説明

フッ素樹脂水性分散体および塗料組成物

【課題】高フッ素含有量のVdF系フッ素樹脂水性塗料の特性を維持しつつ、さらには光沢を向上させることができるVdF系シード重合体を含むフッ素樹脂水性分散体を提供する。
【解決手段】フッ化ビニリデン単量体を含むフッ化ビニリデン系共重合体粒子をシード粒子としアクリル系単量体を含む単量体をシード重合して得られ、かつ
(1)アクリル系単量体単位の含有量が50質量%以上であり、
(2)メルトフローレート(250℃、10kg)が30g/10分以下である
るフッ化ビニリデン系シード重合体を含むフッ素樹脂水性分散体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フッ素含有量が低減化されているにも拘らず耐水性が低下せず、しかも加工性および塗膜の光沢が向上したフッ素樹脂水性分散体、およびそれを用いた塗料組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
フッ素樹脂は優れた耐候性、耐汚染性、耐溶剤性、耐水性、耐湿性などの特性を有しており、耐候性塗料用樹脂として利用されている。
【0003】
耐候性フッ素樹脂塗料には有機溶剤に溶解させて用いる溶剤型塗料と、水に分散可能に改質されたフッ素樹脂を水に分散させて用いる水性塗料と、粉体のまま用いる粉体塗料があり、水性塗料は環境への影響を少なくでき、塗装も簡便という特徴がある。
【0004】
耐候性フッ素樹脂水性塗料に有効とされるフッ素樹脂として、反応性界面活性剤を用いて製造したフッ化ビニリデン(VdF)系共重合体をシード粒子としアクリル系単量体をシード重合して得られるVdF系シード重合体が、粒子が小さく、高濃度であっても沈降安定性に優れており、水性塗料に好適であることが知られている(特許文献1)。
【0005】
また、特許文献2には合成樹脂エマルションと4官能シリケートからなる組成物が汚染付着防止性や耐候性に優れ、かつ高光沢の塗膜を形成し、さらに沈降安定性にもすぐれていることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平08−067795号公報
【特許文献2】特開平11−148019号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、フッ素樹脂の特性である耐候性や耐水性、耐湿性はフッ素含有量に基本的に関係し、フッ素含有量が大きくなるほどこれらの特性は向上する。一方、フッ素樹脂の原料となる含フッ素単量体は比較的高価であり、フッ素含有量を上げる結果としてフッ素樹脂の価格も高くなってしまう。
【0008】
フッ素含有量を小さくするためには追加重合するアクリル系重合体の量(割合)を増やせばよいのであるが、本発明者らが従来の含フッ素シード重合体を検討したところ、単にアクリル系重合体の割合を増やすだけでは耐水性や耐候性が大きく悪化し、耐候性塗料としての要求特性を満たさなくなってしまうことを見出した。
【0009】
そこでさらに検討を重ねた結果、アクリル系単量体の含有量を大きくしフッ素含有量を下げても、従来のVdF系フッ素樹脂水性塗料の特性を維持しつつ、さらには光沢を向上させることができるVdF系シード重合体を見出し、本発明を完成した。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、フッ化ビニリデン(VdF)系共重合体粒子をシード粒子としアクリル系単量体を含む単量体をシード重合して得られ、かつ
(1)アクリル系単量体単位の含有量が50質量%以上であり、
(2)メルトフローレート(250℃、10kg)が30g/10分以下である
VdF系シード重合体を含むフッ素樹脂水性分散体に関する。
また、本発明は、本発明のフッ素樹脂水性分散体を含むフッ素樹脂水性塗料組成物にも関する。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、高フッ素含有量のVdF系フッ素樹脂水性塗料の特性を維持しつつ、さらには光沢を向上させることができるVdF系シード重合体を含むフッ素樹脂水性分散体を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明のフッ素樹脂水性分散体は、VdF系共重合体粒子をシード粒子としアクリル系単量体を含む単量体をシード重合して得られ、特定の物性を満たすVdF系シード重合体を含む。
【0013】
まず、シード粒子であるVdF系共重合体粒子について説明する。
【0014】
VdF系共重合体は、VdFと他のフッ素系単量体とからなる共重合体である。他のフッ素系単量体としては、たとえばテトラフルオロエチレン(TFE)、トリフルオロエチレン(TrFE)、クロロトリフルオロエチレン(CTFE)、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)、フッ化ビニル(VF)などがあげられるが、VdFの共重合反応性の点からTFE、HFP、CTFEが好ましく、特にTFEを含むことが好ましい。
【0015】
VdF系共重合体の具体例としては、たとえばVdF/TFE、VdF/TFE/HFP、VdF/TFE/CTFE、VdF/TFE/TrFE、VdF/CTFE、VdF/HFP、VdF/TFE/HFP/CTFEなどがあげられ、少なくとも1種類のフルオロオレフィンが含まれることが耐候性、耐薬品性、耐溶剤性が良好な点から好ましい。なかでも、VdF/TFE/HFP、VdF/TFE/CTFEが好ましい。
【0016】
さらに、反応性界面活性剤を共重合してもよい。反応性界面活性剤としては、たとえばCF2=CFCF2COONH4、CH2=CFCF2OCF(CF3)CF2OCF(CF3)COONH4、CH2=CFCF2OCF(CF3)COONH4などの含フッ素反応性界面活性剤;CH2=CR1−R2−O−(AO)p−X (1)
(式中、R1は水素原子またはアルキル基;R2は炭素数2以上のアルキレン基;AOは炭素数2〜4の直鎖状または分岐鎖状のオキシアルキレン基;pは正の整数;XはHまたはSO3Y(YはNH4またはアルカリ金属原子);AOが複数個存在する場合は同一でも互いに異なっていてもよく、また、2種以上のブロック構造を形成していてもよい)で示される非フッ素反応性界面活性剤、
【化1】

(式中、XはHまたはSO3Y(YはNH4またはアルカリ金属原子);nは0〜19の整数)で示される非フッ素反応性界面活性剤などが例示できる。反応性界面活性剤は、前記モノマーの組み合わせに対して0.001〜0.1モル%を含むようにすればよい。反応性界面活性剤を共重合する場合は、アクリル樹脂との相溶性が良好な点から、VdF/TFE/CTFEとCH2=CFCF2OCF(CF3)CF2OCF(CF3)COONH4との組み合わせが好ましい。
【0017】
VdF系共重合体中におけるVdFと他のフッ素系モノマーの共重合比としては60/40〜95/5モル%が好ましく、さらには70/30〜95/5モル%が好ましい。該VdFが60モル%未満ではアクリル系重合体との相溶性が低下する傾向があり、95モル%を超えるとシード粒子のアクリル系単量体(たとえばアクリル酸エステル、メタクリル酸エステルなど)への膨潤性が低下し、シード重合の際にシード粒子への単量体の膨潤が速やかに行なわれず、えられた水性分散体からのキャストフィルムは透明性がわるく、塗料から塗膜を調製した際にも光沢がえられない傾向がある。
【0018】
VdF系共重合体粒子の製造法も公知の方法が採用され、平均粒径が200nm以下の微粒子が分散したエマルションの形態で、つぎのシード重合に供される。
【0019】
アクリル系単量体のシード重合は、乳化重合法で行なうことができる。アクリル系単量体を含フッ素系重合体の粒子の存在下に乳化重合させると、まずアクリル系単量体のVdF系共重合体粒子への膨潤が起り、この時点で単量体に均一溶解したVdF系共重合体粒子の水性分散液の状態となり、開始剤の添加によって単量体が重合してシード重合体を生成し、VdF系共重合体とアクリル系重合体の分子鎖のからまりあった相溶体粒子が形成されると考えられる。
【0020】
このようなシード重合は、通常は、VdF系共重合体粒子を含む水媒体中に、界面活性剤、重合開始剤、連鎖移動剤、場合によってはキレート化剤、pH調整剤および溶剤などを添加し、温度20〜90℃程度で0.5〜6時間程度、単量体の重合反応を行なっている。
【0021】
また、従来のシード重合では、連鎖移動剤として、ハロゲン化炭化水素(たとえばクロロホルム、四塩化炭素など)、メルカプタン類(たとえばn−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン)などが、アクリル系単量体の通常0.5〜5.0質量%程度添加されているが、本発明の目的の1つであるアクリル系重合体の割合を増やし、しかも耐水性や耐湿性を向上させるためには、連鎖移動剤を0.5質量%未満に減らすことが重要である。連鎖移動剤の添加量を減らすことにより、得られるシード重合体粒子のアクリル系重合体の分子量が大きくなり、特に40℃以上の温水に対する耐久性、短時間で乾燥での造膜性が向上する。
【0022】
また、重合開始剤は、水性媒体中でフリーラジカル反応に供しうるラジカルを20〜90℃のあいだで発生するものであれば特に限定されず、場合によっては、還元剤と組み合せて用いることも可能である。水溶性の重合開始剤としては、たとえば過硫酸アンモニウム(APS)、過酸化水素、2,2−アゾビス(2−アミジノプロパン)塩酸塩(AIBA);還元剤としては、ピロ重亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、L−アスコルビン酸ナトリウムなどをあげることができる。油溶性の重合開始剤としては、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート(IPP)、過酸化ベンゾイル、過酸化ジブチル、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)などがあげられる。重合開始剤の使用量は、通常アクリル系単量体100質量部当り、0.05〜2.0質量部程度であるが、分子量を大きくする必要がある場合、0.5質量部以下に抑えることも有効である。
【0023】
他の重合条件は、通常の条件でよい。たとえば、シード粒子の安定性を確保するために用いられる界面活性剤としては、アニオン性、非イオン性またはアニオン性−非イオン性の組み合せが用いられ、場合によっては両性界面活性剤を用いることもできる。
【0024】
アニオン性界面活性剤としては、高級アルコール硫酸エステル、アルキルスルホン酸ナトリウム塩、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム塩、コハク酸ジアルキルエステルスルホン酸ナトリウム塩、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム塩などが用いられる。非イオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルエステル類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエステル類、ソルビタンアルキルエステル類、グリセリンエステル類またはその誘導体などが例示される。界面活性剤の使用量は、通常アクリル系単量体100質量部あたり、0.05〜5.0質量部程度である。
【0025】
重合温度は20〜90℃の範囲がよい。
【0026】
シード重合は、公知の方法、たとえばVdF系共重合体の粒子の存在下に反応系にアクリル系単量体全量を一括して仕込む方法、アクリル系単量体の一部を仕込み反応させたのち、残りを連続あるいは分割して仕込む方法、アクリル系単量体全量を連続して仕込む方法によって行なうことができる。また2種以上のVdF系共重合体を共存させた水性分散液中でアクリル系単量体をシード重合させることもできる。
【0027】
アクリル系単量体としては、たとえばアクリル酸、メタクリル酸のほか、アルキル基の炭素数が1〜18のアクリル酸アルキルエステルやアルキル基の炭素数が1〜18のメタクリル酸アルキルエステルなどの反応性α,β−不飽和単量体、およびこれらと共重合可能なエチレン性不飽和単位を有する単量体などがあげられる。
【0028】
アルキル基の炭素数が1〜18のアクリル酸アルキルエステルとしては、たとえばアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ラウリルなどをあげることができる。
【0029】
アルキル基の炭素数が1〜18のメタクリル酸アルキルエステルとしては、たとえばメタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ラウリルなどをあげることができる。
【0030】
そのほか、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−ブトキシメチルアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、N−メチルメタクリルアミド、N−ブトキシメチルメタクリルアミドなどのアクリルアミド化合物;アクリル酸ヒドロキシエチル、メタクリル酸ヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドロキシプロピル、メタクリル酸ヒドロキシプロピルなどの水酸基含有アクリル酸エステル;アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジルなどのエポキシ基含有アクリル酸エステル;γ−トリメトキシシランメタクリレート、γ−トリエトキシシランメタクリレートなどのシラノール基含有アクリル酸エステル;アクリロニトリルなどがあげられる。
【0031】
これらのなかでも、VdF系共重合体との相溶性の点からアクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、アクリル酸、メタクリル酸などが好ましい。
【0032】
アクリル系単量体を含む単量体は、アクリル系単量体以外に、マレイン酸、クロトン酸などの不飽和カルボン酸;アクロレインなどのアルデヒド基含有単量体;スチレン(St)などのビニル化合物を含んでいてもよい。
【0033】
シード重合するアクリル系単量体は、得られるVdF系シード重合体の50質量%以上を占める量を供給する。好ましくは、VdF系シード重合体の60質量%以上、さらには70質量%以上を占める量である。
【0034】
シード重合により得られるVdF系シード重合体は、
(1)アクリル系単量体単位の含有量が50質量%以上であり、かつ
(2)メルトフローレート(250℃、10kg)が30g/10分以下である。
【0035】
アクリル系単量体単位の含有量が50質量%以上であるとき、塗膜の光沢、耐水性が良好になり、特に70質量%以上のときは40℃以上の温水に対する耐久性に優れる。上限は、90質量%程度である。
【0036】
アクリル系単量体単位の含有量が大きくなることにより、相対的にフッ素含有量も少なくなるが、シード粒子であるVdF系共重合体のフッ素含有量も考慮し、フッ素含有量は38質量%以下が望ましい。38質量%以下であるとき、塗膜が高い光沢を示す。好ましくは35質量%以下である。また、特に30質量%以下のときは尖艶性に優れる。一方、耐候性の面から10質量%以上であることが望ましい。さらに好ましくは15質量%以上である。
【0037】
メルトフローレート(MFR)(250℃、10kg)は分子量の指標であり、MFRが30g/10分以下であるとき、耐水性が良好になり、特に20g/10分以下のとき塗膜乾燥条件の厳しい場合の初期耐水性に優れる。下限は約0.01g/10分である。MFRが小さくなると(分子量を上げると)造膜性が低下することもあり、短時間の乾燥など乾燥条件の厳しい状況においては、初期耐水性が低下する場合もある。
【0038】
VdF系シード重合体粒子の平均粒子径としては250nm以下が好ましく、50〜250nmがさらに好ましく、100〜160nmが特に好ましい。前記平均粒子径が50nm未満になると水性分散液の粘度が上昇し、高濃度の水性分散液が得られなくなる傾向があり、250nmを超えると水性分散液の保存時に粒子の沈降や凝固を生じ、さらには塗膜調製時に光沢が出なくなる傾向がある。
【0039】
VdF系シード重合体粒子分散液のVdF系シード重合体粒子の濃度としては、30〜60質量%が好ましく、35〜55質量%がさらに好ましく、35〜50質量%が特に好ましい。濃度が30質量%未満では、塗料化の際に粘度調整が難しく塗料の乾燥が遅くなる傾向があり、60質量%を超えると分散体系の安定性が低下する傾向がある。
【0040】
本発明におけるフッ素樹脂水性分散体は、VdF系シード重合体粒子を水に分散させることにより調製できる。
【0041】
水に分散させる方法として、強制撹拌によってもよいし、公知の界面活性剤を使用してもよい。
【0042】
好ましい界面活性剤としては、たとえばアニオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤またはそれらの組み合わせを使用することができ、場合により両性界面活性剤、カチオン性界面活性剤を使用することもできる。
【0043】
アニオン性界面活性剤としては、たとえば高級アルコールの硫酸エステルのナトリウム塩、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ジアルキルスクシネートスルホン酸のナトリウム塩またはアルキルジフェニルエーテルスルホン酸のナトリウム塩などを使用することができる。これらの中で好ましい具体例は、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキル(またはアルキルフェニル)エーテルスルホネート等である。非イオン性界面活性剤としては、たとえばポリオキシエチレンアルキルエーテルまたはポリオキシエチレンアルキルアリールエーテルなどを使用することができる。好ましい具体例は、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル等である。両性界面活性剤としては、ラウリルベタイン等が好適である。カチオン性界面活性剤としては、たとえばアルキルピリジニウムクロリド、アルキルアンモニウムクロリド等を使用することができる。また、単量体と共重合性の界面活性剤、たとえばスチレンスルホン酸ナトリウム、アルキルアリールスルホン酸ナトリウム等も使用することができる。
【0044】
本発明のフッ素樹脂水性分散体は、VdF系シード重合体粒子が水に分散されたものであるが、アルコール類などの親水性有機溶剤を添加してもよい。
【0045】
また、VdF系シード重合体粒子がアクリル酸やメタクリル酸、無水カルボン酸などのカルボキシル基を含む場合、水分散性を高めるために、中和処理することが好ましい。具体的には、たとえばアンモニウム塩、アミン塩またはアルカリ金属塩などとすることが好ましい。中和は、水と混合する前、混合する際、または混合後に行なえばよい。
【0046】
中和に使用する中和剤としては、アンモニア;ジエチルアミン、エチルエタノールアミン、ジエタノールアミン、モノエタノールアミン、モノプロパノールアミン、イソプロパノールアミン、エチルアミノエチルアミン、ヒドロキシエチルアミン、ジエチレントリアミンなどの有機アミン類;水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物などがあげられる。これらのうちアンモニア、トリエチルアミン、ジエタノールアミンが入手の利便性、エマルションの安定性などの点で好ましく、特にアンモニアとトリエチルアミンが取り扱い性容易の点で有利である。
【0047】
中和剤は、水溶液の形態で使用することが好ましいが、ガスまたは固形分の形態で使用してもよい。
【0048】
本発明のフッ素樹脂水性分散体は、他の樹脂や各種添加剤を配合して水性塗料組成物とすることができる。
【0049】
他の樹脂としては、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂などがあげられる。
【0050】
本発明の水性塗料組成物には、たとえば界面活性剤、顔料、分散剤、増粘剤、防腐剤、紫外線吸収剤、消泡剤、レベリング剤などを配合してもよい。
【0051】
界面活性剤としては、水性分散体の安定化についての説明で例示したものが使用できる。
【0052】
また、増粘剤としては、アデカノールUH−420(旭電化工業(株)製)、プライマルQR708(ロームアンドハース社製)などが、消泡剤としてはByk028(ビックケミージャパン(株))などが、分散剤としてはByk190(ビックケミージャパン(株))、SNディスパーサント5027(サンノプコ(株))などが例示できる。
【0053】
本発明の水性塗料組成物は、耐候性塗料、電着塗料、コイルコート用塗料、自動車用塗料、落書き防止用塗料、重防食塗料など各種の塗料材料として有用である。塗装方法としてはそれらの塗料に採用されている通常の塗装方法、たとえばロールコート、ディッピング、刷毛塗り、スプレー、ローラーなどや、電着塗装法などが採用できる。
【0054】
本発明の塗料組成物は耐候性、耐汚染性、耐溶剤性、耐水性などが優れている点から、自然環境の厳しい場所の屋外建造物の屋根や壁などの塗装に特に有効である。
【実施例】
【0055】
つぎに本発明を合成例および実施例に基づいてさらに具体的に説明するが、本発明はこれらのみに限定されるものではない。
【0056】
本発明における分析および測定は以下の方法で行った。
(1)フッ素含有量(質量%)
装置:自動試料燃焼装置(三菱化学(株)製AQF−100)、イオンクロマト(DIONEX社製ICS−1500 Ion Chromatography System)内蔵
測定方法:3mgの試料を上記装置で元素分析して算出する。
(2)MFR(g/10分)
装置:(株)安田精機製作所製Dyniscoメルトインデックステスター
測定方法:約6gの試料を250℃±0.5℃に保たれた0.376インチIDシリンダーに投入し、5分間放置して温度が平衡状態に達した後、10kgのピストン荷重のもとで直径0.0825インチ、長さ0.315インチのオリフィスを通して押し出す。値は、同時期に採取した3つの試料の平均値をとる。
(3)平均粒子径
測定装置:HONEYWELL社製のマイクロトラックUPA
測定方法:動的光散乱法
測定する乳濁液を純水で計測可能な濃度に希釈して試料とし、室温にて測定を行う。得られたデータの個数平均径を粒子径とする。
(4)60°鏡面光沢
塗料組成物を、ガラス板上に、アプリケーターを用いて、塗膜厚さが40μmになるように伸展し、室温で1週間乾燥して被験塗板を作製し、JIS K5600−4−7に従い、変角光沢計(日本電色工業(株)製VGS−SENSOR)を用いて被験塗板の表面光沢を測定する。
【0057】
製造例1
(VdF系共重合体のシード粒子の製造)
2Lのステンレススチール製のオートクレーブに、イオン交換水500g、式:
CH2=C(CH3)−CH2CH2−O−(BO)6−(EO)10−SO3NH4
(式中、BOはブチレンオキサイド単位;EOはCH2CH2OまたはCH(CH3)O単位)で示される化合物(1−1)0.10g(200ppm/水(重合媒体としての水。以下同様))を仕込み、系内を窒素ガスで充分に置換後、減圧にした。続いて重合槽内を系内圧力が0.75〜0.80MPaとなるようにVdF/TFE/CTFE(=74/14/12モル%)混合単量体を圧入し、70℃に昇温した。
【0058】
ついで過硫酸アンモニウム(APS)1.0g(2000ppm/水)を4mlのイオン交換水に溶解した重合開始剤溶液および酢酸エチル0.75g(1500ppm/水)を窒素ガスで圧入し、600rpmで攪拌しながら反応を開始した。
【0059】
重合の進行に伴い内圧が降下し始めた時点で、VdF/TFE/CTFE(=74/14/12モル%)混合単量体を内圧が0.75〜0.80MPaを維持するように供給した。重合開始から2時間5分後に未反応単量体を放出し、オートクレーブを冷却して、固形分濃度10.6質量%のVdF系(VdF/TFE/CTFE)共重合体のディスパージョンを得た。
【0060】
実施例1
(VdF系シード重合体の水性分散体の製造)
攪拌翼、冷却管、温度計を備えた内容量2Lの四つ口フラスコに、製造例1で得られたVdF系共重合体水性分散液90gを仕込み、これにシード重合の際のシード粒子の安定性確保のために界面活性剤として707SF(日本乳化剤(株)製)をVdF系共重合体固形分に対して2.6質量%、RMA-450M(日本乳化剤(株)製)をVdF系共重合体固形分に対して3質量%添加した。攪拌下に水浴中で加温し、該フラスコ内の温度を75℃に上げた。別途、メタクリル酸メチル(以下、MMAと略す)とブチルアクリレート(以下、BAと略す)とアクリル酸(以下、AAと略す)の63.2/35.7/1.1(モル%比)の混合単量体(98g)とAPSの1%水溶液16ml(混合単量体の0.158質量%に相当する量)の混合エマルジョンを調製し、これを2時間かけてフラスコ中に滴下し、重合した。重合開始2.5時間後に、前記フラスコ内の温度を80℃に上げ、2時間保持したのち冷却し、アンモニア水で中和してpHを7に調整し、300メッシュの金網で濾過して青白色の本発明のVdF系シード重合体粒子(平均粒子径200nm)の水性分散体を製造した。
【0061】
得られたVdF系シード重合体粒子のフッ素含有量は18質量%であり、アクリル系重合体の含有量は70質量%であった。また、MFR(250℃、10kg)は0.98g/10分であった。
【0062】
(白塗料組成物の調製)
上記で得られたVdF系シード重合体粒子の水性分散体と添加物を以下に示す配合比で混合し、ディスパー攪拌機を用いて充分混合して白塗料組成物を調製した。
VdF系シード重合体の水性分散液 65.00質量部
水 9.12質量部
酸化チタン 31.39質量部
顔料分散剤 2.35質量部
凍結防止剤 1.79質量部
pH調整剤 0.04質量部
消泡剤 0.11質量部
増粘剤 0.38質量部
造膜助剤 2.35質量部
【0063】
なお、使用した各成分はつぎのものである。
酸化チタン:石原産業(株)製タイペークCR−97(商品名)
顔料分散剤:サンノプコ(株)製ノプコスパースSN−5027(商品名)
凍結防止剤:エチレングリコール
pH調整剤:アンモニア水
消泡剤:ビックケミー製BYK028(商品名)
増粘剤:旭電化工業(株)製アデカノールUH−420(商品名)
造膜助剤:アジピン酸ジエチル
【0064】
得られた白塗料組成物について、つぎの試験を行なった。結果を表1に示す。
【0065】
(初期耐水性)
ATTSU−9下塗りおよびATTSU−9中塗り(いずれも日本ペイント(株)製)で塗装したガルバリウム板上に、塗料組成物を刷毛を用いて150g/m2になるように伸展し、23℃で24時間乾燥して被験塗板を作製する。この被験塗板をJIS K5600−6−2に従って23℃の水中に1日間浸漬して塗膜の状態を評価し、その後23℃で1日間乾燥し、膨れ(JIS K5600−8−2)、割れ(JIS K5600−8−4)、はがれ(JIS K5600−8−5)の等級を以下の基準で評価する。
【0066】
膨れの等級(JIS K5600−8−2)の評価基準
密度を0〜5の等級(小さい方が0)に、大きさをS1〜S5の等級(S1の方が小さい)に分け、たとえば2(S1)のように記載する。
【0067】
割れの等級(JIS K5600−8−4)の評価基準
密度を0〜5の等級(小さい方が0)に、大きさをS0〜S5の等級(S0の方が小さい)に、深さをa〜cの等級(aの方が浅い)に分け、たとえば2(S1)bのように記載する。
【0068】
はがれの等級(JIS K5600−8−5)の評価基準
密度を0〜5の等級(小さい方が0)に、大きさをS1〜S5の等級(S1の方が小さい)に、深さをa〜bの等級(aの方が浅い)に分け、たとえば2(S1)aのように記載する。
【0069】
(一般耐水試験)
初期耐水性と同様に作製した被験塗板を23℃で1週間乾燥し、JIS K5600−6−2に従って23℃の水中に6日間浸漬し、その後23℃で1日間乾燥し、膨れ(JIS K5600−8−2)、割れ(JIS K5600−8−4)、はがれ(JIS K5600−8−5)の等級を上記の初期耐水性の基準で評価する。
【0070】
(クリア塗料組成物の調製)
上記で得られたVdF系シード重合体粒子の水性分散体と添加物を以下に示す配合比で混合し、ディスパー攪拌機を用いて充分混合してクリア塗料組成物を調製した。
VdF系シード重合体の水性分散液 65.00質量部
水 9.12質量部
消泡剤 0.11質量部
増粘剤 0.38質量部
造膜助剤 2.35質量部
【0071】
なお、使用した消泡剤、増粘剤および造膜助剤は白塗料組成物に使用したものと同じものである。
【0072】
得られたクリア塗料組成物についてつぎの試験を行なった。結果を表1に示す。
【0073】
(耐水白化試験)
塗料組成物を、ガラス板上に、アプリケーターを用いて、塗膜厚さが40μmになるように伸展し、23℃で1日間乾燥して被験塗板を作製し、JIS K5600−6−2に従って23℃の水中に3日間浸漬し、その後23℃で1日間乾燥し、塗膜の白化状態を目視で評価する。
【0074】
(耐温水白化試験)
初期耐水性と同様に作製した被験塗板を23℃で1週間乾燥し、50℃の温水に7日間浸漬し、塗膜の状態を評価し、その後23℃で1日間乾燥し、膨れ(JIS K5600−8−2)、割れ(JIS K5600−8−4)、はがれ(JIS K5600−8−5)の等級を上記の初期耐水性の基準で評価する。
【0075】
実施例2
(VdF系シード重合体の水性分散体の製造)
製造例1で得られたVdF系共重合体水性分散液を用い、APSの添加量を混合単量体の0.08質量%に相当する量で添加したほかは実施例1と同様にしてシード重合を行い、本発明のVdF系シード重合体粒子(平均粒子径239nm)の水性分散体を製造した。
【0076】
得られたVdF系シード重合体粒子のフッ素含有量は18質量%であり、アクリル系重合体の含有量は70質量%であった。また、MFR(250℃、10kg)は0.73g/10分であった。
【0077】
上記で得られたVdF系シード重合体粒子の水性分散体を用いたほかは実施例1と同様にして白塗料組成物およびクリア塗料組成物を調製し、各種の特性を調べた。結果を表1に示す。
【0078】
実施例3
(VdF系シード重合体の水性分散体の製造)
製造例1で得られたVdF系共重合体水性分散液を用い、APSの添加量を混合単量体の0.05質量%に相当する量で添加したほかは実施例1と同様にしてシード重合を行い、本発明のVdF系シード重合体粒子(平均粒子径230nm)の水性分散体を製造した。
【0079】
得られたVdF系シード重合体粒子のフッ素含有量は18質量%であり、アクリル系重合体の含有量は70質量%であった。また、MFR(250℃、10kg)は1.05g/10分であった。
【0080】
上記で得られたVdF系シード重合体粒子の水性分散体を用いたほかは実施例1と同様にして白塗料組成物およびクリア塗料組成物を調製し、各種の特性を調べた。結果を表1に示す。
【0081】
実施例4
攪拌翼、冷却管、温度計を備えた内容量2Lの四つ口フラスコに、製造例1で得られたVdF系共重合体水性分散液600gを仕込み、これにシード重合の際のシード粒子の安定性確保のために界面活性剤としてエレミノールJS-20(三洋化成工業(株)製)をVdF系共重合体固形分に対して1.5質量%添加した。攪拌下に別途、MMA/BA/AAの70/28/2(モル%比)混合単量体(275g)を調製し、この混合単量体を0.5時間かけてフラスコ中に滴下し、1時間攪拌した。その後、RMA−450M(日本乳化剤(株)製)をVdF系共重合体固形分に対して3質量%、RS-3000(日本乳化剤(株)製)をVdF系共重合体固形分に対して0.3質量%添加、攪拌下に水浴中で加温し、該フラスコ内の温度を75℃に上げた。APSの1%水溶液40mlを4時間かけて添加し、重合を開始した。重合開始4時間後に、前記フラスコ内の温度を80℃に上げ、2時間保持したのち冷却し、アンモニア水で中和してpHを7に調整し、300メッシュの金網で濾過して青白色の本発明のVdF系シード重合体粒子(平均粒子径134nm)の水性分散体を製造した。
【0082】
得られたVdF系シード重合体粒子のフッ素含有量は30質量%であり、アクリル系重合体の含有量は50質量%であった。また、MFR(250℃、10kg)は0.07g/10分であった。
【0083】
上記で得られたVdF系シード重合体粒子の水性分散体を用いたほかは実施例1と同様にして白塗料組成物およびクリア塗料組成物を調製し、各種の特性を調べた。結果を表1に示す。
【0084】
実施例5
攪拌翼、冷却管、温度計を備えた内容量2Lの四つ口フラスコに、製造例1で得られたVdF系共重合体水性分散液90gを仕込み、これにシード重合の際のシード粒子の安定性確保のために界面活性剤として707SF(日本乳化剤(株)製)をVdF系共重合体固形分に対して6.6質量%添加した。攪拌下に水浴中で加温し、該フラスコ内の温度を75℃に上げた。別途、MMAとBAとAAの63.2/35.7/1.1(モル%比)の混合単量体(98g)の混合溶液を調製し、これと、APSの1%水溶液16ml(混合単量体の0.158質量%に相当する量)を2時間かけてフラスコ中に滴下し、重合した。重合開始2.5時間後に、前記フラスコ内の温度を80℃に上げ、2時間保持したのち冷却し、アンモニア水で中和してpHを7に調整し、300メッシュの金網で濾過して青白色の本発明のVdF系シード重合体粒子(平均粒子径210nm)の水性分散体を製造した。
【0085】
得られたVdF系シード重合体粒子のフッ素含有量は元素分析より18質量%であり、アクリル系重合体の含有量は70質量%であった。また、MFR(250℃、10kg)は8.2g/10分であった。
【0086】
上記で得られたVdF系シード重合体粒子の水性分散体を用いたほかは実施例1と同様にして白塗料組成物およびクリア塗料組成物を調製し、各種の特性を調べた。結果を表1に示す。
【0087】
実施例6
攪拌翼、冷却管、温度計を備えた内容量2Lの四つ口フラスコに、製造例1で得られたVdF系共重合体水性分散液98gを仕込み、これにシード重合の際のシード粒子の安定性確保のために界面活性剤として707SF(日本乳化剤(株)製)をVdF系共重合体固形分に対して3.3質量%、RMA−450M(日本乳化剤(株)製)をVdF系共重合体固形分に対して3質量%添加した。攪拌下に別途、MMAとBAとAAの63.2/35.7/1.1(モル%比)の混合単量体(98g)とドデシルメルカプタン0.09g(混合単量体の0.08質量%に相当する量)の混合溶液を調製し、これを30分かけてフラスコ中に滴下し、さらに1時間攪拌した。その後水浴中で加温し、該フラスコ内の温度を75℃に上げた。ここにAPSの1%水溶液17ml(混合単量体の0.158質量%に相当する量)を2時間かけてフラスコ中に滴下し、重合した。重合開始2.5時間後に、前記フラスコ内の温度を80℃に上げ、2時間保持したのち冷却し、アンモニア水で中和してpHを7に調整し、400メッシュの金網で濾過して青白色の本発明のVdF系シード重合体粒子(平均粒子径210nm)の水性分散体を製造した。
【0088】
得られたVdF系シード重合体粒子のフッ素含有量は元素分析より18質量%であり、アクリル系重合体の含有量は70質量%であった。また、MFR(250℃、10kg)は23g/10分であった。
【0089】
上記で得られたVdF系シード重合体粒子の水性分散体を用いたほかは実施例1と同様にして白塗料組成物およびクリア塗料組成物を調製し、各種の特性を調べた。結果を表1に示す。
【0090】
比較例1
(比較用VdF系シード重合体の水性分散体の製造)
攪拌翼、冷却管、温度計を備えた内容量2Lの四つ口フラスコに、製造例1で得られたVdF系共重合体水性分散液90gを仕込み、これにシード重合の際のシード粒子の安定性確保のために界面活性剤として707SF(日本乳化剤(株)製)をVdF系共重合体固形分に対して2.6質量%、RMA−450M(日本乳化剤(株)製)をVdF系共重合体固形分に対して3質量%添加した。攪拌下に水浴中で加温し、該フラスコ内の温度を75℃に上げた。別途、MMAとBAとAAの63.2/35.7/1.1(モル%比)の混合単量体(98g)とドデシルメルカプタン0.5g(混合単量体の0.5質量%に相当する量)、APSの1%水溶液16ml(混合単量体の0.158質量%に相当する量)の混合エマルジョンを調製し、これを2時間かけてフラスコ中に滴下し、重合を開始した。重合開始2.5時間後に、前記フラスコ内の温度を80℃に上げ、2時間保持したのち冷却し、アンモニア水で中和してpHを7に調整し、300メッシュの金網で濾過して青白色の比較用のVdF系シード重合体粒子(平均粒子径230nm)の水性分散体を製造した。
【0091】
得られたVdF系シード重合体粒子のフッ素含有量は18質量%であり、アクリル系重合体の含有量は70質量%であった。また、MFR(250℃、10kg)は1800g以上/10分であった。
【0092】
上記で得られたVdF系シード重合体粒子の水性分散体を用いたほかは実施例1と同様にして白塗料組成物およびクリア塗料組成物を調製し、各種の特性を調べた。結果を表1に示す。
【0093】
【表1】

【0094】
表1から、VdF系シード重合体の水性分散体の製造工程で使用する連鎖移動剤量を調整し、分子量を高めることにより、耐水性および光沢が向上していることが分かる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フッ化ビニリデン単量体を含むフッ化ビニリデン系共重合体粒子をシード粒子としアクリル系単量体を含む単量体をシード重合して得られ、かつ
(1)アクリル系単量体単位の含有量が50質量%以上であり、
(2)メルトフローレート(250℃、10kg)が30g/10分以下である
るフッ化ビニリデン系シード重合体を含むフッ素樹脂水性分散体。
【請求項2】
フッ化ビニリデン系共重合体が、フッ化ビニリデン単位とテトラフルオロエチレン単位とを含む請求項1記載の水性分散体。
【請求項3】
フッ化ビニリデン系共重合体が、フッ化ビニリデン単位とテトラフルオロエチレン単位とクロロトリフルオロエチレン単位を含む請求項1記載の水性分散体。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載のフッ素樹脂水性分散体を含むフッ素樹脂水性塗料組成物。

【公開番号】特開2012−25836(P2012−25836A)
【公開日】平成24年2月9日(2012.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−165298(P2010−165298)
【出願日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【出願人】(000002853)ダイキン工業株式会社 (7,604)
【Fターム(参考)】