説明

フォイルカッター及び中実形カッターローラー

本発明は、ロータリーパンチに関し、特に支持ローラーの外周面に用いられるフォイルカッターを有するロータリーパンチであって、フォイルカッターが、下面及び上面を備えるベースプレートを有し、ベースプレートの上面には、少なくとも1つの切刃が配置され、ベースプレートの上面が、切刃に隣接しかつ切刃により部分的に又は完全に取り囲まれる少なくとも1つの領域を有するものに関し、該領域には、打ち抜くべき扁平部材の部分が打ち抜きプロセス中に締め付けられている。本発明により、フォイルカッターが、切刃に隣接しかつ切刃により部分的に又は完全に取り囲まれる少なくとも1つの領域内には、ベースプレートの上面に設けられる少なくとも1つの隆起部を有し、隆起部は、隆起部が、扁平部材の打ち抜かれる部分若しくは扁平部材の打ち抜かれる複数の部分領域の締め付けを防止するように、形成して配置されかつフォイルカッターに結合されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロータリーパンチの、吸引及び空気吹き出し機能を有する支持ローラーの外周面に用いられるフォイルカッターに関し、この場合に、フォイルカッターが、下面及び上面を備えるベースプレートを有しており、ベースプレートの上面には、少なくとも1つの切刃が配置されており、ベースプレートの上面が、切刃に隣接しかつ切刃により部分的に又は完全に取り囲まれる少なくとも1つの領域を有しており、従来技術のものにおいては、扁平部材の打ち抜かれた部分が、打ち抜き過程に際して、切刃により取り囲まれる領域内で締め付けられて動かなくなってしまっている。本発明は、更に中実形カッターローラーにも関する。
【0002】
ロータリーパンチ自体は公知である。このような打ち抜き加工技術又は穴抜き加工技術は、紙加工、ティッシュ加工又は薄葉紙加工や、フォイル加工又はシート加工に、特に、折り畳み箱用裁断片、紙幣、封筒、ガセットバック(gusseted bag)又はジフィーバッグ(jiffy bag)若しくは発送用袋や、衛生品、例えば生理用品若しくは生理用ナプキン等や、ラベル等の製造のために広く普及している。ロータリーパンチは、主要構成部分として、固有の軸を中心として回転可能なカッターローラー(切刃装置を備えるローラー)、及び対向刃要素から成っており、対向刃要素は、カッターローラーとして、若しくは平滑な外周面を有する対向刃ローラー(切刃装置を備えないローラー)として、或いは定位置又は不動の対向刃条片として形成されている。打ち抜き過程又は穴抜き過程は、材料切断(剪断)を生ぜしめる。複数の製品が互いに切断されるか、或いは製品と廃棄部分(スクラップ)との間の切断が行われる。製品(使用部分)は、例えば折り畳み箱用裁断片、封筒用裁断片及びラベル等を意味する。廃棄部分は、例えばレストグリッド(穴抜きされてグリッド状に残る部分、格子状残部又は残存格子)や、窓抜き屑又は穴抜き屑若しくは残部屑を意味する。ロータリーパンチには、一般的に、打ち抜かれた材料(打ち抜き部分又は打ち抜き片)が切刃間に締め付けられてしまう、つまり挟まれて引っ掛かってしまうという問題がある。打ち抜かれた材料を後続の搬送ユニット又は加工ユニットに引き渡すために、切刃間に締め付けられた打ち抜き部分を解放(除去)するための種々の装置が用いられている。この種の装置として、ばね弾性的に支承された機械式のエジェクタが、例えばドイツ連邦共和国実用新案出願公開第7305842U号明細書に開示してあるように、用いられている。更に、ドイツ連邦共和国特許出願公告第19936854C1号明細書に開示されているように、ニードルが抜き取り部材と協働して用いられるようになっている。ドイツ連邦共和国特許出願公開第2607812A1号明細書には、吹き出し空気若しくは分離つめを、排出手段若しくは抜き取り手段として用いることが記載されている。米国特許第5701789号明細書及びドイツ連邦共和国特許出願公開第10248124A1号明細書には、フォイルカッターを回転式打ち抜きで用いること、又はばね弾性的な部材をフォイルカッターの構成部分として若しくはフォイルカッターと組み合わせて用いることが記載されており、ばね弾性的な部材が、打ち抜かれた部分(製品若しくは廃棄部分)をフォイルカッターから外して、つまり解放して、後続の搬送ユニット又は加工ユニットへの打ち抜かれた部分の引き渡しを可能にしている。
【0003】
用語について、本明細書で用いられる「打ち抜き部分」は、製品をも廃棄部分をも意味するものである。
【0004】
公知の前述の装置においては欠点として、該装置は、カッターローラーの切刃間における打ち抜き部分の締め付けを防止するものではなく、締め付けの発生した後にはじめて機能するものであり、打ち抜き部分の不都合な解放を必要とするものである。米国特許第5701789号明細書及びドイツ連邦共和国特許出願公開第10248124A1号明細書には、記載されているように、打ち抜くべき材料は、打ち抜き過程に際して、まず切刃基部に向けて押圧され、機械式のエジェクタのばね力を克服して、切刃の通常傾斜する側面間に締め付けられることになる。荷重の掛けられたばねは、そのエネルギーを、打ち抜き過程の後に放出しつつ、打ち抜き部分の締め付けを解いている。このような解放若しくは押し出し又は放出は、引き続いて打ち抜き部分の引き渡しを正確な機械サイクル又は機械作動タイミングで行おうとする場合に、或いは、材料走行方向Mで見て長い打ち抜き部分を引き渡そうとする場合に、不都合をもたらしている。各打ち抜き部分毎のエジェクタの必要に応じて繰り返される位置決め並びに高い加工速度に基づき、打ち抜き材料のばたつきが発生している。更に、ばね弾性式の機械的なエジェクタは、製品に不都合なマークを生ぜしめてしまうことにもなる。
【0005】
更に、吸引及び空気吹き出し機能を有する支持ローラーに公知の装置を用いることには問題がある。フォイルカッター内における空気貫通部の適切な位置は、エジェクタの位置と重なることになる。例えば穴抜き屑の場合には、吸引空気により穴抜き屑の先行の切断縁部を捕捉していたいものの(さもないと、先行の切断縁部が高い加工速度に基づきめくれることになる)、ローラーからの穴抜き屑の引き剥がしは、穴抜き屑の正確な引き渡しのために、穴抜き屑の先行の切断縁部で開始されねばならない。更に、公知の装置は欠点を有し、つまり、互いに著しく近接して位置する切刃輪郭区分(切断輪郭区分)の加工若しくは極めて小さい閉じた輪郭=抜き穴輪郭(例えば直径6mmの円形の切刃輪郭又は切断輪郭)の加工には、所要スペース及び取り付けの理由から用いられ得ないか(別個のばね弾性式のエジェクタ)、或いは所期の押し出し作用を達成し得ないものである。
【0006】
所要スペースの問題は、吸引及び空気吹き出し機能を有する支持ローラーの場合には、吸引及び空気吹き出し開口部の配置密度が制限され、ひいてはフォイルカッターに、空気貫通部と排出手段の配置に関する適合性が更に要求されることになるので、極めて重要である。中実形カッターローラーを用いる場合にも、互いに著しく近接して位置する切刃輪郭区分の加工若しくは極めて小さい閉じた輪郭の加工のために、公知のばね弾性式のエジェクタを取り付けることは、同様に考えられない。
【0007】
本発明の課題は、フォイルカッター若しくは中実形カッターローラーに改良を加えて、切刃ローラー上における打ち抜き部分の締め付けを防止し、かつ後続の搬送ユニット又は加工ユニットへの打ち抜き部分の確実な引き渡しを可能にすることである。次に述べる要求が満たされねばならない:
吸引及び吹き出し空気の制約されない使用、
低い吹き出し空気圧力、
互いに著しく近接して位置する切刃輪郭区分の加工若しくは極めて小さい閉じた輪郭の加工のための使用、
打ち抜き部分の正確な機械サイクルでの引き渡し、
打ち抜き部材の静粛で丁寧な搬送。
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の請求項1に記載の構成によれば、ロータリーパンチ(回転式打ち抜き機)の支持ローラーの外周面に用いられるフォイルカッターであって、フォイルカッターが、下面及び上面を備えるベースプレートを有しており、ベースプレートの上面には、少なくとも1つの切刃が配置されており、ベースプレートの上面が、切刃に隣接しかつ該切刃により部分的に又は完全に取り囲まれる少なくとも1つの領域を有しており、該領域には、少なくとも1つのフォイルカッター貫通部が設けられており、フォイルカッター貫通部を介して、打ち抜くべきシート部材又は扁平部材の打ち抜かれる少なくとも1つの部分(打ち抜き部分)が吸引され、かつ前記領域に保持されて、支持ローラーによって引き続き搬送されるようになっている形式のものにおいて、フォイルカッターが、切刃に隣接しかつ該切刃により部分的に又は完全に取り囲まれる少なくとも1つの領域内には、ベースプレートの上面に設けられる少なくとも1つの隆起部を有しており、隆起部は、該隆起部が、扁平部材の打ち抜かれる部分(打ち抜き部分)の締め付け若しくは扁平部材の打ち抜かれる複数の部分領域(打ち抜き部分領域)の締め付けを防止するように、形成して配置され、かつフォイルカッターに結合されており、
本発明の請求項9に記載の構成によれば、ロータリーパンチのための中実形カッターローラーであって、ローラー外周面に少なくとも1つの切刃が配置されており、ローラー外周面が、切刃に隣接しかつ該切刃により部分的に又は完全に取り囲まれる少なくとも1つの領域を有しており、該領域には、扁平部材の打ち抜かれる少なくとも1つの部分の吸引のための吸引開口部が配置されており、このような構成により、打ち抜くべきシート部材又は扁平部材の打ち抜かれる少なくとも1つの部分が吸引され、かつ前記領域に保持されて、支持ローラーによって引き続き搬送されるようになっている形式のものにおいて、中実形カッターローラーが、切刃に隣接しかつ該切刃により部分的に又は完全に取り囲まれる少なくとも1つの領域内には、ローラー外周面に設けられる少なくとも1つの隆起部を有しており、隆起部は、該隆起部が、打ち抜かれる扁平材料の締め付け、若しくは扁平部材の打ち抜かれる部分の締め付け或いは扁平部材の打ち抜かれる複数の部分領域の締め付けを防止するように、形成して配置され、かつ中実形カッターローラーに結合されている。
【0009】
上記構成において、締め付けの防止は、隆起部(突起部)が、打ち抜かれて吸引される扁平部材を曲げ又は湾曲させ、うねらせ、或いは起伏させることにより行われる。従って、本発明に基づき設けられる隆起部は、常に、打ち抜かれた扁平部材、つまり打ち抜き部分の曲げが生じるように形成されることになる。
【0010】
上記構成における利点として、打ち抜き過程中に打ち抜き部分の、ベースプレートに向かう移動(沈み込み運動)が隆起部により逆方向の作用を受けることに基づき、打ち抜き部分の締め付け(切刃間における挟み込み)が未然に防がれるようになっている。従って、本発明の課題設定に係る打ち抜き部分の不都合な押し出し、つまり打ち抜き部分に損傷を与えてしまうような押し出しは、もはや不要になっている。更に、打ち抜き部分をカッターローラーから分離するための吹き出し空気が、従来技術の場合よりも低い圧力で作用させられるようになっており、このことは騒音発生及び圧縮空気消費量の減少に寄与するものである。
【0011】
本発明の適切な形態によれば、1つの表面又は上面に切刃を備えるフォイル又はシートから成るフォイルカッターは、支持ローラーの外周面に張設されるようになっている。本発明の更に適切な形態によれば、フォイルカッターは、磁力により支持ローラーの外周面に保持されるようになっている。フォイルカッターをクランプ力により支持ローラーの外周面に保持することも可能である。別の形態によれば、フォイルカッターを形状結合若しくは嵌合結合により支持ローラーの外周面に保持することも可能である。更に別の形態によれば、フォイルカッターを接着力により支持ローラーの外周面に保持し、或いはフォイルカッターを吸引空気により支持ローラーの外周面に保持することも可能である。もちろん、フォイルカッターの固定のために、前記保持手段を種々に組み合わせて用いることができる。
【0012】
吸引及び空気吹き出し機能を有する支持ローラーを用いる場合に、有利な形態によれば、隆起部は、リブ又はウエブ及び/又は平坦部及び/又はピン及び/又は切刃及び/又は盛り上がり部として形成されている。リブ又はウエブ、平坦部、ピン、切刃及び盛り上がり部は、互いに種々に組み合わせて用いられ得るものである。該形態の利点は、種々の形状及び大きさの打ち抜き部分の締め付けの防止のために必要なフレキシブル性にある。隆起部の本来の形状及び配置方向等は、前記形態により完全には規定されていなくてよいものである。前記形態は、本発明の実施の可能性を示すものである。
【0013】
有利な形態によれば、隆起部は、吸引及び/又は吹き出し空気案内部としての少なくとも1つの貫通部を含んでいる。このような構成により、吸引及び吹き出し空気の制約されない使用が可能になっている。該形態は、隆起部の位置決め並びに吸引及び空気吹き出し機能に関するフレキシブル性と関連して、ローラー孔パターン(ローラーに格子状のパターンで設けられる孔により形成される吸引及び/又は空気吹き出しのためのメッシュ又はスクリーン)の密度の制約及びフォイルカッターの必要な適合性に対処するものである。
【0014】
更に有利な形態によれば、隆起部が、フォイルカッターの平面図で見て、少なくとも1つの切刃の少なくとも1つの切刃輪郭区分(切刃区分)と直接に接続又は隣接している。このような構成により、打ち抜き部分の締め付けが、実際の締め付け区域で防止(阻止)されるようになっている。更に有利な形態によれば、隆起部が、フォイルカッターの平面図で見て、1つ又は複数の切刃の複数の切刃輪郭区分と直接に接続又は隣接している。このような構成により、打ち抜き部分の締め付けが、複数の締め付け区域で同時に防止される。
【0015】
本発明の別の形態によれば、隆起部が、フォイルカッターの平面図で見て、1つ又は複数の切刃の複数の切刃輪郭区分間に、それも切刃輪郭区分と直接には接続していない状態で位置決めされ、或いは1つ又は複数の切刃の複数の切刃輪郭区分の横に、それも切刃輪郭区分と直接には接続していない状態で位置決めされている。
【0016】
前の両方の段落で述べてある形態を種々に組み合わせて用いることも、もちろん可能である。
【0017】
本発明の可能な形態によれば、隆起部の高さhは、切刃高さHよりも低くなっており、或いは切刃高さHと同じであり、つまり、両方の高さ間の差Δhが切刃高さHの0%〜100%である。この場合に有利には、両方の高さ間の差Δhは切刃高さHの0%〜70%である。
【0018】
本発明の別の可能な形態によれば、隆起部の高さhは、切刃高さHよりも低くなっており、この場合に、両方の高さ間の差Δhが切刃高さHの10%〜50%であり、有利には、両方の高さ間の差Δhが切刃高さHの10%〜40%である。
【0019】
本発明の適切な形態によれば、本発明に係るフォイルカッターは、対向刃要素と一緒に用いられるものであり、対向刃要素は、定位置又は不動の対向刃条片として形成され、或いは、平滑な表面又は外周面を有する対向刃ローラーとして形成されている。
【0020】
本発明の別の適切な形態によれば、本発明に係るフォイルカッターは、それ自体切刃装置を備えるカッターローラー又はナイフローラーとして形成された対向刃要素と一緒に用いられるものである。
【0021】
本発明の更に別の適切な形態によれば、本発明に係るフォイルカッターは、定位置又は不動の対向刃要素(例えば対向刃条片若しくは刃受け台或いは対向カッター又は対向ナイフ)として形成された対向刃要素と一緒に用いられるものである。
【0022】
特に有利には、本発明に係るフォイルカッターは、閉じた切刃輪郭で用いられるものであり、この場合に、切刃により完全に取り囲まれる領域の面積は、150mm2よりも小さいか又は同じであり、つまり約150mm2である。
【0023】
本発明は、別の構成若しくは追加的な構成として中実形カッターローラーにも用いられるものであり、中実形カッターローラーにおいて、切刃はローラー外周面に配置されていて、ローラーと一体に結合されており、つまり、カッターローラーの構成部分である。
【0024】
中実形カッターローラーの本発明の形態によれば、隆起部の高さは、切刃高さの30%〜100%であり、有利には切刃高さの60%〜90%である。本発明の適切な形態によれば、切刃高さは、最大3mmである。本発明の有利な形態によれば、切刃高さは、最大2mmである。本発明の形態によれば、切刃により完全に取り囲まれる領域の面積は、150mm2よりも小さいか又は同じである。
【0025】
本発明の形態によれば、実質的に中実の柱体、つまり円柱体から成りかつ切刃を備える中実形カッターローラーは、吸引及び空気吹き出し機能を有するローラーとして形成されている。中実形カッターローラーにおいて、本発明に基づく隆起部は、カッターローラーの構成部分であり、吸引及び空気吹き出し機能が直接にカッターローラー内に設けられおり、フォイルカッターのための固定手段は不要になっている。本発明の中実形カッターローラーの形態によれば、隆起部は、フォイルカッターの隆起部と同様に、ウエブ及び/又は平坦部及び/又はピン及び/又は切刃及び/又は盛り上がり部として形成されている。更に有利な形態によれば、隆起部が、吸引及び/又は吹き出し空気案内部としての少なくとも1つの貫通部を含んでいる。有利な形態によれば、隆起部は、ローラー外周面及び該ローラー外周面上に配置される構成要素を含めて展開して描かれる平面図で見て、少なくとも1つの切刃の少なくとも1つの切刃輪郭区分と直接に接続(隣接)している。別の有利な形態によれば、隆起部は、ローラー外周面及び該ローラー外周面上に配置される構成要素を含めて展開して描かれる平面図で見て、1つ又は複数の切刃の複数の切刃輪郭区分間に、それも該切刃輪郭区分と直接には接続していない状態で位置決めされ、或いは1つ又は複数の切刃の複数の切刃輪郭区分の横に、該切刃輪郭区分と直接には接続していない状態で位置決めされている。
【0026】
フォイルカッターにおいても、中実形カッターローラーにおいても、本発明に基づく隆起部は、理想的には中実構造で形成されている。つまり、フォイルカッターにおいて、隆起部の下側(支持ローラーに向いた側)は、ベースプレートの下側と一緒に一貫した面を形成しており、隆起部の下側と隆起部の上側(打ち抜き部材に向いた側)との間に、中空部は全く存在していない。隆起部は、支持ローラーに支持されるようになっている。中実形カッターローラーにおいても、隆起部と中実ローラーとの間には、若しくは隆起部の上面と中実ローラーとの間には中空部は全く存在していない。空気貫通部は例外である。
【0027】
特に有利には、隆起部は、フォイルカッターの構成部分であり、中実形カッターローラーを用いる場合には、中実形カッターローラーの構成部分である。つまり、隆起部とフォイルカッターとの間に素材結合部があり、また、隆起部と中実形カッターローラーとの間に素材結合部がある。理想的には、隆起部とフォイルカッターとは1つの部材から成形又は製造され、また、隆起部と中実形カッターローラーとは1つの部材から成形又は製造されている。
【0028】
全ての形態に当てはまることとして、切刃高さHは、本来の切刃の高さを意味するものである。このことは、図5に示してある。隆起部の高さの下側、つまりベースプレート又はカッターローラーの側の計測基準は、切刃高さの下側の測定基準と同一の平面である(展開されたフォイルカッター若しくはカッターローラーの展開された外周壁で見て)。該平面は、フォイルカッターのベースプレートの上面若しくはカッターローラーのローラー外周面と一致していてよく、或いは、フォイルカッターのベースプレートの上面若しくはカッターローラーのローラー外周面に対して距離を置いて平行に延びるものであってよい。
【0029】
次に、本発明を複数の実施形態に基づき詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明に係るフォイルカッターの1つの実施形態を展開して示す部分平面図及び対応する断面図である。
【図2】本発明に係るフォイルカッターの別の実施形態を展開して示す部分平面図及び対応する断面図である。
【図3】本発明に係るフォイルカッターの更に別の実施形態を展開して示す部分平面図及び対応する断面図である
【図4】ロータリーパンチの概略図である。
【図5】中実形カッターローラーの展開されたローラー外周面の部分平面図である。
【0031】
次に、本発明に係るフォイルカッターの種々の実施形態を図面に基づき説明する。各図面において、機能的に同一の構成部分には、同一の符号が付けられている。
【0032】
図1には、本発明に係るフォイルカッター2を備えるロータリーパンチ1の第1の実施形態が、図4と関連して示してある。フォイルカッター2は、支持ローラー上に支えられるようになっており、支持ローラー表面と一緒に展開して示されている。対応する断面図は、フォイルカッター2のみを示している。支持ローラーは、図示の実施形態では、吸引及び空気吹き出し機能を有するテンションローラー又はダンサーローラーとして形成されている。支持ローラーは、張設されたフォイルカッター2と一緒に、カッターローラー10を形成している。カッターローラー10によって、切刃輪郭3に相当する窓又は穴(以下においては、単に「穴」と称する)が、扁平部材9に、回転式打ち抜きにより打ち抜き形成(打ち抜き加工若しくは穴抜き加工又は穴あけ加工)されるようになっている。対向刃要素11が、図示の実施形態では、不動の対向刃条片によって形成されている。貫通部5によって、支持ローラーの吸引及び空気吹き出し開口6と打ち抜き部材9との間の接続部が形成されている。打ち抜き過程の後には、図示の実施形態では穴抜き屑(窓抜き屑又は抜きかす)である打ち抜き部分9′は、真空作用により吸引されて、カッターローラー10の周囲に沿って、屑吸い出し装置12の引き渡し部位まで搬送される。そこで、カッターローラー10からの穴抜き屑9′の分離が、吸い込み空気から吹き出し空気への切り換えによって行われる。図示の実施形態においては、隆起部4により、切刃型又は穴抜き型とも称される切刃工具3内への打ち抜き部分の完全な吸い込みが避けられるようになっている。その結果、切刃工具の切刃間における打ち抜き部分9′の締め付けが避けられて、問題のない引き渡しが可能となっている。図示の実施形態では、切刃高さHは0.7mmであり、隆起部の高さhは0.6mmである。ベースプレート13の厚さは0.1mmである。もちろん、前記寸法とは異なる寸法によっても、機能は達成される。高さhを変えることにより、切断特性を調整することができる(このことは全ての実施形態に当てはまる)。隆起部4は、平面図で見て、切刃輪郭3に直接に接続していて、そこから、切除すべき打ち抜き部分の領域内をウエブ状若しくはリブ状に延びている。この種の隆起部は、互いに近接して位置する切刃輪郭区分及び閉じた小さな切刃輪郭(穴)にとって特に適している。隆起部4の配置及び数は、有利には切り取り形状又は切刃工具に合わせて設定されるものである。吸引及び空気吹き出し開口6を大きな面積にわたって閉鎖してしまうことが避けられる。
【0033】
図2には、本発明に係るフォイルカッター2を備えるロータリーパンチ1の第2の実施形態が、図4と関連して示してある。第1の実施形態との相違点は、隆起部4′の構成にある。隆起部4′は、ピン構造で形成されている。隆起部4′は、打ち抜かれた打ち抜き部分が曲げられ、その結果、切刃3間に締め付けられないように、機能するものである。打ち抜き部分9′の問題のない引き渡しが可能となっている。各高さは、第1の実施形態のものと同じ寸法である。隆起部4′は、平面図で見て、切刃輪郭3と直接には接続していない。隆起部4′に設けられた貫通部8(D=1mmの孔)は、追加的な打ち抜き部分吸引開口部若しくは打ち抜き部分吹き出し開口部として用いられ得るものである。隆起部4′の配置及び数は、有利には切り取り形状又は切刃工具に合わせて設定されるものである。第2の実施形態も、互いに近接して位置する切刃輪郭区分及び閉じた小さな切刃輪郭にとって適するものである。
【0034】
図3には、本発明に係るフォイルカッター2を備えるロータリーパンチ1の第3の実施形態が、図4と関連して示してある。前述の実施形態に対して次の相違点がある:対向刃要素11は、回転するカッターローラーとして形成されている。本発明に基づく隆起部4″の作用を受ける打ち抜き部分9′は、第3の実施形態では、いわゆるレストグリッド(格子状残部)である。後続の機械装置への打ち抜き部分9′の引き渡しは、適切な方法で行われ、該方法の詳細は省略してある。隆起部4″は、ウエブ構造若しくはリブ構造で形成されている。隆起部4″は、打ち抜き部分9′が切刃工具3内に完全には吸い込まれないように、機能するものである。これにより、切刃間における打ち抜き部分9′の締め付けが避けられ、打ち抜き部分9′の問題のない引き渡しが可能となっている。他方では、隆起部4″は、該隆起部がレストグリッドを案内するように配置されている。第3の実施形態において、切刃高さHは0.6mmであり、隆起部の高さhは0.3mmである。隆起部4″の配置及び数は、有利には切り取り形状又は切刃工具に合わせて設定される。
【0035】
図5は、図4と関連して、ロータリーパンチ1の別の実施形態を示すものであり、該実施形態においては、フォイルカッター2の代わりに、中実形カッターローラー10′が用いられる。中実形カッターローラー10′の切刃高さは、2.5mmであり、隆起部4,4′,4″の高さは2,4mmである。ローラー10′は、吸引及び空気吹き出し機能を有している。他の構成部分は、図1の実施形態の対応する構成部分と同じである。
【符号の説明】
【0036】
1 ロータリーパンチ、 2 フォイルカッター、 3 切刃輪郭又は切刃工具、 3′ 切刃輪郭区分、 4,4′,4″ 隆起部、 5 フォイルカッター貫通部(クロスハッチング)、 6 支持ローラーの吸引及び空気吹き出し開口部、 7 締め付け領域(ハッチング)、 8 貫通部、 9,9′ 扁平部材又は打ち抜き部材若しくは打ち抜き部分、 10 カッターローラー(支持ローラー+フォイルカッター)、 10′ カッターローラー(中実カッター)、 11 対向刃要素、 12 屑ホッパー又は屑吸い出し装置、 13 ベースプレート、 14 ベースプレートの上面、 15 ベースプレートの下面、 16 ローラー外周面、 D 空気通過孔直径、 H 切刃高さ、 h 隆起部の高さ、 Δh 差高さ又は差寸法(Δh=H−h)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロータリーパンチ(1)の支持ローラーの外周面に用いられるフォイルカッター(2)であって、該フォイルカッターが、下面(15)及び上面(14)を備えるベースプレート(13)を有しており、該ベースプレート(13)の前記上面(14)には、少なくとも1つの切刃(3)が配置されており、前記ベースプレート(13)の前記上面(14)が、前記切刃(3)に隣接しかつ該切刃により部分的に又は完全に取り囲まれる少なくとも1つの領域(7)を有しており、該領域には、少なくとも1つのフォイルカッター貫通部(5)が設けられており、該フォイルカッター貫通部を介して、扁平部材の打ち抜かれる少なくとも1つの部分(9′)が吸引され、かつ前記領域(7)に保持されて、前記支持ローラーによって引き続き搬送されるようになっている形式のものにおいて、
前記フォイルカッター(2)が、前記切刃(3)に隣接しかつ該切刃により部分的に又は完全に取り囲まれる前記少なくとも1つの領域(7)内に、前記ベースプレート(13)の前記上面(14)に設けられる少なくとも1つの隆起部(4,4′,4″)を有しており、該隆起部は、該隆起部が、前記扁平部材の打ち抜かれる前記部分(9′)の締め付け若しくは前記扁平部材の打ち抜かれる複数の部分領域の締め付けを防止するように、形成して配置されかつ前記フォイルカッター(2)に結合されていることを特徴とする、フォイルカッター。
【請求項2】
隆起部(4,4′,4″)が、ウエブ及び/又は平坦部及び/又はピン及び/又は切刃及び/又は盛り上がり部として形成されている請求項1に記載のフォイルカッター。
【請求項3】
隆起部(4,4′,4″)が、吸引及び/又は吹き出し空気案内部としての少なくとも1つの貫通部(8)を含んでいる請求項1又は2に記載のフォイルカッター。
【請求項4】
隆起部(4,4′,4″)が、フォイルカッター(2)の平面図で見て、少なくとも1つの切刃(3)の少なくとも1つの切刃輪郭区分と直接に接続している請求項1から3のいずれか1項に記載のフォイルカッター。
【請求項5】
隆起部(4,4′,4″)が、フォイルカッター(2)の平面図で見て、1つ又は複数の切刃(3)の複数の切刃輪郭区分(3′)間に、又は複数の切刃輪郭区分(3′)の横に、切刃輪郭区分(3′)と直接には接続していない状態で位置決めされている請求項1から3のいずれか1項に記載のフォイルカッター。
【請求項6】
隆起部(4)の高さ(h)が、切刃高さ(H)よりも低く、又は切刃高さ(H)と同じであり、両方の高さ間の差(Δh)が切刃高さ(H)の0%〜100%である請求項1から5のいずれか1項に記載のフォイルカッター。
【請求項7】
隆起部(4)の高さ(h)が、切刃高さ(H)よりも低くなっており、両方の高さ間の差(Δh)が切刃高さ(H)の10%〜40%である請求項6に記載のフォイルカッター。
【請求項8】
切刃により完全に取り囲まれる領域(7)の面積が、150mm2よりも小さいか、又は同じである請求項1から7のいずれか1項に記載のフォイルカッター。
【請求項9】
ロータリーパンチのための中実形カッターローラー(10′)であって、ローラー外周面(16)に少なくとも1つの切刃(3)が配置されており、前記ローラー外周面(16)が、前記切刃(3)に隣接しかつ該切刃により部分的に又は完全に取り囲まれる少なくとも1つの領域(7)を有しており、該領域には、扁平部材の打ち抜かれる少なくとも1つの部分(9′)の吸引のための吸引開口部(6)が配置されており、このような構成により、前記少なくとも1つの部分(9′)が吸引され、かつ前記領域(7)に保持されて、前記中実形カッターローラー(10′)によって引き続き搬送されるようになっている形式のものにおいて、
前記中実形カッターローラー(10′)が、前記切刃(3)に隣接しかつ該切刃により部分的に又は完全に取り囲まれる前記少なくとも1つの領域(7)内に、前記ローラー外周面(16)に設けられる少なくとも1つの隆起部(4,4′,4″)を有しており、該隆起部は、該隆起部が、前記扁平部材の打ち抜かれる前記部分(9′)の締め付け若しくは前記扁平部材の打ち抜かれる複数の部分領域の締め付けを防止するように、形成して配置されかつ前記中実形カッターローラー(10′)に結合されていることを特徴とする、中実形カッターローラー。
【請求項10】
カッターローラー(10′)が、吸引及び空気吹き出し機能を有するローラーとして形成されている請求項9に記載の中実形カッターローラー。
【請求項11】
隆起部(4,4′,4″)が、ウエブ及び/又は平坦部及び/又はピン及び/又は切刃及び/又は盛り上がり部として形成されている請求項9又は10に記載の中実形カッターローラー。
【請求項12】
隆起部(4,4′,4″)が、吸引及び/又は吹き出し空気案内部としての少なくとも1つの貫通部(8)を含んでいる請求項9から11のいずれか1項に記載の中実形カッターローラー。
【請求項13】
隆起部(4,4′,4″)が、ローラー外周面(16)及び該ローラー外周面上に配置される構成要素を含めて展開して描かれる平面図で見て、少なくとも1つの切刃(3)の少なくとも1つの切刃輪郭区分と直接に接続している請求項9から12のいずれか1項に記載の中実形カッターローラー。
【請求項14】
隆起部(4,4′,4″)が、ローラー外周面(16)及び該ローラー外周面上に配置される構成要素を含めて展開して描かれる平面図で見て、1つ又は複数の切刃(3)の複数の切刃輪郭区分(3′)間に、又は1つ又は複数の切刃(3)の複数の切刃輪郭区分(3′)の横に、該切刃輪郭区分(3′)と直接には接続していない状態で位置決めされている請求項9から12のいずれか1項に記載の中実形カッターローラー。
【請求項15】
隆起部の高さ(h)が、切刃高さ(H)の30%〜100%である請求項9から14のいずれか1項に記載の中実形カッターローラー。
【請求項16】
隆起部の高さ(h)が、切刃高さ(H)の60%〜90%である請求項15に記載の中実形カッターローラー。
【請求項17】
切刃高さ(H)が、最大3mmである請求項9から16のいずれか1項に記載の中実形カッターローラー。
【請求項18】
切刃により完全に取り囲まれる領域(7)の面積が、150mm2よりも小さいか、又は同じである請求項9から17のいずれか1項に記載の中実形カッターローラー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2012−532764(P2012−532764A)
【公表日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−520051(P2012−520051)
【出願日】平成22年7月16日(2010.7.16)
【国際出願番号】PCT/EP2010/060317
【国際公開番号】WO2011/006992
【国際公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【出願人】(591220872)ヴィンクラー・ウント・デュンネビアー・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング (12)
【氏名又は名称原語表記】Winkler + Dunnebier GmbH
【住所又は居所原語表記】Sohler Weg 65,D−56564 Neuwied,Germany
【Fターム(参考)】