説明

フィルム処理装置

【課題】その課題は、部品点数を少なくして製造コストを安価にし、さらに、フィルムの乳剤面が反転せずにフィルムスキャナー側にフィルムを受渡し可能なフィルム処理装置を提供することである。
【解決手段】現像処理と画像データ取得処理とを連続可能にすべくフィルムプロセッサFPとフィルムスキャナーFSを配置し、フィルムプロセッサFPから排出された現像済写真フィルムFを巻き取る巻取手段38と、巻取手段38で巻き取られた現像済写真フィルムFを当該フィルム後端からフィルムスキャナーFSのフィルム挿入側に送り出す送り出し機構とを備えることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、未現像写真フィルムの現像処理を行なうフィルムプロセッサと、このフィルムプロセッサにより処理された現像済写真フィルムのコマ画像をデジタル画像データとして取得するためのフィルムスキャナーを備えたフィルム処理装置であって、特に、現像処理と画像データ取得処理とを連続可能にすべくフィルムプロセッサとフィルムスキャナーを配置し、フィルムプロセッサから排出された現像済写真フィルムの後端部分をフィルムスキャナーのフィルム挿入側に送り出す機構を備えるフィルム処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
かかるフィルム処理装置の一例として、下記特許文献1に開示される写真感光材料処理装置が公知である。この装置は、未現像写真フィルムの現像処理を行なうフィルムプロセッサと、現像済写真フィルムのコマ画像をデジタル画像データとして取得するためのフィルムスキャナーとを結合して一体化したシステムとして構成されている。
また、フィルムプロセッサにおいて写真フィルムの現像処理を行う場合には、写真フィルムの先端にフィルムリーダと呼ばれる案内部材を取り付け、写真フィルムはこのフィルムリーダによりフィルムプロセッサ内の各部を移動する。写真フィルムの現像処理及び乾燥処理が終了すると、写真フィルムはフィルムプロセッサから排出されて、まず写真フィルムとフィルムリーダを分離するために写真フィルムの先端部をカットする。フィルムリーダは所定の場所に回収され、現像済写真フィルムは、搬送方向切り換え機構によって、その搬送先が制御され、例えば、フィルムスキャナーに受け渡され、各コマ画像のスキャニングが行われる。
【0003】
また、他の一例として、図13に示すフィルムプロセッサFPとフィルムスキャナーFSを一体化したフィルム処理装置がある。このフィルム処理装置は、フィルムプロセッサFPの排出部114に排出された現像済写真フィルムFを搬送ユニットAの搬送ローラ対142,143にてチャッカーCまで搬送し、カッター146でフィルムリーダLを切り離した後、フィルム先端部分をローラ対152,153で挟持したチャッカーCによって、フィルムスキャナーFSのフィルム搬送経路121Aまでフィルム先端部分を移動させ、フィルム搬送経路121Aのローラ機構121Bによって、フィルムFをフィルムスキャナーFSに挿入するように構成されている。
【0004】
【特許文献1】特開平11−234476号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記構成のフィルム処理装置の場合、搬送ユニットAやチャッカーC等を含むフィルム供給装置が複雑な機構となり、製造コストが高いという問題があった。
【0006】
また、フィルム供給装置からの挿入方向と、フィルムスキャナーFSを単独で使用する場合に手動でフィルムを挿入する方向を一致するように構成したフィルム処理装置では、チャッカーCがフィルム搬送経路121AにフィルムFを受け渡す場合に、チャッカーCの回転によって、フィルムFの乳剤面が反転してしまい、その結果、フィルムスキャナーFSで読み取られた画像データを画像処理する必要があり、処理効率が悪くなるとともに、画像品質に影響がでる可能性があり問題であった。
【0007】
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであり、その課題は、部品点数を少なくして製造コストを安価にし、さらに、フィルムの乳剤面が反転せずにフィルムスキャナー側にフィルムを受渡し可能なフィルム処理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため本発明に係るフィルム処理装置は、
未現像写真フィルムの現像処理を行なうフィルムプロセッサと、このフィルムプロセッサにより処理された現像済写真フィルムのコマ画像をデジタル画像データとして取得するためのフィルムスキャナーを備えたフィルム処理装置であって、
現像処理と画像データ取得処理とを連続可能にすべくフィルムプロセッサとフィルムスキャナーを配置し、
フィルムプロセッサから排出された現像済写真フィルムを巻き取る巻取手段と、
前記巻取手段で巻き取られた現像済写真フィルムを当該フィルム後端からフィルムスキャナーのフィルム挿入側に送り出す送り出し機構と、備えることを特徴とする。
【0009】
この構成によるフィルム処理装置の作用・効果を説明する。フィルム処理装置は、未現像写真フィルムの現像処理を行なうフィルムプロセッサと、このフィルムプロセッサにより処理された現像済写真フィルムのコマ画像をデジタル画像データとして取得するためのフィルムスキャナーを備える。そして、現像処理と画像データ取得処理とを連続可能にすべくフィルムプロセッサとフィルムスキャナーが配置される。フィルムプロセッサから排出された現像済写真フィルムを巻き取る巻取手段と、巻取手段で巻き取られた現像済写真フィルムを当該フィルム後端からフィルムスキャナーのフィルム挿入側に送り出す送り出し機構とを備える。
【0010】
この構成により、部品点数を少なくして製造コストを安価にし、さらに、フィルムの乳剤面が反転せずにフィルムスキャナー側にフィルムを受渡し可能となる。また、フィルムプロセッサから排出された写真フィルムを巻取手段で巻き取ることで、フィルムスキャナーのフィルム挿入側にスペース(自由空間)を確保できる。このスペースが大きいほど、手動で現像済写真フィルムをスキャナーに挿入する際に、手動操作の操作性が向上するので好ましい。
【0011】
また、本発明の好適な実施態様として、送り出し機構は、
巻取手段を移動する巻取手段移動手段を有することを特徴とする。
【0012】
この構成によれば、送り出し機構は、巻取手段を移動する巻取手段移動手段を有して構成される。また、巻取手段移動手段は、現像済フィルムを所定長さ巻き取った後、所定の軸を中心に所定角度回転し、フィルム挿入側に移動することが好ましい。これにより、巻取手段を移動させる機構を簡単に構成できる。
【0013】
また、他の実施態様として、送り出し機構は、
巻取手段から送り出される現像済写真フィルムをフィルムスキャナーのフィルム挿入側に搬送する自動挿入経路と、手動でスキャン処理する場合に現像済写真フィルムをフィルムスキャナーのフィルム挿入側に搬送する手動挿入経路とに切り換え自在な搬送路切換手段を有することを特徴とする。
【0014】
この構成によれば、送り出し機構は、巻取手段から送り出される現像済写真フィルムをフィルムスキャナーのフィルム挿入側に搬送する自動挿入経路と、手動でスキャン処理する場合に現像済写真フィルムをフィルムスキャナーのフィルム挿入側に搬送する手動挿入経路とに切り換え自在な搬送路切換手段を有して構成される。また、送り出し機構は、写真フィルムの搬送方向に沿って案内するガイド部と、写真フィルムを搬送するための搬送ローラ対を有することが好ましい。
【0015】
これにより、搬送路切換手段は、現像済写真フィルムをフィルムスキャナーのフィルム挿入側に搬送する場合に、自動挿入経路を構成するように経路を切り換え、また、手動でスキャン処理させる場合に現像済写真フィルムを排出する場合に、フィルムスキャナーのフィルム挿入側に搬送する手動搬送経路を構成するように経路を切り換えることができる。
【0016】
また、搬送路切換手段は、スキャン処理後の現像済写真フィルムを排出する排出経路を構成するように経路を切り換えることが好ましい。
【0017】
これにより、搬送路切換手段は、スキャン処理後の現像済写真フィルムを排出する場合に、排出経路を構成するように経路を切り換えることができる。
【0018】
上記実施態様において、フィルムプロセッサから排出された現像済写真フィルムをフィルムスキャナーに供給する供給位置と、当該現像済写真フィルムをフィルムスキャナーに供給せずにフィルム収納部に送り出す排出位置とに切り換え自在な案内ガイド手段を、さらに備えることが好ましい。
【0019】
この構成によれば、現像処理とスキャン処理を連続して処理する場合に、案内ガイド手段を供給位置にセットし、スキャン処理を連続して処理せずに現像済写真フィルムを排出する場合に案内ガイド手段を排出位置にセットすることができる。例えば、スキャン処理中である場合、案内ガイド手段を排出位置にセットし、フィルムスキャナー側に自動供給しないように構成できる。
【0020】
上記実施態様において、現像済写真フィルムの先端に取り付けたフィルムリーダを切り離すカッターと、切り離されたフィルムリーダをリーダ排出部に搬送する搬送経路をさらに構成することを特徴とする。この構成によれば、写真フィルムから切り離したフィルムリーダを適切にリーダ排出部に案内できるので好ましい。
【0021】
なお、本発明において、フィルムスキャナーでのスキャン処理は、プレスキャンと本スキャンと称される2種類のスキャン処理が実行される。プレスキャン処理では、写真フィルムをスキャン処理した後、写真フィルムを巻取りユニットで巻き取り、この巻取りユニットから写真フィルムを引き出して、プレスキャン処理でのフィルム搬送方向とは逆方向にフィルムを搬送させて本スキャン処理が行われる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本発明に係るフィルム処理装置の好適な実施形態を図面を用いて説明する。図1は、フィルムプロセッサFPとフィルムスキャナーFSで構成されるフィルム処理装置FAと、プリント作成装置PAを有するプリント処理システム1全体の外観構成を示す図である。なお、プリント処理システム1は、その他の装置(例えば、注文者用受付端末、記録媒体への書き込み・読み取り装置、インターネット受け付け可能なPC端末等)を有するように構成できる。
【0023】
[システムの全体構成]
図1において、フィルム処理装置FAは、未現像写真フィルムの現像処理を行なうフィルムプロセッサFPと、このフィルムプロセッサFPにより現像処理された現像済写真フィルムのコマ画像を光電変換によりデジタルの画像データとして取得するためのフィルムスキャナーFSとを上下位置に配置する。そして、フィルム処理装置FAは、フィルムプロセッサFPの排出部から排出された現像済写真フィルムをフィルムスキャナーFSの供給部へ搬送するための搬送機構を備えている。
【0024】
このフィルム処理装置FAは、通信回線を介してプリント作成装置PAに接続される。プリント作成装置PAは、通信機能、オーダー管理・制御機能、画像処理機能、プリント作成機能を有し、コンピュータ、ディスプレイ等の表示手段、キーボード、マウス等のインターフェースとを備えている。この構成によりフィルム処理装置FAで取得した画像データは、通信回線を介してプリント作成装置PAに伝送され、このプリント作成装置PAにより印画紙等のプリント媒体に画像がプリントされる。オーダー管理・制御は、画像データをオーダー単位で管理し、プリント作成の順序を設定できるように構成される。
【0025】
なお、プリント作成装置PAは銀塩式の印画紙を使用するものに限定されず、インクジェット型、昇華型のプリント作成装置を用いてもよい。
【0026】
本発明において、フィルムプロセッサFPにより現像処理される前の写真フィルム(コマ画像が潜像状態のもの)を特に未現像写真フィルムと称し、フィルムプロセッサFPにより現像処理された後の写真フィルム(コマ画像が顕在化したもの)を特に現像済写真フィルムと称することがある。
【0027】
[フィルムプロセッサ]
フィルムプロセッサFPは、図1、2に示すように、プロセッサ本体の前部にフィルム挿入部11を配置し、プロセッサ本体内部に現像処理部12、乾燥処理部13とを備え、プロセッサ本体の後部に排出部14を配置し、フィルム挿入部11から排出部14にわたって搬送機構15を形成している。プロセッサ本体の前部位置には各種情報を表示する液晶ディスプレイ16aと複数の操作ボタン16bを有したコントロールパネル16を備え、プロセッサ本体内部にフィルムプロセッサFP全体の制御を実現する制御ユニット17を備える。プロセッサ本体の上面には、排出部14から送りだされる現像済写真フィルムを受け止めるフィルムストッカー18が形成されている。
【0028】
フィルム挿入部11には、開閉自在な蓋体11aを備え、フィルムカートリッジCa(もしくはパトローネ)に収容されたロール状の未現像写真フィルムをセットし、搬送機構15に受け渡す作動系(フィルム駆動機構11e)と、写真フィルムの後端を切断する切断ユニット11bを備える。
【0029】
また、写真フィルムの長さの情報を得るために、搬送機構15によって搬送される写真フィルムの先端及び後端の通過を検出するローディングセンサー11c(フィルム位置検出センサーに相当)を備える。ローディングセンサー11cは、例えば、一対の光学式センサー(受光式、投光式)、反射型センサー、レーザセンサー、その他の近接センサー、イメージセンサー等で構成できるが、一対の光学式センサー(受光式、投光式)が好ましい。このローディングセンサー11cは、フィルム先端位置(もしくはフィルムリーダの先端位置)とフィルム後端位置を検出することができる。これら検出された先端位置と後端位置情報に基づいて、写真フィルムの長さ情報を演算することができる。
【0030】
APSフィルムの現像処理の場合、カートリッジCaから引き出した写真フィルムの先端にフィルムリーダLを取り付け、蓋体11aを開放して、このフィルムリーダLが先行するようにフィルム挿入部11にカートリッジCaをセットする。写真フィルムFとフィルムリーダLとを接続した状態を図3に示す。フィルムリーダLは、樹脂製のフィルムと同程度の柔軟性を持つシート状部材であり、写真フィルムFよりも大きな幅寸法を有する。フィルムリーダLには、多数のパーフォレーションLaが形成されており、このパーフォレーションLaと噛み合うスプロケットにより、写真フィルムFはフィルムプロセッサFP内を搬送される。かかるパーフォレーションLaを設けることで、フィルムプロセッサFP内をすべりが生じることなく確実に写真フィルムを案内することができる。
【0031】
パーフォレーションLaは、好ましくは、図示のようにフィルムリーダLの幅方向の片側端部(図3参照)に形成されるが、両側端部に形成されていてもよい。写真フィルムFとフィルムリーダLとの連結は、図3(a)に示すように、フィルムリーダLに形成された係合突起を写真フィルムFに形成された孔に挿入することで連結してもよいし、図3(b)に示すように、粘着テープTにより写真フィルムFの先端部とフィルムリーダLとを連結してもよい。使用されるフィルムリーダLの形状・大きさは予め決まっている。また、フィルムリーダLと写真フィルムFの連結は治具を用いて行なうため、フィルムリーダLに対する写真フィルムFの連結位置(貼り付け位置)も予め決まっている。
【0032】
フィルムリーダL付きの写真フィルムFをセットして、蓋体11aを閉じた後、コントロールパネル16の所定の操作ボタン16bを操作することで制御ユニット17の制御によってフィルム搬送(ローディング)が開始され、現像処理部12での現像処理と、乾燥処理部13での乾燥処理の後に排出部14からフィルムリーダLを先頭にして写真フィルムが排出される。この場合、カートリッジ検出手段11dがカートリッジCaを検出して、次いで、蓋体11aを閉じると、ローディングが開始され、写真フィルムFが搬送開始される。
【0033】
制御ユニット17は、ローディングを開始するようにフィルムプロセッサFPの各要素を制御する。フィルム駆動機構11eが、フィルムリーダL及び写真フィルムFを圧着ローラで狭持しながら現像処理部12まで搬送し、ローディングセンサー11cが搬送されてきたフィルムリーダL及び写真フィルムの先端を検出すると、現像処理部12及び乾燥処理部13の搬送機構15が駆動され、フィルムリーダL及び写真フィルムを圧着ローラで挟持して、現像処理部側に搬送する。ここで、フィルム駆動機構11eと搬送機構15は、別駆動で動作する。なお、フィルムプロセッサFPでの「ローディング」とは、フィルムカートリッジCaから写真フィルムがフィルム駆動機構11eによって引き出され、現像処理部12に搬送される動作を意味する。
【0034】
現像処理部12は、発色現像槽、漂白槽、定着槽、安定槽を有し、現像処理部12内部において搬送機構15は、フィルムリーダL及び写真フィルムを搬送するためフィルムリーダLのパーフォレーションLaと係合する複数のスプロケット機構と圧着ローラ機構15aを備えている。また、乾燥処理部13は、現像処理部12から搬送されてきた写真フィルムを乾燥するブロワ13aを備える。同様に、乾燥処理部13にも上記スプロケット機構と圧着ローラ機構が備えられている。搬送機構15は、スプロケット機構と圧着ローラ機構15aと、これらを電動モータ(不図示)で同期駆動する駆動系を備えている。
【0035】
排出部14には、現像済写真フィルムをフィルムプロセッサFPから排出するための排出ローラ15bが設けられている。排出ローラ15bにより排出された写真フィルムは、搬送ユニットFCに受け渡されフィルムスキャナーFSへと搬送されることになる。
【0036】
フィルムスキャナーFSは、図1,2に示すように、スキャナー本体の下部にフィルムキャリア21を配置し、このフィルムキャリア21の下側に光源ユニット22を、フィルムキャリア21の上側にズームレンズ23と光電変換ユニット24とを配置している。スキャナー本体の内部にスキャナー制御部25(制御ユニット)を配置している。フィルムスキャナーFSは、フィルムプロセッサFPに固定されており、排出部14の排出ブロック上部位置に配置されている。
【0037】
フィルムキャリア21は、フィルムプロセッサFPの前部と同じ方向に現像済写真フィルムの供給部21aを形成し、この供給部21aからフィルムを後部側に搬送しながらスキャニングを行えるように構成される。なお、フィルムキャリア21に写真フィルムを送り出す前に、搬送ユニットFCにおいて写真フィルムからフィルムリーダLを切り離す処理がなされる。また、フィルムキャリア21は、搬送ローラ21bを駆動する搬送モータ(不図示)を備える。
【0038】
光源ユニット22は、R(赤)、G(緑)、B(青)の3原色の発光ダイオード(不図示)を有し、ズームレンズ23は、焦点距離の調節によって、写真フィルムのコマの情報を設定された拡大率で光電変換ユニット24の光電変換面に結像させる。この光電変換ユニット24は、R(赤)、G(緑)、B(青)の3原色に対応してCCD等の光電変換素子でなる3つのラインセンサ(不図示)を備える。
【0039】
[搬送機構の構成]
(搬送機構の実施形態1)
次に、フィルムプロセッサFPから排出された現像済写真フィルムをフィルムスキャナーFSへ搬送するための搬送機構について図4により説明する。図4に示すように、フィルムプロセッサFPの排出部14には、排出ローラ15bが設けられている。
【0040】
搬送機構は、フィルムを搬送する機能を提供する搬送ユニットFCを有する。搬送ユニットFCは、第1位置(供給位置に相当する)と第2位置(排出位置に相当する)とに切り換え自在な案内ガイド部30(案内ガイド手段に相当する)を備えている。案内ガイド部30は、所定の軸芯周りに回転可能に軸支されている。案内ガイド部30は、搬送すべき写真フィルムの幅寸法に対応したガイド部を備えており、図4に示す第1位置と想像線で示す第2位置との間をガイド切換ソレノイド(不図示)によりいずれかの位置に切り換えられる。第1位置にセットされているときは、写真フィルムをフィルムスキャナーFSの方向に導くことができる。第2位置にセットしているときは、写真フィルムはフィルムストッカー18に排出される。案内ガイド部30には、切り換え位置を検出するガイド切り換えセンサー30aが設置され、第1位置と第2位置との切り換えを検出する。
【0041】
また、搬送ユニットFCには、搬送経路に沿って、搬送ローラ対32からなるローラ搬送機構が設けられている。搬送ローラ対32は、駆動ローラと圧着ローラにより構成され、第1駆動モータM1により駆動される。搬送ローラ対32の下流側近傍に第1フィルムセンサー33とリーダセンサー34が設けられている。これらのセンサーは、発光素子と受光素子からなる光センサーであり、写真フィルムやフィルムリーダがセンサー位置を通過すると、透光状態から遮光状態に切り換わることで検出を行う。第1フィルムセンサー33とリーダセンサー34は、図4の紙面に直交する方向から見ると同じ位置に配置されているが、幅方向において異なる位置に配置されており、写真フィルムとフィルムリーダを別々に検出することができる。
【0042】
第1フィルムセンサー33とリーダセンサー34の更に下流側には、写真フィルムとフィルムリーダを切り離すためのカッター35が設けられており、カットモータ(不図示)により駆動される。カットされたフィルムリーダLは所定の収納部に回収される。この際、ガイド部37が所定の支点37aを中心に所定位置まで回転し、フィルムリーダLを所定の収納部に案内するように作用する。なお、ガイド部37における所定位置(原位置)と回転後の所定位置(例えば、水平位置)を検出するセンサ(近接センサ等)を設けて各位置を検出してもよく、回転駆動系においてロータリーエンコーダ等で回転角度を検出して位置検出し停止位置を決定してもよい。
【0043】
なお、カッター35のすぐ下流側には、第2フィルムセンサーを設け、フィルムリーダLの先端や写真フィルムの先端を検出するように構成してもよい。さらに、第2フィルムセンサーの下流側に搬送ローラ対を設け、フィルム搬送できるように構成してもよい。
【0044】
ガイド部37の下流側には、現像済写真フィルムを巻き取る巻取手段38が配置される。巻取手段38は、ガイド部37の下流側に位置する搬送ローラ対38aを有し、駆動モータ(不図示)で駆動される。搬送ローラ対38aは、搬送ローラ対32の回転速度と同期する。
【0045】
(巻取手段)
巻取手段38は、公知の巻き取り装置(以下で、巻取りユニットと称することもある)が適用できるが、その一例を図5A、図5Bを用いて以下に説明する。
【0046】
図5Aに示すように、巻取りユニット1000の基体1112にはフィルムを直接巻き取る巻取りローラ1114が回転自在に取り付けられる。巻取りローラ1114には2つのゴムローラ1116が焼き付けられる。ゴムローラ1116はたとえばウレタンゴムで形成される。巻取りローラ1114の回転軸にはギヤ1120が取り付けられる。図示しない駆動源の動力が駆動ギヤ1122を介してギヤ1120に伝達されることによって、巻取りローラ1114が回転駆動される。
【0047】
また、図5Bに示すように、基体1112には、フィルムを巻取りローラ1114の中心方向に押圧する押圧手段として、圧着アーム1124、ガイドアーム1126および巻取りガイド1128が揺動自在に取り付けられる。さらに、基体1112にはガイド1130が取り付けられ、圧着アーム1124、ガイドアーム1126、巻取りガイド1128およびガイド1130は巻取りローラ1114を囲むように配置される。
【0048】
圧着アーム1124は、基体1112に支持される支持軸1132で揺動自在に支持され、図示しないバネによって圧着アーム1124の先端部が巻取りローラ1114の中心方向に付勢されるように設けられる。これによって、圧着アーム1124の先端部に回動自在に設けられる圧着ローラ1134が巻取りローラ1114の中心方向に押圧され、フィルムが、巻取りローラ1114またはフィルムのすでに巻取りローラ1114に巻き取られている部分に圧着される。また、フィルムがスムーズに搬送されるように、圧着アーム1124にローラ1138が設けられ、支持軸1132にローラ1136が設けられる。
【0049】
ガイドアーム1126は、基体1112に支持される支持軸1140で揺動自在に支持され、図示しないバネによってガイドアーム1126の先端部が巻取りローラ1114の中心方向に付勢されるように設けられる。これによって、ガイドアーム1126の先端部に回動自在に設けられる圧着ローラ1142が巻取りローラ1114の中心方向に押圧され、フィルムが、巻取りローラ1114またはフィルムのすでに巻取りローラ1114に巻き取られている部分に圧着される。フィルムは、圧着ローラ1142とローラ1136との間から巻取りユニット1000内に挿入される。
【0050】
また、巻取りガイド1128は、基体1112に支持される支持軸1144で揺動自在に支持され、図示しないバネによって巻取りアーム1128の先端部が巻取りローラ1114の中心方向に付勢されるように設けられる。これによって、巻取りアーム1128の先端部に回動自在に設けられる圧着ローラ1146が巻取りローラ1114の中心方向に押圧され、フィルムが、巻取りローラ1114またはフィルムのすでに巻取りローラ1114に巻き取られている部分に圧着される。また、支持軸1144にはローラ1148が設けられる。
【0051】
巻取りユニット1000では、フィルムは、搬送ローラ対38aによって搬送され、ガイドアーム1126の圧着ローラ1142と圧着アーム1124のローラ1136との間から巻取りユニット1000内に挿入される。巻取りユニット1000内に挿入されたフィルムの先端部は、まず圧着ローラ1134によって巻取りローラ1114に押圧され、つぎにガイド1130や巻取りガイド1128に沿って搬送され、圧着ローラ1146によって再び巻取りローラ1114に押圧される。そしてさらに、フィルムの先端部は圧着ローラ1142によって巻取りローラ1114に押圧され、巻取りローラ1114に巻き付けられる。フィルムの先端部が巻取りローラ1114に巻き付けられると、フィルムは巻取りローラ1114の回転に応じて巻き取られる。
【0052】
巻き取られた写真フィルムを引き出す場合は、巻き取り方向と逆方向に巻取りローラ1114が回転駆動される。この際、圧着ローラ1134、1146、1142の巻取りローラ1114に対する押圧作用を例えば、開放するように構成してもよく、引き出しの際に写真フィルムが蛇行して端部が損傷しないように押圧力を制御するように構成してもよい。
【0053】
この構成の巻取りユニット1000(本発明の巻取手段の一例である)によれば、フィルムの先端部がスムーズにターンされ巻き付けでき、フィルムのたるみが生じにくく、フィルム詰まりが発生しにくい。また、フィルムは蛇行せずにきれいに巻き取られ、フィルムの搬送性が向上する。
【0054】
フィルムリーダが切り離された後の写真フィルムは、ガイド部37を介して、搬送ローラ対38aで送り出され、巻取手段38によって巻き取られる。この際、搬送ローラ対38aと巻取手段38の巻き取り用駆動モータ(不図示)は同期駆動される。
【0055】
そして、写真フィルム後端部分が、所定位置(例えば、ガイド部37の下流側から排出されたフィルム後端部分を搬送ローラ対38aが挟持している状態の位置)で停止するように、搬送ローラ対32、38a、及び巻き取り用駆動モータが停止され、巻き取り動作を停止する。この停止のタイミングは、フィルム先端が第1フィルムセンサー33に検出されてからのカウント値(経過時間)と、フィルム長さ、搬送速度、フィルムリーダの切り離し動作期間によって演算することができる。これはフィルム搬送制御部70の機能による。
【0056】
巻き取り動作停止後、巻取手段38及び搬送ローラ対38aは、所定の支点(軸芯)を中心に駆動モータ41の駆動によって不図示のガイド機構に沿って回転移動し、フィルムスキャナーFSのフィルム挿入側で停止する。巻取手段検出センサー40は、巻取手段38が原位置に存在する否かを検出する。なお、巻取手段38がフィルムスキャナーFSのフィルム挿入側の所定位置に存在する否かを検出するフィルム挿入側検出センサーを設けるように構成してもよい。巻取手段検出センサー40、フィルム挿入側検出センサーは、近接センサー、光センサー等で構成できる。フィルムの搬送動作、巻き取り動作、巻き取り手段38の回転移動動作は、後述するフィルム搬送制御部70の制御機能による。駆動モータ41、ガイド機構、巻取手段検出センサー40は、巻取手段移動手段の機能を提供する。
【0057】
スキャン処理する場合、巻取手段38が停止後、フィルム挿入ガイド60内に写真フィルムがその後端から送り込まれることになる。これによって、乳剤面を反転させることなく写真フィルムをフィルムスキャナーFSに挿入可能となる。また、巻取手段38によって、写真フィルムを巻き取ることにより、フィルムの損傷を抑えられ画質低下を防止できる。
【0058】
フィルムプロセッサFPにより現像処理された写真フィルムは、搬送ユニットFC等の搬送機構を介して自動的にフィルムスキャナーFSに送り込まれるが、手動でフィルムスキャナーFSに写真フィルムを供給することもできる。この場合は、手動で写真フィルムをフィルム挿入ガイド60を介して供給部21aから供給する。例えば、焼き増しプリントの依頼で写真フィルムの現像処理を行わない場合は、手動で写真フィルムをフィルムスキャナーFSに供給する。
【0059】
フィルムスキャナーFSには、搬送経路に沿って搬送ローラ21bが配置されており、その途中に読み取り用の開口部21cが設けられる。この開口部21cの位置に読み取り光軸SLが設定される。
【0060】
供給部21aには、ローディングセンサー26が設けられており、写真フィルムの先端が搬送されてきたことを検出する。この検出に基づいて、各搬送ローラ21bを回転させるための駆動モータを駆動する。
【0061】
また、ローディングセンサー26とは別にレディセンサー27が設けられており、このレディセンサー27による検出タイミングを基準として、写真フィルムの画像スキャニング開始が制御される。
【0062】
[搬送機構の実施形態1における制御ブロック構成]
図6の制御ブロック図により、上記実施形態1の搬送機構を備えるフィルム処理装置FAの制御機能について説明する。まず、フィルムプロセッサFPの制御ユニット17の主要な機能を説明する。フィルム端部検出部17aは、ローディングセンサー11cによる検出信号に基づいて、写真フィルム(フィルムリーダ)の先端位置及び後端位置を検出する。フィルム長さ演算部17bは、フィルム端部検出部17aにより検出された先端位置と後端位置の情報に基づいて、写真フィルムの長さを演算する。実際にローディングセンサー11cにより検出されるのはフィルムリーダの先端であるが、フィルムリーダの大きさは予め分かっているため、その分を差し引くことで写真フィルムの長さを演算することができる。通信制御部17cは、搬送ユニットFCやフィルムスキャナーFSとの通信を行う機能を有する。
【0063】
フィルム位置演算部17dは、写真フィルムの先端位置情報に基づいて、現像済写真フィルムが搬送ユニットFC内に送り込まれてくるタイミングを演算する。具体的には、排出ローラ15bから所定距離の位置に写真フィルム先端が到達したことを検出する。カウント部17eは、ローディングセンサー11cにより先端が検出された時点から予め設定された所定時間をカウントする。所定時間をカウント終了した時点で、写真フィルムの先端が排出ローラ15bから所定距離の位置に到達していることになる。なお、時間をカウントするのではなく、搬送機構15による搬送量をカウントするように構成してもよい。
【0064】
フィルム搬送制御部70は、搬送ユニットFC内を搬送される写真フィルムの搬送・停止、巻取手段38の動作を含む駆動制御を統括的に行なう。また、フィルムプロセッサFSの制御ユニット17及びフィルムスキャナーFSのスキャナー制御部25との通信を行なう。写真フィルムの位置情報や長さ情報は、制御ユニット17からの通信によりデータを受信することができる。また、フィルム搬送制御部70は、案内ガイド部30の位置制御、カッター35の作動制御を行う。
【0065】
また、フィルム搬送制御部70は、巻取手段38及び搬送ローラ対38aの回転移動停止後、第4駆動モータM4によって搬送ローラ対38aを駆動させて、写真フィルムをスキャン待機位置(例えば、ローディングセンサー26で検出される位置)まで搬送するように制御することが好ましい。また、フィルム搬送制御部70は、スキャン処理が開始される場合に、スキャン速度より搬送ローラ対38aの搬送速度が遅くなるように制御し、フィルム弛みを防止することが好ましい。
【0066】
搬送量演算部71は、写真フィルムの搬送量を演算する。搬送ユニットFCにおいて写真フィルムの搬送・停止の制御を行うためには、写真フィルムの搬送量を監視することが必要である。搬送量の演算は、各モータ(パルスモータ)を駆動するために供給される駆動パルスの数や、搬送ローラに連動して回転するエンコーダからの信号に基づいて、搬送量を演算することができる。あるいはタイマーによる時間カウントを行なって搬送量を演算してもよい。また、搬送量演算部71は第1フィルム長さカウント部71aの機能を備えており、搬送される写真フィルムの長さをカウントする機能を有する。
【0067】
フィルム搬送制御部70は、ガイド切換ソレノイドSOL、第1駆動モータM1、第2駆動モータM2、第3駆動モータM3、第4駆動モータM4、第5駆動モータM5、第6駆動モータM6に対する駆動制御を行なう。第1駆動モータM1は、搬送ローラ対32を駆動し、第2駆動モータM2はカッター35を駆動する。第4駆動モータM4は搬送ローラ対38aを駆動する。第5駆動モータM5は巻取手段38の巻き取り機構を駆動する。第6駆動モータM6は巻取手段38及び搬送ローラ対38aの回転移動機構41を駆動する。第3駆動モータM3はガイド部37を所定支点37a周りに回転駆動する。なお、第1駆動モータM1と第2駆動モータM2は、搬送ユニットFCのフレームに対して固定されている。ガイド切換ソレノイドSOLは、案内ガイド部30の切り換えを駆動する。
【0068】
ガイドの切り換えセンサー30aは、上記説明した通り、案内ガイド部30の切り換えの検出を行う。第1フィルムセンサー33、リーダセンサー34については既に説明した通り、写真フィルム(フィルムリーダ)の先端・後端の検出を行なう。ホームリミットスイッチ35aは、カッター35がホーム位置にあるか否かを検出する。ホームリミットスイッチ35aは機械的にカッター35を検出するものであるが、光センサーなど他のタイプのセンサーを用いてもよい。
【0069】
巻取手段検出センサー40は、巻取手段38の位置を検出する。以上の各センサー信号は、フィルム搬送制御部70に送信され、これらの検出結果に基づいて、ソレノイドやモータの駆動制御が行なわれる。
【0070】
[実施形態1のフィルム搬送動作]
次に、フィルムプロセッサFPから排出された現像済写真フィルムがフィルムスキャナーFSに搬送されるまでの動作を図7のフローチャート及び図8の動作図に基づいて説明する。
【0071】
フィルムプロセッサFPにおいて未現像写真フィルム(フィルムリーダ付)の先端をローディングセンサー11cにより検出すると、カウント部17eによりカウントを開始する(S1,S2)。このカウント値が予め設定した所定値に到達したか否かを判断し(S3)、所定値に到達すれば、フィルム先端排出通知信号を制御ユニット17から搬送制御部70へ送信する。このとき、排出ローラ15bから所定距離の位置に現像済写真フィルム(フィルムリーダ付)の先端が到達している。すなわち、この信号により現像写真フィルムがフィルムプロセッサFPから搬送ユニットFC内へ挿入されてきたことを認識する。
【0072】
フィルム搬送制御部70は、処理開始信号をスキャナー制御部25へ送信し、これに対する応答信号をスキャナー制御部25からフィルム搬送制御部70へ送信する。この信号によりスキャニングが許可されたか否かを判断し(S5)、許可されていなければ、ガイド切換ソレノイドSOLは第2位置のままとなる。従って、写真フィルムはフィルムストッカー18へと排出され、フィルムスキャナーFSには搬送されない(S5−1)。スキャニング許可が出ないのは、現在フィルムスキャナーFSが使用中(例えば、手動で写真フィルムを挿入して処理している状態)であるなどの理由による。
【0073】
スキャニング許可状態であれば、ガイド切換ソレノイドSOLをONにし、案内ガイド部30を図8Aに示すように第2位置から第1位置へと切り換える(S6)。次に、第1駆動モータM1を駆動する。これにより、フィルムリーダLを先頭にして写真フィルムFが引き続き搬送経路に沿って搬送されることになる。第1駆動モータM1の回転速度は排出ローラ15bの回転速度と同期した形で行なわれる(S7)。フィルムプロセッサFPが駆動している間、排出ローラ15bは常に所定速度で回転している。
【0074】
フィルムリーダL付き写真フィルムFが搬送されると、第1フィルムセンサー33及びリーダセンサー34が透光から遮光状態に変化する(S8)。これらのセンサーが共に遮光状態になった時点から、フィルムリーダLの先頭位置のカウントを開始する(S9)。これは搬送量演算部71の機能に基づき行われる。また、第3駆動モータM3によってガイド部37を所定の支点37aを中心に水平位置まで回転させる。
【0075】
引き続き写真フィルムFを所定量搬送し、フィルムリーダL切り離す処理を行なう。この所定量搬送後、第1駆動モータM1を停止する(S10)。排出ローラ15bはそのまま回転しているため、フィルムプロセッサFPから写真フィルムが排出されつづける。この時、排出部14の空間に写真フィルムのループR1が形成される(図8B参照)。
【0076】
この時、図8Bに示すようにフィルムリーダLの後端は、カッター35によるカット位置を通過している。従って、この状態はフィルムリーダLと写真フィルムFとを分離する準備が整った段階を示している。カット位置は、フィルムリーダLの後端から所定距離(例えば、20mm程度)の位置にある。また、フィルムリーダLは、ガイド部37の壁面に案内され、その先端が落下位置の方向に移動する。
【0077】
そして、第2駆動モータM2を駆動しフィルムリーダLと写真フィルムFを切り離す(S11)。なお、カッター35の動作のチェックはホームリミットスイッチ35aの検出結果等に基づいて行なわれる。カット処理終了後、分離されたフィルムリーダLは自重で自然落下し、所定のフィルムリーダ収納部へと回収される(S12)。フィルムリーダ収納部としては、不図示のトレイを巻取手段38の下側に配置するように構成してもよく、フィルムストッカー18がフィルムリーダ収納部の機能を提供するように構成してもよい。
【0078】
第3駆動モータM3を駆動させ、ガイド部37を元の位置に復帰させる(S13)。
【0079】
次に、第1、第4、第5駆動モータM1、M4、M5を排出ローラ15bに同期した速度で駆動する(S14)。カット後の写真フィルムFは、搬送ローラ対32で搬送され、ガイド部37に挿入される。この際、第1フィルム長さカウント部71aによりフィルム長さのカウントを開始する(S15)。
【0080】
そして、図8Cに示すように、写真フィルムは、搬送ローラ対38aの搬送力等によって巻取手段38内部に送り込まれ、巻取手段38の機能により写真フィルムが巻き取られる(S16)。
【0081】
図8Dに示すように、フィルム長さのカウント値が所定値に達した(所定時間経過した)場合に(S17)、第1、第4、第5駆動モータM1、M4、M5を停止する(S18)。この停止のタイミングは、図8Dに示すように、写真フィルム後端部分がガイド部37を通過し、搬送ローラ対38aの上流側の所定位置で停止するタイミングである。この停止のタイミングを決めるフィルム搬送量は、カウント値、搬送速度、フィルム長さによって演算できる。なお、この所定位置に近接センサー又は光電センサー等を設けてフィルム後端を検出するように構成してもよい。
【0082】
次いで、第6駆動モータM6を駆動させて、巻取手段38及び搬送ローラ対38aをフィルム挿入側に回転移動させる(S19)。巻取手段38の回転移動によって、巻取手段検出センサー40が非検知(検知OFF状態)になる(S20)。
【0083】
写真フィルムをフィルムスキャナーFS側に挿入可能となるように所定角度回転後、第6駆動モータM6を停止する(S21)。次いで、第4、第5駆動モータM4、M5を駆動して搬送ローラ対38a、巻取機構を回転させ(巻き取り方向とは逆に回転させ)、写真フィルムをフィルムスキャナーFS側に挿入する(S22)。ローディングセンサー26により写真フィルムFの先端を検出すると、ローディングセンサー26は透光から遮光状態に切り換わる。これにより、スキャナーモータSMを駆動させ搬送ローラ対21bを駆動させる。この遮光状態になってから所定量写真フィルムを搬送した後、スキャナーモータSMと第4駆動モータM4を共に停止させる。(S23)。この際、図8Fに示すように、一番上流にある搬送ローラ対21bから少し突出した状態になっている。
【0084】
この写真フィルムFがスキャン待機位置に挿入されたことをフィルム搬送制御部70からスキャナー制御部25へと通知する。スキャナー制御部25からスキャニングOKという応答信号があれば、スキャナーモータSMと第4、第5駆動モータM4、M5を最高速度で駆動する。スキャニングの許可が出なければ、許可が出るまで待機する。スキャン処理が可能な状態になった時、搬送ローラ対21b、搬送ローラ対38a、巻取手段の巻取機構を駆動させて写真フィルムをフィルムスキャナーFSに搬送する(S24)。そして、写真フィルムの搬送が終了し、ローディングセンサー26がフィルム後端を検出した後、巻取手段38、搬送ローラ対38aは、第6駆動モータM6を駆動させて元の位置に復帰する。この復帰により、巻取手段検出センサー40が巻取手段38を検出する。この検出信号ON状態をフィルム搬送制御部70に送信することで、フィルム搬送制御部70が次の写真フィルム搬送・巻取り動作を許可状態にできる。
【0085】
なお、この際のスキャン処理はプレスキャン処理である。そして搬送された写真フィルムは、不図示の巻取り機構によって巻き取られる。本スキャン処理の際は、プレスキャン処理とは逆方向に搬送ローラ対21bが回転することによって巻取り機構から写真フィルムが引き出され搬送されることになる。
【0086】
上記において、スキャナーモータSMの速度よりも第4、第5駆動モータM4、M5の速度の方が若干遅くなるように設定されている。第4、第5駆動モータM4、M5により駆動される駆動系にすべり機構を設けるようにし、フィルムスキャナーFSに送り込まれる写真フィルムFにたるみが生じないようにする。
【0087】
ここで、写真フィルムFのスキャニング動作におけるプレスキャンと本スキャンについて簡単に説明する。図8等に示すように、写真フィルムが右から左へ移動するときはプレスキャンが行なわれ、プレスキャンが終了して写真フィルムFを左から右に逆移動するときに本スキャンが行なわれる。プレスキャンとは、写真フィルム全体の画像を低解像度で読み取るものであり、コマ画像の位置を特定するなどの処理が行われる。本スキャンにおいては、プレスキャンにおいて特定されたコマ画像を高解像度で読み取るものであり、コマ画像の部分のみが読み取られる。この読み取られたコマ画像の画像データを用いてプリント作成処理が行われる。
【0088】
以上の構成によれば、部品点数を少なくして製造コストを安価にし、さらに、フィルムの乳剤面が反転せずにフィルムスキャナーFS側にフィルムを受渡しできるフィルム処理装置FAを提供することができる。
【0089】
(搬送機構の実施形態2)
次に、他の形態の搬送路移動機構の構成を図9により説明する。なお、実施形態1と同じ符号の機能要素については、説明を省略することがある。搬送機構は、フィルムを搬送する機能を提供する搬送ユニットFCを有する。搬送ユニットFCは、第1位置(供給位置に相当する)と第2位置(排出位置に相当する)とに切り換え自在な案内ガイド部30(案内ガイド手段に相当する)を備えている。この案内ガイド部30の構成は実施形態1と同様であるので説明は省略する。また、切り換え位置を検出するガイド切り換えセンサー30aも同様の構成である。
【0090】
また、搬送ユニットFCには、搬送経路に沿って、搬送ローラ対32からなるローラ搬送機構が設けられている。搬送ローラ対32は、駆動ローラと圧着ローラにより構成され、第1駆動モータM1により駆動される。搬送ローラ対32の下流側近傍に第1フィルムセンサー33とリーダセンサー34が設けられている。これらのセンサーの構成も実施形態1と同様である。
【0091】
第1フィルムセンサー33とリーダセンサー34の更に下流側には、写真フィルムとフィルムリーダを切り離すためのカッター35が設けられており、カットモータ(不図示)により駆動される。カットされたフィルムリーダLは所定の収納部に回収される。この際、ガイド部37が所定の支点37aを中心に所定位置まで回転し、フィルムリーダLを所定の収納部に案内するように作用する。なお、ガイド部37における所定位置(原位置)と回転後の所定位置を検出するセンサ(近接センサ等)を設けて各位置を検出してもよく、回転駆動系においてロータリーエンコーダ等で回転角度を検出して位置検出し、停止位置を決定してもよい。
【0092】
なお、カッター35のすぐ下流側には、第2フィルムセンサーを設け、フィルムリーダLの先端や写真フィルムの先端を検出するように構成してもよい。さらに、第2フィルムセンサーの下流側に搬送ローラ対を設け、フィルム搬送できるように構成してもよい。
【0093】
ガイド部37の下流側には、ガイド機構939a、939b、939c、搬送ローラ938a、938b、938c、及び、現像済写真フィルムを巻き取る巻取手段38が配置される。ガイド部37を介して送り込まれた写真フィルムは、ガイド機構939aで案内され、搬送ローラ938a、938cに挟持されながら搬送される。そして、写真フィルムはガイド機構939bに沿って案内されて、搬送ローラ938b、938cに搬送されて巻取手段38に挿入される。巻取手段38の巻取り駆動機構と、搬送ローラ938a、938b、938cは、搬送ローラ対32の回転速度と同期する。なお、巻取手段38は、実施形態1と同様のものが適用できる。
【0094】
巻取手段38によって写真フィルムが巻き取られるが、フィルム後端部分が所定位置(例えば、ガイド機構939bから排出されたフィルム後端部分を搬送ローラ938b、938cが挟持している状態の位置)で停止するように、搬送ローラ対32、搬送ローラ938a、938b、938c、及び巻き取り用駆動モータが停止され、巻き取り動作を停止する。この停止のタイミングは、フィルム先端が第1フィルムセンサー33に検出されてからのカウント値(経過時間)と、フィルム長さ、搬送速度、フィルムリーダの切り離し動作期間によって演算することができる。これはフィルム搬送制御部70の機能による。
【0095】
巻取り停止後、写真フィルムがフィルムスキャナーFS側に搬送される。搬送路切換手段943は、巻取手段38から送り出される写真フィルムFをフィルムスキャナーFSのフィルム挿入側に搬送する場合に、自動挿入経路を形成するように構成される。また、搬送路切換手段943は、手動でスキャン処理する場合に、写真フィルムをフィルムスキャナーFSのフィルム挿入側に搬送する手動挿入経路を形成するように構成できる。この経路の切り換えは、切り換えソレノイドSOL2の切り換え駆動で実現できる。搬送路切換手段943が自動挿入経路を形成すると共に、搬送ローラ対940、941、942が駆動され、写真フィルムをフィルムスキャナーFSの挿入側に搬送可能となる。切換位置検出センサー943aは、搬送路切換手段943の位置を検出する。
【0096】
[搬送機構の実施形態2における制御ブロック構成]
図10の制御ブロック図により、上記実施形態2の搬送機構を備えるフィルム処理装置FAの制御機能について説明する。なお、実施形態1と同じ符号の機能要素については、説明を省略することがある。
【0097】
フィルム搬送制御部70は、搬送ユニットFC内を搬送される写真フィルムの搬送・停止を含む駆動制御を統括的に行なう。
【0098】
また、フィルム搬送制御部70は、フィルム後端部分が所定位置に到達したタイミングで、巻取り処理を停止する。次いで、フィルム搬送制御部70は、巻取手段38、搬送ローラ938a、938b、938c、搬送ローラ対940、941、942を駆動させると共に、搬送路切換手段943を自動挿入経路又は手動挿入経路を形成するように切り換え制御する。
【0099】
また、フィルム搬送制御部70は、写真フィルムをスキャン待機位置(例えば、ローディングセンサー26で検出される位置)まで搬送するように制御することが好ましい。また、フィルム搬送制御部70は、スキャン処理が開始された場合に、スキャン速度より搬送ローラ対940、941、942、巻取手段38の搬送速度が遅くなるように制御し、フィルム弛みを防止することが好ましい。
【0100】
フィルム搬送制御部70は、第1駆動モータM1、第2駆動モータM2、第3駆動モータM3、第4駆動モータM4、第5駆動モータM5、第6駆動モータM6、第7駆動モータM7、ガイド切り換えソレノイドSOL1、切り換えソレノイドSOL2、に対する駆動制御を行なう。第1駆動モータM1は、搬送ローラ対32を駆動し、第2駆動モータM2はカッター35を駆動する。第3駆動モータM3はガイド部37を所定支点37a周りに回転駆動する。第4駆動モータM4は巻取手段38の巻き取り用駆動機構を駆動する。第5駆動モータM5は搬送ローラ938a、938b、938cを駆動する。第6駆動モータM6は搬送ローラ対40を駆動する。第7駆動モータM7は搬送ローラ対941、942を駆動する。ガイド切り換えソレノイドSOL1は、案内ガイド部30の切り換えを駆動する。切り換えソレノイドSOL2は、搬送路切換手段943の切り換えを駆動する。
【0101】
[実施形態2のフィルム搬送動作]
次に、フィルムプロセッサFPから排出された現像済写真フィルムがフィルムスキャナーFSに搬送されるまでの動作を図11のフローチャート及び図12の動作図に基づいて説明する。
【0102】
フィルムプロセッサFPにおいて未現像写真フィルム(フィルムリーダ付)の先端をローディングセンサー11cにより検出すると、カウント部17eによりカウントを開始する(S101、S102)。このカウント値が予め設定した所定値に到達したか否かを判断し(S103)、所定値に到達すれば、フィルム先端排出通知信号を制御ユニット17から搬送制御部70へ送信する(S104)。このとき、排出ローラ15bから所定距離の位置に現像済写真フィルム(フィルムリーダ付)の先端が到達している。すなわち、この信号により現像写真フィルムがフィルムプロセッサFPから搬送ユニットFC内へ挿入されてきたことを認識する。
【0103】
フィルム搬送制御部70は、処理開始信号をスキャナー制御部25へ送信し、これに対する応答信号をスキャナー制御部25からフィルム搬送制御部70へ送信する。この信号によりスキャニングが許可されたか否かを判断し(S105)、許可されていなければ、ガイド切り換えソレノイドSOL1は第2位置のままとなる。従って、写真フィルムはフィルムストッカー18へと排出され、フィルムスキャナーFSには搬送されない(S105−1)。スキャニング許可が出ないのは、現在フィルムスキャナーFSが使用中(例えば、手動で写真フィルムを挿入して処理している状態)であるなどの理由による。
【0104】
スキャニング許可状態であれば、ガイド切り換えソレノイドSOL1をONにし、案内ガイド部30を図12Aに示すように第2位置から第1位置へと切り換える(S106)。次に、第1駆動モータM1を駆動する。これにより、フィルムリーダLを先頭にして写真フィルムFが引き続き搬送経路に沿って搬送されることになる。第1駆動モータM1の回転速度は排出ローラ15bの回転速度と同期した形で行なわれる(S107)。フィルムプロセッサFPが駆動している間、排出ローラ15bは常に所定速度で回転している。
【0105】
フィルムリーダL付き写真フィルムFが搬送されると、第1フィルムセンサー33及びリーダセンサー34が透光から遮光状態に変化する(S108)。これらのセンサーが共に遮光状態になった時点から、フィルムリーダLの先頭位置のカウントを開始する(S109)。これは搬送量演算部71の機能に基づき行われる。また、第3駆動モータM3によってガイド部37を所定の支点37aを中心に所定位置まで回転させる。ここでは、図12Bに示すように、ガイド部37の下流側先端がフィルムリーダ収納部を指す位置まで回転させる。
【0106】
引き続き写真フィルムFを所定量搬送し、フィルムリーダL切り離す処理を行なう。この所定量搬送後、第1駆動モータM1を停止する(S110)。排出ローラ15bはそのまま回転しているため、フィルムが排出されつづけるが、搬送ユニットFCを排出部14の空間にフィルムのループR1が形成される(図12B参照)。
【0107】
この時、図12Bに示すようにフィルムリーダLの後端は、カッター35によるカット位置を通過している。また、フィルムリーダLは、ガイド部37の壁面に案内され、その先端が落下位置の方向に移動する。
【0108】
そして、第2駆動モータM2を駆動しフィルムリーダLと写真フィルムFを切り離す(S111)。カット処理終了後、分離されたフィルムリーダLは自重で自然落下し、所定のフィルムリーダ収納部へと回収される(図12C参照)(S112)。
【0109】
第3駆動モータM3を駆動させ、ガイド部37を元の位置に復帰させる(S113)。
【0110】
次に、第1、第4、第5駆動モータM1、M4、M5を排出ローラ15bに同期した速度で駆動する(S114)。カット後の写真フィルムFは、搬送ローラ対32で搬送され、ガイド部37に挿入される。この際、第1フィルム長さカウント部71aによりフィルム長さのカウントを開始する(S115)。
【0111】
そして、図12Cに示すように、写真フィルムは、ガイド機構939a、939bに案内されながら、搬送ローラ938a、938c、938bの搬送力等によって巻取手段38内部に送り込まれ、巻取手段38の機能により写真フィルムが巻き取られる(S116)。
【0112】
図12Dに示すように、フィルム長さのカウント値が所定値に達した(所定時間経過した)場合に(S117)、第1、第4、第5駆動モータM1、M4、M5を停止する(S118)。この停止のタイミングは、図12Dに示すように、写真フィルム後端部分がガイド機構39bを通過し、搬送ローラ938b、938cの上流側の所定位置で停止するタイミングである。この停止のタイミングを決めるフィルム搬送量は、カウント値、搬送速度、フィルム長さによって演算できる。なお、この所定位置に近接センサー又は光電センサー等を設けてフィルム後端を検出するように構成してもよい。
【0113】
次いで、搬送路切換部43によって自動挿入経路を形成する(S119)。切換位置検出センサー943aは、搬送路切換手段943の位置が自動挿入経路を形成する位置(以下において自動挿入位置と称することがある。)で配置されているか否かを検出できる。搬送路切換部943が自動挿入位置にない場合、切り換えソレノイドSOL2を駆動させて、自動挿入位置に移動させる。一方、手動挿入経路を形成する(以下において手動挿入位置と称することがある。)場合、切り換えソレノイドSOL2を駆動させて、搬送路切換部43が手動挿入経路を形成するようにできる。
【0114】
次いで、図12Eに示すように、第4、第5、第6、第7駆動モータM4、M5、M6、M7を駆動させて、巻取手段38の巻取り機構及び搬送ローラ938a、938b、938c、搬送ローラ対940、941、942を回転させ、写真フィルムをフィルムスキャナーFS側に挿入する(S120)。巻取手段38の巻取り機構及び搬送ローラ938a、938b、938cは、巻取り処理での回転とは逆方向に回転する。
【0115】
ローディングセンサー26により写真フィルムFの先端を検出すると、ローディングセンサー26は透光から遮光状態に切り換わる。これにより、スキャナーモータSMを駆動させ搬送ローラ対21bを駆動させる。この遮光状態になってから所定量写真フィルムを搬送した後、スキャナーモータSMと第4駆動モータM4を共に停止させる。(S121)。この際、図12Fに示すように、一番上流にある搬送ローラ対21bから少し突出した状態になっている。
【0116】
この写真フィルムFがスキャン待機位置に挿入されたことをフィルム搬送制御部70からスキャナー制御部25へと通知する。スキャナー制御部25からスキャニングOKという応答信号があれば、スキャナーモータSMと第4、第5、第6、第7駆動モータM4、M5、M6、M7を最高速度で駆動する。スキャニングの許可が出なければ、許可が出るまで待機する。スキャン処理が可能な状態になった時、搬送ローラ対21b、巻取手段38の巻取り機構及び搬送ローラ938a、938b、938c、搬送ローラ対940、941、942を駆動させて写真フィルムをフィルムスキャナーFSに搬送する(S122)。そして、写真フィルムの搬送が終了し、ローディングセンサー26がフィルム後端を検出した後、第4、第5、第6、第7駆動モータM4、M5、M6、M7を停止する。
【0117】
なお、この際のスキャン処理はプレスキャン処理である。そして搬送された写真フィルムは、不図示の巻取り機構によって巻き取られる。本スキャン処理の際は、プレスキャン処理とは逆方向に搬送ローラ対21bが回転することによって巻取り機構から写真フィルムが引き出され搬送されることになる。図12Gに示すように、フィルムスキャナーFSから写真フィルムが排出される。
【0118】
写真フィルムを排出する場合、切り換えソレノイドSOL2を駆動し、搬送路切換部943を排出位置(スキャン処理後の現像済写真フィルムを排出する排出経路を形成する位置)に配置する。搬送ローラ対941、942はフィルム挿入方向とは逆に回転され、搬送ローラ対21bと同期した回転速度である。搬送ローラ対944は、フィルムスキャナーFSから写真フィルムを排出する場合と、手動で写真フィルムをフィルムスキャナーFSに挿入する場合の搬送力として機能する。
【0119】
なお、本実施形態において、排出位置と上記した手動挿入位置は同じ位置である。搬送路切換部943を排出位置に配置したか否かは、切換位置検出センサー943aによって検出できる。この検出信号に基づいて、写真フィルムを排出可能か否か、或いは、写真フィルムを手動挿入可能か否かを判断できる。
【0120】
上記において、スキャナーモータSMの速度よりも第4、第5、第6、第7駆動モータM4、M5、M6、M7の速度の方が若干遅くなるように設定されている。第4、第5、第6、第7駆動モータM4、M5、M6、M7により駆動される駆動系にすべり機構を設けるようにし、フィルムスキャナーFSに送り込まれる写真フィルムFにたるみが生じないようにする。
【0121】
以上の構成によれば、部品点数を少なくして製造コストを安価にし、さらに、フィルムの乳剤面が反転せずにフィルムスキャナーFS側にフィルムを受渡しできるフィルム処理装置FAを提供することができる。
<別実施形態>
本発明において処理対象となる写真フィルムは、ネガフィルムかポジフィルムか限定されるものではなく、また、135タイプやAPSタイプなどの適宜の種類の写真フィルムに対して応用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0122】
【図1】フィルム処理装置を有するプリント処理システム全体の外観構成を示す図
【図2】フィルム処理装置の全体構成を示す断面図
【図3】写真フィルムとフィルムリーダを連結した状態を示す図
【図4】実施形態1の搬送路移動機構を説明する図
【図5A】巻取手段の一例を説明する図
【図5B】巻取手段の一例を説明する図
【図6】実施形態1の搬送路移動機構の制御機能を示すブロック図
【図7A】実施形態1の搬送路移動機構の動作を示すフローチャート
【図7B】実施形態1の搬送路移動機構の動作を示すフローチャート
【図8A】実施形態1の搬送路移動機構における動作を示す図
【図8B】実施形態1の搬送路移動機構における動作を示す図
【図8C】実施形態1の搬送路移動機構における動作を示す図
【図8D】実施形態1の搬送路移動機構における動作を示す図
【図8E】実施形態1の搬送路移動機構における動作を示す図
【図8F】実施形態1の搬送路移動機構における動作を示す図
【図9】実施形態2の搬送路移動機構を説明する図
【図10】実施形態2の搬送路移動機構の制御機能を示すブロック図
【図11A】実施形態2の搬送路移動機構の動作を示すフローチャート
【図11B】実施形態2の搬送路移動機構の動作を示すフローチャート
【図12A】実施形態2の搬送路移動機構における動作を示す図
【図12B】実施形態2の搬送路移動機構における動作を示す図
【図12C】実施形態2の搬送路移動機構における動作を示す図
【図12D】実施形態2の搬送路移動機構における動作を示す図
【図12E】実施形態2の搬送路移動機構における動作を示す図
【図12F】実施形態2の搬送路移動機構における動作を示す図
【図12G】実施形態2の搬送路移動機構における動作を示す図
【図13】従来装置の構成を示す図
【符号の説明】
【0123】
1 プリント処理システム
14 排出部
18 フィルムストッカー
19 リーダーストッカー
30 案内ガイド部
32 ローラ搬送機構
32a,32b 搬送ローラ対
33 第1フィルムセンサー
34 リーダセンサー
35 カッター
36 第2フィルムセンサー
37 ガイド部
38 巻取手段
943 搬送路切換部
60 フィルム挿入ガイド部
70 フィルム搬送制御部
71a 第1フィルム長さカウント部
F 写真フィルム
FP フィルムプロセッサ
FA フィルム処理装置
FC 搬送ユニット
FS フィルムスキャナー
L フィルムリーダ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
未現像写真フィルムの現像処理を行なうフィルムプロセッサと、このフィルムプロセッサにより処理された現像済写真フィルムのコマ画像をデジタル画像データとして取得するためのフィルムスキャナーを備えたフィルム処理装置であって、
現像処理と画像データ取得処理とを連続可能にすべくフィルムプロセッサとフィルムスキャナーを配置し、
フィルムプロセッサから排出された現像済写真フィルムを巻き取る巻取手段と、
前記巻取手段で巻き取られた現像済写真フィルムを当該フィルム後端からフィルムスキャナーのフィルム挿入側に送り出す送り出し機構と、
を備えるフィルム処理装置。
【請求項2】
前記送り出し機構は、
前記巻取手段を移動する巻取手段移動手段を
有する請求項1に記載のフィルム処理装置。
【請求項3】
前記送り出し機構は、
前記巻取手段から送り出される現像済写真フィルムをフィルムスキャナーのフィルム挿入側に搬送する自動挿入経路と、手動でスキャン処理する場合に現像済写真フィルムをフィルムスキャナーのフィルム挿入側に搬送する手動挿入経路とに切り換え自在な搬送路切換手段を
有する請求項1に記載のフィルム処理装置。
【請求項4】
搬送路切換手段は、スキャン処理後の現像済写真フィルムを排出する排出経路を構成することを特徴とする請求項3に記載のフィルム処理装置。
【請求項5】
フィルムプロセッサから排出された現像済写真フィルムをフィルムスキャナーに供給する供給位置と、当該現像済写真フィルムをフィルムスキャナーに供給せずにフィルム収納部に送り出す排出位置とに切り換え自在な案内ガイド手段を
さらに備える請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のフィルム処理装置。
【請求項6】
現像済写真フィルムの先端に取り付けたフィルムリーダを切り離すカッターと、
前記切り離されたフィルムリーダをリーダ排出部に搬送する搬送経路をさらに構成したことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のフィルム処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8A】
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【図8B】
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【図8C】
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【図8D】
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【図8E】
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【図8F】
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【図9】
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【図10】
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【図11A】
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【図11B】
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【図12A】
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【図12B】
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【図12C】
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【図12D】
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【図12E】
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【図12F】
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【図12G】
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【図13】
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【公開番号】特開2007−266905(P2007−266905A)
【公開日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−88100(P2006−88100)
【出願日】平成18年3月28日(2006.3.28)
【出願人】(000135313)ノーリツ鋼機株式会社 (1,824)
【Fターム(参考)】