Notice: Undefined variable: fterm_desc_sub in /mnt/www/biblio_conv.php on line 353
フィルム状の麻酔薬
説明

フィルム状の麻酔薬

【課題】 痛みの発生するところだけに十分な局所麻酔効果を及ぼすことができ、且つハンドリング性に優れ、例えば口腔内に用いて、患者が誤飲した場合でも安全性の高い麻酔薬を提供すること。
【解決手段】 可食性でフィルム状の麻酔薬であって、水溶性基剤を含有してなる可食フィルム中に麻酔成分が分散混合されてなる麻酔成分層102と、皮膚表面又は粘膜表面に対する粘着性の高い粘着層103と、を具備してなり、使用者の皮膚表面又は粘膜表面に接する接触面110は、麻酔成分層102と粘着層103とにより構成されているフィルム状の麻酔薬101。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィルム状の麻酔薬に関し、さらに詳しくは、口腔内での局所麻酔に好適に且つ安全に用いることができるフィルム状の麻酔薬に関するものである。
【背景技術】
【0002】
各種の治療を行う場合に麻酔を局所的に行うことは広く行われているが、その多くは注射によるものであり、患者の苦痛が多いという問題があった。そこで、注射を打たずに麻酔を行う麻酔薬の開発が行われている。
たとえば、特許文献1には、局所麻酔成分とオブラートとを混合して得られるゲル状混合物からなる麻酔薬が提案されている。
特許文献2には、不織布または織布からなる支持体と、当該支持体上に形成された、100重量部のゴム系粘着剤、70〜150重量部の局所麻酔剤および20〜80重量部の可塑剤を含有する膏体層とを含んでなる口腔内麻酔製剤が提案されている。
特許文献3には、フィルム状の麻酔剤が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−300866号公報
【0004】
【特許文献2】特開2002−80350号公報
【0005】
【特許文献3】特開2002−509107号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上述の特許文献1の麻酔薬では局所的にゲルを塗りこむことが難しく麻酔箇所が広がってしまうという問題がある。また、特許文献2の麻酔製剤では、麻酔処置終了後には不織布を口腔内から取り出す必要があり治療全体における操作性に問題があった。さらに、口腔内の麻酔に際しては、不織布を誤飲してしまう場合があり、安全性においても問題があった。特許文献3のフィルム状の麻酔剤では、所望の患部に所定の麻酔効果を持続的に及ぼすことができず、結果として十分な麻酔効果が得られないという問題があった。
要するに、歯科治療で必ず行われる痛みと恐怖感を憶える注射による麻酔以外に従来提案されている麻酔薬では、いまだ十分な局所麻酔効果とハンドリング性や安全性とを満足させたものは提案されておらず、このような機能を有する麻酔薬の開発が要望されているのが現状である。
【0007】
従って、本発明の目的は、痛みの発生するところだけに十分な局所麻酔効果を及ぼすことができ、且つハンドリング性に優れ、例えば口腔内に用いて、患者が誤飲した場合でも安全性の高い麻酔薬を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは上記課題を解消すべく鋭意検討した結果、フィルム状の麻酔薬において、可食フィルム中に麻酔成分を含有させた部分と、粘膜に対する粘着性の高い部分とを形成することにより上記課題を解消しうることを知見し本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、下記発明を提供することにより、上記目的を達成したものである。
1.可食性でフィルム状の麻酔薬であって、
水溶性基剤を含有してなる可食フィルム中に麻酔成分が分散混合されてなる麻酔成分層と、皮膚表面又は粘膜表面に対する粘着性の高い粘着層と、を具備してなり、使用者の皮膚表面又は粘膜表面に接する接触面は、上記麻酔成分層と上記粘着層とにより構成されているフィルム状の麻酔薬。
2.麻酔薬を挟持容易とする把持部が設けられている1記載のフィルム状の麻酔薬。
3.上記把持部は、上記接触面の反対側の面のほぼ中央に突起部を設けることで形成されている2記載のフィルム状の麻酔薬。
4.上記把持部は、麻酔薬の周縁の一部に突起部を設けることで形成されている2記載のフィルム状の麻酔薬。
5.上記麻酔成分層の中央部に各種処置を行う際の目印部が設けられている1記載のフィルム状の麻酔薬。
6.上記目印部は、麻酔成分層における上記接触面の反対側の面である非接触面に着色を施すことにより形成されている5記載のフィルム状の麻酔薬。
7.上記麻酔成分がエステル型局所麻酔剤又はアミド型局所麻酔薬であり、
上記麻酔成分層に用いられる水溶性基剤が、ポリアクリル酸、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)および/またはポリビニルピロリドン(PVP)である1記載のフィルム状の麻酔薬。
8.上記麻酔成分層及び又は上記粘着層における使用者の皮膚表面又は粘膜表面に接しない非接触面を難水溶性フィルムで覆ってなることを特徴とする1記載のフィルム状の麻酔薬。
【発明の効果】
【0009】
本発明のフィルム状の麻酔薬は、痛みの発生する部分等の麻酔効果を及ぼしたい部位のみに十分な局所麻酔効果を発揮させることができ、ハンドリング性に優れ、例えば口腔内に用いて患者が誤飲した場合でも、可食フィルムを主たる基剤として用いているので安全性の高いものである。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、本発明のフィルム状の麻酔薬の他の実施形態を示す図であり、(a)は斜視図、(b)は厚さ方向断面図である。
【図2】図2は、本発明のフィルム状の麻酔薬の他の実施形態を示す図であり、(a)は斜視図、(b)は厚さ方向断面図である。
【図3】図3は、本発明のフィルム状の麻酔薬の他の実施形態を示す図であり、厚さ方向断面図(図2(b)相当図)である。
【図4】図4は、本発明のフィルム状の麻酔薬の他の実施形態を示す厚さ方向断面図(図2(b)相当図)である。
【符号の説明】
【0011】
101 フィルム状の麻酔薬、102 麻酔成分層、103 粘着層、104 把持部、105 目印部、110 接触層
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明のフィルム状の麻酔薬について図面を参照して詳細に説明する。
図1に示す本実施形態のフィルム状の麻酔薬101は、可食性でフィルム状の麻酔薬であって、水溶性基剤を含有してなる可食フィルム中に麻酔成分が分散混合されてなる麻酔成分層102と、皮膚表面又は粘膜表面に対する粘着性の高い粘着層103と、を具備してなる。
【0013】
そして、使用者の皮膚表面又は粘膜表面に接する接触面110は、麻酔成分層102と粘着層103とにより構成されている。具体的には、麻酔成分層102は円形のフィルムであり、粘着層103は、麻酔成分層102を中心にしてその周囲にO字状のフィルムである。
【0014】
また、本実施形態のフィルム状の麻酔薬101は、麻酔薬をピンセットなどの把持具を用いて挟持容易とする把持部104が設けられている。把持部104は、麻酔成分層102における接触面110の反対側の面のほぼ中央を突出させて突起部を設けることで形成されている。
また、本実施形態における把持部104の頂面には、印刷により着色を施して目印部105を設けている。この際用いることができるインクは可食性のインクであれば特に制限なく用いることができる。目印部105は、麻酔成分層102のほぼ中央部に位置するため、例えば本実施形態の麻酔薬を用いて予備麻酔をかけ、手術などの処置に際してより強力な麻酔をかける必要がある場合に注射による麻酔をかける際に目印部105を目標に注射針を刺しこむことで的確に麻酔がかけられている部位に注射針を刺すことができる。
【0015】
本実施形態のフィルム状の麻酔薬101の厚みは、200〜3000μmとするのが、十分な麻酔成分を含有させたフィルムを形成する点で好ましく、500〜2000μmとするのがさらに好ましい。
麻酔成分層や粘着層の大きさは麻酔をかけようとする部位の大きさにより任意であり特に制限されないが、麻酔成分層の直径を1とした場合、麻酔薬全体の直径を1.2〜2とするのが、局部麻酔効果と粘着力のバランスの観点から好ましい。
【0016】
<形成材料>
ついで、本実施形態のフィルム状の麻酔薬の形成材料について説明する。
(麻酔成分層)
麻酔成分層は、水溶性基剤を含有してなる可食フィルム中に麻酔成分を分散混合されてなる。
【0017】
麻酔成分層における可食フィルムは、水溶性基剤に適宜必要な添加剤を添加して構成することができる。
【0018】
本発明において用いられる上記水溶性基剤としては、以下に示すもの等を用いることができ、使用に際しては単独又は2種以上混合して用いることができる。
ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロース、デンプン、キサンタンガム、カラヤガム、メチルセルロース、カルボキシビニルポリマー、カンテン、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、酢酸フタル酸セルロース(別名:セルロースアセテートフタレート、CAP)、カルボキシメチルエチルセルロース(CMEC)、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、カルボキシビニルポリマー(商品名:カーボポール商品名,BFグッドリッチ社製)、トラガント、アラビアゴム、ローカストビーンガム、グアーガム、デキストリン、デキストラン、アミロース、カルボキシメチルセルロースカリウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、プルラン、キトサン、カルボキシメチルスターチナトリウム、プランタゴ種皮、ガラクトマンナン、オイドラギット、カゼイン、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸アルキルエステル、ゼラチン、酢酸セルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、水不溶性メタクリル酸共重合体、メタクリル酸エチル・メタクリル酸塩化トリメチルアンモニウムエチル共重合体、メタクリル酸ジメチルアミノエチル・メタクリル酸メチル共重合体、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、アクリル酸、メタクリル酸メチル共重合体、ポリエチレングリコール、ポリグルタミン酸ポリフィラン等。
本発明においては、麻酔成分層には、ポリアクリル酸、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)および/またはヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ポリビニルピロリドン(PVP)が特に好ましく用いられる。
【0019】
また、上記添加剤としては乳化剤および可塑剤を挙げることができる。
上記乳化剤は、溶液中の薬物等の分散性を高め、製造過程における可食フィルム形成用溶液を塗工する際に被塗工物である基材フィルム上にはじきが出るのを防ぐための成分であり、ポリオキシエチレンソルビタンオレイン酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、大豆由来レシチン等の界面活性剤を挙げることができ、使用に際してはそれぞれ単独または2種以上混合して用いることができる。また、「サーフホープ」(ショ糖脂肪酸エステルの商品名、三菱化学フーズ社製)、「M-7D」(ポリグリセリン脂肪酸エステルの市販品、三菱化学フーズ社製)、「サンレシチンA−1」(大豆由来レシチンの市販品、太陽化学社製)等の市販品を用いることもできる。
上記乳化剤の使用量は、上記水溶性基剤100重量部に対して 1〜20重量部とするのが好ましく、1〜15重量部とするのがさらに好ましい。
【0020】
上記可塑剤は、可食フィルムに柔軟性を付与するための成分であり、グリセリン、ソルビトール、ポリグリセリン等を挙げることができ、使用に際してはそれぞれ単独または2種以上混合して用いることができる。また、市販品を用いることもできる。
上記可塑剤の使用量は、上記水溶性基剤100重量部に対して5〜50重量部とするのが好ましく、10〜50重量部とするのがさらに好ましい。
【0021】
また、上記可食フィルムには、本発明の所望の効果を阻害しない範囲で他の添加剤、たとえば、リン酸カリウム等のゲル化促進剤、麦芽還元糖水飴、ショ糖、乳糖、果糖又はサッカリン、アスパルテーム、アスパルテーム・L−フェニルアラニン化合物、スクラロース、ソーマチン、アセスルファムカリウム、ステビア等の甘味料、ペパーミント、ハッカ油、チェリーフレーバー、オレンジ油、ウイキョウ油、エチルマルトール、L−メントール等の香料、安息香酸、安息香酸ナトリウム、安息香酸ベンジル、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸ブチル、パラオキシ安息香酸プロピル等の防腐剤、酸化チタン等の不透明化剤、三二酸化鉄、黄色三二酸化鉄等の着色剤;ビグアナイト系薬剤、ペオニフロリン、ドネぺジル、イブプロフェン、臭化ブチルスコポラミン、コンドロイチン群、イソソルビト等の各種薬効成分等を用いることもできる。
【0022】
また、本発明のフィルム状の麻酔薬は、患者に心理的癒しの効果を付与するために基層に着色を施すこともできる。この際用いることができる着色剤としては、アセンヤクタンニン末、黄色三二酸化鉄、ウコン抽出液、褐色酸化鉄、カーボンブラック、カラメル、カルミン、カロチン液、βカロテン、カンゾウエキス、金箔、銀箔、プラチナ箔、黒酸化鉄、軽質無水ケイ酸、酸化チタン、三二酸化鉄、食用青色1号、食用黄色4号、食用黄色4号アルミニウムレーキ、食用黄色5号、食用黄色5号アルミニウムレーキ、食用赤色2号、食用赤色3号、食用赤色102号、タルク、銅クロロフィリンナトリウム、銅クロロフィル、ハダカムギ緑葉抽出エキス、ミリスチン酸オクテルドデシル、薬用炭、リボフラビン、リボフラビン酪酸エルテル、リボフラビン酸エステル、緑茶末、ローズ油などを用いることができる。
本発明のフィルム状の麻酔薬はその製造過程において薬剤の飛散が発生しないので、抗生物質や歯の治療中の血圧上層を防ぐための降圧剤等各種薬効成分を混合することも可能である。
また、香料や甘味料などを添加することは、特に人の痛覚および味覚は嗅覚による修飾を受けるため、患者への治療に対する負担を軽減する点で有効である。
【0023】
本発明において用いられる上記麻酔成分としては、コカイン、プロカイン、クロロプロカイン、テトラカイン、アミノ安息香酸エチル(ベンゾカイン)等のエステル型局所麻酔剤;リドカイン、メピバカイン、ジブカイン、ブピバカイン、ロピバカイン、レボブピバカイン等のアミド型局所麻酔剤等を挙げることができ、使用に際してはそれぞれ単独または2種以上混合して用いることができる。本発明においては、これらの中でもリドカイン、ジブカイン、テトラカイン又はアミノ安息香酸エチル(ベンゾカイン)が好ましく用いられる。
上記麻酔成分層における麻酔成分の配合割合は、上記水溶性基剤100重量部に対して40〜100重量部とするのが好ましく、45〜80重量部とするのが、麻酔の効果的な使用の点から好ましい。
上記麻酔成分の坪量は、所望の麻酔程度や使用部位により異なるが、100mg/cm以上とするのが好ましい。
【0024】
(粘着層)
粘着層は、上述の麻酔成分層と同様に上記水溶性基剤に必要に応じて上記添加剤を添加してなる可食フィルムからなり、麻酔成分を含有しない以外は、上述の可食フィルムと同様の構成とすることができる。このように構成しても、麻酔成分を含有しない分、水溶性基剤本来の粘着性が発揮され、十分な粘着力が発現する。
中でも、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ゼラチン、プルラン、カゼイン、ツェイン、セラック等の増粘性水溶性基剤を水溶性基剤として用いるのが好ましく、使用に際しては単独または2種以上混合して用いることができる。
これらの増粘性水溶性基剤とこれら以外の水溶性基剤とを組み合わせて用いる場合、増粘性水溶性基剤の使用量は、水溶性基剤全体100重量部中20重量部以上とするのが十分な粘着性を発現させるために好ましく、40重量部以上とするのがさらに好ましい。
【0025】
本実施形態のフィルム状の麻酔薬101は、上述のように構成されているので、粘着部の作用により所定位置で安定して貼り付けておくことができ、例えば口腔内に用いた場合には、フィルム状の麻酔薬が粘膜表面に安定して貼り付き、簡単かつ手軽に狭い個所であっても局部的に麻酔を施すことができる。
本実施形態のフィルム状の麻酔薬101は、以下のようにして得ることができる。
所定形状に麻酔成分層のみからなるフィルムを形成するとともに、所定形状に粘着剤フィルムを形成する。これらの形成に際しては公知のフィルムの製造方法を特に制限なく採用することができる。そして得られた麻酔成分層のみからなるフィルムを粘着剤フィルムの中央部分に入れて両者の間に通常の食用接着剤を介在させて熱圧着する等の接着剤で固定して、得ることができる。
【0026】
本実施形態のフィルム状の麻酔薬における麻酔成分層形成用のフィルム及び粘着層形成用のフィルムは、通常の可食フィルムと同様にプラスチック製のベースフィルム上に、麻酔成分層形成用溶液と粘着層形成用溶液とをそれぞれ別にキャスティングすることにより製造することができる。
麻酔成分層形成用溶液および粘着層形成用溶液は、いずれも上述した構成成分を溶剤に溶解することにより得ることができる。
この際用いることができる溶剤としては以下のもの等を用いることができる。
水、エタノール、酢酸、アセトン、アニソール、1−ブタノール、2−ブタノール、酢酸n−ブチル、t−ブチルメチルエーテル、クメン、ジメチルスルホキシド、酢酸エチル、ジエチルエーテル、ギ酸エチル、ギ酸、ヘプタン、酢酸イソブチル、酢酸イソプロピル、酢酸メチル、3−メチル−1−ブタノール、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、2−メチル−1−プロパノール、ペンタン、1−ペンタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、酢酸プロピル、テトラヒドロラン、アセトニトリル、クロロベンゼン、クロロホルム、シクロヘキサン、1,2−ジクロロエテン、ジクロロメタン、1,2−ジメトキシエタン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、1,4−ジオキサン、2−エトキシエタノール、エチレングリコール、ホルムアミド、ヘキサン、メタノール、2−メトキシエタノール、メチルブチルケトン、メチルシクロヘキサン、N−メチルピロリドン、ニトロメタン、ピリジン、スルホラン、テトラリン、トルエン、1,1,2−トリクロロエテン、キシレン、1,1−ジエトキシプロパン、1,1−ジメトキシメタン、2,2−ジメトキシプロパン、イソオクタン、イソプロピルエーテル、メチルイソプロピルケトン、メチルテトラヒドロフラン、石油エーテル、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、塩化メチレン等を用いることができ、使用に際しては単独または2種以上混合して用いることができる。これらの溶剤の中では、エタノール、水、酢酸エチルまたはこれら溶媒を組み合わせたもの(例えば、エタノール−水混合物、エタノール−酢酸エチル混合物)が最も好ましく使用できる。
【0027】
(使用法、効果)
本実施形態のフィルム状の麻酔薬は、歯科口腔用の麻酔薬として用いることができる他、種々医療分野における処置前の麻酔処理用に有用である。
その使用に際しては、例えば歯科医が用いる場合、ピンセットで把持部を挟んで患部に接触面を貼り付けて使用することができる。この際、粘着層が存在することにより口腔粘膜に良好に貼り付き外部から力を加えなければはがれることなく所定位置を局部麻酔することができる。この局部的な麻酔効果により患者の不安を緩和することができる。また厚さ、水溶性基剤の種類、薬剤の濃度、添加剤の種類や配合量を適宜変更することが可能であるため、フィルム状の麻酔薬の溶解速度を目的や使用方法に応じて自由に設定することができ、歯の治療の重軽度により麻酔効果を自由に調節できる。
また、重度な治療をする場合に注射の前麻酔として使用することもでき、把持部104を目印部として、把持部104の基端部分に注射針を刺しこみフィルム状の麻酔薬を貼り付けたまま注射(強力な注射)を施すことができる。この際、フィルム麻酔薬で麻痺した部位に注射針を刺してもすでに本発明のフィルム状の麻酔薬である程度麻酔が効いているので患者に違和感がなく注射処置がより容易になる。
【0028】
本実施形態のフィルム状の麻酔薬は、処置を行う場所に貼り付けることにより中央部の麻酔成分層102には強力な麻酔が効くものの、周辺部分は、全面に麻酔成分層が存在せず部分的に麻酔をかけるだけであるため麻酔効果が弱くなる。このため麻酔の範囲が極小部分に限定され広まらず、歯の治療の後に食事する場合にも咀嚼筋の動作を阻害することが少なく、咬み合せの支障も少ない。
また、本発明のフィルム状の麻酔薬は、小さく個別にカットされた状態とすることができる他、効能効果の重軽度別に色を付けることもでき、麻酔効能効果の大小の種類別の見分けがしやすい形態とすることもできる。このため、治療用のほか歯の痛み止め用途に家庭等で個人的使用に供することも可能である。また、可食フィルムで作られているので幼児、子供、老人にも特に危険がなく、誤飲してしまっても食用の材料からなるので安全である。
【0029】
以下、他の実施形態について説明するが、以下の説明では上述の実施形態と同様に形成されている部分は説明を割愛し、上述の実施形態と異なる部分を特に説明する。特に説明しない点については、上述の実施形態における説明が適宜適用される。
<第2の実施形態>
図2に示すフィルム状の麻酔薬201は、麻酔成分層202における使用時に使用者の皮膚表面や粘膜表面に当接しない非接触面を粘着層203で覆ってなる。また、粘着層203の中央部には可食インクを用いて形成された円形の目印部205が設けられている。さらに、把持部204が粘着層203の縁部に形成されている。
麻酔成分層202の厚さや大きさは上述の図1に示す形態と同様であり、麻酔成分層202と積層された粘着層203の厚さは、200〜3000μmとするのが好ましい。
また、本実施形態の麻酔薬に用いることができる可食インクとしては、上述の着色剤を特に制限なく用いることができる。
本実施形態のフィルム状の麻酔薬201は、上述の図1に示す麻酔薬と同様に把持部204をピンセットで把持して使用に供することができる。また、上述の図1に示す形態の麻酔薬と同じ効果を奏し、特に可食インキで形成された目印部205が注射の目印として好適であり、さらにハンドリングに優れたものである。また、麻酔成分層の外表面が粘着層で覆ってあるので、使用者の口腔内に貼りつけて使用した場合に麻酔成分の苦み等不快な味を使用者が感じることなく、不快感なく麻酔処理を施すことができる。
【0030】
<第3の実施形態>
図3に示すフィルム状の麻酔薬401は、麻酔成分層402のみからなるフィルムの非接触面側を難水溶性フィルム406と粘着層403のみからなるフィルムとの積層フィルムで粘着層403がフィルム402に当接するように覆ってなる。そして、難水溶性フィルム406の表面に把持部404が形成されており、その頂面に目印部405が設けられている。
この際用いられる難水溶性フィルムとしては、以下の難水溶性基剤を原料としてなるフィルムを挙げることができる。このフィルムは上述の可食フィルムと、上記水溶性基剤に代えて上記難水溶性フィルムを用いた以外は同様の構成成分を同様の製造方法で製造することで得ることができる。
難水溶性基剤:エチルセルロース(EC)、ヒプロメロースフタル酸エステル(HPMCP)、セラック、寒天、カラギーナン、ツェイン、酢酸セルロース(AC)等。
本発明においては、基層にはエチルセルロース(EC)が特に好ましく用いられる。
難水溶性フィルムの厚みは、30〜100μmとするのが好ましい。
本実施形態のフィルム状の麻酔薬401は、上述のように構成されているのでフィルム状の麻酔薬を確実に固定しつつ、麻酔薬の苦みを患者に感じさせない効果を発揮させることができ、より確実に患者の苦痛を軽減して麻酔処理を施すことができる。
【0031】
<第4の実施形態>
図4に示すフィルム状の麻酔薬501は、麻酔成分層502を中心にしてその周囲にO字状の粘着層503を配してなるフィルム(図1に示す形態のフィルム状の麻酔薬と同じ)と難水溶性フィルム506とを積層してなる。そして、難水溶性フィルム506の表面に把持部504が形成されており、その頂面に目印部505が設けられている。
本実施形態のフィルム状の麻酔薬501は、上述のように構成されているのでフィルム状の麻酔薬を確実に固定しつつ、麻酔薬の苦みを患者に感じさせない効果を発揮させることができ、より確実に患者の苦痛を軽減して麻酔処理を施すことができる。
【0032】
なお、本発明は上述の実施形態に制限されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
たとえば、上述の例では円形のものを例示して説明したが、これに制限されず、矩形、台形、三角形、星形、十字状等種々形態とすることができる。
また、本発明のフィルム状の麻酔薬においては、目印部としての突起部を接触面側に設け、本発明の麻酔薬による麻酔を行った後麻酔薬を剥し、上記突起部により粘膜表面に形成される窪みを注射の目印とすることもできる。また、目印部を転写可能な可食インクにより接触面側に設けることもできる。
口腔内だけではなく皮膚外用の麻酔薬として用いることができる。
また、第3又は第4の実施形態における難水溶性フィルムの表面に2〜5mmの直径、深さは50〜1000μmの凹みを形成することにより目印部を形成することもできる。
ここで水溶性フィルムの厚さは150〜3000μmであり、難水溶性食用フィルムの厚さは50〜100μmであるのが好ましく、全体の大きさは、円形である場合、直径3mm〜10mmの大きさとするのが好ましい。形は三角形、矩形、六角形、円形、楕円形状とすることができる。
また上述の実施形態においては印刷により目印部を形成した例を示して説明したが、これに制限されず印刷を施さずに突起部そのものを目印部として機能させてもよい。
【実施例】
【0033】
以下、実施例及び比較例により本発明を更に具体的に説明するが本発明はこれらに制限されるものではない。
【0034】
〔実施例1〕
下記組成1からなる麻酔成分層用の原料30重量部を溶剤としての70重量%エタノール70重量部に溶解して、麻酔成分層形成用溶液を得た。
別に下記組成2からなる粘着層形成用の原料30重量部を溶剤としての精製水70重量部に溶解して、粘着層形成用溶液を得た。
得られた両溶液をベースフィルムとしてのPETフィルム上に塗布し、乾燥させて、所定形状に切断し、貼り合わせることにより図1に示す本発明のフィルム状の麻酔薬を得た。得られた麻酔薬の大きさは、全体の直径が20mm、麻酔成分層の直径が10mm、厚みが500μmである。
【0035】
【表1】

【0036】
〔実施例2〕
水溶性基材をヒドロキシプロピルメチルセルロースに代えてヒドロキシプロピルセルロースを用いた以外は実施例1と同様にして本発明のフィルム状の麻酔薬を得た。
【0037】
【表2】

【0038】
〔実施例3〕
水溶性基材をヒドロキシプロピルメチルセルロースに代えてポリビニルピロリドンを用いた以外は実施例1と同様にして本発明のフィルム状の麻酔薬を得た。
【0039】
【表3】

【0040】
〔試験例〕
得られた各フィルム状の麻酔薬について麻酔効果を下記試験方法に準じて確認した。その結果、本発明のフィルム状の麻酔薬は、表4に示す結果から明らかなように、貼り付け後90秒か120秒程度で通常の注射器で麻酔薬を注入した場合と同様に優れた麻酔効果を示した。また、各モニターの感想として、フィルム状であるので注射のときのような苦痛がなく、麻酔を行うことができた。また、その効果は中央部近辺に集中したもので、患者の違和感は通常の注射による麻酔に比して軽いものであった。そのため治療終了後に相当する貼り付けから30分後には違和感なく咀嚼行為を行うことができた。また感応評価としては貼り付け中の違和感はほとんどなく使用感にも優れたものであった。
<試験方法>
得られた各フィルム状の麻酔薬について以下の要領で効果の確認を行った。各フィルム状の麻酔薬を、ピンセットを用いて歯茎に2分間貼り付けた。
リドカイン含有量40重量%の10mm×10mm、厚み 460μm、重さ 50mgのフィルム状の麻酔薬をモニター6名に貼り付けてもらい、貼り付けた後、30秒、60秒、90秒、120秒における麻酔効果を、貼り付けた個所に刺激を与え、その際に当該刺激を感じる場合には「効果なし」とし、刺激を感じない場合には「効果発現」又は「効果持続」として判定した。
結果を表4に示す。
【0041】
【表4】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
可食性でフィルム状の麻酔薬であって、
水溶性基剤を含有してなる可食フィルム中に麻酔成分が分散混合されてなる麻酔成分層と、皮膚表面又は粘膜表面に対する粘着性の高い粘着層と、を具備してなり、使用者の皮膚表面又は粘膜表面に接する接触面は、上記麻酔成分層と上記粘着層とにより構成されているフィルム状の麻酔薬。
【請求項2】
麻酔薬を挟持容易とする把持部が設けられている請求項1記載のフィルム状の麻酔薬。
【請求項3】
上記把持部は、上記接触面の反対側の面のほぼ中央に突起部を設けることで形成されている請求項2記載のフィルム状の麻酔薬。
【請求項4】
上記把持部は、麻酔薬の周縁の一部に突起部を設けることで形成されている請求項2記載のフィルム状の麻酔薬。
【請求項5】
上記麻酔成分層の中央部に各種処置を行う際の目印部が設けられている請求項1記載のフィルム状の麻酔薬。
【請求項6】
上記目印部は、麻酔成分層における上記接触面の反対側の面である非接触面に着色を施すことにより形成されている請求項5記載のフィルム状の麻酔薬。
【請求項7】
上記麻酔成分がエステル型局所麻酔剤又はアミド型局所麻酔薬であり、
上記麻酔成分層に用いられる水溶性基剤が、ポリアクリル酸、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)および/またはポリビニルピロリドン(PVP)である請求項1記載のフィルム状の麻酔薬。
【請求項8】
上記麻酔成分層及び又は上記粘着層における使用者の皮膚表面又は粘膜表面に接しない非接触面を難水溶性フィルムで覆ってなることを特徴とする請求項1記載のフィルム状の麻酔薬。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2012−254956(P2012−254956A)
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−128911(P2011−128911)
【出願日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【出願人】(591091043)ツキオカフィルム製薬株式会社 (38)
【Fターム(参考)】