説明

フィルタから空気を抜く方法

フィルタから空気を抜く方法が開示され、これにより使用済みフィルタの出口が未使用のフィルタの入り口に接続され、使用済みフィルタが逆さにされる。その後、使用済みフィルタの配水管が開放されて、空気が使用済みフィルタに入り、流体が使用済みフィルタの清潔な側から未使用のフィルタへと排出されるようになる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本発明は一般に、流体フィルタ、およびこのようなフィルタから空気を抜く方法に関する。
【背景技術】
【0002】
[0002]特定の流体フィルタがブラケット(または他の支持装置)上に支持され、迅速な解放機構を有することで、フィルタをこのようなブラケットから迅速かつ容易に取り外すことが可能になる。例えば車両では、エンジンルームまたは車両上の他の適切な支持位置にエンジンに対するブラケットを有し、このブラケットにフィルタを設置し、かつ例えば修理のためまたは使用済みの要素を交換するために離れた場所からフィルタに接近することが望ましい場合にフィルタを取り外すための迅速に装着する手段を有することが恐らく望ましい。
【0003】
[0003]このような用途のためのこの種の取り付け具(または接続機構)は、頑強で安全であるべきであり、使用中フィルタがブラケットから不用意に外れないようにしなければならない。しかしながら所望される場合には、フィルタをブラケットに取り付けたり外したりするのが比較的容易でなければならない。当然のことながら一般に接続機構はまた、相対的に軽量でコンパクトであり、組み立てが簡単であり、製造するのに費用効果が高くなければならない。
【0004】
[0004]ブラケットのスロットの中へと摺動するフィルタの背面にT字型のスロットを設けることが知られている。フィルタは基本的に取り付けるにはスロットに対してちょうど軸方向に下向きに摺動され、取り外す際にはブラケットから離れるように軸方向に上向きに摺動される。これは、このような移動を達成するために軸方向に十分な空間がある場合、およびホースがこれを可能にするのに十分な長さであるまたは適切な位置にある、あるいはこのように軸方向に移動する前にこの要素から取り外すことができる場合には適切であるにちがいない。スロットと開口を備えたブラケットと、フィルタの背面にピンとばねクリップを含む装着部を設けることが知られており、フィルタがブラケットに対して軸方向に摺動する際にこの装着部がスロットおよび開口と係合する。フィルタがいったん設置されると、ばねクリップがブラケットに係合し、クリップが押し下げられるまでフィルタをブラケット上に保持し、その後、フィルタを軸方向に摺動させてブラケットから離すことができる。この技法もやはり軸方向に十分な空間を必要とし、フィルタの背面にあるばねクリップに接近する必要があり、かつホースに関しても上記に記載したのと同様の問題がある。
【0005】
[0005]これと同時に出願された「迅速な取り付け機構を備えたフィルタ」に関する米国特許出願第12/472,668号が、このような従来技術に関連する少なくとも一部の問題に応えており、フィルタと、このようなフィルタをブラケットまたは他の支持装置に接続する機構を提供しており、これは取り付けたり取り外したりするのにフィルタをブラケットに対して完全に軸方向に移動させる必要がなく、主にこの要素を枢動させてブラケットから離すことによってフィルタを取り外すことができる。このような接続機構とその技法は、フィルタ上に自由空間を余り必要とせず、フィルタの後部に接近する必要がなく、装着された任意のホースおよび他の構成要素を破壊することも少ない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
[0006]このようなフィルタがブラケットまたは他の支持体から取り外された後、未使用の要素を備えた新しいフィルタがブラケットに設置されるが、新しいフィルタを使用する前にそこから空気を抜く必要があるというのが共通の問題である。すなわち新しいフィルタは空気で満たされており、空気ポケットによってこの媒体の一部がろ過するのに使用できなくなる恐れがある、またそうでなければ流体システム内に問題が生じる可能性がある(例えばエンジンを始動させるのがより難しくなる可能性がある)ため、使用する前にフィルタから空気を除去する(抜き取る)ことが望ましい。Clausenの米国特許第5,643,446号でのようにブリード弁およびプライミングポンプの利用を含めた様々な技法を用いてフィルタから空気を抜いて、この媒体の中に流体が入るようにしてきた。一部の技法は市場において成功することを証明してきたが、この業界ではさらに別の技法、具体的には簡単で直接的であり、結果としてポンプや特殊な弁を必要とせずに要素を使用する前にそこから全てではないが大部分の空気を除去する技法に対する要望があると考えられている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
[0007]本発明は、フィルタから空気を抜くための簡素で直接的な方法を提供し、結果としてそれを使用する前にフィルタから全てではないが大部分の空気を除去する方法を提供する。このような技法は、付加的なポンプや特殊な弁を必要としない。
【0008】
[0008]本発明によると、フィルタは、キャニスタの中に入れられたろ過媒体であるリングと、キャニスタの開放した上方端部に固定された端部キャップとを含む。端部キャップには入り口ポートと出口ポートが設けられ、流体がキャニスタ内に流れ込むまたはそこから外に流れ出るように誘導する。さらにフィルタが取り付け構造を含むことで、ブラケットまたは他の支持面にフィルタを装着することが可能になる。取り付け構造は、一対の半径方向外向きに突出する枢軸を含んでおり、これはキャニスタの両側にその下方端部に向けて配置されている。枢軸はそれぞれ、ベースと拡大されたヘッドとを備えており、ヘッドは、1つのリップを画定する下側が先細になった面を含んでいる。このベースによって立ち上がった部分が形成され、この立ち上がりは、ブラケットの側壁の中に緊密に収容されるように寸法が決められている。
【0009】
[0009]取り付け構造はさらに一対の保持クリップを含んでおり、やはりキャニスタの両側に配置されているが、今度はその上方端部に向いている。各クリップは、筐体の側部に沿って各々の枢軸とほぼ軸方向に整列されており、半径方向に可撓性である軸方向の本体部分と、保持クリップの自由端のところにある一体式のタブ部分とを有する。また保持クリップのタブの端部に隣接して外向きに突出する立ち上がりが設けられ、クリップの立ち上がりは、ブラケットのアームの中に緊密に収容されるように寸法が決められており、クリップのタブ端部がキャニスタの側部に押しつけられるのを防ぐ、あるいは換言すると本明細書で十分に記載されるように、フィルタをブラケットから取り外すことが望まれる場合、タブを内側に押しつけることができるようにクリップのタブ端部とキャニスタの間に若干の自由空間が与えられる。
【0010】
[0010]このフィルタ用のブラケットは、本体と、一対の側壁とを含んでおり、側壁はフィルタをその間に緊密に収容することができるように離間した関係で本体から外向きに突出している。各側壁は、i)フィルタ上の各々の枢軸を収容し、ブラケットの長手軸に対して一定の角度の向きから、フィルタがブラケットとほぼ軸方向に整列されこれにもたれて支持される向きまでフィルタを枢動させることができるように寸法が決められたフック型のスロットと、ii)フィルタがブラケットと整列されたとき、各々の保持クリップと係合しこれを保持するように寸法が決められた受け具とを含む。各枢軸のヘッドにある内側に先細になったリップ面によって、フック型のスロット内で枢軸の位置を決めるのが容易になり、これによりフィルタをブラケットに対して位置決めするのが容易になる。枢軸のベースに立ち上がりがあることによってフィルタをブラケットに合わせて配置し易くなり、安全かつ頑強な接続が保証される。
【0011】
[0011]各クリップにあるタブは半径方向の突起を含むことができ、この突起が、ブラケット内の小さなスロットまたは穴の中に収容され、フィルタがブラケットにロック固定される。タブをキャニスタに向けて内側に押すことによって、この突起をその各々のスロットから解放させ、フィルタの上方端部を枢動させてブラケットから離すことが可能になる。その後、フィルタをわずかに上方向かつ外向きに持ち上げてブラケットから離すことができ、枢軸がその各々のフック型スロットから取り外され、フィルタを検査、修理および/または交換することができる。
【0012】
[0012]フィルタを未使用の要素を有するフィルタと交換する際、使用済みフィルタの入り口を覆うようにキャップが配置され、使用済みフィルタの出口は短い接続管を介して未使用のフィルタの入り口に接続される。使用済みフィルタがその後、逆さにされ、使用済みフィルタの配水管が開放され、使用済みフィルタの中の流体を重力によって未使用のフィルタへと排出させることができ、ついにはこの流体が未使用のフィルタを満たし、全ての空気が未使用のフィルタの出口ポートから追い出される。未使用のフィルタへと流れる流体は使用済みフィルタの「清潔な」側から流れるため、使用前に未使用のフィルタに流体物質が詰め込まれることはない。使用済みフィルタはその後、未使用のフィルタから切り離され、必要に応じて廃棄することが可能である。その他の利点として使用済みフィルタには基本的に流体がないため、埋め立て地または他のごみ廃棄施設にフィルタを廃棄し易いことが挙げられる。未使用のフィルタはその後、システム内でホースに接続され、上記に記載されるように支持ブラケットなどに設置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】[0013]本発明によるフィルタ組立体の立面斜視図である。
【図2】[0014]図1の組立体用のフィルタの立面斜視図である。
【図3】[0015]図2のフィルタの側部断面図である。
【図4】[0016]図2に示されるフィルタの一部の拡大図である。
【図5】[0017]図1の組立体用のブラケットの立面斜視図である。
【図6】[0018]フィルタが部分的にブラケットと組み立てられた、図1のフィルタ組立体の立面斜視図である。
【図7】[0019]本発明のフィルタから空気を抜く方法を示す、未使用のフィルタに接続された使用済みフィルタの立面斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[0020]図面および図1を最初に参照すると、本発明によるフィルタ組立体が全体的に10で示されている。フィルタ組立体10は、フィルタ12と、側壁16を備えた支持ブラケット14とを含む。フィルタ12とブラケット14には、以下に記載するように迅速な取り付け機構がある。
【0015】
[0021]次に図2から4を参照すると、フィルタ12は、開放した上方端部20と、閉鎖した下方端部22を備えた外側のカップ形状のキャニスタ、すなわち筐体18を含む。筐体の下方端部にあるねじ山付きの開口24の中に配水管23(図3)を配置してフィルタから定期的に水を除去することができる。キャニスタは概ね円筒形の形状であるが他の形状であってもよく、例えばプラスチックまたは金属などの特定の用途に適した材料から形成することができる。
【0016】
[0022]端部キャップすなわち蓋28が、例えば接着剤、溶接または他の接合手段によってキャニスタの上方端部に装着される。端部キャップ28は、内側開口31を備えろ過すべき流体をキャニスタ内に誘導する入り口ポートまたは管30と、内側開口33を備えろ過された流体をキャニスタから外に誘導する出口ポートまたは管32とを含む。キャニスタの中央にフィルタ要素34が配置され、これは中央の空洞35を取り囲むリング形状の形態である。要素34は、媒体リングの下方端部に密閉式に接合された下方円形端部キャップ36を含んでおり、この要素の上方端部は、端部キャップ28に密閉式に直接接合されている。フィルタ要素34は、特定の構造(例えばひだのある、繊維質などの)を有しており、特定の用途に適した材料(例えばセルロース、ポリマー)から作製することが可能であり、さらにそのように所望される場合、リング形状以外の他の幾何学形状であってもよい。要素が消費されたときにそれをキャニスタから取り外すことができない、あるいは換言するとその要素が消費されたときキャニスタ全体を廃棄しなければならないような要素が示され記載されているが、キャニスタが取り外し可能な上方端部キャップを有することも可能であり、このキャップによって筐体の中の要素に接近してそれを交換することができることも予想される。要素の取り外しを可能にするこのような構造(例えばねじ山)は、当業者にはよく知られているはずである。
【0017】
[0023]いずれにしても入り口ポート30に進入した流体は、要素と筐体の内面の間にある外縁部の環状領域38へと流れ込み、流体はそこで要素を通過して半径方向内向きに流れ、そこで粒状物質および他の汚染物質が除去されて中央の空洞35へと流れ込む。要素が疎水性である場合、この要素の外面にある水の集合体が塊となり、筐体の下部へと下方に滴り落ちる場合があるが、その場合は排水管の開口24からそれを除去することができる。
【0018】
[0024]その後、流体は、軸方向に上下方向に流れて出口ポート32を通って流体システムへと戻る。要素を通過する流れが反対方向であり、すなわち入り口ポートが32で出口ポートが30であり、この媒体を通過して半径方向外向きに進むことも可能であることも予想される。
【0019】
[0025]上記に示したように、フィルタ12は、フィルタを迅速かつ容易にブラケット14に取り付け、そこから迅速かつ容易に取り外すことを可能にする構造を含んでいる。このために、一対の半径方向外向きに突出する同一の剛性の枢軸(全体的に40で示される)が、キャニスタの外面のその両側に、キャニスタの中間点と下方端部の間に設けられる。枢軸40はそれぞれ、軸方向に延出する短いベース41と、ベースの下方端部に向かって半径方向外向きに突出する拡大された円形のヘッド42とを備える。ヘッド42は、平坦な外面46と、内向きに先細になったまたは角度が付けられた下部面48とを含んでおり、この下部面がヘッドの周りにリップを形成し、ヘッド42をベース41に相互接続する。枢軸40はそれぞれ、ヘッド42に相互接続され、面42と同一面上(共面)にある面延長部50を有しており、すなわち面延長部50の外径は、ヘッド42と同一である。面延長部50の側部は、51のところで先細にされるまたは角度が付けられ、各面延長部は、ヘッド42からキャニスタの開放端部に向かってキャニスタの側面に沿って軸方向の短い距離に延在する。以下に説明するように、フィルタがブラケットに設置される際、ベース41の面延長部50がブラケット14の側壁16に対する立ち上がりを形成する。
【0020】
[0026]一連の角度が付けられたまたは先細になった隆起部が(54として示される)、軸方向に離間した関係で円周方向に延在して、すなわちキャニスタの軸方向の範囲に直交してベース41の片側に設けられ、ブラケット14内にフィルタを位置決めするのを助ける。隆起部54は、フィルタがブラケットに設置される際、この隆起部がブラケットの側壁の内面と係合しフィルタを側壁の間に誘導することができるような外径を有する。隆起部の1つである55が半径方向により大きく突出しており、換言するとそれは他の隆起部よりさらに半径方向外向きに突出しており、以下でさらに詳細に考察するようにブラケット内でフィルタを位置決めしこれを支える隆起部として機能する。
【0021】
[0027]ベース41、ヘッド42および隆起部54は全て、キャニスタを形成する際にこれと一体式に形成することができ、あるいは1つまたは複数の別個の部品で形成され、接着剤または他の接合技術などによって互いにおよび/またはキャニスタに装着されてもよい。
【0022】
[0028]取り付け構造は、一対の可撓性の保持クリップ(58として示される)をさらに含んでおり、やはりキャニスタの外面上に、その中間点とその上方端部の間でその両側に設けられている。クリップ58はそれぞれ、各々の枢軸40と軸方向に概ね整列されており、そこから軸方向に離間させることができる。各保持クリップは、軸方向に延在する可撓性の薄い本体部分60を含んでおり、これはキャニスタの外面に対して概ね平行であり,ベース端部62のところでキャニスタに接続され、キャニスタから半径方向外向きに離間した自由なヘッド端部64まで軸方向に延在する。クリップの自由端64は、クリップを手で適切に操作することによりキャニスタに向けて柔軟に折り曲げることが可能である。この操作を容易にするために平坦な外面を有する解放タブ66がクリップのヘッド端部に設けられ、これは本体部分60の範囲に対して概ね直交して突出している。
【0023】
[0029]各々のタブ66のほぼ中心に半径方向の突起68が設けられており、これはクリップの軸に沿って概ね短い距離に延在している。半径方向の突起68によって保持リングをブラケットの各々の側壁に対してロック固定し、これにより以下に記載するようにフィルタをブラケットに対して保持することができる。
【0024】
[0030]最後に各タブ66に対して軸方向に離間した関係でタブとキャニスタの上方端部の間に半径方向の立ち上がり72が設けられ、これはタブ66と同じ半径方向の距離(突起の分を引いた)だけ半径方向外向きに突出している。以下に記載するように立ち上がり72があることによって、ブラケット14の側壁16がクリップ60をキャニスタの面に対して完璧に屈曲しないようにする、すなわちフィルタがブラケットに設置されてからも、クリップの自由端がキャニスタの外面から幾分離間した状態に保たれることで、やはり以下により完璧に記載されるように、フィルタをブラケットとのそのロック位置から解放させることを望む場合にクリップを操作することが可能になる。
【0025】
[0031]クリップ58、タブ66および立ち上がり72もまたキャニスタを形成する際にこれと一体式に形成することができ、あるいは1つまたは複数の別個の部品で形成され、それらを接着剤または他の接合技術などによって互いにおよび/またはキャニスタに装着されてもよい。
【0026】
[0032]ここで図5を参照するとブラケット14は、開口部80、あるいはブラケットを例えばエンジンブロックまたはエンジンルームなどの適切な支持面に装着するための他の手段を備えた平坦な本体79を含む。ブラケットの側壁16は、本体79の両側に沿って互いからそれぞれ離間されており、互いに対して概ね平行にかつ本体79に直交して伸びている。側壁16の間隔は、フィルタのキャニスタがそれらの間に概ね緊密に収容されるようなものである。側壁16はそれぞれ84として示されるフック型のスロットを含んでおり、それらは側壁の側縁部に沿ってその下方端部へと向かい、概ねブラケットの上方端部に向かって開放している。側壁はそれぞれのスロットの下方縁部の周囲で先細になったまたは丸みが付けられた面86と、それぞれのスロットの上方縁部の周囲で先細になったまたは丸みが付けられた面87とを有し、この開口は、ヘッド42(図4)の下の領域で枢軸のベース41を収容するように寸法が決められている。
【0027】
[0033]開口84から軸方向上向きに細いスロット88が設けられており、これは本体79に向かって内向きに、すなわち本体の長手軸に対して水平方向に側壁の側縁部から延出している。スロット88があることによって、フィルタがブラケットに設置される際、側壁が屈曲して緊密にフィルタを収容することができるように側壁に若干の可撓性が与えられる。フィルタがブラケットと組み立てられるその位置へと枢動され、隆起部54、詳細には位置決め用の隆起部55が側壁の間に収容されたときに側壁が概ね合致する。
【0028】
[0034]次にスロット88から軸方向上向きにこの側壁上でブラケットの側壁の上方端部に向かって軸方向スロット90または隆起部などの他の適切な幾何学形状が設けられ、スロット90は、クリップのタブにある突起68(図4)を収容するように寸法が決められている。スロット90または他の幾何学形状によって、以下に記載するように、フィルタがブラケットに設置される際にフィルタの上方端部をブラケットに対して保持する受け具が形成される。
【0029】
[0035]最後に各側壁は丸みが付けられて切り取られた肩部分92を含んでおり、この部分は、フィルタがフィルタヘッドに設置される際、上方端部キャップの入り口および出口ポート30、31(図1)を受けるように概ね寸法と位置が決められている。
【0030】
[0036]図6に示されるようにフィルタをブラケットに接続する際、最初にフィルタをブラケットに挿入することで、枢軸40がそれぞれ対応するスロット84内に収容される。スロット84が枢軸のベースを収容し、フィルタがブラケットに設置されている間、すなわちフィルタがブラケットの本体に対して軸方向に整列され、これとほぼ同一面になったとき、フィルタをこの支持部を中心として枢動させることができる。各々のヘッド42の先細になった内側のリップ面と、対応するスロット84の先細になったまたは丸みが付けられた下部面によって、枢軸をスロットに合わせて位置決めするのが容易になる。フィルタが枢動される際、各枢軸のベースにある延長された位置決め隆起部55によってフィルタが側壁16の間に誘導される。その後、ヘッド42がスロット84の下部にある丸みが付けられた縁部86によって緊密に収容されこれに支持される(事実上側壁を内側に引っ張りながら)のと同調して、ベースの突起50の先細になった側部51が、スロット84の丸みが付けられた上部面87に当たって(事実上側壁を外向きに押しながら)内側に進むとき、この突起が側壁の内面と係合し、フィルタがブラケットに完全に設置される際(例えば図1に示されるように)、フィルタの下方端部がこれによりブラケットに接してしっかりと保持される。
【0031】
[0037]フィルタがブラケットと位置合わせされる際、フィルタ上の保持クリップ58が側壁の間に収容され、突起68が側壁と係合しこの突起が側壁内にある対応するスロット90内に進むまでクリップをわずかに内側に押しやる。タブ66は外から接触できる状態を維持しており、ブラケットの側壁から外向きに突出している。クリップに隣接する立ち上がり72によってフィルタの上方端部が側壁の間で適切に中心にくるように維持され、側壁が各クリップをキャニスタに対して平らになるように屈曲させるのを阻止する。突起68がひとたびその各々のスロット90に入ると、クリップが外向きに撓み、フィルタがブラケットに対してその水平の設置方向でロック固定される。フィルタをブラケットの本体にもたれさせて支持することも可能であるが、位置決め隆起部55を含む枢軸40と、保持クリップ58とを備えた接続機構が、フィルタが本体にもたれて支持されているかどうかに関わらずフィルタをブラケットに対してしっかりと保持するため、フィルタをブラケットの本体から外向きに短い距離のところで保持することも可能である。その後、フィルタの入り口ポート31と出口ポート32にホースを接続して、フィルタを流体システム内に流体接続することができる。
【0032】
[0038]フィルタを流体システムから取り外すには、ホースを取り外して、クリップのタブ66に接近してそれを内側に押し下げて突起68をスロット90との係合状態から外すように移動させることができ、タブ66はフィルタを図6の位置に枢動できるようにし、この位置においてフィルタをブラケットから上方向および外向きに持ち上げることができる。フィルタが、ブラケットまたは隣接する支持面に底をつけたキャニスタの端部に妨害されずに十分に枢動することができるように、枢軸40はフィルタのキャニスタ上で概ね位置が決められる。さらに保持クリップの立ち上がり72がクリップをキャニスタから一定の距離のところに維持することで、それらを後で押し下げることによってフィルタをブラケットから取り外すことができる。
【0033】
[0039]独立型のブラケットに設置され、ブラケットがその後、エンジンブロックまたはエンジンルームなどの適切な場所に設置されるフィルタを上記に記載してきたが、このようなブラケットをエンジンまたはエンジンルームあるいは他の支持面と一体式の部品として組み込むことも可能であることを理解すべきである。このような場合ブラケットの本体は、エンジン、エンジンルームまたは他の支持面の一部であってよい。加えて上記の取り付け構造を、リップ48を備えた拡大されたヘッド42および延長部50、隆起部54および位置決め隆起部55を含む枢軸40と、タブ66と突起68を含む保持クリップ58を組み合わせたものを含むように記載してきたが、枢軸および/または保持クリップにある1つまたは複数のこれらの構成要素がフィルタの片側または両側にない場合もあり、それでもなおフィルタ12をブラケット14に設置することは可能であることを理解されたい。
【0034】
[0040]図7を参照すると、使用済みフィルタ12’がシステムから取り出された後、この使用済みフィルタを未使用のフィルタ12”と交換することが望ましく、使用済みフィルタの入り口ポート30にキャップ100が配置される。その後、使用済みフィルタ12’の出口ポート32に短い接続管102が配置され、未使用のフィルタ12”の入り口ポート30に接続される。使用済みフィルタ12’はその後、示されるように逆さにされ、使用済みフィルタの配水管23(このときその上方端部にある)が開放されて使用済みフィルタの中に空気が入るようにする。使用済みフィルタ12’の中に空気が進入する際、使用済みフィルタの中の流体が重力によって排出され、未使用のフィルタ12”へと流れ込む。使用済みフィルタの清潔な側の流体は出口ポートから直接排出され、この要素の「汚れた」側の流体はこの媒体を通過し、その後、出口ポートから排出される。流体は基本的に未使用のフィルタを満たし、フィルタ内の空気を出口32から外に追い出してフィルタから完全に空気を抜く。2つのフィルタの容積は基本的に同じであるため、流体は未使用のフィルタの出口ポート32から外には流れ出ないはずである。
【0035】
[0041]使用済みフィルタ12’が完全に空になると、未使用のフィルタからコネクタ102が外され、上記に記載するように未使用のフィルタをブラケットに設置することができる。空になった使用済みフィルタはその後、埋め立て地または他のごみ廃棄施設に廃棄することができる。
【0036】
[0042]本発明の原理、好ましい実施形態および作動モードを上記の明細書の中で記載してきた。本発明は本明細書で保護されることを目的としているが、それは限定ではなく例示とみなされるべきであるため記載される特定の形態に限定されるものと解釈すべきではない。当業者であれば添付の特許請求の範囲に記載される本発明の範囲および精神から逸脱することなく変形および変更を行なうことが可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィルタ(12”)から空気を抜く方法において、前記フィルタ(12”)は、下方端部(20)に配水管(23)を有する筐体(18)の中に入れられたフィルタ要素(24)を有し、前記筐体(18)が上端部(20)に入り口ポート(30)および出口ポート(32)を含むことで流体を前記筐体(18)内におよびそこから外に誘導し、未使用のフィルタの中の前記フィルタ要素(24)が、前記フィルタがこの媒体を通過する流体の流れの中の微粒子および他の汚染物質を除去するうちに経時的に消費されていく方法であって、i)使用済みフィルタ(12’)の入り口ポート(3)を閉鎖し前記使用済みフィルタ(12’)の前記出口ポート(32)を未使用のフィルタ(12”)の前記入り口ポート(30)に接続するステップと、ii)前記使用済みフィルタ(12’)を逆さにするステップと、iii)前記逆さにされた使用済みフィルタ(12’)の前記配水管(23)を開放して前記使用済みフィルタ(12”)の中の流体を重力によって前記未使用のフィルタ(12”)へと排出させることができ、これにより前記未使用のフィルタの中の空気を前記未使用のフィルタ(12”)の前記出口ポート(32)から追い出すステップと、iv)前記使用済みフィルタ(12”)を前記未使用のフィルタ(12”)から切り離すステップとを含む方法。
【請求項2】
前記使用済みフィルタ(12’)が1本の管(102)によって前記未使用のフィルタに接続される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記使用済みフィルタ(12’)が挿入されないうちに、最初にキャップ(100)を配置することで、前記使用済みフィルタ(12”)の前記入り口ポート(30)を閉鎖する、請求項1に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2012−528276(P2012−528276A)
【公表日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−513080(P2012−513080)
【出願日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際出願番号】PCT/US2010/031969
【国際公開番号】WO2010/138261
【国際公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【出願人】(598057523)パーカー・ハニフィン・コーポレーション (18)
【Fターム(参考)】