説明

フィルタ装置及びそれを用いた自動車用空調装置

【課題】本発明は、長期間にわたり通気抵抗の上昇を抑制するとともに、フィルタ装置用の濾材に折り目を付けた後にも伸縮可能として生産工程で取り扱い易い自動車用空調装置のフィルタ装置を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明に係る自動車用空調装置のフィルタ装置では、濾材100は、ジグザグ形状の山折り線1aと谷折り線1bとが互いに間隔をもってY方向に交互に繰り返されてなる第一線群と、山折り3a、谷折り3bの区間が交互に繰り返されてなるY方向に伸びる直線状の折り目が互いに平行である第二線群3とからなる折り目をもち、第二線群3は第一線群のジグザグ形状の各頂部において交差し、第二線群3の山折り3aと谷折り3bの区間は、交差する点においてが交互に入れ替わり、かつ、第一線群の各折り目で区切られた隣接する第二線群の折り目は互いに相反するように山折りと谷折りが交互していることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、集塵が進んでも通気抵抗が上昇しにくい自動車用空調装置に設置するフィルタ装置及びそれを用いた自動車用空調装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車用空調装置は、近年、自動車用キャビンフィルタ(以下、フィルタ装置ともいう。)を装着する率が増加している。図1は、自動車用空調装置におけるフィルタ装置の取り付け位置を示す概要図である。フィルタ装置18は、車室外からのゴミ、花粉等を捕集するとともに、車室内のゴミ、アレルゲン物質等の捕集も行うことができ、抗アレルゲンや脱臭等の機能が付いているものもある。
【0003】
自動車用空調装置に設置するフィルタ装置は、通気抵抗の低減や集塵性能の経時劣化を遅延させるため、濾材をジグザグに折り濾過面積を稼ぐ形状としている。現在自動車用空調装置用のフィルタ装置の濾材の折り方は、直線の折り目の山折りと谷折りを一方向に等間隔で交互に繰り返すプリーツ形状とした、ひだ折りと呼ばれる折り方の一種類のみである。
【0004】
しかしひだ折りでは、濾材の形状が風量が高くなると崩れ易く、かつ、集塵が進んで、ある谷折りの部分に塵が溜まると、局所的に通気抵抗が増えてその谷折りを形成するひだ部分が外側に向かって開き、ついには隣接するひだを圧迫して、濾過に寄与しない領域が形成される場合がある。この結果、フィルタ装置全体として通気抵抗が上昇しやすくなり、フィルタ装置の寿命が短縮されてしまうという問題があった。このため、長期間にわたりフィルタ装置の能力を維持し、フィルタ装置の交換の頻度を減らすために、この通気抵抗を上がりにくくすることが求められていた。
【0005】
隣接するひだ同士が接触し難く、濾過に寄与しない領域の形成を抑制する方法として、プリーツ形状のひだの頂部間を接着剤で架橋し、ひだの頂部の間隔が変化しにくいようにするリボン加工が従来から行われている。また、ひだの変形を防止するため、一定方向に折れ曲がるようにした折れ目をプリーツ形状に追加する発明が提案されている(例えば、特許文献1を参照。)。さらに、傾きをもった折り目と交差する平行直線の折り目を組み合わせて、平板を折り曲げて剛直な立体形状を与える構造も提案されている(例えば、特許文献2を参照。)。
【0006】
一方、地図等のシートを折り畳む技術として、ミウラ折り(登録商標)と呼ばれる手法が提案されているが、平面形状に折り畳むための利用に限られている(例えば、特許文献3を参照。)。
【0007】
【特許文献1】特開平10−15329号公報
【特許文献2】特開平2−301426号公報
【特許文献3】実公昭56−25023号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、リボン加工では、接着剤の硬化に時間がかかるため生産性が低下する問題及び、リボン加工をする箇所を多くすると通気抵抗が増加してしまうため、リボン加工の箇所は限られ、ひだの変形をすべて抑制することができないという問題があった。また特許文献1に開示された技術は、フィルタ装置の外周枠が収縮した際の寸法吸収に対する効果を有する技術であり、集塵を原因とする局所的な通気抵抗の増加によって生じる隣接するひだへの圧迫を防止することはできない。さらに特許文献2に開示された技術では、折り方が複雑であり、折り畳み性がないため生産工程での取り扱いが困難であり、さらにフィルタ装置の外周枠の収縮に対して柔軟に変形を吸収できないという問題がある。
【0009】
そこで、本発明の目的は、自動車用空調装置のフィルタ装置において、集塵が進んでも濾過に寄与しない領域の形成を抑えて、長期間にわたり通気抵抗の上昇を抑制するとともに、フィルタ装置用の濾材に折り目を付けた後にも伸縮可能として生産工程で取り扱い易いフィルタ装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、濾材のひだ形状が崩れにくい濾材の折り方を鋭意研究した結果、従来一軸方向であった濾材の折り方を二軸方向に変えることによって、集塵が進んでも濾材のひだが変形しにくくなることを見出し、ミウラ折り(登録商標)の技術を発展させて、立体物として利用することによって本発明を完成させた。すなわち、本発明に係る自動車用空調装置のフィルタ装置では、濾材と、濾材の周囲の少なくとも一部に取り付けられて濾材を保持する枠部とを備えたフィルタ装置において、前記濾材は、ジグザグ形状の山折り線と谷折り線とが互いに間隔をもって交互に繰り返されてなる第一線群と、山折りと谷折りの区間が交互に繰り返されてなる直線状の折り目が互いに平行である第二線群とからなる折り目をもち、前記折り目は、前記第一線群の各ジグザグ形状の頂部にて前記第二線群と交差し、前記第二線群の山折りと谷折りの区間は前記交差する点において交互に入れ替わり、かつ、前記第一線群の各折り目で区切られている隣接する第二線群の折り目は互いに相反するように山折りと谷折りが交互していることを特徴とする。
【0011】
本発明に係る自動車用空調装置のフィルタ装置では、第一線群のジグザグ形状のなす劣角の角度が60〜120度であることが好ましい。濾材のひだがジグザグ形状の屈曲点から伸びる二方向のひだによって互いに拘束されるのでひだ形状の変形が抑制される効果が高い。
【0012】
本発明に係る自動車用空調装置のフィルタ装置では、前記濾材は前記第二線群が等間隔で配置されていることが好ましい。折り畳んだときの濾材の形状が短冊状となり、プリーツ形状のひだ折りと同様にコンパクトにできる。
【0013】
本発明に係る自動車用空調装置のフィルタ装置では、前記枠部が取り付けられてない前記濾材の周囲の少なくとも一部は、弾性部材によって囲まれていることが好ましい。自動車用空調装置へフィルタの脱着において濾材が自動車用空調装置の部品に引っかかることを防止することができる。
【0014】
本発明に係る自動車用空調装置では、少なくとも送風手段と、該送風手段によって発生する空気が通過する空気通路とを備えており、本発明に係る自動車用空調装置のフィルタ装置を空気通路に取り付けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、自動車用空調装置のフィルタに装置おいて、集塵が進んでも濾過に寄与しない領域の形成を抑えることができ、その結果、長期間にわたり通気抵抗の上昇を抑制し、フィルタ装置の交換までの時間を延長できる。さらにフィルタ装置用の濾材に折り目を付けた後にも伸縮可能であるのでフィルタの生産工程で取り扱い易い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。また、本発明は、以下に示す実施形態に限定されるものでない。
【0017】
図2は、本実施形態に係るフィルタ装置の濾材の折り目の付け方を示すために濾材を平面状に展開した部分拡大展開図である。図2において、実線の折り目は山折り、破線の折り目は谷折りを示す。図2に示すように、濾材100は、ジグザグ形状の山折り線1aと谷折り線1bが、互いに間隔a、bをもってY方向に交互に繰り返されてなる第一線群1と、山折り3a、谷折り3bの区間が交互に繰り返されてなるY方向に伸びる直線状の折り目が互いに平行である第二線群3とからなる折り目をもち、第二線群3は第一線群1のジグザグ形状の各頂部において交差し、第二線群3の山折り3aと谷折り3bの区間は、交差する点においてが交互に入れ替わり、かつ、第一線群の各折り目で区切られた隣接する第二線群の折り目は互いに相反するように山折りと谷折りが交互している。例えば、図2において第一線群の1aと1bによって区切られた第二線群の谷折り3bと山折り3cに示すような関係にある。
【0018】
図3は、図2に示した折り目の展開図にしたがって濾材100を立体形状に折り曲げ加工した後の外観を示す斜視概要図である。図3に示すように、ジグザグ形状のひだが形成される結果、ジグザグ形状の頂部において二方向のひだが結合して、どの方向からの応力に対してもひだの局所的な耐変形性が増加している。さらにジグザグ形状のひだに対して法線方向(濾過する方向)から応力が加わった場合に、応力を受けたひだのみが局所的に拡がることなく濾材全体のひだが均等に拡がるため、ひだの局所的な変形が生じにくくなる。すなわち、集塵が進んで、ひだの間に塵埃の付着が多くなった場合や、高風量においてひだの局所的な変形や乱れが少なくなり、濾過に寄与しない領域の形成が抑制することができる。従って、濾材の全面を長期間にわたり有効利用でき、濾材の通気抵抗が上昇することによって生じるフィルタ装置の交換に至るまでの期間を延長することができる。一方、ジグザグ形状のひだの面と面が互いになす角度βは容易に拡大、収縮が可能であるため濾材はひだの形状が乱れることなく伸縮が容易である。このためフィルタ装置の生産工程において濾材の取り扱いが容易である。
【0019】
本実施形態に係る濾材では、第一線群の間隔a、bが等しく、一定の間隔をもって交互に山折りと谷折りが繰り返される場合が含まれる。また第一線群のジグザグ形状は、一定の角度をもって同じ長さの直線によって繰り返されて構成されている場合が含まれる。濾材の折り曲げが容易で生産し易く、且つ濾材のひだの高さが揃うので、同じ表面積の濾材をコンパクトに折り曲げた形状にできる。
【0020】
本実施形態に係る濾材では、図2に示した第一線群のジグザグ形状のなす劣角の角度αが60〜120度であることが好ましい。角度αが120度より大きい角度では、折り曲げた場合に濾材のひだの形状が、X方向に伸びる互いに平行な従来のひだ折りに近い形状となるため、ひだの形状の変形を抑制する程度が小さく、集塵が進んだときにひだの形状の局所的な変形を抑制することが困難になる。一方、角度αが60度より小さい角度では、折り曲げた場合に濾材のひだの形状が、Y方向に伸びる互いに平行な従来のひだ折りに近い形状となるため、同様にひだの形状の局所的な変形を抑制することが困難になる。すなわちジグザグ形状のなす劣角の角度αが60〜120度であれば、濾材のひだがジグザグ形状の屈曲点5から伸びる二方向のひだによって拘束されるので、ひだの形状の変形が抑制される効果が高い。
【0021】
また、濾材100の折り目において、Y方向に伸びている互いに平行な第二線群3は等間隔であることが好ましい。折り曲げたあとの濾材が、短冊状にコンパクトに折り畳むことが可能となるためとともに、X方向とY方向の二方向に対してひだの形状が乱れずに容易に収縮変形しやすくなるため、フィルタ装置の生産工程における取り扱いがしやすくなり、フィルタ外枠の収縮に対しひだが不規則に変形することなく濾材が収縮を吸収することができる。
【0022】
基材となる濾材100は、例えば、パルプを原料としたろ紙又はポリエチレン繊維などの合成繊維で構成される不織布である。大きな塵においては、濾材100の構成繊維間の隙間で引掛けて捕捉され、花粉などの小さな粒子は、粒子が繊維と衝突又は接触したとき、粒子と繊維との間に働く分子間引力によって捕捉される。
【0023】
本実施形態の係るフィルタ装置では、折り曲げた濾材の周囲に濾材を保持するための枠部(不図示)を取り付けている。この枠部は、濾材の全周にわたり取り付けてもよいが、濾材の一部に取り付ける場合も含まれる。例えば、フィルタ装置を空調装置から取り外す際に、濾材を空調ケースや部品でいったん圧縮して脱着する場合には、濾材の周囲を枠ですべて囲わない。
【0024】
このとき枠部が取り付けられてない濾材の周囲の少なくとも一部は、弾性部材によって囲まれていることが好ましい。濾材のひだの突起がフィルタ装置の脱着時に空調ケースや部品に引っかかることを防止し、スムーズにフィルタ装置を交換することができる。弾性部材は、濾材を圧縮して脱着する際に濾材に追従して変形可能なものであればよく、例えば、ブチルゴム等のエラストマーである。
【0025】
本実施形態に係るフィルタ装置の濾材を生産する場合、図2のY方向に伸びる帯状(Yが長さ方向、Xが幅方向である。)の濾材に連続的に折り目加工を施し、所定の寸法に切断してフィルタ装置の枠に組み込むことが好ましい。濾材のY方向を横断する切断端(切り目をX方向に入れる。)は、濾材を立体に折り曲げて直線状の端部とする前は第一線群のジグザグ形状が反映して、ジグザグ形状に切断される。続いて、次の濾材を切断するときにはジグザグ形状の切断を繰り返すことによって、切り落とされる濾材片を減らすことができ(すなわち、切りしろが生じない)、材料の歩留まりを上げることができる。またY方向に平行な濾材の端部(帯状濾材の幅方向の両端部)は直線であるため、必要な濾材の幅に応じてY方向に平行な濾材の端部を直線に切断することによって材料のロスがなく分割することができる。
【0026】
本実施形態に係る自動車用空調装置では、少なくとも送風手段と、送風手段によって発生する空気が通過する空気通路とを備えており、本実施形態に係るフィルタ装置を空気通路に取り付けている。
【0027】
本実施形態に係る自動車用空調装置は、図1において従来のフィルタ装置に替えて本実施形態に係るフィルタ装置を取り付けた装置である。車両用空調装置200は、空気通路を形成するケース25に、空気流れ発生手段(例えばブロア)20、本実施形態に係る自動車用空調装置のフィルタ装置18、エバポレータ17、ヒータコア62と、を備える。空気流れ発生手段20を作動させることで空気通路に空気流れ23が形成される。すなわち、インテークドア(不図示)の切り替えによって車室外空気又は車室内空気が空気通路内に取り込まれ、その空気流れ22がブロア20に吸気される。続いて本実施形態に係る自動車用空調装置のフィルタ装置18及びエバポレータ17に空気流れ23がブロア20によって吐出され、浄化され熱交換された空気流れ34がエアミックスドア27の切り替えによって、空気流れ35若しくは空気流れ36となる。空気流れ35は冷房運転時の空気流れである。一方、空気流れ36は、ヒータコア62によって加熱される。
【実施例】
【0028】
(実施例)
実施例として、フィルタ装置の濾材のサイズを200×200×9mm、濾材の表面積を0.2mとし、濾材のひだの折り方は、図2において、第一線群のジグザグ形状の角度αを90度、ジグザグ形状を構成する各直線の長さdは18.5mmとし、間隔a、bを共に10mmとして、濾材を折り曲げた後に外周枠を取り付けてフィルタ装置を作製した。なおこのとき、第二線群の間隔cは13mmの等間隔とした。濾材を折り曲げた後のひだの互いに向き合う面と面とがなす角度β(図2の10に示した方向でひだを折り曲げた後、図3に対応する角度βを示す。)は、60度である。また濾材は、目付け80g/mのPETサーマルボンド不織布を使用した。
【0029】
(比較例)
比較例として、フィルタのサイズを200×200×10mm、フィルタの濾材の表面積を0.2mとし、従来のプリーツ加工によってひだ折りとした。プリーツの頂部間のピッチは4mmとし50山のプリーツを設けた以外は、実施例と同様にしてフィルタ装置を作製した。
【0030】
(初期通気抵抗)
実施例と比較例のフィルタ装置を未使用の状態において、所定の風量を濾過させて初期通気抵抗を測定した。その結果、図4に示すように、風量が増加するとともに、比較例は実施例に比べて初期通気抵抗がより増加する傾向にあった。比較例では、高風量になるほどプリーツ形状のひだが乱れて不均一に拡がり、隣接するひだを圧迫して濾過に寄与しない領域が形成されたため通気抵抗が上昇した。一方、実施例は、高風量においても、ひだの乱れが少なく濾過に寄与しない領域の形成が抑制されたためほぼ風量に対応した通気抵抗の値を示した。
【0031】
(塵埃保持時通気抵抗)
実施例と比較例にフィルタ装置に、JIS Z8901「試験用粉体及び試験用粒子」に規定された標準混合ダスト15種(JIS15種)を所定量捕捉させて、ISO TS11−155−Part1「Test for Particulate Filtration」の方法に基づいて、風量450m/時間における塵埃保持時の通気抵抗を測定した。表1に塵埃保持時通気抵抗試験の結果を示す。表1に示すように、実施例は比較例に比べて、塵埃保持量が同じの場合には通気抵抗が小さかった。比較例では、塵埃の保持量が増加すると、プリーツ形状のひだが塵埃の堆積によって局所的に変形して隣接するひだを圧迫するため濾過に寄与しない領域が形成されたため通気抵抗が上昇したが、実施例では塵埃の保持量が増加してもひだの局所的な変形は見られなかった。すなわち、実施例では塵埃を12g保持させた場合の通気抵抗は93Paであるのに対し、比較例では塵埃6g保持させた場合で、95Paの通気抵抗を示した。
【0032】
【表1】

【0033】
(フィルタ装置のフィルタ交換に要する時間の推定)
平成17年度環境白書によると、平成15年度の浮遊粒子物質に係る自動車排ガス測定局の年平均値は0.033mg/mであると記載されている。この浮遊粒子物質の量に安全係数として2倍し、0.066mg/mを大気中の塵埃量と推定した。自動車用空調装置の濾過風量は、定常状態では200m/時間であるので、年間400時間乗車すると仮定すると、数1のとおり1年間に集塵される塵埃量が計算される。なお年間400時間の乗車時間とは、平均時速30km/時間で年間12000km走行した場合の乗車時間であり、自動車メーカーにおけるフィルタ装置交換の推奨目安である12000km又は1年間という条件に対応する。
(数1) 0.066×200×400=5.28g/年
【0034】
数1から、従来のフィルタ交換の目安とされる1年間に集塵される塵埃の量は約6gである。このとき比較例においては、表1に示した結果から1年間の使用によって95Paの通気抵抗を示すことなる。この通気抵抗のときにフィルタ交換をする場合には、実施例では同じ通気抵抗に達するまでに塵埃12gを保持できることから、フィルタ装置の交換までに要する期間は、この想定条件では2年間となり、フィルタ装置の寿命を2倍に延長することが可能であった。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】自動車用空調装置のフィルタ装置の装着状態を示す自動車用空調装置の概略図である。
【図2】本実施形態に係るフィルタ装置の濾材の折り目の付け方の一例を示すために濾材を平面状に展開した部分拡大展開図である。外枠内の実線は山折り、破線は谷折りを示す。
【図3】本実施形態に係るフィルタ装置の濾材を立体形状に折り曲げ加工した後の外観の一例を示す斜視概要図である。
【図4】初期通気抵抗と風量の関係を示すグラフである。実線は実施例、破線は比較例を示す。
【符号の説明】
【0036】
1、1a、1b 第一線群
3、3a、3b、3c 第二線群
5 屈曲点
10 ひだの面がなす角度βを得るためのひだの横断線
α 第一線群のジグザグ形状の角度
β ひだの面がなす角度
a、b 第一線群の間隔
c 第二線群の間隔
d 第一線群のジグザグ形状の単位の長さ
17 エバポレータ
18 フィルタ装置
20 ブロア
22、23、34,35,36 空気流れ
25 ケース
27 エアミックスドア
62 ヒータコア
100 濾材
200 自動車用空調装置
300 車体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車用空調装置に取り付けられる、濾材と、該濾材の周囲の少なくとも一部に取り付けられて濾材を保持する枠部とを備えたフィルタ装置において、
前記濾材は、ジグザグ形状の山折り線と谷折り線とが互いに間隔をもって交互に繰り返されてなる第一線群と、山折りと谷折りの区間が交互に繰り返されてなる直線状の折り目が互いに平行である第二線群とからなる折り目をもち、
前記折り目は、前記第一線群のジグザグ形状の各頂部にて前記第二線群と交差し、前記第二線群の山折りと谷折りの区間は前記交差する点において交互に入れ替わり、かつ、前記第一線群の各折り目で区切られている隣接する第二線群の折り目は互いに相反するように山折りと谷折りが交互していることを特徴とするフィルタ装置。
【請求項2】
前記第一線群のジグザグ形状のなす劣角の角度が60〜120度であることを特徴とする請求項1に記載のフィルタ装置
【請求項3】
前記第二線群が等間隔で配置されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のフィルタ装置。
【請求項4】
前記枠部が取り付けられてない前記濾材の周囲の少なくとも一部は、弾性部材によって囲まれていることを特徴とする請求項1、2又は3に記載のフィルタ装置。
【請求項5】
少なくとも送風手段と、該送風手段によって発生する空気が通過する空気通路とを備えた自動車用空調装置において、請求項1、2、3又は4に記載のフィルタ装置を前記空気通路に取り付けたことを特徴とする自動車用空調装置。

【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−83668(P2009−83668A)
【公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−256384(P2007−256384)
【出願日】平成19年9月28日(2007.9.28)
【出願人】(500309126)株式会社ヴァレオサーマルシステムズ (282)
【Fターム(参考)】