フィルタ及びその製造方法
【課題】溶着バリの発生を抑制して溶着部及びバリ溜を必要最小限として小型化を図り得るフィルタを提供する
【解決手段】本フィルタ1Aは、互いに突き合されて濾過室Sを形成する合成樹脂製の第1ケース部材(上部ケース部材2)及び第2ケース部材(下部ケース部材3)と、濾材5と、該濾材の周縁部を保持し且つ前記第1ケース部材及び前記第2ケース部材のそれぞれの突合せ端部2b,3bの間に挟持される合成樹脂製の保持枠6と、を有するフィルタエレメント4と、を備え、前記第1ケース部材及び前記第2ケース部材のうちの少なくとも一方のケース部材の突合せ端部と前記フィルタエレメントの保持枠との間の突合せ方向Pに延びる接触面部にはレーザ光による溶着部w1,w2が設けられている。
【解決手段】本フィルタ1Aは、互いに突き合されて濾過室Sを形成する合成樹脂製の第1ケース部材(上部ケース部材2)及び第2ケース部材(下部ケース部材3)と、濾材5と、該濾材の周縁部を保持し且つ前記第1ケース部材及び前記第2ケース部材のそれぞれの突合せ端部2b,3bの間に挟持される合成樹脂製の保持枠6と、を有するフィルタエレメント4と、を備え、前記第1ケース部材及び前記第2ケース部材のうちの少なくとも一方のケース部材の突合せ端部と前記フィルタエレメントの保持枠との間の突合せ方向Pに延びる接触面部にはレーザ光による溶着部w1,w2が設けられている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィルタ及びその製造方法に関し、さらに詳しくは、溶着バリの発生を抑制して溶着部及びバリ溜を必要最小限として小型化を図り得るフィルタ及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のフィルタとして、振動溶着によって、合成樹脂製の一対のケース部材を溶着するとともに当該一対のケース部材の間にフィルタエレメントを挟持させてなるものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
上記特許文献1には、例えば、図12に示すように、アッパーケース102の下端縁に接合部102aを形成し、ロアーケース103の上端縁及びスクリーンフレーム104の外縁に、アッパーケース102の接合部102aに対向する各接合部103a,104aを形成することが開示されている。
【0003】
しかし、上記特許文献1では、アッパーケース102の接合部102aに対して、ロアーケース103の接合部103a及びスクリーンフレーム104の接合部104aを同時に振動溶着するようにしているので、アッパーケース102の接合部102aの接触面に十分に広い平面域を確保する必要があると共に、アッパーケース102の接合部102aの両側方には、振動溶着時に比較的多く発生する溶着バリのための空間(バリ溜)rを設定する必要がある。そして、これら空間r及び溶着部wは、通常、フィルタの全周に沿って配置されるため、フィルタが大型化してしまう。
【0004】
【特許文献1】実開平5−29735号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
以上より本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、溶着バリの発生を抑制して溶着部及びバリ溜を必要最小限として小型化を図り得るフィルタ及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、以下の通りである。
1.互いに突き合されて濾過室を形成する合成樹脂製の第1ケース部材及び第2ケース部材と、
濾材と、該濾材の周縁部を保持し且つ前記第1ケース部材及び前記第2ケース部材のそれぞれの突合せ端部の間に挟持される合成樹脂製の保持枠と、を有するフィルタエレメントと、を備え、
前記第1ケース部材及び前記第2ケース部材のうちの少なくとも一方のケース部材の突合せ端部と前記フィルタエレメントの保持枠との間の突合せ方向に延びる接触面部にはレーザ光による溶着部が設けられていることを特徴とするフィルタ。
2.前記一方のケース部材の突合せ端部及び前記フィルタエレメントの保持枠のうちの一方には、突合せ方向に突出する凸部が設けられており、他方には、該凸部と嵌合する凹部が設けられており、前記溶着部は、該凸部及び該凹部の嵌合部位の外側面側に設けられている上記1.記載のフィルタ。
3.前記凸部及び前記凹部の嵌合部位の内側面側にはテーパ面が設けられている上記2.記載のフィルタ。
4.前記凸部及び前記凹部の少なくとも内周側もしくは外周側において、前記一方のケース部材の突合せ端部及び前記フィルタエレメントの保持枠のうちの一方には、突合せ方向に突出する嵌合部が設けられており、他方には、該嵌合部と嵌合する被嵌合部が設けられている上記2.又は3.に記載のフィルタ。
5.前記第1ケース部材の突合せ端部と前記フィルタエレメントの保持枠との突合せ方向に延びる接触面部にはレーザ光による第1溶着部が設けられており、前記第2ケース部材の突合せ端部と前記フィルタエレメントの保持枠との突合せ方向に延びる接触面部にはレーザ光による第2溶着部が設けられている上記1.記載のフィルタ。
6.上記1.乃至5.のいずれか一項に記載のフィルタの製造方法であって、
前記第1ケース部材及び前記第2ケース部材のそれぞれの突合せ端部の間に、前記フィルタエレメントの保持枠を挟持させる工程と、
前記第1ケース部材及び前記第2ケース部材のうちの少なくとも一方のケース部材の突合せ端部と前記フィルタエレメントの保持枠との間の突合せ方向に延びる接触面部に、レーザ光を照射して前記溶着部を形成する工程と、を備えることを特徴とするフィルタの製造方法。
【発明の効果】
【0007】
本発明のフィルタによると、一方のケース部材の突合せ端部とフィルタエレメントの保持枠との間の突合せ方向に延びる接触面部にレーザ光による溶着部が設けられているので、その溶着部によって、一方のケース部材及びフィルタエレメントが強固に一体化される。また、溶着部の突合せ方向に直交する方向の大きさを必要最小限にできると共に、レーザ溶着を用いているので溶着バリの発生が抑制されてバリ溜を必要最小限(省略も可能)にできる。その結果、フィルタ全体の小型化を図ることができる。
また、前記一方のケース部材及び前記フィルタエレメントのうちの一方に凸部が設けられ、他方に凹部が設けられ、前記溶着部が、該凸部及び該凹部の嵌合部位の外側面側に設けられている場合は、凸部及び凹部の嵌合によって、レーザ溶着時の接合部の反りを抑制して必要十分な密着強度を得ることができる。また、溶着部を濾過室から十分に離れて配設でき、溶着部の付近で溶着バリが発生しても、そのバリの濾過室内への侵入を抑制できる。その結果、フィルタとしての製品性能の低下を防止できる。
また、前記凸部及び前記凹部の嵌合部位の内側面側にテーパ面が設けられている場合は、テーパ面の機械的接合力によって、レーザ溶着時の接合部の反りをより確実に抑制できる。また、テーパ面によって、一方のケース部材及びフィルタエレメントの保持枠の寸法精度のバラツキが吸収されて、両部材をより正確に位置決めできる。また、テーパ面によって、凸部及び凹部の嵌合部位の内側面側における嵌合距離を長くでき、溶着部の付近で発生する溶着バリの濾過室内への侵入をより確実に抑制できる。
また、前記一方のケース部材及び前記フィルタエレメントのうちの一方に嵌合部が設けられ、他方に被嵌合部が設けられている場合は、凸部及び凹部の嵌合に加えて、嵌合部及び被嵌合部の嵌合によって、レーザ溶着時の接合部の反りをより確実に抑制できる。
また、前記第1ケース部材と前記フィルタエレメントとの接触面部にレーザ光による第1溶着部が設けられ、前記第2ケース部材と前記フィルタエレメントとの接触面部にレーザ光による第2溶着部が設けられている場合は、それらの溶着部によって、第1ケース部材、第2ケース部材及びフィルタエレメントが強固に一体化される。
【0008】
本発明のフィルタの製造方法によると、一方のケース部材の突合せ端部とフィルタエレメントの保持枠との間の突合せ方向に延びる接触面部にレーザ光による溶着部が形成されるので、その溶着部によって、一方のケース部材及びフィルタエレメントが強固に一体化される。また、溶着部の突合せ方向に直交する方向の大きさを必要最小限にできると共に、レーザ溶着を用いているので溶着バリの発生が抑制されてバリ溜を必要最小限(省略も可能)にできる。その結果、フィルタ全体の小型化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
1.フィルタ
本実施形態に係るフィルタは、以下に述べる第1ケース部材、第2ケース部材及びフィルタエレメントを備えている。
【0010】
上記「第1ケース部材」及び「第2ケース部材」は、互いに突き合されて濾過室を形成し且つ合成樹脂製である限り、その形状、大きさ、材質等は特に問わない。
上記各ケース部材の形状としては、例えば、一方を開放した箱状、皿状、椀状、平板状等を挙げることができる。
上記各ケース部材の材質としては、例えば、レーザ透過性を有する合成樹脂材料を採用したり、レーザ吸収性を有する合成樹脂材料を採用したりできる。
【0011】
上記「フィルタエレメント」は、濾材と、この濾材の周縁部を保持し且つ上記各ケース部材の突合せ端部の間に挟持される合成樹脂製の保持枠と、を有する限り、その形状、大きさ、材質等は特に問わない。
上記濾材の形状としては、例えば、ひだ折り状、シート状、波状等を挙げることができる。また、濾材の材質としては、例えば、不織布、織物、紙等を挙げることができる。
上記保持枠の材質としては、例えば、レーザ透過性を有する合成樹脂材料を採用したり、レーザ吸収性を有する合成樹脂材料を採用したりすることができる。
【0012】
なお、上記保持枠及び上記各ケース部材をなす合成樹脂材料としては、例えば、ポリスチレン(PS)、低密度ポリエチレン(LDPE)、ポリカーボネート(PC)等の非晶性樹脂、ポリプロピレン(PP)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリアミド(PA)、ポリアセタール(POM)等の結晶性樹脂などを挙げることができる。
【0013】
本実施形態に係るフィルタは、上記第1及び第2ケース部材のうちの少なくとも一方のケース部材の突合せ端部と上記フィルタエレメントの保持枠との間の突合せ方向に延びる接触面部にレーザ光による溶着部が設けられていることを特徴とする。なお、上記「突合せ方向に延びる」とは、突合せ方向に平行に延びている状態の他に、突合せ方向に傾斜して延びている状態も含むものとする。
上記溶着部は、例えば、上記接触面部に向って上記フィルタの側方からレーザ光を照射して形成されていることができる。
【0014】
ここで、上記一方のケース部材及び保持枠の接合形態としては、例えば、一方のケース部材の突合せ端部及び上記フィルタエレメントの保持枠のうちの一方には、突合せ方向に突出する凸部が設けられており、他方には、この凸部と嵌合する凹部が設けられており、上記溶着部は、これら凸部及び凹部の嵌合部位の外側面側に設けられている形態を挙げることができる。
【0015】
上述の接合形態の場合、上記凸部及び凹部の嵌合部位の内側面側には、例えば、テーパ面が設けられていることができる。
また、上記凸部及び凹部は、例えば、凸部の先端面と凹部の底面側との間に隙間空間をもって嵌合されることができる。これにより、第1ケース部材及びフィルタエレメントの寸法精度のバラツキをより確実に吸収できる。
また、上記凸部及び凹部とは別に、例えば、上記一方のケース部材の突合せ端部及び上記フィルタエレメントの保持枠のうちの一方には、突合せ方向に突出する嵌合部が設けられており、他方には、この嵌合部と嵌合する被嵌合部が設けられていることができる。この嵌合部及び被嵌合部は、各ケース部材の全周に連続して設けられていたり、各ケース部材の全周に沿って所定間隔で設けられていたりできる。
【0016】
ここで、本実施形態に係るフィルタとしては、例えば、下記(1)(2)形態を挙げることができる。
(1)上記第1ケース部材の突合せ端部と上記フィルタエレメントの保持枠との間の突合せ方向に延びる接触面部にレーザ光による第1溶着部が設けられており、上記第2ケース部材の突合せ端部と上記フィルタエレメントの保持枠との間の突合せ方向に延びる接触面部にレーザ光による第2溶着部が設けられている形態。
(2)上記第1ケース部材の突合せ端部と上記フィルタエレメントの保持枠との間の突合せ方向に延びる接触面部にレーザ光による第1溶着部が設けられており、上記第2ケース部材の突合せ端部と上記第1ケース部材の突合せ端部との間の突合せ方向に延びる接触面部にレーザ光による第2溶着部が設けられている形態。
これらのうち、フィルタをより小型化できるといった観点から、上記(1)形態であることが好ましい。
【0017】
上記(1)形態では、例えば、第1ケース部材及び保持枠の間、並びに第2ケース部材及び保持枠の間に、上述の接合形態を適用することができる。また、上記(2)形態では、例えば、第1ケース部材及び保持枠の間に、上述の接合形態を適用することができる。
また、上記(1)(2)形態における第1及び第2溶着部の形成形態としては、例えば、(a)1つのレーザ光によって第1及び第2溶着部を同時に形成する形態、(b)2つのレーザ光によって第1及び第2溶着部を同時に形成する形態、(c)1つのレーザ光によって第1及び第2溶着部を順番に形成する形態等を挙げることができる。各溶着部をより簡易且つ安価に形成できるといった観点から、上記(a)形態であることが好ましい。
また、上記(1)(2)形態では、例えば、上記第1溶着部及び第2溶着部は、突合せ方向に直交する方向の位相が一致して配設されており、フィルタの外側面から第1及び第2溶着部までの距離が略同じ値に設定されていることができる。これにより、レーザ光の焦点等を変えることなく、1つのレーザ光で略同じ形状・大きさの第1及び第2溶着部を同時に形成できる。
【0018】
2.フィルタの製造方法
本実施形態に係るフィルタの製造方法は、上記実施形態1.に係るフィルタの製造方法であって、上記第1ケース部材及び上記第2ケース部材のそれぞれの突合せ端部の間に、上記フィルタエレメントの保持枠を挟持させる工程と、上記第1ケース部材及び上記第2ケース部材のうちの少なくとも一方のケース部材の突合せ端部と上記フィルタエレメントの保持枠との突合せ方向に延びる接触面部に、レーザ光を照射して上記溶着部を形成する工程と、を備えることを特徴とする。
【0019】
上記保持枠を挟持させる工程では、例えば、一方のケース部材の突合せ端部及び上記フィルタエレメントの保持枠のうちの一方に設けられた上記凸部と、他方に設けられた上記凹部とが嵌合され、上記溶着部を形成する工程では、例えば、上記凸部及び凹部の嵌合部位の外側面側にレーザ光を照射することができる。
また、上記保持枠を挟持させる工程では、例えば、上記凸部及び凹部とは別に、上記一方のケース部材の突合せ端部及び上記フィルタエレメントの保持枠のうちの一方に設けられた上記嵌合部と、他方に設けられた上記被嵌合部とが嵌合されることができる。
また、上記溶着部を形成する工程では、例えば、上記第1ケース部材の突合せ端部と上記フィルタエレメントの保持枠との突合せ方向に延びる接触面部に、レーザ光を照射して上記第1溶着部を形成すると共に、上記第2ケース部材の突合せ端部と上記フィルタエレメントの保持枠との突合せ方向に延びる接触面部に、レーザ光を照射して上記第2溶着部を形成することができる。
【実施例】
【0020】
以下、図面を用いて実施例により本発明を具体的に説明する。なお、本実施例では、フィルタとして、車両の自動変速機用オイルフィルタを例示する。
【0021】
(実施例1)
本実施例1に係るフィルタ1Aは、図1及び2に示すように、互いに突き合されて濾過室Sを形成する矩形皿状の上部ケース部材2(本発明に係る「第1ケース部材」として例示する。)及び下部ケース部材3(本発明に係る「第2ケース部材」として例示する。)と、これら各ケース部材2,3の間に挟持されるフィルタエレメント4と、を備えている。下部ケース部材3には、汚染されたオイルの流入口7aが形成され、上部ケース部材2には、濾過されたオイルの流出口7bが形成されている。
【0022】
上部ケース部材2は、レーザ吸収性を有する合成樹脂材料からなっている。また、下部ケース部材3は、レーザ吸収性を有する合成樹脂材料からなっている。これら各ケース部材2,3は、底壁部2a,3aの周縁側から立ち上がる枠状の突合せ端部2b,3bを有している。これら各突合せ端部2b,3bの先端側には、図4に示すように、突合せ方向Pに突出する凸部8,9が設けられている。これら各凸部8,9の内周面側には、突合せ方向Pに傾斜するテーパ面8a,9aが形成されている。
【0023】
上記フィルタエレメント4は、図1〜3に示すように、インサート成形によって、ひだ折り状の不織布製の濾材5の周縁部に、レーザ透過性を有する合成樹脂製の保持枠6を一体化して形成されている。この保持枠6の対向する辺部の間には、濾材5のひだ稜線方向に直交する方向(即ち、ひだ折り方向)に延び且つ濾材5のひだ稜線方向の中央部に一体化される補強リブ10が設けられている。また、この保持枠6の上面側及び下面側には、図4に示すように、上記各凸部8,9と嵌合する上下の凹部11,12が設けられている。これら各凹部11,12の内周面側には、突合せ方向Pに傾斜するテーパ面11a,12aが形成されている。また、上記各凸部8,9及び凹部11,12は、凸部8,9の先端面と凹部11,12の底面側との間に隙間空間をもって嵌合される。
【0024】
上記凸部8及び凹部11の嵌合部位の外側面側(本発明に係る「接触面部」として例示する。)には、上部ケース部材2とフィルタエレメント4の保持枠6とを接合する第1溶着部w1が形成されている。また、上記凸部9及び凹部12の嵌合部位の外側面側(本発明に係る「接触面部」として例示する。)には、下部ケース部材3とフィルタエレメント4の保持枠6とを接合する第2溶着部w2が形成されている。これら第1及び第2溶着部w1,w2は、フィルタ1Aの側方(突合せ方向に直交する方向)から照射されるレーザ光によって同時に形成されている。即ち、レーザ光照射範囲a1に照射されるレーザ光は、各レーザ光吸収範囲b1,b2において、保持枠6を透過して各ケース部材2,3の凸部8,9の外側面側に至りその部位を溶融し、その溶融部の発熱が保持枠6に伝達されその部位が溶融され、上記第1及び第2溶着部w1,w2が形成されることとなる。
なお、上記レーザ光の照射は、各ケース部材2,3を突合せ方向Pに加圧した状態で、フィルタ1Aの外周に沿って連続して一様に行われる。従って、上記第1及び第2溶着部w1,w2はフィルタ1Aの外周に沿って連続して形成されている。
【0025】
次に、上記フィルタ1Aの作用について説明する。
自動変速機用オイルが流入口7aからフィルタ1Aの濾過室Sのダスティ側に導入される。ダスティ側に導入されたオイルは濾材5を通過して濾過室Sのクリーン側に至る。このようにオイルが濾材5を通過する際に、オイルの中に含まれている異物、濾材5によって除去される。異物、不純物を除去されたオイルはこの濾過室Sのクリーン側から流出口7bを経て、フィルタ1Aの外に流れ出る。
【0026】
以上より、本実施例1のフィルタ1Aによると、各ケース部材2,3とフィルタエレメント4の保持枠6との接触面部にレーザ光による第1及び第2溶着部w1,w2が設けられているので、それら第1及び第2溶着部w1,w2によって、各ケース部材2,3及びフィルタエレメント4の3部材が強固に一体化される。また、従来の振動溶着による溶着部に比べて、第1及び第2溶着部w1,w2の突合せ方向Pに直交する方向の大きさを必要最小限にできる。さらに、レーザ溶着を用いているので、溶着バリの発生が抑制されてバリ溜を不要にできる。その結果、フィルタ全体の小型化を図ることができる。
【0027】
また、本実施例1のフィルタ1Aでは、各ケース部材2,3に凸部8,9が設けられ、フィルタエレメント4の保持枠6に凹部11,12が設けられているので、凸部8,9及び凹部11,12の嵌合によって、レーザ溶着時の熱膨張等による接合部の反りを抑制して必要十分な密着強度を得ることができる。また、第1及び第2溶着部w1,w2が、凸部8,9及び凹部11,12の嵌合部位の外側面側(反濾過室側)に設けられているので、第1及び第2溶着部w1,w2を濾過室Sから十分に離れて配設でき、第1及び第2溶着部w1,w2の付近で溶着バリが発生しても、そのバリの濾過室S内への侵入を抑制できる。その結果、フィルタとしての製品性能の低下を防止できる。
【0028】
また、本実施例1のフィルタ1Aでは、凸部8,9及び凹部11,12の嵌合部位の内側面側にテーパ面8a,9a,11a,12aが設けられているので、テーパ面8a,9a,11a,12aによる機械的接合力によって、レーザ溶着時の熱膨張等による接合部の反りをより確実に抑制できる。また、テーパ面8a,9a,11a,12aによって、各ケース部材2,3及びフィルタエレメント4の保持枠6の寸法精度のバラツキが吸収されて、各部材をより正確に位置決めできる。また、凸部8,9及び凹部11,12の嵌合部位の内側面側が突合せ方向Pに平行に延びる平面であるものに比べて、凸部8,9及び凹部11,12の嵌合部位の内側面側における嵌合距離を長くでき、溶着部w1,w2の付近で発生する溶着バリの濾過室S内への侵入をより確実に抑制できる。
【0029】
また、本実施例1のフィルタ1Aでは、第1及び第2溶着部w1,w2を、フィルタ1Aの側方から照射される1つのレーザ光によって同時に形成するようにしたので、レーザ光の焦点を変えずに、第1及び第2溶着部w1,w2をより簡易に形成することができる。
また、本実施例1のフィルタ1Aでは、ひだ折り状の濾材5及び保持枠6からなるフィルタエレメント4を各ケース部材2,3の間に挟持するようにしたので、ひだ折り状の濾材を直接的に各ケース部材の間に挟持させるものに比べて、各ケース部材に対する濾材の組付性を向上させ得る。
【0030】
(実施例2)
本実施例2に係るフィルタ1Bは、図5に示すように、上部ケース部材2及び下部ケース部材3と、これら各ケース部材2,3の間に挟持されるフィルタエレメント4と、を備えている。なお、本実施例2において、実施例1と略同じ構成部位には同じ符号を付け詳説を省略し、以下に実施例1との主な相違点について説明する。
【0031】
上記各ケース部材2,3の凸部8,9の外方側には、突合せ方向Pに凹んだ被嵌合部14が設けられている。また、フィルタエレメント4の保持枠6の凹部11,12の外方側には、この被嵌合部14と嵌合する突合せ方向Pに突出する嵌合部15が設けられている。
【0032】
従って、上記実施例2のフィルタ1Bによると、上記実施例1と同様の作用・効果を発揮し得ると共に、凸部8,9及び凹部11,12の嵌合に加えて、嵌合部15及び被嵌合部14の嵌合によって、レーザ溶着時の接合部の反りをより確実に抑制できる。
【0033】
(実施例3)
本実施例3に係るフィルタ1Cは、図6に示すように、上部ケース部材2及び下部ケース部材3と、これら各ケース部材2,3の間に挟持されるフィルタエレメント4と、を備えている。なお、本実施例3において、実施例1と略同じ構成部位には同じ符号を付け詳説を省略し、以下に実施例1との主な相違点について説明する。
【0034】
上部ケース部材2は、レーザ透過性を有する合成樹脂材料からなっている。また、下部ケース部材3は、レーザ透過性を有する合成樹脂材料からなっている。これら各ケース部材2,3の各突合せ端部2b,3bの先端側には、突合せ方向Pに凹んだ凹部17,18が設けられている。これら各凹部17,18の内周面側には、突合せ方向Pに傾斜するテーパ面17a,18aが形成されている。
【0035】
上記フィルタエレメント4の保持枠6は、レーザ吸収性を有する合成樹脂材料からなっている。この保持枠6の上面側及び下面側には、上記各凹部17,18と嵌合する凸部19,20が設けられている。これら各凸部19,20の内周面側には、突合せ方向Pに傾斜するテーパ面19a,20aが形成されている。また、上記各凸部19,20及び凹部17,18は、凸部19,20の先端面と凹部17,18の底面側との間に隙間空間をもって嵌合される。
【0036】
上記凸部19及び凹部17の嵌合部位の外側面側(本発明に係る「接触面部」として例示する。)には、上部ケース部材2とフィルタエレメント4の保持枠6とを接合する第1溶着部w1が形成されている。また、上記凸部20及び凹部18の嵌合部位の外側面側(本発明に係る「接触面部」として例示する。)には、下部ケース部材3とフィルタエレメント4の保持枠6とを接合する第2溶着部w2が形成されている。これら第1及び第2溶着部w1,w2は、フィルタ1Cの側方(突合せ方向に直交する方向)から照射されるレーザ光によって同時(又は順番)に形成されている。即ち、各レーザ光照射範囲c1,c2に照射される各レーザ光は、各ケース部材2,3を透過して保持枠6の凸部19,20の外側面側に至りその部位を溶融し、その溶融部の発熱が各ケース部材2,3に伝達されその部位が溶融され、上記第1及び第2溶着部w1,w2が形成されることとなる。
【0037】
従って、本実施例3のフィルタ1Cによると、上記実施例1と略同様の作用・効果を発揮し得ると共に、各ケース部材2,3の凹部17,18とフィルタエレメント4の保持枠6の凸部19,20との嵌合によって、レーザ溶着時の接合部の反りを抑制して必要十分な密着強度を得ることができる。
【0038】
(実施例4)
本実施例4に係るフィルタ1Dは、図7に示すように、上部ケース部材2及び下部ケース部材3と、これら各ケース部材2,3の間に挟持されるフィルタエレメント4と、を備えている。なお、本実施例4において、実施例1と略同じ構成部位には同じ符号を付け詳説を省略し、以下に実施例1との主な相違点について説明する。
【0039】
上記各ケース部材2,3の各突合せ端部2b,3bは、その突合せ方向Pと直交する方向の位相が僅かにずらされている。これら各突合せ端部2b,3bの先端側には、突合せ方向Pに突出する凸部22,23が設けられている。この凸部22の内周面側には、突合せ方向Pに傾斜するテーパ面22aが形成されている。また、凸部23の外周面側には、突合せ方向Pに傾斜するテーパ面23aが形成されている。
【0040】
上記フィルタエレメント4の保持枠6の上面側及び下面側には、上記各凸部22,23と嵌合する凹部24,25が設けられている。この上側の凹部24の内周面側には、突合せ方向Pに傾斜するテーパ面24aが形成されている。また、この下側の凹部25の外周面側には、突合せ方向Pに傾斜するテーパ面25aが形成されている。
【0041】
上記凸部22及び凹部24の嵌合部位の外側面側(本発明に係る「接触面部」として例示する。)には、上部ケース部材2とフィルタエレメント4の保持枠6とを接合する第1溶着部w1が形成されている。また、上記凸部23及び凹部25の嵌合部位の外側面側(本発明に係る「接触面部」として例示する。)には、下部ケース部材3とフィルタエレメント4の保持枠6とを接合する第2溶着部w2が形成されている。これら第1及び第2溶着部w1,w2は、フィルタ1Dの側方(突合せ方向に直交する方向)から照射されるレーザ光によって同時に形成されている。
【0042】
従って、本実施例4のフィルタ1Dによると、上記実施例1と同様の作用・効果を発揮し得ると共に、各ケース部材2,3の突合せ端部2b,3bを突合せ方向Pに直交する方向に位相をずらしているので、第1及び第2溶着部w1,w2を突合せ方向Pに近接して配置できる。その結果、レーザ光照射範囲a1が比較的狭い、即ち出力の小さなレーザ光を採用できる。
【0043】
(実施例5)
本実施例5に係るフィルタ1Eは、図8に示すように、上部ケース部材2及び下部ケース部材3と、これら各ケース部材2,3の間に挟持されるフィルタエレメント4と、を備えている。なお、本実施例5において、実施例1と略同じ構成部位には同じ符号を付け詳説を省略し、以下に実施例1との主な相違点について説明する。
【0044】
上部ケース部材2は、レーザ透過性を有する合成樹脂材料からなっている。また、下部ケース部材3は、レーザ吸収性を有する合成樹脂材料からなっている。また、この上部ケース部材2の突合せ端部2bの先端側には、突合せ方向Pに凹んだ凹部27が設けられている。また、下部ケース部材3の突合せ端部3bの先端側には、突合せ方向Pに突出する凸部28が設けられている。これら凹部27及び凸部28の内周面側には、突合せ方向Pに傾斜するテーパ面27a,28aが形成されている。
【0045】
上記フィルタエレメント4は、濾材5の周縁部を上下の保持枠6a,6bで挟持して形成されている。この保持枠6aは、レーザ吸収性を有する合成樹脂材料からなっている。また、保持枠6bは、レーザ透過性を有する合成樹脂材料からなっている。さらに、これらの保持枠6a,6bは、接着、溶着、螺合等によって互いに固着されている。また、この保持枠6aの上面側には、上記凹部27と嵌合する凸部29が設けられている。また、保持枠6bの下面側には、上記凸部28と嵌合する凹部30が設けられている。これら凸部29及び凹部30の内周面側には、突合せ方向に傾斜するテーパ面29a,30aが形成されている。
【0046】
上記凹部27及び凸部29の嵌合部位の外側面側(本発明に係る「接触面部」として例示する。)には、上部ケース部材2とフィルタエレメント4の保持枠6aとを接合する第1溶着部w1が形成されている。また、上記凸部28及び凹部30の嵌合部位の外側面側(本発明に係る「接触面部」として例示する。)には、下部ケース部材3とフィルタエレメント4の保持枠6bとを接合する第2溶着部w2が形成されている。これら第1及び第2溶着部w1,w2は、フィルタ1Eの側方(突合せ方向に直交する方向)から照射されるレーザ光によって同時に形成されている。即ち、レーザ光照射範囲a1に照射されるレーザ光は、レーザ光吸収範囲b1において、上部ケース部材2を透過して保持枠6aの凸部29の外側面側に至りその部位を溶融し、その溶融部の発熱が上部ケース部材2に伝達されその部位が溶融され、上記第1溶着部w1が形成されると共に、レーザ光吸収範囲b2において、保持枠6bを透過して下部ケース部材3の凸部28の外側面側に至りその部位を溶融し、その溶融部の発熱が保持枠6bに伝達されその部位が溶融され、上記第2溶着部w2が形成されることとなる。
【0047】
従って、本実施例5のフィルタ1Eによると、上記実施例1と略同様の作用・効果を発揮し得ると共に、上部ケース部材2の凹部27及び保持枠6aの凸部29の嵌合、並びに下部ケース部材3の凸部28及び保持枠6bの凹部30の嵌合によって、レーザ溶着時の接合部の反りを抑制して必要十分な密着強度を得ることができる。
【0048】
(実施例6)
本実施例6に係るフィルタ1Fは、図9に示すように、上部ケース部材2及び下部ケース部材3と、これら各ケース部材2,3の間に挟持されるフィルタエレメント4と、を備えている。なお、本実施例6において、実施例1と略同じ構成部位には同じ符号を付け詳説を省略し、以下に実施例1との主な相違点について説明する。
【0049】
上部ケース部材2は、レーザ透過性を有する合成樹脂材料からなっている。また、下部ケース部材3は、レーザ吸収性を有する合成樹脂材料からなっている。この上部ケース部材2の凸部8の外方側には、突合せ方向Pに延び且つその先端側が下部ケース部材3の突合せ端部3bの基部の外側面側に接触する外壁部33が設けられている。
【0050】
上記上部ケース部材2の外壁部33の先端部と下部ケース部材3の突合せ端部3bの基部との間の突合せ方向Pに延びる接触面部には、上部ケース部材2と下部ケース部材3とを接合する第1溶着部w1が形成されている。また、上記下部ケース部材3の凸部9と保持枠6の凹部12との嵌合部位の外側面側(本発明に係る「接触面部」として例示する。)には、下部ケース部材3とフィルタエレメント4の保持枠6とを接合する第2溶着部w2が形成されている。これら第1及び第2溶着部w1,w2は、フィルタ1Fの側方(突合せ方向に直交する方向)から照射されるレーザ光によって同時に形成されている。即ち、レーザ光照射範囲a1に照射されるレーザ光は、レーザ光吸収範囲b1において、外壁部33を透過して下部ケース部材3の突合せ端部3bの基部の外側面側に至りその部位を溶融し、その溶融部の発熱が外壁部33に伝達されその部位が溶融され、上記第1溶着部w1が形成されると共に、レーザ光吸収範囲b2において、外壁部33及び保持枠6を透過して下部ケース部材3の凸部9の外側面側に至りその部位を溶融し、その溶融部の発熱が保持枠6に伝達されその部位が溶融されて、上記第2溶着部w2が形成されることとなる。
【0051】
従って、本実施例6のフィルタ1Fによると、上記実施例1と同様の作用・効果を発揮し得ると共に、上部ケース部材2と下部ケース部材3との間に第1溶着部w1を設け、下部ケース部材3と保持枠6との間に第2溶着部w2を設けたので、第1及び第2溶着部w1,w2を突合せ方向Pに近接して配置できる。その結果、レーザ光照射範囲が比較的狭い、即ち出力の小さなレーザ光を採用できる。また、外壁部33によって、保持枠6の外側面を覆うことができ、製品の美観を向上させ得る。
【0052】
尚、本発明においては、上記実施例1〜6に限られず、目的、用途に応じて本発明の範囲内で種々変更した実施例とすることができる。即ち、上記実施例1〜6に係るフィルタ1A〜1Fでは、一方のケース部材2,3及びフィルタエレメント4の保持枠6のうちの一方に設けた凸部と他方に設けた凹部との嵌合部位の内側面側のみにテーパ面を設けるようにしたが、これに限定されず、例えば、図10に示すように、凸部40及び凹部41の嵌合部位の内側面側及び外側面側にテーパ面40a,41aを設けるようにしてもよい。また、凸部及び凹部の嵌合部位の外側面側のみにテーパ面を設けるようにしてもよい。
また、上記実施例2では、溶着部w1,w2の外方側(反濾過室側)のみに嵌合部15及び被嵌合部14を設けるようにしたが、これに限定されず、例えば、図10に示すように、溶着部w1,w2の外方側(反濾過室側)及び内方側(濾過室側)に嵌合部43及び被嵌合部44を設けるようにしてもよい。また、溶着部の内方側(濾過室側)のみに嵌合部及び被嵌合部を設けるようにしてもよい。
【0053】
また、上記実施例1〜6では、一方のケース部材2,3及びフィルタエレメント4の保持枠6のうちの一方に設けた凸部と、他方に設けた凹部とを嵌合させるようしたが、これに限定されず、例えば、図11に示すように、各ケース部材2,3とフィルタエレメント4の保持枠6とを嵌合させずに、両者の間の突合せ方向Pに延びる接触面部に溶着部w1,w2を形成するようにしてもよい。
【0054】
また、上記実施例1〜6の各ケース部材2,3に、ひだ折り状の濾材5のひだ部の倒れ込みを防止するための支持片46(図1中に仮想線参照)を設けるようにしてもよい。
また、上記実施例1〜6において、フィルタ1A〜1Fの濾過室S内に濾材5が設置されているが、他の内部部品でレーザ光に影響を受ける部品が設置されている場合であっても、保持枠6から濾材5までの距離を長くすれば、レーザの透過率を低減できる。
また、上記実施例1〜6のレーザ光の種類としては、例えば、半導体、気体、固体、液体レーザ光等を挙げることができる。
【産業上の利用可能性】
【0055】
オイル、燃料、エア等の汚染流体を濾過するフィルタとして利用される。特に、車両の自動変速機用オイルフィルタとして好適に利用される。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】実施例1に係るフィルタの縦断面図である。
【図2】図1のII−II線断面図である。
【図3】フィルタエレメントの平面図である。
【図4】図1の要部拡大図である。
【図5】実施例2に係るフィルタの縦断面図である。
【図6】実施例3に係るフィルタの縦断面図である。
【図7】実施例4に係るフィルタの縦断面図である。
【図8】実施例5に係るフィルタの縦断面図である。
【図9】実施例6に係るフィルタの縦断面図である。
【図10】ケース部材及び保持枠の他の接合形態を示す要部断面図である。
【図11】ケース部材及び保持枠の更に他の接合形態を示す要部断面図である。
【図12】従来の振動溶着によるケースの接合形態を示す要部断面図である。
【符号の説明】
【0057】
1A〜1F;フィルタ、2;上部ケース部材、2b;突合せ端部、3;下部ケース部材、3b;突合せ端部、4;フィルタエレメント、5;濾材、6;保持枠、8,9;凸部、8a,9a;テーパ面、11,12;凹部、11a,12a;テーパ面、14;被嵌合部、15;嵌合部、P;突合せ方向、S;濾過室、w1;第1溶着部、w2;第2溶着部。
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィルタ及びその製造方法に関し、さらに詳しくは、溶着バリの発生を抑制して溶着部及びバリ溜を必要最小限として小型化を図り得るフィルタ及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のフィルタとして、振動溶着によって、合成樹脂製の一対のケース部材を溶着するとともに当該一対のケース部材の間にフィルタエレメントを挟持させてなるものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
上記特許文献1には、例えば、図12に示すように、アッパーケース102の下端縁に接合部102aを形成し、ロアーケース103の上端縁及びスクリーンフレーム104の外縁に、アッパーケース102の接合部102aに対向する各接合部103a,104aを形成することが開示されている。
【0003】
しかし、上記特許文献1では、アッパーケース102の接合部102aに対して、ロアーケース103の接合部103a及びスクリーンフレーム104の接合部104aを同時に振動溶着するようにしているので、アッパーケース102の接合部102aの接触面に十分に広い平面域を確保する必要があると共に、アッパーケース102の接合部102aの両側方には、振動溶着時に比較的多く発生する溶着バリのための空間(バリ溜)rを設定する必要がある。そして、これら空間r及び溶着部wは、通常、フィルタの全周に沿って配置されるため、フィルタが大型化してしまう。
【0004】
【特許文献1】実開平5−29735号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
以上より本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、溶着バリの発生を抑制して溶着部及びバリ溜を必要最小限として小型化を図り得るフィルタ及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、以下の通りである。
1.互いに突き合されて濾過室を形成する合成樹脂製の第1ケース部材及び第2ケース部材と、
濾材と、該濾材の周縁部を保持し且つ前記第1ケース部材及び前記第2ケース部材のそれぞれの突合せ端部の間に挟持される合成樹脂製の保持枠と、を有するフィルタエレメントと、を備え、
前記第1ケース部材及び前記第2ケース部材のうちの少なくとも一方のケース部材の突合せ端部と前記フィルタエレメントの保持枠との間の突合せ方向に延びる接触面部にはレーザ光による溶着部が設けられていることを特徴とするフィルタ。
2.前記一方のケース部材の突合せ端部及び前記フィルタエレメントの保持枠のうちの一方には、突合せ方向に突出する凸部が設けられており、他方には、該凸部と嵌合する凹部が設けられており、前記溶着部は、該凸部及び該凹部の嵌合部位の外側面側に設けられている上記1.記載のフィルタ。
3.前記凸部及び前記凹部の嵌合部位の内側面側にはテーパ面が設けられている上記2.記載のフィルタ。
4.前記凸部及び前記凹部の少なくとも内周側もしくは外周側において、前記一方のケース部材の突合せ端部及び前記フィルタエレメントの保持枠のうちの一方には、突合せ方向に突出する嵌合部が設けられており、他方には、該嵌合部と嵌合する被嵌合部が設けられている上記2.又は3.に記載のフィルタ。
5.前記第1ケース部材の突合せ端部と前記フィルタエレメントの保持枠との突合せ方向に延びる接触面部にはレーザ光による第1溶着部が設けられており、前記第2ケース部材の突合せ端部と前記フィルタエレメントの保持枠との突合せ方向に延びる接触面部にはレーザ光による第2溶着部が設けられている上記1.記載のフィルタ。
6.上記1.乃至5.のいずれか一項に記載のフィルタの製造方法であって、
前記第1ケース部材及び前記第2ケース部材のそれぞれの突合せ端部の間に、前記フィルタエレメントの保持枠を挟持させる工程と、
前記第1ケース部材及び前記第2ケース部材のうちの少なくとも一方のケース部材の突合せ端部と前記フィルタエレメントの保持枠との間の突合せ方向に延びる接触面部に、レーザ光を照射して前記溶着部を形成する工程と、を備えることを特徴とするフィルタの製造方法。
【発明の効果】
【0007】
本発明のフィルタによると、一方のケース部材の突合せ端部とフィルタエレメントの保持枠との間の突合せ方向に延びる接触面部にレーザ光による溶着部が設けられているので、その溶着部によって、一方のケース部材及びフィルタエレメントが強固に一体化される。また、溶着部の突合せ方向に直交する方向の大きさを必要最小限にできると共に、レーザ溶着を用いているので溶着バリの発生が抑制されてバリ溜を必要最小限(省略も可能)にできる。その結果、フィルタ全体の小型化を図ることができる。
また、前記一方のケース部材及び前記フィルタエレメントのうちの一方に凸部が設けられ、他方に凹部が設けられ、前記溶着部が、該凸部及び該凹部の嵌合部位の外側面側に設けられている場合は、凸部及び凹部の嵌合によって、レーザ溶着時の接合部の反りを抑制して必要十分な密着強度を得ることができる。また、溶着部を濾過室から十分に離れて配設でき、溶着部の付近で溶着バリが発生しても、そのバリの濾過室内への侵入を抑制できる。その結果、フィルタとしての製品性能の低下を防止できる。
また、前記凸部及び前記凹部の嵌合部位の内側面側にテーパ面が設けられている場合は、テーパ面の機械的接合力によって、レーザ溶着時の接合部の反りをより確実に抑制できる。また、テーパ面によって、一方のケース部材及びフィルタエレメントの保持枠の寸法精度のバラツキが吸収されて、両部材をより正確に位置決めできる。また、テーパ面によって、凸部及び凹部の嵌合部位の内側面側における嵌合距離を長くでき、溶着部の付近で発生する溶着バリの濾過室内への侵入をより確実に抑制できる。
また、前記一方のケース部材及び前記フィルタエレメントのうちの一方に嵌合部が設けられ、他方に被嵌合部が設けられている場合は、凸部及び凹部の嵌合に加えて、嵌合部及び被嵌合部の嵌合によって、レーザ溶着時の接合部の反りをより確実に抑制できる。
また、前記第1ケース部材と前記フィルタエレメントとの接触面部にレーザ光による第1溶着部が設けられ、前記第2ケース部材と前記フィルタエレメントとの接触面部にレーザ光による第2溶着部が設けられている場合は、それらの溶着部によって、第1ケース部材、第2ケース部材及びフィルタエレメントが強固に一体化される。
【0008】
本発明のフィルタの製造方法によると、一方のケース部材の突合せ端部とフィルタエレメントの保持枠との間の突合せ方向に延びる接触面部にレーザ光による溶着部が形成されるので、その溶着部によって、一方のケース部材及びフィルタエレメントが強固に一体化される。また、溶着部の突合せ方向に直交する方向の大きさを必要最小限にできると共に、レーザ溶着を用いているので溶着バリの発生が抑制されてバリ溜を必要最小限(省略も可能)にできる。その結果、フィルタ全体の小型化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
1.フィルタ
本実施形態に係るフィルタは、以下に述べる第1ケース部材、第2ケース部材及びフィルタエレメントを備えている。
【0010】
上記「第1ケース部材」及び「第2ケース部材」は、互いに突き合されて濾過室を形成し且つ合成樹脂製である限り、その形状、大きさ、材質等は特に問わない。
上記各ケース部材の形状としては、例えば、一方を開放した箱状、皿状、椀状、平板状等を挙げることができる。
上記各ケース部材の材質としては、例えば、レーザ透過性を有する合成樹脂材料を採用したり、レーザ吸収性を有する合成樹脂材料を採用したりできる。
【0011】
上記「フィルタエレメント」は、濾材と、この濾材の周縁部を保持し且つ上記各ケース部材の突合せ端部の間に挟持される合成樹脂製の保持枠と、を有する限り、その形状、大きさ、材質等は特に問わない。
上記濾材の形状としては、例えば、ひだ折り状、シート状、波状等を挙げることができる。また、濾材の材質としては、例えば、不織布、織物、紙等を挙げることができる。
上記保持枠の材質としては、例えば、レーザ透過性を有する合成樹脂材料を採用したり、レーザ吸収性を有する合成樹脂材料を採用したりすることができる。
【0012】
なお、上記保持枠及び上記各ケース部材をなす合成樹脂材料としては、例えば、ポリスチレン(PS)、低密度ポリエチレン(LDPE)、ポリカーボネート(PC)等の非晶性樹脂、ポリプロピレン(PP)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリアミド(PA)、ポリアセタール(POM)等の結晶性樹脂などを挙げることができる。
【0013】
本実施形態に係るフィルタは、上記第1及び第2ケース部材のうちの少なくとも一方のケース部材の突合せ端部と上記フィルタエレメントの保持枠との間の突合せ方向に延びる接触面部にレーザ光による溶着部が設けられていることを特徴とする。なお、上記「突合せ方向に延びる」とは、突合せ方向に平行に延びている状態の他に、突合せ方向に傾斜して延びている状態も含むものとする。
上記溶着部は、例えば、上記接触面部に向って上記フィルタの側方からレーザ光を照射して形成されていることができる。
【0014】
ここで、上記一方のケース部材及び保持枠の接合形態としては、例えば、一方のケース部材の突合せ端部及び上記フィルタエレメントの保持枠のうちの一方には、突合せ方向に突出する凸部が設けられており、他方には、この凸部と嵌合する凹部が設けられており、上記溶着部は、これら凸部及び凹部の嵌合部位の外側面側に設けられている形態を挙げることができる。
【0015】
上述の接合形態の場合、上記凸部及び凹部の嵌合部位の内側面側には、例えば、テーパ面が設けられていることができる。
また、上記凸部及び凹部は、例えば、凸部の先端面と凹部の底面側との間に隙間空間をもって嵌合されることができる。これにより、第1ケース部材及びフィルタエレメントの寸法精度のバラツキをより確実に吸収できる。
また、上記凸部及び凹部とは別に、例えば、上記一方のケース部材の突合せ端部及び上記フィルタエレメントの保持枠のうちの一方には、突合せ方向に突出する嵌合部が設けられており、他方には、この嵌合部と嵌合する被嵌合部が設けられていることができる。この嵌合部及び被嵌合部は、各ケース部材の全周に連続して設けられていたり、各ケース部材の全周に沿って所定間隔で設けられていたりできる。
【0016】
ここで、本実施形態に係るフィルタとしては、例えば、下記(1)(2)形態を挙げることができる。
(1)上記第1ケース部材の突合せ端部と上記フィルタエレメントの保持枠との間の突合せ方向に延びる接触面部にレーザ光による第1溶着部が設けられており、上記第2ケース部材の突合せ端部と上記フィルタエレメントの保持枠との間の突合せ方向に延びる接触面部にレーザ光による第2溶着部が設けられている形態。
(2)上記第1ケース部材の突合せ端部と上記フィルタエレメントの保持枠との間の突合せ方向に延びる接触面部にレーザ光による第1溶着部が設けられており、上記第2ケース部材の突合せ端部と上記第1ケース部材の突合せ端部との間の突合せ方向に延びる接触面部にレーザ光による第2溶着部が設けられている形態。
これらのうち、フィルタをより小型化できるといった観点から、上記(1)形態であることが好ましい。
【0017】
上記(1)形態では、例えば、第1ケース部材及び保持枠の間、並びに第2ケース部材及び保持枠の間に、上述の接合形態を適用することができる。また、上記(2)形態では、例えば、第1ケース部材及び保持枠の間に、上述の接合形態を適用することができる。
また、上記(1)(2)形態における第1及び第2溶着部の形成形態としては、例えば、(a)1つのレーザ光によって第1及び第2溶着部を同時に形成する形態、(b)2つのレーザ光によって第1及び第2溶着部を同時に形成する形態、(c)1つのレーザ光によって第1及び第2溶着部を順番に形成する形態等を挙げることができる。各溶着部をより簡易且つ安価に形成できるといった観点から、上記(a)形態であることが好ましい。
また、上記(1)(2)形態では、例えば、上記第1溶着部及び第2溶着部は、突合せ方向に直交する方向の位相が一致して配設されており、フィルタの外側面から第1及び第2溶着部までの距離が略同じ値に設定されていることができる。これにより、レーザ光の焦点等を変えることなく、1つのレーザ光で略同じ形状・大きさの第1及び第2溶着部を同時に形成できる。
【0018】
2.フィルタの製造方法
本実施形態に係るフィルタの製造方法は、上記実施形態1.に係るフィルタの製造方法であって、上記第1ケース部材及び上記第2ケース部材のそれぞれの突合せ端部の間に、上記フィルタエレメントの保持枠を挟持させる工程と、上記第1ケース部材及び上記第2ケース部材のうちの少なくとも一方のケース部材の突合せ端部と上記フィルタエレメントの保持枠との突合せ方向に延びる接触面部に、レーザ光を照射して上記溶着部を形成する工程と、を備えることを特徴とする。
【0019】
上記保持枠を挟持させる工程では、例えば、一方のケース部材の突合せ端部及び上記フィルタエレメントの保持枠のうちの一方に設けられた上記凸部と、他方に設けられた上記凹部とが嵌合され、上記溶着部を形成する工程では、例えば、上記凸部及び凹部の嵌合部位の外側面側にレーザ光を照射することができる。
また、上記保持枠を挟持させる工程では、例えば、上記凸部及び凹部とは別に、上記一方のケース部材の突合せ端部及び上記フィルタエレメントの保持枠のうちの一方に設けられた上記嵌合部と、他方に設けられた上記被嵌合部とが嵌合されることができる。
また、上記溶着部を形成する工程では、例えば、上記第1ケース部材の突合せ端部と上記フィルタエレメントの保持枠との突合せ方向に延びる接触面部に、レーザ光を照射して上記第1溶着部を形成すると共に、上記第2ケース部材の突合せ端部と上記フィルタエレメントの保持枠との突合せ方向に延びる接触面部に、レーザ光を照射して上記第2溶着部を形成することができる。
【実施例】
【0020】
以下、図面を用いて実施例により本発明を具体的に説明する。なお、本実施例では、フィルタとして、車両の自動変速機用オイルフィルタを例示する。
【0021】
(実施例1)
本実施例1に係るフィルタ1Aは、図1及び2に示すように、互いに突き合されて濾過室Sを形成する矩形皿状の上部ケース部材2(本発明に係る「第1ケース部材」として例示する。)及び下部ケース部材3(本発明に係る「第2ケース部材」として例示する。)と、これら各ケース部材2,3の間に挟持されるフィルタエレメント4と、を備えている。下部ケース部材3には、汚染されたオイルの流入口7aが形成され、上部ケース部材2には、濾過されたオイルの流出口7bが形成されている。
【0022】
上部ケース部材2は、レーザ吸収性を有する合成樹脂材料からなっている。また、下部ケース部材3は、レーザ吸収性を有する合成樹脂材料からなっている。これら各ケース部材2,3は、底壁部2a,3aの周縁側から立ち上がる枠状の突合せ端部2b,3bを有している。これら各突合せ端部2b,3bの先端側には、図4に示すように、突合せ方向Pに突出する凸部8,9が設けられている。これら各凸部8,9の内周面側には、突合せ方向Pに傾斜するテーパ面8a,9aが形成されている。
【0023】
上記フィルタエレメント4は、図1〜3に示すように、インサート成形によって、ひだ折り状の不織布製の濾材5の周縁部に、レーザ透過性を有する合成樹脂製の保持枠6を一体化して形成されている。この保持枠6の対向する辺部の間には、濾材5のひだ稜線方向に直交する方向(即ち、ひだ折り方向)に延び且つ濾材5のひだ稜線方向の中央部に一体化される補強リブ10が設けられている。また、この保持枠6の上面側及び下面側には、図4に示すように、上記各凸部8,9と嵌合する上下の凹部11,12が設けられている。これら各凹部11,12の内周面側には、突合せ方向Pに傾斜するテーパ面11a,12aが形成されている。また、上記各凸部8,9及び凹部11,12は、凸部8,9の先端面と凹部11,12の底面側との間に隙間空間をもって嵌合される。
【0024】
上記凸部8及び凹部11の嵌合部位の外側面側(本発明に係る「接触面部」として例示する。)には、上部ケース部材2とフィルタエレメント4の保持枠6とを接合する第1溶着部w1が形成されている。また、上記凸部9及び凹部12の嵌合部位の外側面側(本発明に係る「接触面部」として例示する。)には、下部ケース部材3とフィルタエレメント4の保持枠6とを接合する第2溶着部w2が形成されている。これら第1及び第2溶着部w1,w2は、フィルタ1Aの側方(突合せ方向に直交する方向)から照射されるレーザ光によって同時に形成されている。即ち、レーザ光照射範囲a1に照射されるレーザ光は、各レーザ光吸収範囲b1,b2において、保持枠6を透過して各ケース部材2,3の凸部8,9の外側面側に至りその部位を溶融し、その溶融部の発熱が保持枠6に伝達されその部位が溶融され、上記第1及び第2溶着部w1,w2が形成されることとなる。
なお、上記レーザ光の照射は、各ケース部材2,3を突合せ方向Pに加圧した状態で、フィルタ1Aの外周に沿って連続して一様に行われる。従って、上記第1及び第2溶着部w1,w2はフィルタ1Aの外周に沿って連続して形成されている。
【0025】
次に、上記フィルタ1Aの作用について説明する。
自動変速機用オイルが流入口7aからフィルタ1Aの濾過室Sのダスティ側に導入される。ダスティ側に導入されたオイルは濾材5を通過して濾過室Sのクリーン側に至る。このようにオイルが濾材5を通過する際に、オイルの中に含まれている異物、濾材5によって除去される。異物、不純物を除去されたオイルはこの濾過室Sのクリーン側から流出口7bを経て、フィルタ1Aの外に流れ出る。
【0026】
以上より、本実施例1のフィルタ1Aによると、各ケース部材2,3とフィルタエレメント4の保持枠6との接触面部にレーザ光による第1及び第2溶着部w1,w2が設けられているので、それら第1及び第2溶着部w1,w2によって、各ケース部材2,3及びフィルタエレメント4の3部材が強固に一体化される。また、従来の振動溶着による溶着部に比べて、第1及び第2溶着部w1,w2の突合せ方向Pに直交する方向の大きさを必要最小限にできる。さらに、レーザ溶着を用いているので、溶着バリの発生が抑制されてバリ溜を不要にできる。その結果、フィルタ全体の小型化を図ることができる。
【0027】
また、本実施例1のフィルタ1Aでは、各ケース部材2,3に凸部8,9が設けられ、フィルタエレメント4の保持枠6に凹部11,12が設けられているので、凸部8,9及び凹部11,12の嵌合によって、レーザ溶着時の熱膨張等による接合部の反りを抑制して必要十分な密着強度を得ることができる。また、第1及び第2溶着部w1,w2が、凸部8,9及び凹部11,12の嵌合部位の外側面側(反濾過室側)に設けられているので、第1及び第2溶着部w1,w2を濾過室Sから十分に離れて配設でき、第1及び第2溶着部w1,w2の付近で溶着バリが発生しても、そのバリの濾過室S内への侵入を抑制できる。その結果、フィルタとしての製品性能の低下を防止できる。
【0028】
また、本実施例1のフィルタ1Aでは、凸部8,9及び凹部11,12の嵌合部位の内側面側にテーパ面8a,9a,11a,12aが設けられているので、テーパ面8a,9a,11a,12aによる機械的接合力によって、レーザ溶着時の熱膨張等による接合部の反りをより確実に抑制できる。また、テーパ面8a,9a,11a,12aによって、各ケース部材2,3及びフィルタエレメント4の保持枠6の寸法精度のバラツキが吸収されて、各部材をより正確に位置決めできる。また、凸部8,9及び凹部11,12の嵌合部位の内側面側が突合せ方向Pに平行に延びる平面であるものに比べて、凸部8,9及び凹部11,12の嵌合部位の内側面側における嵌合距離を長くでき、溶着部w1,w2の付近で発生する溶着バリの濾過室S内への侵入をより確実に抑制できる。
【0029】
また、本実施例1のフィルタ1Aでは、第1及び第2溶着部w1,w2を、フィルタ1Aの側方から照射される1つのレーザ光によって同時に形成するようにしたので、レーザ光の焦点を変えずに、第1及び第2溶着部w1,w2をより簡易に形成することができる。
また、本実施例1のフィルタ1Aでは、ひだ折り状の濾材5及び保持枠6からなるフィルタエレメント4を各ケース部材2,3の間に挟持するようにしたので、ひだ折り状の濾材を直接的に各ケース部材の間に挟持させるものに比べて、各ケース部材に対する濾材の組付性を向上させ得る。
【0030】
(実施例2)
本実施例2に係るフィルタ1Bは、図5に示すように、上部ケース部材2及び下部ケース部材3と、これら各ケース部材2,3の間に挟持されるフィルタエレメント4と、を備えている。なお、本実施例2において、実施例1と略同じ構成部位には同じ符号を付け詳説を省略し、以下に実施例1との主な相違点について説明する。
【0031】
上記各ケース部材2,3の凸部8,9の外方側には、突合せ方向Pに凹んだ被嵌合部14が設けられている。また、フィルタエレメント4の保持枠6の凹部11,12の外方側には、この被嵌合部14と嵌合する突合せ方向Pに突出する嵌合部15が設けられている。
【0032】
従って、上記実施例2のフィルタ1Bによると、上記実施例1と同様の作用・効果を発揮し得ると共に、凸部8,9及び凹部11,12の嵌合に加えて、嵌合部15及び被嵌合部14の嵌合によって、レーザ溶着時の接合部の反りをより確実に抑制できる。
【0033】
(実施例3)
本実施例3に係るフィルタ1Cは、図6に示すように、上部ケース部材2及び下部ケース部材3と、これら各ケース部材2,3の間に挟持されるフィルタエレメント4と、を備えている。なお、本実施例3において、実施例1と略同じ構成部位には同じ符号を付け詳説を省略し、以下に実施例1との主な相違点について説明する。
【0034】
上部ケース部材2は、レーザ透過性を有する合成樹脂材料からなっている。また、下部ケース部材3は、レーザ透過性を有する合成樹脂材料からなっている。これら各ケース部材2,3の各突合せ端部2b,3bの先端側には、突合せ方向Pに凹んだ凹部17,18が設けられている。これら各凹部17,18の内周面側には、突合せ方向Pに傾斜するテーパ面17a,18aが形成されている。
【0035】
上記フィルタエレメント4の保持枠6は、レーザ吸収性を有する合成樹脂材料からなっている。この保持枠6の上面側及び下面側には、上記各凹部17,18と嵌合する凸部19,20が設けられている。これら各凸部19,20の内周面側には、突合せ方向Pに傾斜するテーパ面19a,20aが形成されている。また、上記各凸部19,20及び凹部17,18は、凸部19,20の先端面と凹部17,18の底面側との間に隙間空間をもって嵌合される。
【0036】
上記凸部19及び凹部17の嵌合部位の外側面側(本発明に係る「接触面部」として例示する。)には、上部ケース部材2とフィルタエレメント4の保持枠6とを接合する第1溶着部w1が形成されている。また、上記凸部20及び凹部18の嵌合部位の外側面側(本発明に係る「接触面部」として例示する。)には、下部ケース部材3とフィルタエレメント4の保持枠6とを接合する第2溶着部w2が形成されている。これら第1及び第2溶着部w1,w2は、フィルタ1Cの側方(突合せ方向に直交する方向)から照射されるレーザ光によって同時(又は順番)に形成されている。即ち、各レーザ光照射範囲c1,c2に照射される各レーザ光は、各ケース部材2,3を透過して保持枠6の凸部19,20の外側面側に至りその部位を溶融し、その溶融部の発熱が各ケース部材2,3に伝達されその部位が溶融され、上記第1及び第2溶着部w1,w2が形成されることとなる。
【0037】
従って、本実施例3のフィルタ1Cによると、上記実施例1と略同様の作用・効果を発揮し得ると共に、各ケース部材2,3の凹部17,18とフィルタエレメント4の保持枠6の凸部19,20との嵌合によって、レーザ溶着時の接合部の反りを抑制して必要十分な密着強度を得ることができる。
【0038】
(実施例4)
本実施例4に係るフィルタ1Dは、図7に示すように、上部ケース部材2及び下部ケース部材3と、これら各ケース部材2,3の間に挟持されるフィルタエレメント4と、を備えている。なお、本実施例4において、実施例1と略同じ構成部位には同じ符号を付け詳説を省略し、以下に実施例1との主な相違点について説明する。
【0039】
上記各ケース部材2,3の各突合せ端部2b,3bは、その突合せ方向Pと直交する方向の位相が僅かにずらされている。これら各突合せ端部2b,3bの先端側には、突合せ方向Pに突出する凸部22,23が設けられている。この凸部22の内周面側には、突合せ方向Pに傾斜するテーパ面22aが形成されている。また、凸部23の外周面側には、突合せ方向Pに傾斜するテーパ面23aが形成されている。
【0040】
上記フィルタエレメント4の保持枠6の上面側及び下面側には、上記各凸部22,23と嵌合する凹部24,25が設けられている。この上側の凹部24の内周面側には、突合せ方向Pに傾斜するテーパ面24aが形成されている。また、この下側の凹部25の外周面側には、突合せ方向Pに傾斜するテーパ面25aが形成されている。
【0041】
上記凸部22及び凹部24の嵌合部位の外側面側(本発明に係る「接触面部」として例示する。)には、上部ケース部材2とフィルタエレメント4の保持枠6とを接合する第1溶着部w1が形成されている。また、上記凸部23及び凹部25の嵌合部位の外側面側(本発明に係る「接触面部」として例示する。)には、下部ケース部材3とフィルタエレメント4の保持枠6とを接合する第2溶着部w2が形成されている。これら第1及び第2溶着部w1,w2は、フィルタ1Dの側方(突合せ方向に直交する方向)から照射されるレーザ光によって同時に形成されている。
【0042】
従って、本実施例4のフィルタ1Dによると、上記実施例1と同様の作用・効果を発揮し得ると共に、各ケース部材2,3の突合せ端部2b,3bを突合せ方向Pに直交する方向に位相をずらしているので、第1及び第2溶着部w1,w2を突合せ方向Pに近接して配置できる。その結果、レーザ光照射範囲a1が比較的狭い、即ち出力の小さなレーザ光を採用できる。
【0043】
(実施例5)
本実施例5に係るフィルタ1Eは、図8に示すように、上部ケース部材2及び下部ケース部材3と、これら各ケース部材2,3の間に挟持されるフィルタエレメント4と、を備えている。なお、本実施例5において、実施例1と略同じ構成部位には同じ符号を付け詳説を省略し、以下に実施例1との主な相違点について説明する。
【0044】
上部ケース部材2は、レーザ透過性を有する合成樹脂材料からなっている。また、下部ケース部材3は、レーザ吸収性を有する合成樹脂材料からなっている。また、この上部ケース部材2の突合せ端部2bの先端側には、突合せ方向Pに凹んだ凹部27が設けられている。また、下部ケース部材3の突合せ端部3bの先端側には、突合せ方向Pに突出する凸部28が設けられている。これら凹部27及び凸部28の内周面側には、突合せ方向Pに傾斜するテーパ面27a,28aが形成されている。
【0045】
上記フィルタエレメント4は、濾材5の周縁部を上下の保持枠6a,6bで挟持して形成されている。この保持枠6aは、レーザ吸収性を有する合成樹脂材料からなっている。また、保持枠6bは、レーザ透過性を有する合成樹脂材料からなっている。さらに、これらの保持枠6a,6bは、接着、溶着、螺合等によって互いに固着されている。また、この保持枠6aの上面側には、上記凹部27と嵌合する凸部29が設けられている。また、保持枠6bの下面側には、上記凸部28と嵌合する凹部30が設けられている。これら凸部29及び凹部30の内周面側には、突合せ方向に傾斜するテーパ面29a,30aが形成されている。
【0046】
上記凹部27及び凸部29の嵌合部位の外側面側(本発明に係る「接触面部」として例示する。)には、上部ケース部材2とフィルタエレメント4の保持枠6aとを接合する第1溶着部w1が形成されている。また、上記凸部28及び凹部30の嵌合部位の外側面側(本発明に係る「接触面部」として例示する。)には、下部ケース部材3とフィルタエレメント4の保持枠6bとを接合する第2溶着部w2が形成されている。これら第1及び第2溶着部w1,w2は、フィルタ1Eの側方(突合せ方向に直交する方向)から照射されるレーザ光によって同時に形成されている。即ち、レーザ光照射範囲a1に照射されるレーザ光は、レーザ光吸収範囲b1において、上部ケース部材2を透過して保持枠6aの凸部29の外側面側に至りその部位を溶融し、その溶融部の発熱が上部ケース部材2に伝達されその部位が溶融され、上記第1溶着部w1が形成されると共に、レーザ光吸収範囲b2において、保持枠6bを透過して下部ケース部材3の凸部28の外側面側に至りその部位を溶融し、その溶融部の発熱が保持枠6bに伝達されその部位が溶融され、上記第2溶着部w2が形成されることとなる。
【0047】
従って、本実施例5のフィルタ1Eによると、上記実施例1と略同様の作用・効果を発揮し得ると共に、上部ケース部材2の凹部27及び保持枠6aの凸部29の嵌合、並びに下部ケース部材3の凸部28及び保持枠6bの凹部30の嵌合によって、レーザ溶着時の接合部の反りを抑制して必要十分な密着強度を得ることができる。
【0048】
(実施例6)
本実施例6に係るフィルタ1Fは、図9に示すように、上部ケース部材2及び下部ケース部材3と、これら各ケース部材2,3の間に挟持されるフィルタエレメント4と、を備えている。なお、本実施例6において、実施例1と略同じ構成部位には同じ符号を付け詳説を省略し、以下に実施例1との主な相違点について説明する。
【0049】
上部ケース部材2は、レーザ透過性を有する合成樹脂材料からなっている。また、下部ケース部材3は、レーザ吸収性を有する合成樹脂材料からなっている。この上部ケース部材2の凸部8の外方側には、突合せ方向Pに延び且つその先端側が下部ケース部材3の突合せ端部3bの基部の外側面側に接触する外壁部33が設けられている。
【0050】
上記上部ケース部材2の外壁部33の先端部と下部ケース部材3の突合せ端部3bの基部との間の突合せ方向Pに延びる接触面部には、上部ケース部材2と下部ケース部材3とを接合する第1溶着部w1が形成されている。また、上記下部ケース部材3の凸部9と保持枠6の凹部12との嵌合部位の外側面側(本発明に係る「接触面部」として例示する。)には、下部ケース部材3とフィルタエレメント4の保持枠6とを接合する第2溶着部w2が形成されている。これら第1及び第2溶着部w1,w2は、フィルタ1Fの側方(突合せ方向に直交する方向)から照射されるレーザ光によって同時に形成されている。即ち、レーザ光照射範囲a1に照射されるレーザ光は、レーザ光吸収範囲b1において、外壁部33を透過して下部ケース部材3の突合せ端部3bの基部の外側面側に至りその部位を溶融し、その溶融部の発熱が外壁部33に伝達されその部位が溶融され、上記第1溶着部w1が形成されると共に、レーザ光吸収範囲b2において、外壁部33及び保持枠6を透過して下部ケース部材3の凸部9の外側面側に至りその部位を溶融し、その溶融部の発熱が保持枠6に伝達されその部位が溶融されて、上記第2溶着部w2が形成されることとなる。
【0051】
従って、本実施例6のフィルタ1Fによると、上記実施例1と同様の作用・効果を発揮し得ると共に、上部ケース部材2と下部ケース部材3との間に第1溶着部w1を設け、下部ケース部材3と保持枠6との間に第2溶着部w2を設けたので、第1及び第2溶着部w1,w2を突合せ方向Pに近接して配置できる。その結果、レーザ光照射範囲が比較的狭い、即ち出力の小さなレーザ光を採用できる。また、外壁部33によって、保持枠6の外側面を覆うことができ、製品の美観を向上させ得る。
【0052】
尚、本発明においては、上記実施例1〜6に限られず、目的、用途に応じて本発明の範囲内で種々変更した実施例とすることができる。即ち、上記実施例1〜6に係るフィルタ1A〜1Fでは、一方のケース部材2,3及びフィルタエレメント4の保持枠6のうちの一方に設けた凸部と他方に設けた凹部との嵌合部位の内側面側のみにテーパ面を設けるようにしたが、これに限定されず、例えば、図10に示すように、凸部40及び凹部41の嵌合部位の内側面側及び外側面側にテーパ面40a,41aを設けるようにしてもよい。また、凸部及び凹部の嵌合部位の外側面側のみにテーパ面を設けるようにしてもよい。
また、上記実施例2では、溶着部w1,w2の外方側(反濾過室側)のみに嵌合部15及び被嵌合部14を設けるようにしたが、これに限定されず、例えば、図10に示すように、溶着部w1,w2の外方側(反濾過室側)及び内方側(濾過室側)に嵌合部43及び被嵌合部44を設けるようにしてもよい。また、溶着部の内方側(濾過室側)のみに嵌合部及び被嵌合部を設けるようにしてもよい。
【0053】
また、上記実施例1〜6では、一方のケース部材2,3及びフィルタエレメント4の保持枠6のうちの一方に設けた凸部と、他方に設けた凹部とを嵌合させるようしたが、これに限定されず、例えば、図11に示すように、各ケース部材2,3とフィルタエレメント4の保持枠6とを嵌合させずに、両者の間の突合せ方向Pに延びる接触面部に溶着部w1,w2を形成するようにしてもよい。
【0054】
また、上記実施例1〜6の各ケース部材2,3に、ひだ折り状の濾材5のひだ部の倒れ込みを防止するための支持片46(図1中に仮想線参照)を設けるようにしてもよい。
また、上記実施例1〜6において、フィルタ1A〜1Fの濾過室S内に濾材5が設置されているが、他の内部部品でレーザ光に影響を受ける部品が設置されている場合であっても、保持枠6から濾材5までの距離を長くすれば、レーザの透過率を低減できる。
また、上記実施例1〜6のレーザ光の種類としては、例えば、半導体、気体、固体、液体レーザ光等を挙げることができる。
【産業上の利用可能性】
【0055】
オイル、燃料、エア等の汚染流体を濾過するフィルタとして利用される。特に、車両の自動変速機用オイルフィルタとして好適に利用される。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】実施例1に係るフィルタの縦断面図である。
【図2】図1のII−II線断面図である。
【図3】フィルタエレメントの平面図である。
【図4】図1の要部拡大図である。
【図5】実施例2に係るフィルタの縦断面図である。
【図6】実施例3に係るフィルタの縦断面図である。
【図7】実施例4に係るフィルタの縦断面図である。
【図8】実施例5に係るフィルタの縦断面図である。
【図9】実施例6に係るフィルタの縦断面図である。
【図10】ケース部材及び保持枠の他の接合形態を示す要部断面図である。
【図11】ケース部材及び保持枠の更に他の接合形態を示す要部断面図である。
【図12】従来の振動溶着によるケースの接合形態を示す要部断面図である。
【符号の説明】
【0057】
1A〜1F;フィルタ、2;上部ケース部材、2b;突合せ端部、3;下部ケース部材、3b;突合せ端部、4;フィルタエレメント、5;濾材、6;保持枠、8,9;凸部、8a,9a;テーパ面、11,12;凹部、11a,12a;テーパ面、14;被嵌合部、15;嵌合部、P;突合せ方向、S;濾過室、w1;第1溶着部、w2;第2溶着部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに突き合されて濾過室を形成する合成樹脂製の第1ケース部材及び第2ケース部材と、
濾材と、該濾材の周縁部を保持し且つ前記第1ケース部材及び前記第2ケース部材のそれぞれの突合せ端部の間に挟持される合成樹脂製の保持枠と、を有するフィルタエレメントと、を備え、
前記第1ケース部材及び前記第2ケース部材のうちの少なくとも一方のケース部材の突合せ端部と前記フィルタエレメントの保持枠との間の突合せ方向に延びる接触面部にはレーザ光による溶着部が設けられていることを特徴とするフィルタ。
【請求項2】
前記一方のケース部材の突合せ端部及び前記フィルタエレメントの保持枠のうちの一方には、突合せ方向に突出する凸部が設けられており、他方には、該凸部と嵌合する凹部が設けられており、前記溶着部は、該凸部及び該凹部の嵌合部位の外側面側に設けられている請求項1記載のフィルタ。
【請求項3】
前記凸部及び前記凹部の嵌合部位の内側面側にはテーパ面が設けられている請求項2記載のフィルタ。
【請求項4】
前記凸部及び前記凹部の少なくとも内周側もしくは外周側において、前記一方のケース部材の突合せ端部及び前記フィルタエレメントの保持枠のうちの一方には、突合せ方向に突出する嵌合部が設けられており、他方には、該嵌合部と嵌合する被嵌合部が設けられている請求項2又は3に記載のフィルタ。
【請求項5】
前記第1ケース部材の突合せ端部と前記フィルタエレメントの保持枠との突合せ方向に延びる接触面部にはレーザ光による第1溶着部が設けられており、前記第2ケース部材の突合せ端部と前記フィルタエレメントの保持枠との突合せ方向に延びる接触面部にはレーザ光による第2溶着部が設けられている請求項1記載のフィルタ。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか一項に記載のフィルタの製造方法であって、
前記第1ケース部材及び前記第2ケース部材のそれぞれの突合せ端部の間に、前記フィルタエレメントの保持枠を挟持させる工程と、
前記第1ケース部材及び前記第2ケース部材のうちの少なくとも一方のケース部材の突合せ端部と前記フィルタエレメントの保持枠との間の突合せ方向に延びる接触面部に、レーザ光を照射して前記溶着部を形成する工程と、を備えることを特徴とするフィルタの製造方法。
【請求項1】
互いに突き合されて濾過室を形成する合成樹脂製の第1ケース部材及び第2ケース部材と、
濾材と、該濾材の周縁部を保持し且つ前記第1ケース部材及び前記第2ケース部材のそれぞれの突合せ端部の間に挟持される合成樹脂製の保持枠と、を有するフィルタエレメントと、を備え、
前記第1ケース部材及び前記第2ケース部材のうちの少なくとも一方のケース部材の突合せ端部と前記フィルタエレメントの保持枠との間の突合せ方向に延びる接触面部にはレーザ光による溶着部が設けられていることを特徴とするフィルタ。
【請求項2】
前記一方のケース部材の突合せ端部及び前記フィルタエレメントの保持枠のうちの一方には、突合せ方向に突出する凸部が設けられており、他方には、該凸部と嵌合する凹部が設けられており、前記溶着部は、該凸部及び該凹部の嵌合部位の外側面側に設けられている請求項1記載のフィルタ。
【請求項3】
前記凸部及び前記凹部の嵌合部位の内側面側にはテーパ面が設けられている請求項2記載のフィルタ。
【請求項4】
前記凸部及び前記凹部の少なくとも内周側もしくは外周側において、前記一方のケース部材の突合せ端部及び前記フィルタエレメントの保持枠のうちの一方には、突合せ方向に突出する嵌合部が設けられており、他方には、該嵌合部と嵌合する被嵌合部が設けられている請求項2又は3に記載のフィルタ。
【請求項5】
前記第1ケース部材の突合せ端部と前記フィルタエレメントの保持枠との突合せ方向に延びる接触面部にはレーザ光による第1溶着部が設けられており、前記第2ケース部材の突合せ端部と前記フィルタエレメントの保持枠との突合せ方向に延びる接触面部にはレーザ光による第2溶着部が設けられている請求項1記載のフィルタ。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか一項に記載のフィルタの製造方法であって、
前記第1ケース部材及び前記第2ケース部材のそれぞれの突合せ端部の間に、前記フィルタエレメントの保持枠を挟持させる工程と、
前記第1ケース部材及び前記第2ケース部材のうちの少なくとも一方のケース部材の突合せ端部と前記フィルタエレメントの保持枠との間の突合せ方向に延びる接触面部に、レーザ光を照射して前記溶着部を形成する工程と、を備えることを特徴とするフィルタの製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2008−68169(P2008−68169A)
【公開日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−247302(P2006−247302)
【出願日】平成18年9月12日(2006.9.12)
【出願人】(000241500)トヨタ紡織株式会社 (2,945)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年9月12日(2006.9.12)
【出願人】(000241500)トヨタ紡織株式会社 (2,945)
【Fターム(参考)】
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