説明

フコイダン用いた鼻喉吸入器、のどあめ、鼻腔用保湿剤。また流動層造粒加工したフコイダン。

【課題】市販の吸入器、のどあめ、点鼻薬の使用でアレルギー性鼻炎、副鼻腔炎、花粉症、鼻かぜ等による鼻水、鼻づまり、喉の痛み等の諸症状は改善されるが、持続性、副作用等の問題もあり、それを改善する製品を提供する。
【解決手段】本発明は、もずく等褐藻類由来のフコイダンを鼻喉吸入器に使用したり、のどあめ、鼻腔用保湿剤に添加して鼻喉粘膜に付着させることでアレルギー性鼻炎、副鼻腔炎、花粉症、鼻かぜ等による鼻水、鼻づまり、喉の痛み等の諸症状の改善に、より有効で、副作用も無く、効果が長時間継続され、またフコイダン自身が保湿力、抗炎症作用、抗ウイルス作用を持つ特性から、インフルエンザ等のウイルス感染予防の可能性を有する製品。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、もずく等褐藻類由来のフコイダンを鼻喉吸入器に使用したり、のどあめ、鼻腔用保湿剤に添加して鼻喉粘膜に付着させることでアレルギー性鼻炎、副鼻腔炎、花粉症、鼻かぜ等による鼻水、鼻づまり、喉の痛み等の諸症状の改善に、より有効にフコイダンを使用した製品、及び加工したフコイダンに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、急性鼻炎、アレルギー性鼻炎、副鼻腔炎、花粉症、鼻かぜ等による鼻水、鼻づまり、喉の痛み等の諸症状の改善に点鼻薬や、吸入器を利用してきたが、医薬部外品、医療機器として認められたものも多く、効果はすでに知られている。
【0003】
また鼻炎、喉の炎症の引き金は、急激な温度、湿度の変化によるもので、保湿効果のある物質を弱った粘膜に補強することで環境の変化による症状の誘発が起きない可能性がある。
【0004】
一方、アレルギー性鼻炎には、抗ヒスタミン薬、消炎酵素薬、抗炎症薬等が使用されることが開示されている。また、鼻水を止める目的で血流を止める事で使用する薬剤が多い。
【0005】
更にフコイダンのアレルギーに関し細胞レベル、動物実験レベルの報告は多いが、ヒトを対象とした実験例はほとんど見られない。
【0006】
吸入器、特にスチーム吸入器利用は乾燥に対し、喉や鼻を潤す効果があり、患部を適温に温め、血流をよくして炎症を早く鎮め、免疫力を高めるとの報告もある。菌、ウイルスを滅菌したり、洗い流したりする効果もあると言われている。
【0007】
鼻喉粘膜はインフルエンザウイルス等各種ウイルスが感染する入り口になっている。弱った粘膜に付着したウイルスはその場で増殖し、人体に悪影響を与える事は知られているが、対処療法に留まり、決め手が無い状態である。

【先行技術文献】
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】抗アレルギー作用Biochemical and Biophysical Research Communications, 350、501-507(2006)
【0009】
【非特許文献2】抗炎症作用 Shimaoka, M., Ikeda, M., Lida, T., Taenaka., N., Yoshiya, I. and Honda, T.: Am. J. Respir. Crit. Care Med., 153, 307-311(1996)
【0010】
【非特許文献3】ブタ発熱ウイルスに対する抗ウイルス作用Garcia-Villalon, D. and Gil-Fernandez, C.: Antiviral Res., 15, 139-148(1991)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
鼻炎、のどの炎症を防ぐために従来の技術では、対処療法に過ぎず、治癒することが難しい。また、点鼻薬により鼻の毛細血管の血流障害を起こし、痛み等の副作用を伴い、効果の持続性が低いという問題もあった。
【0012】
また鼻炎、喉の炎症の引き金は、急激な温度、湿度の変化によるもので、保湿効果のある物質を弱った粘膜に補強することで環境の変化による症状の誘発が起きない可能性があり、検討が求められている。
【0013】
従来の吸入器の効果の持続時間の短さや、鼻をかんだ後の効果の低下、使用した後の乾燥によるパサパサ感等、利用者に不満が残り、使用を重ねるごとに、慣れによる効果の低下、副作用の発生等、改善が求められている。
【0014】
一方、アレルギー性鼻炎には、抗ヒスタミン薬、消炎酵素薬、抗炎症薬等が使用されることが開示されているが、このような抗ヒスタミン剤や抗アレルギー剤には副作用が認められる場合が多く、長期に渡って使用するには問題点が多い。また、鼻水を止める目的で血流を止める事で使用する薬剤も多く、使用を重ねることで炎症がひどくなり、痛みを伴う報告も多い。
【0015】
更にフコイダンのアレルギーに関し細胞レベル、動物実験レベルの報告は多いが、ヒトを対象とした実験例はほとんど見られず、ヒトでの実証が不可欠である。
【0016】
またフコイダンの服用のみではアレルギー性鼻炎等の改善はなかなか認められない現状があった。その他の手段が求められていた。
【0017】
フコイダンを付着させる方法は、市販の吸入器とフコイダンを組み合わせることで、効率よく高い効果を持続させるものであるが、水に添加することで吸入器の噴霧口のノズルを詰まらせたり、水にフコイダン自体が溶けにくいと言う問題があった。
【0018】
更に吸入器、特にスチーム吸入器利用は乾燥に対し、喉や鼻を潤す効果があり、患部を適温に温め、血流をよくして炎症を早く鎮め、免疫力を高めるとの報告もある。菌、ウイルスを滅菌したり、洗い流したりする効果もあると言われているが、アレルギー性鼻炎等、リバウンドの報告もある。また水道水等を利用すると刺激によりむせたりするなどの問題点もあった。
【0019】
鼻喉粘膜はインフルエンザウイルス等各種ウイルスが感染する入り口になっており、弱った粘膜に付着したウイルスはその場で増殖し、人体に悪影響を与える事は知られているが、対処療法に留まり、決め手が無い状態である。

【課題を解決するための手段】
【0020】
もずく等褐藻類由来のフコイダンは硫酸基を含む等、ヒト生体内粘膜と性質が似ていることから親和性が高く、接着性、その持続時間が長いことが知られている。
【0021】
フコイダンを付着させ粘膜の表面を覆う事で、急激な環境の変化を緩和し、内部環境を安定させる。吸入器を使用する場合、水だけだとむせる事も多く、使用後のパサパサ感もかなり改善することが出来る。またその際の副作用も無い。症状のリバウンドもなくなる傾向にある。
【0022】
また、フコイダンは保湿作用、抗炎症作用、抗ウイルス作用等多くの機能を持っており、市販の吸入器に応用することで、粘膜に付着したフコイダンにもその作用を十分に期待できる。吸入器を使用することで、鼻粘膜、のどの粘膜に効率よく、また効果的に塗布することが出来、そのことで粘膜の保護を長時間行うことが出来る。
【0023】
回数を重ねるごとに、効果の持続性が伸び、また粘膜を鍛える事ができ、症状の改善効果を高め、フコイダンの有する作用をより有効に発揮することが期待され、治癒する可能性も高い。
【0024】
またフコイダンの服用と併用することで、症状自体の改善効果が期待される。フコイダン自体にアレルギー抑制作用を有することが原因であると考えられる。
【0025】
フコイダンを水に溶かして使用するに当り、なかなか溶けにくいと言う問題に対し、流動層造粒加工を施すことでより可溶化する事が出来た。
【0026】
鼻喉粘膜にフコイダンを効率よく付着させる事のメリットは、フコイダンの持つ個性的な特徴に由来する。インフルエンザウイルス等のウイルスが表面の突起を突然変異によって変化したとしても、高分子のフコイダンがとる立体構造は、硫酸基の存在によって様々な立体構造をとる事が予想出来、様々な種類のウイルスの鼻喉粘膜に付着することを水際で予防する効果も期待でき、またフコイダンの持つ抗炎症作用等もウイルスの増殖を防ぐ事も期待出来る。
【発明の効果】
【0027】
本発明は、もずく等褐藻類由来のフコイダンを鼻喉吸入器に使用したり、のどあめ、鼻腔用保湿剤に添加して鼻喉粘膜に付着させることでアレルギー性鼻炎、副鼻腔炎、花粉症、鼻かぜ等による鼻水、鼻づまり、喉の痛み等の諸症状の改善に、より有効で、副作用も無く、効果が長時間継続され、またフコイダン自身が保湿力、抗炎症作用、抗ウイルス作用を持つ特性から、インフルエンザ等のウイルス感染予防の可能性を示唆した。

【実施例】
【0028】
吸入器使用の場合
【0029】
トンガ王国産もずく由来のフコイダン(AHフコイダン85、タングルウッド株式会社製)を水に可溶化しやすいように流動層造粒加工(5%KCl,6%NaCl溶液とフコイダン粉末を1:1で混合し加工処理)したものを 遠心分離機用チップ(3ml容)に3mgずつ小分けし吸入器テストに使用した。
【0030】
(モニター総数)35人(30〜70代、女性28人、男性7人)
対象者は、アレルギー性鼻炎、気管支喘息、花粉症等の症状のいずれかを持つ方々にお願いした。
【0031】
(期 間)H21.6月〜8月 12週間
【0032】
(使用時間帯)基本は外出前
【0033】
(使用機材、方法)吸入器は超音波温熱吸入器ホットシャワー3(株式会社エー・アンド・ディ社製)を使用した。付属の吸入液カップに、図1のように事前に入れていた3mgのフコイダン粉末を遠心分離機用チップから移し、溶かして吸入を行った。比較した内容は、吸入液カップに入れるものを (1)水のみの場合 (2)水にフコイダン3mg添加した場合 (3)水にフコイダンを増量した場合:6mg(9mg)の3点である。
吸入は1日1回、5分間以上を目安に行った。2週間に1度簡単なアンケート、聞き取り調査を行い、状況を把握した。検証はモニターの方の主観的な報告によるものである。
【0034】
(結 果)(1)水のみ使用時にのどや鼻にしっとり感等の効果を感じた方は31%であった。また吸入器に慣れないためか、むせることが多く(100%)、不快に感じる方が多かった。しっとり感を感じたものの持続せず、のどのいがいが(炎症性)を感じる方もおられた。
(2)フコイダン粉末を3mg添加することで89%の方がむせることが改善し、3mgの添加ではむせることが無くなるまではないが、しっとり感(保湿作用)を強く感じていた(81%)。効果の持続時間は人によってかなり開きがあり、30分、1時間、2時間とバラつきを生じた。但し、継続することで持続時間が伸びると感じた方がおられた。
(3)フコイダンの添加量を増やす(6mg、9mg)ことで強く効果を感じた方が多く、増量効果を認めた方は75%であった。その反面、マイナスに感じる方も2人おられた。フコイダン粉末の増量に伴い水の粘性があがった為、ミストの量が減ることがその要因と思われる。
(4)また、のどや鼻がスッキリし、当初鼻水や痰が出きった後は、日に日に量が減り、鼻炎、鼻水、鼻詰まりの症状は徐々に改善していった。但し、テスト開始後12週で完治した方はいなかった。
(5)フコイダンを添加する事で、吸入を継続してもマイナスの報告は無く、継続する事で改善の効果が顕著になり、粘膜が鍛えられる等症状の報告もあった。またフコイダンの飲用と併用することでより改善したとの報告も受けた。
(6)期間中、生活習慣の乱れ(夏に実施したためエアコンのかけ過ぎ、冷たいものの摂り過ぎ、睡眠不足等)からか体調を崩され、風邪を引きかけた方が2名おられたが、通常そのまま風邪を引くところ、踏みとどまって改善できたとの報告もあった。
(7)さらに1人の方は、極度の睡眠不足から弱っていたところに、職場で新型インフルエンザに感染し、同僚の5人と共に発病した。しかし一番改善が早かったとの報告も受けた。この方はフコイダンの服用を併用し、飲用するフコイダンの量を増量し対応したとのことだった。








【0035】
表1


上記の結果から、フコイダンを吸入器に使用することで、添加する効果、明らかな症状の改善が認められた。


(2)鼻喉用保湿剤に使用の場合
【0036】
(方法)通常の点鼻薬のように血流を止める薬剤を使用していない、保湿を目的としたポンプ式の鼻腔用ジェル(10ml、ティー・ビー・ケー社)をベースにフコイダン粉末10mgを添加し使用した。3人ともアレルギー性鼻炎、気管支喘息、花粉症等の症状のいずれかを持ち、のどに長年問題を抱えている方にお願いした。
【0037】
(条件)外出時、エアコン使用時、車・飛行機等乾燥した空間に長時間いた場合等、乾燥状態で、喉の痛み、乾燥を感じた時にフコイダンの入った鼻喉用保湿剤を使用した。
【0038】
(結果)フコイダンを入れなかったものは、注入時は改善するが持続性が低いと言う問題があった。鼻をかんだ場合、一気に効果が薄らいだ。フコイダンを添加したものを使った場合、かなり改善され、持続時間はバラつきが多かったが、1時間、2時間、それ以上と効果は持続した。明らかにフコイダン粉末の添加効果が認められた。


(3)のどあめに使用の場合
【0039】
(方法)水あめを含まないシュガーレスのどあめ(還元パラチノース含有)1個に3mgのフコイダン粉末を入れ、3人のモニターテストを行った。3人ともアレルギー性鼻炎、気管支喘息、花粉症等の症状のいずれかを持ち、のどに長年問題(乾燥に弱い、咳き込むなど)を抱えている方にお願いした。
【0040】
(条件)外出時、エアコン使用時、車・飛行機等乾燥した空間に長時間いた場合等、乾燥状態で、喉の痛み、乾燥を感じる時にフコイダンのどあめを使用した。
【0041】
(結果)3人とものどあめを常用されていたが、改善されなかった症状がかなり改善されたと満足度が高かった。のどの渇きから咳き込むことが多かった方も、全く無くなったとの報告もあった。持続時間は同じ人でも体調によるのかバラつきが多かったが、30分、1時間、2時間、それ以上と効果は持続した。

【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】(1)〜(4)の補足説明、写真の操作にしたがって事前処理したフコイダン粉末を水に溶かし、吸入器に使用した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
もずく等褐藻類由来のフコイダンを市販の鼻喉用吸入器の水に添加したものを使用することで、アレルギー性鼻炎、副鼻腔炎、花粉症、鼻かぜ等による鼻水、鼻づまり、喉の痛み等の諸症状の改善、また鼻喉でのインフルエンザウイルスの感染予防に寄与する可能性を有するフコイダンを使った製品。
【請求項2】
もずく等褐藻類由来のフコイダンを吸入器に使用する際、本来水に溶けにくいフコイダン粉末に流動層造粒加工技術を使って比較的可溶化しやすいように処理したフコイダン粉末。
【請求項3】
もずく等褐藻類由来のフコイダンを鼻腔用保湿剤に添加することで、アレルギー性鼻炎、副鼻腔炎、花粉症、鼻かぜ等による鼻水、鼻づまり等の諸症状の改善に、より有効で、副作用がなく、保湿作用等の効果を継続できるように改善したフコイダン添加鼻腔用保湿剤。また、鼻腔に保湿力を与え、インフルエンザウイルスの感染予防に寄与する可能性を有する製品。
【請求項4】
もずく等褐藻類由来のフコイダンをのどあめに添加して使用することで、喉の痛みを改善し、また保湿力を与え、のどでのインフルエンザウイルスの感染予防に寄与する可能性を有するフコイダンのどあめ。



【図1】
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【公開番号】特開2011−73987(P2011−73987A)
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−224298(P2009−224298)
【出願日】平成21年9月29日(2009.9.29)
【出願人】(309036047)株式会社元気ドットコム21 (1)
【Fターム(参考)】