説明

フェノフィブラート含有メントール又はPEG/ポロキサマー混合物の改良製剤

本発明は、少なくとも、高レベルのトリグリセリドの処置のための組成物であって、メントール又は界面活性剤と密接に会合している、治療上有効量のフェノフィブラート又は別のフィブラート薬を含んで成る組成物を提供する。ここで、前記メントールはメントール又はメントールと界面活性剤の混合物であってもよく、そして界面活性剤はポリエチレングリコール及びポロキサマー、例えばPEG(1000)及びポロキサマー(407)の混合物であってもよい。本発明はまた、被験者の高レベルのトリグリセリドを処置するための方法であって、当該被験者に対し、治療上有効量のフェノフィブラート又は別のフィブラート薬及びメントール又は界面活性剤を含んで成り、フェノフィブラート又は別のフィブラート薬がメントール又は界面活性剤と密接に会合している組成物を投与することを含んで成る方法を提供する。ここで、前記メントールはメントール又はメントールと界面活性剤の混合物であってもよく、そして界面活性剤はポリエチレングリコール及びポロキサマー、例えばPEG(1000)及びポロキサマー(407)の混合物であってもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2005年3月30日に出願された米国仮出願番号第60/666,192号の利益を主張するものであり、当該出願の開示内容は引用によりその全体が組み入れられる。
【背景技術】
【0002】
フェノフィブラート(2−[4−(4−クロロベンゾイル)フェノキシ]−2−メチル−プロパン酸、1−メチルエチルエステル)は、フィブラート系薬剤の1つである。これはカプセル、錠剤の両方で市販されている。フェノフィブラートは一見プロドラッグである。その活性部分は、伝えられるところによると、代謝物であるフェノフィブリン酸であり、これは体内でエステラーゼによって産生されることが報告されている。フェノフィブラートを投与した場合、一見無傷のフェノフィブラートが血漿中に見られる(Physicians' Desk Reference, 58th ed. 2004, p. 522-525(PDR))。
【0003】
フェノフィブラートは、非常に難溶性の薬物である。難溶性にも関わらず、「摂食状態」(fed state)で投与した場合よく吸収され、そして「絶食状態」ではそうでもないことが報告されている。フェノフィブリン酸のバイオアベイラビリティーが実際にはどのようなものであるかが不明であるのは、この大部分がプレシステミックな部位及び初回通過部位の両方でグルクロニドに代謝されると考えられるためである。フェノフィブラートの絶対的バイオアベイラビリティーが恐らく決定されえないのは、当該化合物が静脈注射に適した媒体中で不溶性のためである。健常人に経口投与した後、単回投与のうち60%の放射標識されたフェノフィブラートが尿中で、主にフェノフィブリン酸及びそのグルクロニドコンジュゲートとして出現し、そして25%が糞便中に排出された(PDR)。フェノフィブラートの吸収は、食物と一緒に投与した場合に増大すると考えられている。フェノフィブラートの錠剤によると、吸収の程度は食物と一緒に投与した場合に約35%増大する(PDR, Martindale 33rd ed. p.889)。
【0004】
フェノフィブラート製剤を改良するために多くの努力が繰り広げられている。米国特許第4,895,726号及び第5,880,148号は、フェノフィブラートと界面活性剤とを一緒に微粒子化することを開示している。米国特許第6,074,670号、第6,277,405号などは、水溶性の担体上にコーティングされている、任意の界面活性剤により微粒子化されたフェノフィブラートを開示している。米国特許第6,814,977号は、グリセリン、プロピレングリコール、又はジメチルイソソルビドに溶解したフェノフィブラートを開示しており、そして米国特許第5,827,536号は、ジエチレングリコールモノエチルエーテル中に溶解したフェノフィブラートを開示している。
【0005】
複数の特許が特定の高分子添加物又は界面活性剤添加物で微粒子化されたフェノフィブラートの具体的な製剤を開示している一方で、複数の他の特許は、乳濁液及び懸濁液を記載している。米国特許出願公報第20040087656号は、バイオアベイラビリティーが向上した、2000nm未満の粒径のフェノフィブラートを開示している。米国特許出願公報第20030224959号は、医薬活性成分の微粒子、薬物送達ビヒクルを含んで成る当該微粒子、及びそれらの製造方法、を開示している。米国特許出願公報第20030224959号の開示内容は、引用によりその全体が本明細書に組み入れられる。
【0006】
米国特許出願公報第20040198646号は、薬物、特に水難溶性の薬物のメントール溶液を含んで成る組成物、及びかかる組成物を製造する方法、を開示している。米国特許出願公報第20040198646号の開示内容は、引用によりその全体が本明細書に組み入れられる。
【0007】
薬物の微粒子化及び界面活性剤の添加は、フェノフィブラートのバイオアベイラビリティーを穏やかに増大させて、投与される薬物の量を投与当たり100mgから投与当たり67mgに減少させ、そしてその後には投与当たり54mgに減少させるとともに、全て「摂食状態」で同一のバイオアベイラビリティーがある。薬物のナノ粒子製剤は、更に、投与量を、投与当たり48mgに軽減させた。ここでの「絶食状態」のバイオアベイラビリティーは、「摂食状態」のものと同程度であると報告されている。フェノフィブラートの真のバイオアベイラビリティーが尚も比較的低いと仮定されているため、尚も多くの改善の余地が残されている。本発明者は、驚くべきことに、メントールに溶解させ、そして界面活性剤を含んで成るフェノフィブラートの組成物が、従来開示されているいずれのものよりもはるかに優れている、極めて高いバイオアベイラビリティーをもたらすことを見出した。本発明者はまた、驚くべきことに、溶解性及び薬物放出が高い、メントールを含む又は含まない、フェノフィブラート製剤を見出した。
【0008】
本発明の要約
本発明は、高レベルのトリグリセリドを処置するための組成物であって、治療上有効量のフェノフィブラート又は別のフィブラート薬を含んで成り、メントールと密接に会合している組成物、を包含する。この密接な会合は、フェノフィブラート又は他のフィブラートのメントール溶液の形態でありうるが、少なくとも一部の薬物が当該薬物の沈殿を生じさせる工程、例えば飽和、例えば溶媒体積の減少又は冷却によりかかる溶液から出てきている組成物も包含することとなる。前記組成物は、US2003−0224059及びUS0198646−2004における教示により例示されている方法により、任意に固体担体中に吸収されていることもあれば、固体担体上に吸着されていることもある。
【0009】
本発明は、高レベルのトリグリセリドの処置のための組成物であって、メントールに溶解している、治療上有効量のフェノフィブラート又は別のフィブラート薬を含んで成り、そして更に少なくとも1つの界面活性剤を含んで成る組成物、を包含する。当該組成物は、任意に、固体担体上に吸着されていることがある。
【0010】
本発明は、メントールに溶解している、治療上有効量のフェノフィブラート又は別のフィブラート薬を含んで成り、そして更に少なくとも1つの界面活性剤を含んで成る組成物、を包含する。当該組成物は、50mlの0.1NのHCl中37℃で、150rpmで試験した場合、少なくとも約10%、30%、又は80%のフェノフィブラート又は他のフィブラート薬が15分で溶解されるという、溶解特性を有しうる。当該組成物はまた、500mlの0.5%ラウリル硫酸ナトリウム(SLS)水溶液中37℃で、50rpmで試験した場合に、少なくとも約70%のフェノフィブラート又は他のフィブラート薬が5分で溶解されるという、溶解特性を有しうる。
【0011】
本発明は、治療上有効量のフェノフィブラート又は別のフィブラート薬を含んで成り、そして更に少なくとも1つの界面活性剤を含んで成る組成物であって、ビーグル犬に投与した場合、濃度対時間の血漿プロファイルの濃度曲線下面積(AUC)に基づいたフェノフィブリン酸のバイオアベイラビリティーが、1ミリグラム当たり、Trichor(登録商標)54mg製品のものよりも少なくとも3倍である(同量に正規化した場合)、組成物を包含する。
【0012】
本発明はまた、本発明の組成物を調製する方法であって:
a)メントールを60℃に加熱してその融解を生じさせ、
b)少なくとも1つの界面活性剤を当該融解物に添加し、
c)ステップb)の生成物を約50℃に冷却し、
d)攪拌しながら、フェノフィブラート又は別のフィブラート薬をステップc)の生成物に溶解し、
e)ステップd)の生成物を室温に冷却して本発明の組成物を得て、そして
f)カプセルが所望とされる場合、(A)ステップe)の生成物をカプセル内に分注し、又は(B)択一的に、固体担体、例えば微結晶性セルロース、ラクトース又はソルビトールをステップe)の生成物に添加し、よく混合し、室温に冷却し、そしてこのようにすることで得られる粉末をカプセル内に充填すること、
を含んで成る方法、も包含する。
【0013】
本発明は、界面活性剤混合物、例えばポリエチレングリコール(PEG)1000及びポロキサマー407に溶解している、治療上有効量のフェノフィブラート又は別のフィブラート薬を含んで成る組成物を包含する。当該組成物は、任意に固体担体上に吸収又は吸着されていてもよい。
【0014】
本発明は、界面活性剤混合物、例えばポリエチレングリコール(PEG)1000及びポロキサマー407と密接に会合している、治療上有効量のフェノフィブラート又は別のフィブラート薬を含んで成る組成物を包含する。この組成物は、900mlの0.5%ラウリル硫酸ナトリウム(SLS)水溶液中37℃で、50rpmで試験した場合、少なくとも約40%のフェノフィブラート又は他のフィブラート薬が15分で溶解し、そして/あるいは約80%が30分で溶解されるという、溶解特性を有することがある。この密接な会合は、フェノフィブラート又は他のフィブラートの溶液の形態でありうるが、少なくとも一部の薬物が、例えば飽和により、かかる溶液から出てきているか、又は十分に溶解していない組成物も包含することとなる。ビーグル犬に経口投与した場合、この組成物は、濃度対時間の血漿プロファイルの濃度曲線下面積(AUC)に基づいたフェノフィブリン酸のバイオアベイラビリティーが、1ミリグラム当たり、Trichor(登録商標)54mg製品のものよりも少なくとも2倍である(同量に正規化した場合)。
【0015】
本発明はまた、高いトリグリセリドレベルの患者を処置する方法であって、メントールに溶解している、治療上有効量のフェノフィブラートを含んで成るフェノフィブラートの組成物を当該患者に投与することを含んで成る方法を包含する。
【0016】
本発明はまた、高いトリグリセリドレベルの患者を処置する方法であって、メントールに溶解し、且つ更に少なくとも1つの界面活性剤を含んで成る、治療上有効量のフェノフィブラートを含んで成るフェノフィブラートの組成物を当該患者に投与することを含んで成る方法を包含する。
【0017】
本発明はまた、高いトリグリセリドレベルの患者を処置する方法であって、PEG1000及びポロキサマー407に溶解している、治療上有効量のフェノフィブラートを含んで成るフェノフィブラートの組成物を当該患者に投与することを含んで成る方法を包含する。
【0018】
本発明の詳細な説明
高グリセリド血症を処置するのに使用される薬物であるフェノフィブラートの医薬組成物を改良することについての要求が存在している。用語「フェノフィブラート」には、2−[4−(4−クロロベンゾイル)フェノキシ]−2−メチル−プロパン酸の1−メチルエチルエステル及び任意の医薬として許容されるそれらの塩が含まれる。本発明の1つの観点は、メントールに溶解しているフェノフィブラートの組成物にある。フェノフィブラートは、60℃の融解したメントール中最大約37%溶解する。全てのフェノフィブラートがメントール中に溶解しているか、あるいはフェノフィブラートの一部のみがこのように溶解し、残りが完全飽和メントール媒体中に固体形態で存在している製剤を作ることができる。本発明の好ましい態様において、フェノフィブラートはメントール中に完全に溶解する。本発明の1つの態様において、メントールの融解物は、液体状態でカプセル内に充填されてもよく、あるいは固化され、任意に粉砕され、そしてカプセル内に充填されてもよい。1つの態様における液体の充填に使用されるカプセルは、ハードゼラチンカプセルでありうる。好ましい態様において、ハードゼラチンカプセルは、漏れを防ぐためにバンド状である。更に好ましい態様において、液体製剤はソフトゲルカプセル内に充填されうる。別の態様において、固化されたメントール溶液は、任意に粉砕され、そしてハードゼラチンカプセル又は他の材料、例えば植物起源の材料(例えばHPMC)による同等のカプセル内に充填される。別の好ましい態様において、融解したメントールの製剤は、固体担体上に更に吸着されうる。かかる固体担体は、水に溶ける(水溶性)の担体、例えばスクロース、ラクトース、マンニトール又はソルビトール、あるいは不水溶性担体、例えばデンプン、セルロース、微結晶性セルロース、又はリン酸カルシウムであってもよい。このようにして形成した粉末は、任意に、流れ又は他の特性を補助するために標準的な医薬品添加物と一緒に混合されることもあり、そしてハードゼラチンカプセル又はそれらと同等のものの中に充填されうる。別の好ましい態様において、これらの粉末は、任意に、標準的な医薬品賦形剤と混合され、そして錠剤のプレス機において錠剤の形成のために製剤化されうる。
【0019】
本願において、用語「別のフィブラート薬」又は「他のフィブラート薬」には、フェノフィブリン酸、任意のフェノフィブリン酸塩、任意にフェノフィブリン酸エステルであって、上文で定義した用語「フェノフィブラート」に包含される1−メチルエチルエステルを除くもの、ベザフィブラート、ビニフィブラート、クリノフィブラート、シプロフィブラート、クロフィブラート、クロフィブリド、エトフィブラート、エトフィリン、クロフィブラート、ゲムフィブロジル、ピリフィブラート、ロニフィブラート及びシムフィブラートが含まれる。
【0020】
本願において、フェノフィブラート又は別のフィブラート薬が、「メントールと密接に会合している」、「メントールと密接な会合」、「界面活性剤と密接に会合している」又は「界面活性剤と密接な会合」という状態にある場合、
a)液体、融解物又は固体(固溶体)である、メントール、メントール界面活性剤混合物又は界面活性剤混合物中のフェノフィブラート又は他のフィブラート薬溶液;
b)メントール溶液、メントール界面活性剤混合溶液又は界面活性剤混合溶液からのフェノフィブラート又は他のフィブラート薬の沈殿物、あるいはフェノフィブラート又は他のフィブラート薬と任意の添加物の共沈物であって、飽和溶液又は懸濁液によってコーティングされているか、あるいは飽和溶液又は懸濁液と接触しているもの;及び/又は
c)メントール、メントール界面活性剤混合物又は界面活性剤混合物中のフェノフィブラート又は他のフィブラート薬溶液でコーティングされているか、あるいは接触しているフェノフィブラート又は他のフィブラート薬(ここで、残りのフェノフィブラート又は他のフィブラート薬は、存在しているフェノフィブラート又は他のフィブラートの量が飽和状態を超えているので、溶解しない)
を含むことが意図される。
【0021】
「密接に会合している」及び「密接な会合」なる表現は、少なくとも部分的にもフェノフィブラート又は他のフィブラート薬を溶解しない、造粒用の液体(granulation liquid)中での配合又は造粒による2つの固体の単純な物理的混合物を除くものである。
【0022】
本発明の別の観点は、高レベルのトリグリセリドの処置のための組成物であって、メントールに溶解している、治療上有効量のフェノフィブラート又は別のフィブラート薬を含んで成り、そして更に少なくとも1つの界面活性剤を含んで成る組成物、である。全てのフェノフィブラートかメントール中に溶解しているか、あるいはフェノフィブラートの一部のみがこのように溶解し、残りが完全飽和メントール媒体中に固体形態で存在している製剤を作ることができる。好ましい態様において、フェノフィブラートは、メントール及び界面活性剤の媒体に溶解される。より好ましい態様において、フェノフィブラートは、メントール中に完全に溶解され、更に界面活性剤を含んで成る。この態様で用いることができる界面活性剤はTween、最も好ましくはTween80、ドキュセート(ducosate)ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、クレモフォール、ポリエチレングリコール(PEG)、最も好ましくはPEG1000、及びポロキサマー、最も好ましくはポロキサマー407を含んで成る。好ましい態様は、重量当たりフェノフィブラートを2%〜40%、更に好ましくは5%〜25%、メントールを10%〜90%、更に好ましくは15%〜40%、そして界面活性剤を10%〜80%、更に好ましくは30%〜70%含んで成る。別の好ましい態様において、融解したメントール製剤は、更に、固体担体上に吸着されることがあり、あるいは固体担体内に吸収されることがある。かかる固体担体は、水に溶解する(水溶性)担体、例えばスクロース、ラクトース又はソルビトールあるいは水不溶性担体、例えばデンプン、セルロース、微結晶性セルロース、又はリン酸カルシウムであってもよい。このようにして形成した粉末は、任意に、流れ又は他の特性を補助するために標準的な医薬品添加物と一緒に混合されることもあり、そしてハードゼラチンカプセル又はそれらと同等のものの中に充填されうる。別の好ましい態様において、これらの粉末は、任意に、標準的な医薬品賦形剤と混合され、そして錠剤のプレス機において錠剤の形成のために製剤化され、あるいはメルトタブレットに成形されうる。
【0023】
本発明の組成物の好ましい態様において、製剤は約25.2%のフェノフィブラート、約23.4%のメントール、約11.7%のドキュセートナトリウム及び約32.2%のTween80を含んで成る。この組成物の薬物放出を、50mlの0.1N HClという少量の薬物放出試験において37℃、150rpmで試験した場合、当該組成物中約11.9%のフェノフィブラートが15分後に溶解した。
【0024】
本発明の組成物の別の好ましい態様において、約20.5%のフェノフィブラート、約37.9%のメントール、約9.5%のドキュセートナトリウム及び約32.2%のTween80を含んで成る。この組成物の薬物放出を、50mlの0.1N HClという少量の薬物放出試験において37℃、150rpmで試験した場合、当該組成物中約31.7%のフェノフィブラートが15分後に溶解した。
【0025】
本発明の組成物の別の好ましい態様は、約12.4%のフェノフィブラート、約18.4%のメントール、及び約69.1%のTween80を含んで成る。この組成物の薬物放出を、50mlの0.1N HClという少量の薬物放出試験において37℃、150rpmで試験した場合、当該組成物中約12.5%のフェノフィブラートが15分後に溶解した。
【0026】
本発明の組成物の別の好ましい態様は、約12.4%のフェノフィブラート、約18.4%のメントール、及び約69.1%のクレモフォールを含んで成る。この組成物の薬物放出を、50mlの0.1N HClという少量の薬物放出試験において37℃、150rpmで試験した場合、当該組成物中約17.9%のフェノフィブラートが15分後に溶解した。
【0027】
本発明の組成物の別の好ましい態様は、約10.9%のフェノフィブラート、約16.2%のメントール、約8.1%のドキュセートナトリウム、約4.0%のグリセリン及び約60.7%のクレモフォールを含んで成る。この組成物の薬物放出を、50mlの0.1N HClという少量の薬物放出試験において37℃、150rpmで試験した場合、当該組成物中約15.6%のフェノフィブラートが15分後に溶解した。
【0028】
本発明の組成物の別の好ましい態様は、約7.7%のフェノフィブラート、約19.2%のメントール、約7.7%のドキュセートナトリウム、及び約65.4%のTween80を含んで成る。この組成物の薬物放出を、50mlの0.1N HClという少量の薬物放出試験において37℃、150rpmで試験した場合、当該組成物中約93.3%のフェノフィブラートが15分後に溶解した。この最も好ましい態様は、500mlの0.5%のラウリル硫酸ナトリウム(SLS)水溶液中37℃で、50rpmで試験し、ここでは、5分で78.7%が溶解し、そして10分では92.5%が溶解されるという放出プロファイルが得られた。
【0029】
比較すると、米国特許出願第10/400,100の実施例2で教示されているようなフェノフィブラート組成物は、あまり厳しくない、より伝導性のある溶解条件で、USP ApparatusII溶出試験装置内で、900mlの0.5%ラウリル硫酸ナトリウム(SLS)水溶液中37℃で、100rpmで試験した場合、90%超のフェノフィブラートが溶解するのに約90分間かかるというような放出速度を示した。この最も好ましい態様は、イヌにおける、市販のTrichor(登録商標)54mgの微粉化製剤に対してのその薬物動態プロファイルについて、更に試験がなされ(実施例3を参照のこと)、そして活性代謝物であるフェノフィブリン酸のバイオアベイラビリティーが1ミリグラム当たり4倍以上向上した。
【0030】
本発明の別の観点は、フェノフィブラートメントール組成物を調製する方法を包含する。1つの好ましい態様において、この方法は、メントールを約50〜70℃、最も好ましくは約60℃に加熱して、メントールの融解を生じさせることを含んで成る。メントールの融解物は、都合の良い速度で攪拌される。当該方法は更に、界面活性剤又は複数の物質を前記融解物に添加することを含んで成る。融解物は、完全に溶解するまで穏やかに攪拌される。好ましい態様において、界面活性剤はTween80である。より好ましい態様において、界面活性剤は、Tween80及びドキュセートナトリウムの両方を含んで成る。1つの態様において、フェノフィブラートは、この時点で融解物に添加されている。より好ましい態様において、当該融解物は45℃〜55℃に、最も好ましくは約50℃に冷却され、その後フェノフィブラートが添加される。当該融解物は、全てのフェノフィブラートが溶解するまでほぼ同じ温度で攪拌される。1つの好ましい態様において、このようにして得られた溶液は、ハードカプセル又はソフトカプセル内に分注される。更に好ましくは、当該溶液(又は融解物)は、最初に室温に冷却され、続いてハードカプセル又はソフトカプセル内に分注される。ハードカプセルは、好ましくは「バンディング」によってシールすることで漏れが防がれる。この方法の別の好ましい態様において、固体担体、例えば微結晶性セルロース、ラクトース又はソルビトールあるいはこれらの組み合わせは、室温に冷却する前又は後のいずれかに融解物に添加される。混合物はよく混合され、必要により室温に冷却され、そしてカプセル内に充填される。任意に、他の賦形剤を、例えば流れを補助するために、粉末に添加してもよい。別の好ましい態様において、このようにして得られた粉末は更に、錠剤のプレス機において錠剤を形成するよう添加物で更に製剤化される。
【0031】
本発明の別の観点は、メントールを含まないが、ポリエチレングリコール(PEG)及びポロキサマーに溶解する治療上有効量のフェノフィブラート又は他のフィブラート薬を含んで成る。この態様にとって有用なPEGは、室温で液体であり、あるいは最大約70℃で融解する全てのPEGである。最も好ましいPEGはPEG1000である。最も好ましいポロキサマーはポロキサマー407である。ある態様において、当該製剤は重量当たりフェノフィブラートを約5%〜約50%、PEG1000を約5%〜約50%、そしてポロキサマー407を約5%〜約50%含んで成る。別の好ましい態様において、当該製剤は更に、固体担体上に吸着又は固体担体内に吸収されていてもよい。かかる固体担体は、水に溶ける(水溶性)の担体、例えばスクロース、ラクトース又はソルビトール、あるいは不水溶性担体、例えばデンプン、セルロース、微結晶性セルロース、又はリン酸カルシウムであってもよい。このようにして形成した粉末は、任意に、流れ又は他の特性を補助するために標準的な医薬品添加物と一緒に混合されることもあり、そしてハードゼラチンカプセル又はそれらと同等のものの中に充填されうる。別の好ましい態様において、これらの粉末は、任意に、標準的な医薬品賦形剤と混合され、そして錠剤のプレス機において錠剤の形成のために製剤化されうる。
【0032】
好ましい態様において、前記製剤は、約12.4%のフェノフィブラート、約18.4%のPEG1000、及び約69.1%のポロキサマー407を含んで成る。この態様を、900mlの0.5%ラウリル硫酸ナトリウム(SLS)水溶液中37℃、150rpmで試験した場合、当該組成物中79.4%のフェノフィブラートが15分後に溶解し、84.6%が30分で溶解し、そして85.2%が60分で溶解した。微粉化したフェノフィブラートは、同一の条件で試験した場合、15分で10.7%、30分で20.2%、そして60分で31.6%という相当の結果をもたらした。
【0033】
別の好ましい態様は、約35.1%のフェノフィブラート、約32.5%のPEG1000、そして約32.5%のポロキサマー407を含んで成る。この態様は、900mlの0.5%ラウリル硫酸ナトリウム(SLS)水溶液中37℃で、50rpmで試験した場合、約41.8%のフェノフィブラートが15分で溶解し、84.9%が30分で溶解し、そして91.8%が60分で溶解した。微粉化したフェノフィブラートは、同一の条件で試験した場合、15分で10.7%、30分で20.2%、そして60分で31.6%という相当の結果をもたらした。
【0034】
最も好ましい態様は、約9.9%のフェノフィブラート、約6.6%のPEG1000、約1.0%のドキュセートナトリウム、約6.6%のGelucire(登録商標)33/01及び約9.9%のポロキサマー407を含んで成り、これら全てが重量当たり約66%含まれる固体担体のソルビトール上に吸着されている。この好ましい態様は、カプセルで送達されることもあり、あるいはより好ましくは錠剤の形態にプレスされうる。この態様は、500mlの0.5%ラウリル硫酸ナトリウム(SLS)水溶液中37℃で、50rpmで試験した場合に、18.4%のフェノフィブラートが5分で溶解し、47.2%が10分で溶解し、70.9%が20分で溶解し、そして78.0%が30分で溶解した。本発明のこの観点のこの最も好ましい態様は、イヌにおける、市販のTrichor(登録商標)54mgの微粉化製剤に対してのその薬物動態プロファイルについて、更に試験がなされ(実施例3を参照のこと)、そして活性代謝物であるフェノフィブリン酸のバイオアベイラビリティーが1ミリグラム当たり2倍以上良好であった。
【0035】
本発明の別の観点は、高いトリグリセリドレベルの患者を処置する方法であって、メントールに溶解している、治療上有効量のフェノフィブラートを含んで成るフェノフィブラートの組成物を当該患者に投与することを含んで成る方法を包含する。1つの態様において、この薬物は、カプセル中の粘性溶液として投与される。1つの態様において、このカプセルは、ハードゼラチンカプセル又はそれと同等のものである。好ましい態様において、ハードカプセルは「バンディング」によってシールされる。別の好ましい態様において、前記カプセルは適切な材料のソフトゲルカプセルである。別の好ましい態様において、薬物溶液は、医薬として許容される担体上に吸着され、そして当該薬物はカプセル中粉末として投与され、そして更に別の好ましい態様において、当該粉末は更に錠剤の形態に化合される。この観点において、フェノフィブラートの組成物は1日当たり約5mgのフェノフィブラート〜約50mgのフェノフィブラート、より好ましくは1日当たり約10mg〜約40mgのフェノフィブラート、そして最も好ましくは1日当たり約30〜約35mgのフェノフィブラートのレベルで投与される。
【0036】
本発明の別の観点は、高いトリグリセリドレベルの患者を処置する方法であって、メントールに溶解し、且つ更に少なくとも1つの界面活性剤を含んで成る、治療上有効量のフェノフィブラートを含んで成るフェノフィブラートの組成物を当該患者に投与することを含んで成る方法を包含する。1つの態様において、この薬物は、カプセル中の粘性溶液として投与される。1つの態様において、このカプセルは、ハードゼラチンカプセル又はそれと同等のものである。好ましい態様において、ハードカプセルは「バンディング」によってシールされる。別の好ましい態様において、前記カプセルは適切な材料のソフトゲルカプセルである。別の好ましい態様において、薬物溶液は、医薬として許容される担体上に吸着され、そして当該薬物はカプセル中粉末として投与され、そして更に別の好ましい態様において、当該粉末は更に錠剤の形態に化合される。この観点の態様において、フェノフィブラートの組成物は1日当たり約5mgのフェノフィブラート〜約50mgのフェノフィブラート、より好ましくは1日当たり約10mg〜約40mgのフェノフィブラート、そして最も好ましくは1日当たり約30〜約35mgのフェノフィブラートのレベルで投与される。
【0037】
本発明の別の観点は、高いトリグリセリドレベルの患者を処置する方法であって、PEG1000及びポロキサマー407に溶解している、治療上有効量のフェノフィブラートを含んで成るフェノフィブラートの組成物を当該患者に投与することを含んで成る方法を包含する。1つの態様において、この薬物は、カプセル中の粘性溶液として投与される。1つの態様において、このカプセルは、ハードゼラチンカプセル又はそれと同等のものである。好ましい態様において、ハードカプセルは「バンディング」によってシールされる。別の好ましい態様において、前記カプセルは適切な材料のソフトゲルカプセルである。別の好ましい態様において、薬物溶液は、医薬として許容される担体上に吸着され、そして当該薬物はカプセル中粉末として投与され、そして更に別の好ましい態様において、当該粉末は更に錠剤の形態に化合される。この観点において、フェノフィブラートの組成物は1日当たり約10mgのフェノフィブラート〜約100mgのフェノフィブラート、より好ましくは1日当たり約30mg〜約70mgのフェノフィブラート、そして最も好ましくは1日当たり約65mgのフェノフィブラートのレベルで投与される。
【実施例】
【0038】
実施例1.メントール中のフェノフィブラート製剤
メントールを約60℃に加熱し、同時に攪拌して添加物を添加することで、製剤を調製した。全ての成分が溶解して融解物を形成するまで、この混合物を攪拌した。その後、当該融解物を約50℃に冷却し、フェノフィブラートを添加し、そして溶解するまで攪拌し、当該混合物を室温にまで冷却し、そしてカプセル内に分注した。作られた製剤を、カプセル毎に、表1及び表2に列記する。
【0039】
表1.メントール及びTweenのフェノフィブラート製剤
【表1】

【0040】
2.メントール及びクレモフォールのフェノフィブラート製剤
【表2】

【0041】
前記製剤は、以下の手順を用いて、それらの少量でのin vitro放出特性について、50mlの0.1NのHCl中37℃で試験した:
【0042】
III.器具類(又はそれと同等のもの)
a.
Hanson SR8 Plus Test Station
Hanson Auto Plus Maximiser System Controller
Hanson Auto Plus MultiFill Fraction Collector
を含んで成る自動溶解システム
【0043】
b.
ポンプ−Merck Hitachi L-7100
自動インジェクター−Merck Hitachi L-7200
カラムオーブン−Merck Hitachi L-7300
検出器−Merck Hitachi L-7400
インターフェース−Merck Hitachi D-7000
を含んで成るHPLCシステム。
【0044】
放出試験手順
装置: 6容器アセンブリ、小容量容器及びパドル
媒体: 0.1N HCl、30分
容量: 50ml
攪拌速度: 150RPM
温度: 37C 0.5C
【0045】
0.1NのHCl調製物
8.5mlの37%HClを精製水で1Lにまで希釈する。
【0046】
手順
0.1NのHClを含む各容器に、計量済みのカプセルを1つ据え、そして直ちに前記装置を30分間作動させる。
【0047】
特に断らない限り、3mlの試料を各容器から取り出し、そして直ちにPTFE膜で15及び30分濾過する。
【0048】
IV.解析パラメーター
カラム及び充填材: Hypersil ODS BDS、150×4.6mm、5m
カラム温度: 室温
インジェクター温度: 室温
移動相: 40:60の希リン酸:アセトニトリル
流速: 2.0ml/分
検出器: 286nmのUV
試料/インジェクション量: 10μL
インジェクターの洗浄液: 50:50の水:アセトニトリル
【0049】
絶食状態の胃の条件のモデルとして、小容量を選択した。これらの結果を表3に示す。
【0050】
表3.50mlの0.1N HCl中でのフェノフィブラートのin vitroでの放出
【表3】

【0051】
これらの条件下では、微粉化されたフェノフィブラートは全く分解しなかった。製剤160.16は、このモデルの条件で最良の結果を示した。6個の錠剤についての値の幅は、15分では90.3%〜99.3%、そして30分では74.9%〜94.6%であった。より長い期間でより少ない溶解という偶発的な結果は、推定上の自然発生的に形成したミセル様の構造からメントールが滲み出てきて、その後その材料の一部が沈殿することで生じるようであり、これは溶解に役立つと考えられる。
【0052】
実施例2.界面活性剤混合物中のフェノフィブラート製剤
ポリエチレングリコール(PEG1000)及びポロキサマー407を、攪拌しながら60℃に加熱した。フェノフィブラートを添加し、そして全て溶解するまで攪拌を続けた。融解物をカプセルに分注し、そしてこれを冷却した。
【0053】
表4.PEG及びポロキサマーを含むフェノフィブラート製剤
【表4】

【0054】
USP typeII溶解テスター内で、0.5%SLSを含む900mlの水を37℃で、50rpmで用いて、これらの2つの製剤と未処理の微粉化したフェノフィブラートとを、それらのin vitroでの放出について試験した。この溶液のフェノフィブラート含量はHPLCで上述のように決定した。結果を表5に示す。
【0055】
表5.900mlの0.5%SLS中でのフェノフィブラートの累積放出
【表5】

【0056】
実施例3.イヌにおけるin vivoでの薬理動態
2つの製剤を表6に示すように調製した。MAZ118は実施例1の160.16と同一の製剤である。製剤107.69は、実施例2の製剤のようにPEG1000、ポロキサマー407を基にしたものであり、少量(1%)のドキュセートナトリウム及びソルビトールを担体として添加している。両方の場合とも、フェノフィブラートは製剤中で溶液である。
【0057】
表6.試験で使用する製剤
【表6】

【0058】
MAZ118の製造
二重壁のガラス製反応容器を65℃に加熱した。メントール(EP)を50グラム、Tween80(Uniqema)を170グラム、そしてドキュセートナトリウム(USP)を20グラム当該反応容器に添加した。混合物を200rpmで攪拌して融解溶液を形成させた。フェノフィブラート(CHemagis Ltd.)を20グラム上記融解物に添加し、そして200rpmで攪拌することで完全に溶解した。この溶液を30℃に冷却した。カプセルサイズ「0」を130mg±7mgの融解溶液で充填した。当該溶液を冷却して粘性のある液体にした。当該カプセルは、粘性の液体中にフェノフィブラートを10.5mg±3.9%RSD有することが明らかとなった。
【0059】
107.69の製造
ガラス製の反応容器を65℃に加熱した。Gelucire33/01(Gattefosse)を1.0グラム、PEG1000(NF)を1.0グラム、ポロキサマー407(BASF)を1.5グラム、そしてドキュセートナトリウム(USP)を1.0グラム当該反応容器に添加した。混合物を〜200rpmで攪拌し、融解した溶液を形成させた。フェノフィブラート(CHemagis Ltd.)を1.5グラム上記融解物に添加し、そして〜200rpmで攪拌することで完全に溶解した。融解物にソルビトール(NF)を10.0グラム添加してから、混合物をよく攪拌し、そして冷却した。7mmの直径で100mgの重さの錠剤をそれぞれManestyF3のシングルパンチタブレットプレスにおいてハンドプレスした。各錠剤は9.9mgのフェノフィブラートを有していた。
【0060】
これら2つの製剤のin vitroでの溶解を、製剤160.16と一緒に以下のように実施した:
【0061】
装置: 6容器アセンブリ、装置2/II(Paddle)
媒体: 0.5%SLS、1時間
容量: 500ml
攪拌速度: 50RPM
温度: 37℃±0.5℃
【0062】
試料のフェノフィブラート含量は、上述のようにHPLCで決定した。溶解試験の結果を表7に示す。
【0063】
表7.フェノフィブラートの溶解の累積
【表7】

【0064】
イヌにおけるPT試験
当該試験は、非盲検の無作為な単回投与の3ウェイクロスオーバー比較バイオアベイラビリティー研究として実施した。当該研究は、AUC0-t、AUCinf、Cmax、Tmax及びT1/2をそれぞれの製剤について決定するために設計された。試料のグループを6つのビーグル犬(5匹の雌と1匹の雄。それぞれ約10kg)から構成した。各イヌに3つのうちの1つの処理を施与した。最初の処理、処理Aは、10mgのフェノフィブラート製剤を含むハードゼラチンカプセルMAZ118を投与することから構成され;第二の処理、処理Bは、1x54mgのフェノフィブラート錠剤Trichor(登録商標)(Abbott、Laboratories)を投与することから構成され;そして第三の処理、処理Cは、10mgのフェノフィブラート製剤107.69を含むハードゼラチンカプセルを投与することから構成された。各イヌには、単回経口投与量を10mgの水と一緒に投与した。2週間のウォッシュアウト後、イヌを別の処理にクロスオーバーした。
【0065】
血液試料(4ml)を、投与前、投与後0.5、1、1.5、2、3、4、6、8、及び24時間目にEDTA含有チューブ内に回収した。試料は、LC/MS/MS法を用いて血漿中のフェノフィブリン酸について試験して、5〜100ng/mlの範囲について評価した。
【0066】
結果
2つの試験セッション(A及びC)のそれぞれについての個々の及び平均の薬理学的なパラメーターを、参照のセクション(B)と比較して表8及び9において示す。
【0067】
表8.10mgのMAZ118と54mgのTrichor(登録商標)とを比較するための、血漿中のフェノフィブリン酸についての個々の及び平均の薬理学的なパラメーター
【表8】

【0068】
表9.10mgの製剤107.69と54mgのTrichor(登録商標)とを比較するための、血漿中のフェノフィブリン酸についての個々の及び平均の薬理学的なパラメーター
【表9】

【0069】
表8は、MAZ118についての平均AUC0-tが4923(ng*時間/ml)又は1mg当たり492(ng*時間/ml)であった一方で、Trichor(登録商標)についての平均AUC0-tが1mg当たり5716(ng*時間/ml)又は106(ng*時間/ml)であったことを示す。10mgの製剤のバイオアベイラビリティーは、AUCで表現した場合、54mgのTrichor(登録商標)の86%であった。1ミリグラム当たり、MAZ118試験製剤は4.6倍以上有効であった。最終半減期(t1/2)が算出可能な試料のAUCinfについての相当の値は、MAZ118試験が1ミリグラム当たりTrichor(登録商標)の5.2倍有効であることを示した(1mg当たり121(ng*時間/ml)と比較して630(ng*時間/ml))。個々のAUCinfの比率の平均は、10mgの試験製剤MAZ118が、54mgのTrichor(登録商標)のバイオアベイラビリティーの90%を有していることを示す。MAZ118についての平均Cmaxは、1344.3(ng/ml)又は1ミリグラム当たり134(ng/ml)であり、一方、Trichor(登録商標)についての平均Cmaxは1330.9(ng/ml)又は1ミリグラム当たり24.6(ng/ml)であった。平均Tmaxについての値は類似しており、試験製剤は0.9時間、そして参照のものは0.8時間であった。最終排出半減期は各製剤につき類似しており、試験製剤の場合12.3時間、そしてTrichor(登録商標)参照製剤の場合13.4時間であった。試験製剤MAZ118のばらつきは、CV(%)で表現した場合、AUCのパラメーター及びCmaxのパラメーターの両方とも参照製剤のものよりも低かった。
【0070】
表9は、製剤107.69についての平均AUC0-tが2603(ng*時間/ml)又は1mg当たり260(ng*時間/ml)であった一方で、Trichor(登録商標)についての平均AUC0-tが5716(ng*時間/ml)又は1mg当たり106(ng*時間/ml)であったことを示す。10mgの製剤のバイオアベイラビリティーは、AUCで表現した場合、54mgのTrichor(登録商標)の46%であった。1ミリグラム当たり、107.69試験製剤は2.7倍以上有効であった。最終半減期(t1/2)が算出可能な試料のAUCinfについての相当の値は、107.69試験が1ミリグラム当たりTrichor(登録商標)の5.2倍有効であることを示した(1mg当たり121(ng*時間/ml)と比較して328(ng*時間/ml))。個々のAUCinfの比率の平均は、10mgの試験製剤107.69が、54mgのTrichor(登録商標)のバイオアベイラビリティーの47%を有していることを示す。製剤107.69についての平均Cmaxは、616.2(ng/ml)又は1ミリグラム当たり62(ng/ml)であり、一方、Trichor(登録商標)についての平均Cmaxは1330.9(ng/ml)又は1ミリグラム当たり24.6(ng/ml)であった。平均Tmaxについての値は類似しており、試験製剤は0.6時間、そして参照のものは0.8時間であった。最終排出半減期は各製剤につき類似しており、試験製剤の場合10.9時間、そしてTrichor(登録商標)参照製剤の場合13.4時間であった。試験製剤107.69のばらつきは、CV(%)で表現した場合、測定したPKパラメーターの全てについて、参照製剤のものよりも低かった。
【0071】
結論:
両試験製剤は、1ミリグラム当たりの基準で、参照のものよりもバイオアベイラビリティーが優れていることが示された。フェノフィブラートの可溶化型である製剤107.69は、参照よりも2.5倍バイオアベイラビリティーがあり、メントール及び界面活性剤を含んで成るフェノフィブラートの可溶化型である製剤MAZ118は、1ミリグラムの基準で、参照よりも約5倍バイオアベイラビリティーがあった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フェノフィブラート又は別のフィブラート薬、及び少なくとも1つの医薬品賦形剤を含んで成る組成物であって、(a)ローテーティングブレード法を用いて、150rpmで、0.1NのHClから構成される50mlの溶解媒体中37℃で測定した場合、約15分で少なくとも約80%;又は(b)ローテーティングブレード法を用いて、50rpmで、水と0.5%ラウリル硫酸ナトリウムによって構成された500mlの溶解媒体中37℃で測定した場合、約15分で少なくとも約90%、溶解する、組成物。
【請求項2】
フェノフィブラート又は別のフィブラート薬を含んで成る組成物であって、約10kgの体重のイヌに投与した場合、(a)約10mgの用量で、フェノフィブリン酸の平均AUC0-tが4923(ng*時間/ml)を示し;(b)フェノフィブリン酸の平均AUC0-tが1mg当たり約492(ng*時間/ml)を示し、あるいは(c)約10mgの用量で、フェノフィブリン酸が少なくとも約800ng/mlのCmax及び約1300ng/mlの平均Cmaxを示す、組成物。
【請求項3】
フェノフィブラート又は他のフィブラート薬がメントールと密接に会合している、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
少なくとも1つの界面活性剤を更に含んで成る、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
少なくとも1つの界面活性剤がドキュセートナトリウム及びTween80を含んで成る、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
フェノフィブラート、メントール及び少なくとも1つの界面活性剤を含んで成る、組成物。
【請求項7】
(a)ローテーティングブレード法を用いて、150rpmで、0.1NのHClから構成される50mlの溶解媒体中37℃で測定した場合、約15分で少なくとも約10%;(b)ローテーティングブレード法を用いて、150rpmで、0.1NのHClから構成される50mlの溶解媒体中37℃で測定した場合、約15分で少なくとも約30%;(c)ローテーティングブレード法を用いて、150rpmで、0.1NのHClから構成される50mlの溶解媒体中37℃で測定した場合、約15分で少なくとも約80%;又は(d)ローテーティングブレード法を用いて、150rpmで、0.1NのHClから構成される50mlの溶解媒体中37℃で測定した場合、約15分で少なくとも約10%〜約80%、溶解する、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
密接に会合している、フェノフィブラート、メントール、ドキュセートナトリウム及びTween80を含んで成り、当該フェノフィブラートが少なくとも部分的に前記メントール中に溶解している、請求項6に記載の組成物。
【請求項9】
溶液の形態にある、請求項6〜8のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項10】
医薬として許容される担体上に吸着されている、請求項6〜8のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項11】
医薬として許容される担体が、スクロース、ラクトース、ソルビトール、マンニトール、デンプン、セルロース、微結晶性セルロース及びリン酸カルシウムから選択される、請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
約7.7%のフェノフィブラート、約19.2%のメントール、約7.7%のドキュセートナトリウム、及び約65.4%のTween80を含んで成る、請求項3に記載の組成物。
【請求項13】
フェノフィブラート組成物を調製する方法であって、少なくとも1つの界面活性剤及びフェノフィブラートを、当該フェノフィブラートの少なくとも一部が溶解するまで、融解したメントール中で混合すること、を含んで成る方法。
【請求項14】
前記組成物をカプセル内に分注すること、を更に含んで成る、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
カプセルがハードゼラチンカプセル又は植物起源の同等のカプセルである、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
カプセルが、バンディングによって更にシールされる、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
カプセルがソフトゲルカプセルである、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
メントール融解混合物が、医薬として許容される担体上に更に吸着される、請求項13に記載の組成物。
【請求項19】
医薬として許容される担体が、スクロース、ラクトース、ソルビトール、マンニトール、デンプン、セルロース、微結晶性セルロース、リン酸カルシウム及びそれらの混合物から選択される、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
カプセル内に充填されるか、あるいは更に錠剤へと加工される、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
ポリエチレングリコール及びポロキサマーと密接に会合したフェノフィブラート又は別のフィブラート薬を含んで成る組成物。
【請求項22】
USP typeII溶解テスターを用いて、0.5%ラウリル硫酸ナトリウムを含む900mlの水を用い37℃及び50rpmで測定した場合、約30分で少なくとも80が溶解する、請求項21に記載の組成物。
【請求項23】
ポリエチレングリコールがPEG1000であり、そしてポロキサマーがポロキサマー407である、請求項22に記載の組成物。
【請求項24】
(a)約12.4%のフェノフィブラート、約18.4%のPEG1000、及び約69.1%のポロキサマー407;(b)約35.1%のフェノフィブラート、約32.5%のPEG1000、及び約32.5%のポロキサマー407;又は(c)約9.9%のフェノフィブラート、約6.6%のPEG1000、約1.0%のドキュセートナトリウム、約6.6%のGelucire(登録商標)(33/01)及び約9.9%のポロキサマー407及び約66.0%のソルビトール、を含んで成り、フェノフィブラート、PEG1000、ポロキサマー407、ドキュセートナトリウム及びGelucire(登録商標)が、ソルビトール上に吸着されている、請求項23に記載の組成物。
【請求項25】
約10kgの体重のイヌに対して投与した場合、(a)約10mgの用量で、フェノフィブリン酸の平均AUC0-tが約2604(ng*時間/ml)に達し;(b)1mg当たりのフェノフィブリン酸の平均AUC0-tが260(ng*時間/ml)に達し;又は(c)約10mgの用量で、フェノフィブリン酸のCmaxが少なくとも約400ng/ml、そして平均Cmaxが約600ng/mlに達する、請求項22に記載の組成物。
【請求項26】
患者における高レベルのトリグリセリドを処置する方法であって、請求項1〜12のいずれか1項に記載の組成物を当該患者に投与することを含んで成る方法。
【請求項27】
1日当たり5〜50mgのフェノフィブラートが投与される、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
患者における高レベルのトリグリセリドを処置する方法であって、請求項21〜25のいずれか1項に記載の組成物を当該患者に投与することを含んで成る方法。
【請求項29】
1日当たり10〜100mgのフェノフィブラート量が投与される、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
高レベルのトリグリセリドの処置のための組成物であって、少なくとも1つの界面活性剤、メントール及び治療上有効量のフェノフィブラート又は別のフィブラート薬を含んで成り、フェノフィブラート又はその他のフィブラート薬がメントール中に溶解され、そして当該組成物が500mlの0.5%ラウリル硫酸ナトリウム水溶液中37℃で、50rpmで測定した場合、当該組成物中の少なくとも70%のフェノフィブラート又はその他のフィブラート薬が5分で溶解する、組成物。
【請求項31】
フェノフィブラートとメントールが密接に会合している、請求項6に記載の組成物。
【請求項32】
少なくとも1つの界面活性剤がドキュセートナトリウム及びTween80である、請求項6に記載の組成物。
【請求項33】
約25.2%のフェノフィブラート、約23.4%のメントール、約11.7%のドキュセートナトリウム及び約39.7%のTween80を含んで成る、請求項32に記載の組成物。
【請求項34】
前記組成物が、50mlの0.1N HClという少量の薬物放出試験において37℃、150rpmで試験された場合、当該組成物中の少なくとも約10%のフェノフィブラートが15分後に溶解する、請求項33に記載の組成物。
【請求項35】
約20.5%のフェノフィブラート、約37.9%のメントール、約9.5%のドキュセートナトリウム及び約32.2%のTween80を含んで成る、請求項32に記載の組成物。
【請求項36】
前記組成物が、50mlの0.1N HClという少量の薬物放出試験において37℃、150rpmで試験された場合、当該組成物中の少なくとも約30%のフェノフィブラートが15分後に溶解する、請求項35に記載の組成物。
【請求項37】
約12.4%のフェノフィブラート、約18.4%のメントール、及び約69.1%のTween80を含んで成る、請求項31に記載の組成物。
【請求項38】
前記組成物が、50mlの0.1N HClという少量の薬物放出試験において37℃、150rpmで試験された場合、当該組成物中の少なくとも約10%のフェノフィブラートが15分後に溶解する、請求項37に記載の組成物。
【請求項39】
約12.4%のフェノフィブラート、約18.4%のメントール、及び約69.1%のクレモフォールを含んで成る、請求項31に記載の組成物。
【請求項40】
前記組成物が、50mlの0.1N HClという少量の薬物放出試験において37℃、150rpmで試験された場合、当該組成物中の少なくとも約15%のフェノフィブラートが15分後に溶解する、請求項39に記載の組成物。
【請求項41】
約10.9%のフェノフィブラート、約16.2%のメントール、約8.1%のドキュセートナトリウム、約60.7%のクレモフォール及び約4.0%のグリセリンを含んで成る、請求項31に記載の組成物。
【請求項42】
前記組成物が、50mlの0.1N HClという少量の薬物放出試験において37℃、150rpmで試験された場合、当該組成物中の少なくとも約15%のフェノフィブラートが15分後に溶解する、請求項39に記載の組成物。
【請求項43】
(a)50mlの0.1N HClという少量の薬物放出試験において37℃、150rpmで試験された場合、組成物中の少なくとも約90%のフェノフィブラートが15分で溶解し;(b)500mlの0.5%ラウリル硫酸ナトリウム水溶液中37℃で、50rpmでパドル法により試験した場合、組成物中の少なくとも約75%のフェノフィブラートが5分で溶解し;又は(c)500mlの0.5%ラウリル硫酸ナトリウム水溶液中37℃で、50rpmでパドル法により試験した場合、組成物中の少なくとも約90%のフェノフィブラートが10分で溶解する、請求項12に記載の組成物。
【請求項44】
界面活性剤混合物と密接に会合している、フェノフィブラート又は別のフィブラート薬を含んで成る組成物。

【公表番号】特表2008−534584(P2008−534584A)
【公表日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−504020(P2008−504020)
【出願日】平成17年12月29日(2005.12.29)
【国際出願番号】PCT/US2005/047676
【国際公開番号】WO2006/107357
【国際公開日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【出願人】(501079705)テバ ファーマシューティカル インダストリーズ リミティド (283)
【Fターム(参考)】