説明

フォルムアルデヒド吸着性能を有するタイル及びその製造方法

本発明はフォルムアルデヒド吸着剤として優れた活性炭を使用したタイル及びその製造方法を提供する。コア及び該コアを取り囲む表面層で構成され、コアにだけ活性炭が含まれ、表面層には熱処理によって活性炭が除去される。これにより、熱処理の途中に酸化しやすい活性炭の問題点を克服して、内部に活性炭コア構造を有するように製造することによって活性炭の性能を最大限発現させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は機能性タイル及びその製造方法に係り、さらに詳しくはフォルムアルデヒドを除去するタイル及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
黄土、粘土を用いたフォルムアルデヒド除去用機能性タイルを製造するにおいて添加される吸着剤として、木炭、ゼオライト、硅藻土、アッシュ類などの多様な材料が使われている。
【0003】
これと関連して、韓国特許公開第2001−49437号公報には火山灰(allophone)を用いた建材及び部屋が開示されており、韓国特許登録第495571号公報にはフライアッシュと硅藻土を用いた健康タイルが開示されており、韓国特許登録第478949号公報には木粉を用いて木炭を含有する土器を製造する方法が開示されており、韓国特許登録第301253号公報には湿度調節機能を有する内装材とその製造方法が開示されており、韓国特許登録第677761号公報には機能性建築材及びその製造方法が開示されており、特開2006−248793号公報には建築用タイル材が開示されており、その他多様な技術が存在しているが、本発明に係る活性炭コア構成とそれによるフォルムアルデヒド吸着性能改善については開示されたことがない。
【0004】
機能性タイルのフォルムアルデヒド除去性能をアップするための最も大事な変数は吸着剤自体の性能である。しかし、実際に吸着剤の機能を発現するようにタイルに含有させる場合、タイル製造工程の熱処理変数によって吸着剤自体の変質と性能の低下を招く恐れがある。したがって、理想的なフォルムアルデヒド除去用タイルは初期吸着剤の性能発現を最大化しうる技術に帰結される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】韓国特許公開第2001−49437号公報
【特許文献2】韓国特許登録第495571号公報
【特許文献3】韓国特許登録第478949号公報
【特許文献4】韓国特許登録第301253号公報
【特許文献5】韓国特許登録第677761号公報
【特許文献6】特開2006−248793号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は前述した従来の技術の問題点を解決するために案出されたもので、その目的はフォルムアルデヒド吸着性能に優れた活性炭をタイルのコアとして有させることによって、活性炭の吸着性能を最大限発現させたタイル及びその製造方法を提供するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前述した目的を達成するために、本発明は、コア及び該コアを取り囲む表面層で構成され、コアにだけ活性炭が含まれ、表面層には熱処理によって活性炭が除去されたことを特徴とするタイルを提供する。
【0008】
本発明において、表面層は酸化された活性炭によって成形されたアッシュを含むことを特徴とし、これによりタイルの表面硬化度及び強度を増加できる。
【0009】
本発明に係るタイルは、黄土40〜80重量%、粘土0〜20重量%、活性炭5〜30重量%、水分10〜30重量%を含む組成物で製造される。
【0010】
本発明において、活性炭はフォルムアルデヒド除去性能を考慮して0.14mm(100メッシュ)以下の微粉砕パウダーであることが望ましい。
【0011】
また、本発明は、活性炭を含む組成物を熱処理することを特徴とするタイルの製造方法を提供する。
【0012】
具体的に、本発明のタイル製造方法は、(a)黄土40〜80重量%、粘土0〜20重量%、活性炭5〜30重量%を含む乾式混合物を用意する段階と、(b)前記混合物に水分を10〜30重量%混合し、土練した後圧出する成形段階と、(c)圧出された成形物を60〜100℃で40〜70分間乾燥する段階と、(d)乾燥された成形物を600〜900℃で60分以下で焼成する段階とを含む。
【0013】
望ましくは、本発明のタイル製造方法は、タイルの耐汚染性を考慮して(c)及び(d)段階の間に釉薬を施釉する段階をさらに含み、この際釉薬は600〜1,100℃の融点を有し、表面の気孔度を高めるために釉薬に水分を30〜50重量%添加するのが望ましい。
【発明の効果】
【0014】
以上述べたように本発明によれば、フォルムアルデヒド吸着性能に優れた活性炭の基本物性をそのまま維持しつつ、吸着性能の極大化を期することができ、表面に酸化された活性炭がアッシュを形成し、それによって表面バインディング効果によって硬化度及び強度を増大できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明に係るタイルの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付した図面及び実施例に基づき本発明をさらに詳述する。
【0017】
図1は本発明に係るタイルの断面図であって、本発明のタイル1はコア10及び該コア10を取り囲む表面層20で構成される。
【0018】
コア10は活性炭と黄土及び/または粘土を含み、表面層20は熱処理によって活性炭が除去されている。
【0019】
活性炭は反応性に優れて熱処理によって除去され、よって表面層20には活性炭が存在せず、ただ活性炭が酸化されてアッシュだけ存在する。
【0020】
本発明のタイル1を切断すれば、色相によってコア10と表面層20とが明らかに識別される。すなわち、表面層20は黄土及び/または粘土で構成されて黄土色を帯びる一方、コア層10は活性炭を含めて黒く見える。
【0021】
このように適切な熱処理を通じて活性炭をコア10にだけ存在するようにし、表面層20では活性炭を除去し、表面層20によって活性炭を保護させることによって、活性炭のフォルムアルデヒド吸着性能を極大化することができ、また表面層20において活性炭が酸化されてから残るアッシュによって、タイルの表面硬化度及び強度が増大されうる。
【0022】
本発明に係るタイルの製造工程は次の順序に従う。
【0023】
まず、タイル組成物を製造する。
【0024】
タイル組成物は黄土40〜80重量%、粘土0〜20重量%、活性炭5〜30重量%の乾式混合物で組成される。粘土の場合、選択的に添加することができる。
【0025】
それぞれの原料はフォルムアルデヒド除去性能を考慮して微粉砕したパウダーを使用するのが望ましく、特に活性炭は0.14mm(100メッシュ)以下の微粉砕パウダーを使用するのが望ましい。
【0026】
次いで、前記混合物に水分を10〜30重量%混合し、土練(土を練り上げること)した後圧出する成形段階が行われる。
【0027】
次いで、圧出されたグリーンタイル成形物を60〜100℃の温度下で40〜70分間乾燥する。
【0028】
次いで、乾燥されたタイル成形物を最高焼成温度が600〜900℃、最高保持時間0.5〜20分、総焼成時間60分以下にして連続焼成窯で焼成する。
【0029】
前記工程において、タイルの耐汚染性を増加させるために釉薬が施釉されることができ、施釉工程は乾燥段階及び焼成段階の間に行うのが望ましい。使われる釉薬の種類は特に制限されないが、約600〜1,100℃の融点を有する釉薬を施釉するのが望ましく、表面の気孔度を高めるために釉薬に水分を30〜50重量%添加するのが望ましい。
【実施例】
【0030】
実施例1
黄土60〜80重量%、0.14mm以下の活性炭10〜20重量%、水分10〜30重量%を混合し土練して圧出タイルを成形した。成形されたタイルを60〜100℃で50分間乾燥したし、総焼成時間60分で800℃で熱処理して活性炭コアタイルを製造した。
【0031】
実施例2
実施例1と同様な方法でタイルを製造したし、乾燥段階と焼成段階との間に水分が50重量%添加された1,000℃の融点を有する釉薬を施釉した。それ以降の焼成段階は実施例1の工程と同様な方法で施した。
【0032】
比較例1
黄土タイル
【0033】
比較例2
木炭タイル
【0034】
試験例
実施例及び比較例のタイルに対してフォルムアルデヒド吸着性能を評価したし、その結果は表1の通りである。フォルムアルデヒド吸着量は、タイル材料1g当たり吸着するフォルムアルデヒド量で測定した。
【0035】
【表1】

【0036】
表1から確認できるように、本発明に係るタイルは、活性炭コア構造によって活性炭のフォルムアルデヒド吸着性能を極大化することによって、黄土及び木炭を用いた従来のタイルに比べてフォルムアルデヒド吸着量が10倍ほど優れた。
【0037】
本発明はフォルムアルデヒド吸着性能に優れた活性炭をタイルのコアで構成することによって、活性炭の吸着性能を最大限発現するようにし、またタイルの表面には酸化された活性炭によって形成されたアッシュによってタイルの表面硬化度及び強度の増大効果を奏する。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明はフォルムアルデヒドを除去するタイル及びその製造方法に適用可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コア及び該コアを取り囲む表面層で構成され、コアにだけ活性炭が含まれ、表面層には熱処理によって活性炭が除去されることを特徴とする、タイル。
【請求項2】
表面層が酸化された活性炭によって形成されたアッシュを含むことを特徴とする、請求項1に記載のタイル。
【請求項3】
黄土40〜80重量%、粘土0〜20重量%、活性炭5〜30重量%、水分10〜30重量%を含む組成物を熱処理して製造されたことを特徴とする、請求項1に記載のタイル。
【請求項4】
活性炭が0.001〜0.14mmの微粉砕パウダーであることを特徴とする、請求項1に記載のタイル。
【請求項5】
活性炭を含む組成物を熱処理することを特徴とする、タイルの製造方法。
【請求項6】
(a)黄土40〜80重量%、粘土0〜20重量%、活性炭5〜30重量%を含む乾式混合物を用意する段階と、
(b)前記混合物に水分を10〜30重量%混合し土練した後圧出する成形段階と、
(c)圧出された成形物を60〜100℃で40〜70分間乾燥する段階と、
(d)乾燥された成形物を600〜900℃で1〜60分間焼成する段階と、を含む、請求項5に記載のタイルの製造方法。
【請求項7】
(c)及び(d)段階の間に釉薬を施釉する段階をさらに含む、請求項6に記載のタイルの製造方法。
【請求項8】
釉薬が600〜1,100℃の融点を有し、釉薬に水分を30〜50重量%添加することを特徴とする、請求項7に記載のタイルの製造方法。

【図1】
image rotate


【公表番号】特表2011−507783(P2011−507783A)
【公表日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−519845(P2010−519845)
【出願日】平成19年10月2日(2007.10.2)
【国際出願番号】PCT/KR2007/004814
【国際公開番号】WO2009/028755
【国際公開日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【出願人】(509296890)エルジー ハウシス リミテッド (4)
【Fターム(参考)】