フェキソフェナジン塩酸塩の結晶形およびその製造方法
本発明は、フェキソフェナジン塩酸塩の結晶形およびそれらの調製方法を提供する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フェキソフェナジン塩酸塩の固体化学に関する。
【背景技術】
【0002】
式(I)の4-〔4-〔4-(ヒドロキシジフェニルメチル)-1-ピペリジニル〕-1-ヒドロキシブチル〕-α,α-ジメチルベンゼン酢酸(フェキソフェナジン)はH1 レセプターアンタゴニストであり、有用な抗ヒスタミン薬である。それは中枢神経系組織への浸透性が低く、抗ムスカリン活性が弱いため、全身性副作用がほとんどない。
【0003】
【化1】
【0004】
それは中枢神経系組織への浸透性が低く、抗ムスカリン活性が弱いため、全身性副作用がほとんどない。
【0005】
フェキソフェナジンの抗ヒスタミン活性は米国特許第4,254,129号明細書に開示されており、その内容は参考として本明細書中に組み込まれる。この'129号特許明細書によれば、フェキソフェナジンは、エチル,α,α-ジメチルフェニル酢酸と4-クロロブチロイルクロリドから出発し、それらをフリーデル・クラフツ(Friedel-Crafts)条件下で反応させることにより調製することができる。α,α-ジフェニル-4-ピペリジン-メタノールを使ってフリーデル・クラフツ生成物からクロリドを離脱させることにより、4-〔4-〔4-(ヒドロキシジフェニルメチル)-1-ピペリジニル〕-1-オキソブチル〕-α,α-ジメチルベンゼン酢酸を与え、それは塩酸塩として単離される。次いで前記ケトンをPtO/H2 で還元し、エステル基を加水分解してフェキソフェナジン塩酸塩が得られる。
【0006】
フェキソフェナジンの別の調製方法は、米国特許第5,578,610号、同第5,589,487号、同第5,581,011号、同第5,663,412号、同第5,750,703号、同第5,994,549号、同第5,618,940号、同第5,631,375号、同第5,644,061号、同第5,650,516号、同第5,652,370号、同第5,654,433号、同第5,663,353号、同第5,675,009号、同第5,375,693号および同第6,147,216号に開示されている。
【0007】
本発明は、フェキソフェナジン塩酸塩の固体形の物理的性質(物性)、すなわち多形に関する。それらの性質は、フェキソフェナジン塩酸塩を固体の形で採取するときの条件を変えることにより影響を受ける。固体の物性としては、例えば溶融固体の流動性が挙げられる。流動性は材料を医薬品に加工する際の取り扱い容易性に影響を与える。粉末化合物の粒子が互いに容易に前方に流動しない場合、製剤専門家は、錠剤もしくはカプセル剤を造形するに際してコロイド状二酸化ケイ素、タルク、澱粉またはリン酸二カルシウム等の潤滑剤の使用を必要とする場合があることを考慮しなければならない。
【0008】
医薬化合物のもう1つ別の重要な固体物性は、水性媒質中での溶解速度である。患者の胃液の中での活性成分の溶解速度は治療上重大性を有する場合がある。というのは、その溶解速度が、経口投与用活性成分が血流へと到達することができる速度に上限を強いるからである。溶解速度は薬用シロップ剤、賦形剤および他の液状薬品中の濃度でもある。化合物の固体形は圧縮時の挙動やその貯蔵安定性にも影響を与えうる。
【0009】
それらの実際の物理的性質は単位格子での分子の配座(コンホーメーション)と配向により影響され、それが物質の特定の多形性形態を限定する。その特定の多形性形態は、無定形物質や別の多形性形態のものとは異なる熱的挙動を引き起こす。熱的挙動は、毛管融点測定法、熱重量分析(TGA)および示差走査式計測法(DSC)のような技術により実験室で測定され、特定の多形性形態を別のものから識別するのに利用することができる。特定の多形性形態はまた、粉末X線回析、固相13C-NMR分光法および赤外分光法により検出可能である特有の性質を与えることがある。
【0010】
米国特許第5,738,872号、同第5,932,247号および同第5,855,912号明細書(これらは参考として本明細書中に組み込まれる)はI〜IV形と名づけられた4つのフェキソフェナジン塩酸塩の結晶形を記載している。前記第’872号および関連特許明細書によれば、II形とIV形の結晶形は水和物であり、I形とIII形は無水物である。各結晶形はその融点、DSCプロフィールでの吸熱量の開始点、およびPXRDにより特徴付けられる。
【0011】
前記'872号特許明細書は、I〜IV形を互いに変換する方法を記載している。I形の水性再結晶によりII形を生成することができる。II形またはIV形のいずれかの水分最少化再結晶法または減圧蒸留法はI形の結晶形を与えることができる。III形は、II形の水分最少化再結晶により入手できると報告されている。III形の結晶分解によりI形を得ることができる。II形とIV形は、実施例1と2により記載されるように、4-〔4-〔4-(ヒドロキシジフェニルメチル)-1-ピペリジニル〕-1-オキソブチル〕-α,α-ジメチルベンゼン酢酸の水素化ホウ素ナトリウム還元により直接得ることができる。
【0012】
V形,VI形およびVIII〜XV形のフェキソフェナジン塩酸塩は、米国特許第20030021849号および米国特許第20020177608号明細書(WO 02/080857)に開示されており、両明細書とも参考として本明細書中に組み入れられる。
【0013】
フェキソフェナジン塩酸塩XVI形は米国特許20040044038号明細書に開示されており、その明細書において、フェキソフェナジン塩酸塩XVI形が10.1、15.2、18.6、19.2、20.1±0.2°2θ(degree two theta)にピークを有する粉末XRDパターンにより特徴付けられている。その公報によれば、XVI形は、約125℃までの温度領域に2つの吸熱ピークと約135℃の温度に追加の吸熱ピークがあるDSCプロフィールを有する。XVI形はまた、約145℃までの温度領域に約6%〜約10%の乾燥減量(LOD)を有するTGAサーモグラムも示す。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
技術の現状では、フェキソフェナジン塩酸塩の追加の多形および工業規模でのそれらの製造方法が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0015】
一観点によれば、本発明は、下記のうちのいずれか1つにより特徴付けられるフェキソフェナジンHCl塩の結晶形(XIX形)を提供する:
a)3.8, 8.8, 11.3, 18.8, 20.2±0.2°2θにピークを有する粉末XRDパターン;
b)約90℃〜約100℃の温度に第一の吸熱量ピークと約148℃〜約155℃の温度に第二の吸熱量を有するDSCプロフィール;または
c)TGAによる30℃〜150℃の温度領域での約4〜約8%の重量減少。
【0016】
好ましくは、前記結晶形は次の粉末XRDピークにより特徴付けられる:3.8, 8.8, 11.3, 18.8, 20.2±0.2°2θ。また、本発明は、フェキソフェナジン塩酸塩の別の結晶形を5重量%未満含んでなる結晶形の粉末も提供する。
【0017】
一観点によれば、本発明は、上記結晶形フェキソフェナジン塩酸塩の製造方法であって、
a)C1-C4アルコールに対して少なくとも約15容量%水分を有するC1-C4アルコール中のフェキソフェナジン塩酸塩の溶液を調製し、ここでフェキソフェナジン塩酸塩の調製に使われるフェキソフェナジン塩基の前記C1-C4アルコールに対する比率は約1:2.5〜約1:4(g/容量)であり;
b)前記溶液を冷却して結晶形を晶出させ;そして
c)前記結晶形を回収する
ことを含んでなる方法を提供する。
【0018】
好ましくは、冷却は約0℃〜約10℃の温度で実施される。好ましくは、前記C1-C4アルコールがメタノールである。好ましくは、回収工程の前に、溶液に抗溶剤(anti-solvent)が添加される。好ましくは前記抗溶剤がC5-C12飽和炭化水素である。好ましくは、回収された結晶形フェキソフェナジンHClが、フェキソフェナジン塩酸塩の別の結晶形を約5重量%未満しか含まない。好ましくは、別の結晶形が約2重量%未満しか存在しない。
【0019】
別の観点では、本発明は、10.1、15.2、18.6、19.2、20.1±0.2°2θにピークを有する結晶形フェキソフェナジン塩酸塩(XVI形)の調製方法であって、
a)水とC1-C4アルコールの混合物中にフェキソフェナジン塩酸塩の溶液を調製し、ここで前記アルコールに対する水の重量は約12容量%未満であり;
b)前記溶液を冷却して結晶形を晶出させ;そして
c)前記結晶形を回収する
ことを含んでなる方法を提供する。
【0020】
好ましくは、前記C1-C4アルコールがメタノールとイソプロピルアルコールから成る群より選ばれる。好ましくは、前記水の量が約5容量%から約12容量%である。好ましくは前記水の量が約10%である。好ましくは前記溶液が約マイナス5℃(-5℃)より低い温度に冷却される。好ましくは約-12℃より低い温度に冷却される。好ましくは、前記結晶形を回収する前に溶液に抗溶剤が添加される。好ましくは、前記抗溶剤がC5-C12飽和炭化水素である。好ましくは、回収される結晶形フェキソフェナジン塩酸塩が別のフェキソフェナジン塩酸塩結晶形を約5重量%未満しか含まない。好ましくは別の結晶形が約2重量%未満しか存在しない。
【0021】
別の観点によれば、本発明は、7.2、11.7、14.1、15.4、16.9、18.5、23.1および23.9±0.2 deg.2θにピークを有する粉末XRDパターンにより特徴付けられるフェキソフェナジンHClの結晶形(XXI形)を提供する。また、別の結晶形を5重量%未満しか含まない前記結晶形の粉末も提供される。
【0022】
別の観点によれば、本発明は、結晶形フェキソフェナジン塩酸塩XXI形の調製方法であって、
a)少なくとも約10容量%水分を有するイソプロパノール中のフェキソフェナジンHClの溶液を調製し、ここで前記フェキソフェナジン塩酸塩を調製するのに用いるフェキソフェナジン塩基のイソプロパノールに対する比は多くて約1:2(g/容量)であり;
b)前記溶液を冷却して結晶形を晶出させ;そして
c)前記結晶形を回収する
ことを含んで成る方法を提供する。
【0023】
好ましくは、前記溶液が約-20℃〜約0℃に冷却される。好ましくは前記溶液が約-10℃に冷却される。
【0024】
別の観点によれば、本発明はフェキソフェナジンHClの結晶形(XX形)であって、
a)5.4、10.7、14.0、14.7、15.8、17.0、19.0、20.0、21.6および23.2±0.2°2θにピークを有する粉末XRDパターン;または
b)約50〜55℃の温度に第一の吸熱量ピークと、約100℃および約140℃の温度に第二の吸熱量を有するDSCプロフィール
のいずれか1つにより特徴付けられる結晶形に関する。
【0025】
好ましくは、前記結晶形が5.4、10.7、14.0、14.7、15.8、17.0、19.0、20.0、21.6および23.2±0.2°2θのXRDピークにより特徴付けられる。また、フェキソフェナジン塩酸塩の別の結晶形を5重量%未満しか含まない前記結晶形の粉末も提供される。
【0026】
本発明の別の観点では、結晶性フェキソフェナジン塩酸塩XX形の調製方法であって、10.1、15.2、18.6、19.2、20.1±0.2にピークがある粉末XRDパターンを有する結晶形フェキソフェナジン塩酸塩(XVI形)を十分な時間乾燥することを含んで成る方法を提供する。一態様では、前記乾燥が少なくとも約10時間実施される。
【0027】
一態様では、前記乾燥が
a)トレー式乾燥機;
b)混合真空床乾燥機
のうちの1つにより実施される。
【0028】
一態様では、前記トレー式乾燥機がトレー式真空乾燥機である。一態様では、前記乾燥が約75℃〜90℃の温度で実施される。一態様では、前記混合真空乾燥は約60℃〜約70℃の温度で実施される。一態様では、流動層式乾燥機を使った乾燥は約20℃〜約30℃の温度で実施される。一態様では、フェキソフェナジン塩酸塩が乾燥中に徹底的に混合される。一態様では、フェキソフェナジン塩酸塩が乾燥中または乾燥後に供給される。
【0029】
別の観点によれば、本発明は、結晶形フェキソフェナジン塩酸塩XX形の調製方法であって、フェキソフェナジン塩酸塩XVI形を微粉砕機(マイクロナイザー)により微粉砕することを含んで成る方法を提供する。好ましくは、前記微粉砕機中への吸入空気圧は約6〜約8バールである。好ましくは前記微粉砕機の粉砕空気圧は約4〜約7バールである。
【0030】
別の観点によれば、本発明は、結晶形フェキソフェナジン塩酸塩XX形を、10.1、15.2、18.6、19.2、20.1±0.2にピークを有する結晶フェキソフェナジン塩酸塩(XVI形)に変換する方法であって、フェキソフェナジンHClのXX形を約40%より高い相対湿度に暴露することを含んでなる方法を提供する。好ましくは、前記相対湿度が約70%から約85%である。好ましくは、流動層または湿度制御室が使われる。好ましくは前記結晶形が少なくとも約80%の収率で得られる。好ましくは、温度が約35℃以下である。好ましくは温度がほぼ室温である。
【0031】
別の観点では、本発明は、非晶質フェキソフェナジンHClの調製方法であって、10.1、15.2、18.6、19.2、20.1±0.2にピークを有する結晶性フェキソフェナジンHCl(XVI形)を加熱することを含んで成る方法を提供する。好ましくは前記加熱温度が約80℃〜約100℃である。
【0032】
別の観点では、本発明は、XIX形、XX形、XXI形およびそれらの混合物から成る群より選ばれた結晶形フェキソフェナジン塩酸塩と医薬上許容される賦形剤とを含んで成る医薬組成物を提供する。
【0033】
別の面では、本発明は、処置を必要とする哺乳動物においてセロトニン再取込みを減少させるために用いられる医薬組成物であって、XIX形、XX形、XXI形およびそれらの混合物から成る群より選ばれた結晶形フェキソフェナジン塩酸塩と医薬上許容される賦形剤とを含んで成る医薬組成物を提供する。
【0034】
別の面では、本発明は、哺乳動物においてセロトニン再取込みを減少させる方法であって、それを必要とする哺乳動物に本発明の医薬組成物を投与することを含んで成る方法を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
本明細書中で用いる場合、「減圧」という用語は、1気圧より低い圧力、好ましくは約100mmHg以下、より好ましくは約50mmHg以下の圧力のことを言う。
【0036】
本明細書中で用いる場合、「真空」という用語は、約100mmHg以下、より好ましくは約10mmHg以下の圧力のことを言う。
【0037】
本明細書中で用いる場合、「徹底的混合」という用語は、少なくとも約5、より好ましくは少なくとも約10、より好ましくは約20のrpmで混合することを言う。
【0038】
本明細書中で用いる場合、「結晶化(晶出)」という用語は、液体またはガスから結晶を形成させる操作のことを言う。
【0039】
本明細書中で用いる場合、「抗溶剤」という用語は、ある場合には同時に、またある場合には供給、冷却、粉砕および/または濃縮といった追加の段階を伴って、活性医薬成分(API)の溶液と混合したときに、溶液中のAPIの溶解度を減少させてAPIの結晶化または沈澱を引き起こすような液体のことを言う。前記APIは本明細書中に開示されるフェキソフェナジン塩酸塩のいずれの多形性形態であってもよい。
【0040】
本発明の多形性形態は、多形性的に純粋な形であり、すなわち実質的に別の多形性形態を含まない。本発明の多形性的に純粋な形態は、フェキソフェナジン塩酸塩の別の多形性形態を約5重量%未満、より好ましくは約2重量%未満しか含まない。別の多形性形態としては、フェキソフェナジン塩酸塩のI、II、III、IV、V、VI、VIII、IX、X、XI、XII、XIII、XIV、XVI、XIX、XXおよびXXI形のいずれか1つが挙げられる。純度は粉末XRDにおけるピークを観察することにより測定することができる。
【0041】
一態様では、本発明は、フェキソフェナジン塩酸塩XIX形の結晶形を提供することである。XIX形は次の特性ピークを有する:3.8、8.8、11.3、18.8、20.2±0.2°2θ。フェキソフェナジン塩酸塩のXIX形は、DSCサーモグラムにおける約90〜100℃の温度のところの吸熱量ピークと、約148〜155℃のところの追加の吸熱量により特徴付けることができる。TGAによると、フェキソフェナジン塩酸塩XIX形は30〜150℃の温度領域において約4から約8%の重量減少を示す。適当な粉末XRD、DSCおよびTGA図は図面の番号4、5および6にそれぞれ該当する。
【0042】
本発明は、フェキソフェナジン塩酸塩XIX形の調製方法を提供する。その方法は工業規模に適当である。本発明者らは、XVI形の調製方法においてC1-C4アルコール溶液に水を加えると、別の結晶形(XIX形と称する)が得られる場合があることを発見した。一貫してXIX形を得るためには、水性HCl中に存在する水分も含んで、水:C1-C4アルコールの溶媒比が容積比で約1.5:10より大きい。より少量の水を加えると、得られる結晶形はろ過温度に依存して変わる。約-5℃未満のろ過温度、より好ましくは約-10℃未満、より最も好ましくは約-12℃未満のろ過温度で、結晶形XVIが得られる。
【0043】
結晶形XIXは、フェキソフェナジン塩基をHClおよび約1.5:10以上の比の水とC1-C4アルコールの混合物と接触させて溶液とし、該溶液を冷却し、次いで結晶形を回収することにより調製することができる。ここで、前記フェキソフェナジン塩基対アルコールの比は約1:2.5〜約1:4(g/容積)である。好ましくは、約0℃〜約10℃の温度への冷却が行われるが、結晶化はそれより高温で実施してもよい。好ましくは、C1-C4アルコールがメタノールまたはイソプロパノールである。XIX形は予め作られたフェキソフェナジン塩酸塩を使って調製することもできる。
【0044】
場合により、当該方法はフェキソフェナジン塩酸塩の溶液に抗溶剤を添加することを更に含んでもよい。好ましくは得られた溶液を抗溶剤の添加の前、最中または後に冷却する。より好ましくは、溶液を冷却した後で抗溶剤を添加する。次いでフェキソフェナジンHClのXIX形の結晶を回収する。好ましくは、抗溶剤がC5-C12飽和炭化水素、より好ましくは環状または開鎖状ヘキサンまたはヘプタンである。
【0045】
本発明は、フェキソフェナジン塩酸塩XVI形の調製方法も提供する。当該方法は工業規模にも適当である。本発明では、XVI形は、少量の水の存在下で、好ましくは、容積比で約1.2:10以下の水対C1-4アルコール比で、十分に低い温度で結晶化を行うことにより調製することができる。XVI形は、HClを水とC1-C4アルコールの混合物と接触させて約0.5:10〜約1.2:10の水:アルコール比を提供し;前記C1-C4アルコール溶液にフェキソフェナジン塩基を添加してフェキソフェナジン塩酸塩の溶液を作り、前記溶液を冷却し、そして結晶形を回収することにより調製することができる。溶液中の水:C1-C4アルコールの比は、最も好ましくは約1:10(v/v)である。アルコールに対するフェキソフェナジン塩基の比は、好ましくは約1:2.5〜約1:4(g/容積)である。
【0046】
好ましくは、前記C1-C4アルコールがメタノールまたはイソプロピルアルコールである。最も好ましくは、前記C1-C4アルコールがメタノールである。フェキソフェナジン塩基を添加する前に、前記溶液が好ましくは約-5℃〜約10℃の温度に維持されるが、約5℃がより好ましい。好ましくは、前記フェキソフェナジン塩酸塩溶液は少なくとも約マイナス(-)5℃、より好ましくは約-11℃〜約-20℃、最も好ましくは約-12℃の温度に冷却される。塩の溶液を得るために、内容物を混合またはろ過してもよい。予め作られたフェキソフェナジン塩酸塩を使って当該方法を開始し、次いで水性メタノール中に溶解させて溶液を得ることも可能である。
【0047】
所望により、当該方法は、フェキソフェナジン塩酸塩の溶液に抗溶剤を添加することを更に含んでもよい。好ましくは、抗溶剤の添加の前、最中または後に、得られた溶液を冷却する。より好ましくは、前記溶液を冷却した後で、前記抗溶剤を添加する。次いでフェキソフェナジンHCl塩のXVI形の結晶が回収される。好ましくは前記抗溶剤がC5〜C12飽和炭化水素であり、より好ましくは環状または開環状ヘキサンまたはヘプタンである。
【0048】
フェキソフェナジン塩酸塩の溶液を冷却した後、得られた不均一混合物を約1時間から約1日間の間、より好ましくは約2時間から約16時間、同じ温度範囲の中で維持および攪拌される。
【0049】
本発明の更に別の態様によれば、XVI形は、フェキソフェナジンHCl塩XX形を約40%、より好ましくは約70%〜約85%の相対湿度の湿潤雰囲気に暴露することにより調製することができる。フェキソフェナジンHClのXX形を湿潤雰囲気に接触させるためには、既知の技術、例えば流動床乾燥機または湿度制御セルを用いてもよい。好ましくは、フェキソフェナジンHCl塩のXX形を湿潤雰囲気に暴露させるために、流動層乾燥機が使われる。暴露時間は使用する原料の量と技術により変わる。好ましくは、XRDにより試料中の結晶形含有率をモニタリングする。湿潤雰囲気暴露方法は、好ましくは約35℃以下の温度、より好ましくは室温で行われる。好ましくは、約25℃の温度で、約30分間の間、70〜85%RHの相対湿度において、流動床乾燥機を使って、湿潤雰囲気へのフェキソフェナジンHClのXX形の接触が実施される。好ましくは、前記XVI形への変換は、XVI形が少なくとも80%の収率となるまで実施される。
【0050】
一態様では、本発明は、フェキソフェナジン塩酸塩の結晶XXI形を提供することである。XXI形は次の特性ピークを有する:7.2、11.7、14.1、15.4、16.9、18.5、23.1および23.9±0.2°2θ。
【0051】
フェキソフェナジン塩酸塩XXI形は、フェキソフェナジン塩基およびイソプロパノールをHClと混合して、イソプロピルアルコールに対して少なくとも10容積%の水を含む溶液を調製し、ここで前記フェキソフェナジン塩基:イソプロピルアルコールの比は約1:2およびそれ以下(g/容積)であり、次いで前記溶液を冷却し、そして結晶形を回収することにより調製できる。好ましくは、前記溶液が約-20℃〜約-0℃、より好ましくは約-10℃の温度に冷却される。好ましくは攪拌しながら冷却を施行する。当該方法は予め作られたフェキソフェナジン塩酸塩を使って実施してもよい。
【0052】
結晶は常用技術、例えばろ過、沈降または遠心分離により回収することができる。本発明の方法から得られた湿潤結晶は乾燥させることができる。乾燥は、湿潤結晶を大気圧または減圧下で加熱することにより実施してもよい。好ましくは、乾燥は約50℃から約80℃の温度で実施されるが、約65℃〜約70℃が好ましい。好ましくは、乾燥のための圧力は約100mmHg以下、より好ましくは約50mmHg以下である。温度または圧力に依存して、乾燥は数日間にわたり実施されるが、より好ましくは約6時間〜約24時間であり、約16時間が好ましい。
【0053】
一態様では、本発明は、フェキソフェナジン塩酸塩の結晶形XX形を提供する。XX形は、5.4、10.7、14.0、14.7、15.8、17.0、19.0、20.0、21.6および23.2±0.2°2θのところにピークを有する粉末XRDパターンにより特徴付けられる。フェキソフェナジン塩酸塩XX形のTGA曲線(図9)は、約3%から約4%の重量減少を示す。結晶形XXは水和物である。TGAにおける重量減少は、約3%〜約4%水の水分に相当する。適当なPXRD、DSCおよびTGA図は図面の番号7,8および9に該当する。
【0054】
本発明は、フェキソフェナジン塩酸塩XX形の調製に適する方法を提供する。本発明では、XX形はXVI形を様々な条件下で乾燥させることによりXVI形から調製される。XVI形はXX形の種結晶の存在下で乾燥させてもよく、またはXVI形を混合する間に(混合の前に、最中にまたは混合の後に)乾燥させてもよい。そのような混合はXX形への変換を加速する。フェキソフェナジンHClのXX形は、フェキソフェナジンHCl塩XVI形を約20%RH未満、好ましくは約0%RHの低い湿潤雰囲気に暴露することにより得られる。XVI形に対するXX形の相対量は、低い湿潤雰囲気の下で増加し、高い湿潤雰囲気では減少する。XVI形とXX形の両方を含有する混合物中のXX形の量は、約10.6°2θの所のXX形の特徴的XRDピークにより決定することができる。
【0055】
本発明の一態様では、XX形は混合真空乾燥機中で湿ったフェキソフェナジン塩酸塩XVI形を乾燥させることにより調製することができる。前記乾燥は、好ましくは約60〜70℃の温度、より好ましくは65℃の温度で、徹底的な混合を伴って実施される。前記乾燥工程は好ましくはXRDによりモニタリングされる。あるいは、XVI形は混合せずに約2時間乾燥させ、その後で攪拌しながら約8〜32時間、好ましくは約28時間更に乾燥させる。乾燥は好ましくは約60〜70℃の温度、より好ましくは約65℃で実施される。好ましくは混合が徹底的である。
【0056】
本発明の別の態様では、XX形は、トレー式真空乾燥機中で湿ったフェキソフェナジン塩酸塩XVI形を乾燥させることにより調製することができる。前記乾燥は、約75〜90℃の温度、好ましくは80℃の温度で、約15時間実施される。好ましくは、相対湿度が50%未満であるべきである。
【0057】
本発明の更に別の態様では、XX形は流動層乾燥機中でフェキソフェナジン塩酸塩のXVI形とXX形を乾燥させることにより調製することもできる。この場合の乾燥は、好ましくは約20〜30℃、好ましくは約25℃の温度で実施される。好ましくは、前記混合が徹底的である。
【0058】
当業者は、別の種類の乾燥機を使用することができ、例えばロータリー式真空乾燥機、スピン式噴霧乾燥機、トンネル型乾燥機およびドラム型乾燥機も適当である。
【0059】
本発明の別の態様では、フェキソフェナジン塩酸塩XX形は、フェキソフェナジン塩酸塩XVI形をマイクロナイザー中に供給することにより調製できる。XVI形は、手動でまたは振動供給装置(vibratory feeder)のいずれかにより供給することができる。好ましくは、供給空気圧は約6〜8バールであり、粉砕空気圧は4〜7バールである。マイクロナイザーとは、高速で粒子をコロイド状にすることにより、粒子の大きさを減少させ且つ粒子の表面積を増加させる装置のことを言う。
【0060】
活性医薬物質の形態学は薬効に重要な役割を果たし、粉砕工程の間や薬品製造の間の取扱いに重大な影響を与える。既知のフェキソフェナジンHCl塩I形は針状晶形態を含むが、フェキソフェナジンHClのXX形は約30〜約40ミクロンまでの小さな棒状粒子を示す。針状形粒子は、しばしば流動性が乏しいことから一般に望ましくない。
【0061】
薬剤物質の固体特性により影響される別の重要な性質は溶解度である。XX形とI形の水溶解度は、過剰量の試料を水に懸濁させてスラリーにし、そしてHPLCにより溶液中のフェキソフェナジンHClの濃度を測定することにより試験した。既知のフェキソフェナジンHCl塩I形についての溶解度結果は溶液中のフェキソフェナジンHClの濃度に相当大きな変動(ゆらぎ)を示すのに対して、XX形についての溶解度試験結果は、プラトー(平坦域)が観察されるまで溶液中のフェキソフェナジンHClの濃度にゆるやかな減少を示す。溶解度は医薬品の生物利用可能性(バイオアビリティー)と相関関係があり、結果として薬品の吸収および効率と相関関係があるので、溶解度の変動は望ましくない。
【0062】
別の態様では、本発明はフェキソフェナジンHCl非晶形の調製方法を提供する。フェキソフェナジンHCl非晶形は、フェキソフェナジンHClのXVI形を加熱することにより調製できる。加熱は好ましくは約80℃〜約100℃の温度で、より好ましくは少なくとも10時間実施される。
【0063】
本発明の方法(特に乾燥工程)では、ある1つの多形性形態の変換が別の多形性形態をもたらし、少なくとも10%、より好ましくは少なくとも約30%、最も好ましくは少なくとも約50%の変換が起こる。
【0064】
好ましくは、上記すべての多形性形態について、HCl対フェキソフェナジン塩基の比は約0.9から約1.5であり、最も好ましくは約1当量である。好ましくは、約1:1のHCl対フェキソフェナジン塩基のモル比、またはそれよりわずかに過剰のモル比が使われる。
【0065】
本発明の方法では、HClの溶液がフェキソフェナジン塩基に添加されるか、またはその逆も可能である。好ましくは、アルコール中の塩酸の水性溶液の入った容器、すなわちフラスコまたは反応器に、フェキソフェナジン塩基が添加される。
【0066】
当業者は、本発明の多形性形態が、一般に異なる再結晶溶媒系を使った結晶化を通してフェキソフェナジン塩酸塩から選択的に得ることができることを認識するだろう。出発材料はフェキソフェナジン塩酸塩無水物であるか、あるいは別のフェキソフェナジン塩酸塩の水和物もしくは低級アルコール溶媒和物および他の溶媒和物形であることができる。出発のフェキソフェナジン塩酸塩は、非晶形であってもいずれかの結晶質形であってもよい。当該方法は、出発材料として利用できないような純度状態で所望の形態を使用することによる化学的精製方法として利用することができる。本発明の方法は、フェキソフェナジン塩酸塩のXVI形を調製するための米国特許第5,578,610号、同第5,589,487号、同第5,581,011号、同第5,663,412号、同第5,750,703号、同第5,994,549号、同第5,618,940号、同第5,631,375号、同第5,644,061号、同第5,650,516号、同第5,652,370号、同第5,654,433号、同第5,663,353号、同第5,675,009号、同第5,375,693号および同第6,147,216号に開示されている方法における最終工程として、実施することもできる。
【0067】
本発明の多数の方法は溶液からの結晶化(晶出)を含んでなる。当業者は、得られる多形性形態に影響を与えることなく結晶化に関する条件を様々に変更できることを知っているだろう。例えば、フェキソフェナジン塩酸塩または遊離塩基を溶剤中で混合して溶液を調製する際、出発物質を完全に溶かすために混合物を加熱することが必要となる場合がある。加熱しても混合物を清澄化しない場合、混合物を希釈またはろ過することができる。ろ過するためには当該混合物を紙、ガラス繊維もしくは別の膜材料、またはセライトのような清澄剤に通すことができる。使用する器具並びに溶液の濃度と温度に依存して、未熟な結晶化を避けるためにろ過装置を予め加熱しておくことが必要かもしれない。
【0068】
本発明の医薬組成物は、フェキソフェナジン塩酸塩を含んで成る。本発明の医薬組成物は、活性成分(一種または複数)に加えて、1または複数の賦形剤を含んでもよい。賦形剤は様々な目的に応じて組成物に添加される。
【0069】
希釈剤は固形医薬組成物の嵩を大きくし、当該組成物を含む医薬投与形態を患者や世話する人が容易に取り扱いできるようにする。固形組成物用の希釈剤としては、例えば、微結晶セルロース(例えばAvicel(登録商標))、微晶質セルロース、乳糖、デンプン、予備ゼラチン化デンプン、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、砂糖、デキストレート、デキストリン、デキストロース、硫酸二カルシウム二水和物、リン酸三カルシウム、カオリン、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、マルトデキストリン、マンニトール、ポリメタクリレート(例えばEugragit(登録商標))、塩化カリウム、粉末セルロース、塩化ナトリウム、ソルビトールおよびタルクが挙げられる。
【0070】
錠剤のような剤形に圧縮される固形医薬組成物は、圧縮後に活性成分と別の賦形剤とを一緒に結合させるのを助けるような機能を有する賦形剤を含んで成ってもよい。固体医薬組成物用の結合剤としては、アカシア、アルギン酸、カルボマー(例えばカルボポール)、カルボキシメチルセルロースナトリウム、デキストリン、エチルセルロース、ゼラチン、グアーガム、水素添加植物油、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース(例えばKlucel(登録商標))、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(例えばMethocel(登録商標))、液状グルコース、ケイ酸マグネシウムアルミニウム、マルトデキストリン、メチルセルロース、ポリメタクリレート、ポビドン(例えばKollidon(登録商標)、Plasdone(登録商標))、ゼラチン化デンプン、アルギン酸ナトリウム、およびデンプンが挙げられる。
【0071】
患者の胃での圧縮固形医薬組成物の溶解速度は、該組成物に崩壊剤を添加することにより増加させることができる。崩壊剤としては、アルギン酸、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム(例えばAc-Di-Sol(登録商標)、Primellose(登録商標))、コロイド状二酸化ケイ素、クロスキャメロースナトリウム、クロスポビドン(例えばKollidon(登録商標)、Polyplasdone(登録商標))、グアーガム、ケイ酸マグネシウムアルミニウム、メチルセルロース、微結晶セルロース、ポラクリリン(polacrin)カリウム、粉末セロース、予備ゼラチン化デンプン、アルギン酸ナトリウム、デンプングリコール酸ナトリウム(例えばExplotab(登録商標))、およびデンプンが挙げられる。
【0072】
非圧縮固体組成物の流動性を改善し、且つ投薬の正確さを高めるために、光沢剤を添加することができる。光沢剤として機能することができる賦形剤としては、コロイド状二酸化ケイ素、三ケイ素酸マグネシウム、粉末状セルロース、デンプン、タルク、およびリン酸三カルシウムが挙げられる。
【0073】
錠剤のような剤形を粉末状組成物の圧縮により製造する場合、パンチとダイから当該組成物に圧力が負荷される。ある種の賦形剤と活性成分はパンチとダイの表面に粘着しやすいので、製品をピットさせて別の表面不規則性を引き起こすころたできる。粘着を減らし且つダイから製品を離脱しやすくするために、滑剤(離型剤)を組成物に添加することができる。滑剤としては、例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、モノステアリン酸グリセリル、パルミトステアリン酸グリセリル、水素化ヒマシ油、水素化植物油、鉱油、ポリエチレングリコール、安息香酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリルフマル酸ナトリウム、ステアリン酸、タルクおよびステアリン酸亜鉛が挙げられる。
【0074】
香料および香味剤は剤形を患者が服用しやすくする。本発明の組成物に含めることができる医薬品用の常用の香料および香味剤としては、マルトール、バニリン、エチルバニリン、メントール、クエン酸、フマル酸、エチルマルトール、および酒石酸を挙げることができる。
【0075】
固体および液体組成物は、それらの外観を改善しそして/または患者および単位投与量の識別を容易にするために、医薬上許容される任意の着色剤を使って着色してもよい。
【0076】
本発明の液体医薬組成物においては、塩酸塩形と任意の別の固形賦形剤が液状キャリヤー、例えば水、植物油脂、アルコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、またはグリセリン中に溶解または懸濁せしめられる。
【0077】
液体医薬組成物は、液状キャリヤーに溶解しない活性成分または別の賦形剤を組成物の中に全体に均一に分散させるために、乳化剤を含んでもよい。本発明の液体組成物に利用できる乳化剤としては、例えば、ゼラチン、卵黄、カゼイン、コレステロール、アカシア、トラガカント、コンドラス、ペクチン、メチルセルロース、カルボマー、セトステアリルアルコール、およびセチルアルコールを挙げることができる。
【0078】
本発明の液体医薬組成物は、製品の風味を良くしそして/または胃腸管の内壁を保護するために増粘剤を含んでも良い。そのような剤としては、アカシア、アルギン酸ベントナイト、カルボマー、カルボキシメチルセルロースカルシウムもしくはナトリウム、セトステアリルアルコール、メチルセルロース、エチルセルロース、ゼラチングアーガム、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、マルトデキストリン、ポリビニルアルコール、ポビドン、プロピレンカーボネート、アルギン酸プロピレングリコール、アルギン酸ナトリウム、澱粉グリコール酸ナトリウム、澱粉トラガカント、およびキサンタンガムが挙げられる。
【0079】
風味を良くするために、ソルビトール、サッカリン、サッカリンナトリウム、ショ糖、アスパルテーム、フルクトース、マンニトールおよび転化糖のような甘味料を添加しても良い。また、貯蔵安定性を高めるために保存剤やキレート化剤、例えばアルコール、安息香酸ナトリウム、ブチル化ヒドロキシトルエン、ブチル化ヒドロキシアニソールおよびエチレンジアミン四酢酸を摂取に安全な量だけ添加しても良い。
【0080】
本発明の液体組成物は、グルコン酸、乳酸、クエン酸もしくは酢酸、グルコン酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、クエン酸ナトリウムまたは酢酸ナトリウムのような緩衝剤を含んでも良い。
【0081】
賦形剤や使用量の選択は、当業界での標準手順と参考著作の考慮および経験に基づいて、製剤専門家により容易に決定することができる。
【0082】
本発明の固形組成物は、粉末、顆粒、凝集および圧縮組成物を包含する。投薬量は、経口、舌下、直腸、非経口(皮下、筋肉内、および静脈内)、吸入および眼科的投与を包含する。特定の場合において最も適当な経路は、処置される状態の性質および重症度に依存するけれども、最も好ましい経路は経口投与である。投薬量は便利には1回量の形態(単位投与形態)として提供され、医薬業界における周知の方法のいずれかにより調製することができる。
【0083】
剤形としては、錠剤、粉剤、カプセル剤、坐剤、サッシェ、トローチおよびロゼンジ剤、並びに液体シロップ剤、懸濁液およびエリキシル剤が挙げられる。
【0084】
本発明の剤形は、硬質もしくは軟質の外殻の中に本発明の組成物(好ましくは粉末または粒状固体組成物)を含有するカプセル剤である。外殻はゼラチン製であってもよく、そして所望により可塑剤(例えばグリセリンやソルビトール)、および透明化剤または着色剤を含んでも良い。
【0085】
活性成分と賦形剤は、当業界で周知の方法に従って組成物や剤形に製剤化することができる。
【0086】
錠剤化またはカプセル充填のための組成物は、湿式造粒により調製することができる。湿式造粒においては、粉末形態の形で活性成分のうちの幾つかまたは全部を混合し、次いで液体(典型的には水)の存在下で更に混合して、粉末を顆粒へと凝集させる。顆粒を篩い分けそして/または粉砕し、乾燥し、次いで所望の粒度に篩い分けしそして/または粉砕する。次いで顆粒を錠剤化してもよく、あるいは光沢剤や滑剤のような別の賦形剤を添加した後で錠剤化してもよい。
【0087】
錠剤用組成物は一般的には乾式混合により調製される。例えば、活性成分と賦形剤の混合組成物を塊状もしくはシート状に固め、次いで圧縮顆粒へと凝集させることができる。固めた顆粒はその後錠剤へと更に圧縮することができる。
【0088】
乾式造粒に代わるものとして、直接圧縮技術を使って混合組成物を直接剤形に圧縮することができる。直接圧縮製品は、顆粒を含まないより均一な錠剤を生成する。特に直接圧縮打錠に適する賦形剤としては、微結晶セルロース、スプレー乾燥乳糖、リン酸二カルシウム二水和物、およびコロイド状シリカが挙げられる。直接圧縮打錠における上記および他の賦形剤の適切な使用法は、経験と技術(特に直接圧縮打錠の配合の)を有する当業者にとって周知である。
【0089】
本発明のカプセル充填は、それらが最終の打錠工程にかけられないだけで、打錠に関して記載された上記混合物および顆粒のうちの任意のものを含んでなることができる。
【0090】
機器
XRD
XRD回析は、X線粉末解析装置、Scintag、変動測角器、Cuチューブ、固相検出器により実施した、ラウンドゼロバックグラウンドに調整したラウンド標準アルミニウム試料ホルダーを使用した。
スキャンパラメーター:範囲:2〜40°2θ、連続スキャン速度:3°/分。
【0091】
熱分析
DSCサーモグラムはDSC821e、Mettler Toledo上で実行した。
試料重量:3〜5mg
加熱速度:10℃/分
るつぼ中の孔の数:3。
【0092】
TGAサーモグラムは標準アルミナ受皿を使ってMettler TG50上で実施した。
試料重量:7〜15mg
加熱速度:10℃/分。
【実施例】
【0093】
実施例1-フェキソフェナジン塩酸塩XVI形の調製
メタノール(120 ml)、水(6ml)、および32%HCl溶液(10g)を反応器に添加した。その溶液を攪拌下でマイナス5℃(-5℃)に冷却した。フェキソフェナジン塩基(40g)を反応器に添加した。完全な溶解が得られるまで攪拌を続けた。その溶液を攪拌しながら-12℃に冷却した。生じた懸濁液を-12℃で2〜16時間攪拌した。生成物をろ過した。純粋なフェキソフェナジンHCl塩XVI形が得られた。得られたフェキソフェナジンHCl塩XVI形の湿潤ケークを65〜80℃の温度で真空(10mmHg)中で乾燥させた。16時間の乾燥後、純粋なフェキソフェナジンXVI形が得られた。
【0094】
実施例2-フェキソフェナジンHCl塩XIX形の調製
6gのHCl32%(1当量)と2容量のメタノールを1リットル反応器に添加した。25gの純粋なフェキソフェナジン塩基を25℃で攪拌しながら20容量のヘプタン中に溶解させ、次いで2容量の軟水を添加した。得られた結晶を20℃でろ過した。フェキソフェナジンHCl塩XIX形が得られた。
【0095】
実施例3-フェキソフェナジン塩酸塩XIX形の調製
2容量のメタノールと1容量の軟水を1リットルの反応器に導入した。25gの純粋なフェキソフェナジン塩基を25℃で攪拌しながら溶解させた。次いでHCl32%(1当量)を添加した。混合物を40℃に加熱して完全に溶解させ、次いで20℃に冷却した。混合物を30分間攪拌した。次いで2容量のヘプタンを25℃で添加した。混合物を1時間以内で15℃へと冷却し、次いでろ過した。フェキソフェナジンHCl塩XIX形が得られた。
【0096】
実施例4-フェキソフェナジン塩酸塩XIX形の調製
メタノール(120mL)、水(12ml)および32%HCl溶液(10g)を反応器に導入した。その溶液を攪拌しながら5℃に冷却した。フェキソフェナジン塩基(40g)を反応器に加えた。完全な溶解が得られるまで攪拌を続けた。溶液を(攪拌下で)-12℃に冷却した。懸濁液を更に2〜16時間攪拌した後、生成物をろ過し、次いで65〜80℃の温度で真空乾燥させた。ろ過した直後に湿潤生成物としてフェキソフェナジンHClのXIX形が得られ、また乾燥させた後にもフェキソフェナジンHClのXIX形が得られた。KFによる水含有量=7.1%。
【0097】
実施例5-フェキソフェナジン塩酸塩XIX形の調製
メタノール(80mL)、水(8ml)および32%HCl溶液(10g)を反応器に添加した。その溶液を攪拌しながら5℃に冷却した。フェキソフェナジン塩基(40g)を反応器に加えた。完全な溶解が得られるまで攪拌を続けた。その溶液を攪拌しながら-12℃に冷却した。懸濁液を更に2〜16時間攪拌した後、生成物をろ過し、次いで65〜80℃の温度で16時間真空乾燥させた。ろ過した直後に湿潤生成物として、また乾燥させた後にもフェキソフェナジンHClのXIX形が得られた。KFによる水含有量=4.4%。
【0098】
実施例6-XVI形と混ざったフェキソフェナジン塩酸塩XIX形の調製
メタノール(120ml)、水(6ml)および32%HCl溶液(10g)を反応器に添加した。その溶液を攪拌下で5℃に冷却した。フェキソフェナジン塩基(40g)を反応器に導入した。完全な溶解が得られるまで攪拌を続けた。その溶液を冷却した(攪拌しながら)。0℃、-5℃および-10℃にて試料を採取した。混合物を-12℃に冷却した。懸濁液を更に2〜16時間攪拌した後、生成物をろ過し、次いで65〜80℃の温度で6時間真空乾燥させた。
【0099】
下記の表は、冷却工程の経過の間に得られた結晶形を記載したものである。
【表1】
【0100】
実施例7-フェキソフェナジン塩酸塩XVI形の調製
イソプロピルアルコール(150ml)と32%HCl溶液(11.5g)を反応器に導入した。溶液を攪拌下で10℃に冷却した。フェキソフェナジン塩基(50g)を反応器に添加した。完全な溶解が得られるまで攪拌を続けた。その溶液を-12℃に冷却した(攪拌しながら)。ヘプタン(5ml)を反応器に添加すると、白濁が現れた。懸濁液を更に2〜16時間攪拌した後、生成物をろ過した。純粋なフェキソフェナジンHCl塩XVI形が得られた。湿ったケークを65〜80℃の温度で真空乾燥させた。16時間乾燥後、フェキソフェナジンXVI形が得られた。
【0101】
実施例8-フェキソフェナジンHCl塩XX形の調製
湿潤試料としてのフェキソフェナジンHCl塩XVI形(100g)を混合真空乾燥機に添加した。試料を真空下で徹底的な攪拌(〜20rpm)のもとで65℃の温度にて12時間にわたり乾燥させた。12時間後、フェキソフェナジンHCl塩XX形が得られた。
【0102】
実施例9-XVI形と混ざったフェキソフェナジンHCl塩XX形の調製
湿潤試料としてのフェキソフェナジンHCl塩XVI形(400g)を混合真空乾燥機に添加した。試料を真空下で65℃にて乾燥させた。最初の2時間の間は試料を混合せずに乾燥させた(静置乾燥)。2時間後、試料を徹底的に混合した(〜20rpm)。下記の表は、乾燥工程が経過する間の多形性形態の変化を記載したものである。
【0103】
【表2】
【0104】
実施例10-XX形の調製
フェキソフェナジンHCl塩XVI形(40g)をトレー型真空乾燥機に導入した。試料を80℃の温度で真空乾燥した。15時間乾燥後、フェキソフェナジンHCl塩XX形が得られた。
【0105】
実施例11-XX形の調製
XVI形とXX形の混合物を含むフェキソフェナジンHCl(40g)を流動層式乾燥機に添加した(乾燥窒素気流を送風)。材料を25℃の温度で乾燥させた。次の表は乾燥工程が進行する間の多形性形態の変化を記載したものである。
【0106】
【表3】
【0107】
実施例12-XX形の調製
実験室用マイクロナイザー(モデル:Sturtevant qualification micronizer 50 mmまたはAtritor 50 mm)を使用した。フェキソフェナジンHCl塩XVI形を振動式供給装置によりマイクロナイザー中に導入した。供給空気圧は6〜8バールであり、粉砕空気圧は4〜7バールであった。フェキソフェナジンHCl塩XX形が得られた。
【0108】
実施例13-XXI形の調製
イソプロパノール(80ml)、水(2ml)および32%HCl溶液(10g)を反応器に添加した。その溶液を攪拌しながら5℃に冷却した。フェキソフェナジン塩基(40g)を反応器に導入した。完全な溶解が得られるまで攪拌を続けた。次いで該溶液を-10℃に冷却した。更に1時間懸濁液を攪拌した後、生成物をろ過し、65℃の温度で16時間真空乾燥した。フェキソフェナジンHCl塩XIX形(27g)が得られた。
【0109】
実施例14-フェキソフェナジンXVI形の調製
38kgのフェキソフェナジンHCl塩XX形を25℃の温度および70〜85%の相対湿度において流動床乾燥機中で30分間流動させた。39kgのフェキソフェナジンHCl塩XVI形が得られた。
【0110】
実施例15-フェキソフェナジンXVI形の調製
反応器に73.8kgのメタノール性溶液(メタノール中5%HCl)、8Lのメタノールおよび5kgの工業用水を導入した。反応器を5℃以下の温度に冷却し、反応器の温度を5℃以下に維持しながら純粋なフェキソフェナジン塩基(50kg)を徐々に添加した。無関係の粒子から溶液をろ別し、次いで散布を実施した。材料が沈殿し始めた後、反応器の内容物を−15℃以下に冷却した。反応器の内容物をろ過し、ろ過ケークを300リットルのヘプタンで洗浄した。材料を60〜70℃の真空乾燥機中で乾燥させ、次いでそれを60〜70℃の流動層式乾燥機で乾燥させた。材料を磨砕し、次いで25℃および70〜85%の相対湿度にて30分間、流動層式乾燥機中で流動化せしめた。フェキソフェナジンHCl塩XVI形が得られた。KFによる含水量は8%である。
【0111】
実施例16-XX形と混ざったフェキソフェナジンHCl塩XVI形の調製
200mgのフェキソフェナジンHCl塩XX形を、覆いのない受け皿の上に薄層として拡げ、それを30℃にて40、60および80%RHの湿度調節室の中に9日間置き、次いでXRDにより試験した。
【0112】
【表4】
【0113】
実施例17-XX形と混ざったフェキソフェナジンHCl塩XVI形の調製
フェキソフェナジンHCl塩XVI形200mgを、覆いのない受け皿の上に薄層として拡げ、それを室温において0、20、40、60および80%RHの湿度調節室の中に7日間置いた。試料をXRDとKF滴定により試験した。
【0114】
【表5】
【0115】
実施例18-XX形と混ざったフェキソフェナジンHCl塩XVI形の調製
フェキソフェナジンHCl塩XVI形とフェキソフェナジンHCl塩XX形の混合物を含む試料200 mgを、覆いのない受け皿の上に薄層として拡げ、それを室温において0、20、40、60および80%RHの湿度調節セルの中に7日間置き、次いでXRDとKF滴定により試験した。
【0116】
【表6】
【0117】
実施例19-非晶質形と混ざったフェキソフェナジンHCl塩XVI形の調製
0.5gのフェキソフェナジンHCl塩XVI形を大気圧下で60、80および100℃にて加熱した。次いで試料をXRDにより分析した。
【0118】
【表7】
【0119】
本発明を特定の好ましい態様と代表的な実施例により記載してきたけれども、当業者は、本明細書中に開示された発明の精神および範囲から逸脱することなく、本発明に適切な変更を加えることができる。実施例は本発明を理解するために与えられるものであり、いかなる形でも本発明の範囲を制限する意図のものではなく、そのように解釈すべきではない。実施例には常用方法の詳細な説明は含んでいない。そういった方法は当業者にとって周知であり、多数の刊行物に記載されている。Polymorphism in Pharmaceutical Solids, Drugs, and the Pharmaceutical Sciences, 第95巻が手引きとして利用できる。本明細書中に言及される全ての参考文献はその全内容が組み込まれる。
【図面の簡単な説明】
【0120】
【図1】図1は、フェキソフェナジン塩酸塩XVI形についての粉末XRDパターンである。
【図2】図2は、フェキソフェナジン塩酸塩XVI形についてのDSCサーモグラムである。
【図3】図3は、フェキソフェナジン塩酸塩XVI形についてのTGAサーモグラムである。
【図4】図4は、フェキソフェナジン塩酸塩XIX形についての粉末XRDパターンである。
【図5】図5は、フェキソフェナジン塩酸塩XIX形についてのDSCサーモグラムである。
【図6】図6は、フェキソフェナジン塩酸塩XIX形についてのTGAサーモグラムである。
【図7】図7は、フェキソフェナジン塩酸塩XX形についての粉末XRDパターンである。
【図8】図8は、フェキソフェナジン塩酸塩XX形についてのDSCサーモグラムである。
【図9】図9は、フェキソフェナジン塩酸塩XX形についてのTGAサーモグラムである。
【図10】図10は、フェキソフェナジン塩酸塩XXI形についての粉末XRDパターンである。
【図11】図11は、実施例2に従って調製したフェキソフェナジンHCl塩XVI形についての粉末XRDパターンである。
【図12】図12は、実施例4に従ってフェキソフェナジンHCl塩XVI形を0%RH雰囲気に暴露することにより調製した、フェキソフェナジンHCl塩のXVI形とフェキソフェナジンHCl塩のXX形の混合物を含む試料についての粉末XRDパターンである。
【図13】図13は、フェキソフェナジンHCl塩XVI形を100℃に10時間加熱することにより調製した(実施例6)、フェキソフェナジンHCl塩XVI形と非晶質形の混合物を含む試料についての粉末XRDパターンである。
【図14】図14は、フェキソフェナジンHCl塩のI形(上)とフェキソフェナジンHClのXX形(下)の微視的観察結果である。
【図15】図15は、フェキソフェナジンHCl塩I形とフェキソフェナジンHCl塩XX形の溶解度の比較である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、フェキソフェナジン塩酸塩の固体化学に関する。
【背景技術】
【0002】
式(I)の4-〔4-〔4-(ヒドロキシジフェニルメチル)-1-ピペリジニル〕-1-ヒドロキシブチル〕-α,α-ジメチルベンゼン酢酸(フェキソフェナジン)はH1 レセプターアンタゴニストであり、有用な抗ヒスタミン薬である。それは中枢神経系組織への浸透性が低く、抗ムスカリン活性が弱いため、全身性副作用がほとんどない。
【0003】
【化1】
【0004】
それは中枢神経系組織への浸透性が低く、抗ムスカリン活性が弱いため、全身性副作用がほとんどない。
【0005】
フェキソフェナジンの抗ヒスタミン活性は米国特許第4,254,129号明細書に開示されており、その内容は参考として本明細書中に組み込まれる。この'129号特許明細書によれば、フェキソフェナジンは、エチル,α,α-ジメチルフェニル酢酸と4-クロロブチロイルクロリドから出発し、それらをフリーデル・クラフツ(Friedel-Crafts)条件下で反応させることにより調製することができる。α,α-ジフェニル-4-ピペリジン-メタノールを使ってフリーデル・クラフツ生成物からクロリドを離脱させることにより、4-〔4-〔4-(ヒドロキシジフェニルメチル)-1-ピペリジニル〕-1-オキソブチル〕-α,α-ジメチルベンゼン酢酸を与え、それは塩酸塩として単離される。次いで前記ケトンをPtO/H2 で還元し、エステル基を加水分解してフェキソフェナジン塩酸塩が得られる。
【0006】
フェキソフェナジンの別の調製方法は、米国特許第5,578,610号、同第5,589,487号、同第5,581,011号、同第5,663,412号、同第5,750,703号、同第5,994,549号、同第5,618,940号、同第5,631,375号、同第5,644,061号、同第5,650,516号、同第5,652,370号、同第5,654,433号、同第5,663,353号、同第5,675,009号、同第5,375,693号および同第6,147,216号に開示されている。
【0007】
本発明は、フェキソフェナジン塩酸塩の固体形の物理的性質(物性)、すなわち多形に関する。それらの性質は、フェキソフェナジン塩酸塩を固体の形で採取するときの条件を変えることにより影響を受ける。固体の物性としては、例えば溶融固体の流動性が挙げられる。流動性は材料を医薬品に加工する際の取り扱い容易性に影響を与える。粉末化合物の粒子が互いに容易に前方に流動しない場合、製剤専門家は、錠剤もしくはカプセル剤を造形するに際してコロイド状二酸化ケイ素、タルク、澱粉またはリン酸二カルシウム等の潤滑剤の使用を必要とする場合があることを考慮しなければならない。
【0008】
医薬化合物のもう1つ別の重要な固体物性は、水性媒質中での溶解速度である。患者の胃液の中での活性成分の溶解速度は治療上重大性を有する場合がある。というのは、その溶解速度が、経口投与用活性成分が血流へと到達することができる速度に上限を強いるからである。溶解速度は薬用シロップ剤、賦形剤および他の液状薬品中の濃度でもある。化合物の固体形は圧縮時の挙動やその貯蔵安定性にも影響を与えうる。
【0009】
それらの実際の物理的性質は単位格子での分子の配座(コンホーメーション)と配向により影響され、それが物質の特定の多形性形態を限定する。その特定の多形性形態は、無定形物質や別の多形性形態のものとは異なる熱的挙動を引き起こす。熱的挙動は、毛管融点測定法、熱重量分析(TGA)および示差走査式計測法(DSC)のような技術により実験室で測定され、特定の多形性形態を別のものから識別するのに利用することができる。特定の多形性形態はまた、粉末X線回析、固相13C-NMR分光法および赤外分光法により検出可能である特有の性質を与えることがある。
【0010】
米国特許第5,738,872号、同第5,932,247号および同第5,855,912号明細書(これらは参考として本明細書中に組み込まれる)はI〜IV形と名づけられた4つのフェキソフェナジン塩酸塩の結晶形を記載している。前記第’872号および関連特許明細書によれば、II形とIV形の結晶形は水和物であり、I形とIII形は無水物である。各結晶形はその融点、DSCプロフィールでの吸熱量の開始点、およびPXRDにより特徴付けられる。
【0011】
前記'872号特許明細書は、I〜IV形を互いに変換する方法を記載している。I形の水性再結晶によりII形を生成することができる。II形またはIV形のいずれかの水分最少化再結晶法または減圧蒸留法はI形の結晶形を与えることができる。III形は、II形の水分最少化再結晶により入手できると報告されている。III形の結晶分解によりI形を得ることができる。II形とIV形は、実施例1と2により記載されるように、4-〔4-〔4-(ヒドロキシジフェニルメチル)-1-ピペリジニル〕-1-オキソブチル〕-α,α-ジメチルベンゼン酢酸の水素化ホウ素ナトリウム還元により直接得ることができる。
【0012】
V形,VI形およびVIII〜XV形のフェキソフェナジン塩酸塩は、米国特許第20030021849号および米国特許第20020177608号明細書(WO 02/080857)に開示されており、両明細書とも参考として本明細書中に組み入れられる。
【0013】
フェキソフェナジン塩酸塩XVI形は米国特許20040044038号明細書に開示されており、その明細書において、フェキソフェナジン塩酸塩XVI形が10.1、15.2、18.6、19.2、20.1±0.2°2θ(degree two theta)にピークを有する粉末XRDパターンにより特徴付けられている。その公報によれば、XVI形は、約125℃までの温度領域に2つの吸熱ピークと約135℃の温度に追加の吸熱ピークがあるDSCプロフィールを有する。XVI形はまた、約145℃までの温度領域に約6%〜約10%の乾燥減量(LOD)を有するTGAサーモグラムも示す。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
技術の現状では、フェキソフェナジン塩酸塩の追加の多形および工業規模でのそれらの製造方法が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0015】
一観点によれば、本発明は、下記のうちのいずれか1つにより特徴付けられるフェキソフェナジンHCl塩の結晶形(XIX形)を提供する:
a)3.8, 8.8, 11.3, 18.8, 20.2±0.2°2θにピークを有する粉末XRDパターン;
b)約90℃〜約100℃の温度に第一の吸熱量ピークと約148℃〜約155℃の温度に第二の吸熱量を有するDSCプロフィール;または
c)TGAによる30℃〜150℃の温度領域での約4〜約8%の重量減少。
【0016】
好ましくは、前記結晶形は次の粉末XRDピークにより特徴付けられる:3.8, 8.8, 11.3, 18.8, 20.2±0.2°2θ。また、本発明は、フェキソフェナジン塩酸塩の別の結晶形を5重量%未満含んでなる結晶形の粉末も提供する。
【0017】
一観点によれば、本発明は、上記結晶形フェキソフェナジン塩酸塩の製造方法であって、
a)C1-C4アルコールに対して少なくとも約15容量%水分を有するC1-C4アルコール中のフェキソフェナジン塩酸塩の溶液を調製し、ここでフェキソフェナジン塩酸塩の調製に使われるフェキソフェナジン塩基の前記C1-C4アルコールに対する比率は約1:2.5〜約1:4(g/容量)であり;
b)前記溶液を冷却して結晶形を晶出させ;そして
c)前記結晶形を回収する
ことを含んでなる方法を提供する。
【0018】
好ましくは、冷却は約0℃〜約10℃の温度で実施される。好ましくは、前記C1-C4アルコールがメタノールである。好ましくは、回収工程の前に、溶液に抗溶剤(anti-solvent)が添加される。好ましくは前記抗溶剤がC5-C12飽和炭化水素である。好ましくは、回収された結晶形フェキソフェナジンHClが、フェキソフェナジン塩酸塩の別の結晶形を約5重量%未満しか含まない。好ましくは、別の結晶形が約2重量%未満しか存在しない。
【0019】
別の観点では、本発明は、10.1、15.2、18.6、19.2、20.1±0.2°2θにピークを有する結晶形フェキソフェナジン塩酸塩(XVI形)の調製方法であって、
a)水とC1-C4アルコールの混合物中にフェキソフェナジン塩酸塩の溶液を調製し、ここで前記アルコールに対する水の重量は約12容量%未満であり;
b)前記溶液を冷却して結晶形を晶出させ;そして
c)前記結晶形を回収する
ことを含んでなる方法を提供する。
【0020】
好ましくは、前記C1-C4アルコールがメタノールとイソプロピルアルコールから成る群より選ばれる。好ましくは、前記水の量が約5容量%から約12容量%である。好ましくは前記水の量が約10%である。好ましくは前記溶液が約マイナス5℃(-5℃)より低い温度に冷却される。好ましくは約-12℃より低い温度に冷却される。好ましくは、前記結晶形を回収する前に溶液に抗溶剤が添加される。好ましくは、前記抗溶剤がC5-C12飽和炭化水素である。好ましくは、回収される結晶形フェキソフェナジン塩酸塩が別のフェキソフェナジン塩酸塩結晶形を約5重量%未満しか含まない。好ましくは別の結晶形が約2重量%未満しか存在しない。
【0021】
別の観点によれば、本発明は、7.2、11.7、14.1、15.4、16.9、18.5、23.1および23.9±0.2 deg.2θにピークを有する粉末XRDパターンにより特徴付けられるフェキソフェナジンHClの結晶形(XXI形)を提供する。また、別の結晶形を5重量%未満しか含まない前記結晶形の粉末も提供される。
【0022】
別の観点によれば、本発明は、結晶形フェキソフェナジン塩酸塩XXI形の調製方法であって、
a)少なくとも約10容量%水分を有するイソプロパノール中のフェキソフェナジンHClの溶液を調製し、ここで前記フェキソフェナジン塩酸塩を調製するのに用いるフェキソフェナジン塩基のイソプロパノールに対する比は多くて約1:2(g/容量)であり;
b)前記溶液を冷却して結晶形を晶出させ;そして
c)前記結晶形を回収する
ことを含んで成る方法を提供する。
【0023】
好ましくは、前記溶液が約-20℃〜約0℃に冷却される。好ましくは前記溶液が約-10℃に冷却される。
【0024】
別の観点によれば、本発明はフェキソフェナジンHClの結晶形(XX形)であって、
a)5.4、10.7、14.0、14.7、15.8、17.0、19.0、20.0、21.6および23.2±0.2°2θにピークを有する粉末XRDパターン;または
b)約50〜55℃の温度に第一の吸熱量ピークと、約100℃および約140℃の温度に第二の吸熱量を有するDSCプロフィール
のいずれか1つにより特徴付けられる結晶形に関する。
【0025】
好ましくは、前記結晶形が5.4、10.7、14.0、14.7、15.8、17.0、19.0、20.0、21.6および23.2±0.2°2θのXRDピークにより特徴付けられる。また、フェキソフェナジン塩酸塩の別の結晶形を5重量%未満しか含まない前記結晶形の粉末も提供される。
【0026】
本発明の別の観点では、結晶性フェキソフェナジン塩酸塩XX形の調製方法であって、10.1、15.2、18.6、19.2、20.1±0.2にピークがある粉末XRDパターンを有する結晶形フェキソフェナジン塩酸塩(XVI形)を十分な時間乾燥することを含んで成る方法を提供する。一態様では、前記乾燥が少なくとも約10時間実施される。
【0027】
一態様では、前記乾燥が
a)トレー式乾燥機;
b)混合真空床乾燥機
のうちの1つにより実施される。
【0028】
一態様では、前記トレー式乾燥機がトレー式真空乾燥機である。一態様では、前記乾燥が約75℃〜90℃の温度で実施される。一態様では、前記混合真空乾燥は約60℃〜約70℃の温度で実施される。一態様では、流動層式乾燥機を使った乾燥は約20℃〜約30℃の温度で実施される。一態様では、フェキソフェナジン塩酸塩が乾燥中に徹底的に混合される。一態様では、フェキソフェナジン塩酸塩が乾燥中または乾燥後に供給される。
【0029】
別の観点によれば、本発明は、結晶形フェキソフェナジン塩酸塩XX形の調製方法であって、フェキソフェナジン塩酸塩XVI形を微粉砕機(マイクロナイザー)により微粉砕することを含んで成る方法を提供する。好ましくは、前記微粉砕機中への吸入空気圧は約6〜約8バールである。好ましくは前記微粉砕機の粉砕空気圧は約4〜約7バールである。
【0030】
別の観点によれば、本発明は、結晶形フェキソフェナジン塩酸塩XX形を、10.1、15.2、18.6、19.2、20.1±0.2にピークを有する結晶フェキソフェナジン塩酸塩(XVI形)に変換する方法であって、フェキソフェナジンHClのXX形を約40%より高い相対湿度に暴露することを含んでなる方法を提供する。好ましくは、前記相対湿度が約70%から約85%である。好ましくは、流動層または湿度制御室が使われる。好ましくは前記結晶形が少なくとも約80%の収率で得られる。好ましくは、温度が約35℃以下である。好ましくは温度がほぼ室温である。
【0031】
別の観点では、本発明は、非晶質フェキソフェナジンHClの調製方法であって、10.1、15.2、18.6、19.2、20.1±0.2にピークを有する結晶性フェキソフェナジンHCl(XVI形)を加熱することを含んで成る方法を提供する。好ましくは前記加熱温度が約80℃〜約100℃である。
【0032】
別の観点では、本発明は、XIX形、XX形、XXI形およびそれらの混合物から成る群より選ばれた結晶形フェキソフェナジン塩酸塩と医薬上許容される賦形剤とを含んで成る医薬組成物を提供する。
【0033】
別の面では、本発明は、処置を必要とする哺乳動物においてセロトニン再取込みを減少させるために用いられる医薬組成物であって、XIX形、XX形、XXI形およびそれらの混合物から成る群より選ばれた結晶形フェキソフェナジン塩酸塩と医薬上許容される賦形剤とを含んで成る医薬組成物を提供する。
【0034】
別の面では、本発明は、哺乳動物においてセロトニン再取込みを減少させる方法であって、それを必要とする哺乳動物に本発明の医薬組成物を投与することを含んで成る方法を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
本明細書中で用いる場合、「減圧」という用語は、1気圧より低い圧力、好ましくは約100mmHg以下、より好ましくは約50mmHg以下の圧力のことを言う。
【0036】
本明細書中で用いる場合、「真空」という用語は、約100mmHg以下、より好ましくは約10mmHg以下の圧力のことを言う。
【0037】
本明細書中で用いる場合、「徹底的混合」という用語は、少なくとも約5、より好ましくは少なくとも約10、より好ましくは約20のrpmで混合することを言う。
【0038】
本明細書中で用いる場合、「結晶化(晶出)」という用語は、液体またはガスから結晶を形成させる操作のことを言う。
【0039】
本明細書中で用いる場合、「抗溶剤」という用語は、ある場合には同時に、またある場合には供給、冷却、粉砕および/または濃縮といった追加の段階を伴って、活性医薬成分(API)の溶液と混合したときに、溶液中のAPIの溶解度を減少させてAPIの結晶化または沈澱を引き起こすような液体のことを言う。前記APIは本明細書中に開示されるフェキソフェナジン塩酸塩のいずれの多形性形態であってもよい。
【0040】
本発明の多形性形態は、多形性的に純粋な形であり、すなわち実質的に別の多形性形態を含まない。本発明の多形性的に純粋な形態は、フェキソフェナジン塩酸塩の別の多形性形態を約5重量%未満、より好ましくは約2重量%未満しか含まない。別の多形性形態としては、フェキソフェナジン塩酸塩のI、II、III、IV、V、VI、VIII、IX、X、XI、XII、XIII、XIV、XVI、XIX、XXおよびXXI形のいずれか1つが挙げられる。純度は粉末XRDにおけるピークを観察することにより測定することができる。
【0041】
一態様では、本発明は、フェキソフェナジン塩酸塩XIX形の結晶形を提供することである。XIX形は次の特性ピークを有する:3.8、8.8、11.3、18.8、20.2±0.2°2θ。フェキソフェナジン塩酸塩のXIX形は、DSCサーモグラムにおける約90〜100℃の温度のところの吸熱量ピークと、約148〜155℃のところの追加の吸熱量により特徴付けることができる。TGAによると、フェキソフェナジン塩酸塩XIX形は30〜150℃の温度領域において約4から約8%の重量減少を示す。適当な粉末XRD、DSCおよびTGA図は図面の番号4、5および6にそれぞれ該当する。
【0042】
本発明は、フェキソフェナジン塩酸塩XIX形の調製方法を提供する。その方法は工業規模に適当である。本発明者らは、XVI形の調製方法においてC1-C4アルコール溶液に水を加えると、別の結晶形(XIX形と称する)が得られる場合があることを発見した。一貫してXIX形を得るためには、水性HCl中に存在する水分も含んで、水:C1-C4アルコールの溶媒比が容積比で約1.5:10より大きい。より少量の水を加えると、得られる結晶形はろ過温度に依存して変わる。約-5℃未満のろ過温度、より好ましくは約-10℃未満、より最も好ましくは約-12℃未満のろ過温度で、結晶形XVIが得られる。
【0043】
結晶形XIXは、フェキソフェナジン塩基をHClおよび約1.5:10以上の比の水とC1-C4アルコールの混合物と接触させて溶液とし、該溶液を冷却し、次いで結晶形を回収することにより調製することができる。ここで、前記フェキソフェナジン塩基対アルコールの比は約1:2.5〜約1:4(g/容積)である。好ましくは、約0℃〜約10℃の温度への冷却が行われるが、結晶化はそれより高温で実施してもよい。好ましくは、C1-C4アルコールがメタノールまたはイソプロパノールである。XIX形は予め作られたフェキソフェナジン塩酸塩を使って調製することもできる。
【0044】
場合により、当該方法はフェキソフェナジン塩酸塩の溶液に抗溶剤を添加することを更に含んでもよい。好ましくは得られた溶液を抗溶剤の添加の前、最中または後に冷却する。より好ましくは、溶液を冷却した後で抗溶剤を添加する。次いでフェキソフェナジンHClのXIX形の結晶を回収する。好ましくは、抗溶剤がC5-C12飽和炭化水素、より好ましくは環状または開鎖状ヘキサンまたはヘプタンである。
【0045】
本発明は、フェキソフェナジン塩酸塩XVI形の調製方法も提供する。当該方法は工業規模にも適当である。本発明では、XVI形は、少量の水の存在下で、好ましくは、容積比で約1.2:10以下の水対C1-4アルコール比で、十分に低い温度で結晶化を行うことにより調製することができる。XVI形は、HClを水とC1-C4アルコールの混合物と接触させて約0.5:10〜約1.2:10の水:アルコール比を提供し;前記C1-C4アルコール溶液にフェキソフェナジン塩基を添加してフェキソフェナジン塩酸塩の溶液を作り、前記溶液を冷却し、そして結晶形を回収することにより調製することができる。溶液中の水:C1-C4アルコールの比は、最も好ましくは約1:10(v/v)である。アルコールに対するフェキソフェナジン塩基の比は、好ましくは約1:2.5〜約1:4(g/容積)である。
【0046】
好ましくは、前記C1-C4アルコールがメタノールまたはイソプロピルアルコールである。最も好ましくは、前記C1-C4アルコールがメタノールである。フェキソフェナジン塩基を添加する前に、前記溶液が好ましくは約-5℃〜約10℃の温度に維持されるが、約5℃がより好ましい。好ましくは、前記フェキソフェナジン塩酸塩溶液は少なくとも約マイナス(-)5℃、より好ましくは約-11℃〜約-20℃、最も好ましくは約-12℃の温度に冷却される。塩の溶液を得るために、内容物を混合またはろ過してもよい。予め作られたフェキソフェナジン塩酸塩を使って当該方法を開始し、次いで水性メタノール中に溶解させて溶液を得ることも可能である。
【0047】
所望により、当該方法は、フェキソフェナジン塩酸塩の溶液に抗溶剤を添加することを更に含んでもよい。好ましくは、抗溶剤の添加の前、最中または後に、得られた溶液を冷却する。より好ましくは、前記溶液を冷却した後で、前記抗溶剤を添加する。次いでフェキソフェナジンHCl塩のXVI形の結晶が回収される。好ましくは前記抗溶剤がC5〜C12飽和炭化水素であり、より好ましくは環状または開環状ヘキサンまたはヘプタンである。
【0048】
フェキソフェナジン塩酸塩の溶液を冷却した後、得られた不均一混合物を約1時間から約1日間の間、より好ましくは約2時間から約16時間、同じ温度範囲の中で維持および攪拌される。
【0049】
本発明の更に別の態様によれば、XVI形は、フェキソフェナジンHCl塩XX形を約40%、より好ましくは約70%〜約85%の相対湿度の湿潤雰囲気に暴露することにより調製することができる。フェキソフェナジンHClのXX形を湿潤雰囲気に接触させるためには、既知の技術、例えば流動床乾燥機または湿度制御セルを用いてもよい。好ましくは、フェキソフェナジンHCl塩のXX形を湿潤雰囲気に暴露させるために、流動層乾燥機が使われる。暴露時間は使用する原料の量と技術により変わる。好ましくは、XRDにより試料中の結晶形含有率をモニタリングする。湿潤雰囲気暴露方法は、好ましくは約35℃以下の温度、より好ましくは室温で行われる。好ましくは、約25℃の温度で、約30分間の間、70〜85%RHの相対湿度において、流動床乾燥機を使って、湿潤雰囲気へのフェキソフェナジンHClのXX形の接触が実施される。好ましくは、前記XVI形への変換は、XVI形が少なくとも80%の収率となるまで実施される。
【0050】
一態様では、本発明は、フェキソフェナジン塩酸塩の結晶XXI形を提供することである。XXI形は次の特性ピークを有する:7.2、11.7、14.1、15.4、16.9、18.5、23.1および23.9±0.2°2θ。
【0051】
フェキソフェナジン塩酸塩XXI形は、フェキソフェナジン塩基およびイソプロパノールをHClと混合して、イソプロピルアルコールに対して少なくとも10容積%の水を含む溶液を調製し、ここで前記フェキソフェナジン塩基:イソプロピルアルコールの比は約1:2およびそれ以下(g/容積)であり、次いで前記溶液を冷却し、そして結晶形を回収することにより調製できる。好ましくは、前記溶液が約-20℃〜約-0℃、より好ましくは約-10℃の温度に冷却される。好ましくは攪拌しながら冷却を施行する。当該方法は予め作られたフェキソフェナジン塩酸塩を使って実施してもよい。
【0052】
結晶は常用技術、例えばろ過、沈降または遠心分離により回収することができる。本発明の方法から得られた湿潤結晶は乾燥させることができる。乾燥は、湿潤結晶を大気圧または減圧下で加熱することにより実施してもよい。好ましくは、乾燥は約50℃から約80℃の温度で実施されるが、約65℃〜約70℃が好ましい。好ましくは、乾燥のための圧力は約100mmHg以下、より好ましくは約50mmHg以下である。温度または圧力に依存して、乾燥は数日間にわたり実施されるが、より好ましくは約6時間〜約24時間であり、約16時間が好ましい。
【0053】
一態様では、本発明は、フェキソフェナジン塩酸塩の結晶形XX形を提供する。XX形は、5.4、10.7、14.0、14.7、15.8、17.0、19.0、20.0、21.6および23.2±0.2°2θのところにピークを有する粉末XRDパターンにより特徴付けられる。フェキソフェナジン塩酸塩XX形のTGA曲線(図9)は、約3%から約4%の重量減少を示す。結晶形XXは水和物である。TGAにおける重量減少は、約3%〜約4%水の水分に相当する。適当なPXRD、DSCおよびTGA図は図面の番号7,8および9に該当する。
【0054】
本発明は、フェキソフェナジン塩酸塩XX形の調製に適する方法を提供する。本発明では、XX形はXVI形を様々な条件下で乾燥させることによりXVI形から調製される。XVI形はXX形の種結晶の存在下で乾燥させてもよく、またはXVI形を混合する間に(混合の前に、最中にまたは混合の後に)乾燥させてもよい。そのような混合はXX形への変換を加速する。フェキソフェナジンHClのXX形は、フェキソフェナジンHCl塩XVI形を約20%RH未満、好ましくは約0%RHの低い湿潤雰囲気に暴露することにより得られる。XVI形に対するXX形の相対量は、低い湿潤雰囲気の下で増加し、高い湿潤雰囲気では減少する。XVI形とXX形の両方を含有する混合物中のXX形の量は、約10.6°2θの所のXX形の特徴的XRDピークにより決定することができる。
【0055】
本発明の一態様では、XX形は混合真空乾燥機中で湿ったフェキソフェナジン塩酸塩XVI形を乾燥させることにより調製することができる。前記乾燥は、好ましくは約60〜70℃の温度、より好ましくは65℃の温度で、徹底的な混合を伴って実施される。前記乾燥工程は好ましくはXRDによりモニタリングされる。あるいは、XVI形は混合せずに約2時間乾燥させ、その後で攪拌しながら約8〜32時間、好ましくは約28時間更に乾燥させる。乾燥は好ましくは約60〜70℃の温度、より好ましくは約65℃で実施される。好ましくは混合が徹底的である。
【0056】
本発明の別の態様では、XX形は、トレー式真空乾燥機中で湿ったフェキソフェナジン塩酸塩XVI形を乾燥させることにより調製することができる。前記乾燥は、約75〜90℃の温度、好ましくは80℃の温度で、約15時間実施される。好ましくは、相対湿度が50%未満であるべきである。
【0057】
本発明の更に別の態様では、XX形は流動層乾燥機中でフェキソフェナジン塩酸塩のXVI形とXX形を乾燥させることにより調製することもできる。この場合の乾燥は、好ましくは約20〜30℃、好ましくは約25℃の温度で実施される。好ましくは、前記混合が徹底的である。
【0058】
当業者は、別の種類の乾燥機を使用することができ、例えばロータリー式真空乾燥機、スピン式噴霧乾燥機、トンネル型乾燥機およびドラム型乾燥機も適当である。
【0059】
本発明の別の態様では、フェキソフェナジン塩酸塩XX形は、フェキソフェナジン塩酸塩XVI形をマイクロナイザー中に供給することにより調製できる。XVI形は、手動でまたは振動供給装置(vibratory feeder)のいずれかにより供給することができる。好ましくは、供給空気圧は約6〜8バールであり、粉砕空気圧は4〜7バールである。マイクロナイザーとは、高速で粒子をコロイド状にすることにより、粒子の大きさを減少させ且つ粒子の表面積を増加させる装置のことを言う。
【0060】
活性医薬物質の形態学は薬効に重要な役割を果たし、粉砕工程の間や薬品製造の間の取扱いに重大な影響を与える。既知のフェキソフェナジンHCl塩I形は針状晶形態を含むが、フェキソフェナジンHClのXX形は約30〜約40ミクロンまでの小さな棒状粒子を示す。針状形粒子は、しばしば流動性が乏しいことから一般に望ましくない。
【0061】
薬剤物質の固体特性により影響される別の重要な性質は溶解度である。XX形とI形の水溶解度は、過剰量の試料を水に懸濁させてスラリーにし、そしてHPLCにより溶液中のフェキソフェナジンHClの濃度を測定することにより試験した。既知のフェキソフェナジンHCl塩I形についての溶解度結果は溶液中のフェキソフェナジンHClの濃度に相当大きな変動(ゆらぎ)を示すのに対して、XX形についての溶解度試験結果は、プラトー(平坦域)が観察されるまで溶液中のフェキソフェナジンHClの濃度にゆるやかな減少を示す。溶解度は医薬品の生物利用可能性(バイオアビリティー)と相関関係があり、結果として薬品の吸収および効率と相関関係があるので、溶解度の変動は望ましくない。
【0062】
別の態様では、本発明はフェキソフェナジンHCl非晶形の調製方法を提供する。フェキソフェナジンHCl非晶形は、フェキソフェナジンHClのXVI形を加熱することにより調製できる。加熱は好ましくは約80℃〜約100℃の温度で、より好ましくは少なくとも10時間実施される。
【0063】
本発明の方法(特に乾燥工程)では、ある1つの多形性形態の変換が別の多形性形態をもたらし、少なくとも10%、より好ましくは少なくとも約30%、最も好ましくは少なくとも約50%の変換が起こる。
【0064】
好ましくは、上記すべての多形性形態について、HCl対フェキソフェナジン塩基の比は約0.9から約1.5であり、最も好ましくは約1当量である。好ましくは、約1:1のHCl対フェキソフェナジン塩基のモル比、またはそれよりわずかに過剰のモル比が使われる。
【0065】
本発明の方法では、HClの溶液がフェキソフェナジン塩基に添加されるか、またはその逆も可能である。好ましくは、アルコール中の塩酸の水性溶液の入った容器、すなわちフラスコまたは反応器に、フェキソフェナジン塩基が添加される。
【0066】
当業者は、本発明の多形性形態が、一般に異なる再結晶溶媒系を使った結晶化を通してフェキソフェナジン塩酸塩から選択的に得ることができることを認識するだろう。出発材料はフェキソフェナジン塩酸塩無水物であるか、あるいは別のフェキソフェナジン塩酸塩の水和物もしくは低級アルコール溶媒和物および他の溶媒和物形であることができる。出発のフェキソフェナジン塩酸塩は、非晶形であってもいずれかの結晶質形であってもよい。当該方法は、出発材料として利用できないような純度状態で所望の形態を使用することによる化学的精製方法として利用することができる。本発明の方法は、フェキソフェナジン塩酸塩のXVI形を調製するための米国特許第5,578,610号、同第5,589,487号、同第5,581,011号、同第5,663,412号、同第5,750,703号、同第5,994,549号、同第5,618,940号、同第5,631,375号、同第5,644,061号、同第5,650,516号、同第5,652,370号、同第5,654,433号、同第5,663,353号、同第5,675,009号、同第5,375,693号および同第6,147,216号に開示されている方法における最終工程として、実施することもできる。
【0067】
本発明の多数の方法は溶液からの結晶化(晶出)を含んでなる。当業者は、得られる多形性形態に影響を与えることなく結晶化に関する条件を様々に変更できることを知っているだろう。例えば、フェキソフェナジン塩酸塩または遊離塩基を溶剤中で混合して溶液を調製する際、出発物質を完全に溶かすために混合物を加熱することが必要となる場合がある。加熱しても混合物を清澄化しない場合、混合物を希釈またはろ過することができる。ろ過するためには当該混合物を紙、ガラス繊維もしくは別の膜材料、またはセライトのような清澄剤に通すことができる。使用する器具並びに溶液の濃度と温度に依存して、未熟な結晶化を避けるためにろ過装置を予め加熱しておくことが必要かもしれない。
【0068】
本発明の医薬組成物は、フェキソフェナジン塩酸塩を含んで成る。本発明の医薬組成物は、活性成分(一種または複数)に加えて、1または複数の賦形剤を含んでもよい。賦形剤は様々な目的に応じて組成物に添加される。
【0069】
希釈剤は固形医薬組成物の嵩を大きくし、当該組成物を含む医薬投与形態を患者や世話する人が容易に取り扱いできるようにする。固形組成物用の希釈剤としては、例えば、微結晶セルロース(例えばAvicel(登録商標))、微晶質セルロース、乳糖、デンプン、予備ゼラチン化デンプン、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、砂糖、デキストレート、デキストリン、デキストロース、硫酸二カルシウム二水和物、リン酸三カルシウム、カオリン、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、マルトデキストリン、マンニトール、ポリメタクリレート(例えばEugragit(登録商標))、塩化カリウム、粉末セルロース、塩化ナトリウム、ソルビトールおよびタルクが挙げられる。
【0070】
錠剤のような剤形に圧縮される固形医薬組成物は、圧縮後に活性成分と別の賦形剤とを一緒に結合させるのを助けるような機能を有する賦形剤を含んで成ってもよい。固体医薬組成物用の結合剤としては、アカシア、アルギン酸、カルボマー(例えばカルボポール)、カルボキシメチルセルロースナトリウム、デキストリン、エチルセルロース、ゼラチン、グアーガム、水素添加植物油、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース(例えばKlucel(登録商標))、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(例えばMethocel(登録商標))、液状グルコース、ケイ酸マグネシウムアルミニウム、マルトデキストリン、メチルセルロース、ポリメタクリレート、ポビドン(例えばKollidon(登録商標)、Plasdone(登録商標))、ゼラチン化デンプン、アルギン酸ナトリウム、およびデンプンが挙げられる。
【0071】
患者の胃での圧縮固形医薬組成物の溶解速度は、該組成物に崩壊剤を添加することにより増加させることができる。崩壊剤としては、アルギン酸、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム(例えばAc-Di-Sol(登録商標)、Primellose(登録商標))、コロイド状二酸化ケイ素、クロスキャメロースナトリウム、クロスポビドン(例えばKollidon(登録商標)、Polyplasdone(登録商標))、グアーガム、ケイ酸マグネシウムアルミニウム、メチルセルロース、微結晶セルロース、ポラクリリン(polacrin)カリウム、粉末セロース、予備ゼラチン化デンプン、アルギン酸ナトリウム、デンプングリコール酸ナトリウム(例えばExplotab(登録商標))、およびデンプンが挙げられる。
【0072】
非圧縮固体組成物の流動性を改善し、且つ投薬の正確さを高めるために、光沢剤を添加することができる。光沢剤として機能することができる賦形剤としては、コロイド状二酸化ケイ素、三ケイ素酸マグネシウム、粉末状セルロース、デンプン、タルク、およびリン酸三カルシウムが挙げられる。
【0073】
錠剤のような剤形を粉末状組成物の圧縮により製造する場合、パンチとダイから当該組成物に圧力が負荷される。ある種の賦形剤と活性成分はパンチとダイの表面に粘着しやすいので、製品をピットさせて別の表面不規則性を引き起こすころたできる。粘着を減らし且つダイから製品を離脱しやすくするために、滑剤(離型剤)を組成物に添加することができる。滑剤としては、例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、モノステアリン酸グリセリル、パルミトステアリン酸グリセリル、水素化ヒマシ油、水素化植物油、鉱油、ポリエチレングリコール、安息香酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリルフマル酸ナトリウム、ステアリン酸、タルクおよびステアリン酸亜鉛が挙げられる。
【0074】
香料および香味剤は剤形を患者が服用しやすくする。本発明の組成物に含めることができる医薬品用の常用の香料および香味剤としては、マルトール、バニリン、エチルバニリン、メントール、クエン酸、フマル酸、エチルマルトール、および酒石酸を挙げることができる。
【0075】
固体および液体組成物は、それらの外観を改善しそして/または患者および単位投与量の識別を容易にするために、医薬上許容される任意の着色剤を使って着色してもよい。
【0076】
本発明の液体医薬組成物においては、塩酸塩形と任意の別の固形賦形剤が液状キャリヤー、例えば水、植物油脂、アルコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、またはグリセリン中に溶解または懸濁せしめられる。
【0077】
液体医薬組成物は、液状キャリヤーに溶解しない活性成分または別の賦形剤を組成物の中に全体に均一に分散させるために、乳化剤を含んでもよい。本発明の液体組成物に利用できる乳化剤としては、例えば、ゼラチン、卵黄、カゼイン、コレステロール、アカシア、トラガカント、コンドラス、ペクチン、メチルセルロース、カルボマー、セトステアリルアルコール、およびセチルアルコールを挙げることができる。
【0078】
本発明の液体医薬組成物は、製品の風味を良くしそして/または胃腸管の内壁を保護するために増粘剤を含んでも良い。そのような剤としては、アカシア、アルギン酸ベントナイト、カルボマー、カルボキシメチルセルロースカルシウムもしくはナトリウム、セトステアリルアルコール、メチルセルロース、エチルセルロース、ゼラチングアーガム、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、マルトデキストリン、ポリビニルアルコール、ポビドン、プロピレンカーボネート、アルギン酸プロピレングリコール、アルギン酸ナトリウム、澱粉グリコール酸ナトリウム、澱粉トラガカント、およびキサンタンガムが挙げられる。
【0079】
風味を良くするために、ソルビトール、サッカリン、サッカリンナトリウム、ショ糖、アスパルテーム、フルクトース、マンニトールおよび転化糖のような甘味料を添加しても良い。また、貯蔵安定性を高めるために保存剤やキレート化剤、例えばアルコール、安息香酸ナトリウム、ブチル化ヒドロキシトルエン、ブチル化ヒドロキシアニソールおよびエチレンジアミン四酢酸を摂取に安全な量だけ添加しても良い。
【0080】
本発明の液体組成物は、グルコン酸、乳酸、クエン酸もしくは酢酸、グルコン酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、クエン酸ナトリウムまたは酢酸ナトリウムのような緩衝剤を含んでも良い。
【0081】
賦形剤や使用量の選択は、当業界での標準手順と参考著作の考慮および経験に基づいて、製剤専門家により容易に決定することができる。
【0082】
本発明の固形組成物は、粉末、顆粒、凝集および圧縮組成物を包含する。投薬量は、経口、舌下、直腸、非経口(皮下、筋肉内、および静脈内)、吸入および眼科的投与を包含する。特定の場合において最も適当な経路は、処置される状態の性質および重症度に依存するけれども、最も好ましい経路は経口投与である。投薬量は便利には1回量の形態(単位投与形態)として提供され、医薬業界における周知の方法のいずれかにより調製することができる。
【0083】
剤形としては、錠剤、粉剤、カプセル剤、坐剤、サッシェ、トローチおよびロゼンジ剤、並びに液体シロップ剤、懸濁液およびエリキシル剤が挙げられる。
【0084】
本発明の剤形は、硬質もしくは軟質の外殻の中に本発明の組成物(好ましくは粉末または粒状固体組成物)を含有するカプセル剤である。外殻はゼラチン製であってもよく、そして所望により可塑剤(例えばグリセリンやソルビトール)、および透明化剤または着色剤を含んでも良い。
【0085】
活性成分と賦形剤は、当業界で周知の方法に従って組成物や剤形に製剤化することができる。
【0086】
錠剤化またはカプセル充填のための組成物は、湿式造粒により調製することができる。湿式造粒においては、粉末形態の形で活性成分のうちの幾つかまたは全部を混合し、次いで液体(典型的には水)の存在下で更に混合して、粉末を顆粒へと凝集させる。顆粒を篩い分けそして/または粉砕し、乾燥し、次いで所望の粒度に篩い分けしそして/または粉砕する。次いで顆粒を錠剤化してもよく、あるいは光沢剤や滑剤のような別の賦形剤を添加した後で錠剤化してもよい。
【0087】
錠剤用組成物は一般的には乾式混合により調製される。例えば、活性成分と賦形剤の混合組成物を塊状もしくはシート状に固め、次いで圧縮顆粒へと凝集させることができる。固めた顆粒はその後錠剤へと更に圧縮することができる。
【0088】
乾式造粒に代わるものとして、直接圧縮技術を使って混合組成物を直接剤形に圧縮することができる。直接圧縮製品は、顆粒を含まないより均一な錠剤を生成する。特に直接圧縮打錠に適する賦形剤としては、微結晶セルロース、スプレー乾燥乳糖、リン酸二カルシウム二水和物、およびコロイド状シリカが挙げられる。直接圧縮打錠における上記および他の賦形剤の適切な使用法は、経験と技術(特に直接圧縮打錠の配合の)を有する当業者にとって周知である。
【0089】
本発明のカプセル充填は、それらが最終の打錠工程にかけられないだけで、打錠に関して記載された上記混合物および顆粒のうちの任意のものを含んでなることができる。
【0090】
機器
XRD
XRD回析は、X線粉末解析装置、Scintag、変動測角器、Cuチューブ、固相検出器により実施した、ラウンドゼロバックグラウンドに調整したラウンド標準アルミニウム試料ホルダーを使用した。
スキャンパラメーター:範囲:2〜40°2θ、連続スキャン速度:3°/分。
【0091】
熱分析
DSCサーモグラムはDSC821e、Mettler Toledo上で実行した。
試料重量:3〜5mg
加熱速度:10℃/分
るつぼ中の孔の数:3。
【0092】
TGAサーモグラムは標準アルミナ受皿を使ってMettler TG50上で実施した。
試料重量:7〜15mg
加熱速度:10℃/分。
【実施例】
【0093】
実施例1-フェキソフェナジン塩酸塩XVI形の調製
メタノール(120 ml)、水(6ml)、および32%HCl溶液(10g)を反応器に添加した。その溶液を攪拌下でマイナス5℃(-5℃)に冷却した。フェキソフェナジン塩基(40g)を反応器に添加した。完全な溶解が得られるまで攪拌を続けた。その溶液を攪拌しながら-12℃に冷却した。生じた懸濁液を-12℃で2〜16時間攪拌した。生成物をろ過した。純粋なフェキソフェナジンHCl塩XVI形が得られた。得られたフェキソフェナジンHCl塩XVI形の湿潤ケークを65〜80℃の温度で真空(10mmHg)中で乾燥させた。16時間の乾燥後、純粋なフェキソフェナジンXVI形が得られた。
【0094】
実施例2-フェキソフェナジンHCl塩XIX形の調製
6gのHCl32%(1当量)と2容量のメタノールを1リットル反応器に添加した。25gの純粋なフェキソフェナジン塩基を25℃で攪拌しながら20容量のヘプタン中に溶解させ、次いで2容量の軟水を添加した。得られた結晶を20℃でろ過した。フェキソフェナジンHCl塩XIX形が得られた。
【0095】
実施例3-フェキソフェナジン塩酸塩XIX形の調製
2容量のメタノールと1容量の軟水を1リットルの反応器に導入した。25gの純粋なフェキソフェナジン塩基を25℃で攪拌しながら溶解させた。次いでHCl32%(1当量)を添加した。混合物を40℃に加熱して完全に溶解させ、次いで20℃に冷却した。混合物を30分間攪拌した。次いで2容量のヘプタンを25℃で添加した。混合物を1時間以内で15℃へと冷却し、次いでろ過した。フェキソフェナジンHCl塩XIX形が得られた。
【0096】
実施例4-フェキソフェナジン塩酸塩XIX形の調製
メタノール(120mL)、水(12ml)および32%HCl溶液(10g)を反応器に導入した。その溶液を攪拌しながら5℃に冷却した。フェキソフェナジン塩基(40g)を反応器に加えた。完全な溶解が得られるまで攪拌を続けた。溶液を(攪拌下で)-12℃に冷却した。懸濁液を更に2〜16時間攪拌した後、生成物をろ過し、次いで65〜80℃の温度で真空乾燥させた。ろ過した直後に湿潤生成物としてフェキソフェナジンHClのXIX形が得られ、また乾燥させた後にもフェキソフェナジンHClのXIX形が得られた。KFによる水含有量=7.1%。
【0097】
実施例5-フェキソフェナジン塩酸塩XIX形の調製
メタノール(80mL)、水(8ml)および32%HCl溶液(10g)を反応器に添加した。その溶液を攪拌しながら5℃に冷却した。フェキソフェナジン塩基(40g)を反応器に加えた。完全な溶解が得られるまで攪拌を続けた。その溶液を攪拌しながら-12℃に冷却した。懸濁液を更に2〜16時間攪拌した後、生成物をろ過し、次いで65〜80℃の温度で16時間真空乾燥させた。ろ過した直後に湿潤生成物として、また乾燥させた後にもフェキソフェナジンHClのXIX形が得られた。KFによる水含有量=4.4%。
【0098】
実施例6-XVI形と混ざったフェキソフェナジン塩酸塩XIX形の調製
メタノール(120ml)、水(6ml)および32%HCl溶液(10g)を反応器に添加した。その溶液を攪拌下で5℃に冷却した。フェキソフェナジン塩基(40g)を反応器に導入した。完全な溶解が得られるまで攪拌を続けた。その溶液を冷却した(攪拌しながら)。0℃、-5℃および-10℃にて試料を採取した。混合物を-12℃に冷却した。懸濁液を更に2〜16時間攪拌した後、生成物をろ過し、次いで65〜80℃の温度で6時間真空乾燥させた。
【0099】
下記の表は、冷却工程の経過の間に得られた結晶形を記載したものである。
【表1】
【0100】
実施例7-フェキソフェナジン塩酸塩XVI形の調製
イソプロピルアルコール(150ml)と32%HCl溶液(11.5g)を反応器に導入した。溶液を攪拌下で10℃に冷却した。フェキソフェナジン塩基(50g)を反応器に添加した。完全な溶解が得られるまで攪拌を続けた。その溶液を-12℃に冷却した(攪拌しながら)。ヘプタン(5ml)を反応器に添加すると、白濁が現れた。懸濁液を更に2〜16時間攪拌した後、生成物をろ過した。純粋なフェキソフェナジンHCl塩XVI形が得られた。湿ったケークを65〜80℃の温度で真空乾燥させた。16時間乾燥後、フェキソフェナジンXVI形が得られた。
【0101】
実施例8-フェキソフェナジンHCl塩XX形の調製
湿潤試料としてのフェキソフェナジンHCl塩XVI形(100g)を混合真空乾燥機に添加した。試料を真空下で徹底的な攪拌(〜20rpm)のもとで65℃の温度にて12時間にわたり乾燥させた。12時間後、フェキソフェナジンHCl塩XX形が得られた。
【0102】
実施例9-XVI形と混ざったフェキソフェナジンHCl塩XX形の調製
湿潤試料としてのフェキソフェナジンHCl塩XVI形(400g)を混合真空乾燥機に添加した。試料を真空下で65℃にて乾燥させた。最初の2時間の間は試料を混合せずに乾燥させた(静置乾燥)。2時間後、試料を徹底的に混合した(〜20rpm)。下記の表は、乾燥工程が経過する間の多形性形態の変化を記載したものである。
【0103】
【表2】
【0104】
実施例10-XX形の調製
フェキソフェナジンHCl塩XVI形(40g)をトレー型真空乾燥機に導入した。試料を80℃の温度で真空乾燥した。15時間乾燥後、フェキソフェナジンHCl塩XX形が得られた。
【0105】
実施例11-XX形の調製
XVI形とXX形の混合物を含むフェキソフェナジンHCl(40g)を流動層式乾燥機に添加した(乾燥窒素気流を送風)。材料を25℃の温度で乾燥させた。次の表は乾燥工程が進行する間の多形性形態の変化を記載したものである。
【0106】
【表3】
【0107】
実施例12-XX形の調製
実験室用マイクロナイザー(モデル:Sturtevant qualification micronizer 50 mmまたはAtritor 50 mm)を使用した。フェキソフェナジンHCl塩XVI形を振動式供給装置によりマイクロナイザー中に導入した。供給空気圧は6〜8バールであり、粉砕空気圧は4〜7バールであった。フェキソフェナジンHCl塩XX形が得られた。
【0108】
実施例13-XXI形の調製
イソプロパノール(80ml)、水(2ml)および32%HCl溶液(10g)を反応器に添加した。その溶液を攪拌しながら5℃に冷却した。フェキソフェナジン塩基(40g)を反応器に導入した。完全な溶解が得られるまで攪拌を続けた。次いで該溶液を-10℃に冷却した。更に1時間懸濁液を攪拌した後、生成物をろ過し、65℃の温度で16時間真空乾燥した。フェキソフェナジンHCl塩XIX形(27g)が得られた。
【0109】
実施例14-フェキソフェナジンXVI形の調製
38kgのフェキソフェナジンHCl塩XX形を25℃の温度および70〜85%の相対湿度において流動床乾燥機中で30分間流動させた。39kgのフェキソフェナジンHCl塩XVI形が得られた。
【0110】
実施例15-フェキソフェナジンXVI形の調製
反応器に73.8kgのメタノール性溶液(メタノール中5%HCl)、8Lのメタノールおよび5kgの工業用水を導入した。反応器を5℃以下の温度に冷却し、反応器の温度を5℃以下に維持しながら純粋なフェキソフェナジン塩基(50kg)を徐々に添加した。無関係の粒子から溶液をろ別し、次いで散布を実施した。材料が沈殿し始めた後、反応器の内容物を−15℃以下に冷却した。反応器の内容物をろ過し、ろ過ケークを300リットルのヘプタンで洗浄した。材料を60〜70℃の真空乾燥機中で乾燥させ、次いでそれを60〜70℃の流動層式乾燥機で乾燥させた。材料を磨砕し、次いで25℃および70〜85%の相対湿度にて30分間、流動層式乾燥機中で流動化せしめた。フェキソフェナジンHCl塩XVI形が得られた。KFによる含水量は8%である。
【0111】
実施例16-XX形と混ざったフェキソフェナジンHCl塩XVI形の調製
200mgのフェキソフェナジンHCl塩XX形を、覆いのない受け皿の上に薄層として拡げ、それを30℃にて40、60および80%RHの湿度調節室の中に9日間置き、次いでXRDにより試験した。
【0112】
【表4】
【0113】
実施例17-XX形と混ざったフェキソフェナジンHCl塩XVI形の調製
フェキソフェナジンHCl塩XVI形200mgを、覆いのない受け皿の上に薄層として拡げ、それを室温において0、20、40、60および80%RHの湿度調節室の中に7日間置いた。試料をXRDとKF滴定により試験した。
【0114】
【表5】
【0115】
実施例18-XX形と混ざったフェキソフェナジンHCl塩XVI形の調製
フェキソフェナジンHCl塩XVI形とフェキソフェナジンHCl塩XX形の混合物を含む試料200 mgを、覆いのない受け皿の上に薄層として拡げ、それを室温において0、20、40、60および80%RHの湿度調節セルの中に7日間置き、次いでXRDとKF滴定により試験した。
【0116】
【表6】
【0117】
実施例19-非晶質形と混ざったフェキソフェナジンHCl塩XVI形の調製
0.5gのフェキソフェナジンHCl塩XVI形を大気圧下で60、80および100℃にて加熱した。次いで試料をXRDにより分析した。
【0118】
【表7】
【0119】
本発明を特定の好ましい態様と代表的な実施例により記載してきたけれども、当業者は、本明細書中に開示された発明の精神および範囲から逸脱することなく、本発明に適切な変更を加えることができる。実施例は本発明を理解するために与えられるものであり、いかなる形でも本発明の範囲を制限する意図のものではなく、そのように解釈すべきではない。実施例には常用方法の詳細な説明は含んでいない。そういった方法は当業者にとって周知であり、多数の刊行物に記載されている。Polymorphism in Pharmaceutical Solids, Drugs, and the Pharmaceutical Sciences, 第95巻が手引きとして利用できる。本明細書中に言及される全ての参考文献はその全内容が組み込まれる。
【図面の簡単な説明】
【0120】
【図1】図1は、フェキソフェナジン塩酸塩XVI形についての粉末XRDパターンである。
【図2】図2は、フェキソフェナジン塩酸塩XVI形についてのDSCサーモグラムである。
【図3】図3は、フェキソフェナジン塩酸塩XVI形についてのTGAサーモグラムである。
【図4】図4は、フェキソフェナジン塩酸塩XIX形についての粉末XRDパターンである。
【図5】図5は、フェキソフェナジン塩酸塩XIX形についてのDSCサーモグラムである。
【図6】図6は、フェキソフェナジン塩酸塩XIX形についてのTGAサーモグラムである。
【図7】図7は、フェキソフェナジン塩酸塩XX形についての粉末XRDパターンである。
【図8】図8は、フェキソフェナジン塩酸塩XX形についてのDSCサーモグラムである。
【図9】図9は、フェキソフェナジン塩酸塩XX形についてのTGAサーモグラムである。
【図10】図10は、フェキソフェナジン塩酸塩XXI形についての粉末XRDパターンである。
【図11】図11は、実施例2に従って調製したフェキソフェナジンHCl塩XVI形についての粉末XRDパターンである。
【図12】図12は、実施例4に従ってフェキソフェナジンHCl塩XVI形を0%RH雰囲気に暴露することにより調製した、フェキソフェナジンHCl塩のXVI形とフェキソフェナジンHCl塩のXX形の混合物を含む試料についての粉末XRDパターンである。
【図13】図13は、フェキソフェナジンHCl塩XVI形を100℃に10時間加熱することにより調製した(実施例6)、フェキソフェナジンHCl塩XVI形と非晶質形の混合物を含む試料についての粉末XRDパターンである。
【図14】図14は、フェキソフェナジンHCl塩のI形(上)とフェキソフェナジンHClのXX形(下)の微視的観察結果である。
【図15】図15は、フェキソフェナジンHCl塩I形とフェキソフェナジンHCl塩XX形の溶解度の比較である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記:
a)3.8, 8.8, 11.3, 18.8, 20.2±0.2°2θにピークを有する粉末XRDパターン;
b)約90℃〜約100℃の温度に第一の吸熱量ピークと約148℃〜約155℃の温度に第二の吸熱量を有するDSCプロフィール;または
c)TGAにより30℃〜150℃の温度領域で約4〜約8%の重量減少
のうちの少なくとも1つにより特徴付けられる、フェキソフェナジンHClの結晶形(XIX形)。
【請求項2】
前記結晶形が3.8, 8.8, 11.3, 18.8, 20.2±0.2deg.2θの粉末XRDピークにより特徴付けられる、請求項1に記載の結晶形。
【請求項3】
フェキソフェナジン塩酸塩の別の結晶形を5重量%より少なく含む、請求項1または2記載の結晶形の粉末。
【請求項4】
請求項1,2または3記載の結晶形フェキソフェナジン塩酸塩の調製方法であって、
a)C1-C4アルコールに対して少なくとも約15容量%を有するC1-C4アルコール中の塩酸フェキソフェナジンの溶液を調製し、ここで塩酸フェキソフェナジンの調製に使われるフェキソフェナジン塩基の前記C1-C4アルコールに対する比率は約1:2.5〜約1:4(g/容量)であり;
b)前記溶液を冷却して結晶形を晶出させ;そして
c)前記結晶形を回収する
ことを含んでなる方法。
【請求項5】
前記冷却が約0℃から約10℃の温度で実施される、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記C1-C4アルコールがメタノールである、請求項4または5に記載の方法。
【請求項7】
前記回収工程の前に前記溶液に抗溶剤が添加される、請求項4,5または6に記載の方法。
【請求項8】
前記抗溶剤がC5-C12飽和炭化水素である、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
回収される前記結晶形フェキソフェナジン塩酸塩が、フェキソフェナジン塩酸塩の別の結晶形を約5重量%未満含む、請求項4,5,6,7または8に記載の方法。
【請求項10】
前記別の結晶形が約2重量%未満存在する、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
10.1、15.2、18.6、19.2、20.1±0.2°2θにピークを有する結晶形フェキソフェナジン塩酸塩(XVI形)の調製方法であって、
a)水とC1-C4アルコールの混合物中に塩酸フェキソフェナジンの溶液を調製し、ここで前記アルコールに対する水の重量は約12容量%未満であり;
b)前記溶液を冷却して結晶形を晶出させ;そして
c)前記結晶形を回収する
ことを含んでなる方法。
【請求項12】
前記C1-C4アルコールがメタノールおよびイソプロパノールから成る群より選ばれる、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記水の量が約5容量%〜約12容量%である、請求項11または12に記載の方法。
【請求項14】
前記水の量が約10容量%である、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記溶液が約マイナス5℃(-5℃)より低い温度に冷却される、請求項11に記載の方法。
【請求項16】
前記溶液が約マイナス12℃(-12℃)より低い温度に冷却される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記結晶形を回収する前に、溶液に抗溶剤が添加される、請求項11、12、13、14、15または16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記抗溶剤がC5-C12飽和炭化水素である、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記回収される結晶形フェキソフェナジン塩酸塩がフェキソフェナジン塩酸塩の別の結晶形を約5重量%未満含む、請求項11,12,13,14,15,16,17または18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記別の結晶形が約2重量%未満存在する、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
7.2、11.7、14.1、15.4、16.9、18.5、23.1および23.9±0.2°2θにピークを有する粉末XRDパターンにより特徴づけられる、フェキソフェナジン塩酸塩の結晶形(XXI形)。
【請求項22】
フェキソフェナジン塩酸塩の別の結晶形を5重量%未満含んでなる、請求項21に記載の結晶形の粉末。
【請求項23】
請求項21または22に記載の結晶形フェキソフェナジン塩酸塩の調製方法であって、
a)少なくとも約10容量%水分を有するイソプロパノール中のフェキソフェナジンHClの溶液を調製し、ここで前記フェキソフェナジン塩酸塩を調製するのに用いるフェキソフェナジン塩基のイソプロパノールに対する比率は多くて約1:2(g/容量)であり;
b)前記溶液を冷却して結晶形を晶出させ;そして
c)前記結晶形を回収する
ことを含んで成る方法。
【請求項24】
前記溶液が約-20℃〜約0℃に冷却される、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記溶液が約-10℃に冷却される、請求項23または24に記載の方法。
【請求項26】
フェキソフェナジンHClの結晶形(XX形)であって、
a)5.4、10.7、14.0、14.7、15.8、17.0、19.0、20.0、21.6および23.2±0.2°2θにピークを有する粉末XRDパターン;または
b)約50〜55℃の温度に第一の吸熱ピークと、約100℃および約140℃の温度に第二の吸熱ピークを有するDSCプロフィール
のいずれか1つにより特徴付けられる結晶形。
【請求項27】
前記結晶形が5.4、10.7、14.0、14.7、15.8、17.0、19.0、20.0、21.6および23.2±0.2°2θのXRDピークにより特徴付けられる、請求項26に記載の結晶形。
【請求項28】
塩酸フェキソフェナジンの別の結晶形を5重量%未満ふくんでなる、請求項26または27記載の結晶形の粉末。
【請求項29】
請求項26,27、または28に記載の結晶性フェキソフェナジン塩酸塩の調製方法であって、10.1、15.2、18.6、19.2、20.1±0.2にピークを有する粉末XRDパターンを有する結晶性フェキソフェナジン塩酸塩(XVI形)を十分な時間乾燥することを含んで成る方法。
【請求項30】
前記乾燥が少なくとも約10時間実施される、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記乾燥が
a)トレー式乾燥機
b)混合真空乾燥機
のうちの1つにより実施される、請求項29または30に記載の方法。
【請求項32】
前記トレー式乾燥機がトレー式真空乾燥機である、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記乾燥が約75℃〜90℃の温度で実施される、請求項31に記載の方法。
【請求項34】
前記混合真空乾燥が約60℃〜約70℃の温度で実施される、請求項31に記載の方法。
【請求項35】
前記流動床乾燥機を使った乾燥が約20℃〜約30℃の温度で実施される、請求項31に記載の方法。
【請求項36】
前記フェキソフェナジン塩酸塩が乾燥中に徹底的に混合される、請求項29に記載の方法。
【請求項37】
前記フェキソフェナジン塩酸塩が乾燥中または乾燥後に散布される、請求項29に記載の方法。
【請求項38】
前記乾燥が真空下で実施される、請求項29に記載の方法。
【請求項39】
請求項27に記載の結晶形フェキソフェナジン塩酸塩の調製方法であって、塩酸フェキソフェナジンXVI形を微粉砕機(マイクロナイザー)により微粉砕することを含んで成る方法。
【請求項40】
前記微粉砕機中への供給気圧が約6〜約8バールである、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記微粉砕機の粉砕圧力が約4〜約7バールである、請求項39または40に記載の方法。
【請求項42】
結晶形フェキソフェナジン塩酸塩XX形を、10.1、15.2、18.6、19.2、20.1±0.2にピークを有する結晶形フェキソフェナジン塩酸塩(XVI形)に変換する方法であって、フェキソフェナジンHCl塩XX形を約40%より高い相対湿度に暴露することを含んでなる方法。
【請求項43】
前記相対湿度が約70%〜約85%である、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
流動床または湿度制御セルが使われる、請求項42または43に記載の方法。
【請求項45】
前記結晶形が少なくとも約80%の収率で得られる、請求項42,43または44に記載の方法。
【請求項46】
前記温度が約35℃以下である、請求項42,43,44または45に記載の方法。
【請求項47】
前記温度が約室温である、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
非晶質フェキソフェナジンHCl塩の調製方法であって、10.1、15.2、18.6、19.2、20.1±0.2にピークを有する結晶形フェキソフェナジン塩酸塩(XVI形)を加熱することを含んで成る方法。
【請求項49】
前記温度が約80℃〜約100℃である、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
XIX形、XX形、XXI形およびそれらの混合物から成る群より選ばれた結晶形フェキソフェナジン塩酸塩と医薬上許容される賦形剤とを含んでなる医薬組成物。
【請求項51】
セロトニン再吸収の減少を必要とする哺乳動物においてセロトニン再吸収を減らすために用いられる、XIX形、XX形、XXI形およびそれらの混合物から成る群より選ばれた結晶形フェキソフェナジン塩酸塩と医薬上許容される賦形剤とを含んでなる医薬組成物。
【請求項1】
下記:
a)3.8, 8.8, 11.3, 18.8, 20.2±0.2°2θにピークを有する粉末XRDパターン;
b)約90℃〜約100℃の温度に第一の吸熱量ピークと約148℃〜約155℃の温度に第二の吸熱量を有するDSCプロフィール;または
c)TGAにより30℃〜150℃の温度領域で約4〜約8%の重量減少
のうちの少なくとも1つにより特徴付けられる、フェキソフェナジンHClの結晶形(XIX形)。
【請求項2】
前記結晶形が3.8, 8.8, 11.3, 18.8, 20.2±0.2deg.2θの粉末XRDピークにより特徴付けられる、請求項1に記載の結晶形。
【請求項3】
フェキソフェナジン塩酸塩の別の結晶形を5重量%より少なく含む、請求項1または2記載の結晶形の粉末。
【請求項4】
請求項1,2または3記載の結晶形フェキソフェナジン塩酸塩の調製方法であって、
a)C1-C4アルコールに対して少なくとも約15容量%を有するC1-C4アルコール中の塩酸フェキソフェナジンの溶液を調製し、ここで塩酸フェキソフェナジンの調製に使われるフェキソフェナジン塩基の前記C1-C4アルコールに対する比率は約1:2.5〜約1:4(g/容量)であり;
b)前記溶液を冷却して結晶形を晶出させ;そして
c)前記結晶形を回収する
ことを含んでなる方法。
【請求項5】
前記冷却が約0℃から約10℃の温度で実施される、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記C1-C4アルコールがメタノールである、請求項4または5に記載の方法。
【請求項7】
前記回収工程の前に前記溶液に抗溶剤が添加される、請求項4,5または6に記載の方法。
【請求項8】
前記抗溶剤がC5-C12飽和炭化水素である、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
回収される前記結晶形フェキソフェナジン塩酸塩が、フェキソフェナジン塩酸塩の別の結晶形を約5重量%未満含む、請求項4,5,6,7または8に記載の方法。
【請求項10】
前記別の結晶形が約2重量%未満存在する、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
10.1、15.2、18.6、19.2、20.1±0.2°2θにピークを有する結晶形フェキソフェナジン塩酸塩(XVI形)の調製方法であって、
a)水とC1-C4アルコールの混合物中に塩酸フェキソフェナジンの溶液を調製し、ここで前記アルコールに対する水の重量は約12容量%未満であり;
b)前記溶液を冷却して結晶形を晶出させ;そして
c)前記結晶形を回収する
ことを含んでなる方法。
【請求項12】
前記C1-C4アルコールがメタノールおよびイソプロパノールから成る群より選ばれる、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記水の量が約5容量%〜約12容量%である、請求項11または12に記載の方法。
【請求項14】
前記水の量が約10容量%である、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記溶液が約マイナス5℃(-5℃)より低い温度に冷却される、請求項11に記載の方法。
【請求項16】
前記溶液が約マイナス12℃(-12℃)より低い温度に冷却される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記結晶形を回収する前に、溶液に抗溶剤が添加される、請求項11、12、13、14、15または16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記抗溶剤がC5-C12飽和炭化水素である、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記回収される結晶形フェキソフェナジン塩酸塩がフェキソフェナジン塩酸塩の別の結晶形を約5重量%未満含む、請求項11,12,13,14,15,16,17または18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記別の結晶形が約2重量%未満存在する、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
7.2、11.7、14.1、15.4、16.9、18.5、23.1および23.9±0.2°2θにピークを有する粉末XRDパターンにより特徴づけられる、フェキソフェナジン塩酸塩の結晶形(XXI形)。
【請求項22】
フェキソフェナジン塩酸塩の別の結晶形を5重量%未満含んでなる、請求項21に記載の結晶形の粉末。
【請求項23】
請求項21または22に記載の結晶形フェキソフェナジン塩酸塩の調製方法であって、
a)少なくとも約10容量%水分を有するイソプロパノール中のフェキソフェナジンHClの溶液を調製し、ここで前記フェキソフェナジン塩酸塩を調製するのに用いるフェキソフェナジン塩基のイソプロパノールに対する比率は多くて約1:2(g/容量)であり;
b)前記溶液を冷却して結晶形を晶出させ;そして
c)前記結晶形を回収する
ことを含んで成る方法。
【請求項24】
前記溶液が約-20℃〜約0℃に冷却される、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記溶液が約-10℃に冷却される、請求項23または24に記載の方法。
【請求項26】
フェキソフェナジンHClの結晶形(XX形)であって、
a)5.4、10.7、14.0、14.7、15.8、17.0、19.0、20.0、21.6および23.2±0.2°2θにピークを有する粉末XRDパターン;または
b)約50〜55℃の温度に第一の吸熱ピークと、約100℃および約140℃の温度に第二の吸熱ピークを有するDSCプロフィール
のいずれか1つにより特徴付けられる結晶形。
【請求項27】
前記結晶形が5.4、10.7、14.0、14.7、15.8、17.0、19.0、20.0、21.6および23.2±0.2°2θのXRDピークにより特徴付けられる、請求項26に記載の結晶形。
【請求項28】
塩酸フェキソフェナジンの別の結晶形を5重量%未満ふくんでなる、請求項26または27記載の結晶形の粉末。
【請求項29】
請求項26,27、または28に記載の結晶性フェキソフェナジン塩酸塩の調製方法であって、10.1、15.2、18.6、19.2、20.1±0.2にピークを有する粉末XRDパターンを有する結晶性フェキソフェナジン塩酸塩(XVI形)を十分な時間乾燥することを含んで成る方法。
【請求項30】
前記乾燥が少なくとも約10時間実施される、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記乾燥が
a)トレー式乾燥機
b)混合真空乾燥機
のうちの1つにより実施される、請求項29または30に記載の方法。
【請求項32】
前記トレー式乾燥機がトレー式真空乾燥機である、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記乾燥が約75℃〜90℃の温度で実施される、請求項31に記載の方法。
【請求項34】
前記混合真空乾燥が約60℃〜約70℃の温度で実施される、請求項31に記載の方法。
【請求項35】
前記流動床乾燥機を使った乾燥が約20℃〜約30℃の温度で実施される、請求項31に記載の方法。
【請求項36】
前記フェキソフェナジン塩酸塩が乾燥中に徹底的に混合される、請求項29に記載の方法。
【請求項37】
前記フェキソフェナジン塩酸塩が乾燥中または乾燥後に散布される、請求項29に記載の方法。
【請求項38】
前記乾燥が真空下で実施される、請求項29に記載の方法。
【請求項39】
請求項27に記載の結晶形フェキソフェナジン塩酸塩の調製方法であって、塩酸フェキソフェナジンXVI形を微粉砕機(マイクロナイザー)により微粉砕することを含んで成る方法。
【請求項40】
前記微粉砕機中への供給気圧が約6〜約8バールである、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記微粉砕機の粉砕圧力が約4〜約7バールである、請求項39または40に記載の方法。
【請求項42】
結晶形フェキソフェナジン塩酸塩XX形を、10.1、15.2、18.6、19.2、20.1±0.2にピークを有する結晶形フェキソフェナジン塩酸塩(XVI形)に変換する方法であって、フェキソフェナジンHCl塩XX形を約40%より高い相対湿度に暴露することを含んでなる方法。
【請求項43】
前記相対湿度が約70%〜約85%である、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
流動床または湿度制御セルが使われる、請求項42または43に記載の方法。
【請求項45】
前記結晶形が少なくとも約80%の収率で得られる、請求項42,43または44に記載の方法。
【請求項46】
前記温度が約35℃以下である、請求項42,43,44または45に記載の方法。
【請求項47】
前記温度が約室温である、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
非晶質フェキソフェナジンHCl塩の調製方法であって、10.1、15.2、18.6、19.2、20.1±0.2にピークを有する結晶形フェキソフェナジン塩酸塩(XVI形)を加熱することを含んで成る方法。
【請求項49】
前記温度が約80℃〜約100℃である、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
XIX形、XX形、XXI形およびそれらの混合物から成る群より選ばれた結晶形フェキソフェナジン塩酸塩と医薬上許容される賦形剤とを含んでなる医薬組成物。
【請求項51】
セロトニン再吸収の減少を必要とする哺乳動物においてセロトニン再吸収を減らすために用いられる、XIX形、XX形、XXI形およびそれらの混合物から成る群より選ばれた結晶形フェキソフェナジン塩酸塩と医薬上許容される賦形剤とを含んでなる医薬組成物。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公表番号】特表2007−532687(P2007−532687A)
【公表日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−508651(P2007−508651)
【出願日】平成17年4月26日(2005.4.26)
【国際出願番号】PCT/US2005/014237
【国際公開番号】WO2005/102999
【国際公開日】平成17年11月3日(2005.11.3)
【出願人】(501079705)テバ ファーマシューティカル インダストリーズ リミティド (283)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年4月26日(2005.4.26)
【国際出願番号】PCT/US2005/014237
【国際公開番号】WO2005/102999
【国際公開日】平成17年11月3日(2005.11.3)
【出願人】(501079705)テバ ファーマシューティカル インダストリーズ リミティド (283)
【Fターム(参考)】
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