説明

フライパンの蓋

【課題】揃えて並べた複数の餃子(食品)をフライパンで調理しお湯を排出する際、蓋をしたままでフライパンを傾けても、お湯が排出でき餃子が移動することがないフライパンの蓋を提供する。
【解決手段】フライパンの蓋であって、前記フライパンに被せて使用される蓋であって、前記蓋は、正面視で略平板状の形体を有し、平面視で略円板形状の形体を有し、前記略円板形状の外径の大きさが前記フライパンの上端部の周縁の直径未満で底壁の上面の直径超の大きさで、かつ前記略円板形状の円弧状の周縁部が前記フライパンの周壁内面の高さ方向の中間部に当接する大きさを有するとともに、前記蓋の上部中央部には掴み部を設け、平面視で前記略円板形状の形体の一端、両端又は3乃至6箇所のうちのいずれかの数の個所に切り欠け部を設けたことで解決できた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、餃子等の食品を調理する際に使用するフライパンの蓋に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、餃子をフライパンで調理する場合、まず、複数の餃子をフライパンの上に例えば花びら状に揃えて並べた後、お湯を、餃子がほぼ隠れるまで入れた状態で蓋をして、数分間、加熱する。その後、フライパンに残っているお湯を捨てた後、適量の油を加えてさらに加熱するといった方法を採る。
【0003】
餃子の調理をするときには、餃子がフライパン内に存する状態でフライパンに残っているお湯を捨てる必要があるが、そのときに、蓋やヘラが使用される。フライパンには調理用の専用の蓋がないため、フライパンに被せる蓋を使用するときは鍋用の蓋を流用している。
【0004】
鍋用の蓋を使用してお湯を捨てるときは、鍋用の蓋をフライパンの周壁上端の周縁に対して当接させて、前記フライパンの周縁部と前記蓋の外周縁とでお湯が流出できる隙を形成するように前記蓋を少しずらして、そのずらした位置で前記蓋をフライパンに押し付けるように手で押さえて、前記フライパンを傾けて前記隙からプライパン内のお湯を流出させている。
【0005】
また、ヘラを使用するときは、お湯を流出させる側に近い位置に存する餃子をヘラで軽く抑えて、フライパンを傾けてお湯を流出させている。
【0006】
また、フライパンの蓋に調理用具を入れたまま蓋ができるように切り口を形成したものが創案されており(例えば、特許文献1参照)、上記問題を解決するために、この蓋を利用することも考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】実用新案登録第3123484号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、通常調理する際に行われる鍋用の蓋を使用した場合は、フライパンの外径にほぼ同じ大きさの鍋用の蓋は蓋の中では大きめの蓋であり中央部が高く周縁部が低い山型形状になっている。そのためフライパンに載置した餃子の上部と、フライパンの周壁上面の周縁に対して当接させ鍋用蓋の下面の間には大きな隙が生じるので、鍋用の蓋をフライパンの周縁部に押さえつけても、フライパンに残っているお湯を捨てる際、フライパンの上にきれいに揃えて並べた複数の餃子が個々バラバラに移動してしまい、その結果、不揃いになったり、餃子同士が絡み合って引っ付き、形が崩れてしまう。そのため、個々の餃子のくずれた形の餃子を揃え直したりするなどの手間が生ずるとともに、せっかくきれいな形に作った餃子を食卓に出すことができないという問題があった。
【0009】
また、ヘラで餃子を抑えながらフライパンを傾けてお湯を捨てる場合は、1つのヘラでフライパン内に置かれた餃子のすべてを押えることはできないから、フライパンを傾けたために餃子がずり落ちないように気を配るため、フライパンをお湯がすべて流れ出るように大きく傾けることができない。この場合にはお湯が残存してしまうという問題があるとともに、次の作業である油を使用した調理をするときに焼きがうまくならないという問題があった。
【0010】
鍋用の蓋もヘラも使用せずにフライパン内のお湯を捨てるときには、プライパンをあまり傾けることができないので、フライパン内に多くのお湯が残存してしまい、次の作業である油を使用した調理をするときに焼きがうまくならないという問題もあった。
【0011】
また、特許文献1に記載のフライパンに形成された切り口は、調理用具を通すための切り口であるため、お湯の流れ出る切り口の大きさが小さい。このため、お湯を流し出すのにフライパンを大きく傾けなくてはお湯が流れにくいという問題があり、フライパンを大きく傾けると餃子が個々バラバラに移動してしまい、その結果、不揃いになったり、餃子同士が絡み合って引っ付き、形が崩れてしまう。一方、餃子が移動しないようにしようとフライパンの傾きを小さくするとお湯が流れ出ず、調理時間がかかり過ぎるとともに、残存したお湯によりに焼きがうまくならないという問題もあった。
【0012】
また、特許文献1に記載のフライパンの蓋の大きさは、蓋が有する切り口の目的が切り口に調理用具を通して調理用具を立てかけるためであるので、切り口に挿入した調理用具の安定を確保するためには鍋の底壁の上面と蓋との間隔を可能な限り高さを確保する必要があるので、フライパンの周縁を覆う大きさとなる。すると、蓋の下面と餃子の上端部との隙が大きく存する状態で、蓋をフライパンの周縁上に当接させてフライパンを傾ける形態となるので、フライパンに載置した餃子がフライパンを傾けると移動してしまい、餃子の形が崩れるとともに、フライパン上にきれいに並べた餃子の構成が崩れ、皿にきれいに並べられないという問題もある。これは料理する者にとってせっかくの努力をムダにするものであり料理する者のやる気を削ぐという問題があった。
【0013】
また、お湯を排出した後に、フライパンに載置した餃子の周囲に満遍なく適量に油を注ぐが、このときに蓋を一旦取り上げて、油を満遍なく注いで、再度蓋をしなければならないが、蓋を一旦取り除き再度被せるという煩わしい作業をしなければならないという問題があった。
【0014】
このように、複数の餃子をフライパンの上に揃えて並べた状態で調理する場合には、フライパンを傾けてお湯を捨てる際に、複数の餃子が個々に移動してしまい、不揃いとなったり、餃子の形が崩れてしまうなどの問題が発生する。また、油を注ぐときには蓋を一旦外し再度被せるという煩わしさがあった。こうした問題は、従来の蓋では解決することができない。
【0015】
本発明はこうした点に鑑み創案されたもので、例えば、揃えて並べた複数の餃子をフライパンで調理し、お湯を捨てる際に、フライパンを傾けても、複数の餃子が移動して不揃いになったり、形が崩れてしまうことがなくお湯を捨てることができ、蓋をした状態のままで油を食品の周囲に満遍なく適量を注ぐことができ、フライパン上に載置した形のままの個々の餃子を、フライパン上にきれいに並べた餃子の構成をそのままの形態を維持したままで皿に盛り付けが容易にできるフライパンの蓋を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
課題を解決するために、請求項1に記載のフライパンの蓋10の発明は、底壁2と周壁3を備えるフライパン1を使用して食品Fを調理する際に、前記フライパン1に被せて使用される蓋であって、前記蓋10は、正面視で略平板状の形体を有し、平面視で略円板形状の形体を有し、前記略円板形状の外径の大きさが前記フライパン1の上端部の周縁の直径未満で底壁の上面2aの直径超の大きさで、かつ前記略円板形状の円弧状の周縁部が前記フライパンの周壁の内面3aの高さ方向の中間部に当接する大きさを有するとともに、前記蓋10の上部中央部には掴み部13を設け、平面視で前記略円板形状の形体の一端又は両端に切り欠け部12を設けたことを特徴とする。
【0017】
請求項2に記載のフライパンの蓋10の発明は、底壁2と周壁3を備えるフライパン1を使用して餃子Fを調理する際に、前記フライパン1に被せて使用される蓋であって、前記蓋10は、正面視で水平形状、又は中央部の高さと外周縁の高さの差を2〜10mmの山型形状とする略平板状の形体を有し、平面視で略円板形状の形体を有し、前記略円板形状の外径の大きさが、前記フライパンの上端部の周縁の直径未満で底壁の上面2aの直径超の大きさで、かつ前記略円板形状の円弧状の周縁部が調理する餃子Fを横に載置した高さよりやや低い高さで前記フライパンの周壁の内面2aに当接する大きさを有するとともに、前記蓋10の上部中央部には掴み部13を設け、平面視で前記略円板形状の形体の一端又は両端に直線状にカットした切り欠け部12を設けたことを特徴とする。
【0018】
請求項3に記載のフライパンの蓋10の発明は、底壁2と周壁3を備えるフライパン1を使用して食品Fを調理する際に、前記フライパン1に被せて使用される蓋10であって、前記蓋10は、正面視で略平板状の形体を有し、平面視で各頂点が円弧状で略三角形乃至略六角形のうちのいずれかの略多角形の形体を有し、前記各頂点である円弧状部14の外径の大きさが前記フライパン1の上端部の周縁の直径未満で底壁2の上面の直径超の大きさで、かつ前記円弧状部14が前記フライパン1の周壁3の内面の高さ方向の中間部に当接する大きさを有するとともに、前記蓋10の上部中央部には掴み部13を設けたことを特徴とする。
【0019】
請求項4に記載のフライパンの蓋10の発明は、底壁2と周壁3を備えるフライパン1を使用して餃子Fを調理する際に、前記フライパン1に被せて使用される蓋10であって、前記蓋10は、正面視で水平形状、又は中央部の高さと外周縁の高さの差を2〜10mmの山型形状とする略平板状の形体を有し、平面視で各頂点が円弧状で略三角形乃至略六角形のうちのいずれかの略多角形の形体を有し、前記各頂点である円弧状部14の外径の大きさが、前記フライパン1の上端部の周縁の直径未満で底壁2の上面の直径超の大きさで、かつ前記略円板形状の円弧状の周縁部が調理する餃子Fを横に載置した高さよりやや低い高さで前記フライパン1の周壁3の内面に当接する大きさを有するとともに、前記蓋10の上部中央部には掴み部13を設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
請求項1に記載のフライパンの蓋10は、外周縁11aがフライパン1の周壁3の内面3aに当接した状態で、下面11bとフライパン1の底壁2の上面2aとの間に、食品Fの高さよりやや小さい間隙Gが形成される略平板状の蓋本体11を備え、蓋本体11には、食品Fより幅が狭く、かつ直線状にカットした細長状の切り欠け部12が形成されているので、蓋10で食品Fを上から軽く押さえた状態で、フライパン1に存するお湯、水、又は油などの液体を切り欠け部から排出することができる。
【0021】
従って、食品Fが移動しないので、移動した食品Fを元の揃えた状態に戻す手間が省け調理が容易となるとともに、食品Fの形が崩れることもないので、見た目にきれいな形の食品を提供することができる。
【0022】
従って、食品Fが餃子Fである場合には、フライパン1上に揃えて並べられた複数の餃子Fが移動しないので、お湯を流した後に餃子Fを並べなおす手間が不要となり、また、餃子F同士が絡み合って個々の餃子Fの形が崩れてしまうこともないので、フライパン1に餃子1個を花びら1枚に見立てて花びら状に並べた餃子群の構成を崩すことなくそのままの見た目にきれいな構成のままでお皿に盛り付けることができる。
【0023】
切り欠け部12を両端に有する場合は、フライパン1を傾けてフライパン1内のお湯、水などの液体を排出するときに、調理する人の利き手によりフライパン1を左右どちらの方向にも容易にフライパンを傾けてお湯を排出することができ、調理する人と流し台の位置関係から左右どちらにも容易にフライパン1を傾けてお湯を排出することができ、無理のない姿勢でフライパン1を傾けてお湯などを排出させることができる。
【0024】
フライパンの蓋10の材質は、樹脂、金属又はガラスなど特に限定されないが、ガラスからなる蓋10の場合には、調理中の食品の状況が見えるという効果がある。
【0025】
請求項2の発明は、請求項1の発明と同じ効果を奏する。
【0026】
請求項3又は4の発明は、請求項1の発明と同じ効果を奏する。さらに、フライパンの蓋19の、平面視で前記略円板形状の形体の3乃至6箇所のうちのいずれかの個所に切り欠け部12を設け、前記切り欠け部12を3箇所以上にすることにより、フライパンの蓋10の切り欠け部12を除いた外周縁部とフライパン1の内壁面との接触する円弧状部14の範囲を点接触まで狭めてもフライパンの蓋10を安定させることができ、フライパン1内のお湯を排出するときに切り欠け部12の位置を気にしないで、フライパンの蓋10を回すことなくフライパン1を傾けてお湯を排出することができるという効果を奏する。
【0027】
また、お湯を排出した後に、フライパン1に並べた餃子Fなどの食品Fの周囲に油を満遍なく適量に注ぐときに、蓋10を外さなくても蓋10をそのままの位置に被せたままで、蓋10の多角形の辺と、フライパン1の上縁部との隙間である切り欠け部12から油を満遍なく適量に注ぐことができるという効果を奏する。
【0028】
以上の効果から、本発明のフライパンの蓋10は、特に調理するときに楽に容易に調理できる調理用具を要望される高齢者などの者にとって、その要望を実現させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の実施形態に係る透明なガラス製のフライパンの蓋を示す平面図である。
【図2】本発明の実施形態に係る切り欠け部を両端に有する不透明なフライパンの蓋を示す平面図である。
【図3】本発明の実施形態に係る切り欠け部を一端に有する不透明なフライパンの蓋を示す平面図である。
【図4】図1のA−A線断面図である。
【図5】図1のB−B線断面図である。
【図6】正面視で水平形状の蓋の概略図である。
【図7】正面視で山型形状の蓋の概略図である。
【図8】本発明の実施形態である平面視四角形の形体で、切り欠け部を4箇所に有する不透明なフライパンの蓋を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明の係るフライパンの蓋10の実施形態を、図1乃至図5に示す。本発明であるフライパンの蓋10は、底壁2と周壁3を備えるフライパン1を使用して食品Fを調理する際に、前記フライパン1に被せて使用される蓋10であって、前記蓋10は、正面視で略平板状の形体を有し、平面視で略円板形状の形体を有し、前記略円板形状の外径の大きさが前記フライパンの上端部の周縁の直径未満で底面の上面2aの直径超の大きさで、かつ前記略円板形状の円弧状の周縁部が前記フライパ1の周壁の内面3aの高さ方向の中間部に当接する大きさを有するとともに、前記蓋の上部中央部には掴み部13を設け、平面視で前記略円板形状の形体の一端又は両端に切り欠け部12を設けている。
【0031】
他の実施形態として、底壁2と周壁3を備えるフライパン1を使用して食品Fを調理する際に、前記フライパン1に被せて使用される蓋10あって、前記蓋10は、正面視で略平板状の形体を有し、平面視で各頂点が円弧状で略三角形乃至略六角形のうちのいずれかの略多角形の形体を有し、前記各頂点である円弧状部14の外径の大きさが前記フライパン1の上端部の周縁の直径未満で底壁の上面の直径超の大きさで、かつ前記円弧状部14が前記フライパン1の周壁3の内面の高さ方向の中間部に当接する大きさを有するとともに、前記蓋10の上部中央部には掴み部13を設けている。図8に平面視で四角形の形体の場合の概要図を示す。
【0032】
前記蓋10は、平面円形状の底壁2と、その周囲から斜め外側に向かって湾曲状に立設された周壁3とを備えるフライパン1を使用して、そのフライパン1の底壁2の上面に揃えて並べられた複数の食品(本実施形態では餃子)Fを調理する際に、そのフライパン1に被せて使用されるものである。フライパン1には、把手4が設けられている。
【0033】
前記蓋10は、蓋本体11を備える。蓋本体11は、その外周縁11aの円弧状の全域(切り欠け部12を除く)がフライパン1の周壁3の内面3aに当接した状態で、その下面11bとフライパン1の底壁2の上面2aとの間に、餃子Fの高さの寸法にほぼ等しい間隙Gが設けられるように形成された平板状であり、平面形状が略円形、又は略三角形乃至六角形のいずれかの多角形である。この蓋本体11の材質は限定されず、樹脂、金属又はガラスで形成することができる。また、透明または不透明とすることができる。蓋本体11には、摘み部13が設けられている。
【0034】
本実施形態の蓋10は、例えば市場に最も流通しているフライパンである、最大内径が26cmのフライパンに対応するようにした場合には、外径が25〜25.5cmが好ましい。そして、フライパン1に被せた状態で、餃子などの食品Fの高さに等しい寸法である3〜4cmの間隙Gが形成されるように形成するのが好ましい。前記寸法の間隙Gの場合には、前記蓋10の下面で餃子Fを軽く押えることができるので、フライパン1に並べた餃子Fを、フライパンを傾けても移動させないようにすることができる。
【0035】
なお、蓋本体11は、全体が図6に示すように水平な平板状でも良いし、また、図7に示すように中央部が外周縁部に対して2〜10mmほどやや高く、外周縁部に向かって下降する直線状の山型形状や、緩やかな湾曲状の山型形状(図なし)でもよい。
【0036】
また、蓋本体11の外周縁11aを含む外周端部には、一箇所、又は対称的な両端部の2箇所にフライパン1を傾けた状態で、フライパン1に残存するお湯を排出するための切り欠け部12が形成されている。この切り欠け部12は、蓋本体11を部分的に直線状に切り欠いた状態で形成されている。また、この切り欠け部は、フライパン1を傾けたときに食品Fが切り欠け部から落下しないように、個々の餃子Fの平面視の大きさよりも小さく形成されており、当該切り欠け部12の幅Lを1〜2cmとするのが好ましい。
【0037】
あるいは、図8に示すように、蓋本体11の平面視が略多角形である場合には、多角形の辺に該当する部位が切り欠け部12を形成し、フライパン1を傾けた状態で、フライパン1に残存するお湯を排出することが容易にできる。また、この切り欠け部12は、フライパン1を傾けたときに食品Fが切り欠け部から落下しないように、個々の餃子Fの平面視の大きさよりも小さく形成されており、当該切り欠け部12の幅Lを1〜2cmとするのが好ましい。
【0038】
前記切り欠け部12を、中心にある掴み部13に対称的な両端部の2箇所に設けた場合には、調理する人の利き手によりフライパン1を左右どちらの方向にも容易にフライパン1を傾けてお湯を排出することができ、調理する人と流し台の位置関係から左右どちらにも容易にフライパン1を傾けてお湯を排出することができ、無理のない姿勢でフライパン1を傾けてお湯などを排出させることができる。
【0039】
フライパンの蓋10が平面視で略多角形の形体の場合で、前記切り欠け部12を、フライパンの蓋10の外周縁の3乃至6箇所のうちのいずれかの数の個所に設けた場合には、例えば図8に示すように4箇所に設けた場合には、本発明のフライパンの蓋10の外周縁部とフライパンの内壁面との接触する円弧状部の範囲を点接触まで狭めているが、そのように点接触まで狭めてもフライパンの蓋10を安定させてフライパン1に被せることができ、かつフライパン1内のお湯を排出するときに切り欠け部12の位置を気にしないで、フライパンの蓋10を回すことなくフライパン1を傾けてお湯を排出することができる。
【0040】
また、フライパンの蓋10が平面視で略多角形の形体の場合で、前記切り欠け部12を、フライパンの蓋10の外周縁の3乃至6箇所のうちのいずれかの数の個所に設けた場合には、それぞれの切り欠け部12から油を注ぐことができる。これによって、お湯を排出した後に、フライパン1内の餃子などの食品Fの周囲に満遍なく適量に油を注ぐときに、フライパンの蓋10を取り上げないで、そのまま被せた状態で各切り欠け部12から油を注ぐことができ、容易に満遍なく注ぐことができる。
【0041】
本実施形態に係るフライパンの蓋10は、餃子Fを調理する際に、次のように使用することができる。まず、フライパン1の底壁2の上面2aに、複数の餃子Fを揃えた状態で均等に並べる。次に、フライパン1の中に、お湯を、餃子Fがほぼ隠れるほど入れる。
【0042】
次に、本実施形態に係るフライパンの蓋10を、餃子Fの上に被せる。この状態では、蓋本体11の外周縁11aがフライパン1の周壁3の内面3aに当接すると共に、その下面11bが、複数の餃子Fの全てを上から軽く押さえることになる。
【0043】
この状態で2〜3分加熱して餃子Fを蒸す。その後、蓋10を上から押さえるように支持した状態でフライパン1を傾け、フライパン1に残存しているお湯を切り欠け部12から排出する。この際、複数の餃子Fの全ては蓋10によって上から軽く押さえられているので、移動することなく、揃った状態をそのまま保持することができる。また、移動して餃子同士が絡み合って引っ付くこともないので、餃子Fの形が崩れてしまうこともない。
【0044】
また、切り欠け部の大きさは、餃子F個々の大きさよりも小さく形成されているので、切り欠け部の近傍に位置する餃子Fが、その切り欠け部から落下することもない。
【0045】
お湯を排出した後、フライパン1を元の水平姿勢に戻して、各切り欠け部12から適量の油を満遍なく注ぐ。このとき、フライパンの蓋10が平面視で略多角形の形体の場合では前記切り欠け部12から、フライパンの蓋10を被せたままの状態で油を注ぐ。
【0046】
この状態で、さらに加熱して餃子Fを焼いた後、全ての餃子Fを一度に裏返して大皿に盛って出来上がりとなる。この状態では、フライパン1に揃えて並べた複数の餃子Fが、その全体形状をそのまま維持した裏返しの状態で、大皿に盛られることになる。
【0047】
このように、本実施形態に係るフライパンの蓋10は、お湯を排出する際に、複数の餃子Fを移動させることなく、そのままの揃った状態を維持することができるので、従来のように不揃いとなった複数の餃子Fを元の状態に戻すと行った厄介な手間を省くことができる。また、餃子Fの形が崩れるのを未然に防止することができる。さらに、複数の餃子Fを、フライパン1に揃えて並べたままの形で、一度に大皿に盛ることができる。これらにより、複数の餃子Fを、容易に調理することができる。
【0048】
そして、お湯を排出した後に、フライパンの蓋10を取り上げることもなく、そのまま被せた状態で、各切り欠け部12から油を万遍なく適量に注ぐことができ、調理が極めて容易に行うことができる。
【0049】
したがって、本発明のフライパンの蓋10は、特に調理するときに楽に容易に調理できることを要望される高齢者などの者にとって、要望を実現させた調理用具といえる。
【0050】
なお、本発明に係るフライパンの蓋10は、餃子Fを調理する際の使用に限定されるものではない。従って、例えば、フライパン1で野菜炒めや焼き魚を調理する際に、余った水分や油を、蓋10を被せたままの状態で切り欠け部12から排出することができる。この場合も、野菜や魚が移動したり形が崩れたりしないので、手間が省け、調理が容易となる。
【符号の説明】
【0051】
1 フライパン
2 底壁
2a 底壁の上面
3 周壁
3a 周壁の内面
4 把手
10 フライパンの蓋
11 蓋本体
11a 外周縁
11b 下面
12 切り欠け部
13 摘み部
14 円弧状部
G 間隙
L 幅
F 食品(餃子)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
底壁と周壁を備えるフライパンを使用して食品を調理する際に、前記フライパンに被せて使用される蓋であって、前記蓋は、正面視で略平板状の形体を有し、平面視で略円板形状の形体を有し、前記略円板形状の外径の大きさが前記フライパンの上端部の周縁の直径未満で底壁の上面の直径超の大きさで、かつ前記略円板形状の円弧状の周縁部が前記フライパンの周壁の内面の高さ方向の中間部に当接する大きさを有するとともに、前記蓋の上部中央部には掴み部を設け、平面視で前記略円板形状の形体の一端又は両端に切り欠け部を設けたことを特徴とするフライパンの蓋。
【請求項2】
底壁と周壁を備えるフライパンを使用して餃子を調理する際に、前記フライパンに被せて使用される蓋であって、前記蓋は、正面視で水平形状、又は中央部の高さと外周縁の高さの差を2〜10mmの山型形状とする略平板状の形体を有し、平面視で略円板形状の形体を有し、前記略円板形状の外径の大きさが、前記フライパンの上端部の周縁の直径未満で底壁の上面の直径超の大きさで、かつ前記略円板形状の円弧状の周縁部が調理する餃子を横に載置した高さよりやや低い高さで前記フライパンの周壁の内面に当接する大きさを有するとともに、前記蓋の上部中央部には掴み部を設け、平面視で前記略円板形状の形体の一端又は両端に直線状にカットした切り欠け部を設けたことを特徴とするフライパンの蓋。
【請求項3】
底壁と周壁を備えるフライパンを使用して食品を調理する際に、前記フライパンに被せて使用される蓋であって、前記蓋は、正面視で略平板状の形体を有し、平面視で各頂点が円弧状で略三角形乃至略六角形のうちのいずれかの略多角形の形体を有し、前記各頂点である円弧状部の外径の大きさが前記フライパンの上端部の周縁の直径未満で底壁の上面の直径超の大きさで、かつ前記円弧状部が前記フライパンの周壁の内面の高さ方向の中間部に当接する大きさを有するとともに、前記蓋の上部中央部には掴み部を設けたことを特徴とするフライパンの蓋。
【請求項4】
底壁と周壁を備えるフライパンを使用して餃子を調理する際に、前記フライパンに被せて使用される蓋であって、前記蓋は、正面視で水平形状、又は中央部の高さと外周縁の高さの差を2〜10mmの山型形状とする略平板状の形体を有し、平面視で各頂点が円弧状で略三角形乃至略六角形のうちのいずれかの略多角形の形体を有し、前記各頂点である円弧状部の外径の大きさが、前記フライパンの上端部の周縁の直径未満で底壁の上面の直径超の大きさで、かつ前記略円板形状の円弧状の周縁部が調理する餃子を横に載置した高さよりやや低い高さで前記フライパンの周壁の内面に当接する大きさを有するとともに、前記蓋の上部中央部には掴み部を設けたことを特徴とするフライパンの蓋。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−196419(P2012−196419A)
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−87855(P2011−87855)
【出願日】平成23年4月12日(2011.4.12)
【特許番号】特許第4988940号(P4988940)
【特許公報発行日】平成24年8月1日(2012.8.1)
【出願人】(511059357)
【Fターム(参考)】