説明

フィラメント又はファイバー

第一の導電性の層(4);電気光学的に活性な層(6);第二の導電性の層(8);を含む:フィラメント又はファイバー(2)であって、ここで、そのフィラメント又はファイバーは、オフ状態及びオン状態を有すると共に、その電気光学的に活性な層は、電気光学的に活性な物質及び重合体の組み合わせを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ファイバー又はフィラメント、特に、光学的に検出可能な効果を生じさせることを目的とした織物又は衣類における包含に適切であるものに関する。
【背景技術】
【0002】
色が変化する又は光を放出するファイバーを生産する様々な方法が、知られている。
【0003】
一つの知られた方法は、電場の影響の下で光を放出する電界発光体(electrolumiphore)の材料の使用に基づいたものである。このような方法は、特許文献1及び2に記載されている。このような方法に使用された電場は、ファイバーに少なくとも二個の電極を統合することによって、作り出される。
【0004】
他の知られた方法は、具体的な熱変色性の(thermochromic)材料、即ち、温度における変化の影響の下で色を変化させる材料の使用をするものである。このような方法は、特許文献3に開示されている。
【0005】
他の知られた方法は、光学的に検出可能な効果を有するように適合させられたフィラメント又はファイバーを形成するための光学的に活性な材料として液晶性の材料を使用してきた。
【0006】
液晶を主材料とした活性な層と関連した問題は、液晶性の材料と関連した十分な機械的な安定性の固有の欠如である。その液晶層が、主として、低分子量の構成成分を構成すると、全体的な材料の挙動は、液体の又は液体様の層のものである。これは、ファイバー又はフィラメントの構築及び処理を大いに複雑にする。重なる第二の電極を設けることが、要求されるとき、その工程は、極度に厄介な且つ問題のあるものである。
【0007】
加えて、純粋な液晶を主材料とした層の達成可能なコントラストは、しばしば不十分なものであると共に、偏光子又は明るさ向上層のような、付加的な機能的な層が、要求される。
【特許文献1】英国特許出願第2273606号明細書
【特許文献2】国際公開第97/15939号パンフレット
【特許文献3】欧州特許出願公開第0410415号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、制御可能に変えることが可能なものである少なくとも一つの光学的な性質を有するフィラメント又はファイバーを提供することであり、ここで、そのフィラメント又はファイバーは、改善された機械的な安定性を有する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第一の態様に従って、第一の導電性の層;電気光学的に活性な層;第二の導電性の層を含む:フィラメント又はファイバーであって、ここで、そのフィラメント又はファイバーは、オフ状態及びオン状態を有すると共に、その電気光学的に活性な層は、電気光学的に活性な物質及び重合体の組み合わせを含むものが、提供される。
【0010】
その電気光学的に活性な層は、可撓性の重合体、側鎖の液晶重合体、主鎖液晶性重合体、共有結合性の又は非共有結合性の、超分子の性質の、等方性の又は異方性の網目タイプの構造、又は、分散させられた重合体の粒子を含むこともある。
【0011】
その電気光学的に活性な層における重合体の存在は、その製造する選択肢を増加させると共に処理を単純化するフィラメント又はファイバーの機械的な性質に、安定化させる効果を生じさせることができる。
【0012】
都合良くは、その電気光学的に活性な物質は、液晶性の材料を含む。
【0013】
電気光学的な用途に一般に使用されるタイプの液晶性の材料は、低い分子量を有する。このような材料を高分子量の重合体と組み合わせることによって、その電気光学的に活性な層の性質は、液体様のもの及びより固体様のものにあまりならないことになる。
【0014】
その電気光学的に活性な層の性質は、適切な比率の重合体及び液晶性の材料を使用することによって、適切な性質を備えたフィラメント又はファイバーを生産するように、仕立てられることもある。
【0015】
言い換えれば、その電気光学的に活性な層の重合体を形成する部分は、(純粋な低分子量の液晶材料について)液体様のものから、より固体様のものへ、その液晶性の材料の機械的な材料の挙動を変化させることになる。これは、より機械的に安定な挙動に帰着すると共に、このように、例えば、織物の電子機器のために、織物の電子機器における使用のために、より現実的な液晶に基づいた効果を使用する。
【0016】
そのフィラメント又はファイバーにおいてその電気光学的に活性な層を形成するための電気光学的に活性な物質及び重合体の組み合わせを使用することのさらなる利点は、低減された駆動電圧、改善されたコントラスト、向上した視覚(低減された軸外の曇り)(例えば、Yang,D.−K.,Chien,L.−C.,Doane,J.W.,Appl.Phys.Lett.,60,p.3102,1992を参照のこと)が、その電気光学的に活性な層が単独で液晶性の材料を含む、フィラメント又はファイバーと比較したとき、達成可能であるというものである。
【0017】
これらの改善は、従来の液晶ディスプレイの用途の電気光学的な特性付けから知られている。2−3Vの程度のねじれネマチック(twisted nematic)(TN)デバイスの電圧を切り替えることを、例えば、2%の重合体で安定化させられるとき、おおよそ1Vまで低下させることができる。例えば、Bos,P.J.,Rahman,J.,Doane,J.W.,SID Dig.Tech.Pap.,24,p.877,1993を参照のこと。類似の発見が、超ねじれネマチック(super twisted nematic)(STN)デバイスに観察される。
【0018】
加えて、270°の超ねじれネマチック液晶における縞の変形のような欠陥を低減する又は除去することは、可能である。例えば、Dos,P.J.,Fredley,D.,Li,J.,Rahman,J.“Liquid crystals in complex geometries.Formed by polymer and porous networks”,Crawford,G.P.,Zumer,S.(Eds.),Chapter 13,Taylor&Francis,London,1996を参照のこと。
【0019】
その液晶性の材料は、TN又はSTNの構成に使用される液晶のような任意の適切な液晶又は液晶の混合物を含むこともある。
【0020】
液晶性の物質のような、電気光学的に活性な物質及びそのフィラメント又はファイバーにおいてその電気光学的に活性な層を形成するための重合体の組み合わせは、それら構成体及びそれら製造する条件の比に依存して、均質な又は不均質な混合物からなることができるが、それら条件のうち重合の条件は、重要な側面であり得る。
【0021】
都合良くは、その電気光学的に活性な層は、0.5から40%の間の重合体の含有率を含む。
【0022】
好ましくは、その電気光学的に活性な層は、重合体で安定化された強誘電性の又は反強誘電性の液晶性の材料を含む。このような層は、200msから20msまでの範囲における切り替え速度を備えた、極度に速い切り替えをするフィラメント又はファイバーを作り出すために、使用されることもある。
【0023】
本発明の別の好適な実施形態において、その電気光学的に活性な材料は、重合体で安定化されたキラルなネマチックの又はコレステリックのファイバーを含む。このような電気光学的に活性な層を組み込むファイバーは、また、正確に調整することができる色を含むこともある。キラルなネマチックの又はコレステリックの液晶は、円偏光した入射する光の波長が、反射条件:
【0024】
【数1】

を満足するとの条件で、偏光選択的な反射を示す。
【0025】
ここで、λは、その反射された光の波長であり、
【0026】
【数2】

は、その液晶の平均の屈折率であると共に、pは、その液晶のディレクター(director)の螺旋体のピッチの長さである。(例、グランジャン(Grandjean)又は指紋のテクスチャを有する)モノリシックに整列させられた液晶が使用されるとの条件で、その入射する円偏光した光の一方の利き手の傾向(handedness)は、他方の利き手の傾向が、透過させられるのに対して、吸収されると共に反射される。その正確な色を、材料の選択、例、液晶の選択、及び、例えば、そのキラルなネマチック相の有効なピッチを決定する、重合の条件によって、調整することができる。
【0027】
便利に、その電気光学的に活性な層における液晶に対する重合体の比は、いずれの適切な比であってもよいが、しかし好ましくは、30−99.8%、より好ましくは、50−80%の範囲にある。このような重合体の系は、重合体で分散させた液晶(polymer dispersed liquid crystal)(PDLC)の系として知られる。
【0028】
その重合体の系は、PDLC系であるとき、その重合体は、好ましくは、実質的に連続的な等方性の重合体の相を含むと共に、その液晶性の材料は、分散させられた液晶性の相を含む。
【0029】
都合良くは、その液晶性の相は、液晶性の材料を含有する、0.3−3μmの範囲における、好ましくは、1−2μmの範囲における、平均の直径を有する、小滴又は領域を含む。通常は、それら小滴又は領域の直径における/直径の形式上の分散が、観察される。
【0030】
便利に、その液晶性の相は、原則としてキラルなネマチックの、スメクチックの、又はディスコチックの相のような他の液晶性の相をもまた使用することができるとはいえ、無作為に整列させられると共に、ネマチックの性質のものである。そのフィラメント又はファイバーのオフ状態において、その連続的な重合体の相の等方性の屈折率と無作為に整列させられた分散させられた液晶性の相のものとの間に不調和がある。これ、及び、その液晶性の相のミクロンの大きさに作られた領域の大きさの理由のために、光を散乱することは、起こることになり、白色の層に帰着する。
【0031】
そのオン状態を含む電圧の印加において、それら分散させられたネマチック液晶性の小滴のディレクターは、その液晶性の相が、正の誘電体の異方性を有するとの条件で:、その電場に対して平行に、配向することになる。それら材料が、その重合体の相の屈折率が、その液晶性の分散させられた相の正常な屈折率に調和するように、選ばれるとすれば、有効な屈折率の不調和を、経験することがないと共に、その層は、透明なものであるように見えることになる。特に良好に適応した材料の組み合わせは、例えば、それぞれ、Norland(Cranbury,New Jerset,USA)及びMerck(Darmstadt,Germany)から得ることができる、NOA 65/E7系である。液晶E7(図4を参照のこと)は、現実には、50.6%の4’−ペンチルシアノビフェニル、25.2%の4’−へプチルシアノビフェニル、17.8%の4’−オクチルオキシシアノビフェニル、及び6.4%の4’−ペンチルシアノターフェニルからなる共晶の混合物である(Wilderbeek et al.,Advanced Materials,15(12),p.985−988,2003を参照のこと)。
【0032】
さらなる材料及び有用な組み合わせの例は、例えば、Drzaic,P.S.,“Liquid crystal dispersions”,World Scientific,Singapore,1995に広範囲に記載されている。オン状態における整列したディレクターのおかげで、それら屈折率の軸外の屈折の不調和が、存在することになるが、角度依存性のかすんだ外観に帰着する。
【0033】
あるいは、電場が、存在するとき、それら重合体の材料及び液晶性の材料を、それらのそれぞれの屈折率が、即ち、その等方性の重合体の屈折率及びその分散させられた液晶性の相の正常な屈折率が、そのオン状態において調和するように、選ぶことができる。この場合には、そのオン状態は、その透明な状態であると共に、そのオフ状態は、その不透明な状態である。その分散させられた液晶性の相の異常な屈折率とのその等方性の重合体の屈折率の調和のような、他の組み合わせ、又は、負の誘電体の異方性と共に液晶性の材料を使用することは、また、可能である。
【0034】
あるいは、その電気光学的に活性な層は、メソゲンの芯が付けられる重合体の骨格を有する重合体、及び、液晶性の物質を含む異方性のゲルを含む。
【0035】
好ましくは、そのファイバー又はフィラメントは、実質的に円形の断面、そのフィラメント又はファイバーに沿って軸上に延びる内側の導電性の芯を含む第一の導電性の層、及び、外側の電極を含む第二の導電性の層を有すると共に、その電気光学的に活性な層は、その内側の芯とその外側の電極との間に位置決めされる。
【0036】
都合良くは、その外側の電極は、少なくとも部分的に透明なものである。
【0037】
あるいは、そのファイバー又はフィラメントは、実質的に正方形の又は長方形の断面、底部の電極を含む第一の導電性の層、上部の電極を含む第二の導電性の層、及び、底部の電極の層と上部の電極の層との間に位置決めされるその電気光学的に活性な層を有する。
【0038】
本発明の第二の態様に従って、
第一の導電性の層を形成すること;
第一の導電性の層へ直接的にか又は間接的にかのいずれかで電気光学的に活性な層を設けること;
その電気光学的に活性な層へ直接的にか又は間接的にかのいずれかで第二の導電性の層を設けること;
を含む:フィラメント又はファイバーを形成するための方法が、提供され、ここで、その電気光学的に活性な層は、
(i)第一の導電体へその電気光学的に活性な層を設けることより先に、架橋可能な単量体及び非反応性のメソゲンの均質な系からその電気光学的に活性な層を形成すること;
(ii)その均質な系における相の変化を誘起すること
によって:形成される。
【0039】
その均質な系における相の変化は、第二の導電性の層の設けることの前又は後のいずれかで、起こることもある。
【0040】
好ましくは、相の変化を誘起するステップは、そのフィラメント又はファイバーを照明すること又は加熱することを含む。
【0041】
本発明の第三の態様に従って、
第一の導電性の層を形成すること;
第一の導電性の層へ直接的にか又は間接的にかのいずれかで電気光学的に活性な層を設けること;
その電気光学的に活性な層へ直接的にか又は間接的にかのいずれかで第二の導電性の層を設けること;
を含む:フィラメント又はファイバーを形成するための方法が、提供され、ここで、その電気光学的に活性な層は、
(i)第一の導電体へその電気光学的に活性な層を設けることより先に、共通溶媒との組み合わせで、少なくとも重合体及び非反応性のメソゲンの均質な系からその電気光学的に活性な層を形成すること
(ii)その溶媒を取り除くこと
によって:形成される。
【0042】
その溶媒は、第二の導電性の層の設けることの前に、取り除かれることもある。これは、不均質な系に帰着する。
【0043】
あるいは、その溶剤は、第二の導電性の層の設けることの後に、取り除かれることもある。これは、均質な系に帰着する。
【0044】
自由選択で、その方法は、その均質な又は不均質な系を加熱する付加的なステップを含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0045】
今、本発明を、添付する図面を参照して、ほんの一例として、さらに記載することにする。
【0046】
図1a及び1bを参照して、本発明の第一の実施形態に従った、ファイバーを、概略的に示す。
【0047】
図1aは、そのファイバーに沿って軸上に延びる中央の導電性の芯4を含むファイバー2を示す。その芯は、次には、外側の電極8によって囲まれる電気光学的に活性な層6によって、囲まれる。ファイバー2は、保護層10をさらに含む。
【0048】
本発明に従った導電性の芯が、一般に符号4によって表記されることは、理解されることである。その導電性の芯が、直接的に、導電性の金属のワイヤーからなることもあるとはいえ、導電性の芯4は、また、好ましくは電気伝導性の材料から形成された、細長い芯を含むと共に、その芯は、芯の軸を有するが、電気伝導性の材料によって覆われることもある。その電気伝導性の材料は、薄層の堆積の技術、リソグラフィーの方法、X線のリソグラフィー、粒子ビーム、及び他の非リソグラフィーの技術を使用することによって、数個の方式で製作されることもある。
【0049】
その電極の材料は、無機のもの又は有機のもののいずれかであることができると共に、酸化スズインジウム、金、銀、銅、白金、及びそれらの誘導体、並びに、導電性の又は半導電性のオリゴマー又は重合体、例、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン):PEDT又はPEDOTのようなポリアニリン及びチオフェン誘導体を含むが、しかし、それらに限定されない。
【0050】
自由選択で、これらのオリゴマー又は重合体は、その電気的な及び熱的な導電性を最適化すると共にその寿命を向上させるための添加剤を含有することもある。
【0051】
好適な実施形態においては、その芯は、形状においては実質的に円柱形のものあると共に、非導電性の可撓性の重合体のファイバーから形成されることもある。適切な重合体のファイバーの例は、ポリエステル、ポリアミド、ポリアクリル、ポリプロピレン、ビニルを主材料とした重合体、羊毛、絹、亜麻、大麻、リネン、黄麻、レーヨンを主材料としたファイバー、酢酸セルロースを主材料としたファイバー、及び綿を含むが、しかし、それらに限定されない。
【0052】
重合体のファイバーを使用する利点は、それらが、容易に利用可能なものであると共にその特定のファイバーの要件を、例、強さ及び可撓性の点について、適応させるために適合させることができる機械的な性質を有することである。これは、機械的な性質の限定された範囲のみを有する導電性の金属のワイヤーと対比されるものである。
【0053】
さらには、上述したような導電性の芯が、また自由選択で、その電気伝導性の材料にかぶせる、一個以上の付加的なコーティングを含むこともあることは、理解されることである。このコーティングの一次的な機能は、好ましくは、それら電極を、これらが、生来非常に微細なもの且つ繊細なものであるので、保護することである。しかしながら、また、そのコーティングは、付着層、障壁層、封止又はカバリング層、UV遮蔽層、偏光層、明るさ向上又は知覚改善層、着色層、付加的な導電性の又は半導電性の電極層、チャネリング層、誘電体の層を、又は、それらのいずれの組み合わせをも、含むが、しかし、それらに限定されない、二次的な機能を行うこともある。
【0054】
図1bに示されたファイバーは、リボン様の又は平坦なファイバーのレイアウトを有する。このファイバー12は、第一の及び第二の電極層16,18によって囲まれた電気光学的に活性な層14を含む。
【0055】
これらの基本的な構成は、図2に示すように、適切なように追加された、さらなる層を有することもあると共に、ファイバー2,12は、保護層10を常には有さないこともある。
【0056】
図2は、中央の導電性の芯22、電気光学的に活性な層24、外側の電極層26、及び、保護層28を含むファイバー20を図説する。ファイバー20は、中央の芯22と電気光学的に活性な層24との間に位置決めされた第一の整列層30、及び、電気光学的に活性な層24と外側の電極26との間に位置決めされた第二の整列層32を含む。
【0057】
重ねて、本発明に従った導電性の芯が、直接的に、導電性の金属ワイヤーからなることもあるが、しかし、導電性の芯22が、また、電気的に導電性の材料によって覆われる、好ましくは電気絶縁材料から形成された、非導電性の芯を含むこともあることは、理解されることである。
【0058】
ファイバー20は、以下に、より詳細に記載することにする機能的な層34をさらに含む。
【0059】
それら整列層及びそれら機能的な層が、本発明の全ての重合体に対して本質的なものではないことは、理解されるものである。その電気光学的に活性な層の性質は、そのファイバーの構造を決定することになる。
【0060】
例えば、整列層は、それらの系において要求されるが、そこでは、好適な方向における配向が、その電気光学的な層の機能に対して本質的なものである。例えば、その電気光学的に活性な層の境界に液晶を整列させることによって、TN又はSTNデバイスにおいて液晶性のディレクターの良好に定義されたねじれを誘起することが、好適なものであることもある。これらの切り替えの原則が、入射光の偏光の変調に基づいたものであると、通常、少なくとも一個の偏光層が、その効果を可視にすることが、要求される。さらには、付加的な要件は、その遅延dΔnにわたる制御のような、これらの具体的な系について、を保持することもあるが、ここでは、dは、その電気光学的に活性な層の厚さであると共にΔnは、その液晶性の相の複屈折率である(例えば、Gooch,C.H.,Tarry,H.A.,Electronics Letters,10,p.2,1974及びGooch,C.H.,Tarry,H.A.,J.Phys.D:Appl.Phys.,8,p.1575,1975を参照のこと)。
【0061】
加えて、さらなる特徴は、そのファイバーに存在することもある、例えば、薄い金属のワイヤーが、その外側の電極のまわりに巻かれることもあるが、そのワイヤーは、電気的な分路として作用する。スペーサーは、電気光学的に活性な層の厚さを定義するために、含まれることもある。そのスペーサーの手段は、好ましくは、ガラス若しくはポリスチレンのような、非導電性の材料から形成されると共に、例えば、特定の大きさの細長いワイヤー若しくは実質的に球形のビーズ又はその芯の電極のまわりに巻かれた薄い連続的なフィラメントの形態にあることもある。それら巻かれた電極は、このように、その芯の電極とその外側の電極との間に位置を与えられると共に、それらの間の間隔を定義する。
【0062】
本発明のファイバー又はフィラメントの一部を形成する電気光学的に活性な層は、重合体及び液晶性の材料のような電気光学的に活性な物質の組み合わせである。
【0063】
図2に示したタイプのファイバーは、ポリイミド誘導体のような液晶整列層又は光整列層で、浸漬コーティング、スプレーコーティング、蒸気蒸着、インクジェットプリンティング、マイクロコンタクトプリンティング、又はスパッタリングのような従来の方法を使用して、電気伝導性のファイバーの芯を被覆することによって形成される。
【0064】
整列層の例は、文献に広範囲に記載される、例えば、Cognard,J.,Mol.Cryst.Liq.Cryst.Suppl.Ser.,1,p.1−77,1982を参照のこと。非限定的な例は、ポリイミドの層、クマリンを主材料とした若しくは桂皮酸塩若しくはエステルを主材料とした重合体のような光配向性の層、又は、界面活性剤からなる層である。また、そのファイバーの芯との機械的な相互作用は、それら液晶の好適な整列を含むこともある。
【0065】
ポリイミドの整列層の使用は、所望の整列を誘起することに従来要求された摩擦を、その製造方法を介して、直接的に成し遂げることができると、好都合なものであることができる。しかしながら、機械的な摩擦は、欠陥を導入すると共に静電的な放電及び塵埃の源である。
【0066】
好ましくは、光整列層が、その整列を、非接触の方法である照明によって誘起することができると、使用される(例えば、Schadt,M.et.al.,Nature,381,p.212,1996及びWilderbeek et.al.,Advanced Materials,15(12),p.985,2003を参照のこと)。
【0067】
その液晶の整列層は、従来、熱硬化又はUV放射を使用して、仕上げられると共に、3から4°の予め傾斜した角度を果たす。この予めの傾斜は、切り替えるための閾値電圧を低下させるために、及び、それら液晶の回転方向を制御するために、要求されると共に、このように、例えば、ディスクリネーションの形成を低減する。
【0068】
そのファイバーは、その後、第一の導電性の層へ、直接的にか又は間接的にかのいずれかで、電気光学的に活性な層を設けることによって、被覆される。
【0069】
その電気光学的に活性な層を、数個の手順:を使用して、
(i)そのファイバーへ直接的に不均質な重合体/LC系を設けることによって、直接的に、
形成することができる。通常、このような系のレオロジーは、そのファーバーにおける実際的な堆積を許容する、ペースト様のものである。
【0070】
(ii)その重合体及びメソゲンに対する適切な共通溶媒を使用して、そのファイバーへ直接的に均質な重合体/LC系を設けることによって、間接的に、形成することができる。その溶媒の除去で、例、蒸発又は硬化によって、最終的なモルフォロジーは、そのファイバーにコーティングとして構築される。
【0071】
(iii)架橋可能な単量体及び非反応性のメソゲンの初期に均質な混合物を使用する、現位置での発生によって、間接的に、形成することができる。そのファイバーにおけるその混合物の設けることの後に、相の分離は、
a.熱的に
b.(光)化学的な手段によって
のいずれかで誘起される。
【0072】
自由選択で、第二の整列層は、その電気光学的に活性な層へ設けられることもある。そして、第二の電極は、第二の整列層へ、又は、直接的にその電気光学的に活性な層へ、設けられる。
【0073】
第二の電極は、その電気光学的に活性な層へ、その層が形成されてしまう前又は形成されてしまった後に、設けられることもある。
【0074】
通常、そのファイバー又はスタックは、電気光学的な物質6を保護するための、並びに、付加的な安定性及びファイバー2又は12における支持を提供するための、保護のカバー層によって、覆われる。好ましくは、その保護のカバーは、非導電性の材料から形成されると共に光に対して少なくとも部分的に透明なものである。便利には、その保護のカバーは、可撓性の重合体から形成される。
【0075】
様々な重合体/液晶の複合体が、使用されることもある。一つのこのような複合体は、相対的に高い、例えば、50から80%の、重合体の内容物を含有する、重合体で分散させられた液晶系(PDLC)である。このような系は、連続的な等方性の重合体の相及び分散させられた低分子量のミクロンの大きさに作られた液晶性の相を含む。
【0076】
図3a及び3bを参照して、このような系は、初期に図3aにおけるオフ状態で、そして、図3bにおけるオン状態で、示される。その系は、等方性の重合体の相36及び分散させられた低分子量のミクロンの大きさに作られた液晶性の相38を含む。
【0077】
図3aに示されたオフ状態において、その連続的な重合体の相の等方性の屈折率と無作為に整列させられた分散させられた液晶相のものとの間に不調和がある。これの及びそのミクロンの大きさに作られた領域の大きさのためには、白色の層に帰着する、光の散乱が、起こることになる。
【0078】
その液晶性の相は、原則としてキラルネマチック、スメクチック、又はディスコチック相のような他の液晶性の相をもまた使用することができるとはいえ、好ましくは、ネマチック層である。
【0079】
図3bに示したようなオン状態における電圧の印加で、分散させられたネマチック液晶性の小滴38のディレクターは、そのネマチック液晶が正の誘電体の異方性を有するとの条件で、電場に対して平行に、配向することになる。
【0080】
それら材料が、重合体36の屈折率が、分散させられた液晶性の相38の正常な屈折率に調和するように、選ばれるとすれば、有効な屈折率の調和は、経験されるものではないと共に、その層は、透明なものに見えることになる。
【0081】
図4に図解された特定の良好に適応させられた材料の組み合わせは、例えば、それぞれ、Norland(Cranbury,New Jersey,USA)及びMerck(Darmstadt,Germany)から得ることができる、NOA65/E7系である。液晶E7は、現実には、50.6%の4’−ペンチルシアノビフェニル、25.2%の4’−へプチルシアノビフェニル、17.8%の4’−オクチルオキシシアノビフェニル、及び、6.4%の4’−ペンチルシアノターフェニルからなる共晶の混合物である(Wilderbeek et.al.,Advanced Materials,15(12),p.985−988,2003を参照のこと)。別の例は、エポキシEPON828(Shell Chemical Co.)、硬化剤Capcure3800(Miller−Stephenson Chemical Co.)、及び、液晶E7からなる。さらなる別の例は、共通溶媒のクロロホルムを使用する、ポリメチルメタクリラート(PMMA)及び液晶E7からなる。さらなる材料及び有用な組み合わせの例は、例えば、Drzaic,P.S.,“Liquid crystal dispersions”,World Scientific,Singapore,1995に広範囲に記載される。
【0082】
図3bに示す、そのオン状態における整列させられたディレクターのおかげで、それら屈折率の軸外の屈折の不調和は、存在することになるが、角度依存性のかすんだ外観に帰着する。このタイプの重合体/液晶の複合体の系は、架橋可能な単量体及び非反応性のメソゲンの初期に均質な系から相の分離を誘起することによって、上述したように、現位置で発生させられることもある。その相の分離は、共溶媒の蒸発によってか、又は、化学的な若しくは光化学的な手段によってかのいずれかで、熱的に誘起される。
【0083】
これらの工程の過程において、重合体が豊富な及び重合体に乏しい領域への相の分離が、起こることになると共に、最終的なモルフォロジーを、適切な工程の条件に依存して、正確に調整することができる。
【0084】
このような系の利点は、結果として生じる機械的な安定性である。その電気光学的に活性な層の全体的な特性は、固体様の材料のものである。
【0085】
加えて、偏光子及び整列層は、PDLCの切り替えの原理が、その入射光の偏光の変調よりもむしろ、散乱に基づいたものであると、要求されるものではない。このように、その電気光学的に活性な層の境界における液晶の正確な整列は、要求されないものである。実際には、そのオフ状態で、それらメソゲンの分子は、一個の小滴又は領域から他の小滴又は領域まで変動する、無作為なディレクターのプロファイルを採用する。
【0086】
さらには、その概念は、連続的な工程における生産に適応させられる。その相の分離の動力学は、非常に速いものであることができると共に、相の分離を、リールからリールへの製作を許容する、数分から数秒内に達成することができる。
【0087】
図5は、本発明に従ったファイバー又はフィラメント用の連続的な製造工程についての概略的なセットアップを示す。ファイバー52は、ローラ66,68を介して、リール62からリール64へと流体を含有する貯蔵所54を通じて引かれる。そのファイバーは、その後、その混合物で被覆される。所望のモルフォロジーの形成を、ここに記載した方法を介して、実現することができる。自由選択で、そのモルフォロジーは、その流体の貯蔵所の後に位置を与えられた照明の源58を使用して、構築されることもある。
【0088】
自由選択で、(示されない)付加的な貯蔵所は、そのファイバーが再度巻き上げられる前に、例えば、第二の電極、カバー層、整列層、付着促進層、湿潤層、偏光子、明るさ向上層のような、異なるコーティングを設けるために、貯蔵所54の前に又は後に存在することもある。
【0089】
スクリーン56が、その貯蔵所に存在する材料の相の分離及び/又は重合及び/又は沈殿及び/又は劣化のような、未熟の誘起された化学的な又は物理的な変化を予防するために、UV光源のような、存在する一個以上の照明源58から来る光から、流体の貯蔵所54に存在する材料を遮蔽するために、使用されることもある。そのスクリーンにおける小さい開口60は、リール62からリール64へのそのファイバーの輸送を可能とする。図5に示すスクリーン56が、平坦な且つ長方形のレイアウトを有するとはいえ、その現実的な形状は、それの形状が、照明源58から来る光から貯蔵所54の内容物を遮蔽する役割を満足する限りは、異なることもある。例えば、小さい絞りが、その流体の貯蔵所の縁で直接的に使用されることもある。
【0090】
照明の源58は、様々なタイプのものであることができるが、しかし、好ましくは、可視からUVの領域における波長を備えた光を放出するか又は放射する。UV光源は、特に、適切なものであると共に、例えば、媒体又は高圧の水銀の光源が、使用されることもある。自由選択で、これらのタイプのランプによって生じさせられる熱を、その光源とファイバー52との間に、その電気光学的な層の所望の相の変化を誘起するために要求された波長に対して透明なものである、(示さない)赤外のスクリーンを置くことによって、遮断することができる。
【0091】
ファイバー52は、それの起点から、好ましくはリール62から、それの送り先、又はリール64まで、速度v(m秒−1)で、輸送される。そのファイバーの速度は、
例えば、(示さない)電気的なモーターによって押しつけられたような、それらリールの角速度w(回転毎分(rpm)又はラジアン秒−1)によって、決定される。
【0092】
好ましくは、その全体のセットアップ又はそのセットアップの一部を、気体の条件に関する環境にわたる制御を可能とする(示さない)囲いの中に置くことができる。例えば、窒素、ヘリウム、若しくはアルゴン、又はそれらの混合物のような不活性な雰囲気においてファイバー及び/又は電気光学的な層を処理すること及び/又は照明すること、又は、大気の条件と異なる加圧された環境(例、真空、減圧、高圧)で、そのファイバー及び/又は電気光学的な層を処理すること及び/又は照明することが、好都合なことであることもある。
【0093】
その電気光学的に活性な層にわたって、おおよそ1V毎ミクロンから0.5V毎ミクロンまでの範囲にわたる、良好な電圧の伝達特性を、得ることができる。
【0094】
前方の及び後方の散乱の程度を、ここに記載したような、及び、例えば、Cornelissen,H.J. et al.,Proceedings of the 17th International Display Research Conference,Toronto(Canada),p.144,1997によって記載されたもののような、処理方法によって、正確に調整することができると、上述した電気光学的に活性な層は、反射性のファイバーを生産するために、適応させられる。
【0095】
自由選択で、色素を、そのファイバーにおける色の変化を生じさせるために、重合体/液晶の複合体へ添加することができる。
【0096】
例1
ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)の薄い導電性の層で被覆された可撓性のポリエステル箔(ポリエチレンテレフタラート)を、60%重量/重量の多官能性の反応性の単量体(NOA65,Norland,Cranbury,New Jersey,USA)及び40%重量/重量の共晶の液晶性の混合物(E7,ここで指定したような、複数のシアノビフェニル及び一つのシアノターフェニルからなる混合物)からなる反応性の混合物で覆った。その層の厚さを、スピンコーティングによって、良好に定義された厚さと共にスペーサーを使用することによって、正確に調整した。UV光での照射で、その重合体で分散させられた液晶が、形成される。第二の電極、例、導電性のコーティングを備えた第二のポリエステル箔を、照射の前に又は後に、設けることができる。結果として生じる可撓性の箔又はリボン様のファイバーを、適度な電圧(10−40V)で、散乱状態と透明な状態との間で、切り替えることができる。
【0097】
例2
導電性の芯のファイバー(銅、ファイバーの直径120μm)を、60%重量/重量の反応性の多官能性の単量体(NOA65,Norland,Cranbury,New Jersey,USA)及び40%重量/重量の共晶の液晶性の材料(E7 Merck,ここで指定したような、複数のシアノビフェニル及び一つのシアノターフェニルからなる混合物)の混合物を含有する貯蔵所を通じて水平にそのファイバーを通過させることによって、被覆した。その貯蔵所は、直径において4.0mm及び長さにおいて10.0mmであった。そのコーティングの相対的な意図された厚さ、又は、そのコーティング及びその導電性のファイバーの半径の比(e/b)を、以下に続くパラメーター:
− (次には、そのモーターへ供給された電力によって、調節される)その導電性のファイバーが、その貯蔵所を通じて、進行する、スピードv
− 毛細管の数Ca:
【0098】
【数3】

(ここでは、ηは、その未硬化の材料の粘度であると共に、γは、その未硬化の材料の表面張力である)
によって、制御した。
【0099】
0.5Pa・秒の粘度及び0.037N/mの表面張力を備えた10μmの厚さの未硬化のコーティングについて、そのスピードは、3.0mm/秒であった。硬化は、その流体の貯蔵所の直後に位置を与えられた、中間の圧力の水銀ランプで起こった。
【0100】
重合体/液晶性の材料の複合体は、また、等方性の単量体よりもむしろ異方性の単量体を使用して、形成されることもある。
【0101】
このような系を、非反応性の低分子量の液晶性の溶媒の存在下で、少量の異方性の単量体の光重合によって、生じさせることもある。典型的には、アクリラート、メタクリラート、又はエポキシドは、異方性の単量体に使用されると共に、良好な記載された例は、図7に示すような、反応性のメソゲンのアクリラートの単量体の安息香酸、4−[3−[(オキソ−2−プロペニル)オキシ]プロポキシ]−,2−メチル−1,4−フェニレンエステル(C3M)及び非反応性の液晶5CB(4’−ペンチル,[1,1−ビフェニル]−4−カルボニトリル)からなる。例えば、Hikmet,R.A.M.“Liquid crystals in complex geometries.Formed by polymer and porous networks”、Crawford,G.P.,Zumer,S.(Eds.),Chapter 3,Taylor & Francis,London,1996、及びWilderbeek et al.,Jpn.J.Appl.Phys.,Part 1,41(4A),p.2128,2002を参照のこと。
【0102】
異方性の単量体及び低分子量の液晶性の溶媒の初期に均質な混合物の光重合は、重合体の豊富な相及び重合体の乏しい相への液晶性の重合体の構造の相の分離を生じさせる。使用された単量体の分子の構造に依存して、それら形成された重合体は、側鎖の又は化学的に架橋された構造のいずれかであると共に、両方が、メソゲンの芯が付けられる、重合体の骨格からなる。このような重合体は、異方性のゲル又は可塑化された液晶性の網目として知られると共に、以下に記載した図6a及び6bに概略的に図解される。
【0103】
その網目におけるそれらメソゲンの整列の方向は、その混合物の初期の整列を反映する。この方式では、平面に(その平面又はそのファイバーにおいて、水平に)又はホメオトロピックに(そのファイバーの平面に垂直な、垂直に)配向させられた網目を、作り出すことができる。その初期の整列が、摩擦されたポリイミド又は光整列層の前に記載した例のような、LC混合物と整列層との間における界面の相互作用によって、必然的に決められる。
【0104】
図6a及び6bは、初期に図6aにおけるオフ状態での、及び、そして、図6bにおけるオン状態での、異方性のゲルを概略的に示す。その異方性のゲルは、メソゲンの側鎖42を備えた重合体の鎖40、及び、非反応性のメソゲン44を含む。
【0105】
オフ状態において、電場が印加されるとき、それら不活性な液晶の溶媒の分子は、その網目のメソゲンの単位と整列させられる。その結果として、その網目のメソゲンの単位とそれら不活性な液晶の溶媒の分子のものとの間の屈折率の調和のおかげで、入射光は、散乱されないと共に、その系は、透明なものに見えることになる。
【0106】
しかしながら、電場の存在下で、それら液晶の溶媒の分子は、その場の線に従って、再配向することになる。光の散乱は、誘起された領域の形成及びその結果として生じる屈折率の不調和のおかげで、起こることになると共に、その系は、不透明なものになることになる。
【0107】
このような電気光学的に活性な層を組み込むファイバーは、その切り替えの原理が、入射光の偏光状態の変調よりもむしろ、オン状態における屈折率の不調和から結果として生じる誘起された散乱に基づいたものであると、偏光子を要求しないものであると共に、その重合体の網目におけるメソゲンの単位が、場のオフの条件において整列した状態への緩和のための駆動力を形成する内部のディレクターの場を提供すると、速い切り替えのファイバーを生産することができる。それらファイバーは、機械的な安定性を有すると共に、その低分子量のLCの構成成分とその網目のメソゲンの部位との間の屈折率の調和のおかげで、視角依存性がほとんどない。
【0108】
しかしながら、整列層は、その網目におけるそれらメソゲンの整列の方向が、その混合物の初期の整列を反映するので、このような電気光学的に活性な物質を使用するとき、要求されるが、その初期の整列は、次には、そのLC混合物と整列層との間の界面の相互作用によって必然的に決められる。
【0109】
以上で使用したような用語“重合体”は、また、用語“オリゴマー”を含むことが、理解されるべきものである。
【図面の簡単な説明】
【0110】
【図1】図1a及び1bは、本発明の第一の実施形態に従ったファイバーの概略的な表示である;。
【図2】図2は、本発明の第二の実施形態に従ったファイバーの概略的な表示である;。
【図3】図3a及び3bは、本発明に従ったファイバーを形成する電気光学的に活性な層を形成することに適切な、重合体で分散させられた液晶の光学素子の概略的な表示である;。
【図4】図4は、非反応性の液晶性の混合物E7の化学的な組成を示す;。
【図5】図5は、本発明に従ったファイバー又はフィラメントを製造するための連続的な製造工程のためのセットアップの概略的な表示である;。
【図6】図6a及び6bは、本発明に従ってフィラメント又はファイバーを形成する電気光学的に活性な層を形成することに適切な等方性のゲルの概略的な表示である;。
【図7】図7は、本発明における使用に適切なC3M及び5CBの重合体の化学的な組成を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一の導電性の層;
電気光学的に活性な層;
第二の導電性の層;
を含む:フィラメント又はファイバーであって、
当該フィラメント又はファイバーは、オフ状態及びオン状態を有すると共に、
該電気光学的に活性な層は、電気光学的に活性な物質及び重合体の組み合わせを含む、フィラメント又はファイバー。
【請求項2】
前記電気光学的に活性な物質は、液晶性の材料を含む、請求項1に記載のフィラメント又はファイバー。
【請求項3】
前記重合体の含有率は、実質的に0.5から40%の間にある、請求項1又は2に記載のフィラメント又はファイバー。
【請求項4】
前記光学的に活性な物質は、強誘電性の相を含む、請求項1乃至3のいずれか一項に記載のフィラメント又はファイバー。
【請求項5】
前記重合体の含有率は、実質的に30%から99.8%の間にある、請求項1又は2に記載のフィラメント又はファイバー。
【請求項6】
前記重合体は、実質的に等方性の重合体の相を含むと共に、前記液晶性の材料は、分散させられた液晶性の相を含む、請求項1又は2に記載のフィラメント又はファイバー。
【請求項7】
前記液晶性の相は、おおよそ0.5−2μmの平均の直径を有する液晶性の領域を含む、請求項5又は6に記載のフィラメント又はファイバー。
【請求項8】
前記光学的に活性な層は、メソゲンの芯が付けられる、重合体の骨格を含む重合体及び液晶性の溶媒を含む、請求項5乃至7のいずれか一項に記載のフィラメント又はファイバー。
【請求項9】
前記液晶性の材料は、液晶性のディレクターを含むと共に、該ディレクターは、一軸性に制御される、請求項5乃至7のいずれか一項に記載のフィラメント又はファイバー。
【請求項10】
前記液晶性の材料は、液晶性のディレクターを含むと共に、該ディレクターは、二軸性に制御される、請求項5乃至8のいずれか一項に記載のフィラメント又はファイバー。
【請求項11】
前記ディレクターの制御を強化する整列層をさらに含む、請求項9又は10に記載のフィラメント又はファイバー。
【請求項12】
前記オン状態又は前記オフ状態の一方において、前記重合体の屈折率は、入射光の所定の波長について、前記液晶性の材料のものと異なるものである、請求項5乃至11のいずれか一項に記載のフィラメント又はファイバー。
【請求項13】
前記オン状態又は前記オフ状態の他方において、前記重合体の屈折率は、前記液晶性の材料の正常な屈折率に調和する、請求項12に記載のフィラメント又はファイバー。
【請求項14】
前記電気光学的に活性な層は、異方性の重合体を含む、請求項1乃至13のいずれか一項に記載のフィラメント又はファイバー。
【請求項15】
前記電気光学的に活性な物質は、スメクチック相を処理する材料を含む、請求項1乃至13のいずれか一項に記載のフィラメント又はファイバー。
【請求項16】
前記電気光学的に活性な物質は、自由選択でキラルなドーパントによって誘起された、キラルネマチック相又はコレステリック相を処理する材料を含む、請求項1乃至14のいずれか一項に記載のフィラメント又はファイバー。
【請求項17】
前記重合体は、少なくとも部分的に、非共有結合性の超分子の相互作用に基づいたものである、請求項1乃至16のいずれか一項に記載のフィラメント又はファイバー。
【請求項18】
実質的に円形の断面を有すると共に、
前記第一の導電性の層は、当該フィラメント又はファイバーに沿って軸上に延びる内側の導電性の芯を含み、且つ、
前記第二の導電性の層は、外側の電極を含み、
前記電気光学的に活性な層は、該内側の芯と該外側の電極との間に位置決めされる、請求項1乃至17のいずれか一項に記載のファイバー又はフィラメント。
【請求項19】
前記外側の電極は、少なくとも部分的に透明なものである、請求項18に記載のファイバー又はフィラメント。
【請求項20】
前記導電性の芯を完全に又は部分的に被覆する第一のコーティング層をさらに含む、請求項18又は19に記載のファイバー又はフィラメント。
【請求項21】
前記電気光学的に活性な層と前記外側の電極との間に位置決めされた第二のコーティング層をさらに含む、請求項18乃至20のいずれか一項に記載のファイバー又はフィラメント。
【請求項22】
前記又は各々のコーティング層は、整列層を含む、請求項18乃至21のいずれか一項に記載のファイバー又はフィラメント。
【請求項23】
前記外側の電極のまわりに巻かれた一個以上の金属ワイヤーをさらに含む、請求項18乃至22のいずれか一項に記載のファイバー又はフィラメント。
【請求項24】
前記内側の電極と前記外側の電極との間に位置決めされたスペーサーをさらに含む、請求項18乃至23のいずれか一項に記載のファイバー又はフィラメント。
【請求項25】
前記スペーサーは、非導電性の材料から形成される、請求項24に記載のファイバー又はフィラメント。
【請求項26】
実質的に正方形の又は長方形の断面を有すると共に、
前記第一の導電性の層は、底部の電極を含み、
前記第二の導電性の層は、上部の電極を含み、且つ、
前記電気光学的に活性な層は、該底部の電極の層と該上部の電極の層との間に位置決めされる、請求項1乃至15のいずれか一項に記載のファイバー又はフィラメント。
【請求項27】
フィラメント又はファイバーを形成する方法であって、
第一の導電性の層を形成すること;
前記第一の導電性の層へ直接的にか又は間接的にかのいずれかで電気光学的に活性な層を設けること;
前記電気光学的に活性な層へ直接的にか又は間接的にかのいすれかで第二の導電性の層を設けること;
を含むと共に、
前記電気光学的に活性な層は、
(i)第一の導電体へ前記電気光学的に活性な層を設けることより先に、架橋可能な単量体及び非反応性のメソゲンの均質な系から前記電気光学的に活性な層を形成すること;
(ii)前記均質な系に相の変化を誘起すること
によって:形成される、方法。
【請求項28】
前記相の変化は、前記第二の導電性の層の設けることの前に、誘起される、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
相の変化を誘起するステップは、前記フィラメント又はファイバーを加熱することを含む、請求項27又は28に記載の方法。
【請求項30】
第一の導電性の層を形成すること;
該第一の導電性の層へ直接的にか又は間接的にかのいずれかで電気光学的に活性な層を設けること;
該電気光学的に活性な層へ直接的にか又は間接的にかいずれかで第二の導電性の層を設けること;
:を含むと共に、
該電気光学的に活性な層は、
(i)第一の導電体へ該電気光学的に活性な層を設けることより先に、共通溶媒との組み合わせで、少なくとも重合体及び非反応性のメソゲンの均質な系から該電気光学的に活性な層を形成すること
(ii)該溶媒を取り除くこと
によって:形成される、フィラメント又はファイバーを形成するための方法。
【請求項31】
前記溶媒は、前記第二の導電性の層の設けることの前に取り除かれる、請求項30に記載の方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3a】
image rotate

【図3b】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6a】
image rotate

【図6b】
image rotate

【図7】
image rotate


【公表番号】特表2008−500466(P2008−500466A)
【公表日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−517565(P2007−517565)
【出願日】平成17年5月19日(2005.5.19)
【国際出願番号】PCT/IB2005/051630
【国際公開番号】WO2005/113866
【国際公開日】平成17年12月1日(2005.12.1)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】