フィルタ装置
【課題】燃料貯留部内に貯留された燃料とともにタンク内燃料を濾過して燃料ポンプに吸入させることのできるフィルタ装置を提供する。
【解決手段】フィルタ装置14は、燃料タンク12内に配置された燃料ポンプ16の燃料吸入口17に接続されかつ燃料ポンプ16に吸入される燃料に含まれる異物を除去する袋状の濾過部材24と、濾過部材24上に燃料を貯留する燃料貯留部15を形成する槽壁部材26とを備える。燃料ポンプ16から吐出されかつ余剰となった燃料を前記燃料貯留部15に戻す構成とする。
【解決手段】フィルタ装置14は、燃料タンク12内に配置された燃料ポンプ16の燃料吸入口17に接続されかつ燃料ポンプ16に吸入される燃料に含まれる異物を除去する袋状の濾過部材24と、濾過部材24上に燃料を貯留する燃料貯留部15を形成する槽壁部材26とを備える。燃料ポンプ16から吐出されかつ余剰となった燃料を前記燃料貯留部15に戻す構成とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車や二輪自動車等の燃料タンク内に設置されるフィルタ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来例のフィルタ装置としては、例えば特許文献1に記載されたものがある。なお、図32は車両用燃料タンクを示す断面図である。
図32に示すように、車両用燃料タンクは、タンク本体1の底壁に、燃料流通孔4を側壁に有する旋回槽2を配設した構造において、旋回槽2の一側壁にポンプ係着用の開口部3を形成し、燃料ポンプ5をポンプ本体6の燃料吸入口6aが旋回槽2内に配置される状態で開口部3に係着されている。そして、燃料ポンプ5のポンプ本体6の燃料吸入口6aの先端部には、燃料ポンプ5に吸入される燃料に含まれる異物を除去すなわち燃料を濾過する袋状の濾過部材7が接続されている。濾過部材7は、旋回槽2内に配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平2−171328号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来例によると、旋回槽2内に貯留された燃料を濾過部材7により濾過して燃料ポンプ5に吸入させるものであった。このため、旋回槽2外のタンク内燃料は、濾過部材7で濾過して燃料ポンプ5に吸入させることができないという問題があった。このことは、タンク内燃料が残っているにもかかわらず、旋回槽2内の燃料残量がないと、エンジンの運転ができなくなる。このため、エンジンの運転可能時間が短くなるため好ましくない。
本発明が解決しようとする課題は、燃料貯留部内に貯留された燃料とともにタンク内燃料を濾過して燃料ポンプに吸入させることのできるフィルタ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題は、特許請求の範囲に記載された構成を要旨とするフィルタ装置により解決することができる。
すなわち、請求項1に記載されたフィルタ装置によると、燃料タンク内に配置された燃料ポンプの燃料吸入口に接続されかつ燃料ポンプに吸入される燃料に含まれる異物を除去する袋状の濾過部材と、濾過部材上に燃料を貯留する燃料貯留部を形成する槽壁部材とを備えたものである。したがって、燃料貯留部の底壁を兼用する濾過部材によって、燃料貯留部内に貯留された燃料とともにタンク内燃料を濾過して燃料ポンプに吸入させることができる。このため、燃料タンク内の燃料残量が少なくなったときでも、燃料貯留部内燃料、及び、タンク内燃料のうちの少なくとも一方の燃料残量があれば、エンジンの運転が可能であることから、エンジンの運転可能時間を延長することができる。なお、本明細書でいう「タンク内燃料」とは、燃料貯留部外における燃料タンク内の燃料のことをいう。
【0006】
また、請求項2に記載されたフィルタ装置によると、燃料ポンプを燃料貯留部外に配置したものである。したがって、燃料貯留部内に燃料ポンプを配置する場合と比べて、燃料貯留部に貯留する燃料量の減少を回避することができる。
【0007】
また、請求項3に記載されたフィルタ装置によると、燃料ポンプを、平面視において濾過部材の側方に隣接した位置に配置したものである。したがって、燃料ポンプを水平方向に関してコンパクトに配置することができる。
【0008】
また、請求項4に記載されたフィルタ装置によると、燃料ポンプを、平面視において燃料貯留部内に配置したものである。したがって、燃料ポンプを水平方向に関してコンパクトに配置することができる。
【0009】
また、請求項5に記載されたフィルタ装置によると、燃料ポンプを燃料貯留部内で濾過部材の上方に隣接した位置に配置したものである。したがって、燃料ポンプを燃料貯留部内にコンパクトに配置することができる。
【0010】
また、請求項6に記載されたフィルタ装置によると、燃料ポンプを水平状又は傾斜状に配置したものである。したがって、燃料ポンプを垂直状いわゆる縦置き状に配置する場合と比べて、燃料ポンプを上下方向に関してコンパクトに配置することができる。
【0011】
また、請求項7に記載されたフィルタ装置によると、濾過部材は、有底状の燃料溜まり部を備え、燃料溜まり部の壁面の少なくとも一部が前記濾過部材の側面により形成されている。したがって、濾過部材の燃料溜まり部に燃料を溜めるとともに、燃料溜まり部内の燃料を濾過部材により濾過して燃料ポンプに吸入させることができる。これにより、エンジンの運転可能時間を延長するとともに、燃料タンク内の燃料残量が少なくなったときのエンジンの息つき現象を防止することができる。なお、本明細書でいう「エンジンの息つき現象」とは、燃料タンク内の燃料残量が少なくなった状態での車両の旋回走行、坂道走行、急発進、急停止等により燃料液面が傾いたときに、燃料ポンプが燃料を吸入できず、空気を吸入することにより発生する現象のことをいう。
【0012】
また、請求項8に記載されたフィルタ装置によると、濾過部材の上面又は側面の中央部に、燃料ポンプの燃料吸入口に連通する吸入管部材の入口部を接続したものである。したがって、燃料タンク内の燃料残量が少なくなったときのエンジンの息つき現象を防止することができる。
【0013】
また、請求項9に記載されたフィルタ装置によると、燃料ポンプから吐出されかつ余剰となった燃料を燃料貯留部に戻す構成としたものである。したがって、余剰となった燃料が燃料貯留部に戻されるため、燃料貯留部内の燃料不足を防止することができる。このため、燃料タンク内の燃料残量が少なくなったときに、濾過部材からタンク内燃料が離れたり、接触面積が減少したりしても、燃料貯留部内の燃料を濾過して燃料ポンプに吸入させることができるため、エンジンの運転可能時間を延長することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】実施例1に係る燃料供給装置の概要を示す構成図である。
【図2】フィルタ装置を示す平面図である。
【図3】図2のIII−III線矢視断面図である。
【図4】槽壁部材を示す底面図である。
【図5】図4のV−V線矢視断面図である。
【図6】図4のVI−VI線矢視断面図である。
【図7】濾過部材を示す底面図である。
【図8】濾過部材を示す側面図である。
【図9】槽壁部材の装着溝の変更例を断面図である。
【図10】連結管と吸入管との接続構造を示す断面図である。
【図11】連結管と吸入管との接続構造の変更例1を示す断面図である。
【図12】連結管と吸入管との接続構造の変更例2を示す断面図である。
【図13】グロメットを示す斜視図である。
【図14】グロメットを示す平面図である。
【図15】図14のXV−XV線矢視断面図である。
【図16】実施例2に係るフィルタ装置を示す平面図である。
【図17】図16のXVII−XVII線矢視断面図である。
【図18】実施例3に係るフィルタ装置を示す平面図である。
【図19】図18のXIX−XIX線矢視断面図である。
【図20】図19のXX−XX線矢視断面図である。
【図21】実施例4に係るフィルタ装置を示す平面図である。
【図22】図21のXXII−XXII線矢視断面図である。
【図23】実施例5に係るフィルタ装置を示す平面図である。
【図24】図23のXXIV−XXIV線矢視断面図である。
【図25】図23のXXV−XXV線矢視断面図である。
【図26】実施例6に係るフィルタ装置を示す平面図である。
【図27】図26のXXVII−XXVII線矢視断面図である。
【図28】図26のXXVIII−XXVIII線矢視断面図である。
【図29】実施例7に係るフィルタ装置を示す平面図である。
【図30】図29のXXX−XXX線矢視断面図である。
【図31】図29のXXXI−XXXI線矢視断面図である。
【図32】従来例に係る車両用燃料タンクを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を実施するための形態について図面を用いて説明する。
【実施例】
【0016】
本発明の一実施例を図面に基づいて説明する。
【0017】
[実施例1]
本発明の実施例1を説明する。本実施例のフィルタ装置を備えた燃料供給装置は、車両等に搭載されており、エンジン(内燃機関)に燃料を供給するものである。
まず、燃料供給装置の概要について説明する。なお、図1は燃料供給装置の概要を示す構成図である。
図1に示すように、燃料供給装置10は、燃料タンク12内に配置されている。燃料タンク12は、燃料を貯留する中空状の容器で、車両等に搭載されている。燃料タンク12内の底部には、上面を開口する有底筒状のリザーバとしてのフィルタ装置14が設けられている。フィルタ装置14は、燃料タンク12内の燃料及び燃料ポンプ16から吐出されかつ余剰となった燃料(いわゆるリターン燃料)を貯留する燃料貯留部15を有している。なお、フィルタ装置14については後述する。
【0018】
前記燃料ポンプ16は、燃料を吸入しかつ加圧して吐出するポンプ部と、そのポンプ部を駆動させるモータ部とを軸方向に並設したモータ一体型のインタンク式の電動燃料ポンプである。また、燃料ポンプ16のポンプ部側の端面には、燃料を吸入する燃料吸入口17が設けられている。また、フィルタ装置14により濾過されて燃料吸入口17からポンプ部内に吸入された燃料は、インペラの回転によって加圧され、ポンプ室からモータ部内に吐出される。ポンプ室からモータ部内に吐出された加圧燃料は、モータ部内を通って、モータ部側の端面に設けられた燃料吐出口18から吐出される。燃料吐出口18から吐出された燃料は、燃料供給配管20を介して前記燃料タンク12外すなわちエンジン(詳しくはインジェクタ)へ供給されるようになっている。なお、燃料ポンプ16は、周知の構成のものであるからその詳しい説明は省略する。
【0019】
前記燃料供給配管20を流れる燃料圧力すなわちエンジンへ供給される燃料圧力は、プレッシャレギュレータ22により所定圧力に調整される。プレッシャレギュレータ22は、燃料供給配管20を流れる燃料圧力を調整し、余剰となった燃料をリターン燃料としてフィルタ装置14の燃料貯留部15内へ排出する。なお、プレッシャレギュレータ22は、周知の構成のものであるからその詳しい説明は省略する。また、フィルタ装置14、燃料ポンプ16及びプレッシャレギュレータ22は、燃料供給装置10としてモジュール化されている。
【0020】
次に、前記フィルタ装置14について説明する。なお、図2はフィルタ装置を示す平面図、図3は図2のIII−III線矢視断面図である。
図2及び図3に示すように、フィルタ装置14は、濾過部材24と槽壁部材26とを備えている。濾過部材24は、前記燃料ポンプ16に吸入される燃料に含まれる異物を除去すなわち燃料を濾過するもので、例えば樹脂製のメッシュ材や不織布により扁平な袋状に形成されている。濾過部材24は、扁平方向(厚さ方向)を上下方向に向けた状態で平面視(図2参照)において左右方向を長くする横長四角形状に形成されている。また、濾過部材24は、上側の濾材28と下側の濾材29との外周縁部を全周に亘って溶着されてなる(図3参照)。このため、濾過部材24の外周部には、上下の両濾材28,29の溶着によるフランジ状の溶着部30が形成されている。また、上側の濾材28の中央部には、L字管状の連結管33の一端部(基端部)が接続されている。連結管33内は、上側の濾材28に形成された開口孔(図示省略)を介して濾過部材24の内部空間と連通されている。また、連結管33の他端部(先端部)は、左方に向けられている(図2参照)。また、フィルタ装置14は、濾過部材24の下面が前記燃料タンク12内の底面12a上に面接触状に当接する状態で配置される。なお図示しないが、濾過部材24内には、その濾過部材24を膨大状態(膨らんだ状態)に保持するための樹脂製のフレーム部材が設けられている。
【0021】
前記槽壁部材26は、例えば樹脂製で、前記濾過部材24の外周を取り囲む縦壁状に形成されている(図2参照)。槽壁部材26は、長尺状の前壁部35及び後壁部36と、短尺状の左壁部37及び右壁部38とを有している。また、図3に示すように、槽壁部材26には、その下面開口部を閉鎖するように前記濾過部材24が装着されている。これにより、濾過部材24上に燃料を貯留する燃料貯留部15が形成されている。したがって、濾過部材24は、燃料貯留部15の底壁を兼用するものとなっている。なお、、濾過部材24には燃料の表面張力により燃料膜が張る。このため、濾過部材24に燃料膜が張っている限り、燃料貯留部15内の燃料が外部へ流出することはない。また、槽壁部材26の高さ26hは、燃料貯留部15に貯留する必要燃料量に応じて設定されている。また、槽壁部材26に対する濾過部材24の装着構造については後述する。
【0022】
前記槽壁部材26の前壁部35の前側中央部には、有底状のポンプ収容部40が形成されている(図2参照)。ポンプ収容部40は、前壁部35の左右方向の中央部で上方寄りに形成されている。また、ポンプ収容部40には、前記燃料ポンプ16が水平状いわゆる横置き状に収容されている。これにより、燃料ポンプ16が前記燃料貯留部15外に配置されている。また、燃料ポンプ16が、平面視(図2参照)において前記濾過部材24の側方(前側方(図2において下方))に隣接した位置に配置されている。また、ポンプ収容部40は、燃料ポンプ16が濾過部材24上に被さらないように設定されている。このため、ポンプ収容部40により燃料貯留部15の容積が減少されない。なお、燃料ポンプ16の燃料吸入口17は左方に向けられているとともに、燃料吐出口18は右方に向けられている(図2参照)。
【0023】
図2に示すように、前記燃料ポンプ16の燃料吸入口17には、例えば樹脂製の吸入管42の一端部(下流側端部)が接続されている。吸入管42の他端部(上流側端部)は、前記濾過部材24の連結管33の先端部に接続されている。連結管33と吸入管42とにより吸入管部材43が構成されている。そして、連結管33の基端部が吸入管部材43の入口部に相当している。なお、連結管33と吸入管42との接続構造については後述する。また、吸入管42は、前記槽壁部材26の前壁部35に形成されたU字状の支持溝44、及び、前記ポンプ収容部40の左端壁45に形成されたU字状の支持溝46にそれぞれグロメット48を介して支持されている。
【0024】
前記燃料ポンプ16の燃料吐出口18には、例えば樹脂製の吐出管50の一端部(上流側端部)が接続されている。燃料吐出口18と吐出管50との間にはOリング51が装着されている。また、吐出管50は、前記ポンプ収容部40の右端壁52に形成されたU字状の支持溝53にグロメット48を介して支持されている。なお、吸入管42及び吐出管50を槽壁部材26に支持することによって、ポンプ収容部40に燃料ポンプ16が固定的に配置されている。また、グロメット48は、共通部品であるから同一符号を付した。また、グロメット48の構成については後述する。
【0025】
前記吐出管50の他端部(下流側端部)は、プレッシャレギュレータ22の燃料入口に接続されている。プレッシャレギュレータ22の燃料出口には、前記燃料供給配管20の一端部(上流側端部)が接続されている。また、プレッシャレギュレータ22のリターン燃料排出口には、還流管55の一端部(上流側端部)が接続されている。還流管55の他端部(下流側端部)は、前記燃料貯留部15内、詳しくは濾過部材24の上面における連結管33の基端部の右側付近に向けられている。
【0026】
[槽壁部材26に対する濾過部材24の装着構造]
次に、前記した槽壁部材26に対する濾過部材24の装着構造について説明する。なお、図4は槽壁部材を示す底面図、図5は図4のV−V線矢視断面図、図6は図4のVI−VI線矢視断面図、図7は濾過部材を示す底面図、図8は同じく側面図である。
図4に示すように、槽壁部材26の下端部の内周部には、濾過部材24の溶着部30(図8参照)を嵌合可能な段付溝状の装着溝57が形成されている。装着溝57の内周面(溝底面)の下端部には、係止爪58(図5参照)が周方向に断続的に形成されている。本実施例では、前壁部35及び後壁部36に各3個、左壁部37及び右壁部38に各1個の係止爪58が配置されている。図5及び図6に示すように、係止爪58は、断面三角形状に形成され、水平状の係止面58a、及び、その係止面58aの内端から下方に向かって傾斜状に拡がる案内面58bとを有している。
【0027】
前記槽壁部材26に前記濾過部材24を装着するときは、槽壁部材26の装着溝57に対してその下方から濾過部材24の溶着部30を嵌合する。このとき、濾過部材24の溶着部30の外周端が、係止爪58の案内面58bに沿って摺動されながら濾過部材24の弾性変形を利用して押し込まれていき、案内面58bを通過することにより溶着部30が濾過部材24の弾性復元力(反発力)を利用して槽壁部材26の装着溝57に嵌合される。このようにして、槽壁部材26の装着溝57に濾過部材24の溶着部30が係止爪58の係止面58aにより抜け止めされた状態に装着されている。
【0028】
前記濾過部材24において、上下の両濾材28,29の溶着を終えたままの溶着部30の外形(図7中、二点鎖線30a参照)は寸法的に不均一である。このため、濾過部材24の溶着部30には、その外形が槽壁部材26の装着溝57(図4参照)の内周面(溝底面)に嵌合可能な寸法形状となるようにトリミング加工が施されている(図7中、実線30a参照)。
【0029】
また、本実施例では、前記濾過部材24の溶着部30の外形30aが、槽壁部材26の装着溝57(図4参照)の内周面(溝底面)に対して僅かに大きい相似形状となるように設定されている。このため、槽壁部材26の装着溝57に濾過部材24の溶着部30が嵌合した状態において、装着溝57の内周面(溝底面)に溶着部30の外周面が濾過部材24の弾性復元力(反発力)を利用して密着することにより、槽壁部材26と溶着部30との間のシール性を向上することができる。また、このとき、装着溝57の上側の溝壁面に溶着部30の上面を密着させることにより、槽壁部材26と溶着部30との間のシール性を一層向上することができる。
【0030】
なお、図8において、槽壁部材26に対する未装着状態(自由状態)の濾過部材24が実線24で示され、装着状態の濾過部材24が二点鎖線24で示されている。図8から分かるように、未装着状態の濾過部材24の外形寸法Aよりも、槽壁部材26に装着された状態の濾過部材24の外形寸法aが小さくなる。また、未装着状態の濾過部材24の高さ寸法Hよりも、槽壁部材26に装着された状態の濾過部材24の高さ寸法hが大きく(高く)なる。
【0031】
前記した槽壁部材26に対する濾過部材24の装着構造によると、槽壁部材26の装着溝57に濾過部材24の溶着部30を濾過部材24の弾性変形を利用して弾性的に嵌合する構成としたものであるから、槽壁部材26と濾過部材24の溶着部30との間のシール性を向上することができる。
【0032】
また、槽壁部材26の装着溝57に濾過部材24の溶着部30を係止する係止爪58を設けたものであるから、槽壁部材26の装着溝57に装着された濾過部材24の溶着部30を係止爪58により抜け止めすることができる。よって、槽壁部材26に濾過部材24を容易にかつ抜け止め状態に装着することができる。
【0033】
[槽壁部材26の装着溝57の変更例]
前記槽壁部材26の装着溝57は、次のように変更することができる。なお、図9は槽壁部材の装着溝の変更例を断面図である。
図9に示すように、本変更例は、槽壁部材26の装着溝(符号、60を付す)を、上下の両溝壁面60a,60bを有する断面V字形の谷形状に形成したものである。この場合、下側の溝壁面60bは、係止爪58の係止面を兼用する。
【0034】
[連結管33と吸入管42との接続構造]
次に、前記した濾過部材24の連結管33と吸入管42との接続構造について説明する。なお、図10は連結管と吸入管との接続構造を示す断面図である。
図10に示すように、連結管33の先端部の内周面に、口径を小さくするスプール部62が形成されている。そして、連結管33の先端部内に吸入管42の上流側端部が弾性変形を利用した圧入によりシール状態に接続されている。本例の場合、吸入管42にはチューブ材を用いるとよい。なお、連結管33に対する吸入管42の接続構造は、次の変更例1、2に代えることができる。なお、図11は連結管と吸入管との接続構造の変更例1を示す断面図、図12は同じく変更例2を示す断面図である。
【0035】
[連結管33と吸入管42との接続構造の変更例1]
本変更例は、図11に示すように、連結管33の先端部の内周面に設けた環状溝64内に、断面円形状のOリング65が装着されている。そして、連結管33の先端部内に、吸入管42の一端部がOリング65の弾性変形を利用してシール状態に接続されている。本変更例の場合、吸入管42には、剛性を有するパイプ材を用いることができる。
【0036】
[連結管33と吸入管42との接続構造の変更例2]
本変更例は、図12に示すように、前記変更例1におけるOリング65(図11参照)を、断面波形状のOリング67に代えたものである。
【0037】
[グロメット48の構成]
次に、前記グロメット48の構成について説明する。なお、図13はグロメットを示す斜視図、図14は同じく平面図、図15は図14のXV−XV線矢視断面図である。
図13に示すように、グロメット48は、ゴム状弾性材によりU字状に形成されている。グロメット48の内周部の間には割溝70が形成されている(図15参照)。また、グロメット48の割溝70の底部には、断面C字状の管受入溝73が形成されている。管受入溝73には、前記吸入管42又は前記吐出管50(図2参照)を割溝70から嵌合可能となっている。また、グロメット48の外周面には、周方向に延びる取付溝74が形成されている(図13及び図14参照)。
【0038】
前記グロメット48は、自由状態(図13〜図15参照)において前記管受入溝73に前記吸入管42又は前記吐出管50を径方向から挿入した状態で、前記取付溝74を前記槽壁部材26の各支持溝44,46,53に弾性変形を利用して嵌合する(図2及び図3参照)。これにより、グロメット48が各支持溝44,46,53に支持され、かつ、グロメット48の割溝70が閉じられるとともに管受入溝73が吸入管42又は吐出管50に密着する。これにより、槽壁部材26に吸入管42又は吐出管50をグロメット48を介して弾性的に支持することができ、燃料ポンプ16の振動を吸収して、作動音を低減することができる。また、槽壁部材26の前壁部35に配置されたグロメット48により、前壁部35と吸入管42との間のシール性を向上し、燃料貯留部15内から外部への燃料洩れを防止することができる。
【0039】
前記したフィルタ装置14によると、燃料タンク12内に配置された燃料ポンプ16の燃料吸入口17に接続されかつ燃料ポンプ16に吸入される燃料に含まれる異物を除去する袋状の濾過部材24と、濾過部材24上に燃料を貯留する燃料貯留部15を形成する槽壁部材26とを備えたものである(図2及び図3参照)。したがって、燃料貯留部15の底壁を兼用する濾過部材24によって、燃料貯留部15内に貯留された燃料とともにタンク内燃料を濾過して燃料ポンプ16に吸入させることができる。このため、燃料タンク12内の燃料残量が少なくなったときでも、燃料貯留部15内燃料、及び、タンク内燃料のうちの少なくとも一方の燃料残量があれば、エンジンの運転が可能であることから、エンジンの運転可能時間を延長することができる。
【0040】
また、燃料ポンプ16を燃料貯留部15外に配置したものである(図3参照)。したがって、燃料貯留部15内に燃料ポンプ16を配置する場合と比べて、燃料貯留部15に貯留する燃料量(容積)の減少を回避することができる。
【0041】
また、燃料ポンプ16を、平面視(図2参照)において濾過部材24の側方(前側方(図2において下方))に隣接した位置に配置したものである。したがって、燃料ポンプ16を水平方向に関してコンパクトに配置することができる。
【0042】
また、燃料ポンプ16を水平状いわゆる横置き状に配置したものである(図2及び図3参照)。したがって、燃料ポンプ16を垂直状いわゆる縦置き状に配置する場合と比べて、燃料ポンプ16を上下方向(高さ方向)に関してコンパクトに配置することができる。このことは、高さの低い扁平型の燃料タンク12に好適である。
【0043】
また、濾過部材24の上面の中央部に、燃料ポンプ16の燃料吸入口17に連通する吸入管部材43の入口部(連結管33の基端部)を接続したものである(図2参照)。したがって、燃料タンク12内の燃料残量が少なくなったときのエンジンの息つき現象を防止することができる。
【0044】
また、燃料ポンプ16から吐出されかつ余剰となった燃料を燃料貯留部15に戻す構成としたものである(図1及び図3参照)。したがって、余剰となった燃料が燃料貯留部15に戻されるため、燃料貯留部15内の燃料不足を防止することができる。このため、燃料タンク12内の燃料残量が少なくなったときに、濾過部材24からタンク内燃料が離れたり、接触面積が減少したりしても、燃料貯留部15内の燃料を濾過して燃料ポンプ16に吸入させることができるため、エンジンの運転可能時間を延長することができる。
【0045】
[実施例2]
本発明の実施例2を説明する。本実施例は、前記実施例1に変更を加えたものであるから、その変更部分について説明し、重複する説明は省略する。また、以降の実施例についても、その変更部分について説明し、重複する説明は省略する。なお、図16はフィルタ装置を示す平面図、図17は図16のXVII−XVII線矢視断面図である。
図16及び図17に示すように、本実施例は、前記実施例1(図2及び図3参照)のフィルタ装置14における燃料ポンプ16の搭載構造を変更したものである。すなわち、前記槽壁部材26の前壁部35の上部を前方へ張り出し状に形成し、その前壁部35の後面中央部にポンプ収容部(符号、76を付す)を形成したものである。これにともない、前記実施例1(図2参照)における前壁部35の支持溝44及びその支持溝44に対応するグロメット48が省略されている。本実施例のフィルタ装置14によっても、前記実施例1と同様の作用・効果を得ることができる。
【0046】
[実施例3]
本発明の実施例3を説明する。なお、図18はフィルタ装置を示す平面図、図19は図18のXIX−XIX線矢視断面図、図20は図19のXX−XX線矢視断面図である。
図18〜図20に示すように、本実施例は、前記実施例1(図2及び図3参照)のフィルタ装置14における燃料ポンプ16の搭載構造を変更したものである。すなわち、前記槽壁部材26におけるポンプ収容部40(図2及び図3参照)が省略されている。また、槽壁部材26には、その上面開口を閉鎖する上蓋部78が形成されている。上蓋部78の左右方向の中央部には、前後方向(図18において上下方向)に延びる燃料流入窓79が形成されている。このため、燃料タンク12内の燃料液面が燃料流入窓79より高いときは、燃料タンク12内の燃料が燃料流入窓79から燃料貯留部15へ流入可能となっている。
【0047】
前記上蓋部78の上面には、上面を開口する有底状のポンプ収容部80が燃料流入窓79で左右に分断された状態で形成されている。また、ポンプ収容部80には、燃料ポンプ16が水平状いわゆる横置き状に収容されている。これにより、燃料ポンプ16が、平面視(図18参照)において前記燃料貯留部15内に配置されている。
【0048】
図19に示すように、前記ポンプ収容部80の左端壁81には、吸入管部83が形成されている。吸入管部83の一端部(下流側端部)は、ポンプ収容部80内に突出されており、前記燃料ポンプ16の燃料吸入口17と接続されている。吸入管部83と燃料吸入口17との間にはOリング84が装着されている。また、吸入管部83の他端部(上流側端部)は、前記上蓋部78に対して下面開口状に接続されている。
【0049】
前記濾過部材24の上側の濾材28には、前記実施例1(図2及び図3参照)のL字管状の連結管33に代えて、クランク状の連結管85の一端部(上流側端部)が接続されている。連結管85の他端部(下流側端部)は、前記上蓋部78の吸入管部83の上流側端部と接続されている。吸入管部83と連結管85とにより吸入管部材86が構成されている。
【0050】
図19に示すように、前記ポンプ収容部80の右端壁90(図18参照)には、上面を開口する有底筒状のレギュレータ収容部92が形成されている。レギュレータ収容部92には、プレッシャレギュレータ22が嵌合されかつプレッシャレギュレータ22を抜け止めする抜け止め部材93が装着されている。レギュレータ収容部92の左壁部には、プレッシャレギュレータ22の燃料入口と連通する吐出管部95が形成されている。吐出管部95は、ポンプ収容部80内に突出されており、前記燃料ポンプ16の燃料吐出口18と接続されている。燃料吐出口18と吐出管部95との間にはOリング96が装着されている。
【0051】
前記レギュレータ収容部92の底壁部には、前記プレッシャレギュレータ22のリターン燃料排出口に連通しかつ上蓋部78の下面に開口する還流口98が形成されている。上蓋部78の下側には、還流管部99が形成されている、還流管部99の一端部(上流側端部)は、上蓋部78の還流口98に接続されている、また、還流管部99の他端部(下流側端部)は、前記濾過部材24の上面における連結管85の上流側端部の右側付近に向けられている。また、レギュレータ収容部92の右壁部には、プレッシャレギュレータ22の燃料出口に連通する燃料供給管部100が形成されている。燃料供給管部100の下流側端部には、前記燃料供給配管20(図1参照)の上流側端部が接続されている。
【0052】
前記フィルタ装置14の作用について説明する。エンジンの運転にともない燃料ポンプ16が駆動されると、燃料タンク12内の燃料及び燃料貯留部15内の燃料が濾過部材24で濾過された後、連結管85から吸入管部83を通り、燃料吸入口17から燃料ポンプ16に吸入されかつ昇圧される。燃料ポンプ16の燃料吐出口18から吐出された燃料は、吐出管部95を通り、プレッシャレギュレータ22で調圧された後、燃料供給管部100を通って送給される。また、プレッシャレギュレータ22から排出されるリターン燃料は、還流口98から還流管部99を通って燃料貯留部15の濾過部材24上に還流される。なお、還流管部99を省略し、プレッシャレギュレータ22から排出されるリターン燃料を還流口98から燃料貯留部15へ直接的に還流させてもよい。
【0053】
前記したフィルタ装置14によっても、前記実施例1と同様の作用・効果を得ることができる。また、燃料ポンプ16を、平面視(図18参照)において燃料貯留部15内に配置したものである。したがって、燃料ポンプ16を水平方向に関してコンパクトに配置することができる。
【0054】
[実施例4]
本発明の実施例4を説明する。なお、図21はフィルタ装置を示す平面図、図22は図21のXXII−XXII線矢視断面図である。
図21及び図22に示すように、本実施例は、前記実施例1(図2及び図3参照)のフィルタ装置14における燃料ポンプ16の搭載構造を変更したものである。すなわち、前記槽壁部材26のポンプ収容部40を、その右端壁52が槽壁部材26の右壁部38と同一面状をなすように移動させるとともに、ポンプ収容部40の底面が濾過部材24の下面と同一面状をなすように下方へ移動させたものである。
【0055】
図21に示すように、吸入管(符号、101を付す)の上流部は、前記槽壁部材26の前壁部35の中央下端部に形成された管挿通孔102、及び、濾過部材24の前側面の中央部に形成された管接続口103に挿入されており、濾過部材24の内部空間と連通されている。吸入管101の上流側端部は、濾過部材24の内部空間の中央部に延出されている(図22参照)。濾過部材24の内部空間において、吸入管101の左右両側面には燃料取入口104が開口されている(図22参照)。したがって、本実施例では、吸入管101のみで「吸入管部材」が構成されている。これにともない、前記実施例1(図2及び図3参照)のフィルタ装置14における濾過部材24の連結管33が省略されている。また、吸入管101の上流側端部は、本明細書でいう「吸入管部材の入口部」に相当する。
【0056】
前記吸入管101の下流側端部は、前記燃料ポンプ16の燃料吸入口17に接続されている。また、吸入管101は、前記実施例1(図2参照)の吸入管42と同様、前記ポンプ収容部40の左端壁45に形成されたU字状の支持溝46にグロメット48を介して支持されている。なお、前記実施例1における前壁部35の支持溝44及びその支持溝44に対応するグロメット48が省略されている。また、吐出管50及び吸入管101を支持する支持溝46,53及びそれらの支持溝46,53に対応するグロメット48は、前記実施例1のグロメット48と基本的構成が同じで、上下方向(高さ方向)の寸法が変更されている。
【0057】
本実施例のフィルタ装置14(図21及び図22参照)によっても、前記実施例1と同様の作用・効果を得ることができる。また、燃料ポンプ16の低配置化(図22参照)により、燃料ポンプ16の燃料吸入口17と濾過部材24の内部空間に対する吸入管101の上流側端部の燃料吸入位置とのヘッド差を小さくすることができる。したがって、燃料ポンプ16の燃料吸入力の低下を防止することができる。また、濾過部材24の前側面の中央部の管接続口103に、燃料ポンプ16の燃料吸入口17に連通する吸入管101の入口部を接続したものである。したがって、燃料タンク12内の燃料残量が少なくなったときのエンジンの息つき現象を防止することができる。
【0058】
[実施例5]
本発明の実施例5を説明する。なお、図23はフィルタ装置を示す平面図、図24は図23のXXIV−XXIV線矢視断面図、図25は図23のXXV−XXV線矢視断面図である。
図23及び図24に示すように、本実施例は、前記実施例1(図2及び図3参照)のフィルタ装置14における燃料ポンプ16の搭載構造を変更したものである。すなわち、前記実施例1の槽壁部材26におけるポンプ収容部40が省略されている。また、濾過部材24が槽壁部材26の内周に沿う環状に形成されている。
【0059】
前記濾過部材24には、その中空部を閉鎖する底壁部材108が設けられている。底壁部材108は、例えば樹脂製で、長四角形板状に形成されている。底壁部材108の外周部は、濾過部材24の内周側の溶着部110の下面に接合されている。これにより、濾過部材24に、有底状の燃料溜まり部112が設けられている(図24参照)。燃料溜まり部112の側壁面は、濾過部材24の上側の濾材28の内周面により形成されている。なお、燃料溜まり部112の側壁面を濾過部材24の上側の濾材28の内周面により形成したが、燃料溜まり部112の側壁面の少なくとも一部が濾過部材24の上側の濾材28の内周面により形成されておればよい。また、本実施例の濾過部材24は、平面視(図23参照)において投影面積を増やすことによって、前記実施例1の濾過部材24と同等の濾過面積を確保している。
【0060】
前記底壁部材108の長手方向(左右方向)の中央部には、前後方向に延びる直管状の吸入管部114が形成されている。吸入管部114の両端部は、濾過部材24の対向する内側面の中央部に形成された管接続口115に挿入されており、濾過部材24の内部空間と連通されている(図25参照)。また、吸入管部114の中央部上には、L字管状の接続管部117が形成されている。接続管部117の上端部は、右方へ向けられており、燃料ポンプ16の燃料吸入口17に接続されている(図24参照)。吸入管部114と接続管部117とにより吸入管部材118が構成されている。
【0061】
前記燃料ポンプ16は、前記燃料貯留部15内で濾過部材24の上方に隣接した位置において水平状すなわち横置き状に配置されている。燃料ポンプ16の燃料吐出口18には、吐出管50の上流側端部が接続されている(図24参照)。また、吐出管50は、前記槽壁部材26の右壁部38に形成されたU字状の支持溝120に前記グロメット48を介して支持されている。したがって、燃料ポンプ16は、底壁部材108と吐出管50とによって支持されている。
【0062】
本実施例のフィルタ装置14によっても、前記実施例1と同様の作用・効果を得ることができる。また、燃料ポンプ16を燃料貯留部15内で濾過部材24の上方に隣接した位置に配置したものである(図24参照)。したがって、燃料ポンプ16を燃料貯留部15内にコンパクトに配置することができる。このことは、高さの低い扁平型の燃料タンク12に好適である。
【0063】
また、濾過部材24は、有底状の燃料溜まり部112を備え、燃料溜まり部112の壁面が濾過部材24の上側の濾材28の内周面により形成されている(図24参照)。したがって、濾過部材24の燃料溜まり部112に燃料を溜めるとともに、燃料溜まり部112内の燃料を濾過部材24により濾過して燃料ポンプ16に吸入させることができる。これにより、エンジンの運転可能時間を延長するとともに、燃料タンク12内の燃料残量が少なくなったときのエンジンの息つき現象を防止することができる。
【0064】
また、濾過部材24の内側面の中央部の管接続口115に、燃料ポンプ16の燃料吸入口17に連通する吸入管部材118の入口部を接続したものである(図23及び図25参照)。したがって、燃料タンク12内の燃料残量が少なくなったときのエンジンの息つき現象を防止することができる。
【0065】
また、本実施例の濾過部材24は、平面視(図23参照)においての投影面積を増やすことによって、前記実施例1(図2及び図3参照)の濾過部材24と同等の濾過面積を確保している。したがって、濾過部材24が燃料タンク12内の燃料と接する前後方向の長さ及び左右方向の長さが長くなるため、燃料タンク12内の干上がりに近い状態での燃料に長く接することができ、長期に亘って燃料の吸入状態を継続することができる。
【0066】
[実施例6]
本発明の実施例6を説明する。なお、図26はフィルタ装置を示す平面図、図27は図26のXXVII−XXVII線矢視断面図、図28は図26のXXVIII−XXVIII線矢視断面図である。
図26〜図28に示すように、本実施例は、前記実施例5(図23〜図25参照)のフィルタ装置14における燃料ポンプ16の搭載構造を変更したものである。すなわち、前記実施例5の濾過部材24における底壁部材108が省略されている。また、濾過部材24の内周面には、矩形枠状の縦壁状に形成された内側壁部材122を有している。内側壁部材122は、長尺状の前壁部123及び後壁部124と、短尺状の左壁部125及び右壁部126とを有している。また、前記槽壁部材26は、内側壁部材122に対応する外側壁部材となっている。両側壁部材26,122により濾過部材24上に燃料を貯留する環状の燃料貯留部(符号、128を付す)が形成されている。なお、内側壁部材122に対する濾過部材24の装着構造は、槽壁部材26に対する濾過部材24の装着構造と同様、濾過部材24の内周側の溶着部110を抜け止め状態に装着するようになっている。
【0067】
図27に示すように、前記燃料ポンプ16は、前記内側壁部材122内において低配置化すなわち底部に配置されている。燃料ポンプ16の燃料吐出口18と濾過部材24の内部空間とを連通する吸入管部材130は、例えば樹脂製で、T字管状に形成されている。吸入管部材130は、前後対称状に形成された吸入管部131と、吸入管部131の中央部から右方へ突出された接続管部132とを有している(図26参照)。
【0068】
図28に示すように、前記吸入管部131の両端部は、前記濾過部材24の対向する内側面に形成された管接続口134に挿入され、濾過部材24の内部空間と連通されている。吸入管部131の先端部は右方へ向けてL字状に折れ曲がっており、その先端が濾過部材24の内部空間の左右方向の中央部において開口されている(図26参照)。なお、吸入管部131の上流側端部は、本明細書でいう「吸入管部材の入口部」に相当する。
【0069】
前記吸入管部131は、前記内側壁部材122の前壁部123及び後壁部124に形成された逆U字状の装着溝136に嵌合されている(図28参照)。また、接続管部132は、燃料ポンプ16の燃料吸入口17に接続されている(図27参照)。
【0070】
前記吐出管50は、前記内側壁部材122の右壁部126に沿って立ち上げられている(図27参照)。そして、吐出管50は、内側壁部材122の右壁部126に形成されたU字状の支持溝138にグロメット140を介して支持されている。グロメット140には、支持溝138に嵌合される取付部141、及び、吐出管50を弾性変形を利用して嵌合するC字状の管保持部142が一体形成されている(図26参照)。したがって、燃料ポンプ16は、吸入管部材130と吐出管50とによって支持されている。
【0071】
本実施例のフィルタ装置14によっても、前記実施例5(図23〜図25参照)と同様の作用・効果を得ることができる。また、燃料ポンプ16を燃料貯留部128外に配置したものである。したがって、燃料貯留部128内に燃料ポンプ16を配置する場合と比べて、燃料貯留部128に貯留する燃料量の減少を回避することができる。
【0072】
また、燃料ポンプ16を、平面視(図26参照)において濾過部材24の内側方に隣接した位置に配置したものである。したがって、燃料ポンプ16を水平方向に関してコンパクトに配置することができる。
【0073】
また、燃料ポンプ16の低配置化により、燃料ポンプ16の燃料吸入口17と濾過部材24の内部空間に対する吸入管101の上流側端部の燃料吸入位置とのヘッド差を小さくすることができる。したがって、燃料ポンプ16の燃料に対する吸入力の低下を防止することができる。
【0074】
[実施例7]
本発明の実施例7を説明する。なお、図29はフィルタ装置を示す平面図、図30は図29のXXX−XXX線矢視断面図、図31は図29のXXXI−XXXI線矢視断面図である。
図29〜図31に示すように、本実施例は、前記実施例6(図26〜図28参照)のフィルタ装置14における燃料ポンプ16の搭載構造を変更したものである。すなわち、前記実施例6における燃料ポンプ16を、燃料吐出口18側を上方へ持ち上げることで傾斜状に配置している(図30参照)。これにともない、吐出管50は、内側壁部材122の右壁部126に形成されたU字状の支持溝144にグロメット146を介して傾斜状に支持されている。なお、グロメット146は、前記実施例1のグロメット48と基本的構成が同じで、吐出管50を傾斜状に支持する構成となっている。
【0075】
前記吸入管部材130の吸入管部(符号、148を付す)が、直管状に形成されており、前記内側壁部材122の左右方向の中央部に配置されている(図29参照)。また、前記濾過部材24の内部空間において、吸入管部148の左右両側面には燃料取入口149が開口されている(図31参照)。
【0076】
本実施例のフィルタ装置14によっても、前記実施例6と同様の作用・効果を得ることができる。また、燃料ポンプ16を傾斜状に配置したものである(図30参照)。したがって、燃料ポンプ16を垂直状いわゆる縦置き状に配置する場合と比べて、燃料ポンプ16を上下方向(高さ方向)に関してコンパクトに配置することができる。このことは、高さの低い扁平型の燃料タンク12に好適である。
【0077】
本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更が可能である。
【符号の説明】
【0078】
10…燃料供給装置
12…燃料タンク
14…フィルタ装置
15…燃料貯留部
16…燃料ポンプ
17…燃料吸入口
22…プレッシャレギュレータ
24…濾過部材
26…槽壁部材
43…吸入管部材
86…吸入管部材
101…吸入管(吸入管部材)
106…吸入管部材
112…燃料溜まり部
118…吸入管部材
128…燃料貯留部
130…吸入管部材
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車や二輪自動車等の燃料タンク内に設置されるフィルタ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来例のフィルタ装置としては、例えば特許文献1に記載されたものがある。なお、図32は車両用燃料タンクを示す断面図である。
図32に示すように、車両用燃料タンクは、タンク本体1の底壁に、燃料流通孔4を側壁に有する旋回槽2を配設した構造において、旋回槽2の一側壁にポンプ係着用の開口部3を形成し、燃料ポンプ5をポンプ本体6の燃料吸入口6aが旋回槽2内に配置される状態で開口部3に係着されている。そして、燃料ポンプ5のポンプ本体6の燃料吸入口6aの先端部には、燃料ポンプ5に吸入される燃料に含まれる異物を除去すなわち燃料を濾過する袋状の濾過部材7が接続されている。濾過部材7は、旋回槽2内に配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平2−171328号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来例によると、旋回槽2内に貯留された燃料を濾過部材7により濾過して燃料ポンプ5に吸入させるものであった。このため、旋回槽2外のタンク内燃料は、濾過部材7で濾過して燃料ポンプ5に吸入させることができないという問題があった。このことは、タンク内燃料が残っているにもかかわらず、旋回槽2内の燃料残量がないと、エンジンの運転ができなくなる。このため、エンジンの運転可能時間が短くなるため好ましくない。
本発明が解決しようとする課題は、燃料貯留部内に貯留された燃料とともにタンク内燃料を濾過して燃料ポンプに吸入させることのできるフィルタ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題は、特許請求の範囲に記載された構成を要旨とするフィルタ装置により解決することができる。
すなわち、請求項1に記載されたフィルタ装置によると、燃料タンク内に配置された燃料ポンプの燃料吸入口に接続されかつ燃料ポンプに吸入される燃料に含まれる異物を除去する袋状の濾過部材と、濾過部材上に燃料を貯留する燃料貯留部を形成する槽壁部材とを備えたものである。したがって、燃料貯留部の底壁を兼用する濾過部材によって、燃料貯留部内に貯留された燃料とともにタンク内燃料を濾過して燃料ポンプに吸入させることができる。このため、燃料タンク内の燃料残量が少なくなったときでも、燃料貯留部内燃料、及び、タンク内燃料のうちの少なくとも一方の燃料残量があれば、エンジンの運転が可能であることから、エンジンの運転可能時間を延長することができる。なお、本明細書でいう「タンク内燃料」とは、燃料貯留部外における燃料タンク内の燃料のことをいう。
【0006】
また、請求項2に記載されたフィルタ装置によると、燃料ポンプを燃料貯留部外に配置したものである。したがって、燃料貯留部内に燃料ポンプを配置する場合と比べて、燃料貯留部に貯留する燃料量の減少を回避することができる。
【0007】
また、請求項3に記載されたフィルタ装置によると、燃料ポンプを、平面視において濾過部材の側方に隣接した位置に配置したものである。したがって、燃料ポンプを水平方向に関してコンパクトに配置することができる。
【0008】
また、請求項4に記載されたフィルタ装置によると、燃料ポンプを、平面視において燃料貯留部内に配置したものである。したがって、燃料ポンプを水平方向に関してコンパクトに配置することができる。
【0009】
また、請求項5に記載されたフィルタ装置によると、燃料ポンプを燃料貯留部内で濾過部材の上方に隣接した位置に配置したものである。したがって、燃料ポンプを燃料貯留部内にコンパクトに配置することができる。
【0010】
また、請求項6に記載されたフィルタ装置によると、燃料ポンプを水平状又は傾斜状に配置したものである。したがって、燃料ポンプを垂直状いわゆる縦置き状に配置する場合と比べて、燃料ポンプを上下方向に関してコンパクトに配置することができる。
【0011】
また、請求項7に記載されたフィルタ装置によると、濾過部材は、有底状の燃料溜まり部を備え、燃料溜まり部の壁面の少なくとも一部が前記濾過部材の側面により形成されている。したがって、濾過部材の燃料溜まり部に燃料を溜めるとともに、燃料溜まり部内の燃料を濾過部材により濾過して燃料ポンプに吸入させることができる。これにより、エンジンの運転可能時間を延長するとともに、燃料タンク内の燃料残量が少なくなったときのエンジンの息つき現象を防止することができる。なお、本明細書でいう「エンジンの息つき現象」とは、燃料タンク内の燃料残量が少なくなった状態での車両の旋回走行、坂道走行、急発進、急停止等により燃料液面が傾いたときに、燃料ポンプが燃料を吸入できず、空気を吸入することにより発生する現象のことをいう。
【0012】
また、請求項8に記載されたフィルタ装置によると、濾過部材の上面又は側面の中央部に、燃料ポンプの燃料吸入口に連通する吸入管部材の入口部を接続したものである。したがって、燃料タンク内の燃料残量が少なくなったときのエンジンの息つき現象を防止することができる。
【0013】
また、請求項9に記載されたフィルタ装置によると、燃料ポンプから吐出されかつ余剰となった燃料を燃料貯留部に戻す構成としたものである。したがって、余剰となった燃料が燃料貯留部に戻されるため、燃料貯留部内の燃料不足を防止することができる。このため、燃料タンク内の燃料残量が少なくなったときに、濾過部材からタンク内燃料が離れたり、接触面積が減少したりしても、燃料貯留部内の燃料を濾過して燃料ポンプに吸入させることができるため、エンジンの運転可能時間を延長することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】実施例1に係る燃料供給装置の概要を示す構成図である。
【図2】フィルタ装置を示す平面図である。
【図3】図2のIII−III線矢視断面図である。
【図4】槽壁部材を示す底面図である。
【図5】図4のV−V線矢視断面図である。
【図6】図4のVI−VI線矢視断面図である。
【図7】濾過部材を示す底面図である。
【図8】濾過部材を示す側面図である。
【図9】槽壁部材の装着溝の変更例を断面図である。
【図10】連結管と吸入管との接続構造を示す断面図である。
【図11】連結管と吸入管との接続構造の変更例1を示す断面図である。
【図12】連結管と吸入管との接続構造の変更例2を示す断面図である。
【図13】グロメットを示す斜視図である。
【図14】グロメットを示す平面図である。
【図15】図14のXV−XV線矢視断面図である。
【図16】実施例2に係るフィルタ装置を示す平面図である。
【図17】図16のXVII−XVII線矢視断面図である。
【図18】実施例3に係るフィルタ装置を示す平面図である。
【図19】図18のXIX−XIX線矢視断面図である。
【図20】図19のXX−XX線矢視断面図である。
【図21】実施例4に係るフィルタ装置を示す平面図である。
【図22】図21のXXII−XXII線矢視断面図である。
【図23】実施例5に係るフィルタ装置を示す平面図である。
【図24】図23のXXIV−XXIV線矢視断面図である。
【図25】図23のXXV−XXV線矢視断面図である。
【図26】実施例6に係るフィルタ装置を示す平面図である。
【図27】図26のXXVII−XXVII線矢視断面図である。
【図28】図26のXXVIII−XXVIII線矢視断面図である。
【図29】実施例7に係るフィルタ装置を示す平面図である。
【図30】図29のXXX−XXX線矢視断面図である。
【図31】図29のXXXI−XXXI線矢視断面図である。
【図32】従来例に係る車両用燃料タンクを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を実施するための形態について図面を用いて説明する。
【実施例】
【0016】
本発明の一実施例を図面に基づいて説明する。
【0017】
[実施例1]
本発明の実施例1を説明する。本実施例のフィルタ装置を備えた燃料供給装置は、車両等に搭載されており、エンジン(内燃機関)に燃料を供給するものである。
まず、燃料供給装置の概要について説明する。なお、図1は燃料供給装置の概要を示す構成図である。
図1に示すように、燃料供給装置10は、燃料タンク12内に配置されている。燃料タンク12は、燃料を貯留する中空状の容器で、車両等に搭載されている。燃料タンク12内の底部には、上面を開口する有底筒状のリザーバとしてのフィルタ装置14が設けられている。フィルタ装置14は、燃料タンク12内の燃料及び燃料ポンプ16から吐出されかつ余剰となった燃料(いわゆるリターン燃料)を貯留する燃料貯留部15を有している。なお、フィルタ装置14については後述する。
【0018】
前記燃料ポンプ16は、燃料を吸入しかつ加圧して吐出するポンプ部と、そのポンプ部を駆動させるモータ部とを軸方向に並設したモータ一体型のインタンク式の電動燃料ポンプである。また、燃料ポンプ16のポンプ部側の端面には、燃料を吸入する燃料吸入口17が設けられている。また、フィルタ装置14により濾過されて燃料吸入口17からポンプ部内に吸入された燃料は、インペラの回転によって加圧され、ポンプ室からモータ部内に吐出される。ポンプ室からモータ部内に吐出された加圧燃料は、モータ部内を通って、モータ部側の端面に設けられた燃料吐出口18から吐出される。燃料吐出口18から吐出された燃料は、燃料供給配管20を介して前記燃料タンク12外すなわちエンジン(詳しくはインジェクタ)へ供給されるようになっている。なお、燃料ポンプ16は、周知の構成のものであるからその詳しい説明は省略する。
【0019】
前記燃料供給配管20を流れる燃料圧力すなわちエンジンへ供給される燃料圧力は、プレッシャレギュレータ22により所定圧力に調整される。プレッシャレギュレータ22は、燃料供給配管20を流れる燃料圧力を調整し、余剰となった燃料をリターン燃料としてフィルタ装置14の燃料貯留部15内へ排出する。なお、プレッシャレギュレータ22は、周知の構成のものであるからその詳しい説明は省略する。また、フィルタ装置14、燃料ポンプ16及びプレッシャレギュレータ22は、燃料供給装置10としてモジュール化されている。
【0020】
次に、前記フィルタ装置14について説明する。なお、図2はフィルタ装置を示す平面図、図3は図2のIII−III線矢視断面図である。
図2及び図3に示すように、フィルタ装置14は、濾過部材24と槽壁部材26とを備えている。濾過部材24は、前記燃料ポンプ16に吸入される燃料に含まれる異物を除去すなわち燃料を濾過するもので、例えば樹脂製のメッシュ材や不織布により扁平な袋状に形成されている。濾過部材24は、扁平方向(厚さ方向)を上下方向に向けた状態で平面視(図2参照)において左右方向を長くする横長四角形状に形成されている。また、濾過部材24は、上側の濾材28と下側の濾材29との外周縁部を全周に亘って溶着されてなる(図3参照)。このため、濾過部材24の外周部には、上下の両濾材28,29の溶着によるフランジ状の溶着部30が形成されている。また、上側の濾材28の中央部には、L字管状の連結管33の一端部(基端部)が接続されている。連結管33内は、上側の濾材28に形成された開口孔(図示省略)を介して濾過部材24の内部空間と連通されている。また、連結管33の他端部(先端部)は、左方に向けられている(図2参照)。また、フィルタ装置14は、濾過部材24の下面が前記燃料タンク12内の底面12a上に面接触状に当接する状態で配置される。なお図示しないが、濾過部材24内には、その濾過部材24を膨大状態(膨らんだ状態)に保持するための樹脂製のフレーム部材が設けられている。
【0021】
前記槽壁部材26は、例えば樹脂製で、前記濾過部材24の外周を取り囲む縦壁状に形成されている(図2参照)。槽壁部材26は、長尺状の前壁部35及び後壁部36と、短尺状の左壁部37及び右壁部38とを有している。また、図3に示すように、槽壁部材26には、その下面開口部を閉鎖するように前記濾過部材24が装着されている。これにより、濾過部材24上に燃料を貯留する燃料貯留部15が形成されている。したがって、濾過部材24は、燃料貯留部15の底壁を兼用するものとなっている。なお、、濾過部材24には燃料の表面張力により燃料膜が張る。このため、濾過部材24に燃料膜が張っている限り、燃料貯留部15内の燃料が外部へ流出することはない。また、槽壁部材26の高さ26hは、燃料貯留部15に貯留する必要燃料量に応じて設定されている。また、槽壁部材26に対する濾過部材24の装着構造については後述する。
【0022】
前記槽壁部材26の前壁部35の前側中央部には、有底状のポンプ収容部40が形成されている(図2参照)。ポンプ収容部40は、前壁部35の左右方向の中央部で上方寄りに形成されている。また、ポンプ収容部40には、前記燃料ポンプ16が水平状いわゆる横置き状に収容されている。これにより、燃料ポンプ16が前記燃料貯留部15外に配置されている。また、燃料ポンプ16が、平面視(図2参照)において前記濾過部材24の側方(前側方(図2において下方))に隣接した位置に配置されている。また、ポンプ収容部40は、燃料ポンプ16が濾過部材24上に被さらないように設定されている。このため、ポンプ収容部40により燃料貯留部15の容積が減少されない。なお、燃料ポンプ16の燃料吸入口17は左方に向けられているとともに、燃料吐出口18は右方に向けられている(図2参照)。
【0023】
図2に示すように、前記燃料ポンプ16の燃料吸入口17には、例えば樹脂製の吸入管42の一端部(下流側端部)が接続されている。吸入管42の他端部(上流側端部)は、前記濾過部材24の連結管33の先端部に接続されている。連結管33と吸入管42とにより吸入管部材43が構成されている。そして、連結管33の基端部が吸入管部材43の入口部に相当している。なお、連結管33と吸入管42との接続構造については後述する。また、吸入管42は、前記槽壁部材26の前壁部35に形成されたU字状の支持溝44、及び、前記ポンプ収容部40の左端壁45に形成されたU字状の支持溝46にそれぞれグロメット48を介して支持されている。
【0024】
前記燃料ポンプ16の燃料吐出口18には、例えば樹脂製の吐出管50の一端部(上流側端部)が接続されている。燃料吐出口18と吐出管50との間にはOリング51が装着されている。また、吐出管50は、前記ポンプ収容部40の右端壁52に形成されたU字状の支持溝53にグロメット48を介して支持されている。なお、吸入管42及び吐出管50を槽壁部材26に支持することによって、ポンプ収容部40に燃料ポンプ16が固定的に配置されている。また、グロメット48は、共通部品であるから同一符号を付した。また、グロメット48の構成については後述する。
【0025】
前記吐出管50の他端部(下流側端部)は、プレッシャレギュレータ22の燃料入口に接続されている。プレッシャレギュレータ22の燃料出口には、前記燃料供給配管20の一端部(上流側端部)が接続されている。また、プレッシャレギュレータ22のリターン燃料排出口には、還流管55の一端部(上流側端部)が接続されている。還流管55の他端部(下流側端部)は、前記燃料貯留部15内、詳しくは濾過部材24の上面における連結管33の基端部の右側付近に向けられている。
【0026】
[槽壁部材26に対する濾過部材24の装着構造]
次に、前記した槽壁部材26に対する濾過部材24の装着構造について説明する。なお、図4は槽壁部材を示す底面図、図5は図4のV−V線矢視断面図、図6は図4のVI−VI線矢視断面図、図7は濾過部材を示す底面図、図8は同じく側面図である。
図4に示すように、槽壁部材26の下端部の内周部には、濾過部材24の溶着部30(図8参照)を嵌合可能な段付溝状の装着溝57が形成されている。装着溝57の内周面(溝底面)の下端部には、係止爪58(図5参照)が周方向に断続的に形成されている。本実施例では、前壁部35及び後壁部36に各3個、左壁部37及び右壁部38に各1個の係止爪58が配置されている。図5及び図6に示すように、係止爪58は、断面三角形状に形成され、水平状の係止面58a、及び、その係止面58aの内端から下方に向かって傾斜状に拡がる案内面58bとを有している。
【0027】
前記槽壁部材26に前記濾過部材24を装着するときは、槽壁部材26の装着溝57に対してその下方から濾過部材24の溶着部30を嵌合する。このとき、濾過部材24の溶着部30の外周端が、係止爪58の案内面58bに沿って摺動されながら濾過部材24の弾性変形を利用して押し込まれていき、案内面58bを通過することにより溶着部30が濾過部材24の弾性復元力(反発力)を利用して槽壁部材26の装着溝57に嵌合される。このようにして、槽壁部材26の装着溝57に濾過部材24の溶着部30が係止爪58の係止面58aにより抜け止めされた状態に装着されている。
【0028】
前記濾過部材24において、上下の両濾材28,29の溶着を終えたままの溶着部30の外形(図7中、二点鎖線30a参照)は寸法的に不均一である。このため、濾過部材24の溶着部30には、その外形が槽壁部材26の装着溝57(図4参照)の内周面(溝底面)に嵌合可能な寸法形状となるようにトリミング加工が施されている(図7中、実線30a参照)。
【0029】
また、本実施例では、前記濾過部材24の溶着部30の外形30aが、槽壁部材26の装着溝57(図4参照)の内周面(溝底面)に対して僅かに大きい相似形状となるように設定されている。このため、槽壁部材26の装着溝57に濾過部材24の溶着部30が嵌合した状態において、装着溝57の内周面(溝底面)に溶着部30の外周面が濾過部材24の弾性復元力(反発力)を利用して密着することにより、槽壁部材26と溶着部30との間のシール性を向上することができる。また、このとき、装着溝57の上側の溝壁面に溶着部30の上面を密着させることにより、槽壁部材26と溶着部30との間のシール性を一層向上することができる。
【0030】
なお、図8において、槽壁部材26に対する未装着状態(自由状態)の濾過部材24が実線24で示され、装着状態の濾過部材24が二点鎖線24で示されている。図8から分かるように、未装着状態の濾過部材24の外形寸法Aよりも、槽壁部材26に装着された状態の濾過部材24の外形寸法aが小さくなる。また、未装着状態の濾過部材24の高さ寸法Hよりも、槽壁部材26に装着された状態の濾過部材24の高さ寸法hが大きく(高く)なる。
【0031】
前記した槽壁部材26に対する濾過部材24の装着構造によると、槽壁部材26の装着溝57に濾過部材24の溶着部30を濾過部材24の弾性変形を利用して弾性的に嵌合する構成としたものであるから、槽壁部材26と濾過部材24の溶着部30との間のシール性を向上することができる。
【0032】
また、槽壁部材26の装着溝57に濾過部材24の溶着部30を係止する係止爪58を設けたものであるから、槽壁部材26の装着溝57に装着された濾過部材24の溶着部30を係止爪58により抜け止めすることができる。よって、槽壁部材26に濾過部材24を容易にかつ抜け止め状態に装着することができる。
【0033】
[槽壁部材26の装着溝57の変更例]
前記槽壁部材26の装着溝57は、次のように変更することができる。なお、図9は槽壁部材の装着溝の変更例を断面図である。
図9に示すように、本変更例は、槽壁部材26の装着溝(符号、60を付す)を、上下の両溝壁面60a,60bを有する断面V字形の谷形状に形成したものである。この場合、下側の溝壁面60bは、係止爪58の係止面を兼用する。
【0034】
[連結管33と吸入管42との接続構造]
次に、前記した濾過部材24の連結管33と吸入管42との接続構造について説明する。なお、図10は連結管と吸入管との接続構造を示す断面図である。
図10に示すように、連結管33の先端部の内周面に、口径を小さくするスプール部62が形成されている。そして、連結管33の先端部内に吸入管42の上流側端部が弾性変形を利用した圧入によりシール状態に接続されている。本例の場合、吸入管42にはチューブ材を用いるとよい。なお、連結管33に対する吸入管42の接続構造は、次の変更例1、2に代えることができる。なお、図11は連結管と吸入管との接続構造の変更例1を示す断面図、図12は同じく変更例2を示す断面図である。
【0035】
[連結管33と吸入管42との接続構造の変更例1]
本変更例は、図11に示すように、連結管33の先端部の内周面に設けた環状溝64内に、断面円形状のOリング65が装着されている。そして、連結管33の先端部内に、吸入管42の一端部がOリング65の弾性変形を利用してシール状態に接続されている。本変更例の場合、吸入管42には、剛性を有するパイプ材を用いることができる。
【0036】
[連結管33と吸入管42との接続構造の変更例2]
本変更例は、図12に示すように、前記変更例1におけるOリング65(図11参照)を、断面波形状のOリング67に代えたものである。
【0037】
[グロメット48の構成]
次に、前記グロメット48の構成について説明する。なお、図13はグロメットを示す斜視図、図14は同じく平面図、図15は図14のXV−XV線矢視断面図である。
図13に示すように、グロメット48は、ゴム状弾性材によりU字状に形成されている。グロメット48の内周部の間には割溝70が形成されている(図15参照)。また、グロメット48の割溝70の底部には、断面C字状の管受入溝73が形成されている。管受入溝73には、前記吸入管42又は前記吐出管50(図2参照)を割溝70から嵌合可能となっている。また、グロメット48の外周面には、周方向に延びる取付溝74が形成されている(図13及び図14参照)。
【0038】
前記グロメット48は、自由状態(図13〜図15参照)において前記管受入溝73に前記吸入管42又は前記吐出管50を径方向から挿入した状態で、前記取付溝74を前記槽壁部材26の各支持溝44,46,53に弾性変形を利用して嵌合する(図2及び図3参照)。これにより、グロメット48が各支持溝44,46,53に支持され、かつ、グロメット48の割溝70が閉じられるとともに管受入溝73が吸入管42又は吐出管50に密着する。これにより、槽壁部材26に吸入管42又は吐出管50をグロメット48を介して弾性的に支持することができ、燃料ポンプ16の振動を吸収して、作動音を低減することができる。また、槽壁部材26の前壁部35に配置されたグロメット48により、前壁部35と吸入管42との間のシール性を向上し、燃料貯留部15内から外部への燃料洩れを防止することができる。
【0039】
前記したフィルタ装置14によると、燃料タンク12内に配置された燃料ポンプ16の燃料吸入口17に接続されかつ燃料ポンプ16に吸入される燃料に含まれる異物を除去する袋状の濾過部材24と、濾過部材24上に燃料を貯留する燃料貯留部15を形成する槽壁部材26とを備えたものである(図2及び図3参照)。したがって、燃料貯留部15の底壁を兼用する濾過部材24によって、燃料貯留部15内に貯留された燃料とともにタンク内燃料を濾過して燃料ポンプ16に吸入させることができる。このため、燃料タンク12内の燃料残量が少なくなったときでも、燃料貯留部15内燃料、及び、タンク内燃料のうちの少なくとも一方の燃料残量があれば、エンジンの運転が可能であることから、エンジンの運転可能時間を延長することができる。
【0040】
また、燃料ポンプ16を燃料貯留部15外に配置したものである(図3参照)。したがって、燃料貯留部15内に燃料ポンプ16を配置する場合と比べて、燃料貯留部15に貯留する燃料量(容積)の減少を回避することができる。
【0041】
また、燃料ポンプ16を、平面視(図2参照)において濾過部材24の側方(前側方(図2において下方))に隣接した位置に配置したものである。したがって、燃料ポンプ16を水平方向に関してコンパクトに配置することができる。
【0042】
また、燃料ポンプ16を水平状いわゆる横置き状に配置したものである(図2及び図3参照)。したがって、燃料ポンプ16を垂直状いわゆる縦置き状に配置する場合と比べて、燃料ポンプ16を上下方向(高さ方向)に関してコンパクトに配置することができる。このことは、高さの低い扁平型の燃料タンク12に好適である。
【0043】
また、濾過部材24の上面の中央部に、燃料ポンプ16の燃料吸入口17に連通する吸入管部材43の入口部(連結管33の基端部)を接続したものである(図2参照)。したがって、燃料タンク12内の燃料残量が少なくなったときのエンジンの息つき現象を防止することができる。
【0044】
また、燃料ポンプ16から吐出されかつ余剰となった燃料を燃料貯留部15に戻す構成としたものである(図1及び図3参照)。したがって、余剰となった燃料が燃料貯留部15に戻されるため、燃料貯留部15内の燃料不足を防止することができる。このため、燃料タンク12内の燃料残量が少なくなったときに、濾過部材24からタンク内燃料が離れたり、接触面積が減少したりしても、燃料貯留部15内の燃料を濾過して燃料ポンプ16に吸入させることができるため、エンジンの運転可能時間を延長することができる。
【0045】
[実施例2]
本発明の実施例2を説明する。本実施例は、前記実施例1に変更を加えたものであるから、その変更部分について説明し、重複する説明は省略する。また、以降の実施例についても、その変更部分について説明し、重複する説明は省略する。なお、図16はフィルタ装置を示す平面図、図17は図16のXVII−XVII線矢視断面図である。
図16及び図17に示すように、本実施例は、前記実施例1(図2及び図3参照)のフィルタ装置14における燃料ポンプ16の搭載構造を変更したものである。すなわち、前記槽壁部材26の前壁部35の上部を前方へ張り出し状に形成し、その前壁部35の後面中央部にポンプ収容部(符号、76を付す)を形成したものである。これにともない、前記実施例1(図2参照)における前壁部35の支持溝44及びその支持溝44に対応するグロメット48が省略されている。本実施例のフィルタ装置14によっても、前記実施例1と同様の作用・効果を得ることができる。
【0046】
[実施例3]
本発明の実施例3を説明する。なお、図18はフィルタ装置を示す平面図、図19は図18のXIX−XIX線矢視断面図、図20は図19のXX−XX線矢視断面図である。
図18〜図20に示すように、本実施例は、前記実施例1(図2及び図3参照)のフィルタ装置14における燃料ポンプ16の搭載構造を変更したものである。すなわち、前記槽壁部材26におけるポンプ収容部40(図2及び図3参照)が省略されている。また、槽壁部材26には、その上面開口を閉鎖する上蓋部78が形成されている。上蓋部78の左右方向の中央部には、前後方向(図18において上下方向)に延びる燃料流入窓79が形成されている。このため、燃料タンク12内の燃料液面が燃料流入窓79より高いときは、燃料タンク12内の燃料が燃料流入窓79から燃料貯留部15へ流入可能となっている。
【0047】
前記上蓋部78の上面には、上面を開口する有底状のポンプ収容部80が燃料流入窓79で左右に分断された状態で形成されている。また、ポンプ収容部80には、燃料ポンプ16が水平状いわゆる横置き状に収容されている。これにより、燃料ポンプ16が、平面視(図18参照)において前記燃料貯留部15内に配置されている。
【0048】
図19に示すように、前記ポンプ収容部80の左端壁81には、吸入管部83が形成されている。吸入管部83の一端部(下流側端部)は、ポンプ収容部80内に突出されており、前記燃料ポンプ16の燃料吸入口17と接続されている。吸入管部83と燃料吸入口17との間にはOリング84が装着されている。また、吸入管部83の他端部(上流側端部)は、前記上蓋部78に対して下面開口状に接続されている。
【0049】
前記濾過部材24の上側の濾材28には、前記実施例1(図2及び図3参照)のL字管状の連結管33に代えて、クランク状の連結管85の一端部(上流側端部)が接続されている。連結管85の他端部(下流側端部)は、前記上蓋部78の吸入管部83の上流側端部と接続されている。吸入管部83と連結管85とにより吸入管部材86が構成されている。
【0050】
図19に示すように、前記ポンプ収容部80の右端壁90(図18参照)には、上面を開口する有底筒状のレギュレータ収容部92が形成されている。レギュレータ収容部92には、プレッシャレギュレータ22が嵌合されかつプレッシャレギュレータ22を抜け止めする抜け止め部材93が装着されている。レギュレータ収容部92の左壁部には、プレッシャレギュレータ22の燃料入口と連通する吐出管部95が形成されている。吐出管部95は、ポンプ収容部80内に突出されており、前記燃料ポンプ16の燃料吐出口18と接続されている。燃料吐出口18と吐出管部95との間にはOリング96が装着されている。
【0051】
前記レギュレータ収容部92の底壁部には、前記プレッシャレギュレータ22のリターン燃料排出口に連通しかつ上蓋部78の下面に開口する還流口98が形成されている。上蓋部78の下側には、還流管部99が形成されている、還流管部99の一端部(上流側端部)は、上蓋部78の還流口98に接続されている、また、還流管部99の他端部(下流側端部)は、前記濾過部材24の上面における連結管85の上流側端部の右側付近に向けられている。また、レギュレータ収容部92の右壁部には、プレッシャレギュレータ22の燃料出口に連通する燃料供給管部100が形成されている。燃料供給管部100の下流側端部には、前記燃料供給配管20(図1参照)の上流側端部が接続されている。
【0052】
前記フィルタ装置14の作用について説明する。エンジンの運転にともない燃料ポンプ16が駆動されると、燃料タンク12内の燃料及び燃料貯留部15内の燃料が濾過部材24で濾過された後、連結管85から吸入管部83を通り、燃料吸入口17から燃料ポンプ16に吸入されかつ昇圧される。燃料ポンプ16の燃料吐出口18から吐出された燃料は、吐出管部95を通り、プレッシャレギュレータ22で調圧された後、燃料供給管部100を通って送給される。また、プレッシャレギュレータ22から排出されるリターン燃料は、還流口98から還流管部99を通って燃料貯留部15の濾過部材24上に還流される。なお、還流管部99を省略し、プレッシャレギュレータ22から排出されるリターン燃料を還流口98から燃料貯留部15へ直接的に還流させてもよい。
【0053】
前記したフィルタ装置14によっても、前記実施例1と同様の作用・効果を得ることができる。また、燃料ポンプ16を、平面視(図18参照)において燃料貯留部15内に配置したものである。したがって、燃料ポンプ16を水平方向に関してコンパクトに配置することができる。
【0054】
[実施例4]
本発明の実施例4を説明する。なお、図21はフィルタ装置を示す平面図、図22は図21のXXII−XXII線矢視断面図である。
図21及び図22に示すように、本実施例は、前記実施例1(図2及び図3参照)のフィルタ装置14における燃料ポンプ16の搭載構造を変更したものである。すなわち、前記槽壁部材26のポンプ収容部40を、その右端壁52が槽壁部材26の右壁部38と同一面状をなすように移動させるとともに、ポンプ収容部40の底面が濾過部材24の下面と同一面状をなすように下方へ移動させたものである。
【0055】
図21に示すように、吸入管(符号、101を付す)の上流部は、前記槽壁部材26の前壁部35の中央下端部に形成された管挿通孔102、及び、濾過部材24の前側面の中央部に形成された管接続口103に挿入されており、濾過部材24の内部空間と連通されている。吸入管101の上流側端部は、濾過部材24の内部空間の中央部に延出されている(図22参照)。濾過部材24の内部空間において、吸入管101の左右両側面には燃料取入口104が開口されている(図22参照)。したがって、本実施例では、吸入管101のみで「吸入管部材」が構成されている。これにともない、前記実施例1(図2及び図3参照)のフィルタ装置14における濾過部材24の連結管33が省略されている。また、吸入管101の上流側端部は、本明細書でいう「吸入管部材の入口部」に相当する。
【0056】
前記吸入管101の下流側端部は、前記燃料ポンプ16の燃料吸入口17に接続されている。また、吸入管101は、前記実施例1(図2参照)の吸入管42と同様、前記ポンプ収容部40の左端壁45に形成されたU字状の支持溝46にグロメット48を介して支持されている。なお、前記実施例1における前壁部35の支持溝44及びその支持溝44に対応するグロメット48が省略されている。また、吐出管50及び吸入管101を支持する支持溝46,53及びそれらの支持溝46,53に対応するグロメット48は、前記実施例1のグロメット48と基本的構成が同じで、上下方向(高さ方向)の寸法が変更されている。
【0057】
本実施例のフィルタ装置14(図21及び図22参照)によっても、前記実施例1と同様の作用・効果を得ることができる。また、燃料ポンプ16の低配置化(図22参照)により、燃料ポンプ16の燃料吸入口17と濾過部材24の内部空間に対する吸入管101の上流側端部の燃料吸入位置とのヘッド差を小さくすることができる。したがって、燃料ポンプ16の燃料吸入力の低下を防止することができる。また、濾過部材24の前側面の中央部の管接続口103に、燃料ポンプ16の燃料吸入口17に連通する吸入管101の入口部を接続したものである。したがって、燃料タンク12内の燃料残量が少なくなったときのエンジンの息つき現象を防止することができる。
【0058】
[実施例5]
本発明の実施例5を説明する。なお、図23はフィルタ装置を示す平面図、図24は図23のXXIV−XXIV線矢視断面図、図25は図23のXXV−XXV線矢視断面図である。
図23及び図24に示すように、本実施例は、前記実施例1(図2及び図3参照)のフィルタ装置14における燃料ポンプ16の搭載構造を変更したものである。すなわち、前記実施例1の槽壁部材26におけるポンプ収容部40が省略されている。また、濾過部材24が槽壁部材26の内周に沿う環状に形成されている。
【0059】
前記濾過部材24には、その中空部を閉鎖する底壁部材108が設けられている。底壁部材108は、例えば樹脂製で、長四角形板状に形成されている。底壁部材108の外周部は、濾過部材24の内周側の溶着部110の下面に接合されている。これにより、濾過部材24に、有底状の燃料溜まり部112が設けられている(図24参照)。燃料溜まり部112の側壁面は、濾過部材24の上側の濾材28の内周面により形成されている。なお、燃料溜まり部112の側壁面を濾過部材24の上側の濾材28の内周面により形成したが、燃料溜まり部112の側壁面の少なくとも一部が濾過部材24の上側の濾材28の内周面により形成されておればよい。また、本実施例の濾過部材24は、平面視(図23参照)において投影面積を増やすことによって、前記実施例1の濾過部材24と同等の濾過面積を確保している。
【0060】
前記底壁部材108の長手方向(左右方向)の中央部には、前後方向に延びる直管状の吸入管部114が形成されている。吸入管部114の両端部は、濾過部材24の対向する内側面の中央部に形成された管接続口115に挿入されており、濾過部材24の内部空間と連通されている(図25参照)。また、吸入管部114の中央部上には、L字管状の接続管部117が形成されている。接続管部117の上端部は、右方へ向けられており、燃料ポンプ16の燃料吸入口17に接続されている(図24参照)。吸入管部114と接続管部117とにより吸入管部材118が構成されている。
【0061】
前記燃料ポンプ16は、前記燃料貯留部15内で濾過部材24の上方に隣接した位置において水平状すなわち横置き状に配置されている。燃料ポンプ16の燃料吐出口18には、吐出管50の上流側端部が接続されている(図24参照)。また、吐出管50は、前記槽壁部材26の右壁部38に形成されたU字状の支持溝120に前記グロメット48を介して支持されている。したがって、燃料ポンプ16は、底壁部材108と吐出管50とによって支持されている。
【0062】
本実施例のフィルタ装置14によっても、前記実施例1と同様の作用・効果を得ることができる。また、燃料ポンプ16を燃料貯留部15内で濾過部材24の上方に隣接した位置に配置したものである(図24参照)。したがって、燃料ポンプ16を燃料貯留部15内にコンパクトに配置することができる。このことは、高さの低い扁平型の燃料タンク12に好適である。
【0063】
また、濾過部材24は、有底状の燃料溜まり部112を備え、燃料溜まり部112の壁面が濾過部材24の上側の濾材28の内周面により形成されている(図24参照)。したがって、濾過部材24の燃料溜まり部112に燃料を溜めるとともに、燃料溜まり部112内の燃料を濾過部材24により濾過して燃料ポンプ16に吸入させることができる。これにより、エンジンの運転可能時間を延長するとともに、燃料タンク12内の燃料残量が少なくなったときのエンジンの息つき現象を防止することができる。
【0064】
また、濾過部材24の内側面の中央部の管接続口115に、燃料ポンプ16の燃料吸入口17に連通する吸入管部材118の入口部を接続したものである(図23及び図25参照)。したがって、燃料タンク12内の燃料残量が少なくなったときのエンジンの息つき現象を防止することができる。
【0065】
また、本実施例の濾過部材24は、平面視(図23参照)においての投影面積を増やすことによって、前記実施例1(図2及び図3参照)の濾過部材24と同等の濾過面積を確保している。したがって、濾過部材24が燃料タンク12内の燃料と接する前後方向の長さ及び左右方向の長さが長くなるため、燃料タンク12内の干上がりに近い状態での燃料に長く接することができ、長期に亘って燃料の吸入状態を継続することができる。
【0066】
[実施例6]
本発明の実施例6を説明する。なお、図26はフィルタ装置を示す平面図、図27は図26のXXVII−XXVII線矢視断面図、図28は図26のXXVIII−XXVIII線矢視断面図である。
図26〜図28に示すように、本実施例は、前記実施例5(図23〜図25参照)のフィルタ装置14における燃料ポンプ16の搭載構造を変更したものである。すなわち、前記実施例5の濾過部材24における底壁部材108が省略されている。また、濾過部材24の内周面には、矩形枠状の縦壁状に形成された内側壁部材122を有している。内側壁部材122は、長尺状の前壁部123及び後壁部124と、短尺状の左壁部125及び右壁部126とを有している。また、前記槽壁部材26は、内側壁部材122に対応する外側壁部材となっている。両側壁部材26,122により濾過部材24上に燃料を貯留する環状の燃料貯留部(符号、128を付す)が形成されている。なお、内側壁部材122に対する濾過部材24の装着構造は、槽壁部材26に対する濾過部材24の装着構造と同様、濾過部材24の内周側の溶着部110を抜け止め状態に装着するようになっている。
【0067】
図27に示すように、前記燃料ポンプ16は、前記内側壁部材122内において低配置化すなわち底部に配置されている。燃料ポンプ16の燃料吐出口18と濾過部材24の内部空間とを連通する吸入管部材130は、例えば樹脂製で、T字管状に形成されている。吸入管部材130は、前後対称状に形成された吸入管部131と、吸入管部131の中央部から右方へ突出された接続管部132とを有している(図26参照)。
【0068】
図28に示すように、前記吸入管部131の両端部は、前記濾過部材24の対向する内側面に形成された管接続口134に挿入され、濾過部材24の内部空間と連通されている。吸入管部131の先端部は右方へ向けてL字状に折れ曲がっており、その先端が濾過部材24の内部空間の左右方向の中央部において開口されている(図26参照)。なお、吸入管部131の上流側端部は、本明細書でいう「吸入管部材の入口部」に相当する。
【0069】
前記吸入管部131は、前記内側壁部材122の前壁部123及び後壁部124に形成された逆U字状の装着溝136に嵌合されている(図28参照)。また、接続管部132は、燃料ポンプ16の燃料吸入口17に接続されている(図27参照)。
【0070】
前記吐出管50は、前記内側壁部材122の右壁部126に沿って立ち上げられている(図27参照)。そして、吐出管50は、内側壁部材122の右壁部126に形成されたU字状の支持溝138にグロメット140を介して支持されている。グロメット140には、支持溝138に嵌合される取付部141、及び、吐出管50を弾性変形を利用して嵌合するC字状の管保持部142が一体形成されている(図26参照)。したがって、燃料ポンプ16は、吸入管部材130と吐出管50とによって支持されている。
【0071】
本実施例のフィルタ装置14によっても、前記実施例5(図23〜図25参照)と同様の作用・効果を得ることができる。また、燃料ポンプ16を燃料貯留部128外に配置したものである。したがって、燃料貯留部128内に燃料ポンプ16を配置する場合と比べて、燃料貯留部128に貯留する燃料量の減少を回避することができる。
【0072】
また、燃料ポンプ16を、平面視(図26参照)において濾過部材24の内側方に隣接した位置に配置したものである。したがって、燃料ポンプ16を水平方向に関してコンパクトに配置することができる。
【0073】
また、燃料ポンプ16の低配置化により、燃料ポンプ16の燃料吸入口17と濾過部材24の内部空間に対する吸入管101の上流側端部の燃料吸入位置とのヘッド差を小さくすることができる。したがって、燃料ポンプ16の燃料に対する吸入力の低下を防止することができる。
【0074】
[実施例7]
本発明の実施例7を説明する。なお、図29はフィルタ装置を示す平面図、図30は図29のXXX−XXX線矢視断面図、図31は図29のXXXI−XXXI線矢視断面図である。
図29〜図31に示すように、本実施例は、前記実施例6(図26〜図28参照)のフィルタ装置14における燃料ポンプ16の搭載構造を変更したものである。すなわち、前記実施例6における燃料ポンプ16を、燃料吐出口18側を上方へ持ち上げることで傾斜状に配置している(図30参照)。これにともない、吐出管50は、内側壁部材122の右壁部126に形成されたU字状の支持溝144にグロメット146を介して傾斜状に支持されている。なお、グロメット146は、前記実施例1のグロメット48と基本的構成が同じで、吐出管50を傾斜状に支持する構成となっている。
【0075】
前記吸入管部材130の吸入管部(符号、148を付す)が、直管状に形成されており、前記内側壁部材122の左右方向の中央部に配置されている(図29参照)。また、前記濾過部材24の内部空間において、吸入管部148の左右両側面には燃料取入口149が開口されている(図31参照)。
【0076】
本実施例のフィルタ装置14によっても、前記実施例6と同様の作用・効果を得ることができる。また、燃料ポンプ16を傾斜状に配置したものである(図30参照)。したがって、燃料ポンプ16を垂直状いわゆる縦置き状に配置する場合と比べて、燃料ポンプ16を上下方向(高さ方向)に関してコンパクトに配置することができる。このことは、高さの低い扁平型の燃料タンク12に好適である。
【0077】
本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更が可能である。
【符号の説明】
【0078】
10…燃料供給装置
12…燃料タンク
14…フィルタ装置
15…燃料貯留部
16…燃料ポンプ
17…燃料吸入口
22…プレッシャレギュレータ
24…濾過部材
26…槽壁部材
43…吸入管部材
86…吸入管部材
101…吸入管(吸入管部材)
106…吸入管部材
112…燃料溜まり部
118…吸入管部材
128…燃料貯留部
130…吸入管部材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料タンク内に配置された燃料ポンプの燃料吸入口に接続されかつ燃料ポンプに吸入される燃料に含まれる異物を除去する袋状の濾過部材と、前記濾過部材上に燃料を貯留する燃料貯留部を形成する槽壁部材とを備えたことを特徴とするフィルタ装置。
【請求項2】
請求項1に記載のフィルタ装置であって、
前記燃料ポンプを前記燃料貯留部外に配置したことを特徴とするフィルタ装置。
【請求項3】
請求項2に記載のフィルタ装置であって、
前記燃料ポンプを、平面視において前記濾過部材の側方に隣接した位置に配置したことを特徴とするフィルタ装置。
【請求項4】
請求項2に記載のフィルタ装置であって、
前記燃料ポンプを、平面視において前記燃料貯留部内に配置したことを特徴とするフィルタ装置。
【請求項5】
請求項1に記載のフィルタ装置であって、
前記燃料ポンプを前記燃料貯留部内で濾過部材の上方に隣接した位置に配置したことを特徴とするフィルタ装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1つに記載のフィルタ装置であって、
前記燃料ポンプを水平状又は傾斜状に配置したことを特徴とするフィルタ装置。
【請求項7】
請求項1〜5のいずれか1つに記載のフィルタ装置であって、
前記濾過部材は、有底状の燃料溜まり部を備え、
前記燃料溜まり部の壁面の少なくとも一部が前記濾過部材の側面により形成されている
ことを特徴とするフィルタ装置。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1つに記載のフィルタ装置であって、
前記濾過部材の上面又は側面の中央部に、前記燃料ポンプの燃料吸入口に連通する吸入管部材の入口部を接続したことを特徴とするフィルタ装置。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1つに記載のフィルタ装置であって、
前記燃料ポンプから吐出されかつ余剰となった燃料を前記燃料貯留部に戻す構成としたことを特徴とするフィルタ装置。
【請求項1】
燃料タンク内に配置された燃料ポンプの燃料吸入口に接続されかつ燃料ポンプに吸入される燃料に含まれる異物を除去する袋状の濾過部材と、前記濾過部材上に燃料を貯留する燃料貯留部を形成する槽壁部材とを備えたことを特徴とするフィルタ装置。
【請求項2】
請求項1に記載のフィルタ装置であって、
前記燃料ポンプを前記燃料貯留部外に配置したことを特徴とするフィルタ装置。
【請求項3】
請求項2に記載のフィルタ装置であって、
前記燃料ポンプを、平面視において前記濾過部材の側方に隣接した位置に配置したことを特徴とするフィルタ装置。
【請求項4】
請求項2に記載のフィルタ装置であって、
前記燃料ポンプを、平面視において前記燃料貯留部内に配置したことを特徴とするフィルタ装置。
【請求項5】
請求項1に記載のフィルタ装置であって、
前記燃料ポンプを前記燃料貯留部内で濾過部材の上方に隣接した位置に配置したことを特徴とするフィルタ装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1つに記載のフィルタ装置であって、
前記燃料ポンプを水平状又は傾斜状に配置したことを特徴とするフィルタ装置。
【請求項7】
請求項1〜5のいずれか1つに記載のフィルタ装置であって、
前記濾過部材は、有底状の燃料溜まり部を備え、
前記燃料溜まり部の壁面の少なくとも一部が前記濾過部材の側面により形成されている
ことを特徴とするフィルタ装置。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1つに記載のフィルタ装置であって、
前記濾過部材の上面又は側面の中央部に、前記燃料ポンプの燃料吸入口に連通する吸入管部材の入口部を接続したことを特徴とするフィルタ装置。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1つに記載のフィルタ装置であって、
前記燃料ポンプから吐出されかつ余剰となった燃料を前記燃料貯留部に戻す構成としたことを特徴とするフィルタ装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【公開番号】特開2011−117376(P2011−117376A)
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−276087(P2009−276087)
【出願日】平成21年12月4日(2009.12.4)
【出願人】(000116574)愛三工業株式会社 (1,018)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年12月4日(2009.12.4)
【出願人】(000116574)愛三工業株式会社 (1,018)
【Fターム(参考)】
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