説明

フィールドシーケンシャル画像表示装置

【課題】 輝度ムラと色にじみが発生させることなく、カラーブレイクの発生を低減することができるフィールドシーケンシャル画像表示装置を提供する。
【解決手段】 照明手段17は、第一の発光色にて液晶表示パネル15を照明する第一の発光素子18と、第二の発光色にて液晶表示パネル15を照明する第二の発光素子19とを有する。制御手段12は、照明手段17をフィールド毎に発光させる。制御手段12は、第一の所定期間Te,Tg,Tk,Tpにおいて、第一の発光素子18及び第二の発光素子19の少なくとも一方の発光輝度を漸次高くさせると共に、第二の所定期間Tf,Th,Tn,Tsにおいて、第一の発光素子18及び第二の発光素子19の少なくとも一方の発光輝度を漸次低くさせる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィールド順次駆動方式により画像を表示するフィールドシーケンシャル画像表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、画像1フレームがN個(Nは2以上の整数)のフィールドからなり、このフィールドに対応して、複数色の発光素子を順次点灯させるフィールドシーケンシャル画像表示装置が種々提案されており、例えば特許文献1に開示されている。斯かるフィールドシーケンシャル画像表示装置は、1フレームをN分割したフィールド毎に、液晶表示パネルに単位色画像を表示すると共に、前記単位色画像に対応する照明色にて液晶表示パネルを透過照明するものである。
【特許文献1】特開2000−199886号公報
【0003】
フィールドシーケンシャル画像表示装置は、カラーフィルタを有しない液晶表示パネルを用いてカラー画像を表示するものであり、液晶表示パネルの画素ラインに単位色画像データを最上ラインから最下ラインまで書込み、液晶表示パネルに2色以上の単位色画像を順次表示させ、フィールド毎に前記単位色画像データに対応する色の照明光を発光素子から照射することにより、各単位色画像の視覚的な混合によりカラー画像を表示する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、各フィールドの始まりから終わりまで発光素子を点灯させると、液晶表示パネルの透過率の時間的なムラによって、表示画面に輝度ムラや色にじみが生じるという問題を有していた。また、表示画面の輝度ムラを改善するため、液晶表示パネルの透過率のムラがなくなる期間のみ各色の発光素子を点灯させると、ある色の発光素子が点灯した後に、次の異なる色の発光素子が点灯するまでに間が開いてしまうために、カラーブレイクが生じやすくなるという問題を有していた。
本発明は、この問題に鑑みなされたものであり、輝度ムラと色にじみが発生させることなく、カラーブレイクの発生を低減することができるフィールドシーケンシャル画像表示装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、請求項1に記載したように、液晶表示パネル15と、第一の発光色にて前記液晶表示パネル15を照明する第一の発光素子18及び第二の発光色にて前記液晶表示パネル15を照明する第二の発光素子19を有する照明手段17と、前記照明手段17をフィールド毎に発光させる制御手段12と、を備え、フィールド順次駆動方式により画像を表示するフィールドシーケンシャル画像表示装置であって、前記制御手段12は、前記フィールド内の第一の所定期間Te,Tg,Tk,Tpにおいて、前記第一の発光素子18及び前記第二の発光素子19の少なくとも一方の発光輝度を漸次高くさせると共に、前記フィールド内の第二の所定期間Tf,Th,Tn,Tsにおいて、前記第一の発光素子18及び前記第二の発光素子19の少なくとも一方の発光輝度を漸次低くさせるものである。
【0006】
また、本発明は、請求項2に記載したように、前記制御手段12は、前記第一の発光素子18及び前記第二の発光素子19を三角波にて駆動するものである。
【0007】
また、本発明は、請求項3に記載したように、前記制御手段12は、前記第一の発光素子18及び前記第二の発光素子19を台形波にて駆動するものである。
【発明の効果】
【0008】
各フィールド内において、照明手段の発光輝度を徐々に変化させることによって、表示画面の輝度ムラと色にじみが発生させることなく、カラーブレイクの発生を低減することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、添付図面に基づいて、本発明をヘッドアップディスプレイに応用した一実施形態を説明する。図1乃至図4は、第一実施形態を示すものである。
車載用表示装置1は、車両のダッシュボード2に配設されており、表示光Lをフロントガラス3に投射し、虚像Vを表示させる。車載用表示装置1は、液晶表示器11と、制御手段12と、反射器13とを備えている。液晶表示器11,反射器13は、ハウジング14に収容されている。
【0010】
液晶表示器11は、液晶表示パネル15,照明手段17,ダイクロイックミラー20,ヒートシンク21,22を有している。
液晶表示パネル15は、ポリシリコン型TFT液晶セルの前後両面に偏光膜を貼着したものである。照明手段17は、赤色発光する発光ダイオード18と、緑色発光する発光ダイオード19とからなるものである。発光ダイオード18が発した照明光Rはダイクロイックミラー20で反射され、液晶表示パネル15を透過照明する。発光ダイオード19が発した照明光Gはダイクロイックミラー20を透過して、液晶表示パネル15を透過照明する。
【0011】
ダイクロイックミラー20は、傾斜配置されており、発光ダイオード18が発した光を反射させると共に、発光ダイオード19が発した光を透過させる。ヒートシンク21,22は、熱伝導性が良好な金属(例えばアルミニウム)からなるものであり、複数の放熱フィン21a,22aを有している。ヒートシンク21,22は、発光ダイオード18,19が発した熱をハウジング14の外に放出する。
制御手段12は、制御回路23及び駆動回路24,25,26からなるものである。制御回路23は、駆動回路24を介して、液晶表示パネル15に画像を表示させると共に、駆動回路25,26を介して、発光ダイオード18,19を所定シーケンスにより点灯させる。
【0012】
反射器13は、凹面鏡28,ミラーホルダー29,歯車30及びステッピングモータ31からなるものである。凹面鏡28は、表示光Lを反射させ、車両のフロントガラス3に投射する。凹面鏡28はミラーホルダー29に両面粘着テープにより接着されている。凹面鏡28は、ポリカーボネート(PC)等の樹脂にアルミニウム(Al)を蒸着させ反射膜を形成したものである。ミラーホルダー29はPBT等の樹脂からなるものであり、歯車部29a及び軸部29bが一体に形成されている。
【0013】
ステッピングモータ31は、凹面鏡28を回動させ、表示光Lの投射方向を調整する。歯車30はステッピングモータ31の回動軸に取付けられており、歯車部29aと噛み合わされている。車両運転者Dは、押ボタンスイッチ(図示しない)を操作し、表示光Lが目の位置に反射されるように、凹面鏡28の角度を調整する。
【0014】
ハウジング14は、上側ケース41と下側ケース42とからなるものであり、上側ケース41には、表示光Lが出射する窓部44が設けられている。この窓部44は、透光性樹脂(例えばアクリル)からなるものであり、湾曲形状になっている。ハウジング14の上側ケース41には遮光壁14aが設けられており、太陽光等の外光が液晶表示パネルに入射し虚像Vが見えにくくなる現象(ウォッシュアウト)を防止している。遮光壁14aは平板形状になっており、上側ケース41の上部から斜めに垂下するように形成されている。
【0015】
図4は、液晶表示パネル15への画像書込みシーケンスと、発光ダイオード18,19の点灯シーケンスとを示すタイミング図である。
制御回路23は、駆動回路24を介して、赤色表示フィールドの画像書込み期間Taにおいて、液晶表示パネル15に赤色画像データを書込み、緑色表示フィールドの画像書込み期間Tbにおいて、液晶表示パネル15に緑色画像データを書込む。制御回路23は、フィールド毎に、液晶表示パネル15の最上ラインから最下ラインまで、画像データを順次書込むため、画像書込み期間Ta,Tbの開始時点で最上ラインの液晶が立ち上がり始め、画像書込み期間Ta,Tbの終了時点で最下ラインの液晶が立ち上がり始める。
【0016】
制御回路23は、駆動回路25を介して、赤色表示フィールドの画像書込み期間Taの終了後から所定発光期間Tcで発光ダイオード18を点灯させる。また、制御回路23は、駆動回路26を介して、緑色表示フィールドの画像書込み期間Tbの終了後から所定発光期間Tdで発光ダイオード19を点灯させる。
【0017】
制御回路23は、所定発光期間Tcにおける所定期間Teで、発光ダイオード18の発光輝度を直線的に所定レベルまで徐々に上昇させ、その後、所定期間Tfで、発光ダイオード18の発光輝度を前記所定レベルから徐々に低下させる。また、制御回路23は、前記所定発光期間Tdにおける所定期間Tgで、発光ダイオード19の発光輝度を直線的に所定レベルまで徐々に上昇させ、その後、所定期間Thで、発光ダイオード19の発光輝度を前記所定レベルから徐々に低下させる。つまり、発光ダイオード18,19の点灯シーケンスにおける駆動波形は、三角波になっている。
【0018】
図5は、第二実施形態を示すものである。第二実施形態は、発光ダイオード18,19の駆動波形のみが異なるだけであり、他の構成は第一実施形態と同様である。
【0019】
制御回路23は、前記所定発光期間Tcにおける所定期間Tkで、発光ダイオード18の発光輝度を直線的に所定レベルまで徐々に上昇させ、その所定レベルを所定期間Tmだけ維持した後、所定期間Tnで発光ダイオード18の発光輝度を前記所定レベルから徐々に低下させる。また、制御回路23は、前記所定発光期間Tdにおける所定期間Tpで、発光ダイオード19の発光輝度を直線的に所定レベルまで徐々に上昇させ、その所定レベルを所定期間Trだけ維持した後、所定期間Tsで発光ダイオード19の発光輝度を前記所定レベルから徐々に低下させる。つまり、発光ダイオード18,19の点灯シーケンスにおける駆動波形は、台形波になっている。
【0020】
第一,第二実施形態によれば、各表示フィールド内において、発光ダイオード18,19の発光輝度を緩やかに変化させ、表示画面の輝度ムラを低減することができ、且つ、画像書込み期間Ta,Tbは、発光ダイオード18,19を発光させないため、色にじみが発生させることなく、カラーブレイクの発生を低減することができる。
なお、第一,第二実施形態では、発光素子として発光ダイオード18,19を用いるものであったが、例えば、発光素子として有機ELを用いても良い。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の第一実施形態を示す概観図。
【図2】同上実施形態を示す断面図。
【図3】同上実施形態を示すブロック図。
【図4】同上実施形態を示すタイミング図。
【図5】本発明の第二実施形態を示すタイミング図。
【符号の説明】
【0022】
12 制御手段
15 液晶表示パネル
17 照明手段
18 発光ダイオード(第一の発光素子)
19 発光ダイオード(第二の発光素子)
Te 第一の所定期間
Tf 第二の所定期間
Tg 第一の所定期間
Th 第二の所定期間
Tk 第一の所定期間
Tn 第二の所定期間
Tp 第一の所定期間
Ts 第二の所定期間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液晶表示パネルと、第一の発光色にて前記液晶表示パネルを照明する第一の発光素子及び第二の発光色にて前記液晶表示パネルを照明する第二の発光素子を有する照明手段と、前記照明手段をフィールド毎に発光させる制御手段と、を備え、フィールド順次駆動方式により画像を表示するフィールドシーケンシャル画像表示装置であって、
前記制御手段は、前記フィールド内の第一の所定期間において、前記第一の発光素子及び前記第二の発光素子の少なくとも一方の発光輝度を漸次高くさせると共に、前記フィールド内の第二の所定期間において、前記第一の発光素子及び前記第二の発光素子の少なくとも一方の発光輝度を漸次低くさせることを特徴とするフィールドシーケンシャル画像表示装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記第一の発光素子及び前記第二の発光素子を三角波にて駆動することを特徴とする請求項1に記載のフィールドシーケンシャル画像表示装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記第一の発光素子及び前記第二の発光素子を台形波にて駆動することを特徴とする請求項1に記載のフィールドシーケンシャル画像表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−139776(P2009−139776A)
【公開日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−317905(P2007−317905)
【出願日】平成19年12月10日(2007.12.10)
【出願人】(000231512)日本精機株式会社 (1,561)
【Fターム(参考)】