説明

フッ素化エーテルシラン及びその使用方法

式Rf−Q−X−[Si(R)(R3−fにより表されるフッ素化化合物。各Rfは、独立して、Rf−(O)−CHF−(CF−;[Rf−(O)−C(L)H−CF−O]−W−;CFCFH−O−(CF−;CF−(O−CF−;及びCF−O−(CF−O−CF−から選択される部分フッ素化又は全フッ素化基である。前記フッ素化化合物を用いて表面又は炭化水素含有地層を処理する方法、処理された物品、及び処理された炭化水素含有地層も開示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2008年7月18日出願の米国仮出願第61/081936号、及び2008年12月18日出願の米国仮出願第61/138734号に対する優先権を主張するものであり、これらの開示を参照することにより本明細書に援用する。
【背景技術】
【0002】
フルオロケミカルは長年にわたって種々の用途に使用されてきた。例えば、フルオロケミカルは、疎水性、疎油性、及び耐汚性等の特性を種々の材料(例えば、セラミクス、金属、布地、プラスチック、及び軽石)に付与するために用いられてきた。付与される具体的な特性は、例えば、フルオロケミカルの具体的な組成及びフルオロケミカルで処理される具体的な材料に依存する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来より、幅広く使用される多くのフッ素化撥水/撥油剤としては、長鎖ペルフルオロアルキル基(例えば、ペルフルオロオクチル基)が挙げられる。しかし、近年、産業がペルフルオロオクチルフルオロケミカルの使用から離れる傾向があり、疎水性、疎油性、及び耐汚性を付与し、且つ種々の用途で用いることができる新しい種類の表面処理剤に対する要望が生じている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本開示は、少数(例えば、最高4個)の連続ペルフルオロ化炭素原子を有する部分フッ素化ポリエーテル基及び/又は全フッ素化ポリエーテル基を有する化合物を提供する。この化合物は、例えば、撥水性及び撥油性表面処理剤として有用であり得る。幾つかの実施形態では、本明細書に開示される化合物は、予想外にも、水及び/又はヘキサデカンに対する接触角を、多数のペルフルオロ化炭素原子を有する処理組成物に相当する程度まで上昇させる。本開示に係るフッ素化化合物で処理された表面の撥水性及び撥油性により、表面の洗浄がより容易になる。幾つかの実施形態では、これらの望ましい特性は、長時間露出又は使用しても、また繰り返し洗浄しても維持される(即ち、本明細書に開示されるフッ素化化合物は、耐久性表面処理をもたらす)。
【0005】
1つの態様では、本開示は、以下の式により表されるフッ素化化合物を提供する:
Rf−Q−X−[Si(R)(R3−f
式中、
Rfは、
Rf−(O)−CHF−(CF−、
[Rf−(O)−C(L)H−CF−O]−W−;
CFCFH−O−(CF−、
CF−(O−CF−、及び
CF−O−(CF−O−CF−、からなる群から選択され、
Qは、結合、−C(O)−N(R)−、及び−C(O)−O−からなる群から選択され、Rは、水素及び1〜4個の炭素原子を有するアルキルからなる群から選択され、
Xは、アルキレン及びアリールアルキレンから成る群から選択され、前記アルキレン及びアリールアルキレンは、それぞれ所望により、独立してエーテル、アミン、エステル、アミド、カルバメート、及び尿素からなる群から選択される少なくとも1つの官能基により中断され、所望により、ヒドロキシルにより置換され、
Rf及びRfは、独立して、炭素原子1〜10個を有し、且つ所望により少なくとも1つの酸素原子により中断されている、部分フッ素化又は全フッ素化アルキル基を表し、
Lは、F及びCFからなる群から選択され、
Wは、アルキレン及びアリーレンからなる群から選択され、
Rは、アルキル、アリール、アリールアルキレニル、及びアルキルアリーレニルからなる群から選択され、
は、ハロゲン化物、ヒドロキシル、アルコキシ、アリールオキシ、アシルオキシ、及びポリアルキレンオキシからなる群から選択され、前記アルコキシ及びアシルオキシは、所望により、ハロゲンにより置換され、前記アリールオキシは、所望により、ハロゲン、アルキル、又はハロアルキルにより置換され、
fは、0又は1であり、
gは、1〜2の値であり、
rは、0又は1であって、rが0であるとき、Rfは、少なくとも1つの酸素原子により中断され、
tは、0又は1であり、
mは、1、2、又は3であり、
nは、0又は1であり、
各pは、独立して1〜6の数であり、
zは2〜7の数である。
【0006】
幾つかの実施形態では、gは1である。
【0007】
別の態様では、本開示は、本明細書に開示するフッ素化化合物と、溶媒とを含む組成物を提供する。別の態様では、本開示は、本明細書に開示されるフッ素化化合物と、以下の式により表される化合物とを含む組成物を提供する、
(R)M(Rr’−q
式中、
Rは、アルキル、アリール、アリールアルキレニル、及びアルキルアリーレニルからなる群から選択され、
Mは、Si、Ti、Zr、及びAIからなる群から選択され;
は、ハロゲン化物、ヒドロキシル、アルコキシ、アリールオキシ、アシルオキシ、及びポリアルキレンオキシからなる群から選択され;
r’は、3又は4であり、
qは0、1、又は2である。
【0008】
別の態様では、本開示は、本明細書に開示されるフッ素化化合物を含む組成物で表面を処理することを含む方法を提供する。幾つかの実施形態では、表面は、セラミックス(即ち、ガラス、結晶性セラミックス、ガラスセラミックス、及びこれらの組み合わせ)、自然石(例えば、砂岩、石灰岩、大理石、及び花崗岩)、又は人工若しくは人造石等の石、コンクリート、又は金属の少なくとも一つを含む。幾つかの実施形態では、表面は、珪質表面である。
【0009】
別の態様では、本開示は、炭化水素含有地層を、本明細書に開示するフッ素化化合物を含む組成物と接触させることを含む方法を提供する。幾つかの実施形態では、坑井孔が炭化水素含有地層を貫通し、坑井近傍領域が組成物と接触する。本明細書に開示される炭化水素含有地層の処理方法は、典型的には、坑井近傍領域(例えば、7.6、6.1、4.6、又は3.0メートル(25、20、15、又は10フィート)以内)に、ブライン(例えば、遺留ブライン及び/又は水閉塞)又は2相の炭化水素(即ち、ガス及び液体)の少なくとも1つを有する炭化水素含有地層における浸透率を高めるために有用である。本明細書に開示される方法を用いる、坑井近傍領域にブライン及び/又は2相の炭化水素を有する油井及び/又はガス井の処理は、坑井の生産性を高めることができる。理論に縛られるものではないが、本明細書に開示されるフルオロポリエーテルシランは、一般的に、ダウンホール条件下で炭化水素含有地層を吸着する、化学吸着する、又は反応するのうち少なくとも1つであり、地層中の岩の濡れ性を改変して、炭化水素及び/又はブラインの除去を促進すると考えられる。本開示に係る方法は、砂、砂岩、及び炭酸カルシウムを含む炭化水素含有地層に見出される種々の物質の濡れ性を変化させるために有用である。したがって、この処理方法は、特定の物質(例えば、砂岩)のみに有効である他の処理方法よりも汎用性が高い。本明細書に開示される方法は、1つの処理工程(即ち、1つの処理組成物の適用)で実施することができる。
【0010】
別の態様では、本開示は、表面を含む物品であって、前記表面の少なくとも一部がシロキサンで処理され、前記シロキサンが、本明細書に開示されるフッ素化化合物の少なくとも1つの縮合生成物を含む物品を提供する。幾つかの実施形態では、シロキサンは、表面に共有結合する。幾つかの実施形態では、表面は、セラミックス(即ち、ガラス、結晶性セラミックス、ガラスセラミックス、及びこれらの組み合わせ)、自然石(例えば、砂岩、石灰岩、大理石、及び花崗岩)、又は人工若しくは人造石等の石、コンクリート、又は金属の少なくとも一つを含む。幾つかの実施形態では、表面は、珪質表面である。
【0011】
この出願では:
用語「a」、「an」、及び「the」は、用語「少なくとも1つ」と同じ意味で使用される。
【0012】
語句「少なくとも1つの」に続く一覧は、一覧中の項目のいずれか1つ、及び一覧中の2つ以上の項目の任意の組み合わせを指す。
【0013】
「アルキル基」及び接頭辞「アルキ(alk-)」は、直鎖基及び分枝鎖基の両方並びに環状基を含む。幾つかの実施形態では、特に規定のない限り、アルキル基は、最高30個の炭素(幾つかの実施形態では、最高20、15、12、10、8、7、6、又は5個の炭素)を有する。環状基は、単環式又は多環式であってもよく、幾つかの実施形態では、3〜10個の環炭素原子を有する。
【0014】
「アルキレン」は、上記で定義された「アルキル」基の多価(例えば、二価又は三価)型である。
【0015】
「アリールアルキレン」は、アリール基が結合している「アルキレン」部分を指す。
【0016】
用語「アリール」は、本明細書で使用するとき、炭素環式芳香環、又は、例えば、1、2、又は3個の環を有し、所望により環内に少なくとも1個のヘテロ原子(例えば、O、S、又はN)を含有する環構造を含む。アリール基の例としては、フェニル、ナフチル、ビフェニル、フルオレニル、並びにフリル、チエニル、ピリジル、キノリニル、イソキノリニル、インドリル、イソインドリル、トリアゾリル、ピロリル、テトラゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、オキサゾリル及びチアゾリルが挙げられる。
【0017】
用語「炭化水素含有地層」は、現地の炭化水素含有地層(即ち、地下の炭化水素含有地層)と、かかる炭化水素含有地層の一部(例えば、コアサンプル)の両方を含む。
【0018】
用語「接触」は、当該技術分野において既知である任意の好適な方法(例えば、坑井、坑井孔、又は炭化水素含有地層に汲み上げる、注入する、流し込む、放出する、移動させる、スポッティングする、又は循環させる)を用いて炭化水素含有地層内に組成物を配置することを含む。
【0019】
本出願では、全ての数値範囲は、特に明記しない限り、その端点と、端点間の非整数値を含む。
【図面の簡単な説明】
【0020】
本開示の特徴及び利点をより完全に理解するために、次に添付図面とともに発明を実施するための形態を参照する。
【図1】本開示の幾つかの実施形態に従って坑井近傍領域を次第に処理するための装置を操作する海上石油プラットフォームの代表的な実施形態の概略図。
【図2】実施例37〜41、及び対照例A〜Cに用いられる流動装置の概略図。
【図3】研究室において、本明細書に開示される方法を評価するために用いることができるコアフラッド設定の概略図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
式Rf−Q−X−[Si(R)(R3−fにより表されるフッ素化化合物、及びこれらの少なくとも1つの縮合生成物を含むシロキサンでは、Rfは、以下からなる群から選択される:
Rf−(O)−CHF−(CF− I、
[Rf−(O)−C(L)H−CF−O]−W− II、
CFCFH−O−(CF− III、
CF−(O−CF− IV、及び
CF−O−(CF−O−CF− V。
【0022】
式Rf−Q−X−[Si(R)(R3−f、及びこの少なくとも1つの縮合生成物を含むシロキサンの幾つかの実施形態では、Rfは、以下からなる群から選択される:Rf−(O)−CHF−(CF−、[Rf−(O)−C(L)H−CF−O]−W−、及びCFCFH−O−(CF−。他の実施形態では、Rfは、CF−(O−CF−及びCF−O−(CF−O−CF−からなる群から選択される。
【0023】
式Rf−Q−X−[Si(R)(R3−f及びこれらの少なくとも1つの縮合生成物を含むシロキサンの幾つかの実施形態では、Rfは、最高600グラム/モル(幾つかの実施形態では、最高500、400、又は更には最高300グラム/モル)の分子量を有する。
【0024】
式I及びIIでは、Rf及びRfは、独立して、炭素原子1〜10個を有し、且つ所望により少なくとも1つの酸素原子により中断されている、部分フッ素化又は全フッ素化アルキル基を表す。Rf及びRfは、直鎖及び分岐鎖アルキル基を含む。幾つかの実施形態では、Rf及び/又はRfは、直鎖である。幾つかの実施形態では、Rf及びRfは、独立して、最大6個(幾つかの実施形態では、5、4、3、2又は1個)の炭素原子を有する全フッ素化アルキル基を表す。幾つかの実施形態では、Rf及びRfは、独立して、少なくとも1つの酸素原子により中断されている全フッ素化アルキル基を表し、その酸素原子間のアルキル基は、最大6個(幾つかの実施形態では、5、4、3、2又は1個)の炭素原子を有し、末端アルキル基は、最大6個(幾つかの実施形態では、5、4、3、2又は1個)の炭素原子を有する。幾つかの実施形態では、Rf及びRfは、独立して、最大6個(幾つかの実施形態では、5、4、3、2又は1個)の炭素原子、及び最大2個の水素原子を有する部分フッ素アルキル基を表す。幾つかの実施形態では、Rf及びRfは、独立して、少なくとも1つの酸素原子により中断されている最大2個の水素原子を有する部分フッ素化アルキル基を表し、その酸素原子間のアルキル基は、最大6個(幾つかの実施形態では、5、4、3、2又は1個)の炭素原子を有し、末端アルキル基は、最大6個(幾つかの実施形態では、5、4、3、2又は1個)の炭素原子を有する。
【0025】
式I及びIIの幾つかの実施形態では、Rf及びRfは、独立して、以下の式により表される:
−[OR−[OR−。
【0026】
は、1〜6個(幾つかの実施形態では、1〜4個)の炭素原子を有するペルフルオロ化アルキル基である。R及びRは、それぞれ独立して、1〜4個の炭素原子を有するペルフルオロ化アルキレンである。x及びyは、それぞれ独立して、0〜4の数字であり、xとyとの合計は、少なくとも1である。これらの幾つかの実施形態では、tは1であり、rは1である。
【0027】
式I及びIIの幾つかの実施形態では、Rf及びRfは、独立して、以下の式により表される:
−[OR−[OR−O−CF−。
【0028】
は、1〜6個(幾つかの実施形態では、1〜4個)の炭素原子を有するペルフルオロ化アルキル基である。R及びRは、それぞれ独立して、1〜4個の炭素原子を有するペルフルオロ化アルキレンである。a及びbが、それぞれ独立して、0〜4の数である。これらの幾つかの実施形態では、tは0であり、rは0である。
【0029】
式I及びIIの幾つかの実施形態では、Rf及びRfは、独立して、式R−(OCF−により表され、式中、pは1〜6(幾つかの実施形態では1〜4)の数であり、Rは、1、2、3、4、5又は6個の炭素原子及び1又は2個の水素原子を有する部分フッ素化アルキル基、並びに1、2、3又は4個の炭素原子を有する全フッ素化アルキル基からなる群から選択される。
【0030】
式I及びIIの幾つかの実施形態では、Rf及びRfは、独立して、式R−O−(CF−により表され、式中、pは1〜6(幾つかの実施形態では1〜4)の数であり、Rは、1、2、3、4、5又は6個の炭素原子及び1又は2個の水素原子を有する部分フッ素化アルキル基、並びに1、2、3又は4個の炭素原子を有する全フッ素化アルキル基からなる群から選択される。
【0031】
式IIでは、Lは、F及びCFからなる群から選択される。式IIの幾つかの実施形態では、LはFである。他の実施形態では、LはCFである。
【0032】
式IIでは、Wは、アルキレン及びアリーレンからなる群から選択される。アルキレンは、1〜10個(幾つかの実施形態では、1〜4個)の炭素原子を有する直鎖、分枝状、及び環状アルキレン基を含む。幾つかの実施形態では、Wはメチレンである。幾つかの実施形態では、Wはエチレンである。アリーレンは、1又は2個の芳香環を有し、所望により少なくとも1つのヘテロ原子(例えば、N、O又はS)を環内に有し、所望により少なくとも1つのアルキル基又はハロゲン原子で置換される基を含む。幾つかの実施形態では、Wはフェニレンである。
【0033】
式IIでは、tは0又は1である。幾つかの実施形態では、tは1である。幾つかの実施形態では、tは0である。tが0である実施形態では、Rfは、典型的には、少なくとも1つの酸素原子により中断されている。
【0034】
式IIでは、mは1、2、又は3である。幾つかの実施形態では、mは1である。
【0035】
式Iでは、nは0又は1である。幾つかの実施形態では、nは0である。幾つかの実施形態では、nは1である。
【0036】
式IIIでは、pは1〜6(例えば、1、2、3、4、5、又は6)の数である。幾つかの実施形態では、pは、1、2、5、又は6である。幾つかの実施形態では、pは3である。幾つかの実施形態では、pは、1又は2である。幾つかの実施形態では、pは、5又は6である。
【0037】
式IVでは、zは2〜7(例えば、2、3、4、5、6、又は7)の数である。幾つかの実施形態では、zは、2〜6、2〜5、2〜4、3〜5、又は3〜4の数である。
【0038】
幾つかの実施形態では、本開示に係るフッ素化化合物は、式III(即ち、CFCFH−O−(CF−)により表されるRf基を有する。これらの実施形態の一部では、Rfは、CFCFH−O−(CF−及びCFCFH−O−(CF−からなる群から選択される。
【0039】
幾つかの実施形態では、本開示に係るフッ素化化合物は、式Iにより表されるRf基を有する。これら実施形態の一部では、Rfは、
−O−CHF−;
CF−O−CFCF−CF−O−CHF−、
CFCFCF−O−CFCF−CF−O−CHF−、
CF−O−CF−CF−O−CHF−、
CF−O−CF−O−CF−CF−O−CHF−、
CF−(O−CF−O−CF−CF−O−CHF−;及び
CF−(O−CF−O−CF−CF−O−CHF−、からなる群から選択される。
【0040】
これらの実施形態の他のものでは、Rfは、
CF−O−CHF−CF−、
CF−O−CF−CF−O−CHF−CF−;
CF−CF−O−CHF−CF−、
CF−O−CF−CF−CF−O−CHF−CF−、
CF−O−CF−O−CF−CF−O−CHF−CF−、
CF−(O−CF−O−CF−CF−O−CHF−CF−、及び
CF−(O−CF−O−CF−CF−O−CHF−CF−、からなる群から選択される。
【0041】
これらの実施形態の他のものでは、Rfは、
CF−O−CF−CHF−、
−O−CF−CHF−、
CF−O−CF−CF−CF−O−CF−CHF−、
CF−O−CF−O−CF−CF−O−CF−CHF−、
CF−(O−CF−O−CF−CF−O−CF−CHF−、及び
CF−(O−CF−O−CF−CF−O−CF−CHF−、からなる群から選択される。
【0042】
これらの実施形態の他のものでは、Rfは、
CF−O−CF−CHF−CF−、
−O−CF−CHF−CF−、
−O−CF−CHF−CF−、
CF−O−CF−CF−CF−O−CF−CHF−CF−、
CF−O−CF−O−CF−CF−O−CF−CHF−CF−、
CF−(O−CF−O−CF−CF−O−CF−CHF−CF−、及び
CF−(O−CF−O−CF−CF−O−CF−CHF−CF−、からなる群から選択される。
【0043】
これらの実施形態の他のものでは、Rfは、
CF−O−CFCF−CF−O−CHF−、
CF−O−CF−CF−CF−O−CHF−CF−、
CF−O−CF−CF−CF−O−CF−CHF−、及び
CF−O−CF−CF−CF−O−CF−CHF−CF−、からなる群から選択される。
【0044】
幾つかの実施形態では、本開示に係るフッ素化化合物は、式IIにより表されるRf基を有する。これら実施形態の幾つかにおいて、LはF、mは1、及びWはアルキレンである。これら実施形態の幾つかにおいて、Rfは、
CF−O−CHF−CF−O−CH−、
CF−O−CF−CF−CF−O−CHF−CF−O−CH
−O−CHF−CF−O−CH−、
−O−CHF−CF−O−CH−CH−、
−O−CF−CF−O−CHF−CF−OCH−、及び
−O−CF−CF−CF−O−CHF−CF−OCH−、からなる群から選択される。
【0045】
これらの実施形態の他のものでは、Rfは、式:C−O−CF−CHF−CF−OCH−により表される。これらの実施形態の他のものでは、Rfは、
CF−CHF−CF−O−CH−、及び
−CF−CHF−CF−OCH−、からなる群から選択される。
【0046】
幾つかの実施形態では、本開示に係るフッ素化化合物は、式IV(即ち、CF−(O−CF−)により表されるRf基を有する。これらの実施形態の幾つかでは、zは、2〜6、2〜5、2〜4、3〜5、又は3〜4の数である。
【0047】
幾つかの実施形態では、本開示に係るフッ素化化合物は、式V(即ち、CF−O−(CF−O−CF−)により表されるRf基を有する。
【0048】
式Rf−Q−X−[Si(R)(R3−f、及びこの少なくとも1つの縮合生成物を含むシロキサンでは、Qは、結合、−C(O)−N(R)−、及び−C(O)−O−からなる群から選択され、式中、Rは水素又は1〜4個の炭素原子を有するアルキル(例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル又はsec−ブチル)である。幾つかの実施形態では、Qは、−C(O)−N(R)−及び−C(O)−O−からなる群から選択される。幾つかの実施形態では、Qは、結合及び−C(O)−N(R)−からなる群から選択される。幾つかの実施形態では、Qは、−C(O)−N(R)−である。幾つかの実施形態では、Rは、水素又はメチルである。幾つかの実施形態では、Rは水素である。Qが結合であるとき、式Rf−Q−X−[Si(R)(R3−fにより表される化合物はまた、式Rf−X−[Si(R)(R3−fによって表すこともできることを理解すべきである。
【0049】
式Rf−Q−X−[Si(R)(R3−f及びその少なくとも1つの縮合生成物を含むシロキサンでは、Xは、アルキレン及びアリールアルキレンからなる群から選択され、前記アルキレン及びアリールアルキレンは、それぞれ、所望により、エーテル(即ち、−O−)、アミン(即ち、−N(R)−)、エステル(即ち、−O−C(O)−又は−C(O)−O−)、アミド(即ち、−N(R)−C(O)−又は−C(O)−N(R)−)、カルバメート(即ち、−N(R)−C(O)−O−又は−O−C(O)−N(R)−)、及び尿素(即ち、−N(R)−C(O)−N(R)−)からなる群から独立して選択される少なくとも1つの官能基により中断され、これら官能基のいずれにおいても、Rは、上記実施形態のいずれかで定義された通りである。語句「少なくとも1つの官能基により中断される」とは、官能基のいずれかの側にアルキレン又はアリールアルキレンを有することを指す。アルキレン及びアリールアルキレンはまた、それぞれ、所望により、ヒドロキシルにより置換される。幾つかの実施形態では、Xは、最高5個の炭素原子を有するアルキレンである。幾つかの実施形態では、Xは、最高10個(幾つかの実施形態では、最高12、15、18、20、22、25、28、又は30個)の炭素原子を有するアルキレンである。幾つかの実施形態では、Xは、所望により少なくとも1個のエーテル基により中断されるアルキレンである。これらの実施形態の一部では、アルキレンは、1つのエーテル基により中断される。これらの実施形態の一部では、Xは、−[EO]−[R’O]−[EO]−又は−[R’O]−[EO]−[R’O]−、であり、式中、EOは、−CHCHO−を表し、各R’Oは、独立して、−CH(CH)CHO−、−CHCH(CH)O−、−CH(CHCH)CHO−、−CHCH(CHCH)O−、又は−CHC(CHO−(幾つかの実施形態では、−CH(CH)CHO−又は−CHCH(CH)O−)を表し、各hは、独立して、1〜150の数(幾つかの実施形態では、7〜約150、14〜約125、5〜15、又は9〜13)であり、各iは、独立して、0〜55(幾つかの実施形態では、約21〜約54、15〜25、9〜約25、又は19〜23)の数である。幾つかの実施形態では、Xは、エーテル(即ち、−O−)及びカルバメート(即ち、−N(R)−C(O)−O−又は−O−C(O)−N(R)−)からなる群から独立して選択される少なくとも1つの官能基により中断されるアルキレンである。
【0050】
本明細書に開示されるフッ素化化合物の幾つかの実施形態では、fは1である。他の実施形態では、fは0である。
【0051】
本明細書に開示されるフッ素化化合物の幾つかの実施形態では、gは1である。他の実施形態では、gは2である。
【0052】
式Rf−Q−X−[Si(R)(R3−f及び(R)M(Rr’−qでは、各Rは、独立して、アルキル、アリール、アリールアルキレニル、及びアルキルアリーレニルからなる群から選択される。幾つかの実施形態では、各Rは、独立して、1〜6個の炭素原子を有するアルキルである(例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、又はn−ヘキシル)。幾つかの実施形態では、各Rは、独立してメチル又はエチルである。
【0053】
式Rf−Q−X−[Si(R)(R3−f及び(R)M(Rr’−qでは、各Rは、独立して、ハロゲン化物(即ち、フッ化物、塩化物、臭化物、又はヨウ化物)、ヒドロキシル(即ち、−OH)、アルコキシ(例えば、−O−アルキル)、アリールオキシ(例えば、−O−アリール)、アシルオキシ(例えば、−O−C(O)−アルキル)、及びポリアルキレンオキシ(例えば、−[EO]−[R’O]−[EO]−R’’又は−[R’O]−[EO]−[R’O]−R’’(式中、EO、R’O、i、及びhは、上記定義の通りであり、R”は、水素又は最高4個の炭素原子を有するアルキルである)からなる群から選択される幾つかの実施形態では、アルコキシ及びアシルオキシは、最高6個(又は最高4個)の炭素原子を有し、アルキル基は、所望により、ハロゲンにより置換される。幾つかの実施形態では、アリールオキシは、非置換であっても、ハロゲン、アルキル(例えば、最高4個の炭素原子を有する)、及びハロアルキルにより置換されてもよい6〜12個(又は6〜10個)の炭素原子を有する。幾つかの実施形態では、各Rは、独立して、ハロゲン化物、ヒドロキシル、アルコキシ、アリールオキシ、及びアシルオキシからなる群から選択される。幾つかの実施形態では、各Rは、独立して、ハロゲン化物(例えば、塩化物)、及び最高10個の炭素原子を有するアルコキシからなる群から選択される。幾つかの実施形態では、各Rは、独立して、1〜6個(例えば、1〜4個)の炭素原子を有するアルコキシである。幾つかの実施形態では、各Rは、独立して、メトキシ又はエトキシである。R基は、一般的に、例えば酸性条件又は塩基性水性条件下で加水分解して、縮合反応を受け得る基(例えば、シラノール基)を提供することができる。
【0054】
本開示に係るフッ素化化合物の幾つかの実施形態では、Qは、−C(O)−N(R)−であり、Xは、最高8個(例えば、1、2、3、4、5、6、7、又は8個)の炭素原子を有するアルキレンであり、ここでXは、所望により、エーテル及びカルバメートから独立して選択される少なくとも1つの官能基により中断される。
【0055】
式(R)M(Rr’−qでは、Mは、Si、Ti、Zr、及びAlからなる群から選択される。幾つかの実施形態では、Mは、Si、Ti、及びZrからなる群から選択される。幾つかの実施形態では、MはSiである。幾つかの実施形態では、r’は4(例えば、Mが、Si、Ti、及びZrであるとき)である。MがAlであるとき、r’は3である。幾つかの実施形態では、qは0又は1である。幾つかの実施形態では、(R)M(Rr’−qは、Si(O−アルキル)である。
【0056】
式Rf−Q−X−[Si(R)(R3−fにより表される化合物は、例えば、部分若しくは全フッ素化カルボン酸、その塩、カルボン酸エステル、又はカルボン酸ハロゲン化物から出発して調製することができる。部分フッ素化又は全フッ素化カルボン酸及びその塩、カルボン酸エステル、並びにカルボン酸ハロゲン化物は、既知の方法で調製することができる。例えば、式Rf−(O)−CHF−(CF−C(O)G又は[Rf−(O)−C(L)H−CF−O]−W−C(O)G(式中、Gは、−OH、−O−アルキル(例えば、1〜4個の炭素原子を有する)、又はFを表し、Rf、Rf、n、m、L、t、r、及びWは、上記定義の通りである)により表される出発物質は、式VI又はVIIのフッ素化オレフィンから調製することができる:
Rf−(O)−CF=CF VI、又は
Rf−(O)−CF=CF VII
(式中、Rf、Rf、及びtは上記定義の通りである)。多くの式VI又はVIIの化合物(例えば、ペルフルオロ化ビニルエーテル及びペルフルオロ化アリルエーテル)は既知であり、その多くは商業的供給源(例えば、3M Company,St.Paul,MN,及びE.I.du Pont de Nemours及びCompany,Wilmington,DE)から入手することが可能である。他は、既知の方法によって調製することができる(例えば、米国特許第5,350,497号(Hungら)及び同6,255,536号(Wormら)を参照)。
【0057】
式:Rf−(O)−CHF−(CF−C(O)Gの化合物(式中、nは0)は、例えば、式VIIのフッ素化オレフィンを塩基(例えば、アンモニア、アルカリ金属水酸化物、及びアルカリ土類金属水酸化物)と反応させることにより調製することができる。或いは、例えば、式VIIのフッ素化オレフィンは、アルカリ媒体中で脂肪族アルコール(例えば、メタノール、エタノール、n−ブタノール、及びt−ブタノール)と反応させることができ、得られたエーテルを酸性条件下で分解して、式:Rf−(O)−CHF−(CF−C(O)G(式中、nは0)のフッ素化カルボン酸を提供することができる。式:Rf−(O)−CHF−(CF−C(O)G(式中、nは1)の化合物は、例えば、式VIIのフッ素化オレフィンをメタノールとフリーラジカル反応させ、次いで得られた反応生成物を従来の方法を用いて酸化することにより調製することができる。これらの反応の条件は、例えば、米国特許出願公開第2007/0015864号(Hintzerら)に記載されており、それは、式Rf−(O)−CHF−(CF−C(O)Gの化合物の調製に関する。これらの方法は、例えば、構造的に純粋な化合物(例えば、他のフッ素化セグメントを含む他の化合物を含まない)を提供するために有利であり得る。幾つかの実施形態では、本開示に係る化合物は、少なくとも純度95%(例えば、96、97、98、又は99%)である。
【0058】
式VI又はVIIのフッ素化ビニルエーテル(式中、r及び/又はtは1である)は、フッ化物源(例えば、五フッ化アンチモン)の存在下で、米国特許第4,987,254号(Schwertfegerら)の1段、45行目〜2段、42行目に記載の方法に従って、式Rf−O−CFC(O)Fのカルボン酸フッ化物に、(例えば、酸素を用いて)酸化することができる。この方法に従って調製され得る化合物の例としては、CF−(CF−O−CF−C(O)−CH及びCF−O−(CF−O−CF−C(O)−CHが挙げられ、これら化合物の調製に関しては、米国特許出願公開第2007/0015864号(Hintzerら)に記載されている。これらの方法は、例えば、構造的に純粋な化合物(例えば、他のフッ素化セグメントを含む他の化合物を含まない)を提供するために有利であり得る。幾つかの実施形態では、本開示に係る化合物は、少なくとも純度95%(例えば、96、97、98、又は99%)である。
【0059】
式:[Rf−(O)−C(L)H−CF−O]−W−C(O)Gの化合物は、例えば、反応:
【0060】
【化1】

【0061】
に従って、式VIのフッ素化オレフィンと、式VIIIのヒドロキシル化合物を反応させることにより調製することができ、式中、Rf及びtは上記定義の通りであり、mは1、2、又は3であり、Wはアルキレン又はアリーレンであり、Gは上記定義の通りである。典型的には、Gは、−O−アルキル(例えば、アルキル基に1〜4個の炭素原子を有する)を表す。式VIIIの化合物は、例えば、商業的供給源から入手可能であるか、既知の方法によって調製が可能である。この反応は、例えば、米国特許出願公開第2007/0015864号(Hintzerら)に記載されている条件下で実施することができ、これは、式[Rf−(O)−C(L)H−CF−O]−W−C(O)Gの化合物の調製に関する。
【0062】
式:CFCFH−O−(CF−C(O)Gに係るフッ素化カルボン酸及びその誘導体は、例えば、以下の反応に従って、2官能性ペルフルオロ化酸フッ化物の脱カルボニルによって調製することができる:
FCOCF(CF)−O−(CFC(O)F→CF−CHF−O−(CFC(O)G.
IX
この反応は、典型的には、既知の方法に従って、水及び塩基(例えば、金属水酸化物又は金属炭酸塩)の存在下で、高温にて実施される、例えば、2官能性酸フッ化物の脱カルボニルに関する米国特許第3,555,100号(Garthら)を参照。
【0063】
式IXの化合物は、例えば、以下の反応による、式Xのペルフルオロ化二酸フッ化物とヘキサフルオロプロピレンオキシドとのカップリングから入手可能である:
【0064】
【化2】

【0065】
式Xの化合物は、例えば、式:CHOCO(CHp−1COOCHの2官能性エステル、又は以下の式のラクトンの電気化学的フッ素化又は直接フッ素化により入手可能である:
【0066】
【化3】

【0067】
電気化学的フッ素化を実施するための一般的な手順は、例えば、米国特許第2,713,593号(Briceら)及び1998年12月12日に公開された国際公開第98/50603号に記載されている。直接フッ素化を実施するための一般的な手順は、例えば、米国特許第5,488,142号(Fallら)に記載されている。
【0068】
式Rf−Q−X−[Si(R)(R3−fにより表される化合物を調製するために有用なカルボン酸及びカルボン酸フッ化物は、幾つか市販されている。例えば、式CF−[O−CF1〜3C(O)OHのカルボン酸は、Anles Ltd.,St.Petersburg,Russiaから入手可能である。
【0069】
式Rf−Q−X−[Si(R)(R3−fにより表される化合物は、例えば、種々の従来の方法を用いて、部分フッ素化若しくは全フッ素化カルボン酸、又はこれらの塩、これらの酸フッ化物、又はカルボン酸エステル(例えば、Rf−C(O)−OCH)から調製することができる。例えば、メチルエステルは、以下の反応順序に従って、式NH−X−[Si(R)(R3−fを有するアミンで処理され得る。
【0070】
Rf−C(O)−OCH+NH−X−[Si(R)(R3−f→Rf−C(O)−NH−X−[Si(R)(R3−fこの順序では、Rf、X、R、R、f、及びgは、上記実施形態のいずれかで定義された通りである。式NH−X−Si(R)(R3−fを有するアミンは、幾つか市販されている(例えば、(3−アミノプロピル)トリメトキシシラン及び(3−アミノプロピル)トリエトキシシラン)。反応は、例えば、高温(例えば、最高80℃、70℃、60℃、又は50℃)で実施してもよく、好適な溶媒付近又は好適な溶媒中で実施してもよい。
【0071】
式Rf−Q−X−[Si(R)(R3−fにより表される化合物もまた、例えば、カルボン酸エステル(例えば、Rf−C(O)−OCH)と、式NH−X’’−[OH](例えば、エタノールアミン又は3−アミノ−1,2−プロパンジオール)を有するアミノアルコールとを反応させて、以下の反応順序に示すようなアルコール置換Rf−(CO)NHX’’[OH](式中、Rfは、上記実施形態のいずれかで定義された通りであり、X’’は、Xの前駆体であり、Xは、少なくとも1つのエーテル、エステル、又はカルバメート基により中断される)を調製することにより調製することができる。
【0072】
Rf−C(O)−OCH+NH−X’’−[OH]→Rf−C(O)−NH−X’’−[OH]→Rf−C(O)−NH−X−[Si(R)(R3−f
上記NH−X−Si(R)(R3−fとの反応条件は、NH−X’’−OHとの反応に用いることもできる。次いで、ヒドロキシル置換化合物は、例えば、ハロアルキルシラン(例えば、クロロプロピルトリメトキシシラン)、イソシアントアルキルシラン(例えば、3−イソシアナトプロピルトリエトキシシラン)、又はエポキシシラン(例えば、ガンマ−グリシドオキシプロピルトリメトキシシラン)で処理してもよい。ハロアルキルシランとの反応は、例えば、先ず好適な溶媒(例えば、メタノール)中にて、所望により高温(例えば、最高、溶媒の還流温度)で、ヒドロキシル置換化合物を塩基(例えば、ナトリウムメトキシド又はナトリウムt−ブトキシド)で処理し、次いで得られたアルコキシドをハロアルキルシランと共に加熱(例えば、最高100℃、80℃、又は70℃)することにより実施することができる。式Rf−C(O)−NH−X’’−OHで表されるヒドロキシル置換化合物とイソシアントアルキルシランとの反応は、例えば、好適な溶媒(例えば、メチルエチルケトン)中にて、所望により高温(例えば、溶媒の還流温度)で、また所望により触媒(例えば、オクタン酸第一スズ又はスズ(II)2−エチルヘキサノエート)の存在下で、実施することができる。
【0073】
式Rf−Q−X−[Si(R)(R3−fにより表される化合物はまた、例えば、従来の方法(例えば、水素化ホウ素ナトリウム等の水素化物還元)を用いて、式Rf−C(O)−OCHのエステル又は式Rf−C(O)−OHのカルボン酸を、以下の反応順序に示すような式Rf−CHOH(式中、Rf、R、R、及びfは、上記実施形態のいずれかで定義された通りであり、Xは、少なくとも1つのエーテル、エステル、又はカルバメート基により中断される)のヒドロキシル置換化合物に還元することにより調製することができる。
【0074】
Rf−C(O)−OCH→Rf−CHOH→Rf−X−Si(R)(R3−f
次いで、上記技術を用いてハロアルキルシラン又はイソシアナトアルキルシランと反応させることにより、式Rf−CHOHのヒドロキシル置換化合物を、例えばシランに変換することができる。
【0075】
フッ素化ヒドロキシル化合物はまた、例えば、アクリロイルハロゲン化物、エステル、無水物、又はアクリル酸で処理して、フッ素化アクリレートエステルを生成することができ、これは次いで、フッ素化シランの調製に関する米国特許出願公開第2008/0220264号(Iyerら)に記載の方法に従って、例えば、式NH(3−g)−[X’’’−Si(R)(R3−f(式中、R、R、f、及びgは、上記実施形態のいずれかで定義された通りであり、X’’’は、アルキレンである)を有するアミンで処理することができる。
【0076】
式Rf−Q−X−[Si(R)(R3−fにより表される化合物のR基(例えば、アルコキシ、アシルオキシ、又はハロゲン)を加水分解すると、典型的には、シラノール基が生じ、これは、縮合反応に関与してシロキサンを形成する、及び/又は本開示に従って処理された物品(例えば、炭化水素含有地層、プロパント、又は他のもの)の表面上においてシラノール基又は他の金属水酸化物基との結合相互作用に関与する。結合相互作用は、共有結合(例えば、縮合反応)、水素結合、又は他の種類の結合(例えば、ファンデルワールス相互作用)を通じたものであってもよい。加水分解は、例えば、水の存在下で、所望により酸又は塩基の存在下で生じ得る。物品を処理するために用いられる式Rf−Q−X−[Si(R)(R3−fにより表されるフッ素化化合物を含有する組成物に添加され得る、加水分解に必要な水は、物品表面に吸着され得る、又は前記フッ素化化合物が曝露される雰囲気(例えば、少なくとも10%、20%、30%、40%、又は更には少なくとも50%の相対湿度を有する雰囲気)中に存在し得る。
【0077】
中性pH条件下では、シラノール基の縮合は、典型的には、高温(例えば、40℃〜200℃、又は更には50℃〜100℃の範囲)で実施される。酸性条件下では、シラノール基の縮合は、室温(例えば、約15℃〜約30℃、又は更には20℃〜25℃)で実施され得る。縮合反応の速度は、典型的には、温度、pH、及び式Rf−Q−X−[Si(R)(R3−fにより表される化合物の(例えば、フッ素化化合物を含有する製剤中の)濃度に依存する。
【0078】
本明細書に開示されるフッ素化化合物を含む幾つかの実施形態では、組成物は、水を含む。幾つかの実施形態では、水の量は、組成物の総重量に基づいて、0.1〜20(例えば、0.5〜15、又は1〜10)重量%である。
【0079】
幾つかの実施形態では、本開示に係る及び/又は本開示の実施に有用な組成物は、酸又は塩基のうち1つを含む。酸は、有機酸又は無機酸であってもよい。有機酸としては、酢酸、クエン酸、ギ酸、及び及びフッ素化有機酸、例えば、CFSOH、CCOOH、C15COOH、C13P(O)(OH)、又は式R−[−(Y)−Z](式中、Rは、モノ又は二価ポリフルオロポリエーテル基を表し、Yは、有機二価結合基を表し、Zは、酸基(例えば、カルボン酸基)を表し、jは0又は1であり、kは1又は2である)により表されるフッ素化有機酸が挙げられる。式R−[−(Y)−Z]により表される代表的なフッ素化有機酸としては、CO(CF(CF)CFO)10〜30CF(CF)COOH(E.I.DuPont de Nemours and Company,Wilmington,DEから商品名「KRYTOX 157 FSH」、「KRYTOX 157 FSL」及び「KRYTOX 157 FSM」として市販)及びCF(CFOCF(CF)COOHが挙げられる。無機酸の例としては、硫酸、塩酸、及びリン酸が挙げられる。酸は、一般的に、組成物の総重量に基づいて、約0.005〜10重量%(例えば、0.01〜10重量%、又は0.05〜5重量%)の量、組成物中に含まれる。幾つかの実施形態では、酸は、酢酸、クエン酸、ギ酸、パラトルエンスルホン酸、トリフリン酸、ペルフルオロ酪酸、ホウ化水素酸、硫酸、リン酸、又は塩酸の少なくとも1つである。
【0080】
幾つかの実施形態では、本開示に係る及び/又は本開示の実施に有用な組成物は、塩基を含む。幾つかの実施形態では、塩基は、アミン(例えば、トリエチルアミン)、アルカリ金属水酸化物(例えば、水酸化ナトリウム、又は水酸化カリウム)、アルカリ土類金属水酸化物、又は水酸化アンモニウムの少なくとも1つである。塩基は、一般的に、組成物の総重量に基づいて、約0.005〜10重量%(例えば、0.01〜10重量%、又は0.05〜5重量%)の量、組成物中に含まれる。
【0081】
幾つかの実施形態では、本開示に係る及び/又は本開示の実施に有用な組成物は、溶媒(例えば、1種以上の有機溶媒)を含む。溶媒という用語は、25℃で本明細書に開示されるフッ素化化合物を少なくとも部分的に溶解することができる液体物質又は液体物質の混合物を指す。溶媒は、水を含んでいてもよく、含んでいなくてもよい。幾つかの実施形態では、溶媒は、本明細書に開示されるフッ素化化合物の少なくとも0.01重量%を溶解させることができる。幾つかの実施形態では、溶媒は、少なくとも0.1重量%の水を溶解させることができる有機溶媒である。幾つかの実施形態では、溶媒は、少なくとも0.01重量%の酸又は塩基を溶解させることができる。
【0082】
好適な有機溶媒としては、脂肪族アルコール(例えば、メタノール、エタノール、又はイソプロピルアルコール)、ケトン(例えば、アセトン、又はメチルエチルケトン)、エステル(例えば、酢酸エチル又はギ酸メチル)、及びエーテル(例えば、ジイソプロピルエーテル)が挙げられる。フッ素化溶媒は、有機溶媒と組み合わせて用いることができる。フッ素化溶媒の例としては、フッ素化炭化水素(例えば、ペルフルオロヘキサン又はペルフルオロオクタン)、部分フッ素化炭化水素(例えば、ペンタフルオロブタン又はCFCFHCFHCFCF)、及びヒドロフルオロエーテル(例えば、メチルペルフルオロブチルエーテル、又はエチルペルフルオロブチルエーテル)が挙げられる。
【0083】
幾つかの実施形態では、本開示に係る及び/又は本開示の実施に有用な組成物は、式(R)M(Rr’−q(式中、R、M、R、r’、及びqは、上記定義の通りである)により表される化合物を含む。この式の代表的な化合物としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、オクタデシルトリエトキシシラン、メチルトリクロロシラン、テトラメチルオルトチタネート、テトラエチルオルトチタネート、テトライソプロピルオルトチタネート、テトラエチルジルコネート、テトライソプロピルジルコネート、及びテトラプロピルジルコネートが挙げられる。
【0084】
本開示に係る組成物は、濃縮物(例えば、式Rf−Q−X−[Si(R)(R3−fにより表される化合物の有機溶媒濃縮液)であってもよい。濃縮物は、数週間(例えば、少なくとも1、2、又は3ヶ月)安定であり得る。式Rf−Q−X−[Si(R)(R3−fにより表される化合物は、濃縮物の総重量に基づいて、少なくとも10、20、25、30、又は少なくとも40重量%の量で存在し得る。濃縮物は、例えば、水、有機溶媒、及び所望により酸又は塩基と共に使用する直前に希釈し得る。幾つかの実施形態では、濃縮物は、式(R)M(Rr’−qにより表される化合物を含む。これらの実施形態の一部では、濃縮物は、最後に希釈された濃度において望ましい、同重量比の、式Rf−Q−X−[Si(R)(R3−fにより表される化合物、及び式(R)M(Rr’−qにより表される化合物を含む。
【0085】
組成物(例えば、表面又は炭化水素含有地層を処理するための)は、典型的には、組成物の総重量に基づいて、少なくとも0.01、0.015、0.02、0.025、0.03、0.035、0.04、0.045、0.05、0.055、0.06、0.065、0.07、0.075、0.08、0.085、0.09、0.095、0.1、0.15、0.2、0.25、0.5、1、1.5、2、3、4、又は5重量%、最高5、6、7、8、9、又は10重量%の、少なくとも1つの本開示に係るフッ素化化合物を含む。例えば、本開示に係るフッ素化化合物の量は、組成物の総重量に基づいて、0.01重量%〜10重量%、0.1重量%〜10重量%、0.1重量%〜5重量%、1重量%〜10重量%、又は1重量%〜5重量%の範囲であってもよい。より少量及びより大量のフッ素化化合物を組成物中にて使用してもよく、それが幾つかの用途のために望ましい場合がある。溶媒、水、及び所望により他の成分(例えば、酸、塩基、又は式(R)M(Rr’−qにより表される化合物)の比は、均質な混合物を提供するように選択し得る。
【0086】
本明細書に開示される組成物に添加し得る他の成分としては、別の官能基(例えば、エポキシプロピルトリメトキシシラン、ビス(3−アミノプロピルトリメトキシシリル)アミン、又はアミノプロピルトリメトキシシラン)を有するシランが挙げられる。これら成分は、例えば、物品の表面と反応することにより、処理組成物の物品に対する接着力を高めるために有用であり得る。
【0087】
本開示に係る表面を処理することを含む方法では、式Rf−Q−X−[Si(R)(R3−fにより表されるフッ素化化合物を含む組成物は、一般的に、撥水性及び撥油性であるコーティングを生成するのに十分な量、基材に塗布される。このコーティングは、極めて薄く(例えば、10〜200ナノメートル)することもでき、幾つかの用途では、より厚くすることもできる。
【0088】
本開示に係る方法及び物品の幾つかの実施形態では、硬質表面が処理される。有用な表面としては、セラミックス、グレーズドセラミックス、ガラス、金属、天然及び人工石、熱可塑性材料(例えば、ポリ(メタ)アクリレート、ポリカーボネート、ポリスチレン、スチレンコポリマー(例えば、スチレンアクリロニトリルコポリマー)、ポリエステル、又はポリエチレンテレフタレート)、塗料(アクリル樹脂をベースにしたもの等)、粉末コーティング材(ポリウレタン又はハイブリッド粉体コーティング材等)、並びに木材が挙げられる。幾つかの実施形態では、表面は、本開示に係るフッ素化化合物と反応し得る官能基を含む。表面のかかる反応性は、自然に生じる場合もあり(例えば、珪質表面において)、又は反応性表面は、プラズマ含有酸素、若しくはコロナ雰囲気中で処理することにより提供することもできる。
【0089】
種々の物品を、本開示に係るフッ素化化合物で処理して、その上に撥水性及び撥油性コーティングを提供することができる。代表的な物品としては、セラミックタイル、浴槽、流し、便器、ガラス製シャワーパネル、建造物のガラス、自動車の種々の部品(例えば、ミラー又はウインドウ)、セラミック又はエナメル陶器材料、眼鏡のレンズ、サングラス、光学機器、時計の液晶、プラスチック窓ガラス、標識、壁紙及びビニル床材等の装飾表面、複合材又は積層基材(例えば、Formica Corporation,Cincinnati,OHから商品名「FORMICA」として入手可能なシート、及び例えば、Pergo,Raleigh,NCから商品名「PERGO」として入手可能な床材)、天然及び人工石、装飾及び舗装石(例えば、大理石、御影石、石灰岩、及び粘板岩)、セメント及び石製歩道及び車道、グラウトを含む粒子又はグラウトの塗布された仕上げ面、木製家具表面(例えば、デスク及びテーブルの天板)、棚表面、木製床材、敷板、及び垣根、革、紙、ガラス繊維布及び他の繊維含有布、織物、カーペット、台所及び浴室の蛇口、栓、取っ手、吐水口、流し、排水口、手すり、タオルかけ、カーテンレール、食器洗浄器のパネル、冷蔵庫のパネル、レンジ上面、レンジのパネル、オーブン、又は電子レンジ、排気フード、グリル、及び金属製車輪又は縁部が挙げられる。
【0090】
幾つかの実施形態では、処理される物品の表面は、有機汚染物質を実質的に含まないように、処理前に洗浄してもよい。洗浄技術は基材の種類に応じて決定され、有機溶媒(例えば、アセトン又はエタノール)による溶媒洗浄工程を含む。
【0091】
広範な方法を用いて、本明細書に開示される組成物で表面を処理することができる(例えば、はけ塗り、噴霧、浸漬、圧延、又は延展)。物品は、典型的には、室温(典型的には、約20℃〜約25℃)にて、組成物で処理され得る。或いは、混合物は、例えば60〜150℃の温度に予熱された基材に塗布できる。これは、例えば、工業製品、例えば、セラミックタイルにおいて有用であり得、これら製品は、生産ラインの最後に焼付けがまを出た直後に処理され得る。適用後、処理された基材は、乾燥させるのに十分な時間、周囲温度又は高温(例えば、40℃〜300℃)で乾燥させ硬化させることができる。幾つかの実施形態では、本開示に係る撥水/撥油性及び耐久性表面処理は、物品を処理し、周囲温度で乾燥させた際に得ることができる。幾つかの実施形態では、本明細書に開示される方法は、過剰な材料を除去する研磨工程を更に含む。
【0092】
本明細書に開示されるフッ素化化合物はまた、光硬化性組成物、例えばエポキシ樹脂に添加して、ハードコートを提供することもできる。エポキシ樹脂は、シラン基(例えば、ベータ−(3,4−エポキシシクロへキシル)エチルトリメトキシシラン又はガンマ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン)を含有してもよい。
【0093】
式Rf−Q−X−[Si(R)(R3−fにより表される化合物と、式(R)M(Rr’−qにより表される化合物の両方を組成物中に含む、本開示に係る組成物及び方法の幾つかの実施形態では、(R)M(Rp−q:Rf−Q−X−[Si(R)(R3−fの重量比は、例えば、3:1〜12:1、又は6:1〜9:1の範囲であってもよい。例えば、本明細書に開示される処理された物品が紫外線及び湿気に曝露されるとき等、より高い重量比(例えば、6:1〜12:1)が有用である場合もある。例えば、透明なコーティングを提供するとき等、より低い重量比(例えば、1:1〜6:1)が有用である場合もある。
【0094】
式Rf−Q−X−[Si(R)(R3−fにより表される化合物、溶媒、及び所望により酸、塩基、又は式(R)M(Rr’−qにより表される化合物を含む処理組成物を用いて、調製直後、又はある期間(例えば、1時間、3〜8時間、数日、又は数週間)室温で静置した後、又は組成物を加熱した後、本明細書に開示される方法に従って物品を処理することができる。式Rf−Q−X−[Si(R)(R3−f及び(R)M(Rr’−qにより表される化合物の加水分解及び縮合は、組成物を時間及び温度に曝露した後に生じる可能性が高い。本明細書に開示される組成物は、表面を処理する前に組成物中で起こる加水分解及び縮合の程度にかかわらず、有用な特性をもたらし得る。
【0095】
少数(例えば、最高4個)の連続ペルフルオロ化炭素原子を含む、部分フッ素化ポリエーテル基及び/又は全フッ素化ポリエーテル基を有する、本明細書に開示される化合物は、本明細書では、有用な撥水性及び撥油性を有することが示されており、また多数の連続ペルフルオロ化炭素原子を有する撥水/撥油剤の低コスト代替品を提供し得る。また、幾つかの実施形態では、少量(例えば、組成物の総重量に基づいて、最高10、5、2,5、又は1重量%)の式Rf−Q−X−[Si(R)(R3−fにより表されるフッ素化化合物を含有する、式Rf−Q−X−[Si(R)(R3−f及び(R)M(Rr’−qにより表される化合物の混合物は、有用な撥水性及び撥油性を提供することが見出されている。
【0096】
幾つかの実施形態では、本開示に係る方法は、表面に対する、水又はヘキサデカンの少なくとも1つの接触角を増加させる。幾つかの実施形態では、この方法は、処理物を乾燥させた後、蒸留水を用いて20℃にて測定したとき、少なくとも80°、85°、90°、95°、又は少なくとも100°の接触角を有する、処理された表面を提供する。幾つかの実施形態では、この方法は、処理物を乾燥させた後、n−ヘキサデカンを用いて20℃にて測定したとき、少なくとも40°、45°、50°、55°、又は少なくとも60°の接触角を有する処理された表面を提供する。
【0097】
幾つかの実施形態では、組成物による表面の処理は、比較組成物で同等の表面を処理することにより提供される接触角よりも大きい、表面上における水又はヘキサデカンの少なくとも1つの接触角をもたらすが、前記比較組成物は、フッ素化化合物を式:C−O−CF(CF)−C(O)−NH−(CH−Si(OCHCHにより表されるシランに置き換えたことを除いて前記組成物と同じである。用語「同等の表面」とは、表面処理の同一性を除いて全ての点において同じ表面を指す。
【0098】
本開示に係る物品の幾つかの実施形態では、本明細書に開示されるシロキサン処理は、表面上における水又はヘキサデカンの少なくとも1つの接触角を、比較シロキサンよりも大きく増加させ、前記比較シロキサンは、前記フッ素化化合物の少なくとも1つの縮合生成物を、式:C−O−CF(CF)−C(O)−NH−(CH−Si(OCHCHにより表されるシランの少なくとも1つの縮合生成物に置き換えたことを除いて、前記シロキサンと同じである。
【0099】
本開示に係る化合物はまた、例えば、プラスチックの添加剤としても有用であり得る。本明細書に開示される化合物をプラスチックに添加するとき、プラスチックのトライボロジー的特性を改善することができる。本開示に係る化合物は、(a)化合物と少なくとも1つの熱可塑性ポリマー(所望により、他の添加剤と共に)を組み合わせ、次いで、得られる組み合わせを溶融加工する、(b)化合物と少なくとも1つの熱硬化性ポリマー、又はその反応性前駆体(所望により、他の添加剤と共に)を組み合わせ、次いで所望により熱又は化学線を適用して硬化させる、(c)化合物及びポリマーを少なくとも1つの溶媒に溶解させ、次いで得られた溶液を鋳込成形又はコーティング(例えば、プラスチックシート又はフィルム、布地、木材、セラミック、又は石等の基材上に)し、所望により熱を適用して溶媒を蒸発させる、並びに(d)化合物と少なくとも1つのモノマー(所望により、他の添加剤と共に)を組み合わせ、次いで、所望により少なくとも1つの溶媒の存在下で、所望により熱又は化学線を適用してモノマーを重合させることにより、プラスチックに添加することができる。
【0100】
溶融加工によりポリマー溶融ブレンドを形成するために、化合物は、例えば、ペレット状若しくは粉末状のポリマーと共に完全に混合して、次いで、例えば、型成形、溶融吹込、溶融紡糸、又は溶融押出成形等の既知の方法により、溶融加工することができる。化合物は、ポリマーと直接混合することができ、又は、ポリマー中における化合物の「マスターバッチ」(濃縮物)の形態でポリマーと混合することができる。必要に応じて、化合物の有機溶液は、粉末状又はペレット状のポリマーと共に混合することができ、その後、乾燥(溶媒を除去するために)させ、続いて溶融加工が行われる。化合物はまた、溶融したポリマー流に射出して、ブレンドを形成することができ、その直後に、例えば、繊維若しくはフィルムへの押出成形又は物品への型成形が行われる。
【0101】
溶融加工後に、焼きなまし工程を実行して撥水/撥油特性を向上させることができる。このような焼きなまし工程に加えて又はその代わりに、(例えば、フィルム又は繊維の形態の)溶融加工された混合物を2つの加熱されたロールの間でエンボス加工することができ、これらのロールの一方又は両方はパターン形成されていてもよい。焼きなまし工程は典型的には、ポリマーの溶融温度未満で(例えば、ポリアミドの場合、約30秒間〜約5分間にわたって約150℃〜220℃で)行われる。
【0102】
本開示に係る化合物は、ポリマー(又は他の処理可能な基材)の特性を損なわせることなく、特定の用途に対して望ましい特性を得るのに十分な量で、熱可塑性又は熱硬化性ポリマー(又は、他の処理可能な基材)に添加することができる。通常、本明細書に開示される化合物は、ポリマー(又は他の処理可能な基材)の重量に基づいて、約0.1重量%〜約10重量%(好ましくは約0.5重量%〜約4重量%、より好ましくは約0.75重量%〜約2.5重量%)の範囲の量で添加することができる。
【0103】
本明細書に開示される炭化水素含有地層の処理方法の実施に有用な処理組成物は、溶媒を含む。これらの方法に有用な溶媒の例としては、有機溶媒、水、容易にガス化する流体(例えば、アンモニア、低分子量炭化水素、及び超臨界又は液状二酸化炭素)、及びこれらの組み合わせが挙げられる。幾つかの実施形態では、組成物は、水を本質的に含まない(即ち、組成物の総重量に基づいて0.1重量%未満の水を含有する)。幾つかの実施形態では、溶媒は、水混和性溶媒(即ち、溶媒は全ての比率で水に可溶性である)である。有機溶媒の例としては、極性及び/又は水混和性溶媒、例えば、1〜4個の炭素原子を有するモノヒドロキシアルコール(例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、プロパノール、又はブタノール)、グリコール等のポリオール(例えば、エチレングリコール又はプロピレングリコール)、末端アルカンジオール(例えば、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール又は1,8−オクタンジオール)、ポリグリコール(例えば、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、又はポリ(プロピレングリコール))、トリオール(例えば、グリセロール、トリメチロールプロパン)、又はペンタエリスリトール、エーテル、例えばジエチルエーテル、メチルt−ブチルエーテル、テトラヒドロフラン、p−ジオキサン、又はポリオールエーテル(例えば、グリコールエーテル(例えば、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、2−ブトキシエタノール、又はDow Chemical Co.,Midland,MIから商品名「DOWANOL」として入手可能なグリコールエーテル))、ケトン(例えば、アセトン又は2−ブタノン)、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0104】
本明細書に開示の炭化水素含有地層の処理方法の幾つかの実施形態では、溶媒は、独立して2〜25個(幾つかの実施形態では、2〜15、2〜10、2〜9、又は2〜8個)の炭素原子を有するポリオール又はポリオールエーテルの少なくとも1つを含む。幾つかの実施形態では、溶媒はポリオールを含む。用語「ポリオール」は、C−H、C−C、C−O、O−H一重結合により互いに結合されているC、H、及びO原子から成り、且つ少なくとも2つのC−O−H基を有する有機分子を指す。幾つかの実施形態において、有用なポリオールは、2〜25、2〜20、2〜15、2〜10、2〜8、又は2〜6個の炭素原子を有する。幾つかの実施形態では、溶媒はポリオールエーテルを含む。用語「ポリオールエーテル」は、C−H、C−C、C−O、O−H一重結合により互いに結合されているC、H、及びO原子から成り、ポリオールの少なくとも部分的エーテル化により少なくとも理論的に誘導可能である有機分子を指す。幾つかの実施形態では、ポリオールエーテルは、少なくとも1つのC−O−H基及び少なくとも1つのC−O−C結合を有する。有用なポリオールエーテルは、3〜25個の炭素原子、3〜20、3〜15、3〜10、3〜8、又は5〜8個の炭素原子を有し得る。幾つかの実施形態では、ポリオールは、エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリ(プロピレングリコール)、1,3−プロパンジオール、又は1,8−オクタンジオールの少なくとも1つであり、ポリオールエーテルは、2−ブトキシエタノール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、又は1−メトキシ−2−プロパノールの少なくとも1つである。幾つかの実施形態では、ポリオール及び/又はポリオールエーテルは、232℃(450°F)未満の標準沸点を有し、これは、例えば、処理後に坑井からのポリオール及び/又はポリオールエーテルの除去を促進するのに有用であり得る。幾つかの実施形態では、溶媒は、エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリ(プロピレングリコール)、1,3−プロパンジオール、1,8−オクタンジオールの少なくとも1つであり、ポリオールエーテルは、2−ブトキシエタノール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、又はジプロピレングリコールモノメチルエーテルの少なくとも1つである。
【0105】
本明細書に開示の炭化水素含有地層の処理方法の幾つかの実施形態では、溶媒は、水、モノヒドロキシアルコール、エーテル、又はケトンの少なくとも1つを含み、前記モノヒドロキシアルコール、エーテル、及びケトンは、それぞれ独立して最高4個の炭素原子を有する。代表的な1〜4個の炭素原子を有するモノヒドロキシアルコールとしては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、イソブタノール、及びt−ブタノールが挙げられる。代表的な2〜4個の炭素原子を有するエーテルとしては、ジエチルエーテル、エチレングリコールメチルエーテル、テトラヒドロフラン、p−ジオキサン、及びエチレングリコールジメチルエーテルが挙げられる。代表的な3〜4個の炭素原子を有するケトンとしては、アセトン、2−メトキシ−2−プロパノン、及び2−ブタノンが挙げられる。幾つかの実施形態では、本明細書に開示される方法の実施に有用な溶媒は、メタノール、エタノール、イソプロパノール、テトラヒドロフラン、又はアセトンの少なくとも1つを含む。
【0106】
本明細書に開示される炭化水素含有地層の処理方法の幾つかの実施形態では、処理組成物は、少なくとも2つの有機溶媒を含む。幾つかの実施形態では、溶媒は、独立して2〜25個(幾つかの実施形態では、2〜15、2〜10、2〜9、又は2〜8)の炭素原子を有するポリオール又はポリオールエーテルの少なくとも1つ、及び水、モノヒドロキシアルコール、エーテル、又はケトンの少なくとも1つを含み、前記モノヒドロキシアルコール、エーテル、及びケトンは、それぞれ独立して最高4個の炭素原子を有する。これらの実施形態では、溶媒の成分が2つの機能性分類のメンバーである場合、両方ではなくいずれかの分類として用いることができる。例えば、エチレングリコールモノメチルエーテルは、同時に両方としてではなく、ポリオールエーテル又はモノヒドロキシアルコールであり得る。これらの実施形態では、各溶媒成分は、単一成分又は成分の混合物として存在し得る。幾つかの実施形態では、本明細書に開示されるいずれの方法の実施にも有用な処理組成物は、独立して2〜25個(幾つかの実施形態では、2〜15、2〜10、2〜9、又は2〜8)の炭素原子を有するポリオール又はポリオールエーテルの少なくとも1つ、及び最高4個の炭素原子を有するモノヒドロキシアルコールを少なくとも1つ含む。
【0107】
処理組成物が独立して2〜25個(幾つかの実施形態では、2〜15、2〜10、2〜9、又は2〜8)の炭素原子を有するポリオール又はポリオールエーテルの少なくとも1つを含む、本明細書に開示の炭化水素含有地層の処理方法の実施形態ではいずれも、ポリオール又はポリオールエーテルは、組成物の総重量に基づいて、少なくとも50、55、60、又は65重量%、且つ最高75、80、85、又は90重量%、組成物中に存在する。ポリオール又はポリオールエーテルの少なくとも1つを含有する代表的な溶媒の組み合わせとしては、1,3−プロパンジオール(80%)/イソプロパノール(IPA)(20%)、プロピレングリコール(70%)/IPA(30%)、プロピレングリコール(90%)/IPA(10%)、プロピレングリコール(80%)/IPA(20%)、エチレングリコール(50%)/エタノール(50%)、エチレングリコール(70%)/エタノール(30%)、プロピレングリコールモノブチルエーテル(PGBE)(50%)/エタノール(50%)、PGBE(70%)/エタノール(30%)、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル(DPGME)(50%)/エタノール(50%)、DPGME(70%)/エタノール(30%)、ジエチレングリコールモノメチルエーテル(DEGME)(70%)/エタノール(30%)、トリエチレングリコールモノメチルエーテル(TEGME)(50%)/エタノール(50%)、TEGME(70%)/エタノール(30%)、1,8−オクタンジオール(50%)/エタノール(50%)、プロピレングリコール(70%)/テトラヒドロフラン(THF)(30%)、プロピレングリコール(70%)/アセトン(30%)、プロピレングリコール(70%)、メタノール(30%)、プロピレングリコール(60%)/IPA(40%)、2−ブトキシエタノール(80%)/エタノール(20%)、2−ブトキシエタノール(70%)/エタノール(30%)、2−ブトキシエタノール(60%)/エタノール(40%)、プロピレングリコール(70%)/エタノール(30%)、エチレングリコール(70%)/IPA(30%)、及びグリセロール(70%)/IPA(30%)が挙げられ、ここで例示的百分率は、溶媒の総重量に基づく重量による。本明細書に開示される方法の幾つかの実施形態では、処理組成物は、処理組成物の総重量に基づいて、95、90、80、70、60、50、40、30、20、又は10重量%の、最高4個の炭素原子を有するモノヒドロキシアルコールを含む。
【0108】
溶媒の量は、典型的には、本開示の実施に有用な処理組成物中の他の成分の量とは逆に変化する。例えば、処理組成物の総重量に基づいて、溶媒は、組成物中に、少なくとも10、20、30、40、若しくは50重量%又はそれ以上から、最高60、70、80、90、95、98、若しくは99重量%、又はそれ以上の量存在してもよい。
【0109】
フッ素化化合物及び溶媒を含む本明細書に記載の処理組成物の成分は、従来の電磁撹拌棒又は機械的ミキサ(例えば、インライン静的ミキサ及び再循環ポンプ)を用いることを含む、これらの種類の材料を組み合わせるために当該技術分野において既知の技術を用いて組み合わせることができる。
【0110】
理論に縛られるものではないが、本開示に係る炭化水素含有地層の処理方法は、炭化水素含有地層に遭遇した温度で処理組成物が均質であるとき、より望ましい結果をもたらすと考えられる。その温度で処理組成物が均質であるかどうかは、多くの変数に依存する場合がある(例えば、フッ素化化合物の濃度、溶媒の組成、ブラインの濃度及び組成、炭化水素の濃度及び組成、並びに他の成分の存在(例えば、界面活性剤))。一旦処理組成物が炭化水素含有地層(例えば、ダウンホール)に接触すると、フッ素化化合物が、地層、又は地層の割れ目に位置する複数のプロパントの少なくとも一部の少なくとも1つと反応すると考えられる。一旦、地層又は複数のプロパントの少なくとも一部と反応すると、フッ素化化合物は、地層の濡れ性を改変し、地層中のガス又は油浸透率の少なくとも1つを上昇させ得る。
【0111】
本明細書に開示される方法及び処理された炭化水素含有地層の幾つかの実施形態では、炭化水素含有地層は、ブラインを有する。地層中に存在するブラインは、遺留水、流水、可動水、不動水、破砕作業若しくは他のダウンホール流体からの残留水、又は交流水(例えば、隣接する穿孔地層、又は地層中の隣接する層からの水)の少なくとも1つを含む種々の源に由来する場合がある。ブラインは、処理前の炭化水素含有地層に水閉塞を引き起こす場合がある。処理組成物の幾つかの実施形態では、溶媒は、炭化水素含有地層中のブラインを少なくとも部分的に可溶化する又は少なくとも部分的に移動させる。幾つかの実施形態では、ブラインは、ブラインの総重量に基づいて、少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、又は更には少なくとも10重量%の溶解塩(例えば、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、塩化ストロンチウム、塩化マグネシウム、塩化カリウム、塩化第二鉄、塩化第一鉄、及びこれらの水和物)を有する。理論に縛られるものではないが、坑井近傍領域に蓄積したブラインを有する特定の油井及び/又はガス井の炭化水素生産性を改善するための、本明細書に開示の処理方法の有効性は、典型的には、フッ素化化合物又は塩の沈殿を引き起こすことなく、坑井近傍領域に存在するブラインの量を溶解又は移動させる組成物の能力により決定されると考えられる。したがって、所定の温度で、より低いブライン溶解度を有する処理組成物(即ち、比較的少量のブラインを溶解させることができる処理組成物)は、典型的には、より高いブライン溶解度を有し、且つ同じ濃度で同じフッ素化化合物を含有する処理組成物の場合よりも、多くの量が必要になる。
【0112】
本明細書に開示の方法の幾つかの実施形態では、処理組成物が炭化水素含有地層を処理するとき、炭化水素含有地層は、沈殿した塩を実質的に含まない。本明細書で使用するとき、用語「沈殿した塩を実質的に含まない」とは、炭化水素含有地層のガス浸透率を高める、フッ素化エーテル組成物の能力に干渉しない量の塩を指す。幾つかの実施形態では、「沈殿した塩を実質的に含まない」とは、沈殿が視覚的に見られないことを意味する。幾つかの実施形態では、「沈殿した塩を実質的に含まない」は、所定の温度及び圧力で、溶解度積よりも高い、5重量%未満である量の塩である。
【0113】
本開示に係る炭化水素含有地層の処理方法の幾つかの実施形態では、炭化水素含有地層の温度で、組成物と炭化水素含有地層のブラインとを組み合わせても、フッ素化化合物の沈殿は生じない。相の挙動は、炭化水素含有地層からブラインのサンプルを得、及び/又は炭化水素含有地層からのブラインの組成を分析し、地層中のブラインの組成と同じ又は類似の組成を有する同等のブラインを調製することにより、処理組成物で炭化水素含有地層を処理する前に評価することができる。炭化水素含有地層中のブラインの飽和度は、当該技術分野において既知の方法を用いて決定することができ、またそれを用いて処理組成物と混合し得るブラインの量を決定することができる。ブライン及び処理組成物は、前記温度で、(例えば、容器内で)組み合わせられ、次いで(例えば、振盪又は撹拌により)混合される。次いで、混合物は15分間前記温度で維持され、熱から離され、その直後に曇り若しくは沈殿が生じているかどうかが視覚的に評価される。幾つかの実施形態では、曇り又は沈殿が生じる前に添加されるブラインの量は、相の挙動評価において組み合わせられたブライン及び処理組成物の総重量に基づいて、少なくとも5、10、15、20、25、30、35、40、45、又は少なくとも50重量%である。
【0114】
処理組成物及びブラインの相挙動は、任意の沈殿、又は曇りが見られるかどうかを判定するために長期間(例えば、1時間、12時間、24時間、又はそれ以上)にわたって評価してもよい。ブライン(例えば、同等のブライン)及び処理組成物の相対量を調整することにより、所定の温度における処理組成物の最大ブライン取り込み能力(それを超えると沈殿又は曇りが生じる)を判定することができる。上記手順を実施する温度を変化させることにより、典型的には、所定の坑井に対する処理組成物としての処理組成物の好適性がより完全に理解される。
【0115】
本明細書に開示される方法の幾つかの実施形態では、炭化水素含有地層は、液状炭化水素及びガスの両方を有し、炭化水素含有地層を処理組成物で処理した後に少なくとも増加したガス浸透率を有する。幾つかの実施形態では、炭化水素含有地層を処理組成物で処理した後のガス浸透率は、地層を処理する前の地層のガス浸透率に比べて、少なくとも5%(幾つかの実施形態では、少なくとも10、15、20、30、40、50、60、70、80、90、若しくは100%、又はそれ以上)上昇する。幾つかの実施形態では、ガス浸透率は、ガス相対浸透率である。幾つかの実施形態では、炭化水素含有地層中の液体(例えば、油又はコンデンセート)浸透率もまた、地層を処理した後上昇する(幾つかの実施形態では、少なくとも5、10、15、20、30、40、50、60、70、80、90、若しくは100%、又はそれ以上)。
【0116】
幾つかの実施形態では、処理された炭化水素含有地層のガス浸透率の上昇は、同等の炭化水素含有地層が溶媒で処理されたときに得られるガス浸透率の上昇よりも高い。用語「同等の炭化水素含有地層」とは、本開示に係る方法で処理される前の、本明細書に開示される炭化水素含有地層に類似の又は同じ(例えば、化学的組成、表面化学、ブライン組成、及び炭化水素組成)炭化水素含有地層を指す。幾つかの実施形態では、炭化水素含有地層及び同等の炭化水素含有地層は、珪砕屑性地層であり、幾つかの実施形態では、50%超が砂岩である。幾つかの実施形態では、炭化水素含有地層及び同等の炭化水素含有地層は、同じ又は類似の孔体積及び孔隙率(例えば、15%、10%、8%、6%、又は更には5%以内)を有する。
【0117】
ガス及び液状炭化水素を両方有する炭化水素含有地層は、ガスコンデンセート、黒油、又は揮発油を有してもよく、例えば、メタン、エタン、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、又はより高級な炭化水素の少なくとも1つを含んでもよい。用語「黒油」とは、典型的には、約356m/m(2000scf/stb)未満のガス−油比(GOR)を有する原油のクラスを指す。例えば、黒油は、約18(100)、36(200)、53(300)、71(400)、又は更には89m/m(500scf/stb)から最高約320(1800)、338(1900)又は356m/m(2000scf/stb)の範囲のGORを有してもよい。用語「揮発油」とは、典型的には、約356〜588m/m(2000〜3300scf/stb)の範囲のGORを有する原油のクラスを指す。例えば、揮発油は、356(2000)、374(2100)、又は392m/m(2200scf/stb)から最高約552(3100)、570(3200)、又は588m/m(3300scf/stb)の範囲のGORを有してもよい。幾つかの実施形態では、処理組成物は、炭化水素含有地層中の液状炭化水素を少なくとも部分的に可溶化させる又は少なくとも部分的に移動させる。
【0118】
一般に、本明細書に開示される処理方法では、フッ素化化合物及び溶媒の量(及び溶媒の種類)は、条件が、典型的には、坑井によって、個々の坑井の異なる深さにおいて、及び更には個々の坑井の所定の位置においても時間とともに変化するため、特定の用途に依存する。有利なことに、本開示に係る処理方法は、個々の坑井及び条件に合わせて個別調整することができる。例えば、本明細書に開示される方法の実施に有用な処理組成物の作製方法は、温度、及び選択された地質帯の炭化水素含有地層の炭化水素組成又はブライン組成(ブライン飽和度及びブラインの成分を含む)の少なくとも1つを含むデータを受信する(例えば、得る又は測定する)ことを含む。これらのデータは、当業者に周知の技術を用いて得る又は測定することができる。次いで、前記製剤が、フッ素化化合物、溶媒、温度、及び前記地層の選択された地質帯の炭化水素組成又はブライン組成の少なくとも1つに関する相溶性情報に少なくとも部分的に基づいて作製され得る。幾つかの実施形態では、相溶性情報は、フッ素化化合物、溶媒、及びモデルブライン組成物の混合物の相安定性に関する情報を含み、前記モデルブライン組成物は、地質帯の地層のブライン組成に少なくとも部分的に基づいている。溶液又は分散液の相安定性は、上記相挙動評価を用いて評価できる。相挙動は、任意の沈殿、又は曇りが見られるかどうかを決定するために長期間(例えば、1時間、12時間、24時間、又はそれ以上)にわたって評価してもよい。幾つかの実施形態では、相溶性情報は、フッ素化化合物、溶媒、モデルブライン組成物、及びモデル炭化水素組成物の混合物からの固体(例えば、塩又はアスファルテン)沈殿に関する情報を含み、前記モデルブライン組成物は、地質帯の層のブライン組成に少なくとも部分的に基づき、前記モデル炭化水素組成物は、地質帯の地層の炭化水素組成に少なくとも部分的に基づく。相挙動評価を用いることに加えて、コンピュータシュミレーションにより、又は既に測定、収集、及び/若しくは一覧表になっている情報(例えば、ハンドブック又はコンピュータデータベース中の)を参照することにより、全体的に又は部分的に、相溶性情報を得られることも想到される。
【0119】
本開示に従って処理され得る炭化水素含有地層は、珪砕屑性(例えば、頁岩、礫岩、珪藻岩、砂、及び砂岩)又は炭酸塩(例えば、石灰岩又は苦灰石)地層であり得る。幾つかの実施形態では、炭化水素含有地層は、主に砂岩(即ち、少なくとも50重量%が砂岩)である。幾つかの実施形態では、炭化水素含有地層は、主に石灰岩(即ち、少なくとも50重量%が石灰岩)である。
【0120】
本開示に係る方法は、例えば、研究室環境(例えば、炭化水素含有地層のコアサンプル(即ち、一部)において)、又は現場(例えば、地下の炭化水素含有地層位置するダウンホールにおいて)で実施し得る。典型的には、本明細書に開示される方法は、約100kPa(1バール)〜約100Mpa(1000バール)の範囲の圧力、及び約37.8℃(100°F)〜204℃(400°F)の範囲の温度を有するダウンホール条件に適用可能であるが、前記方法は、これら条件を有する炭化水素含有地層に限定されるものではない。当業者は、本開示を再検討した後、開示される方法のいずれの実施においても、ブラインのイオン強度、pH(例えば、約4〜約10のpH範囲)、及び坑井孔における半径応力(例えば、約100kPa(1バール)〜約100Mpa(1000バール))を含む、種々の要因を考慮する場合があることを理解する。
【0121】
現場では、本明細書に記載される処理組成物による炭化水素含有地層の処理は、油及びガス分野の当業者に周知の方法(例えば、加圧下で汲み上げることによる)を用いて実施できる。例えば、コイルチュービングを用いて、処理組成物を、特定の地質帯の炭化水素含有地層に送達することができる。本明細書に記載される方法を実施する幾つかの実施形態では、組成物で処理される地質帯を分離する(例えば、従来のパッカーを用いて)ことが望ましい場合もある。
【0122】
本開示に係る方法は、例えば、既存の坑井及び新規坑井の両方に対して有用である。典型的には、本明細書に記載される組成物で炭化水素含有地層を処理した後に密閉時間(shut-in time)を設けることが望ましいと考えられる。代表的な密閉時間としては、数時間(例えば、1〜12時間)、約24時間、又は更には数日間(例えば、2〜10日間)が挙げられる。処理組成物を所望の時間所定の位置に残した後、組成物中に存在する溶媒は、地層から流体を生産するために一般的に行われるのと同様に、単に坑井内で流体を汲み上げることにより、地層から回収され得る。
【0123】
本開示に係る方法の幾つかの実施形態では、方法は、処理組成物で炭化水素含有地層を処理する前に、流体で炭化水素含有地層を処理することを含む。幾つかの実施形態では、流体は、炭化水素含有地層中のブラインを少なくとも部分的に可溶化する又は少なくとも部分的に移動させるの少なくとも1つを行う。幾つかの実施形態では、流体は、ブラインを少なくとも部分的に可溶化させる。幾つかの実施形態では、流体は、ブラインを少なくとも部分的に移動させる。幾つかの実施形態では、流体は、炭化水素含有地層中の液状炭化水素を少なくとも部分的に可溶化する又は移動させるの少なくとも1つを行う。幾つかの実施形態では、流体は、フッ素化界面活性剤を実質的に含まない。用語「フッ素化界面活性剤を実質的に含まない」は、流体が曇点を有するには不十分な量でフッ素化界面活性剤を有し得る流体を指す(例えば、臨界ミセル濃度を下回るとき)。フッ素化界面活性剤を実質的に含まない流体は、フッ素化界面活性剤を有するが、例えば、ダウンホール条件下で炭化水素含有地層の濡れ性を変化させるには不十分な量である流体であり得る。フッ素化界面活性剤を実質的に含まない流体としては、0重量%もの低重量%でかかるポリマーを有するものが挙げられる。流体は、炭化水素含有地層に処理組成物を導入する前に、ブライン中に存在する塩の少なくとも1つの濃度を低下させるために有用であり得る。ブライン組成の変化は、相挙動評価の結果を変化させ得る(例えば、予め流体を流す前に第1のブラインと処理組成物を組み合わせると、塩又はフルオロポリエーテル化合物の沈殿を引き起こし得るが、予め流体を流した後にブラインと処理組成物を組み合わせても、沈殿は生じ得ない)。
【0124】
本明細書に開示される処理方法の幾つかの実施形態では、流体は、トルエン、ディーゼル、ヘプタン、オクタン、又はコンデンセートの少なくとも1つを含む。幾つかの実施形態では、流体は、水、メタノール、エタノール、又はイソプロパノールの少なくとも1つを含む。幾つかの実施形態では、流体は、独立して2〜25個の炭素原子を有するポリオール又はポリオールエーテルの少なくとも1つを含む。幾つかの実施形態において、有用なポリオールは、2〜20、2〜15、2〜10、2〜8、又は2〜6個の炭素原子を有する。幾つかの実施形態では、有用なポリオールエーテルは、3〜25個の炭素原子、3〜20、3〜15、3〜10、3〜8、又は5〜8個の炭素原子を有し得る。代表的な有用なポリオール又はポリオールエーテルとしては、溶媒について上記したもののいずれかが挙げられる。幾つかの実施形態では、流体は、独立して最高4個の炭素原子を有する少なくとも1つのモノヒドロキシアルコール、エーテル、又はケトンを含む。幾つかの実施形態では、流体は、窒素、二酸化炭素、又はメタンの少なくとも1つを含む。
【0125】
本明細書に開示される方法及び処理された炭化水素含有地層の幾つかの実施形態では、炭化水素含有地層は、少なくとも1つの割れ目を有する。幾つかの実施形態では、破砕層は、少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、若しくは10又はそれ以上の割れ目を有する。本明細書で使用するとき、用語「割れ目」は、人為的な割れ目を指す。現場では、例えば、割れ目は、典型的には、割れ目を生じさせるのに十分な速度及び圧力で(即ち、岩の強度を超える)、地下の地層に破砕流体を注入することにより作製される。典型的には、破砕は、水圧破砕を指し、破砕流体は、水圧液である。破砕流体は、プロパントを含有してもよく、していなくてもよい。例えば、坑井孔の掘削中、意図的ではない破砕が時に生じる場合もある。意図的ではない割れ目は、検出(例えば、坑井孔からの流体損失により)し、修復することができる。典型的には、炭化水素含有地層の破砕は、坑井孔を掘削した後、地層を意図的に破砕することを指す。
【0126】
本明細書に開示される方法の幾つかの実施形態では、組成物による層の処理は、地層のガス浸透率又は液体浸透率の少なくとも1つを上昇させ、前記地層は非破砕層(即ち、上記プロセスにより作製される人為的な割れ目を含まない)である。有利なことに、本明細書に開示される処理方法は、典型的には、地層に割れ目を生じさせることなく、地層のガス浸透率又は炭化水素液体浸透率の少なくとも1つを上昇させる。
【0127】
炭化水素含有地層が少なくとも1つの割れ目を有する、本明細書に開示される方法及び処理された炭化水素含有地層の幾つかの実施形態では、割れ目は、その中に複数のプロパントを有する。プロパントを断裂に送達する前に、プロパントをフルオロポリエーテル化合物で処理してもよく、処理しなくてもよい(例えば、複数のプロパントの総重量に基づいて、0.1重量%未満のフルオロポリエーテル化合物を含んでもよい)。幾つかの実施形態では、本開示の実施に有用なフルオロポリエーテル化合物は、複数のプロパントの少なくとも一部上に吸着する。
【0128】
当該技術分野において既知である代表的なプロパントとしては、砂(例えば、種々の比を有する、白砂及び茶砂と呼ばれることの多い、オタワ、ブレディー、又はコロラド砂)、樹脂コーティングされた砂、焼結ボーキサイト、セラミックス(即ち、ガラス、結晶性セラミックス、ガラスセラミックス、及びこれらの組み合わせ)、熱可塑性樹脂、有機材料(例えば、ラッカセイの殻又は砕いた堅果殻、種子の殻、果実の核、及び加工した木材)、及び粘土から作製されるものが挙げられる。砂プロパントは、例えば、Badger Mining Corp.,Berlin,WI;Borden Chemical,Columbus,OH;及びFairmont Minerals,Chardon,OHから入手可能である。熱可塑性プロパントは、例えば、Dow Chemical Company,Midland,MI;及びBJ Services,Houston,TXから入手可能である。粘土系プロパントは、例えば、CarboCeramics,Irving,TX、及びSaint−Gobain,Courbevoie,Franceから入手可能である。焼結ボーキサイトセラミックプロパントは、例えば、Borovichi Refractories,Borovichi,Russia;3M Company,St.Paul,MN;CarboCeramics;及びSaint Gobainから入手可能である。ガラス泡及びビーズ状プロパントは、例えば、Diversified Industries,Sidney,British Columbia,Canada;及び3M Companyから入手可能である。
【0129】
本開示の実施に有用なプロパントは、100マイクロメートル〜3000マイクロメートル(即ち、約140メッシュ〜約5メッシュ(ANSI))(幾つかの実施形態では、1000マイクロメートル〜3000マイクロメートル、1000マイクロメートル〜2000マイクロメートル、1000マイクロメートル〜1700マイクロメートル(即ち、約18メッシュ〜約12メッシュ)、850マイクロメートル〜1700マイクロメートル(即ち、約20メッシュ〜約12メッシュ)、850マイクロメートル〜1200マイクロメートル(即ち、約20メッシュ〜約16メッシュ)、600マイクロメートル〜1200マイクロメートル(即ち、約30メッシュ〜約16メッシュ)、425マイクロメートル〜850マイクロメートル(即ち、約40〜約20メッシュ)、又は300マイクロメートル〜600マイクロメートル(即ち、約50メッシュ〜約30メッシュ)の範囲の粒子を有し得る。
【0130】
破砕層を処理する方法の幾つかの実施形態では、プロパントは、地層及び/又は坑井孔内にパックを形成する。プロパントは、本明細書に記載される溶媒及び組成物と化学的に相溶するように選択できる。用語「プロパント」は、本明細書で使用するとき、水圧破砕処理の一部として地層に導入可能な破砕プロパント材料、及びグラベルパック又はフラックパック等の出砂対策処理の一部として坑井孔又は地層に導入可能な出砂対策微粒子を含む。
【0131】
幾つかの実施形態では、本開示に係る方法は、炭化水素含有地層の破砕中又は破砕後の少なくとも一方に、組成物で炭化水素含有地層を処理することを含む。これらの実施形態の一部では、プロパントを含有し得る破砕流体は、水性(例えば、ブライン)であってもよく、主に有機溶媒(例えば、アルコール又は炭化水素)を含有してもよい。幾つかの実施形態では、破砕流体が、増粘剤(例えば、ポリマー粘性化剤)、電解質、腐食防止剤、スケール防止剤、及び破砕流体に一般的な他のかかる添加剤を含むことが望ましい場合もある。
【0132】
破砕層を処理する方法の幾つかの実施形態では、破砕層に導入される組成物の量は、割れ目(1又は複数)の体積に少なくとも部分的に基づいている。割れ目の体積は、当該技術分野において既知の方法を用いて測定できる(例えば、破砕坑井の圧力過渡試験により)。典型的には、割れ目が炭化水素含有地下層に作製されるとき、割れ目の体積は、破砕作業中に用いられる破砕流体の既知の体積又はプロパントの既知の量の少なくとも1つを用いて推定され得る。例えば、コイルチュービングを用いて、特定の割れ目に処理組成物を送達することができる。幾つかの実施形態では、本明細書に開示される方法の実施において、処理組成物で処理される割れ目を分離する(例えば、従来のパッカーを用いて)ことが望ましい場合もある。
【0133】
本明細書に記載される方法に従って処理される地層が少なくとも1つの割れ目を有する幾つかの実施形態では、割れ目は伝導性を有し、処理組成物で割れ目又は複数のプロパントの少なくとも一部の少なくとも1つを処理した後、割れ目の伝導性は増加する(例えば、25、50、75、100、125、150、175、200、225、250、275又は300%)。
【0134】
本開示に係るフッ素化化合物はまた、例えば、破砕及び支持(propping)作業においてプロパントを用いる前にプロパントを処理するためにも有用であり得る。処理されたプロパントは、例えば、フルオロポリエーテル化合物を分散媒(例えば、水及び/又は有機溶媒(例えば、アルコール、ケトン、エステル、アルカン、及び/又はフッ素化溶媒(例えば、ヒドロフルオロエーテル及び/又はペルフルオロ化端子)に溶解又は分散させ、次いで粒子に塗布することにより調製することができる。所望により、触媒を添加してもよい(例えば、酸又は塩基)。用いられる液体媒質の量は、溶液又は分散液が処理されるプロパントを概して均一に湿潤させ得るのに十分であるべきである。典型的には、溶液又は分散液中のフルオロポリエーテル化合物の濃度は、約5重量%〜約20重量%の範囲であるが、この範囲外の量が有用である場合もある。プロパントは、典型的には、約25℃〜約50℃の範囲の温度にてフッ素化化合物溶液又は分散液で処理されるが、この範囲外の温度が有用である場合もある。処理溶液又は分散液は、溶液又は分散液をプロパントに塗布するために当該技術分野において既知の技術を用いて(例えば、溶液又は分散液とプロパントとを容器内で混合する(幾つかの実施形態では、減圧下で)又は溶液/分散液を粒子に噴霧する)、プロパントに塗布され得る。処理溶液又は分散液を粒子に塗布した後、液体媒質は、当該技術分野において既知の技術を用いて除去できる(例えば、オーブン内で粒子を乾燥させる)。典型的には、約0.1〜約5(幾つかの実施形態では、約0.5〜約2)重量%のフッ素化化合物を粒子に添加するが、この範囲外の量が有用である場合もある。
【0135】
図1を参照すると、代表的な海上石油プラットフォームが概略的に示され、一般的に10と表記されている。半潜水型プラットフォーム12は、海底16下に位置する潜水炭化水素含有地層14の中央に位置している。海中導管18は、プラットフォーム12のデッキ20から、防噴装置24を備える坑口設備22まで延在する。プラットフォーム12は、作業用ストリング30等のパイプストリングを上下するための巻き上げ装置26及びデリック28を備えるように示されている。
【0136】
坑井孔32は、炭化水素含有地層14を含む種々の地層を貫いて延在する。ケーシング34は、セメント36により坑井孔32内にセメントで固定されている。作業用ストリング30は、例えば、炭化水素含有地層14に隣接する坑井孔32内に位置する出砂対策ふるいアセンブリ38を含む種々の用具を含んでもよい。また、坑井孔32を通じてプラットフォーム12から延在しているのは、パッカー44、46間に生産領域48と共に示されている、炭化水素含有地層14に隣接して位置する流体又はガス排出セクション42を有する流体送達管40である。生産領域48に隣接する炭化水素含有地層14の坑井近傍領域を処理することが望ましいとき、作業用ストリング30及び流体送達管40は、出砂対策ふるいアセンブリ38及び排出セクション42が、穿孔50を含む炭化水素含有地層14の坑井近傍領域に隣接して位置するまで、ケーシング34を通して低下する。その後、本明細書に記載される組成物は、炭化水素含有地層14の坑井近傍領域を順次に処理するための送達管40でポンプダウンされる。
【0137】
図面は海上作業について描かれているが、当業者は、坑井孔の生産領域を処理するための方法が、陸上作業での使用にも等しく適していることを理解する。また、図面は垂直坑井について描かれているが、当業者は、本開示が偏向坑井、傾斜坑井、又は水平坑井における使用にも等しく適していることを理解する。
【0138】
本明細書に開示される方法の利点及び実施形態は、次の実施例により更に例証されるが、これらの実施例に列挙される特定の材料及び量、並びに他の条件及び詳細が、本発明を過度に制限すると解釈されてはならない。特に記載がない限り、実施例及びこれ以降の明細書における部、割合、比率などはいずれも重量基準である。表中において、「nd」は、未検を意味する。
【実施例】
【0139】
以下の実施例では、特に断らない限り、全ての試薬は、Sigma−Aldrich,St.Louis,MO又はBornem,Belgiumから入手した。特に断りのない限り、報告される全ての百分率及び比は、重量による。
【0140】
シラン実施例1〜12
実施例1:CFOCFCFCFOCFC(O)NHCHCHCHSi(OCH
A部
参照することにより本明細書に援用される米国特許出願公開第2007/0015864号(Hintzerら)の化合物1の調製に記載されている方法に従って、ペルフルオロ−3,7−ジオキサオクタン酸のメチルエステル(CFOCFCFCFOCFC(O)OCH)を調製した。
【0141】
B部
撹拌棒、温度計、及び凝縮器を備える100mLの3つ口フラスコに、A部からのメチルエステル18グラム(0.05モル)及び(3−アミノプロピル)トリメトキシシラン(APTMS)(純度97%の物質10.1グラム、0.05モル)を入れた。反応混合物を、2時間、加熱マントルを用いて、50℃、窒素条件下で加熱した。次いで、メタノールを減圧下で除去した。透明で、黄色で、僅かに粘稠な液体が得られ、これは、核磁気共鳴(NMR)分光法及び赤外(IR)分光法を用いて、CFOCFCFCFOCFC(O)NHCHCHCHSi(OCHであると同定された。
【0142】
実施例2:CFOCFCFCFOCFC(O)NHCHCHCHSi(OCHCH
APTMSの代わりに(3−アミノプロピル)トリエトキシシラン(APTES)(純度99%の物質11.4グラム、0.05モル)を用いたことを除いて、実施例1の方法に従って実施例2を調製し、CFOCFCFCFOCFC(O)NHCHCHCHSi(OCHCHを得た。
【0143】
実施例3:CFOCFCFCFOCHFCFC(O)NHCHCHCHSi(OCH
A部
参照することにより本明細書に援用される米国特許出願公開第2007/0142541(Hintzerら)の化合物2の合成に記載されている方法に従って、3−H−ペルフルオロ−4,8−ジオキサノナン酸(CFO(CFOCHFCFCOOCH)のメチルエステルを調製した。
【0144】
B部
CFOCFCFCFOCFC(O)OCHの代わりに、CFO(CFOCHFCFCOOCHを19.6グラム用いたことを除いて、実施例1のB部の方法に従った。
【0145】
実施例4:CFCFCFOCHFCFC(O)NHCHCHCHSi(OCH
A部
参照することにより本明細書に援用される米国特許出願公開第2007/0142541(Hintzerら)の化合物4の合成に記載されている方法に従って、3−H−ペルフルオロ−4−オキサヘプタン酸(COCHFCFCOOCH)のメチルエステルを調製した。
【0146】
B部
CFOCFCFCFOCFC(O)OCHの代わりにCFCFCFOCHFCFCOOCHを16.3グラム用いたことを除いて、実施例1のB部の方法に従った。
【0147】
実施例5:CFOCFOCFOCFOCFC(O)NHCHCHCHSi(OCH
A部
50%硫酸水溶液を用いてメタノール中でエステル化することにより、ペルフルオロ−3,5,7,9−テトラオキサデカン酸(Anles Ltd.,St.Petersburg,Russiaから入手)のメチルエステルを調製した。反応混合物をフラッシュ蒸留することによって、2相の留出物が得られた。下相を部分的に蒸留して、CFOCFOCFOCFOCFCOOCHを得た。
【0148】
B部
CFOCFCFCFOCFC(O)OCHの代わりにCFOCFOCFOCFOCFCOOCHを19.6グラム用いたことを除いて、実施例1のB部の方法に従った。
【0149】
実施例6:CFOCFOCFOCFOCFC(O)NHCHCHCHSi(OCHCH
CFOCFCFCFOCFC(O)OCHの代わりに、実施例5のA部に記載の通り調製されたCFOCFOCFOCFOCFCOOCH 19.6グラムを用いたことを除いて、実施例2の方法に従った。
【0150】
実施例7:CFOCFCFCFOCHFC(O)NHCHCHCHSi(OCH
A部
参照することにより本明細書に援用される米国特許出願公開第2007/0142541(Hintzerら)の化合物3の合成(段落[0062])に記載されている方法に従って、2−H−ペルフルオロ−3,7−ジオキサオクタン酸(CFOCFCFCFOCHFCOOCH)のメチルエステルを調製した。
【0151】
B部
CFOCFCFCFOCFC(O)OCHの代わりにCFOCFCFCFOCHFCOOCHを18グラム用いたことを除いて、実施例1のB部の方法に従った。
【0152】
実施例8:CFCFCFOCHFC(O)NHCHCHCHSi(OCH
A部
参照することにより本明細書に援用される米国特許出願公開第2007/0142541(Hintzerら)の化合物5の合成に記載されている方法に従って、2−H−ペルフルオロ−3−オキサヘキサン酸(CFCFCFOCHFCOOCH)のメチルエステルを調製した。
【0153】
B部
CFOCFCFCFOCFC(O)OCHの代わりにCFCFCFOCHFCOOCHを13.8グラム用いたことを除いて、実施例1のB部の方法に従った。
【0154】
実施例9:CFOCFCFCFOCFC(O)NHCHCHOC(O)NHCHCHCHSi(OCHCH
A部
窒素雰囲気下にて、撹拌棒、温度計、及び凝縮器を備える100mLの3つ口フラスコに、実施例1のA部で調製されたCFOCFCFCFOCFC(O)OCH 18グラム(0.05モル)及びエタノールアミン(3.1グラム、0.5モル)を入れた。反応混合物を、2時間、加熱マントルを用いて、50℃、窒素条件下で加熱した。次いで、メタノールを減圧下で除去した。透明で、黄色で、僅かに粘稠な液体が得られ、これはNMR及びIR分光法を用いて、CFOCFCFCFOCFC(O)NHCHCHOHであると同定された。
【0155】
B部
A部の物質を、メチルエチルケトン(MEK)31グラムで希釈し、3−イソシアナトプロピルトリエトキシシラン12.4グラム(0.05モル)、及びスズ(II)2−エチルヘキサノエート1滴を添加した。反応混合物を80℃で16時間加熱した。CFOCFCFCFOCFC(O)NHCHCHOC(O)NHCHCHCHSi(OCHCHの透明で黄色い溶液を得た。溶液をIR分光法により分析したところ、残留NCO基は検出されなかった。
【0156】
実施例10:CFOCFOCFOCFOCFC(O)NHCHCHOC(O)NHCHCHCHSi(OCHCH
A部のCFOCFCFCFOCFC(O)OCHの代わりに、実施例5のA部で調製されたCFOCFOCFOCFOCFCOOCH 19.6グラム(0.05モル)を用いたことを除いて、実施例9の方法を用いて実施例10を調製した。
【0157】
実施例11:CFOCFCFCFOCFC(O)NHCHCHOCHCHCHSi(OCH
A部
実施例9のA部の方法に従って、CFOCFCFCFOCFC(O)NHCHCHOHを調製した。
【0158】
B部
ナトリウムメトキシドの30%メタノール溶液(9グラム、0.05モル)を、A部の物質に添加し、反応混合物を、窒素雰囲気下、60℃にて約1時間加熱した。減圧下でメタノールを除去した。3−クロロプロピルトリメトキシシラン(9.9グラム、0.05モル)を添加し、反応混合物を窒素雰囲気下、60℃で6時間加熱した。MEK(32グラム)を添加し、反応混合物を濾過して、透明な琥珀色のCFOCFCFCFOCFC(O)NHCHCHOCHCHCHSi(OCHの溶液を得た。
【0159】
実施例12:CFOCFOCFOCFOCFC(O)NHCHCHOC(O)NHCHCHCHSi(OCHCH
A部
CFOCFCFCFOCFC(O)OCHの代わりに、実施例5のA部で調製したCFOCFOCFOCFOCFCOOCH 19.6グラム(0.05モル)を用いたことを除いて、実施例9の方法を用いてCFOCFOCFOCFOCFC(O)NHCHCHOHを調製した。
【0160】
B部
A部で調製したCFOCFOCFOCFOCFC(O)NHCHCHOHを用いて開始したことを除いて、実施例11のB部の方法を用いてCFOCFOCFOCFOCFC(O)NHCHCHOC(O)NHCHCHCHSi(OCHCHを調製した。
【0161】
比較例A:
APTMSの代わりに(3−アミノプロピル)トリエトキシシラン(APTES)(純度99%の物質11.4グラム、0.05モル)を、またCFOCFCFCFOCFC(O)OCHの代わりにCFCFCFOCF(CF)COOCH 16.3グラム(0.05モル)(ペルフルオロ−(ベータ−プロポキシ)−プロピオン酸のメチルエステルとしてHoechst AG,Germanyから入手(かつては入手可能であった))を用いたことを除いて、実施例1の方法に従って比較例Aを調製し、CFCFCFOCF(CF)C(O)NHCHCHCHSi(OCHCHを得た。
【0162】
実施例13〜24及び接触角測定:
シラン実施例1〜12及び比較例A(各10グラム)それぞれを、40グラムのオルトケイ酸テトラエチル、10グラムの37%塩酸、及び940グラムのエタノールと混合した。各製剤を、Ideal Standard,Wittlich,Germanyから入手した白色施釉サニタリータイル上に噴霧した。噴霧中の圧力は、約2×10Pa(2バール)、流速は約40mL/分、アドオンは約150mL/m2であった。各タイルを室温で24時間乾燥させた。
【0163】
比較例Bでは、10重量%フッ素化ジシラン溶液(3M Company,St.Paul,MNから商品名「3M EASY CLEAN COATING ECC−4000」として入手)10グラム、37%塩酸10グラム、及びエタノール980グラムを含有する溶液を調製した。この溶液を、上記のように白色施釉サニタリータイル上に噴霧した。
【0164】
Kruss GmbH,Hamburg,Germanyから商品名「DSA 100」として入手した接触角測定機器を用いて、水及びヘキサデカンに対する静的接触角を測定した。
【0165】
実施例13〜24それぞれでは、Unilever,London,Englandから商品名「CIF」として入手した研磨洗浄剤を用いるErichsen洗浄器(DCI,Belgiumから入手)と、3M Companyから商品名「3M High Performance Wipe」として入手した拭き取り布を用いて、40サイクルの研磨処理にサンプルを供した。次いで、接触角を再度測定した。結果を下記の表1に示す。
【0166】
【表1】

【0167】
実施例25〜36
セラミックタイルの代わりに平面ガラス(Aqua Production,Franceから入手)を用い、また37%塩酸10グラムの代わりに37%塩酸2グラムを含有する製剤をそれぞれ用いたことを除いて、実施例12〜24の方法を用いて、実施例25〜36を調製した。実施例25〜36では、拭き取り布の代わりにスポンジを用い、また40サイクルの洗浄の代わりに、400サイクル洗浄したことを除いて、実施例12〜24の研磨処理を実施した。結果を下記表2に示す。
【0168】
【表2】

【0169】
ガラス上における動的接触角
実施例25〜32ではKruss DSA 100(Kruss GmbHから入手)を用いて研磨処理を行う前に、動的前進及び後退接触角を測定した。その結果を以下の表3にまとめた。
【0170】
【表3】

【0171】
実施例37〜41
炭化水素含有地層処理組成物の調製:
以下の表4に示すシラン実施例と、以下の表4に示す2種の溶媒とを組み合わせることにより、炭化水素含有地層処理組成物1〜3を調製した。電磁撹拌器及び電磁撹拌棒を用いて、成分を混合した。混合後の各成分の重量%を以下の表4に示す。
【0172】
【表4】

【0173】
実施例37及び38の流動設定及び手順:
海砂又は炭酸カルシウムの相対浸透率を測定するために用いられる流動装置100の概略図を図2に示す。流動装置100は、一定速度でn−ヘプタンを注入するための容積移送式ポンプ102(型式Gamma/4−W 2001 PP、Prolingent AG,Regensdorf、ドイツから入手)を備えていた。ガス流コントローラ120(型式DK37/MSE,Krohne,Duisburg,Germany)を通して一定速度で窒素ガスを注入した。Siemensから商品名「SITRANS P」0〜1600kPa(0〜16バール)として入手した圧力計113を用いて、縦型ステンレス鋼製コアホルダ109(20cm×12.5cm)(3M Company,Antwerp,Belgiumから入手)中の海砂パックの圧力低下を測定した。背圧レギュレータ(型番BS(H)2;RHPS,The Netherlandsから入手)104を用いて、コアホルダ109の上流及び下流の自噴圧を制御した。Lauda,Switzerlandから入手したR22型の加熱浴により加熱した、循環シリコーンオイルにより、コアホルダ109を加熱した。
【0174】
コアホルダに海砂(Aldrich,Bornem,Belgium、等級60〜70メッシュから入手)を充填し、次いで75℃に加熱した。以下に記載の各流動を75℃の温度に維持した。約5×10Pa(5バール)の圧力を印加し、海砂を通る窒素ガスの流速が約500〜1000mL/分であるように背圧を制御した。ダーシーの法則を用いて初期ガス浸透率を算出した。
【0175】
5.9%の塩化ナトリウム、1.6%の塩化カルシウム、0.23%の塩化マグネシウム、及び0.05%の塩化カリウムを混合し、蒸留水で最高100重量%にすることにより、北海ブラインの天然組成に従った合成ブラインを調製した。容積形ポンプ102を用いて、約1mL/分でコアホルダ内にブラインを導入した。
【0176】
次いで、容積形ポンプ102を用いて、約0.5mL/分でコアホルダ内にヘプタンを導入した。定常状態に達するまで、窒素及びn−ヘプタンをコアホルダに同時注入した。
【0177】
次いで、処理組成物約1孔体積を1mL/分の流速でコアに注入した。処理後のガス浸透率を、定常状態の圧力低下から算出し、改善係数を、処理後の浸透率/処理前の浸透率として算出した。
【0178】
次いで、ヘプタン約4〜6孔体積を注入した。ガス浸透率及び改善係数を再度算出した。
【0179】
実施例37〜38について、各注入に用いた液体、初期圧力、圧力変化(ΔP)、各注入の流速、各注入に用いた液体の量、コアを通るガスの流速(Q)、ガス浸透率(K)、及び改善係数(P)を、以下の表5に示す。
【0180】
比較例A
処理組成物が2−ブトキシエタノール(70重量%)及びエタノール(30重量%)のみを含有していたことを除いて、実施例37〜38の方法に従って比較例Aを実施した。各注入に用いた液体、初期圧力、圧力変化(ΔP)、各注入の流速、各注入に用いた液体の量、コアを通るガスの流速(Q)、ガス浸透率(K)、及び改善係数(P)を、以下の表5に示す。
【0181】
【表5】

【0182】
実施例39〜40
ヘプタン流を実施しなかったことを除いて、実施例37〜38の方法に従って実施例39〜40を実施した。
【0183】
実施例39〜40について、各注入に用いた液体、初期圧力、圧力変化(ΔP)、各注入の流速、各注入に用いた液体の量、コアを通るガスの流速(Q)、ガス浸透率(K)、及び改善係数(P)を、以下の表6に示す。
【0184】
【表6】

【0185】
対照例B
処理組成物が、SEPPIC,Franceから商品名「AMONYL 675 SB」として入手した1重量%のココアミドプロピルスルホベタイン、2−ブトキシエタノール(69.5重量%)、及びエタノール(29.5重量%)を含有していたことを除いて、実施例35〜36の方法に従って対照例Bを実施した。各注入に用いた液体、初期圧力、圧力変化(ΔP)、各注入の流速、各注入に用いた液体の量、コアを通るガスの流速(Q)、ガス浸透率(K)、及び改善係数(P)を、上記表6に示す。
【0186】
実施例41
海砂の代わりに、微粒子炭酸カルシウム(Merck,Darmstadt、ドイツから粒状大理石、粒径0.5mm〜2mmの範囲として入手)を用いたことを除いて、実施例37〜38の方法に従って実施例41を実施した。
【0187】
各注入に用いた液体、初期圧力、圧力変化(ΔP)、各注入の流速、各注入に用いた液体の量、コアを通るガスの流速(Q)、ガス浸透率(K)、及び改善係数(P)を、以下の表7に示す。
【0188】
【表7】

【0189】
対照例C
処理組成物がエタノールのみを含有していたことを除いて、実施例41の方法に従って対照例Cを実施した。各注入に用いた液体、初期圧力、圧力変化(ΔP)、各注入の流速、各注入に用いた液体の量、コアを通るガスの流速(Q)、ガス浸透率(K)、及び改善係数(P)を、上記表6に示す。
【0190】
海砂又は微粒子炭酸カルシウムを用いた評価の結果は、海砂又は石灰岩コアサンプルに対するコアフラッド評価を用いて検証することができる。用いることができるコアフラッド装置200の概略図を図3に示す。コアフラッド装置200は、n−ヘプタンを一定速度で流体アキュムレータ216に注入するために、容積移送式ポンプ(型QX6000SS、Chandler Engineering,Tulsa,OKから入手)を備える。窒素ガスを、ガス流コントローラ220(型5850マスフローコントローラ、Brokks Instrument,Hatfield,PA)を通して一定速度で注入できる。高圧コアホルダ208(Hassler−タイプ、型番RCHR−1.0 Temco,Inc.,Tulsa,OKから入手)上の圧力孔211を用いて、垂直コア209に対する圧力低下を測定することができる。背圧レギュレータ(型番BP−50;Temco,Tulsa,OKから入手)204を用いて、コア209の下流自噴圧を制御することができる。高圧コアホルダ208は、3つの加熱バンド222(Watlow Thinband Model STB4A2AFR−2,St.Louis,MO)で加熱することができる。
【0191】
典型的な手順では、95℃の標準的な研究室用オーブン内で72時間コアを乾燥させ、次いでアルミホイル及び熱収縮チュービングで包むことができる。再度図3を参照すると、包まれたコア209を所望の温度でコアホルダ208内に入れることができる。例えば、1.6×10Pa(2300psig)のオーバーバーデン圧を印加することができる。初期単相ガス浸透率を、3.4×10〜6.9×10Pa(5〜10psig)の低システム圧で窒素を用いて測定することができる。
【0192】
以下の手順により脱イオン水又はブラインをコア209内に導入し、所望の水飽和を確立することができる。コアホルダの出口端部を、真空ポンプに接続し、入口を閉鎖して完全真空を30分間適用することができる。入口は、中に水の入っているビュレットに接続することができる。出口を閉鎖し、入口を開口して、2.1mLの水をコアに流し込む。次いで、入口及び出口弁を所望の時間閉めることができる。ガス浸透率は、3.4×10Pa(500psig)で窒素を流動させることにより、水飽和で測定することができる。次いで、コアホルダ208を、必要に応じて数時間、高温に加熱することができる。定常状態に達するまで、例えば、450mL/時間のコア内の平均合計流速、例えば6.2×10Pa(900psig)のシステム圧で、コア内に窒素及びn−ヘプタンを同時注入することができる。窒素の流速は、ガス流コントローラ220により制御し、n−ヘプタンの速度は、容積移送式ポンプ202により制御する。窒素及びn−ヘプタンの流速は、コア中のガスの分別流が0.66であるように設定することができる。次いで処理前のガス相対浸透率を、定常状態の圧力低下から算出することができる。次いで、処理組成物約20孔体積を、例えば120mL/時間の流速でコア内に注入することができる。定常状態に達するまで、例えば、450mL/時間のコア内の平均合計流速、例えば、6.2×10Pa(900psig)のシステム圧で、窒素及びn−ヘプタンの同時注入を再開することができる。次いで処理後のガス相対浸透率を、定常状態の圧力低下から算出することができる。
【0193】
実施例42:CFCFH−O−(CFCHOC(O)NHCHCHCHSi(OCHCH
A部
米国特許出願公開第2007/0276103号の実施例3に記載の方法に従って調製した、CFCFH−O−(CFCOOH(426グラム、1.0モル)を、メタノール(200グラム、6.3モル)及び濃硫酸(200グラム、2.0モル)を用いて65℃でエステル化した。反応混合物を水で洗浄し、172℃で蒸留して383グラムのCFCFH−O−(CFCOOCHを得、これを繰り返し実施して得られた材料と組み合わせてB部で使用した。
【0194】
B部
機械的撹拌機及び窒素バブラーを備えた5Lの丸底フラスコに、1Lの1,2−ジメトキシエタン、及び水素化ホウ素ナトリウム(76グラム、2.0モル)を充填し、80℃に加熱した。A部に記載の通りに調製したCFCFH−O−(CFCOOCH(713グラム、1.67モル)を、1時間にわたって撹拌スラリーに添加した。濃硫酸の混合物(198グラム)及び水(1.0L)を反応混合物に加えた。下相を分離し、溶媒を蒸留して除去した。更に蒸留して506グラムのCFCFH−O−(CFCHOH(沸点173℃)を得、この構造をフーリエ変換赤外分光法(FTIR)及びH及び19F核磁気共鳴(NMR)分光法によって確認した。
【0195】
C部
電磁撹拌器、温度計、及び凝縮器を備える100mLのフラスコに、窒素雰囲気下にて、CFCFH−O−(CFCHOH(3.98グラム、10mmol)、3−イソシアナトプロピルトリエトキシシラン(2.47グラム、10mol)、及び酢酸エチル(15.05グラム)を充填し、混合物を撹拌して、約30重量%の均質な溶液を得た。2滴のジブチルスズジラウレートを添加し、反応混合物を、加熱マントルを用いて窒素雰囲気下にて、4時間60℃で加熱した。IR分光法により分析したところ、イソシアネートは残っていなかった。
【0196】
実施例43:CFCFH−O−(CFCHOC(O)NHCHCHCHSi(OCHCH
A部
米国特許出願公開第2004/0116742号に記載の通り調製されたFC(O)CF(CF)−O−(CFCOF(503グラム、1.4モル)を2時間にわたって、78℃の炭酸ナトリウム(387グラム、3.7モル)及びジグリム(650グラム)の撹拌混合物に添加した。反応により二酸化炭素ガスが遊離した。蒸留水(35グラム、1.9モル)を85℃で添加し、次いで反応混合物を165℃に加熱し、その温度で30分間維持した。反応を冷却し、1250グラムの水中の硫酸(250グラム、2.6モル)を添加した。2層が形成され、上層を33%硫酸で洗浄し、次いで65℃でメタノール(200グラム、6.3モル)及び濃硫酸(200グラム、2.0モル)を用いてエステル化した。反応混合物を水で洗浄し、52℃、2.0×10Pa(15mmHg)で蒸留して、258グラムのCFCFH−O−(CFCOOCHを得た。
【0197】
成分B
200グラム(0.6モル)のCF−CFH−O−(CF−C(O)O−CHを、0.2Lの1m2−ジメトキシエタン中の水素化ホウ素ナトリウム30グラム(0.79モル)で還元したことを除いて、実施例42のB部の方法に従ってCF−CFH−O−(CF−CH−OHを調製した。反応の最後に、0.3Lの水中の濃硫酸150グラムを添加し、沸点130℃のCF−CFH−O−(CF−CH−OH 115グラムを得た。
【0198】
C部分
CF−CFH−O−(CF−CH−OHの代わりにCF−CFH−O−(CF−CH−OHを用いたことを除いて、実施例42のC部の方法に従ってCFCFH−O−(CFCHOC(O)NHCHCHCHSi(OCHCHを調製した。
【0199】
実施例44〜48
シラン実施例42及び43をそれぞれ、以下の表8に示す量で、ベータ−(3,4−エポキシシクロへキシル)エチルトリメトキシシラン(GE Silicones,Albany,NY,から商品名「A186」として入手)又はガンマ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(GE Siliconesから商品名「A187」として入手)及びカチオン性光開始剤(Dow Chemical,Midland,MIから商品名「UVI 6976」として入手)と組み合わせた。各製剤を、E.I.DuPont de Nemours and Co.,Wilmington,DEから商品名「MELINEX 618」として入手したPETフィルムの下塗りした側に、#6巻き線コーティングバー(RD Specialties,Webster,NYから入手)でコーティングした。2分間、空気中で2つのSylvania Germicidal G15T8(15W)電球を照射して、各サンプルを光硬化させた。
【0200】
次に、PET上の前進接触角、後退接触角、及び静的接触角を、CAHN動的接触角分析器、型式DCA 322(ATI,Madison,WIから入手した、制御及びデータ処理用コンピュータを備えるWilhelmy天秤装置)を使用して測定した。水及びヘキサデカンをプローブ液として使用した。3回測定の平均を下記の表8に報告する。
【0201】
【表8】

【0202】
実施例49〜53
以下の表9に示す基材を用いたことを除いて、実施例44〜48の方法に従って実施例49〜53を調製した。水及びヘキサデカンに対する接触角を測定し、結果を以下の表9に示す。
【0203】
【表9】

【0204】
本開示の種々の修正及び変更は、本開示の範囲及び趣旨を逸脱しなければ当業者によって行われてよく、また本開示は、本明細書に記載された例示的な実施形態に不当に限定されるべきではないと理解されるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式:
Rf−Q−X−[Si(R)(R3−f
により表されるフッ素化化合物であって、式中、
Rfが、
Rf−(O)−CHF−(CF−;
[Rf−(O)−C(L)H−CF−O]−W−;
CFCFH−O−(CF−;
CF−(O−CF−;及び
CF−O−(CF−O−CF−、からなる群から選択され、
Qが、結合、−C(O)−N(R)−、及び−C(O)−O−からなる群から選択され、Rが、水素及び1〜4個の炭素原子を有するアルキルから成る群から選択され、
Xが、アルキレン及びアリールアルキレンからなる群から選択され、前記アルキレン及びアリールアルキレンは、それぞれ所望により、独立してエーテル、アミン、エステル、アミド、カルバメート、及び尿素からなる群から選択される少なくとも1つの官能基により中断され、所望により、ヒドロキシルにより置換され、
Rf及びRfが、独立して、炭素原子1〜10個を有し、且つ所望により少なくとも1つの酸素原子により中断されている、部分フッ素化又は全フッ素化アルキル基を表し、
Lが、F及びCFから成る群から選択され、
Wが、アルキレン及びアリーレンから成る群から選択され、
Rが、アルキル、アリール、アリールアルキレニル、及びアルキルアリーレニルから成る群から選択され、
が、ハロゲン化物、ヒドロキシル、アルコキシ、アリールオキシ、アシルオキシ、及びポリアルキレンオキシから成る群から選択され、前記アルコキシ及びアシルオキシは、所望により、ハロゲンにより置換され、前記アリールオキシは、所望により、ハロゲン、アルキル、又はハロアルキルにより置換され、
fが、0又は1であり、
gが、1〜2の値であり、
rが、0又は1であり、rが0であるとき、Rfは、少なくとも1つの酸素により中断され、
tが、0又は1であり、
mが、1、2、又は3であり、
nが0又は1であり、
各pが、独立して1〜6の数であり、
zが、2〜7の数である、フッ素化化合物。
【請求項2】
Rfが、
Rf−(O)−CHF−(CF−;
[Rf−(O)−C(L)H−CF−O]−W−;及び
CFCFH−O−(CF−からなる群から選択される、請求項1に記載のフッ素化化合物。
【請求項3】
t及びrがそれぞれ1であり、R及びRが、独立して、
1〜6個の炭素原子を有する全フッ素化脂肪族基;及び
式:
−[OR−[OR−により表される全フッ素化基から成る群から選択され、
が、1〜6個の炭素原子を有するペルフルオロ化脂肪族基であり、
及びRが、それぞれ独立して、1〜4個の炭素原子を有するペルフルオロ化アルキレンであり、
x及びyが、それぞれ独立して、0〜4の数であり、xとyとの合計が、少なくとも1である、請求項1又は2に記載のフッ素化化合物。
【請求項4】
t及びrがそれぞれ0であり、R及びRが、独立して、
−[OR−[OR−O−CF−、により表される全フッ素化基であり、
が、1〜6個の炭素原子を有するペルフルオロ化脂肪族基であり;
及びRが、それぞれ独立して、1〜4個の炭素原子を有するペルフルオロ化アルキレンであり、
a及びbが、それぞれ独立して、0〜4の数である、請求項1又は2に記載のフッ素化化合物。
【請求項5】
Rfが、
−O−CHF−;
CF−O−CFCF−CF−O−CHF−;
CFCFCF−O−CFCF−CF−O−CHF−;
CF−O−CF−CF−O−CHF−;
CF−O−CF−O−CF−CF−O−CHF−;
CF−(O−CF−O−CF−CF−O−CHF−;
CF−(O−CF−O−CF−CF−O−CHF−;
CF−O−CHF−CF−;
CF−O−CF−CF−O−CHF−CF−;
CF−CF−O−CHF−CF−;
CF−CF−CF−O−CHF−CF−;
CF−O−CF−CF−CF−O−CHF−CF−;
CF−O−CF−O−CF−CF−O−CHF−CF−;
CF−(O−CF−O−CF−CF−O−CHF−CF−;
CF−(O−CF−O−CF−CF−O−CHF−CF−;
CF−O−CF−CHF−;
−O−CF−CHF−;
CF−O−CF−CF−CF−O−CF−CHF−;
CF−O−CF−O−CF−CF−O−CF−CHF−;
CF−(O−CF−O−CF−CF−O−CF−CHF−;
CF−(O−CF−O−CF−CF−O−CF−CHF−;
CF−O−CF−CHF−CF−;
−O−CF−CHF−CF−;
−O−CF−CHF−CF−;
CF−O−CF−CF−CF−O−CF−CHF−CF−;
CF−O−CF−O−CF−CF−O−CF−CHF−CF−;
CF−(O−CF−O−CF−CF−O−CF−CHF−CF−;及び
CF−(O−CF−O−CF−CF−O−CF−CHF−CF−からなる群から選択される、請求項1又は2に記載のフッ素化化合物。
【請求項6】
Rfが、CF−O−CFCF−CF−O−CHF−;CF−O−CF−CF−CF−O−CF−CHF−;CF−O−CF−CF−CF−O−CHF−CF−;及びCF−O−CF−CF−CF−O−CF−CHF−CF−からなる群から選択される、請求項5に記載のフッ素化化合物。
【請求項7】
Rfが、
CF−O−CHF−CF−O−CH−;
CF−O−CF−CF−CF−O−CHF−CF−O−CH−;
−O−CHF−CF−O−CH−;
−O−CHF−CF−O−CH−CH−;
−O−CF−CF−O−CHF−CF−OCH−;
−O−CF−CF−CF−O−CHF−CF−OCH−;
−O−CF−CHF−CF−OCH−;
CF−CHF−CF−O−CH−;及び
−CF−CHF−CF−OCH−からなる群から選択される、請求項1又は2に記載のフッ素化化合物。
【請求項8】
Rfが、CFCFH−O−(CF−である、請求項1に記載のフッ素化化合物。
【請求項9】
Rfが、CFCFH−O−(CF−及びCFCFH−O−(CF−からなる群から選択される、請求項7に記載のフッ素化化合物。
【請求項10】
Rfが、CF−(O−CF−であり、zが3又は4である、請求項1に記載のフッ素化化合物。
【請求項11】
Rfが、CF−O−(CF−O−CF−である、請求項1に記載のフッ素化化合物。
【請求項12】
Qが、−C(O)−N(R)−であり、式中、Xが、最高8個の炭素原子を有するアルキレンであり、且つ所望により、独立してエーテル及びカルバメートからなる群から選択される少なくとも1つの官能基により中断される、請求項1〜11のいずれか一項に記載のフッ素化化合物。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれか一項に記載のフッ素化化合物と、式:
(R)M(Rr’−q
により表される化合物とを含む組成物であって、式中、
Rが、アルキル、アリール、アリールアルキレニル、及びアルキルアリーレニルからなる群から選択され、
Mが、Si、Ti、Zr、及びAIからなる群から選択され、
が、ハロゲン化物、ヒドロキシル、アルコキシ、アリールオキシ、アシルオキシ、及びポリアルキレンオキシから成る群から選択され、
r’が、3又は4であり、
qが0、1、又は2である組成物。
【請求項14】
溶媒を更に含む、請求項13に記載の組成物。
【請求項15】
請求項1〜12のいずれか一項に記載の化合物と、溶媒とを含む組成物。
【請求項16】
酢酸、クエン酸、ギ酸、パラトルエンスルホン酸、トリフリン酸、ペルフルオロ酪酸、ホウ化水素酸、硫酸、リン酸、又は塩酸の少なくとも1つを更に含む、請求項13〜15のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項17】
アミン、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物、又は水酸化アンモニウムの少なくとも1つを更に含む、請求項13〜15のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項18】
請求項13〜17のいずれか一項に記載の組成物で表面を処理する工程を含む方法。
【請求項19】
前記組成物による表面の処理が、比較組成物で同等の表面を処理することにより提供される接触角よりも大きい、前記表面上における水又はヘキサデカンの少なくとも1つの接触角をもたらし、前記比較組成物は、前記フッ素化化合物を式:
−O−CF(CF)−C(O)−NH−(CH−Si(OCHCHにより表されるシランに置き換えたことを除いて前記組成物と同じである、請求項18に記載の組成物。
【請求項20】
請求項14〜17のいずれか一項に記載の組成物に炭化水素含有地層を接触させる工程を含む方法。
【請求項21】
前記炭化水素含有地層が、砂岩、頁岩、礫岩、珪藻岩、又は砂の少なくとも1つを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記炭化水素含有地層が、炭酸塩又は石灰岩の少なくとも1つを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
前記炭化水素含有地層が、少なくとも1つの割れ目を有し、前記割れ目が、その中に複数のプロパントを有する、請求項20〜22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記溶媒が、水、モノヒドロキシアルコール、グリコール、エーテル、グリコールエーテル、ケトン、又は超臨界二酸化炭素の少なくとも1つを含み、前記モノヒドロキシアルコール、グリコール、エーテル、及びケトンが、それぞれ独立して、最高4個の炭素原子を有し、前記グリコールエーテルが、最高9個の炭素原子を有する、請求項20〜23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記炭化水素含有地層を前記組成物に接触させる前に、前記炭化水素含有地層が、ブライン又は液状炭化水素の少なくとも1つを有し、前記炭化水素含有地層が、前記組成物と接触した後、少なくとも増加したガス浸透率を有する、請求項20〜24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記炭化水素含有地層を前記組成物と接触させる前に、前記炭化水素含有地層を流体と接触させる工程を更に含み、前記流体が、前記炭化水素含有地層におけるブライン又は液状炭化水素の少なくとも1つを少なくとも部分的に可溶化させる又は少なくとも部分的に移動させる、のうちの少なくとも1つを行う、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
表面を含む物品であって、前記表面の少なくとも一部がシロキサンで処理され、前記シロキサンが、請求項1〜12のいずれか一項に記載のフッ素化化合物の少なくとも1つの縮合生成物を含む物品。
【請求項28】
前記シロキサンが、前記表面に共有結合している、請求項27に記載の物品。
【請求項29】
前記シロキサンが、式:
(R)M(Rr’−q
により表される化合物の縮合生成物を更に含み、式中、
Rが、アルキル、アリール、アリールアルキレニル、及びアルキルアリーレニルからなる群から選択され、
Mが、Si、Ti、Zr、及びAIからなる群から選択され;
が、ハロゲン化物、ヒドロキシル、アルコキシ、アリールオキシ、アシルオキシ、及びポリアルキレンオキシからなる群から選択され;
r’が、3又は4であり、
qが、0、1、又は2である、請求項27又は28のいずれか一項に記載の物品。
【請求項30】
前記シロキサンが、前記表面上における水又はヘキサデカンの少なくとも1つの接触角を、比較シロキサンよりも大きく増加させ、前記比較シロキサンは、前記フッ素化化合物の少なくとも1つの縮合生成物を、式:
−O−CF(CF)−C(O)−NH−(CH−Si(OCHCHにより表されるシランの少なくとも1つの縮合生成物に置き換えたことを除いて、前記シロキサンと同じである、請求項27〜29のいずれか一項に記載の物品。
【請求項31】
前記物品が、炭化水素含有地層又はプロパント粒子である、請求項27〜30のいずれか一項に記載の物品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2011−528663(P2011−528663A)
【公表日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−518905(P2011−518905)
【出願日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際出願番号】PCT/US2009/050810
【国際公開番号】WO2010/009296
【国際公開日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】