説明

フェノールA環に対する複素環式生物学的等価体を含むエストラトリエン誘導体

本発明は、新規のピラゾロ-エストリエン及びトリアゾロ-エストリエン誘導体、それを含む医薬組成物、ならびに、ほてり、膣の乾燥、骨減少症、骨粗しょう症、高脂血症、認知機能の喪失、退行性脳疾患、心血管疾患、脳血管疾患、(女性の乳房、子宮内膜及び子宮頸部ならびに男性の前立腺を含む組織における)ホルモン感受性癌及び過形成、子宮内膜症、子宮筋腫、変形性関節症などのエストロゲン受容体により媒介される疾患及び疾病の治療又は予防での使用、及び、単独で又はプロゲストーゲンもしくはプロゲストーゲンアンタゴニストとの組み合わせのいずれかでの避妊薬としての使用に関する。本発明の化合物は、選択的エストロゲン受容体モジュレータである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規のピラゾロ-エストリエン及びトリアゾロ-エストリエン誘導体、それを含む医薬組成物、ならびに、ほてり、膣の乾燥、骨減少症、骨粗しょう症、高脂血症、認知機能の喪失、退行性脳疾患、心血管疾患、脳血管疾患、(女性の乳房、子宮内膜及び子宮頸部ならびに男性の前立腺を含む組織における)ホルモン感受性癌及び過形成、子宮内膜症、子宮筋腫、変形性関節症などのエストロゲン受容体により媒介される疾患及び疾病の治療又は予防での使用、及び、単独で又はプロゲストーゲンもしくはプロゲストーゲンアンタゴニストとの組み合わせのいずれかでの避妊薬としての使用に関する。本発明の化合物は、選択的エストロゲン受容体モジュレータである。
【背景技術】
【0002】
エストロゲンは生殖過程、及び、子宮、乳房の発達、思春期に関連する他の肉体的変化に欠かせない女性ホルモンの群である。エストロゲンは、女性の身体全体にわたる様々な組織に影響を与え、子宮、胸及び外性器などの生殖過程に関与する組織だけでなく、中枢神経系、骨、肝臓、皮膚及び尿路における組織にも影響を与える。卵巣は、女性の身体中でエストロゲンの大部分を産生する。17β-エストラジオール及びエストロンなどの内因性エストロゲンは、女性の生殖器官、乳腺及び他の性的特徴の発達及び保守において中心的な役割を果たしている。女性性ホルモンとしての役割に加えて、エストロゲンは、女性及び男性の両方において、心血管系、中枢神経系、骨格などの他の多くの組織の成長及び機能に関与している。女性の生殖系の発達におけるエストロゲンの重要性は、避妊剤及び乳癌治療剤などのエストロゲン受容体と相互作用する様々な化合物の開発をもたらした。
【0003】
複合経口避妊薬 (COCP)は性腺刺激ホルモンの開放を抑制することで排卵を阻止するように開発された。COCPを含む複合ホルモン避妊剤は作用の一次機構として卵胞の発達を抑制しそして排卵を阻止する (Trussell, James (2007)。"Contraceptive Efficacy", Hatcher, Robert A.ら: Contraceptive Technology, 19th rev. ed., New York: Ardent Media.; Speroff, Leon; Darney, Philip D. (2005)。"Oral Contraception", A Clinical Guide for Contraception, 4th ed., Philadelphia: Lippincott Williams & Wilkins, pp. 21-138; Loose, Davis S.; Stancel, George M. (2006)。"Estrogens and Progestins"、Brunton, Laurence L.; Lazo, John S.; Parker, Keith L. (eds.): Goodman & Gilman's, The Pharmacological Basis of Therapeutics, 11th ed., New York: McGraw-Hill, pp. 1541-1571; Glasier, Anna (2006)。"Contraception", DeGroot, Leslie J.; Jameson, J. Larry (eds.): Endocrinology, 5th edition, Philadelphia: Elsevier Saunders, pp. 2993-3003; Rivera R, Yacobson I, Grimes D (1999)。"The mechanism of action of hormonal contraceptives and intrauterine contraceptive devices". Am J Obstet Gynecol 181 (5 Pt 1): 1263-9)。
【0004】
プロゲスターゲンネガティブフィードバックは視床下部によって性腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRH)放出のパルス周波数を低減し、卵胞刺激ホルモン(FSH)の放出を減少させ、そして下垂体前葉の黄体形成ホルモン(LH)の放出を大きく減少させる。FSHのレベルが減少されると、卵胞の発育が阻害され、エストラジオールレベルの上昇を阻止する。プロゲスターゲンネガティブフィードバック、及びLH放出に対するエストロゲンポジティブフィードバックの欠如はミッドサイクルLHサージを阻止する。卵胞の発育の抑制及びLHサージの欠如は排卵を阻止する(Trussell, James (2007), "Contraceptive Efficacy", Hatcher, Robert A.ら: Contraceptive Technology, 19th rev. ed., New York: Ardent Media.; Speroff, Leon; Darney, Philip D. (2005)。 "Oral Contraception", A Clinical Guide for Contraception, 4th ed., Philadelphia: Lippincott Williams & Wilkins, pp. 21-138; Loose, Davis S.; Stancel, George M. (2006)。"Estrogens and Progestins", Brunton, Laurence L.; Lazo, John S.; Parker, Keith L. (eds.): Goodman & Gilman's, The Pharmacological Basis of Therapeutics, 11th ed., New York: McGraw-Hill, pp. 1541-1571)。
【0005】
エストロゲンは当初、より良好なサイクル制御のために(子宮内膜を安定させ、それにより、破綻出血の発生率を減少させるために)経口避妊薬に含まれていたが、卵胞の発育を抑制し、排卵を阻止することも発見された。下垂体前葉に対するエストロゲンネガティブフィードバックは、卵胞の発育を阻害し、排卵を阻止するのを助ける、FSHの放出を大幅に減少する (Trussell, James (2007)。"Contraceptive Efficacy", Hatcher, Robert A.,ら: Contraceptive Technology, 19th rev. ed., New York: Ardent Media.; Speroff, Leon; Darney, Philip D. (2005)。"Oral Contraception", A Clinical Guide for Contraception, 4th ed., Philadelphia: Lippincott Williams & Wilkins, pp. 21-138; Loose, Davis S.; Stancel, George M. (2006)。"Estrogens and Progestins", Brunton, Laurence L.; Lazo, John S.; Parker, Keith L. (eds.): Goodman & Gilman's The Pharmacological Basis of Therapeutics, 11th ed., New York: McGraw-Hill, pp. 1541-1571)。
【0006】
経口避妊薬は非常に有効であるが、それらの使用は不快な副作用(悪心、抑うつ、体重増加、頭痛など)及び重篤な疾患(血栓塞栓症、脳卒中、心筋梗塞、肝腺腫、胆嚢疾患及び高血圧)の長期リスクの増加と関連がある。不正出血(たとえば、破綻出血、斑形成及び無月経)も頻繁にある。プロゲスチンは、単独で投与したときに、月経パターンの変化、特に、月経出血の量及び期間の顕著な増加の発生頻度が高める。
【0007】
エストロゲン受容体β(ERβ)はエストロゲン受容体の第二サブタイプとして発見された(Kuiperら(1996), Proc. Natl. Acad. Sci. 93: 5925-5930; Mosselman, Dijkema (1996) Febs Letters 392: 49-53; Tremblayら(1997), Molecular Endocrinology 11: 353-365)。集中的な努力はいくつかの組織中のERα及びERβの分布を調べるためになされている。
【0008】
エストロゲン受容体α(ERα)は視床下部においてGnRHポジティブニューロンにプロジェクトしているニューロンにおいて発現され、そして排卵前LHサージにつながるポジティブエストラジオールフィードバックを媒介するために必要である。一方、下垂体及び視床下部におけるエストロゲン受容体αはLH / FSH分泌の抑制につながるエストラジオールのネガティブフィードバックを媒介するのに関与している。エストロゲン受容体αの活性化は子宮及び視床下部などのいくつかの生殖器官のプロゲステロン受容体の発現の誘導に重要である。言い換えれば、エストロゲン受容体の活性化はプロゲスチン作用の前提条件である。エストロゲン受容体αは子宮におけるエストロゲン応答(上皮細胞増殖の刺激)、乳腺におけるエストロゲン応答(上皮細胞増殖の刺激)、骨におけるエストロゲン応答(骨芽細胞のアポトーシスの阻止)、及び、脳におけるエストロゲン応答(ほてりの防止)を媒介する。複合経口避妊におけるエストロゲン成分の主な役割は、ピルなしの日の間に規則的な出血パターンを維持することである。避妊機能、すなわち、排卵抑制は、主に黄体ホルモン成分によって媒介される。しかし、排卵抑制は若い女性のほてり及び骨量減少の原因となる内因性エストラジオールレベルの抑制につながる。複合経口避妊におけるエストロゲンの添加はこれらの症状を阻止する。また、エストロゲン成分は、プロゲステロン受容体を誘導しそして黄体ホルモン成分の避妊作用を有効にすることが必要である。言い換えれば、エストロゲンを追加することなく、排卵抑制を誘導するためには、はるかに高い用量のプロゲスチンが必要となる。
【0009】
骨粗しょう症、冠動脈疾患、うつ病及びアルツハイマー病などの閉経後疾患の治療及び予防のための選択的エストロゲン受容体モジュレータに集中的な努力が注がれてきた。
【0010】
閉経は卵胞機能の喪失及びエストロゲン産生のほぼ終了による、月経の永久的停止として定義されている。閉経への中年の遷移期は、血管運動、泌尿生殖器、心血管、骨格系及び中枢神経系の短期及び長期の両方での症状、たとえば、ほてり、泌尿生殖器萎縮、心血管疾患の危険性の増加、骨粗しょう症、認知障害及びアルツハイマー(Alzbeimer)病(AD)の危険性の増加などの認知心理学的障害を誘発するエストロゲンの減少を特徴とする。これらのすべての閉経症状はエストロゲンでうまく治療することができる。エストラジオールは、子宮上皮細胞の増殖を刺激し、このように子宮内膜癌の危険を増加させるので、まだ子宮を持っている閉経後女性においてプロゲスチンの添加が必要である。プロゲスチンは、エストラジオール活性化子宮上皮細胞の増殖を抑制する。
【0011】
すべての女性の75%は、身体の発汗、ほてりなどの閉経の開始関連付けられている血管の症状のいくつかの発生を経験する。これらの愁訴は閉経前の数年で開始し、ある女性では明確な誘発要因なく急速に発症し又は比較的に一定の症状で10年より長く続くこともある。
【0012】
膣に関与する閉経の開始に関連付けられる泌尿生殖器の症状としては、萎縮及び狭窄とともに、ドライの感覚、灼熱感、かゆみ、性交時の痛み、表在性出血及び放出が挙げられる。尿路に関与する症状としては排尿時灼熱感、頻繁な尿意、再発性尿路感染症及び尿失禁が挙げられる。これらの症状は閉経に近い時期のすべての女性の最大50%で発生することが報告されており、閉経数年後に、より頻繁である。もし放置しておくと、問題が恒久化されることがある。高齢女性の間では、心臓発作及び脳卒中が罹患及び死亡の主要な原因となっている。これらの病気の女性の罹患率は、閉経後に急速に増加する。早期閉経を経験する女性は同年代の月経女性より冠動脈の危険にさらされている。血清エストロゲンの存在は、血清脂質に正の効果を有する。ホルモンは、血管の拡張を促進し、新しい血管の形成を促進する。このため、閉経後女性における血清エストロゲンレベルの減少は有害な心血管系効果をもたらす。さらに、血液の凝集能力の差異は閉経前と閉経後の心臓病の発生の観察差異を説明することができることが理論付けられる。
【0013】
骨格は骨細胞の間で慎重に調節された相互作用において骨の変性及び再生の継続的なプロセス下にある。これらの細胞は、直接エストロゲンによって影響を受ける。エストロゲンの欠乏は骨構造の損失及び骨強度の低下をもたらす。閉経直後の年の間に骨量が急速に損失すると、閉経後骨粗しょう症及び骨折の危険性が増大する。
【0014】
エストロゲンの欠乏は、また、中枢神経系の退行性変化の原因の一つであり、アルツハイマー病及び認知の低下につながる可能性がある。最近の証拠は、エストロゲン、閉経及び認知の間の関連を示唆している。より具体的には、エストロゲン補充療法及び女性におけるエストロゲンの使用は、アルツハイマー病の発症を予防し、そして認知機能を改善することが報告されている。
【0015】
ホルモン補充療法(HRT) - より具体的にエストロゲン補充療法(ERT) -は、一般的に、閉経に関連付けられている医療上の問題に対処するために処方され、そして予防及び治療の両方で、骨粗しょう症及び一次心血管系合併症(たとえば、冠動脈疾患)を抑制するために処方される。このように、HRTは閉経後女性の平均寿命の延長及び生活の質の向上を提供するための医学療法と考えられている。
【0016】
ERTは、効果的に閉経症状及び泌尿生殖器症状を軽減し、そして閉経後女性の心臓病の予防及び治療に有意な利点を示している。臨床レポートは、ERTは、ERTを使用していない同様の集団に対して、ERTを受けた集団で、心臓発作率及び死亡率が低下していることが示している。閉経直後に開始したERTは、また、数年間の骨量の維持も助けうる。対照調査はERTによる治療が75歳までの高齢女性でも正の効果を有することを示した。
【0017】
しかし、上記のとおり、患者コンプライアンスを減らすERTに関連した数多くの望ましくない影響がある。静脈血栓塞栓症、胆嚢疾患、月経の再開、乳房痛、子宮及び/又は乳がん発症の可能性リスクの増加は、ERTに関連した危険性である。ERTの処方を受けた女性の30%までは処方箋を記入せず、そして中止率は38%〜70%であり、安全性の懸念及び副作用(膨満感及び破綻出血)が中止の最も重要な理由である。
【0018】
WO2004/005314は新規のエストリエノ[3.2-b]/ [3,4 - c]ピロール誘導体、それを含む医薬組成物、ならびに、ほてり、膣の乾燥、骨減少症、骨粗しょう症、高脂血症、認知機能の喪失、退行性脳疾患、心血管疾患、脳血管疾患、(女性の乳房、子宮内膜及び子宮頸部ならびに男性の前立腺を含む組織における)ホルモン感受性癌及び過形成、子宮内膜症、子宮筋腫、変形性関節症などのエストロゲン受容体により媒介される疾患及び疾病の治療又は予防での使用、及び、単独で又はプロゲストーゲンもしくはプロゲストーゲンアンタゴニストとの組み合わせのいずれかでの避妊薬としての使用を記載している。請求された化合物は、選択的エストロゲン受容体モジュレータであるが、比較的に弱いエストロゲン受容体リガンドである。
【0019】
WO2007/089291は、特に、必要がある哺乳動物のエストロゲン受容体調節効果を引き出すために、エストロゲン機能に関連する様々な病状を治療し又は予防するために有用な非ステロイド系ピラゾール誘導体を開示している。記載された化合物も比較的弱いエストロゲン受容体アゴニストである。
【0020】
複合避妊薬では、エチニルエストラジオールは現在の市場標準である。しかし、エチニルエストラジオールの投与は静脈血栓塞栓症の危険性及び生物学的利用率の個体間及び個体内の変動性が大きいことに関する危険性に関与している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
それゆえ、本発明の目的はエストロゲン受容体アゴニストであるさらなる化合物を提供することである。これらの化合物はエチニルエストラジオールに少なくとも匹敵する経口生体利用能を有するべきである。
【課題を解決するための手段】
【0022】
その目的は、一般式(I)
【化1】

【0023】
(上式中、X は窒素及びCRaからなる群より選ばれ、 ここで、Ra は水素、C1-3-アルキル基、CpF2p+1 基であり、p = 1〜3であり、
R2 は水素原子、ハロゲン原子、C1-3-アルキル基又はトリフルオロメチル基であり、
R11 は水素、ハロゲン、C1-3-アルキル、 C2-3-アルケニル、C2-3-アルキニル及びC1-3-アルコキシからなる群より選ばれ、
R16 は水素、ヒドロキシル、ハロゲン、C1-3-アルキル、C2-3-アルケニル、C2-3-アルキニル及びトリフルオロメチルからなる群より選ばれ、
R17a 及びR17b は水素原子、ヒドロキシル基、場合により置換されたC1-3-アルキル基、場合により置換されたC2-3-アルケニル基、場合により置換されたC2-3-アルキニル基、ハロゲン原子、基-OCORbであり、 ここで、
Rb は基-(CH2)nCOOH(n = 2又は3)であり、又は、C1-5-アルキル基であり、ただし、もしR17a がヒドロキシル基であるならば、R17b は水素原子、場合により置換されたC1-3-アルキル基、場合により置換されたC2-3-アルケニル基又は基-OCORb であり、Rb の定義は上記のとおりであり、及びその逆も同様であり、又は、
R17a 及びR17b は一緒になって酸素原子を表し、そして
R18 は水素原子又はメチル基である)の化合物又はその医薬上許容される塩を提供することにより本発明によって達成される。
【図面の簡単な説明】
【0024】
(原文記載なし)
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明に係る化合物はエチニルエストラジオールに匹敵する経口生体利用能を示す。さらに、本発明の化合物は、また、現在の市場標準であるエチニルエストラジオールと比較してかなり低められた肝エストロゲン性を示す。好ましくは、本発明に係る化合物はエチニルエストラジオール及びエストラジオールと同様に、子宮、骨及び脳ならびに乳房におけるエストロゲン受容体(ER)に対する作動薬活性を示す。それゆえ、そのような化合物は経口避妊に適する。それゆえ、単独又は追加の活性成分との組み合わせでの本発明の化合物の避妊のための使用は本発明の一実施形態である。子宮におけるER作動薬活性は避妊法に望ましい十分な出血制御を可能とする。骨及びER作動薬活性は複合経口避妊薬を取っている若年女性の骨の損失及びほてりを予防するために好ましい。さらに、本発明の化合物は全身エストロゲンレベルの減少の治療及び予防に適する。好ましくは、本発明に係る化合物はERTに適し、特に、血管障害、泌尿生殖器障害及び認知障害の治療及び予防に適する。
【0026】
本発明の例は、式(I)で記載した少なくとも1種の化合物、及び、場合により、少なくとも1種の医薬上適切な賦形剤及び/又はキャリアを含む医薬組成物である。本発明のさらなる実施形態は、一般式Iの化合物、及び、場合により、少なくとも1種の追加の活性成分を含む医薬組成物である。本発明によれば、追加の活性成分は、SERM(選択的エストロゲン受容体モジュレータ)又はSERD(選択的エストロゲン受容体脱安定剤)又はプロゲストーゲンである。
【0027】
本発明の例は、上記のいずれかの化合物及び医薬上許容されるキャリアを混合することにより製造される医薬組成物である。上記のいずれかの化合物及び医薬上許容されるキャリアを混合することを含む医薬組成物の製造方法は本発明を例示する。治療を必要とする対象において1種以上のエストロゲン受容体によって媒介される疾病を治療する方法であって、対象に対して治療有効量の上記の化合物又は上記の組成物のいずれかを投与することを含む、方法は本発明を例示する。
【0028】
本明細書中に記載された化合物のいずれかの有効量ととともに、プロゲストーゲンを用いた共用治療を、それを必要とする対象に課すことを含む避妊法は本発明を例示する。このような共用治療に有用であるプロゲストーゲンは、プロゲステロン、トリメゲストン、メドロキシプロゲステロンアセテート、メゲストロールアセテート、シプロテロンアセテート、クロルマジノンアセテート、ネストロン、レボノルゲストレル、ノルゲスチメート、デソゲストレル、エトノゲストレル(3 -ケトデソゲストレル)、ノメゲストロールアセテート(NOMAC)、ノルエチステロンアセテート、(NETA)、ドロスピレノン、ゲストデン、ジエノゲスト、ノルエチンドロンアセテート、ダナゾール、ノルゲストレル及びタナプロゲトである。
【0029】
本発明の別の例は、必要とする対象において:(a)ほてり、(b)膣の乾燥、(c)骨減少症、(d)骨粗しょう症、(e)高脂血症、(f)認知機能の喪失、(g)退行性脳障害、(h)心血管疾患、(i)脳血管疾患、(j)乳がん、(k)子宮内膜がん、(I)子宮頸がん、(m)前立腺がん、(n)良性前立腺肥大症、(o)子宮内膜症、(p)子宮筋腫、(q)変形性関節症の治療、及び(r)避妊のための医薬の調製における、本明細書中に記載された化合物のいずれかの使用である。これらの適用症については、本発明に係る化合物は、あらゆる所与の選択的エストロゲン受容体脱安定剤(SERD)又は選択的エストロゲン受容体モジュレータ(SERM)又はプロゲストーゲンと組み合わせて、同様に使用できる。
【0030】
この関連して、本発明に係る化合物との組み合わせのために適切なのは、たとえば、下記のものである:フルベストラント、及び、WO98/007740、WO03/045971及びWO01/00652(SERD)において請求された化合物、タモキシフェン、ラロキシフェン、バゼドキシフェン、アルゾキシフェン、ラソフォキシフェン、クロミフェン、オルメロキシフェン、レボルメロキシフェン、トレミフェン、オスペミフェン、TAS-108、PSK- 3471、CHF-4227、GSK-2329802、LY-2066948及び、WO01/68634及びWO03/033461において請求された化合物(SERM)、ならびに、プロゲステロン、トリメゲストン、メドロキシプロゲステロンアセテート、メゲストロールアセテート、シプロテロンアセテート、クロルマジノンアセテート、ネストロン、レボノルゲストレル、ノルゲスチメート、デソゲストレル、エトノゲストレル(3-ケトデソゲストレル)、ノメゲストロールアセテート(NOMAC)、ノルエチステロンアセテート(NETA)、ドロスピレノン、ゲストデン、ジエノゲスト、ノルエチンドロンアセテート、ダナゾール、ノルゲストレル、及び、タナプロゲト(プロゲストーゲン)。
【0031】
本発明は好ましくは式(I)
【化2】

(上式中、X, R2, R11, R16, R17a 及びR17b は本明細書中に規定されるとおりである)の化合物に関する。
【0032】
上述したとおり、本発明の化合物は、エストロゲン受容体αのモジュレータであり、そしてそれゆえ、エストロゲン欠乏に関連した疾患(たとえば、限定されないが、ほてり、膣の乾燥、骨減少症、骨粗しょう症、高脂血症、認知機能の喪失、退行性脳疾患、心血管疾患及び脳血管疾患を含む)の治療及び予防、(女性の乳房、子宮内膜及び子宮頸部ならびに男性の前立腺を含む組織における)ホルモン感受性のがん及び過形成の治療、子宮内膜症、子宮筋腫及び変形性関節症の治療及び予防に有用である。
【0033】
本発明の化合物は、単独又はプロゲストーゲンとの組み合わせのいずれかで避妊剤として特に適している。有用なプロゲストーゲンの例は上記に記載されている。
【0034】
一般式(I)の本発明に係る化合物の基として規定される置換基は、それぞれの場合で各々下記の意味を有する。
【0035】
C1-3 -及びC1-5アルキル基は、枝分かれなしの、又は、場合により枝分かれしているアルキル基を意味する。その例はメチル、エチル、n -プロピル、イソプロピル、n -、イソ、tert -ブチル、n -ペンチル、2,2 - ジメチルプロピル、3 - メチルブチル基である。
【0036】
R17a及びRbの意味では、メチル基が好ましい。
R17aの意味では、場合により置換されたC1-3アルキル基はメチル、エチル、プロピル及びイソプロピルを意味する。
【0037】
アルケニルは、枝分かれなしの、又は、場合により枝分かれしているアルケニル基を意味する。本発明の関係では、C2-3 アルケニル基の意味の例は、ビニル、プロペニル及びアリルである。ビニル基は好ましい。
【0038】
アルキニルは、枝分かれなしの、又は、場合により枝分かれしているアルキニル基を意味する。C2-3アルキニル基は、たとえば、エチニル、プロピニルであるが、好ましくはエチニル基であることが意図される。
【0039】
CpF2p+1の意味では、部分的に又は完全にフッ素化されたC1-3フルオロアルキル基は適切であり、特にトリフルオロメチル基は適切である。
【0040】
ハロゲン原子は、フッ素、塩素、臭素又はヨウ素原子であることができる。フッ素がここでは好ましい。
【0041】
本発明の化合物については、各R11、ならびにR16置換基はα-又はβ-配置であってよい。
【0042】
複合経口避妊については、本明細書中に記載されたいずれかの化合物は、プロゲストーゲン、たとえば、プロゲステロン、トリメゲストン、メドロキシプロゲステロンアセテート、メゲストロールアセテート、シプロテロンアセテート、クロルマジノンアセテート、ネストロン、レボノルゲストレル、ノルゲスチメート、デソゲストレル、エトノゲストレル(3-ケトデソゲストレル)、ノメゲストロールアセテート(NOMAC)、ノルエチステロンアセテート(NETA)、ドロスピレノン、ゲストデン、ジエノゲスト、ノルエチンドロンアセテート、ダナゾール、ノルゲストレル、及び、タナプロゲトと組み合わされなければならない。
【0043】
本明細書中で使用されるときに、用語「エストロゲン受容体βによち調整され又は媒介される疾患又は障害」は、エストロゲン受容体αにより媒介される任意の疾患又は障害、エストロゲン受容体βによって媒介される任意の疾患又は障害、あるいは、エストロゲン受容体α及びβの両方によって媒介される任意の疾患又は障害を意味する。たとえば、ほてり、膣の乾燥、骨減少症、骨粗しょう症、高脂質血症、認知機能の喪失、退行性脳障害、心血管疾患、脳血管疾患、乳がん、子宮内膜がん、子宮頸がん、前立腺がん、良性前立腺肥大症(BPH)、子宮内膜症、子宮筋腫、変形性関節症及び避妊。
【0044】
本明細書中で使用されるときに、用語「退行性脳疾患」は、認知障害、認知症(根本的な原因に係わらず)及びアルツハイマー病を含むものとする。本明細書中で使用されるときに、用語「心血管疾患」は、血中脂質レベルの上昇、冠状動脈硬化及び冠状動脈性心臓病を含むものとする。
【0045】
本明細書中で使用されるときに、用語「脳血管疾患」は、異常局所脳血流量及び虚血性脳損傷を含むものとする。
【0046】
本明細書中で使用されるときに、用語「対象」とは、治療、観察又は実験の対象となっている、動物、好ましくは哺乳動物、最も好ましくは、ヒトを指す。本明細書中に使用されるときに、用語「治療有効量」とは、研究者、獣医、医師又はその他の臨床医によって求められている組織系、動物又はヒトにおける生物学的又は医学的応答を誘発する活性化合物又は医薬剤の量を意味し、かかる応答には、治療している疾患もしくは障害の症状の緩和が含まれる。本発明が式(I)の1種以上の化合物及びプロゲストーゲンの投与を含む共用治療に関する場合に、「治療有効量」とは、組み合わせ効果が生物学的又は医学的応答を誘発するような組み合わせ薬剤の量を意味する。たとえば、式(I)の化合物及びプロゲストーゲン又はSERM又はSERDの投与を含む共用治療の治療有効量は、一緒に又は逐次的に取った際に、治療有効である組み合わせ効果を有する式(I)の化合物の量及びプロゲストーゲン、SERM又はSERDの量であろう。さらに、上記の例におけるような治療有効量での共用治療の場合には、式Iの化合物の量、及び/又は、プロゲストーゲン又はSERM又はSERDの量が、個別には、治療有効であっても又は治療有効量でなくてもよいことが当業者に認識されるであろう。
【0047】
本明細書中で使用されるときに、用語「共用治療」は、プロゲストーゲン又はSERM又はSERDとともに、1種以上の式(I)の化合物を投与することによる、必要とする対象の治療を意味し、ここで、式(I)の化合物及びプロゲストーゲン又はSERM又はSERDは任意の適切な手段により、同時に、順次に、別々に、又は、単一の医薬製剤で投与される。式(I)の化合物、及び、プロゲストーゲン又はSERM又はSERDが別々の投与形態で投与される場合には、各化合物の1日当たりに投与される服用回数は同一であっても又は異なっていてもよい。式(I)の化合物、プロゲストーゲン又はSERM又はSERD は、同一の投与経路又は別の経路を介して投与することができる。投与の適切な方法の例としては、限定されるわけではないが、経口、静脈内(iv)、筋肉内(im)、皮下(sc.)、経皮及び直腸投与が挙げられる。神経系に直接投与することもできる化合物は、限定するわけではないが、ポンプデバイスを用い又は用いない、頭蓋内もしくは脊髄内針及び/又はカテーテルを介したデリバリーである、脳内、室内、脳室内、髄腔内、大槽内、脊柱及び/又は脊柱周囲経路が挙げられる。式(I)の化合物及びプロゲストーゲン又はSERM又はSERDは、治療の期間に同時に又は異なる時刻に、同時又は交互に投与し、又は、分割形態又は単一形態で同時に投与されることができる。
【0048】
本明細書中に使用されるときに、用語「組成物」は、特定の量の特定の成分を含む製品、ならびに、特定の量の特定の成分の組み合わせ物から直接又は間接的に得られる任意の製品を包含することが意図される。
【0049】
薬における使用では、本発明の化合物の塩は無毒性の「医薬上許容される塩」を指す。しかしながら、他の塩は、本発明に係る化合物又はその医薬上許容される塩の調製に有用なことがある。上記の化合物の適切な医薬上許容される塩としては、たとえば、塩酸、硫酸、フマル酸、マレイン酸、コハク酸、酢酸、安息香酸、クエン酸、酒石酸、炭酸又はリン酸などの医薬上許容される酸の溶液と、上記の化合物の溶液を混合することにより形成することができる酸付加塩が挙げられる。さらに、本発明の化合物が酸性部分を有する場合には、その化合物の適切な医薬上許容される塩は、たとえば、ナトリウム又はカリウム塩などのアルカリ金属塩、カルシウム又はマグネシウム塩などのアルカリ土類金属塩、第四級アンモニウム塩などの適切な有機リガンドとともに形成される塩が挙げられる。このように、代表的な医薬上許容される塩としては下記のものが挙げられる:酢酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、重炭酸塩、重硫酸塩、重酒石酸塩、ホウ酸塩、臭化物、エデト酸カルシウム塩、カンシル酸塩、炭酸塩、塩化物、クラブラン酸塩、クエン酸塩、ジヒドロクロリド、エデト酸塩、エジシル酸塩、エストラート(estolate)、エシラート(esylate)、フマル酸塩、グルセプト酸塩、グルコン酸塩、グルタミン酸塩、グリコリルアルサニル酸塩、ヘキシルレゾルシン酸塩(hexylresorcinate)、ヒドラバミン、臭化水素酸塩、塩酸塩、ヒドロキシナフトエ酸塩、ヨウ化物、イソチオン酸塩、乳酸塩、ラクトビオン酸塩、ラウリン酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マンデル酸塩、メシラート、メチルブロミド、メチル硝酸塩、メチル硫酸塩、ムケート(mucate)、ナプシラート(napsylate)、硝酸塩、N−メチルグルカミンアンモニウム塩、オレイン酸塩、パモ酸塩(エンボナート)、パルミチン酸塩、パントテン酸塩、リン酸塩/二リン酸塩、ポリガラクツロン酸塩、サリチル酸塩、ステアリン酸塩、硫酸塩、塩基性酢酸塩、コハク酸塩、タンニン酸塩、酒石酸塩、テオクル酸塩、トシラート、トリエチオジド及び吉草酸塩。
【0050】
本発明の実施形態において、R17a は水素、場合により置換されたC1-3-アルキル基、場合より置換されたC2-3-アルケニル基、場合により置換されたC2-3-アルキニル基からなる群より選ばれ、ここで、R17b はヒドロキシル、フッ素、-OCORb からなる群より選ばれ、Rb は上述のとおりである。
【0051】
C1-3-アルキル、C2-3-アルケニル及びC2-3-アルキニル基のための適切な置換基はヒドロキシル基、フッ素又は基ORであり、ここで、RはC1-3-アルキル基である。
【0052】
本発明の実施形態において、R16 は水素、ヒドロキシル及びフッ素からなる群より選ばれる。
【0053】
本発明の実施形態において、R18 は水素原子である。
【0054】
本発明の実施形態において、XはCRa を表し、ここで、Ra は上記のとおりである。
【0055】
本発明の別の実施形態において、Ra は水素原子、トリフルオロメチル基又はメチル基を表す。
【0056】
本発明の別の実施形態において、R17a は水素、メチル、トリフルオロメチル、ビニル及びエチニルからなる群より選ばれる。
【0057】
本発明の別の実施形態において、R17a はヒドロキシル基又はフッ素原子である。
【0058】
本発明のさらなる実施形態において、R11 は水素原子、フッ素原子、ヒドロキシル 基又はメトキシ基である。
【0059】
本発明のさらなる実施形態において、R2 は水素原子、フッ素原子又はトリフルオロメチル基である。
【0060】
本発明のさらなる実施形態において、R16 はヒドロキシル基であり、R17a は水素原子 であり、そしてR17b はフッ素原子である。
【0061】
本発明のさらなる実施形態において、R17b はヒドロキシル基であり、R17a は水素原子、ビニル、エチニル、メチル又はトリフルオロメチル基であり、R16 は水素又はフッ素 原子又はヒドロキシル基である。
【0062】
下記の化合物及びその使用は本発明により好ましい:
2’H-ピラゾロ[3’,4’:3,4]エストラ-1,3,5(10)-トリエン-17β-オール、
17α-メチル-2’H-ピラゾロ[3’,4’:3,4]エストラ-1,3,5(10)-トリエン-17β-オール、
17α-エチル-2’H-ピラゾロ[3’,4’:3,4]エストラ-1,3,5(10)-トリエン-17β-オール、
17α-プロピル-2’H-ピラゾロ[3’,4’:3,4]エストラ-1,3,5(10)-トリエン-17β-オール、
17α-ビニル-2’H-ピラゾロ[3’,4’:3,4]エストラ-1,3,5(10)-トリエン-17β-オール、
17α-エチニル-2’H-ピラゾロ[3’,4’:3,4]エストラ-1,3,5(10)-トリエン-17β-オール、
2’H-ピラゾロ[3’,4’:3,4]エストラ-1,3,5(10)-トリエン-17-オン、
2-フルオロ-2’H-ピラゾロ[3’,4’:3,4]エストラ-1,3,5(10)-トリエン-17β-オール、
2-フルオロ-17α-メチル-2’H-ピラゾロ[3’,4’:3,4]エストラ-1,3,5(10)-トリエン-17β-オール、
17α-エチル-2-フルオロ-2’H-ピラゾロ[3’,4’:3,4]エストラ-1,3,5(10)-トリエン-17β-オール、
2-フルオロ-17α-プロピル-2’H-ピラゾロ[3’,4’:3,4]エストラ-1,3,5(10)-トリエン-17β-オール、
2-フルオロ-17α-ビニル-2’H-ピラゾロ[3’,4’:3,4]エストラ-1,3,5(10)-トリエン-17β-オール、
17α-エチニル-2-フルオロ-2’H-ピラゾロ[3’,4’:3,4]エストラ-1,3,5(10)-トリエン-17β-オール、
11β -フルオロ-2’H-ピラゾロ[3’,4’:3,4]エストラ-1,3,5(10)-トリエン-17β-オール、
11β -フルオロ-17α-メチル-2’H-ピラゾロ[3’,4’:3,4]エストラ-1,3,5(10)-トリエン-17β-オール、
17α-エチル-11β -フルオロ-2’H-ピラゾロ[3’,4’:3,4]エストラ-1,3,5(10)-トリエン-17β-オール、
11β -フルオロ-17α-プロピル-2’H-ピラゾロ[3’,4’:3,4]エストラ-1,3,5(10)-トリエン-17β-オール、
11β -フルオロ-17α-ビニル-2’H-ピラゾロ[3’,4’:3,4]エストラ-1,3,5(10)-トリエン-17β-オール、
17α-エチニル-11β-フルオロ-2’H-ピラゾロ[3’,4’:3,4]エストラ-1,3,5(10)-トリエン-17β-オール、
5’-メチル-2’H-ピラゾロ[3’,4’:3,4]エストラ-1,3,5(10)-トリエン-17β-オール、
5’,17-ジメチル-2’H-ピラゾロ[3’,4’:3,4]エストラ-1,3,5(10)-トリエン-17β-オール、
2-フルオロ-5’,17-ジメチル-2’H-ピラゾロ[3’,4’:3,4]エストラ-1,3,5(10)-トリエン-17β-オール、
2-フルオロ-5’-メチル-2’H-ピラゾロ[3’,4’:3,4]エストラ-1,3,5(10)-トリエン-17β-オール、
17α-アリル-2’H-ピラゾロ[3’,4’:3,4]エストラ-1,3,5(10)-トリエン-17β-オール、
17α-(プロプ-1-イニル)-2’H-ピラゾロ[3’,4’:3,4]エストラ-1,3,5(10)-トリエン-17β-オール、
17α-トリフルオロメチル-2’H-ピラゾロ[3’,4’:3,4]エストラ-1,3,5(10)-トリエン-17β-オール、
17α-ペンタフルオロエチル-2’H-ピラゾロ[3’,4’:3,4]エストラ-1,3,5(10)-トリエン-17β-オール、
3’H-トリアゾロ[4’,5’:3,4]エストラ-1,3,5(10)-トリエン-17-オン、
3’H-トリアゾロ[4’,5’:3,4]エストラ-1,3,5(10)-トリエン-17β-オール。
【0063】
上記化合物は、さらにジアステレオ異性体として存在してよい。すべてのこのような異性体及びその混合物は、本発明の範囲に包含されることが理解されるべきである。
【0064】
さらに、上記化合物の結晶形のいくつかは多形として存在することがあり、それ自体は本発明に含まれることが意図される。
【0065】
また、上記化合物のいくつかは、水と溶媒和物を形成し(すなわち、水和物)又は一般的な有機溶媒と溶媒和物を形成することがあり、このような溶媒和物も本発明の範囲に包含されることが意図される。
【0066】
本発明に係る化合物の製造方法が立体異性体の混合物を生じさせる場合には、これらの異性体は、分取クロマトグラフィーなどの従来の技術によって分離することができる。
【0067】
上記化合物はラセミ体として調製でき、又は、個々のエナンチオマーはエナンチオ選択的合成又は分割(resolution)のいずれかによって調製することができる。化合物は、たとえば、(-) - ジ- p -トルオイル- D -酒石酸及び/又は(+) - ジ- p -トルオイル- L -酒石酸など、光学活性酸との塩形成によるジアステレオマー対の生成、次いで、分別結晶化及び遊離塩基の再生などの標準的な技術により、その成分エナンチオマーに分割されうる。化合物は、また、ジアステレオマーエステル又はアミドを形成し、次いで、クロマトグラフィー分離及びキラル助剤の除去により分割されてもよい。又は、化合物は、キラルHPLCカラムを使用して分割されうる。
【0068】
本発明の化合物の製造方法の間に、関与している分子のいずれかに対して感受性であるか又は反応性である基を保護することが必要及び/又は望ましいことがある。このことは、従来の保護基によって達成されうる。たとえば、かかる保護基はProtective Groups in Organic Chemistry, ed. J.F.W. McOmie, Plenum Press, 1973; 及びT.W. Greene & P.G.M. Wuts, Protective Groups in Organic Synthesis, John Wiley & Sons, 1991に記載されているとおりである。保護基は当該技術分野で知られている方法を使用して便利な後続工程で除去することができる。
【0069】
本発明は、本発明の化合物のプロドラッグをその範囲に含む。一般に、このようなプロドラッグは、容易に生体内で必要な化合物に転化されうる化合物の機能性誘導体であろう。したがって、本発明の治療方法において、用語「投与」とは、具体的に開示された化合物、又は、具体的に開示されないが、患者への投与後に生体内で特定の化合物へ転化する化合物を用いた、記載の様々な疾患の治療を包含するものとする。適切なプロドラッグ誘導体の選択及び調製のための従来の手順は、たとえば、"Design of Prodrugs", ed. H. Bundgaard, Elsevier, 1985に記載されている。エストロゲン受容体により媒介される疾患を治療するための本発明の化合物の利用性は以下の手順によって決定されうる。
【0070】
本発明に係る化合物の生物学的特性
エストロゲン受容体結合に関する研究
エストロゲン受容体αへの結合
このアッセイは、放射活性標識エストラジオールによる競合実験を使用して、ツール化合物のエストロゲン受容体α体(ERα)への結合をモニターする。結合アッセイに用いるERαタンパク質はいずれかのヒトのERαをエンコーディングする組換えバキュロウイルスで形質移入したHi5細胞の細胞質画分から精製した。細胞質画分のアリコートを-80℃で保存し、5〜7mg/mlのタンパク質濃度を有した(BCA法で決定)。結合アッセイは、円錐状ウェルを含むグレイナー(Greiner)マイクロタイタープレート中で行われた。5μlの試験化合物(10%DMSOに溶解した種々の濃度)を、アッセイ緩衝液(10mMのTRIS/HCl pH7.4、1.5 mMのEDTA、10%グリセロール)中の15μlの16.66 nMの3H -エストラジオール([2,4,6,7 - 3H(N)エストラジオール、70〜115Ci/mmol, NEN)と混合した。30μlの細胞質を添加し、ウェルあたり50μlの最終体積とした。最終的なタンパク質濃度は50〜200μg/ウェルであり、最終の低温エストラジオール又はツール化合物の濃度は0.3 nM〜1μMの範囲であった。すべてのサンプルを重複して試験した。非特異的結合は10μMの低温エストラジオールの存在下で決定した。総結合量は低温エストラジオール又は試験化合物の非存在下で測定した。放射活性標識エストラジオールの存在下でのエストラジオール又はツール化合物の種々の濃度のERαでのインキュベーションを室温で1時間行った。その後、45μlのインキュベーション混合物を、50μl/ウェルの低温チャコール懸濁液(2%チャコール、10mMのTRIS/HCl pH7.4中0.2%デキストランT70、1.5 mMのEDTA、15%グリセロール)を予備装填したマイクロタイターろ過プレート(EVENTプレート、0.2μmの細孔、Eppendorfによる低タンパク質結合フィルタ)に移し、非受容体結合放射活性物質に結合させた。混合物を真空ポンプを使用してピコプレート中へとろ過し、タンパク質結合したエストラジオールを未結合の放射活性エストラジオールから分離した。タンパク質結合した放射活性はトップカウント(TopCount)シンチレーションカウンタを使用して、各ウェルに200μlのMicroszint - 40(Canberra Packard)を添加することにより測定した。用量応答曲線が生成され、エストラジオール及び試験化合物のIC50値を計算した。さらに、試験化合物のIC50値を対照(すなわち、エストラジオール)のIC50値で割ることによって、KF値を決定した。定義によると、エストラジオールのKF値は1である。
【0071】
U2OS細胞のトランス活性化アッセイ
ERαに対する試験化合物のトランス活性化特性を分析するために、ERα 及びエストロゲン応答性ルシフェラーゼレポータープラスミド、すなわち、Wesslerらにより J Steroid Biochem Mol Biol. (2006), 98(1):25-35に以前にも記載されたとおりのp(ERE)2-luc+により一時的に形質移入したU2OS細胞(ヒト骨肉腫細胞株)を用いた。細胞を少なくとも24時間血清不足にし、そして、5%のチャコール処理済血清、4mMのグルタミン、100 U / mlのペニシリン及び100μg/ mlのストレプトマイシンを含むフェノールレッド不含DMEM中、10000細胞/ウェルの密度で96ウェルプレートに播種した。細胞を播種した6時間後に、製造者の指示に従ってFuGENE6を用いてルシフェラーゼレポータープラスミド及び適切なヒトエストロゲン受容体によって一晩、細胞を一時的に形質移入させた。次の日、培地を取り出し、5%チャコール処理済を含む180μlのDMEMを細胞に添加した。
試験化合物及びエストラジオールの一連の希釈物を、10-7〜10-12Mの範囲で1%DMSO中で調製した。20μlのこれらの希釈物を細胞に24時間添加し、最終濃度が10-8〜10-13Mのエストラジオール又は試験化合物をそれぞれ得た。ビヒクル又は試験化合物のいずれかにより細胞を刺激した後に、培地をアスピレートし、そして30μlの1×溶解試薬(Lysis Reagent)(Promega E1531)により細胞を室温で30分間溶解させた。次に、30μlのルシフェラーゼ基質A(PharMingen 556867)及び30μlのルシフェラーゼ基質B(PharMOngen 556869)を添加した。プレートをルシノメータ(DYNATECH)中で測定した。用量応答曲線を生成させ、σプロットを用いてED50値を計算した。
【0072】
安定的に形質移入したMCF - 7細胞におけるトランス活性化アッセイ(MVLNアッセイ)
第二細胞系(second cellular system)における多様なツール化合物によるERαの活性化を分析するために、ERαを内因性発現しそしてエストロゲン応答性ビテロゲニン-tk -ルシフェラーゼレポータープラスミドで安定的に形質移入したMCF - 7細胞を使用した。細胞は5%チャコール処理済み血清、4mMグルタミン、100 U / mlペニシリン及び100μg/ mlストレプトマイシンを含む、フェノールレッド不含DMEM中で少なくとも3日間飢餓状態にした。6000個の細胞を、384のウェルプレート上、25μl培地/ウェルに播種し、ビヒクル、エストラジオール又は試験化合物(10-6〜10-13Mとしての濃度範囲)により24時間刺激した。ルシフェラーゼ活性をトップカウント(TopCount)で25μlの定常-Gloの添加後に測定した。用量反応曲線を生成し、そしてEC50値をσプロットを用いて計算した。
【0073】
ヒト子宮内膜イシカワ細胞におけるアルカリホスファターゼの誘導
アルカリホスファターゼは、正常子宮上皮、及び、イシカワ細胞などの子宮内膜由来のがん細胞におけるエストロゲン標的遺伝子である。エストラジオール又は試験化合物によるアルカリホスファターゼ活性の誘導は、これらの細胞の内因性発現ERαに対する試験化合物の生体内効力を評価するために使用することができる。イシカワ細胞(細胞培養のヨーロッパコレクションから)を、5%FCS、4mMグルタミン、1%非必須アミノ酸、100 U / mlペニシリン及び100μg / mlストレプトマイシンを含むフェノールレッド不含MEM中に維持した。試験前に、5%チャコール処理済み血清FCSを含む、フェノールレッド不含DMEM中で細胞を72時間飢餓状態にした。ビヒクル又は試験化合物を、10-7〜10-13Mの範囲を網羅する様々な濃度で培地に添加した。細胞を72時間インキュベートする。第3日目に、培地を取り出し、細胞を50μlのPBSで2回洗浄し、その後、-80℃で20分間凍結した。10分間、室温で解凍した後、細胞を、100μlの 1工程PNPP試薬(Pierce)とともにインキュベートし、室温で1.5時間インキュベートした。ポーラースターオプティマ(Polarstar Optima)を用いて外径を405 nmと測定した。用量反応曲線を生成し、そしてED50の値をσプロットを用いて計算した。
【0074】
生体内での子宮の成長の刺激
1つの伝統的なERα-媒介生体内作用は卵巣摘出した動物の子宮の成長の刺激である。ERαでの試験化合物の生体内効力を評価するために、成体の雌のWistarラットを卵巣摘出した。卵巣摘出14日後に、動物を、ビヒクル(ベンジルベンゾエート/リシヌソイル1+4)又は種々の用量の試験化合物により、14日間皮下に毎日投与して処置した。動物を15日目に屠殺し、そして相対子宮重量を測定した。用量反応曲線をσプロットで生成し、標準のエストラジオールと比較した、ERαでの試験化合物の生体内活性を決定した。
【0075】
肝細胞での安定性
フェーズ1代謝及びフェーズ2代謝に関する試験化合物の代謝安定性を、肝細胞とともに化合物をインキュベーすることにより調査した。これらの調査は期待されるフェーズ2代謝の場合の化合物の特性化のために行った。様々な試験化合物を、同等の代謝活性のヒト冷凍保存肝細胞の懸濁液(均一な懸濁液中の一定数の肝細胞)とともに十分な時間インキュベートした。分析精密検査後、別のインキュベート期間の後の試験化合物の濃度は、それぞれの試験化合物(ゼロ時間の時点)の初期濃度に関係していた。アッセイで検討した試験化合物の濃度時間曲線下にある結果の面積を用いて、それぞれのFmaxの値を導出する。このデータは、調査された試験化合物の最大理論生物学的利用能を提供する。
【0076】
結果
本発明の化合物を、ERαへの結合、ERαでのトランス活性化、MVLNアッセイにおける活性、イシカワ細胞におけるアルカリホスファターゼの誘導、及び、子宮成長の刺激に関する生体内活性について上述した手順にしたがって試験した。表1の例示的に見られるように、化合物1に限定されないが、本発明の化合物は、結合及びトランス活性化に関して生体外で、そして子宮成長誘導に関して生体内で、高い効力のERαアゴニストであり、エストラジオールよりも有意に高い経口生物学的利用能を示す。
【0077】
【表1】

【0078】
表2から判るように、化合物はトランス活性化に関して生体外で効力の高いERαアゴニストである。
【0079】
【表2】

【0080】
エチニルエストラジオールに対して比較した例1及び例4の子宮及び肝臓活性に関するデータを図1、2及び3に示す。相対子宮重量の増加(黒丸)及び肝臓遺伝子CaBPの誘導(白丸)の増加を記載している用量応答曲線はエチニルエストラジオール(図1)、例1(図2)及び例4(図3)に関して示している。エチニルエストラジオールはCaBPの有意な誘導をもたらし、例1及び例4の化合物はこの肝臓遺伝子を刺激しないが、完全な子宮活性を示す。これは、例1及び例4の化合物は、エチニルエストラジオールと比較する場合に、肝臓エストロゲン性が低いことを示す。
【0081】
用量
それゆえ、本発明はエストロゲン受容体により媒介される疾患の治療を必要とする対象において上記疾患を治療する方法であって、前記疾患を治療するのに有効な量の本明細書中に規定されるとおりの化合物のいずれかを投与することを含む、方法を提供する。化合物は、従来の投与経路のいずれかにより患者に投与することができ、限定するわけではないが、静脈内、経口、皮下、筋肉内、皮内及び非経口投与が挙げられる。避妊又はエストロゲン受容体により媒介される疾患を治療するのに有効な化合物の量は対象の体重1 kgあたり、1日あたり、0.5μg〜1mgであり、それぞれの化合物の投与経路、適用症及び効力に依存する。
【0082】
また、本発明は、医薬上許容されるキャリアとともに、1種以上の本発明の化合物を含む医薬組成物を提供する。好ましくは、これらの組成物は、30の単位剤形(unit 30 dosage form)があり、たとえば、経口、非経口、鼻腔内、舌下又は直腸投与、又は、吸入もしくは吹送投与のために、錠剤、丸剤、カプセル剤、粉末、顆粒、滅菌非経口溶液又は懸濁液、計量エアロゾル又は液体スプレー、ドロップ、アンプル、オートインジェクタデバイス又は坐剤がある。又は、組成物は、週1回又は月1回の投与に適する形態で存在することができ、たとえば、デカン酸塩などの活性化合物の不溶性塩は、筋肉内注射のためのデポ製剤を提供するのに適合されうる。錠剤などの固体組成物を調製するために、主活性成分は、たとえば、医薬キャリア、たとえば、コーンスターチ、乳糖、ショ糖、ソルビトール、タルク、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、リン酸二カルシウム及びガムなどの従来の錠剤化成分、及び、他の製薬希釈剤、たとえば、水と混合されて、本発明の化合物又はその医薬上許容される塩の均一混合物を含む固体予備製剤組成物を形成する。均一なものとしてこれらの予備製剤を参照する際に、組成物が錠剤、丸剤及びカプセルなどの等しく有効な剤形へと容易に細分割されうるように、活性成分が組成物全体に均一に分散されていることを意味する。この固体予備製剤組成物は、その後、本発明の活性成分を0.025〜約100mg含有する上述のタイプの単位剤形に分割される。新規の組成物の錠剤又は丸剤は被覆され又はさもなければ配合されて、長時間作用の利点をもった剤形を提供することができる。たとえば、錠剤又は丸剤は、内側投与成分及び外側投与成分を含むことができ、その外側投与成分は内側投与成分の上の外包の形態である。2つの成分は胃での崩壊に抵抗性を示す腸溶性層によって分離することができ、それにより、内側成分を十二指腸に無傷で通過させるか又は解放を遅らせることができる。種々の材料をこのような腸溶性層又はコーティングのために用いることができ、このような材料はシェラック、セチルアルコール及び酢酸セルロースなどの材料と幾つかのポリマー酸を含む。
【0083】
本発明の新規組成物を経口投与又は注入投与により取り込むことができる液体の形態としては、水溶液、適切に風味付けされたシロップ、水性もしくは油性懸濁液、および、綿実油、ゴマ油、ココナッツ油又はピーナツ油などの食用油ならびにエリキシル剤及び同様の医薬ビヒクルを含む、風味付けされたエマルジョンが挙げられる。水性懸濁液のための適切な分散剤もしくは懸濁剤としては、トラガント、アラビアゴム、アルギン酸塩、デキストラン、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ポリビニルピロリドン又はゼラチンなどの合成ガム及び天然ガムが挙げられる。
【0084】
本発明において記載されたエストロゲン受容体により媒介される疾患を治療する方法は、また、本明細書中に規定されるとおりのいずれかの化合物及び医薬上許容されるキャリアを含む医薬組成物を用いて行うことができる。医薬組成物は約5mg〜1000mg、好ましくは約10〜500 mgの上記化合物を含むことができ、そして、選択される投与モードに適する形態とすることができる。キャリアとしては、必要でかつ不活性の医薬賦形剤が挙げられ、限定するわけではないが、バインダー、懸濁剤、潤滑剤、香料、甘味料、防腐剤、染料及びコーティングが挙げられる。経口投与に適する組成物としては、丸剤、錠剤、カプレット、カプセル剤(それぞれ、即時解放性、遅延解放性及び徐放性製剤を含む)、顆粒剤及び粉末などの固形分形態、及び、溶液、シロップ、エリクサー(elixers)、エマルジョン及び懸濁液などの液体の形態が挙げられる。非経口投与のための有用な形態としては、無菌溶液、エマルジョン及び懸濁液が挙げられる。
【0085】
有利には、本発明の化合物、1日1回の投与で投与されても、又は、総日用量は、1日に2回、3回又は4回に分けて投与してもよい。さらに、本発明の化合物は、適切な鼻腔内ビヒクルの局所使用により鼻腔内形態で投与することができ、又は、当業者によく知られた経皮皮膚パッチを介して投与することができる。経皮デリバリーシステムの形態で投与するためには、投薬は、もちろん、投与計画全体にわたって間欠的でなく、連続的であろう。たとえば、錠剤又はカプセルの形態での経口投与では、活性薬剤成分は、エタノール、グリセロール、水などの経口で無毒性の医薬上許容される不活性キャリアと調合されうる。また、所望の場合又は必要なときには、適切なバインダー、潤滑剤、崩壊剤及び着色剤が混合物中に取り込まれることができる。適切なバインダーとしては、限定するわけではないが、デンプン、ゼラチン、天然糖類、たとえば、グルコース又はβ-ラクトース、トウモロコシ甘味料、天然及び合成ガム、たとえば、アラビアゴム、トラガント又はオレイン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウムなどが挙げられる。崩壊剤としては、限定するわけではないが、デンプン、メチルセルロース、寒天、ベントナイト、キサンタンガムなどが挙げられる。
【0086】
液体形態は、適切に風味付けされた懸濁剤もしくは分散剤、たとえば、トラガント、アラビアゴム、メチルセルロースなどの合成及び天然ガムを含むことができる。非経口投与のためには、無菌懸濁液及び溶液が望ましい。適切な防腐剤を一般に含む等張性製剤は、静脈内投与が望まれているときに採用される。
【0087】
本発明の化合物は、また、小単層ベシクル、大単層ベシクル及び多層ベシクルなどのリポソームデリバリーシステムの形態で投与することができる。リポソームは、コレステロール、ステアリルアミン又はホスファチジルコリンなどの様々なリン脂質から形成されうる。本発明の化合物は、また、化合物の分子が結合される個々のキャリアとしてモノクローナル抗体を用いて輸送されうる。本発明の化合物は、また、ターゲット可能な薬剤キャリアとして可溶性ポリマーと結合されうる。このようなポリマーとしては、ポリビニルピロリドン、ピランコポリマー、ポリヒドロキシプロピルメタクリルアミドフェノール、ポリヒドロキシエチルアスパルトアミドフェノール、又は、パルミトイル残基で置換されたポリエチレンオキシドポリリシンを挙げることができる。さらに、本発明の化合物は、薬物の制御放出を達成するのに有用な生分解性ポリマーのクラス、たとえば、ポリ乳酸、ポリε-カプロラクトン、ポリヒドロキシ酪酸、ポリオルトエステル、ポリアセタール、ポリジヒドロピラン、ポリシアノアクリレート及びヒドロゲルの架橋もしくは両親媒性ブロックコポリマーに結合されうる。
【0088】
本発明の化合物は、上記組成物のいずれかの中で投与することができ、避妊又はエストロゲン受容体により媒介される疾患の治療が必要なときにはいつでも、当該技術分野において確立された投与計画によって投与されうる。製品の日用量は1日あたりの大人1人あたりに、25μg〜100 mgの広い範囲にわたって様々であることができる。経口投与では、組成物は、好ましくは、避妊を必要とする女性又は治療される患者に対する用量の症状による調整のために、0.025、0.1、0.5、1.0、5.0、10.0、15.0、25.0、50.0、100ミリグラムの活性成分を含む錠剤の形態で提供される。最適投与量は容易に当業者によって決定することができ、使用される特定の化合物、投与のモード及び製剤の濃度ならにび疾患の進行状況によって異なるであろう。加えて、患者の年齢、体重、食事、投与時間を含む、治療対象の特定の患者に関連する因子により、投与量の調整の必要性が生じるであろう。
【0089】
次の例は後述の特許請求の範囲に示す本発明をいかなる形でも限定するを意図せず、そして、限定するものと解釈されるべきでない。
【0090】
本発明の化合物は、適切な材料を使用して、次の一般的なスキームに従って調製することができ、さらに後続の具体的な例により例示される。例に示す化合物は、しかしながら、本発明として考慮される唯一の属を形成すると解釈されない。当業者は、下記の調製手順の条件及びプロセスの既知の変更を用いてこれらの化合物を調製することができることを容易に理解するであろう。全ての温度は特に指示がないかぎり、摂氏である。本発明の最終的な化合物は、スキーム1〜8に説明するとおりに合成される。
【0091】
一般法及び実験詳細
式 (I)の新規の化合物はスキーム1に示す方法により調製される。塩基性条件下[NL 6405235] でのギ酸エチル(ethyl formiate)による17β-ヒドロキシ-5α-エストル-1-エン-3-オン 1 のヒドロキシメチル化 [US 19591229]から合成を始めて、式2のヒドロキシメチル化ステロイドを得る。これらの化合物をヒドラジドと反応させて、縮合ピラゾール 3を提供する。このような非芳香族ピラゾロステロイドを種々の条件下で幾つかの酸化剤、たとえば、水酸化パラジウム (II) で芳香族化させることで(US 特許6399766)、式4の芳香族ピラゾロステロイドを提供する。18位に置換基を有する化合物は類似の方法で合成される。
【0092】
【化3】

スキーム 1
【0093】
別の方法として、対応する5β-誘導体もスキーム2に記載と同一の経路における出発材料として適切である。よく記載された17β-ヒドロキシ-5β-エストル-1-エン-3-オン 1a (US 3007947)から合成を始め、次いで、スキーム1に関して上述したとおりの合成を行い、4位にヒドロキシメチル化して、ヒドラジンによりピラゾールを生成し、そして最後に芳香族化して、式4の芳香族ピラゾロステロイドを得る。
【0094】
【化4】

スキーム 2
【0095】
17位での置換はスキーム3により行われる。そのシーケンスは様々な酸化剤による化合物4の酸化、又は、オッペナウア酸化などの当業者に知られた反応、デス・マーチンペルヨージーナン(Dess, Martin. J. Org. Chem. 48, 4155 (1983))、又は、テトラプロピルアンモニウム-ペルルテネート/N-メチル-モルホリン-n-オキシド (Leyら, Tetrahedron Lett. 30, 3204 (1989))により、対応する17-ケトン 5 を得ることが挙げられる。これらのケトン5とオルガノマグネシウム又はオルガノリチウム試薬などの種々の求核性種との反応により、式6の17-置換ピラゾロステロイドが提供される。
【0096】
【化5】

スキーム 3
【0097】
又は、合成はスキーム4に記載される当業者に知られた方法により調製されうる芳香族前駆体から出発し (一般文献: Fieser及びFieser: Steroids; Reinhold Publishing Cor. 1959を参照されたい)、ピラゾロステロイド 8を提供する。文献[Liu, Yong; Kim, Byoungmoo; Taylor, Scott D., Journal of Organic Chemistry (2007), 72(23), 8824-8830]により類似的に調製されうる4-ホルミルエストラジオール7は酸性下にヒドラジドと反応することができ、又は、文献[Lokhandeら Tetrahedron Letters; 48; 6890 (2007)]と類似の方法においてヒドラジンヒドロクロリドと直接的に反応することができる。
【0098】
【化6】

スキーム 4
【0099】
5´位における置換基は、スキーム5に示す下記のシーケンスにより導入されうる。タイプ7のアルデヒドはグリニャール試薬又はオルガノリチウム化合物などの吸核種と反応して、タイプ9のアルコールを提供することができる。これらのアルコールは当業者に知られた種々の酸化剤 (たとえば、三酸化クロム、テトラプロピルアンモニウム-ペルルテネート/ N-メチル-モルホリン-n-オキシド)により酸化されて、タイプ10のケトンを提供することができる。これらはスキーム4に記載された手順と類似の手順でヒドラジンヒドロクロリドと反応して、タイプ11のピラゾールを提供することができる。
【0100】
【化7】

スキーム5
【0101】
追加のアプローチはスキーム6に示されている。エストラジオール誘導体12から出発して、タイプ13の4-ホルミル誘導体を製造することができる (J. Org. Chem. 72 (2007), 8824-30)。3-アミノ官能基の導入は、2-メチル-プロピオン-アミド-エーテルを製造しそして次いで極性溶剤中でその中間体を処理することにより行うことができる (J. Chem. Soc. 1990, 767-71; Org. Lett. 7, (2005), 3629-31を参照されたい)。プロピオン酸アニリドの開裂は遊離アニリン14を提供する。この転化に関する追加の代替法はフェノールを脱離基(たとえば、トリフレート)に転化し、そして次いでベンジルアミン又はナトリウムヘキサメチルジシラザンなどの窒素含有化合物とパラジウム触媒反応させることである (Tetrahedron Lett. 44, (2003) 3071-73; Tetrahedron Lett. 46, (2005), 7111-15; J. Med. Chem. 49, (2006), 3832-49, Tetrahedron Lett. 43, (2002), 7617-20を参照されたい)。続く転化は文献(Org. Lett. 10, (2008), 1021-23)に記載された方法と類似的に行うことができる。ヒドロキシルイミン誘導体15はヒドロキシルアミンでの処理の後に得ることができる。続く脱水反応により所望のピラゾール16が提供される。
【0102】
【化8】

スキーム 6:
【0103】
トリアゾールはスキーム7に記載されるとおりに調製されうる。タイプ17の4-ニトロ-エストラトリエン誘導体 (Horwitzら, J. Med. Chem. 29, 692 (1986))はスキーム6に関して上述した方法と類似の方法において3-アミノ誘導体18 に転化されうる。アミノ-ニトロ誘導体18はよく知られた還元方法によって、対応するジアミノ-誘導体19に還元されうる。
【0104】
【化9】

スキーム7
【0105】
トリアゾール20は、たとえば、亜硝酸カリウム及び硫酸によるニトロソ化により製造されうる (Chemische Berichte; 9; 222 (1876))。
【実施例】
【0106】
実施例1
1) 2’H-ピラゾロ[3’,4’:3,4]エストラ-1,3,5(10)-トリエン-17β-オール
a) 17β-ヒドロキシ-4(Z)-ヒドロキシメチレン-5α-エストル-1-エン-3-オン
【0107】
【化10】

【0108】
10 ml のピリジン中の500 mg 17β-ヒドロキシ-5α-エストル-1-エン-3-オン及び15 ml ギ酸エチル(ethyl formiate)の溶液を-10°Cに冷却した。ナトリウムメタノレートの溶液(15 ml, 1M)を分割して添加した。混合物を2時間にわたって室温に温めた。この反応混合物を氷水に注ぎ、塩酸により中和し、酢酸エチルで抽出し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、そして真空中で濃縮し、540 mgの黄色いオイルを提供した。この材料をさらなる精製及び特性化を行うことなく、次の工程で使用した。
【0109】
b) 2’H-ピラゾロ [5’,4’:3,4]-5α-エストル-1-エン-17β-オール
【化11】

【0110】
520 mgの原料17β-ヒドロキシ-4(Z)-ヒドロキシメチレン-5α-エストル-1-エン-3-オンの6 mlのエタノール中の溶液に、ヒドラジンのTHF中に溶液 (1.9 ml, 1 M)を添加した。この混合物を室温で3時間攪拌した。この混合物を酢酸エチル及び水で抽出した。有機相を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、そして真空中で濃縮した。未精製生成物を、溶離剤としてヘキサン及び酢酸エチルを用いてシリカゲル上でクロマトグラフィー処理して、84 mgの2’H-ピラゾロ [5’,4’:3,4]-5α-エストル-1-エン-17β-オールを生じた。
MS (CI+): m/z = 299 (M+1);
1H-NMR (400 MHz, CDCl3): δ = 7.24 (s, 1H); 6.57 (d, 1H); 6.20 (d, 1H); 3.71 (t, 1H); 2.45 (m, 1H); 1.05 - 2.50 (m, 16H); 0.76 (s, 3H)
【0111】
c) 2’H-ピラゾロ[3’,4’:3,4]エストラ-1,3,5(10)-トリエン-17β-オール
【化12】

【0112】
1gの 2’H-ピラゾロ[5’,4’:3,4]-5α-エストル-1-エン-17β-オールの10 ml のメタノール中の溶液に、1.2 gの水酸化パラジウム(チャコール上)(10 %)を添加した。この混合物をシールされたチューブ内で4時間加熱した。この混合物を室温に冷却し、セライト上でろ過し、そして真空中で濃縮した。未精製の生成物をシリカゲル60上で溶離剤としてヘキサン/酢酸エチルを用いてクロマトグラフィー処理し、64 mgの2’H-ピラゾロ[3’,4’:3,4]エストラ-1,3,5(10)-トリエン-17β-オールを白色固形分として提供した。
MS (CI+): m/z = 297 (M+H)+
1H-NMR (400 MHz, CDCl3): δ = 8.03 (s, 1H); 7.39 (d, 1H); 7.30 (d, 1H); 3.76 (t, 1H); 3.15 (m, 2H); 2.39 (m, 2H); 2.16 (m, 1H); 2.01 (m, 2H); 1.72 (m, 1H); 1.20 - 1.60 (m, 7H); 0.81 (s, 3H)
【0113】
実施例2
2’H-ピラゾロ[3’,4’:3,4]エストラ-1,3,5(10)-トリエン-17-オン
【化13】

【0114】
521 mgの2’H-ピラゾロ[3’,4’:3,4]エストラ-1,3,5(10)-トリエン-17β-オール(実施例1) の19 mlのジクロロメタン及び0.7 mlのピリジン中の懸濁液に、746 mgのデスマーチンペルヨージナンを添加した。反応混合物を室温で2.5時間攪拌した。この反応混合物を水で希釈し、そして酢酸エチルで抽出した。合わせた有機抽出物を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、そして真空中で濃縮した。未精製生成物をジクロロメタン及びヘキサンとともにすり潰し、325 mgの2’H-ピラゾロ [3’,4’:3,4]エストラ-1,3,5(10)-トリエン-17-オンを白色固形分として提供した。
MS (CI+): m/z = 295 (M+H)+;
1H-NMR (400 MHz, CDCl3): δ = 8.05 (s, 1H); 7.39 (d, 1H); 7.32 (d, 1H); 3.22 (m, 2H); 2.50 (m, 3H); 1.92 - 2.23 (m, 4H); 1.45 - 1.80 (m, 5H); 0.94 (s, 3H); 0.88 (t, 1H)
【0115】
実施例3
17α-メチル-2’H-ピラゾロ[3’,4’:3,4]エストラ-1,3,5(10)-トリエン-17β-オール
【化14】

【0116】
80 mgの2’H-ピラゾロ[3’,4’:3,4]エストラ-1,3,5(10)-トリエン-17-オンの10 mlのテトラヒドロフラン中の懸濁液に、2.7 mlの、テトラヒドロフラン中のメチルマグネシウムブロミド (3M)を添加した。反応混合物を20時間攪拌した。その後、水を添加し、そして混合物を酢酸エチルで抽出した。合わせた有機抽出物を硫酸ナトリウムで乾燥させ、そして真空中で濃縮した。未精製生成物をシリカゲル60上でヘキサン/酢酸エチルを用いてクロマトグラフィー処理し、53 mgの17α-メチル-2’H-ピラゾロ[3’,4’:3,4]エストラ-1,3,5(10)-トリエン-17β-オールを白色固形分として生じた。
MS (CI+): m/z = 311 (M+H)+;
1H-NMR (400 MHz, CDCl3): δ = 8.03 (s, 1H); 7.39 (d, 1H); 7.30 (d, 1H); 3.16 (m, 2H); 2.40 (m, 2H); 2.05 (m, 1H); 2.01 (m, 2H); 1.20 - 1.80 (m, 8H); 1.30 (s, 3H); 0.92 (s, 3H)
【0117】
実施例4
17α-エチニル-2’H-ピラゾロ[3’,4’:3,4]エストラ-1,3,5(10)-トリエン-17β-オール
【化15】

【0118】
1.77 gの2’H-ピラゾロ[3’,4’:3,4]エストラ-1,3,5(10)-トリエン-17-オンの265 mlのテトラヒドロフラン中の懸濁液に、240 mlの、テトラヒドロフラン中のエチニルマグネシウムブロミド (6.8 M)を添加した。その反応混合物を20時間攪拌した。その後、30 mlの水及び15 mlの飽和アンモニウムクロリド溶液を添加し、そして混合物を1 N 塩酸でpH7とし、そして酢酸エチルで抽出した。合わせた有機抽出物を硫酸ナトリウムで乾燥させ、そして真空中で濃縮した。未精製生成物をジクロロメタンとともにすり潰し、997 mgの17α-エチニル-2’H-ピラゾロ[3’,4’:3,4]エストラ-1,3,5(10)-トリエン-17β-オールをろ過の後に白色固形分として得た。母液から別の360 mgを、濃縮、ジクロロメタンとの第二のすり潰し及び次いで行うろ過の後に単離した。
MS (EI+): m/z = 320 M+;
1H-NMR (400 MHz, CDCl3): δ = 10.0 (bs, 1H); 8.03 (s, 1H); 7.41 (d, 1H); 7.30 (d, 1H); 3.16 (m, 2H); 2.62 (m, 1H); 2.40 (m, 3H); 2.05 (m, 3H); 1.8 (m, 3H); 1.40 - 1.70 (m, 5H); 0.92 (s, 3H)
【0119】
実施例5
17α-ビニル-2’H-ピラゾロ[3’,4’:3,4]エストラ-1,3,5(10)-トリエン-17β-オール
【化16】

【0120】
76 mgの無水セリウムトリクロリド及び1.4 mlのテトラヒドロフランの懸濁液を2時間還流した。その混合物を室温になるようにし、そして0.2 mlの、テトラヒドロフラン中のビニルマグネシウムブロミド (1M)を室温にて添加し、そして混合物を1時間攪拌した。その後、得られた混合物を、20 mgの2’H-ピラゾロ[3’,4’:3,4]エストラ-1,3,5(10)-トリエン-17-オンの0.2 ml のテトラヒドロフラン中の懸濁液に添加した。この反応混合物を20時間攪拌した。その後、5 mlの飽和アンモニウムクロリド溶液を添加し、そして混合物を酢酸エチルで抽出した。合わせた有機抽出物を硫酸ナトリウムで乾燥させ、そして真空中で濃縮した。未精製生成物をシリカゲル60上でヘキサン/酢酸エチルでクロマトグラフィー処理し、18 mgの17α-ビニル-2’H-ピラゾロ[3’,4’:3,4]エストラ-1,3,5(10)-トリエン-17β-オールを白色固形分として得た。
MS (ES+): m/z = 322 (M)+;
1H-NMR (400 MHz, CDCl3): δ = 8.02 (s, 1H); 7.39 (d, 1H); 7.29 (d, 1H); 6.15 (d, 1H); 5.20 (2 x d, 2H); 3.15 (m, 2H); 2.35 (m, 2H); 2.05 (m, 2H); 1.95 (m, 1H); 1.80 (m, 1H); 1.25 - 1.70 (m, 7H); 0.98 (s, 3H)
【0121】
実施例6
17α-エチル-2’H-ピラゾロ[3’,4’:3,4]エストラ-1,3,5(10)-トリエン-17β-オール
【化17】

【0122】
5 mlのテトラヒドロフラン中の0.72 mlのエチルリチウム溶液(1.7 M)に、100 mg の2’H-ピラゾロ[3’,4’:3,4]エストラ-1,3,5(10)-トリエン-17-オンの5 mlのテトラヒドロフラン中の懸濁液を、-60℃未満の温度で添加した。その反応混合物を室温に温め、そしてさらに20時間攪拌した。その後、水を添加し、そして混合物を酢酸エチルで抽出した。合わせた有機抽出物を硫酸ナトリウムで乾燥させ、真空下に濃縮した。未精製生成物はHPLCによるクロマトグラフィー処理により、17 mgの17α-エチル-2’H-ピラゾロ[3’,4’:3,4]エストラ-1,3,5(10)-トリエン-17β-オールを白色固形分として得た。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3): δ = 8.03 (s, 1H); 7.41 (d, 1H); 7.28 (d, 1H); 3.15 (m, 2H); 2.40 (m, 2H); 2.05 (m, 1H); 1.85 (m, 2H); 1.30 - 1.75 (m, 9H); 1.30 (s, 3H); 1.02 (t, 3H); 0.94 (s, 3H)
【0123】
実施例7
17α-アリル-2’H-ピラゾロ[3’,4’:3,4]エストラ-1,3,5(10)-トリエン-17β-オール
【化18】

【0124】
160 mgの2’H-ピラゾロ[3’,4’:3,4]エストラ-1,3,5(10)-トリエン-17-オンの20 mlのジクロロメタン中の懸濁液に、テトラヒドロフラン中の1.12 mlのアリルマグネシウムブロミド (1.7 M)を0°Cの温度で添加した。この反応混合物を室温に温め、そして20時間攪拌した。その後、水を添加し、そして混合物を酢酸エチルで抽出した。合わせた有機抽出物を硫酸ナトリウムで乾燥させ、そして真空中で濃縮した。未精製生成物をシリカゲル60上でヘキサン/酢酸エチルを用いてクロマトグラフィー処理し、 53 mgの17α-アリル-2’H-ピラゾロ[3’,4’:3,4]エストラ-1,3,5(10)-トリエン-17β-オールを白色固形分として生じた。
MS (Es+): m/z = 336 (M)+;
1H-NMR (400 MHz, CDCl3): δ = 8.02 (s, 1H); 7.40 (d, 1H); 7.30 (d, 1H); 6.0 (d, 1H); 5.2 (m, 2H); 3.16 (m, 2H); 2.40 (m, 4H); 1.20 - 2.10 (m, 11H); 0.80 (s, 3H)
【0125】
実施例8
17α-(プロプ-1-イニル)-2’H-ピラゾロ[3’,4’:3,4]エストラ-1,3,5(10)-トリエン-17β-オール
【化19】

【0126】
100 mgの2’H-ピラゾロ[3’,4’:3,4]エストラ-1,3,5(10)-トリエン-17-オンの14 mlのテトラヒドロフラン中の懸濁液に、13.6 mlの、テトラヒドロフラン中のプロプ-1-イニルマグネシウムブロミド (0.5M)を0°Cの温度で添加した。この反応混合物を室温に温め、そしてさらに20時間攪拌した。その後、水を添加し、そして混合物を酢酸エチルで抽出した。合わせた有機抽出物を硫酸ナトリウムで乾燥させ、そして真空中で濃縮した。未精製生成物をシリカゲル60上でヘキサン/酢酸エチルによりクロマトグラフィー処理し、53 mgの17α-(プロプ-1-イニル)-2’H-ピラゾロ[3’,4’:3,4]エストラ-1,3,5(10)-トリエン-17β-オールを白色固形分として得た。
MS (ES+): m/z = 335 (M+H)+;
1H-NMR (400 MHz, CDCl3): δ = 8.02 (s, 1H); 7.42 (d, 1H); 7.30 (d, 1H); 3.16 (m, 2H); 2.42 (m, 2H); 2.30 (m, 1H); 1.95 (m, 1H); 1.92 (s, 3H); 1.75 (m, 4H); 1.50 (m, 5H); 0.90 (s, 3H)
【0127】
実施例9
17α-トリフルオロメチル-2’H-ピラゾロ[3’,4’:3,4]エストラ-1,3,5(10)-トリエン-17β-オール
【化20】

【0128】
198mgの2’H-ピラゾロ[3’,4’:3,4]エストラ-1,3,5(10)-トリエン-17-オン、960mgのトリフルオロメチルトリメチルシラン及び5.2 mlのテトラヒドロフラン中の1mlのテトラブチルアンモニウムフルオリド (THF中 1M溶液)の溶液を還流下に48時間攪拌した。混合物を水中に注ぎ、そして酢酸エチルで抽出した。合わせた有機抽出物を硫酸ナトリウムで乾燥させ、そして真空中で濃縮した。未精製生成物をクロマトグラフィーにより精製し [HPLC: ウォーターズオート精製装置(Waters Auto purification system); カラムXBrigde C18 5μm 100x30 mm; 溶剤、アセトニトリル/ 水 + 0.1 % ギ酸; 流速 50 mL/min.]。
MS (EI+): m/z = 364 M+;
1H-NMR (400 MHz, CDCl3): δ = 8.05 (s, 1H); 7.39 (d, 1H); 7.29 (d, 1H); 3.19 (dd, 1H); 3.11 (dd, 1H); 2.5 - 2.3 (m, 3H); 2.04 (dd, 1H); 1.94 - 1.73 (m, 5H); 1.71 - 1.44 (m, 5H); 1.0 (s, 3H);
【0129】
実施例10
17α-ペンタフルオロエチル-2’H-ピラゾロ[3’,4’:3,4]エストラ-1,3,5(10)-トリエン-17β-オール
【化21】

【0130】
500 mg の2’H-ピラゾロ[3’,4’:3,4]エストラ-1,3,5(10)-トリエン-17-オン及び8.35 gのペンタフルオロエチルヨージドの5 mL THF溶液を-70°Cで注意深く22 mL のメチルリチウムリチウムブロミド錯体 (ジエチルエーテル中1.5 M 溶液)で処理した。温度を-50°C未満に維持した。さらに1時間の攪拌した後に、反応混合物を水中に注ぎ、そして酢酸エチルで抽出した。合わせた有機抽出物を硫酸ナトリウムで乾燥させ、そして真空中で濃縮した。未精製生成物をフラッシュクロマトグラフィーにより精製した [シリカゲル、溶離剤: ヘキサン/酢酸エチル勾配]。
MS (esi+): m/z = 415 (M++1);
1H-NMR (400 MHz, CDCl3): δ = 8.03 (s, 1H); 7.38 (d, 1H); 7.28 (d, 1H); 3.25 - 3.02 (m, 2H); 2.75 - 2.37 (m, 3H); 2.1 - 1.93 (m, 3H); 1.92 - 1.76 (m, 3H); 1.73 - 1.41 (m, 4H); 1.01 (s, 3H);
【0131】
実施例11
3’H-トリアゾロ[4’,5’:3,4]エストラ-1,3,5(10)-トリエン-17-オン
a)2-ヒドロキシ-2-メチル-N-[4-ニトロ-17-オキソエストラ-1,3,5(10)-トリエン-3-イル]プロパンアミド
【化22】

【0132】
1.6 gの水素化ナトリウム (パラフィンオイル中60%)を分割してゆっくりと、8.0 g の4-ニトロ-エストラ-1,3,5(10)-トリエン-17-オン (たとえば、Stubenauch, G.; Knuppen, R. in Streoids 1976, vol. 28, p.733-741を参照されたい)及び69 ml のジオキサンの混合物に周囲温度で添加する。1時間の攪拌の後に、12.6 gの2-ブロモ-2-メチル-プロピオンアミド及び24.8 gのCs2CO3 を添加する。100°Cで24時間の攪拌の後、5 mlのジメチルホルムアミド及び3 gの粉末化水酸化ナトリウムを添加し、攪拌を75°Cで24時間続けた。冷却後に、反応混合物を水中に注ぎ、酢酸エチルで 3回抽出する。合わせた有機相をブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過しそして減圧下に蒸発させる。未精製生成物を232 mlのジメチルホルムアミド中に溶解させる。3.5 gの粉末化水酸化ナトリウムの添加後に、混合物を50°Cで一晩攪拌する。冷却後に、反応混合物を水中に注ぎ、酢酸エチルで3回抽出する。合わせた有機相をブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過しそして減圧下に蒸発させ、11.4 gの未精製2-ヒドロキシ-2メチル-N-[4-ニトロ-17-オキソエストラ-1,3,5(10)-トリエン-3-イル]プロパンアミドを得る。
MS (Es+): m/z = 401 (M+1);
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 9.57 (s (br), 1H); 7.63 (d, 1H); 7.56 (d, 1H); 5.90 (s (br), 1H); 2.80-2.90 (m, 1H); 2.64-2.72 (m, 1H); 2.39-2.49 (m, 2H); 2.26-2.35 (m, 1H); 1.92-2.12 (m, 3H); 1.75-1.81 (m, 1H); 1.33-1.64 (m, 6H); 1.31 (s, 3H); 1.30 (s, 3H); 0.84 (s, 3H)
【0133】
b)3-アミノ-4-ニトロ-エストラ-1,3,5(10)-トリエン-17-オン
【化23】

【0134】
11.4 gの未精製2-ヒドロキシ-2-メチル-N-[4-ニトロ-17-オキソエストラ-1,3,5(10)-トリエン-3-イル]プロパンアミドを、40 mlの濃塩酸及び40 mlのジオキサンの混合物中で2時間還流する。氷冷下に、反応混合物を、その後、32%水酸化ナトリウムを添加することで塩基性とする。30分間の攪拌の後に、水を添加し、次いで、酢酸エチルで3回抽出する。硫酸ナトリウム上で合わせた有機相を乾燥しそしてろ過した後に、ろ液を蒸発させ、7.9 gの3-アミノ-4-ニトロ-エストラ-1,3,5(10)-トリエン-17-オンを得る。
MS (ES+): m/z = 315 (M+1);
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 7.19 (d, 1H); 6.70 (d, 1H); 5.71 (s (br), 2H); 2.70-2.87 (m, 1H); 2.26 (m, 1H); 0.80 (s, 3H)
【0135】
c)3’H-トリアゾロ [4’,5’:3,4]エストラ-1,3,5(10)-トリエン-17-オン
【化24】

【0136】
1gの3-アミノ-4-ニトロ-エストラ-1,3,5(10)-トリエン-17-オン及び21 mlの酢酸の混合物に、0.13 gのパラジウム(チャコール上) (10%)を添加する。その混合物を常圧で6時間水素化する。ろ過及び18mlの酢酸によるフィルターケークの洗浄による触媒の除去の後に、5 mlの水中の0.242 g 亜硝酸ナトリウムの溶液をろ液に添加する。周囲温度での一晩の攪拌の後に、反応混合物を蒸発により約20mlに濃縮しそして水中に注ぐ。沈殿物を30分間攪拌した後に、沈殿物をろ過により分離し、0.84 gの 3’H-トリアゾロ [4’,5’:3,4]エストラ-1,3,5(10)-トリエン-17-オンを乾燥後に得る。
MS (ES+): m/z = 296 (M+1);
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6, 353ケルビン): δ = 15.29 (s (br)); 7.62 (d, 1H); 7.38 (d, 1H); 2.89-3.32 (m, 3H); 1.96-2.18 (m, 3H); 1.77-1.87 (m, 1H); 1.44-1.74 (m, 6H); 0.87 (s, 3H)
【0137】
実施例12
3’H-トリアゾロ [4’,5’:3,4]エストラ-1,3,5(10)-トリエン-17β-オール
【化25】

【0138】
5 mlのメタノール中の 0.2 gの3’H-トリアゾロ [4’,5’:3,4]エストラ-1,3,5(10)-トリエン-17-オンを0°Cで0.10 mgのナトリウムボロヒドリドにより処理する。周囲温度での1時間の攪拌の後、反応混合物を水中に注ぎ、酢酸エチル及びジクロロメタンで抽出する。硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過しそして蒸発させた後に、未精製生成物を、ジクロロメタン及びメタノールの混合物を溶離剤として用いてシリカゲル上でクロマトグラフィー処理し、82 mgの3’H-トリアゾロ[4’,5’:3,4]エストラ-1,3,5(10)-トリエン-17β-オールを得る。
MS (ES+): m/z = 298 (M+1);
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 15.22 (s (br)); 7.61 (d, 1H); 7.38 (d, 1H); 4.19 (s (br)); 3.58 (t, 1H); 2.31-2.44 (m, 2H); 1.60-1.70 (m, 1H); 1.16-1.54 (m, 7H); 0.72 (s, 3H)
【図1】

【図2】

【図3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)
【化1】

(上式中、X は窒素及びCRaからなる群より選ばれ、 ここで、Ra は水素、C1-3-アルキル基、CpF2p+1 基であり、p = 1〜3であり、
R2 は水素原子、ハロゲン原子、C1-3-アルキル基又はトリフルオロメチル基であり、
R11 は水素、ハロゲン、C1-3-アルキル、 C2-3-アルケニル、C2-3-アルキニル及びC1-3-アルコキシからなる群より選ばれ、
R16 は水素、ヒドロキシル、ハロゲン、C1-3-アルキル、C2-3-アルケニル、C2-3-アルキニル及びトリフルオロメチルからなる群より選ばれ、
R17a 及びR17b は水素原子、ヒドロキシル基、場合により置換されたC1-3-アルキル基、場合により置換されたC2-3-アルケニル基、場合により置換されたC2-3-アルキニル基であり、該置換基はヒドロキシル基、フッ素又は基ORから選ばれ、ここで、RはC1-3-アルキル基であり、又は、
R17a 及びR17b はハロゲン原子、又は、基-OCORbであり、 ここで、
Rb は基-(CH2)nCOOH(n = 2又は3)であり、又は、C1-5-アルキル基であり、ただし、もしR17a がヒドロキシル基であるならば、R17b は水素原子、場合により置換されたC1-3-アルキル基、場合により置換されたC2-3-アルケニル又は基-OCORb であり、Rb の定義は上記のとおりであり、及びその逆も同様であり、又は、
R17a 及びR17b は一緒になって酸素原子を表し、そして
R18 は水素原子又はメチル基である)の化合物又はその医薬上許容される塩。
【請求項2】
R17a は水素、場合により置換されたC1-3-アルキル基、場合より置換されたC2-3-アルケニル基、場合により置換されたC2-3-アルキニル基からなる群より選ばれ、R17b はヒドロキシル、フッ素、-OCORb からなる群より選ばれる、請求項1記載の化合物。
【請求項3】
R17a は水素、メチル、トリフルオロメチル、ビニル及びエチニルからなる群より選ばれる、請求項1記載の化合物。
【請求項4】
R17a はヒドロキシル基又はフッ素原子である、請求項1記載の化合物。
【請求項5】
R16 は水素、ヒドロキシル及びフッ素からなる群より選ばれる、請求項1記載の化合物。
【請求項6】
R18 は水素原子である、請求項1記載の化合物。
【請求項7】
XはCRa を表す、請求項1記載の化合物。
【請求項8】
Ra は水素原子、トリフルオロメチル基又はメチル基を表す、請求項1記載の化合物。
【請求項9】
R11 は水素原子、フッ素原子、ヒドロキシル基又はメトキシ基である、請求項1記載の化合物。
【請求項10】
R2 は水素原子、フッ素原子又はトリフルオロメチル基である、請求項1記載の化合物。医薬上許容されるキャリア及び請求項1記載の化合物を含む医薬組成物。
【請求項11】
R16 はヒドロキシル基であり、R17a は水素原子 であり、そしてR17b はフッ素原子である、請求項1記載の化合物。
【請求項12】
R17b はヒドロキシル基であり、R17a は水素原子、ビニル、エチニル、メチル又はトリフルオロメチル基であり、R16 は水素又はフッ素 原子又はヒドロキシル基である、請求項1記載の化合物。
【請求項13】
2’H-ピラゾロ[3’,4’:3,4]エストラ-1,3,5(10)-トリエン-17β-オール、
17α-メチル-2’H-ピラゾロ[3’,4’:3,4]エストラ-1,3,5(10)-トリエン-17β-オール、
17α-エチル-2’H-ピラゾロ[3’,4’:3,4]エストラ-1,3,5(10)-トリエン-17β-オール、
17α-プロピル-2’H-ピラゾロ[3’,4’:3,4]エストラ-1,3,5(10)-トリエン-17β-オール、
17α-ビニル-2’H-ピラゾロ[3’,4’:3,4]エストラ-1,3,5(10)-トリエン-17β-オール、
17α-エチニル-2’H-ピラゾロ[3’,4’:3,4]エストラ-1,3,5(10)-トリエン-17β-オール、
2’H-ピラゾロ[3’,4’:3,4]エストラ-1,3,5(10)-トリエン-17-オン、
2-フルオロ-2’H-ピラゾロ[3’,4’:3,4]エストラ-1,3,5(10)-トリエン-17β-オール、
2-フルオロ-17α-メチル-2’H-ピラゾロ[3’,4’:3,4]エストラ-1,3,5(10)-トリエン-17β-オール、
17α-エチル-2-フルオロ-2’H-ピラゾロ[3’,4’:3,4]エストラ-1,3,5(10)-トリエン-17β-オール、
2-フルオロ-17α-プロピル-2’H-ピラゾロ[3’,4’:3,4]エストラ-1,3,5(10)-トリエン-17β-オール、
2-フルオロ-17α-ビニル-2’H-ピラゾロ[3’,4’:3,4]エストラ-1,3,5(10)-トリエン-17β-オール、
17α-エチニル-2-フルオロ-2’H-ピラゾロ[3’,4’:3,4]エストラ-1,3,5(10)-トリエン-17β-オール、
11β -フルオロ-2’H-ピラゾロ[3’,4’:3,4]エストラ-1,3,5(10)-トリエン-17β-オール、
11β -フルオロ-17α-メチル-2’H-ピラゾロ[3’,4’:3,4]エストラ-1,3,5(10)-トリエン-17β-オール、
17α-エチル-11β -フルオロ-2’H-ピラゾロ[3’,4’:3,4]エストラ-1,3,5(10)-トリエン-17β-オール、
11β -フルオロ-17α-プロピル-2’H-ピラゾロ[3’,4’:3,4]エストラ-1,3,5(10)-トリエン-17β-オール、
11β -フルオロ-17α-ビニル-2’H-ピラゾロ[3’,4’:3,4]エストラ-1,3,5(10)-トリエン-17β-オール、
17α-エチニル-11β-フルオロ-2’H-ピラゾロ[3’,4’:3,4]エストラ-1,3,5(10)-トリエン-17β-オール、
5’-メチル-2’H-ピラゾロ[3’,4’:3,4]エストラ-1,3,5(10)-トリエン-17β-オール、
5’,17-ジメチル-2’H-ピラゾロ[3’,4’:3,4]エストラ-1,3,5(10)-トリエン-17β-オール、
2-フルオロ-5’,17-ジメチル-2’H-ピラゾロ[3’,4’:3,4]エストラ-1,3,5(10)-トリエン-17β-オール、
2-フルオロ-5’-メチル-2’H-ピラゾロ[3’,4’:3,4]エストラ-1,3,5(10)-トリエン-17β-オール、
17α-アリル-2’H-ピラゾロ[3’,4’:3,4]エストラ-1,3,5(10)-トリエン-17β-オール、
17α-(プロプ-1-イニル)-2’H-ピラゾロ[3’,4’:3,4]エストラ-1,3,5(10)-トリエン-17β-オール、
17α-トリフルオロメチル-2’H-ピラゾロ[3’,4’:3,4]エストラ-1,3,5(10)-トリエン-17β-オール、
17α-ペンタフルオロエチル-2’H-ピラゾロ[3’,4’:3,4]エストラ-1,3,5(10)-トリエン-17β-オール、
3’H-トリアゾロ[4’,5’:3,4]エストラ-1,3,5(10)-トリエン-17-オン、
3’H-トリアゾロ[4’,5’:3,4]エストラ-1,3,5(10)-トリエン-17β-オールである、請求項1〜12のいずれか1項記載の化合物。
【請求項14】
請求項1〜13のいずれか1項記載の一般式Iの少なくとも1種の化合物、及び、場合により少なくとも1種の追加の活性成分を、医薬上適切な賦形剤及び/又はキャリアとともに含む、医薬組成物。
【請求項15】
前記追加の活性成分はSERM(選択的エストロゲン受容体モジュレータ)又はSERD(選択的エストロゲン受容体脱安定剤)又はプロゲストーゲンである、請求項14記載の医薬組成物。
【請求項16】
請求項1記載の化合物及び場合により少なくとも1種の追加の活性成分を、医薬上許容されるキャリアとともに混合することを含む、医薬組成物の製造方法。
【請求項17】
エストロゲン受容体により媒介される疾患の治療で、それを必要とする対象に治療有効量の請求項1記載の化合物を投与することを含む治療を、前記対象において行うための医薬の製造のための請求項1〜13のいずれか1項記載の化合物の使用。
【請求項18】
前記エストロゲン受容体により媒介される疾患は、ほてり、膣の乾燥、骨減少症、骨粗しょう症、高脂血症、認知機能の喪失、退行性脳障害、心血管疾患、脳血管疾患、乳房組織のがん、乳房組織の過形成、子宮内膜のがん、子宮内膜の過形成、子宮頸部のがん、子宮頸部の過形成、前立腺のがん、前立腺の過形成、良性前立腺肥大症、子宮内膜症、子宮筋腫及び変形性関節症からなる群より選ばれる、請求項16記載の使用。
【請求項19】
前記エストロゲン受容体により媒介される疾患は骨粗しょう症、ほてり、膣の乾燥、乳がん及び子宮内膜症からなる群より選ばれる、請求項16記載の使用。
【請求項20】
エストロゲン受容体により媒介される疾患の治療で、それを必要とする対象に治療有効量の請求項14記載の組成物を投与することを含む治療を、前記対象において行うための医薬の製造のための請求項1〜13のいずれか1項記載の化合物の使用。
【請求項21】
避妊のための単独での有効量の請求項1〜13のいずれか1項記載の化合物の使用、又は、避妊のための組み合わせでの有効量の請求項1〜13のいずれか1項記載の化合物及びプロゲストーゲンの使用。

【公表番号】特表2011−528675(P2011−528675A)
【公表日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−519066(P2011−519066)
【出願日】平成21年7月14日(2009.7.14)
【国際出願番号】PCT/EP2009/005086
【国際公開番号】WO2010/009828
【国際公開日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【出願人】(300049958)バイエル ファーマ アクチエンゲゼルシャフト (357)
【Fターム(参考)】