説明

フェニルシクロブチルアミド誘導体およびそれらの立体異性体、それらの調製方法ならびにそれらの使用

【課題】フェニルシクロブチルアミド誘導体およびそれらの光学異性体、それらの調製方法および使用であり、式(I)の化合物、それらの純粋な立体異性体、それらの薬学的に許容可能な塩を含む。
【解決手段】式(I)において、RはH、ホルマシル、アセチル、ハロアセチル、ベンゾイル、ベンジルオキシカルボニル(Cbz)、t−ブチルオキシカルボニル(Boc)または9−フルオレニルメトキシカルボニル(Fmoc)である。本発明の新規化合物は、薬学的活性を有しており、ラセミ化合物、左旋性または右旋性の脱メチル化シブトラミンおよびラセミ体またはD/Lイソロイシンを温和な環境下で縮合反応させることにより調製される。本発明の化合物は、異なる水準で肥満状態のラットの減量効果を有し、動物実験によりシブトラミンより効果が優れることが実証された。本発明の化合物により調製された薬剤または本発明の化合物および他の薬学的活性化合物との組成物から調製された薬剤は肥満の治療に用いられ得る。
【化1】

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化学的な医薬の分野に属し、特に新規のフェニルシクロブチルアミド誘導体の立体異性体およびそれらの薬学的に許容可能な塩に関する。本発明はまた、当該立体異性体およびそれらの塩の調製方法、当該立体異性体およびそれらの塩を含む薬学的組成物の調製方法、ならびに、これらの立体異性体、塩および組成物の肥満治療薬の調製における使用に関する。
【背景技術】
【0002】
人々の生活水準の向上により、適切でない食事に起因する肥満は、日常生活でより重大な問題となっている。肥満学会の専門家は、肥満を国際的な肥満のまん延として認識しており、その割合はますます増加している。WHOの報告書によると、10億人の人々が太りすぎであり、少なくとも3億人の人々が肥満である。肥満は先進国だけで発生しているわけではなく、途上国でも発生している。第11回欧州肥満症会議では、中国は初めて肥満割合の順位に含まれた。肥満は、エイズ、薬物およびアルコール中毒と同様に、世界中のヒトの健康への4つの重大な社会問題と考えられている。肥満は、いくつかの一般的な慢性病、特に、糖尿病、心臓血管系の病気および睡眠時無呼吸症候群の発生を誘発、または、悪化させ得る。統計値は過去10〜20年間で1年間に280,000〜325,000の人々が肥満またはその合併症により死亡していることを示している。セルフケアという認識が発達した人々は、体重を調節する多くの方法、例えば、習慣的な運動と適切な食事を使用し得るが、長期間の有益な効果はない。したがって、減量薬がますます求められており、安全で効果的な減量薬の開発は莫大な社会的および経済的利益をもたらす。
【0003】
塩酸シブトラミン、つまり、1−(4−クロロフェニル)−N,N−ジメチル−α−(2−メチルプロピル)シクロブタンメタンアミン塩酸塩一水和物は、Knoll Company(BASF、ドイツ)により開発された減量薬であり、セロトニン−ノルアドレナリン再取り込み阻害剤である。1997年11月、塩酸シブトラミンは、減量薬としてF.D.A.にに承認され、1998年2月から製品名メリディア(Meridia)として発売されている。同じ年である1998年、メリディアの売上高は1億9400万米ドルであり、1999年には、3億米ドルを超えるまで上昇した。メリディアはヨーロッパおよびアメリカの減量薬市場の主流製品の1つであり、ほぼ20ヶ国で十分に販売されている。メリディアは、BASFの4つの主力製品の1つとなっている。2000年5月に、この製品は中国のSDAから、製品名チユメイ(QuiMei)として承認を受けている。現在まで、世界中でほぼ300万の人々が、塩酸シブトラミンを服用している。
【0004】
シブトラミンHClは、セロトニン−ノルアドレナリン再取り込み阻害剤である(非特許文献1および2)。塩酸シブトラミンは二方向の効果により体重を減らし得ることが確認されている。一方では、満腹感を上昇させ、食物の摂取を減少させ得る(非特許文献3、4および5)。他方では、エネルギー消費を高める熱の生成を促し得る(非特許文献6および7)。さらに、塩酸シブトラミンは、ウエスト−ヒップ比を減少し、同時に血中のトリグリセリド、総コレステロールおよびLDLコレステロール(LDL-Ch)の濃度を減少させ、血中のHDLコレステロール(HDL-Ch)の濃度を上昇させる(非特許文献8、9および10)。
【0005】
シブトラミンHClは、基準となる体重の5%〜10%を減少させ、体重減少を非常に良好に維持できることが明らかになっている。塩酸シブトラミンは、明らかな鎮痛性、興奮性、およびアドレナリン作用効果を示さず、良好な薬物耐性を有する。しかしながら、口の乾燥、頭痛、食欲不振、便秘、不眠症が副作用である。
【0006】
シブトラミンHClとその脱メチル化誘導体は、肥満、不眠症、疲労感、うつ病等の神経および精神の病気、代謝病および心臓血管の病気を治療し得る。シブトラミンHCl、その立体異性体および脱メチル化誘導体について、PCT/US2000/007202はそれらが妊娠後の体重増加を減少し得ることを開示しており、PCT/US2000/007255は血小板粘着を減少し得ることを開示しており、PCT/US2000/007122はそれらが慢性疲労症候群を治療することを開示しており、PCT/US2000/007123はそれらがメタボリックシンドロームを治療することを開示しており、PCT/US2000/007361は腫瘍に関連する肥満に対するそれらの効果を開示しており、PCT/US2000/007124はそれらが肺高血圧症を治療することを開示しており、PCT/US2000/007177は睡眠症候群を治療することを開示しており、PCT/US2000/001217はそれらの禁煙への作用を開示しており、特許文献1はそれらが尿失禁を治療することを開示している。シブトラミンHClの光学異性体を大規模で光学分割する多くの方法が提供されている(非特許文献11)。
【0007】
さらに、化学合成分野の研究では、シブトラミンHClを修飾する多くの方法が提供されており、例えば、R−シブトラミンの不斉合成の方法(非特許文献12)、シブトラミンの脱メチル化反応法(特許文献2)、脱メチル化R−シブトラミンの不斉合成(非特許文献13)などが挙げられる。脱メチル化シブトラミンのメチル、アミノおよびシクロブチルの個々の変性および上記の誘導体の純粋な光学異性体の調製の研究もまた提供されている(非特許文献14)。非特許文献15では、脱メチル化シブトラミンのメチルとアミノが変性され、この誘導体の光学異性体が光学分割される。
【0008】
しかしながら、上記の研究はシブトラミンの変性された誘導体の化学的な部分に関連するのみである。二重の脱メチル化シブトラミン誘導体のアミノの酸性化に関連する文献はない。さらに、シブトラミン誘導体の体重減少効果やそれらの光学異性体間比較についての詳細な研究に焦点を当てた文献はない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許第6046242号明細書
【特許文献2】米国特許第6399826号明細書
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】Buckett, W. R., Thomas, P. C., Luscombe, G. P., Prog.Neuropsychopharmacol. Biol. Psychiat, 1988,12: 575-584
【非特許文献2】Luscombe, G. P., Hopcroft, R.H., Thomas, P. C., Buckett, W. R., Neuropharmacology, 1989, 28: 129-134
【非特許文献3】Fantino, M., Souquet, A.-M., Int.J. Obesity, 1995, 19: 145
【非特許文献4】Halford, J. C. G., Heal, D. J.,Blundell, J. E., Brit. J. Pharmacol 1995, 114: 387P
【非特許文献5】Stricker-Krongrad, A., Souquet, A.-M., Burlet, C., Int. J. Obesity,1995, 19: 145
【非特許文献6】Connoley, I. P., Heal, D. J.,Stocl, M. J., Brit. J. Pharmacol, 1995, 114: 388P
【非特許文献7】Connoley, I. P., Frost, I.,Heal, D. J., Stocl, M. J., Brit. J. Pharmacol, 1996, 117: 170P
【非特許文献8】Qifu Lee, et al., Chinese Journalof Endocrinology and Metabolism, 2002, 18(3): 204-205
【非特許文献9】Jian Wu, et al., Medical Journalof Chinese People's Liberation Army, 2002, 27(2):172-176
【非特許文献10】Jian Wu, et al., Chinese Journal of Endocrinology and Metabolism,2001, 18(3): 201-202
【非特許文献11】Tetra Asymm 2003, 14(25): 3553-3556
【非特許文献12】Organic process research anddevelopment 2006, 10(2): 327-333
【非特許文献13】Tetra Lett, 2002, 43(13):2331-2333
【非特許文献14】J. Chem. Soc. Perkin Trans. 1;EN; 21; 1996; 2583-2590
【非特許文献15】Org. Lett. 2005: 2599-2602
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、新規のフェニルシクロブチルアミド誘導体を提供することである。新規化合物と同様に、それらの光学異性体が二重脱メチル化シブトラミンの遊離アミノのアミノ酸のアシル化を介して得られ、新規化合物の減量効果が薬理学的に評価される。
【0012】
本発明のフェニルシクロブチルアミド誘導体は、式(I)の化合物、純粋な立体異性体、および、それらの薬学的に許容可能な塩を含む。
【化1】

【0013】
式(I)に示すように、分子は3つの不斉中心を有する。ラセミ混合物に加えて、本発明の化合物のアミノ酸側鎖は、(D)−または(L)−イソロイシン誘導体である。したがって、本発明は4つの新規の立体異性体を含む。
【化2】

RはH、ホルマシル(formacyl)、アセチル、ハロアセチル(haloacetyl)、ベンゾイル、ベンジルオキシカルボニル(Cbz)、t−ブチルオキシカルボニル(Boc)、および、9−フルオレニルメトキシカルボニル(Fmoc)を表す。
【0014】
本発明はまた、上記フェニルシクロブチルアミド誘導体の薬学的組成物、活性成分としての上記フェニルシクロブチルアミド誘導体と他の薬学的付属物との組み合わせを含む薬学的組成物、活性成分としての上記フェニルシクロブチルアミド誘導体と他の成分との組み合わせを含むヘルスケア製品、機能性成分としての上記フェニルシクロブチルアミド誘導体と他の成分との組み合わせを含む機能性食品および飲料、ならびに、上記フェニルシクロブチルアミド誘導体および他の薬学的活性化合物の組み合わせを含む複合薬、複合ヘルスケア製品、機能性食品および飲料も含む。
【0015】
さらに、本発明においては、肥満ラットが評価化合物の減量効果の調査に使用され、血中脂質量、血液生化学、および、例えば、心臓、肝臓、腎臓の臓器病理学調査において、シブトラミンHClのコントロールグループと比較した。そして、全ての評価化合物は、肥満ラットに対して明確な程度の減量効果があり、実験動物の血糖および全血清タンパクへの有意な影響は見られず、重要な臓器への明確な病理学的な損傷もまた見られなかった。したがって、本発明の化合物は、肥満および関連する病気の予防および治療に適している。
【0016】
さらに、本発明は、式(I)の化合物、それらの純粋な立体異性体、それらの薬学的に許容可能な塩を提供し、ならびに、上記の化合物および他の薬学的活性化合物を含む薬学的組成物の肥満および関連する病気への効果を提供する。当該関連する病気としては、この分野の科学技術者に公知の肥満に関連する疾患が挙げられる。この用語は、高血圧、冠状動脈血栓症、卒中、鬱、不安、精神病(例えば、総合失調症)、遅発性ジスキネジー、薬物常習、薬物乱用、認識機能障害、アルツハイマー病、大脳虚血、認知症(aphrenia)、パーキンソン病、健忘症(forgetful syndrome)、衝動強迫、恐怖、対人恐怖症、ダイエット障害、脂質症、過大血糖、過大血脂、哺乳類、特にヒトストレス反応を含むが、これらに限定されない。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明では、ジメチル化D−またはL−シブトラミンが、D/Lイソロイシンと温和な条件下で縮合され、新規の薬学活性化合物が得られる。当該化合物は、新規のアミドであって、その構造はシブトラミンHClのアルキルアミノ置換構造と異なる。
【発明の効果】
【0018】
動物モデル実験を介して、本発明の全ての化合物が、ラット肥満モデルにおいて明白な程度に体重減少効果を有しており、その効果はシブトラミンHClよりもさらに優れることが示唆されている。したがって、本発明の化合物またはそれらの薬学的に許容可能な塩から調製された薬剤、または、本発明の化合物および他の薬学的活性化合物を含む組成物から調製された薬剤は、肥満の治療に使用され得る。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下の一般的な手順が、本発明の化合物の調製に採用され得る。
【0020】
方法A:ラセミフェニルシクロブチルアミド誘導体の調製
Chinese Journal of Pharmaceuticals, 2001, 32 (8):337-339に開示された方法に準じて合成されたラセミ化合物である1−[1−(4−クロロフェニル)シクロブチル]−3−メチルブチルアミン(化合物II)は、R−イソロイシンと温和な環境下で縮合され、アミノ変性フェニルシクロブチルアミド誘導体(式I)が得られる。
【化3】

Rはホルマシル、アセチル、ハロアセチル、ベンゾイル、ベンジルオキシカルボニル(Cbz)、t−ブチルオキシカルボニル(Boc)または9−フルオレニルメトキシカルボニル(Fmoc)である。
【0021】
式(I)の化合物は、独立して、酸性、塩基性または接触水素化条件下で、ホルマシル、アセチル、ハロアセチル、ベンゾイル、Cbz、BocおよびFmocが除かれ、式(I)の主構造を維持するが、RがHである生成物が得られる。具体的な構造は以下の通りである:
【化4】

【0022】
方法B:フェニルシクロブチルアミド誘導体の光学異性体の調製
上記で調製された式(I)の化合物はラセミ混合物であり、公知の化学的、生物学的、または物理学的方法で分割され得、それらの対応する光学異性体が得られる(Ye L. X., Stereochemistry, Perking university Press, 1999)。
【0023】
キラル材料からのフェニルシクロブチルアミド誘導体の光学異性体の調製
1−[1−(4−クロロフェニル)シクロブチル]−3−メチルブチルアミン(II)は不斉中心を有し、キラル剤として酒石酸またはリンゴ酸を使用して分割され得、1−[1−(4−クロロフェニル)シクロブチル]−3−メチルブチルアミンの光学異性体(II−RまたはII−S)が、例えば、分割可能なジアステレオトピック塩または複合体結晶の形成、または、結晶化、ガス/液体クロマトグラフィーまたは液体クロマトグラフィーにより分離され得るジアステレオトピック誘導体の形成により得られる。
【化5】

【0024】
一方の光学異性体は、酵素酸化または酵素還元のような方法を介して選択的にキラル剤と反応し、次いで変性された光学異性体は変性されていない光学異性体と分離される。または、反応は例えばキラルキャリア(例えば、シリカゲル結合キラルリガンド)の使用や、キラル溶媒中でのガス−液体クロマトグラフィー分離法または液体クロマトグラフィー分離法の使用のようなキラル状態下で進められる。ここで使用されるいずれの分離方法であっても、対応する光学異性体を放出するための付加的な方法が必要であることは容易に理解できる。
【0025】
1−[1−(4−クロロフェニル)シクロブチル]−3−メチルブチルアミン(II−RまたはII−S)は、温和な条件下でL/D−イソロイシンと縮合され、式(I)の単独の光学異性体が得られる。Rは、ホルマシル、アセチル、ハロアセチル、ベンゾイル、Cbz、BocおよびFmocである。
【0026】
式(I)の化合物は、独立して、酸性、塩基性または接触水素化条件下で、ホルマシル、アセチル、ハロアセチル、ベンゾイル、Cbz、BocおよびFmocが除かれ、式(I)の主構造を維持するが、RがHである生成物が得られる。光学異性体の具体的な構造は以下の通りである。
【化6】

【0027】
上記のフェニルシクロブチルアミド誘導体のラセミ混合物および光学異性体の調製において、縮合反応段階が関連する。本発明の化合物を形成するための多くの公知の縮合剤が利用可能であることが当業者に認識されており、例えば、DCC、DIC、BDP、BOP、EDC、AOP、PyAOP、PPAA、TOTU、HATU、HAPyU、HAMDU、HBTU、HBTyU、HBMDU、HBPyU、DEPBT、HOAT、HOBT、PyBOP、TATU、TBTU、PyBrop、PyCloP、CIP、TFFH、BTFFH、PyCIU、CDTP、BOP−Cl、DPPA、DEPC、BOMI、BDMP等が挙げられる。
【0028】
本発明の範囲内の化合物は、式(I)の化合物の許容可能な塩およびそれらの光学異性体を含む。出発化合物または基本化合物と比較して、それらの塩は水へのより優れた溶解性を有しており、そのため医薬用途に適している。本発明の化合物は、塩基性の窒素を含み、そのため、それらの塩は塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、リン酸、メタリン酸、硝酸、スルホン酸および硫酸等の無機酸との反応、または、炭酸、酢酸、シュウ酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、p−ブロモベンゼンスルホン酸、コハク酸(amber acid)、安息香酸、クエン酸、エタンスルホン酸、フマル酸、グルコン酸、グリコール酸、イセチオン酸、乳酸、ラクトース酸、マレイン酸、リンゴ酸、メタンスルホン酸、コハク酸、p−トルエンスルホン酸、酒石酸、トリフルオロ酢酸およびアミノ酸等の有機酸との反応により得られ得、好ましくは塩酸である。したがって、これらの薬学的に許容可能な塩は、硫酸塩、ピロ硫酸塩、重硫酸塩、亜硫酸塩、ハイドロサルファイト、リン酸塩、重リン酸塩、二価リン酸塩、メタリン酸塩、ピロリン酸塩、塩化物、臭化物、ヨウ化物、酢酸塩、プロピオン酸塩、カプリル酸塩、アクリル酸塩、ギ酸塩、イソ酪酸エステル、へプチラート(heptylate)、カプリン酸塩、プロピオラート(propiolate)、シュウ酸塩、マロン酸塩、コハク酸塩、スベリン酸塩、セバシン酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、2−ブチン−1,4−二酸塩(2-butyne-1,4-dioic acid salt)、3−シクロヘキシン−2,5−二酸、安息香酸塩、クロロ安息香酸塩、フェニル酢酸塩、フェンプロピオン酸塩、フェニルブチレート、クエン酸塩、乳酸塩、馬尿酸塩、β−ヒドロキシ酪酸塩、グリコール酸塩、マレイン酸塩、酒石酸塩、メタンスルホン酸塩、プロパンスルホン酸塩、ナフタレン−1−スルホン酸塩、ナフタレン−2−スルホン酸塩、マンデル酸塩、グルタミン酸塩、アルギニン、リシン等を含む。医療目的に関しては、塩素塩(chlorine salt)が好ましく用いられる。
【0029】
本発明の化合物はまた、様々な多形態、例えば、非晶形および結晶形も含む。本発明の化合物の全ての形態が本発明の範囲に含まれ、本発明の他の局面を構成する。
【0030】
本発明の他の局面は、本発明の化合物(ラセミ混合物、光学異性体、それらの薬学的に許容可能な塩を含む)の薬剤の調製における使用である。実際には、所望の生物学的効果を得るためには、要求される量は様々な因子、例えば、選択された特定の化合物、想定される用途、投与の型、患者の臨床的状況に依存する。一般的に、治療的に効果のある化合物の投与量は、1日に体重1kg当たり0.3から100mg(好ましくは3から50mg)の範囲であり、例えば3から10mg/kg/日である。静脈投与は、例えば、0.3mg/kgから1.0mg/kgの範囲である。適切な点滴投与も使用することができ、点滴速度は、10ng/kg/分から100ng/kg/分である。この目的に適した点滴溶液は、主として、例えば、0.1ng/mlから10mg/ml、好ましくは1ng/mlから10mg/ml含有し得る。単回投与は、例えば、0.1ngから10gの活性化合物を含み得る。したがって、注射用のアンプルは1mgから100mg含有し得る。経口投与の単回投与は、例えば、錠剤またはカプセルで1.0mgから1000mg、通常、10mgから600mg含み得る。それらの薬学的に許容可能な塩の場合、治療的に効果のある量は、それらの対応する遊離塩基の性質に関係する。上記の病気の予防や治療に用いられる化合物は、式(I)の化合物自体であり得る。しかしながら、それらは好ましくは許容可能なキャリアーと組み合わせられて、薬学的組成物の形態で提供される。キャリアーは相溶性があることが必要であり、言い換えると、それらは薬学的組成物の他の構成成分と相溶性があり、患者に無害であるべきである。キャリアーは固体、液体またはその両方であり得、好ましくは化合物と組み合わせて、単回投与に用いられる、例えば、活性化合物を0.05〜95重量%含む錠剤が得られる。他の薬学的活性化合物もまた存在し得、式(I)の他の化合物が含まれ得る。本発明の薬学的組成物は、公知の薬学的方法に従って調製することができ、当該方法は、実質的にはそれぞれの構成成分と薬学的に許容可能なキャリアーおよび/または補助剤と組み合わせることを含み得る。
【0031】
投与の適切な経路としては、制限はなく、経口投与、直腸投与、局所投与、舌下投与、非経口投与(例えば、皮下投与、筋内投与、真皮内投与、静脈投与)が含まれる。好ましい投与経路は、治療の目的、苦痛の重症度および使用される式(I)の化合物の型に依存する。糖衣剤形および糖衣徐放剤形もまた、本発明の範囲に含まれる。好ましい剤形は、耐酸性製剤および胃液耐性製剤である。適した胃液耐性被覆は、セルロースアセテートフタレート、ポリビニルアセテートフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレートおよびクロトン酸メチルのアニオン性ポリマーを含む。
【0032】
経口投与に適した薬学的組成物は、代表的には、任意の状況で式(I)の化合物を特定量含む独立したユニット、例えば、カプセル、オブラートの薬包(cachet)および錠剤;粉末または顆粒;水性液体または非水性液体の溶液または懸濁液;またはO/WエマルションまたはW/Oエマルションである。上記の通り、組成物は任意の公知の薬学的方法に従って調製することができ、当該方法は活性化合物とキャリアー(1種またはそれ以上の他の構成成分も含み得る)とを接触させる工程を含む。一般的に、薬学的組成物は以下のようにして調製される。活性化合物を液体および/または微細分散固体キャリアーと均一に混合し、次いで、必要であれば、剤形を形成する。例えば、ペレットは、以下のようにして、すなわち、化合物の粉末または顆粒を(適切には、さらに1種またはそれ以上の付加的な構成成分と共に)圧縮し、剤形を形成することにより、調製することができる。圧縮された錠剤は、以下のようにして、すなわち、自由流動形態(例えば、粉末または顆粒)の化合物(適切には、粘着剤、離型剤、不活性希釈剤および/または1種またはそれ以上の界面活性剤/分散剤が混合されている)を適切な機械を用いて圧縮することにより調製することができる。マトリックスバンドは、以下のようにして、すなわち、粉末の化合物を不活性液体希釈剤を用いて適切な機械で剤形することにより、調製することができる。
【0033】
経口(舌下)投与に適した薬学的組成物は、式(I)の化合物および例えば、スクロース/アカシアまたはトラガカントゴムのような結合剤(correctives)を含むトローチ、および、不活性マトリックス、例えば、ゼラチン/グリセロールまたはスクロース/アカシア中の式(I)の化合物を含む口中剤(pastille)を含む。
【0034】
本発明の化合物(式I)は、非経口投与用に剤形され得る。非経口剤形は、通常は、治療される血液と等張の無菌水溶液である。非経口投与の適切な手段は、静脈下、筋下、真皮下、および皮下を含む。化合物(式I)は水と混合され、血液と等張の無菌水溶液が得られる。本発明の注射可能な水溶液は、一般に0.1〜5重量%の活性化合物を含む。
【0035】
本発明の化合物(式I)は、好ましくは単回投与坐薬としても剤形され得、1種またはそれ以上の従来の坐薬の基剤、例えば、ココアバターが使用される。
【0036】
本発明の化合物は、皮膚の局所に塗布され得る。この目的の代表的な剤形は、軟膏、乳脂軟膏、水薬、パスタ剤、スプレー、エアロゾル、およびオイルを含む。適切なキャリアーは、コスモリン(cosmolin)、アグノリン(agnolin)、ポリエチレングリコール、工業用アルコールおよび/または上記のキャリアーの2種以上の組み合わせを含む。活性化合物の濃度は、一般的に0.1〜15重量%、代表的には0.5〜2重量%である。
【0037】
本発明の化合物は、経皮的にも投与され得る。経皮投与に適した剤形は、代表的には、患者の皮膚としっかりと接触可能な1単位のパッチである。この種のパッチは、化合物が溶解しているおよび/または粘着剤に拡散した、またはポリマーに拡散した任意の緩衝水溶液に適している。適切な活性化合物は、例えば、Pharmaceutical Research, 2(6), 318(1986)に記載されているように、電子伝達またはイオン導入により放出され得る。
【0038】
本発明の化合物(式I)は、脂肪代謝に著しい効果があり、特に哺乳類の体重減少および減量後の体重維持ならびに食欲減退剤としての使用にも適している。本発明の化合物(式I)はまた、毒性減弱および副作用が小さい点からも効果的である。本発明の化合物(式I)は、単独あるいは1種またはそれ以上の他の減量または食欲減退活性化合物と組み合わせて投与され得る。
【0039】
本発明で使用される他の食欲減退活性化合物は、第1項で記載した化合物を含み得、Roten Listeによる減量剤/食欲抑制剤、または、組織のエネルギー変換を上昇させる化合物でそれにより体重減少という結果となるもの、または、関連組織の基礎代謝に影響する化合物であって、カロリー摂取量を上昇させ、脂肪沈着物の蓄積を導かないもの、および、通常のカロリー摂取量で脂肪沈着を減少させるものを含み得る。上記の化合物は、体重超過および肥満の予防に適しており、特に、体重超過および肥満の治療に適している。さらに、上記化合物はII型糖尿病および動脈硬化の予防に適しており、特にII型糖尿病および動脈硬化の治療に適している。そして、それらは脂肪代謝の正常化および高血圧の治療に適している。化合物はMCHアンタゴニストとして機能し得、知覚障害および他の精神科的症状、例えば、抑鬱症、不安神経症(aparioneurosis)、総合失調症の治療、および、概日リズムに関する障害および薬物依存の治療に適してる。
【0040】
ここで記載した化合物(式I)が1つまたはそれ以上の他の薬学的活性物質、例えば、糖尿病薬、油/油脂忌避剤、降圧活性化合物、抗脂血剤および糖尿病または糖尿病に関連する合併症の治療および/または予防に使用される活性化合物等と組み合わせられ得ることもまた本発明の局面である。
【0041】
適した抗糖尿病剤は、制限はなく、インスリン、アミリン、GLP−1および/またはGLP−2誘導体、例えば、ノボノルディスク社によるWO98/08871に公開された抗糖尿病剤、および、経口投与用の血糖降下活性化合物が含まれ得る。
【0042】
経口投与のための血糖降下活性化合物は、特に、スルホニル尿素、ビグアニド、メグリチニド、ジオキサゾリジンジオン、チアゾリジンジオン、グルコシダーゼ阻害剤、グルカゴン受容体アンタゴニスト、GLP−1−アゴニスト、カリウムチャンネル開口薬(例えば、ノボノルディスク社による公開された特許WO97/26265およびWO99/03861)、インスリン増感剤、インスリン受容体キナーゼ活性剤、糖新生および/またはグリコーゲン分解(例えば、グリコーゲンホスホリラーゼ阻害剤)により刺激された肝酵素に関連する阻害剤、ブドウ糖摂取および排出に関連する調節剤、脂質代謝の変化に関連する化合物(例えば、抗脂質異常症または抗脂肪血症の活性化合物、および、HMGCoA還元酵素阻害剤)、コレステロール輸送/コレステロール摂取阻害剤、胆汁酸再吸収阻害剤またはミクロソームトリグリセリド転移タンパク質(MTP)阻害剤、栄養剤摂取減少に関連する化合物、PPAR/RXRアゴニストおよびβ細胞ATP依存カリウムチャンネルを標的とした活性化合物を含む。
【0043】
本発明の1つの実施形態では、本発明の化合物はインスリンと組み合わせて投与される。
【0044】
本発明の他の実施形態では、本発明の化合物は、スルホニル尿素、例えば、トルブタミド、グリベンクラミド、グリメピリド、グリピザイド、グリキドン、グリソキセピド、グリボルヌリドまたはグリクラジドと組み合わせて投与される。
【0045】
本発明の他の実施形態では、本発明の化合物はビグアニド、例えば、メトホルミンと組み合わせて投与される。
【0046】
本発明の他の実施形態では、本発明の化合物はメグリチニド、例えば、レパグリニドと組み合わせて投与される。
【0047】
本発明の他の実施形態では、本発明の化合物はチアゾリジンジオン、例えば、トログリタゾン、シグリタゾン、ピオグリタゾン、ロシグリタゾンまたはDr.Reddy’s Research FoundationによるWO97/41097で公開された化合物、特に5−[[4−[(3,4−2H−3−メチル−4−ケト−2−メトキシキゾリン)フェニル]メチル]−2,4−チアゾリジンジオンと組み合わせて投与される。
【0048】
本発明の他の実施形態では、本発明の化合物はα−スクロシダーゼ(sucrosidase)阻害剤、例えば、ミグリトールまたはアカルボースと組み合わせて投与される。
【0049】
本発明の他の実施形態では、本発明の化合物はβ細胞ATP依存カリウムチャンネルを標的とした薬物、例えば、トルブタミド、グリベンクラミド、グリメピリド、グリピジド、グリクラジドまたはレパグリニドと組み合わせて投与される。
【0050】
本発明の他の実施形態では、本発明の化合物は抗高血圧症または抗脂肪血症の活性化合物、例えば、コレスチラミン、コレスチポール、クロフィブレート、フェノフィブラート、ゲムフィブロジル、ロバスタチン、プラバスタチン、シンバスタチン、アトルバスタチン、セリバスタチン、ロバスタチン、プロブコール、エゼチミブまたはコロキシン(cholaxin)と組み合わせて投与される。
【0051】
本発明の他の実施形態では、本発明の化合物は1種またはそれ以上の上記の薬物、例えば、スルホニル尿素とメトホルミン、スルホニル尿素とアカルボース、レパグリニドとメトホルミン、インスリンとスルホニル尿素、インスリンとメトホルミン、インスリンとトログリタゾン、インスリンとロバスタチン等と組み合わせて投与される。
【0052】
さらに、本発明の化合物は1種またはそれ以上の油/油脂忌避剤または食欲調節活性化合物と組み合わせて投与され得、特に、CARTアゴニスト、NPYアンタゴニスト、MC4アゴニスト、オレキシンアンタゴニスト、H3アゴニスト、TNFアゴニスト、CRFアゴニスト、CRF BPアンタゴニスト、ウロコルチンアゴニスト、β3アゴニスト、MSHアゴニスト、CCKアゴニスト、SSRIs、セロトニンおよびNE再取り込み阻害剤、5HT調節剤、MAO阻害剤、エピバチジンアゴニスト、ガラニンアンタゴニスト、成長ホルモン、成長ホルモン放出化合物、TRHアゴニスト、脱共役タンパク質2/3調節剤、レプチンアゴニスト、ドーパミンアゴニスト(例えば、ドプレキシン)、エステラーゼ/アミラーゼ阻害剤、カンナビノイド(cannagine)受容体アンタゴニスト、ASP調節剤、PPAR調節剤、RXR調節剤、hCNTF刺激剤またはTR−βアゴニストが含まれる。
【0053】
本発明の1つの実施形態において、油/油脂忌避剤はレプチンまたは変性レプチンである。
【0054】
本発明の他の実施形態において、油/油脂忌避剤はデキサミン(dexamine)またはフェナミンである。
【0055】
本発明の他の実施形態において、油/油脂忌避剤はフェンフルラミンまたはイソメリドである。
【0056】
本発明の他の実施形態において、油/油脂忌避剤はシブトラミンまたはシブトラミンのモノ−/ジ−脱メチル化活性代謝物である。
【0057】
本発明の他の実施形態において、油/油脂忌避剤はオーリスタットである。
【0058】
本発明の他の実施形態において、油/油脂忌避剤はマジンドール、アンフェプラモンまたはフェンテルミンである。
【0059】
さらに、本発明の化合物は、降圧剤化合物と組み合わせて投与され得る。例えば、降圧剤化合物としては、β−遮断薬、例えば、アルプレノロール、アテノロール、チモロール、ピンドロール、プロプラノロールおよびメトプロロール、またはアンジオテンシン−変換酵素(ACE)阻害剤、例えば、ベナゼプリル、カプトプリル、エナラプリル、ホシノプリル、リシノプリルおよびラミプリルまたはカルシウムチャンネル遮断剤、例えば、ニフェジピン、フェロジピン、ニカルジピン、イスラジピン、ニモジピン、ジルチアゼムおよびベラパミルまたはα−遮断剤、例えば、ドキサゾシン、ウラピジル、プラソジンおよびテラゾシンが含まれ得る。さらに、上記の組み合わせに加えて、Remingtonにより編集されたThe Science and Practice of Pharmacy, 19th edition, Gennaro, editor, Mack Publishing Co., Easton, PA, 1995を参照されたい。
【0060】
さらに詳述はしないが、本発明の立体異性体と1種またはそれ以上の上記化合物および任意の1種またはそれ以上の他の薬学的活性と組み合わせることは、本発明の範囲内であることに留意すべきである。
【実施例】
【0061】
以下の詳細な実施例は、様々な化合物の調製方法および/または本発明の様々な過程の実行方法を説明するためのものであり、単に実例として解釈されるものであり、前述の記載を何ら限定するものではない。当業者は、反応物ならびに反応の条件および技術に関する手順から適切な変形例をすぐに理解し得る。
【0062】
実施例1:1−[1−(4−クロロフェニル)シクロブチル]−3−メチルブチルアミンおよびその光学異性体の合成
1.ラセミ化合物1−[1−(4−クロロフェニル)シクロブチル−3−メチルブチルアミン(II)の合成
論文(Chinese Journal of Pharmaceuticals, 2001, 32(8): 337-339)に記載されているようにして、p−クロロベンジルシアニドを1,3−ジブロモプロパンと縮合し、シクロブチル中間体が得られるまで環化し、次いでグリニャール反応および還元反応を介して標題の化合物を得た(収率:56.2%)。
【0063】
2.分割例
段階1で得られたラセミ化合物1−[1−(4−クロロフェニル)シクロブチル−3−メチルブチルアミン20.3gを300mLのアセトン/水/メタノール(1:0.13:0.7、V/V)の混合溶媒に溶解した。L(+)酒石酸(12.1g)を混合物に加え、0.5時間還流した。混合物を室温まで冷却し、室温に保持したまま2〜4日結晶化させた。結晶をろ過し、冷却されたアセトン/水(100mL/13mL)で洗浄し、乾燥させて固体を得た(10.3g、収率:33%)。アセトニトリル
上記の結晶25gとアセトニトリル/水/エタノール(300mL/65mL/30mL)を1時間還流し、次いで室温に冷却して白色固体を得た(18g、収率;72%)。固体をアルカリ処理し、遊離塩基(S)−1−[1−(4−クロロフェニル)シクロブチル]−3−メチルブチルアミン(II−S)を得た(光学純度:99.7%)。
上記のようにして、D−(−)−酒石酸を用いてラセミ化合物IIを分解し、他方の光学異性体を得た(収率:75.2%)。この光学異性体をアルカリ処理し、遊離塩基(R)−1−[1−(4−クロロフェニル)シクロブチル]−3−メチルブチルアミン(II−R)を得た(光学純度:99.4%)。
実施例1、3〜6および8〜11は、光学異性体の光学純度の測定にキラルカラムを用い、全ての化合物の光学純度は99.0%を超えていた。キラルカラムは、ULTRON ES−OVM(150mm×4.6mm)、移動相0.01M KHPO/CHOH(70:30)、UV吸収200nmであった。
【0064】
実施例2:2−(Boc−アミノ)−N−{1−[1−(4−クロロフェニル)シクロブチル]−3−メチルブチル}−3−メチルバレルアミドの合成
【化7】

250mgの1−[1−(4−クロロフェニル)シクロブチル]−3−メチルブチルアミン(II)および210mgのBoc−イソロイシン(式中のRがBoc)を無水THF(5mL)に溶解した。220mgのDCCを25mLの無水THFに溶解した。DCCのTHF溶液を反応溶液に滴下し、次いで室温で一晩撹拌し、白色沈殿物を得た。固体をろ過し、少なくとも3回無水エチルエーテルで洗浄した。ろ液および洗浄後のエチルエーテルを回収し、蒸発させ、カラムクロマトグラフィーで精製し、標題の化合物2−(Boc−アミノ)−N−{1−[1−(4−クロロフェニル)シクロブチル]−3−メチルブチル}−3−メチルバレルアミド(式I、RがBoc)を得た。
分子量:465.07(C2641ClN)
MS(ESI) 465(M
元素分析
理論値:C(%)67.15;H(%)8.88;N(%)6.02;Cl(%)7.62
測定値:C(%)67.05;H(%)8.76;N(%)6.01;Cl(%)7.55
【0065】
実施例3:(2S,3S)−2−(Boc−アミノ)−N−{(S)−1−[1−(4−クロロフェニル)シクロブチル]−3−メチルブチル}−3−メチルバレルアミドの合成
実施例2と同様の方法で、分割した(S)−1−[1−(4−クロロフェニル)シクロブチル]−3−メチルブチルアミン(II−S)(250mg)をBoc−L−イソロイシン(210mg)と縮合し、標題の化合物(2S,3S)−2−(Boc−アミノ)−N−{(S)−1−[1−(4−クロロフェニル)シクロブチル]−3−メチルブチル}−3−メチルバレルアミドを得た。
分子量:465.07(C2641ClN
MS(ESI) 465(M
式を以下に示す:
【化8】

元素分析
理論値:C(%)67.15;H(%)8.88;N(%)6.02;Cl(%)7.62
測定値:C(%)66.98;H(%)8.92;N(%)6.15;Cl(%)7.48
【0066】
実施例4:(2S,3S)−2−(Boc−アミノ)−N−{(R)−1−[1−(4−クロロフェニル)シクロブチル]−3−メチルブチル}−3−メチルバレルアミドの合成
実施例2と同様の方法で、分割した(R)−1−[1−(4−クロロフェニル)シクロブチル]−3−メチルブチルとBoc−L−イソロイシンを縮合し、精製し、標題の化合物(2S,3S)−2−(Boc−アミノ)−N−{(R)−1−[1−(4−クロロフェニル)シクロブチル]−3−メチルブチル}−3−メチルバレルアミドを得た。
分子量:465.07(C2641ClN)
MS(ESI) 465(M
式を以下に示す:
【化9】

元素分析
理論値:C(%)67.15;H(%)8.88;N(%)6.02;Cl(%)7.62
測定値:C(%)67.30;H(%)9.07;N(%)5.99;Cl(%)7.88.
【0067】
実施例5:(2R,3R)−2−(Boc−アミノ)−N−{(S)−1−[1−(4−クロロフェニル)シクロブチル]−3−メチルブチル}−3−メチルバレルアミドの合成
実施例2と同様の方法により、分割した(S)−1−[1−(4−クロロフェニル)シクロブチル]−3−メチルブチルとBoc−D−イソロイシンを縮合し、精製し、標題の化合物(2R,3R)−2−(Boc−アミノ)−N−{(S)−1−[1−(4−クロロフェニル)シクロブチル]−3−メチルブチル}−3−メチルバレルアミドを得た。
分子量:465.07(C2641ClN
MS(ESI) 465(M
式を以下に示す:
【化10】

元素分析
理論値:C(%)67.15;H(%)8.88;N(%)6.02;Cl(%)7.62
測定値:C(%)67.05;H(%)8.76;N(%)6.01;Cl(%)7.55
【0068】
実施例6:(2R,3R)−2−(Boc−アミノ)−N−{(R)−1−[1−(4−クロロフェニル)シクロブチル]−3−メチルブチル}−3−メチルバレルアミドの合成
実施例2と同様にして、分割した(R)−1−[1−(4−クロロフェニル)シクロブチル]−3−メチルブチルとBoc−D−イソロイシンを縮合し、精製し、標題の化合物(2R,3R)−2−(Boc−アミノ)−N−{(R)−1−[1−(4−クロロフェニル)シクロブチル]−3−メチルブチル}−3−メチルバレルアミドを得た。
分子量:465.07(C2641ClN
MS(ESI) 465(M
式を以下に示す:
【化11】

元素分析
理論値:C(%)67.15;H(%)8.88;N(%)6.02;Cl(%)7.62
測定値:C(%)67.10;H(%)8.82;N(%)6.10;Cl(%)7.60
【0069】
実施例7:2−アミノ−N−{1−[1−(4−クロロフェニル)シクロブチル]−3−メチルブチル}−3−メチルバレルアミド塩酸塩の合成
2−(Boc−アミノ)−N−{1−[1−(4−クロロフェニル)シクロブチル]−3−メチルブチル}−3−メチルバレルアミド(実施例2)をCFCOOHに溶解した。この溶液を室温で3時間撹拌し、次いで真空下で蒸発させCFCOOHを取り除いた。得られた白色固体を回収し、無水エチルエーテルに溶解し、溶出液のpHが中性になるまで飽和炭酸水素ナトリウムで繰り返し洗浄した。このエチルエーテル溶液を、次いで、飽和塩化ナトリウムで2〜3回洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮した。粗生成物をカラムクロマトグラフィーにより精製し、2−アミノ−N−{1−[1−(4−クロロフェニル)シクロブチル]−3−メチルブチル}−3−メチルバレルアミドを得た。
得られた2−アミノ−N−{1−[1−(4−クロロフェニル)シクロブチル]−3−メチルブチル}−3−メチルバレルアミドを少量の無水エチルエーテルに溶解した。次いで、エチルエーテル塩酸塩を溶液に加えると、大量の白色沈殿物が形成された。沈殿物を無水エチルエーテルで洗浄し、次いで無水エタノールおよび無水エチルエーテル中で再結晶化し、標題の化合物2−アミノ−N−{1−[1−(4−クロロフェニル)シクロブチル]−3−メチルブチル}−3−メチルバレルアミド塩酸塩を得た。
分子量:401.5(C2133ClNO.HCl)
遊離塩基MS(ESI) 365(M
式を以下に示す:
【化12】

HNMR(CDCl)δ8.50(S,2H,DO交換後シグナル消失),7.15(d,2H),7.05(d,2H),4.53(d,1H),3.97(S,1H,DO交換後シグナル消失),2.06−2.30(m,6H),1.57−1.61(m,4H),0.81−1.19(m,15H)
元素分析
理論値:C(%)62.82;H(%)8.54;N(%)6.98;Cl(%)17.66
測定値:C(%)62.75;H(%)8.46;N(%)6.89;Cl(%)17.63
【0070】
実施例8:(2S,3S)−2−アミノ−N−{(S)−1−[1−(4−クロロフェニル)シクロブチル]−3−メチルブチル}−3−メチルバレルアミド塩酸塩の合成
(2S,3S)−2−(Boc−アミノ)−N−{(S)−1−[1−(4−クロロフェニル)シクロブチル]−3−メチルブチル}−3−メチルバレルアミド(実施例3)のBoc基を実施例7と同様の方法でCFCOOH中で取り除き、(2S,3S)−2−アミノ−N−{(S)−1−[1−(4−クロロフェニル)シクロブチル]−3−メチルブチル}−3−メチルバレルアミドを得た。
得られた(2S,3S)−2−アミノ−N−{(S)−1−[1−(4−クロロフェニル)シクロブチル]−3−メチルブチル}−3−メチルバレルアミドを少量の無水エチルエーテルに溶解した。次いで、エチルエーテル塩酸塩を溶液に加えると、大量の白色沈殿物が形成された。沈殿物を無水エチルエーテルで洗浄し、次いで、無水エタノールおよび無水エチルエーテル中で再結晶化し、(2S,3S)−2−アミノ−N−{(S)−1−[1−(4−クロロフェニル)シクロブチル]−3−メチルブチル}−3−メチルバレルアミド塩酸塩を得た。
分子量:401.5(C2133ClNO.HCl)
遊離塩基MS(ESI) 365(M
式を以下に示す:
【化13】

HNMR(CDCl)δ8.52(S,2H,DO交換後シグナル消失),7.21(d,2H);7.03(d,2H),4.61(d,1H),3.94(S,1H,DO交換後シグナル消失),2.04−2.27(m,6H),1.51−1.63(m,4H),0.90−1.21(m,15H)
元素分析
理論値:C(%)62.82;H(%)8.54;N(%)6.98;Cl(%)17.66
測定値:C(%)62.80;H(%)8.62;N(%)7.03;Cl(%)17.57
【0071】
実施例9:(2S,3S)−2−アミノ−N−{(R)−1−[1−(4−クロロフェニル)シクロブチル]−3−メチルブチル}−3−メチルバレルアミド塩酸塩の合成
(2S,3S)−2−(Boc−アミノ)−N−{(R)−1−[1−(4−クロロフェニル)シクロブチル]−3−メチルブチル}−3−メチルバレルアミド(実施例4)のBoc基を実施例7と同様の方法でCFCOOH中で取り除き、(2S,3S)−2−アミノ−N−{(R)−1−[1−(4−クロロフェニル)シクロブチル]−3−メチルブチル}−3−メチルバレルアミドを得た。
得られた(2S,3S)−2−アミノ−N−{(R)−1−[1−(4−クロロフェニル)シクロブチル]−3−メチルブチル}−3−メチルバレルアミドを少量の無水エチルエーテルに溶解した。次いで、溶液にエチルエーテル塩酸塩を加え、大量の白色沈殿物が形成された。沈殿物を無水エチルエーテルで洗浄し、無水エタノールと無水エチルエーテル中で再結晶化し、(2S,3S)−2−アミノ−N−{(R)−1−[1−(4−クロロフェニル)シクロブチル]−3−メチルブチル}−3−メチルバレルアミド塩酸塩を得た。
分子量:401.5(C2133ClNO.HCl)
遊離塩基MS(ESI) 365(M
式を以下に示す:
【化14】

HNMR(CDCl)δ8.47(S,2H,DO交換後シグナル消失),7.21(d,2H),7.04(d,2H),4.49(d,1H),4.01(S,1H,DO交換後シグナル消失),2.05−2.32(m,6H),1.56−1.63(m,4H),0.86−1.13(m,15H)
元素分析
理論値:C(%)62.82;H(%)8.54;N(%)6.98;Cl(%)17.66
測定値:C(%)62.91;H(%)8.59;N(%)6.93;Cl(%)17.53
【0072】
実施例10:(2R,3R)−2−アミノ−N−{(S)−1−[1−(4−クロロフェニル)シクロブチル]−3−メチルブチル}−3−メチルバレルアミド塩酸塩の合成
(2R,3R)−2−(Boc−アミノ)−N−{(S)−1−[1−(4−クロロフェニル)シクロブチル]−3−メチルブチル}−3−メチルバレルアミド(実施例5)のBoc基を実施例7と同様の方法によりCFCOOH中で取り除き、(2R,3R)−2−アミノ−N−{(S)−1−[1−(4−クロロフェニル)シクロブチル]−3−メチルブチル}−3−メチルバレルアミドを得た。
得られた(2R,3R)−2−アミノ−N−{(S)−1−[1−(4−クロロフェニル)シクロブチル]−3−メチルブチル}−3−メチルバレルアミドを少量の無水エチルエーテルに溶解した。次いで、溶液にエチルエーテル塩酸塩を加えると、大量の白色沈殿物が形成された。沈殿物を無水エチルエーテルで洗浄し、無水エタノールおよび無水エチルエーテル中で再結晶化し、標題の化合物(2R,3R)−2−アミノ−N−{(S)−1−[1−(4−クロロフェニル)シクロブチル]−3−メチルブチル}−3−メチルバレルアミド塩酸塩を得た。
分子量:401.5(C2133ClNO.HCl)
遊離塩基MS(ESI) 365(M
式を以下に示す:
【化15】

HNMR(CDCl)δ8.51(S,2H,DO交換後シグナル消失),7.14(d,2H),7.05(d,2H),4.55(d,1H),3.99(S,1H,DO交換後シグナル消失),2.05−2.15(m,6H),1.51−1.60(m,4H),0.95−1.05(m,15H)
元素分析
理論値:C(%)62.82;H(%)8.54;N(%)6.98;Cl(%)17.66
測定値:C(%)62.78;H(%)8.60;N(%)7.12;Cl(%)17.53
【0073】
実施例11:(2R,3R)−2−アミノ−N−{(R)−1−[1−(4−クロロフェニル)シクロブチル]−3−メチルブチル}−3−メチルバレルアミド塩酸塩の合成
(2R,3R)−2−(Boc−アミノ)−N−{(R)−1−[1−(4−クロロフェニル)シクロブチル]−3−メチルブチル}−3−メチルバレルアミド(実施例6)のBoc基を実施例7と同様の方法によりCFCOOH中で取り除き、(2R,3R)−2−アミノ−N−{(R)−1−[1−(4−クロロフェニル)シクロブチル]−3−メチルブチル}−3−メチルバレルアミドを得た。
得られた(2R,3R)−2−アミノ−N−{(R)−1−[1−(4−クロロフェニル)シクロブチル]−3−メチルブチル}−3−メチルバレルアミドを少量の無水エチルエーテルに溶解した。溶液にエチルエーテル塩酸塩を加えると、大量の白色沈殿物が形成された。沈殿物を無水エチルエーテルで洗浄し、無水エタノールおよび無水エチルエーテル中で再結晶化し、標題の化合物(2R,3R)−2−アミノ−N−{(R)−1−[1−(4−クロロフェニル)シクロブチル]−3−メチルブチル}−3−メチルバレルアミド塩酸塩を得た。
分子量:401.5(C2133ClNO.HCl)
遊離塩基MS(ESI) 365(M
式を以下に示す:
【化16】

HNMR(CDCl)δ8.48(S,2H,D20交換後シグナル消失),7.17(d,2H),7.05(d,2H),4.51(d,1H),3.91(S,1H,D20交換後シグナル消失),2.01−2.28(m,6H),1.54−1.67(m,4H),0.93−1.22(m,15H)
元素分析
理論値:C(%)62.82;H(%)8.54;N(%)6.98;Cl(%)17.66
測定値:C(%)62.97;H(%)8.59;N(%)6.83;Cl(%)17.54
【0074】
実施例12:2−(R−アミノ)−N−{1−[1−(4−クロロフェニル)シクロブチル]−3−メチルブチル}−3−メチルバレルアミド塩酸塩およびその光学異性体の合成
実施例2と同様の方法により、Boc−イソロイシンの代わりにFmoc−イソロイシン、ホルミル−イソロイシン、アセチル−イソロイシン、クロロアセチル−イソロイシン、ベンゾイル−イソロイシンおよびCbz−イソロイシンをそれぞれ用い、2−(R−アミノ)−N−{1−[1−(4−クロロフェニル)シクロブチル]−3−メチルブチル}−3−メチルバレルアミドを得た。ここで、RはそれぞれFmoc−、ホルミル−、アセチル−、クロロアセチル−、ベンゾイル−、およびCbz−である。
RがFmocの場合、分子量は587.2(C3643ClN)、MS(ESI)588(M)である。
Rがホルミル−の場合、分子量は392.97(C2233ClN)、MS(ESI)394(M)である。
Rがアセチル−の場合、分子量は406.99(C2335ClN)、MS(ESI)407(M)である。
Rがクロロアセチル−の場合、分子量は441.43(C2334Cl)、MS(ESI) 442(M)である。
Rがベンゾイル−の場合、分子量は469.07(C2837ClN)、MS(ESI) 470(M)である。
RがCbzの場合、分子量は499.09(C2939ClN)、MS(ESI) 501(M)である。
同様に、実施例3〜6の方法を用いて、実施例12の標題化合物の4つの光学異性体をそれぞれ調製した。実施例12の標題の化合物の4つの光学異性体をそれぞれ原料として用い、実施例7〜11の方法に従って、RがHである化合物を得た。
【0075】
上記の具体的な実施例で式(I)の化合物およびその光学異性体の調製について記載した。上記の実施例は、本発明の限定とみなされるべきではないことが理解されるべきである。反応条件およびパラメータは有機合成分野の当業者により変更され得る。
【0076】
用途に関して、本発明の化合物は減量薬の調製における有効成分として使用することができる。本発明の化合物の有効性について、以下に示す。
【0077】
減量の薬理学的な実証研究
1.材料
1.1 動物:オスメス同数の離乳SDラット(クリーンなグレード、43.3±8.5g)を実験動物センター(重慶医療大学(Chongqing medical university)、中国)(環境衛生認定証明書:SYXK
(Yu) 20020007;動物認定証明書:SCXK (Yu) 20020001)から得た。
【0078】
1.2 薬物および調製:実施例7のラセミ化合物塩酸塩、実施例8、9、10および11の光学異性体、ならびにポジティブコントロールとしてシブトラミン塩酸塩を1%−CMC−Naに溶解した。
【0079】
1.3 試験計器:TGL−16テーブルモデル高速遠心分離機(上海医療機械社No.6(Shanghai Medical Instruments Factory NO.6));KDC遠心分離機(Huicheng Radio Factory、広州);ザルトリウス電子天秤(ドイツ);医療用冷蔵庫(Medical refrigerator temperature)(三洋、日本);サーモスタットウォーターバスタンク(Beijing Xicheng district medical apparatus factory);VXH−3ミニボルテックスミキサー(Shanghai Yuejin Medical Apparatus Facotry)。
【0080】
1.4 栄養飼料:栄養飼料および基礎飼料のレシピは以下の通りである。
基礎飼料:オオムギ粉20%、乾燥野菜10%、豆粉20%、トウモロコシ粉16%、イースト1%、ふすま16%、魚粉10%、骨粉5%、塩2%
粉ミルク:魚濃縮肝油、ラード、生もやし、および卵を全て市場で購入した。
栄養飼料:100gの基礎飼料に、10gの粉ミルク、ラード10g、卵1個、生もやし250g、魚濃縮肝油10粒(VA1000u、VD1700uを含む)を加えた。
【0081】
2.方法
2.1 肥満動物モデルの確立と分類
離乳SDラットを化合物の大量、中量、少量投与群、ポジティブコントロールであるシブトラミン塩酸塩の大量、中量、少量投与群、肥満動物モデル群、ブランクコントロール群に無作為に割り当てた(オス:n=5/群、メス:n=5/群)。
ブランクコントロール群の実験動物には通常食を与え、他の群の動物には栄養飼料を与えた。全ての動物は、24時間豊富な餌をいつでも食べられた。
【0082】
2.2 薬物の投与
それぞれの群の実験動物は、対応する薬物を1日1回午前9時に30日間、投与量は1ml/体重100gで投与した。投与量はシブトラミンのヒトの臨床的な投与量である10mg/ヒト/日に相当し、ヒト−ラット間の等価用量に従って変更した。大量投与群には、1.2mg/kgを採用した。中量投与群は0.6mg/kgを採用した。少量投与群は0.3mg/kgを採用した。肥満動物群は、1%のCMC−Na溶液を10mg/kg、ブランクコントロール群は1%のCMC−Na溶液を10mg/kg与えた。
【0083】
3.計測
3.1 体重:計測は毎日の体重;全身状態;毛;目、口、鼻の分泌物;糞、排尿、活動量について行った。
【0084】
3.2 脂肪重量:腹腔内および腎周囲の脂肪を計量し、脂肪重量係数を体重から算出した。
【0085】
4.結果
4.1 動物の行動および組織の観察
試験期間で、動物の行動、全身状態、毛、口および鼻の分泌物、糞、排尿、活動量およびラットの食習慣は変化がなかった。30日後、モデル群のラットの大きさは太っているのに対し、ブランクコントロールおよび実験群は太っていなかった。実験終了後、ラットは殺し、肝臓、心臓、腎臓および生殖器官を解剖学的に観察したが、正常であった。
【0086】
4.2 実験薬物のラットの体重への効果
表1に示すように、実験前に観察した体重および脂肪重量は、実験後との間で有意な差が見られた。我々は、実験群の体重および脂肪重量はモデル群との間で有意に異なっていることを見出した。
【0087】
【表1】

【0088】
本発明の結果は、ラットの体重、脂肪重量および脂肪重量係数は全ての実験群でそれぞれ減少することを示唆しており、モデル群とは有意な差が見られた。シブトラミンと比較すると、実施例9の化合物は明らかに体重を減少させることができる。体重減少の効果はモデル群よりも処理群で優れており、なかでも実施例9の化合物が最も優れていた。他方、シブトラミンに比べて、有意に優れた効果であった。
【0089】
試験期間中、動物の身体的兆候への化合物の効果が観察された。本試験の結果は、肝臓、心臓、腎臓および生殖器官の解剖学的観察は正常であることを示唆していた。
【0090】
我々は、実施例2〜6および12の最終化合物の抗肥満効果を検証した。それらは、ラットで体重及び脂肪重量を減少することができ、体重減少および脂肪減少に効果があることを明示する。
【0091】
マウスの毒性試験
毒性試験は、毒性の一般的試験方法を用いて当業者により行われた。
健康なマウス(18〜22g)を、ブランク群、ポジティブコントロール群(シブトラミンHCl群)および化合物群に、1つの群当たりマウス10匹を無作為に分けた。化合物を生理食塩水に特定の濃度で溶解し、7日間連続で毎日経口投与した。死亡および行動異常は観察期間内でどちらも見られず、化合物の毒性はポジティブコントロール群の毒性と有意な差がなかった。
【産業上の利用可能性】
【0092】
本発明の化合物およびそれらの組成物は、肥満の治療の薬として調製され得、したがって、産業上有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)で表わされる化合物、それらの立体異性体またはそれらの薬学的に許容可能な塩を含むフェニルシクロブチルアミド誘導体:
【化1】

式中、RはHまたは1から16個の炭素原子を含むアシル基である。
【請求項2】
前記1から16個の炭素原子を含むアシル基がホルマシル、アセチル、ハロアセチル、ベンゾイル、ベンジルオキシカルボニル(Cbz)、t−ブチルオキシカルボニル(Boc)または9−フルオレニルメトキシカルボニル(Fmoc)である、請求項1に記載のフェニルシクロブチルアミド誘導体。
【請求項3】
RがHであり、前記化合物が2−アミノ−N−{1−[1−(4−クロロフェニル)シクロブチル]−3−メチルブチル}−3−メチルペンタンアミドおよびその光学異性体:(2S,3S)−2−アミノ−N−{(S)−1−[1−(4−クロロフェニル)シクロブチル]−3−メチルブチル}−3−メチルペンタンアミド;(2S,3S)−2−アミノ−N−{(R)−1−[1−(4−クロロフェニル)シクロブチル]−3−メチルブチル}−3−メチルペンタンアミド;(2R,3R)−2−アミノ−N−{(S)−1−[1−(4−クロロフェニル)シクロブチル]−3−メチルブチル}−3−メチルペンタンアミド;(2R,3R)−2−アミノ−N−{(R)−1−[1−(4−クロロフェニル)シクロブチル]−3−メチルブチル}−3−メチルペンタンアミド;およびこれらの化合物の薬学的に許容可能な塩、好ましくはこれらの化合物の塩酸塩であり、該光学異性体が下記の構造を有する、請求項1または2に記載のフェニルシクロブチル誘導体。
【化2】

【請求項4】
請求項1から3のいずれかに記載のフェニルシクロブチルアミド誘導体を含む、組成物。
【請求項5】
前記組成物が、有効成分としての前記フェニルシクロブチルアミド誘導体と他の医薬品賦形剤との組み合わせを含む複合薬である、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
前記組成物が前記フェニルシクロブチルアミド誘導体と他の薬学的活性化合物との組み合わせを含む調剤である、請求項4に記載の組成物。
【請求項7】
前記組成物がカプセル、オブラートの薬包、トローチ、顆粒、錠剤、または注射可能な注射剤の形態である、請求項5または6に記載の組成物。
【請求項8】
前記組成物が前記フェニルシクロブチルアミド誘導体および他の成分から処方されたヘルスケア製品、機能性食品または飲料である、請求項4に記載の組成物。
【請求項9】
請求項1から3のいずれかに記載のフェニルシクロブチルアミド誘導体の調製方法であって、以下を含む調製方法:
ラセミ化合物または分割された1−[1−(4−クロロフェニル)シクロブチル]−3−メチルブチルアミンおよびR保護されたラセミ化合物もしくはD−またはL−イソロイシンを無水THFに溶解し、次いで該溶液に縮合剤を滴下して加え、室温で一晩撹拌し、沈殿物をろ過し、沈殿物を無水ジエチルエーテルで数回すすぐこと;
ろ液と無水ジエチルエーテル溶出液を集め、次いでロータリーエバポレーションにより粗生成物を得て、カラムクロマトグラフィーにより分離および精製し、2−(R−アミノ)−N−{1−[1−(4−クロロフェニル)シクロブチル]−3−メチルブチル}−3−メチルペンタンアミドのラセミ化合物または光学異性体化合物を得ること;
R保護基を取り除き2−アミノ−N−{1−[1−(4−クロロフェニル)シクロブチル]−3−メチルブチル}−3−メチルペンタンアミドのラセミ化合物または光学異性体化合物を得ること;
薬学的に許容可能な酸を使用して、その塩を調製すること。
【請求項10】
請求項1から3のいずれかに記載のフェニルシクロブチルアミド誘導体の減量薬の調製における使用。

【公表番号】特表2011−516506(P2011−516506A)
【公表日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−503327(P2011−503327)
【出願日】平成21年3月24日(2009.3.24)
【国際出願番号】PCT/CN2009/000310
【国際公開番号】WO2009/124458
【国際公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【出願人】(510175458)ベイジン イングー センチュリー ファーマシー カンパニー リミテッド (1)
【氏名又は名称原語表記】BEIJING YINGU CENTURY PHARMACY CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】Apartment 2409, YinGu Mansion, No.9 The West Road of North 4th Ring, Haidian District, Beijing 100190, P.R.China
【Fターム(参考)】