説明

フィルター用不織布

【課題】耐水性に優れ、かつフィルター性能として塵埃、特にカーボン粒子に対する初期捕集効率を向上させると共に、使用寿命が長くコルゲート加工の形態保持性に優れたフィルター不織布を提供する。
【解決手段】セルロース製濾紙1の両側に熱接着性複合繊維単独又は一部高融点繊維を含む繊維からなる短繊維層2を積層し、ニードリング3により一体化して短繊維層の単繊維を前記濾紙に垂直に貫通させ、熱処理によって熱接着性複合繊維による繊維間接着及び濾紙との接着を行い、更にコルゲート加工によって凹凸を付与せしめた不織布であって、該不織布の目付質量が100〜200g/m2の範囲で、前記濾紙に単繊維が貫通する孔の数が15〜100個/cm2であり、かつ織伸張弾性率が600N/5cm/100%以上、腰強力が3.5N/cm 以上の特性を具備せしめた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は各種空気清浄機や流体処理装置に用いるフィルター用不織布に係り、なかでも特に自動車,トラック等のクリーナー用フィルターに用いて好適な不織布に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車エンジン用吸気クリーナーは外気中の塵埃を十分に捕集して、捕集後の清浄化空気をエンジンルームに導入するために用いられているが、トラックのディーゼル車においては現在のところ濾紙が主流を占めている。しかし、濾紙は薄く、濾過面積を大きくすることができるという利点はあるものの、反面、強度が弱く、耐水性が低い等のために破れ易く、特に水に濡れた場合には更に弱くなるという欠点がある。また、濾過効率は優れているが、濾過寿命が短いという欠点もある。そのため、濾材の加工時や使用時に難があり、これらの問題の改善が望まれ、幾つかの提案がなされている。(例えば特許文献1〜3参照)
このうち、特許文献1では、外側層が撥水処理を施されたスパンボンド不織布、中間層が疎水性繊維と親水性繊維からなる繊維層、内側層が疎水性繊維と親水性繊維と熱接着性繊維からなる繊維層の三層構造繊維積層体を一体化し、その全体を樹脂ボンディングして、更に波形加工処理を施した薄型フィルターが記載されており、特許文献2では複数の波形袋部よりなる濾過部と、該濾過部外周縁にツバ部を有するフィルターが開示されており、特許文献3にはポリエステル長繊維からなる繊維層と、ポリエステル短繊維とレーヨン繊維との混合層を交絡一体化した積層体において、長繊維からなる繊維層を加熱処理により繊維同士で部分的に熱固定した不織布からなる濾材が開示されている。
【特許文献1】特開2003−2109213号公報
【特許文献2】特開平8−24546号公報
【特許文献3】特開平6−262012号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、上記提案に係る各フィルターは何れも濾紙に比較してフィルター性能に優れ、かつフィルター強度にも優れたフィルターが得られるが、フィルター性能として塵埃、特にカーボン粒子に対する初期捕集効率に稍、欠けるところがあり、しかも形態保持性においても十分とは云えない面があった。
【0004】
本発明は上述の如き実状に鑑み、特に積層構成と、該積層体の物性を見出すことにより、フィルター性能、特にカーボン粒子に対する初期捕集効率を高め、かつフィルター強度もあり、形態安定性においても優れたフィルター用不織布を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
即ち、上記目的に適合する本発明の特徴は、セルロース性濾紙の両側に熱接着性複合繊維単独又は一部高融点繊維を含む繊維からなる短繊維層を積層し、ニードリングにより一体化して短繊維層の単繊維を前記濾紙に垂直に貫通させて熱処理によって熱接着性複合繊維による繊維面接着及び濾紙との接着を行い、更にコルゲート加工によって凹凸を付与せしめた不織布であって、該不織布の目付質量が100〜200g/m2の範囲で、前記濾紙に単繊維が貫通する孔の数が15〜100個/cm2であり、かつ、初期伸張弾性率が600N/5cm/100%以上、腰強力が3.5N/cm以上の特性を有する不織布にある。
【0006】
ここで、濾紙は目付質量40〜100g/m2で、通気度が100〜300cc/cm2/secの範囲であるものが好適である。また、熱接着性複合繊維はポリエステルの低融点樹脂と高融点樹脂の芯鞘複合で、該繊維の繊度が0.1〜10.0デシテックスの範囲であることが好ましく、短繊維層を構成する高融点繊維と上記熱接着性複合繊維との配合比率は0/100〜50/50であることが好ましい。
【発明の効果】
【0007】
本発明は上記の如く濾紙の両側に高融点繊維と熱接着性複合繊維からなる短繊維層を積層し、ニードリングにより一体化して短繊維層の単繊維が濾紙に貫通するようにして、その積層体を熱処理することによって熱接着性複合繊維による繊維間の接着をなし、その場合、濾紙に単繊維が連通する孔の数を15〜100個/cm2の範囲にし、接着された積層体不織布の目付質量を100〜200g/m2の範囲として、初期伸張弾性率を600N/5cm/100%以上で腰強力を3.5N/cm以上としたことにより塵埃、特にカーボン粒子の捕捉に優れている濾紙の効用を活かしつつ濾紙の欠点である強度、耐水性を補強し、塵埃の初期捕集効率を向上すると共に、目詰まりしにくく、処理量が大きく、結果として使用寿命が長く、かつコルゲート加工における形態性に優れたフィルター不織布を提供して従来の撥水加工等の樹脂加工を施す必要をなくし、コスト低減と共に環境に対し大きく改善することができる効果を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、更に上記本発明の具体的実施態様について説明する。図1は本発明における不織布の積層構成を示し、セルロース製濾紙1の両側に熱接着性複合繊維の単独又は一部高融点繊維を含む繊維からなる短繊維層3,3が積層され、ニードリングにより一体化されて短繊維層を構成する単繊維が前記濾紙1に垂直に貫通した構成により形成されている。
【0009】
ここで、上記濾紙1は一部又は全部が繊維状セルロース材料、例えばレーヨン,パルプ,コットンからなるもので、目付質量が40〜100g/m2で、通気度が100〜300cc/cm2/secの範囲のものであることが好ましく、また短繊維層2を構成する熱接着性複合繊維はポリエステルの低融点樹脂と高融点樹脂の芯鞘複合で、短繊維を構成する単繊維の繊度は0.8〜10.0デシテックス(dtex)の範囲であることが好ましい。また、高融点繊維と熱接着性複合繊維よりなる短繊維層2は、通常の高融点繊維と熱接着性複合繊維が混繊したもの、または、熱接着性複合繊維が100%であってもよい。短繊維層2が通常の熱可塑性高融点繊維と熱接着性複合繊維の混繊よりなる場合、通常の高融点繊維と熱接着性複合繊維の配合比率は0/100〜50/50がよく、通常の熱可塑性高融点繊維が50を超えると接着繊維が少ないので短繊維間の接着点が少なくなるために腰強力が低くなり、また厚さを薄くすることが困難になるので好ましくない。以下、上記各構成素材について更に順を追って詳述する。
(a)濾紙
濾紙の目付質量は前記したように40〜100g/m2の範囲がよく、40g/m2未満では紙(濾紙)の有する濾過性能が発揮できないので好ましくない。また、100g/m2を超えると製品目付質量の制限により短繊維層の量が少なくなり、短繊維層の効果がなくなるので適切でない。一方、濾紙の通気度は100〜300cc/cm2/secの範囲が良く、通気度が100cc/cm2/sec未満では積層体の初期圧損が高くなるので好ましくない。通気度が300cc/cm2/secを超えると濾過性能が低下し、積層体の濾過性能が悪くなるので好ましくない。
(b)短繊維層
濾紙の両側に積層する短繊維層は前述の如く高融点繊維と熱接着性複合繊維によって構成されるが、この短繊維層に使用される繊維形成樹脂としてはポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリエステル等のポリエステル系樹脂、ナイロン等のポリアミド系樹脂等が挙げられる。特にポリエステル系樹脂から得られるポリエステル繊維は汎用品として安価であるので最も実用的である。
【0010】
繊維の断面形状は丸断面,三角断面,多角断面等で中実,中空何れでも特に限定するものではない。また、構成繊維の繊度としては平均繊度が0.8デシテックス〜10.0デシテックスの範囲であることが好ましく、平均繊度が0.8デシテックス未満では繊維間及び濾紙との接着はよいが、腰強力が低くなるので好ましくない。一方、平均繊度が10.0デシテックスを超えると通気度は満足するが、繊維本数が少なくなるために腰強力が低下する。
【0011】
使用する熱接着性複合繊維は高融点を芯とし、低融点熱接着性繊維を鞘とする芯鞘構造がよく、サイドバイサイドあるいは低融点の熱接着性繊維100%は好ましくない。特にサイドバイサイドは接着成分が芯鞘構造と違って半分の接着点しかなく、また熱接着性繊維100%では接着の交点の柱がなくなるので、何れも好ましくない。
【0012】
接着性複合繊維における鞘部を形成する接着樹脂成分の融点は90℃〜180℃の範囲が好ましく、接着樹脂成分の融点が90℃未満であると不織布のコルゲート加工,襞加工は低い温度で加工できるが、耐熱性が劣るので好ましくない。また、接着樹脂成分の融点が180℃を超えると不織布のコルゲート加工,襞加工に高い加工温度が必要になり、加工時に熱劣化を受け易くなるので好ましくない。
【0013】
そして、本発明は上記の如き濾紙1と短繊維層2を、図示のように濾紙1の両側に短繊維層2を配して、基本構成となる積層体を形成する。即ち、濾紙1の両側に高融点繊維と熱接着性複合繊維からなる短繊維層2を積層してニードリング3により一体化し、その積層体を熱風,熱ロール等により熱処理して不織布一次濾材を得る。得られた一次濾材を次いで凹凸を有する加熱した一対のローラーに通してコルゲート加工を施して製品不織布を得る。この不織布は濾材としてこのまま使用する場合があるが、更にこれを襞加工して使用することもある。このようにして耐水性のための撥水加工、腰強力の保持のための樹脂加工が必要でなくなり、コストの低減が計られると共に、樹脂加工時に使用する水等の廃水処理は不要になる。
【0014】
以上のようにして得られる上記不織布は、その目付質量が100〜200g/m2の範囲であることが好適であり、本発明においては該目付質量範囲に基づいて濾過性能である初期圧損,塵埃捕集量を十分に確保してコルゲート加工ができるフィルター用不織布としての物性を具備せしめ、コルゲート加工を施して製品のフィルター不織布を得る。
【0015】
このようにして得られたフィルター用不織布は所期の目的,効果を得るためにはこれに適した特性を具備することが肝要であり、本発明にあっては初期伸張弾性率が600N/5cm/100%以上で、腰強力が3.5N/cm以上が好ましく、初期伸張弾性率が600N/5cm/100%未満であると腰強力が3.5N/cm以上あっても襞加工後のコルゲートの形状や不織布の張りが弱いので好ましくない。また、逆に初期伸張弾性率が600N/5cm/100%以上あっても腰強力が3.5N/cm未満であると不織布が軟らかいものとなるので好ましくない。従って、本発明においてはフィルター用不織布として前述した物性を具備させることにより本発明の所期の目的に適合した不織布として形成される。
【実施例1】
【0016】
目付質量70g/m2、厚さ1.6mm、通気度294cc/cm2/secのセルロース製の濾紙両側に繊度4.4デシテックス(dtex)、繊維長51mmのポリエステル/低融点ポリエステル複合繊維(低融点ポリエステルの融点:110℃)、目付質量42g/m2の短繊維層をそれぞれ積層して、針深さ12mm、針密度35本/cm2のニードルパンチ処理を施した。得られた積層体を連続熱風処理機(ホットエアースルー方式)で160℃、滞留時間30秒の熱処理を行い、出口部に一対のロール(ロール温度60℃、ロール間のクリアランス0.5mm)に通して熱接着性繊維の単繊維間及び濾紙間との接着を行い、引き続き接着された積層体を凹凸(ピッチ4mm、山高さ2mm)を有する両面を加熱した一対のロール(上部ロール112℃、下部ロール107℃)により処理速度10.0m/分でコルゲート加工を行って、目付質量154g/m2、厚さ0.5mmのピッチ4mm、山高さ1.33mmのフィルター不織布を得た。
【実施例2】
【0017】
目付質量70g/m2、厚さ1.6mm、通気度249cc/cm2/secのセルロース製の濾紙両側に繊度2.2デシテックス(dtex)、繊維長51mmのポリエステル/低融点ポリエステル複合繊維(低融点ポリエステルの融点:110℃)、目付質量47g/m2の短繊維層をそれぞれ積層して、針深さ12mm、針密度35本/cm2のニードルパンチ処理を施した。得られた積層体を連続熱風処理機(ホットエアースルー方式)で160℃、滞留時間30秒の熱処理を行い、出口部に一対のロール(ロール温度60℃、ロール間のクリアランス0.5mm)に通して熱接着性繊維の単繊維間及び濾紙間との接着を行い、引き続き接着された積層体を凹凸(ピッチ4mm、山高さ2mm)を有する両面を加熱した一対のロール(上部ロール112℃、下部ロール107℃)により処理速度10.0m/分でコルゲート加工を行って、目付質量164.0g/m2、厚さ0.44mmのピッチ4mm、山高さ1.19mmのフィルター不織布を得た。
【実施例3】
【0018】
目付質量95g/m2、厚さ2.4mm、通気度156cc/cm2/secのセルロース製の濾紙両側に繊度4.4デシテックス(dtex)、繊維長51mmのポリエステル/低融点ポリエステル複合繊維(低融点ポリエステルの融点:110℃)、目付質量47.5g/m2の短繊維層をそれぞれ積層して、針深さ12mm、針密度35本/cm2のニードルパンチ処理を施した。得られた積層体を連続熱風処理機(ホットエアースルー方式)で160℃、滞留時間30秒の熱処理を行い、出口部に一対のロール(ロール温度60℃、ロール間のクリアランス0.5mm)に通して熱接着性繊維の単繊維間及び濾紙間との接着を行い、引き続き接着された積層体を凹凸(ピッチ4mm、山高さ2mm)を有する両面を加熱した一対のロール(上部ロール112℃、下部ロール107℃)処理速度10.0m/分でコルゲート加工を行って、目付質量190g/m2、厚さ0.54mmのピッチ4mm、山高さ1.32mmのフィルター不織布を得た。
【実施例4】
【0019】
目付質量68g/m2、厚さ1.3mm、通気度265cc/cm2/secのセルロース製両側に繊度4.4デシテックス(dtex)、繊維長51mmのポリエステル繊維(融点:260℃)40重量%と、繊度4.4デシテックス(dtex)、繊維長51mmのポリエステル/低融点ポリエステル複合繊維(低融点ポリエステルの融点:110℃)60重量%とからなる目付質量%42.5g/m2の短繊維層をそれぞれ積層体を連続熱風処理機(ホットエアースルー方式)で160℃、滞留時間30秒の熱処理を行い、出口部に一対のロール(ロール温度60℃、ロール間のクリアランス0.5mm)に通して熱接着性繊維の単繊維間及び濾紙間との接着を行い、引き続き接着された積層体を凹凸(ピッチ4mm、山高さ2mm)有する両面を加熱した一対のロール(上部ロール112℃、下部ロール107℃)により処理速度10.0m/分でコルゲート加工を行って、目付質量153g/m2、厚さ0.47mmのピッチ4mm山高さ1.27mmのフィルター不織布を得た。
【0020】
〔比較例1〕
目付質量98g/m2、厚さ2.4mm、通気度140cc/cm2/secのセルロース製の濾紙を用いて凹凸(ピッチ4mm、山高さ2mm)を有する両面を加熱した一対のロール(上部ロール112℃、下部ロール107℃)により処理速度10.0m/分でコルゲート加工を行って、目付質量100g/m2、厚さ0.18mmのピッチ4mm、山高さ0.79mmのフィルター不織布を得た。
【0021】
〔比較例2〕
目付質量47g/m2、厚さ0.75mm、通気度45.3cc/cm2/secのセルロース製の濾紙両側に繊度4.4デシテックス(dtex)、繊維長51mmのポリエステル/低融点ポリエステル複合繊維(低融点ポリエステルの融点:110℃)、目付質量40.5g/m2の短繊維層をそれぞれ積層して、針深さ12mm、針密度35本/cm2のニードルパンチ処理を施した。得られた積層体を連続熱風処理機(ホットエアスルー方式)で160℃、滞留時間30秒の熱処理を行い、出口部に一対のロール(ロール温度60℃、ロール間のクリアランス0.5mm)に通して熱接着性繊維の単繊維間及び濾紙間との接着を行い、引き続き接着された積層体を凹凸(ピッチ4mm、山高さ2mm)を有する両面を加熱した一対のロール(上部ロール112℃、下部ロール107℃)処理速度10.0 m/分でコルゲート加工を行って、目付質量128g/m2、厚さ0.27mmのピッチ4mm、山高さ0.97のフィルターフィルター不織布を得た。
【0022】
〔比較例3〕
目付質量55g/m2、厚さ1.2mm、通気度366cc/cm2/secのセルロース製の濾紙両側に繊度4.4デシテックス(dtex)、繊維長51mmのポリエステル/低融点ポリエステル複合繊維(低融点ポリエステルの融点:110℃)、目付質量55g/m2の短繊維層をそれぞれ積層して、針深さ12mm、針密度120本/cm2のニードルパンチ処理を施した。得られた積層体を連続熱風処理機(ホットエアースルー方式)で160℃、滞留時間30秒の熱処理を行い、出口部に一対のロール(ロール温度60℃、ロール間のクリアランス0.5mm)に通して熱接着性繊維の単繊維間及び濾紙間との接着を行い、引き続き接着された積層体を凹凸(ピッチ4mm、山高さ2mm)を有する両面を加熱した一対のロール(上部ロール112℃、下部ロール107℃)処理速度10.0m/分でコルゲート加工を行って、目付質量125g/m2、厚さ0.29mmのピッチ4mm、山高さ0.99mmのフィルター不織布を得た。
【0023】
次に以上より得られた各実施例,比較例を後記表1にまとめると共に、各例についての性能を対比した結果を併せて後記表2に示す。なお、表中の各項目の測定方法、試験方法等については下記記載に基づいた。
(a)目付質量:g/m2
JIS L1096の4.2に記載の方法に準拠して求めた。
(b)厚さ:mm
JIS L1096の4.1に記載の方法に従って荷重2KPaで測定した。
(c)通気度:cc/cm2/sec
JIS L1096の6.27.1に記載のフランジール形試験機で測定した。
(d)強伸度測定
東洋ボールドイン社製500Kgテンシロンを用い、下記条件で測定した。
【0024】
試料:200mm 試料巾:15mm
測定試長:150mm 試料巾:15mm
引張り速度:200mm/min
測定は5回行ってその平均値で示す。
【0025】
・初期伸張弾性率 N/5cm/100%
伸張−応力曲線から5%伸張時の応力を算出し100%換算した応力で示す。
【0026】
・乾式強伸度
試料を20℃、65%RH下に1日放置後に上記条件で測定した。
【0027】
・湿式強伸度
試料を20℃の蒸留水に1時間浸漬し、試料を取り出し1分以内に軽く水切りし、 上記条件で測定した。
(e)腰強力:N/cm
試料調整は長さ80mm、巾65mmの長方形を切り出し、長さの中央から均一に半分(40mm)に折り畳む。試料設定台に試料を載せ折り畳み山部を上にして、底辺のV字巾40mmとして山部の頂点中心に圧縮治具(10mmφ)を当てる。腰強力試験は東洋ボールドイン社製100Kgテンシロンを用い、10mmφの圧縮治具で圧縮速度50mm/minで試料を圧縮し、5mm圧縮点までの最大荷重値を腰強力とする。測定は5回(n=5)とし、その平均値で示す。単位はNに換算して示す。
(f)濾過性能の評価
塵埃捕集性能の試験はJIS D1612の自動車用エアークリーナー試験法に基づいて行なった。但し、試験用のエアークリーナーのエレメントは有効面積1000cm2の円板濾材を使用した。実験条件は、濾材通過見掛け風量を40cm/secとし、JIS Z8901で指定の8種粉体の塵埃濃度は1g/m3とし、初期清浄効率は濾過面積1000cm2に対し11g供給した時点での捕集効率とし、フルライフ捕集及びDHCは増加抵抗300mmAq時における捕集効率及び塵埃保持量とした。
【0028】
評価項目
通気抵抗 (ΔP)Pa
初期清浄効率 (ηi)%
塵埃保持量 (DHC)g/0.1m2
(g)加工性の評価
コルゲート加工
積層体試料をコルゲート加工する時に取扱や加工中の状態、仕上がりの製品の状態を 含めて下記条件で評価した。
【0029】
加工時の取り扱い:仕上がりは何ら問題はない。 ○
加工時の取り扱い:仕上がりがやや悪い。 △
加工時の取り扱い:仕上がりが悪い。 ×
襞加工
コルゲート加工した試料を襞加工するその取り扱いや加工中の状態、仕上がり製品の 状態を含めて下記条件で評価した。
【0030】
加工時の取り扱い:襞の仕上がりは何ら問題はない。 ○
加工時の取り扱い:襞の仕上がりがやや悪い。 △
加工時の取り扱い:襞加工が出来ない。 ×
【0031】
【表1】

【0032】
【表2】

上記表2より本発明不織布は濾紙の欠点である低強度を改善してコルゲート及び襞の加工性を高めると共に、カーボンに対する効果的な初期捕集効率を有し、使用寿命の向上を図ることができることが分かる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明に係る不織布の基本構成を示す断面概要図である。
【符号の説明】
【0034】
1:濾紙
2:短繊維層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
セルロース性濾紙の両側に熱接着性複合繊維単独又は一部高融点繊維を含む繊維からなる短繊維層を積層し、ニードリングにより一体化して短繊維層の単繊維を前記濾紙に垂直に貫通させ、熱処理によって熱接着性複合繊維による繊維間接着及び濾紙との接着を行い、更にコルゲート加工によって凹凸を付与せしめた不織布であって、該不織布の目付質量が100〜200g/m2の範囲で、前記濾紙に単繊維が貫通する孔の数が15〜100個/cm2であり、かつ初期伸張弾性率が600N/5cm/100%以上、腰強力が3.5N/cm以上の特性を有することを特徴とするフィルター用不織布。
【請求項2】
濾紙が目付質量40〜100g/m2で、通気度が100〜300cc/cm2/secの範囲である請求項1記載のフィルター用不織布。
【請求項3】
熱接着性複合繊維がポリエステルの低融点樹脂と高融点樹脂の芯鞘複合で、該繊維の繊度が0.1〜10.0デシテックスの範囲である請求項1または2記載のフィルター用不織布。
【請求項4】
短繊維層を構成する高融点繊維と熱接着性複合繊維との配合比率が0/100〜50/50である請求項1,2または3記載のフィルター用不織布。

【図1】
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【公開番号】特開2009−195845(P2009−195845A)
【公開日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−41694(P2008−41694)
【出願日】平成20年2月22日(2008.2.22)
【出願人】(391021570)呉羽テック株式会社 (57)
【Fターム(参考)】