられていることを特徴とする、請求項1に記載のプロテーゼ。
【請求項21】
少なくとも一つのポケットは、複数のマイクロフィラメントで構成されていることを特徴とする、請求項20に記載のプロテーゼ。
【請求項22】
前記ほぼチューブ状の本体は、前記ステントの両端部を受け入れるための二つのポケットを含むことを特徴とする、請求項21に記載のプロテーゼ。
【請求項23】
前記プロテーゼは、前記ほぼチューブ状の本体の外周に取り付けられたステントをさらに備え、前記ステントは、前記ほぼチューブ状の本体よりも短く、それによって、前記ほぼチューブ状の本体の両端部が前記ステントの両端部を超えて延びることを特徴とする、請求項1に記載のプロテーゼ。
【請求項24】
前記ステントは、前記収縮された状態の前記ほぼチューブ状の本体に取り付けられ、このため前記ほぼチューブ状の本体の前記両端部が前記ステントの伸張前に伸張された状態に拡張することを特徴とする、請求項23に記載のプロテーゼ。
【請求項25】
前記ステントはらせん状のステントであることを特徴とする、請求項23に記載のプロテーゼ。
【請求項26】
前記ステントはトリガーワイヤとともに前記ほぼチューブ状の本体に取り付けられていることを特徴とする、請求項23に記載のプロテーゼ。
【請求項27】
体腔内の粒子を捕捉するプロテーゼであって、前記プロテーゼは、
ステント部と遠位マイクロフィラメント部とを有する長いチューブ状本体を有し、
前記マイクロフィラメント部は、前記マイクロフィラメント部の長さに実質的に沿ってお互いに結びつき約500ミクロン以下の孔を作り出す複数のマイクロフィラメントを備え、
前記マイクロフィラメント部は、前記収縮状態から前記伸張状態まで自己拡張可能であり、
前記マイクロフィラメント部が前記体腔の内側表面の輪郭と合致するように前記マイクロフィラメント部は十分に可撓性を有することを特徴とする、プロテーゼ。
【請求項28】
遠位マイクロフィラメント部は、溶着、織り合わせ、相互編組および一体形成のうちの少なくとも一つによって、前記ステント部に連結されていることを特徴とする、請求項27に記載のプロテーゼ。
【請求項29】
前記ステント部は、自己拡張可能であることを特徴とする、請求項27に記載のプロテーゼ。
【請求項30】
前記遠位マイクロフィラメント部の長さは、おおよそ前記遠位マイクロフィラメント部の拡張後の直径と等しいことを特徴とする、請求項27に記載のプロテーゼ。
【請求項31】
遠位マイクロフィラメント部に対向し前記ステント部に連結される近位マイクロフィラメント部を備えることを特徴とする、請求項27に記載のプロテーゼ。
【請求項32】
前記遠位マイクロフィラメント部は、拡張状態においてフレア形状を有することを特徴とする、請求項27に記載のプロテーゼ。
【請求項33】
前記遠位マイクロフィラメント部は、支柱を含み、前記遠位マイクロフィラメント部を所望の形状に付勢することを特徴とする、請求項32に記載のプロテーゼ。
【請求項34】
体の器官の望ましくない粒子を捕捉するプロテーゼであって、前記プロテーゼは、
伸張状態と収縮状態とを有する本体を有し、
前記本体は、実質的に前記本体に沿って互いに結びつき約500ミクロン以下の寸法の孔を作りだす複数のマイクロフィラメントで構成され、
前記本体は、前記伸張状態から前記収縮状態に自己圧縮可能であり、
前記本体は、前記本体が前記体の器官の外側表面の輪郭に合致するように十分な可撓性を有する、プロテーゼ。
【請求項35】
前記本体は、血管の外側表面に合致するよう寸法付けられ、形状付けられたリボン状の構成であることを特徴とする、請求項34に記載のプロテーゼ。
【請求項36】
前記本体は、心臓の外側表面に合致するよう寸法付けられ、形状付けられていることを特徴とする、請求項34に記載のプロテーゼ。
【請求項37】
前記本体は、ペーシング・リードに接続可能であって前記本体上に配された導電性の区画を含むことを特徴とする、請求項36に記載のプロテーゼ。
【請求項38】
体腔を処置する方法であって、
約500ミクロン以下の孔寸法を有するマイクロフィラメントで構成される自己拡張するチューブ状の本体を準備するステップと、
粒子細片が生成されている可能性を有する前記体腔内の領域を特定するステップと、
前記チューブ状の本体を前記領域に送達するステップと、
前記チューブ状の本体の遠位端を前記体腔内で前記領域より遠位の箇所を拡張させるステップと、
前記チューブ状の本体が、前記領域の輪郭も含めて前記体腔の輪郭と実質的に合致するように前記体腔内で前記チューブ状本体の残りの部分を拡張させるステップと備えることを特徴とする方法。
【請求項39】
前記チューブ状本体内への組織の成長を促進することによって前記体腔内に内層を生成するステップをさらに備えることを特徴とする、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
ステントを提供するステップと、前記チューブ状の本体を体腔の壁に対してさらに押し付けるように前記体腔に対して前記ステントを拡張させるステップとをさらに備えることを特徴とする、請求項38に記載の方法。
【請求項41】
前記ステントは、前記チューブ状の本体と一体に提供されることを特徴とする、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記ステントは、前記チューブ状本体の内側表面に対して拡張することを特徴とする、請求項40に記載の方法。
【請求項43】
前記ステントは、前記チューブ状本体の外側表面に配されることを特徴とする、請求項40に記載の方法。
【請求項44】
前記チューブ状本体の前記領域への送達は、造影剤を前記チューブ状本体の近位端のすぐ近くの前記体腔箇所まで導くステップを含み、これによって、前記造影剤が前記チューブ状本体を通って流れ、前記チューブ状本体を視覚化できるようになることを特徴とする、請求項38に記載の方法。
【請求項45】
前記チューブ本体の残りの部分の拡張は、前記体腔の側枝を覆うようにして前記チューブ状本体の一部を拡張させるステップを含むことを特徴とする、請求項38に記載の方法。
【請求項46】
前記チューブ状本体が前記体腔の前記側枝で分解できるようにするステップをさらに含むことを特徴とする、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記チューブ本体の残りの部分の拡張は、前記チューブ状本体の中央領域が拡張する前に、前記チューブ状本体の近位端を拡張させるステップを含むことを特徴とする、請求項38に記載の方法。
【請求項48】
前記チューブ状本体の残りの部分の拡張は、ステントを用いて前記中央領域を拡張させるステップを含むことを特徴とする、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
チューブ状本体の準備は、チューブ状本体を、前記リボンのカール部の間に隙間を有するマイクロフィラメントのリボン形状に形成されたチューブ状本体を準備するステップを含むことを特徴とする、請求項38に記載の方法。
【請求項50】
前記チューブ状本体の残りの部分の拡張は、前記カール部の間の隙間をなくすように前記リボンを拡張させるステップを含むことを特徴とする、請求項38に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図8A】
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【図8B】
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【図8C】
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【図9】
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【図10A】
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【図10B】
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【図10C】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公表番号】特表2007−526020(P2007−526020A)
【公表日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−533477(P2006−533477)
【出願日】平成16年5月27日(2004.5.27)
【国際出願番号】PCT/US2004/016853
【国際公開番号】WO2004/110304
【国際公開日】平成16年12月23日(2004.12.23)
【出願人】(505439864)セコー メディカル, エルエルシー (1)
【Fターム(参考)】