説明

フォーム複合材要素の製造方法

本発明は、表面材を供給する工程、表面材に定着剤を適用する工程、および定着剤にポリウレタンおよび/またはポリイソシアヌレート含有フォーム層を適用する工程を含むフォーム複合材要素の製造方法であって、定着剤が、ポリエーテルポリオール(B.1)、ポリマーポリオール(B.2)、ポリウレア分散体(B.3)、ポリエステルポリオール(B.4)およびPIPAポリオール(B.5)からなる群から選択される少なくとも1種の化合物からなることを特徴とする方法に関する。本発明はまた、ポリエーテルポリオール、ポリマーポリオールおよびポリウレア分散体からなる群から選択される少なくとも1種の化合物の、フォーム複合材要素の製造における定着剤としての使用、並びに本発明の方法によって得られたフォーム複合材要素に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面材を供給する工程、表面材に定着剤を適用する工程、および定着剤にポリウレタンおよび/またはポリイソシアヌレート含有フォーム層を適用する工程を含むフォーム複合材要素の製造方法であって、定着剤が、ポリエーテルポリオール、ポリマーポリオール、ポリウレア分散体、ポリエステルポリオールおよびPIPAポリオールからなる群から選択される少なくとも1種の化合物からなることを特徴とする方法に関する。本発明は更に、ポリエーテルポリオール、ポリマーポリオールおよびポリウレア分散体からなる群から選択される少なくとも1種の化合物の、フォーム複合材要素の製造における定着剤としての使用、並びに本発明の方法によって得られたフォーム複合材要素に関する。
【背景技術】
【0002】
硬質ポリウレタンフォーム(すなわち、硬質ポリウレタンフォームと硬質ポリイソシアヌレートフォームの両方)に基づく金属サンドイッチ要素の連続的な製造には、特にフォームがポリイソシアヌレートフォームである場合、金属製表面材のフォームへの接着性が重要である。二液型ポリウレタン定着剤系は、市場で定評がある。接着力は基本的に、そのような二液型定着剤系の使用によって著しく向上する。このことは、完成部品のメーカーにとって、改善された製品を意味する。特に、接着破壊の長期的リスクは、かなり低減する。
【0003】
しかしながら、そのような二液型定着剤系を配合する際、定着剤成分の適切な均質化が困難な場合がある。不適切な均質化は、温度が変動する場合に表面材のフォームへの接着の破壊が起こり得るという、金属複合材要素の長期的接着特性に関する高いリスクをもたらすことがある。更に、二液型定着剤系の配合は、製造開始時の比較的高い不良品発生率を生じることがある。
【0004】
2つの定着剤成分の不適切な均質化に起因する不十分な接着特性のリスクを回避するために、一液型溶液が供給されている。例えば、EP 1 516 720 A1は、ポリイソシアヌレートフォームと表面材を含む複合材要素の層間接着力を改善するためのポリウレタン定着剤の使用、複合材要素自体、およびその製造方法を開示している。
【0005】
EP 1 593 438 A2は、サンドイッチ複合材要素を製造するためのデバイスおよび方法を開示している。デバイスは、2つの表面材供給デバイス、定着剤適用デバイス、コア層適用デバイス、コンベヤーデバイスおよび撓みデバイスから少なくともなり、それらは一列に並んで接続されている。定着剤適用デバイスは、定着剤供給路、少なくとも1つの側面出口開口部を有する回転板、および回転板駆動装置から少なくともなる。例えばポリウレタンに基づく一液型系、例としてNCO基含有プレポリマーを定着剤として使用することができる。別の可能な一液型系は、ポリクロロプレン、エポキシドまたはポリ酢酸ビニルに基づく。定着剤は多液型系、好ましくは二液型系からなることもできる。好ましい二液型系はポリウレタン系である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】EP 1 516 720 A1
【特許文献2】EP 1 593 438 A2
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
フォーム複合材要素においてフォームと表面材の接着力を向上させることは、変わらない目的である。従って、特にフォーム複合材要素におけるフォームと表面材の向上した接着力と同時に、フォーム/表面材界面での生じたとしても小規模な欠陥の発生を可能にする、そのような複合材要素の代替改良製造方法に対する要求が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
従って、本発明は、
A)表面材を供給する工程、
B)表面材に定着剤を適用する工程、および
C)定着剤にポリウレタンおよび/またはポリイソシアヌレート含有フォーム層を適用する工程
を含むフォーム複合材要素の製造方法であって、定着剤が、ポリエーテルポリオール(B.1)、ポリマーポリオール(B.2)、ポリウレア分散体(B.3)、ポリエステルポリオール(B.4)およびPIPAポリオール(B.5)からなる群から選択される少なくとも1種の化合物からなることを特徴とする方法を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0009】
ポリエーテルポリオール(B.1)、ポリマーポリオール(B.2)、ポリウレア分散体(B.3)、ポリエステルポリオール(B.4)および/またはPIPAポリオール(B.5)を定着剤として使用することによって、フォームの表面材への接着が、既知の系と比べて向上することが見出された。従って本発明によれば、ポリエーテルポリオール(B.1)、ポリマーポリオール(B.2)、ポリウレア分散体(B.3)、ポリエステルポリオール(B.4)およびPIPAポリオール(B.5)からなる群から選択される少なくとも1種の化合物からなる本発明の定着剤に加えて、更なる定着剤を使用することはない。本発明の定着剤のみを使用することによって、特に、混合不十分な二液型定着剤系に関する回避すべき問題を回避することができる。混合不十分な定着剤系は、複合材においてふくれを生じるか、または予想される破断点をもたらす。有利なことに、ポリオール化合物を単独で使用することにより、表面材の表面全体を湿潤させることもできる。
【0010】
本発明に従って製造されるフォーム複合材要素は特に、断熱要素として適している。
【0011】
本発明の方法の工程A)は、表面材の供給工程である。これは、連続製造プラントにおいて、例えば巻いた表面材をロールから巻き出すことによって実施することができる。表面材の種類は、まず始めに特定されるということはなく、好ましくは、断熱分野において表面材に通常使用されている材料を使用することができる。表面材の厚さは、例えば200μm〜5mm、好ましくは300μm〜2mm、特に好ましくは400μm〜1mmであってよい。
【0012】
工程B)では、本発明の定着剤を、供給した表面材に適用する。適用は、例えば噴霧またはロール塗布のような一般的な技術を用いて実施することができる。本発明の定着剤は、ポリエーテルポリオール(B.1)、ポリマーポリオール(B.2)、ポリウレア分散体(B.3)、ポリエステルポリオール(B.4)およびPIPAポリオール(B.5)からなる群から選択される少なくとも1種の化合物からなる。好ましくは本発明の定着剤は、ポリエーテルポリオール(B.1)およびポリマーポリオール(B.2)からなる群から選択される少なくとも1種の化合物からなる。最も好ましくは、例えば(B.1):(B.2)の比が3:1〜1:3である、ポリエーテルポリオール(B.1)およびポリマーポリオール(B.2)の混合物を定着剤として使用する。
【0013】
本発明の定着剤は、好ましくは1〜8、より好ましくは2〜4、特に好ましくは2〜3のヒドロキシル官能価を有する。
【0014】
本発明の定着剤は、好ましくは15〜500、より好ましくは20〜200、特に好ましくは20〜60の範囲にヒドロキシル価を有する。
【0015】
本発明の定着剤は、25℃の温度でDIN 53015に従って測定した場合、好ましくは200〜30,000mPasの範囲、より好ましくは200〜20,000mPasの範囲、特に好ましくは200〜10,000mPasの範囲の粘度を有する。
【0016】
既知の方法により調製されたポリエーテルポリオール(B.1)を、定着剤として使用する。これは、例えば、ポリオキシアルキレンポリオールの調製のための、触媒として水酸化アルカリ(例えば水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウム)或いはアルカリアルコラート(例えば、ナトリウムメチラート、ナトリウムまたはカリウムメチラート、若しくはカリウムイソプロピラート)を用いる、内部に結合されている2〜8個の反応性水素原子、好ましくは2〜3個の反応性水素原子を含有する少なくとも1種のスターター分子の付加を伴ったアニオン重合によって、或いはアルキレン基中に2〜4個の炭素原子を含有する1種以上のアルキレンオキシドからの、触媒としてルイス酸(例えば五塩化アンチモン、三フッ化ホウ素エーテラート)またはベントナイトを用いるカチオン重合によって実施する。本発明の範囲では、ポリエーテルポリオール(B.1)は充填剤を含有しない。
【0017】
本発明に適当なアルキレンオキシドは、例えば、エチレンオキシド、1,2−プロピレンオキシド、テトラヒドロフラン、1,3−プロピレンオキシド、1,2−ブチレンオキシドおよび2,3−ブチレンオキシド、好ましくは、エチレンオキシドおよび1,2−プロピレンオキシドである。アルキレンオキシドは、単独で、順次交互に、或いは混合物として使用することができる。
【0018】
スターター分子として、好ましくは、水、有機ジカルボン酸、例えば、コハク酸、アジピン酸、フタル酸およびテレフタル酸、アルキル基中に1〜4個の炭素原子を含有するアルキル基で場合によりN−モノアルキル置換、N,N−ジアルキル置換およびN,N’−ジアルキル置換されていてよい脂肪族および芳香族ジアミン、例えば、場合によりモノアルキレン置換およびジアルキレン置換されていてよい、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、1,2−プロピレンアミン、1,3−ブチレンジアミンおよび1,4−ブチレンジアミン、1,2−ヘキサメチレンジアミン、1,3−ヘキサメチレンジアミン、1,4−ヘキサメチレンジアミン、1,5−ヘキサメチレンジアミンおよび1,6−ヘキサメチレンジアミン、フェニレンジアミン、2,3−トルイレンジアミン、3,4−トルイレンジアミン、2,4−トルイレンジアミンおよび2,6−トルイレンジアミン並びに4,4’−ジアミノジフェニルメタン、2,4’−ジアミノジフェニルメタンおよび2,2’−ジアミノジフェニルメタン、アルカノールアミン、例えば、エタノールアミン、N−メチル−エタノールアミンおよびN−エチル−エタノールアミン、ジアルカノールアミン、例えば、ジエタノールアミン、N−メチル−ジエタノールアミンおよびN−エチル−ジエタノールアミン、並びにトリアルカノールアミン、例えばトリエタノールアミン、並びにアンモニアからなる群から選択される化合物を使用する。多価、特に二価〜八価のアルコールおよび/またはアルキレングリコール、例えば、エタンジオール、1,2−プロパンジオールおよび1,3−プロパンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、グリセロール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトールおよびスクロース、並びに少なくとも2種の多価アルコールの混合物を使用することが好ましい。
【0019】
ポリエーテルポリオールとして、スターター分子(例えばポリエーテルカーボネートポリオール)へのアルキレンオキシドおよび別のモノマー(例えば無水物、二酸化炭素)の付加によって調製することができるコポリマーを使用することもできる。H官能性スターター分子へのアルキレンオキシドおよび二酸化炭素の触媒付加によるポリエーテルカーボネートポリオールの調製方法は、例えば、Inoueら、Copolymerization of Carbon Dioxide and Epoxide with Organometallic Compounds; Die Makromolekulare Chemie 130, 210-220, 1969に記載されている。
【0020】
ポリエーテルポリオールは、好ましくは、ポリオキシプロピレンポリオールおよびポリオキシプロピレン−ポリオキシエチレンポリオールである。ポリエーテルポリオールは、好ましくは2〜8の官能価、および特に好ましくは20〜500のヒドロキシル価を有する。
【0021】
ポリエーテルポリオール(B.1)は、単独で、または更なるポリエーテルポリオールとの混合物として、或いは別の定着剤(B.2)〜(B.5)との混合物として使用することができる。ポリエーテルポリオール(B.1)とポリマーポリオール(B.2)および/またはポリウレア分散体(B.3)との混合物を定着剤として使用することが好ましい。
【0022】
ポリエーテルポリオールは、25℃の温度でDIN 53015に従って測定した場合、好ましくは200〜30,000mPasの範囲、より好ましくは200〜20,000mPasの範囲、特に好ましくは200〜10,000mPasの範囲の粘度を有する。
【0023】
本発明によれば、ポリマーポリオール(B.2)もまた定着剤として使用する。ポリマーポリオールはしばしば、グラフトポリオールとも称される。ポリマーポリオールは通常、グラフト基剤として使用されるポリエーテルオール(キャリヤーポリエーテルオール)中での適当なオレフィンモノマー(例えば、スチレン、アクリロニトリル、アクリレートおよび/またはアクリルアミド)のラジカル重合によって調製される。その側鎖は一般に、成長ポリマー鎖からポリエーテルポリオールへのラジカルの移動によって生じる。ポリマーポリオールは、グラフトコポリマーに加えて、未変化ポリエーテルオール中に分散したオレフィンホモポリマーを主に含有する。
【0024】
好ましい態様では、連続相としてのポリエーテルオールまたはポリエステルオール中で、場合により別のモノマー、マクロマー、調節剤の存在下でラジカル開始剤、多くの場合アゾ化合物またはペルオキシド化合物を用いて、アクリロニトリル、スチレン、特に1:1〜3:1の比のスチレンおよびアクリロニトリルをモノマーとして配合する。
【0025】
キャリヤーポリエーテルオールとして通常、アルキレンオキシド(好ましくはエチレンオキシドおよび/またはプロピレンオキシド)のアニオン重合、カチオン重合または中性重合(DMC)によって調製された、2〜8、好ましくは2〜3のヒドロキシル基官能価、および20〜100mgKOH/g、好ましくは25〜70mgKOH/gのヒドロキシル価を有する化合物を考慮に入れる。
【0026】
安定剤とも称されるマクロマーは、少なくとも1個の末端反応性オレフィン性不飽和基を含有する、2000g/molまでの数平均分子量を有する直鎖または分岐ポリオールである。無水物(無水マレイン酸、フマル酸)、アクリレート誘導体およびメタクリレート誘導体並びにイソシアネート誘導体、例えば3−イソプロペニル−1,1−ジメチルベンジルイソシアネート、イソシアナトエチルメタクリレートとの反応によって、エチレン性不飽和基を、既に存在しているポリオールに組み込むことができる。
【0027】
ラジカル重合中、マクロマーはコポリマー鎖に組み込まれる。その結果、ポリエーテルブロックおよびポリアクリロニトリル−スチレンブロックを有するブロックコポリマーが生じ、これは、連続相と分散相の界面において相融和剤として作用し、ポリマーポリオール粒子の凝集を抑制する。マクロマーの量は通常、ポリマーポリオールを調製するために使用するモノマーの総重量に基づいて1〜15重量%である。
【0028】
連鎖移動剤とも称される調節剤を通常、ポリマーポリオール(B.2)の調製に使用する。調節剤は、成長ラジカルの鎖移動によって生じるコポリマーの分子量を低減する。その結果、ポリマー分子間の架橋は低減し、このことは、ポリマーポリオールの粘度、分散安定性および濾過性に影響を及ぼす。調節剤の量は通常、ポリマーポリオールを調製するために使用するモノマーの総重量に基づいて0.5〜25重量%である。ポリマーポリオールの調製に通常使用される調節剤は、アルコール、例えば、1−ブタノール、2−ブタノール、イソプロパノール、エタノール、メタノール、シクロヘキサン、トルエン、メルカプタン、例えば、エタンチオール、1−ヘプタンチオール、2−オクタンチオール、1−ドデカンチオール、チオフェノール、2−エチルヘキシルチオグリコラート、メチルチオグリコラート、シクロヘキシルメルカプタンおよびエノールエーテル化合物、モルホリンおよびα−(ベンゾイルオキシ)スチレンである。
【0029】
ラジカル重合を開始するために、通常、ペルオキシド化合物またはアゾ化合物、例えば、ジベンゾイルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、tert−アミルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート、ジ−tert−ブチルペルオキシド、ジイソプロピルペルオキシドカーボネート、tert−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート、tert−ブチルペルピバレート、tert−ブチルペルネオデカノエート、tert−ブチルペルベンゾエート、tert−ブチルペルクロトナート、tert−ブチルペルイソブチレート、tert−ブチルペルオキシ−1−メチルプロパノエート、tert−ブチルペルオキシ−2−エチルペンタノエート、tert−ブチルペルオキシオクタノエートおよびジ−tert−ブチルペルフタレート、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチル−バレロニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)(AMBN)、1,1’−アゾビス(1−シクロヘキサンカルボニトリル)を使用する。開始剤の量は通常、ポリマーポリオールを調製するために使用するモノマーの総重量に基づいて0.1〜6重量%である。
【0030】
モノマーの反応速度および開始剤の半減期のため、ポリマーポリオールを調製するためのラジカル重合は通常、70〜150℃の温度および20barまでの圧力で実施する。ポリマーポリオールの調製に好ましい反応条件は、大気圧〜15barの圧力で80〜140℃の温度である。
【0031】
ポリマーポリオール(B.2)は、好ましくは1〜45重量%、より好ましくは5〜30重量%、特に好ましくは15〜25重量%の充填剤含量を有する。
【0032】
ポリマーポリオールは、25℃の温度でDIN 53015に従って測定した場合、好ましくは200〜30,000mPasの範囲、より好ましくは200〜20,000mPasの範囲、特に好ましくは200〜10,000mPasの範囲の粘度を有する。
【0033】
ポリマーポリオールが50mol%〜100mol%の第一級ヒドロキシル基含量を有することが好ましい。
【0034】
ポリマーポリオール成分は、例えば、スターター分子としてのグリセロールへのプロピレンオキシドおよびエチレンオキシドの付加によって調製することができる。プロピレンオキシドの量が80重量%〜95重量%であることが有利な場合があり、エチレンオキシドの量が5重量%〜20重量%であることが有利な場合がある。ポリマーポリオール中の第一級ヒドロキシル基の含量が60mol%〜80mol%の範囲であることが特に好ましい場合もある。
【0035】
ポリウレア分散体(B.3)もまた、本発明に従って定着剤として使用される。本発明の範囲におけるポリウレア分散体は、充填剤含有ポリエーテルポリオールであり、充填剤は、ジイソシアネートおよび/またはポリイソシアネートとジアミンおよび/またはヒドラジンとの反応生成物である。ポリウレア分散体は、好ましくは、成分(B.1)のポリエーテルポリオールの存在下での、ジアミンおよび/またはヒドラジンとジイソシアネートおよび/またはポリイソシアネートとの反応によって得られる(PHD分散体)。
【0036】
成分(B.3)のポリウレア分散体(PHD分散体)は、例えば、成分(B.1)のポリエーテルポリオール中での、ジイソシアネートおよび/またはポリイソシアネートとジアミンおよび/またはヒドラジンとの、或いはイソシアネート混合物とジアミンおよび/またはヒドラジンとのイン・サイチュー重合によって調製される。好ましくは、PHD分散体は、成分(B.1)のポリエーテルポリオール(好ましくは、三官能性スターター(例としてグリセロールおよび/またはトリメチロールプロパン)のアルコキシル化によって調製されたポリエーテルポリオール)中での、75〜85重量%の2,4−トルエンジイソシアネート(2,4−TDI)および15〜25重量%の2,6−トルエンジイソシアネート(2,6−TDI)含有イソシアネート混合物と、ジアミンおよび/またはヒドラジンとの反応によって調製される。PHD分散体の調製方法は、例えばUS 4,089,835およびUS 4,260,530に記載されている。
【0037】
ポリウレア分散体は、好ましくは1〜45重量%、より好ましくは5〜30重量%、特に好ましくは10〜25重量%の充填剤含量を有する。
【0038】
ポリエステルポリオール(B.4)を定着剤として使用する。ポリエステルポリオール(B.4)は特に、2〜12個の炭素原子を含有する有機ジカルボン酸、好ましくは4〜6個の炭素原子を含有する脂肪族ジカルボン酸、および多価アルコール、好ましくは2〜12個、好適には2〜6個の炭素原子を含有するアルカンジオール、3〜6個の炭素原子を含有するアルカントリオールおよび/またはジアルキレングリコールから調製される。本発明に従って使用するジカルボン酸は、好ましくは、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカンジカルボン酸、マレイン酸、フマル酸、フタル酸、イソフタル酸およびテレフタル酸からなる群から選択される。ジカルボン酸は、単独でまたは混合物として使用することができる。ジカルボン酸に代えて、対応するカルボン酸誘導体、例えば、C1〜4アルコールのジカルボン酸エステル、またはジカルボン酸無水物を使用することも可能である。二価アルコールおよび多価アルコール、特にアルカンジオールおよびジアルキレングリコールとして、エタンジオール、ジエチレングリコール、1,2−プロパンジオールおよび1,3−プロパンジオール、ジプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオールおよび1,6−ヘキサンジオールからなる群からの化合物を本発明に従って使用することができる。
【0039】
ラクトン(例えばε−カプロラクトン)またはヒドロキシカルボン酸(例えばω−ヒドロキシカプロン酸)からのポリエステルポリオールを使用することもできる。
【0040】
ポリエステルポリオールを調製するために、場合により減圧下、150〜250℃、好ましくは180〜220℃の温度で溶融体中、有利には不活性ガス(例えば、窒素、ヘリウム、アルゴンなど)雰囲気中で、触媒を用いずに或いは好ましくはエステル交換触媒の存在下、有機の、例えば芳香族、好ましくは脂肪族のジカルボン酸および/またはその誘導体、並びに多価アルコールおよび/またはアルキレングリコールを、所望の酸価(有利には10未満、好ましくは2未満)まで重合させることができる。
【0041】
好ましい態様によれば、エステル化混合物は、標準圧力下の後に500mbar未満(好ましくは50〜150mbar)の圧力下、上記温度で、80〜30、好ましくは40〜30の酸価まで重縮合する。エステル交換触媒として、例えば、金属、金属酸化物または金属塩としての、鉄触媒、カドミウム触媒、コバルト触媒、鉛触媒、亜鉛触媒、アンチモン触媒、マグネシウム触媒、チタン触媒および錫触媒が考慮に入れられる。しかしながら、重縮合は、希釈剤および/または共留剤(例えば、縮合水の共沸蒸留のための、ベンゼン、トルエン、キシレンまたはクロロベンゼン)の存在下、液相で実施することもできる。
【0042】
ポリエステルポリオールの調製のために、有機ジカルボン酸および/またはその誘導体並びに多価アルコールを、1:1〜1.8、好ましくは1:1.05〜1.2のモル比で重縮合させることが有利である。得られるポリエステルポリオールは、好ましくは2〜4、特に2〜3の官能価、および20〜140、好ましくは20〜40のヒドロキシル価を有する。
【0043】
ポリエステルポリオールは、25℃の温度でDIN 53015に従って測定した場合、好ましくは200〜30,000mPasの範囲、より好ましくは200〜20,000mPasの範囲、特に好ましくは200〜10,000mPasの範囲の粘度を有する。
【0044】
PIPAポリオール(B.5)もまた定着剤として使用する。PIPAポリオール(B.5)は、成分(B.1)のポリエーテルポリオール中でのアルカノールアミンとジイソシアネートとの反応により得られるウレタン基含有分散体である。成分(B.5)の充填剤含有ポリエーテルポリオールは、好ましくはPIPA(アルカノールアミンを用いたポリイソシアネート重付加)変性ポリエーテルポリオールであり、ポリエーテルポリオールは、2.5〜4の官能価および500〜18,000の分子量を有する。
【0045】
定着剤層の厚さは、例えば10μm〜500μm、好ましくは20μm〜200μm、特に好ましくは25μm〜100μmであり得る。
【0046】
定着剤としての成分(B.1)、(B.2)、(B.3)、(B.4)および/または(B.5)の使用により、大量の不良品の発生を伴うことなく、フォーム複合材要素の製造における中断が可能になる。二液型系に基づく従来の定着剤は、短時間の後に完全に反応するが、定着剤としての成分(B.1)、(B.2)、(B.3)、(B.4)および/または(B.5)は、それ自体またはそれら同士、反応性ではない。従って、有利なことに、製造過程において問題が発生すれば、大量の材料を廃棄する必要性を伴わずに、フォーム複合材要素の製造を停止することができる。
【0047】
工程C)では、ポリウレタンおよび/またはポリイソシアヌレート含有フォーム層を、定着剤層(成分(B.1)、(B.2)、(B.3)、(B.4)および/または(B.5))に適用する。これは、連続製造プラントにおいて実施することもできる。この層は、例えば、2cm〜28cm、3cm〜26cm、好ましくは4cm〜24cmの厚さで存在することができる。適用直前にミキシングヘッド内で反応成分を混合し、フォームを生成する反応混合物を定着剤層に直接適用ことが可能である。ポリイソシアヌレートまたは主にポリイソシアヌレートを含有するフォームを使用することが特に有利である。なぜならそのようなフォームは、低減された含量の難燃剤を含む場合でさえ、良好な難燃性を有するからである。
【0048】
通常の脂肪族、脂環式、特に芳香族のポリイソシアネートを、フォーム層の製造に使用する。トルエンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、特にジフェニルメタンジイソシアネートおよびポリフェニレンポリメチレンポリイソシアネートの混合物(粗MDI)を使用することが好ましい。イソシアネート基に対して反応性である水素原子を少なくとも2個含有する適当な化合物は一般に、分子内に、OH基、SH基、NH基、NH基およびCH酸性基、例えばβ−ジケト基から選択される反応性基を2個以上含有する化合物である。ポリエーテルオールおよび/またはポリエステルオールの使用が好ましく、ポリエーテルポリオールが好適である。使用するポリエーテルオールおよび/またはポリエステルオールのヒドロキシル価は好ましくは25〜800mgKOH/gであり、分子量は一般に400g/molより大きい。
【0049】
一般にフォーム層のフォームを意味するとも理解されるフォーム層は、85%〜100%、好ましくは90%〜100%の、DIN ISO 4590に従って測定できる独立気泡含量を有することができる。また、フォーム層は、10μm〜600μm、好ましくは50μm〜400μmの、ASTM 5376−77に従った平均気泡直径を有することができる。
【0050】
もちろん、本発明の方法において、工程C)の後、工程B)にあるような定着剤層を更にフォーム層に適用し、次いで工程A)に記載されているような表面材を更に適用することもできる。そして、両側に表面材を備えたフォーム複合材要素が得られる。この製造方法は、例えば通常の双ベルト装置で実施することができる。
【0051】
本発明の態様では、表面材の材料は、アルミニウム、鋼、ビチューメン、紙材、無機不織布、有機繊維含有不織布、プラスチックシート、プラスチックフィルムおよび/または木材板を包含する。表面材がアルミニウム金属または鋼であることが特に好ましい。表面材、特にアルミニウムまたは鋼は被覆されていてよい。本発明に従って使用する定着剤は、とりわけポリイソシアヌレートフォームとアルミニウム表面材または鋼表面材の間の良好な接着を特にもたらす。
【0052】
本発明の方法の別の態様では、定着剤は、20g/m〜50g/mの量で表面材に適用する。これは、既知の方法と比べて、定着剤の必要量が少ないことを意味する。表面材に適用される定着剤の量は、25g/m〜35g/mの範囲であってもよい。従って、全体として、材料を節約する(定着剤をより少なくする)ことができる。
【0053】
本発明の方法の別の態様では、定着剤およびフォーム層製造用反応混合物の適用後、表面材を20℃〜70℃、特に好ましくは40℃〜60℃の温度に加熱する。定着剤と他の層との反応は、表面材の加熱によって促進され、全体として、より強固な結合が得られる。表面材は、定着剤を適用する前、特に好ましくは45℃〜55℃の温度に加熱することもできる。
【0054】
本発明の方法の別の態様では、フォーム層は、ポリイソシアネートと、ポリエステルポリオールおよびポリエーテルポリオール含有反応混合物からなる群から選択される少なくとも1種の化合物との反応から得られ、反応開始前、イソシアネート基と反応混合物中イソシアネート反応性基(例えばヒドロキシル基)のモル比は、1:1〜5:1である。この状況は一般に、指数によって表される。この指数は、実際に使用されるイソシアネートの量の、イソシアネート(NCO)基の化学量論量(すなわち計算量)に対するパーセント比:
【数1】

を表す。
【0055】
換言すれば、この反応混合物の指数は100〜500である。指数は、150〜350または200〜300の場合もある。そのような指数の場合、既に記載したように、より少量の難燃剤を含有し、やはり本発明の製造方法によってより強固に表面材(特にアルミニウム表面材)に結合する、ポリイソシアヌレートフォームが主に得られる。ポリイソシアヌレートフォームは好ましくは、10%圧縮でのその圧縮強さまたは10kPa〜300kPaに基づいて定義された硬質フォームである。圧縮強さまたは耐圧縮性は、DIN 53421/DIN EN ISO 604に従って測定することができる。圧縮強さは、150kPa〜250kPaまたは180kPa〜280kPaの範囲であってもよい。
【0056】
少なくとも1種のポリイソシアネートと、少なくとも1種のポリエステルポリオールおよび場合によりポリエーテルポリオールを含有する反応混合物との、150〜350、特に好ましくは200〜300の指数での反応からフォーム層を得る、本発明の方法では、定着剤として、ポリエーテルポリオール(B.1)とポリマーポリオール(B.2)および/またはポリウレア分散体(B.3)との混合物を、好適には3:1〜1:3の(B.1):(B.2)および/または(B.3)の比で使用することが好ましい。定着剤混合物の固形分は、好ましくは10〜30重量%である。
【0057】
本発明の方法の別の態様では、フォーム層の見掛密度は、25g/L〜48g/L、特に好ましくは35g/L〜45g/Lである。見掛密度は、ISO 845に従って測定することができる。見掛密度は、とりわけ好ましくは37g/L〜42g/L、更に好ましくは39g/L〜40g/Lであってもよい。それとは関係なく、フォーム層のフォームを意味すると一般に理解されるフォーム層は、85%〜100%、好ましくは90%〜100%の、DIN ISO 4590に従って測定できる独立気泡含量を有することも可能である。また、フォーム層は、10μm〜600μm、好ましくは50μm〜400μmの、ASTM 3576−77に従った平均気泡直径を有することができる。
【0058】
本発明は更に、ポリエーテルポリオール(B.1)、ポリマーポリオール(B.2)およびポリウレア分散体(B.3)からなる群から選択される少なくとも1種の化合物の、フォーム複合材要素の製造における定着剤としての使用に関する。定着剤として使用されるポリエーテルポリオール(B.1)、ポリマーポリオール(B.2)およびポリウレア分散体(B.3)の詳細は既に記載した通りであり、その全体をここで参照することができる。
【0059】
本発明は更に、本発明の方法によって得られたフォーム複合材要素であって、表面材とフォーム層の間の接着力が0.20N/mm〜1.00N/mm、好ましくは0.20N/mm〜0.50N/mm、特に好ましくは0.20N/mm〜0.30N/mmであるフォーム複合材要素を提供する。特にフォーム層は、ポリイソシアヌレートフォーム層であってよい。接着力は有利には、DIN 53292に従って測定される。実際には、0.20N/mmの下限値が十分な接着に特に有利であると見なされる。
【0060】
従って、本発明はまた、
(α)表面材層、
(β)ポリエーテルポリオール(B.1)、ポリマーポリオール(B.2)、ポリウレア分散体(B.3)、ポリエステルポリオール(B.4)およびPIPAポリオール(B.5)からなる群からの少なくとも1種の化合物からなる定着剤層、好ましくは、ポリエーテルポリオール(B.1)、ポリマーポリオール(B.2)、ポリウレア分散体(B.3)からなる群からの少なくとも1種の化合物からなる定着剤層、並びに
(γ)ポリウレタンおよび/またはポリイソシアヌレート含有フォーム層
を含むフォーム複合材要素であって、層が(α)−(β)−(γ)の順に、好ましくは(α)−(β)−(γ)−(β)−(α)の順に配置されているフォーム複合材要素も提供する。
【実施例】
【0061】
DIN 53292に従って接着性を試験した。この手順は、DIN 53292−82に従った表面材の面に垂直な引張試験とは、異なった試料厚さおよび表面材の数という点で異なる。DIN 53292−82に従った試験では、表面材の厚さ全体を採用する。それによって全体として、試料の最も弱い領域が破壊部位を決定する。一方、本明細書に記載されている接着試験変法は、接着力の面関連評価を可能にする。従って、表面材に対して垂直に複合要素を切断することによって試料を採取する。50mmの辺長および(表面材を含む)15mmの高さを有する正方形の試料を、測定において使用する。
【0062】
フォーム/表面材の界面での欠陥(ふくれ発生)を測定するために、金属複合材要素を105℃で1時間ベークした。次いで、金属複合材要素の上表面材および/または下表面材を取り除いた。硬質ポリウレタンフォームの規則的な気泡構造に加えて崩壊キャビティが形成されたかどうかを調べた。
欠陥なし:崩壊キャビティなし
小規模な欠陥:崩壊キャビティ数1〜5未満、各々が5mm未満の直径を有する
中規模な欠陥:崩壊キャビティ数5〜10未満および/または崩壊キャビティ直径5〜10mm
大規模な欠陥:崩壊キャビティ数少なくとも10および/または崩壊キャビティ直径10mm超
【0063】
以下の定着剤を実施例で使用した。
定着剤AP A:グリセロール、エチレンオキシドおよびプロピレンオキシドのポリエーテルポリオールに基づき、官能価3およびヒドロキシル価28mgKOH/gを有するポリウレア分散体。
定着剤AP B:グリセロール、エチレンオキシドおよびプロピレンオキシドのポリエーテルポリオールに基づき、官能価3およびヒドロキシル価28mgKOH/gを有し、SAN(60/40)に基づいて20重量%の充填剤を含有するポリマーポリオール。
定着剤AP C:グリセロール、エチレンオキシドおよびプロピレンオキシドのポリエーテルポリオールに基づき、官能価3およびヒドロキシル価20mgKOH/gを有し、SAN(60/40)に基づいて43重量%の充填剤を含有するポリマーポリオール。
定着剤AP D:50重量%の定着剤AP C、および50重量%の官能価3およびヒドロキシル価28mgKOH/gを有する、グリセロール、エチレンオキシドおよびプロピレンオキシドのポリエーテルポリオールからなる混合物。
定着剤AP E:官能価3およびヒドロキシル価28mgKOH/gを有する、グリセロール、エチレンオキシドおよびプロピレンオキシドのポリエーテルポリオール。
【0064】
実施例1〜6
フォーム系1:
a−成分:
39重量部のポリエーテルエステルポリオール1(第一段階で、無水フタル酸、ジエチレングリコールおよびエチレングリコールを反応させることによりポリエステルポリオールを得、それを第二段階でエチレンオキシドを用いて連鎖延長させることにより調製したもの。得られたポリエステルポリオール1は、官能価2およびヒドロキシル価310mgKOH/gを有していた。)、
15.7重量部のポリエーテルポリオール1(スターター化合物としてのプロピレングリコール、並びにプロピレンオキシドおよびエチレンオキシドから調製したもの。得られたポリエステルポリオール1は、官能価2およびヒドロキシル価28mgKOH/gを有していた。)、
12重量部のポリエーテルポリオール2(スターター化合物としてのエチレングリコールおよび糖、並びにプロピレンオキシドから調製したもの。得られたポリエーテルポリオール2は、官能価3およびヒドロキシル価380mgKOH/gを有していた。)、
25重量部の難燃剤1(トリスクロロイソプロピルホスフェート、TCPP)、
5重量部の安定剤1(シリコーン含有安定剤)、
2.5重量部のポリエステルポリオール1(無水フタル酸およびジエチレングリコールから調製したもの。得られたポリエステルポリオール1は、ヒドロキシル価795mgKOH/gを有していた。)、
0.8重量部の水。
b−成分:
Desmodur 44V70L(Bayer MaterialSchience AGから得られる重合体MDI)。
【0065】
a−成分とb−成分を、a:b=100:200の比で混合した。200mmの厚さを有する金属複合材要素を製造するため、発泡剤としてのペンタン13重量部、三量化触媒である酢酸カリウム3重量部、並びに76重量%のシクロヘキシルジメチルアミンおよび24重量%のペンタメチルトリエチレンジアミンの混合物0.6重量部を添加した。重量部は、成分Aの100重量部に基づいていた。
【0066】
EP 1 593 438 A2に記載されているようなデバイスを用いて、定着剤組成物を、40℃に予備加熱した鋼シートに適用した。使用した定着剤の量を表1に示す。次いで、定着剤に、フォーム系1の上記組成を有するポリイソシアヌレートフォームを適用した。
【0067】
【表1】

【0068】
実施例2〜6の試験において、接着力の向上が、定着剤としてポリエーテルポリオールを用いることによって達成できたことがわかる。
【0069】
実施例7〜10:
フォーム系2:
a−成分:
63.8重量部のポリエステルポリオール2(無水フタル酸、アジピン酸、モノエチレングリコールおよびジエチレングリコールから調製したもの。得られたポリエステルポリオール2は、ヒドロキシル価240mgKOH/gを有していた。)、
5重量部のポリエーテルポリオール2(スターター化合物としてのトリメチロールプロパン、およびエチレンオキシドから調製したもの。得られたポリエーテルポリオール2は、官能価3およびヒドロキシル価240mgKOH/gを有していた。)、
2.2重量部のポリエステルポリオール1(無水フタル酸およびジエチレングリコールから調製したもの。得られたポリエステルポリオール2は、ヒドロキシル価795mgKOH/gを有していた。)、
20重量部の難燃剤TCPP、
5重量部の難燃剤TEP、
4重量部のシリコーン含有安定剤。
b−成分:
Desmodur 44V70L(Bayer MaterialSchience AGから得られる重合体MDI)。
【0070】
a−成分とb−成分を、a:b=100:160の比で混合した。40mmの厚さを有する金属複合材要素を製造するため、発泡剤としてのペンタン15重量部、および三量化触媒であるオクタン酸カリウム5重量部を添加した。重量部は、成分Aの100重量部に基づいていた。
【0071】
スプレーガンを用いて、定着剤組成物を、40℃に予備加熱した鋼シートに適用した。使用した定着剤の量を表2に示す。次いで、定着剤に、フォーム系2の上記組成を有するポリイソシアヌレートフォームを適用した。
【0072】
【表2】

【0073】
フォーム系2を用いた一連の試験において、定着剤を伴わなかった比較試験の場合に、複合材要素のベーク後、製品下側のフォーム/鋼シート界面で小規模な欠陥が見られた。
標準的なパネル製造に有利な少なくとも0.2N/mmの接着力値が、フォーム系2において定着剤Dを用いて達成された(実施例8〜10)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
A)表面材を供給する工程、
B)表面材に定着剤を適用する工程、および
C)定着剤にポリウレタンおよび/またはポリイソシアヌレート含有フォーム層を適用する工程
を含むフォーム複合材要素の製造方法であって、定着剤が、ポリエーテルポリオール(B.1)、ポリマーポリオール(B.2)、ポリウレア分散体(B.3)、ポリエステルポリオール(B.4)およびPIPAポリオール(B.5)からなる群から選択される少なくとも1種の化合物からなることを特徴とする方法。
【請求項2】
表面材の材料が、アルミニウム、鋼、ビチューメン、紙材、無機不織布、有機繊維含有不織布、プラスチックシート、プラスチックフィルムおよび/または木材板を包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
定着剤が2〜8のヒドロキシル官能価を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
定着剤が15〜500の範囲にヒドロキシル価を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
定着剤が、ポリエーテルポリオール(B.1)およびポリマーポリオール(B.2)からなる群から選択される少なくとも1種の化合物からなる、請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
ポリマーポリオール(B.2)が、ポリマーポリオールに基づいて1〜45重量%の充填剤を含有する、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
20g/m〜50g/mの量で定着剤を表面材に適用する、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
定着剤を適用する前に、表面材を20℃〜70℃の温度に加熱する、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
フォーム層が、ポリイソシアネートと、ポリエステルポリオールおよびポリエーテルポリオール含有反応混合物からなる群から選択される少なくとも1種の化合物との反応から得られ、反応開始時にイソシアネート基と反応混合物中ヒドロキシル基のモル比が100:100〜400:100である、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
フォーム層の見掛密度が30g/L〜48g/Lである、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
ポリエーテルポリオール(B.1)、ポリマーポリオール(B.2)およびポリウレア分散体(B.3)からなる群から選択される少なくとも1種の化合物の、フォーム複合材要素の製造における定着剤としての使用。
【請求項12】
定着剤が、ポリエーテルポリオール(B.1)およびポリマーポリオール(B.2)からなる群から選択される、請求項11に記載の使用。
【請求項13】
表面材とフォーム層の間の接着力が0.20N/mm〜1.00N/mmである、請求項1に記載の方法によって得られたフォーム複合材要素。
【請求項14】
(α)表面材層、(β)ポリエーテルポリオール(B.1)、ポリマーポリオール(B.2)、ポリウレア分散体(B.3)、ポリエステルポリオール(B.4)およびPIPAポリオール(B.5)からなる群からの少なくとも1種の化合物からなる定着剤層、および(γ)ポリウレタンおよび/またはポリイソシアヌレート含有フォーム層を含むフォーム複合材要素であって、層が(α)−(β)−(γ)の順に配置されているフォーム複合材要素。
【請求項15】
層が(α)−(β)−(γ)−(β)−(α)の順に配置されている、請求項14に記載のフォーム複合材要素。

【公表番号】特表2013−500886(P2013−500886A)
【公表日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−523226(P2012−523226)
【出願日】平成22年7月23日(2010.7.23)
【国際出願番号】PCT/EP2010/004591
【国際公開番号】WO2011/015299
【国際公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【出願人】(504037346)バイエル・マテリアルサイエンス・アクチェンゲゼルシャフト (728)
【氏名又は名称原語表記】Bayer MaterialScience AG
【Fターム(参考)】