説明

フィルタユニット

【課題】 ハウジングへの嵌合性を確保でき、ハウジングに装着した際のガタツキを防止でき、さらにエアーリークを効果的に防止することができるフィルタユニットを提供することを目的とする。
【解決手段】 本発明のフィルタユニットは、濾過材と、該濾過材の周囲に接合され、ハウジングに装着するための枠材とを有するフィルタユニットにおいて、前記枠材は、厚みが1〜10mmであり、JIS L 1096に基づいて測定した圧縮率が10〜90%であり、かつ圧縮弾性率が50%以上であることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は各種空気清浄機や流体処理装置に用いられるフィルタユニットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車エンジン吸気用クリーナーや空気清浄器に用いられるフィルタユニットは、濾過材と、該濾過材の周囲に接合され、ハウジングに装着するための枠材とを有している。
【0003】
フィルタユニットの濾過材としては、これまで様々なものが提案されている。例えば、特許文献1では、繊維層、中間繊維層、及びシート状スパンボンド型繊維層がニードルパンチ加工により一体化されており、かつこの一体の繊維層に樹脂接着剤を付着してなる空気清浄器用濾材が開示されている。
【0004】
また、特許文献2では、厚さ方向に連続的充填密度勾配を有する不織布層と、厚さ方向の充填密度が実質的に均一な不織布層とを粒子状接着剤を用いて相互に重ね合わせてなるエアーフィルター用濾材が開示されている。
【0005】
また、特許文献3では、空気流入側の粗層部から空気流出側の密層部へと密度勾配を有した、2層以上の繊維層からなり、樹脂接着剤により付着させてなるエアーフィルター用濾材が開示されている。
【0006】
また、特許文献4では、接着繊維と被接着繊維により構成され、処理流体の流入側より流出側に向かって平均デニールが太いものから細いものになるよう2層以上の繊維層が積層され、細い繊維層側からのニードルパンチ加工により構成繊維が互いに絡着された一体型の密度勾配型不織布であって、流体流入側の繊維層が構成繊維の平均デニール4〜12デニール、空隙率95〜99%で、流体流出側の繊維層が構成繊維の平均デニール0.6〜3デニール、繊維密度0.07〜0.35g/ccであり、かつ前記不織布を構成する各繊維層は接着繊維が溶融開始する温度以上の温度で厚さ方向に全体に加熱処理されて接着繊維により被接着繊維が固着されている不織布が開示されている。
【0007】
一方、フィルタユニットの枠材は、例えば、図1の3、図2の3に相当する部分であり、フィルタユニットの剛性の確保、フィルタユニットを収めるハウジングとの嵌合性の確保、及びエアーのリーク防止という重要な役割を果たしている。
【0008】
例えば、特許文献5では、波状板と該波状板の側面を閉塞する側面板とからなる濾過部と、該濾過部の外周縁に配設したツバ部とを有するフィルタが開示されている。
【0009】
従来のフィルタユニットの枠材は、フィルタユニットを収めるハウジングとのガタツキ防止及び嵌合性の確保、エアーリーク防止のために、ハウジングにフィルタユニットを引っ掛けるツメを設けるなど特殊な形状にしたり、枠材の外側にウレタンシートを貼り付けるなどの対策が必要であった。しかし、これら対策はコスト高につながるため、枠材自体が前記機能を有するフィルタユニット用枠材の開発が求められていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特公昭59−23847号公報
【特許文献2】特公平2−45484号公報
【特許文献3】特開平4−59007号公報
【特許文献4】特開平10−180023号公報
【特許文献5】特開平8−24546号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、ハウジングへの嵌合性を確保でき、ハウジングに装着した際のガタツキを防止でき、さらにエアーリークを効果的に防止することができるフィルタユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、以下に示すフィルタユニットにより上記目的を達成できることを見出し本発明を完成するに至った。
【0013】
即ち本発明は、濾過材と、該濾過材の周囲に接合され、ハウジングに装着するための枠材とを有するフィルタユニットにおいて、
前記枠材は、厚みが1〜10mmであり、JIS L 1096に基づいて測定した圧縮率が10〜90%であり、かつ圧縮弾性率が50%以上であることを特徴とするフィルタユニット、に関する。
【0014】
前記枠材は、繊維密度が異なる2層以上の繊維層がその構成繊維により互いに絡着しており、かつ最外側の繊維層から最内側の繊維層に向かって各層の構成繊維の平均デニールが細くなるように繊維層が積層されている一体型の密度勾配型不織布からなり、
前記各繊維層は、100〜220℃で溶融開始する接着繊維を20%以上含み、残りが前記接着繊維の溶融開始温度より30℃以上高温の融点を有する被接着繊維で構成されており、これら繊維が混繊し、かつ加熱処理により接着繊維と被接着繊維とが固着した構造を有しており、
前記最外側の繊維層は、構成繊維の平均デニールが4〜12デニール、かつ空隙率が95〜99%であり、
前記最内側の繊維層は、構成繊維の平均デニールが0.6〜3デニール、かつ繊維密度が0.07〜0.35g/ccであることが好ましい。
【0015】
前記枠材において、密度勾配型不織布の濾過材と接合される側の表面は、熱盤又は熱ロールによって接触加熱処理されていることが好ましい。
【0016】
また、別の前記枠材は、繊維密度が異なる2層以上の繊維層がその構成繊維により互いに絡着しており、かつ最外側の繊維層から最内側の繊維層に向かって各層の構成繊維の平均デニールが細くなるように繊維層が積層されている一体型の密度勾配型不織布からなり、
前記各繊維層は、100〜220℃で溶融開始する接着繊維を20%以上含み、残りが前記接着繊維の溶融開始温度より30℃以上高温の融点を有する被接着繊維で構成されており、かつこれら繊維が混繊した構造を有しており、
前記最外側の繊維層は、構成繊維の平均デニールが4〜12デニール、かつ空隙率が95〜99%であり、
前記最内側の繊維層は、構成繊維の平均デニールが0.6〜3デニール、かつ繊維密度が0.07〜0.35g/ccであり、
前記密度勾配型不織布の濾過材と接合される側の表面は、熱盤又は熱ロールによって接触加熱処理されているものであってもよい。
【0017】
前記接着繊維は高融点成分と低融点成分からなる複合繊維であることが好ましく、その場合、高融点成分はポリエステルであり、低融点成分は変成ポリエステルであることが好ましい。また、前記変成ポリエステルは結晶性ポリエステルであることが好ましい。
【0018】
一方、前記接着繊維はポリプロピレン繊維であってもよい。
【0019】
さらに本発明は、前記フィルタユニットをハウジングに装着する際に、枠材の厚みを10%以上圧縮して装着することを特徴とするフィルタユニットの装着方法、に関する。
【発明の効果】
【0020】
従来の枠材は、剛性を確保できてもハウジングとの嵌合性が悪かったり、または厚み方向にクッション性を有しても剛性が低いためエアーリークを防止できなかったり、剛性とクッション性を両立させることが困難であった。
【0021】
本発明のフィルタユニットの枠材は、従来のものに比べて嵩高く、圧縮率が10〜90%であり、かつ圧縮弾性率が50%以上であるため、十分な剛性と厚み方向に適度なクッション性を有しており、それによりハウジングへの嵌合性を確保でき、ハウジングに装着した際のガタツキを防止でき、さらにエアーリークを効果的に防止することができる。
【0022】
また、枠材として前記密度勾配型不織布を用いることにより、濾過材側(内側)の繊維層に剛性を付与し、ハウジング側(外側)の繊維層にクッション性を付与することができ、枠材に求められる機能を最適化することができる。それにより前記効果がより優れたフィルタユニットが得られる。
【0023】
また、密度勾配型不織布の各繊維層において、接着繊維と被接着繊維とを混繊し、かつ加熱処理により接着繊維と被接着繊維とを固着することにより、枠材に十分な剛性を付与することができる。また、従来の枠材は、剛性を付与するために樹脂接着剤(バインダー)を使用しており、VOC(揮発性有機物)が発散するため問題となっていたが、本発明のように加熱処理により接着繊維と被接着繊維とを固着する方法を採用することにより、従来の問題を解決することができる。
【0024】
また、密度勾配型不織布の濾過材側の表面を熱盤又は熱ロールによって接触加熱処理することにより、繊維の毛羽立ちを防止し、表面の繊維密度を高めることができる。それにより、濾過材側の繊維層の剛性をより高くすることができ、フィルタユニットのハウジングへの嵌合性を確保しやすくなる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】フィルタユニットの構造を示す概略図である。
【図2】他のフィルタユニットの構造を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明のフィルタユニットは、濾過材と、該濾過材の周囲に接合され、ハウジングに装着するための枠材とを有する。
【0027】
枠材は、厚みが1〜10mmであり、JIS L 1096に基づいて測定した圧縮率が10〜90%であり、かつ圧縮弾性率が50%以上であるものを用いる。厚みは2〜5mmであることが好ましい。また、圧縮率は15〜60%であることが好ましく、圧縮弾性率は70%以上であることが好ましい。
【0028】
枠材の材料としては、上記条件を満たすものであれば特に制限されないが、繊維密度が異なる2層以上の繊維層がその構成繊維により互いに絡着しており、かつ最外側(ハウジングに接触させる側)の繊維層から最内側(濾過材に接合させる側)の繊維層に向かって各層の構成繊維の平均デニールが細くなるように繊維層が積層されている一体型の密度勾配型不織布を用いることが好ましい。
【0029】
最外側の繊維層は、構成繊維の平均デニールが4〜12デニール、かつ空隙率が95〜99%であることが好ましい。また、最内側の繊維層は、構成繊維の平均デニールが0.6〜3デニール、かつ繊維密度が0.07〜0.35g/ccであることが好ましい。繊維径、空隙率、及び繊維密度を前記範囲に調整することにより、フィルタユニットの剛性を確保でき、ハウジングへの嵌合性も確保でき、さらにエアーリークを効果的に防止することができる。
【0030】
前記密度勾配型不織布は、粗層(最外側の繊維層)、中間層、及び密層(最内側の繊維層)の3層の繊維層から構成されていることがより好ましい。その場、粗層の厚みは総厚みの10〜50%、密層の厚みは総厚みの10〜30%であることが好ましい。また、粗層の構成繊維の平均デニールは4〜12デニール、密層の構成繊維の平均デニールは0.6〜3デニールであることが好ましい。また、粗層の繊維密度は0.005〜0.1g/cc、密層の繊維密度は0.07〜0.35g/ccであることが好ましい。また、粗層の空隙率は95〜99%、密層の空隙率は70〜97%であることが好ましい。
【0031】
前記各繊維層は、樹脂接着剤等のバインダーを含有していない。また、前記各繊維層は、100〜220℃で溶融開始する接着繊維を20%以上含み、残りが前記接着繊維の溶融開始温度より30℃以上高温の融点を有する被接着繊維で構成されており、これら繊維が混繊した構造を有することが好ましい。なお、接着繊維及び/又は被接着繊維が2種以上の構成繊維からなる複合繊維である場合には、前記溶融開始温度及び融点は、各構成繊維の中で最も低い値をいう。
【0032】
接着繊維が、繊維層中に20%未満の場合には、十分な強度の確保が困難になる。また、接着繊維の配合比率の上限は特に制限されないが、加工性やコストの面から80%以下であることが好ましい。
【0033】
接着繊維は、ポリプロピレン繊維、ポリエチレン繊維、又はエチレン−酢酸ビニル共重合体繊維などの単一繊維でもよいが、融点が120〜200℃の高融点成分と融点が100〜150℃の低融点成分の2成分からなる複合繊維が好ましい。当該複合繊維としては、サイドバイサイド型複合繊維と芯鞘型複合繊維があり何れでもよい。特に、高融点成分を芯とし、低融点成分を鞘とする芯鞘型複合繊維が好ましい。この場合、低融点成分と高融点成分の組み合わせとしては、例えば、ポリエチレンとポリプロピレン、6ナイロンと66ナイロン、変性ポリエステルとポリエステル等が挙げられるが、加工性及び難燃性に優れるという観点から変性ポリエステルとポリエステルの組み合わせが最も好ましい。また、この組み合わせの場合、FMVSS 302燃焼性試験において難燃性が認められるため、これら材料から作製される枠材は自動車用途にも好適に用いられる。変性ポリエステルは非結晶性、結晶性のいずれでもよいが、枠材に耐熱性が要求される場合は結晶性のものが好ましい。
【0034】
被接着繊維は、接着繊維の溶融開始温度より30℃以上高温の融点を有する繊維であれば特に限定されないが、ナイロン等のポリアミド系繊維、ポリエステル繊維、又はポリプロピレン繊維が好ましい。
【0035】
本発明の密度勾配型不織布は、例えば、上記繊維からなる繊維層を2層以上積層し、ニードルパンチ加工等によって各層の構成繊維を互いに絡着させ、一体化させることにより作製することができる。繊維層の積層にあたっては、フィルタユニットにした際に、最外側(ハウジング側)の繊維層から最内側(濾過材側)の繊維層に向かって各層の構成繊維の平均デニールが細くなるように繊維層を積層することが好ましい。
【0036】
ニードルパンチ加工は、細い平均デニールの繊維層(最内側の繊維層)からニードルパンチすることが有効である。ニードルパンチ加工は通常の打込み本数でよく、特に制限されるものではないが、好ましくは30〜80本/cm、より好ましくは45〜55本/cmである。
【0037】
その後、ニードルパンチ加工が施された積層繊維層を、接着繊維の溶融開始温度以上の温度で加熱処理して各繊維層の接着繊維を溶融させ、接着繊維と被接着繊維とを固着して密度勾配型不織布を作製することが好ましい。接着繊維の溶融による被接着繊維の固着であるため、別途、樹脂接着剤(バインダー)を使用する必要はない。したがって、従来の枠材は樹脂接着剤に由来するVOC(揮発性有機物)の発散が問題となっていたが、本発明の方法を採用することにより、この問題を解決することができる。
【0038】
さらに、任意の工程として、密度勾配型不織布の濾過材と接合される側の表面を、熱盤又は熱ロールによって接触加熱処理してもよい。接触加熱処理することにより、当該表面の平滑性及び繊維密度を高めることができる。それにより、濾過材側の繊維層の剛性をより高くすることができるため、フィルタユニットのハウジングへの嵌合性を確保しやすくなる。また、当該表面は、濾過材との接合面であるため、平滑性を高めることにより加工性及び接着性が向上する。当該表面の平滑性が低い場合には、濾過材を接合する際に用いるホットメルト接着剤等が枠材に染み込みやすくなったり、濾過材を正確な位置に接合することが困難になる傾向にある。接触加熱処理する際の熱盤等の温度は特に制限されないが、接着繊維の溶融開始温度以上の温度であることが好ましい。
【0039】
一方、密度勾配型不織布は、前記加熱処理を施さずに、前記接触加熱処理のみを施したものであってもよい。濾過材と接合される側の表面を接触加熱処理することにより当該表面の平滑性及び繊維密度を高め、かつ最外側(ハウジング側)の繊維層中の接着繊維と被接着繊維とを固着しないことで高いクッション性を付与することにより、フィルタユニットのハウジングへの嵌合性を確保できると共に、エアーリークを効果的に防止することができる。
【0040】
密度勾配型不織布の大きさは、使用する濾過材の大きさに適合するように適宜調整されるが、通常、縦0.5〜100cm、横0.5〜100cm程度である。
【0041】
本発明の濾過材は、公知のものを特に制限なく使用することができる。例えば、平面シート状の不織布、波板状の不織布などが挙げられる。
【0042】
本発明のフィルタユニットは、前記濾過材の周囲にホットメルト接着剤などの接着剤を用いて枠材を接合することにより作製することができる。枠材を接合する際には、密度勾配型不織布の平均デニールが細い繊維層側(接触加熱処理された面)を濾過材に接合する。
【0043】
本発明のフィルタユニットは、各種空気清浄機、流体処理装置のハウジングに装着(嵌合)して使用される。装着する際には、枠材の厚みを10%以上圧縮して装着することが好ましく、より好ましくは20〜70%である。圧縮が10%未満の場合には、エアーリークを防止することが困難になる。
【実施例】
【0044】
以下、本発明を実施例を上げて説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0045】
[測定、評価方法]
(圧縮率の測定)
作製した密度勾配型不織布の圧縮率は、JIS L 1096に準拠して、標準圧力0.196kPaの条件で測定した。
【0046】
(圧縮弾性率の測定)
作製した密度勾配型不織布の圧縮弾性率は、JIS L 1096に準拠して、標準圧力0.196kPaの条件で測定した。
【0047】
製造例1〜8
密度勾配型不織布を作製するための繊維層の各構成を表1及び2に示す。
【0048】
【表1】

【0049】
【表2】

【0050】
実施例1
製造例1の3つの繊維層を粗層、中間層、密層の順に積層し、密層側から深さ11mm、打ち込み本数50本/cmでニードルパンチして一体化した後、200℃熱風のピンテンター式熱処理機で1分間加熱処理し、冷却して密度勾配型不織布からなる枠材(縦2cm、横15cm)を作製した。その後、ホットメルト接着剤を用いて、波板状の不織布(濾過材)の周囲に前記枠材の密層側を貼り合せてフィルタユニットを作製した。
【0051】
実施例2
製造例2の3つの繊維層を粗層、中間層、密層の順に積層し、密層側から深さ11mm、打ち込み本数50本/cmでニードルパンチして一体化した後、200℃熱風のピンテンター式熱処理機で1分間加熱処理し、冷却した。その後、密層面側を表面温度220℃の熱ロールに接触させ、粗層面側は常温のロールに接触させ、ロール間クリアランスを2mmにしてカレンダー処理し、冷却して密度勾配型不織布からなる枠材(縦2cm、横15cm)を作製した。その後、ホットメルト接着剤を用いて、波板状の不織布(濾過材)の周囲に前記枠材の密層側を貼り合せてフィルタユニットを作製した。
【0052】
実施例3
製造例3の3つの繊維層を粗層、中間層、密層の順に積層し、密層側から深さ11mm、打ち込み本数50本/cmでニードルパンチして一体化した後、130℃熱風のピンテンター式熱処理機で1分間加熱処理し、冷却した。その後、密層面側を表面温度150℃の熱ロールに接触させ、粗層面側は常温のロールに接触させ、ロール間クリアランスを2mmにしてカレンダー処理し、冷却して密度勾配型不織布からなる枠材(縦2cm、横15cm)を作製した。その後、ホットメルト接着剤を用いて、波板状の不織布(濾過材)の周囲に前記枠材の密層側を貼り合せてフィルタユニットを作製した。
【0053】
実施例4
製造例4の3つの繊維層を粗層、中間層、密層の順に積層し、密層側から深さ11mm、打ち込み本数50本/cmでニードルパンチして一体化した後、225℃熱風のピンテンター式熱処理機で2分間加熱処理し、冷却した。その後、密層面側を表面温度237℃の熱ロールに接触させ、粗層面側は常温のロールに接触させ、ロール間クリアランスを2mmにしてカレンダー処理し、冷却して密度勾配型不織布からなる枠材(縦2cm、横15cm)を作製した。その後、ホットメルト接着剤を用いて、波板状の不織布(濾過材)の周囲に前記枠材の密層側を貼り合せてフィルタユニットを作製した。
【0054】
実施例5
製造例5の3つの繊維層を粗層、中間層、密層の順に積層し、密層側から深さ11mm、打ち込み本数50本/cmでニードルパンチして一体化した後、200℃熱風のピンテンター式熱処理機で3分間加熱処理し、冷却した。その後、密層面側を表面温度220℃の熱ロールに接触させ、粗層面側は常温のロールに接触させ、ロール間クリアランスを2mmにしてカレンダー処理し、冷却して密度勾配型不織布からなる枠材(縦2cm、横15cm)を作製した。その後、ホットメルト接着剤を用いて、波板状の不織布(濾過材)の周囲に前記枠材の密層側を貼り合せてフィルタユニットを作製した。
【0055】
実施例6
製造例6の3つの繊維層を用いた以外は実施例5と同様の方法でフィルタユニットを作製した。
【0056】
実施例7
製造例7の3つの繊維層を用いた以外は実施例1と同様の方法でフィルタユニットを作製した。
【0057】
実施例8
製造例8の3つの繊維層を用いた以外は実施例2と同様の方法でフィルタユニットを作製した。
【0058】
比較例1
目付け100g/mのPETサーマルボンドに定法にてアクリル樹脂含浸加工を施し、目付け130g/mの枠材(縦2cm、横15cm)を作製した。その後、ホットメルト接着剤を用いて、波板状の不織布(濾過材)の周囲に前記枠材を貼り合せてフィルタユニットを作製した。
【0059】
【表3】

【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明のフィルタユニットは、ハウジングへの嵌合性を確保でき、ハウジングに装着した際のガタツキを防止でき、さらにエアーリークを効果的に防止することができるフィルタユニットであり、各種空気清浄機や流体処理装置のハウジングに装着して使用されるものである。
【符号の説明】
【0061】
1:フィルタユニット
2:濾過材
3:枠材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
濾過材と、該濾過材の周囲に接合され、ハウジングに装着するための枠材とを有するフィルタユニットにおいて、
前記枠材は、厚みが1〜10mmであり、JIS L 1096に基づいて測定した圧縮率が10〜90%であり、かつ圧縮弾性率が50%以上であることを特徴とするフィルタユニット。
【請求項2】
前記枠材は、繊維密度が異なる2層以上の繊維層がその構成繊維により互いに絡着しており、かつ最外側の繊維層から最内側の繊維層に向かって各層の構成繊維の平均デニールが細くなるように繊維層が積層されている一体型の密度勾配型不織布からなり、
前記各繊維層は、100〜220℃で溶融開始する接着繊維を20%以上含み、残りが前記接着繊維の溶融開始温度より30℃以上高温の融点を有する被接着繊維で構成されており、これら繊維が混繊し、かつ加熱処理により接着繊維と被接着繊維とが固着した構造を有しており、
前記最外側の繊維層は、構成繊維の平均デニールが4〜12デニール、かつ空隙率が95〜99%であり、
前記最内側の繊維層は、構成繊維の平均デニールが0.6〜3デニール、かつ繊維密度が0.07〜0.35g/ccである請求項1記載のフィルタユニット。
【請求項3】
密度勾配型不織布の濾過材と接合される側の表面は、熱盤又は熱ロールによって接触加熱処理されている請求項2記載のフィルタユニット。
【請求項4】
前記枠材は、繊維密度が異なる2層以上の繊維層がその構成繊維により互いに絡着しており、かつ最外側の繊維層から最内側の繊維層に向かって各層の構成繊維の平均デニールが細くなるように繊維層が積層されている一体型の密度勾配型不織布からなり、
前記各繊維層は、100〜220℃で溶融開始する接着繊維を20%以上含み、残りが前記接着繊維の溶融開始温度より30℃以上高温の融点を有する被接着繊維で構成されており、かつこれら繊維が混繊した構造を有しており、
前記最外側の繊維層は、構成繊維の平均デニールが4〜12デニール、かつ空隙率が95〜99%であり、
前記最内側の繊維層は、構成繊維の平均デニールが0.6〜3デニール、かつ繊維密度が0.07〜0.35g/ccであり、
前記密度勾配型不織布の濾過材と接合される側の表面は、熱盤又は熱ロールによって接触加熱処理されている請求項1記載のフィルタユニット。
【請求項5】
接着繊維が高融点成分と低融点成分からなる複合繊維である請求項2〜4のいずれかに記載のフィルタユニット。
【請求項6】
高融点成分がポリエステルであり、低融点成分が変成ポリエステルである請求項5記載のフィルタユニット。
【請求項7】
変成ポリエステルが結晶性ポリエステルである請求項6記載のフィルタユニット。
【請求項8】
接着繊維がポリプロピレン繊維である請求項2〜4のいずれかに記載のフィルタユニット。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれかに記載のフィルタユニットをハウジングに装着する際に、枠材の厚みを10%以上圧縮して装着することを特徴とするフィルタユニットの装着方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−177631(P2011−177631A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−43277(P2010−43277)
【出願日】平成22年2月26日(2010.2.26)
【出願人】(391021570)呉羽テック株式会社 (57)
【出願人】(000003160)東洋紡績株式会社 (3,622)
【Fターム(参考)】