説明

フィルタ装置およびその制御方法

【課題】フィルタのノッチ周波数を調整する機能を持ったフィルタ装置を提供する。
【解決手段】フィルタ動作するときには、バッファ201を介して入力される入力信号Vinと、移相器204及び可変ゲインアンプ205を通った入力信号Vinとを減算器202で減算した結果を出力信号Voutとする。フィルタ調整時には、切り替えスイッチ203および206の接続先を切り替え、バッファ201、移相器204、可変ゲインアンプ205、バッファ201からなる正帰還ループを形成する。この正帰還ループ上の信号をフィードバック信号Vfとし、フィルタコア部102を発振状態にした状態で、前記フィードバック信号Vfの振幅及び周波数が基準振幅及び基準周波数となるように可変ゲインアンプ205のゲイン及び移相器204の位相のシフト量を制御する。調整終了後、切り替えスイッチ203および206を切り替え、ノッチフィルタとして動作させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィルタ装置及びその制御方法に係り、特にノッチフィルタ回路を含むフィルタ装置及びその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、高周波信号の不要信号除去用のフィルタとしては、主にSAW(surface acoustic wave:弾性表面波)フィルタ、BAW(bulk acoustic wave:バルク弾性波)フィルタ、容量及びインダクタ等の受動素子が用いられている。これらのフィルタには急峻なフィルタ特性があるため、さまざまなアプリケーションに利用されている。
【0003】
しかし、それぞれのフィルタの周波数特性は可変ではないため、さまざまな不要信号を除去するためには複数個のフィルタによって構成せざるを得ない。
さらに、急峻なフィルタ特性は素子のQ値によって決まってしまうという問題がある。
このような欠点を解消するフィルタとして、半導体内部でフィルタ特性を実現し、キャリブレーションによって様々な周波数やQに対応することが望まれている。
【0004】
図10は、従来のノッチフィルタ回路を説明するための図である(例えば特許文献1、非特許文献1、参照)。従来のノッチフィルタ回路は、バッファ901と、減算器902と、移相器903と、可変ゲインアンプ904とを含んで構成される。図10に示したノッチフィルタ回路において、バッファ901からの出力信号Voutの振幅及び位相と移相器903、可変ゲインアンプ904からの出力信号Vfの振幅及び位相とが略等しいとき、この回路はある周波数で大きな減衰特性を得て、フィルタ回路として機能する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特公昭62−37567号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】OPアンプによるフィルタ回路の設計 OPアンプ大全 第3巻 アナログデバイセズ著/電子回路技術研究会訳 CQ出版社 2005年5月1日
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ノッチフィルタ回路の制御は、図10に示すように、移相器903に位相調整電圧を入力し、且つ可変ゲインアンプ904にゲイン調整電圧を入力し、位相やゲインを制御することによって行われる。
このような調整は、例えば、スペクトルアナライザ等を使って出力信号Voutをモニタしながら手動で可変ゲインアンプ904のゲイン及び移相器903の位相を同時に変化させ、減衰量と周波数を適切な値に設定することによって行われる。
【0008】
しかしながら、スペクトルアナライザ等の外部装置を用い、可変ゲインアンプのゲインや移相器の位相を手動で調整するのは困難である。
本発明は、上記した点に鑑みて行われたものであり、ノッチフィルタ回路によってフィルタリングされるノッチ周波数を自動的に変更、設定、調整をする機能を備えたフィルタ装置及びその制御方法を提供することを目的にする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1にかかるフィルタ装置は、ノッチフィルタ回路と、前記ノッチフィルタ回路のノッチ周波数を制御する制御回路と、を備え、前記制御回路は、前記ノッチ周波数が制御される間、前記ノッチフィルタ回路の構成要素の接続先を変更して正帰還ループを形成し、前記ノッチフィルタ回路を発振状態にすることを特徴としている。
【0010】
請求項2にかかるフィルタ装置は、前記ノッチフィルタ回路は、入力される信号の位相を任意のシフト量でシフトさせる移送器と、入力される信号を所望の増幅率で増幅する可変ゲインアンプと、を備えることを特徴としている。
請求項3にかかるフィルタ装置は、前記ノッチフィルタ回路は、前記移相器と、前記移相器の出力端に接続される前記可変ゲインアンプと、バッファと、当該バッファの入力端と出力端とのいずれか一方を前記移相器の入力端に接続する第1の切り替えスイッチと、前記バッファの出力端が一方の入力端に接続される減算器と、前記可変ゲインアンプの出力端を、前記バッファの入力端と前記減算器の他方の入力端とのいずれか一方に切り替えて接続する第2の切り替えスイッチと、を備えることを特徴としている。
【0011】
請求項4にかかるフィルタ装置は、前記制御回路は、前記正帰還ループのループ上の信号をフィードバック信号として入力し、当該フィードバック信号の振幅にしたがって、前記可変ゲインアンプの増幅率を制御するゲイン制御信号を生成するゲイン制御部と、前記フィードバック信号の周波数にしたがって、前記移相器における前記位相のシフト量を制御する移相器制御信号を生成する位相制御部と、を備えることを特徴としている。
【0012】
請求項5にかかるフィルタ装置は、前記ゲイン制御部は、基準として設定された振幅である基準振幅と前記フィードバック信号の振幅とを比較する振幅比較回路と、前記振幅比較回路による比較結果に基づいて前記可変ゲインアンプの増幅率を制御するゲイン制御信号を生成するゲイン制御回路と、を備え、前記位相制御部は、基準として設定された周波数である基準周波数と前記フィードバック信号の周波数とを比較する周波数比較回路と、前記周波数比較回路の比較結果に基づいて前記移相器における前記位相のシフト量を制御する移相器制御信号を生成する移相制御回路と、を備えることを特徴としている。
【0013】
請求項6にかかるフィルタ装置は、前記ゲイン制御回路は、前記可変ゲインアンプの増幅率または前記移相器における前記位相のシフト量が制御される間、前記ノッチフィルタ回路を発振状態にすることを特徴としている。
請求項7にかかるフィルタ装置は、前記ゲイン制御回路は、前記振幅比較回路における比較の結果、前記基準振幅が前記フィードバック信号の振幅よりも大きい場合、前記可変ゲインアンプにおける信号の増幅率を上げる前記ゲイン制御信号を生成し、前記基準振幅が前記フィードバック信号の振幅よりも小さい場合、前記可変ゲインアンプにおける増幅率を下げる前記ゲイン制御信号を生成することを特徴としている。
【0014】
請求項8にかかるフィルタ装置は、前記移相制御回路は、前記基準周波数が前記フィードバック信号の周波数よりも大きい場合、前記移相器に前記フィードバック信号の周波数を大きくさせる前記移相器制御信号を生成し、前記基準周波数が前記フィードバック信号の周波数よりも小さい場合、前記移相器に前記フィードバック信号の周波数を小さくさせる前記移相器制御信号を生成することを特徴としている。
【0015】
請求項9にかかるフィルタ装置は、前記移相制御回路は、前記移相器制御信号を連続して複数回生成し、前記フィードバック信号の周波数が前記基準周波数よりも大きくなった場合、以前に生成された前記ゲイン制御信号を生成し、前記フィードバック信号の周波数を前記基準周波数よりも小さくすることを特徴としている。
請求項10にかかるフィルタ装置は、前記移相制御回路は、前記基準周波数と前記フィードバック信号の発振周波数とが略同一になるように前記移相器を動作させる前記移相器制御信号を生成することを特徴としている。
【0016】
請求項11にかかるフィルタ装置は、前記ノッチフィルタ回路のノッチ周波数が制御された後、前記ノッチフィルタ回路は、発振状態を停止し且つ前記第1の切り替えスイッチおよび第2の切り替えスイッチの接続先を変更してノッチフィルタとして動作することを特徴としている。
また、本発明の請求項12にかかるフィルタ装置の制御方法は、ノッチフィルタ回路と、前記ノッチフィルタ回路のノッチ周波数を制御する制御回路と、を備えるフィルタ装置の制御方法であって、前記ノッチ周波数が制御される間、前記ノッチフィルタ回路の構成要素の接続先を変更して正帰還ループを形成し、前記ノッチフィルタ回路を発振状態にすることを特徴としている。
【0017】
請求項13にかかるフィルタ装置の制御方法は、前記ノッチフィルタ回路を発振状態に設定する発振状態設定ステップと、前記ノッチフィルタ回路の出力電圧が基準電圧と同じになるように、および、前記ノッチフィルタ回路の発振周波数が基準周波数と同じになるように、前記ノッチフィルタ回路のゲイン及び周波数を調整する調整ステップと、前記ノッチフィルタ回路の発振状態を停止する発振状態停止ステップと、を含むことを特徴としている。
【0018】
請求項14にかかるフィルタ装置の制御方法は、前記調整ステップは、前記ゲイン及び前記周波数の初期値を設定する初期値設定ステップと、前記ノッチフィルタ回路の出力電圧と前記基準電圧とを比較し、前記出力電圧と前記基準電圧とが異なる場合は前記ゲインの値を調節し、且つ、前記発振周波数と前記基準周波数とを比較し前記発振周波数と前記基準周波数とが異なる場合は前記周波数の値を調整する調節する調節ステップと、を含み、前記ノッチフィルタ回路の出力電圧が基準電圧と同じになるように、及び、前記フィルタ回路の発振周波数が基準周波数と同じになるように、前記調節ステップを複数回繰り返し行うことを特徴としている。
【0019】
請求項15にかかるフィルタ装置の制御方法は、前記調節ステップは、前記基準電圧が前記出力電圧よりも大きい場合、前記ゲインを上げ、前記基準振幅が前記出力電圧よりも小さい場合、前記ゲインを下げるゲイン調節ステップと、前記基準周波数が前記発振周波数よりも大きい場合、前記周波数を上げ、前記基準周波数が前記発振周波数よりも小さい場合、前記周波数を下げる周波数調節ステップと、を含むことを特徴としている。
請求項16にかかるフィルタ装置の制御方法は、前記ノッチフィルタ回路のノッチ周波数が制御された後、前記ノッチフィルタ回路が、発振状態を停止し且つ前記ノッチフィルタ回路の構成要素の接続先を変更して、ノッチフィルタとして動作することを特徴としている。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、可変ゲインアンプの増幅率及び移相器における位相のシフト量を調整することによって、ノッチフィルタ回路の出力信号のゲイン及び増幅率を自動的に制御することができる。
また、この増幅率や位相のシフト量について調整する場合、ノッチフィルタ回路内に設けた切り替えスイッチの接続先を変更し、ノッチフィルタ回路の構成要素により正帰還ループを実現してフィルタを発振させるため、ノッチフィルタ回路の出力信号を短時間のうちに基準振幅と基準周波数とに一致させることができる。このため、可変ゲインアンプのゲインや移相器の位相のシフト量を自動的に調整し、フィルタ回路の中心周波数を簡易に変更、設定、調整をする機能を備えたフィルタ回路を提供することができる。
【0021】
また、他の本発明によれば、外部装置を設けることなくフィルタ装置内でフィルタ回路の特性を制御することができるため、外部の影響を受けることなく、増幅率と位相とを制御させることができる。
また、他の本発明によれば、ノッチフィルタ回路の構成要素の接続先を切り替えることにより形成した正帰還ループ上のフィードバック信号の振幅と基準振幅とを一致させることができる。
【0022】
また、他の本発明によれば、フィードバック信号の振幅が前記基準振幅よりも大きくなった場合、以前に生成された前記ゲイン制御信号を生成するので、フィードバック信号の振幅を基準振幅よりも簡易に小さくすることができる。
また、他の本発明によれば、基準周波数がフィードバック信号の周波数よりも大きい場合にフィードバック信号の周波数を大きくし、基準周波数がフィードバック信号の周波数よりも小さい場合にはフィードバック信号の周波数を小さくすることができる。このため、フィードバック信号と基準周波数の相違を徐々に小さくし、フィードバック信号を基準振幅と基準周波数に一致させることができる。
【0023】
また、他の本発明によれば、基準周波数とフィードバック信号の周波数とを略一致させることができる。
また、他の本発明によれば、調整後は発振させることなく、フィルタ動作をすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の一実施形態のフィルタ装置の構成の一例を示す構成図である。
【図2】フィルタコア部の構成の一例を示すブロック図である。(a)はキャリブレーション実施時のブロック図、(b)はフィルタ動作時のブロック図である。
【図3】フィルタコア部の可変ゲインアンプの一例を示す回路図である。
【図4】フィルタコア部の移相器の一例を示す回路図である。
【図5】フィルタコア部のバッファの一例を示す回路図である。
【図6】フィルタコア部の減算器の一例を示す回路図である。
【図7】フィルタコア部の切り替えスイッチの一例を示す構成図である。
【図8】フィルタコア部調整時における出力電圧および発振周波数の推移を表すタイミングチャートである。
【図9】本発明の一実施形態のフィルタコア部において、ゲイン及び周波数調整した後でフィルタ装置をノッチフィルタとして動作させる時のフローチャートである。
【図10】従来のノッチフィルタの一例を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の一実施形態について、図面を用いて説明する。
(構成)
(1)全体
図1は、本発明の一実施形態のフィルタ装置1を説明するための構成図である。
フィルタ装置1は、フィルタ回路と、このフィルタ回路の制御回路(以下、単に制御回路とも記す)を含んでいる。フィルタ回路は、その内部に、可変ゲインアンプと移相器を有するものあればよい。
【0026】
図示したフィルタ装置1は、信号の振幅を比較する振幅比較回路101と、フィルタコア部102と、周波数を比較する周波数比較回路103と、ゲイン制御電圧生成部108と、移相器制御電圧生成部117とを備えている。
このような構成のうち、振幅比較回路101、周波数比較回路103、ゲイン制御電圧生成部108、移相器制御電圧生成部117がフィルタコア部102の制御回路を構成しており、フィルタコア部102が、制御回路によって制御されるフィルタ回路の本体である。
【0027】
フィルタコア部102は、図2に示すように、バッファ201と、減算器202と、切り替えスイッチ203と、移相器204と、可変ゲインアンプ(Variable Gain Amplifier :VGA)205と、切り替えスイッチ206と、を備えている。
バッファ201の入力側には、フィルタコア部102への入力信号Vinが入力されるとともに、切り替えスイッチ206の一方の出力端206aが接続される。バッファ201の出力側は減算器202の一方の入力端と接続される。減算器202の他方の入力端は切り替えスイッチ206の他方の出力端206bと接続される。そして、減算器202の出力が、フィルタコア部102の出力信号Voutとして出力される。
【0028】
切り替えスイッチ203の一方の入力端203aは、バッファ201と減算器202との間に接続され、他方の入力端203bは、バッファ201の入力側と接続される。また、切り替えスイッチ203の出力端203cは移相器204の入力側に接続される。移相器204の出力側は可変ゲインアンプ205の入力側に接続され、可変ゲインアンプ205の出力側は、切り替えスイッチ206の出力端206cに接続される。切り替えスイッチ203は一般的な2入力1出力型の切り替えスイッチを用いればよい。
【0029】
そして、フィルタ動作時には、図2(b)に示すように、切り替えスイッチ203が、入力信号Vin側を選択し、且つ切り替えスイッチ206が減算器202側を選択するように制御される。これにより、フィルタコア部102への入力信号Vinは、バッファ201を介して減算器202に入力されるとともに、切り替えスイッチ203、移相器204、可変ゲインアンプ205、切り替えスイッチ206を介して減算器202に入力される。
【0030】
減算器202は、バッファ201を通った入力信号Vinから、移相器204および可変ゲインアンプ205を通った入力信号Vinを減算し減算結果を、出力信号Voutを出力する。
一方、キャリブレーション時には、図2(a)に示すように、切り替えスイッチ203がバッファ201の出力側を選択し、切り替えスイッチ206がバッファ201の入力側を選択する。これにより、バッファ201の出力は、移相器204、可変ゲインアンプ205を通ってバッファ201に入力され正帰還ループを実現する。この接続状態においてフィルタコア部102を発振状態にする。図1に示すように、この正帰還ループの出力信号をフィードバック信号Vfとする。なお、このフィードバック信号Vfは正帰還ループのどの位置から取り出してもよい。図1では、例えばバッファ201の出力信号をフィードバック信号Vfとして取り出している。
【0031】
このフィードバック信号Vfは、振幅比較回路101及び周波数比較回路103に入力される。
以上の構成において、ゲイン制御電圧生成部108は、可変ゲインアンプ205の増幅率または移相器204の位相のシフト量が制御される間、フィルタコア部102を発振状態にする。なお、本実施形態でいう発振状態とは、フィルタコア部102に信号を入力することなく、フィルタコア部102から所定の周波数を持った信号が出力される状態をいうものとする。
【0032】
(2)フィルタコア部
図3は、図1に示したフィルタコア部102の可変ゲインアンプ205の構成を表す構成図の一例である。
図3に示した可変ゲインアンプ205では、一端が基準電位に接続された抵抗素子404の他端にバイポーラトランジスタ401が接続され、バイポーラトランジスタ401のエミッタにバイポーラトランジスタ403のコレクタが接続されている。基準電位とバイポーラトランジスタ403のコレクタとの間には、バイポーラトランジスタ402が接続されている。また、バイポーラトランジスタ403のエミッタは接地されている。
【0033】
図3に示した可変ゲインアンプ205では、バイポーラトランジスタ402のベース端子にリファレンス電圧Vrefが入力され、バイポーラトランジスタ401のベース端子にはゲイン制御電圧Vgcntが入力される。
このような可変ゲインアンプ205では、リファレンス電圧Vrefに対してゲイン制御電圧Vgcntが変更されることにより、ゲインパス側のトランジスタ(図3では抵抗素子404に接続されているバイポーラトランジスタ401)に流れる電流が変化し、結果的に可変ゲインアンプ205のゲインを変えることができる。
【0034】
図4は、図1に示したフィルタコア部102の移相器204の構成例を示した図である。図示した移相器204は、ウィーンブリッジ型の移相器である。
図4に示した移相器204は、バッファ201から出力された信号を入力信号Vinとして入力する。入力信号Vinが入力される端子には、コンデンサ503、抵抗素子504が直列に接続され、抵抗素子504の他方の端子には、コンデンサ501と抵抗素子502とが並列に接続されている。コンデンサ501および抵抗素子502の他方の端子は、いずれも接地されている。そして、抵抗素子504とコンデンサ501および抵抗素子502との間の電圧が出力信号Voutとして出力される。
【0035】
図4に示すように、コンデンサ503の容量をC2、コンデンサ501の容量をC1、抵抗素子504の抵抗値をR2、抵抗素子502の抵抗値をR1とする。このような回路では、抵抗値R1、R2、容量C1、C2のいずれかを変えることによって入力信号Vinの位相を変えて出力信号Voutとして出力することができる。
図4に示した例では、コンデンサ501を可変容量素子(バラクタ)で構成し、移相器制御信号Vpcntによってコンデンサ501の容量C1の値を制御することにより、入力信号Vinの位相を変えている。
【0036】
図5は、図1に示したフィルタコア部102のバッファ201の構成を表す構成図の一例である。
図5に示したバッファ201では、バイポーラトランジスタ601のコレクタが電源VDDに接続され、エミッタが電流源602を介してグランドVSSに接地されている。
図5に示したバッファ201では、バッファ201への入力信号Vinはバイポーラトンランジスタ601のベースに入力され、バッファ201の出力信号Voutはバイポーラトンランジスタのエミッタ側から出力される。
【0037】
図6は、図1に示したフィルタコア部102の減算器202の構成を示す構成図の一例である。図6に示した減算器202では、バイポーラトランジスタ701およびバイポーラトンランジスタ702のエミッタがともに電流源706を介してグランドVSSに接続されている。バイポーラトンランジスタ703およびバイポーラトランジスタ704のエミッタがともに電流源707を介してグランドVSSに接続されている。バイポーラトンランジスタ702およびバイポーラトランジスタ703のベースは基準電位Vrefに接続されている。
【0038】
また、バイポーラトランジスタ701およびバイポーラトランジスタ703のコレクタはともに電源VDDに接続されている。バイポーラトンランジスタ702およびバイポーラトンランジスタ704のコレクタは、ともに抵抗705を介して電源VDDに接続されている。
図6に示した減算器202では、減算器202への一方の入力信号Vin1は、バイポーラトランジスタ701のベースに入力され、減算器202への他方の入力信号Vin2は、バイポーラトラジスタ704のベースに入力される。バイポーラトンランジスタ702およびバイポーラトランジスタ704のコレクタと抵抗705との間の電圧が出力信号Voutとして出力される。
【0039】
図7は、図1に示したフィルタコア部102の切り替えスイッチ206の一例を示す構成図である。
図7に示した切り替えスイッチ206では、バイポーラトランジスタ801のエミッタはグランドVSSに接地されている。バイポーラトンランジスタ801のドレインは、MOSトランジスタ802のソースおよびMOSトランジスタ803のソースに接続されている。MOSトランジスタ802のドレインは抵抗素子804を介して電源VDDに接続されている。MOSトランジスタ803のドレインは抵抗素子805を介して電源VDDに接続されている。
【0040】
図7に示した切り替えスイッチ206では、切り替えスイッチ206への入力信号Vinはバイポーラトランジスタ801のベースに入力される。MOSトランジスタ802のゲートに接続された制御信号SELPとMOSトランジスタ803に接続された制御信号SELNは極性が反転している。つまり、SELPが電源電圧VDDの場合、SELNは電源電圧VSSであり、SELPが電源電圧VSSの場合、SELNは電源電圧VDDとなる。
【0041】
MOSトランジスタ802のドレインと抵抗素子804との間の電位が一方の出力信号Vout1として出力される。出力信号Vout1はSELPが電源電圧VDDの場合に出力される。SELPが電源電圧VSSの場合には出力信号Vout1は出力されない。
また、MOSトランジスタ803のドレインと抵抗素子805との間の電位が出力信号Vout2として出力される。SELPが電源電圧VDDの場合、SELNは電源電圧VSSとなるため出力信号Vout2は出力されない。一方、SELPが電源電圧VSSの場合、SELNは電源電圧VDDとなるため出力信号Vout2は出力される。
【0042】
(3)振幅比較回路
図1に示した振幅比較回路101は、フィルタコア部102のバッファ201から出力されるフィードバック信号Vfを入力し、このフィードバック信号Vfの振幅と基準振幅との比較結果をゲイン制御電圧生成部108に出力する回路である。
振幅比較回路101は、フィードバック信号Vfの振幅を直流(DC)電圧に変換するレベルディテクタ104と、レベルディテクタ104の出力電圧RSSI(Receive Signal Strength Indicator:受信信号強度)と基準振幅電圧RSSIrefとを比較するコンパレータ107と、を備えている。振幅比較回路101では、レベルディテクタ104から出力電圧RSSIが出力され、基準出力電圧RSSIrefと比較される。
【0043】
ゲイン制御電圧生成部108は、コンパレータ107による振幅の比較結果に基づいてゲイン制御信号Vgcntを生成する。ゲイン制御信号Vgcntは、フィルタコア部102の可変ゲインアンプ205に入力される。ゲイン制御信号Vgcntにより、ゲイン制御電圧生成部108は、可変ゲインアンプ205におけるゲインの調整を制御することができる。
また、本実施形態では、ゲイン制御電圧生成部108が所定の時間間隔で繰返しゲイン制御信号Vgcntを生成し出力する。このため、複数の値を有するゲイン制御信号Vgcntが、所定の時間間隔で連続して出力される。
【0044】
(4)周波数比較回路
図1に示した周波数比較回路103は、フィルタコア部102のバッファ201から出力されるフィードバック信号Vfを入力し、フィードバック信号Vfの周波数と基準周波数との周波数の相対的な差分を移相器制御電圧生成部117に出力する回路である。このため、周波数比較回路103は、フィードバック信号Vfの周波数を数える周波数カウンタ112と、フィードバック信号Vfの周波数Fと基準周波数Frefとを比較するコンパレータ116とを備えている。移相器制御電圧生成部117は、コンパレータ116による周波数の比較結果に基づく移相器制御信号Vpcntを生成する。
移相器制御信号Vpcntは、フィルタコア部102の移相器204に入力され、移相器204における位相のシフトを制御する。
【0045】
動作
(1)再帰型フィルタ回路のフィルタリング周波数の調整
次に、上記した構成のフィルタコア部102のフィルタリング周波数を調整する際の動作について説明する。
フィルタコア部102から出力されるフィードバック信号Vfの振幅と周波数は、可変ゲインアンプ205に入力されるゲイン制御信号Vgcntと、移相器204に入力される移相器制御信号Vpcntとを調整することによって任意に変更することができる。
すなわち、可変ゲインアンプ205および移相器204の調整時、フィルタコア部102は、前述したように、切り替えスイッチ206の接続先をバッファ201の入力側に切り替え、また、切り替えスイッチ203の接続先をバッファ201の出力側に切り替えることにより、正帰還ループを形成する状態となり、さらにフィルタコア部102は発振状態に制御される。本実施形態では、フィルタコア部102が切り替えスイッチ206および203の接続先を変更して発振状態となったとき、フィルタコア部102から出力されるフィードバック信号Vfを使って可変ゲインアンプ205によるフィードバック信号Vfの振幅や、移相器204によるフィードバック信号Vfの位相のシフト量が調整される。なお、以降の説明において、フィルタコア部102が発振状態であるときのフィードバック信号Vfの周波数Fを発振周波数FOSCと記す。
【0046】
図8(a)〜(c)は、フィルタコア部102の調整時における出力電圧RSSIの大きさと発振周波数FOSCとを、時間軸に沿って示したタイミングチャートである。
図8(a)は出力電圧RSSIについてのタイミングチャートであり、図8(b)は出力電圧(振幅)RSSIと発振周波数FOSCとについて、それぞれ基準振幅電圧RSSIref、基準周波数Frefと比較した状態を示し、図8(c)は発振周波数FOSCについてのタイミングチャートである。
【0047】
図8(b)において、振幅の比較結果を表す「振幅比較」において、「1」は出力電圧RSSIが基準振幅電圧RSSIrefを上回った状態を示し、「0」は出力電圧RSSIが基準振幅電圧RSSIrefを下回った状態を示す。また、周波数の比較結果を表す「周波数比較」において、「1」は発振周波数FOSCが基準周波数Frefを上回った状態を示し、「0」は発振周波数FOSCが基準周波数Frefを下回った状態を示す。
なお、図8においては、フィルタコア部102の発振が停止した状態すなわち、出力電圧RSSIが基準振幅電圧RSSIrefを下回った状態「0」が一部含まれているが、便宜上、図8(c)をフィルタコア部102が発振状態であるときのフィードバック信号Vfの発振周波数FOSCについてのタイミングチャートとしている。
【0048】
(2)発振時の振幅の制御
本実施形態では、フィルタコア部102の調整時、まず、切り替えスイッチ203および206を切り替え、正帰還ループを形成する。この状態で、ゲイン制御電圧生成部108が、可変ゲインアンプ205のゲインを高くして、フィルタコア部102を発振状態に設定する。
なお、フィルタコア部102を発振状態に制御し得る可変ゲインアンプ205のゲインを予め検出しこれを初期値として設定しておき、フィルタコア部102を発振状態に制御する際には、前記初期値をもとにゲイン制御信号Vgcntを生成すればよい。
また、ここでは、可変ゲインアンプ205のゲインの初期値のみを設定しているが、移相器制御電圧生成部117においても、移相器204における位相のシフト量の初期値を設定しておき、フィルタコア部102を発振状態に制御する際に、シフト量の初期値をもとに移相器制御信号Vpcntを生成し、可変ゲインアンプ205および移相器204をともに、予め設定した初期値に基づき制御を行うことにより、容易に発振状態に制御することができ、且つ所定の振幅を有する発振状態に制御することができる。可変ゲインアンプ205や移相器204の制御信号の初期値は、例えば、所望の振幅および周波数を有する発振状態となるように設定すればよい。
【0049】
このようにして発振状態になったタイミングを、図8中に時刻t0として示す。
フィードバック信号Vfは、レベルディテクタ104に入力され、ここでDC電圧に変換される。変換後の出力電圧RSSIは、コンパレータ107において基準振幅電圧RSSIrefとその振幅が比較される。比較の結果(基準振幅電圧RSSIref、出力電圧RSSIの大小関係)を示す信号が、ゲイン制御電圧生成部108に入力される。
ゲイン制御電圧生成部108では、基準振幅電圧RSSIrefが出力電圧RSSIよりも小さい場合、ゲイン制御信号Vgcntを調整し、可変ゲインアンプ205を、そのゲインが下がるように動作させる。可変ゲインアンプ205の動作タイミングを、図8中にt1、t3として示す。
【0050】
一方、基準振幅電圧RSSIrefが出力電圧RSSIより大きい場合、ゲイン制御電圧生成部108は、ゲイン制御信号Vgcntを、可変ゲインアンプ205がゲインを高めるように調整する。この調整は、フィードバック信号Vfの振幅が基準振幅よりもわずかに高くなるようにすることによって行われる。調整が行われるタイミングを図8中にt5で示す。この制御は、フィルタコア部102を、常に発振状態と認識できる状態を保つために行われる。
このような本実施形態によれば、フィルタコア部102に基準となる信号を入力することなく、例えばメモリ等に基準振幅電圧RSSIref、基準周波数Frefを記憶させておくだけで、フィルタ回路から所定の周波数の信号を出力させることができる。
【0051】
(3)発振時の周波数の制御
フィルタコア部102から出力されるフィードバック信号Vfは、周波数比較回路103の周波数カウンタ112に入力され、周波数カウンタ112においてディジタル化される。ディジタル化されたフィードバック信号Vfの周波数Fと基準周波数Frefとがコンパレータ116に入力され、コンパレータ116において周波数の大小が比較される。比較の結果(基準周波数Frefとフィードバック信号Vfの周波数との大小関係)を示す信号が、移相器制御電圧生成部117に入力される。
【0052】
フィルタコア部102が発振状態であって、基準周波数Frefがフィードバック信号Vfの発振周波数FOSCより大きい場合、移相器制御電圧生成部117は、移相器204により発振周波数FOSCが大きくなるように移相器制御信号Vpcntを調整する(この調整タイミングを図8中にt7、t9として示す)。そして、基準周波数Frefとフィードバック信号の発振周波数FOSCとの大小関係が逆転したとき(このタイミングを図8中にt9として示す)、移相器制御電圧生成部117は、基準周波数Frefと発振周波数FOSCとが略等しくなるように移相器制御信号Vpcntを制御する(図8中に示すt10以降)。
【0053】
なお、基準周波数Frefと発振周波数FOSCとを略等しくする制御としては、本実施形態では移相器制御信号Vpcntが連続して複数回出力されることから、以前に出力された移相器制御信号Vpcntを再度生成するようにするものがある。このようにすれば、基準周波数Frefとフィードバック信号Vfの発振周波数FOSCとが略等しくなる。
【0054】
なお、以前に出力された移相器制御信号Vpcntとは、例えば直前に出力された移相器制御信号Vpcntであっても良いし、予め設定されている所定の数前の移相器制御信号Vpcntであっても良い。直前に出力された移相器制御信号Vpcntを生成することを、以降、「1つ前の状態にする」とも記す。
例えば、基準周波数Frefとフィードバック信号の発振周波数FOSCとの大小関係が逆転したときに、直前に出力された移相器制御信号Vpcntのシフト量と同一のシフト量だけ位相を戻す移相器制御信号Vpcntを生成することで、基準周波数Frefとフィードバック信号の発振周波数FOSCとの大小関係が逆転する前の状態に戻すことができ、すなわち、基準周波数Frefとフィードバック信号Vfの発振周波数FOSCとを速やかに略等しくすることができる。
【0055】
一方、基準周波数Frefがフィードバック信号Vfの発振周波数FOSCより小さい場合、移相器制御信号Vpcntを調整し、移相器204において、発振周波数FOSCを小さくするようにする。さらに、基準周波数Frefとフィードバック信号Vfの発振周波数FOSCとの関係が反転した場合、例えば、直前に生成された移相器制御信号Vpcntを再度生成し、基準周波数Frefとフィードバック信号Vfの発振周波数FOSCとを略等しくすることができる。
【0056】
(4)ゲイン制御
また、フィルタコア部102をフィルタとして動作させるためには、切り替えスイッチ206および203の接続先を変更する。すなわち、正帰還ループを切断する。これにより、フィルタコア部102の発振を停止させる。
以上説明した動作によってフィルタコア部102を調整することにより、移相器204と可変ゲインアンプ205を通過した信号の周波数特性を調整することができる。この調整によって、減衰量の大きなノッチフィルタ特性が得られる状態にすることができる。
【0057】
図9は、本発明の一実施形態のフィルタコア部102において、ゲイン及び周波数を調整した後でフィルタ装置をフィルタとして動作させる時のフローチャートである。
本実施形態では、フィルタコア部102の調整時に、先ずステップS1において、図2(a)に示すように、切り替えスイッチ206の接続先をバッファ201の入力側に切り替え、また切り替えスイッチ203の接続先をバッファ201の出力側に切り替える。
【0058】
次に、ステップS2において、ゲイン制御電圧生成部108が可変ゲインアンプ204のゲインを高くして、フィルタコア部102を発振状態に設定する。
次に、ステップS3およびS4において、ゲイン及び周波数の調整を行う。初めに、ステップS3において、上述の手順でゲイン及び周波数が設定される。
そして、出力電圧RSSIが基準振幅電圧RSSIrefと異なる場合、可変ゲインアンプ204のゲインがゲイン制御電圧生成部108によって調節される。発振周波数FOSCが基準周波数Frefと異なる場合は、移相器制御電圧生成部117が、移相器204の位相を調節する。このような調節を複数回繰り返し、出力電圧RSSIが基準振幅電圧RSSIrefにほぼ等しく、かつ発振周波数FOSCが基準周波数Frefにほぼ等しくなった場合、ゲイン及び周波数の調整を終える。
【0059】
最後に、ステップS5において発振が停止された後、ステップS6において、切り替えスイッチ203の接続先をバッファ201の入力側に切り替えまた、切り替えスイッチ206の接続先を減算器202側に切り替えることによって、図2(b)に示すフィルタ動作が可能な状態に復帰する(ステップS7)。
以上説明した本実施形態によれば、可変ゲインアンプ205のゲインや移相器204の位相を自動的に調整し、フィルタ装置のコア部のゲインや位相を自動的に調整することができるフィルタ回路を提供することができる。
【0060】
また、本実施形態によれば、スペクトルアナライザなどの外部装置を用いることなく、フィルタ装置の調整を行うことができる。したがって、外部の影響を受けることなく、ゲインと周波数とを制御することができる。
なお、発振時とノッチフィルタ動作時における寄生容量の違いなどにより、発振周波数とノッチ周波数がずれる場合は、補正値を使用して最適な周波数にすればよい。
【0061】
ここで、上記実施形態において、フィルタコア部102がノッチフィルタ回路に対応し、振幅比較回路101、周波数比較回路103、ゲイン制御電圧生成部108および移相器制御電圧生成部117が制御回路に対応している。
切り替えスイッチ203が第1の切り替えスイッチに対応し、切り替えスイッチ206が第2の切り替えスイッチに対応し、振幅比較回路101およびゲイン制御電圧生成部108がゲイン制御部に対応し、ゲイン制御電圧生成部108がゲイン制御回路に対応し、周波数比較回路103および移相器制御電圧生成部117が位相制御部に対応し、移相器制御電圧生成部117が位相制御回路に対応している。
【産業上の利用可能性】
【0062】
以上説明した本発明は、可変ゲインアンプと移相器を有するノッチフィルタ回路を本体とする回路であれば、どのような回路にも適用可能であり、フィルタ回路本体を調整することができる。
【符号の説明】
【0063】
101 振幅比較回路
102 フィルタコア部
103 周波数比較回路
104 レベルディテクタ
107、116 コンパレータ
108 ゲイン制御電圧生成部
112 周波数カウンタ
117 移相器制御電圧生成部
201 バッファ
202 減算器
203 切り替えスイッチ
204 移相器
205 可変ゲインアンプ
206 切り替えスイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ノッチフィルタ回路と、
前記ノッチフィルタ回路のノッチ周波数を制御する制御回路と、を備え、
前記制御回路は、前記ノッチ周波数が制御される間、前記ノッチフィルタ回路の構成要素の接続先を変更して正帰還ループを形成し、前記ノッチフィルタ回路を発振状態にすることを特徴とするフィルタ装置。
【請求項2】
前記ノッチフィルタ回路は、入力される信号の位相を任意のシフト量でシフトさせる移送器と、入力される信号を所望の増幅率で増幅する可変ゲインアンプと、を備えることを特徴とする請求項1記載のフィルタ装置。
【請求項3】
前記ノッチフィルタ回路は、
前記移相器と、
前記移相器の出力端に接続される前記可変ゲインアンプと、
バッファと、
当該バッファの入力端と出力端とのいずれか一方を前記移相器の入力端に接続する第1の切り替えスイッチと、
前記バッファの出力端が一方の入力端に接続される減算器と、
前記可変ゲインアンプの出力端を、前記バッファの入力端と前記減算器の他方の入力端とのいずれか一方に切り替えて接続する第2の切り替えスイッチと、を備えることを特徴とする請求項2記載のフィルタ装置。
【請求項4】
前記制御回路は、前記正帰還ループのループ上の信号をフィードバック信号として入力し、
当該フィードバック信号の振幅にしたがって、前記可変ゲインアンプの増幅率を制御するゲイン制御信号を生成するゲイン制御部と、
前記フィードバック信号の周波数にしたがって、前記移相器における前記位相のシフト量を制御する移相器制御信号を生成する位相制御部と、を備えることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のフィルタ装置。
【請求項5】
前記ゲイン制御部は、基準として設定された振幅である基準振幅と前記フィードバック信号の振幅とを比較する振幅比較回路と、
前記振幅比較回路による比較結果に基づいて前記可変ゲインアンプの増幅率を制御するゲイン制御信号を生成するゲイン制御回路と、を備え、
前記位相制御部は、基準として設定された周波数である基準周波数と前記フィードバック信号の周波数とを比較する周波数比較回路と、
前記周波数比較回路の比較結果に基づいて前記移相器における前記位相のシフト量を制御する移相器制御信号を生成する移相制御回路と、を備えることを特徴とする請求項4記載のフィルタ装置。
【請求項6】
前記ゲイン制御回路は、前記可変ゲインアンプの増幅率または前記移相器における前記位相のシフト量が制御される間、前記ノッチフィルタ回路を発振状態にすることを特徴とする請求項5記載のフィルタ装置。
【請求項7】
前記ゲイン制御回路は、前記振幅比較回路における比較の結果、前記基準振幅が前記フィードバック信号の振幅よりも大きい場合、前記可変ゲインアンプにおける信号の増幅率を上げる前記ゲイン制御信号を生成し、前記基準振幅が前記フィードバック信号の振幅よりも小さい場合、前記可変ゲインアンプにおける増幅率を下げる前記ゲイン制御信号を生成することを特徴とする請求項5または請求項6記載のフィルタ装置。
【請求項8】
前記移相制御回路は、前記基準周波数が前記フィードバック信号の周波数よりも大きい場合、前記移相器に前記フィードバック信号の周波数を大きくさせる前記移相器制御信号を生成し、前記基準周波数が前記フィードバック信号の周波数よりも小さい場合、前記移相器に前記フィードバック信号の周波数を小さくさせる前記移相器制御信号を生成することを特徴とする請求項5または請求項6記載のフィルタ装置。
【請求項9】
前記移相制御回路は、前記移相器制御信号を連続して複数回生成し、前記フィードバック信号の周波数が前記基準周波数よりも大きくなった場合、以前に生成された前記ゲイン制御信号を生成し、前記フィードバック信号の周波数を前記基準周波数よりも小さくすることを特徴とする請求項8記載のフィルタ装置。
【請求項10】
前記移相制御回路は、前記基準周波数と前記フィードバック信号の発振周波数とが略同一になるように前記移相器を動作させる前記移相器制御信号を生成することを特徴とする請求項8または請求項9記載のフィルタ装置。
【請求項11】
前記ノッチフィルタ回路のノッチ周波数が制御された後、前記ノッチフィルタ回路は、発振状態を停止し且つ前記第1の切り替えスイッチおよび第2の切り替えスイッチの接続先を変更してノッチフィルタとして動作することを特徴とする請求項1から請求項10のいずれか1項に記載のフィルタ装置。
【請求項12】
ノッチフィルタ回路と、
前記ノッチフィルタ回路のノッチ周波数を制御する制御回路と、を備えるフィルタ装置の制御方法であって、
前記ノッチ周波数が制御される間、前記ノッチフィルタ回路の構成要素の接続先を変更して正帰還ループを形成し、前記ノッチフィルタ回路を発振状態にすることを特徴とするフィルタ装置の制御方法。
【請求項13】
前記ノッチフィルタ回路を発振状態に設定する発振状態設定ステップと、
前記ノッチフィルタ回路の出力電圧が基準電圧と同じになるように、および、前記ノッチフィルタ回路の発振周波数が基準周波数と同じになるように、前記ノッチフィルタ回路のゲイン及び周波数を調整する調整ステップと、
前記ノッチフィルタ回路の発振状態を停止する発振状態停止ステップと、を含むことを特徴とする請求項12に記載のフィルタ装置の制御方法。
【請求項14】
前記調整ステップは、前記ゲイン及び前記周波数の初期値を設定する初期値設定ステップと、
前記ノッチフィルタ回路の出力電圧と前記基準電圧とを比較し、前記出力電圧と前記基準電圧とが異なる場合は前記ゲインの値を調節し、且つ、前記発振周波数と前記基準周波数とを比較し前記発振周波数と前記基準周波数とが異なる場合は前記周波数の値を調整する調節する調節ステップと、を含み、
前記ノッチフィルタ回路の出力電圧が基準電圧と同じになるように、及び、前記フィルタ回路の発振周波数が基準周波数と同じになるように、前記調節ステップを複数回繰り返し行うことを特徴とする請求項13記載のフィルタ装置の制御方法。
【請求項15】
前記調節ステップは、前記基準電圧が前記出力電圧よりも大きい場合、前記ゲインを上げ、前記基準振幅が前記出力電圧よりも小さい場合、前記ゲインを下げるゲイン調節ステップと、
前記基準周波数が前記発振周波数よりも大きい場合、前記周波数を上げ、前記基準周波数が前記発振周波数よりも小さい場合、前記周波数を下げる周波数調節ステップと、を含むことを特徴とする請求項14に記載のフィルタ装置の制御方法。
【請求項16】
前記ノッチフィルタ回路のノッチ周波数が制御された後、前記ノッチフィルタ回路が、発振状態を停止し且つ前記ノッチフィルタ回路の構成要素の接続先を変更して、ノッチフィルタとして動作することを特徴とする請求項12から請求項15のいずれか1項に記載のフィルタ装置の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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