説明

フィーダの取付構造

【課題】フィーダの着脱作業性を確保しながら、フィーダ取付時のフィーダの左右方向の位置精度を向上させる。
【解決手段】フィーダ13の下面側のガイドレール19をフィーダ載置台14のガイド溝18に差し込んで、フィーダ13に設けられたクランプ部材21によってフィーダ13を前方へ押し付けてクランプすることで、フィーダ13をフィーダ載置台14に前後方向に位置決めして着脱可能に取り付けるフィーダ取付構造において、フィーダ13の左右方向の位置決めをする位置決めピン33をフィーダ13に上下動可能に設け、フィーダ13の取付時には位置決めピン33を下降させてフィーダ載置台14のガイド溝18に嵌まり込ませることで、フィーダ13の左右方向の位置決めをする。フィーダ13の取り外し時には位置決めピン33をガイド溝18から上方に抜き出して退避させた状態にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品実装機のフィーダ載置台にフィーダを着脱可能に取り付けるフィーダの取付構造に関する発明である。
【背景技術】
【0002】
一般に、フィーダの取付構造は、特許文献1(特開2008−130851号公報)に記載されているように、フィーダの下面側のガイドレールを電子部品実装機のフィーダ載置台のガイド溝に差し込んで、フィーダの前端部に設けられた位置決めピンをフィーダ載置台の奥壁の位置決め孔に挿入してフィーダの前端部を位置決めしながら、フィーダの前端部のコネクタをフィーダ載置台の奥壁のコネクタに接続した状態で、フィーダに設けられたクランプ部材によってフィーダを前方(フィーダ載置台の奥壁)へ押し付けてクランプすることで、フィーダをフィーダ載置台に着脱可能に取り付けるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−130851号公報
【特許文献2】特開2009−158557号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1のフィーダの取付構造では、クランプ部材によってフィーダを前方へ押し付けることで、フィーダを前後方向に位置決めできるが、フィーダの左右方向の位置決めに関しては、フィーダの下面側のガイドレールをフィーダ載置台のガイド溝に差し込むだけであるため、ガイドレール側面とガイド溝の縁部との間の遊び(隙間)の範囲内でフィーダの左右方向の位置ずれが生じ、このフィーダの左右方向の位置ずれが電子部品実装機の吸着ノズルの部品吸着位置の左右方向の位置ずれとなり、これが吸着ノズルの部品吸着動作の安定性を低下させる一因となる。近年の電子部品の微小化に伴ってフィーダの左右方向の位置ずれ(部品吸着位置の左右方向の位置ずれ)を小さくする必要がある。
【0005】
この対策として、ガイドレール側面とガイド溝の縁部との間の遊びを小さくすることが考えられるが、この遊びを小さくすると、フィーダの着脱時にガイドレールをガイド溝に沿ってスライド移動させる際に、ガイドレール側面に作用する摩擦抵抗力が増大してフィーダの着脱作業性が悪くなる。従って、フィーダの着脱作業性を確保するには、ガイドレール側面とガイド溝の縁部との間の遊び量をある程度確保する必要がある。
【0006】
また、特許文献2(特開2009−158557号公報)に記載されているように、フィーダの下面側に2つの位置決めピンを下方に突出させて設けると共に、フィーダ載置台に2つの位置決め穴を設け、電子部品実装機のフィーダ載置台にフィーダを取り付ける際に、フィーダの2つの位置決めピンをフィーダ載置台の2つの位置決め穴に差し込むことで、フィーダの左右方向の位置ずれを防止するようにしたものがある。
【0007】
しかし、上記特許文献2の技術では、フィーダの下面側に位置決めピンが下方に突出した状態で固定されているため、フィーダの着脱時にフィーダ載置台上でフィーダをスライド移動させる際に、フィーダから下方に突出した位置決めピンがスライド移動の邪魔になって、フィーダをスムーズにスライド移動させることが困難になり、フィーダの着脱作業性が悪化するという欠点がある。
【0008】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、フィーダの着脱作業性を確保しながら、フィーダ取付時のフィーダの左右方向の位置精度を向上できるフィーダの取付構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、請求項1に係る発明は、フィーダの下面側のガイドレールを、電子部品実装機のフィーダ載置台のガイド溝に差し込んで、前記フィーダに設けられたクランプ部材によって前記フィーダを前方へ押し付けてクランプすることで、前記フィーダを前記フィーダ載置台に前後方向に位置決めして着脱可能に取り付けるフィーダの取付構造において、前記フィーダの左右方向の位置決めをする位置決め部材を、前記フィーダに移動可能に設けると共に、前記位置決め部材を前記フィーダから下方に突出させて前記フィーダ載置台の嵌合部に嵌まり込ませて前記フィーダの左右方向の位置決めをする突出位置と、前記位置決め部材を前記嵌合部から上方に抜き出して退避させる退避位置との間を移動させる操作部材を設けた構成としたものである。
【0010】
この構成では、電子部品実装機のフィーダ載置台にフィーダを取り付けるときに、クランプ部材によってフィーダを前方へ押し付けてクランプすると共に、位置決め部材を突出位置に移動させてフィーダ載置台の嵌合部に嵌め込むことで、フィーダを前後方向及び左右方向に位置決めした状態に取り付けることができる。これにより、フィーダの左右方向の位置精度(部品吸着位置の左右方向の位置精度)を向上できて、吸着ノズルの部品吸着動作の安定性を向上できる。しかも、フィーダの着脱時には、位置決め部材をフィーダ載置台の嵌合部から上方に抜き出して退避位置に退避させることで、位置決め部材がフィーダ着脱時のスライド移動の邪魔にならず、フィーダをスムーズにスライド移動させることができて、フィーダの着脱作業性を損なうことがない。
【0011】
この場合、請求項2のように、クランプ部材は、フィーダを前方へ押し付けるクランプ位置と、フィーダの前方への押し付けを解除するアンクランプ位置との間を移動可能に設けられ、位置決め部材の移動を操作する操作手段は、クランプ部材の移動を操作する手段を兼用し、クランプ部材がクランプ位置に移動する動作に連動して位置決め部材が突出位置に移動し、クランプ部材がアンクランプ位置に移動する動作に連動して位置決め部材が退避位置に移動するように構成すると良い。このようにすれば、フィーダの着脱時に、作業者が1つの操作部材を操作するだけで、クランプ部材と位置決め部材の両方を適正な位置に移動させることができて、作業者がクランプ部材と位置決め部材を別々に操作する手間を省くことができ、フィーダの着脱作業性を更に向上できると共に、位置決め部材の誤操作を防止できる。
【0012】
本発明は、フィーダ載置台に、位置決め部材を嵌まり込ませる嵌合部をガイド溝とは別に形成しても良いが、請求項3のように、フィーダ載置台のガイド溝の一部を、位置決め部材を嵌まり込ませる嵌合部として使用するようにしても良い。このようにすれば、フィーダ載置台に位置決め部材用の嵌合部を新たに形成する必要がなく、従来と同様のフィーダ載置台に対しても、そのまま本発明を実施できる。
【0013】
また、クランプ部材によってフィーダが前方(フィーダ載置台の奥壁)へ押し付けられてフィーダの前端部が位置決めされるため、フィーダの前端部を支点にしてフィーダの後端部側がガイドレール側面とガイド溝の縁部との間の遊びの範囲内で左右方向に位置ずれしやすいという特性を考慮して、請求項4のように、フィーダのうちのフィーダ載置台に載置される部分の前後方向の中央よりも後側に位置決め部材を配置するようにすると良い。このようにすれば、フィーダの前端部側と位置決め部材とによってフィーダの前後方向及び左右方向の位置決め状態を安定して保持できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は本発明の一実施例における電子部品実装機のフィーダ載置台にフィーダを取り付けた状態を示す側面図である。
【図2】図2はクランプ時のクランプ部材及び位置決めピンの状態を示す側面図である。
【図3】図3はアンクランプ時のクランプ部材及び位置決めピンの状態を示す側面図である。
【図4】図4は位置決めピンがフィーダ載置台のガイド溝に嵌まり込んだ状態を示す縦断正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を実施するための形態を具体化した一実施例を説明する。
図1に示すように、電子部品実装機には、吸着ノズル11を下向きに保持する装着ヘッド12が設けられ、この装着ヘッド12の下方には、複数のフィーダ13を横一列に並べて載置するフィーダ載置台14が設けられている。
【0016】
フィーダ13は、多数の電子部品を一列に保持した部品供給テープが巻回されたリール15を着脱可能に装着したテープフィーダであり、その内部には、部品供給テープをピッチ送りする駆動源となるモータ(図示せず)と、該モータを制御するための制御部(図示せず)が内蔵され、該制御部は、フィーダ識別情報(ID)等の管理情報を記憶するメモリ(図示せず)を備えている。
【0017】
フィーダ13の前端部(差込み側端部)には、通信及び電源供給兼用のコネクタ16が設けられ、このコネクタ16をフィーダ載置台14の奥壁14aに設けられたコネクタ17に差し込み接続することで、電子部品実装機側からフィーダ13に電源を供給すると共に、フィーダ13の制御部と電子部品実装機の制御部(図示せず)との間で制御信号(部品要求信号、部品供給完了信号等)やフィーダ識別情報(ID)等の管理情報を送信又は受信するようになっている。尚、機械的に接続するコネクタ16,17に代えて、非接触で通信可能な非接触通信インターフェースや非接触で給電可能な非接触給電インターフェースを用いるようにしても良い。
【0018】
また、フィーダ13の前端部のうちのコネクタ16の上下両側には、コネクタ16,17の差し込み接続を案内するためのガイドピン41,42が設けられ、フィーダ載置台14上に載置したフィーダ13の各ガイドピン41,42が該フィーダ載置台14の奥壁14aの位置決め孔43,44に嵌まり込むことで、フィーダ載置台14上でフィーダ13の前端部が位置決めされるようになっている。
【0019】
フィーダ載置台14の上面には、フィーダ13を縦置き支持するための断面逆T字溝形のガイド溝18(図4参照)が設けられ、フィーダ13の下面側に設けられた断面逆T字形のガイドレール19を手前側からガイド溝18に差し込むことで、フィーダ載置台14上にフィーダ13が縦置き状態に支持されると共に、該フィーダ13に設けられたクランプ部材21がフィーダ載置台14のクランプ穴22に嵌まり込んで該フィーダ13を前方(フィーダ載置台14の奥壁14a側)へ押し付けてクランプすることで、該フィーダ13をフィーダ載置台14上に前後方向に位置決めして着脱可能に取り付けるようになっている。
【0020】
図2及び図3に示すように、クランプ部材21は、軸20を支点にして回動する「く」字形のレバー23の一端に軸24を介して回動可能に連結され、該レバー23の他端には、軸25を介してリンク26が回動可能に連結されている。リンク26は、フィーダ13の上部手前側に設けられた操作部材である操作レバー27(図1参照)の操作に連動して左右方向に移動し、それに連動して、レバー23が軸20を支点にして回動してクランプ部材21を上下動させるようになっている。これにより、操作レバー27をクランプ位置(図1の実線の位置)に操作すると、図2に示すように、クランプ部材21がフィーダ載置台14のクランプ穴22に嵌まり込んでフィーダ13を前方(フィーダ載置台14の奥壁14a側)へ押し付けてクランプした状態となり、操作レバー27をアンクランプ位置(図1の二点鎖線の位置)に操作すると、図3に示すように、クランプ部材21がクランプ穴22から斜め上方に引き上げられてクランプ状態(フィーダ13の前方への押し付け状態)を解除したアンクランプ状態となる。
【0021】
クランプ部材21、レバー23、リンク26の少なくとも1つには、クランプ部材21をクランプ方向(斜め下方)に付勢するためのばね等の付勢手段(図示せず)が設けられ、この付勢手段の付勢力によってクランプ状態が保持されるようになっている。クランプ部材21には、該クランプ部材21の移動方向を斜め上下方向に規制する長孔29が形成され、この長孔29がガイド軸30に嵌まり込むことで、クランプ部材21の移動方向が斜め上下方向に規制されている。
【0022】
レバー23の近傍には、クランプ/アンクランプの切り換えを検出する安全スイッチ31が設けられ、図2に示すように、クランプ部材21がフィーダ載置台14のクランプ穴22に嵌まり込んだクランプ状態になると、レバー23が安全スイッチ31のアクチュエータ32を押し込んで該安全スイッチ31がオン状態(検出状態)に切り換えられ、図3に示すように、クランプ部材21がクランプ穴22から斜め上方に引き上げられてアンクランプ状態となると、レバー23が安全スイッチ31のアクチュエータ32から離れて該安全スイッチ31がオフ状態(非検出状態)に切り換えられる。これにより、フィーダ13の制御部及び/又は電子部品実装機の制御部が安全スイッチ31がオンかオフかを判別することで、クランプ状態かアンクランプ状態かを判別できるようになっている。
【0023】
フィーダ13には、該フィーダ13の左右方向の位置決めをする位置決めピン33(位置決め部材)がクランプ部材21の近傍に上下動可能に設けられている。この位置決めピン33は、下向きに固定されたスプリングプランジャ34のロッド35に連結され、該スプリングプランジャ34内部のスプリング(図示せず)によって下方に付勢されている。位置決めピン33の上部(又はスプリングプランジャ34のロッド35)には、係合フランジ36が設けられ、クランプ部材21に形成された係合片37が係合フランジ36に下側から係合することで、クランプ部材21の上下動と連動して位置決めピン33が上下動するようになっている。位置決めピン33は、円柱状であっても良いし、断面四角形等の角柱状の部材で形成したものであっても良い。
【0024】
本発明は、フィーダ載置台14に、位置決めピン33を嵌まり込ませる嵌合部をガイド溝18とは別に形成しても良いが、本実施例では、フィーダ載置台14のガイド溝18の一部を、位置決めピン33を嵌まり込ませる嵌合部として使用するようにしている。
【0025】
図2に示すように、クランプ部材21がクランプ位置に下降する際に、それまで位置決めピン33の係合フランジ36を押し上げていたクランプ部材21の係合片37も下降するため、スプリングプランジャ34内部のスプリングによって位置決めピン33が下方の突出位置まで押し下げられてガイド溝18に嵌まり込んだ状態になる(図4参照)。位置決めピン33の下端部は、ガイド溝18に嵌まり込みやすいようにテーパ状に形成されている。
【0026】
図4に示すように、位置決めピン33の直径は、ガイド溝18の開口幅(溝幅)よりも僅かに小さく且つガイドレール19の厚み寸法よりも大きく形成されている。これにより、位置決めピン33がガイド溝18に嵌まり込んだ状態になると、位置決めピン33とガイド溝18の縁部との間の遊び(隙間)が、ガイドレール19側面とガイド溝18の縁部との間の遊びよりも小さくなり、フィーダ13の左右方向の位置決めがなされる。この状態では、フィーダ13に左右方向から外力が作用しても、フィーダ13の左右方向の位置ずれ(部品吸着位置の左右方向の位置ずれ)が小さくなり、部品吸着位置の左右方向の位置精度が向上する。
【0027】
位置決めピン33の位置は、フィーダ載置台14のガイド溝18の上方であれば、どの位置であっても良いが、本実施例では、フィーダ13のうちのフィーダ載置台14に載置される部分の前後方向の中央よりも後側に位置決めピン33を配置している。この理由は、クランプ部材21によってフィーダ13が前方(フィーダ載置台14の奥壁14a)へ押し付けられてフィーダ13の前端部がガイドピン41,42で位置決めされるため、フィーダ13の前端部を支点にしてフィーダ13の後端部側がガイドレール19側面とガイド溝18の縁部との間の遊びの範囲内で左右方向に位置ずれしやすいという特性を考慮したものである。従って、フィーダ13のうちのフィーダ載置台14に載置される部分の前後方向の中央よりも後側に位置決めピン33を配置すれば、フィーダ13の前端部側と後側の位置決めピン33とによってフィーダの前後方向及び左右方向の位置決め状態を安定して保持できる。
【0028】
次に、フィーダ載置台14へのフィーダ13の着脱方法を説明する。
フィーダ13をフィーダ載置台14に取り付ける場合は、まず、操作レバー27をアンクランプ位置(図1の二点鎖線の位置)に操作する。これにより、図3に示すように、クランプ部材21が上方のアンクランプ位置に移動してフィーダ13内に引っ込んだ状態になると共に、該クランプ部材21の係合片37によって位置決めピン33がスプリングプランジャ34の付勢力に抗して退避位置まで押し上げられた状態となる。これにより、クランプ部材21と位置決めピン33がフィーダ13の着脱に邪魔にならない位置に退避した状態となる。
【0029】
この状態で、フィーダ13の下面側のガイドレール19をフィーダ載置台14のガイド溝18に手前側から差し込み、該フィーダ13の前端部のガイドピン41,42をフィーダ載置台14の奥壁14aの位置決め孔43,44に挿入して、フィーダ13の前端部を位置決めしながら該フィーダ13のコネクタ16をフィーダ載置台14の奥壁14aのコネクタ17に差し込み接続する。
【0030】
この作業により、フィーダ13の前端部がフィーダ載置台14の奥壁14aに突き当たった時点で、操作レバー27をクランプ位置(図1の実線の位置)に操作する。これにより、図2に示すように、クランプ部材21がフィーダ載置台14のクランプ穴22に嵌まり込んでフィーダ13を前方(フィーダ載置台14の奥壁14a側)へ押し付けてクランプした状態となり、その過程で、レバー23が安全スイッチ31のアクチュエータ32を押し込んで該安全スイッチ31がオン状態に切り換えられると共に、クランプ部材21がクランプ位置に下降する際に、それまで位置決めピン33の係合フランジ36を押し上げていたクランプ部材21の係合片37も下降するため、スプリングプランジャ34の付勢力によって位置決めピン33が下方の突出位置まで押し下げられてガイド溝18に嵌まり込んだ状態になる(図4参照)。これにより、フィーダ載置台14上でフィーダ13が前後方向及び左右方向に位置決めされた状態に取り付けられる。
【0031】
一方、フィーダ載置台14上に取り付けたフィーダ13を取り外す場合は、まず、操作レバー27をアンクランプ位置(図1の二点鎖線の位置)に操作する。これにより、図3に示すように、クランプ部材21がクランプ穴22から斜め上方に引き上げられてクランプ状態(フィーダ13の前方への押し付け状態)を解除したアンクランプ状態となり、その過程で、レバー23が安全スイッチ31のアクチュエータ32から離れて該安全スイッチ31がオフ状態に切り換えられると共に、クランプ部材21の係合片37によって位置決めピン33がスプリングプランジャ34の付勢力に抗して退避位置まで押し上げられた状態となる。これにより、クランプ部材21と位置決めピン33がフィーダ13の着脱に邪魔にならない位置に退避した状態となる。この状態で、フィーダ13を手前側に引き出せば、フィーダ13の下面側のガイドレール19がフィーダ載置台14のガイド溝18から抜き出されて、フィーダ13がフィーダ載置台14から取り外される。
【0032】
以上説明した本実施例では、フィーダ載置台14にフィーダ13を取り付けるときに、クランプ部材21によってフィーダ13を前方へ押し付けてクランプすると共に、位置決めピン33を下方に突出させてフィーダ載置台14のガイド溝18に嵌め込むことで、フィーダ13を前後方向及び左右方向に位置決めした状態に取り付けることができる。これにより、フィーダ13の左右方向の位置精度(部品吸着位置の左右方向の位置精度)を向上できて、吸着ノズル11の部品吸着動作の安定性を向上できる。しかも、フィーダ13の着脱時には、位置決めピン33をフィーダ載置台14のガイド溝18から上方に押し上げて退避位置に退避させることで、位置決めピン33がフィーダ13の着脱時のスライド移動の邪魔にならず、フィーダ13をスムーズにスライド移動させることができて、フィーダ13の着脱作業性を損なうことがない。
【0033】
しかも、本実施例では、クランプ部材21の移動を操作する操作レバー27を、位置決めピン33の移動を操作する操作手段としても兼用し、クランプ部材21がクランプ位置に移動する動作に連動して位置決めピン33が突出位置に移動し、クランプ部材21がアンクランプ位置に移動する動作に連動して位置決めピン33が退避位置に移動するように構成したので、フィーダ13の着脱時に、作業者が1つの操作レバー27を操作するだけで、クランプ部材21と位置決めピン33の両方を適正な位置に移動させることができて、作業者がクランプ部材21と位置決めピン33を別々に操作する手間を省くことができ、フィーダ13の着脱作業性を更に向上できると共に、位置決めピン33の誤操作を防止できる。
【0034】
但し、本発明は、位置決めピン33の移動を操作する操作手段と、クランプ部材21の移動を操作する手段とを別々に設けても良く、この場合でも、本発明の所期の目的は十分に達成できる。
【0035】
また、本実施例では、フィーダ載置台14のガイド溝18の一部を、位置決めピン33を嵌まり込ませる嵌合部として使用するようにしたので、フィーダ載置台14に位置決めピン33用の嵌合部を新たに形成する必要がなく、従来と同様のフィーダ載置台14に対しても、そのまま本発明を実施できる利点がある。
【0036】
但し、本発明は、フィーダ載置台14に位置決めピン33を嵌まり込ませる嵌合部をガイド溝18とは別に形成しても良く、この場合でも、本発明の所期の目的は十分に達成できる。
【0037】
その他、本発明は、本実施例の構成に限定されるものではなく、例えば、クランプ部材21の移動と位置決めピン33の移動とを連動させる構成を変更したり、位置決めピン33を上下動させる構成を変更しても良い等、要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施できる。
【符号の説明】
【0038】
11…吸着ノズル、12…装着ヘッド、13…フィーダ、14…フィーダ載置台、14a…奥壁、15…リール、16,17…コネクタ、18…ガイド溝、19…ガイドレール、21…クランプ部材、22…クランプ穴、23…レバー、26…リンク、27…操作レバー(操作部材)、31…安全スイッチ、33…位置決めピン(位置決め部材)、34…スプリングプランジャ、36…係合フランジ、37…係合片、41,42…ガイドピン、43,44…位置決め孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィーダの下面側に設けられたガイドレールを、電子部品実装機のフィーダ載置台のガイド溝に差し込んで、前記フィーダに設けられたクランプ部材によって前記フィーダを前方へ押し付けてクランプすることで、前記フィーダを前記フィーダ載置台に前後方向に位置決めして着脱可能に取り付けるフィーダの取付構造において、
前記フィーダの左右方向の位置決めをする位置決め部材が前記フィーダに移動可能に設けられ、
前記位置決め部材を前記フィーダから下方に突出させて前記フィーダ載置台の嵌合部に嵌まり込ませて前記フィーダの左右方向の位置決めをする突出位置と、前記位置決め部材を前記嵌合部から上方に抜き出して退避させる退避位置との間を移動させる操作部材が設けられていることを特徴とするフィーダの取付構造。
【請求項2】
前記クランプ部材は、前記フィーダを前方へ押し付けるクランプ位置と、前記フィーダの前方への押し付けを解除するアンクランプ位置との間を移動可能に設けられ、
前記操作手段は、前記クランプ部材の移動を操作する手段を兼用し、前記クランプ部材が前記クランプ位置に移動する動作に連動して前記位置決め部材が前記突出位置に移動し、前記クランプ部材が前記アンクランプ位置に移動する動作に連動して前記位置決め部材が前記退避位置に移動するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載のフィーダの取付構造。
【請求項3】
前記フィーダ載置台のガイド溝の一部を、前記位置決め部材を嵌まり込ませる前記嵌合部として使用することを特徴とする請求項1又は2に記載のフィーダの取付構造。
【請求項4】
前記位置決め部材は、前記フィーダのうちの前記フィーダ載置台に載置される部分の前後方向の中央よりも後側に配置されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のフィーダの取付構造。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate