説明

フィルム材の搬送装置

【課題】 フィルム材の搬送中のずれを防止して正確に搬送することのできるフィルム材の搬送装置を提供すること。
【解決手段】 フィルム材を搬送するコンベアと、該コンベアの経路途中に設けられた整列部を具備するフィルム材の搬送装置であって、上記整列部は、当該整列部の位置に到来した上記フィルム材の一端部をベルト上面から持ち上げて該フィルム材を上記コンベア進行方向に直交する方向に傾斜させる昇降部と、傾斜した上記フィルム材の下方前縁を受けることによって該前縁の上記コンベアの進行方向に対して直交する方向の位置決めを行うフィルム端部係止部と、上記傾斜した上記フィルム材側縁に当接することで該フィルム材を上記コンベアの進行方向に沿って移動させるフィルム位置調整可動部と、上記可動部の移動によって上記フィルム材の他方側縁に当接して該側縁をコンベアの進行方向に直交する方向に位置決めするフィルム位置規制部とから構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、巻寿司等の包装に用いられる海苔包装フィルム等のフィルム材をコンベアにて送る際、該フィルムのずれを修正して正確に搬送することができるフィルム材の搬送装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
手巻き寿司等の包装に用いられるフィルムは、袋状になった合成樹脂フィルム内に海苔が収納されたものであり、巻寿司等の自動成形機においては、当該海苔包装フィルムをストッカーに積層して収納しておき、当該ストッカーの下部から上記フィルムを吸引装置にて1枚毎に取り出して搬送コンベア上に載置し、該コンベアによって飯の成形部に搬送し、成形飯に巻き付けられるか、或いは成形飯を内部に挿入する等して、巻寿司或いはおにぎり等が形成されたていた(特許文献1、特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−337159号
【特許文献2】特開2005−289484号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記従来の海苔包装フィルムの搬送装置では、吸引装置にて海苔包装フィルムを吸引して搬送コンベア上に載置する際に、搬送コンベアの進行方向に対して海苔包装フィルムにずれが生じる場合がある。或いは、コンベアにて搬送中に位置ずれが生じる場合もあり、位置がずれた状態のまま巻寿司成形部に至ると、内部の握飯をきれいに包装できず、包装不良品が生ずるという課題がある。
【0005】
本発明は上記従来の課題に鑑みてなされたものであり、海苔包装フィルム等のフィルム材のずれを防止して正確に包装位置に搬送することのできるフィルム材の搬送装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するため本発明は、
第1に、ベルト上に載置されたフィルム材を搬送するコンベアと、該コンベアの経路途中に設けられ上記フィルム材を整列するための整列部を具備するフィルム材の搬送装置であって、上記整列部は、当該整列部の位置に到来した上記フィルム材の一端部をベルト上面から持ち上げて該フィルム材を上記コンベア進行方向に直交する方向に傾斜させる昇降部と、傾斜した上記フィルム材の下方前縁を受けることによって該フィルム材前縁の位置決めを行うフィルム端部係止部と、上記傾斜した上記フィルム材側縁に当接することで該フィルム材を上記コンベアの進行方向に沿って移動させるフィルム位置調整可動部と、上記可動部の移動によって上記フィルム材の他方側縁に当接して該フィルム材側縁の位置決めを行うフィルム位置規制部と、を具備するものであることを特徴とするフィルム材の搬送装置により構成される。
【0007】
上記ベルトは例えば細ベルト(1a,1b)により構成することができる。上記フィルム材は例えば海苔包装フィルム(F)であるが海苔自体、海苔の無いフィルムであっても良い。上記昇降部は例えば昇降傾斜板(6)、これを支持するための支柱(7)、クランク(10)、駆動モータ(M2)等により構成することができる。上記フィルム端部係止部は例えば傾動板(11)のフィルム端部係止片(11b)により構成することができる。上記フィルム位置調整可動部は例えばフィルム位置調整可動板(20)及びこれを駆動するソレノイド(21)等により構成することができる。上記フィルム位置規制部は例えばフィルム位置規制板(19)により構成することができる。上記フィルム材側縁は、前部側縁(f1’)、側部側縁(f2’)により構成することができる。上記他方側縁は、前部側縁(f1)、側部側縁(f2)により構成することができる。このように構成すると、フィルム材をコンベア進行方向に対して正確に位置決めすることができ、例えば後段における飯包装工程においてずれなく正確に飯等を包装することが可能となる。
【0008】
第2に、上記昇降部は上記フィルム端部係止部と上記フィルム位置規制部による位置決め動作が終了した状態においてベルト下方に降下して、上記フィルム材を上記ベルト上に載置するものであることを特徴とする上記第1記載のフィルム材の搬送装置により構成される。
【0009】
このように構成すると、フィルム材を傾斜させた状態でコンベア搬送方向に直交する方向の幅方向の位置ずれ、及びコンベア搬送方向に対して交差する方向の回転方向の位置ずれを修正することができ、修正後のフィルム材をベルト上に載置することが可能となる。
【0010】
第3に、上記コンベアは上記フィルム材を上記整列部の位置まで搬送した時点で一旦駆動停止し、上記位置決め動作終了後に駆動再開する間歇動作を行うものであることを特徴とする上記第1又は2記載のフィルム材の搬送装置により構成される。
【0011】
このように構成すると、整列部において停止期間中にフィルム材の整列動作を行うことができる。
【0012】
第4に、上記昇降部は、上記フィルム材の傾斜方向に沿う傾斜面を有するものであることを特徴とする上記第1〜3の何れかに記載のフィルム材の搬送装置により構成される。
【0013】
このように構成すると、フィルム材を常に一定角度で傾斜させることができ、正確な位置決め作業を行うことができる。
【0014】
第5に、上記整列部において、上記フィルム材の前端近傍を支持する水平面を有する傾動板を設けると共に、該傾動板の前端部に上記フィルム端部係止部を設け、上記昇降部が上昇した状態において、上記傾動板をフィルム傾斜方向に傾斜させることにより上記フィルム端部係止部を以って上記フィルム材の下方前縁を受け止めるように構成したものであることを特徴とする上記第1〜4の何れかに記載のフィルム材の搬送装置により構成される。
【0015】
このように構成すると、フィルム材の傾斜状態をより安定させることができ、正確な位置決め動作を行うことができる。
【0016】
第6に、上記ベルトは空気吸引用の小孔が貫設されており、上記フィルム材を空気で吸引した吸着状態で搬送するものであることを特徴とする上記第1〜5の何れかに記載のフィルム材の搬送装置により構成される。
【0017】
フィルム材をベルト上面から持ち上げて傾斜させ、フィルム材がベルト上面から離間した傾斜状態で位置決め動作を行うことができるので、吸着式のコンベアにおいても支障なく位置決め動作を行うことができる。
【0018】
第7に、上記整列部の下流側において、上記コンベアの駆動により到来したフィルム材上面に対して空気を噴射することにより、上記フィルム材の折れ曲がりを修正する空気噴射部を設けたものであることを特徴とする上記第1〜6の何れかに記載のフィルム材の搬送装置により構成される。
【0019】
上記空気噴射部は例えば空気噴射パイプ(23)により構成することができる。このように構成すると、空気によりフィルム材の折れ曲がりを修正して、コンベア上に正常に展開された状態でフィルム材を搬送することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明は上述のように構成したので、例えば海苔包装フィルムのようなフィルム材をコンベアにて搬送する場合において、搬送過程においてコンベアに対してフィルム材を正確に位置決めすることができるので、その後の包装過程において飯等を正確に包装することができ、包装不良品の発生を大幅に抑制することができるという効果を奏する。
【0021】
また、フィルム材を空気等で吸着して搬送する吸着式のコンベアにおいても、何ら支障なくフィルム材の位置決め動作を行うことができるという効果を奏するものである。
【0022】
また、フィルムの折れ曲がりをも修正することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明に係るフィルム材の搬送装置の全体構成を示す斜視図である。
【図2】同上装置の全体構成を示す斜視図である。
【図3】同上装置の全体構成を示す斜視図である。
【図4】同上装置の全体構成を示す斜視図である。
【図5】同上装置の全体構成を示す斜視図である。
【図6】同上装置の全体構成を示す斜視図である。
【図7】同上装置の全体構成を示す斜視図である。
【図8】同上装置の全体構成を示す斜視図である。
【図9】同上装置の全体構成を示す平面図である。
【図10】同上装置の全体構成を示す側面図である。
【図11】同上装置の空気噴射部近傍の平面図である。
【図12】同上装置の昇降傾斜板の駆動機構を示す斜視図である。
【図13】同上装置の傾動板の駆動機構を示す側面図である。
【図14】同上装置の空気噴射パイプの側面図である。
【図15】(a)〜(d)は同上装置における海苔包装フィルムのずれを示す説明図である。
【図16】同上装置の電気的構成を示すブロック図である。
【図17】同上装置の動作手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明に係る海苔包装フィルムの搬送装置の一実施形態を詳細に説明する。
【0025】
図1は同装置の全体構成を示す斜視図であり、1は機台2上の水平方向に脚部2a等により水平に設置されたコンベアであり、平行な2列の細ベルト1a,1bから構成されている。また、このコンベア1はそのベルト1a,1bに長手方向に小孔1’が貫設されており、ベルト1a,1b下方から空気を吸引することにより、海苔包装フィルム(フィルム材)Fを吸着状態で搬送し得るように構成されている。この空気吸引式のコンベア1は、上記細ベルト1a,1bの下部に空気ダクト(図示せず)が設けられており、該ダクト上面に設けられた孔より空気を吸引することで、上記ベルト1a,1bの小孔1’を介して空気を吸引し得るものであり公知の技術である。このコンベア1は、ストッカー3下方からコンベア1上に供給される海苔包装フィルムFを吸着し、かかる状態で駆動モータM1(図16参照)を以って矢印A方向に間歇的に搬送するものである。
【0026】
海苔包装フィルムFは図3に示すように、長方形状の海苔Nが内部に包装された長方形状の袋状フィルムであり、その後方端に左右方向に方形の延長フィルム部F1,F2が形成されており、全体としてT字型を成している。この海苔包装フィルムFは上記ストッカー3に上部開口3’から積層状態で収納されており、ストッカー3内部下方において係合バー等(図示せず)により支持された状態となっている。
【0027】
尚、以下の説明において、図1の装置における手前側を「前方」、後ろ側を「後方」、コンベアの搬送方句に合わせて紙面に対して右側を「上流」、左側を「下流」という。
【0028】
上記ストッカー3の下部には、複数のフィルム吸引ノズル4aが上部に取り付けられた海苔吸引枠4が設けられており、図2に示すように、該海苔吸引部4は矢印B方向に上昇することにより上記吸引ノズル4aによって海苔包装フィルムFの最下の1枚を吸引し、図3に示すように上記吸引ノズル4aが上記コンベア1の下側まで下降することにより、上記海苔包装フィルムFの1枚を停止中の上記コンベア1上に載置するものである。
【0029】
上記海苔包装フィルムFは上記ストッカー3直下の上記コンベア1上に載置された状態においては、上記延長フィルム部F1,F2が上記細ベルト1a,1b上に位置してこれらベルト1a,1bに吸着され、前端部はコンベア1の前側において、細ベルト1bに沿って設けられた海苔前端支持板1c上面に載置された状態となる(図3のフィルムFの二点鎖線位置参照)
【0030】
上記コンベア1は間歇駆動するため、上記海苔包装フィルム1が上記コンベア1上に載置された次のタイミングで矢印A方向に一定時間駆動され、上記海苔包装フィルムFをフィルム整列位置5まで搬送し(図3のフィルムFの実線位置参照)、一旦停止する(図3の状態)。尚、コンベア1の間歇駆動は、コンベア駆動時間を制御して一定時間毎に駆動を停止するようにしても良いし、海苔包装フィルムFの停止位置(以下のフィルム整列位置5、空気噴射位置22)にフィルムFの到来を検知するセンサー(光センサー等)を設け、当該センサーの検知に基づいてコンベア1の駆動を一旦停止するように構成しても良い。
【0031】
次に、上記フィルム整列位置5における整列部の構成を説明する。
当該整列位置5において、上記細ベルト1a,1bの間に、昇降傾斜板6が上記ベルト1a,1bより下方水準位置に設けられている(図1、図9参照)。この昇降傾斜板6は図12に示すように、前方側に所定の角度(水平位置から約45度)で傾斜した状態で一対の支柱7,7に支持固定されており、この支柱7,7の下端はL型連結板8によって上記海苔吸引枠4を支持する一対の支柱9,9に連結されている(図10参照)。ここで、上記昇降傾斜板6の上面を傾斜面6aという。そして、上記連結板8の下側に設けられた長孔8a内に駆動モータM2のクランク10が挿通されている。従って、上記駆動モータM2の回転駆動(矢印E方向)により図1に示す上記コンベア1の下方に位置した下方位置と、図2に示す上記コンベア1の上方に突出した位置した上方位置の二位置を往復移動し得るように構成されている。
【0032】
この昇降傾斜板6は上記海苔吸引枠4と連結されているので、同傾斜板6の昇降は上記海苔吸引部4の昇降タイミングと同一となる。よって、上記昇降傾斜板6が上昇して海苔包装フィルムFを吸引し、下降して該フィルム1をコンベア1上に載置し、その後、コンベア1が移動して海苔包装フィルムFを上記フィルム整列位置5まで搬送し、次のタイミングで上記海苔吸引枠4が上昇して次の海苔包装フィルムFを吸引するが、それと同じタイミングで昇降傾斜板6が上昇して図4に示すようにフィルム整列位置5に位置する海苔包装フィルムFの後方側を持ち上げる動作を行うことになる。
【0033】
上記整列位置5において、上記昇降傾斜板6における細ベルト1bを挟んだ前方側には傾動板11が水平に設けられている(図9)。この傾動板11は、上記コンベア1(ベルト1b)の上面と同一水準高さに位置する水平板11aとその水平板11aの前方縁に該水平板11aから上方に起立形成されたフィルム端部係止片11bから構成されている。そして、上記フィルム端部係止片11bの内側面11b’は上記コンベア1の搬送方向と平行に設けられている(図9、図13参照)。
【0034】
この傾動板11は、図13に示すように、その裏面側の軸受板14後端部を支柱12上端に矢印F,G方向に回動可能に軸支13されると共に、水平板11a裏面に設けられた一対の上記軸受板14,14間に水平軸15が軸支されている。そして、上記水平軸15の中央部に駆動アーム16の上端が軸支され、該駆動アーム16の他端は駆動モータM3のクランク17の一端に回動可能に軸支18されている(図13参照)。よって、上記駆動モータM3を回転駆動(矢印H方向、図10参照)することにより、上記クランク17を介して上記駆動アーム16が昇降し、これにより、上記傾動板11は、上記コンベア1と同一高さの水平位置と、当該水平位置から矢印F方向に傾斜した傾斜位置との二位置間を所定のタイミングで往復動可能に構成されている。
【0035】
この傾動板11の傾斜角度は、上記昇降傾斜板6の傾斜角度と同一であり、上記昇降傾斜板6が上方に位置したタイミングで、矢印G方向に約45度傾斜し、当該傾斜位置においては、上記昇降傾斜板6の傾斜面6aと上記傾動板11の水平板11aの板面は同一角度に傾斜した状態となるように構成されている(図4参照)。
【0036】
上記傾動板11の下流側の該傾動板11に近接した位置には、コンベア1の搬送方向とは直交する方向にフィルム位置規制板19が上記支柱12に支持アングル12’を以って固定されている。このフィルム位置規制板19には、図4に示すように、海苔包装フィルムFの下流側の前部側縁f1を位置規制する前部突片19aと上記海苔包装フィルムFの下流側の側部側縁f2を位置規制する後部突片19bが設けられている。そして、図5に示すように、上記昇降傾斜板6が上昇し傾動板11が傾斜して海苔包装フィルムFを傾斜させた状態において、後述のフィルム位置調整可動板20の矢印D方向の移動により、上記前部突片19aと上記後部突片19bが各々海苔包装フィルムFの下流側の上記前部側縁f1と上記側部側縁f2に当接して、当該海苔包装フィルムFを上記コンベア1の進行方向に直交する方向に位置決めするものである。
【0037】
上記傾動板11の上流側には、上記フィルム位置規制板19と略同一形状のフィルム位置調整可動板20が設けられている。このフィルム位置調整可動板20は、上記コンベア1の搬送方向とは直交する方向に位置する整列板20aと、ソレノイド21の出没ピン21’(図5)に固定された固定板20bから構成されており、上記整列板20aには上記海苔包装フィルムFの上流側の側部側縁f2’に当接して上記フィルムFを上記コンベア1の搬送方向に平行(矢印A方向)に押圧する後部突片20cと、上記フィルムFの上流側の前部側縁f1’に当接して上記フィルムFを上記コンベア1の搬送方向に平行(矢印A方向)に押圧する前部突片20dが形成されている。
【0038】
上記ソレノイド21は上流側から下流側に向けて上昇する方向の傾斜状態で固定アングル21”に固定されている。そして、上記フィルム位置調整可動板20は、上流側から下流側に向けて上昇する傾斜中心線pに沿って出没するソレノイド21の出没ピン21’(図5)に上記固定板20bが固定されている。よって、上記可動板20は、上記ソレノイド21が突出すると、上記傾斜中心線pに沿って上昇しながら上記傾斜中心線pに沿う矢印D方向に移動することで、図5に示すように、上記後部突片20cと前部突片20dとが傾斜状態の海苔包装フィルムFの上流側前部側縁f1’と側部側縁f2’に当接して当該フィルムFを矢印A方向(コンベア1の搬送方向に直交する方向)に若干移動させ、当該フィルムFの下流側の前部側縁f1及び側部側縁f2を上記位置規制板19の前部突片19a及び後部突片19bに当接させることにより、当該フィルムFがコンベア1の搬送方向に直交するように正確に位置決めを行うものである。
【0039】
上記フィルム整列位置5の下流側には、該整列位置5に隣接して空気噴射部22が設けられている。この空気噴射部22においては、上記コンベア1の上方位置であって、コンベア1の進行方向に直交するように空気噴射パイプ23が支持部23’(図11)に設置されている。この空気噴射パイプ23の左右の側面には複数の空気噴射孔24が一定間隔で貫設されており(図14)、空気噴射パイプ23には後端から所定圧力の空気を供給し得るように構成されている。
【0040】
よって、上記空気噴射パイプ23の上記噴射孔24からは、上流側(矢印a’方向)及び下流側(矢印a方向)に向けて空気が噴射される(図8参照)。この空気噴射部22において海苔包装フィルムFは図11に示すように当該空気噴射パイプ23の直下において一旦停止する。尚このとき上記海苔包装フィルムFの前端部は上記細ベルト1bと同一高さに水平に設けられた海苔前端支持板1d上に支持される。
【0041】
そして、上記フィルムFが上記パイプ23直下に到来したタイミングで上記パイプ23に空気を注入することで、上記噴射孔24から上流側及び下流側に空気を噴射して、上記フィルムFの上記延長フィルム部F1,F2が図11の二点鎖線に示すように内側に折れ曲がっていた場合は、上記空気の圧力で上記折れ曲がった延長フィルム部F1,F2を左右方向に引き伸ばすように構成されている(図11矢印参照)。
【0042】
その後はコンベア1はさらに矢印A方向に間歇移動して、上記海苔包装フィルムFを下流側の海苔包装部(図示ぜず)に搬送する。尚、図1中25はコ字状の空気遮蔽板であり、上流側の遮蔽板25aと下流側の遮蔽板25bが各々上記コンベア1上に各下端を近接した状態で立設されている。この空気遮蔽板25は上記パイプ23から空気を噴射した場合、噴射した空気が当該空気噴射部22に位置する海苔包装フィルムFに対して上流側及び下流側に隣接して位置する他の海苔包装フィルムFに噴射されないようにするためのものである。
【0043】
次に、本発明の電気的構成を説明する。図16に示すように、本発明は図17に示す動作手順に従って各機器を動作させる制御部(CPU等)30を具備している。この制御部30には、コンベア駆動用のモータM1、海苔吸引部4の駆動モータM2、傾動板11の駆動モータM3、ソレノイド21、コンプレッサー等からなる空気供給機C1、空気噴射パイプ23に空気を導入するコンプレッサー等からなる空気供給機C2が接続されており、上記制御部30は、図17に示す動作手順に従って上記各機器を作動させるものである。
【0044】
次に、本発明の動作を図17のフローチャートと共に説明する。尚、図17中点線で結ばれたステップは略同一のタイミングのステップを示す。
まず、コンベア用の空気供給機C1を動作させ、コンベア1の小孔1’から空気が吸引された状態にあるものとする。尚、コンベア1は当初は停止状態にある。上記制御部30は海苔吸引部駆動用のモータM2を回転させ、海苔吸引部4を上昇させストッカー3から海苔包装フィルムFの1枚を吸引し(図17P1−2)、下降することで細ベルト1a,1b上に海苔包装フィルムFの1枚を載置する(図17P2−2、図3フィルムFの二点鎖線位置)。このとき、海苔包装フィルムFは上記コンベア1の小孔1’から吸引される空気により該コンベア1に吸着された状態となる。尚、このときフィルム整列位置5においては、図17のステップP1−1(昇降傾斜板6上昇、傾動板11傾斜)、P2−1(ソレノイド駆動)、P3−1(昇降傾斜板6下降、傾動板11戻り)までの動作が行われている。
【0045】
次に制御部30は駆動モータM1を回転してコンベア1を矢印A方向に駆動して海苔包装フィルムFをフィルム整列位置5の整列部まで搬送し、一旦停止する(図17P4−1、図3参照)。このとき、該フィルムFはその左右の延長フィルム部F1,F2が昇降傾斜板6の上方に位置すると共に、前端部が傾動板11の水平面11a上に位置し、同フィルムFの前縁f3がフィルム端部係止片11bに対向する位置にある(図3の位置)。
【0046】
次に、制御部30は駆動モータM2を回転駆動し、昇降傾斜板6を上昇させると共に、駆動モータM3を回転駆動し傾動板11を前方に傾斜させる(図17P5を経てP1−1、図4参照)。すると、上記昇降傾斜板6の上昇に伴って海苔包装フィルムFの延長フィルム部F1,F2を含む後部が上記コンベア1の吸引から離脱され、図4に示すように持ち上げられて前方に傾斜する。このとき、上記傾動板11も前方に上記昇降傾斜板6と同一の角度に傾斜するので、海苔包装フィルムFは、同一角度で傾斜している上記昇降傾斜板6の前面(傾斜面6a)と上記傾動板11の水平面11a上に載置された状態で前方に傾斜し、その結果、海苔包装フィルムFの下方前縁f3がフィルム端部係止片11bに係合し、これにより、コンベア1に対して前後方向の位置ズレ(図15(a)(b)におけるQ1)が修正され、コンベア1に対する前後方向(コンベア1の搬送方向に直交する方向)の位置決めが正確になされ、コンベア1に対して海苔包装フィルムの前端部(下方前縁)の位置F’が正確に位置決めされた状態となる(図15(a)(b)参照)。
【0047】
次に、制御部30はソレノイド21を1回駆動する(図17P2−1)。ソレノイド21がその突出ピン21’を突出させると、フィルム位置調整可動板20が矢印D方向に沿って斜め上方に移動し、これにより上記可動板20の後部突片20cが上記海苔包装フィルムFの上流側側部側縁f2’に、上記可動板20の前部突片20dが上記海苔包装フィルムFの上流側前部側縁f1’に当接して当該縁を矢印A方向に押圧する(図4から図5の状態)。
【0048】
これにより、上記海苔包装フィルムFは、上記傾斜状態のまま上記フィルム端部係止片11bに沿って矢印A方向に若干移動され、該フィルムFの下流側の側部側縁f2及び前部側縁f1が各々フィルム位置規制板19の後部突片19bと前部突片19aに当接し、これにより該フィルムFがコンベア1に対して水平に交差する回転方向の位置ずれ(図15(b)(c)のQ2)が修正され、海苔包装フィルムFの側縁がコンベア1の進行方向に直交する正確な位置(図15実線位置)に位置決めされた状態となる。
【0049】
次に、制御部30は上記ソレノイド21を戻し、これにより上記フィルム位置調整可動板20が上記海苔包装フィルムFの上流側から離間する(図17P2−1、図6の状態)。
【0050】
その後、上記制御部30は上記駆動モータM2を回転駆動することにより上記昇降傾斜板6をコンベア1より下方位置まで降下させ、かつ上記駆動モータM3を回転駆動することにより上記傾動板11を上記コンベア1と水平となる位置まで回動復帰させる(図17P3−1)。すると、図7に示すように、上記海苔包装フィルムFは上記ステップにて正確に位置決めされた状態で水平状態に復帰し、該フィルムFの延長フィルム部F1,F2を有する後部側が再びコンベア1に吸着される。この状態においては、海苔包装フィルムFは上述のようにコンベア1に対する前後方向のズレ及び回転方向のズレが何れも修正された状態となっており、後段の飯包装過程において、正確な飯包装位置に送ることができる。
【0051】
次に、上記制御部30は、海苔包装フィルムFが空気噴射部22の空気噴射パイプ23が上記海苔包装フィルムFの中央に位置するまでコンベア1を移動させ、当該位置にてコンベア1を一旦停止する(図8、図17P4−1)。
【0052】
その後、制御部30は空気供給機C2を介して上記空気噴射パイプ23に空気を供給する(図17P1−3)。すると、上記噴射パイプ23の噴射孔24から、上記海苔包装フィルムFの延長フィルム部F1及び延長フィルム部F2に向けて空気が噴射される。これにより、仮に上記延長フィルム部F1,F2が折れ曲がっていた場合は、上記噴射空気によって上記フィルム部F1は上流側に、上記フィルム部F2は下流側に引き戻され、上記フィルム部F1,F2の折れ曲がりが修正される。
【0053】
その後、上記制御部30は、さらにコンベア1を間歇駆動して、上記海苔包装フィルムFを次段の飯包装工程に搬送する(図17P2−3)。尚、制御部30は停止スイッチが押された場合はステップP5にて認識し装置を停止する。
【0054】
本発明は以上のように、海苔包装フィルムF等のフィルム材をコンベア進行方向に対して正確に位置決めすることができ、例えば後段における飯包装工程まで海苔包装フィルムFをずれなく正確に搬送することができ、包装不良品の発生を大幅に抑制することができるものである。
【0055】
また、海苔包装フィルムF等のフィルム材を傾斜させた状態で、コンベア搬送方向に直交する幅方向の位置ずれ、及びコンベア搬送方向に対して交差する方向の回転方向の位置ずれを修正することができ、修正後のフィルムFをベルト上に再び載置することが可能となる。
【0056】
また、海苔包装フィルムF等のフィルム材を常に一定角度で傾斜させることができ、正確な位置決め作業を行うことができる。
【0057】
また、海苔包装フィルム等のフィルム材をベルト上面から持ち上げて傾斜させ、フィルムFがベルト上面から離間した傾斜状態で位置決め動作を行うことができるので、吸着式のコンベア1においても何ら支障なく位置決め動作を行うことができる。
【0058】
さらに、海苔包装フィルム等のフィルム材の延長フィルム部等の折れ曲がりを修正することができる。
【0059】
このように、本発明によれば、例えば海苔包装フィルムFのようなフィルム材をコンベア1にて搬送する場合において、搬送過程においてコンベア1に対してフィルムFを正確に位置決めすることができるので、その後の包装過程において飯等を正確に包装することができ、包装不良品の発生を大幅に抑制することができるという効果を奏する。
【0060】
また、海苔包装フィルムF等のフィルム材を空気等で吸着して搬送する吸着式のコンベア1においても、何ら支障なくフィルム材の位置決め動作を行うことができるという効果を奏するものである。
【0061】
また、T字型の海苔包装フィルムFの延長フィルム部F1,F2を除く方形部分のみでフィルムFの位置決めを行うことができ、仮に延長フィルム部F1,F2が折れ曲がっていたとしてもフィルムFの位置決めを正確に行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明に係るフィルム材の搬送装置は、例えば巻寿司製造装置における海苔包装フィルムの整列、或いはおにぎり製造装置における海苔の整列の他、フィルム材の搬送と位置決めが必要な各種装置に広く利用することができるものである。
【符号の説明】
【0063】
1 コンベア
1’ 小孔
1a,1b 細ベルト(ベルト)
5 フィルム整列位置
6 昇降傾斜板
6a 傾斜面
7 支柱
10 クランク
11 傾動板
11b フィルム端部係止片
16 駆動アーム
19 フィルム位置規制板
20 フィルム位置調整可動板
21 ソレノイド
22 空気噴射部
23 空気噴射パイプ
24 噴射孔
M2 駆動モータ
M3 駆動モータ
f1 前部側縁(他方側縁)
f2 側部側縁(他方側縁)
f1’ 前部側縁(側縁)
f2’ 側部側縁(側縁)
f3 下方前縁(前縁)
F 海苔包装フィルム(フィルム材)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベルト上に載置されたフィルム材を搬送するコンベアと、該コンベアの経路途中に設けられ上記フィルム材を整列するための整列部を具備するフィルム材の搬送装置であって、
上記整列部は、当該整列部の位置に到来した上記フィルム材の一端部をベルト上面から持ち上げて該フィルム材を上記コンベア進行方向に直交する方向に傾斜させる昇降部と、
傾斜した上記フィルム材の下方前縁を受けることによって該フィルム材前縁の位置決めを行うフィルム端部係止部と、
上記傾斜した上記フィルム材側縁に当接することで該フィルム材を上記コンベアの進行方向に沿って移動させるフィルム位置調整可動部と、
上記可動部の移動によって上記フィルム材の他方側縁に当接して該フィルム材側縁の位置決めを行うフィルム位置規制部と、を具備するものであることを特徴とするフィルム材の搬送装置。
【請求項2】
上記昇降部は上記フィルム端部係止部と上記フィルム位置規制部による位置決め動作が終了した状態においてベルト下方に降下して、上記フィルム材を上記ベルト上に載置するものであることを特徴とする請求項1記載のフィルム材の搬送装置。
【請求項3】
上記コンベアは上記フィルム材を上記整列部の位置まで搬送した時点で一旦駆動停止し、上記位置決め動作終了後に駆動再開する間歇動作を行うものであることを特徴とする請求項1又は2記載のフィルム材の搬送装置。
【請求項4】
上記昇降部は、上記フィルム材の傾斜方向に沿う傾斜面を有するものであることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載のフィルム材の搬送装置。
【請求項5】
上記整列部において、上記フィルム材の前端近傍を支持する水平面を有する傾動板を設けると共に、該傾動板の前端部に上記フィルム端部係止部を設け、上記昇降部が上昇した状態において、上記傾動板をフィルム傾斜方向に傾斜させることにより上記フィルム端部係止部を以って上記フィルム材の下方前縁を受け止めるように構成したものであることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載のフィルム材の搬送装置。
【請求項6】
上記ベルトは空気吸引用の小孔が貫設されており、上記フィルム材を空気で吸引した吸着状態で搬送するものであることを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載のフィルム材の搬送装置。
【請求項7】
上記整列部の下流側において、上記コンベアの駆動により到来したフィルム材上面に対して空気を噴射することにより、上記フィルム材の折れ曲がりを修正する空気噴射部を設けたものであることを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載のフィルム材の搬送装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate


【公開番号】特開2010−184721(P2010−184721A)
【公開日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−29422(P2009−29422)
【出願日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【出願人】(000236746)不二精機株式会社 (48)
【Fターム(参考)】