フォトレジストのガス放出における注入の均一性を向上させる方法
ビームラインに沿って圧力の増加を被るイオンビームの注入の均一性を向上させるための方法および装置が提供される。本方法は、実質的に一定の速さにてワークピースを横切るイオンビームを動かす、メインのスキャン波形を生成する工程を含む。一定の高さおよび波形を有している補正波形(例えば、二次波形)もまた生成されて、メインのスキャン波形と混合され(例えば、可変のミキサーによって)、ビームのスキャン波形を形成する。混合比は、瞬時の減圧信号によって調整され得る。当該調整は、スキャン波形を連続的に修正するのに比べ、非常に速い速度にて、非常に容易に実施され得る。混合は、ビームがワークピースを横切って動く際のイオンビームの速さを変える不定の傾きを有するビームのスキャン波形を供給する。従って、不定の傾きを有する、得られるビームのスキャン波形は、高速スキャンの方向に沿うドーズにおける不均一性を補償する。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
〔発明の分野〕
本発明は、概してイオン注入システムに関し、特に、フォトレジストのガス放出におけるイオン注入の注入均一性を向上させる方法および装置に関する。
【0002】
〔発明の背景〕
半導体装置の製造において、イオン注入は、多くの場合、不純物を使って半導体のワークピース(例えば、シリコンウエハ)をドープするために使用される。例えば、イオン注入器またはイオン注入システムは、n型ドープ領域もしくはp型ドープ領域を生成するため、またはワークピースにおいて保護層を形成するために、イオンビームを使ってワークピースを処理することがある。イオン注入システムは、半導体をドープするのに使用される際、所望の外因性物質を生成するために、選択されたイオン種を注入する。
【0003】
一般に、イオンビーム注入器は、イオン化可能な原料物質から正に帯電したイオンを生成するイオン源を備えている。イオンビームは、生成されたイオンから成り、ビーム経路(パス)に沿ってイオン注入ステーションに向けられる。イオン注入器は、イオン源と上記注入ステーションとの間に伸びるビーム形成および整形構造体(例えば、ビームの補正磁石)を備えることもある。ビーム形成および整形構造体は、注入ステーションへの経路途中におけるイオンビームの状態が完全であることを維持するものである。
【0004】
たいていワークピースのサイズがイオンビームのサイズよりも大きいので、複合型のスキャンイオン注入器は、多くの場合、イオンビームがワークピースの表面上を走査(スキャン)できるようにして用いられる。一般的に、スキャンシステムは、イオンビームを偏向するために配置される1対のスキャンプレート(または電磁スキャニングのためのスキャニング電磁石)、およびスキャンプレートに対してスキャン波形に関連する電圧を加える(または電磁スキャニングのためのスキャニング電磁石へ電流を加える)ように構成されているスキャン波形の生成器を備えている。この電圧は、スキャン経路上(例えば、リボンビーム中)の全体を往復するビーム(例えば、ペンシルビーム)を偏向するまたは走査するために、プレート間の電界および磁界を変更する時間を生じさせ、その結果、ワークピースを直交する方向へ動かしている間に、ビームを効果的に広げる。
【0005】
しばしば、ワークピースの表面上に均一に注入できることが望まれている。残念ながら、実際の用途において、イオン注入システムは、多くの場合、ウエハ上の不均一性を免れられない。これらの不均一性が補正されない場合、ワークピースは不均一に注入され、製品収量は損害を受けることになる。
【0006】
〔発明の概要〕
本発明は、注入の過程において、減圧の変動(例えば、フォトレジストのガス放出に起因する)を被る(受ける)注入システムにおける注入の均一性を向上させる方法および装置を導くものである。緩やかな機械的な動きの方向において、フォトレジストのガス放出を被るシステムに対して、注入の均一性を向上させるいくつもの従来技術があるとはいえ、フォトレジストのガス放出の間、イオンビームのスキャン方向(換言すると、高速スキャンの方向)におけるイオン注入の不均一性を修正することに成功した方法はなかった。本発明は、急速に変わるフォトレジストのガス放出の状況に応じて、ビームのスキャン方向の修正(例えば、通常、1KHzで繰り返す高速スキャン波形の修正)の問題を解決するものである。
【0007】
一般的に、本方法は、実質的に一定の速さにてイオンビームを動かすメインのスキャン波形(例えば、三角形の波形)を生成する工程を含んでいる。一定の高さおよび波形(換言すると、形状)を有している補正波形(例えば、二次の波形)もまた、イオンビームのスキャン装置に供給されるビームのスキャン波形を形成するために生成され、メインのスキャン波形に追加される(足し合される)。フォトレジストのガス放出の状況に起因する変動する圧力に応じて、メインのスキャン波形と補正波形との間の混合比を調整する工程によって、イオンビームがウエハを横切って動くときのその速度を変更するように設定された不定の傾きを有するビームのスキャン波形が供給されることがある。メインのスキャン波形および補正波形の混合比を修正する工程は、急速に変わる状況に追従するよう、非常に早くかつ円滑に達成されることがある。
【0008】
より具体的には、多くの連続するイオン注入器の構造において、イオンビームのスキャン方向(換言すると、高速スキャンの方向)に沿ったフォトレジストのガス放出に起因する不均一性は、ドーズの線形のばらつき(変動)となる傾向がある。ワークピース上のある地点での瞬時のドーズは、当該地点でのビーム電流およびビームの書き込みの速さに比例するため、線形のドーズのばらつきの補正は、イオンビームのスキャン方向(換言すると、高速スキャンの方向)におけるイオンビームの書き込みの速さの線形のばらつきによって達成され得る。書き込みの速さが、時間におけるビームの位置の時間微分であるため、ビームのスキャン波形に関して、メインのスキャン波形の二次のばらつきは、線形のドーズのばらつきの補正をもたらす。
【0009】
従って、ある特定の実施形態において、実質的に一定の傾きを有する(例えば、メインのスキャン波形の、異なる一定の傾きを有する振幅の多様な一部とともに、実質的に区分的に一定の傾きを有する)メインのスキャン波形に対する二次波形を有する補正波形の混合比は、ガス放出の状況に応じて(例えば、真空計からの実質的に瞬時の真空の測定値によって)調整されてもよい。ある実施例において、メインのスキャン波形は、圧力が大きいときには、ビームのスキャン方向に沿った大きな書き込みの速さのばらつき(変動)を引き起こすビームのスキャン波形を形成するための、二次の補正波形によって修正される。メインのスキャン波形は、圧力が小さいときには、ほぼ一定の速度を引き起こすビームのスキャン波形を形成するための、二次の補正波形によって修正される(換言すると、ほぼ純然たる三角形状の波形へ二次の成分の混合が全くない)。従って、不定の傾きを有する、得られるビームのスキャン波形は、圧力変化に起因する高速スキャンの方向に沿うドーズにおける不均一性を補償する。
【0010】
前述の目的および関連する目的を達成するために、本発明は、以下で請求項に完全に記載され、かつ詳細に示される、特徴点を備えている。後述の説明、および添付された図面は、本発明のある実例となる態様および実施例を詳細に説明するものである。しかしながら、これらは、本発明の原理が適用され得る様々な方法の中のいくつかについて示したに過ぎない。本発明の他の目的、利点、および新規な特徴は、図面とともに考察される場合に、後述する本発明の詳細な説明によって明らかになる。
【0011】
〔図面の簡単な説明〕
図1は、例示的なイオン注入器を説明している概略ブロック図である。
【0012】
図2Aは、ワークピースを横切るイオンビームの例示的なスキャン経路を説明する。
【0013】
図2Bは、イオンビームがワークピースの経路上を走査する、そのワークピースの断面の拡大図を説明する。
【0014】
図3Aは、例示的なメインのスキャン波形である。
【0015】
図3Bは、イオンビームの種々の部分間の経路の長さの違いを説明するビームラインの概略ブロック図である。
【0016】
図3Cは、高速スキャンの方向に沿ったドーズの不均一性を説明している、位置に対するイオンドーズの値を示すグラフである。
【0017】
図3Dは、複数のウエハに対する高速スキャンの方向に沿ったドーズの周期的な不均一性を説明している、時間に対するイオンドーズの値を示すグラフである。
【0018】
図4は、フォトレジストのガス放出における注入の均一性を向上させる方法の実施形態である。
【0019】
図5は、フォトレジストのガス放出における注入の均一性を向上させるように構成されるスキャンシステムの実施形態である。
【0020】
図6Aは、図5に規定されるような振幅の調整装置の実施例を説明している。
【0021】
図6Bは、図5に規定されるような振幅の調整装置の別の実施例を説明している。
【0022】
図7Aは、図6Aに示されるビーム経路の高速な方向に沿ったイオンビームを偏向させる第1の波生成器によって生成された、例示的なメインのスキャン波形を説明している、時間に対する電圧の値を示すグラフである。
【0023】
図7Bは、図7Aにおいて生成されたメインのスキャン波形の微分を説明している。
【0024】
図7Cは、明細書にて規定されるような第2の波生成器によって生成された二次の補正波形を説明している、時間に対する電圧の値を示すグラフである。
【0025】
図8Aは、メインのスキャン波形と二次の補正波形との合計を説明している。
【0026】
図8Bは、メインのスキャン波形と二次波形との合計の微分を説明している、時間に対する電圧の値を示すグラフである。
【0027】
図9は、明細書にて説明される1または複数の条件が実行可能な、例示的なコンピュータ環境を説明している。
【0028】
〔発明の詳細〕
図面を参照して本発明を説明する。図では、同じ参照番号は類似の構成要素を言及するために用いられる。
【0029】
図1は、本発明の一態様に基づく例示的なイオン注入システム110を説明するものである。システム110は、実例を意図するために示されるものであり、本発明の態様が記述されたイオン注入システムに限定されないこと、および他の適したイオン注入システムが同様に用いられることが理解される。
【0030】
システム110は、ターミナル112、ビームラインアッセンブリ114、およびエンドステーション116を有している。ターミナル112は、高電圧の電源122により電力が供給されるイオン源120を有しており、イオンビーム124を生成してビームラインアッセンブリ114へ向かわせる。ビームラインアッセンブリ114は、質量分析器26を備えている。本例において質量分析器126は、約90度の角度に形成されており、そこに(双極子)磁場をつくる働きをする1つまたは複数の磁石(図示せず)を備えている。ビーム124が質量分析器126へ入ると、不適切な質量−エネルギー生成物を有しているイオンが拒まれるように、ビーム124が磁場により相応して曲がる(例えば、過度に大きいか、または過度に小さい質量−エネルギー生成物を有しているイオンは、ビームガイド132の側壁127の中へ偏向される)。このように、質量分析器126は、所望の質量−エネルギー生成物を有している、ビーム124のこれらのイオンが、分解開口134を通り抜けて抜け出ることを可能にしている。質量の選択の後に、選択されたイオンのエネルギーが、加速部(または減速部)138のさらなる加速(または減速)によって調整される。イオンビームの他の粒子との衝突によって、ビームの完全性を低下させることができることから、ビームガイド132およびエンドステーション116を少なくとも空にするための、1つまたは複数のポンプ(図示せず)が含まれてもよい。
【0031】
システム110に描かれているスキャンシステム135は、2つの対向している静電スキャナー電極151を備えている。制御システム154は、スキャナーの電源149に接続されている。スキャナーの電源149は、電源149により静電スキャナー電極151へ加えられる電圧の波形をもたらすための構成が有効になされている。この例では、スキャン波形は、全体を往復するビーム124(例えば、リボンビームへ)を走査する静電界を変更する時間を形成する。角度の補正磁石160は、スキャナー136からの拡散イオンビームを、エンドステーション116に入る平行移動のイオンビームへ変える。複合型のスキャンイオン注入器において、ワークピース130は、電気の動作制御システム165の助けにより、機械的に上下に(紙面上では内外に)動く。エンドステーション116は、ワークピース130(例えば、ウエハ)に向かうイオンビーム124を受ける。種々の型のエンドステーション116が、注入器110において用いることができるということが理解される。
【0032】
図3Aは、三角形の波形を備える例示的なスキャン波形(例えば、高速スキャンの方向、X軸に沿ったビームのスキャンのために使用されるもの)を示している。波形の各「要素」は、ワークピースの表面に沿って、実質的に一定の速さにて走査するために、イオンビームを引き起こすように設計される実質的に一定の傾き(例えば、+m、−m)を有している。例えば、波形がt0からt1/2へ進むと、イオンビームはワークピースの左の端部302からワークピースの対向している右の端部304へと、ウエハを実質的に一定の速さにて走査することになる。同様に、波形がt1/2からt1へ進む際、イオンビームは右から左へと、ワークピースを実質的に一定の速さにて走査することになる。
【0033】
図2Aは、ワークピース204を横切る複合式(ハイブリッド)のイオンビーム202のスキャン経路を示しており、それによって、イオンビーム202がワークピース204の露出した表面全体に与えられる。イオンビームが、ワークピース上全体にビームを与えるように、第2のX(高速スキャン)方向に走査される間、複合式のシステムの示されたスキャン経路において、ワークピースは、第1のY(低速スキャン)方向に機械的に変えられる。従って、複数の左から右へのイオンビームのスキャンを通して、ワークピースの表面全体にイオンが注入される。図2Bは、イオンビーム202がワークピースに沿って経路上に走査する、ワークピース204の断面の拡大図206を示している。
【0034】
ワークピース204が、第1の(Yまたは低速スキャン)方向に動き始めるときに、イオンビーム202は、イオンビーム202のリボンに入り、イオンビームは、ワークピース204を凹型の曲面にするフォトレジストと接触する。フォトレジストが、イオンビーム202に衝突される際に、フォトレジストの層の一部は、イオンビームの照射を受けて破壊され始め、エンドステーションの圧力の増加を引き起こすガス放出を始める。イオンビーム202がワークピース204の中央にあると、ガス放出は頂点に達することになる。その後に、ワークピース204がイオンビーム202の外へ動くと、ガス放出が低減され、真空準位が好転する。
【0035】
通常の注入の工程において、ワークピース(例えば、半導体ウエハ)は、ビームの内外に数回に渡って動き、機械的な動きの方向に沿う注入の均一性を確保する。ウエハがビームを介して半分処理し終えられるまで、ビームがワークピースの表面の大きな領域と接触して、フォトレジストのガス放出は増加し、ウエハがワークピースの小さな領域と接触して、フォトレジストのガス放出は低減する。周期的なスキャンの動きは、減圧の水準の周期的な変動をもたらす。
【0036】
低速の、機械的なスキャンの方向に沿う注入ドーズの不均一性を引き起こすこのような圧力変化の影響は、技術的によく知られている。しかしながら、発明者は、これらの圧力変化が、高速スキャンの方向におけるドーズの不均一性を同様に引き起こす、ということを理解した。具体的には、イオンビームの経路の種々の部分間の違いは、ワークピース130に至るために種々のイオンドーズを引き起こす。例えば、図3Bに示されているように、拡散するイオンビーム310を、平行なビーム(312、314および316を備えている)に変えるために使用される典型的な角度の補正磁石308を配置することにより、スキャナーからワークピース318までのビームの経路の長さが、ワークピース上の最終的なビームの位置によって決まるという状況を生み出す。例えば、図3Bにおいて、イオンビームの外側の端部312は、イオンビームの内側の端部314よりも、ワークピース318に至るための、より長い経路を有している。優れた真空の状況下では、このような経路の長さの違いは、ワークピース318のドーズの差を引き起こすことはない。しかしながら、芳しくない真空の状況下では、バックグラウンドガスを有している荷電交換の衝突が、経路の長さが異なることによって、異なるドーズをもたらすことになる(例えば、より長い経路有している312が、より短い経路を有している314よりも、荷電交換の衝突を被ることになる)。
【0037】
このようなドーズの不均一性は、高速スキャンの方向に沿うワークピースのドーズの特徴を変える。図3Cは、高速スキャンの方向(X軸)に沿った位置に対するドーズ(Y軸)のグラフ320を示している。図3Cに示されている通り、圧力変化(例えば、フォトレジストのガス放出)は、ドーズの特徴を、高速スキャンの方向上の比較的に均一な特徴322から(例えば、優れた減圧の状況における)、左から右へ減少している線形の傾きを優位に有している高速スキャンの方向に沿うドーズの特徴324(例えば、芳しくない減圧の状況における)へと変更させる。
【0038】
発明者は、低速の機械的なスキャン速度における補正が、高速スキャンに対する平均のドーズにおける補正を単にもたらし、イオンビームの一部分(例えば、イオンビーム316の中心)を補正する、ということをさらに理解した。この結果、図3Dに示されるようなビーム電流326をもたらし、これは、イオンビームのある端部328がオーバードーズを提供し、イオンビームの他の端部330がアンダードーズを提供する。さらに、注入における減圧の変化の速度に起因して、変化する真空の状況に従ってメインのスキャン波形を継続して変更することは、コンピュータの制限による固有の遅れのために、実行することが技術的に難しい。
【0039】
従って、発明者は、フォトレジストのガス放出における、高速スキャン方向の注入の均一性を向上させる方法および装置を提供する。本方法は、実質的に一定の速さにて、ワークピース上にイオンビームを動かす、実質的に一定の傾きを有しているメインのスキャン波形を生成する工程を含んでいる。固定された高さおよび波形を有している補正波形(例えば、左から右への線形のドーズの変動のための二次波形)もまた、スキャン装置に供給されるビームのスキャン波形を形成するために生成され、メインのスキャン波形に(例えば、可変のミキサーによって)追加される(足し合わされる)。メインのスキャン波形と補正波形との混合比は、実質的に瞬時の減圧の信号に応じて調整される。調整は、メインのスキャン波形を連続的に修正することに比べ、非常に速い速度にて、非常に容易に実施することができる。メインのスキャン波形へ補正波形(例えば、二次波形)を追加する(足し合わせる)ことにより、ビームがウエハを横切って動くときのイオンビームの速さを変更する、不定の傾きを備えるビームのスキャン波形が供給される。
【0040】
特定の実施例において、二次の補正波形は、圧力変化を補償するビームのスキャン波形を形成するために、実質的に一定の傾きを有しているメインのスキャン波形に追加される(換言すると、追加は、二次波形を有している補正波形と、実質的に一定の傾きを有しているメインのスキャン波形との混合比を変える)。具体的には、ビームのスキャン波形は、メインのスキャン波形を様々な量の補正波形と混合することによって、測定された圧力の状況に準じて修正され、圧力が大きい場合には(例えば、イオンビームを低速から高速へ、左から右へ動かす)、左から右への増大したスキャンの速度の変動を引き起こし、圧力が小さい場合には、低減した速度の変動(例えば、一定のスキャン速度)を引き起こす。従って、不定の傾きを有する、得られるビームのスキャン波形は、圧力変化に起因する高速スキャンの方向に沿うドーズにおける不均一性を補償する。
【0041】
図4は、圧力変化(例えば、フォトレジストのガス放出に起因する)に応じて高速スキャン方向の注入の均一性を向上させる例示的な方法400を示している。本方法は、メインのスキャン波形へ補正波形(例えば、二次波形)を加えること、または混合することによって、メインの波形の実質的に線形の傾きを変更し、その結果、メインのスキャン波形と補正波形との可変の混合比を備えたビームのスキャン波形(非線形の傾きを有している)をもたらす。
【0042】
方法400は、一連の工程または事象として説明されており、記載されているとはいえ、このような工程または事象の説明されている順番は、限定している意味には解釈されない。例えば、いくつかの工程が、異なる順番および/または説明されているそれらおよび/または記載されているそれらと別の他の工程もしくは事象と同時に起こってもよい。加えて、ここに開示された1つまたは複数の態様もしくは実施形態を実行するために、説明されている工程のすべてが要求されなくてもよい。また、ここに開示される1つまたは複数の工程は、1つまたは複数の分かれた工程および/または段階において実行されてもよい。
【0043】
402では、メインのスキャン波形が生成される。メインのスキャン波形は、ワークピース上を走査されるイオンビームの動き(例えば、瞬時の位置)を制御するために、スキャン装置(例えば、スキャンの板)に加えられる電圧または電流を備えた波形である。ある実施形態において、メインのスキャン波形は、機能のすべての要素が、等しい大きさ(例えば、+m、−m)を有している傾きを含んでいる三角の波形のような区分線形関数(例えば、種々の要素または種々の一定の傾きを有しているメインのスキャン波形の振幅の下位の振幅を有している機能)を備えてもよい。一定の傾きを有するこのようなメインのスキャン波形は、実質的に均一な速さでワークピースを横切って移動するイオンビームを生成するように構成されており、その結果、全体のワークピース上に実質的に均一な注入のドーズをもたらす。ある実施形態においては、メインのスキャン波形は、ビームのスキャン方向(換言すると、高速スキャンの方向)における注入の均一性を均一にするために、少しの補正を備えるが、概してメインのスキャン波形は、真空状況の変動により、注入の間中、その振幅または波形を変えない。
【0044】
404では、補正波形が生成される。補正波形は、ビームラインに沿う圧力変化の不利な影響に対して補正を可能にする形(例えば、多項式の形)を有する波形を備える(例えば、ガス放出に起因して、エンドステーションのイオンビームのスキャン経路に沿う)。ある実施形態において、補正波形は、固定された高さおよび波形を有している二次波形(例えば、ax2+bx+cの形を有している波形)を備えてもよい。二次の補正波形は、イオンビームがウエハを横切って走査するたびに、毎回、二次波形を周期的に繰り返すように構成されており、その結果、フォトレジストのガス放出に起因する圧力の周期的な変化(例えば、図3Aに示されているような、圧力の周期的な変化)を補償する。代替的な実施形態において、補正波形は、メインのスキャン波形への補正をもたらすように構成されている、より高次の多項式の機能(例えば、四次の、五次の、六次の)を備えてもよい。このようなより高水準の多項式の機能は、ビームラインに沿って測定される圧力の不均一性のより正確な補正を可能にすることができる。
【0045】
補正波形は、多様な方法によって発生され得る。ある実施形態において、補正波形は、メインのスキャン波形より、種々の波生成器によって発生され得る。代替的な実施形態において、1つまたは複数のコンピュータは、1つまたは複数のコンピュータが、ソフトウェアルーチン(例えば、コンピュータ読取り可能な媒体に格納されているソフトウェアルーチン)に準じて、メインのスキャン波形および補正波形を混合する、メインのスキャン波形および補正波形の両方を生成するように構成され得る。
【0046】
406では、補正波形の振幅が調整される。ある実施形態において、補正波形の振幅は、実質的に瞬時の減圧の測定値(例えば、処理チェンバーに存在するガス放出の水準に対応する圧力の測定値)に応じて、大きい振幅または小さい振幅へ調整される。ある実施形態において、補正波形の振幅は、補正波形の最大の混合比がメインのスキャン波形の振幅に依らず一定に留まるように、メインのスキャン波形の振幅に比例して調整されてもよい(例えば、メインのスキャン波形の振幅は、一定のスキャン振幅を得るために、種々のイオンエネルギーおよび荷電状態の値に対して調整されてもよい)。高速なビームスキャンに沿った不均一性の傾きが反対になる(換言すると、より長い経路の長さにおける高いドーズの)実施形態において、補正波形の極性が逆転する。408では、ビームのスキャン波形を形成するために、メインのスキャン波形および調整された補正波形が共に足し合わされる(換言すると、共に混合される)。可変の補正波形を有しているメインのスキャン波形の足し合わせは、波形の間の混合比が調整されることを可能にしており、容易に制御可能なビームのスキャン波形をもたらす。ある実施形態において、補正波形およびメインのスキャン波形の合計は、メインのスキャン波形に、線形の傾きの補正を備えたビームのスキャン波形をもたらす。換言すると、二次の補正波形は、ウエハの一部に対する波形の傾きを低減し(例えば、スキャンのその部分に渡り、イオンビームの減速を引き起こす)、ウエハの他の部分に対する波形の傾きを増加する(例えば、スキャンのその部分に渡り、イオンビームの加速を引き起こす)。従って、補正波形によってもたらされた線形の傾きの補正は、高速スキャンの方向に沿うドーズの線形の不均一性を補償する。
【0047】
ある実施例において、補正波形は、大きい圧力が測定される際、ビームのスキャン方向に沿う大きな書き込み速度の変動を引き起こすように構成されている。代わりに、補正波形は、小さい圧力が測定される際、ほぼ一定の速さをもたらす(換言すると、ほとんど純然たる三角形の波形へ二次の成分の混合が全くない)ように構成される。ある実施形態において、混合比は、スキャン波形を連続的に修正することに比べ、非常に速い速度にて、非常に容易に実施できる、瞬時の減圧の信号によって調整することができる。
【0048】
メインのスキャン波形と補正波形との混合比を調整することで、得られるビームのスキャン波形の傾きが非線形になり、不定の速度でワークピースを横切って進むイオンビームをもたらす。例えば、補正波形は、ゆるやかに始まり、次いで、徐々に加速する動きでイオンビームがウエハを横切って動く(例えば、右から左へ)ように構成され、その結果、スキャンのある面に少ないドーズを与えることおよび他の面に過度のドーズを与えることによって、イオンビームが圧力変化を補正する。従って、補正波形は、メインのスキャン波形が圧力変化を補償するように、メインのスキャン波形に補正を導入する。
【0049】
410では、ビームのスキャン波形が、イオンビームのスキャン装置に供給される。ある実施形態において、スキャン装置は、電界を使用してイオンビームを偏向するように配置される2つまたは複数のスキャンプレートへ圧力を加えるために、ビームのスキャン波形を使用してもよい。
【0050】
工程402−410は、ガス放出の圧力に基づきビーム電流に合わせる方法にて反復して実行してもよい。例えば、方法400では、イオン注入ビームの工程の間に補正波形を動的に調整できることが理解される。補正波形の動的な調整は、それが起こるにつれて、スキャンシステムがフォトレジストのガス放出への変化を補償することを可能にしており、その結果、スキャンシステムが、全体のワークピース上に一定なイオンビーム電流の維持を可能にする。例えば、圧力変化が検知される場合、補正波形の振幅は、大きくなるか、または小さくなる。その結果、混合比の調整およびビームのスキャン特性(例えば、速度)の変更が、圧力変化を補償する。従って、補正波形の動的な調整によって、スキャン波形は、スキャン波形を変えることなしに、圧力の動的な変化を補償するように修正され得る。
【0051】
図5は、ここに開示されているように、スキャンシステムの実施形態を示すものである。図5に示されている通り、スキャンシステム500は、第1の波生成器502および第2の波生成器504を備え得る。加算器508は、スキャン装置510の出力であるビームのスキャン波形を生成するために、第1の波生成器および第2の波生成器の出力を足し合わせるように構成されている。
【0052】
第1の波生成器502は、メインのスキャン波形を生成するように構成されている。メインのスキャン波形は、機能のすべての要素が等しい大きさ(例えば、+m、−m)を有する傾きを含んでいる、区分的に線形の機能(例えば、3角形の波形)を備えていてもよい。ある実施形態において、メインのスキャン波形は、低速スキャン方向における部分的な不均一性の不規則を補償するのに必要な補正を備える。
【0053】
第2の波生成器504は、補正波形を生成するように構成されている。ある実施形態において、補正波形は、固定された高さを有している二次波形を含んでいる。二次の補正波形は、スキャン波形の周期と実質的に同等である時間内に2度、二次波形を周期的に繰り返すように構成されている。例えば、三角形の波形は、イオンビームがワークピースを2度、行き来する(一度は左から右、一度は右から左)ことが可能な周期を有することになる。二次の補正波形は、その周期内に2度、繰り返され、その結果、それぞれの方向のイオンビームを駆動するスキャン波形の補正を可能にする。
【0054】
ある実施形態において、振幅の調整装置506は、第2の波生成器504に接続されている。振幅の調整の回路は、混合比kによる補正の(例えば、二次の)波形を増加するように構成されている。補正波形の混合比kは、メインの波形と補正波形との混合前に、変わり得る。ビームのスキャン波形、スキャン装置の出力は、V0がスキャン波形であり、Vc1が補正波形である、Vs0(t)+k*Vc1(t)と等しい。ある実施形態において、混合比kは、1%の補正に対して、−1〜1の間で変わり、大部分はおよそ0に非常に近く、典型的には、−0.01〜0.01の間である。kが、実時間に変わるので、kの記号は、エネルギーおよびイオン種よって決定される(高エネルギーでkの記号が反転して、kの大きさは実時間にて得られるためである)。
【0055】
図5に示すように、ある実施形態において、振幅の調整装置506は、圧力監視装置に接続されている可変の補正の減衰器を備えることもできる。可変の補正の減衰器は、スキャン波形と足し合されるより前に、補正波形に影響を与えるように構成されている。
【0056】
図6Aに示されている代替的な実施形態において、振幅の調整装置は、スキャンされたビームの振幅の両端におけるビーム電流を測定するための、第1の端部のファラデーカップ602および第2の端部のファラデーカップ604を使用することによって、混合比kを決定することができる。図6Aに示されている通り、端部のファラデーカップ602および604は、角度の補正磁石606の出口に隣接して配置される。ある実施形態において、2つのカップのビーム電流は、低速の機械的なスキャンの速度(ビームスキャンの方向に直交する)のために使用するよう共に追加される(例えば608)のに対して、2つのカップの差は、混合比kの値を導くために使用することができる。
【0057】
図6Bに示されているさらなる代替的な実施形態では、圧力センサ616を使用したビームラインに沿った圧力の測定、および混合比kの値を導くために測定された圧力の使用によって、振幅の調整装置は混合比を決定することができる。図6Bに示されている通り、圧力センサ616は、エンドステーション610に位置しているが、圧力センサはビームラインに沿う様々な位置に配置できることが理解される。
【0058】
メインのスキャン信号および補正信号の混合比は、実時間に調整することができ、その結果、変化する真空の状況に準じてビームのスキャン波形への連続変化を可能にする。例えば、ガス放出がなければ、振幅の調整装置は、補正波形の振幅をゼロへ低減させる。これにより、補正波形がスキャン波形へ補正を提供しないことになる。代わりに、ガス放出が増加すると、振幅の調整装置は、補正波形の振幅を増大させる。これにより、補正波形がスキャン波形へ増大した補正を提供することができる。
【0059】
図7A〜図8Bは、ここに開示される本発明の特定の実施例を示している。より具体的には、図7A〜図8Bは、ここに開示される方法および装置によって供給される、メインのスキャン波形、補正波形、およびビームのスキャン波形を示している。
【0060】
図7Aは、高速スキャン方向に沿って往復するようにイオンビームを導くために生成された(例えば、図4の第1の波生成器によって)三角形の区分的な機能を備えている、例示的なメインのスキャン波形を説明している、時間に対する電圧の値を示すグラフ702である。t0からt1/2まで、メインのスキャン波形は、第1の方向(例えば、左から右)にイオンビームを駆動する正の傾きを有している。t1/2からt1まで、メインのスキャン波形は、第1の方向と反対の第2の方向(例えば、右から左)にイオンビームを駆動する負の傾きを有している。
【0061】
図7Bは、図7Aに示されているメインのスキャン波形の微分を説明している、時間に対するdV/dtのグラフ704である。図7Bは、電圧の傾きが、周期的に線形の一定な正の傾きと周期的に線形の一定な負の傾きとの間で変化することを示している。グラフに示されるdV/dtの傾きの値は、イオンビームがワークピースを横切って走査されている速度を代表していることが理解される。例えば、時間周期の間の一定の傾きは、イオンビームが、その時間の間に一定の速さにて動いていることを意味している。従って、図7Bに示されている通り、一定の傾きを有しているメインのスキャン波形は、ワークピースの表面上に同等のスキャン速度をもたらすように設計されている。例えば、メインのスキャン波形は、ワークピースの左から右へイオンビームを向ける電界における定速変化をもたらすt0からt1/2までの一定な正の傾きを有している。t1/2からt1まで、メインのスキャン波形は、ワークピースの右から左へイオンビームを向ける電界における定速変化をもたらす一定な負の傾きを有している。
【0062】
図7Cは、イオンのビームラインに沿う圧力の変動を補正するために、第2の波生成器によって生成された二次の補正波形を説明している、時間に対する電圧の値を示すグラフである。二次の補正波形は、固定された高さhおよび二次波形に準じて変化する振幅を有している。図7Cに示されているように、二次の補正波形は、V2(t)=at*(t−t1/2)の式にて表わされる。ここで、tは時間(時刻)であり、t1/2は初めのスキャン波形の半期(例えば、1KHZスキャンに対して500マイクロ秒)である。
【0063】
図8Aは、図7Aおよび7Cに示されている、メインのスキャン波形と二次の補正波形との合計を示す図である。メインのスキャン波形への二次の補正波形の追加は、メインのスキャン波形と比べて異なる線形の傾き(dV/dt)を有しているビームのスキャン波形をもたらす。換言すると、二次の補正波形804は、メインのスキャン波形802の傾きを変更する。その結果、スキャンシステム(例えば、スキャンプレート)にもたらされるビームのスキャン波形806は、真空準位の任意の変化に対する補正を含むものとなる。
【0064】
例えば、フォトレジストのガス放出の増加により、ビームラインに沿う真空準位が低下すると、メインのスキャン波形802の線形の傾きは、ワークピースの第1の面のイオンビームのスキャン速度を遅くしたり、ワークピースの反対の面、すなわち第2の面のイオンビームのスキャン速度を増大させたりするために、修正される。代わりに、フォトレジストのガス放出の低減により、真空準位が好転すると、メインのスキャン波形802の線形の傾きは、イオンビームのスキャン速度を使用することにより、ワークピースを横切る注入の密度を均一にするために、修正される。
【0065】
図8Bは、メインのスキャン波形802と二次の補正波形804との合計の微分を説明している、ビームのスキャン波形808の時間に対する電圧値のグラフである。図8Bに示すように、ビームのスキャン波形808の傾きは、もはや線形ではないので、イオンビームは、一定の速さにてワークピースを横切って進まない。その代わりに、図8Bに説明されている通り、ビームのスキャン波形808の時間微分が傾斜する。従って、t0からt1/2まで、イオンビームは、ウエハを横切って緩やかに始まり、次いで、徐々に加速する動きで、ウエハを横切って右から左へ動くことになる(時間内に増大しているビームのスキャン波形の電圧が説明されている)。同様に、t1/2からt1まで、ビームのスキャン波形は、イオンビームが、瞬時に始まり、次いで、徐々に減速する動きで、ウエハを横切って左から右へ動くようにする(時間内に減少しているスキャンの電圧が説明されている)。
【0066】
その結果、図7A〜図8Bに表わされる実施例にて示されているように、二次の補正波形がメインのスキャン波形に補正を導入し、得られるビームのスキャン波形が圧力変化を補償することができる。処理チェンバー内の圧力が増加するか、または減少すると、二次の補正波形の振幅が大きく、または小さくなり、その結果、スキャンの電圧の大きな変化(およびスキャンのイオンビームの速度の大きな変化)をもたらす。
【0067】
図9は、代替的な実施形態を示しており、コンピュータシステムがフォトレジストのガス放出における注入の均一性を向上するために構成されている。コンピュータシステムは、メインのスキャン波形および補正波形を生成するように構成されている。メインのスキャン波形および補正波形は、ビームスキャン装置に供給されているビームのスキャン波形を発生させるために、足し合わされるか、または混合される。コンピュータシステムは、これらの処理を行い、その結果、物理的な波生成器を必要としないことが理解される。
【0068】
図9に示されているように、システム910は、コンピュータ装置912を備えており、コンピュータ装置912は、ここに開示された1つまたは複数の実施形態に提供される、メインのスキャン波形および補正波形を生成するため、ソフトウェア(例えば、メモリに格納されている、または1つもしくは複数のコンピュータ読取り可能な媒体に格納されているコンピュータ読み取り可能な命令として)を操作するように構成されている。一構成において、コンピュータ装置912は、少なくとも処理装置916およびメモリ918を備えている。この構成は、図9では点線914によって示されている。
【0069】
装置912は、入力装置924(例えば、キーボード、マウスおよび/または任意の他の入力装置)、出力装置922(例えば、1つまたは複数のディスプレイ、スピーカー、印刷機および/または任意の他の出力装置)、およびネットワーク928を介して他のコンピュータ装置930と通信するように構成されている通信装置926を備えている。
【0070】
本発明は、ガス放出に起因する圧力変化を補正するための補正波形を生成するための方法として説明されているが、ここに規定されている方法および装置は、広範囲の適用において活用できることが理解される。
【0071】
本発明は、ある態様および実施例について示し、記載しているが、同等の変更および修正が、当業者のこの明細書および添付の図面の読解および理解に基づき、行われることが理解される。特に、上述の要素(アセンブリ、装置、回路、システム等)によって実行される様々な機能に関して、そのような要素を記載するために使用された用語(「手段」として参照されるものを含む)は、開示された構造(ここで説明されている本発明の例示的な実施例における機能を実行する)と構造的に同等でないとしても、別の方法が示されていない場合には、記載された機能を実行するどんな要素(つまり、機能的に同等の)にも相当すると意図される。この点について、本発明が、本発明の様々な方法の段階を実行するために、コンピュータが実行できる指示を有しているコンピュータ読取り可能な媒体を含んでいることがさらに認識される。加えて、本発明の特定の特徴は、様々な実施例の内の一つに関して開示されているが、そのような特徴は、他の実施例の一または多数の他の特徴と結び付けることができ、任意の適用例または特定の適用例に対しても所望なものとすることでき、かつ利点を有するものとすることができる。さらに、“含む”、“含んでいる”、“有する”、“有している”およびそれらの変形の用語が、明細書および特許請求の範囲で使用されている限りにおいて、これらの用語は用語“備えている”と同様の意味を含んでいる。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】例示的なイオン注入器を説明している概略ブロック図である。
【図2A】ワークピースを横切るイオンビームの例示的なスキャン経路を説明する図である。
【図2B】イオンビームがワークピースの経路上に走査する、そのワークピースの断面の拡大図である。
【図3A】例示的なメインのスキャン波形を示す図である。
【図3B】イオンビームの種々の部分間の経路の長さの違いを説明するビームラインの概略ブロック図である。
【図3C】高速スキャンの方向に沿ったドーズの不均一性を説明している、位置に対するイオンドーズの値を示すグラフである。
【図3D】複数のウエハに対する高速スキャンの方向に沿ったドーズの周期的な不均一性を説明している、時間に対するイオンドーズの値を示すグラフである。
【図4】フォトレジストのガス放出における注入の均一性を向上させる方法の実施形態を示す図である。
【図5】フォトレジストのガス放出における注入の均一性を向上させるように構成されるスキャンシステムの実施形態を示す図である。
【図6A】図5に規定されるような振幅の調整装置の実施例を説明する図である。
【図6B】図5に規定されるような振幅の調整装置の別の実施例を説明する図である。
【図7A】図6Aに示されるビーム経路の高速な方向に沿ったイオンビームを偏向させる第1の波生成器によって生成された、例示的なメインのスキャン波形を説明している、時間に対する電圧の値を示すグラフである。
【図7B】図7Aにおいて生成されたメインのスキャン波形の微分を説明する図である。
【図7C】明細書にて規定されるような第2の波生成器によって生成された二次の補正波形を説明している、時間に対する電圧の値を示すグラフである。
【図8A】メインのスキャン波形と二次の補正波形との合計を説明している図である。
【図8B】メインのスキャン波形と二次波形との合計の微分を説明している、時間に対する電圧の値を示すグラフである。
【図9】明細書にて説明される1または複数の条件が実行可能な、例示的なコンピュータ環境を説明する図である。
【発明の詳細な説明】
【0001】
〔発明の分野〕
本発明は、概してイオン注入システムに関し、特に、フォトレジストのガス放出におけるイオン注入の注入均一性を向上させる方法および装置に関する。
【0002】
〔発明の背景〕
半導体装置の製造において、イオン注入は、多くの場合、不純物を使って半導体のワークピース(例えば、シリコンウエハ)をドープするために使用される。例えば、イオン注入器またはイオン注入システムは、n型ドープ領域もしくはp型ドープ領域を生成するため、またはワークピースにおいて保護層を形成するために、イオンビームを使ってワークピースを処理することがある。イオン注入システムは、半導体をドープするのに使用される際、所望の外因性物質を生成するために、選択されたイオン種を注入する。
【0003】
一般に、イオンビーム注入器は、イオン化可能な原料物質から正に帯電したイオンを生成するイオン源を備えている。イオンビームは、生成されたイオンから成り、ビーム経路(パス)に沿ってイオン注入ステーションに向けられる。イオン注入器は、イオン源と上記注入ステーションとの間に伸びるビーム形成および整形構造体(例えば、ビームの補正磁石)を備えることもある。ビーム形成および整形構造体は、注入ステーションへの経路途中におけるイオンビームの状態が完全であることを維持するものである。
【0004】
たいていワークピースのサイズがイオンビームのサイズよりも大きいので、複合型のスキャンイオン注入器は、多くの場合、イオンビームがワークピースの表面上を走査(スキャン)できるようにして用いられる。一般的に、スキャンシステムは、イオンビームを偏向するために配置される1対のスキャンプレート(または電磁スキャニングのためのスキャニング電磁石)、およびスキャンプレートに対してスキャン波形に関連する電圧を加える(または電磁スキャニングのためのスキャニング電磁石へ電流を加える)ように構成されているスキャン波形の生成器を備えている。この電圧は、スキャン経路上(例えば、リボンビーム中)の全体を往復するビーム(例えば、ペンシルビーム)を偏向するまたは走査するために、プレート間の電界および磁界を変更する時間を生じさせ、その結果、ワークピースを直交する方向へ動かしている間に、ビームを効果的に広げる。
【0005】
しばしば、ワークピースの表面上に均一に注入できることが望まれている。残念ながら、実際の用途において、イオン注入システムは、多くの場合、ウエハ上の不均一性を免れられない。これらの不均一性が補正されない場合、ワークピースは不均一に注入され、製品収量は損害を受けることになる。
【0006】
〔発明の概要〕
本発明は、注入の過程において、減圧の変動(例えば、フォトレジストのガス放出に起因する)を被る(受ける)注入システムにおける注入の均一性を向上させる方法および装置を導くものである。緩やかな機械的な動きの方向において、フォトレジストのガス放出を被るシステムに対して、注入の均一性を向上させるいくつもの従来技術があるとはいえ、フォトレジストのガス放出の間、イオンビームのスキャン方向(換言すると、高速スキャンの方向)におけるイオン注入の不均一性を修正することに成功した方法はなかった。本発明は、急速に変わるフォトレジストのガス放出の状況に応じて、ビームのスキャン方向の修正(例えば、通常、1KHzで繰り返す高速スキャン波形の修正)の問題を解決するものである。
【0007】
一般的に、本方法は、実質的に一定の速さにてイオンビームを動かすメインのスキャン波形(例えば、三角形の波形)を生成する工程を含んでいる。一定の高さおよび波形(換言すると、形状)を有している補正波形(例えば、二次の波形)もまた、イオンビームのスキャン装置に供給されるビームのスキャン波形を形成するために生成され、メインのスキャン波形に追加される(足し合される)。フォトレジストのガス放出の状況に起因する変動する圧力に応じて、メインのスキャン波形と補正波形との間の混合比を調整する工程によって、イオンビームがウエハを横切って動くときのその速度を変更するように設定された不定の傾きを有するビームのスキャン波形が供給されることがある。メインのスキャン波形および補正波形の混合比を修正する工程は、急速に変わる状況に追従するよう、非常に早くかつ円滑に達成されることがある。
【0008】
より具体的には、多くの連続するイオン注入器の構造において、イオンビームのスキャン方向(換言すると、高速スキャンの方向)に沿ったフォトレジストのガス放出に起因する不均一性は、ドーズの線形のばらつき(変動)となる傾向がある。ワークピース上のある地点での瞬時のドーズは、当該地点でのビーム電流およびビームの書き込みの速さに比例するため、線形のドーズのばらつきの補正は、イオンビームのスキャン方向(換言すると、高速スキャンの方向)におけるイオンビームの書き込みの速さの線形のばらつきによって達成され得る。書き込みの速さが、時間におけるビームの位置の時間微分であるため、ビームのスキャン波形に関して、メインのスキャン波形の二次のばらつきは、線形のドーズのばらつきの補正をもたらす。
【0009】
従って、ある特定の実施形態において、実質的に一定の傾きを有する(例えば、メインのスキャン波形の、異なる一定の傾きを有する振幅の多様な一部とともに、実質的に区分的に一定の傾きを有する)メインのスキャン波形に対する二次波形を有する補正波形の混合比は、ガス放出の状況に応じて(例えば、真空計からの実質的に瞬時の真空の測定値によって)調整されてもよい。ある実施例において、メインのスキャン波形は、圧力が大きいときには、ビームのスキャン方向に沿った大きな書き込みの速さのばらつき(変動)を引き起こすビームのスキャン波形を形成するための、二次の補正波形によって修正される。メインのスキャン波形は、圧力が小さいときには、ほぼ一定の速度を引き起こすビームのスキャン波形を形成するための、二次の補正波形によって修正される(換言すると、ほぼ純然たる三角形状の波形へ二次の成分の混合が全くない)。従って、不定の傾きを有する、得られるビームのスキャン波形は、圧力変化に起因する高速スキャンの方向に沿うドーズにおける不均一性を補償する。
【0010】
前述の目的および関連する目的を達成するために、本発明は、以下で請求項に完全に記載され、かつ詳細に示される、特徴点を備えている。後述の説明、および添付された図面は、本発明のある実例となる態様および実施例を詳細に説明するものである。しかしながら、これらは、本発明の原理が適用され得る様々な方法の中のいくつかについて示したに過ぎない。本発明の他の目的、利点、および新規な特徴は、図面とともに考察される場合に、後述する本発明の詳細な説明によって明らかになる。
【0011】
〔図面の簡単な説明〕
図1は、例示的なイオン注入器を説明している概略ブロック図である。
【0012】
図2Aは、ワークピースを横切るイオンビームの例示的なスキャン経路を説明する。
【0013】
図2Bは、イオンビームがワークピースの経路上を走査する、そのワークピースの断面の拡大図を説明する。
【0014】
図3Aは、例示的なメインのスキャン波形である。
【0015】
図3Bは、イオンビームの種々の部分間の経路の長さの違いを説明するビームラインの概略ブロック図である。
【0016】
図3Cは、高速スキャンの方向に沿ったドーズの不均一性を説明している、位置に対するイオンドーズの値を示すグラフである。
【0017】
図3Dは、複数のウエハに対する高速スキャンの方向に沿ったドーズの周期的な不均一性を説明している、時間に対するイオンドーズの値を示すグラフである。
【0018】
図4は、フォトレジストのガス放出における注入の均一性を向上させる方法の実施形態である。
【0019】
図5は、フォトレジストのガス放出における注入の均一性を向上させるように構成されるスキャンシステムの実施形態である。
【0020】
図6Aは、図5に規定されるような振幅の調整装置の実施例を説明している。
【0021】
図6Bは、図5に規定されるような振幅の調整装置の別の実施例を説明している。
【0022】
図7Aは、図6Aに示されるビーム経路の高速な方向に沿ったイオンビームを偏向させる第1の波生成器によって生成された、例示的なメインのスキャン波形を説明している、時間に対する電圧の値を示すグラフである。
【0023】
図7Bは、図7Aにおいて生成されたメインのスキャン波形の微分を説明している。
【0024】
図7Cは、明細書にて規定されるような第2の波生成器によって生成された二次の補正波形を説明している、時間に対する電圧の値を示すグラフである。
【0025】
図8Aは、メインのスキャン波形と二次の補正波形との合計を説明している。
【0026】
図8Bは、メインのスキャン波形と二次波形との合計の微分を説明している、時間に対する電圧の値を示すグラフである。
【0027】
図9は、明細書にて説明される1または複数の条件が実行可能な、例示的なコンピュータ環境を説明している。
【0028】
〔発明の詳細〕
図面を参照して本発明を説明する。図では、同じ参照番号は類似の構成要素を言及するために用いられる。
【0029】
図1は、本発明の一態様に基づく例示的なイオン注入システム110を説明するものである。システム110は、実例を意図するために示されるものであり、本発明の態様が記述されたイオン注入システムに限定されないこと、および他の適したイオン注入システムが同様に用いられることが理解される。
【0030】
システム110は、ターミナル112、ビームラインアッセンブリ114、およびエンドステーション116を有している。ターミナル112は、高電圧の電源122により電力が供給されるイオン源120を有しており、イオンビーム124を生成してビームラインアッセンブリ114へ向かわせる。ビームラインアッセンブリ114は、質量分析器26を備えている。本例において質量分析器126は、約90度の角度に形成されており、そこに(双極子)磁場をつくる働きをする1つまたは複数の磁石(図示せず)を備えている。ビーム124が質量分析器126へ入ると、不適切な質量−エネルギー生成物を有しているイオンが拒まれるように、ビーム124が磁場により相応して曲がる(例えば、過度に大きいか、または過度に小さい質量−エネルギー生成物を有しているイオンは、ビームガイド132の側壁127の中へ偏向される)。このように、質量分析器126は、所望の質量−エネルギー生成物を有している、ビーム124のこれらのイオンが、分解開口134を通り抜けて抜け出ることを可能にしている。質量の選択の後に、選択されたイオンのエネルギーが、加速部(または減速部)138のさらなる加速(または減速)によって調整される。イオンビームの他の粒子との衝突によって、ビームの完全性を低下させることができることから、ビームガイド132およびエンドステーション116を少なくとも空にするための、1つまたは複数のポンプ(図示せず)が含まれてもよい。
【0031】
システム110に描かれているスキャンシステム135は、2つの対向している静電スキャナー電極151を備えている。制御システム154は、スキャナーの電源149に接続されている。スキャナーの電源149は、電源149により静電スキャナー電極151へ加えられる電圧の波形をもたらすための構成が有効になされている。この例では、スキャン波形は、全体を往復するビーム124(例えば、リボンビームへ)を走査する静電界を変更する時間を形成する。角度の補正磁石160は、スキャナー136からの拡散イオンビームを、エンドステーション116に入る平行移動のイオンビームへ変える。複合型のスキャンイオン注入器において、ワークピース130は、電気の動作制御システム165の助けにより、機械的に上下に(紙面上では内外に)動く。エンドステーション116は、ワークピース130(例えば、ウエハ)に向かうイオンビーム124を受ける。種々の型のエンドステーション116が、注入器110において用いることができるということが理解される。
【0032】
図3Aは、三角形の波形を備える例示的なスキャン波形(例えば、高速スキャンの方向、X軸に沿ったビームのスキャンのために使用されるもの)を示している。波形の各「要素」は、ワークピースの表面に沿って、実質的に一定の速さにて走査するために、イオンビームを引き起こすように設計される実質的に一定の傾き(例えば、+m、−m)を有している。例えば、波形がt0からt1/2へ進むと、イオンビームはワークピースの左の端部302からワークピースの対向している右の端部304へと、ウエハを実質的に一定の速さにて走査することになる。同様に、波形がt1/2からt1へ進む際、イオンビームは右から左へと、ワークピースを実質的に一定の速さにて走査することになる。
【0033】
図2Aは、ワークピース204を横切る複合式(ハイブリッド)のイオンビーム202のスキャン経路を示しており、それによって、イオンビーム202がワークピース204の露出した表面全体に与えられる。イオンビームが、ワークピース上全体にビームを与えるように、第2のX(高速スキャン)方向に走査される間、複合式のシステムの示されたスキャン経路において、ワークピースは、第1のY(低速スキャン)方向に機械的に変えられる。従って、複数の左から右へのイオンビームのスキャンを通して、ワークピースの表面全体にイオンが注入される。図2Bは、イオンビーム202がワークピースに沿って経路上に走査する、ワークピース204の断面の拡大図206を示している。
【0034】
ワークピース204が、第1の(Yまたは低速スキャン)方向に動き始めるときに、イオンビーム202は、イオンビーム202のリボンに入り、イオンビームは、ワークピース204を凹型の曲面にするフォトレジストと接触する。フォトレジストが、イオンビーム202に衝突される際に、フォトレジストの層の一部は、イオンビームの照射を受けて破壊され始め、エンドステーションの圧力の増加を引き起こすガス放出を始める。イオンビーム202がワークピース204の中央にあると、ガス放出は頂点に達することになる。その後に、ワークピース204がイオンビーム202の外へ動くと、ガス放出が低減され、真空準位が好転する。
【0035】
通常の注入の工程において、ワークピース(例えば、半導体ウエハ)は、ビームの内外に数回に渡って動き、機械的な動きの方向に沿う注入の均一性を確保する。ウエハがビームを介して半分処理し終えられるまで、ビームがワークピースの表面の大きな領域と接触して、フォトレジストのガス放出は増加し、ウエハがワークピースの小さな領域と接触して、フォトレジストのガス放出は低減する。周期的なスキャンの動きは、減圧の水準の周期的な変動をもたらす。
【0036】
低速の、機械的なスキャンの方向に沿う注入ドーズの不均一性を引き起こすこのような圧力変化の影響は、技術的によく知られている。しかしながら、発明者は、これらの圧力変化が、高速スキャンの方向におけるドーズの不均一性を同様に引き起こす、ということを理解した。具体的には、イオンビームの経路の種々の部分間の違いは、ワークピース130に至るために種々のイオンドーズを引き起こす。例えば、図3Bに示されているように、拡散するイオンビーム310を、平行なビーム(312、314および316を備えている)に変えるために使用される典型的な角度の補正磁石308を配置することにより、スキャナーからワークピース318までのビームの経路の長さが、ワークピース上の最終的なビームの位置によって決まるという状況を生み出す。例えば、図3Bにおいて、イオンビームの外側の端部312は、イオンビームの内側の端部314よりも、ワークピース318に至るための、より長い経路を有している。優れた真空の状況下では、このような経路の長さの違いは、ワークピース318のドーズの差を引き起こすことはない。しかしながら、芳しくない真空の状況下では、バックグラウンドガスを有している荷電交換の衝突が、経路の長さが異なることによって、異なるドーズをもたらすことになる(例えば、より長い経路有している312が、より短い経路を有している314よりも、荷電交換の衝突を被ることになる)。
【0037】
このようなドーズの不均一性は、高速スキャンの方向に沿うワークピースのドーズの特徴を変える。図3Cは、高速スキャンの方向(X軸)に沿った位置に対するドーズ(Y軸)のグラフ320を示している。図3Cに示されている通り、圧力変化(例えば、フォトレジストのガス放出)は、ドーズの特徴を、高速スキャンの方向上の比較的に均一な特徴322から(例えば、優れた減圧の状況における)、左から右へ減少している線形の傾きを優位に有している高速スキャンの方向に沿うドーズの特徴324(例えば、芳しくない減圧の状況における)へと変更させる。
【0038】
発明者は、低速の機械的なスキャン速度における補正が、高速スキャンに対する平均のドーズにおける補正を単にもたらし、イオンビームの一部分(例えば、イオンビーム316の中心)を補正する、ということをさらに理解した。この結果、図3Dに示されるようなビーム電流326をもたらし、これは、イオンビームのある端部328がオーバードーズを提供し、イオンビームの他の端部330がアンダードーズを提供する。さらに、注入における減圧の変化の速度に起因して、変化する真空の状況に従ってメインのスキャン波形を継続して変更することは、コンピュータの制限による固有の遅れのために、実行することが技術的に難しい。
【0039】
従って、発明者は、フォトレジストのガス放出における、高速スキャン方向の注入の均一性を向上させる方法および装置を提供する。本方法は、実質的に一定の速さにて、ワークピース上にイオンビームを動かす、実質的に一定の傾きを有しているメインのスキャン波形を生成する工程を含んでいる。固定された高さおよび波形を有している補正波形(例えば、左から右への線形のドーズの変動のための二次波形)もまた、スキャン装置に供給されるビームのスキャン波形を形成するために生成され、メインのスキャン波形に(例えば、可変のミキサーによって)追加される(足し合わされる)。メインのスキャン波形と補正波形との混合比は、実質的に瞬時の減圧の信号に応じて調整される。調整は、メインのスキャン波形を連続的に修正することに比べ、非常に速い速度にて、非常に容易に実施することができる。メインのスキャン波形へ補正波形(例えば、二次波形)を追加する(足し合わせる)ことにより、ビームがウエハを横切って動くときのイオンビームの速さを変更する、不定の傾きを備えるビームのスキャン波形が供給される。
【0040】
特定の実施例において、二次の補正波形は、圧力変化を補償するビームのスキャン波形を形成するために、実質的に一定の傾きを有しているメインのスキャン波形に追加される(換言すると、追加は、二次波形を有している補正波形と、実質的に一定の傾きを有しているメインのスキャン波形との混合比を変える)。具体的には、ビームのスキャン波形は、メインのスキャン波形を様々な量の補正波形と混合することによって、測定された圧力の状況に準じて修正され、圧力が大きい場合には(例えば、イオンビームを低速から高速へ、左から右へ動かす)、左から右への増大したスキャンの速度の変動を引き起こし、圧力が小さい場合には、低減した速度の変動(例えば、一定のスキャン速度)を引き起こす。従って、不定の傾きを有する、得られるビームのスキャン波形は、圧力変化に起因する高速スキャンの方向に沿うドーズにおける不均一性を補償する。
【0041】
図4は、圧力変化(例えば、フォトレジストのガス放出に起因する)に応じて高速スキャン方向の注入の均一性を向上させる例示的な方法400を示している。本方法は、メインのスキャン波形へ補正波形(例えば、二次波形)を加えること、または混合することによって、メインの波形の実質的に線形の傾きを変更し、その結果、メインのスキャン波形と補正波形との可変の混合比を備えたビームのスキャン波形(非線形の傾きを有している)をもたらす。
【0042】
方法400は、一連の工程または事象として説明されており、記載されているとはいえ、このような工程または事象の説明されている順番は、限定している意味には解釈されない。例えば、いくつかの工程が、異なる順番および/または説明されているそれらおよび/または記載されているそれらと別の他の工程もしくは事象と同時に起こってもよい。加えて、ここに開示された1つまたは複数の態様もしくは実施形態を実行するために、説明されている工程のすべてが要求されなくてもよい。また、ここに開示される1つまたは複数の工程は、1つまたは複数の分かれた工程および/または段階において実行されてもよい。
【0043】
402では、メインのスキャン波形が生成される。メインのスキャン波形は、ワークピース上を走査されるイオンビームの動き(例えば、瞬時の位置)を制御するために、スキャン装置(例えば、スキャンの板)に加えられる電圧または電流を備えた波形である。ある実施形態において、メインのスキャン波形は、機能のすべての要素が、等しい大きさ(例えば、+m、−m)を有している傾きを含んでいる三角の波形のような区分線形関数(例えば、種々の要素または種々の一定の傾きを有しているメインのスキャン波形の振幅の下位の振幅を有している機能)を備えてもよい。一定の傾きを有するこのようなメインのスキャン波形は、実質的に均一な速さでワークピースを横切って移動するイオンビームを生成するように構成されており、その結果、全体のワークピース上に実質的に均一な注入のドーズをもたらす。ある実施形態においては、メインのスキャン波形は、ビームのスキャン方向(換言すると、高速スキャンの方向)における注入の均一性を均一にするために、少しの補正を備えるが、概してメインのスキャン波形は、真空状況の変動により、注入の間中、その振幅または波形を変えない。
【0044】
404では、補正波形が生成される。補正波形は、ビームラインに沿う圧力変化の不利な影響に対して補正を可能にする形(例えば、多項式の形)を有する波形を備える(例えば、ガス放出に起因して、エンドステーションのイオンビームのスキャン経路に沿う)。ある実施形態において、補正波形は、固定された高さおよび波形を有している二次波形(例えば、ax2+bx+cの形を有している波形)を備えてもよい。二次の補正波形は、イオンビームがウエハを横切って走査するたびに、毎回、二次波形を周期的に繰り返すように構成されており、その結果、フォトレジストのガス放出に起因する圧力の周期的な変化(例えば、図3Aに示されているような、圧力の周期的な変化)を補償する。代替的な実施形態において、補正波形は、メインのスキャン波形への補正をもたらすように構成されている、より高次の多項式の機能(例えば、四次の、五次の、六次の)を備えてもよい。このようなより高水準の多項式の機能は、ビームラインに沿って測定される圧力の不均一性のより正確な補正を可能にすることができる。
【0045】
補正波形は、多様な方法によって発生され得る。ある実施形態において、補正波形は、メインのスキャン波形より、種々の波生成器によって発生され得る。代替的な実施形態において、1つまたは複数のコンピュータは、1つまたは複数のコンピュータが、ソフトウェアルーチン(例えば、コンピュータ読取り可能な媒体に格納されているソフトウェアルーチン)に準じて、メインのスキャン波形および補正波形を混合する、メインのスキャン波形および補正波形の両方を生成するように構成され得る。
【0046】
406では、補正波形の振幅が調整される。ある実施形態において、補正波形の振幅は、実質的に瞬時の減圧の測定値(例えば、処理チェンバーに存在するガス放出の水準に対応する圧力の測定値)に応じて、大きい振幅または小さい振幅へ調整される。ある実施形態において、補正波形の振幅は、補正波形の最大の混合比がメインのスキャン波形の振幅に依らず一定に留まるように、メインのスキャン波形の振幅に比例して調整されてもよい(例えば、メインのスキャン波形の振幅は、一定のスキャン振幅を得るために、種々のイオンエネルギーおよび荷電状態の値に対して調整されてもよい)。高速なビームスキャンに沿った不均一性の傾きが反対になる(換言すると、より長い経路の長さにおける高いドーズの)実施形態において、補正波形の極性が逆転する。408では、ビームのスキャン波形を形成するために、メインのスキャン波形および調整された補正波形が共に足し合わされる(換言すると、共に混合される)。可変の補正波形を有しているメインのスキャン波形の足し合わせは、波形の間の混合比が調整されることを可能にしており、容易に制御可能なビームのスキャン波形をもたらす。ある実施形態において、補正波形およびメインのスキャン波形の合計は、メインのスキャン波形に、線形の傾きの補正を備えたビームのスキャン波形をもたらす。換言すると、二次の補正波形は、ウエハの一部に対する波形の傾きを低減し(例えば、スキャンのその部分に渡り、イオンビームの減速を引き起こす)、ウエハの他の部分に対する波形の傾きを増加する(例えば、スキャンのその部分に渡り、イオンビームの加速を引き起こす)。従って、補正波形によってもたらされた線形の傾きの補正は、高速スキャンの方向に沿うドーズの線形の不均一性を補償する。
【0047】
ある実施例において、補正波形は、大きい圧力が測定される際、ビームのスキャン方向に沿う大きな書き込み速度の変動を引き起こすように構成されている。代わりに、補正波形は、小さい圧力が測定される際、ほぼ一定の速さをもたらす(換言すると、ほとんど純然たる三角形の波形へ二次の成分の混合が全くない)ように構成される。ある実施形態において、混合比は、スキャン波形を連続的に修正することに比べ、非常に速い速度にて、非常に容易に実施できる、瞬時の減圧の信号によって調整することができる。
【0048】
メインのスキャン波形と補正波形との混合比を調整することで、得られるビームのスキャン波形の傾きが非線形になり、不定の速度でワークピースを横切って進むイオンビームをもたらす。例えば、補正波形は、ゆるやかに始まり、次いで、徐々に加速する動きでイオンビームがウエハを横切って動く(例えば、右から左へ)ように構成され、その結果、スキャンのある面に少ないドーズを与えることおよび他の面に過度のドーズを与えることによって、イオンビームが圧力変化を補正する。従って、補正波形は、メインのスキャン波形が圧力変化を補償するように、メインのスキャン波形に補正を導入する。
【0049】
410では、ビームのスキャン波形が、イオンビームのスキャン装置に供給される。ある実施形態において、スキャン装置は、電界を使用してイオンビームを偏向するように配置される2つまたは複数のスキャンプレートへ圧力を加えるために、ビームのスキャン波形を使用してもよい。
【0050】
工程402−410は、ガス放出の圧力に基づきビーム電流に合わせる方法にて反復して実行してもよい。例えば、方法400では、イオン注入ビームの工程の間に補正波形を動的に調整できることが理解される。補正波形の動的な調整は、それが起こるにつれて、スキャンシステムがフォトレジストのガス放出への変化を補償することを可能にしており、その結果、スキャンシステムが、全体のワークピース上に一定なイオンビーム電流の維持を可能にする。例えば、圧力変化が検知される場合、補正波形の振幅は、大きくなるか、または小さくなる。その結果、混合比の調整およびビームのスキャン特性(例えば、速度)の変更が、圧力変化を補償する。従って、補正波形の動的な調整によって、スキャン波形は、スキャン波形を変えることなしに、圧力の動的な変化を補償するように修正され得る。
【0051】
図5は、ここに開示されているように、スキャンシステムの実施形態を示すものである。図5に示されている通り、スキャンシステム500は、第1の波生成器502および第2の波生成器504を備え得る。加算器508は、スキャン装置510の出力であるビームのスキャン波形を生成するために、第1の波生成器および第2の波生成器の出力を足し合わせるように構成されている。
【0052】
第1の波生成器502は、メインのスキャン波形を生成するように構成されている。メインのスキャン波形は、機能のすべての要素が等しい大きさ(例えば、+m、−m)を有する傾きを含んでいる、区分的に線形の機能(例えば、3角形の波形)を備えていてもよい。ある実施形態において、メインのスキャン波形は、低速スキャン方向における部分的な不均一性の不規則を補償するのに必要な補正を備える。
【0053】
第2の波生成器504は、補正波形を生成するように構成されている。ある実施形態において、補正波形は、固定された高さを有している二次波形を含んでいる。二次の補正波形は、スキャン波形の周期と実質的に同等である時間内に2度、二次波形を周期的に繰り返すように構成されている。例えば、三角形の波形は、イオンビームがワークピースを2度、行き来する(一度は左から右、一度は右から左)ことが可能な周期を有することになる。二次の補正波形は、その周期内に2度、繰り返され、その結果、それぞれの方向のイオンビームを駆動するスキャン波形の補正を可能にする。
【0054】
ある実施形態において、振幅の調整装置506は、第2の波生成器504に接続されている。振幅の調整の回路は、混合比kによる補正の(例えば、二次の)波形を増加するように構成されている。補正波形の混合比kは、メインの波形と補正波形との混合前に、変わり得る。ビームのスキャン波形、スキャン装置の出力は、V0がスキャン波形であり、Vc1が補正波形である、Vs0(t)+k*Vc1(t)と等しい。ある実施形態において、混合比kは、1%の補正に対して、−1〜1の間で変わり、大部分はおよそ0に非常に近く、典型的には、−0.01〜0.01の間である。kが、実時間に変わるので、kの記号は、エネルギーおよびイオン種よって決定される(高エネルギーでkの記号が反転して、kの大きさは実時間にて得られるためである)。
【0055】
図5に示すように、ある実施形態において、振幅の調整装置506は、圧力監視装置に接続されている可変の補正の減衰器を備えることもできる。可変の補正の減衰器は、スキャン波形と足し合されるより前に、補正波形に影響を与えるように構成されている。
【0056】
図6Aに示されている代替的な実施形態において、振幅の調整装置は、スキャンされたビームの振幅の両端におけるビーム電流を測定するための、第1の端部のファラデーカップ602および第2の端部のファラデーカップ604を使用することによって、混合比kを決定することができる。図6Aに示されている通り、端部のファラデーカップ602および604は、角度の補正磁石606の出口に隣接して配置される。ある実施形態において、2つのカップのビーム電流は、低速の機械的なスキャンの速度(ビームスキャンの方向に直交する)のために使用するよう共に追加される(例えば608)のに対して、2つのカップの差は、混合比kの値を導くために使用することができる。
【0057】
図6Bに示されているさらなる代替的な実施形態では、圧力センサ616を使用したビームラインに沿った圧力の測定、および混合比kの値を導くために測定された圧力の使用によって、振幅の調整装置は混合比を決定することができる。図6Bに示されている通り、圧力センサ616は、エンドステーション610に位置しているが、圧力センサはビームラインに沿う様々な位置に配置できることが理解される。
【0058】
メインのスキャン信号および補正信号の混合比は、実時間に調整することができ、その結果、変化する真空の状況に準じてビームのスキャン波形への連続変化を可能にする。例えば、ガス放出がなければ、振幅の調整装置は、補正波形の振幅をゼロへ低減させる。これにより、補正波形がスキャン波形へ補正を提供しないことになる。代わりに、ガス放出が増加すると、振幅の調整装置は、補正波形の振幅を増大させる。これにより、補正波形がスキャン波形へ増大した補正を提供することができる。
【0059】
図7A〜図8Bは、ここに開示される本発明の特定の実施例を示している。より具体的には、図7A〜図8Bは、ここに開示される方法および装置によって供給される、メインのスキャン波形、補正波形、およびビームのスキャン波形を示している。
【0060】
図7Aは、高速スキャン方向に沿って往復するようにイオンビームを導くために生成された(例えば、図4の第1の波生成器によって)三角形の区分的な機能を備えている、例示的なメインのスキャン波形を説明している、時間に対する電圧の値を示すグラフ702である。t0からt1/2まで、メインのスキャン波形は、第1の方向(例えば、左から右)にイオンビームを駆動する正の傾きを有している。t1/2からt1まで、メインのスキャン波形は、第1の方向と反対の第2の方向(例えば、右から左)にイオンビームを駆動する負の傾きを有している。
【0061】
図7Bは、図7Aに示されているメインのスキャン波形の微分を説明している、時間に対するdV/dtのグラフ704である。図7Bは、電圧の傾きが、周期的に線形の一定な正の傾きと周期的に線形の一定な負の傾きとの間で変化することを示している。グラフに示されるdV/dtの傾きの値は、イオンビームがワークピースを横切って走査されている速度を代表していることが理解される。例えば、時間周期の間の一定の傾きは、イオンビームが、その時間の間に一定の速さにて動いていることを意味している。従って、図7Bに示されている通り、一定の傾きを有しているメインのスキャン波形は、ワークピースの表面上に同等のスキャン速度をもたらすように設計されている。例えば、メインのスキャン波形は、ワークピースの左から右へイオンビームを向ける電界における定速変化をもたらすt0からt1/2までの一定な正の傾きを有している。t1/2からt1まで、メインのスキャン波形は、ワークピースの右から左へイオンビームを向ける電界における定速変化をもたらす一定な負の傾きを有している。
【0062】
図7Cは、イオンのビームラインに沿う圧力の変動を補正するために、第2の波生成器によって生成された二次の補正波形を説明している、時間に対する電圧の値を示すグラフである。二次の補正波形は、固定された高さhおよび二次波形に準じて変化する振幅を有している。図7Cに示されているように、二次の補正波形は、V2(t)=at*(t−t1/2)の式にて表わされる。ここで、tは時間(時刻)であり、t1/2は初めのスキャン波形の半期(例えば、1KHZスキャンに対して500マイクロ秒)である。
【0063】
図8Aは、図7Aおよび7Cに示されている、メインのスキャン波形と二次の補正波形との合計を示す図である。メインのスキャン波形への二次の補正波形の追加は、メインのスキャン波形と比べて異なる線形の傾き(dV/dt)を有しているビームのスキャン波形をもたらす。換言すると、二次の補正波形804は、メインのスキャン波形802の傾きを変更する。その結果、スキャンシステム(例えば、スキャンプレート)にもたらされるビームのスキャン波形806は、真空準位の任意の変化に対する補正を含むものとなる。
【0064】
例えば、フォトレジストのガス放出の増加により、ビームラインに沿う真空準位が低下すると、メインのスキャン波形802の線形の傾きは、ワークピースの第1の面のイオンビームのスキャン速度を遅くしたり、ワークピースの反対の面、すなわち第2の面のイオンビームのスキャン速度を増大させたりするために、修正される。代わりに、フォトレジストのガス放出の低減により、真空準位が好転すると、メインのスキャン波形802の線形の傾きは、イオンビームのスキャン速度を使用することにより、ワークピースを横切る注入の密度を均一にするために、修正される。
【0065】
図8Bは、メインのスキャン波形802と二次の補正波形804との合計の微分を説明している、ビームのスキャン波形808の時間に対する電圧値のグラフである。図8Bに示すように、ビームのスキャン波形808の傾きは、もはや線形ではないので、イオンビームは、一定の速さにてワークピースを横切って進まない。その代わりに、図8Bに説明されている通り、ビームのスキャン波形808の時間微分が傾斜する。従って、t0からt1/2まで、イオンビームは、ウエハを横切って緩やかに始まり、次いで、徐々に加速する動きで、ウエハを横切って右から左へ動くことになる(時間内に増大しているビームのスキャン波形の電圧が説明されている)。同様に、t1/2からt1まで、ビームのスキャン波形は、イオンビームが、瞬時に始まり、次いで、徐々に減速する動きで、ウエハを横切って左から右へ動くようにする(時間内に減少しているスキャンの電圧が説明されている)。
【0066】
その結果、図7A〜図8Bに表わされる実施例にて示されているように、二次の補正波形がメインのスキャン波形に補正を導入し、得られるビームのスキャン波形が圧力変化を補償することができる。処理チェンバー内の圧力が増加するか、または減少すると、二次の補正波形の振幅が大きく、または小さくなり、その結果、スキャンの電圧の大きな変化(およびスキャンのイオンビームの速度の大きな変化)をもたらす。
【0067】
図9は、代替的な実施形態を示しており、コンピュータシステムがフォトレジストのガス放出における注入の均一性を向上するために構成されている。コンピュータシステムは、メインのスキャン波形および補正波形を生成するように構成されている。メインのスキャン波形および補正波形は、ビームスキャン装置に供給されているビームのスキャン波形を発生させるために、足し合わされるか、または混合される。コンピュータシステムは、これらの処理を行い、その結果、物理的な波生成器を必要としないことが理解される。
【0068】
図9に示されているように、システム910は、コンピュータ装置912を備えており、コンピュータ装置912は、ここに開示された1つまたは複数の実施形態に提供される、メインのスキャン波形および補正波形を生成するため、ソフトウェア(例えば、メモリに格納されている、または1つもしくは複数のコンピュータ読取り可能な媒体に格納されているコンピュータ読み取り可能な命令として)を操作するように構成されている。一構成において、コンピュータ装置912は、少なくとも処理装置916およびメモリ918を備えている。この構成は、図9では点線914によって示されている。
【0069】
装置912は、入力装置924(例えば、キーボード、マウスおよび/または任意の他の入力装置)、出力装置922(例えば、1つまたは複数のディスプレイ、スピーカー、印刷機および/または任意の他の出力装置)、およびネットワーク928を介して他のコンピュータ装置930と通信するように構成されている通信装置926を備えている。
【0070】
本発明は、ガス放出に起因する圧力変化を補正するための補正波形を生成するための方法として説明されているが、ここに規定されている方法および装置は、広範囲の適用において活用できることが理解される。
【0071】
本発明は、ある態様および実施例について示し、記載しているが、同等の変更および修正が、当業者のこの明細書および添付の図面の読解および理解に基づき、行われることが理解される。特に、上述の要素(アセンブリ、装置、回路、システム等)によって実行される様々な機能に関して、そのような要素を記載するために使用された用語(「手段」として参照されるものを含む)は、開示された構造(ここで説明されている本発明の例示的な実施例における機能を実行する)と構造的に同等でないとしても、別の方法が示されていない場合には、記載された機能を実行するどんな要素(つまり、機能的に同等の)にも相当すると意図される。この点について、本発明が、本発明の様々な方法の段階を実行するために、コンピュータが実行できる指示を有しているコンピュータ読取り可能な媒体を含んでいることがさらに認識される。加えて、本発明の特定の特徴は、様々な実施例の内の一つに関して開示されているが、そのような特徴は、他の実施例の一または多数の他の特徴と結び付けることができ、任意の適用例または特定の適用例に対しても所望なものとすることでき、かつ利点を有するものとすることができる。さらに、“含む”、“含んでいる”、“有する”、“有している”およびそれらの変形の用語が、明細書および特許請求の範囲で使用されている限りにおいて、これらの用語は用語“備えている”と同様の意味を含んでいる。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】例示的なイオン注入器を説明している概略ブロック図である。
【図2A】ワークピースを横切るイオンビームの例示的なスキャン経路を説明する図である。
【図2B】イオンビームがワークピースの経路上に走査する、そのワークピースの断面の拡大図である。
【図3A】例示的なメインのスキャン波形を示す図である。
【図3B】イオンビームの種々の部分間の経路の長さの違いを説明するビームラインの概略ブロック図である。
【図3C】高速スキャンの方向に沿ったドーズの不均一性を説明している、位置に対するイオンドーズの値を示すグラフである。
【図3D】複数のウエハに対する高速スキャンの方向に沿ったドーズの周期的な不均一性を説明している、時間に対するイオンドーズの値を示すグラフである。
【図4】フォトレジストのガス放出における注入の均一性を向上させる方法の実施形態を示す図である。
【図5】フォトレジストのガス放出における注入の均一性を向上させるように構成されるスキャンシステムの実施形態を示す図である。
【図6A】図5に規定されるような振幅の調整装置の実施例を説明する図である。
【図6B】図5に規定されるような振幅の調整装置の別の実施例を説明する図である。
【図7A】図6Aに示されるビーム経路の高速な方向に沿ったイオンビームを偏向させる第1の波生成器によって生成された、例示的なメインのスキャン波形を説明している、時間に対する電圧の値を示すグラフである。
【図7B】図7Aにおいて生成されたメインのスキャン波形の微分を説明する図である。
【図7C】明細書にて規定されるような第2の波生成器によって生成された二次の補正波形を説明している、時間に対する電圧の値を示すグラフである。
【図8A】メインのスキャン波形と二次の補正波形との合計を説明している図である。
【図8B】メインのスキャン波形と二次波形との合計の微分を説明している、時間に対する電圧の値を示すグラフである。
【図9】明細書にて説明される1または複数の条件が実行可能な、例示的なコンピュータ環境を説明する図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
実質的に線形の傾きを有しているメインのスキャン波形を生成するよう構成された第1の波生成器;
補正波形を生成するよう構成された第2の波生成器;および
上記メインのスキャン波形および上記補正波形を足し合わせることによって、ビームのスキャン波形を形成するよう構成された加算器;
を備えたイオン注入システムであって、
上記補正波形は、高速スキャンの方向に沿ったイオンビームのドーズの不均一性を補償するように、上記メインのスキャン波形の上記傾きを修正するよう構成された波形および振幅を有するように選択される、イオン注入システム。
【請求項2】
上記ビームのスキャン波形は、上記イオンビームが、ワークピースを横切って動くとき、その速さを徐々に増大させるまたは低減させる、傾きを有している請求項1に記載のイオン注入システム。
【請求項3】
上記補正波形は二次波形を含んでいる、請求項1に記載のイオン注入システム。
【請求項4】
上記メインのスキャン波形は、上記イオン注入システムにおける圧力変化による影響を実質的に受けない、請求項1に記載のイオン注入システム。
【請求項5】
上記第2の波生成器に接続され、かつ、混合比によって上記補正波形の上記振幅を調整するよう構成された調整装置をさらに備えている、請求項1に記載のイオン注入システム。
【請求項6】
上記調整装置は、可変の補正の減衰器を備えている、請求項5に記載のイオン注入システム。
【請求項7】
上記混合比は、上記イオンビームの対向する端部に位置する第1の端部のファラデーカップおよび第2の端部のファラデーカップから得られる測定値に基づいて決定される、請求項5に記載のイオン注入システム。
【請求項8】
上記混合比は、ビームラインに沿って配置された圧力センサから得られる測定値に基づいて決定される、請求項5に記載のイオン注入システム。
【請求項9】
上記調整装置は、エンドステーションにて測定された圧力に基づく上記補正波形の上記振幅を動的に修正するように構成されている、請求項5に記載のイオン注入システム。
【請求項10】
上記補正波形の上記波形および上記振幅は、上記第2の波生成器によって受信された実質的に瞬時の圧力の測定値に応えて調整される請求項1に記載のイオン注入システム。
【請求項11】
イオン注入システムの注入均一性を向上させる方法であって、
区分的に線形の傾きを有するメインのスキャン波形を生成する工程;
補正波形を生成する工程;および
イオン注入のビームを方向づけるために利用されるビームのスキャン波形を生成するために、上記補正波形を上記メインのスキャン波形に追加する工程;
を含み、
上記補正波形は、高速スキャンの方向に沿ったイオンビームのドーズの不均一性を補償するように、上記メインのスキャン波形の上記傾きを修正するように設定された波形および振幅を有するように選択される方法。
【請求項12】
上記メインのスキャン波形と上記補正波形との混合比を変えるために、上記補正波形の上記振幅を調整する工程をさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
上記補正波形は二次波形を含んでいる、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
上記二次波形は、V2(t)=at*(t−11/2)の式にて表わされる、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
上記混合比は、上記イオンビームの端部に位置する第1の端部のファラデーカップおよび上記イオンビームの対向する端部に位置する第2の端部のファラデーカップから得られる測定値に基づいて決定される、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
上記補正波形の上記振幅は、上記補正波形の最大の混合比が、上記メインのスキャン波形の上記振幅にかかわりなく一定に留まるように、上記メインのスキャン波形の振幅に比例して調整される、請求項12に記載の方法。
【請求項17】
上記混合比は、ビームラインに沿って配置された圧力センサから得られる測定値に基づいて決定される、請求項12に記載の方法。
【請求項18】
上記方法は、コンピュータ読取り可能な媒体上に具体化されている、請求項12に記載の方法。
【請求項19】
上記ビームのスキャン波形は、上記イオンビームが、ワークピースを横切って動くとき、その速さを徐々に増大させるまたは低減させる傾きを有している、請求項11に記載の方法。
【請求項20】
ワークピース上で実質的に均一なイオンビームのスキャンの速度をもたらすように設定された実質的に区分的に線形の傾き、を有するメインのスキャン波形を生成するように構成されている第1の波生成器;
補正波形を生成するように構成されている第2の波生成器;および
上記メインのスキャン波形および上記補正波形を足し合わせることによってビームのスキャン波形を形成し、ビームのスキャン波形をビームのスキャン装置に供給するよう構成されている加算器;
を備えているイオン注入システムであって、
上記補正波形は、上記第2の波生成器によって受信された実質的に瞬時の圧力の測定値に応じて上記メインのスキャン波形の上記傾きを修正するように構成された波形および振幅を有するように選択され、
上記ビームのスキャン波形は、上記イオンビームが、ワークピースを横切って動くとき、その速さを徐々に増大させるまたは低減させる非線形の傾きを有している、イオン注入システム。
【請求項1】
実質的に線形の傾きを有しているメインのスキャン波形を生成するよう構成された第1の波生成器;
補正波形を生成するよう構成された第2の波生成器;および
上記メインのスキャン波形および上記補正波形を足し合わせることによって、ビームのスキャン波形を形成するよう構成された加算器;
を備えたイオン注入システムであって、
上記補正波形は、高速スキャンの方向に沿ったイオンビームのドーズの不均一性を補償するように、上記メインのスキャン波形の上記傾きを修正するよう構成された波形および振幅を有するように選択される、イオン注入システム。
【請求項2】
上記ビームのスキャン波形は、上記イオンビームが、ワークピースを横切って動くとき、その速さを徐々に増大させるまたは低減させる、傾きを有している請求項1に記載のイオン注入システム。
【請求項3】
上記補正波形は二次波形を含んでいる、請求項1に記載のイオン注入システム。
【請求項4】
上記メインのスキャン波形は、上記イオン注入システムにおける圧力変化による影響を実質的に受けない、請求項1に記載のイオン注入システム。
【請求項5】
上記第2の波生成器に接続され、かつ、混合比によって上記補正波形の上記振幅を調整するよう構成された調整装置をさらに備えている、請求項1に記載のイオン注入システム。
【請求項6】
上記調整装置は、可変の補正の減衰器を備えている、請求項5に記載のイオン注入システム。
【請求項7】
上記混合比は、上記イオンビームの対向する端部に位置する第1の端部のファラデーカップおよび第2の端部のファラデーカップから得られる測定値に基づいて決定される、請求項5に記載のイオン注入システム。
【請求項8】
上記混合比は、ビームラインに沿って配置された圧力センサから得られる測定値に基づいて決定される、請求項5に記載のイオン注入システム。
【請求項9】
上記調整装置は、エンドステーションにて測定された圧力に基づく上記補正波形の上記振幅を動的に修正するように構成されている、請求項5に記載のイオン注入システム。
【請求項10】
上記補正波形の上記波形および上記振幅は、上記第2の波生成器によって受信された実質的に瞬時の圧力の測定値に応えて調整される請求項1に記載のイオン注入システム。
【請求項11】
イオン注入システムの注入均一性を向上させる方法であって、
区分的に線形の傾きを有するメインのスキャン波形を生成する工程;
補正波形を生成する工程;および
イオン注入のビームを方向づけるために利用されるビームのスキャン波形を生成するために、上記補正波形を上記メインのスキャン波形に追加する工程;
を含み、
上記補正波形は、高速スキャンの方向に沿ったイオンビームのドーズの不均一性を補償するように、上記メインのスキャン波形の上記傾きを修正するように設定された波形および振幅を有するように選択される方法。
【請求項12】
上記メインのスキャン波形と上記補正波形との混合比を変えるために、上記補正波形の上記振幅を調整する工程をさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
上記補正波形は二次波形を含んでいる、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
上記二次波形は、V2(t)=at*(t−11/2)の式にて表わされる、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
上記混合比は、上記イオンビームの端部に位置する第1の端部のファラデーカップおよび上記イオンビームの対向する端部に位置する第2の端部のファラデーカップから得られる測定値に基づいて決定される、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
上記補正波形の上記振幅は、上記補正波形の最大の混合比が、上記メインのスキャン波形の上記振幅にかかわりなく一定に留まるように、上記メインのスキャン波形の振幅に比例して調整される、請求項12に記載の方法。
【請求項17】
上記混合比は、ビームラインに沿って配置された圧力センサから得られる測定値に基づいて決定される、請求項12に記載の方法。
【請求項18】
上記方法は、コンピュータ読取り可能な媒体上に具体化されている、請求項12に記載の方法。
【請求項19】
上記ビームのスキャン波形は、上記イオンビームが、ワークピースを横切って動くとき、その速さを徐々に増大させるまたは低減させる傾きを有している、請求項11に記載の方法。
【請求項20】
ワークピース上で実質的に均一なイオンビームのスキャンの速度をもたらすように設定された実質的に区分的に線形の傾き、を有するメインのスキャン波形を生成するように構成されている第1の波生成器;
補正波形を生成するように構成されている第2の波生成器;および
上記メインのスキャン波形および上記補正波形を足し合わせることによってビームのスキャン波形を形成し、ビームのスキャン波形をビームのスキャン装置に供給するよう構成されている加算器;
を備えているイオン注入システムであって、
上記補正波形は、上記第2の波生成器によって受信された実質的に瞬時の圧力の測定値に応じて上記メインのスキャン波形の上記傾きを修正するように構成された波形および振幅を有するように選択され、
上記ビームのスキャン波形は、上記イオンビームが、ワークピースを横切って動くとき、その速さを徐々に増大させるまたは低減させる非線形の傾きを有している、イオン注入システム。
【図1】
【図2A】
【図2B】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図3D】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図8A】
【図8B】
【図9】
【図2A】
【図2B】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図3D】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図8A】
【図8B】
【図9】
【公表番号】特表2013−521616(P2013−521616A)
【公表日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−556070(P2012−556070)
【出願日】平成23年3月4日(2011.3.4)
【国際出願番号】PCT/US2011/000427
【国際公開番号】WO2011/109115
【国際公開日】平成23年9月9日(2011.9.9)
【出願人】(505413587)アクセリス テクノロジーズ, インコーポレイテッド (53)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月4日(2011.3.4)
【国際出願番号】PCT/US2011/000427
【国際公開番号】WO2011/109115
【国際公開日】平成23年9月9日(2011.9.9)
【出願人】(505413587)アクセリス テクノロジーズ, インコーポレイテッド (53)
【Fターム(参考)】
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