説明

フイルムスキャナ用情報検出装置。

【課題】 配置スペースの増加及び装置構成の複雑化によるコスト増加のないフイルムスキャナ用情報検出装置を提供することを目的とする。
【解決手段】 フイルムスキャナには、写真フイルムのコマ画像を読み取る際に、予めコマ画像の画面位置やサイズなどの予備情報を検出する複数の光学センサが組み込まれる。この光学センサのセンサ光を発する光源として、異なる波長の複数種類の光を発光する発光素子ユニット52が使用される。発光素子ユニット52は、異なる波長の光を発するチップ型LED54G,54O,54Wを台座56上に配列し、それらを1パッケージ化したものである。各LED54G,54O,54Wは、それぞれ、緑色,橙色,白色の光を発する。発光素子ユニット52の発光色は、予備情報の種類や、写真フイルムの種類に応じて切り替えられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
写真フイルム上のコマ画像を読み取るフイルムスキャナに用いられるフイルムスキャナ用情報検出装置であり、さらに詳しくは、写真フイルム上のコマ画像の画面位置や大きさなど、コマ画像の読み取りの際に必要な予備情報を検出するフイルムスキャナ用情報検出装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
カラーネガフイルム、白黒フイルム、リバーサルフイルムなどの写真フイルムに光を照射して、その透過光をCCDイメージセンサなどの撮像手段で受光して光電変換することにより、写真フイルムに記録されたコマ画像を読み取って、デジタルな画像データとして取り込むフイルムスキャナが知られている(例えば、下記特許文献1参照)。
【0003】
写真フイルムは、フイルムキャリア内の搬送路を通ってCCDイメージセンサと対向する読み取り位置に送られて、コマ画像の読み取りが行われる。適切なコマ画像の読み取りを行うためには、写真フイルム上のコマ画像の画面位置及び大きさの把握が不可欠である。そこで、フイルムスキャナでは、コマ画像の読み取りが行われるまでの間に、まず、搬送路内の特定位置で写真フイルムの有無を検出して、写真フイルムが正常に供給されたか否かを調べ、この後、コマ画像の搬送方向における画面位置や、コマ画像の幅方向の大きさを検出する。
【0004】
こうしたコマ画像の予備情報の検出は、写真フイルムにセンサ光を照射する光源と、この光源と対向する位置に配置され、写真フイルムを透過したセンサ光を受光する受光部とからなる光学センサによって行われる。フイルム検出は、光源と受光部との間に写真フイルムが存在しない状態での受光レベルと、写真フイルムの先端が光源と受光部との間に進入したときの受光レベルの差に基づいて行われる。コマ画像の画面位置及び大きさは、写真フイルムの未露光部分の濃度(ベース濃度)と、露光部分であるコマ画像の濃度との差に基づいて検出される。光源としては、例えば、LEDが使用され、受光部としては、CCDラインセンサやPSD(Position Sensitive Detector)センサが使用される。
【0005】
フイルムキャリアの搬送路上には、フイルムを検出するフイルム検出センサ,コマ画像の搬送方向の画面位置を検出する位置検出センサ,コマ画像の幅方向の大きさを検出するサイズ検出センサなど、予備情報の種類に応じた複数の光学センサが、並べて配列される。
【0006】
これら光学センサの検出精度を上げるためには、写真フイルムの色に応じて、センサ光の波長を適切に選択する必要がある。下記特許文献1のフイルムスキャナでは、カラーネガフイルムに適したセンサ光の発光波長を約600nm〜620nm(橙色)であるとし、この波長の光を発するLEDを光学センサの光源として使用している。
【0007】
【特許文献1】特開2004−118061号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、写真フイルムには、カラーネガフイルムの他に、白黒フイルムやリバーサルフイルムなど各種のものがあり、それぞれ色が異なるため、センサ光の最適な発光波長も異なる。このため、上記特許文献1記載のフイルムスキャナのように、特定の1種類の写真フイルムに適した波長のセンサ光を選択しても、当該写真フイルムに関しては良好な検出精度が得られるものの、種類が異なる写真フイルムに対しては、良好な精度が得られない。そこで、写真フイルムの種類に応じて、それぞれに適切な波長を発する複数種類のLEDを備えた光学センサを、搬送路上に並べて配置することが考えられる。
【0009】
しかし、上述したとおり、コマ読み取りの際に検出すべき予備情報は、複数種類(フイルム検出情報や位置情報及びサイズ情報)有り、それぞれに別々の光学センサが設けられている。これら複数種類の各光学センサについて、フイルムの種類に応じた光源を持つ複数の光学センサを設けるとなると、光学センサの数が徒に多くなり、配置スペースの確保が困難になるとともに、装置構成が複雑化してコストが増加するという問題が生じる。
【0010】
本発明は、配置スペースの増加及び装置構成の複雑化によるコスト増加のないフイルムスキャナ用情報検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明のフイルムスキャナ用情報検出装置は、写真フイルム上のコマ画像を読み取るフイルムスキャナに用いられ、前記コマ画像の読み取りに際して、前記写真フイルムに光源からセンサ光を照射して、そのセンサ光を受光部によって受光することにより、前記コマ画像の画面位置情報又はサイズ情報を含む予備情報を検出するフイルムスキャナ用情報検出装置において、前記光源は、1つの台座上に配列され波長が異なる複数種類のチップ型発光素子を1パッケージ化した発光素子ユニットであり、この発光素子ユニットの発光波長を制御する発光波長制御部が設けられていることを特徴とする。
【0012】
前記発光波長制御部は、写真フイルムの種類に応じて発光波長を切り替えることが好ましい。
【0013】
前記複数種類のチップ型発光素子には、カラーネガフイルムに適した橙色のセンサ光を発光する第1発光素子と、リバーサルフイルム及び白黒フイルムに適した白色のセンサ光を発光する第2発光素子とが含まれることが好ましい。
【0014】
さらに、前記予備情報には、フイルムキャリアの搬送路内の特定位置に写真フイルムが供給されたか否かを表すフイルム検出情報が含まれており、前記複数種類のチップ型発光素子には、このフイルム検出に適した緑色のセンサ光を発光する第3発光素子が含まれており、前記発光波長制御部は、前記予備情報の種類に応じて発光波長を切り替えることが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、写真フイルム上のコマ画像を読み取るフイルムスキャナに用いられ、前記コマ画像の読み取りに際して、前記写真フイルムに光源からセンサ光を照射して、そのセンサ光を受光部によって受光することにより、前記コマ画像の画面位置情報又はサイズ情報を含む予備情報を検出するフイルムスキャナ用情報検出装置において、前記光源を、1つの台座上に配列され波長が異なる複数種類のチップ型発光素子を1パッケージ化した発光素子ユニットとし、この発光素子ユニットの発光波長を制御する発光波長制御部を設けたから、配置スペースの増加、装置構成の複雑化によるコストの増加を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
図1に示すデジタルラボシステム10は、フイルムスキャナ11、画像処理装置12、画像出力装置13から構成される。画像出力装置13は、レーザー露光ユニット16とプロセッサ17から構成されている。フイルムスキャナ11は、写真フイルム18に記録されたコマ画像を光電的に読み取り、これをデジタルな画像データとして画像処理装置12に出力する。画像処理装置12は、前記画像データに対して画像処理を施して、プリントデータを作成する。また、画像処理装置12は、例えば、パーソナルコンピュータやワークステーションなどをベースに構成されており、デジタルラボシステム10全体を制御するコントローラとして機能する。
【0017】
レーザー露光ユニット16は、印画紙に対して、プリントデータに基づいてレーザー光を照射して走査露光する。プロセッサ17は、露光済みの印画紙に対して現像処理を施して写真プリントを出力する。
【0018】
フイルムスキャナ11は、ハロゲンランプ21、色分解フイルタ22R,22G,22B、拡散ボックス23、フイルムキャリア24、レンズユニット25,26、ファインスキャン用CCDセンサ27,プレスキャン用CCDセンサ28等からなるコマ画像読み取り部30と、コマ画像の読み取りを行う前に、コマ画像の画面位置情報やコマ画像のサイズ情報を含む予備情報を検出するセンサ部40からなる。
【0019】
ハロゲンランプ21は、コマ画像を読み取るための白色光を発光する。符合29は、ハロゲンランプ21の光を前方に向けて反射するリフレクタである。色分解フイルタ22R,22G,22bは、ハロゲンランプ21の光路上に選択的に進退自在に設けられており、前記白色光を、それぞれ赤色光(R),緑色光(G),青色光(B)の各色に分解する。分解された各色の光は拡散ボックス23を通って順次写真フイルム18に照射される。拡散ボックス23は、内面が反射面となっており、入射した光をこの反射面で反射させて拡散することにより、光量ムラを低減する。
【0020】
拡散ボックス23から出射した光は、フイルムキャリア24の搬送路上の第1読み取り位置P1と、第2読み取り位置P2とに向けて投光される。第1読み取り位置P1は、ファインスキャン用CCDセンサ27と対向する位置であり、第2読み取り位置P2は、プレスキャン用CCDセンサ27と対向する位置である。第1読み取り位置P1は、拡散ボックス23の出射面と対向しており、拡散ボックス23から出射した光がダイレクトに投光される。拡散ボックス23とフイルムキャリア24の間には、拡散ボックス23から出射する光の一部を、第2読み取り位置P2に向けて反射する反射板31が配置されている。反射板31で反射した光は反射板32に向かい、この反射板32でもう1度反射して第2読み取り位置P2に投光される。
【0021】
各読み取り位置P1,P2で写真フイルム18を透過した透過光は、各レンズユニット25,26によって、それぞれ各CCDセンサ27,28の光電面に結像される。各CCDセンサ27,28は、受光した画像光を光電変換して、受光レベルに応じたアナログの電気信号をA/Dコンバータ34に出力する。A/Dコンバータ34は、アナログの電気信号をデジタル信号に変換して、これをコマ画像データとして画像処理装置12へ出力する。プレスキャンは、本画像データを取得するファインスキャンに先だって、その読み取り条件(電荷蓄積時間など)を決定するために行われる。プレスキャンでは、ファインスキャンの読み取り画素数に対して、低画素数で読み取りが行われる。プレスキャンで読み取ったプレスキャンデータに基づいて、各コマ画像の記録濃度が測定されて、読み取り条件が決定される。
【0022】
フイルムキャリア24は、写真フイルム18の幅に対応した搬送路を構成するガイド板や、写真フイルム18を搬送する搬送ローラなどからなり、装填された写真フイルム18を、前記第1及び第2の各読み取り位置P1,P2に供給する。プレスキャンが行われる第2読み取り位置P2は、ファインスキャンが行われる第1読み取り位置P1よりも、写真フイルム18の搬送方向(図中の矢印A方向)の上流側に位置している。プレスキャンでは、低画素数で読み取りが行われるから、ファインスキャンよりも搬送速度が速い。このため、第1読み取り位置P1と、第2読み取り位置P2との間には、写真フイルム18をループ状に湾曲させて滞留させることにより、プレスキャン時の搬送速度(速い)と、ファインスキャン時の搬送速度(遅い)の速度差を緩衝する滞留機構36が設けられている。
【0023】
プレスキャンやファインスキャンを正確に行うためには、コマ画像の画面位置や、コマ画像のサイズを正確に把握する必要がある。センサ部40は、コマ画像読み取り部30の上流側に配置されており、コマ画像の読み取りの際に必要な予備情報を検出する。予備情報としては、搬送路内の特定位置に写真フイルム18が供給されたことを表すフイルム検出情報、コマ画像の搬送方向の画面位置情報,コマ画像の幅方向のサイズ情報がある。センサ部40は、これらの各情報を検出する複数種類のセンサ41〜43から構成される。
【0024】
各センサ41〜43は、センサ光を写真フイルム18に照射する光源41a〜43aと、前記センサ光を受光する受光部41b〜43bとからなる光学センサである。センサ41は、フイルム検出情報を取得するフイルム検出センサであり、写真フイルム18の先端がセンサ部40に供給されたことを検出する。
【0025】
センサ42は、コマ画像が記録された部分の濃度と、未記録部分の濃度(ベース濃度)との差に基づいてコマ画像のエッジを検出することにより、コマ画像の画面位置を検出する画面検出センサである。
【0026】
センサ43は、サイズ情報を検出するサイズ検出センサである。コマ画像のサイズには、例えば、標準サイズの他に、この標準サイズとはアスペクト比が異なるパノラマサイズがある。パノラマサイズは、標準サイズと横(搬送方向)の長さは同じだが、縦(幅方向)の長さが短く、このサイズのコマ画像の上下は素抜け(未記録)になる。サイズ検出センサ43は、パノラマサイズにおいて素抜けとなる領域の濃度レベルを検出する。標準サイズの場合には画像が記録されているので、その平均濃度は高く、他方、パノラマサイズの場合には素抜けなので濃度レベルは低い。この濃度レベルに応じて、コマ画像のサイズが識別される。
【0027】
各光源41a〜43aとしては、図2(A)に示す発光素子アレイ51が使用される。発光素子アレイ51は、複数の発光素子ユニット52を基板53上にライン状に配列したものである。図2(B),(C)に示すように、各発光素子ユニット52は、異なる波長の光を発光する複数のLED54G,54O,54Wと、これら複数のLED54G,54O,54Wを実装する台座56とからなる。LED54G,54O,54Wとしては、略直方体形状をしたチップ型LEDが使用される。発光素子ユニット52は、これら3色のLED54G,54O,54Wの3つのLEDを1パッケージにしたものである。
【0028】
台座56の表面には、各LED54G,54O,54Wの一方の電極と接続するための接点や、各LEDの他方の電極と台座56とをワイヤボンディングするためのランドなどが形成されており、その裏面からは、発光素子ユニット52を基板53に接続するための複数のリード部57が延びている。リード部57は、そのうちの1本に3つのLED54G,54O,54Wの共通電極(例えばプラス電極)が割り当てられており、残りの3本には、それぞれ各LED54G,54O,54Wの個別電極(例えばマイナス電極)が割り当てられている。台座56には、各LED54G,54O,54Wを覆って保護する略円筒形の透明なカバー58が取り付けられている。
【0029】
図3の表に示すように、フイルム検出に適しているセンサ光の発光色は、緑色であり、
コマ画像の画面位置やサイズを検出するのに適しているセンサ光の発光色は、白黒フイルム及びリバーサルフイルムについては、白色であり、カラーネガフイルムについては、橙色である。各LED54G,54O,54Wは、これらの各色の光をそれぞれ発光する。
【0030】
図4(A)〜(C)に示すグラフは、各LED54G,54O,54Wの発光波長域を示すグラフである。図4(A)に示すように、LED54Gは、緑色の光を発光するLEDであり、図4(B)に示すように、LED54Oは、橙色(オレンジ)の光を発光するLEDであり、図4(C)に示すように、LED54Wは、白色の光を発光するLEDである。
【0031】
この発光素子ユニット52は、各センサ41〜43に共通に使用される。フイルム検出センサ41は、3つのLEDのうち、LED54Gを点灯させて使用する。画面検出センサ42及びサイズ検出センサ43は、カラーネガフイルムの場合には、LED54Oを点灯させ、他方、白黒フイルム及びリバーサルフイルムの場合には、LED54Wを点灯させるというように、LED54O,54Wを選択的に使用する。各発光素子ユニット52は、LEDドライバ61によって、定電流駆動される。
【0032】
受光部41b〜43bは、各光源41a〜43aからのセンサ光を受光して、その光量レベルに応じた電気信号を検出信号として出力する。各受光部41b〜43bとしては、例えば、CCDラインセンサやPSDセンサが使用される。
【0033】
画像処理装置12は、CPU71,画像メモリ72,画像処理部73,RAM74,ROM75,LUT76,ディスプレイ77,操作部78からなる。ディスプレイ77は、
デジタルラボシステムを操作する操作画面や、フイルムスキャナ11が読み取ったコマ画像を表示する。操作部78は、キーボードやマウスなどからなる。オペレータは、ディスプレイ77や操作部78を通じて、デジタルラボシステム10を操作する。
【0034】
画像メモリ72は、A/Dコンバータ34が出力するコマ画像データを記憶するメモリである。画像処理部73は、画像メモリ72から画像データを読み出して、階調補正やシェーディング補正など各種の画像処理を施して、プリントデータを生成する。このプリントデータがレーザー露光ユニット16に送られる。
【0035】
CPU71は、画像処理装置12及びこの画像処理装置12に接続されるフイルムスキャナ11を制御する。ROM75には、CPU71が実行する各種制御プログラムや設定データが記憶されている。RAM74は、CPU71がプログラムを実行する際の作業用メモリである。
【0036】
また、CPU71は、LEDドライバ61を通じて、各LED54G,54O,54Wを選択的に発光させることで、センサ光の発光波長を切り替える発光波長制御を行うとともに、例えば、駆動パルスのデューティ比(パルス幅/周期)を変化させるPWM制御によって、光量制御を行う。このCPU71と、前記センサ部40とによって、予備情報を検出するフイルムスキャナ用情報検出装置が構成される。
【0037】
LUT76は、画面検出センサ42及びサイズ検出センサ43の発光波長を、写真フイルムの種類に応じて切り替える際に、CPU71によって参照されるテーブルメモリである。LUT76には、カラーネガフイルムの場合には橙色、リバーサルフイルム及び白黒フイルムの場合には白色というように、フイルムの種類と、それに適した発光色とが関係づけて記憶されている。フイルムの種類は、オペレータが実際の写真フイルム18を目視で確認して、操作部78から入力される。CPU71は、入力されたフイルムの種類に基づいて、LUT76を参照して、発光色を決定し、LEDドライバ61を通じて各センサ42,43の発光色を切り替える。また、フイルム検出センサ41については、フイルムの種類に関わらず、緑色の光を発光するLED54Gが点灯される。
【0038】
以下、上記構成による作用について説明する。写真フイルム18の読み取りを行う場合には、オペレータは、フイルムスキャナ24に写真フイルム18をセットするとともに、操作部78を通じて、当該写真フイルム18の種類を指定する。読み取り開始指示が与えられると、写真フイルム18の給送が開始される。この給送開始とともに、CPU71は、指定されたフイルムの種類に応じて、画面検出センサ42,サイズ検出センサ43の発光色を決定し、センサ部40を駆動する。写真フイルム18が適正に搬送されて、フイルム検出センサ41の位置まで到達すると、フイルム検出センサ41が写真フイルム18を検出し、その検出信号をCPU71に送る。CPU71は、この位置を基準に写真フイルム18の搬送量のカウントを開始する。さらに、写真フイルム18が送られて、画面検出センサ42に達すると、画面検出センサ42がコマ画像の先端エッジを検出し、その検出信号がCPU71に送られる。CPU71は、この検出信号に基づいてコマ画像の先端位置を特定する。続いて、サイズ検出センサ43によって、サイズ情報が検出される。
【0039】
各センサ41,42,43の発光色は、フイルムの種類や予備情報の種類に応じて適切な色に決定されるから、高い精度で検出することができる。また、光源41a,41b,41cとして、複数のLED54G,54O,54Wを1パッケージ化した発光素子ユニット52を使用しているから、各色に発光するLEDユニットを複数個並べて配置する場合と比較して、配置スペースの増加や、装置構成の複雑化が抑えられる。
【0040】
また、各センサ41〜43に、同一の発光素子ユニット52を使用することで、異なる色のLEDを、それぞれの色に応じて異なる位置に取り付ける場合と比較して、異なる色のLEDを間違った位置に取り付けてしまうといった組み立て不具合も防止されるので、組み立て適性も向上する。こうした組み立て不具合は、センサの数が増えるほど、その蓋然性が高まるので、そうした場合に本発明は特に有効である。
【0041】
センサ部40によって検出された予備情報に基づいて、コマ画像の位置やサイズが特定され、それに基づいて、コマ画像のプレスキャン及びファインスキャンが行われる。読み取られたコマ画像データは、画像処理装置12によって画像処理が施され、プリントデータに変換される。画像出力装置13は、このプリントデータに基づいて印画紙に対して露光処理及び現像処理を施して写真プリントを生成する。
【0042】
上記実施形態では、フイルム検出情報、コマの画面位置情報、コマのサイズ情報の3種類の予備情報を検出する3つのセンサを設けた例で説明したが、これ以外の予備情報(例えば、IX240タイプの写真フイルムに記録されたDXコード(バーコード情報)など)を検出するセンサを使用してもよい。また、1つの発光素子ユニット内のチップ型LEDの数を、3つとした例で説明しているが、LEDの数は、3つ以外でもよく、これら予備情報の種類及び写真フイルムの種類に応じて適宜決定される。
【0043】
また、発光素子ユニット内のLEDの発光波長を、緑色,橙色,白色の3色とした例で説明したが、これらの色も、前記予備情報の種類及び写真フイルムの種類に応じて適宜決定される。例えば、白黒フイルムのコマ画面位置やサイズを検出するセンサ光としては、白色の他に青色を使用してもよい。
【0044】
さらに、発光素子ユニット内の複数のLEDを混色させて、発光波長の切り替え(色の切り替え)を行うようにしてもよい。この場合には、検出を行う前に、センサ光を試験点灯させて、検出対象となる写真フイルムに最も適切なセンサ光を調べ、その適切なセンサ光を用いて予備情報検出を行ってもよい。
【0045】
また、上記実施形態では、写真フイルムの種類の指定を、オペレータが行う例で説明しているが、前記DXコードなどを読み取って自動的に判別して、発光色の切り替えを自動的に行うようにしてもよい。また、写真フイルムの種類の自動判別に当たっては、写真フイルムの先端に付けられるチェックテープを利用してもよい。
【0046】
図5(A)に示すように、チェックテープ91は、写真フイルム92の先端にテープによって取り付けられる。このチェックテープ91は、プリント注文を受け付けたときに、各オーダー毎に発行される。このチェックテープ91には、受付日,プリント枚数,写真フイルム種別など各種の注文受付情報が、例えば、バーコード91aで記録される。写真フイルム92は、チェックテープ91が取り付けられた状態で、現像処理が行われるとともに、フイルムキャリア24に装填されてフイルムスキャンが実行される。
【0047】
図5(B)のフローチャートに示すように、写真フイルム92が給送されると、搬送路上に配置されたバーコードリーダ93によって前記バーコード91aが読み取られる。そして、CPU71は、前記バーコード91aに含まれる写真フイルム種別情報から、写真フイルム92の種別を判定して、発光素子ユニット52の発光色を決定する。写真フイルム92がネガフイルムの場合には、発光色は橙色に決定され、リバーサルフイルムや白黒フイルムの場合には、白色に決定される。
【0048】
また、発光素子として、LEDを使用した例で説明したが、ELなど他の発光素子を使用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の情報検出装置が組み込まれたデジタルラボシステムの概略構成図である。
【図2】発光素子ユニットの説明図である。
【図3】予備情報の種類及び写真フイルムの種類と、それらに適したセンサ光の発光色との対応を示す表である。
【図4】発光素子ユニット内の3つのチップ型LEDの発光波長を示すグラフである。
【図5】フイルム種を自動判別して発光色を切り替える方法の説明図である。
【符号の説明】
【0050】
10 デジタルラボシステム
11 フイルムスキャナ
12 画像処理装置
41 フイルム検出センサ
42 画面検出センサ
43 サイズ検出センサ
51 光源
52 発光素子ユニット
54G,54O,54W チップ型LED
56 台座
71 CPU
61 LEDドライバ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
写真フイルム上のコマ画像を読み取るフイルムスキャナに用いられ、前記コマ画像の読み取りに際して、前記写真フイルムに光源からセンサ光を照射して、そのセンサ光を受光部によって受光することにより、前記コマ画像の画面位置情報又はサイズ情報を含む予備情報を検出するフイルムスキャナ用情報検出装置において、
前記光源は、1つの台座上に配列され波長が異なる複数種類のチップ型発光素子を1パッケージ化した発光素子ユニットであり、この発光素子ユニットの発光波長を制御する発光波長制御部が設けられていることを特徴とするフイルムスキャナ用情報検出装置。
【請求項2】
前記発光波長制御部は、写真フイルムの種類に応じて発光波長を切り替えることを特徴とする請求項1記載のフイルムスキャナ用情報検出装置。
【請求項3】
前記複数種類のチップ型発光素子には、カラーネガフイルムに適した橙色のセンサ光を発光する第1発光素子と、リバーサルフイルム及び白黒フイルムに適した白色のセンサ光を発光する第2発光素子とが含まれることを特徴とする請求項2記載のフイルムスキャナ用情報検出装置。
【請求項4】
さらに、前記予備情報には、フイルムキャリアの搬送路内の特定位置に写真フイルムが供給されたか否かを表すフイルム検出情報が含まれており、前記複数種類のチップ型発光素子には、このフイルム検出に適した緑色のセンサ光を発光する第3発光素子が含まれており、前記発光波長制御部は、前記予備情報の種類に応じて発光波長を切り替えることを特徴とする請求項1〜3いずれか記載のフイルムスキャナ用情報検出装置。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2006−33474(P2006−33474A)
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−210149(P2004−210149)
【出願日】平成16年7月16日(2004.7.16)
【出願人】(000005201)富士写真フイルム株式会社 (7,609)
【Fターム(参考)】