説明

フィルター・ファイバーに基づくカスケード・ラマン・ファイバー・レーザー・システム

光発生および増幅システムは、目標波長よりも長い波長で不要なストークス次数を抑制する屈折率プロファイルを有しかつそれの動作波長にわたって正常分散を有するある長さのレーザー活性フィルター・ファイバーを含む。反射体の入れ子状並びは、ファイバーの入力端および出力端に提供され、近似的にそれぞれのストークス・シフトだけ波長において隔てられる、ラマン空胴の入れ子状並びを提供するように構成される。その並びでの第1の空胴は、選択された第1の波長でイオン利得および帰還の組合せに起因してレーザー発振を提供し、第1の波長でのシフトがラマン散乱閾値を超えるエネルギーを有するときは、第1の波長の第1のストークス・シフトでの光にラマン利得を提供する、組み合わされた空胴である。ラマン空胴は、第1の波長と目標波長との間の段階的推移を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2009年5月11日に出願された米国仮特許出願第61/177,058号の優先権の便益を主張するものであり、それは、本出願の譲受人によって所有され、参照によりそれの全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は一般に、光ファイバー・デバイスおよび方法に関し、詳しくは、フィルター・ファイバーに基づく、改善されたカスケード・ラマン・ファイバー・レーザー・システムに関する。
【背景技術】
【0003】
カスケード・ラマン・ファイバー・レーザー(CRFL)は、希土類イオン利得が利用できない波長でレーザー出力を発生させるのに有用なデバイスである。CRFLは、開始波長から選択された目標波長までの段階的推移を提供する。段階的推移は、適切なラマン利得媒質での1つまたは多重ラマン次数のカスケード・レーザー発振を通じて生成される。ラマン空胴の入れ子状並び(nested series)は、例えば対応するインライン反射回折格子対の入れ子状並びによって利得媒質中に作り出される。その並びでの各連続する空胴は、先行する空胴でのラマン散乱によって導入されるそれぞれのラマン・ストークス・シフトだけ先行する空胴から波長において隔てられる。CRFLは典型的には、クラッド励起Yb添加ファイバー・レーザーなどの、高パワー連続波(CW)レーザーを使用して励起される。
【0004】
図1は、1480nmで41Wのパワーのシステム出力が実証された、現在のCRFLシステム構成20の略図である。単一モード1480nmシステム出力70は、エルビウム添加ファイバー・レーザー(EDFL)またはエルビウム添加ファイバー増幅器(EDFA)のコア励起のための高パワー・ポンプとしての使用に適している。図1で示されるように、システム20は、2つの段、すなわちモノリシックYb添加ファイバー・レーザー40およびカスケード・ラマン共振器(CRR)60を備える。
【0005】
レーザー40では、活性利得媒質は、1000nmから1200nmの範囲で動作するある長さの二重クラッドYb添加ファイバー42によって提供される。高反射体回折格子HR1は、ファイバー42の入力端44に提供され、出力カプラー回折格子OC1は、ファイバー42の出力端46に提供される。高反射体HR1、出力カプラーOC1、およびファイバー42は、レーザー空胴48として機能する。励起パワーは、テーパー状ファイバー束TFB1を用いてファイバー42に結合される複数のポンプ50、例えば多重モード915nmまたは975nmダイオード・レーザーによってファイバー42に提供される。本例では、レーザー出力52は、1117nmの波長での単一モード放射である。
【0006】
レーザー出力52は、励起パワー入力をカスケード・ラマン共振器60に送り出すために使用される。共振器60は、小さな有効面積および正常分散を有するラマン活性ファイバー62を備える。正常分散は、高パワーでスーパーコンティニューム(supercontinuum)発生につながることになる変調不安定性を防止する。小さな有効面積は、高ラマン利得につながり、その結果、多重ストークス次数を発生させることができる。
【0007】
第1の複数の高反射体回折格子HR2〜HR6は、ラマン・ファイバーの入力端64に提供され、第2の複数の高反射体回折格子HR7〜HR11および出力カプラーOC2は、ラマン・ファイバーの出力端66に提供される。追加の励起反射体は、効率向上のために未使用のYb放射を再循環させる。入力回折格子HR2〜HR6、出力回折格子HR7〜HR11およびOC2、ならびにラマン・ファイバー64は、ラマン空胴の入れ子状並び68を提供する。入れ子状ラマン空胴の各々のそれぞれの波長は、広範囲にわたってストークス・シフトのカスケード並びを生成するように構成されて、1117nmレーザー出力の波長を1480nmの目標波長まで一連のステップで増加させる。出力カプラーOC2は、システム出力70を1480nmの目標波長で提供し、それは次いで、EDFAまたはEDFLを基本モードで励起するために使用できる。
【0008】
従来技術のシステム20は、多数の周知の欠点および制限に悩まされる。
【0009】
最初に、出力パワーを1480nmで41Wまで増加させる場合に、次のストークス次数への、すなわち1590nmでの不要なラマン散乱を避けるために、共振器60でのラマン・ファイバー62の長さを制限することが必要であることが見いだされた。
【0010】
さらに、システム20でのさまざまな波長および位置での多重反射体は、組み合わされて結合空胴を作り出す。1117nmのレーザー波長で3つの反射体、すなわち回折格子HR1、OC1およびHR7があることがわかる。一般にこれは、比較的低パワー(例えば、1480nmで5W出力)で動作するシステムには問題を引き起こさない。しかしながら、最近、ラマン・ファイバー・レーザーのパワー・スケーリングに関する研究が、開始された。上で述べたように、41Wと同じ高さのパワー・レベルが、CRRから実証されている。
【0011】
高パワーが、そのようなシステムから実証されているが、図1でのセットアップの結合空胴の性質は、長期の信頼できる動作に重大な影響を有する。特に、結合空胴は、システムが不安定になり、構成要素に損傷を与えるのに十分高いピーク・パワーを持つパルスを発生させる原因となる可能性がある。レーザー高反射体HR1は特に、恐らくそれを通って伝播する高パワーに起因して、システムでの弱いリンクであることが見いだされており、例えばシステム20を使用してエルビウム添加ファイバー・レーザーまたは増幅器を励起することを含むさまざまな条件の下で機能しなくなることが観察されている。加えて、ラマン・レーザーで発生する中間ストークス次数からの光がYb増幅器および励起ダイオードに伝播して戻る可能性があり、それらが機能しなくなる原因となる。その上、第1のストークス・シフトでの光はなお、Ybの利得帯域幅内にあり、ダイオードに達する前に増幅される。これもまた、有害であることは明らかであろう。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の態様は、高パワーのカスケード・ラマン・レーザー発振のためにイオン利得および非線形利得を併用する、空胴をその中に有するフィルター・ファイバーを含む光増幅システムを対象にする。
【0013】
本発明による例となる光増幅システムは、目標波長よりも長い波長で不要なストークス次数を抑制する屈折率プロファイルを有しかつそれの動作波長にわたって正常分散を有するある長さのレーザー活性フィルター・ファイバーを含む。
【0014】
ラマン空胴の入れ子状並びは、それぞれのストークス・シフトだけ波長において隔てられて提供される。その並びでの第1のラマン空胴は、選択された入力波長での光入力にイオン利得を提供し、その光入力がラマン散乱閾値を超えるエネルギーを有するときは、入力波長の第1のストークス・シフトでの光入力にラマン利得を提供する、組み合わされた空胴である。ラマン空胴の入れ子状並びでの各連続するラマン空胴は、各連続するストークス・シフトでラマン利得を提供する。ラマン空胴の並びはそれによって、入力波長と目標波長との間の段階的推移を提供する。適切な励起パワー源は、励起パワー入力をフィルター・ファイバーに送り出す。
【0015】
動作閾値を低減し、デバイス効率および動作を改善するために、イオン利得を提供するように構成される第1の空胴は、第1およびより高いストークス・シフトでラマン利得を提供するその後の空胴の内側に入れ子状にされる。そのような構造を使うと、第1の利得波長での光は、他の空胴を形成するために使用される要素からの損失に影響されない。
【0016】
本発明による、さらに述べられるシステムでは、単一空胴共振器設計は、主発振器パワー増幅器構成と併せて使用される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】従来技術によるレーザー励起カスケード・ラマン共振器システムの略図である。
【図2】本発明の第1の態様による例となるカスケード・ラマン共振器システムの略図である。
【図3】図2で示されるカスケード・ラマン共振器のための例となる波長およびストークス・シフトを示す表である。
【図4】1000nmから1480nmのカスケード・ラマン散乱のために設計されたフィルター・ファイバーについて測定された損失ならびに測定されたおよび計算された分散をそれぞれ示す一対のグラフである。
【図5】1000nmから1480nmのカスケード・ラマン散乱のために設計されたフィルター・ファイバーについて測定された損失ならびに測定されたおよび計算された分散をそれぞれ示す一対のグラフである。
【図6A】本発明のさらなる態様によるカスケード・ラマン共振器のための例となる主発振器パワー増幅器構成を示す略図である。
【図6B】本発明のさらなる態様によるカスケード・ラマン共振器のための例となる主発振器パワー増幅器構成を示す略図である。
【図7】本発明のさまざまな述べられる態様による全体技術を例示する一対の流れ図である。
【図8A】本発明のさまざまな述べられる態様による全体技術を例示する一対の流れ図である。
【図8B】本発明のさまざまな述べられる態様による全体技術を例示する一対の流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の態様は、カスケード・ラマン共振器(CRR)が高パワーで、例えばおよそ2W以上で励起されるシステムおよび技術を対象にする。
【0019】
上で論じたように、以前の設計は、入れ子状結合空胴から生じる不安定性に悩まされた。1つの可能な解決策は、モノリシック高パワーYbファイバー・レーザーの構成要素が、低パワー発振器に高パワー増幅器を加えたものに分けられる、主発振器パワー増幅器(MOPA)構成を使用することである。MOPA構成は、ファイバー結合アイソレーターまたはフィルター波長分割マルチプレクサー(WDM)などの適切な後方伝播防止デバイスを使用して、発振器が増幅器およびカスケード・ラマン共振器から効果的に分離されることを可能にし、結果的に20W連続波(CW)パワーでの信頼できる動作の能力があるシステムをもたらす。この手法は、2009年5月11日に出願された米国仮特許出願第61/177,058号で述べられており、それは、本出願の譲受人によって所有され、参照によりそれの全体が本明細書に組み込まれる。しかしながら、MOPA手法の1つの潜在的な欠点は、構成要素数の増加である。
【0020】
本発明の態様によると、入れ子状結合空胴の使用から生じる上述の問題は、カスケード・ラマン増幅が特別に設計されたYb添加フィルター・ファイバーに基づく単一空胴レーザーによって提供されるシステム構成の使用を通じて効果的に取り除かれる。現在述べられる「一体化された」単一空胴設計では、カスケード・ラマン共振器および励起パワー源は、単一構造に整理統合される。この手法では、イオン利得は、ドーパント・イオンによって提供され、一方非線形利得は、より長い波長でラマン散乱を介して提供される。入力および出力回折格子のインライン対の並びは、その並びでの各連続する回折格子対のそれぞれの波長が、それぞれのストークス・シフトに近い量だけ先の回折格子対の波長から隔てられる状態で、帰還を提供する。他の手法と比較して、本明細書で述べられる「一体化された」空胴構成は、より少ないファイバーおよびより低い構成要素数でより簡単なセットアップを提供する。
【0021】
図2は、本発明による例となるシステム100の略図を示す。システム100は、イオン利得およびラマン利得の両方をそれを通って伝播する光に提供するのに適しているある長さのフィルター・ファイバー102を含む。本例では、フィルター・ファイバー102は、選択された目標波長よりも長い波長で不要なストークス次数を抑制するW形屈折率プロファイルを有しかつそれの動作帯域幅にわたって正常分散を有する、特別に設計されたYb添加二重クラッド・フィルター・ファイバーである。このファイバーは、2009年5月11日に出願された米国仮特許出願第61/177,058号で述べられており、それは、本出願と同じ譲受人によって所有され、参照によりそれの全体が本明細書に組み込まれる。
【0022】
以下で述べるように、本発明の態様によるシステムは、それぞれのストークス・シフトだけ波長において隔てられる、ラマン空胴の入れ子状並びを含む。ラマン共振器が、WDMループ・ミラーを構築するために溶融ファイバー・カプラーまたは薄膜フィルターを使用するなどの、代替アーキテクチュアおよび波長選択要素を使用して構築されてもよいことは、当業者には周知である。加えて、直線状、単方向リング状または双方向リング状の空胴形状が、考えられてもよい。その上、図2は、レーザーとして動作するように構成されるカスケード・ラマン共振器を示すが、しかしそれは、回折格子の最終組を削除し、代わりにその波長で信号を注入することによって、増幅器として動作するように同様に良好に構成されることもあり得る。本議論は、例示目的だけのためにブラッグ回折格子反射体を使用して構築される共振器に焦点を合わせる。
【0023】
本議論の目的のために、用語「反射体」は、高反射体かもしくは出力カプラー、または類似のデバイスを一般的に指すために使用され、用語「複数の反射体」は、複数の高反射体もしくは出力カプラー、または類似のデバイス、またはそれの任意の組合せを一般的に指すために使用される。
【0024】
第1の複数の高反射体HR20〜HR25は、フィルター・ファイバー102の入力端104に提供され、第2の複数の高反射体HR26〜HR30および出力カプラーOC20は、フィルター・ファイバー102の出力端106に提供される。本例では、入力高反射体HR20〜HR25、出力高反射体HR26〜HR30および出力カプラーOC20は、フィルター・ファイバー102とは別個のファイバー切片に書き込まれ、次いでフィルター・ファイバー102に融着接続される、ファイバー・ブラッグ回折格子、または類似のデバイスを使用して作り出される。回折格子を直接フィルター・ファイバー102に書き込むこともまた可能となることに留意すべきである。
【0025】
システム100は、1つもしくは複数のダイオード・レーザー・ポンプ108a〜d、または類似のデバイスを備える、励起パワー源108をさらに含む。ポンプ108a〜dは、ポンプ・コンバイナー(combiner)、すなわちテーパー状ファイバー束TFB20、または他の適切なデバイスを用いてフィルター・ファイバー102に結合される。
【0026】
図2は、反射体HR20〜HR30およびOC20のための例となる波長を示す。しかしながら、これらの波長および空胴の数は、描写されるシステム100に特有であり、本議論の目的のために提供されることに留意されたい。本発明は、他の波長での反射体を有するシステムで実施されてもよいことが理解されよう。また、反射体の数および構成は、所与の応用のために変更されてもよい。ポンプ・コンバイナーTFB20に関する入力回折格子HR20〜HR25の位置を変更することが、可能であることもまた理解されよう。図2では、入力回折格子HR20〜HR25は、ポンプ・コンバイナーTFB20の右側に示され、TFB20は、入れ子状レーザー空胴の外部にある。しかしながら、入力回折格子HR20〜HR25は、ポンプ・コンバイナーTFB20が入れ子状レーザー空胴の内部にある状態で、ポンプ・コンバイナーTFB20の左側に同様に良好に置かれることもあり得る。
【0027】
図2で示される例となるシステム100では、反射体HR10〜HR20およびOC20は、それらが波長整合反射体対の入れ子状並びを形成し、第1の反射体がフィルター・ファイバー入力端104に位置し、第2の反射体がフィルター・ファイバー入力端106に位置するように、それぞれの波長および位置を有する。入れ子状並びでの第1の反射体対は、高反射体HR25およびHR26を備え、それの各々は、1117nmの波長を有する。その並びは、次の対、すなわち1175nmでのHR24/HR27、1239nmでのHR23/HR28、1310nmでのHR22/HR29、1390nmでのHR21/HR30、および1480nmでのHR20/OC20を続ける。これらの対およびフィルター・ファイバー102は、それぞれのストークス・シフトだけ波長において隔てられる、ラマン空胴110の入れ子状並びを提供する。
【0028】
図3は、図2で示される例となるシステム100のための反射体波長を説明する表130である。図3の表130でさらに説明されるのは、起こる5つのストークス・シフトである。1590nmへの第6のストークス・シフトは、例示の目的のために表130に含まれる。しかしながら、以下で論じるように、このストークス・シフト(および任意のその後のより高次のストークス・シフト)は、フィルター・ファイバー102によって抑制される。
【0029】
1117nmでの第1の反射体対HR25/HR26およびフィルター・ファイバー102は、レーザー空胴およびラマン空胴の両方として機能する組み合わされた空胴を提供する。イオン利得は、高反射体HR25とHR26との間のフィルター・ファイバー102中のYbイオンによって提供される。いったん1117nmでYb添加利得媒質によって発生されるパワーが、誘導ラマン散乱の閾値を超えると、光が、第1のストークス・シフトで生成され、それは本発明では、約1175nmである。
【0030】
入れ子状並びでの次の反射体対HR24/HR27は、第1のストークス・シフトに対応する波長を有する。1175nmでのこの回折格子対からの帰還は、この波長でのレーザー発振につながることになる。本発明のさらなる態様によると、第1の反射体対は、第1の空胴での損失を最小限にするために、次の反射体対の内側に位置する。残りの反射体対HR23/HR28、HR22/HR29、およびHR21/HR30は、その並びでの各回折格子対の波長が、石英ファイバーでのそれぞれのストークス・シフトに近い量だけその並びでの先行する対から隔てられる状態で、帰還を提供する。パワーが増加されるにつれて、より長い波長へのさらなるカスケード化は、最終回折格子対HR20/OC20における目標波長、すなわち1480nmでのレーザー発振が達成されるまで続くことになる。それ故に、ストークス・シフトの述べられる並びは、開始波長から目標波長までの段階的推移を提供する。
【0031】
目標波長、すなわち1480nmでの光は、さらなるラマン利得を受ける可能性がある。不要なより長い波長のストークス次数へのさらなるカスケード化を防止するために、Yb添加利得媒質は、基本LP01モードが目標波長よりも長い波長でカットオフを経験するW形ディプレスト・クラッド設計に基づく屈折率プロファイルを有する。そのようなフィルター・ファイバーの設計は、2009年5月11日に出願された米国仮特許出願第61/177,058号で述べられており、それは、本出願の譲受人によって所有され、参照によりそれの全体が本明細書に組み込まれる。
【0032】
基本モード・カットオフを持つW形屈折率プロファイルを備えるファイバーは、エルビウムS帯域増幅器応用との関連で使用されており、また高パワーYb添加ファイバー増幅器でのラマン散乱を抑制するためにも使用されている。しかしながら、どちらの場合も、広い波長範囲にわたるフィルター・ファイバーの分散特性は、考慮すべき重要なことではないので、それらのファイバーは、高パワーのラマン・レーザーとの関連での使用には適していない。もしラマン散乱が生じるファイバーの分散が、異常であるならば、変調不安定性は、離散ラマン・ストークス次数への散乱よりもむしろスーパーコンティニューム発生につながることになる。従って、カスケード・ラマン散乱のために設計されるフィルター・ファイバーは、動作の波長領域全体にわたって正常分散を有しなければならない。
【0033】
本議論は、ps/(nm−km)の単位を有する分散パラメーターDを使用する。Dの負の値は、正常分散を示し、Dの正の値は、異常分散を示す。異常分散レジームでは、正常分散レジームでは存在しない変調不安定性およびソリトン形成などの現象が生じる。標準的な単一モード・ファイバーは、約1300nmにゼロ分散波長およびゼロ分散波長よりも長い波長で異常分散を有する。
【0034】
図4は、より長い波長でのストークス・シフトを抑制しながら、1000nmから1480nmのカスケード・ラマン散乱のために設計されたフィルター・ファイバーについて測定された損失を示すグラフ140である。図5は、そのフィルター・ファイバーについて計算された分散151および測定された分散152を示すグラフ150である。本明細書で述べられる例となるシステムでは、基本モード・カットオフを提供するW形屈折率プロファイルは、伝統的な二重クラッド設計と組み合わされて、本明細書で述べられるようなカスケード・ラマン散乱もまた提供することになるクラッド励起Ybファイバーを生み出す。
【0035】
高パワーYbレーザーがカスケード・ラマン共振器を励起するために使用されたシステムでの実験では、Ybレーザー高反射体は、恐らくそれを通って伝播する高パワーに起因して、システムでの弱いリンクであることが見いだされた。そのようなシステムは、エルビウム添加ファイバー増幅器を励起するためにそれらのシステムを使用するなどの、さまざまな条件の下で機能しなくなることが観察されている。それ故に、いくつかの状況では、パワー増幅器から分離できる低パワー発振器が使用されるMOPA構成を使用することが、有利なこともある。本発明のさらなる態様によると、パワー増幅およびカスケード・ラマン・レーザー発振の機能は、同じ空胴内で起こる。
【0036】
図6Aおよび6Bは、本発明のこのさらなる態様による例となるMOPAに基づくシステム200を示す略図である。システム200は、2つの異なるパワー範囲で動作する2つの段、すなわち低パワー発振器220(図6A)ならびに高パワー、単一空胴パワー増幅器およびカスケード・ラマン共振器240(図6B)を備える。発振器220ならびに組み合わされた増幅器およびカスケード・ラマン共振器240は、光アイソレーター234(図6A)および波長分割マルチプレクサー236(図6A)によって互いに分離される。
【0037】
発振器220(図6A)は、ある長さのレーザー活性二重クラッドYb添加ファイバー222、または適切な利得媒質を提供できる他のファイバーを備える。高反射体HR40および出力カプラーOC40は、ファイバー222の入力端224および出力端226にそれぞれ位置する。高反射体HR40、出力カプラーOC40、およびファイバー222は、レーザー空胴228を提供する。ダイオード・レーザーまたは他の適切な励起パワー源などのポンプ230は、励起パワー入力をファイバー222に送り出す。ポンプ230は、テーパー状ファイバー束TFB40または類似のデバイスを用いてファイバー222に結合される。本例では、発振器220は、1117nmで約15Wのレーザー出力232を提供する。この比較的低パワー・レベルでは、高反射体HR40に関する信頼性問題は、最小である。
【0038】
発振器出力232は、光アイソレーター234および波長分割マルチプレクサー236を通って供給され、組み合わされたパワー増幅器およびカスケード・ラマン共振器240への入力として提供される。
【0039】
組み合わされたパワー増幅器およびカスケード・ラマン共振器240(図6B)は、図2のシステム100に関して上で論じられたフィルター・ファイバー102などの、ある長さのYb添加二重クラッド・フィルター・ファイバー242から製作される。上で論じたように、フィルター・ファイバー242は、発振器出力232のパワー増幅およびラマン・レーザー発振の両方のための利得媒質として適している。第1の複数の高反射体HR41〜HR45は、ファイバー入力244に提供され、第2の複数の高反射体HR46〜HR50および出力カプラーOC41は、ファイバー出力246に提供される。入力反射体HR41〜HR45、出力反射体HR46〜HR50、出力カプラーOC41、およびファイバー242は、選択された波長でレーザー空胴の入れ子状並び248をそれらの間に規定する。入力反射体HR41〜HR45は、TFB41が入れ子状共振器の内部にあるようにして、TFB41の前に同様に良好に位置することもあり得ることが理解されよう。
【0040】
励起源250は、発振器出力230のパワー増幅のために励起パワー入力をフィルター・ファイバー242に提供する。図6Bでは、励起源250は、ダイオード・レーザーおよび同様のものなどの、複数の励起デバイス250a〜dとして描写される。励起デバイス250は、テーパー状ファイバー束TFB41または他の適切なデバイスを用いてフィルター・ファイバー242に結合される。
【0041】
発振器出力232は、ラマン散乱がフィルター・ファイバー242内で生じることを可能にするパワー・レベルまで添加フィルター・ファイバー242でのイオン利得を通じて励起源250によって増幅される。上で論じたように、この特定のフィルター・ファイバー242では、第1のストークス・シフトは、伝播光の波長を1175nmまで増加させる。高反射体HR46は、1117nmでのどんな散乱されない光も反射して戻すために提供される。描写される構成200では、1117nm放射がラマン空胴に入ることを可能にするために、1117nmでの入力高反射体はない。
【0042】
高反射体HR41〜HR50および出力カプラーOC41は、波長整合対の入れ子状並びを形成し、その並びでの各対は、それぞれのストークス・シフトだけ先の対から隔てられている。ラマン・レーザー発振は、その並びでの各対間で起こり、結果的に発振器出力波長、すなわち1117nmから目標波長、すなわち1480nmまでのカスケード型の段階的推移をもたらす。出力波長への結合は、高反射体HR45および出力カプラーOC41によって提供される。フィルター・ファイバー242は、目標波長よりも長い波長の基本モード・カットオフを提供し、それによって望ましくないより高次のストークス・シフトを防止する。
【0043】
アイソレーター234は、増幅器および共振器240からの後方伝播光が発振器220に到達し、それの動作を妨害するのを防止する。アイソレーター234は、発振器出力232のそれに似た波長を含む、アイソレーター帯域幅内のすべての波長で後方伝播光から発振器220を保護する。波長依存損失要素、すなわちWDM236は、後方伝播ストークス放射が発振器220に到達するのを防止する。
【0044】
本発明のさらなる実施では、光発生および増幅システムは、損失がイオン利得ピーク波長から2つのストークス・シフトより大きく離れた波長で増加する、活性添加ラマン・フィルター・ファイバーを備える。活性添加フィルター・ファイバーは今まで一般に、信号波長から単一ストークス・シフト離れているラマン利得をフィルターで除去しようとする。本発明のこの実施によると、信号から多重ストークス・シフト離れた分布損失、以前に考えられたよりもはるかに大きい信号と損失との間の波長シフトを加える新規のファイバーが使用される。それ故に、ファイバーを使用する空胴配列が、新規であるだけでなく、ファイバーそれ自体が、同様に新規である。
【0045】
図7および8A〜8Bは、上で述べられた本発明のさまざまな態様による全体技術を例示する一対の流れ図300および350である。流れ図300および350は、限定するよりもむしろ説明に役立つことを意図していることが理解されよう。特に、記載される方法構成要素のいくつかまたはすべては、本発明の範囲および精神内で、異なって順序付けられ、互いにもしくは他の記載されない構成要素と組み合わされ、または副構成要素に分けられてもよいことに留意すべきである。加えて、すべての書き留められる構成要素が、実行される必要なない。
【0046】
図7の流れ図300で例示される技術は、次の構成要素を含む。
囲み301:目標波長よりも長い波長で不要なストークス次数を抑制する屈折率プロファイルを有しかつ動作帯域幅にわたって正常分散を有するある長さのレーザー活性フィルター・ファイバーを提供する。
囲み302:近似的にそれぞれのストークス・シフトだけ波長において隔てられる、ラマン空胴の入れ子状並びのための利得媒質を提供するために、レーザー活性ファイバーを使用することであって、
空胴の入れ子状並びでの第1の空胴は、選択された第1の波長でイオン利得および帰還の組合せから生じるレーザー発振を提供し、第1の波長での光がラマン散乱閾値を超える強度を有するときは、第1の波長の第1のストークス・シフトでの光にラマン利得を提供するように構成される組み合わされた空胴であり、
ラマン空胴の入れ子状並びでの各連続するラマン空胴は、各連続するストークス・シフトでラマン利得を提供するように構成され、それによってラマン空胴の入れ子状並びは、第1の波長と目標波長との間の段階的推移を提供する。
囲み303:励起パワー入力をフィルター・ファイバーに提供するための励起パワー源を提供する。
【0047】
図8A〜Bの流れ図350で例示される技術は、次の構成要素を含む。
囲み351:低パワー発振器を使用してレーザー出力を発生させる。
囲み352:組み合わされた増幅器および共振器を発振器に結合することであって、発振器出力は、組み合わされた増幅器および共振器への入力として提供され、組み合わされた増幅器および共振器は、目標波長で単一モード出力を提供し、
組み合わされた増幅器および共振器は、
目標波長よりも長い波長で不要なストークス次数を抑制する屈折率プロファイルを有しかつ動作帯域幅にわたって正常分散を有するある長さのレーザー活性かつラマン活性のフィルター・ファイバーと、
励起パワー入力をフィルター・ファイバーに提供するためにフィルター・ファイバーに結合される励起パワー源であって、それによって発振器出力は、フィルター・ファイバーのためのラマン散乱閾値を超えるレベルまで増幅される、励起パワー源と、
発振波長で散乱されない光を反射して戻すための、フィルター・ファイバーの出力端に位置する、発振波長での第1の高反射体と、
反射体対の並びであって、各対は、それぞれの波長で、フィルター・ファイバーの入力端に提供されるそれぞれの第1の反射体、およびフィルター・ファイバー出力端に提供されるそれぞれの第2の反射体を備え、その並びでの各反射体対およびフィルター・ファイバーは、発振器波長と目標波長との間の段階的推移を提供するラマン空胴の入れ子状並びを提供するように構成される、反射体対の並びと、
目標波長でフィルター・ファイバーから外への出力結合を提供するために、フィルター・ファイバー入力端に提供される高反射体およびフィルター・ファイバー出力端に書き込まれる出力カプラーを備える最終反射体対とを備える。
囲み353:発振器と増幅器との間に後方伝播防止デバイスを接続することであって、それによって発振器は、増幅器および共振器から光学的に分離され、それによって発振器は、第1のパワー・レベル範囲内で動作可能であり、増幅器および発振器は、第1のパワー・レベル範囲を超える第2のパワー・レベル範囲内で動作可能である。
囲み354:フィルター・ファイバーおよび励起パワー源を使用して、発振器出力を増幅し、目標波長でレーザー出力を生成する。
【0048】
ラマン利得帯域幅は、かなり大きく、反射体は、必ずしも利得のピークではなく、利得帯域幅内のどこにでも位置決めできることに留意されたい。
【0049】
上述のシステムおよび技術は、直線状およびリング状ラマン共振器の両方、ラマン増幅器アーキテクチャ、ラマン空胴のいずれとも共振しないが、なおラマン利得帯域幅内にある第2のポンプを含む二重ポンプ・システム、そのために狭い線幅を持つ偏光出力が有益である、周波数倍増結晶との衝突、例えばパラメトリック・システムで使用されるようなパルスまたは変調動作、ならびに同様のものを含むが限定されない多数の他の文脈で適用可能である。
【0050】
ラマン増幅器に関して、それらのアーキテクチャは典型的には、増幅器ラマン空胴が最後のストークス・シフトおよび出力カプラーなしで構築されることを除いて、ラマン・レーザーのそれらと似ていることに留意されたい。また、シード・レーザーも、最後のストークス・シフトでラマン空胴に結合される。シード光源からのシード入力は、いろいろな場所で増幅器に注入できる。シード・レーザーは、偏光出力、狭い線幅、同調性、および同様のものなどの、多数の増幅器特性を制御する。
【0051】
前の記述は、当業者が本発明を実施することを可能にする詳細を含むが、その記述は、実際は説明に役立つものであり、それの多くの変更および変形は、これらの教示の利益を有する当業者には明らとなることを認識すべきである。それに応じて、本明細書での発明は、もっぱら本明細書に添付される特許請求の範囲によって規定され、特許請求の範囲は、従来技術によって容認されるのと同じように広く解釈されることが意図されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光発生および増幅システムであって、
目標波長よりも長い波長で不要なストークス次数を抑制する屈折率プロファイルを有しかつ動作帯域幅にわたって正常分散を有するある長さのレーザー活性フィルター・ファイバーを備え、
前記レーザー活性ファイバーは、近似的にそれぞれのストークス・シフトだけ波長において隔てられる、ラマン空胴の入れ子状並びのための利得媒質を提供し、
空胴の前記入れ子状並びでの第1の空胴は、選択された第1の波長でイオン利得および帰還の組合せから生じるレーザー発振を提供し、前記第1の波長での光がラマン散乱閾値を超える強度を有するときは、前記第1の波長の前記第1のストークス・シフトでの光にラマン利得を提供するように構成される、組み合わされた空胴であり、
ラマン空胴の前記入れ子状並びでの各連続するラマン空胴は、各連続するストークス・シフトでラマン利得を提供するように構成され、それによってラマン空胴の前記入れ子状並びは、前記第1の波長と前記目標波長との間の段階的推移を提供し、
前記フィルター・ファイバー出力端に位置する出力カプラーは、前記目標波長での光の前記フィルター・ファイバーから外への出力結合を提供するように構成され、前記システムはさらに、
励起パワー入力を前記フィルター・ファイバーに提供するための励起パワー源を備える、光発生および増幅システム。
【請求項2】
前記フィルター・ファイバーは、前記目標波長よりも大きい波長でLP01モード・カットオフを有する二重クラッド・ファイバーである、請求項1に記載の光増幅システム。
【請求項3】
前記励起パワー源を前記フィルター・ファイバーに結合するテーパー状ファイバー束をさらに含む、請求項2に記載の光増幅システム。
【請求項4】
前記レーザー活性フィルター・ファイバーは、イオン利得ピーク波長から2つのストークス・シフトより大きく離れた波長で不要のストークス次数を抑制する屈折率プロファイルを有する、請求項1に記載の光増幅システム。
【請求項5】
光増幅システムであって、
選択された発振波長で発振器出力を提供する、ファイバーに基づく発振器と、
前記発振器に結合される、組み合わされた増幅器および共振器とを備え、前記発振器出力が、前記組み合わされた増幅器および共振器への入力として提供され、前記組み合わされた増幅器および共振器は目標波長で単一モード出力を提供し、
前記組み合わされた増幅器および発振器は、
前記目標波長よりも長い波長で不要なストークス次数を抑制する屈折率プロファイルを有しかつ動作帯域幅にわたって正常分散を有するある長さのレーザー活性かつラマン活性のフィルター・ファイバーと、
励起パワー入力を前記フィルター・ファイバーに提供するために前記フィルター・ファイバーに結合される励起パワー源とを含み、それによって前記発振器出力は、前記フィルター・ファイバーのためのラマン散乱閾値を超えるレベルまで増幅され、前記組み合わされた増幅器および発振器はさらに、
前記発振波長で散乱されない光を反射して戻すための、前記フィルター・ファイバーの出力端に位置する、前記発振波長での第1の高反射体と、
反射体対の並びとを含み、各対は、それぞれの波長で、前記フィルター・ファイバーの入力端に提供されるそれぞれの第1の反射体、および前記フィルター・ファイバー出力端に提供されるそれぞれの第2の反射体を備え、前記並びでの各反射体対および前記フィルター・ファイバーは、前記発振器波長と前記目標波長との間の段階的推移を提供するラマン空胴の入れ子状並びを提供するように構成され、前記組み合わされた増幅器および発振器はさらに、
前記目標波長で前記フィルター・ファイバーから外への出力結合を提供するために、前記フィルター・ファイバー入力端に提供される高反射体および前記フィルター・ファイバー出力端に書き込まれる出力カプラーを備える最終反射体対と、
前記発振器と前記組み合わされた増幅器および共振器との間に接続される波長依存損失要素とを含み、それによって前記発振器は、前記増幅器および共振器から光学的に分離され、
それによって前記発振器は、第1のパワー・レベル範囲内で動作可能であり、前記増幅器および発振器は、前記第1のパワー・レベル範囲を超える第2のパワー・レベル範囲内で動作可能である、光増幅システム。
【請求項6】
前記発振器は、
入力端および出力端を有するある長さのレーザー活性二重クラッド・ファイバーと、
前記二重クラッド・ファイバーの入力端に提供される高反射体、および前記二重クラッド・ファイバーの出力端に提供される出力カプラーとを含み、前記高反射体、出力カプラー、および二重クラッド・ファイバーは、レーザー空胴を提供し、さらに、
励起入力を前記ファイバーに提供するために前記ファイバーに結合される励起源を含む、請求項5に記載の光増幅システム。
【請求項7】
前記フィルター・ファイバーは、前記目標波長よりも大きい波長でLP01モード・カットオフを有しかつ動作帯域幅にわたって正常分散を有する二重クラッド・ファイバーである、請求項5に記載の光増幅システム。
【請求項8】
光発生および増幅方法であって、
目標波長よりも長い波長で不要なストークス次数を抑制する屈折率プロファイルを有しかつ動作帯域幅にわたって正常分散を有するある長さのレーザー活性フィルター・ファイバーを提供し、
近似的にそれぞれのストークス・シフトだけ波長において隔てられる、ラマン空胴の入れ子状並びのための利得媒質を提供するために、前記レーザー活性ファイバーを使用することを含み、
空胴の前記入れ子状並びでの第1の空胴は、選択された第1の波長でイオン利得および帰還の組合せから生じるレーザー発振を提供し、前記第1の波長での光がラマン散乱閾値を超える強度を有するときは、前記第1の波長の前記第1のストークス・シフトでの光にラマン利得を提供するように構成される組み合わされた空胴であり、
ラマン空胴の前記入れ子状並びでの各連続するラマン空胴は、各連続するストークス・シフトでラマン利得を提供するように構成され、それによってラマン空胴の前記入れ子状並びは、前記第1の波長と前記目標波長との間の段階的推移を提供し、
前記フィルター・ファイバー出力端に位置する出力カプラーは、前記目標波長での光の前記フィルター・ファイバーから外への出力結合を提供するように構成され、前記方法はさらに、
励起パワー入力を前記フィルター・ファイバーに提供するための励起パワー源を提供することとを含む、光発生および増幅方法。
【請求項9】
前記フィルター・ファイバーは、前記目標波長よりも大きい波長でLP01モード・カットオフを有する二重クラッド・ファイバーである、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
光増幅方法であって、
(a)低パワー発振器を使用してレーザー出力を発生させ、
(b)目標波長よりも長い波長で不要なストークス次数を抑制する屈折率プロファイルを有しかつ動作帯域幅にわたって正常分散を有するある長さのラマン活性フィルター・ファイバーを提供することを含み、
前記フィルター・ファイバーは、パワー増幅のための適切な利得媒質であり、
反射体対の並びが提供され、各対は、それぞれの波長で、前記フィルター・ファイバーの入力端に提供されるそれぞれの第1の反射体、および前記フィルター・ファイバー出力端の出力端に提供されるそれぞれの第2の反射体を備え、
前記並びでの各反射体対および前記フィルター・ファイバーは、それぞれの波長でラマン利得を提供するためにそれぞれのラマン空胴を提供し、それによって反射体対の前記並びおよび前記フィルター・ファイバーは、それぞれのストークス・シフトだけ波長において隔てられる、ラマン空胴の入れ子状並びを提供し、
空胴の前記入れ子状並びは、カスケード・ラマン利得をそれを通って伝播する光に提供し、それによって開始波長から前記目標波長までの段階的推移を生成し、前記方法はさらに、
(c)励起パワー入力を前記フィルター・ファイバーに提供するために励起パワー源を前記フィルター・ファイバーに結合し、
(d)前記発振器を前記フィルター・ファイバーおよび励起パワー源から分離し、
(e)前記フィルター・ファイバーおよび前記励起パワー源を使用して、前記発振器出力を増幅し、選択された目標波長でレーザー出力を生成することを含む、光増幅方法。
【請求項11】
前記フィルター・ファイバーは、前記目標波長よりも大きい波長でLP01モード・カットオフを有する二重クラッド・ファイバーである、請求項10に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7】
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【図8A】
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【図8B】
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【公表番号】特表2012−527018(P2012−527018A)
【公表日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−510949(P2012−510949)
【出願日】平成22年5月11日(2010.5.11)
【国際出願番号】PCT/US2010/034423
【国際公開番号】WO2010/132482
【国際公開日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【出願人】(509094034)オーエフエス ファイテル,エルエルシー (44)
【Fターム(参考)】