説明

フォレンジックシステム及びフォレンジック方法並びにフォレンジックプログラム

【課題】
翻訳済に関するデジタル文書情報を提出するに際し、訴訟の証拠資料作成のための作業負荷の軽減を図ることができる。
【解決手段】
デジタル文書情報に含まれる少なくとも1以上の文書ファイルの指定を受け付け、指定された文書ファイルをいずれの言語に翻訳するかの指定を受け付け、指定を受け付けた文書ファイルを、指定を受け付けた言語に翻訳し、記録部に記録されたデジタル文書情報から、指定された文書ファイルと同一の内容を示す共通文書ファイルを抽出し、抽出された共通文書ファイルが、翻訳された文書ファイルの翻訳内容を援用することにより翻訳されたことを示す翻訳関連情報を生成し、翻訳関連情報に基づいて、訴訟に関連する文書ファイルを出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はフォレンジックシステム及びフォレンジック方法並びにフォレンジックプログラムに関し、特に訴訟に関連するデジタル文書情報を出力するためのフォレンジックシステム及びフォレンジック方法並びにフォレンジックプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、フォレンジックという不正アクセスや機密情報漏洩などコンピュータに関する犯罪や法的紛争が生じた際に、原因究明や捜査に必要な機器やデータ、電子的記録を収集・分析し、その法的な証拠性を明らかにする手段や技術が提案されている。
【0003】
特に、米国民事訴訟では、eDiscovery(電子証拠開示)等が求められており、当該訴訟の原告及び被告のいずれもが、関連するデジタル情報をすべて証拠として提出する責任を負うため、コンピュータやサーバに記録されたデジタル情報を証拠として、提出しなければならない。
【0004】
一方、ITの急速な発達と普及に伴い、今日のビジネスの世界ではほとんどの情報がコンピュータで作成されているため、同一企業内であっても多くのデジタル情報が氾濫しており、特に、多国籍企業においては、複数の言語で記載されたデジタル文書情報が多く氾濫している。
【0005】
そのため、訴訟で標準となる言語で記載されていないデジタル文書情報の翻訳費用が膨大なコストとなるにもかかわらず、法廷への証拠資料提出のための準備作業を行う過程において、複数の文書ファイルが同一内容を記すものであっても、それぞれ独立に翻訳してしまうという重複翻訳の無駄が生じていた。
【0006】
近年、フォレンジックシステムに関する技術が、特許文献1及び特許文献2に提案されている。特許文献1には、証拠性保持の証明が可能な方法で不正行為者の特定が効率的に実施でき、その特定の信頼性が人的要素に影響され難いフォレンジックシステムについて開示されている。
【0007】
また、特許文献2には、個人情報の漏洩による損害に対して保険金を支払う情報損害保険システムであって、犯人の特定及び法的措置という事後対応を行うフォレンジックを損害補填の内容とするフォレンジックシステムについて開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2006−178521公報
【0009】
【特許文献2】特開2007−148731公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、例えば、特許文献1及び特許文献2のようなフォレンジックシステムでは、デジタル文書情報に含まれる、訴訟と関連性のある文書ファイルを収集する際に、その全ての文書ファイルを収集することが可能であるが、結果として膨大な情報を収集することとなってしまい、同一の内容を記した文書ファイルを重複して収集してしまうことになる。
【0011】
そのため、その重複した文書ファイルの中から、翻訳に必要な文書ファイルだけを探し出すために分析及び確認することは、多大な労力と費用がかかるという問題があった。
【0012】
そこで、本発明は、上記事情に鑑み、全ての文書ファイルを分析するのではなく最低限翻訳を要する文書ファイルを出力するフォレンジックシステム及びフォレンジック方法並びにフォレンジックプログラムを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明のフォレンジックシステムは、複数のコンピュータまたはサーバに記録されたデジタル情報を取得し、該取得されたデジタル情報を分析するフォレンジックシステムにおいて、複数の文書ファイルにより構成されるデジタル文書情報と、複数のコンピュータまたはサーバを利用する利用者に関する利用者情報とを含むデジタル情報を取得するデジタル情報取得部と、デジタル情報取得部により取得されたデジタル情報を記録する記録部と、記録されたデジタル情報と前記利用者情報とを表示する表示部と、デジタル文書情報に含まれる少なくとも1以上の文書ファイルの指定を受け付け、指定を受け付けた文書ファイルをいずれの言語に翻訳するかの指定を受け付ける指定受付部と、指定を受け付けた文書ファイルを、指定を受け付けた言語に翻訳する翻訳処理部と、記録部に記録されたデジタル文書情報から、指定された文書ファイルと同一の内容を示す共通文書ファイルを抽出する共通文書ファイル抽出部と、抽出された共通文書ファイルが、翻訳された文書ファイルの翻訳内容を援用することにより翻訳されたことを示す翻訳関連情報を生成する翻訳関連情報生成部と翻訳関連情報に基づいて、訴訟に関連する文書ファイルを出力する出力部とを備えたことを特徴とするものである。また、上記文書ファイルの出力は、プリンタによる紙出力、デジタル文書ファイル作成装置による電子媒体を記録媒体に保存することによる出力、表示部に表示される出力のいずれかであればよい。
【0014】
「デジタル情報取得部」は、複数のコンピュータまたはサーバに記録されたデジタル情報を取得するものであって、取得する方法としては、例えば、上記コンピュータまたはサーバに記録されたデジタル情報をある電子媒体にコピーし、当該電子媒体を介してフォレンジックシステムにコピーさせるか、もしくは上記コンピュータまたはサーバと、フォレンジックシステムをネットワーク回線を介して接続し、コンピュータまたはサーバに記録されたデジタル情報をフォレンジックシステムにデジタル情報をコピーする等により、デジタル情報の保全収集を行う。
【0015】
「翻訳関連情報生成部」は、複数の文書ファイルのうち、翻訳された文書ファイルであることを示す情報を生成するものである。例えば、翻訳関連情報を、指定を受け付けた文書ファイルの付帯情報に記録するものであってもよい。
【0016】
「翻訳関連情報」は、文書ファイルが翻訳されたものであるか否かをフォレンジックシステムが判別できるようにするデータである。具体的には、どの文書ファイルをどの言語により翻訳されたものであるかをコンピュータが判別できるように示すものである。
【0017】
また、「翻訳関連情報生成部」は、例えば、翻訳関連情報を、共通文書ファイルの付帯情報に記録するものであってもよい。
【0018】
また、「翻訳関連情報生成部」は、例えば、翻訳関連情報を、記録部に記録するものであってもよい。
【0019】
「サーバ」は、単数以上のサーバであって、例えば、複数のサーバにより構成されるものであってもよい。また、例えば、「サーバ」は、メールサーバ、ファイルサーバ、文書管理サーバのいずれか2つ以上であることを特徴とするものであってもよい。
【0020】
「表示部」は、デジタル情報を表示できるディスプレイ等をいう。
【0021】
「出力部」は、デジタル文書情報を何らかのプロダクションまたは電子データとして出力するものであって、例えば、プリンタ、デジタル文書ファイル作成装置、表示部のいずれかであればよい。
【0022】
本発明のフォレンジックシステムは、翻訳関連情報は、更に、共通文書ファイルと、翻訳された文書ファイルとが同一の翻訳内容であることを示す情報と、出力部における、文書ファイルの出力優先順位を示す情報とを備えたものであって、出力部は、優先順位を示す情報に基づいて、文書ファイル毎の出力の可否を制御するものであってもよい。
【0023】
「同一の翻訳内容であることを示す情報」とは、それぞれの文書ファイルが同一の内容を示すものであることをフォレンジックシステムが判別するためのデータである。具体的には、制御部に記録されたハッシュ名やその他の数値番号、記号または文字等によりその同一の翻訳内容であることを示してもよい。
【0024】
「優先順位を示す情報」とは、フォレンジックシステムの出力部が、所定の文書ファイルの出力すべき優先順位であることを示す情報であって、例えば、数値番号、記号または文字等によりその優先順位を示してもよい。
【0025】
本発明のフォレンジックシステムは、更に、記録部により記録されたデジタル文書情報の文書ファイルのデータ形式を判別するデータ形式判別部を備え、出力部は、データ形式判別部により判別された文書ファイルのうち、翻訳された文書ファイルと、共通文書ファイルが異なるデータ形式である際に、データ形式が異なる共通文書ファイルは出力するように制御するものであってもよい。例えば、データ形式判別部が、記録された文書情報の文書ファイルのデータ形式を判別する、具体的にはワード文書、エクセル文書、パワーポイント文書、PDF文書等のデータ形式を判別する。そして、例えば、翻訳された文書ファイルがワード文書であり、該ワード文書と同一の内容を示す共通文書ファイルがパワーポイント文書等であった際、ワード文書とパワーポイント文書は異なるデータ形式であるので、パワーポイント文書も出力するように制御する。
【0026】
本発明のフォレンジックシステムは、更に、表示部を介して、抽出されたデジタル文書情報の文書ファイルそれぞれが、訴訟に関連するものであるか否かを示す付帯情報を設定する付帯情報設定部を備えるものであって、出力部は、翻訳関連情報及び付帯情報に基づき、訴訟に関連する文書ファイルを出力するものであってもよい。
【0027】
本発明のフォレンジックシステムは、更に、記録されたデジタル文書情報から、複数の文書ファイル毎にいずれの言語で記述されたものであるかを判定する言語判定部を備えるものであって、記録部は、言語判定部により判定された言語の結果に応じて、複数の文書ファイルを言語毎のフォルダに整理して記録するようにするものであってもよい。
【0028】
本発明のフォレンジック方法は、複数のコンピュータまたはサーバに記録されたデジタル情報を取得し、該取得されたデジタル情報を分析するフォレンジック方法において、複数の文書ファイルにより構成されるデジタル文書情報と、前記複数のコンピュータまたはサーバを利用する利用者に関する利用者情報とを含むデジタル情報を取得し、デジタル情報取得部により取得されたデジタル情報を記録し、記録されたデジタル情報と利用者情報とを表示し、デジタル文書情報に含まれる少なくとも1以上の文書ファイルの指定を受け付け、指定された文書ファイルをいずれの言語に翻訳するかの指定を受け付け、指定を受け付けた文書ファイルを、指定を受け付けた言語に翻訳し、記録部に記録されたデジタル文書情報から、指定された文書ファイルと同一の内容を示す共通文書ファイルを抽出し、抽出された共通文書ファイルが、翻訳された文書ファイルの翻訳内容を援用することにより翻訳されたことを示す翻訳関連情報を生成し、翻訳関連情報に基づいて、訴訟に関連する文書ファイルを出力することを特徴とする。また、上記文書ファイルの出力は、プリンタによる紙出力、デジタル文書ファイル作成装置による電子媒体を記録媒体に保存することによる出力、表示部に表示される出力のいずれかであればよい。
【0029】
本発明のフォレンジックプログラムは、複数のコンピュータまたはサーバに記録されたデジタル情報を取得し、該取得されたデジタル情報を分析するフォレンジックプログラムにおいて、コンピュータに、複数の文書ファイルにより構成されるデジタル文書情報と、前記複数のコンピュータまたはサーバを利用する利用者に関する利用者情報とを含むデジタル情報を取得する機能と、デジタル情報取得部により取得されたデジタル情報を記録する機能と、記録されたデジタル情報と利用者情報とを表示する機能と、デジタル文書情報に含まれる少なくとも1以上の文書ファイルの指定を受け付け、指定された文書ファイルをいずれの言語に翻訳するかの指定を受け付ける機能と、指定を受け付けた文書ファイルを、指定を受け付けた言語に翻訳する機能と、記録部に記録されたデジタル文書情報から、指定された文書ファイルと同一の内容を示す共通文書ファイルを抽出する機能と、抽出された共通文書ファイルが、翻訳された文書ファイルの翻訳内容を援用することにより翻訳されたことを示す翻訳関連情報を生成する機能と、翻訳関連情報に基づいて、訴訟に関連する文書ファイルを出力する機能とを実現させるものである。また、上記文書ファイルの出力は、プリンタによる紙出力、デジタル文書ファイル作成装置による電子媒体を記録媒体に保存することによる出力、表示部に表示される出力のいずれかであればよい。
【0030】
なお、上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
【発明の効果】
【0031】
本発明のフォレンジックシステム及びフォレンジック方法並びにフォレンジックプログラムによれば、デジタル文書情報に含まれる少なくとも1以上の文書ファイルの指定を受け付け、指定された文書ファイルをいずれの言語に翻訳するかの指定を受け付け、指定を受け付けた文書ファイルを、指定を受け付けた言語に翻訳し、記録部に記録されたデジタル文書情報から、前記指定された文書ファイルと同一の内容を示す共通文書ファイルを抽出し、抽出された共通文書ファイルが、翻訳された文書ファイルの翻訳内容を援用することにより翻訳されたことを示す翻訳関連情報を生成し、翻訳関連情報に基づいて、訴訟に関連する文書ファイルを出力することにより、全ての文書ファイルを分析するのではなく、最低限翻訳を要する文書ファイルを出力することを可能とする。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の第1の実施形態におけるフォレンジックシステムの構成を表す機能ブロック図
【図2】本発明のフォレンジックシステムサービスの流れを表す図
【図3】本発明のフォレンジックシステムの処理フローを表す図
【図4】本発明のフォレンジックシステムの翻訳関連情報を示す図
【図5】本発明のフォレンジックシステムの表示部に表示される画面例(その1)を示す図
【図6】本発明のフォレンジックシステムの表示部に表示される画面例(その2)を示す図
【図7】本発明の第2の実施形態におけるフォレンジックシステムの構成を表す機能ブロック図
【符号の説明】
【0033】
1 フォレンジックシステム
2〜5 PC
10 サーバ
20 デジタル情報取得部
30 記録部
40 表示部
45 表示制御部
60 データ形式判別部
70 付帯情報設定部
80 言語判定部
90 指定受付部
100 検索部
110 翻訳関連情報生成部
120 出力部
130 共通文書ファイル抽出部
140 翻訳処理部
150 CPU
160 制御部
170〜172 クライアントPC
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0035】
図1は、本発明の実施形態におけるフォレンジックシステム1の構成を表す機能ブロック図である。
【0036】
図1に示すフォレンジックシステム1は、複数のコンピュータ(PC2〜5)またはサーバ10に記録されたデジタル情報を取得し、該取得されたデジタル情報を分析するフォレンジックシステム1において、複数の文書ファイルにより構成されるデジタル文書情報と、複数のコンピュータまたはサーバを利用する利用者に関する利用者情報とを含むデジタル情報を取得するデジタル情報取得部20と、デジタル情報取得部20により取得されたデジタル情報を記録する記録部30と、記録されたデジタル情報と前記利用者情報とを表示する表示部40と、デジタル文書情報に含まれる少なくとも1以上の文書ファイルの指定を受け付け、指定を受け付けた文書ファイルをいずれの言語に翻訳するかの指定を受け付ける指定受付部90と、指定を受け付けた文書ファイルを、指定を受け付けた言語に翻訳する翻訳処理部140と、記録部30に記録されたデジタル文書情報から、指定された文書ファイルと同一の内容を示す共通文書ファイルを抽出する共通文書ファイル抽出部130と、抽出された共通文書ファイルが、翻訳された文書ファイルの翻訳内容を援用することにより翻訳されたことを示す翻訳関連情報を生成する翻訳関連情報生成部110と翻訳関連情報に基づいて、訴訟に関連する文書ファイルを出力する出力部120とを備えたものである。
【0037】
制御部160は、表示制御部45、データ形式変換部60、言語判定部80、管理部85、検索部100、翻訳関連情報生成部110、共通文書ファイル抽出部130、翻訳処理部140、CPU150を備えるものである。
【0038】
また、フォレンジックシステム1は、キーボード、マウスまたは表示部40がタッチパネル機能を備えるときにはタッチパネルなどのデータ入力装置を備え、このデータ入力装置として、付帯情報設定部70及び指定受付部90がある。
【0039】
指定受付部90及び付帯情報設定部70は、それぞれ別のデータ入力装置であってもよいし、同一のデータ入力装置であってもよい。
【0040】
また、出力部120は、電子媒体にデータを記録する記録装置またはプリンタ等である。
【0041】
なお、図1に示すようなフォレンジックシステム1の構成は、補助記憶装置(不図示)に読み込まれたフォレンジックプログラムをコンピュータ上でCPU150により計算・実行することにより実現される。このとき、このフォレンジックプログラムは、CD−ROM等の記憶媒体に記憶され、もしくはインターネット等のネットワークを介して配布され、コンピュータにインストールされるものである。
【0042】
以下、本発明の第1の実施形態では、フォレンジックシステム1はパーソナルコンピュータとして説明するが、フォレンジックシステム1は、サーバ、携帯端末型のコンピュータ機等であってもよいし、後述する第2の実施形態のようなネットワーク型のシステム構成であってもよい。
【0043】
デジタル情報取得部20は、利用者が利用していたPC2〜5またはサーバ10に記録されたデジタル情報を取得するものである。
【0044】
例えば、デジタル情報取得部20は、PC2〜5またはサーバ10に記録されたデジタル情報をある電子媒体(例えば、USB、CD、DVD等)にコピーし、当該電子媒体を介してフォレンジックシステムに、デジタル情報をコピーさせる。
【0045】
また、PC2〜5またはサーバ10と、フォレンジックシステム1とをネットワーク回線を介して接続した場合、デジタル情報取得部20は、PC2〜5またはサーバ10に記録されたデジタル情報を、ネットワークを介してデータ送信を受け付けることにより、デジタル情報の保全収集を行う。
【0046】
翻訳関連情報は、文書ファイルが翻訳されたものであるか否かをフォレンジックシステムが判別できるようにするデータである。具体的には、どの文書ファイルをどの言語により翻訳されたものであるかをコンピュータが判別できるように示すものである。
【0047】
翻訳関連情報生成部110は、複数の文書ファイルのうち、翻訳された文書ファイルであることを示す情報を生成するものである。例えば、翻訳関連情報を、指定受付部90により、指定を受け付けた文書ファイルの付帯情報に記録するものであってもよい。
【0048】
また、翻訳関連情報生成部110は、例えば、翻訳関連情報を、共通文書ファイルの付帯情報に記録するものであってもよい。
【0049】
また、翻訳関連情報生成部110は、例えば、翻訳関連情報を、記録部30に記録するものであってもよい。
【0050】
また、デジタル情報取得部20は、サーバ10とは異なるサーバ(第二のサーバという)に記録された、第二のデジタル文書情報及び第二の利用者情報を含む第二のデジタル情報を取得するものであってもよい。
【0051】
この場合、フォレンジックシステム1は、サーバ10のデジタル情報のみならず、第二のサーバに記録された第二のデジタル文書情報を用いることができるものであってもよい。
【0052】
フォレンジックシステム1は、例えば、翻訳関連情報が、更に、共通文書ファイルと、翻訳された文書ファイルとが同一の翻訳内容であることを示す情報と、出力部120における、文書ファイルの出力優先順位を示す情報とを備えたものであって、出力部120は、優先順位を示す情報に基づいて、文書ファイル毎の出力の可否を制御するものである。
【0053】
同一の翻訳内容であることを示す情報は、それぞれの文書ファイルが同一の内容を示すものであることをフォレンジックシステム1が判別するためのデータである。具体的には、制御部に記録されたハッシュ名やその他の数値番号、記号または文字等によりその同一の翻訳内容であることを示してもよい。
【0054】
優先順位を示す情報は、フォレンジックシステム1の出力部30が、所定の文書ファイルの出力すべき優先順位であることを示す情報であって、例えば、数値番号、記号または文字等によりその優先順位を示してもよい。
【0055】
フォレンジックシステム1は、更に、記録部30により記録されたデジタル文書情報の文書ファイルのデータ形式を判別するデータ形式判別部60を備え、出力部120は、データ形式判別部60により判別された文書ファイルのうち、翻訳された文書ファイルと、共通文書ファイルが異なるデータ形式である際に、データ形式が異なる共通文書ファイルは出力するように制御する。
【0056】
表示部40は、制御部160に構成される表示制御部45の指示により表示内容を表示する。
【0057】
デジタル情報取得部20は、n回目(n=2,3,・・・)にデジタル情報を取得する際、制御部160により計時された日時を表わす情報に基づいて、n−1回目にデジタル情報を取得した時点より以後に、PC2〜5またはサーバ10に作成された、デジタル文書情報及びフォルダ情報のみを取得するものであってもよい。
【0058】
サーバ10は、単数以上のサーバであって、例えば、複数のサーバにより構成されるものであってもよく、少なくともメールサーバ、ファイルサーバ、文書管理サーバのいずれか2つ以上であってもよい。
【0059】
フォレンジックシステム1は、更に複数のオペレータが同時に利用できるものであってもよい。
【0060】
そして、複数のオペレータがデジタル文書情報を同時に確認しながら、複数の付帯情報設定部70を介して、付帯情報を設定することができる。
【0061】
具体的には、オペレータが文書ファイル毎に、どの言語で記述されたものであるかを付帯情報(例えば、言語Tag情報)として記録する。また、言語判定部80が、文書ファイル毎に、どの言語で記述されたものであるかを判別し、どの言語で記述されたものであるかを示す情報を、文書ファイル毎に、付帯情報(例えば、言語Tag情報)として記録してもよいし、後述する図4に示すような翻訳関連情報として記録してもよい。
【0062】
言語判定部80は、例えば、所定の言語の文字列から、所定の規則に従って複数の部分文字列を生成し、記録部30に記憶された文書ファイルの文字列を検索し、生成された部分文字列と一致する文字列を探し出し、各部分文字列が属する可能性がある言語とその可能性を評価することにより、所定の文書ファイルの文字列が属する言語を決定する。
【0063】
出力部120は、デジタル文書情報を何らかのプロダクションとして出力するものであって、例えば、プリンタまたは、電子媒体にデジタル情報を記録する記録装置であればよい。また、出力部120は、表示部40であってもよく、デジタル文書情報を表示出力するものであってもよい。
【0064】
翻訳処理部140は、分野毎に予め複数の分類項目に分類された翻訳資源が登録されたデータベースであって、見出語、訳語、品詞、意味等が翻訳資源として登録されている。翻訳処理部140は、例えば、ルート、上位階層、中位階層及び下位階層が各々に、例えば、大項目、中項目及び小項目に相当するように、分類項目が階層形式を有している。翻訳処理部140は、デジタル文書情報に関連付けられた分類項目に関連する翻訳資源を選択し、選択された翻訳資源に基づいて、入力データ中の原文書や操作情報等を少なくとも1つの他の言語に翻訳するものである。
【0065】
以下、図2のサービスフローを参照しながら、フォレンジックシステム1の法廷への証拠資料提出のための準備作業を行う手順を簡単に説明する。
【0066】
まず、フォレンジックという不正アクセスや機密情報漏洩などコンピュータに関する犯罪や法的紛争が生じた際に、原因究明や捜査に必要な機器やデータ、電子的記録を収集・分析し、その法的な証拠性を明らかにする必要がある。
【0067】
特に、米国民事訴訟では、eDiscovery(電子証拠開示)等が求められており、当該訴訟の原告及び被告のいずれもが、関連するデジタル情報をすべて証拠として提出する責任を負うため、コンピュータやサーバに記録されたデジタル情報を証拠として、提出しなければならない。
【0068】
そこで、フォレンジックシステム1は、訴訟に関連するデジタル情報を選別し、法廷への証拠資料提出のための準備作業を行うべく、PC2〜5やサーバ10に記録されたデジタル情報を保全収集(Preservation)する。
【0069】
その後、フォレンジックシステム1は、保全収集したデジタル情報を記録部30のようなデータベースに登録し、デジタル情報を分析(Analysis)し、キーワード検索やフィルタ処理により、細分化する。
【0070】
この記録部30は、フォレンジックシステム1のコンピュータに含める構成であってもよいし、コンピュータとは別体としてサーバに保存してもよい。
【0071】
そして、フォレンジックシステム1は、細分化したデジタル情報を表示部40上でレビュー(Review)し、オペレータが付帯情報設定部70を介して、デジタル文書情報に対して付帯情報を設定する。
【0072】
制御部160は、保全収集分析機能、処理分析検索機能、Review機能、Production機能を有する。
【0073】
例えば、制御部160の保全収集分析機能は、案件毎のデータ管理が可能となるようにCase管理機能(管理部85の機能)、対象者・証拠物毎にファイルの種類や所持量の分析ができ、検索対象ファイルの分析も可能とするファイル分析機能(検索部100の機能)、検索・閲覧対象となるファイルタイプの選択可能とするファイル種類選択抽出機能(制御部160の機能)、選択したファイルを別ファイルとして保全収集が可能となる保全収集機能(制御部160)を有する。また、制御部160の処理分析検索機能は、全文検索機能と、頻出語句トップ抽出機能を有する(検索部100の機能)。
【0074】
この全文検索機能は、多言語に対応し、Boolean演算により、AND OR NOT検索を可能とし、Grouping演算によりカッコを用いた検索を可能とし、検索した語句のハイライト表示機能、Meta Dataにする機能を有する。また、全文検索機能は、高度検索機能を有し、近傍検索や正規表現検索等を可能とする。頻出語句トップ抽出機能は、あるデジタル文書情報内部における頻出語句を抽出するものである。
【0075】
また、制御部160のReview機能は、例えば、E−mail Familyをまとめて閲覧できるE−mail Family閲覧処理機能(検索部100の機能)や、1つの評価または複数の評価を付帯情報として設定されたものを当該評価に基づいて検索できる自由設計Tag機能(検索部100の機能)、階層構造BookMark設定されたもののBookMark検索を可能とする自由設計BookMark機能(検索部100の機能)、任意の文字数入力可能なコメント欄を設けた自由入力コメント欄(管理部85の機能)、上述した複数のオペレータがデジタル文書情報を確認するための同時閲覧機能、Reviewする際、閲覧者のアカウント毎に、Case毎のアクセス権、管理者権限、閲覧のみ権限等の設定可能にしたアクセス権制御機能(管理部85の機能)、デジタル文書情報の本文に変更を加えずに文書内に書き込みを可能とする文書内書き込みMemo機能(管理部85の機能)、Review完了文書数(%)表示を可能とするCase Management機能(管理部85の機能)、E−mailスレッド(返信、転送等)を一括表示するE−mail Threading機能(管理部85の機能)、メールのやり取りをグラフィカルに表示するメール分析表示機能(統計データ作成部130の機能)、Draft、古いVersion等の類似文書を自動分類して表示する類似文書表示機能(管理部85の機能)、類似文書の差の部分のみをハイライト表示する類似文書差分ハイライト機能(管理部85の機能)、検索Hitした語句の周辺部分のみを表示する検索Hit部分前後文章表示機能(検索部100の機能)を有する。
【0076】
また、制御部160のProduction機能は、実ファイル、メタ情報、Tag情報等のXML出力、CSV出力、画像出力、各種ロードファイル出力の各種出力機能(管理部85からの指示により、出力部120により出力できる機能)、選択された複数のデジタル文書情報の印刷するBatch Printing機能(管理部85からの指示により、出力部120により出力できる機能)を有する。
【0077】
最後に、フォレンジックシステム1は、出力部120により電子媒体にデータを生成するようにプロダクション(Production)する。例えば、電子媒体にデータを記録する記録装置により、所定のフォーマットのデータ形式により、電子媒体に記録する。
【0078】
次に、図3のフローチャートを参照しながら、フォレンジックシステム1の法廷への証拠資料提出のための準備作業を行う手順を詳細に説明する。
【0079】
まず、デジタル情報取得部20は、例えば、Word形式、PDF形式、PPT形式、Excel形式のような汎用フォーマットによる文書ファイルからなるデジタル文書情報と、PC2〜5またはサーバ10を利用する利用者に関する利用者情報とを含むデジタル情報を取得する(ST1)。
【0080】
なお、デジタル情報として、アクセス履歴情報を含めてもよい。このアクセス履歴情報は、図1に示すように、サーバ10に記録されたデジタル文書情報に対して、PC2〜5を利用した利用者が、ネットワークを介してアクセスしたことを示すものであって、例えば、利用者はだれであるかを示す利用者IDと、どの時期にその利用者がどのデジタル文書情報にアクセスしたかを示すものである。
【0081】
なお、利用者が利用するPC2〜5は、例として4台で説明しているが、4台に限るものではなく、複数のPCであればよい。
【0082】
次に、デジタル情報取得部20は、取得したデジタル情報を記録部30に記録する(ST2)。
【0083】
表示部40は、制御部160を介して、デジタル情報(デジタル文書情報及び利用者情報、更に、アクセス履歴情報、利用者情報、デジタル情報のタイトル等)を表示する(ST3)。
【0084】
例えば、表示部40は、表示制御部45からの指示に応じて、利用者情報、デジタル文書情報、アクセス履歴情報を全て表示してもよいし、それらの情報のうち少なくとも一つを表示してもよいし、それらの情報の属性情報(例えば、利用者の氏名、文書ファイルのファイル名、アクセスした者、時期、文書ファイル等)のうち少なくとも一つを表示してもよい。
【0085】
また、フォレンジックシステム1の表示部40を介した、その他の機能について説明する。例えば、オペレータは、表示部40の画面を確認しながら、フォレンジックシステム1にログインし、更にCase(フォレンジックシステム1のデータベースの最上位のデータグループの単位)を作成する。また、オペレータは、表示部40の画面を確認しながら、デジタル情報が記録された記録部30に相当するサーバ等の接続先の設定と管理を行う(この場合、記録部30は複数存在する)。また、オペレータは、表示部40の画面を確認しながら、Custodian(データ保持対象者)の設定をし、管理をする。オペレータは、表示部40の画面を確認しながら、情報収集及び保全収集されたデジタル文書情報から構成されるTarget(フォレンジックシステム1のデータベースの中位のデータグループ単位)の作成と状態管理をする。次に、オペレータは、表示部40の画面を確認しながら、情報収集及び保全収集したTargetにCustodianを関係付ける。
【0086】
例えば、オペレータは、表示部40を確認しながら、PC2〜5またはサーバから取得したデジタル文書情報から構成される複数のTargetに対して、どのCustodianが訴訟に関連したかを予め設定してもよい。
【0087】
最後に、オペレータは、表示部40の画面を確認しながら、分析対象のTargetを複数または単数選択する。
【0088】
このように、制御部160は、記録部30に記録されたデジタル情報を取得し、各種機能部により、デジタル情報を分析することができる。
【0089】
フォレンジックシステム1は、記録部30に記録されたデジタル文書情報のデータ形式毎のデータ容量から表わされる統計データ、または検索部100により検索されたデジタル文書情報のデータ形式毎のデータ容量から表わされる統計データを作成する制御部160を備えている。
【0090】
例えば、オペレータは、表示部40の画面を確認しながら、分析対象のCustodianとそのCustodianと対応づいたTarget内から所定のPath(ディレクトリ)を選択し、Custodian毎のファイル数及び容量の分析結果のリストを表示できる。また、オペレータは、表示部40の画面を確認しながら、Path毎のファイル数及び容量の分析結果のリストをチャートとして表示できる。更に、オペレータは、表示部40の画面を確認しながら、Path(ディレクトリ)毎のファイル数及び容量の分析結果をリスト表示できる。また、オペレータは、表示部40の画面を確認しながら、File Type毎のファイル数及び容量の分析結果のリストをチャートとして表示できる。また、オペレータは、表示部40の画面を確認しながら、File Type毎のファイル数及び容量の分析結果のリストを表示できる。
【0091】
また、オペレータは、表示部40の画面を確認しながら、File Type毎のファイル数及び容量の分析結果のリストをチャートとして表示できる。更に、オペレータは、表示部40の画面を確認しながら、テキスト検索可能なファイルのみをFile Type毎のファイル数及び容量の分析結果のリストをチャートとして表示できる。このテキスト検索可能なファイルは、予め制御部160により、記録部30に記録されたデジタル文書情報からテキスト情報が抽出可能なものに対して行われる。
【0092】
次に、図4に示すフローチャートの説明に戻ると、指定受付部90が、デジタル文書情報に含まれる少なくとも1以上の文書ファイルの指定を受け付け、指定された文書ファイルをいずれの言語に翻訳するかの指定を受け付ける(ST4)。
【0093】
オペレータは、表示部40の画面を確認しながら、翻訳したい文書ファイルと、どの用語に翻訳したいかを選択する。
【0094】
翻訳処理部140は、指定受付部90により指定を受け付けた文書ファイルを、指定受付部90により指定を受け付けた言語に自動翻訳を行う(ST5)。なお、翻訳担当者のものが、指定受付部90により指定を受け付けた文書ファイルを、指定受付部90により指定を受け付けた言語に翻訳を行ってもよい。
【0095】
共通文書ファイル抽出部130は、記録部30に記録されたデジタル文書情報から、指定受付部90により指定された文書ファイルと同一の内容を示す共通文書ファイルを抽出する(ST6)。
【0096】
共通文書ファイル抽出部130は、記録部30に記録された文書ファイルのハッシュテーブルを利用することにより、共通文書ファイルを抽出することができる。具体的には、共通文書ファイル抽出部130は、図4に示すような、文書ファイルのID名、ファイル名と、パス名、ハッシュ名、文書ファイルの言語内容を示す言語名を対応づけて記録する。そして、共通文書ファイル抽出部130は、ハッシュ名が同一であれば、指定を受け付けた文書ファイル以外で、ハッシュ名が同一な文書ファイルを共通文書ファイルとして抽出することができる。
【0097】
また、共通文書ファイル抽出部130は、文書ファイルのテキストデータの内容の同一性を判別するアルゴリズムを備えており、そのアルゴリズムにより、指定を受け付けた文書ファイルと同一の文書ファイルである共通文書ファイルを抽出してもよい。
【0098】
翻訳関連情報生成部110は、共通文書ファイル抽出部130により、抽出された共通文書ファイルが、翻訳された文書ファイルの翻訳内容を援用することにより翻訳されたことを示す翻訳関連情報を生成する(ST7)。なお、翻訳関連情報生成部110は、オペレータが指定受付部90を介して、翻訳関連情報を設定することにより、翻訳関連情報を生成するものであってもよい。
【0099】
出力部120は、翻訳関連情報に基づいて、訴訟に関連する文書ファイルを出力する(ST7)。翻訳関連情報は、共通文書ファイルと、指定受付部90により指定された文書ファイルとが同一の翻訳内容であることを示す情報と、出力部120における、文書ファイルの出力優先順位を示す情報とを備えたものであって出力部120は、優先順位を示す情報に基づいて、文書ファイルの出力の可否を制御する。
【0100】
具体的には、図4に示すハッシュ名が同一であることは、同一の翻訳内容であることを示す情報であって、ID番号の番号数が小さいほど、優先して出力するものとして、出力優先順位を示す情報となる。
【0101】
また、フォレンジックシステム1は、記録部120により記録されたデジタル文書情報の文書ファイルのデータ形式を判別するデータ形式判別部60を備え、出力部120は、データ形式判別部60により判別された文書ファイルのうち、指定された文書ファイルと、共通文書ファイルが異なるデータ形式である際に、データ形式が異なる共通文書ファイルは出力するように制御する。具体的には、ハッシュ名が同一であっても、異なるデータ形式であれば、出力部120は、共通文書ファイルは出力するように制御する。例えば、データ形式判別部60が、記録された文書情報の文書ファイルのデータ形式を判別する、具体的にはワード文書、エクセル文書、パワーポイント文書、PDF文書等のデータ形式を判別する。そして、例えば、翻訳された文書ファイルがワード文書であり、該ワード文書と同一の内容を示す共通文書ファイルがパワーポイント文書で会った際、ワード文書とパワーポイント文書は異なるデータ形式であるので、パワーポイント文書も出力するように制御する。
【0102】
なお、制御部160は、Custodianにアクセス権が設定されているデジタル文書情報をレビュー(確認)するに際し、その者が組織内での地位が上位であるほどアクセス権は、広く設定されていることが多いため、実際にはその者が閲覧したこともない訴訟とは関連性の無い書類が大量に収集されてしまうことになり、その収集した膨大な情報の中から、その者に関係する書類だけを探し出すために分析することは、多大な労力と費用がかかる。
【0103】
そこで、制御部160は、指定された特定の者(Custodian)に関するアクセス履歴情報に基づいて、特定の者がアクセスしたデジタル文書情報のみを抽出してもよい。
【0104】
例えば、オペレータが、Custodianである甲氏を指定した場合、選択されたTarget内のデジタル文書情報内で、甲氏がアクセスした文書ファイルのみを抽出する。アクセス履歴情報を用いることにより、甲氏が実際にアクセス(例えば、閲覧、編集、作成)した文書ファイルの抽出が可能となる。アクセス履歴情報は、複数のコンピュータのいずれかを利用した利用者が、サーバに記録されたデジタル文書情報に対して、アクセスしたことを示すものである。例えば、利用者はだれであるかを示す利用者IDと、どの時期にその利用者がどのデジタル文書情報にアクセスしたかを示すアクセス情報とを含むものである。予め、甲氏のコンピュータやサーバ利用時のID情報と、アクセス履歴情報とが記憶部30に記録されていることにより、甲氏のIDと甲氏がアクセスした文書ファイルとの対応関係を取ることにより、抽出が可能となる。
【0105】
なお、甲氏を例に説明したが、甲氏に加え、乙氏など複数のCustodianを指定した場合、デジタル文書情報抽出部60は、複数のCustodianに関連する文書ファイルを抽出することができる。
【0106】
また、上述したように、オペレータが、TargetとCustodianとの関係を設定している場合、あくまでTarget単位でCustodianとして、関連していると判断し、選択されたTarget内で実際に指定受付部90により指定されたCustodianがアクセスした文書ファイルのみを抽出する。
【0107】
更に、オペレータは、検索部100の機能により、表示部40の画面を確認しながら、検索を行うことができる。また、オペレータは、表示制御部45の機能により、表示部40の画面を確認しながら、簡易閲覧を行うことができる。オペレータは、この簡易閲覧により、デジタル文書情報の内容を把握できる。
【0108】
また、フォレンジックシステム1を利用するに際し、訴訟に関連する情報であれば、「Hot」、関連する可能性があるものは「Responsive」とし、関連する可能性がないものは「Not Responsive」として、ファイル毎にタグ(付帯情報)が付与される。具体的には、Batchリストのファイル行をクリックするとタグの入力が可能となる。
【0109】
そして、オペレータは、出力部120から、付帯情報に基づき、訴訟に関連する文書ファイルを出力するように、CPU150に対して、指示する。オペレータから指示を受け付けたCPU150は、出力部120が出力するように制御する。例えば、Hotと付与された文書ファイルのみを出力しもよいし、Hot及びResponsiveと付与された文書ファイルを出力してもよい。
【0110】
また、フォレンジックシステム1は、表示部40を介して、抽出されたデジタル文書情報の文書ファイルそれぞれが、訴訟に関連するものであるか否かを示す付帯情報を設定する付帯情報設定部70を備えるものであって、出力部120は、翻訳関連情報及び付帯情報に基づき、訴訟に関連する文書ファイルを出力するものであってもよい。
【0111】
具体的には、出力部120は、指定受付部90に指定された文書ファイル(ハッシュ名同一で優先順位が最も高いもの)であって、Hotと付与された文書ファイルのみを出力する。もしくは、出力部120は、指定受付部90に指定された文書ファイル(ハッシュ名同一で優先順位が最も高いもの)であって、Hot及びResponsiveと付与された文書ファイルを出力してもよい。
【0112】
また、図5は、表示部40に表示される画面例である。具体的には、制御部160は、Output LanguageでAutoを選択した場合、言語判定部80の判定結果をメタ情報毎にディレクトリを作成し、その配下の対象の文書ファイルを出力する。一方、Output LanguageでTagを選択した場合、選択したタグ毎にディレクトリを作成し、その配下に対象の文書ファイルを出力する。1つの文書ファイルに複数言語が存在する場合、それぞれの言語フォルダに同じ文書ファイルを配置する。タグが紐づいていないドキュメントは出力対象にしない。
【0113】
また、図6は、表示部40に表示される画面例である。文書ファイルに翻訳した文書ファイルが存在する場合、符号Tをクリックすることにより、それぞれの言語により表現された文書ファイルを切り替え表示することができる。また、同データ形式に複数の文書ファイルが存在した場合、符号Sをクリックすることにより、指定されたID番号の文書ファイルを切り替え表示することができる。
【0114】
また、フォレンジックシステム1は、複数のフォレンジックシステム用サーバにより構成されるものであって、デジタル情報抽出部と、検索部とがそれぞれ、フォレンジックシステム用サーバに分離されたものであり、更に、分離されたフォレンジックシステムがネットワークを介して、接続されたものであってもよい。
【0115】
また、第2の実施形態について、図7を参照しながら、説明する。
【0116】
フォレンジックシステム1は、図7に示すような、ネットワーク型のシステム構成であってもよい。第2の実施形態のフォレンジックシステム1は、第1の実施形態で説明したフォレンジックシステム1の各処理部と同様であるが、それぞれの処理部は複数のサーバに分散して配置されている。サーバ間は、ネットワークを介して接続されている。このため、国内にサーバを分散して配置してもよいし、国内外を問わずサーバを分散して配置してもよい。
【0117】
なお、表示部40は、それぞれのクライアントPC170〜172に備わっている。そして、複数のクライアントPCとUIサーバとの間に、仮想クライアントサーバに一括してデータ送受信をまとめることにより、表示レスポンスの向上を可能とする。
【0118】
このようにして、第1の実施形態のようにコンピュータによりフォレンジックシステム1を構成してもよいし、第2の実施形態のようにネットワーク型のシステムによりフォレンジックシステム1を構成してもよい。
【0119】
また、フォレンジックシステム1によれば、付帯情報設定部70及び指定受付部90は、それぞれのクライアントPC170〜172に備わるデータ入力装置が該当する。
【0120】
フォレンジックシステム1によれば、デジタル文書情報に含まれる少なくとも1以上の文書ファイルの指定を受け付け、指定された文書ファイルをいずれの言語に翻訳するかの指定を受け付け、指定を受け付けた文書ファイルを、指定を受け付けた言語に翻訳し、記録部に記録されたデジタル文書情報から、前記指定された文書ファイルと同一の内容を示す共通文書ファイルを抽出し、抽出された共通文書ファイルが、翻訳された文書ファイルの翻訳内容を援用することにより翻訳されたことを示す翻訳関連情報を生成し、翻訳関連情報に基づいて、訴訟に関連する文書ファイルを出力することにより、全ての翻訳済み文書ファイルを分析するのではなく、最低限必要な翻訳済み文書ファイルを出力することを可能とする。これにより、同一内容のデジタル文書情報の重複翻訳の軽減を図ることができる
【0121】
フォレンジックシステム1によれば、言語判定部80と、検索部100とを備え、付帯情報設定部70が、検索された文書ファイルに対して、付帯情報を設定するに際し、サーバに記録されたデジタル文書情報のうち、特定の者がアクセスしたもののみであって、所定の検索により、訴訟に関連する可能性のあるデジタル文書情報の母集団を絞り込むことが可能になる。
【0122】
フォレンジックシステム1によれば、制御部160により変換された文書ファイルが、出力部120により出力される前までの間、変換されたデータ形式と同一のまま処理されるに際し、処理フローの中途でのデータフォーマット変換の無駄な工程を削減でき、デジタル文書情報の品質劣化のリスクを排除することができる。
【0123】
フォレンジックシステム1によれば、更に、制御部160を備えた際に、統計データをオペレータに可視化して提供できるため、訴訟準備に要する労力を早期に把握することができる。
【0124】
フォレンジックシステム1によれば、更に、デジタル情報取得部20は、以前に制御部160により計時された日時より以後に作成された、デジタル文書情報及びフォルダ情報のみを取得し、該取得されたデジタル文書情報及びフォルダ情報に関連する利用者情報及びアクセス履歴情報のみを取得するに際し、デジタル情報の差分収集を可能とし、毎回サーバ等から同一のデジタル情報を重複して取得する負荷を軽減することができる。
【0125】
フォレンジックシステム1によれば、制御部160と、検索部100とがそれぞれ、フォレンジックシステム用サーバに分離されたものであるに際し、それぞれのサーバにより各処理部の計算工程を分散することにより、システム全体の処理能力を向上させることができる。
【0126】
フォレンジックシステム1によれば、複数のオペレータが同時に利用できるものである際には、付帯情報設定部70は、異なるオペレータにより付帯情報を設定することができることにより、法廷への証拠資料であるか否かの判定を複数人で判定することで早期に準備作業を行うことを可能にする。
【0127】
以上、本発明の実施形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることは明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0128】
また第1の実施形態と第2の実施形態のフォレンジックシステム1は、それぞれのシステム全体または、それぞれの各処理部を組み合わせて構成することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のコンピュータまたはサーバに記録されたデジタル情報を取得し、該取得されたデジタル情報を分析するフォレンジックシステムにおいて、
複数の文書ファイルにより構成されるデジタル文書情報と、前記複数のコンピュータまたはサーバを利用する利用者に関する利用者情報とを含むデジタル情報を取得するデジタル情報取得部と、
前記デジタル情報取得部により取得されたデジタル情報を記録する記録部と、
前記記録されたデジタル情報と前記利用者情報とを表示する表示部と、
前記デジタル文書情報に含まれる少なくとも1以上の文書ファイルの指定を受け付け、該指定を受け付けた文書ファイルをいずれの言語に翻訳するかの指定を受け付ける指定受付部と、
前記指定を受け付けた文書ファイルを、前記指定を受け付けた言語に翻訳する翻訳処理部と、
前記記録部に記録されたデジタル文書情報から、前記指定された文書ファイルと同一の内容を示す共通文書ファイルを抽出する共通文書ファイル抽出部と、
前記抽出された共通文書ファイルが、前記翻訳された文書ファイルの翻訳内容を援用することにより翻訳されたことを示す翻訳関連情報を生成する翻訳関連情報生成部と、
前記翻訳関連情報に基づいて、訴訟に関連する文書ファイルを出力する出力部とを備えたことを特徴とするフォレンジックシステム。
【請求項2】
前記翻訳関連情報生成部は、更に、前記翻訳関連情報を、前記指定を受け付けた文書ファイルの付帯情報に記録するものであることを特徴とする請求項1記載のフォレンジックシステム。
【請求項3】
前記翻訳関連情報生成部は、前記翻訳関連情報を、前記共通文書ファイルの付帯情報に記録するものであることを特徴とする請求項1記載のフォレンジックシステム。
【請求項4】
前記翻訳関連情報生成部は、前記翻訳関連情報を、前記記録部に記録するものであることを特徴とする請求項1記載のフォレンジックシステム。
【請求項5】
前記翻訳関連情報は、更に、前記共通文書ファイルと、前記指定された文書ファイルとが同一の翻訳内容であることを示す情報と、前記出力部における、前記文書ファイルの出力優先順位を示す情報とを備えたものであって、
前記出力部は、前記優先順位を示す情報に基づいて、文書ファイルの出力の可否を制御することを特徴とする請求項1から4いずれか1項記載のフォレンジックシステム。
【請求項6】
前記フォレンジックシステムは、更に、
前記記録部により記録されたデジタル文書情報の文書ファイルのデータ形式を判別するデータ形式判別部を備え、
前記出力部は、前記データ形式判別部により判別された文書ファイルのうち、前記指定された文書ファイルと、前記共通文書ファイルが異なるデータ形式である際に、前記データ形式が異なる共通文書ファイルは出力するように制御することを特徴とする請求項5記載のフォレンジックシステム。
【請求項7】
前記出力部は、プリンタ、デジタル文書ファイル作成装置、前記表示部のいずれかであることを特徴とする請求項1から6いずれか1項記載のフォレンジックシステム。
【請求項8】
前記フォレンジックシステムは、更に、
前記抽出されたデジタル文書情報の文書ファイルそれぞれが、訴訟に関連するものであるか否かを示す付帯情報を設定する付帯情報設定部を備えるものであって、
前記出力部は、前記翻訳関連情報及び付帯情報に基づき、訴訟に関連する文書ファイルを出力するものであることを特徴とする請求項1から7いずれか1項記載のフォレンジックシステム。
【請求項9】
前記フォレンジックシステムは、更に、
前記記録されたデジタル文書情報から、前記複数の文書ファイル毎にいずれの言語で記述されたものであるかを判定する言語判定部を備えるものであって、
前記記録部は、前記言語判定部により判定された言語の結果に応じて、前記複数の文書ファイルを言語毎のフォルダに整理して記録するようにすることを特徴とする請求項1から8いずれか1項記載のフォレンジックシステム。
【請求項10】
複数のコンピュータまたはサーバに記録されたデジタル情報を取得し、該取得されたデジタル情報を分析するフォレンジック方法において、
複数の文書ファイルにより構成されるデジタル文書情報と、前記複数のコンピュータまたはサーバを利用する利用者に関する利用者情報とを含むデジタル情報を取得し、
前記デジタル情報取得部により取得されたデジタル情報を記録し、
前記記録されたデジタル情報と前記利用者情報とを表示し、
前記デジタル文書情報に含まれる少なくとも1以上の文書ファイルの指定を受け付け、該指定された文書ファイルをいずれの言語に翻訳するかの指定を受け付け、
前記指定を受け付けた文書ファイルを、前記指定を受け付けた言語に翻訳し、
前記記録部に記録されたデジタル文書情報から、前記指定された文書ファイルと同一の内容を示す共通文書ファイルを抽出し、
前記抽出された共通文書ファイルが、前記翻訳された文書ファイルの翻訳内容を援用することにより翻訳されたことを示す翻訳関連情報を生成し、
前記翻訳関連情報に基づいて、訴訟に関連する文書ファイルを出力することを特徴とするフォレンジック方法。
【請求項11】
複数のコンピュータまたはサーバに記録されたデジタル情報を取得し、該取得されたデジタル情報を分析するフォレンジックプログラムにおいて、
コンピュータに、
複数の文書ファイルにより構成されるデジタル文書情報と、前記複数のコンピュータまたはサーバを利用する利用者に関する利用者情報とを含むデジタル情報を取得する機能と、
前記デジタル情報取得部により取得されたデジタル情報を記録する機能と、
前記記録されたデジタル情報と前記利用者情報とを表示する機能と、
前記デジタル文書情報に含まれる少なくとも1以上の文書ファイルの指定を受け付け、該指定された文書ファイルをいずれの言語に翻訳するかの指定を受け付ける機能と、
前記指定を受け付けた文書ファイルを、前記指定を受け付けた言語に翻訳する機能と、
前記記録部に記録されたデジタル文書情報から、前記指定された文書ファイルと同一の内容を示す共通文書ファイルを抽出する機能と、
前記抽出された共通文書ファイルが、前記翻訳された文書ファイルの翻訳内容を援用することにより翻訳されたことを示す翻訳関連情報を生成する機能と、
前記翻訳関連情報に基づいて、訴訟に関連する文書ファイルを出力する機能とを実現させるためのフォレンジックプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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